(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】ガラクトースの迅速な定量的検出システムおよびその使用
(51)【国際特許分類】
G01N 27/416 20060101AFI20220106BHJP
G01N 27/327 20060101ALI20220106BHJP
G01N 33/66 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
G01N27/416 338
G01N27/327 353R
G01N33/66 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521118
(86)(22)【出願日】2018-10-19
(85)【翻訳文提出日】2021-06-09
(86)【国際出願番号】 CN2018111076
(87)【国際公開番号】W WO2020077630
(87)【国際公開日】2020-04-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521157166
【氏名又は名称】アヴァロン ヘパポク リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AVALON HEPAPOC LIMITED
【住所又は居所原語表記】Unit 608-613, IC Development Centre, No. 6 Science Park West Avenue, Hong Kong Science Park, Sha Tin, New Territories, Hong Kong 100053, China
(74)【代理人】
【識別番号】100125450
【氏名又は名称】河野 広明
(72)【発明者】
【氏名】フー オリバー ヨウ-プ
(72)【発明者】
【氏名】チェン スー-ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ピン
(72)【発明者】
【氏名】リン シン-ルー
(72)【発明者】
【氏名】ツォン プォ-ユェン
(72)【発明者】
【氏名】シェン トーマス イェン-シー
(72)【発明者】
【氏名】ラウ ジョンソン イャォ-ナン
(72)【発明者】
【氏名】チュウ チン-ユェン
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA25
2G045DA33
2G045FB01
2G045FB05
(57)【要約】
ガラクトースの迅速な定量的検出システムは、代謝後に人体内に入り、生体試料を生成する、ガラクトース、緩衝剤、および0~99%の酸化防止剤を含む、ガラクトース組成物と、酵素を含む試験ストリップまたはろ紙であって、酵素が、電気化学情報を生成する生体試料と反応する、試験ストリップまたはろ紙と、メーターであって、信号を提供するための電源ユニットと、電源ユニットによって提供される信号を受信し、信号を試験ストリップまたはろ紙に送信するためのコネクタであって、電気化学情報と反応する信号が、対応する応答信号を生成し、コネクタが、対応する応答信号をメーターに送信する、コネクタと、対応する応答信号を計算するための計算ユニットと、計算ユニットから対応する応答信号を受信し、計算ユニットによって計算された対応する応答信号を、デジタル反応信号に変換するためのA/Dコンバータと、デジタル反応信号を処理するためのプロセッサと、デジタル反応信号を表示するための表示装置と、デジタル反応信号を受信するためのデジタル端末と、を含む、メーターと、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラクトースの迅速な定量的検出システムであって、
肝臓による代謝後に体内に入り、生体試料を生成する、ガラクトース、緩衝剤、および0~99%の酸化防止剤を含む、ガラクトース組成物と、
酵素を含む試験ストリップまたはろ紙であって、前記酵素が、電気化学情報を生成する前記生体試料と反応する、試験ストリップまたはろ紙と、
メーターであって、
信号を提供するための電源ユニットと、
前記電源ユニットによって提供される前記信号を受信し、前記信号を前記試験ストリップまたは前記ろ紙に送信するためのコネクタであって、前記電気化学情報と反応する前記信号が、対応する応答信号を生成し、前記コネクタが、前記対応する応答信号を前記メーターに送信する、コネクタと、
前記対応する応答信号を計算するための計算ユニットと、
前記計算ユニットから前記対応する応答信号を受信し、前記計算ユニットによって計算された前記対応する応答信号を、デジタル反応信号に変換するためのA/Dコンバータと、
前記デジタル反応信号を処理するためのプロセッサと、
前記デジタル反応信号を表示するための表示装置と、
前記デジタル反応信号を受信するためのデジタル端末と、を含む、メーターと、を含む、
ガラクトースの迅速な定量的検出システム。
【請求項2】
前記緩衝剤が、アスコルビン酸緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、酢酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、およびトリエタノールアミン緩衝剤からなる群から選択される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記抗酸化剤が、ビタミンCまたは/および亜硫酸水素ナトリウム、ビタミンA、ビタミンE、フラボノイド、ポリフェノール、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、およびNTA-ニトリロ三酢酸(NTA)を含む群から選択される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ガラクトースが、D-(+)-ガラクトース、L-(-)-ガラクトース、安定同位体ガラクトース、環状ガラクトース、またはガラクトース誘導体を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ガラクトース組成物が、経口投与、注射、スプレー、吸入、バッカル、直腸、座薬、または他の医学的に許容可能な方法を介して投与される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記経口投与の方法が、ユーザに事前に前記ガラクトース組成物を摂取させることであり、次に、前記生体試料中の前記ガラクトースの含有量を測定することによって、前記体内の前記ガラクトースの含有量が測定される、
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記注射の方法が、ユーザの前記体内に事前に前記ガラクトース組成物を注射させることであり、次に、前記生体試料中の前記ガラクトースの含有量を測定することによって、前記体内の前記ガラクトースの含有量が測定される、
請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記試験ストリップが、
絶縁基体と、
前記絶縁基体上に構成された電極ユニットと、
前記電極ユニットの一部を覆い、絶縁スペーサーの第1の縁部に設けられた反応ゾーンチャネルを含む、第1の絶縁スペーサーであって、前記電極ユニットの別の部分が、前記反応ゾーンチャネルに曝露されている、第1の絶縁スペーサーと、
第2の縁部を含む第2の絶縁スペーサーであって、前記第2の絶縁スペーサーが、前記第1の絶縁スペーサーの前記反応ゾーンチャネルを覆い、前記第1の絶縁スペーサーの前記第1の縁部、前記第2の絶縁スペーサーの前記第2の縁部、および前記絶縁基体の同じ側縁部が、すべて凸状円弧形状であり、前記絶縁基体の前記縁部が、前記反応ゾーンチャネルの前半分部分に対して内側に凹んでおり、前記反応ゾーンチャネルが、少なくとも反応層を含み、前記反応層が、少なくともガラクトースおよび導電性媒体を含む前記反応ゾーンチャネル内の電極ユニットによって覆われて、電気化学反応を介して生体試料と反応する、第2の絶縁スペーサーと、を含み、
前記試験ストリップが、前記反応ゾーンチャネルの前記前半分部分に対して、前記第2の絶縁スペーサーの前記第2の縁部の凸状先端と前記絶縁基体の凹状構造を利用して、前記生体試料の凝集力を減少させ、および毛細管現象の作用下で前記生体試料を迅速に前進させることができ、
ガラクトースを酸化、低減、分解、または代謝する、前記酵素、
請求項1に記載の試験ストリップ。
【請求項9】
前記絶縁基体が、ポリ塩化ビニル(PVC)、ガラス繊維(FR-4)、ポリエステルスルホン、ベークライトプレート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ガラスプレート、セラミック、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、
請求項8に記載の試験ストリップ。
【請求項10】
前記電極ユニットが、パラジウム、プラチナ、金コロイド、チタン、炭素、銀、銅、金、および銀からなる群から選択される、
請求項8に記載の試験ストリップ。
【請求項11】
前記反応層が、酵素、コエンザイム、緩衝液、安定剤、および界面活性剤からなる群から選択される、
請求項8に記載の試験ストリップ。
【請求項12】
前記導電性媒体が、フェロセン、フェロセニウム、メチレンブルー、トリス(アセトニトリル)ルテニウムトリクロリド、ジヒドロキシベンゾキノン、フェナジンメト硫酸塩、テトラチアフルバレンテトラ-シアノ-キノ-ジメタン、メチルビオロゲン、トルエンブルー、5,6-ジアミノ-1、10-フェナントロリン、2,2’-ビピリジンからなる群から選択される、
請求項8に記載の試験ストリップ。
【請求項13】
前記導電性媒体が、金属イオン化合物をさらに含み、前記金属イオン化合物が、MgC1
2’BeC1
2’CaC1
2’SrC1
2’、BaC1
2、およびそれらの任意の1つの組み合わせからなる群から選択される、
請求項8に記載の試験ストリップ。
【請求項14】
前記緩衝液が、Tris、Tris-HCl、PBS、MES、CHES、ホウ酸塩、ユニバーサル緩衝液混合物(CPB)、MOPS、TES、HEPES、TAPSO、トリシン、ビシン、およびTAPSからなる群から選択される、
請求項11に記載の試験ストリップ。
【請求項15】
前記安定剤が、キシリトール、マンニトール、ポリキシロース、アラボキシラン、マンナン、トレハロース、PEG、PVA、PEO、メトセル、アガロース、ゾル-ゲル、コラーゲン、キトサン、BSA、カゼイン、ネオタンパク質、アミノ酸、およびそれらの任意の1つの組み合わせからなる群から選択される、
請求項11に記載の試験ストリップ。
【請求項16】
前記界面活性剤が、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、中性イオン界面活性剤、および非イオン性界面活性剤からなる群から選択される、
請求項11に記載の試験ストリップ。
【請求項17】
前記試験ストリップ中のガラクトースの前記試験範囲が、50~2000μg/mlである、
請求項8に記載の試験ストリップ。
【請求項18】
前記酵素が、乾燥され、固化され、および中性、酸性、またはアルカリ性の環境で保存され得る、
請求項8に記載の試験ストリップ。
【請求項19】
ユーザ内で請求項1に記載のシステムを実施する方法であって、
(1)前記ユーザが、事前にその組成物内のガラクトースを摂取することと、
(2)生体試料が、生物学的サンプリング装置を使用して取得されることと、
(3)前記生体試料が、前記生物学的サンプリング装置からの試験ストリップによって吸収されることと、
(4)前記試験ストリップが、メーターに挿入されることと、
(5)前記ユーザまたは専門の医療スタッフが、ガラクトース濃度の値、前記ユーザの疾患または肝臓の残存機能を読み取ることと、を含む、方法。
【請求項20】
前記方法が、前記対象または専門のスタッフによって操作され得る、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記疾患が、新生児ガラクトース血症である、
請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラクトース検出システムに関し、特に、生体試料中のガラクトース濃度を迅速に測定し、肝機能の機能障害度を評価することに関する。
【背景技術】
【0002】
肝臓は、異なる代謝経路または胆汁排泄を介して除去され得る多くの薬物の除去と密接に関連している。肝機能異常によって引き起こされる薬物の排泄または代謝の速度の変化は、薬物に活性代謝物の形成を蓄積または阻害させる可能性がある。血液中のガラクトースは、肝機能異常と感受性的に相関しており、研究文献によると、血液中のガラクトース値が肝機能の障害の程度と有意に関連していることが明白である。したがって、異常肝臓の残存機能は、血液中のガラクトース値に従って評価され得る。
【0003】
従来的な検出方法は、8時間絶食後の0.5g/kgのガラクトースの静脈内注射に使用され、60分後に血漿中のガラクトース濃度を測定される(Tang H.S.et al.(1992)Digestion,52:222-231、Ranek L.et al.(1983)Clin.Physiol.3:173-178)。測定方法は、標準的なガラクトース溶液の異なる濃度と、その光吸収値との間の関係に従って測定曲線を描画することと、抽出した血液中にHCIO4を加えて、混合のために振とうし、次に遠心分離により浮遊物を採取することと、浮遊物にKOHを加えて、混合のために振とうし、次に再度遠心分離により浮遊物を採取することと、次にガラクトースデヒドロゲナーゼを浮遊物に加えて、暗室に60分間置いて、標本の調製およびその光吸収値の測定における色反応の不正確さを回避することと、最後に、測定曲線によって濃度値を見つけることと、を含む。しかしながら、検出プロセスは複雑で時間がかかるため、様々な薬剤の使用が必要となる。したがって、検出結果を知るには長い手順が必要となる。
【0004】
台湾特許第I292478号は、肝機能およびサンプリング試験ストリップの決定のために試験標本を作製する方法を開示した。方法はまた、対象の体内にガラクトースを注射する必要があり、血液中のガラクトースの濃度を測定するために60分間待機する。測定方法は、標準的なガラクトース溶液の異なる濃度とその光吸収値との間の関係に従って測定曲線を描画することと、トリクロロ酢酸を試験紙に加えて、30分間振とうし、次に溶媒を取り出し、その中にガラクトース脱水素酵素を含有する溶媒を加えて、30分間振とうし、次に色素生成剤を得られた溶媒に加えて、最後にその光吸収値を測定することと、を含む。しかしながら、方法は、人体内へのガラクトース注射に基づいており、試験標本を作製する必要がある。検出プロセスは、複雑で時間がかかる。したがって、ガラクトースを検出する必要がある患者については、当技術分野で迅速で単純なガラクトース検出方法が必要である。
【0005】
台湾特許第M488635号は、生物学的試験ストリップを開示し、米国特許第US971995号は、ヘマトクリット試験を検出するシステムを開示し、システムは、電気化学試験ストリップおよびメーターを含む。上記の先行技術により、これは、電気化学的方法によって体の状態を監視する非常に一般的な技術である。酵素タンパク質の不安定性によって、酵素は、アルカリ環境または乾燥状態では保存され得ない。それによって、酵素は、酸性アミン硫酸溶液中で非常に短い保存時間で貯蔵されるなど、酸性溶液中に一般的に保存される。したがって、長期間固体状態で保存され得る試験ストリップを提供することは、この分野で解決されるべき別の問題である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、ガラクトース組成物、試験ストリップまたはろ紙、およびメーターを含む、ガラクトースの迅速な定量的検出システムを提供することである。
【0007】
ガラクトース組成物は、代謝後に人体内に入り、生体試料を生成する、ガラクトース、緩衝剤、および0~99%の酸化防止剤を含む。
【0008】
試験ストリップまたはろ紙は、酵素を含み、酵素は、電気化学情報を生成する生体試料と反応する。
【0009】
メーターは、信号を提供するための電源ユニットを含む。コネクタは、電源ユニットによって提供される信号を受信し、信号を試験ストリップまたはろ紙に送信するために使用され、ここで、電気化学情報と反応する信号は、対応する応答信号を生成し、コネクタは、対応する応答信号をメーターに送信する。計算ユニットは、対応する応答信号を計算するために使用される。A/Dコンバータは、計算ユニットから対応する応答信号を受信し、計算ユニットによって計算された対応する応答信号を、デジタル反応信号に変換するために使用される。プロセッサは、デジタル反応信号を処理するために使用される。デジタル反応信号を表示するための表示装置、およびデジタル反応信号を受信するためのデジタル端末。
【0010】
上記の目的を達成するために、緩衝剤は、酢酸緩衝液、クエン酸塩緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、酢酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、アスコルビン酸緩衝液、およびトリエタノールアミン緩衝液を含む群から選択される。
【0011】
上記の目的を達成するために、抗酸化剤は、ビタミンCまたは/および亜硫酸水素ナトリウム、ビタミンA、ビタミンE、フラボノイド、ポリフェノール、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、およびNTA-ニトリロ三酢酸(NTA)を含む群から選択される。
【0012】
上記の目的を達成するために、D-(+)-ガラクトース、L-(-)-ガラクトース、安定同位体ガラクトース、環状ガラクトース、またはガラクトース誘導体を含むガラクトース。
【0013】
上記の目的を達成するために、ガラクトース組成物は、経口投与、注射、スプレー、吸入、バッカル、直腸、座薬、または他の医学的に許容可能な方法を介して投与される。
【0014】
上述の目的を達成するために、経口投与の方法は、ユーザに事前にガラクトース組成物を摂取させることであり、次に、生体試料中のガラクトースの含有量を測定することによって、人体内のガラクトースの含有量が測定される。
【0015】
上述の目的を達成するために、注射の方法は、ユーザの体内に事前にガラクトース組成物を注射させることであり、次に、生体試料中のガラクトースの含有量を測定することによって、体の生体試料中のガラクトースの含有量が測定される。
【0016】
本発明の別の目的は、試験ストリップを提供することであり、試験ストリップは、絶縁基体と、絶縁基体上に構成された電極ユニットと、電極ユニットの一部を覆い、絶縁スペーサーの第1の縁部に設けられた反応ゾーンチャネルを含む、第1の絶縁スペーサーであって、電極ユニットの別の部分が、反応ゾーンチャネルに曝露されている、第1の絶縁スペーサーと、
【0017】
第2の縁部を含む第2の絶縁スペーサーであって、第2の絶縁スペーサーが、第1の絶縁スペーサーの反応ゾーンチャネルを覆い、第1の絶縁スペーサーの第1の縁部、第2の絶縁スペーサーの第2の縁部、および絶縁基体の同じ側縁部が、すべて凸状円弧形状であり、絶縁基体の縁部が、反応ゾーンチャネルの前半分部分に対して内側に凹んでおり、反応ゾーンチャネルが、少なくとも反応層を含み、反応層が、少なくともガラクトースおよび導電性媒体を含む反応ゾーンチャネル内の電極ユニットによって覆われて、電気化学反応を介して生体試料と反応する、第2の絶縁スペーサーと、を含み、試験ストリップは、反応ゾーンチャネルの前半分部分に対して、第2の絶縁スペーサーの第2の縁部の凸状先端と絶縁基体の凹状構造を利用して、生体試料の凝集力を減少させ、および毛細管現象の作用下で生体試料を迅速に前進させることができ、酵素は、ガラクトースを酸化、低減、分解、または代謝することができる。
【0018】
上記の目的を達成するために、試験ストリップ中のガラクトースの試験範囲は、50~2000μg/mlである。
【0019】
上記の目的を達成するために、絶縁基体は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ガラス繊維(FR-4)、ポリエステルスルホン、ベークライトプレート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ガラスプレート、セラミック、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0020】
上記の目的を達成するために、電極ユニットは、パラジウム、プラチナ、金コロイド、チタン、炭素、銀、銅、金、および銀からなる群から選択される。
【0021】
上記の目的を達成するために、反応層は、酵素、コエンザイム、緩衝液、安定剤、および界面活性剤からなる群から選択される。
【0022】
上記の目的を達成するために、導電性媒体は、フェロセン、フェロセニウム、メチレンブルー、トリス(アセトニトリル)ルテニウムトリクロリド、ジヒドロキシベンゾキノン、フェナジンメト硫酸塩、テトラチアフルバレン テトラ-シアノ-キノ-ジメタン、メチルビオロゲン、トルエンブルー、5,6-ジアミノ-1、10-フェナントロリン、2,2’-ビピリジンからなる群から選択される。
【0023】
上記の目的を達成するために、導電性媒体は、金属イオン化合物をさらに含み、金属イオン化合物は、MgC12’BeC12’CaC12’SrC12’、BaC12、およびそれらの任意の1つの組み合わせからなる群から選択される。
【0024】
上記の目的を達成するために、緩衝液は、Tris、Tris-HCl、PBS、MES、CHES、ホウ酸塩、ユニバーサル緩衝液混合物(CPB)、MOPS、TES、HEPES、TAPSO、トリシン、ビシン、およびTAPSからなる群から選択される。
【0025】
上記の目的を達成するために、安定剤は、キシリトール、マンニトール、ポリキシロース、アラボキシラン、マンナン、トレハロース、PEG、PVA、PEO、メトセル、アガロース、ゾル-ゲル、コラーゲン、キトサン、BSA、カゼイン、ネオタンパク質、アミノ酸、およびそれらの任意の1つの組み合わせからなる群から選択される。
【0026】
上記の目的を達成するために、界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、中性イオン界面活性剤、および非イオン性界面活性剤からなる群から選択される。
【0027】
上記の目的を達成するために、酵素は、乾燥され、固化され、および中性、酸性、またはアルカリ性の環境で保存され得る。
【0028】
本発明の別の目的は、ユーザ内でガラクトースの迅速な定量的検出システムを実施する方法を提供することであり、方法は、
(1)ユーザが、事前にガラクトース組成物を摂取することと、
(2)生体試料が、生物学的サンプリングペンを使用して取得されることと、
(3)生体試料が、生物学的サンプリングペンからの試験ストリップによって吸収されることと、
(4)試験ストリップが、メーターに挿入されることと、
(5)ユーザまたは専門の医療スタッフが、ガラクトース濃度の値を読み取って、ユーザの疾患または肝臓の残存機能を決定することと、を含む。
【0029】
上記の目的を達成するために、方法は、対象または専門のスタッフによって操作され得る。
【0030】
上記の目的を達成するために、疾患は、新生児ガラクトース血症である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】ガラクトースの迅速な検出システムの正面外観図である。
【
図2】ガラクトースの迅速な検出システムにおけるメーターシステムのブロック概略図である。
【
図3】ガラクトースの迅速な検出システムについての正確度試験結果である。
【
図4】ガラクトースの迅速な検出システムについての精度試験結果である。
【
図7】様々なボリュームの試験ストリップ下のガラクトースの正確度試験結果である。
【
図11】静脈内注射のガラクトースGSP結果と、経口投与のガラクトースOGSP結果との間の一種の相関である。
【
図12】静脈内注射のガラクトースGSP結果と、経口投与のガラクトースOGSP結果との間の別の種類の相関である。
【
図13】半自動ロボットアームによって完了した試験ストリップ検出結果である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、以下の実施形態に例示されているが、これに限定されるものではない。別の言い方をすれば、本発明で使用される材料はすべて市場で入手可能である。
【0033】
本発明の
図1aに示すガラクトースの迅速な検出システムは、酵素電気化学検知技術を採用する。システムは、主に使い捨ての乾燥酵素電極器具技術を採用し、酵素と反応して人体内の肝臓により代謝されるガラクトースまたはその代謝物を利用して、電気化学反応を介してマイクロ電流を生成し、次いで、マイクロ電流を測定することによって、ガラクトースの読取値を検出する。残存肝機能は、読取値に従って評価される。本発明のガラクトースの迅速な定量的検出システムは、肝機能の評価に限定されず、また新生児ガラクトース血症などのガラクトースに関連する疾患を診断することができる。さらに、本発明のガラクトースは、ガラクトースおよびその誘導体をさらに含む。生体試料は、血液、唾液、尿、洗浄液、または任意の他の体液であり得る。
【0034】
実施形態1:ガラクトースの迅速な定量的検出システムの使用方法
1-1 ガラクトース検出のための試験ストリップの使用
図1bに示すガラクトース試験ストリップは、アルミニウムホイル袋に封入され、4°C~10°C(39.2°F~51.2°F)の温度で保存される。使用前に、試験ストリップを20分間温める必要がある。開封後、ガラクトース試験ストリップを30分以内に使用する必要がある。この時間が過ぎると、試験ストリップは破棄され、再度使用することはできない。
【0035】
1-2 試料の採取および調製
ユーザは、経口ガラクトース組成物を最初に飲む必要があり、ここで、ガラクトースの含有量は、合計ガラクトース組成物の重量でl%~80%、好ましくは4%~40%であり、ここで、緩衝溶液は、添加され得ず、または合計重量の0.001%~5%で添加され得、酸化防止剤は、添加され得ず、または合計重量の0.001%~5%で添加され得る。緩衝液および酸化防止剤を選択し、以下の含有量の成分を加えることによって、適切な配合物を調製することができる:ビタミンC、亜硫酸水素ナトリウム、ビタミンA、ビタミンE、フラボノイド、ポリフェノール、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、およびNTA-ニトリロ三酢酸(NTA)を含む群から選択された0.01M~1Mの酸化防止剤、ならびに/またはpH値を4.0~9.0の範囲に調整した、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、酢酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、アスコルビン酸緩衝液、およびトリエタノールアミン緩衝液を含む群から選択された0.01M~1Mの緩衝溶液。安定した配合物は、0.01%クエン酸塩緩衝剤と0.5%亜硫酸水素ナトリウムを加えることで得られ、pH値は4.5となる。上記のガラクトース組成物を60分間飲んだ後、指を石鹸およびぬるま湯で掃除し、拭き取り、次いで生物学的サンプリング前に指先をアルコール綿で拭き取る。指先が完全に乾燥した後、生物学的サンプリング装置を使用して、指先を軽く刺すことによって、生体試料が得られるが、生物学的サンプリング部分中の過剰な圧迫を避けるべきである。
【0036】
1-3 使用手順
(1)パスワードカードのキャリブレーション
正確なガラクトース値を測定するために、ガラクトース試験ストリップの新しい箱が毎回使用されるときに、ガラクトースメーターを再較正すべきである。キャリブレーション中、箱に取り付けられたパスワードカードのみが使用可能であり、パスワードカードのパスワードがガラクトース検出に使用される試験ストリップ箱のパスワードと同じであることを確認し、次に、パスワードカードの接触電極を、ガラクトースメーターのパスワードカードスロットに挿入する。ガラクトース試験ストリップをメーターの試験ストリップスロットに挿入した後、メーターは、自動的にyがアクティブになり、画面に「
【0037】
【0038】
」の例が表示される。ユーザは、パスワードカードと同じパスワードであることを確認してから、パスワードカードを取り出す必要がある。これでキャリブレーションが完了し、ガラクトース試験を実行することができる。
【0039】
(2)ガラクトース検出
ユーザは、まず指を洗浄し、完全に拭き取って乾燥させ、次いで、生物学的サンプリング針を固定された場所にある生物学的サンプリング装置内に置く。ガラクトース試験ストリップを、メーターの試験ストリップスロットに挿入した後、メーターが自動的に起動され、画面に「
【0040】
【0041】
」の例が表示される。ユーザは、画面上のパスワードが試験ストリップ箱のパスワードと同じであることを確認し、血液ドロップ記号「
【0042】
【0043】
」が画面上で点滅したときに生体試料をサンプリングしてもよい。
【0044】
生体試料をサンプリングする前に、アルコール綿で指先を拭き取る。指先が完全に乾燥した後、生物学的サンプリング装置を使用して、指先を軽く刺すことによって、生体試料が得られる。生体試料を試験ストリップの生体試料吸収開口部に軽く接触させることを可能にすることによって、試験ストリップは、生体試料を反応ゾーンまで自動的に吸収する。試験ストリップ反応ゾーンの透明な試験ウィンドウが完全に赤色に見え、「ビープ」音が聞こえたことを確認したときに、指先の生体試料を移動することができる。試験終了時(約1分後)に、ガラクトース値が、画面に表示される。さらに、この読み出しの電位は、ブルートゥース(登録商標)または携帯電話もしくはコンピュータを介した類似の接続を介して、医師を含む他の者に送信され得る。
【0045】
試験が完了した後、試験ストリップは、取り出され、適切に廃棄される。試験が連続して行われない場合、3分後に、自動的にメーターが非アクティブ化される。
【0046】
実施形態2:検出システムの原理および試験
本発明は主に、生体試料中のガラクトース含有量を測定するためのシステムを提供する。ユーザは、前述のガラクトース組成物を予め摂取する。ガラクトース組成物が人体内で肝臓によって代謝された後、ガラクトースまたはその代謝物は、血液中に存在することになる。ユーザは、指先から血液試料を採取し、本発明によって請求される試験ストリップ上に試料をドロップする。試験ストリップ中の酵素により、酵素は、ガラクトースまたはその代謝物と反応し、その後電気化学反応を介して電流を生成することができる。試験ストリップを本発明のメーターに挿入すると、メーターは、試験ストリップ内の電流信号を検出することによって、人体内のガラクトースの量を検出する。これにより、ユーザは、ユーザの健康状態を監視することができる。検出のプロセスは非常に単純であるため、高い正確度および精度で先行技術と比較して、ガラクトースの検出時間を短縮することができる。
【0047】
図2は、本発明の一実施形態による、ガラクトース検出システムのブロック概略図である。システムは、試験ストリップ100およびメーター200を含む。メーター200は、外部に接続されたコネクタ210、濃度を計算するための計算ユニット211、A/Dコンバータ212、プロセッサ213、および表示装置214を含む。電源ユニット215が信号(信号は、好ましくはlkHz~22kHzの周波数で方形波信号であり、電圧は、50mV~5V、好ましくは300mV~800mVである)をコネクタ210を介して試験ストリップに加えると、生体試料中のガラクトースまたはその代謝物、および試験ストリップ中の酵素は、電気化学反応を介して反応し、電気化学情報を生成する。電気化学情報と反応する信号は、対応する応答信号を生成し、対応する応答信号は、コネクタ210を介してメーター200の計算ユニット211に送信される。次に、計算ユニット211は、対応する応答信号を計算し、対応する応答信号をA/Dコンバータ212に出力して、対応する応答信号を、プロセッサ213によってさらに処理されるデジタル反応信号に変換し、測定結果は、表示装置214を介して表示される。さらに、デジタル反応信号は、ガラクトース濃度の信号を、ブルートゥース(登録商標)または無線を介して携帯電話またはコンピュータに送信するなど、デジタル端末300に送信され得る。
【0048】
2-1 正確度試験
まず、5つの異なる濃度のガラクトース試料(それぞれ200μg/ml、500μg/ml、900μg/mL、1200μg/ml、および1500μg/mlである)を準備し、それぞれ24群を摂取し、それらに静脈血を加え、次いで、本発明のメーターを使用して、濃度値を試験し、それらの平均(μg/ml)、標準偏差(S.D.)、および変動係数(%C.V.)を計算し、回帰分析チャートを作成し、ここで、
図3に示すように、検出環境は、室温(25±5°C)であり、相対湿度は、20~60%である。本発明のメーターの読取値は、本発明のメーターについて高い正確度を表す、実際のガラクトース濃度の最大0.98の高い相関係数を有する。
【0049】
2-2 精度試験
まず、5つの異なる濃度のガラクトース試料(それぞれ200μg/ml、500μg/ml、900μg/mL、1200μg/ml、および1500μg/mlである)を、室温(25±5°C)、かつ20~60%の相対湿度で準備し、それぞれ3群を摂取し、それらに静脈血を加え、次いで、本発明のメーターを使用して、濃度値を試験し、試験を8日間繰り返し、変動係数(%C.V.)の平均を計算する(
図4に示すように)。
図4のデータから、8日間の5つの試料の平均変動係数(%C.V.)が6.5~7.5の範囲であり、試験器具の高精度を表すことが示されている。
【0050】
前述の結果に照らして、本発明のガラクトース検出システムの手順は、簡単で迅速である。それは、本発明のガラクトース組成物の式が、人体内の肝臓によって迅速に代謝され得、血液または体液がガラクトースまたはその代謝物を含有することを可能にするからである。次に、試料を指先で採取する。試料が電気化学反応を介して試験ストリップ中の酵素と反応した後、試験標本を追加的に調製することなく、測定器でガラクトースを1分間のみ検出する。手順は、検出時間をさらに短縮するガラクトースを検出するための工程の量を減らす。したがって、本発明は、ガラクトースを検出する必要がある患者に、迅速、単純、かつ高正確度の検出ガラクトース方法を提供する。
【0051】
実施形態3:試験ストリップ検出
図5は、本発明の一実施形態による、試験ストリップの概略図である。試験ストリップ100は、絶縁基体110、電極ユニット120、第1の絶縁スペーサー130、および第2の絶縁スペーサー140を含む。試験ストリップは、ガラクトースまたはその代謝物と反応して、電気化学反応を有する酵素を含有する。
【0052】
この実施形態では、絶縁基体110は、40~120°Cの電気絶縁および耐熱性を有する、平坦な表面を有する。絶縁基体110の材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ガラス繊維(FR-4)、ポリエステルスルホン、ベークライトプレート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ガラスプレート、セラミック、または上述の材料の任意の組み合わせから選択される。
【0053】
図5に示すように、電極ユニット120は、絶縁基体110上に構成される。電極ユニット120は、対向する第1の端部122および第2の端部124を含む。本実施形態では、電極ユニット120は、互いに絶縁された複数の電極から構成されてもよい。電極ユニット120の材料は、パラジウム接着剤、白金接着剤、金接着剤、チタン接着剤、炭素接着剤、銀接着剤、銅接着剤、金銀混合接着剤、炭素銀混合接着剤、または上述の導電性材料の任意の組み合わせなどの任意の導電性物質であり得る。1つの実施形態では、電極ユニット120は、導電性炭素粉末層または金属層からなる。さらに別の実施形態では、電極ユニット120は、導電性接着剤銀層およびその上の導電性炭素粉末層からなり、導電性炭素粉末層のインピーダンスは、導電性銀接着剤層または他の金属層のインピーダンスよりも一般的にはるかに大きい。
【0054】
第1の絶縁スペーサー130の材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)絶縁接着剤テープ、エチレンテレフタル酸エステル絶縁接着剤テープ、熱乾燥絶縁ワニス、または紫外線光硬化絶縁ワニスを含み得るが、これらに限定されない。第1の絶縁スペーサー130は、電極ユニット120の一部(すなわち、第1の端部122の部分)を覆い、第1の絶縁スペーサー130の第1の縁部132上に位置する反応ゾーンチャネル134を含む。第1の端部122は、反応ゾーンチャネル134に曝露される。試料(例えば、血液)は、反応ゾーンチャネル134を充填して、後続の電気化学反応を実施するのに適している。反応ゾーンチャネル134の2つの長辺は、ラダー形状であり、第1の縁部132に隣接する反応ゾーンチャネル134の幅は、第1の縁部132から離れた幅よりも大きい。
【0055】
反応ゾーンチャネル134は、反応ゾーンチャネル134内の少なくとも1つの電極ユニット120を覆い、少なくとも1つのガラクトースおよび導電性媒体を、化学反応を生成するために試料(血液など)とともに含有する、少なくとも1つの反応層150を有する。反応層150は、ガラクトース酵素測定領域および導電性媒体測定領域をさらに含み得る。
【0056】
反応層150の組成物は、酵素、コエンザイム、導電性媒体、緩衝液、安定剤、および界面活性剤であり得るが、これらに限定されない。ここで、導電性媒体は、活性物質が試料と反応した後に生成された電子を受けるために使用され、電極ユニット120を介して電子をメーター200に伝導し、フェロセン、フェロセニウム、メチレンブルー、トリス(アセトニトリル)三塩化ルテニウム、2,5-ジヒドロキシベンゾキノン、 フェナジンメト硫酸塩、テトラチアフルバレン、テトラ-シアノ-キノ-ジメタン、メチルビオロゲン、トルエンブルー、5,6-ジアミノ-L、10-フェナントロリン、[M(bpy)3]2+(M=RuまたはOs;BPY=2,2’-ビピリジン)が含まれるが、これらに限定されない。さらに、導電性媒体は、金属イオン化合物であってもよく、ここで、金属イオン化合物は、電子と電荷の間の吸収作用の下で、金属イオンの方法で水溶液に溶解され得る、MgC12、BeC12、CaC12、SrC12、BaC12、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されず、緩衝溶液は、トリス、トリス-HCl、PBS、MES’CHES、ホウ酸塩、ユニバーサル緩衝液混合物(CPB)、MOPS、TES、HEPES、TAPSO、リシン、ビシン、およびTAPSの中性およびアルカリ性緩衝溶液を含むが、これらに限定されず、安定剤は、キシリトール、マンニトール、ポリキシロース、アラボキシラン、マンナン、トレハロース、PEG、PVA、PEO、メトセル、アガロース、ゾルゲル、コラーゲン、キトサン、BSA、カゼイン、ネオタンパク質、アミノ酸、または任意の1つのそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されず、界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、中性イオン性界面活性剤、および非イオン性界面活性剤を含むが、これらに限定されない。
【0057】
本実施形態では、第2の絶縁スペーサー140は、第1の絶縁スペーサー130、電極ユニット120の一部、および絶縁基体110の一部を覆う。第2の絶縁スペーサー140が、第1の絶縁スペーサー130の反応ゾーンチャネル134を完全に覆うため、反応ゾーンチャネル134の上部、下部、左側、および右側の表面は、第2の絶縁スペーサー140、絶縁基体110、および反応ゾーンチャネル134の横にある第1の絶縁スペーサー130の3つの壁面によって囲まれて、五面体で囲まれたパイプを形成する。生物学的サンプリング開口部を介して試料が反応ゾーンチャネル134に入ったときに、反応ゾーンチャネル134内の生体試料の接着力は、生体試料の凝集力よりも大きくなり、その結果、生体試料は、持続的に前進することができる。
【0058】
本実施形態では、第1の絶縁スペーサー130の第1の縁部132、第2の絶縁スペーサー140の第2の縁部142、および絶縁基体110の同じ側縁部は、全体として、すべて凸状円弧形状である。さらに、
図5に示すように、絶縁基体110の縁部は、反応ゾーンチャネル134の前半分部分に対して内側に凹んでいる。本実施形態の試験ストリップ100は、第2の絶縁スペーサー140の第2の縁部142の凸状先端と、反応ゾーンチャネル134の前半分部分に対する絶縁基体の凹状構造を利用して、生体試料の凝集力を減少させ、生体試料が毛細管現象の作用下で迅速に進むことを可能にする。さらに、本実施形態では、第2の絶縁スペーサー140は、第2の縁部142から離れた位置、すなわち、第1の絶縁スペーサー130の反応ゾーンチャネル134の端部に位置する通気孔144をさらに含む。生体試料が気泡によって遮断され、反応ゾーンチャネル134内で滑らかに前進することができない場合、通気孔144は、反応ゾーンチャネル134内の空気を放出するために使用される。
【0059】
酵素タンパク質の不安定性によって、酵素は、アルカリ環境または乾燥状態では保存され得ない。したがって、酵素は、酸性アミン硫酸溶液中で非常に短い保存時間で貯蔵されるなど、酸性溶液中に一般的に保存される。酵素は、乾燥すると活性を失うため、酵素を固体状態で保存することができない。しかしながら、上記の配合物および構造を有する本発明における試験ストリップは、酵素を酸性環境中に保存することだけでなく、固化して中性またはアルカリ環境中に保存することを可能にする。さらに、配合物を有する酵素は、乾燥状態で活性を保持することができ、長期間保存され得る。したがって、本発明は、酵素が固化され、乾燥され、試験ストリップ上の酵素を乾燥するのに有効であり、なおも活性であることを確実にするために、以前の制限を破った。
【0060】
3-1 試験ストリップの検出可能なボリュームの検出
図6は、一般的なろ紙の生物学的ボリューム分析である。結果は、エラーが15%未満であることを確実にするために、少なくとも30μlのろ紙の指先の生体試料ボリュームが使用され得ることを示している。しかしながら、本発明の試験ストリップは、少量の生体試料検出を達成することができる。実験方法は、3つの異なる濃度のガラクトース試料(それぞれ、200μg/ml、900μg/ml、および1500μg/mlである)を準備することであって、ガラクトース試料の各々が、データ値を検出するために、1、2、5、7、および10μlのボリュームである(
図7を参照)、準備すること、ならびに次いで、平均(μg/ml)、標準偏差(S.D.)、および変動係数(%C.V.)を計算することであり、ここで、濃度250μg/ml以下のガラクトース試料の許容可能な平均C.V値は、20%未満を必要とし、一方で、251~1500μg/mlの範囲のガラクトース試料の許容可能な平均C.Vは、15%未満である必要がある。
図7は、各ボリュームにおける200μg/mlの濃度を有するガラクトース試料の平均C.V値が、15%未満である3.03~8.15%の範囲内にあり、一方で、各ボリュームにおける900μg/mlおよび1500μg/mlの濃度を有するガラクトース試料の平均C.V値が、両方とも、20%未満である3.14~6.54%の範囲内にあることを示している。したがって、本発明の試験ストリップは、1μl以上のボリュームでガラクトースを検出することができる。
【0061】
3-2 試験ストリップの長期安定性の試験
厳しい環境下における試験ストリップの稼働状態を評価するために、4°Cの環境で保存日が推定される。5つの異なる濃度のガラクトース試料(それぞれ、200μg/ml、500μg/ml、1200μg/ml、900μg/ml、および1500μg/mlである)を準備し、それらをそれぞれ30°C、40°C、および45°Cの3つのグループに分け、次いで、ガラクトースの読取値を1つずつ測定し、ここで、濃度250μg/mlより低いガラクトースの許容可能な平均C.V値は、20%未満であり、一方で251~1500μg/mlの範囲内のガラクトースの許容可能な平均C.V.値は、15%未満を必要とし、相関係数(R)は、0.9より大きくなければならない。
図8の結果によれば、本発明の試験ストリップは、4°Cで545.32日間(最長)、30°Cで30日間、40°Cで11日間、および45°Cで7日間保存され得る。本発明の試験ストリップに好ましい保存環境は、4°C~10°Cである。ここで試験ストリップは、4°Cで180日間、および室温で60日間、安定していることが分かる。本発明の試験ストリップは、加速試験により4°Cで保存されて最大545日間安定な状態を維持することができると推定される。
【0062】
3-3 ヘマトクリット評価試験
試験ストリップが正常範囲内の試料の異なるヘマトクリット(HCT)を検出することができるかどうかを評価するために、5つの異なる濃度のガラクトース生体試料(それぞれ、200μg/ml、450μg/ml、800μg/ml、ll50μg/ml、および1500μg/ml)を準備し、20%、30%、40%、50%、および60%の各HCT試料を準備した。次いで、ガラクトースの読取値を1つずつ測定した。その中で、250μg/mlの濃度を下回るガラクトースの許容可能な平均C.V値は、20%未満を必要とし、一方で、251~1500μg/mlの範囲のガラクトースの許容可能な平均C.V値は、15%未満を必要とし、相関係数(R)は、0.9より大きくなければならない。
図9に示すように、450~1500μg/mlの範囲のガラクトースの平均C.V値は、15%未満であり、200μg/mlの濃度を有するガラクトースの平均C.V値は、20%未満である。したがって、本発明の試験ストリップは、少なくとも20%~60%のHCT範囲の生体試料を検出することができる。
【0063】
3-4 再現性試験
ガラクトースの迅速な定量的検出システムの試験結果が再現可能であるかどうかを評価するために、以下の再現性試験を実施する:生体試料に添加するために、5つの異なる濃度のガラクトース試料(それぞれ、200μg/ml、450μg/ml、900μg/ml、1200μg/ml、および1500μg/ml)を準備し、ここで、各濃度を3つのメーターで試験し、各メーターは、試験を6回繰り返す。250μg/mlの濃度を下回るガラクトースの許容可能な平均C.V値は、20%未満を必要とし、251~1500μg/mlの範囲のガラクトースの許容可能な平均C.V値は、15%未満を必要とする。
図10の結果から、500~1500μg/mlの範囲内のガラクトース試料の平均C.V値は、15%未満である7.12~9.83%の範囲内であり、200μg/mlの濃度を有するガラクトース試料の平均C.Vは、20%未満である14.58%未満である。したがって、本発明のガラクトースの迅速な定量的検出システムの試験結果は、再現可能である。
【0064】
前述の結果に照らして、本発明の試験ストリップは、最小でも生体試料の1μLボリュームを検出することができる。前述の酵素および配合物により、試験ストリップは、室温で60日間、4°Cで180日間保存され得る。それは、保存問題という障害を克服する。さらに、生体試料の最低ボリュームは1μLであるため、試験結果の高い正確度を維持しながら、1回の試験当たりの大きな創傷によって引き起こされる不快感を回避する。本発明は、ユーザに、ガラクトースを検出するための好ましいツールを提供する。
【0065】
実施形態4:検出システムを使用して、肝機能を決定する
4-1 経口投与ガラクトースOGSP結果と静脈内注射ガラクトースGSP結果との間の比較
図11および
図12に示されるように、合計127人の対象(56人の対象が正常な肝機能を有しており、71人の対象が肝機能障害を有している)は、静脈内注射ガラクトースGSP結果と経口投与ガラクトースOGSP結果との間の相関を決定するために試験される。Digestion 1992,52:222-231で示唆されるように、静脈内注射ガラクトースGSP試験に参加する対象は、3つの群に分けられ、ここで、280μg/ml未満のGSPを有する対象は、肝機能正常群に定義され、280~480μg/mlの範囲のGSPを有する対象は、肝機能の中等度の障害の群に定義され、480μg/mlを超えるGSPを有する対象は、肝機能の重度の障害の群に定義される。
図10および
図11の結果から、経口投与ガラクトースOGSP値は、静脈内注射ガラクトースGSP値よりも高く、経口投与ガラクトースOGSP値は、肝機能の障害度とともに増加し、ここでOGSPおよびGSPは、正に相関している。肝機能正常群の対象の経口投与ガラクトースOGSP値は、最小値18μg/mlおよび最大値887μg/mlで、318±27μg/ml(平均±標準誤差)の範囲内である。肝機能の軽度または中等度の障害群の対象の経口投与ガラクトースOGSP値は、最小値294μg/mlおよび最大値1282μg/mlを有する590±40μg/mlの範囲内である。肝機能の重度の障害群の対象の経口投与ガラクトースOGSP値は、最小値293μg/mlおよび最大値1499μg/mlを有する777±48μg/mlの範囲内である。表5は、経口投与ガラクトースOGSP値が肝機能の障害度とともに増加する対象の3つの群における静脈内注射ガラクトースGSP結果および経口投与ガラクトースOGSP結果を示している。特に、経口投与ガラクトースOGSP値は、静脈内注射ガラクトースGSP値よりも高い。
図11、
図12、および表5から、肝機能正常群の対象の経口投与ガラクトースOGSP値は、主に264~372μg/ml(平均±2*標準誤差)の範囲内であり、肝機能の軽度または中等度の障害群の対象の経口投与ガラクトースOGSP値は、主に510~670μg/mlの範囲内にあると決定することができる。肝機能の重度の障害群の対象の経口投与ガラクトースOGSP値は、主に681~873μg/ml(平均±2*標準誤差)の範囲内にある。個体差により対象の結果が変動したとしても、肝機能正常群の対象の経口投与ガラクトースOGSP値は、概して670μg/mlを超えず、肝機能障害群の対象のOGSP値は、概して370μg/mlよりも大きい。したがって、OGSP値が370μg/mlよりも大きい対象では、さらなる肝機能試験を実施すべきである。静脈内注射に加えて、同様の結果が、他の注射または他の投与方法によって得られた。
【0066】
【0067】
実施形態5:新生児ガラクトース血症スクリーニング
ガラクトース血症は、患者に十分なガラクトース砕屑酵素がなく、その結果、ガラクトースが体内に蓄積するという事実に起因する遺伝性疾患である。これは、眠気、嘔吐、下痢、正常な成長の機能不全、黄斑などの症状をもたらす。新生のスクリーニングを通して、乳児の母乳に有害な影響がないことを確認することができる。本発明のガラクトースメーターは、新生児ガラクトース血症のスクリーニングに使用され得る。試験新生児ガラクトース血症スクリーニングは、タンパク質またはラクトースの消化に依存しないが、幼児の最初の生体試料を採用しているため、スクリーニング前にガラクトース組成物を採取する必要はなく、生体試料は、爪先からサンプリングされる。生体試料のガラクトース値がl00μg/mlよりも大きいことが検出された場合、これは、新生における新生児のガラクトース血症のリスクを表し、さらなる検査が必要である。
【0068】
実施形態6:半自動アーム動作分析
図13は、ガラクトース単一点方法で半自動ロボットアームを使用して実施されるガラクトースの迅速な定量的検出システムの従来のろ紙酵素分析と酵素分析との間の比較を示している。分析は、静脈内注射ガラクトースGSPおよび経口投与ガラクトースOGSPに分けられ、ここで、静脈内注射ガラクトースGSPのガラクトースの迅速な定量的検出システムの従来のろ紙酵素分析および酵素分析の相関係数は、0.963であり、経口投与ガラクトースOGSPの相関係数は、0.927である。結論として、静脈内注射ガラクトースGSPおよび経口投与ガラクトースOGSPの両方が、0.9を超える高い相関係数を有する。したがって、本発明のガラクトースの迅速な検出システムは、大規模生産を介して生産され得る。
【0069】
要約すると、本発明によって提供されるガラクトースの迅速な定量的検出システムは、正確度および精度によって既に試験されており、肝機能を検出し、ガラクトース血症に対する新生児スクリーニングなどのガラクトース関連疾患を検査するために使用され得、医療スタッフまたは患者の身体状態を判定して、さらなる検査が必要かどうかを決定することができる。
【国際調査報告】