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特表2022-505089ポリエーテルブロックアミドポリ(メタ)アクリレート発泡体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】ポリエーテルブロックアミドポリ(メタ)アクリレート発泡体
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/00 20060101AFI20220106BHJP
   C08L 33/04 20060101ALI20220106BHJP
   C08L 33/06 20060101ALI20220106BHJP
   C08L 33/24 20060101ALI20220106BHJP
   C08J 9/12 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
C08L77/00
C08L33/04
C08L33/06
C08L33/24
C08J9/12 CFG
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021520994
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(85)【翻訳文提出日】2021-06-09
(86)【国際出願番号】 EP2019077636
(87)【国際公開番号】W WO2020078856
(87)【国際公開日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】18200738.5
(32)【優先日】2018-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
(71)【出願人】
【識別番号】319013746
【氏名又は名称】レーム・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Deutsche-Telekom-Allee 9, 64295 Darmstadt, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】カトリン サルヴィチェク
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー リヒター
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーネ ヴァイス
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング ルーライ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヴェーバー
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス フリードリッヒ デッセル
(72)【発明者】
【氏名】デヴィッド ベイリー
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ リヒター
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェン クリル
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス フォアホルツ
(72)【発明者】
【氏名】マーレン クーン
【テーマコード(参考)】
4F074
4J002
【Fターム(参考)】
4F074AA48
4F074AA71B
4F074AA98
4F074AB01
4F074BA32
4F074CA24
4F074CC04Y
4F074CC10Y
4F074CC46Y
4F074CC63Y
4F074CC64Y
4F074DA02
4F074DA03
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4F074DA33
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4F074DA47
4J002BG012
4J002BG042
4J002BG052
4J002BG062
4J002BG122
4J002CL011
4J002CL021
4J002CL031
4J002CL051
4J002GC00
4J002GG00
4J002GL00
4J002GQ01
4J002GT00
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つのアミノ調整されたポリエーテルブロックアミド(PEBA)と、ポリ(メタ)アクリルイミド、ポリアルキル(メタ)アクリレート、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1つのポリ(メタ)アクリレートとを含む混合物に関する。PEBA対ポリ(メタ)アクリレートの重量比は、95:5~60:40である。ポリアルキル(メタ)アクリレートは、ポリアルキル(メタ)アクリレートの総重量を基準にして、80~99重量%のメチルメタクリレート(MMA)単位と、1~20重量%のC~C10アルキルアクリレート単位を含む。該混合物を加工して、発泡成形体とすることができる。該成形体を、靴底、滑止め材、絶縁材、断熱材、緩衝部材、軽量部材、またはサンドイッチ構造体において使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.少なくとも1つのアミノ調整されたポリエーテルブロックアミド(PEBA)と、
b.ポリ(メタ)アクリルイミド、ポリアルキル(メタ)アクリレート、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1つのポリ(メタ)アクリレートと
を含む混合物であって、PEBA対ポリ(メタ)アクリレートの重量比が、95:5~60:40であり、前記ポリアルキル(メタ)アクリレートが、ポリアルキル(メタ)アクリレートの総重量を基準にして、80~99重量%のメチルメタクリレート(MMA)単位と、1~20重量%のC~C10アルキルアクリレート単位とを含む、混合物。
【請求項2】
前記PEBAが、20~60mmol/kgのアミノ末端基、有利に30~50mmol/kgのアミノ末端基を含むことを特徴とする、請求項1記載の混合物。
【請求項3】
前記PEBA中のポリエーテルの割合が、PEBAの総重量を基準にして10~50重量%であることを特徴とする、請求項1または2記載の混合物。
【請求項4】
ISO 868に準拠して23℃±2℃で測定した場合に、前記PEBAが、30~70、有利に35~65のショア硬さDを有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項5】
前記ポリ(メタ)アクリルイミドが、以下の群:
a.式(IV)
【化1】
[式中、
およびRは、同一であるかまたは異なって、水素またはメチル基を表し、Rは、水素、炭素原子数1~20のアルキル基、または炭素原子数3~20のアリール基を表す]のN-アクリルアルキルイミド、
b.(メタ)アクリル酸、
c.(メタ)アクリル酸無水物、および
d.(メタ)アクリレート
を含み、ここで、前記群a.~d.はそれぞれ、ポリ(メタ)アクリルイミドの総重量を基準にして少なくとも1重量%含まれていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項6】
前記ポリ(メタ)アクリルイミドが、式(IV)の単位を10~95重量%、好ましくは20~70重量%、特に好ましくは25~40重量%含むことを特徴とする、請求項5記載の混合物。
【請求項7】
前記ポリ(メタ)アクリルイミドの分子量Mwが、(GPCによりPMMA標準物質に対して測定した場合に)50000~150000g/molの範囲であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項8】
ポリアルキル(メタ)アクリレートが、コモノマーとしてスチレンを含むことを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項9】
前記ポリアルキル(メタ)アクリレートが、耐衝撃性改良ポリマーであることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項10】
前記混合物が、着色剤、顔料、有機染料、光安定剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗菌剤、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、架橋性ポリマー、有機または無機の繊維補強用添加物質、耐衝撃性改良剤、およびこれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分を含むことを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の混合物から得ることができる、発泡成形体。
【請求項12】
発泡成形体の製造方法であって、
a.請求項1から10までのいずれか1項記載の混合物を溶融するステップと、
b.溶融された混合物を押出成形して、造粒体を得るステップと、
c.前記造粒体を射出成形して、成形体または押出シートを得るステップと、
d.前記成形体または前記押出シートをオートクレーブに入れ、物理発泡剤を作用させて、発泡成形体を得るステップと
を含む、方法。
【請求項13】
発泡成形体の製造方法であって、
a.請求項1から10までのいずれか1項記載の混合物を溶融するステップと、
b.溶融された混合物に物理発泡剤を作用させ、かつ前記溶融された混合物を多孔板またはダイスで押出成形して、発泡成形体を得るステップと
を含む、方法。
【請求項14】
靴底、滑止め材、絶縁材、断熱材、緩衝部材、軽量部材としての、またはサンドイッチ構造体における、請求項11記載の発泡成形体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ調整されたポリエーテルブロックアミドとポリ(メタ)アクリレートとの混合物、該混合物の発泡成形体、該成形体の製造方法、およびその使用に関する。
【0002】
高分子発泡体は、工業的に大規模に使用されている。ポリエーテルブロックアミド(PEBA)を発泡材料の成分とすることはすでに知られている。しかし、添加剤なしでPEBAを発泡させると、安定した発泡体が得られず、つまり、発泡成形体が潰れてしまう。
【0003】
ポリエーテルブロックアミド(PEBA)は、(オリゴ)ポリアミド、特に酸調整されたポリアミドと、末端アルコール化または末端アミノ化ポリエーテルとを重縮合させて得られるブロックコポリマーである。酸調整されたポリアミドは、カルボン酸末端基を過剰に有する。当業者は、ポリアミドブロックをハードブロック、ポリエステルブロックをソフトブロックと呼んでいる。
【0004】
国際公開第2017/167197号から、20~99%の熱可塑性樹脂と、1~80%のポリ(メタ)アクリルイミド発泡粒子とを含むポリマー混合物が知られている。独国特許出願公開第102014216992号明細書には、PEBAなどのポリアミドの発泡ポリマーペレットの製造方法が記載されており、これは、例えばスポーツウェアの緩衝要素の製造に使用することができる。
【0005】
この点で、本発明の課題は、安定した軽量の発泡体を有するPEBAベースの適切な混合物を見い出すことであった。密度は、部材の大幅な軽量化を実現できるほど低いことが望ましい。さらに、一定の柔軟性と反発・回復挙動とを示す軟質の発泡体を得ることが望ましい。得られた発泡成形体は、高い機械的耐久性と高い発泡安定性とを有することが望ましい。発泡体は、均一なセル分布と均一なセルサイズとを有することが望ましい。
【0006】
前述の課題は、アミノ調整されたPEBAと少なくとも1つのポリ(メタ)アクリレートとを含む混合物であって、PEBA対ポリ(メタ)アクリレートの重量比が95:5~60:40である混合物により解決可能であった。ポリ(メタ)アクリレートは、ポリ(メタ)アクリルイミド、ポリアルキル(メタ)アクリレート、およびそれらの混合物から選択される。
【0007】
PEBAは、例えば、ポリアミドと、ポリエーテルジオールやポリエーテルジアミンなどのポリエーテルとの反応から得ることができる。PEBAの製造は、例えば欧州特許出願公開第1518901号明細書(米国特許出願公開第2005/014842号明細書)に記載されている。
【0008】
適切なポリアミド(PA)は、例えば、PA6、PA11、PA12、PA613、PA1012、PA612、PA109、PA1013、PA1010およびPA69である。これらは、ラクタムやω-アミノカルボン酸から、あるいはジアミンとジカルボン酸との反応から製造することができる。
【0009】
適切なポリエーテルジオールは、例えば、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、エチレングリコールまたはポリテトラヒドロフランである。また、統計的またはブロック状に分配された混合ポリエーテルジオールブロックも使用できる。これらは通常、約230~4000g/molの数平均分子量を有する。
【0010】
適切なポリエーテルジアミンは、対応するポリエーテルジオールの還元的アミノ化またはアクリロニトリルとのカップリング、およびそれに続く水素化による転化によって得ることができる(例えば、欧州特許出願公開第0434244号明細書;欧州特許出願公開第0296852号明細書)。これらは一般的には、約230~4000g/molの数平均分子量を有する。プロピレングリコールを出発点とする市販のポリエーテルジアミンは、Huntsman社よりJEFFAMIN D-Typenとして市販されている。
【0011】
PEBA中のポリエーテルの割合は、PEBAの総重量を基準にして、それぞれ有利に10~50重量%、好ましくは20~40重量%である。
【0012】
適切なPEBAは、30~70、有利に35~65のショア硬さDを有することができる。ショア硬さDは、ISO 868に準拠して23℃±2℃で測定される。
【0013】
PEBAは、アミノ調整されている。そのためこのPEBAは、過剰のアミノ末端基を有する。有利に、アミノ調整されたPEBAは、20~60mmol/kg PEBAの、好ましくは30~50mmol/kg PEBAの、過剰なアミノ末端基を有する。
【0014】
PEBAに加えて、混合物は、ポリ(メタ)アクリルイミド、ポリアルキル(メタ)アクリレートまたはそれらの混合物を含むポリ(メタ)アクリレートをさらに含む。本明細書では、(メタ)アクリレートという表記は、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレートなどのメタクリレートと、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレートなどのアクリレートとの双方、およびそれらの混合物を意味する。
【0015】
ポリ(メタ)アクリルイミドは、有利に、式(IV)
【化1】
[式中、
およびRは、同一であるかまたは異なって、水素またはメチル基を表し、Rは、水素、炭素原子数1~20のアルキル基、または炭素原子数3~20のアリール基を表す]で表すことができる繰返し単位を有する。好ましいのは、式(IV)[式中、3つの基R、RおよびRは、それぞれメチル基である]である。
【0016】
好ましいポリ(メタ)アクリルイミドは、以下の群、すなわち、a)式(IV)のN-アクリルアルキルイミド、b)(メタ)アクリル酸、c)(メタ)アクリル酸無水物、d)(メタ)アクリレートを含み、ここで、これらの群a)~d)はそれぞれ、ポリ(メタ)アクリルイミドの総重量を基準にして少なくとも1重量%含まれている。有利に、ポリ(メタ)アクリルイミドは、式(IV)のN-アクリルアルキルイミドを10~95重量%、好ましくは20~70重量%、特に好ましくは25~40重量%含む。群b)と群c)との合計は、有利に5~20重量%の範囲、好ましくは8~17重量%の範囲、特に好ましくは10~15重量%の範囲である。ポリ(メタ)アクリルイミドは、e)さらなるモノマーを含んでいてもよい。その割合は、通常は10重量%未満である。前述の割合は、ポリ(メタ)アクリルイミドの総重量を基準とする。これらは、NMR分光法やIR分光法によって測定することができる。
【0017】
ポリ(メタ)アクリルイミドの典型的な分子量Mは、50000~150000g/mol、好ましくは90000~110000g/molの範囲である(GPCによりPMMA標準物質に対して測定)。
【0018】
適切な好ましいポリ(メタ)アクリルイミドは、ポリ(N-メチル)メタアクリルイミド(PMMI)である。本発明の特に好ましい一実施形態では、ポリ(メタ)アクリルイミドは、式(IV)[式中、3つの基R、RおよびRは、それぞれメチル基である]のN-アクリルアルキルイミド25~35重量%と、メタクリル酸基1~5重量%と、メタクリル酸無水物基5~20重量%と、メチルメタクリレート基40~65重量%とを有する。
【0019】
ポリ(メタ)アクリルイミドの製造自体は既知であり、例えば、英国特許第1078425号明細書、英国特許第1045229号明細書、独国特許第1817156号明細書(=米国特許第3627711号明細書)または独国特許第2726259号明細書(=米国特許第4139685号明細書)または独国特許出願公開第102008001695号明細書(=米国特許出願公開第2011/015317号明細書)に開示されている。
【0020】
さらに、これらのポリマーは、例えば、アクリル酸もしくはメタクリル酸と、特に炭素原子数1~4の低級アルコールとのエステル、スチレン、マレイン酸もしくはその無水物、イタコン酸もしくはその無水物、ビニルピロリドン、塩化ビニルまたは塩化ビニリデンから得られるさらなるモノマー単位を含むことができる。環化が不可能であるかまたは困難であるコモノマーの割合は、モノマーの重量を基準にして、30重量%、有利に20重量%、特に好ましくは10重量%を超えないことが望ましい。
【0021】
ポリアルキル(メタ)アクリレートは、単独で使用してもよいし、複数の異なるポリアルキル(メタ)アクリレートを混合して使用してもよい。さらに、ポリアルキル(メタ)アクリレートは、コポリマーの形態であってもよい。
【0022】
本発明において、C~C18-アルキル(メタ)アクリレート、有用にはC~C10-アルキル(メタ)アクリレート、特にC~C-アルキル(メタ)アクリレートポリマーのホモポリマーおよびコポリマーが特に好ましく、これらは任意に、これらとは異なるモノマー単位を含んでいてもよい。
【0023】
本発明により使用されるポリアルキル(メタ)アクリレートは、ポリアルキル(メタ)アクリレートの総重量を基準にして、80~99重量%のメチルメタクリレート(MMA)単位と、1~20重量%、有利に1~5重量%のC~C10-アルキルアクリレート単位とを含む。特に好ましいC~C10-アルキルアクリレート単位は、メチルアクリレート単位、エチルアクリレート単位およびブチルアクリレート単位、ならびにそれらの混合物である。
【0024】
これらの生成物およびその製造方法は、知られている(Hans R. Kricheldorf, Handbook of Polymer Synthesis, Part A, Verlag Marcel Dekker Inc. New York - Basel - Hongkong, S.223 f.; H. G. Elias, Makromolekuele, Huethig und Wepf Verlag Basel - Heidelberg - New York;米国特許第2146209号明細書、米国特許第4246374号明細書)。
【0025】
コポリマーの総重量を基準にして70~99重量%、特に70~90重量%のC~C10-アルキルメタクリレートを含むコポリマーの使用が極めて特に有効であることが実証された。好ましいC~C10-アルキルメタクリレートには、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、およびエチルヘキシルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、ならびにシクロアルキルメタクリレート、例えばシクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、またはエチルシクロヘキシルメタクリレートが含まれる。
【0026】
非常に好ましいコポリマーは、コポリマーの総重量を基準にして、70~99重量%のメチルメタクリレート(MMA)単位と、1~20重量%、有利に1~5重量%のC~C10-アルキルアクリレート単位、特にメチルアクリレート単位、エチルアクリレート単位および/またはブチルアクリレート単位とを含む。もう1つの好ましいコモノマーは、スチレンである。
【0027】
ポリメチルメタクリレート(PMMA)は、特に好ましいポリアルキル(メタ)アクリレートである。
【0028】
有効性が実証されたポリメチルメタクリレートは、それぞれメタクリレートとメチルメタクリレートとの総重量を基準にして、1~18重量%のメチルアクリレートと、82~99重量%のメチルメタクリレートとを含み、特に好ましくは2~10重量%のメチルアクリレートと、90~98重量%のメチルメタクリレートとを含み、非常に特に好ましくは3~6重量%のメチルアクリレートと、94~97重量%のメチルメタクリレートとを含む。分子量Mwは、好ましくは70000g/mol~240000g/mol、特に好ましくは80000g/mol~220000g/mol、極めて特に好ましくは90000g/mol~200000g/molである。さらに、これらのポリマーは、例えば、アクリル酸もしくはメタクリル酸と、特に炭素原子数1~4の低級アルコールとのエステル、マレイン酸もしくはその無水物、イタコン酸もしくはその無水物、ビニルピロリドン、塩化ビニルまたは塩化ビニリデンから得られるさらなるモノマー単位を含むことができる。環化が不可能であるかまたは困難であるコモノマーの割合は、モノマーの重量を基準にして、30重量%、有利に20重量%、特に好ましくは10重量%を超えないことが望ましい。環化可能なモノマーとは、α,β-不飽和官能化系であり、文献ではEWG(=electron withdrawing group、電子求引性基)と呼ばれる官能基をビニル基上に有するものと理解される。EWG官能基を有する系の例としては、ニトリル基を有する分子や、カルボン酸およびそのエステルが挙げられる。これには、環化は不可能であるがビニル重合は可能であるモノマーは含まれず、ここでは例示的に、α-メチルスチレン、スチレン、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、ブタジエン、ビニルエーテル、またはイソブチレンが挙げられる。
【0029】
同様に、耐衝撃性改良ポリマーを使用することもできる。好ましい耐衝撃性改良ポリマーは、コア/シェル構造を有する。シェルでグラフト化されたポリブタジエンベースのコアが特に好ましい。シェルは、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、スチレン、アクリロニトリル、およびそれらの混合物から選択することができる。このようなポリマーは、例えば国際公開第2002/062890号に記載されている。
【0030】
ポリアルキル(メタ)アクリレートは、自体公知の重合法によって製造することができ、ラジカル重合法、特に塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法および乳化重合法が特に好ましい。これらの目的に特に適した開始剤には、特に、アゾ化合物、例えば2,2’-アゾビス-(イソブチロニトリル)もしくは2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、レドックス系、例えば、第三級アミンと過酸化物との組合せ、もしくは二亜硫酸ナトリウムおよびカリウム、ナトリウムもしくはアンモニウムの過硫酸塩、または好ましくは過酸化物が含まれる(これについては、例えばH. Rauch-Puntigam, Th. Voelker, “Acryl- und Methacrylverbindungen”, Springer, Heidelberg, 1967、またはKirk-Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology, Vol. 1, Seiten 386ff, J. Wiley, New York, 1978参照)。特に適切な過酸化物重合開始剤の例は、ジラウロイルペルオキシド、t-ブチルペルオクトエート、t-ブチルペルイソノナノエート、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、ジベンゾイルペルオキシド、および2,2-ビス-(t-ブチルペルオキシ)ブタンである。また、好ましくは、ラジカルの流れを重合の過程で異なる重合温度で一定に保つために、半減期の異なる様々な重合開始剤、例えばジラウロイルペルオキシドおよび2,2-ビス-(t-ブチルペルオキシ)ブタンの混合物を用いて、重合を行うこともできる。重合開始剤の使用量は、モノマー混合物を基準にして、通常は0.01~2重量%である。
【0031】
重合は、連続式で行うこともバッチ式で行うこともできる。重合後、ポリマーは、例えば、ろ過、凝固、噴霧乾燥または脱気押出といった従来の単離および分離ステップにより回収される。シートポリマー(塊状)の場合には、通常、上記の意味でのさらなる処理は行われない。
【0032】
ポリマーまたはコポリマーの鎖長の調整は、分子量調整剤、例えば、特にこの目的のために知られているメルカプタン、例えば、n-ブチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、2-メルカプトエタノールまたは2-エチルヘキシルチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレートの存在下でのモノマーまたはモノマー混合物の重合によって行うことができ、分子量調整剤は、通常は、モノマーまたはモノマー混合物を基準にして0.05~5重量%の量で、好ましくはモノマーまたはモノマー混合物を基準にして0.1~2重量%の量で、特に好ましくはモノマーまたはモノマー混合物を基準にして0.2~1重量%の量で使用される(例えば、H. Rauch-Puntigam, Th. Voelker, “Acryl- und Methacrylverbindungen”, Springer, Heidelberg, 1967; Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, Bd. XIV/1, Seite 66, Georg Thieme, Heidelberg, 1961、またはKirk-Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology, Vol. 1, Seiten 296ff, J. Wiley, New York, 1978参照)。特に、分子量調整剤としてn-ドデシルメルカプタンを使用することが好ましい。
【0033】
有利に、本発明による混合物は、式(I)
【化2】
[式中、
Rは、互いに独立して、炭素原子数1~11、好ましくは1~4のアルキル基、有利にメチル基であり、
は、互いに独立して、R、またはポリエステル基であり、
は、互いに独立して、R、または炭素原子数12~36、有利に炭素原子数14~30、好ましくは炭素原子数16~26の炭化水素基であり、
n、m、およびpは、互いに独立して、0~58であるが、ただし、
N=n+m+p+2は、10~100、有利に15~60であり、かつ
すべてのRがRである場合、すべてのRがRではなく、すべてのRがRである場合、少なくとも1つのRがRではなく、
かつ/または
mおよびpが0である場合、すべての基RがRでなく、すべての基RがRである場合、mまたはp、有利にmが0ではない]の少なくとも1つの化合物を、相間移動試薬として含む。これは、ポリエステルシロキサンまたはアルキルシロキサンである。
【0034】
この式に使用されている添え字は、統計的平均値(数値平均)とみなされるべきである。
【0035】
有利に、式(I)[式中、pは、0である]の化合物が存在する。
【0036】
基Rがポリエステル基である場合、これらは有利に、3~30個、好ましくは8~25個、特に好ましくは15~22個のエステル単位から構成されている。出発アルコールとして、ポリエステル基は、第一級不飽和アルコールから誘導されるアルコール基を有することができる(製造方法参照)。ポリエステル基は、式(II):
-R-(RH (II)
[式中、
は、-(CH-O-であり、
は、C(O)-(CH-O-であり、
xは、2~10、有利に3~7、特に6であり、
yは、2~10、有利に3~8、好ましくは4または5であり、
Zは、3~30、好ましくは8~25、特に好ましくは15~22である]による有利な構造を有する。
【0037】
「q」および「r」という表記は、単にこの基を他の「R」基と区別するためのものであり、何らかの数値に裏付けられた添え字を示すものではない。
【0038】
ポリエステル基は、同じ出発分子から構成されていても、異なる出発分子から構成されていてもよい。有利に、ポリエステル基は、同じ出発分子から構成されている。好ましいポリエステル基は、ラクトンの有利に開環の(ポリ)エステル化により得られるものである。特に好ましいのは、カプロラクトンまたはバレロラクトン、特にε-カプロラクトン、3,5,5-トリメチルカプロラクトンまたはδ-バレロラクトン、特に好ましくはε-カプロラクトンの(ポリ)エステル化によって得られるポリエステル基である。式(I)[式中、Rは、ポリエステル基である]の好ましい化合物は、ポリエステル基が、3~30個、好ましくは8~25個、特に好ましくは15~22個のε-カプロラクトン単位から構成されているものである。有利に、基Rは、同一のポリエステル基である。
【0039】
基RがすべてRであり、Rが、有利にメチル基であり、Rが、好ましくは、炭素原子数12~36、有利に炭素原子数14~30、好ましくは炭素原子数16~26の炭化水素基である場合、Nは、好ましくは30以上、有利に40~50である。pは、前述の場合、有利に0であり、mは、好ましくは30~48である。
【0040】
基Rの1つ以上がポリエステル基である場合、Nは、好ましくは10~45、好ましくは18~35、特に好ましくは20~30である。
【0041】
式(I)の適切な化合物は、例えば、Evonikより入手可能であるTEGOMER(登録商標)H-Si 6440 PおよびTEGOPREN 6846である。
【0042】
式(I)の化合物は、既知の方法にしたがって、対応するハイドロジェンシロキサンを不飽和炭化水素または不飽和アルコールと反応させ、次いで(ポリ)エステル化させるか、または不飽和ポリエステルをハイドロジェンシロキサンと直接反応させることによって得ることができる。この反応は、欧州特許出願公開第1640418号明細書に記載されているように、ヒドロシリル化または脱水素的ヒドロシリル化によって行うことができる。ポリエステル基を有するポリシロキサンの製造については、例えば欧州特許出願公開第0208734号明細書に記載されている。
【0043】
式(I)の少なくとも1つの化合物は、有利に、均質な混合物(式(I)の少なくとも1つの化合物および式(II)の少なくとも1つの化合物を含む)の総重量を基準にして、0.1~10重量%の割合で含まれている。好ましくは、ポリエステルシロキサンの割合は、0.5~8重量%の範囲であり、特に好ましくは0.9~5重量%の範囲である。好ましくは、アルキルシロキサンの割合は、0.4~9重量%の範囲であり、特に好ましくは0.9~6重量%の範囲である。
【0044】
さらに、本発明による混合物には、有利に、式(III)
O(SO)(EO)(PO)(BO) (III)
[式中、
は、炭素原子数2~30の直鎖状または分岐状または脂環式の基であり、
は、水素、それぞれ炭素原子数1~8のアシル基、アルキル基またはカルボン酸基であり、
SOは、スチレンオキシドであり、
EOは、エチレンオキシドであり、
POは、プロピレンオキシドであり、
BOは、ブチレンオキシドであり、
aは、1~5であり、
bは、3~50であり、
cは、0~10であり、
dは、0~10であり、
a、cまたはdが0以外である場合、b≧a+c+dである]の少なくとも1つの化合物が、相間移動試薬として含まれている。これは、スチレンオキシドポリエーテルである。
【0045】
疎水性と親水性とのバランスは、様々なアルキレンオキシドモノマーとそのポリマー全体に占める割合とによって具体的に制御することができる。特に好ましいのは、プロピレンオキシドや特にブチレンオキシドのような、より疎水性の高い基を末端に有するブロック状の配置である。
【0046】
脂肪アルコールポリグリコールエーテルは周知の物質であり、これは、大工業的には特に、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドを従来技術の相応する酸触媒または塩基触媒の存在下で有利に加圧および高温下で付加することにより製造される。使用される触媒の性質に応じて、生成物のホモログ分布が多少狭くなることがある。
【0047】
しかし、このようにして形成された末端ヒドロキシル化ポリアルキレンオキシドをカルボン酸および/またはその無水物でエステル化させて、OH基の閉鎖を達成することもできる。エステル化反応は、炭素原子数2~18の脂肪族または芳香族カルボン酸を用いて行うことができる。この場合、エステル化は、公知のように酸触媒下で行うことができる。エステル化に代えて、エーテル化を末端基閉塞反応として選択することもできる。このために、化合物を、ウィリアムソンエーテル合成の条件下で、従来技術にしたがって芳香族または脂肪族の直鎖状または分岐状のアルキルハライドと反応させる。特に好ましいのは、塩化メチルとの反応である。このようにして、ヒドロキシル末端基を部分的にエーテル化させることも、完全にもエーテル化させることもできる。
【0048】
式(III)の少なくとも1つの化合物は、有利に、均質な混合物(式(I)の少なくとも1つの化合物および式(III)の少なくとも1つの化合物を含む)の総重量を基準にして、0.1~20重量%の割合で含まれている。好ましくは、スチレンオキシドポリエーテルの割合は、0.9~15重量%の範囲であり、特に好ましくは2~12重量%の範囲である。
【0049】
本発明による混合物は、式(I)の少なくとも1つの化合物と、式(III)の少なくとも1つの化合物との双方を含むことができる。
【0050】
本発明による混合物は、好ましくは、添加剤、例えば着色剤、顔料、有機染料、光安定剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗菌剤、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、架橋性ポリマー、有機または無機の繊維補強用添加物質、耐衝撃性改良剤、およびこれらの混合物を含む。好ましくは、本発明による混合物には、それぞれ混合物と添加剤との総重量を基準にして、10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下、特に2重量%以下の助剤および充填剤が含まれている。
【0051】
もう1つの主題は、本発明による混合物から得ることができる発泡成形体である。成形体は、有利に最大で350kg/m、好ましくは最大で130kg/mの密度を有する。
【0052】
本発明による発泡成形体の製造方法1は、
a.本発明による混合物を溶融するステップと、
b.溶融された混合物を押出成形して、造粒体を得るステップと、
c.造粒体を射出成形して、成形体または押出シートを得るステップと、
d.成形体または押出シートをオートクレーブに入れ、物理発泡剤を作用させて、発泡成形体を得るステップと
を含む。
【0053】
本方法1は、例えば以下のように実施することができる。PEBAとポリ(メタ)アクリレートとから構成される造粒体を、相応する温度に予熱されたコンパウンダー(例えば、Coperion社製もしくはBerstorff社製2軸スクリューコンパウンダー、もしくはBuss社製単軸スクリューコンパウンダー、または他の一般的な機種)に、乾燥予備混合物として、または重量式もしくは容積式の秤量供給装置を使用して個別に計量供給する。相応するスクリューにて、相応する回転数で造粒体を加熱して溶融物を生じさせる。コンパウンダーにて、適切なスクリュー回転数で混合物を加熱して溶融物を生じさせる。この溶融物をダイプレートから押し出して、溶融ストランドを生じさせる。これらの溶融ストランドを、水浴中で、例えば室温まで冷却してもよい。冷却して固化したストランドを、ストランドペレタイザーで切断して造粒体とする。また、これらのストランドを、水中造粒機(例えば、Econ, BKG, Gala社より入手可能)で切断して造粒体とし、冷却することもできる。得られた造粒体を、乾燥空気乾燥機で、例えば50~95℃で数時間乾燥させて、水分量を例えば0.001~0.1%に減少させる。これらの乾燥造粒体を、例えば、射出成形機のマルチゾーンスクリューで、バレル温度150~300℃でシート状に加工する。その後、射出成形金型を冷却する。得られた射出成形シートから、立方体状の試験片を切り出すことができる。その後、これらの試験片について、標準的なオートクレーブにて、圧力100~400バール、温度80~180℃で、数時間にわたってCOを飽和させることができる。自然に圧力が抜けることで発泡が生じる。
【0054】
もう1つの方法2は、
a.本発明による混合物を溶融するステップと、
b.溶融された混合物に物理発泡剤を作用させ、かつ溶融された混合物を多孔板または適切なダイスで押出成形して、発泡成形体を得るステップと
を含む。
【0055】
本方法2は、例えば以下のように実施することができる。PEBAとポリ(メタ)アクリレートとから構成される造粒体を、相応する温度に予熱されたコンパウンダー(例えば、Coperion社製もしくはBerstorff社製2軸スクリューコンパウンダー、もしくはBuss社製単軸スクリューコンパウンダー、または他の一般的な機種)に、乾燥予備混合物として、または重量式もしくは容積式の秤量供給装置を使用して個別に計量供給する。相応するスクリューにて、相応する回転数で造粒体を加熱して溶融物を生じさせる。この溶融物に、発泡剤、例えばCOを加え、そこに分散させる。特に発泡剤には粘度を低下させる作用があるため、第2のスクリューにて溶融物を冷却する。ダイプレートとして、ここでは例えば、厚さおよび幅が所望の形状になるようなワイドスロットのダイスが選択される。このダイスでは、溶融物が出口で自発的に膨張(発泡)し、冷却されて発泡押出物となる。所望の形状に応じて、この発泡押出物をカレンダーによりシートとして引き抜くことも、(異形押出から知られている)他の連続的な引抜装置により引き抜いて冷却することもできる。成功裏に冷却ステップを行った後、この発泡押出物を相応する所望の長さに切断する。
【0056】
この方法2は連続的なプロセスであるため、方法1よりも好ましい。
【0057】
発泡部材は、靴底、滑止め材、絶縁材、断熱材、緩衝部材、軽量部材として、またはサンドイッチ構造体において使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】実施例1の顕微鏡画像を示す図。
図2】実施例2の顕微鏡画像を示す図。
図3】実施例3の顕微鏡画像を示す図。
図4】実施例4の顕微鏡画像を示す図。
図5】実施例5の顕微鏡画像を示す図。
図6】実施例6の顕微鏡画像を示す図。
図7】実施例7の顕微鏡画像を示す図。
図8】実施例8の顕微鏡画像を示す図。
図9】実施例9の顕微鏡画像を示す図。
【0059】
実施例
造粒体から、PEBAとポリ(メタ)アクリレートとを含む乾燥予備混合物を製造した。この混合物を、重量式供給装置により、240℃に予熱された2軸スクリューコンパウンダーCoperion ZSK25 WLEに、20kg/hの処理量で計量供給した。スクリュー構成として、例えばポリアミドコンパウンドの製造に使用されるような標準的なスクリューを使用した。この2軸スクリューコンパウンダーにて、これらの混合物を250rpmのスクリュー回転数で加熱して溶融物を生じさせた。これらの溶融物を直径各4mmの3穴ダイプレートから押し出して、溶融ストランドを生じさせた。これらの溶融ストランドを、水浴中で室温において冷却した。冷却して固化したストランドを、標準的なストランドペレタイザーで切断して造粒体とした。得られた造粒体を、乾燥空気乾燥機にて80℃で12時間乾燥させて、水分量を0.02%未満とした。これらの乾燥造粒体を、標準的な3ゾーンスクリューを備えた標準的な射出成形機(Engel Victory 650/200)を用いて、バレル温度240℃でシート状に加工した。射出成形金型を40℃まで冷却した。得られた射出成形シートから、任意に辺長30×10×5mmまたは辺長40×30×10mmの立方体状の試験片を切り出した。これらの試験片について、標準的なオートクレーブにて、圧力300バール、温度140℃で4.5時間(小型試験片)または95時間(大型試験片)にわたってCOを飽和させた。自然に圧力が抜けることで発泡が生じた。
【0060】
以下の物質を使用した:
PEBA1:ポリエーテルブロックを30重量%含む末端アミノ化PEBA(VESTAMID(登録商標)E58-S4)、
PEBA2:ポリエーテルブロックを20重量%含む末端カルボキシル化PEBA(VESTAMID(登録商標)E62-S3)、
(メタ)アクリレート1:欧州特許第1755890号明細書に記載されているようなポリメチルメタクリルイミドであって、100000g/molの分子量(GPCによりPMMA標準物質に対して測定)を有し、式IV[式中、R、RおよびRは、それぞれメチル基である]による単位30重量%と、メチルメタクリレート(MMA)単位57重量%と、メタクリル酸無水物(MSA)単位10重量%と、メタクリル酸(MAS)単位3重量%とからなるもの(IR分光法により測定)、
(メタ)アクリレート2:耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレートであって、200000g/molの分子量(GPCによりPMMA標準物質に対して測定)を有し、メチルメタクリレート(MMA)単位55重量%と、スチレン単位20重量%と、エチルアクリレート(EA)単位2重量%と、ゴム23重量%とからなるもの。このゴムは、ポリブタジエンであって、MMA単位とスチレン単位とから構成されるシェルでグラフト化されており、衝撃強度の有効径(平均凝集体径に相当)が300nmである(透過型電子顕微鏡により測定)もの、
(メタ)アクリレート3:耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレートであって、(メタ)アクリレート2と同様であるが、この場合には140000g/molの分子量(GPCによりPMMA標準物質に対して測定)を有するもの、
PA12:末端カルボキシル化ポリアミド12(VESTAMID(登録商標)L1901)。
【0061】
【表1】
【0062】
その後、発泡組成物を走査型電子顕微鏡で光学的に調べ、以下の特性を測定または算出した:
cell:セルの平均直径(μm)
cell:セル壁の平均厚さ(μm)
cell:1cmあたりのセル数
ρ:発泡材料の密度(kg/cm
Δρ:未発泡材料に対する密度の変化。
【0063】
発泡体品質:異なる解像度の図1図9に基づく発泡体の光学的評価
1:不均一なセル分布、不均一なセル
2:均一なセル分布、均一なセルサイズ
【0064】
【表2】
【0065】
本発明による組成物No.2~No.4、ならびにNo.7およびNo.8の発泡体は、従来技術の組成物と比較して、21~25μmという大きなセル直径dcell、および1cmあたりのセル数Ncellの減少を示した。密度は90~260kg/cmの範囲であり、出発材料に比べて76~91%だけ低減させることができた。さらに、本発明による組成物の発泡体は、ほぼ同じサイズのセルを有する均一なセル分布を示す(図2図4図7および図8参照)。
【0066】
従来技術の材料では、15~55%という、大幅により低い密度低下が記録された(No.1、No.5、No.6)。同様に、セルの平均直径は、本発明による組成物の値よりも低かった(No.1、No.5)。混合物No.6は、セルの直径および数を求めることができないほどに高い密度を示した。混合物No.9の発泡体は潰れた。発泡構造体は、異なるサイズのセルを有する不均一なセル分布を示した(図1図5図6および図9参照)。
【0067】
本発明によらない組成物No.1(PEBAの割合99重量%)、No.5(末端カルボキシル化PEBA)、No.6(PEBAに代えてポリアミド12)、およびNo.9(アクリレートを含まないPEBA)は、不適切な発泡材料であることが判明した。末端アミノ化PEBAから構成され、かつ混合物No.1に比べてポリ(メタ)アクリレートの割合が高い本発明による混合物No.2~No.4、ならびにNo.6およびNo.7は、均一で規則正しいセルを示した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】