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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】多重屈曲センサ
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/30 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
G01B7/30 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521033
(86)(22)【出願日】2019-10-21
(85)【翻訳文提出日】2021-06-14
(86)【国際出願番号】 US2019057206
(87)【国際公開番号】W WO2020086457
(87)【国際公開日】2020-04-30
(31)【優先権主張番号】62/748,984
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/270,805
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518033495
【氏名又は名称】タクチュアル ラブズ シーオー.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ディーツ,ポール
【テーマコード(参考)】
2F063
【Fターム(参考)】
2F063AA31
2F063BA29
2F063BB01
2F063DA02
(57)【要約】
【解決手段】多重屈曲センサは、エラー伝播を緩和できる方法で、センサデータの屈曲に関する情報を提供することができる。基準ストリップと摺動ストリップは、スペーサによって互いから分離される。電極は、基準ストリップと摺動ストリップに位置する。多重屈曲センサの屈曲は、基準ストリップに対する摺動ストリップのシフトと、電極から得られた測定値に反映される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重屈曲センサであって、前記多重屈曲センサは、
基準ストリップであって、ここで、前記基準ストリップはその上に第1の複数の電極を配置し、ここで、前記第1の複数の電極の各々はシグナルを送信し、ここで、前記基準ストリップは少なくとも1つの次元に柔軟に動くように適合される、基準ストリップと、
摺動ストリップであって、ここで、前記摺動ストリップはその上に第2の複数の電極を配置し、ここで、前記摺動ストリップは前記基準ストリップの一部に固定され、ここで、前記摺動ストリップは、前記基準ストリップが動く時に、前記基準ストリップと同じ方向の少なくとも1次元に柔軟に動くように適合される、摺動ストリップと、
前記第1の複数の電極と前記第2の複数の電極に操作可能に接続された回路であって、ここで、前記第1の複数の電極と前記第2の複数の電極から判定された測定値は、前記多重屈曲センサの屈曲に関する情報を判定するために使用される、回路と、を含む多重屈曲センサ。
【請求項2】
前記基準ストリップと前記摺動ストリップとの間に配置されるスペーサをさらに含む、請求項1に記載の多重屈曲センサ。
【請求項3】
前記摺動ストリップが固定される前記基準ストリップの部分は、前記基準ストリップの遠位端である、請求項1に記載の多重屈曲センサ。
【請求項4】
前記第1の複数の電極と前記第2の複数の電極から判定される測定値は、前記基準ストリップと前記摺動ストリップの動きの間に形成される弧を判定することによって分析される、請求項1に記載の多重屈曲センサ。
【請求項5】
前記第1の複数の電極と前記第2の複数の電極から判定される測定値は、前記基準ストリップと前記摺動ストリップの動きの間に形成される線形セグメントを判定することによって分析される、請求項1に記載の多重屈曲センサ。
【請求項6】
前記基準ストリップは複数の基準ストリップのうち1つであり、そして前記摺動ストリップは複数の摺動ストリップのうち1つである、請求項1に記載の多重屈曲センサ。
【請求項7】
前記複数の基準ストリップと前記複数の摺動ストリップは、メッシュ構造を形成する、請求項6に記載の多重屈曲センサ。
【請求項8】
前記複数の基準ストリップと前記複数の摺動ストリップは、複数の層を形成する、請求項6に記載の多重屈曲センサ。
【請求項9】
前記摺動ストリップと前記基準ストリップをスペーサに固定する複数の保持器をさらに含む、請求項1に記載の多重屈曲センサ。
【請求項10】
前期第1の複数の電極が、補足的な三角形の電極として形成される、請求項1に記載の多重屈曲センサ。
【請求項11】
センサであって、前記センサは、
基準ストリップであって、ここで、前記基準ストリップはその上に第1の複数の電極を配置する、基準ストリップと、
摺動ストリップであって、ここで、前記摺動ストリップはその上に第2の複数の電極を配置し、ここで、前記摺動ストリップは前記基準ストリップの一部に固定される、摺動ストリップと、
前記第1の複数の電極と前記第2の複数の電極に操作可能に接続された回路であって、ここで、前記第1の複数の前記電極と第2の複数の電極から判定された測定値は、前記センサの屈曲に関する情報を判定するために使用される、回路と、を含むセンサ。
【請求項12】
前記基準ストリップと前記摺動ストリップとの間に配置されるスペーサをさらに含む、請求項11に記載のセンサ。
【請求項13】
前記摺動ストリップが固定される前記基準ストリップの部分は、前記基準ストリップの遠位端である、請求項11に記載のセンサ。
【請求項14】
前記摺動ストリップが固定される前記基準ストリップの部分は、前記基準ストリップの中央に位置する、請求項11に記載のセンサ。
【請求項15】
前記第1の複数の電極と前記第2の複数の電極から判定された測定値は、前記センサの屈曲中に形成される弧を判定することによって分析される、請求項11に記載のセンサ。
【請求項16】
前記基準ストリップは複数の基準ストリップのうち1つであり、そして前記摺動ストリップは複数の摺動ストリップのうち1つである、請求項11に記載のセンサ。
【請求項17】
前記複数の基準ストリップと前記複数の摺動ストリップは、メッシュ構造を形成する、請求項16に記載のセンサ。
【請求項18】
前記複数の基準ストリップと前記複数の摺動ストリップは、複数の層を形成する、請求項16に記載のセンサ。
【請求項19】
前記摺動ストリップと前記基準ストリップをスペーサに固定する複数の保持器をさらに含む、請求項11に記載のセンサ。
【請求項20】
前期第1の複数の電極が、補足的な三角形の電極として形成される、請求項11に記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年10月22日に出願された米国仮特許出願第62/748,984の利益を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。本出願は、著作権保護の対象となる資料を含む。著作権の所有者は、特許商標庁のファイルまたは記録にある通り、誰による特許開示の複製にも異議を唱えないが、それ以外の場合には全ての著作権を保持する。
【0002】
開示される装置と方法は、感知の領域に関し、特に、センサを使用する位置調整の正確な判定を提供することに関する。
【背景技術】
【0003】
これまで、感知グローブが、ハンドジェスチャーを検出するために利用されてきた。一例は、米国特許通し番号第5,097,252番に規定されるデータグローブであり、これは指に沿った光学屈曲センサを利用して、指のポジションを検出した。任天堂のパワーグローブは、類似の設計を使用したが、抵抗性屈曲センサを使用した。両方の場合において、屈曲センサはあまり感度が良くなく、各屈曲センサにつき、全体的な屈曲のうちのある単一の大きさのみを提供した。
【0004】
屈曲センサは、指や手の感知を超える用途にも使用される。それらは、人の動きをより一般的に理解するために、しばしば利用される。さらに、屈曲センサは、ロボット工学、構造物中の変形の感知、および宇宙服の監視において使用される。
【0005】
複数の連結部を有するシステムのポジションをより良く理解するために、システムの中には、連結部ごとに、あるいは各連結点において、1つの屈曲センサを使用してきたものもある。このアプローチには、実用性を制限する課題が存在する。例えば、屈曲センサは、連結部間の間隔に合わせたカスタム調整が必要となる。間隔のための調整は、人のサイズにはばらつきがあるため、人の動きを追跡する際に問題を生じる可能性がある。
【0006】
さらに、連結部の測定から連鎖する誤差の問題が存在する。例えば、指の各連続セグメントの角度は、そのセグメントに対する連結部角度の合計として判定され得る。したがって、前の連結部の各々のために得られた角度測定値における任意の誤差は、蓄積する。このため、ロボットアームは、適度に精確なポジションを見つけるために、非常に高精度な角度エンコーダを使用する。残念ながら、廉価版の屈曲センサは角度精度が低く、連鎖する連結部誤差の影響を理解するには不十分である。
【0007】
システムは、指のポジションを直接測定するためのカメラや他の感知技術を使用することによって、この欠点を克服しようとしてきた。カメラベースの技術には、発生している事象を見るための適切な視点を見つけるのが難しいという課題が存在する。他のポジションセンサシステムは、かさばるおよび/または高価になる可能性がある。慣性追跡を使用することもできるが、これには厄介なドリフト問題がある。
【0008】
さらに、繊維束の長さに沿った屈曲の測定を可能にし、そして特定の形状の詳細な形を回復できるファイバー・ブラッグ・グレーティング(Fiber Bragg Grating)センサが存在する。これらのセンサを作成するのは困難であり、そして、相当な、かさばる機器類と複雑な適合を必要とする。さらに、それらは高価であり、ほとんどの用途にとって実用的ではない。
【0009】
したがって、センサの使用を通して屈曲を正確に判定するための、改善された方法および装置が必要である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示についての、前述およびその他の、目的、特徴、および利点は、添付の図面で示される実施形態に関する、以下のより具体的な説明から明らかであり、添付の図面では、参照符号は様々な図を通して同じ部分を指す。図面は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、開示される実施形態の原理を示すことに強調が置かれている。
図1】センサストリップの平面図を示す。
図2】センサストリップの底面図を示す。
図3】摺動および基準センサストリップの概略図である。
図4】スペーサの周囲に巻き付けられた基準ストリップを示す略図である。
図5】スペーサの周囲に巻き付けられた基準ストリップの別の略図である。
図6】摺動ストリップと基準ストリップから形成されたセンサストリップの別の図である。
図7】セグメントの計算を示す略図である。
図8】カーブ用の線形セグメント分析を使用することを示す略図である。
図9】線形セグメント分析における角度の判定を示す略図である。
図10】離間された電極を示す略図である。
図11】多平面の多重屈曲センサを示す略図である。
図12】三角形の電極と長方形の電極を利用する多重屈曲センサの略図である。
図13】三角形の電極と長方形の電極を利用する多重屈曲センサの別の略図であり、さらに接続を示す。
図14】三角形の電極と長方形の電極を利用する多重屈曲センサの略図である。
図15】三角形の電極と長方形の電極を利用する多重屈曲センサの別の略図である。
図16】三角形の電極と長方形の電極を利用する多重屈曲センサの別の略図である。
図17】カメラチップを有する平行なストリップの使用を示す略図である。
図18】巻き付きを判定することができるセンサのための電極パターンを示す略図である。
図19】機械的な多重屈曲センサの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本出願は、センサの屈曲を正確に判定するために設計された、センサの様々な実施形態を記載する。多重屈曲センサは、センサの長さに沿った複数の屈曲を検出し、そして、測定値を使用して、その現在の形状の正確な判定を作り出す。ある実施形態では、多重屈曲センサは、2つの平坦で柔軟なストリップを含む。本明細書で、かつ本出願の全体にわたって使用される時、「ストリップ」は、通常、ある1次元で、幅が広いというよりは長い材料の一辺である。ストリップは、長方形の形状をしているか、または円筒状の形状をしていても良く、あるいは、一般的に非晶質的形状をしていても良く、ただし、1次元が他次元より長いいものとする。ストリップの1つは基準ストリップであり、そして他方のストリップは摺動ストリップである。ストリップは基準ストリップと摺動ストリップと呼ばれ、他方、基準ストリップと摺動ストリップの役割は交換可能であることが理解されるべきである。基準ストリップと摺動ストリップは、スペーサによって分離され、そして1つの端部で機械的に連結される。基準ストリップと摺動ストリップの長さは実質的に同じである。複数の保持器は、ストリップが押し付けられた状態になることを確実にし、それによってストリップが使用される時のストリップ間の距離は実質的に一定のままとなる。様々な異なる方法によって判定され得る、基準ストリップに沿った測定点では、摺動ストリップ上の対応する位置が測定され得る。多重屈曲センサが直線の時、ストリップは一列に並ぶ。
【0012】
例えば、取り付け端部から1cmにある基準ストリップ上の測定点は、ストリップが屈曲されていない時に、こちらも1cmにある摺動ストリップ上の対応点と整列するだろう。しかし、多重屈曲センサが円形、弧、または他の屈曲形状に屈曲されている場合、ストリップは互いに対してスライドするだろう。弧における内部ストリップは、外部ストリップより小さな半径に沿うことになるだろう。ストリップは、たとえ同じ長さであっても、異なる角度範囲をカバーするだろう。一方の端部で結合されたストリップでは、弧がより急になれば、他の端部は互いに対してより益々スライドし、ストリップの解放端を互いからさらに離れるように移動させる。多重屈曲センサは、センサに沿った多くの点におけるこれらの相対的シフトを、容量性電極または別の適切な測定方法を使用して測定することによって、機能する。屈曲イベント中に該測定方法によって取得されたデータを使用することによって、多重屈曲センサの形状を判定することが可能である。このことは、多重屈曲センサに沿った複数の屈曲の場合にもあてはまる。
【0013】
複数の点で独立して角度を測定していた以前のシステムとは異なり、相対的シフトを測定することによって、1つの点における測定誤差が他の点における角度の理解に影響を与えることがないことを示すことができる。これにより、多重屈曲センサは測定誤差にそれほど影響を受けなくなる。複雑な方法で屈曲する際に、柔軟なストリップ間の相対的シフトを多くの点で測定することによって、多重屈曲センサの形状を判定することができる。複数の点で独立して角度を測定し、それによって誤差を蓄積していた以前のシステムとは異なり、シフトを測定することによって、1つの点における測定誤差は、他の点における絶対角度の理解に影響を与えることはない。これにより、本発明は測定誤差にそれほど影響を受けなくなる。
【0014】
図1と2を参照すると、多重屈曲センサ(10)の実施形態が示される。図1は、多重屈曲センサ(10)の概略側面図を示す。図2は、多重屈曲センサ(10)の平面図と底面図を示す。示される実施形態では、多重屈曲センサ(10)は、摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)を有する。摺動ストリップ(12)は、基準ストリップ(14)の遠位端(16)で、基準ストリップ(14)に固定される。示される実施形態では、摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(18)との間に位置するスペーサ(18)が存在する。追加的に、スペーサ(18)に対する、基準ストリップ(14)と摺動ストリップ(12)とを保持する保持器(22)が示される。
【0015】
発生する測定値を受信しかつ処理するように適合された回路(24)が、摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)に、操作可能に接続される。示される実施形態では、回路(24)は、プロセッサ、シグナル発生器、レシーバ等などの、コンポーネントを含んでいても良く、あるいはそれらのンポーネントに操作可能に接続されていても良い。
【0016】
摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)は、フレキシブル回路基板ストリップから形成されても良い。摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)が、特定の電極パターンを有して示されるが、他方、それぞれのストリップの各々の役割は変更されても良いこと、および、具体的な実装に応じて摺動ストリップ(12)が基準ストリップ(14)として、またはその逆として機能しても良いことが理解されるべきである。電極(20)は、摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)の表面上に配置されても良い。電極(20)は、シグナルを送受信するように適合されている。電極(20)は、摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)の屈曲中の変化を判定することができる任意のパターンに配置されても良い。さらに、摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)上に実装される電極(20)の数、サイズ、および形状は、具体的な実装に基づいて変更されても良い。
【0017】
さらに図1と2を参照すると、摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)は柔軟であり、そして、移動かつ屈曲することができる。追加的に、摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)との間に配置されるスペーサ(18)は柔軟であり、そして、移動かつ屈曲することができる。ある実施形態では、スペーサ(18)は、摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)に対して異なるレベルの柔軟性を有していても良い。ある実施形態では、摺動ストリップ(12)、基準ストリップ(14)、およびスペーサ(18)は、各々異なるレベルの柔軟性を有していても良い。ある実施形態では、スペーサ(18)が存在せず、そして、摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)は互いに対して移動する。
【0018】
実施形態で使用されるスペーサ(18)は、好ましくは、屈曲の量にかかわらずストリップを一定距離で離間するが、なお相対的スライドを可能にする。スペーサ(18)は、好ましくは、屈曲が存在する時に摺動ストリップ(12)の長さと基準ストリップ(14)の長さとの間に差が生じることを可能にする厚みを有している。ある実施形態では、スペーサが存在せず、そして摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)は互いに当接していても良いが、それでも、十分な距離を外側に向いている表面間に保持し、屈曲中の、摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)との間の相対的シフトの感知が可能になるようにするべきである。ある実施形態では、スペーサ(18)は、摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)と同じ柔軟性を有していても良い。厚いスペーサ(18)は、相当量のシフトを提供するだろうが、スペーサ(18)それ自体が、急な屈曲で厚みを変化させるかもしれない。薄いスペーサ(18)ではこのような問題は少なくなるだろうが、適切なシフトを提供しないかもしれない。ある実施形態では、スペーサ(18)は、互いに対してスライドする一連の薄層で作られていても良い。これによって、厚いスペーサ(18)は、全体の厚みを変化させることなく、かなり急な屈曲を有することができる。
【0019】
基準層と摺動層との間に既知の間隔を有することは、正確なデータ取得の補助となる。該間隔を確実にすることは、異なる方法によって遂行され得る。図1に関して上に議論されるように、保持器(22)は1つのストリップに添付することができ、示されるように、そのストリップに対してスライドする他方のストリップに圧縮力を提供することができる。保持器(22)は、基準ストリップ(14)と摺動ストリップ(12)に圧縮力を提供する、プラスチック片または弾性片であっても良い。圧縮力は、距離は維持するが、基準ストリップ(14)と摺動ストリップ(12)の動きを阻害しないような状態であるべきである。ある実施形態では、弾性スリーブが同じタスクを達成するために使用され得、圧縮力を提供し得る。
【0020】
端部(16)で、摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)は一緒に固定される。ある実施形態では、摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)は一緒に、機械的に取り付けられる。ある実施形態では、摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)は一緒に、互いに一体化されて固定さられる。ある実施形態では、摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)は、遠位端以外の位置で固定される。ある実施形態では、摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)は、ストリップの真中で固定される。摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)の長さに沿ったいずれの場所においても、摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)は互いに対してスライドする。摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)はまた、スペーサ(18)に面した状態で、互いに対してスライドする。保持器(22)は、摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)がスペーサに確実に押し付けられたままとなり、ストリップ間に一定距離を保つようにする。回路(24)とストリップ間の電気的接続部は、屈曲が生じる感知領域の外側にある。図1と2に示される実施形態では、回路(24)は、摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)とが連結される端部(16)の近位に位置する。摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)は、電極(20)のパターンを含み、そのパターンによって、電子部品は、摺動ストリップ(12)上の電極(20)と基準ストリップ(14)上の電極(20)のスペーサ(18)を介したカップリングを測定することによって、多くの位置で、2つのストリップ間の相対的シフトを検出することができる。
【0021】
上に議論される実施形態は、フレキシブル回路を作成するために実装される材料と技術を使用してなされても良い。フレキシブル回路は、柔軟な、ポリイミドなどの絶縁基材で開始されても良い。(銅、銀、金、炭素、またはいくつかの他の適切に導電する材料などの薄い導電層)は、接着剤で基材に接着される。ある実施形態では、導電層は、フォトリソグラフィー技術を使用してパターン化される。ある実施形態では、導電層は、スパッタリングによって適用される。ある実施形態では、導電層は、焼き付け(printing)によって適用される。焼き付けを介して適用される時、導電性のインクは、基材上に直接パターン化され得る。
【0022】
柔軟性の無いプリント回路板(PCB)と同様に、フレキシブル回路は、絶縁体によって分離された、複数の導電層を含むように製造され得る。ビア(via)は、異なる層の間の接続を提供しても良い。柔軟性の無いPCBのように、標準電気コンポーネントは、半田および他の周知の技術を使用して、フレキシブル回路に添付されても良い。しかし、いくつかのコンポーネントは柔軟では無いので、それらの取り付け品を曲げると、電気コンポーネントの故障に繋がるかもしれない。この理由によって、フレキシブル回路はコンポ―ネントの領域において補強材を利用しても良く、その結果、回路のこの領域はあまり曲がらない。同様の理由で、フレキシブル回路は、実際に屈曲する領域には、これらの領域の応力が故障に繋がることがあるために、そこにビアを配置しない傾向がある。
【0023】
多重屈曲センサに対する多くの電極パターンは、屈曲領域における層間接続の使用から利点を得ることができる。Dupont(登録商標)は、繰り返しの屈曲に耐えるように特に設計されている特別な導電性インクを開発した。しかし、他の適切で柔軟な導電性インクも使用されて良い。これらのインクは、本明細書に議論される多重屈曲センサに実装され得る。柔軟なインクは、導電層間の柔軟な接続を可能にし、ビアの役割を補助する。これらの柔軟な導電性インクが、布を含む広範囲の基材と適合性を有することは、留意されるべきである。これは、衣類に直接一体化される多重屈曲センサの構成を可能にする。追加的に、ある実施形態では、衣類が、多重屈曲センサとして機能する繊維から作られる。多重屈曲センサ繊維を実装する時、多重屈曲センサ繊維の動きを制限するために補強材が追加されても良い。
【0024】
ここで図3-5を参照すると、多重屈曲センサがある物体に円状に巻き付けられると、2つのストリップの内側は円と一致するが、外側のストリップが、スペーサー(18)の厚みにより、わずかに大きな円と一致する。2つのストリップは異なる半径の曲率を有するので、拘束されていない端部は互いに整列しない。摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)のストリップの長さ、およびスペーサ(18)の厚みを知ることによって、半径は直接計算され得る。多くの場所における2つのストリップ間の相対的シフトが測定されると、一連の円弧としての屈曲のモデルを構成することができる。これによって、従来のセンサとは対照的に、屈曲の形状をはるかに良く理解できるようになる。
【0025】
さらに図3-5を参照し、多重屈曲センサが機能する方法を示すために、厚みtのスペーサ(18)によって分離されている、長さLの2つのストリップ、つまり摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)を考える。摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)は共に一方の端部で連結されており、該端部においては互いに対して移動することはできない。基準ストリップ(14)が、図4に示されるように、半径rの円に巻き付けられる時、基準ストリップ(14)はrの曲率半径を有し、一方で、摺動ストリップ(12)は、r-tのより小さな半径を有するだろう。
【0026】
円の外周は2πrである。長さLの基準ストリップ(14)は、円の以下の部分をカバーする:
【0027】
【数1】
【0028】
ラジアンに換算すると、このストリップに対する角度は:
【0029】
【数2】
【0030】
略図に示されるように、厚み測定値tの方向にカールされた時は、摺動ストリップ(12)は、より小さな曲率半径を有して内側に来る。より急角度の巻き付けは、摺動ストリップ(12)の一部が基準ストリップ(14)の端部を越えて伸長することを意味する。これが同じ半径の円に沿って継続する場合、摺動ストリップ(12)に対する角度は:
【0031】
【数3】
【0032】
基準ストリップ(14)の端部は、内部の摺動ストリップ(12)上の対応する点と並ぶ。より精確に定義すると、それは、摺動ストリップ(12)上における、基準ストリップ(14)の終点を通って構成される垂線との交点である。
【0033】
この点は、2つの弧の角度範囲の差を求め、伸長している長さsを求め、そしてその長さを全長Lから引くことによって、求められる。
【0034】
【数4】
【0035】
摺動ストリップ(12)を超えて伸長する摺動ストリップ(12)のセグメントsの長さは、ラジアンによる角度範囲を2πで割って円の対応する割合を出し、それに外周を掛けることによって、求められる。
【0036】
【数5】
【0037】
これらの等式を半径rに対して解くと:
【0038】
【数6】
【0039】
ストリップ間の相対的シフトを測定することによって、長さ方向の曲率半径を、この単純な等式を使用して計算することができる。
【0040】
ここで、図5に示されるような、時計回りの方向に屈曲が発生する場合を考える。
【0041】
分析はほぼ前回の様に進むが、ここでは、摺動ストリップが外側で、r+tの曲率半径を有している。
【0042】
【数7】
【0043】
前回のように、ゴールは、基準ストリップ(14)の終点に対応する、摺動ストリップ上の点の位置を確認することである。しかし、摺動ストリップ(12)が外側にあり、そのためより小さな角度に対応するため、交点を求めるためには、弧を延長する必要がある。sは、摺動ストリップ上の長さに対するおよび対応する角度を求めることによって、計算される。
【0044】
【数8】
【0045】
これは、反時計回りの場合と同じ結果である。ここでの違いは、第1の場合のsは、摺動ストリップ(12)が基準ストリップ(14)を超えて伸長した量であり、そしてこの場合では、sは、基準ストリップ(14)の端部に到達するために必要となる追加の量である、ということである。
【0046】
これらの2つの場合を組み合わせるために、曲率半径を符号付きで考え、正のrは反時計回りに進む弧を示し、負のrは時計回りを示すと考える。
【0047】
新しい変数Lは、基準ストリップ(14)の端部と並ぶための、摺動ストリップ(12)に沿った全長として定義される。符号付きの曲率半径は:
【0048】
【数9】
【0049】
図4で、L<Lは、正の曲率半径を与えた。図5で、L>Lは、負の曲率半径を与える。その後、符号付きの曲率半径は、基準ストリップの符号付きの角度範囲を求めるために使用される。
【0050】
【数10】
【0051】
以下では、全ての角度と曲率半径は符号付きで示される。
シフト測定からのカーブの再構成
【0052】
ある実施形態では、多重屈曲センサモデルは、異なる半径の一連の円弧としての形をしており、複雑なカーブを可能にしている。ストリップに沿った多くの点における相対的シフトを測定することによって、各セグメントの屈曲は迅速に判定され得る。
【0053】
図6に示される多重屈曲センサ(10)は、摺動ストリップ(12)と基準ストリップ(14)を含む。基準ストリップ(14)の形状を求めることがゴールである。基準ストリップに沿った一定間隔で、対応してシフトされた摺動ストリップ(12)に沿ったポジションが測定される。対応するとは、曲率半径の共通の中心について同じ角度で位置する点が使用されることを意味する。別の言い方をすると、基準ストリップ(14)のカーブに対する垂線が測定点で構築されれば、該垂線が摺動ストリップ(12)と交差する場で測定が行われる。
【0054】
[n]は、測定点nへの、基準ストリップ(14)の長さである。L[n]は、測定点nへの、摺動ストリップ(12)の長さである。
【0055】
基準ストリップ(14)と摺動ストリップ(12)の両方で、nからn+1まで伸びるセグメントが、例として提供される。基準ストリップ(14)のサイドで、セグメントはL[n]で開始し、そしてL[n+1]で終了する。同様に、対応する摺動ストリップ(12)は、L[n]からL[n+1]へ伸長する。基準ストリップ(14)セグメントの、符号付きの曲率半径と符号付きの角度範囲が求められ得る。
【0056】
前回と同様に:
【0057】
【数11】
【0058】
以下となる:
【0059】
【数12】
【0060】
既知の長さ、角度範囲、および曲率半径を有する一連の円弧が、ここで既知となる。この一連の円弧は、基準ストリップ(14)の完全なカーブをモデル化するために、共に繋ぎ合わされ得る。
【0061】
図7に示されるような単一の弧を考える。終点で弧に接する、開始角度φ[n]と終了角度φ[n+1]が判定され得る。連続するセグメントは滑らかに接続する-つまり、導関数が接続点において連続する、と推定することができる。このため、接続点は単一の接線角度によって記載される。
【0062】
弧は、既知の開始点(x[n],y[n])およびφ[n]の最初に既知の角度で開始し、そして未知の終了点(x[n+1],y[n+1])、φ[n+1]の未知の終了角度へと進む。開始点から終了点までの角度の変化は、単にセグメント角度の回転である。
【0063】
【数13】
【0064】
x、yの平行移動を求めるために、xとyの弧上の増分が前の点に追加される。便宜上、弧の曲率半径の中心は、原点にあると考えられ、そして終点ポジションを計算するために使用される。その後、これらの差は、既知の開始点に適用される。
【0065】
この計算では、弧を形成する中心からの角度は既知である。φ[n]への垂線は、
【0066】
【数14】
【0067】
である。正の曲率半径の弧では、これは、曲率半径の中心から外を指す角度となる。曲率半径が負の場合、それは反対方向を指す。これにより、符号付きの曲率半径を使用して補正される、符号の反転が生じる。その後、終点は、これらの等式を介して反復的に求められ得る。
【0068】
【数15】
【0069】
これらの等式は、三角関数の公式を使用して、少し単純化することができる。
【0070】
【数16】
【0071】
これらの等式は、屈曲をモデル化する一連の円弧を説明する。円弧は、一般に、その中心(Cx[n],Cy[n])、その曲率半径r[n]、開始角度、および角度範囲θ[n]によって説明される。
【0072】
弧セグメントの中心は、(x[n],y[n])で開始し、そして弧の中心(Cx[n],Cy[n])へ半径を追従することによって求められる。開始角度は、点(x[n],y[n])における垂線から求められ、それは
【0073】
【数17】
【0074】
である。中心はその後:
【0075】
【数18】
【0076】
符号付きの曲率半径を使用すると、中心への垂線を確実に追従できることに、留意が必要である。
【0077】
開始角度は:
【0078】
【数19】
【0079】
符号は、弧が時計回りに進む場合に、角度を反転させるのに必要である。弧の範囲は、θ「n]であり、これも符号付きの値である。
測定誤差に対する感度
【0080】
シフトについての任意の実際の測定は不完全であり、測定誤差がモデル化されたカーブの正確性にどのように影響するかを理解することが重要になる。連結アームにおいて、連結角度についてのノイズの多い測定がすぐに蓄積し、エンドエフェクタ(end effector)の最終ポジションに著しい誤差を引き起こす。多重屈曲センサの測定誤差は許容可能なものである。
【0081】
n番目の点における単一のシフト測定誤差の場合を考える。理想と比較して、シフトされた点は、2つの隣接するセグメントの曲率半径に誤差を引き起こすだろう。1つのセグメントにおける誤差は一方向であろうが、もう1つのセグメントにおける誤差は反対の方向であり、一次へと相殺を引き起こすことになるだろう。セグメント誤差が相補性の誤差を作り出すというこの特性は、一般に有効であり、そして、その点への蓄積された全シフトを提供するシフト測定の帰結である。
【0082】
誤差に対する感度を示すために、座標による2つの連続セグメントの例を考える:
【0083】
【数20】
【0084】
[n]とL[n]の理想的な測定が与えられる。しかし、L[1]は、δの測定誤差によって乱されるだろう。この誤差がどのように(x[2],y[2])に伝播するかが、後に求められる。
【0085】
乱れが無い場合(およびφ[0]=0に注意):
【0086】
【数21】
【0087】
1単位ずつ離された、均等に離間された測定点が推定される。
【0088】
【数22】
【0089】
アポストロフィーは、L[1]において測定誤差δを有する場合の変数を示すために使用される。これによって、中間点の測定誤差を伴う結果角度と、中間点の測定誤差を伴わない結果角度が可能になる。
【0090】
【数23】
【0091】
このことは、弧2つ分後の終了角度が、中間点での値の読み違いによって影響を受けないことを示す。角度誤差は伝播しない。
【0092】
点位置における誤差を考える。
【0093】
【数24】
【0094】
これらの等式を使用して、異なる条件下での終点誤差をプロットすることができる。第1のセグメントの端部のポジション誤差が、次のセグメントの反対の符号が付いた誤差によって多少相殺されることは、明らかである。
【0095】
上に議論される実施形態と例が、分析を実施する際に弧を使用する一方で、他の測定技術と分析が利用されても良い。ある実施形態では、カーブに近似させるために、楕円が使用される。ある実施形態では、その分析は、放物線を使用して実施されても良い。ある実施形態では、カーブに近似させるために、スプライン曲線(spline)が使用される。ある実施形態では、カーブに近似させるために、多項式関数が使用される。ある実施形態では、カーブに近似させるために、本明細書で議論される方法論のすべてが使用される。
【0096】
カーブの別の可能なモデルは、一連の接続された直線の線形セグメントとして、それを表わすことである。
【0097】
図8と9を参照すると、区分的線形モデルでは、屈曲は完全に鋭く、かつ、基準ストリップ(84)上で一定間隔でのみ生じると推定される。摺動ストリップ(82)は、基準ストリップ(84)から一定距離に一致すると推定されるだろう。このことは、基準ストリップ(84)の各屈曲に対して対応する急な屈曲を作り出すだろう。基準ストリップ(84)の方への屈曲は、新しい形状に一致するために、摺動ストリップ(82)上に追加の長さが必要となるであろうことを意味するだろう。同様に、摺動ストリップ(82)の方への屈曲は、該一致のためには、より短い長さで良いだろう。
【0098】
計算は、基準ストリップ(84)の方への屈曲の場合に、摺動ストリップ(82)上で必要となる追加の長さの計算から開始される。図9を見ると、多重屈曲センサは、角度Aの屈曲を有する。対頂角もAである。屈曲に一致するのに必要とされる摺動ストリップ(82)の追加の長さは、2つのsとして示される。2つの屈曲点は屈曲角度を二分する。対頂角もA/2である。直角構成により、A-90の角度が、直角を引くことによって求められる。最終的に、sの反対側の角度は、A/2-(A-90)として計算される。この角度のタンジェントは、対向辺の長さ(s)を隣接辺(t)で割ったものと等しい。
【0099】
【数25】
【0100】
そして追加された全長は:
【0101】
【数26】
【0102】
また、この公式は、屈曲角度が180を超えて、摺動ストリップ(82)の方へ屈曲する時にも正しい。この場合、追加的長さは負である。
【0103】
便宜上、屈曲角度(B)は、屈曲が無い場合を0として定義され得る。
【0104】
【数27】
【0105】
以下に代入すると:
【0106】
【数28】
【0107】
シフトの測定値を与えられると、該シフトを生じさせたであろう角度が計算される。
【0108】
【数29】
【0109】
円弧モデルのように、この区分的線形モデルも、1つのシフト測定における測定誤差が、次のシフト測定で相補的な誤差を作り出し、潜在的な追加的誤差の影響を部分的に相殺する、という一般的挙動を有する。
【0110】
理想的な測定vs第1のセグメントに測定誤差がある場合を考える。
理想的な測定:
【0111】
【数30】
【0112】
誤差を伴う測定:
【0113】
【数31】
【0114】
【数32】
【0115】
最後のセグメントの結果角度は、単にその点までの角度の合計である。
【0116】
【数33】
【0117】
測定誤差を伴う計算を繰り返す。
【0118】
【数34】
【0119】
これらの合計屈曲は同じではないが、d=0付近で級数展開を介して、誤差が1次まで相殺されることが示され得る。
物理的実装
【0120】
固定間隔を伴う2つの屈曲部材間のシフトを測定するメカニズムは、基準ストリップおよび摺動ストリップと連動する、異なる感知技術を使用して遂行され得る。
容量性感知技術
【0121】
容量性感知は、多重屈曲センサと共に使用することができ、そして、図1-3に関連して上に議論される方法論である。電極は、基準ストリップと摺動ストリップを作成する時に、標準フレキシブル回路基板(PCB)上にパターン化することができる。スペーサを通る静電容量を測定することができ、そして、相対ポジションを判定することができる。例えば、図10を見ると、交互嵌合型電極(20)のパターンは、重なり合う電極(20)の静電容量を比較することによって示差測定を実施し、相対的シフトを判定することを可能にする。この測定の示差的性質は、様々なタイプの誤差に対する感度を大幅に下げる。図10に示される電極パターンに加えて、多重屈曲センサの全体的な動きと形状を判定するのに役立ち得る測定をさらに提供するであろう、他の電極パターンを実装することができる。
【0122】
さらに図10を参照すると、複数の電極(20)は、シグナルを送信するように適合されており、そして複数の電極(20)は、シグナルを送信している電極(20)からのシグナルを受信するように適合されている。ある実施形態では、シグナルを送信するように適合されている電極(20)と、シグナルを受信するように適合されている電極(20)は、実装に応じて、切り替えられたり、交替されたりしても良い。ある実施形態では、シグナルを送信するように適合されている電極(20)は、異なる時点で、シグナルを受信するように適合されていても良い。受信されるシグナルは、一方のストリップの、他方のストリップに対する動きを判定するために使用される。
【0123】
ある実施形態では、直行信号を受信および送信するように適合されている複数の電極(20)を利用する多重屈曲センサと共に、直交周波数分割多重化(orthogonal frequency division multiplexing)を使用することができる。ある実施形態では、固有周波数の直行シグナルを使用する。ある実施形態では、送信している電極(20)の各々の上で、固有周波数の直行シグナルが送信される。シグナルを受信するように適合されている電極(20)は、送信されたシグナルを受信し、そして、摺動ストリップに対する基準ストリップの相対的シフトに関する情報を得るために、それらを処理しても良い。これは、その後、多重屈曲センサによって形成されるカーブの形を判定するのに使用されても良い。
【0124】
一般に、複数の次元の屈曲は、基準ストリップと摺動ストリップのメッシュを形成することによって判定することができ、この時、各多重屈曲センサが、それ自身のそれぞれのカーブを判定する。各多重屈曲センサのカーブが判定された後、ある平面の屈曲全体がモデル化され得る。ある実施形態では、複数の多重屈曲センサは、3次元の表面全体で様々な変形を受ける、3次元の物体上に置かれても良い。複数の多重屈曲センサは、多重屈曲センサの各々から得られる屈曲を再構築した後に、3次元の物体の湾曲変形を正確に判定することができるようになるかもしれない。
【0125】
別の実施形態では、ストリップは、3次元において柔軟な繊維と置き換えられる。その後、これらの繊維は、中央の基準繊維の周囲に充填され、それによって、外側の摺動繊維は、屈曲が生じた時に基準繊維に対して移動することになる。実施形態では、スペーサは、すべての繊維間に一定の間隔を維持する。相対的シフトは、繊維に沿ってパターン化された電極を介することを含む、様々な手段によって測定することができる。
【0126】
ある実施形態では、センサは、柔軟なワイヤにより緊密に類似する狭いシートから作成されても良く、そのシートは平面の外側に曲がるようになっている。これらの装置の2つが一緒に保持されると、直行する方向で感知を行い、平面内外の屈曲を測定することができる。
【0127】
別の実施形態が、図11に示される。この実施形態は、1を超える平面方向の屈曲を判定することができる、多重屈曲センサ(110)を提供する。摺動面(112)と基準面(114)が存在する。図11では、平面が互いの上部に示されてはいないが、これは平面を見やすくするためであることが理解されるべきであり、摺動面(112)と基準面(114)は、上で議論されたストリップが配置される場合と同じように配置される。電極(115)は、摺動面(112)と基準面(114)に配置される。図11では、電極(115)は行と列として形成される。ある実施形態では、電極はパッド(pad)として形成される。ある実施形態では、電極はドットアンテナ(dot antenna)として形成される。摺動面(112)と基準面(114)との間の距離を確立するために、摺動面(112)と基準面(114)との間に配置される追加的スペーサ平面が存在しても良い。ある実施形態では、基準面(114)と摺動面(112)はスペーサ層無しで実装され、この時、電極は外側に向いた表面上に配置され、そして平面の基材がスペーサ層として機能する。さらに、電極(115)は両平面上に配置されていても良いが、他方、送信電極が、摺動面(112)と基準面(114)上に配置され、そして、受信電極が、2平面間の中間領域に位置していても良い。また、電極(115)は、送信用または受信用のいずれかであるかもしれない。
【0128】
さらに図11を参照すると、摺動面(112)と基準面(114)は、屈曲することができる柔軟な平面である。基準面(114)と摺動面(112)は、様々な取り付け点で取り付けられる。取り付け点は、平面間の任意の位置に位置していて良く、ただし、基準位置が設定され、その基準位置によって1平面の他方に対する動きを確認することができるものとする。ある実施形態では、取り付け点は、平面の中心位置であっても良い。ある実施形態では、1を超える取り付け点が存在し、そこから平面の相対運動が成り立つ。ある実施形態では、平面は、エッジで互いに固定される。ある実施形態では、平面は、エッジに沿った複数の点で固定される。ある実施形態では、平面は、エッジに沿った点で、および平面の領域内で固定される。
【0129】
図12と13を見ると、相対的シフトを測定するための、容量性電極設計の別の実施形態が示される。多層のフレキシブル回路が広く利用可能である一方で、設計には一定の制限が課されるかもしれない。一般的な制限は、屈曲セクション上にビアを置けないことである。したがって、屈曲領域に層間接続を必要としないパターンが好まれることもある。
【0130】
図12は、基準ストリップ(124)を形成する2つの三角形の電極(120)と、摺動ストリップ(122)上に形成される一連の長方形の電極(121)を示す。摺動ストリップ(122)上の長方形の電極(120)の各々のために、B電極(120)への静電容量に対するA電極(120)への相対的な静電容量を測定することによって、長方形の電極(120)の相対的ポジションを判定することができる。
【0131】
図12と13に示されるこのパターンは、多層接続を必要としない。基準ストリップ(124)上で、接続はいずれかの端部から直接形成することができる。摺動ストリップ(122)上の長方形の電極(121)は、図13に示されるように、バス(126)を介して形成することができる。ある実施形態では、シールドを長方形の電極(121)と三角形の電極(120)の周囲に利用することができる。シールドは、干渉を緩和するのを補助し得る。送信している電極はグランドによって取り囲むことができ、そして、受信電極は、干渉を緩和するために、アクティブシールドと共に駆動することができる。
【0132】
図12と13で示される設計は、基準ストリップ(124)と摺動ストリップ(122)との間の僅かな回転に対して高感度である。例えば、間隔が下部に対して上部の方が大きい場合、そのことがシステム誤差を引き起こすかもしれない。これは適合によって修正することができる。感度はまた、より低感度のパターンを使用することによって、改善することもできる。
【0133】
低下された感度を伴うパターンの一例は、図14に示される。図14に示されるパターンは、基準ストリップ(144)に配置された追加的な三角形の電極(141)を利用する。長方形の電極(141)は、摺動ストリップ(142)に配置される。図14に示される電極パターンは、基準ストリップ(144)の中心線について対称的である。これは、図12に示されるパターンと比較して、感度を低下させる。三角形の電極(141)は一方の側面でより離れており、そして他方の側面でより近接しているので、低下された感度が生じる。この距離は、存在し得る傾斜の影響を大かた相殺する。
【0134】
図15は、センサ電極の別の実施形態を示す。図15は、基準ストリップ(154)と摺動ストリップ(152)の配置を示す。基準ストリップ(154)は、複数の三角形の電極(150)を有する。摺動ストリップ(152)は、複数の長方形の電極(151)を有する。図12に示される電極パターンと比較すると、図15のパターンは、三角形の電極(150)の配置を複製している。角度付けされたパターンが、分解能を改善するために、各測定の近傍でより小さな尺度で複製される。図15に示されるセンサパターンも、シールドおよび対称技術と組み合わせることができる。
【0135】
図16は、センサ電極の別の実施形態を示す。図16は、基準ストリップ(164)と摺動ストリップ(162)の配置を示す。基準ストリップ(164)は、複数の三角形の電極(160)を有する。摺動ストリップ(162)は、複数の長方形の電極(161)を有する。図12に示される電極パターンと比較すると、図16のパターンは、三角形の電極(160)の配置を複製している。角度付けされたパターンが、分解能を改善するために、各測定の近傍でより小さな尺度で複製される。図16に示されるセンサパターンも、シールドおよび対称技術と組み合わせることができる。シフトによって、長方形の電極(161)が三角形の電極(160)の端部に近付くと、結果としていくつかの非線形性が生じるだろう。これに取り組む方法として、三角形の電極(160)の複数のセットを使用する。該セットは、長方形の電極(161)が1つの三角形の電極(160)上のエッジの近くに存在し、別の三角形の電極(160)上のエッジには存在しなくなるように、シフトされる。
光学
【0136】
容量性に基づく感知に加えて、多重屈曲センサは、容量性技術よりもむしろ光学的技術を使用して作成され得る。交互嵌合型電極の代わりに、光学的送信器と受信機を使用することができる。シグナルは、基準ストリップと摺動ストリップとの間に位置する光透過性スペーサを通じて送信され得る。導波路技術によって、電子部品をセンサに沿って分散させるのでは無く、1つの端部に配置することができる。
【0137】
標準のフレキシブル回路技術を使用して、LEDやフォトダイオードなどの標準の電気光学コンポーネントを、柔軟なストリップ上に配置することが可能である。しかし、これらのコンポーネントは、それ自身柔軟ではないため、測定点において局所的な補強が必要になるかもしれない。特定の技術が、局所的な補強の問題に対処するために使用されても良い。一般に、柔軟な電子部品を、多重屈曲センサの製造に適用することができる(例えば、局所的な電界感知を実行し、そして共有バスを介してデータの報告を戻したりする)。特に、柔軟な形態の、OLEDと他の光学装置の利用可能性は、柔軟なストリップに沿った分散型光学エンコーダの構築を可能にする。
【0138】
柔軟な導波管はまた、ストリップに沿って分散される測定点との間に光シグナルをもたらすために利用されても良い。このようにして、光学電子部品を1か所に集めることができる。例えば、光学電子部品は、ストリップが連結されている端部に配置しても良い。この位置で、柔軟性の無いPCBが光学電子コンポーネントを保持する。
【0139】
さらに、必要となる光学的接続を減らすために、マルチプレックス技術を利用することができる。例えば、各感知位置は光学フィルタを利用し、これによって、異なる色の光、異なる偏光、またはこれらのいくつかの組み合わせが多重屈曲センサに沿った様々な位置で有効になり、端部で光学電子部品で区別され得るようになる。
【0140】
これらのシステムは、一方のストリップから他方のストリップへ移動する光のための経路を有する。このことは、いくつかの異なる方法を提供する。ある実施形態では、スペーサは、透明な材料から作られていても良い。ある実施形態では、スロットが、測定スポットに隣接して設けられていても良い。ある実施形態では、スペーサは、ストリップ間に空隙を維持しても良い。ある実施形態では、光ファイバーは、光が、あるケーブルから別のケーブルへ流れることを可能にする刻み目(nick)を有していても良い。ある実施形態では、中間で結束されている光ファイバーの束が存在しても良く、ここで、該束の両端部の相対的シフトが判定され得る。
【0141】
図17を参照すると、廉価版のカメラチップも、多重屈曲センサを作成するために使用することができる。これらのチップは、シフトを測定するために、ストリップに沿った様々な点で使用され得る。さらに図17を参照すると、互い違いにされた取り付け点(176)で基準ストリップ(174)に取り付く、複数の平行な摺動ストリップ(172)が使用される。その後、これらの摺動ストリップ(172)の端部は伸長し、カメラチップ(175)によって観察される。この様に、単一のカメラで、複数の摺動ストリップ(172)の動きを高精度で追跡でき、異なる位置でシフトを測定するのと同じ結果をもたらす。
【0142】
柔軟な電子部品が1つの選択肢である一方で、柔軟なストリップに沿って光学電子部品を分散させるための他の選択肢も存在する。ある実施形態では、柔軟性の無いPCBが、弾性部材を介して柔軟なストリップに取り付けられても良い。このようにして、ストリップが自由に屈曲し得る一方で、浮動式の電気光学モジュールは、他の柔軟なストリップ上でエンコーダマーキング(encoder marking)の方を向く。整列を維持するのに役立つように、電気光学モジュールは、柔軟なストリップにおいて、小さなアパーチャを見通せる大きな光学領域を有するように設計することができる。たとえ柔軟性の無いPCBがストリップに対してわずかに動いたとしても、測定は常に、ストリップのアパーチャに対して行われることになる。
【0143】
シフトを感知する時、領域不足に陥る前に、どれだけのシフトを感知しなくてはならないかという問題が存在する。図18に示される受信電極(182)と送信電極(184)の配置を見ると、シフト領域の一例が説明され得る。この場合、摺動ストリップ上に配置される少数の受信電極(182)、および基準ストリップ上に配置される多数の送信電極(184)が存在する。各々の送信電極(184)上に固有のシグナルを設ける代わりに、シグナルは周期的に再使用される。番号が付与された送信電極(184)の各々は、異なるシグナルを表わしている。シフトが、送信電極(184)の1つのセットの領域に限定される場合、ポジションは独自に判定され得る。シフトがこれより大きい場合は、シフトの読み取り値は、最も近接している送信電極(184)によって独自に判定されない。この例では、送信電極(184)の次のセットに巻き込まれるほどの量シフトした可能性がある。一連の測定がストリップに沿ってなされるので、以前のセグメントからの複合シフトが見られ、巻き込みが発生したことを示す可能性がある。増加的アンラップ(unwrap)が生じることがあるため、制限は、送信電極(184)の1つのセットの領域内にとどまる、任意の特定の受信電極(182)上には存在しない。それが制限されるのは、アンラップする機能によってのみである。連続する受信電極(182)間の送信電極(184)の数が、送信電極(184)間で名目的に受信電極(182)の数の+/-半分に制限されていることが既知である場合、どの送信電極(184)が前のセグメントの領域内に存在し得たかが既知であるため、次のセグメントの位置を独自に判定することができる。このことは、より高度な技術によって、例えば、高次の導関数についての仮定を行うことによって、さらに拡張することができる。この技術は容量性センサの文脈において説明されているが、同じ技術を他の実施形態に適用することもできる。光学的多重ストリップ設定を使用して、ストリップは、単に端部を検出する代わりに、精確なポジションを求めるために検出かつ分析される、繰り返しのばらつきを有しても良い。エッジの多い適合ターゲットを使用することが可能であり、これによって、それらの全てのデータを組み合わせることで位置を判定することができるようになる。
他の方法論
【0144】
上で、容量性技術および光学的技術が議論されたが、他のメカニズムを利用しても良い。例えば、ポテンショメータと同様に、一方のストリップは分散された抵抗器として機能することができ、そして他方が抵抗ストリップに沿った多数の点における接触を形成する複数のワイパーを有しても良い。各ワイパーにおける電圧は、抵抗ストリップに沿った相対位置を示すように整えられ得る。抵抗ストリップが1つのストリップ上に位置し、そしてそれに電圧がかけられる。これにより、位置に依存する、ストリップに沿った電圧勾配を作り出す。上部ストリップに沿ったワイパーは、ストリップとの摺動接触を作り出し、それらの位置で電圧を感知する。上に議論される巻き付き検出は、より精確な測定を可能にするために、各ワイパーの領域に形成される別個のポテンショメータを有することによって達成され得る。機械的に、ワイパーは、それ自身がスペーサとなるので、層間の間隔を維持する役割を果たし得る。
【0145】
上の設計の改良は、ストリップに沿って単一の抵抗ストライプ(resistive stripe)を有することよりもむしろ、別々のものを各ワイパーの近隣に配置しても良いという事である。より小さな抵抗ストライプの各々が、さらに小さな変位についての電圧勾配全体を有していた可能性があり、測定の分解能を大幅に上げることができた。抵抗ストライプによるストリップへの接続の数が依然として2つのみであることに留意されたい。
【0146】
機械的なワイパーではなく、他の方法を利用して、シフトに依存する抵抗変化を作り出すことができる。例えば、マグネト抵抗性材料は、磁界が存在する状態において抵抗を変化させる。導体に平行に沿った抵抗トレースは、これらのトレース間のマグネト抵抗性材料を含む様々な位置で効果的にブリッジ化され、このことによって、他方のストリップ上のマグネットで選択的に導電性を高めることが可能になる。
【0147】
別の実施形態では、シフトを測定するために、一方のストリップ上に一連のマグネットを、他方のストリップ上にホール効果センサを利用する。時間領域法も、長さを測定するために利用されても良い。電気的領域、光学的領域、または聴覚的領域のいずれかにおける時間領域反射率測定法は、複数の点におけるシフトを測定するために使用することができる。これらを使用するために、測定点は、シグナルが戻る経路を作成する。磁歪式位置トランスデューサ法(magneto strictive position transducer methods)も、シフトを測定するために使用されて良い。
【0148】
ある実施形態では、インダクティブ方式の近接感知を利用することができる。コイルのインダクタンスは、それらの近接内にある特定の材料に反応して変化することになる。例えば、ある実施形態では、一方のストリップが一連のコイルを有し、他方が、コイルによって検出される様々な透磁率セクションを有する。検出は多くの方法によって行うことができ、各コイルのインダクタンスの変化に独立して注目すること、または異なるコイル間のカップリングにおける変化を探知することが挙げられる。また、両方のストリップにコイルを配し、それらの間のカップリングを測定することも可能である。線形可変差動変圧器(LVDT)は、この種の測定に容易に適用することができる。
【0149】
ある実施形態では、ストリップ間の無線周波数(RF)カップリングを使用して、電磁カップリングを利用することができる。
【0150】
ある実施形態では、多重屈曲センサは、RFを介する遠隔の問い合せのために設計される。単純なタンク回路(LC)が使用され、ここでLまたはCのいずれかがストリップ間の相対的シフトに依存している。この種の回路は、導電性材料のパターン化のみを使用して、ストリップ上に作成することができる。タンク回路の共振周波数は相対的シフトに依存しており、そして標準のRFID技術を使用して遠隔で読み取ることができる。ストリップは、それぞれが局所的な相対的シフトに依存する複数の共振を含むように設計することができる。共振が周波数的に適度に離れている場合、遠隔周波数走査により、それぞれの共振の変化を独立して解明することができる。能動部品を追加することによって、時間領域多重化などの他の技術を利用して、複数の点にわたるシフトを読み取ることができる。
【0151】
磁気センサ(ホール効果、巨大磁気抵抗等)は、局所磁界を測定するのに使用することができる。一方のストリップの磁化のパターンを他方のストリップ上で検出して、多くの点における相対的シフトを判定することができる。磁束測定を都合の良い物理的位置に持って来るために、磁気回路を利用することができる。高透磁性材料は、電流を運ぶ導電性ワイヤと同じように、磁束を導くように機能する。これらの技術を使用して、多くの磁気センサをストリップの結合端上に配置して、ストリップに沿った様々な点で測定を行うことができる。
【0152】
磁歪式トランスデューサは、過酷な産業環境での位置測定に利用されてきた。可動マグネットのポジションは、磁歪素子内のパルス電流によって判定され、これによって、マグネットの領域内の素子内に機械的インパルスが発生する。このインパルスが測定点に伝播して戻って来るまでの時間は、マグネットのポジションの関数である。ある実施形態では、マグネットが一方のストリップに配置され、そして、磁歪材料が他方に配置される。
【0153】
同様の技術を、光伝導性材料を使用して、利用することができる。摺動ストリップ上の光は、ブリッジの位置をシフトさせ得る。これは、ストリップ上に搭載されたLEDまたは他の光源、あるいは別個の光源が選択的に通過することができる単純なアパーチャであるかもしれない。
【0154】
多重屈曲センサの測定誤差伝播特性の一部は、従来のアーム/エンコーダシステム上で機械的手段を通じて得られることがある。平行なリンク機構が、2部材の並列性を維持するために度々使用される。
【0155】
図19は、水平なラインが互いに平行なままであることを確実にする、平行なリンク機構の3つのセットを示す。点はエンコーダを表わす。各エンコーダで測定される角度は、常に上部のラインに対する角度である。このようにして、各エンコーダにおける測定誤差は、各エンコーダにおける絶対出口角度の測定に伝播しない。ギア、ベルト、および他のリンク機構の様々な組み合わせを、同様の効果のために利用することができる。
【0156】
上に議論された多重屈曲センサは、その長さに沿った屈曲データを提供する。該データは、より詳細なモデルを与える、より高度な方法で使用することができる。例えば、センサに沿った曲率の変化をモデル化するために、高次関数を内挿またはあてはめ、そしてこれにより、効果的により多くのセグメントでモデルを作成することができる。また、セグメントに内在するモデルを、円弧形式から異なる関数形式に変更することもできる。
【0157】
上記の多重屈曲センサの実施形態は、カーブまたはカーブしている表面の形状を正確に判定することができる。この技術のいくつかの用途は、ロボット工学システムの位置調整の判定に使用され得る。ある実施形態では、多重屈曲センサは、柔軟なインターフェースに使用される。ある実施形態では、多重屈曲センサは、ヒトの関節運動のリハビリテーションに使用される。ある実施形態では、多重屈曲センサは、仮想現実におけるヒトの関節運動に使用される。ある実施形態では、多重屈曲センサは、背中の湾曲、頭の動き、または脚の屈曲を判定するのに使用される。ある実施形態では、多重屈曲センサは、複雑なカーブを測定するのに使用される。ある実施形態では、多重屈曲センサは、複雑な振動理解および能動的制御に使用される。ある実施形態では、多重屈曲センサは、自動車、タイヤ、およびシートの変形に使用される。ある実施形態では、多重屈曲センサは、姿勢の監視に使用される。ある実施形態では、多重屈曲センサは、表現用の楽器インターフェースに使用される。ある実施形態では、多重屈曲センサは、わずかな逸脱変化(bubbling out)などの変形に対するタンク/圧力ブラダー(pressure bladder)の監視(例えば、飛行機や潜水艦の監視)のために使用される。
【0158】
多重屈曲センサはまた、与圧系統の形状を理解する際に使用されても良い。たとえば、客室が加圧されている飛行機は、繰り返し加圧と減圧が行われると、相当な応力と変形が発生する。繰り返しの応力を通して、特定の領域が弱くなると、この領域が他の領域に対して(あるいは見ている側に応じて)、わずかに変化し始める。多重屈曲センサは、システム疲労率と、障害が発生しそうな場所を理解するために、これを検出するように使用される。潜水艦、保持タンク、およびあらゆる種類の加圧コンテナは、多重屈曲センサの適用による恩恵を得られる、同様の問題を有する。ある実施形態では、多重屈曲センサは、ビットの曲率を判定する際に、石油とガスの探査を補助して使用される。
【0159】
荷重下で変形する他の機械システムも、多重屈曲センサの恩恵を受けることができる。上記の多重屈曲センサの別の利点は、環境条件による変化の影響を受けやすいと共に、経年劣化や摩耗の影響を受けやすい電気的特性ではなく、幾何学的関係から精度が生じることで、開示される多重屈曲センサは、橋、支持梁等について、構造物の耐用年数にわたる監視に適したものになる。
【0160】
上記の多重屈曲センサの別の利点は、環境条件による変化、および経年劣化や摩耗の影響を受けやすい電気的特性ではなく、幾何学的関係から精度が生じることである。本出願の実装は、以下の、米国特許第9,933,880、第9,019,224、第9,811,214、第9,804,721、第9,710,113、および第9,158,411、に開示される、直交周波数分割多重センサ、および他のインターフェースの実装に使用される原理を利用しても良い。これらの特許内の開示内容、概念、および術語に精通していることが推定される。それらの特許の全体にわたる開示およびそこに組み込まれる出願は、参照により本明細書に組み込まれる。本出願はまた、以下の、米国特許出願第15/162,240、第15/690,234、第15/195,675、第15/200,642、第15/821,677、第15/904,953、第15/905,465、第15/943,221、第62/540,458、第62/575,005、第62/621,117、第62/619,656、およびPCT公報PCT/US2017/050547、に開示される、マルチタッチセンサ、および他のインターフェースに使用される原理を利用しても良く、それらにおける開示内容、概念、および術語に精通していることが推定される。それらの出願の全体にわたる開示およびそこに組み込まれる出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0161】
本明細書、および、特に特許請求の範囲内において使用される場合、第1および第2などの順序を示す用語は、それ自体、順序、時間、または一意性を意味するとは意図されておらず、むしろ、主張される構成を他の構成と区別するために使用されている。文脈に応じる一部の用途では、これらの用語は、第1と第2が固有なものであることを示唆し得る。例えば、あるイベントが第1の時点で発生し、別のイベントが第2の時点で発生する場合、第1の時点が第2の時点前、第2の時点の後または同時、に発生するとの示唆は、意図されていない。ただし、第2の時点が第1の時点の後であるというさらなる制限が特許請求の範囲に示されている場合は、文脈は、第1の時点と第2の時点を固有の時点と読み取る必要がある。同様に、文脈がそのように指示または許可する場合、順序を示す用語は、2つの特定される特許請求の範囲の構成が、同じ特性または異なる特性になり得るように、広く解釈されることが意図される。したがって、例えば、さらなる限定を伴わない、第1および第2の周波数は、例えば第1の周波数が10Mhzであり第2の周波数が10Mhzである、同一の周波数であり得る;あるいは、例えば第1の周波数が10Mhzであり第2の周波数が11Mhzである、異なる周波数であり得る。文脈は、例えば、第1および第2の周波数が互いに周波数直交であるようにさらに制限される場合を指示することがあり、その場合、それらは同じ周波数ではあり得ない。
【0162】
本発明は、その好ましい実施形態を参照して、細かく示され、かつ説明されてきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態および詳細における様々な変更が可能であることは、当業者には理解されよう。
図1
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【国際調査報告】