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特表2022-505148ロールツーロール処理によって製作されるハプティックアクチュエータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】ロールツーロール処理によって製作されるハプティックアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20220106BHJP
   H02N 1/00 20060101ALI20220106BHJP
   H01L 41/09 20060101ALI20220106BHJP
   H01L 41/313 20130101ALI20220106BHJP
   H01L 41/047 20060101ALI20220106BHJP
   H01L 41/29 20130101ALI20220106BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20220106BHJP
   H04R 19/02 20060101ALI20220106BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
G06F3/041 480
H02N1/00
H01L41/09
H01L41/313
H01L41/047
H01L41/29
H04R1/00 310G
H04R19/02
G06F3/01 560
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521087
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(85)【翻訳文提出日】2021-05-10
(86)【国際出願番号】 US2019055798
(87)【国際公開番号】W WO2020081384
(87)【国際公開日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】62/747,747
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/540,217
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319007583
【氏名又は名称】エンサイト エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マーシュ, スティーブン アラン
【テーマコード(参考)】
5D017
5D021
5E555
【Fターム(参考)】
5D017AA11
5D021CC19
5E555AA08
5E555BA04
5E555BB04
5E555DA24
5E555FA00
(57)【要約】
説明されるものは、ロールツーロールMEMS処理技法を用いて製作され得るマイクロハプティックアクチュエータデバイスである。本デバイスは、第1の表面と、第2の対向する表面とを有する第1の本体であって、本体は、少なくとも1つの内壁によって画定されるチャンバを有する、第1の本体と、チャンバ内に配置されるピストン部材であって、ピストン部材は、チャンバの少なくとも1つの内壁から物理的に離間され、ピストン部材は、第1の表面と、第2の対向する表面とを有する、ピストン部材とを含む。膜層が、本体の第1の表面にわたって配置され、膜層は、第1の表面に付着させられ、膜の一部は、ピストン部材の第1の表面に付着させられる。本デバイスはまた、膜の第2の表面上に支持される第1の電極と、第2の電極を支持する、第2の本体とを含み、第2の本体は、第1の本体の第2の表面に付着させられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスであって、前記デバイスは、
第1の表面と、第2の対向する表面とを有する第1の本体層であって、前記第1の本体層は、少なくとも1つの内壁によって画定されるチャンバを有する、第1の本体層と、
前記チャンバ内に配置されるピストン部材であって、前記ピストン部材は、前記チャンバの前記少なくとも1つの内壁から物理的に離間され、前記ピストン部材は、第1の表面と、第2の対向する表面とを有する、ピストン部材と、
第1の表面と、第2の表面とを有する膜であって、前記第1の表面は、前記第1の本体層の前記第1の表面に付着させられ、かつ、前記ピストン部材の前記第1の表面に付着させられる、膜と、
前記膜の前記第2の表面上に支持される第1の電極と、
第2の電極を支持する第2の本体層であって、前記第2の本体層は、前記第1の本体層の前記第2の表面に付着させられる、第2の本体層と
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記デバイスは、マイクロ静電ハプティックアクチュエータであり、前記第2の本体層は、複合的な第2の本体層であり、前記複合的な第2の本体層は、
第1の表面および第2の表面を有する第1の層であって、前記第1の本体層の前記第1の表面は、前記第2の本体層の前記第2の表面に添着される、第1の層と、
前記第2の本体層の第2の表面に付着させられる第2の層であって、前記第2の電極は、前記第2の層上に配置される、第2の層と
を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記デバイスは、マイクロ静電ハプティックアクチュエータであり、前記第2の本体層は、床部によって終端されるチャンバを有し、前記第2の本体層は、前記第1の本体層の前記第2の表面にわたって前記第1の本体層に付着させられ、前記第2の本体層は、前記第2の電極を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の電極にわたる第1のシール層と、前記第2の電極にわたる第2のシール層とをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1の本体層、前記ピストン部材、前記膜、前記第2の本体層、ならびに、前記第1および第2の電極は、ハプティックアクチュエータ要素を構成する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記ハプティックアクチュエータ要素は、第1のハプティックアクチュエータ要素であり、前記ハプティックアクチュエータはさらに、
前記第1のハプティックアクチュエータ要素上にスタックされて配置される少なくとも1つの付加的ハプティックアクチュエータ要素を備える、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ピストンは、形状が円筒形である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記膜を前記第1の本体層に付着させるための接着剤層をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記ピストンを前記膜に付着させるための接着剤層をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1の本体層は、25ミクロン~250ミクロンの範囲内の高さを有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1の電極および第2の電極に結合される信号ラインを有する電子駆動回路をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記電子駆動回路は、入力に応答し、前記第1の電極および第2の電極にわたる電荷差を生成して前記ピストンを前記第2の本体層の一部に衝打させるように構成される、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
電子駆動回路をさらに備え、前記電子駆動回路は、入力に応答し、前記ピストンの前記第2の表面を前記第2の層の一部に衝打させるために第1の電極および第2の電極にわたる電荷差を提供する、請求項2に記載のデバイス。
【請求項14】
電子駆動回路をさらに備え、
前記電子駆動回路は、入力に応答し、前記ピストンを前記チャンバの前記床部に衝打させるために前記第1の電極および前記第2の電極にわたる電荷差を提供する、請求項3に記載のデバイス。
【請求項15】
マイクロハプティックアクチュエータを製作する方法であって、前記方法は、
可撓性材料の第1のシートの主表面上に、接着剤層を提供することと、
前記接着剤をパターン化し、チャンバに対応する全ての領域から前記接着剤を取り除くことと、
前記接着剤が取り除かれた前記第1のシートの領域をパターン化し、対応するチャンバ領域内に配置されるピストン領域を提供することであって、前記ピストン領域は、ピストンを前記シートの残りの部分に繋留したテザー要素を有する、ことと、
前記パターン化された接着剤層を用いて、第1の伝導層を有する膜シートを前記ピストン領域の上部部分および前記シートの残りの部分に添着することと、
第2の伝導層を支持する第2のシートを、前記膜層に対向する前記第1のシートの表面に接着させることと
を含む、方法。
【請求項16】
前記接着剤は、タイプ1801接着剤であり、前記第1の電極および前記第2のシートの前記材料は、ポリエチレンテレフタラート(PET)である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記接着剤層をパターン化するステップは、本体層の壁および前記ピストンに対応する前記第1のシートの部分上に、前記接着剤の部分を残す、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第2のシートは、第2のチャンバを有するスペーサ層と、前記ピストンのための衝打層とを備える複合シートである、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第2のシートは、凹部を有する単一のシートであり、前記凹部は、前記ピストンのための衝打層を提供する床部において終端する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記テザー要素を除去することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本願は、2019年8月14日に出願され、「Haptic Actuators Fabricated by Roll-to-Roll Processing」と題された米国出願第16/540,217号の35 U.S.C. Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の優先権を主張し、米国出願第16/540,217号は、2018年10月19日に出願され、「Haptic Actuators Fabricated by Roll to Roll Processing」と題された米国仮特許出願第62/747,747号の優先権を主張し、それらの全内容が、参照することによって本明細書に援用される。
【0002】
(背景)
本明細書は、ハプティックシステムに関し、より具体的には、ハプティックアクチュエータおよびアナンシエータならびに製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ハプティックアクチュエータは、ハプティックフィードバック、例えば、リアルタイムの触感および/または音を生成するデバイスである。ハプティックアクチュエータは、消費者向け電子機器デバイス(例えば、スマートフォン等)において等の消費者向けデバイスを含む種々の用途において使用される。例えば、タッチスクリーンは、触覚フィードバックの付随して発生する損失を伴う消費者デバイス上の機械的制御部に取って代わりつつある。例えば、キーパッドに関して、ユーザは、機械的制御部を押動して成功した打込を示すことにより慣れ親しんでいる。
【0004】
ハプティックフィードバックを追加するための現在の技術は、磁気ベースのハプティックアクチュエータ、モータベースのハプティクス、および圧電ベースのハプティックアクチュエータを含む。磁気ベースのハプティックアクチュエータは、典型的には、可動本体要素と、固定本体要素とを含む。可動本体要素の移動が、コイルもしくは電磁石、ならびに/または、1または複数の永久磁石の間で磁束を指向することによって提供される。移動は、ハプティック出力またはフィードバックを提供する振動を引き起こす。圧電ベースのハプティックアクチュエータは、ある材料の圧電性質を使用し、多くの場合、複数の圧電ユニットとして使用され、より強力なハプティック応答およびより限局化されたハプティックフィードバックを提供する。圧電アクチュエータの用途は、振動刺激および触覚フィードバックを含む。
【0005】
消費者向けポータブルデバイス上の触覚フィードバックに関して、考慮点は、デバイスの性質、駆動効率(例えば、バッテリの消耗を最小限にするための圧電材料)、および、人間がその表面にタッチし、ハプティックフィードバックを受けるときの表面の「感触」の性質を含む。典型的には、約50H~数百ヘルツの周波数が、好適な触覚応答を提供し、不必要な電力を消費することを回避し得る。数ミリ秒のスルーレートが、十分に強力な触感を提供する一方、数ミリ秒よりはるかに急速なスルーレートは、より強力な触感を提供し、いくつかの用途のために望ましいが他の用途のためには望ましくないこともある可聴クリックを生成する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(概要)
ある用途における使用のためにハプティック技術を選択するときに伴われる考慮点は、製造コストと、種々のハプティック技術の他のデバイスへの組み込みの容易さとを含む。
【0007】
ある側面によると、デバイスは、第1の表面と第2の対向する表面とを有する第1の本体層であって、第1の本体層は、少なくとも1つの内壁によって画定されるチャンバを有する、第1の本体層と、チャンバ内に配置されるピストン部材であって、ピストン部材は、チャンバの少なくとも1つの内壁から物理的に離間され、ピストン部材は、第1の表面と第2の対向する表面とを有する、ピストン部材と、第1の表面と第2の表面とを有する膜であって、第1の表面は、第1の本体層の第1の表面に付着させられ、かつ、ピストン部材の第1の表面に付着させられる、膜と、膜の第2の表面上に支持される第1の電極と、第2の電極を支持する第2の本体層であって、第2の本体層は、第1の本体層の第2の表面に添着される、第2の本体層とを含む。
【0008】
以下は、上記の側面とともに含まれ得る付加的特徴のうちのいくつかである。
【0009】
本デバイスは、マイクロ静電ハプティックアクチュエータであり、第2の本体層は、複合的な第2の本体層であり、複合的な第2の本体層は、第1の表面および第2の表面を有する第1の層であって、第1の本体層の第1の表面は、第2の本体層の第2の表面に添着される、第1の層と、第2の本体層の第2の表面に添着される第2の層であって、第2の電極は、第2の層上に配置される、第2の層とを含む。本デバイスは、マイクロ静電ハプティックアクチュエータであり、第2の本体層は、床部によって終端されるチャンバを有し、第2の本体層は、第1の本体層の第2の表面にわたって第1の本体層に付着させられ、第2の本体層は、第2の電極を有する。本デバイスはさらに、第1の電極にわたる第1のシール層と、第2の電極にわたる第2のシール層とを含む。第1の本体層、ピストン部材、膜、第2の本体層、ならびに、第1および第2の電極は、ハプティックアクチュエータ要素を構成する。
【0010】
ハプティックアクチュエータ要素は、第1のハプティックアクチュエータ要素であり、ハプティックアクチュエータはさらに、第1のハプティックアクチュエータ要素上にスタックされて配置される少なくとも1つの付加的ハプティックアクチュエータ要素を含む。ピストンは、形状が円筒形である。本デバイスはさらに、膜を第1の本体層に添着しまたは付着させるための接着剤層を含む。本デバイスはさらに、ピストンを膜に付着させるための接着剤層を含む。第1の本体層は、25ミクロン~250ミクロンの範囲内の高さを有する。
【0011】
本デバイスはさらに、第1の電極および第2の電極に結合される信号ラインを有する電子駆動回路を含む。電子駆動回路は、入力に応答し、第1の電極および第2の電極にわたる電荷差を生成してピストンを第2の本体層の一部に衝打させるように構成される。本デバイスはさらに、電子駆動回路を含み、電子駆動回路は、入力に応答し、ピストンの第2の表面を第2の層の一部に衝打させるために第1の電極および第2の電極にわたる電荷差を提供する。本デバイスはさらに、電子駆動回路を含み、電子駆動回路は、入力に応答し、ピストンをチャンバの床部に衝打させるために第1の電極および第2の電極にわたる電荷差を提供する。
【0012】
ある側面によると、マイクロハプティックアクチュエータを製作する方法は、可撓性材料の第1のシートの主表面上に、接着剤層を提供することと、接着剤をパターン化し、チャンバに対応する全ての領域から接着剤を取り除くことと、接着剤が取り除かれた第1のシートの領域をパターン化し、対応するチャンバ領域内に配置されるピストン領域を提供することであって、ピストン領域は、ピストンをシートの残りの部分に繋留したテザー要素を有する、ことと、パターン化された接着剤層を用いて、第1の伝導層を有する膜シートをピストン領域の上部部分およびシートの残りの部分に添着することと、第2の伝導層を支持する第2のシートを、膜層に対向する第1のシートの表面に接着させることとを含む。
【0013】
以下は、上記の側面とともに含まれ得る、付加的特徴のうちのいくつかである。
【0014】
接着剤は、タイプ1801接着剤であり、第1のシートおよび第2のシートの材料は、ポリエチレンテレフタラート(PET)である。接着剤層をパターン化するステップは、本体層の壁およびピストンに対応する第1のシートの部分上に、接着剤の部分を残す。第2のシートは、第2のチャンバを有するスペーサ層と、ピストンのための衝打層とを備える複合シートである。第2のシートは、凹部を有する単一のシートであり、凹部は、ピストンのための衝打層を提供する床部において終端する。本方法はさらに、テザー要素を除去するステップを含む。
【0015】
以下の利点のうちの1または複数が、上記の側面のうちの1または複数によって提供され得る。
【0016】
本明細書に説明されるマイクロ静電ハプティックアクチュエータは、種々の消費者向け用途ならびに産業用、商業用、医療用、および生物学的用途において有用である機械的な振動エネルギーへの電気エネルギーの変換のために使用され得る。ハプティックアクチュエータとして、本デバイスは、機械的振動を生成して着信コールを「告知」するため生成に、または、タッチスクリーンもしくはパッドまたは他の制御部を押下するユーザに確認振動をもたらすために使用され得る。ハプティックアクチュエータデバイスは、信号入力タイプに従って、ユーザがタッチスクリーン等にタッチすることに応答するフィードバックとしてより複雑な触感を生成してもよい。ハプティック効果を改良するために、ハプティックアクチュエータは、ある電圧でオーバードライブされ、アクチュエータの公称振動レベルに到達するために必要とされる時間を縮小し得る。
【0017】
ハプティックアクチュエータは、MEMS処理技法、いわゆる、ロールツーロール(R2R)処理等の種々の方法を使用して製造され得る。これらのマイクロ静電ハプティックアクチュエータは、ミクロン/ミリメートルスケールで製作され、より概略的には、比較的に単純かつ安価な技法によって製作される。材料は、ハプティックアクチュエータの所望の性質およびハプティックアクチュエータを製造するために使用される方法に基づいて選定される。
【0018】
本発明の1または複数の実施形態の詳細が、付随の図面および下記の説明に記載されている。本発明の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面から、ならびに請求項から明白である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、ハプティックシステムのブロック図である。
【0020】
図2図2は、代替ハプティックシステムのブロック図である。
【0021】
図3図3は、構築の段階における静電ハプティックアクチュエータデバイスの平面図である。
【0022】
図4図4は、構築の後続の段階における静電ハプティックアクチュエータデバイスの平面図である。
【0023】
図5図5は、静電ハプティックアクチュエータデバイスの平面図である。
【0024】
図5A図5Aは、図5の分解断面図である。
【0025】
図5B図5Bは、図5のハプティックアクチュエータデバイスのための代替底部層を示す断面図である。
【0026】
図5C図5Cは、ハプティックアクチュエータデバイスのための最小構成を示す断面図である。
【0027】
図6図6は、複合静電ハプティックアクチュエータデバイスを提供する、スタックされた静電ハプティックアクチュエータデバイスを示す分解図である。
【0028】
図7図7Aは、休止状態にある電位に接続される静電ハプティックアクチュエータを示す図であり、図7Bは、駆動状態にある電位に接続される静電ハプティックアクチュエータを示す図である。
【0029】
図8図8は、静電ハプティックアクチュエータを生成するためのロールツーロール処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
マイクロ静電ハプティックアクチュエータ概観
本明細書に説明されるマイクロ静電ハプティックアクチュエータは、微細製作方法を使用して作製され、種々の消費者向け用途ならびに産業用、商業用、医療用、および生物学的用途において有用である機械的な振動エネルギーへの電気エネルギーの変換のために使用され得る。マイクロ静電ハプティックアクチュエータは、ミクロン/ミリメートルスケールで製作される。より概略的には、下記に議論されるマイクロ静電ハプティックアクチュエータは、表面に対して直交する方向に移動する(例えば、そのような表面に対して垂直方向に上下に移動する)部材を有するデバイスの例として使用される。
【0031】
図1を参照すると、マイクロ静電ハプティックアクチュエータシステム10(ハプティックアクチュエータシステム10)が、示されている。ハプティックアクチュエータシステム10は、ハプティックアクチュエータシステム10のアクチュエータ駆動回路14に給送される入力12を有する。入力12は、マイクロ静電ハプティックアクチュエータ(ハプティックアクチュエータ)16のための作動信号を生成するために使用される信号(入力信号)である。入力信号12は、ユーザが外部デバイスにタッチすること(触覚入力)から生じ得るが、入力信号はまた、ユーザの触覚入力を伴わない電気デバイス(図示せず)において生じる信号でもあり得る。いずれの場合であっても、入力信号12は、ハプティックアクチュエータデバイス16を駆動するための駆動信号を生成するアクチュエータ駆動回路14に給送される。例えば、図1では、ハプティックアクチュエータシステム10は、デバイスからの入力信号によって駆動されると、機械的振動を生成して着信コールを「告知」するために使用され得る。別の例では、図1では、ハプティックアクチュエータシステム10は、外部デバイスから生じる触覚入力によって駆動されると、外部デバイスにタッチするユーザへの触覚フィードバックとして機械的振動を生成するために使用され得る。
【0032】
図2を参照すると、代替マイクロ静電ハプティックアクチュエータシステム10’(ハプティックアクチュエータシステム10’)が、示されている。ハプティックアクチュエータシステム10’は、ハプティックアクチュエータシステム10’に給送される(1または複数の)入力12のセットを有する。図1では、入力12は、ハプティックアクチュエータデバイス16のための種々の作動信号を生成するために使用される信号(入力信号)であるが、図2の入力信号12a-12nは、ユーザが外部デバイスにタッチすること(触覚入力)等の種々の源から生じる信号であるか、またはユーザの触覚入力を伴わない電気デバイスにおいて生じる信号であり得る。入力信号12a-12nは、プロセッサまたはコントローラ18と、メモリ18bとを含む処理デバイス18に給送される。処理デバイス18は、処理デバイス18によって受信される入力のタイプ(例えば、どの入力信号12a-12nが受信されるか)に従って、信号を生成する。これらの生成された信号は、アクチュエータ駆動回路14に給送され、アクチュエータ駆動回路14は、受信された入力信号12a-12nに従って、駆動信号を生成し、ハプティックアクチュエータデバイス16を駆動し、所望のハプティック出力を生成する。
【0033】
例えば、図2では、ハプティックアクチュエータシステム10’は、機械的振動を生成して着信コールを「告知」するために使用され得る。別の入力は、ユーザがタッチスクリーンを押下することであり得、ハプティックアクチュエータシステム10’は、ユーザがタッチスクリーン等にタッチすることに応答するフィードバックとして、より複雑な触感を生成してもよい。プロセッサ18は、例えば、予め定義されたハプティックライブラリへのアクセスによって、ある高度なハプティックパターンを生成するために必要とされる電気信号を自動的に生成するためのアルゴリズムを実行し得る。ユーザに触覚フィードバックを伝送するために、処理デバイス18は、処理デバイス18への入力を識別することによって、ハプティックフィードバックまたは振動警告を決定し、適切なアルゴリズムを実行する。これらの機能が遂行される方法に関する詳細は、下記に議論される概念を理解するために必要とされない。いずれにしても、処理18によって生成された信号は、ハプティック駆動部14に給送され、ハプティックアクチュエータデバイス16を駆動するために十分に高い電圧を提供する。
【0034】
いずれのシステムのハプティック効果も改良するために、ハプティックアクチュエータデバイス16は、ある電圧でオーバードライブされ、アクチュエータの公称振動レベルに到達するために必要とされる時間を縮小し得る。
【0035】
ここで図3を参照すると、構築の段階にあるハプティックアクチュエータデバイス16が、示されている。ハプティックアクチュエータデバイス16は、非導電性材料のシート(図示せず)から提供される第1の本体24を含む。第1の本体24は、複数の外壁(例えば、4つの壁24a-24d)と、内部チャンバ23(示されるように、チャンバ23は、テザー25によって一時的に部分チャンバに分割されている)とを有するように示されている。内部チャンバ23は、正方形形状のチャンバを形成する壁(参照せず)によって画定されて示されている。しかしながら、チャンバは、例えば、単一の壁によって画定される任意の形状(例えば、円形のチャンバ等)であり得る。概して、シート(図示せず)は、チャンバの周りにフレームを提供するようにパターン化される。
【0036】
シート(図示せず)は、第1の本体24を提供するようにパターン化されることに加えて、内部円形ディスク部分(例えば、ピストン26)およびテザー25を形成するようにもパターン化される。ピストン26は、本体層24を生成するために使用される材料から形成され、また、非導電性である。ピストン26は、テザー25によって、第1の本体24に繋留され(取り付けられ)、テザー25は、本体層24を提供したシートからパターン化された部分である。テザー25は、後続の処理(下記に議論される)の間、第1の本体24の境界内でピストン26を支持する。本実装では、ピストン26は、円筒形であり、チャンバ23によって壁24a-24dから離間されている。他の固体形状も、使用され得る。
【0037】
図4を参照すると、ピストン26は、依然として、(想像線で示される)テザー25を介して本体層24に繋留されているように(想像線で)示されている。第1の本体24にわたって、(部分的に、引き裂かれたように示される)金属溶射された表面32を有する膜層30が、提供されている。膜層30は、第1の本体24の壁(参照せず)およびピストン26の上面に添着され、または付着させられる。膜を付着させるための1つの技法は、接着剤層を、提供されたパターン化された接着剤層39b(想像線で示される)にパターン化することによるものである。パターン化された接着剤層39bは、本体層24の壁および中心ディスク26上の部分を有するようにパターン化されて示されている。示されるように、パターン化された接着剤層39bの部分は、例証の目的のために、面積が中心ディスク26の表面積よりわずかに小さく示されている。概して、中心ディスク26上の接着剤部分は、面積がピストン26の上部の面積とほぼ同一であり得るか、またはそれよりわずかに小さい、もしくはわずかに大きくあり得る。
【0038】
ここで図5を参照すると、図4のハプティックアクチュエータデバイス16は、テザー25(図1)が除去され、ピストン26を(パターン化された接着剤層39bを介して)膜30に付着させられたままにした状態で示されている。ハプティックアクチュエータデバイス16はまた、ハプティックアクチュエータデバイス16の底部上に複合層45(図5A)または(単一層45’図5B)も有する。
【0039】
図5では、複合層45が、本体層24の下側において、第2の本体層38(例証のために、面積が本体層24よりわずかに大きく示されている)によって提供されている。第2の本体層38は、接着剤領域39cを提供するようにパターン化された接着剤層を介して、本体層24の下側に添着される。概して、第2の本体層38は、面積が第1の本体層24の面積とほぼ同一であるか、または、それよりわずかに小さい、もしくは大きくあり得る。
【0040】
ここで図5Aを参照すると、第1の本体24、第2の本体層38、および第3の本体層40、ならびに上部キャップ42が、示されるように、接着剤層39a-39d(概して、39)によって添着されている。上部キャップ42は、パターン化された接着剤層39aを提供するようにパターン化された接着剤層を介して、本体層24上の膜30に添着される。膜30は、パターン化された接着剤層39bを介して、第1の本体24に添着される。第1の本体24は、パターン化された接着剤層39cを介して、この例では、第2の本体層38および第2の本体層40によって提供される複合層45に添着される。
【0041】
第1の本体層24の下側の第2の本体層38の詳細も示されている。第2の本体層38は、チャンバ33の周りに(第1の本体層24と同様の)フレーム部分を提供するようにパターン化される。第2の本体層38内のチャンバ33は、空間を提供し、その空間を通ってピストン26が進行する。チャンバ23およびチャンバ33は、事実上連続したチャンバを提供する。ハプティックアクチュエータデバイス16の底部層45はまた、第2の電極44を担持する第3の本体層40も含む。第3の本体層40は、第3の本体層40を第1の本体層38の下側に添着するパターン化された接着剤層39dを提供するようにパターン化された接着剤層を有する。
【0042】
第3の本体層40は、固体層である。ピストン26は、ピストン26の底部が第3の本体層40の内面40aに衝打して振動を生成するような様式で、チャンバ23およびチャンバ33を通って進行する。底部キャップ(図示せず)が、提供され得る。
【0043】
第3の本体層40の表面40aは、ピストン26(図5A)の底部によって衝打される表面である。したがって、第2の電極44は、典型的には、第3の本体層40の外側部分(底部)に存在し得る。しかしながら、いくつかの実装では、第2の電極44は、例えば、チャンバ33内の表面41a上、例えば、チャンバ33の床部上に存在し得る。
【0044】
少しの間、図5Bを参照すると、いくつかの実装では、代替単一層45’が、ハプティックアクチュエータデバイス16の底部において使用され得る。代替単一層45’は、事実上、層38および層40(図5A)を融合させる。代替単一層45’は、固体底部を有する凹部41を囲繞するフレーム部分を有する。フレーム部分(参照せず)は、単一層45’内にくり抜かれた領域として設けられた凹部41を囲繞する。単一層45’の底部は、図5Bに示されるように、電極44を担持する。凹部41の底部内面41aは、ピストン26(図5A)の底部によって衝打される表面である。したがって、第2の電極44は、典型的には、単一層45’の外側部分(底部)に存在し得る。しかしながら、いくつかの実装では、第2の電極44は、例えば、チャンバ41内の表面41a上、例えば、チャンバ41の床部上に存在し得る。
【0045】
ピストン26は、膜30の一端に添着される。膜30が、(下記に議論されるように)撓曲するにつれて、ピストン26は、膜30の公称位置に対して直交する方向に移動し、表面(例えば、本体層40(図5A)、または層38’内の凹部41の底面41a(図5B))に衝打し、したがって、そのような表面に対して垂直方向に上下に移動する。
【0046】
図5Aでは、最小繰り返し構成16aが、対応する膜30と、電極32、44と、ピストン26と、接着剤層(概して)39とを伴う層24および層45として示されている。(図5Bでは、最小繰り返し構成(参照せず)は、対応する膜30と、電極32、44と、ピストン26と、接着剤層(概して)39とを伴う層24および45’であり得る。)
【0047】
ここで図5Cを参照すると、ハプティックアクチュエータデバイス16のための代替の最小繰り返し構成16bが、単一の本体24’として示され、単一の本体24’は、チャンバ23と、膜30に付着させられたピストン26によって衝打される床部22とを有する’。電極32は、膜30によって担持され、電極44は、第1の本体24’の外側表面上に存在する。したがって、ハプティックアクチュエータデバイス16が単一の第1の本体24’を有することは実行可能であるが、実践的な製造考慮点のために、第1の本体24は、本体層のセット(例えば、図5Aに示されるような複合的本体層45を構成する本体層38および40、または図5Bに示されるような単一の底部層45’)によって増強される。
【0048】
アクチュエータ駆動部
また、図1および/または図2に戻って参照すると、電圧信号を印加するためのアクチュエータ駆動部14は、入力された信号入力12を受信し、ハプティックアクチュエータデバイス16の電極32、44(図5A)に駆動電圧を出力する。アクチュエータ駆動部14は、高電圧増倍回路(図示せず)を含む。高電圧増倍回路は、供給電圧を所望の高電圧値(例えば、約100V~700V、公称上、500Vまたはそれを上回る値)まで増大させる。誘電率、厚さ、機械的弾性率特性、電極の間隔等の材料特性に応じた他の電圧も、使用され得る。
【0049】
あえて言うなら、印加される電圧レベルは、規定された条件下において底部本体層40に衝打するためのピストン26の移動を保証するために必要とされる最小電圧と、ハプティックアクチュエータデバイス16の材料に悪影響を引き起こし得る電圧である最大電圧との間にあり得る。したがって、他の電圧範囲も、本教示の範囲内であり、そのような電圧範囲は、本体層を構築するために使用された材料の具体的な誘電性質、ハプティックアクチュエータデバイス16についての仕様等に基づき得る。
【0050】
ここで図6を参照すると、スタックされたハプティックアクチュエータデバイス16bが、示されている。スタックされたハプティックアクチュエータデバイス16bは、図5A図5Cに説明される最小繰り返し構成要素のうちのいずれか等の複数の最小繰り返し構成要素16aを備える。いくつかの実装では、スタックされたハプティックアクチュエータデバイス16bは、最小繰り返し構成要素16a(図5A)の単一のものより高い振幅で振動を生成し得る。スタックされたハプティックアクチュエータデバイス16bはまた、最小繰り返し構成要素16aのうちの最も上のものにおける上部キャップ42(図5A)と、最小繰り返し構成要素16aのうちの最も下のものにおける底部キャップ48(底部層のうちの最後のものであり得る)とを含む。
【0051】
動作原理
ここで図7Aおよび図7Bを参照すると、ハプティックアクチュエータデバイス16(示される最小繰り返し要素16a)は、電圧源V(図1図2のアクチュエータ駆動部14の表現)に接続される電極32および電極44を有する。電極32および電極44の間にあるものは、誘電性質(本体層24、本体層38、および本体層44、ならびに接着剤層39b-39dの材料の誘電性質、ならびに、空気の誘電性質)を有する層である。電極32、44の間の電位差の存在下において、反対の極性の電荷が、電極32、44上に蓄積される。いくつかの点におけるこの電荷蓄積は、膜30上の電極32が電極44に引き付けられるようにし、したがって、膜30を電極44に向かって撓曲させ、ひいては、ピストン26を本デバイス16の底部(例えば、表面40aまたは表面41a)に衝打させる。
【0052】
より具体的には、動作は、以下のように解説され得る。電圧が、電極32および電極44の間に(例えば、正の電荷が電極32上に、例えば、負の電荷が電極44上に)印加されると見なす。電極32が、正の電荷を有し、電極44が、(32上の電荷に対して)負の電荷を有する場合、本事象は、反対の電荷の引力に起因して、かつ、膜30が、本体層24、本体層38、および本体層40と比較して可撓性であるため、膜30が電極44に引き付けられるようにする。電極44への膜30の引き付けに付随して、ピストン26もまた、本体層40に引き付けられる。高いスルーレート(電荷蓄積の変化率)での十分に高い電圧の印加によって、ピストン26は、「衝打運動」に引き付けられ、本体層40の底面40aに衝打し、振動または音を生成する。電圧の除去が、膜30をその公称位置まで後退させる。
【0053】
印加される電圧は、公称上500Vであるが、700V~1000Vまたはそれを上回る値までの範囲に及び得る。さらに、プルイン電圧およびドロップアウト電圧の現象に基づいて、駆動電圧は、最大の大きさの電圧が到達されると、より低い電圧に低減させられ得る。概して、「プルイン」電圧は、膜30がピストン26の底部と本体層40の上部との間の距離の約2/3を進行するために要求される電圧である。その距離が達成されると、本体層の底部における衝打部分への進行が、不随する強力な振動を伴って非常に急速に生じる。付加的な質量が、ピストンを本体層より高い密度の材料から製作すること等によって、ピストン26に提供され得る。ハプティックアクチュエータデバイス16の静電性質に起因して、電流レベルは、極めて低いか、またはゼロである。
【0054】
製造
上記に説明される特徴を有するハプティックアクチュエータデバイス16は、MEMS処理技法、および、いわゆる、ロールツーロール(R2R)処理等の種々の方法を使用して製造され得る。ハプティックアクチュエータデバイス16の材料は、ハプティックアクチュエータデバイス16の所望の性質、およびハプティックアクチュエータデバイス16を製造するために使用される方法に基づいて選定される。下記は、ハプティックアクチュエータデバイス16の異なる部分の材料を選定するためのいくつかの基準である。
【0055】
静電ハプティックアクチュエータ本体-本体層24ならびに本体層38および本体層40(または融合された第1の本体層38’)のために使用される材料は、種々の要件によって定義される。概して、材料は、チャンバを生成するようにその形状を保持するために十分に強力または硬質である必要がある。いくつかの実装では、材料は、特徴(例えば、ピストン26およびチャンバ23等)が定義および機械加工され/発展させられ得るように、エッチング可能または感光性である。材料が、良好に相互作用する(例えば、ハプティックアクチュエータデバイス16内の他の材料と/に接着する)ことも所望される。さらに、材料は、非導電性である。好適な材料の例は、SU8(ネガ型エポキシレジスト)およびPMMA(ポリメタクリル酸メチル)レジストを含む。
【0056】
膜-この部分の材料は、伝導層を担持する弾性材料であり、伝導層から電極が提供される。したがって、材料は、弾性であり、前後に屈曲または伸展する。膜の材料は、着目流体に対して不浸透性であり得、非導電性であり、比較的に高い破壊電圧特性を有する。好適な材料の例は、窒化ケイ素およびテフロン(登録商標)を含む。硬質である他の材料も可能である。
【0057】
電極-電極の材料は、導電性である。電極は、有意な量の電流を伝導しないため、材料は、高い電気シート抵抗を有し得るが、高抵抗特徴は、必ずしも所望されるわけではない。電極は、膜による屈曲および伸展を受け、したがって、材料が、疲労および故障することなく屈曲および伸展に対処するように柔軟であることが望ましい。加えて、電極材料および膜材料は、良好に接着し、例えば、動作条件下において相互から離層することはない。好適な材料の例は、金および白金の非常に薄い層を含む。他のものも可能である。
【0058】
電気配線-静電容量測定回路からの電圧が、各膜上の電極に伝導される。これらの電極への導電経路が、伝導性材料(例えば、金および白金)を使用して確立され得る。電気配線のいくつかの部分では、伝導性インクが、使用され得る。
【0059】
他の材料-MEMS処理が、マイクロ静電ハプティックアクチュエータデバイス16を製造することにおいて使用されるとき、犠牲充填材料(例えば、ポリビニルアルコール(PVA))が、使用され得る。犠牲充填材料はまた、R2R処理においても使用され得る。いくつかの実装では、溶媒が、製造プロセスにおいて使用され、これは、ハプティックアクチュエータデバイス16の種々の製作材料に付加的要件を課し得る。電気回路構成要素のうちのいくつかのものを膜の上に印刷することが可能であり得る。概して、特定の材料が、上記に規定されているが、述べられているものと同様の性質を有する他の材料も使用され得る。
【0060】
端部プレート(図に示されず)が、完成されたハプティックアクチュエータデバイス16の上方および下方に設置され、電極および膜等を周囲から保護し得る。完成されたハプティックアクチュエータデバイス16は、集積回路のために使用されるもの等の種々のタイプのパッケージにパッケージ化され得る。
【0061】
上記に述べられるように、いくつかのアプローチが、ハプティックアクチュエータデバイス16を製作するために使用され得るが、下記に議論されるMEMS処理(微小電気機械システム)技法等は、他のタイプのデバイス/システムの形成のためにも適用され得るロールツーロール処理による製作のための技法である。
【0062】
静電ハプティックアクチュエータを生成するためのロールツーロール処理
ロールツーロール処理ラインは、いくつかのステーションを備え、それらのステーションは、堆積、パターン化、および他の処理が生じる囲われたチャンバであり得るか、またはそれを含み得る。したがって、高いレベルにおいて見られる処理は、アディティブ(必要とされる場所に正確に材料を付加する)またはサブトラクティブ(必要とされていない場所における材料を除去する)であり得る。堆積処理は、必要に応じて、蒸発法、スパッタリング、および/または化学蒸着(CVD)、ならびに印刷を含む。パターン化処理は、要件に応じて、パターン化されている特徴の分解能に応じた走査レーザおよび電子ビームパターン生成、機械加工、光学リソグラフィ、グラビア、ならびにフレキソ(オフセット)印刷等の技法を含み得る。インクジェット印刷およびスクリーン印刷が、導体等の機能材料を設置するために使用され得る。打抜、インプリント、およびエンボス等の他の技法も使用され得る。
【0063】
元の未加工の材料ロールは、可撓性材料のウェブである。ロールツーロール処理では、可撓性材料のウェブは、任意のそのような材料であり得、典型的には、ガラスまたはプラスチックまたはステンレス鋼である。これらの材料のうちのいずれか(または他のもの)が、使用され得るが、プラスチックは、ガラスおよびステンレス鋼に優るより低いコスト考慮の利点を有する。具体的な材料が、ハプティックアクチュエータデバイス16の用途に従って決定される。用途において、被られる温度に耐え得るステンレス鋼または他の材料等、被られる温度に耐え得るテフロン(登録商標)および他のプラスチック等の材料が、使用され得る。しかしながら、ステンレス鋼を用いると、種々の要素間での電気絶縁を確実にすることを必要とする誘電体の考慮が存在し得る。
【0064】
示される構造に関して、ロールツーロール処理ライン内のステーションが、要求される処理に従って築かれる。したがって、端部キャップ(底部キャップおよび上面キャップおよび側面キャップ)は、ウェブまたはプラスチックシート上に形成され得るが、1つの実装では、端部キャップは、説明されるように、マイクロ静電ハプティックアクチュエータデバイス16スタックの形成後に設けられる。
【0065】
本体層24、本体層38、および本体層40、ならびに膜30は、同一の平面寸法を有し得、膜30は、本体層の厚さの約10%である。電極32および電極44は、より小さい寸法を有し、本体層の厚さの0.02%の厚さを有し得る。いくつかの実装では、本体層は、約数ミクロン×数ミクロン~約数ミリメートル×数ミリメートルの平面寸法と、約50ミクロン~250ミクロンの厚さとを有する。本体層は、約数ミクロン×数ミクロン~約数ミリメートル×数ミリメートルのチャンバ23の内側寸法を有し、膜および後続層に付着するために十分なサイズのフレームを残す。電極30、44は、実質的に本体層の内側寸法に対応する寸法を有する。電極のための典型的な表面積は、約2.25mmであり、厚さは、約0.1ミクロンである。これらの寸法は、例示的にすぎない。
【0066】
ここで図8を参照すると、ハプティックアクチュエータデバイス16を提供するためのロールツーロール処理60を描写するフロー図が示されている。金属溶射されていない50ミクロンの厚さのシート等の可撓性材料のシート(図示せず)が、主表面にわたって両面接着剤を提供され、第1の本体24(図3)として使用される(62)。接着剤は、タイプ1801である。ハプティックアクチュエータデバイス16の特定の実装に関して、材料は、ポリエチレンテレフタラート(PET)である。他の材料も、使用され得る。
【0067】
接着剤を伴うシートが、チャンバ23に対応する全ての領域から接着剤を取り除くようにパターン化される(64)。したがって、例えば、第1の本体24の壁およびピストン26に対応するシートの部分は、接着剤の領域を有するが、チャンバ23に対応する部分は、接着剤を有しない。マスク(図示せず)が、シート上に接着剤をパターン化するためのレーザアブレーションステーションを構成するために使用される。
【0068】
シートは、図3に議論されるように、チャンバ23とテザー25を伴うピストン26とを画定または形成するためのレーザアブレーションステーションを構成するように、別のマスク(図示せず)もしくは直接書込を使用して、微小機械加工される(66)。ビア(図示せず)もまた、電気接続のために提供され得る。微小機械加工は、プラスチックを除去するようにアブレートし、第1の本体24(図3)からチャンバ23およびピストン26を形成する。
【0069】
微小機械加工されたチャンバ23と、ピストン26とを有するシートが、膜シート30’(図4)(例えば、100Aの厚さのAlの金属層32(図4)を有するPETの5ミクロンの厚さのシート)に接着させられる(68)。微小機械加工されたチャンバ23と、ピストン26とを有するシートは、接着剤によって膜シート30’に添着され、シートの金属電極層32は、本体層24から外向きに面する。接着剤層によって添着されると、ピストン26は、膜30に付着させられたままである。
【0070】
膜シート30’上の伝導層32は、膜シート30’上の電極32層に接続するための導体(図示せず)を形成するようにパターン化され得る(70)。膜シート30’は、整合孔(図示せず)を提供するように機械加工されてもよい。テザー25は、例えば、本体層24の背面側からパターン化することによって、処理のこの段階において除去され得る。
【0071】
電極32を支持する膜シート30’が、予め製作され得る本体層38および本体層40に積層される(72)。第2の本体層38は、第1の本体24上に、膜層30に対向する第1の本体24の表面において配置される。第2の本体層38は、壁によって囲繞される中心チャンバ23を提供するようにパターン化される。本体層40は、本体層38上に配置される。本体層40は、ピストン26(図5)のための衝打表面として使用されるチャンバ23のない固体層である。本体層38および本体層40は、1801タイプ接着剤を有する25~50ミクロンのシートである。
【0072】
一対の予め製作されたシール層(シール層は、1801接着剤を有する50ミクロンのシートである)が、本体層40および膜32にわたって提供され得、電気接続のための電極アクセス切り欠き、(以前に除去されていない場合)テザー等の可動部品を解放するための解放点、(例えば、スタックするために)必要とされる場合、ハプティックアクチュエータデバイス16を固定具で位置付けるために使用されるピストン切断整合ピン孔(図示せず)等のための切り欠き、ならびにシートアレイからハプティックアクチュエータ16を特異化するために使用される切断スティッチを切断するようにパターン化され得る(76)。随意に、複合シートが、シートの両側において予め製作されたシール層の第2の対と共に積層される(78)。
【0073】
上記の技法はまた、データファイルを生成するマシンビジョンシステムを使用し、データファイルは、議論されるように、レーザアブレーションシステムからのレーザビームが、本体の対応する部分との位置合わせにおいて使用されるマスクに従って特徴を提供するように、レーザアブレーションステーションをマスク(または直接書込)と整合させることにおいて、レーザアブレーションシステムによって使用され得る生成。電極および導体の一部ではない領域内の金属を除去するようにアブレートし、シート上に絶縁される電極および導体を残すことによって、電極が形成される。
【0074】
治具または試験設備(図示せず)が、ピストンおよび衝打表面の繰り返し層のスタックのために整合ピン孔と併せて使用され得る。組立のための治具以外の他のスタック技法も、整合ピン孔の有無にかかわらず可能である。
【0075】
スタックされたハプティックアクチュエータ16上のパターン化された電極を相互接続するためのビア導体は、城郭状の伝導性構造である(すなわち、電極タブ(図示せず)に接触する、比較的広い面積と、電極内の孔を通して位置付けられる比較的狭い面積とを有する)。本配列は、本体部分内の孔を電極部分を通る孔より大きくすることによって提供される。これは、それぞれ、本体および電極のパターン化の段階の間に遂行され得る。ビア導体は、上記に述べられる孔の中への伝導性インクの導入によって形成される。
【0076】
本明細書に説明される異なる実装の要素は、上記に具体的に記載されていない他の実施形態を形成するように組み合わせられ得る。要素は、それらの動作に悪影響を及ぼすことなく、本明細書に説明される構造から除外され得る。さらに、種々の別個の要素が、1または複数の要素に組み合わせられ、本明細書に説明される機能を実施し得る。
【0077】
他の実施形態も、以下の請求項の範囲内にあるものとする。例えば、レーザ溶接等、層をともに接着(すなわち、添着)するための他の技法も、使用され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図8
【国際調査報告】