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特表2022-505200希釈安定性に優れたテニポシド注射用溶液及びその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】希釈安定性に優れたテニポシド注射用溶液及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7048 20060101AFI20220106BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220106BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220106BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20220106BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20220106BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20220106BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20220106BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220106BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20220106BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
A61K31/7048
A61K47/40
A61P35/00
A61K9/08
A61K47/32
A61K47/20
A61K47/34
A61K47/02
A61K47/10
A61K47/18
A61K47/22
A61P35/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521150
(86)(22)【出願日】2018-10-17
(85)【翻訳文提出日】2021-05-14
(86)【国際出願番号】 CN2018110655
(87)【国際公開番号】W WO2020077564
(87)【国際公開日】2020-04-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521056560
【氏名又は名称】江▲蘇▼▲領▼航生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU LINGHANG BIOLOGICAL TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Floor 3,No.23,C5 Building,Hongfeng Kejiyuan, Nanjing Economic And Technological Development Zone,Nanjing,Jiangsu 210038, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王▲剛▼
(72)【発明者】
【氏名】董祥玉
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼研博
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076BB11
4C076CC27
4C076DD04
4C076DD05
4C076DD22
4C076DD25
4C076DD26
4C076DD38
4C076DD42
4C076DD51
4C076DD59
4C076EE06
4C076EE16
4C076EE23
4C076EE39
4C076FF11
4C076FF14
4C076FF36
4C076FF61
4C076GG41
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA11
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA66
4C086NA03
4C086ZB26
4C086ZB27
(57)【要約】
本発明は希釈安定性がよいテニポシド注射用溶液及びその調製方法を開示する。テニポシド、シクロデキストリン、安定剤及び付加剤を含むテニポシド注射用溶液又は粉末注射剤であって、テニポシド:シクロデキストリンの質量比は1:5~20である。市販のテニポシド注射液(VUMON)に比べると、本発明のテニポシドは不含ポリオキシエチレンヒマシ油、ベンジルアルコール及びN,N-ジメチルアセトアミドを含まない、毒性や副作用が少なく、患者さんの副作用が少なく、コンプライアンスも良好である。本発明のテニポシド製剤は、優れた希釈安定性を有し、希釈プロセス中に希釈または沈殿が起こらず、最終濃度までに希釈したとき、12時間安定して保存でき、沈殿せず、調製プロセスが単純であり、コストが低い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テニポシドとシクロデキストリンとからなり、テニポシド:シクロデキストリンの質量比は1:5~20であり、好ましくは1:10~15であり、より好ましくは1:12であることを特徴とする、テニポシド組成物。
【請求項2】
前記シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、マンノシル-β-シクロデキストリン又はガラクトシル-β-シクロデキストリンから選ばれた1種又は複数種であり、好ましくはスルホブチル-β-シクロデキストリンであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のテニポシド組成物の、テニポシド注射用溶液又は粉末注射剤の調製への使用。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の組成物に加えて、更に安定剤及び付加剤を含むことを特徴とする、テニポシド注射用溶液又は粉末注射剤。
【請求項5】
前記安定剤は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ポロキサマー、ポリエチレングリコールから選ばれたいずれか1種又は複数種であり、テニポシドと安定剤との質量比は1:20~100であり、好ましくは1:35~80であり、より好ましくは1:40~50であることを特徴とする、請求項4に記載のテニポシド注射用溶液又は粉末注射剤。
【請求項6】
前記付加剤は浸透圧調整剤、pH値調整剤、金属イオン錯化剤、酸化防止剤から選ばれたいずれか1種又は複数種であり、前記浸透圧調整剤はプロピレングリコール、グリセロール、マンニトールから選ばれたいずれか1種又は複数種であり、前記pH値調整剤は塩酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ソルビン酸、リポ酸、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、グリシン、リン酸二水素ナトリウムから選ばれたいずれか1種又は複数種であり、前記金属イオン錯化剤はエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸カリウム塩から選ばれたいずれか1種又は複数種であり、前記酸化防止剤は亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ビタミンCから選ばれたいずれか1種又は複数種であり、テニポシドと付加剤との質量比は1:1~10であり、より好ましくは1:1~5であることを特徴とする、請求項4に記載のテニポシド注射用溶液又は粉末注射剤。
【請求項7】
前記テニポシド注射用溶液又は粉末注射剤は主に、テニポシド、シクロデキストリン、安定剤、付加剤及び注射用水を含み、テニポシド:シクロデキストリンの質量比は1:5~20であり、テニポシドと安定剤との質量比は1:20~100であり、テニポシドと付加剤との質量比は1:1~10であることを特徴とする、請求項4に記載のテニポシド注射用溶液又は粉末注射剤。
【請求項8】
前記テニポシド注射用溶液は主に:
シクロデキストリン、安定剤及び付加剤を取り、注射用水に溶解させ、水相になり、シクロデキストリンの水相における最終濃度は5%~35%であり、好ましくは15%~35%であるステップ(1)と、
テニポシドを取り、有機溶剤に溶解させ、有機相になり、テニポシドの有機相における最終濃度は0.5%~1%であり、前記有機溶剤はアセトン、メタノール、エタノール又はクロロホルムから選ばれたいずれか1種又は複数種であるステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた有機相とステップ(1)で得られた水相を十分に混合した後、有機溶剤を除去し、注射用水の容量を一定にさせ、テニポシド組成物を得るステップ(3)と、
により調製されることを特徴とする、請求項4に記載のテニポシド注射用溶液又は粉末注射剤。
【請求項9】
シクロデキストリン、安定剤及び付加剤を取り、注射用水に溶解させ、水相になり、シクロデキストリンの水相における最終濃度は5%~35%であり、好ましくは15%~35%であるステップ(1)と、
テニポシドを取り、有機溶剤に溶解させ、有機相になり、テニポシドの有機相における最終濃度は0.5%~1%であり、前記有機溶剤はアセトン、メタノール、エタノール又はクロロホルムから選ばれたいずれか1種又は複数種であるステップ(2)と、
テニポシド:シクロデキストリンの質量比が1:5~20となるようにステップ(2)で得られた有機相とステップ(1)で得られた水相を十分に混合した後、有機溶剤を除去し、注射用水の容量を一定にさせ、テニポシド組成物を得るステップ(3)と、
を含むことを特徴とする、請求項4に記載のテニポシド注射用溶液の調製方法。
【請求項10】
有機溶剤を除去するステップは、室温で、攪拌しながら有機相を水相に入れ、0.5時間充分に攪拌した後、低負圧で継続して2時間攪拌した後、高真空状態で継続して1時間攪拌し、前記低負圧条件は-0.01~-0.03Mpaであり、前記高真空状態の圧力は-0.1Mpaであることを特徴とする、請求項9に記載の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬品技術分野に属し、具体的には、希釈安定性に優れたテニポシド注射用溶液及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テニポシド(Teniposide,Vumon,VM-26)は、ブモン、ブイエム26、ポドフィラムメチレングルコシド、バンライ、チオフェノポドフィロシドとも称し、植物由来の抗腫瘍薬に属し、ポドフィロトキシンの半合成誘導体である。テニポシドは、サイクル特異的な細胞毒性薬であり、DNAトポイソメラーゼIIを抑制し、二本鎖または一本鎖の損傷を引き起こし、S後期またはG2前期に細胞分裂を停止させ、これによって、腫瘍細胞分裂を妨げ、腫瘍増殖を抑制する。テニポシドは治療効果が顕著であり、その生物活性が同種の薬剤エトポシドの5~10であり、臨床データによると、テニポシドは副作用が少なく、毒性が低く、肝臓や腎臓の機能に明らかな影響がないことが分かる。テニポシドは広範囲の抗腫瘍活性を有するため、通常、他の抗がん剤と臨床的に組み合わせ、主に悪性リンパ腫、ホジキン病、急性リンパ芽細胞性白血病、神経膠芽腫、空血管腫、星状細胞腫、膀胱がん、神経芽細胞腫及び小児の他の固形腫瘍などに使用される。また、小細胞肺がん、卵巣がん、乳がん、多発性骨髄腫、非小細胞肺がんなどの治療にも使用される。さらに、中性の親油性により、血液脳関門を通過することができ、現在、脳腫瘍の臨床治療のための最初の選択肢になる。1992年、テニポシド注射液が小児急性リンパ芽球性白血病の化学療法に利用されることは米国FDAによって正式に承認され、その商品名は「VUMON」(ブモン)である。我が国は21世紀の始めに模倣して成功し、その商品名は「バンライ」である。
【0003】
テニポシド自体は水にほとんど溶けないため、有機溶媒に溶解し、界面活性剤を添加して可溶化する必要がある。市販の製剤の処方組成は次のとおりである。各アンプル(5ml)には、50mgのテニポシド、150mgのベンジルアルコール、300mgのN,N-ジメチルアセトアミド、2.5gのポリオキシエチレンヒマシ油(Cremophor EL)、42.7%(v/v)の無水エタノールが含まれる。臨床単独使用の場合、体表面積50~100mg/mで投与され、5%のブドウ糖溶液または生理食塩水で希釈され、静脈内に点滴される。市販の製剤の臨床使用における主な問題は、処方に大量のポリオキシエチレンヒマシ油が含まれ、使用後に体内でヒスタミンを放出させ、重度のアレルギー反応を引き起こす恐れがある。これらのアレルギー反応には、気管支痙攣、息切れ、倦怠感、低血圧などが含まれる。このため、医師は、患者が医師の診察を受ける前に、患者のアレルギー歴を理解する必要があり、例えば、テニポシドやヒマシ油などにアレルギーがあるかどうかなどが挙げられる。臨床使用中、医療スタッフは患者の状態を注意深く観察し、必要に応じて抗ヒスタミン薬を使用し、ポリオキシエチレンヒマシ油によって引き起こされる重度のアレルギー反応を軽減し、その結果、臨床的に適用することは非常に不便であり、患者に大きな痛みを引き起こし、コンプライアンスが悪い。ポリオキシエチレンヒマシ油がポリ塩化ビニルプラスチック製の容器、注射器、輸液バッグに接触すると、可塑剤のフタル酸ジエチルが浸出し、毒性反応を引き起こす。市販の注射剤に含まれるベンジルアルコールは、新生児に損傷を与える可能性があり、子供の筋肉内注射は禁止される。市販の注射剤は希釈すると安定性が低く、結晶が沈殿して微細な沈殿物を形成し、患者の局所血管を塞ぐ。1mg/mLの濃度のテニポシド溶液は、沈殿の可能性を減らすために、室温で通常の消灯下で保管した場合、4時間以内に使い切る必要がある。希釈注射液は、長期間の注入中に沈殿が生じることが多く、注入プロセス中に時々沈殿状態を観察する必要がある。
【0004】
近年、国内外の薬学当業者は、ポリオキシエチレンヒマシ油を削減または交換して薬効を改善し、有毒な副作用を軽減するための新たなドラッグデリバリーシステムの研究に専念する。例えば、全身投与用のリポソーム、リン脂質複合体、トゥイーン含有医薬組成物、エマルジョン、局所投与用のミクロスフェア調製物およびゲル調製物、ならびに経口投与用のマイクロエマルジョン調製物などが挙げられる。しかし、これらの新たなドラッグデリバリーシステムには、界面活性剤(ポリオキシエチレンヒマシ油またはトゥイーン80)の毒性があり、コストが高く、調製プロセスが複雑などの問題が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、希釈安定性に優れた、有機溶剤刺激性が小さいテニポシド注射用溶液を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、このテニポシド注射用溶液の調製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は以下の技術案により実現される。
【0008】
テニポシドとシクロデキストリンとからなり、テニポシド:シクロデキストリンの質量比は1:5~20であり、好ましくは1:10~15であり、より好ましくは1:12であるテニポシド組成物。
【0009】
好ましくは、前記シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-スルホブチル-β-シクロデキストリンから選ばれた1種又は複数種であり、好ましくはスルホブチル-β-シクロデキストリンである。
【0010】
テニポシド注射用溶液又は粉末注射剤の調製における本発明に記載のテニポシド組成物の使用。
【0011】
本発明に記載のテニポシド組成物に加えて、さらに、安定剤及び付加剤を含むテニポシド注射用溶液又は粉末注射剤。
【0012】
好ましくは、前記安定剤はポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ポロキサマー、ポリエチレングリコールから選ばれたいずれか1種又は複数種であり、テニポシドと安定剤との質量比は1:20~100であり、より好ましくは1:20~80であり、さらに好ましくは1:40~50である。
【0013】
前記付加剤は浸透圧調整剤、pH値調整剤、金属イオン錯化剤、酸化防止剤から選ばれたいずれか1種又は複数種であり、前記浸透圧調整剤はプロピレングリコール、グリセロール、マンニトールのうちのいずれか1種又は複数種から選ばれ、前記pH値調整剤は塩酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ソルビン酸、リポ酸、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、グリシン、リン酸二水素ナトリウムから選ばれたいずれか1種又は複数種であり、前記金属イオン錯化剤はエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸カリウム塩から選ばれたいずれか1種又は複数種であり、前記酸化防止剤は亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ビタミンCから選ばれたいずれか1種又は複数種であり、テニポシドと付加剤との質量比は1:1~10であり、より好ましくは1:1~5である。
【0014】
より好ましくは、前記テニポシド注射用溶液又は粉末注射剤は主に、テニポシド、シクロデキストリン、安定剤、付加剤及び注射用水を含み、テニポシド:シクロデキストリンの質量比は1:5~20であり、テニポシドと安定剤との質量比は1:20~100であり、テニポシドと付加剤との質量比は1:1~10である。
【0015】
好ましくは、前記テニポシド注射用溶液は主に:
シクロデキストリン、安定剤及び付加剤を取り、注射用水に溶解させ、水相になり、シクロデキストリンの水相における最終濃度は最終体積の5%~35%(g/100mL)であり、好ましくは15%~35%であるステップ(1)と、
テニポシドを取り、有機溶剤に溶解させ、有機相になり、テニポシドの有機相における最終濃度は0.5%~1%(g/100mL)であるステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた有機相とステップ(1)で得られた水相を十分に混合した後、有機溶剤を除去し、注射用水の容量を一定にさせ、テニポシド組成物を得るステップ(3)とにより調製される。
【0016】
好ましくは、前記有機溶剤はアセトン、メタノール、エタノール又はクロロホルムから選ばれたいずれか1種又は複数種である。
【0017】
本発明に記載のテニポシド注射用溶液の調製方法は:
シクロデキストリン、安定剤及び付加剤を取り、注射用水に溶解させ、水相になり、シクロデキストリンは最終体積の5%~35%(g/100mL)であり、好ましくは15%~35%であるステップ(1)と、
テニポシドを取り、有機溶剤に溶解させ、有機相になり、テニポシドの有機相における最終濃度は0.5%~1%である(g/100mL)ステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた有機相とステップ(1)で得られた水相を1:1.5~1.8体積比で十分に混合した後、有機溶剤を除去し、注射用水の容量を一定にさせ、テニポシド組成物を得るステップ(3)と、を含む。
【0018】
好ましくは、前記有機溶剤はアセトン、メタノール、エタノール又はクロロホルムから選ばれるものである。
【0019】
前記有機溶剤を除去するステップは、室温で、攪拌しながら有機相を水相に入れ、0.5時間、十分に攪拌した後、低負圧で継続して2時間攪拌した後、高真空状態で継続して1時間攪拌し、前記低負圧条件は-0.01~-0.03Mpaであり、前記高真空状態の圧力は-0.1Mpaである。
【発明の効果】
【0020】
本発明のテニポシド組成物は、比較的大きな副作用を有するベンジルアルコール、ジメチルアセトアミド及びポリオキシエチレンヒマシ油などの補助材料の使用を回避し、補助材料によって引き起こされる副作用を予想通りに低減し、患者のコンプライアンスを改善することができる。
【0021】
希釈工程では、市販の製剤の模倣品を慎重に取り扱う必要があり、注射液を激しく希釈溶媒に注入すると、結晶化の可能性が高くなり、本発明の製剤にはこの欠陥がなく、薬液の調製による最終注入の品質影響のリスクが低下され、医療スタッフの使用に便利である。
【0022】
本発明のテニポシド組成物は、希釈プロセス中に沈殿および沈殿物を形成することが容易という市販のテニポシド注射の欠点を解決し、注入針または血管閉塞のリスクを低減し、臨床使用に便利である。
【0023】
本発明は、減圧下で有機溶媒を抽出するプロセスを最適化することにより、希釈プロセス中に生成物が不安定であるという欠陥を改善する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
【実施例
【0025】
実施例1
600mgのスルホブチル-β-シクロデキストリン、2000mgのPEG300、60mgのPVPk12、60mgのクエン酸を取り、3mLの注射用水に溶解させ、水相に調製した。
【0026】
50mgのテニポシドを取り、2.5mLのエタノール及び2.5mLのアセトンを入れて溶解させ、有機相に調製した。
【0027】
室温で、攪拌しながら有機相を水相に入れ、0.5時間、十分攪拌した後、低負圧(-0.01~-0.03Mpa)で2時間攪拌した後、高真空状態(約-0.1Mpa)で1時間攪拌し、注射用水を5mLにし、テニポシド注射剤製剤を得た。得られたテニポシド注射剤製剤は4℃で密封されて保存され、静脈注射剤として直接使用され、又は5%ブドウ糖溶液又は生理食塩水に入れて点滴に使用された。
【0028】
実施例2
1000mgのスルホブチル-β-シクロデキストリン、1700mgのPEG400、60mgのポロキサマー、60mgのグリシンを取り、3mLの注射用水に溶解させ、水相に調製した。
【0029】
50mgのテニポシドを取り、5mLのエタノールを入れ、有機相に調製した。
【0030】
室温で、攪拌しながら有機相を水相に入れ、0.5時間、十分攪拌した後、低負圧(-0.01~-0.03Mpa)で2時間攪拌した後、高真空状態(約-0.1Mpa)で1時間攪拌し、注射用水を5mLにし、テニポシド注射剤製剤を得た。得られたテニポシド注射剤製剤は4℃で密封されて保存され、静脈注射剤として直接使用され、又は5%ブドウ糖溶液又は生理食塩水に入れて点滴に使用された。
【0031】
実施例3
600mgのスルホブチル-β-シクロデキストリン、2000mgのPEG400、80mgのPVPk17、60mgのリポ酸を取り、3mLの注射用水に溶解させ、水相に調製した。
【0032】
50mgのテニポシドを取り、5mLのエタノールを入れ、有機相に調製した。
【0033】
室温で、攪拌しながら有機相を水相に入れ、0.5時間、十分攪拌した後、低負圧(-0.01~-0.03Mpa)で2時間攪拌した後、高真空状態(約-0.1Mpa)で1時間攪拌し、注射用水を5mLにし、テニポシド注射剤製剤を得た。得られたテニポシド注射剤製剤は4℃で密封されて保存され、静脈注射剤として直接使用され、又は5%ブドウ糖溶液又は生理食塩水に入れて点滴に使用された。
【0034】
実施例4
800mgのスルホブチル-β-シクロデキストリン、2000mgのPEG400、100mgのPVPk30、80mgのリポ酸を取り、3mLの注射用水中に溶解させ、水相に調製した。
【0035】
50mgのテニポシドを取り、5mLのアセトンを入れ、有機相に調製した。
【0036】
室温で、攪拌しながら有機相を水相に入れ、0.5時間、十分攪拌した後、低負圧(-0.01~-0.03Mpa)で2時間攪拌した後、高真空状態(約-0.1Mpa)で1時間攪拌し、注射用水を5mLにし、テニポシド注射剤製剤を得た。得られたテニポシド注射剤製剤は4℃で密封されて保存され、静脉注射剤として直接使用され、又は5%ブドウ糖溶液又は生理食塩水に入れて点滴に使用された。
【0037】
実施例5
600mgのスルホブチル-β-シクロデキストリン、2400mgのPEG400、60mgのPVPk30、60mgのグリシンを取り、3mLの注射用水に溶解させ、水相に調製した。
【0038】
50mgのテニポシドを取り、5mLのアセトンを入れ、有機相に調製した。
【0039】
室温で、攪拌しながら有機相を水相に入れ、0.5時間、十分攪拌した後、低負圧(-0.01~-0.03Mpa)で2時間攪拌した後、高真空状態(約-0.1Mpa)で1時間攪拌し、注射用水を5mLにし、テニポシド注射剤製剤を得た。得られたテニポシド注射剤製剤は4℃で密封されて保存され、静脉注射剤として直接使用され、又は5%ブドウ糖溶液又は生理食塩水に入れて点滴に使用された。
【0040】
実施例6
500mgのスルホブチル-β-シクロデキストリン、2400mgのPEG400、100mgのPVPk30、25mgのグリシンを取り、3mLの注射用水に溶解させ、水相に調製した。
【0041】
25mgのテニポシドを取り、5mLのアセトンを入れ、有機相に調製した。
【0042】
室温で、攪拌しながら有機相を水相に入れ、1時間、十分攪拌した後、低負圧(-0.01~-0.03Mpa)で2時間攪拌した後、高真空状態(約-0.1Mpa)で1時間攪拌し、注射用水を5mLにし、テニポシド注射剤製剤を得た。得られたテニポシド注射剤製剤は4℃で密封されて保存され、静脈注射剤として直接使用され、又は5%ブドウ糖溶液又は生理食塩水に入れて点滴に使用された。
【0043】
実施例7
500mgのスルホブチル-β-シクロデキストリン、1800mgのPEG400、200mgのPVPk30、50mgのグリシンを取り、3mLの注射用水に溶解させ、水相に調製した。
【0044】
25mgのテニポシドを取り、5mLのアセトンを入れ、有機相に調製した。
【0045】
室温で、攪拌しながら有機相を水相に入れ、1時間、十分攪拌した後、低負圧(-0.01~-0.03Mpa)で2時間攪拌した後、高真空状態(約-0.1Mpa)で1時間攪拌し、注射用水を5mLにし、テニポシド注射剤製剤を得た。得られたテニポシド注射剤製剤は4℃で密封されて保存され、静脈注射剤として直接使用され、又は5%ブドウ糖溶液又は生理食塩水に入れて点滴に使用された。
【0046】
実施例8
250mgのスルホブチル-β-シクロデキストリン、2500mgのPEG400、250mgのグリシンを取り、3mLの注射用水に溶解させ、水相に調製した。
【0047】
50mgのテニポシドを取り、5mLのアセトンを入れ、有機相に調製した。
【0048】
室温で、攪拌しながら有機相を水相に入れ、1時間、十分攪拌した後、低負圧(-0.01~-0.03Mpa)で2時間攪拌した後、高真空状態(約-0.1Mpa)で1時間攪拌し、注射用水を5mLにし、テニポシド注射剤製剤を得た。得られたテニポシド注射剤製剤は4℃で密封されて保存され、静脈注射剤として直接使用され、又は5%ブドウ糖溶液又は生理食塩水に入れて点滴に使用された。
【0049】
実施例9
1000mgのヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、1700mgのPEG400、60mgのポロキサマー、60mgのグリシンを取り、3mLの注射用水に溶解させ、水相に調製した。
【0050】
50mgのテニポシドを取り、5mLのエタノールを入れ、有機相に調製した。
【0051】
室温で、攪拌しながら有機相を水相に入れ、0.5時間、十分攪拌した後、低負圧(-0.01~-0.03Mpa)で2時間攪拌した後、高真空状態(約-0.1Mpa)で1時間攪拌し、注射用水を5mLにし、テニポシド注射剤製剤を得た。得られたテニポシド注射剤製剤は4℃で密封されて保存され、静脉注射剤として直接使用され、又は5%ブドウ糖溶液又は生理食塩水に入れて点滴に使用された。
【0052】
実施例10
1000mgのヒドロキシプロピル-スルホブチル-β-シクロデキストリン、1700mgのPEG400、60mgのポロキサマー、60mgのグリシンを取り、3mLの注射用水に溶解させ、水相に調製した。
【0053】
50mgのテニポシドを取り、5mLエタノールを入れ、有機相に調製した。
【0054】
室温で、攪拌しながら有機相を水相に入れ、0.5時間、十分攪拌した後、低負圧(-0.01~-0.03Mpa)で2時間攪拌した後、高真空状態(約-0.1Mpa)で1時間攪拌し、注射用水を5mLにし、テニポシド注射剤製剤を得た。得られたテニポシド注射剤製剤は4℃で密封されて保存され、静脉注射剤として直接使用され、又は5%ブドウ糖溶液又は生理食塩水に入れて点滴に使用された。
【0055】
比較例1
市販のテニポシド注射液処方で比較例1を調製し、50mgのテニポシド、300mgのN,Nジメチルアセトアミド、150mgのベンジルアルコール、2500mgのポリオキシエチル化ヒマシ油、pHを5左右にする適量マレイン酸及び42.7%(v/v,製剤総体積を基准とし、以下は同じである)の無水エタノールを取り、均一に攪拌した後、希釈安定性を比較するための市販対比組とする。
【0056】
比較例2
600mgのスルホブチル-β-シクロデキストリンを取り、5mLの注射用水に溶解させ、水相に調製した。
【0057】
50mgのテニポシドを取り、5mLのアセトンを入れ、有機相に調製した。
【0058】
室温で、攪拌しながら有機相を水相に入れ、1時間、十分攪拌した後、低負圧(-0.01~-0.03Mpa)で2時間攪拌した後、高真空状態(約-0.1Mpa)で1時間攪拌し、1日静置し、結晶が現れた。
【0059】
比較例3
250mgのスルホブチル-β-シクロデキストリンを取り、5mLの注射用水に溶解させ、水相に調製した。
【0060】
50mgのテニポシドを取り、水相に入れた。
【0061】
室温で、3時間、十分攪拌した後、清澄な溶液を調製できなかった。
【0062】
比較例4
600mgのスルホブチル-β-シクロデキストリンを取り、5mLの注射用水に溶解させ、水相に調製した。
【0063】
50mgのテニポシドを取り、水相に入れた。
【0064】
室温で、3時間、十分攪拌した後、清澄な溶液を調製できなかった。
【0065】
比較例5
600mgのスルホブチル-β-シクロデキストリン、60mgのグリシンを取り、5mLの注射用水に溶解させ、水相に調製した。
【0066】
50mgのテニポシドを取り、5mLのアセトンを入れ、有機相に調製した。
【0067】
室温で、攪拌しながら有機相を水相に入れ、1時間、十分攪拌した後、低負圧(-0.01~-0.03Mpa)で2時間攪拌した後、高真空状態(約-0.1Mpa)で1時間攪拌し、1日静置し、結晶が現れた。
【0068】
比較例6
600mgのスルホブチル-β-シクロデキストリン、60mgのPVPK17を取り、5mLの注射用水に溶解させ、水相に調製した。
【0069】
50mgのテニポシドを取り、5mLのアセトンを入れ、有機相に調製した。
【0070】
室温で、攪拌しながら有機相を水相に入れ、1時間、十分攪拌した後、低負圧(-0.01~-0.03Mpa)で2時間攪拌した後、高真空状態(約-0.1Mpa)で1時間攪拌し、1日静置し、結晶が現れた。
【0071】
比較例7
600mgのスルホブチル-β-シクロデキストリン、60mgのクエン酸を取り、5mLの注射用水に溶解させ、水相に調製した。
【0072】
50mgのテニポシドを取り、5mLのアセトンを入れ、有機相に調製した。
【0073】
室温で、攪拌しながら有機相を水相に入れ、1時間、十分攪拌した後、低負圧(-0.01~-0.03Mpa)で2時間攪拌した後、高真空状態(約-0.1Mpa)で1時間攪拌し、1日静置し、結晶が現れた。
【0074】
比較例8
600mgのスルホブチル-β-シクロデキストリン、2000mgのPEG300、60mgのPVPk12、60mgのクエン酸を取り、3mLの注射用水に溶解させ、水相に調製した。
【0075】
50mgのテニポシドを取り、2.5mLのエタノールと2.5mLのアセトンを入れて溶解させ、有機相に調製した。
【0076】
室温で、攪拌しながら有機相を水相に入れ、3時間、十分攪拌した後、高真空状態(約-0.1Mpa)で1時間攪拌し、注射用水を5mLにし、テニポシド組成物を得た。得られたテニポシド混合物は4℃で密封されて保存され、静脈注射剤として直接使用され、又は5%ブドウ糖溶液又は生理食塩水に入れて点滴に使用された。
【0077】
効果実験例1
比較例2、5、6、7、8には、保存中、主薬が沈殿した現象が存在し、比較例3、4は理想的な注射用水溶液を調製できなかった。本効果実験例は実施例1~8及び比較例1、8で調製したテニポシド組成物に対して希釈安定性実験を行い、この実験には、テニポシド組成物を生理食塩水又は5%ブドウ糖溶液で50mL、100mL、250mL及び500mLに希釈させ、各希釈体積で6部調製し、室温と自然光照条件で0.5時間と12時間静置して、沈殿情況を記録した。沈殿が現れたサンプルの数を記録した。表1及び表2の結果から見れば、希釈体積と静置時間の増加に従い、市販製剤の模倣品が沈殿した割合は著しく増加し、実施例1~8で調製したサンプルは希釈実験での安定性が良好であった。低真空と高真空という2ステップで有機溶剤を分離することは、直接高真空で有機溶剤を分離することより、安定性がよい。希釈操作プロセスにおいて、市販製剤の模倣品の吸い取りと注射プロセスにおいて、動作をできるだけ優しくさせて、そうでないと、素早く結晶化することが分かる。本発明により提供される注射剤はこのような現象が存在しない。表1及び表2の結果によれば、模倣市販製剤と本発明における製剤は、生理食塩水と5%ブドウ糖希釈液における希釈安定性に差異がない。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
本発明のテニポシド組成物は、比較的大きな副作用を有するベンジルアルコール、ジメチルアセトアミド及びポリオキシエチレンヒマシ油などの補助材料の使用を回避し、補助材料によって引き起こされる副作用を予想通りに低減し、患者のコンプライアンスを改善することができる。
【0081】
希釈工程では、市販の製剤の模倣品を慎重に取り扱う必要があり、注射液を激しく希釈溶媒に注入すると、結晶化の可能性が高くなり、本発明の製剤にはこの欠陥がなく、薬液の調製による最終注入の品質影響のリスクが低下され、医療スタッフの使用に便利である。
【0082】
本発明のテニポシド組成物は、希釈プロセス中に沈殿および沈殿物を形成することが容易という市販のテニポシド注射の欠点を解決し、注入針または血管閉塞のリスクを低減し、臨床使用に便利である。
【0083】
本発明は、減圧下で有機溶媒を抽出するプロセスを最適化することにより、希釈プロセス中に生成物が不安定であるという欠陥を改善する。
【手続補正書】
【提出日】2021-05-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テニポシドとシクロデキストリンとからなり、テニポシド:シクロデキストリンの質量比は1:5~20であり、好ましくは1:10~15であり、より好ましくは1:12であることを特徴とする、テニポシド組成物。
【請求項2】
前記シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、マンノシル-β-シクロデキストリン又はガラクトシル-β-シクロデキストリンから選ばれた1種又は複数種であり、好ましくはスルホブチル-β-シクロデキストリンであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のテニポシド組成物の、テニポシド注射用溶液又は粉末注射剤の調製への使用。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の組成物に加えて、更に安定剤及び付加剤を含むことを特徴とする、テニポシド注射用溶液又は粉末注射剤。
【請求項5】
前記安定剤は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ポロキサマー、ポリエチレングリコールから選ばれたいずれか1種又は複数種であり、テニポシドと安定剤との質量比は1:20~100であり、好ましくは1:35~80であり、より好ましくは1:40~50であることを特徴とする、請求項4に記載のテニポシド注射用溶液又は粉末注射剤。
【請求項6】
前記付加剤は浸透圧調整剤、pH値調整剤、金属イオン錯化剤、酸化防止剤から選ばれたいずれか1種又は複数種であり、前記浸透圧調整剤はプロピレングリコール、グリセロール、マンニトールから選ばれたいずれか1種又は複数種であり、前記pH値調整剤は塩酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ソルビン酸、リポ酸、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、グリシン、リン酸二水素ナトリウムから選ばれたいずれか1種又は複数種であり、前記金属イオン錯化剤はエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸カリウム塩から選ばれたいずれか1種又は複数種であり、前記酸化防止剤は亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ビタミンCから選ばれたいずれか1種又は複数種であり、テニポシドと付加剤との質量比は1:1~10であり、より好ましくは1:1~5であることを特徴とする、請求項4に記載のテニポシド注射用溶液又は粉末注射剤。
【請求項7】
前記テニポシド注射用溶液又は粉末注射剤は主に、テニポシド、シクロデキストリン、安定剤、付加剤及び注射用水を含み、テニポシド:シクロデキストリンの質量比は1:5~20であり、テニポシドと安定剤との質量比は1:20~100であり、テニポシドと付加剤との質量比は1:1~10であることを特徴とする、請求項4に記載のテニポシド注射用溶液又は粉末注射剤。
【請求項8】
前記テニポシド注射用溶液は主に:
シクロデキストリン、安定剤及び付加剤を取り、注射用水に溶解させ、水相になり、シクロデキストリンの水相における最終濃度は5%~35%であり、好ましくは15%~35%であるステップ(1)と、
テニポシドを取り、有機溶剤に溶解させ、有機相になり、テニポシドの有機相における最終濃度は0.5%~1%であステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた有機相とステップ(1)で得られた水相を十分に混合した後、有機溶剤を除去し、注射用水の容量を一定にさせ、テニポシド組成物を得るステップ(3)と、
により調製されることを特徴とする、請求項4に記載のテニポシド注射用溶液又は粉末注射剤。
【請求項9】
シクロデキストリン、安定剤及び付加剤を取り、注射用水に溶解させ、水相になり、シクロデキストリンの水相における最終濃度は5%~35%であり、好ましくは15%~35%であるステップ(1)と、
テニポシドを取り、有機溶剤に溶解させ、有機相になり、テニポシドの有機相における最終濃度は0.5%~1%であステップ(2)と、
テニポシド:シクロデキストリンの質量比が1:5~20となるようにステップ(2)で得られた有機相とステップ(1)で得られた水相を十分に混合した後、有機溶剤を除去し、注射用水の容量を一定にさせ、テニポシド組成物を得るステップ(3)と、
を含むことを特徴とする、請求項4に記載のテニポシド注射用溶液の調製方法。
【請求項10】
有機溶剤を除去するステップは、室温で、攪拌しながら有機相を水相に入れ、0.5時間充分に攪拌した後、低負圧で継続して2時間攪拌した後、高真空状態で継続して1時間攪拌し、前記低負圧条件は-0.01~-0.03Mpaであり、前記高真空状態の圧力は-0.1Mpaであることを特徴とする、請求項9に記載の調製方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
好ましくは、前記シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、マンノシル-β-シクロデキストリン又はガラクトシル-β-シクロデキストリンから選ばれた1種又は複数種であり、好ましくはスルホブチル-β-シクロデキストリンである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
テニポシド組成物のテニポシド注射用溶液又は粉末注射剤の調製の使用。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
好ましくは、前記安定剤はポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ポロキサマー、ポリエチレングリコールから選ばれたいずれか1種又は複数種であり、テニポシドと安定剤との質量比は1:20~100であり、より好ましくは1:35~80であり、さらに好ましくは1:40~50である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
本発明に記載のテニポシド注射用溶液の調製方法は:
シクロデキストリン、安定剤及び付加剤を取り、注射用水に溶解させ、水相になり、シクロデキストリンは最終体積の5%~35%(g/100mL)であり、好ましくは15%~35%であるステップ(1)と、
テニポシドを取り、有機溶剤に溶解させ、有機相になり、テニポシドの有機相における最終濃度は0.5%~1%である(g/100mL)ステップ(2)と、
テニポシド:シクロデキストリンの質量比が1:5~20となるようにステップ(2)で得られた有機相とステップ(1)で得られた水相十分に混合した後、有機溶剤を除去し、注射用水の容量を一定にさせ、テニポシド組成物を得るステップ(3)と、を含む。
【国際調査報告】