(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】口腔筋トレーニング装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
A61N1/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521159
(86)(22)【出願日】2019-10-17
(85)【翻訳文提出日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 GB2019052962
(87)【国際公開番号】W WO2020079436
(87)【国際公開日】2020-04-23
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517195446
【氏名又は名称】シグニファイア メディカル テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】アンシュール サマ
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ11
4C053JJ24
(57)【要約】
【課題】睡眠中の不規則な呼吸パターンを持続可能に減少させる、好ましくは覚醒状態で使用する治療システムを提供すること。
【解決手段】口腔筋緊張をトレーニングするための装置(100)であって、前記装置(100)は、マウスピース(103)を備えており、前記マウスピース(103)は、前記マウスピース(103)に接続された第1電極手段(132a、132b、133a、133b)と、使用者の口の外部に配置するための第2電極手段(152a、152b)と、第1(132a、132b、133a、133b)および第2(152a、152b)の電極手段に作動可能に接続された電気回路とを備えており、前記装置(100)は、使用時に、前記第1(132a、132b、133a、133b)および/または第2(152a、152b)の電極手段を介して、1つ以上の口腔筋に電気刺激を与えて、安静時の筋緊張および/または睡眠中の筋緊張を増加させるようになっており、前記第2電極手段(152a、152b)は、第1および第2の電極(152a、152b)を備えており、前記第2電極手段の前記第1および第2の電極(152a、152b)は、使用者の顔の正中線の横方向に配置または配置することができることを特徴とする。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔筋緊張をトレーニングするための装置であって、前記装置は、マウスピースを備えており、前記マウスピースは、前記マウスピースに接続された第1電極手段と、使用者の口の外部に配置するための第2電極手段と、前記第1および第2の電極手段に作動可能に接続された電気回路とを備えており、前記装置は、使用時に、前記第1および/または第2の電極手段を介して、1つ以上の口腔筋に電気刺激を与えて、安静時の筋緊張および/または睡眠中の筋緊張を増加させるようになっており、前記第2電極手段は、第1および第2の電極を備えており、前記第2電極手段の前記第1および第2の電極は、使用者の顔の正中線の横方向に配置されるか、または配置することができるようになっていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記第1および第2の電極は、使用者の口の外底の横方向に電流を印加するように配置されるかまたは構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1および第2の電極は、使用者の顎舌骨筋、オトガイ舌骨筋、および顎二腹筋の前腹のうちの1つ以上を刺激するようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1および第2の電極は、凹平面体であるか、またはその上またはその中に取り付けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記凹平面体は、四辺形、三角形、または円形の形状を有することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記凹平面体は、比較的広い近位部と比較的狭い遠位部とを有するか、またはその逆であることを特徴とする請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
コントローラをさらに備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記第2電極手段の前記第1および第2の電極に通電するようになっていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記コントローラは、前記第1電極手段に通電するようになっていることを特徴とする請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1電極手段は、第1および第2の電極を備えていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記第1電極手段の前記第1および第2の電極は、使用者の顔または口の外底の正中線の横方向に配置されるか、または配置することができるようになっていることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記マウスピースは第3電極手段を備えていることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記第3電極手段は、第1および第2の電極を備えていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第3電極手段の前記第1および第2の電極は、使用者の顔または口の外底の正中線の横方向に配置または配置することができることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
コントローラは、前記第2電極手段の前記第1および第2の電極ならびに前記第1電極手段および/または前記第3電極手段を、同じまたは異なる制御パラダイムで選択的に通電するようになっていることを特徴とする請求項12から14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
コントローラは、前記第2電極手段の前記第1および第2の電極ならびに前記第1電極手段を、同じまたは異なる制御パラダイムで選択的に通電するようになっていることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記制御パラダイムは、電流、振幅、周波数、パルス持続時間、パルス幅、波形、治療持続時間、治療周期、治療時間から選択されることを特徴とする請求項15または16に記載の装置。
【請求項18】
口腔筋緊張をトレーニングするための装置であって、前記装置は、第1支持体に取り付けられた第1電極と、第2支持体に取り付けられた第2電極とを備える第1電極手段を備えており、前記第1および第2の支持体は、前記第1および第2の電極が使用者の顔の正中線の横方向で使用者の口底の外面に係合することを可能にする凹面を備えていることを特徴とする装置。
【請求項19】
マウスピースをさらに備えていることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
使用時に、使用者の顔の正中線の横方向に電流を流すために、第1および第2の電極に通電するようになっているコントローラをさらに備えていることを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
前記マウスピースと前記第1電極手段との間に有線接続をさらに備えていることを特徴とする請求項1から17または19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
前記有線接続は、前記第1電極を前記マウスピースに接続する第1ワイヤと、前記第2電極を前記マウスピースに接続する第2ワイヤとを備えていることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとは同じ長さであることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
口腔底の1つ以上の筋肉をトレーニングするための方法または治療計画であって、使用者の頭部、例えば使用者の顔または口の外底において、前記顔の正中線の横方向に電極を設けまたは適用し、前記顔の前記正中線の横方向に電流を印加することを特徴とする方法。
【請求項25】
使用者の顎舌骨筋、オトガイ舌骨筋、および顎二腹筋の前腹のうちの1つ以上を刺激することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
舌骨および下咽頭の気道の位置を変えるのに十分な時間、電流を印加することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔筋トレーニングに関し、特に口腔筋トレーニング装置、トレーニング方法、トレーニングシステム及びトレーニング制御ソフトウェアに関する。より具体的には、本発明は、睡眠呼吸障害を治療するための口腔筋のトレーニング装置および方法に関するが、これらに限定するものではない。
【背景技術】
【0002】
鼾および睡眠時無呼吸は、しばしば、睡眠呼吸障害(SDB)と言われている多様な疾患の一部と考えられており、睡眠中に不規則な呼吸パターン症状を示す。SDBは、厄介なだけでなく、例えば、睡眠中の頻繁な覚醒、浅い睡眠、心臓へのストレス、血中の低酸素濃度、頭痛及び倦怠感等の健康上の問題を引き起こす恐れがある。また、SDBを呈している人のパートナーも、SDBの症状により疲労などを感じることがある。
【0003】
喉、鼻の背部と口の間のヒトの呼吸導管は、喉頭まで達しており、収縮可能なチューブである。呼吸導管の閉塞は、気道陽圧において発生し、鼾をかくこと、および/または睡眠時無呼吸症候群で苦しむことになり、他方、気道陰圧においては、そのようなことが発生しないことが観察されている。
【0004】
この現象に対処するために、幾つかの治療法が開発されて来た。これらの治療法は、持続的気道陽圧装置を使用して、呼吸導管を開いたままにするか、または下顎前方固定装置を装着して、顎及び舌を前方に保持し、喉の背部の空間を広げるものである。
【0005】
これらの装置は、喉の渇きなどの不快感を与える恐れがあり、根本的な原因に対処するのではなく、むしろ一時的な症状のみに対処するものである。これらの装置は、睡眠中に継続的に使用しなければならない。その結果、使用者にとって、就寝すること、または眠りを持続することが難しいことが分かり、使用基準を遵守することが困難になってしまう。したがって、睡眠中にそのような装置を継続的に使用する必要がなく、症状の根本的な原因に対処する治療を提供することが望ましい。
【0006】
最近の研究では、電気的神経刺激装置を舌と横隔膜に埋め込むことが、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療に有効であることを示している。これは、該当部位の神経にセンサおよび電極を埋め込む侵襲手術をするものである。この装置は、センサを使用することによる気道閉塞の症状を識別し、舌の神経を刺激して収縮を起こさせ、気道閉塞を緩和するものである。ペースメーカと同様に、これも、結果として、バッテリーの交換、電気分野に関連したリスク、及び外部安全検知装置に関係した問題などの保守・管理及び他のやっかいな問題をもたらす。更に、刺激は、睡眠中の気道閉塞の症状の間だけ発生し、状態の根本原因には対処していない。
【0007】
我々の特許である特許文献1では、使用者が口腔筋をトレーニングして筋緊張を改善し、それによってSDBの症状を解消または少なくとも抑制することができるSDBの治療用装置を開示している。使用者は通常、筋緊張を改善するために、覚醒状態のときにこの装置を使用する。一実施形態では、この装置は、上顎弓と下顎弓との間に配置するためのマウスピースと、舌の上面または背面に係合するための1対のフランジと、舌下面に係合するための1対のフランジとを有している。それぞれのフランジは、電極を含んでいる。装置に電源を入れると、オトガイ舌筋を標的にして、舌下面と舌背面の間の舌に電流が流れ、それにより舌の筋緊張が改善される。
【0008】
特許文献1で開示されている装置は、SDBの症状を減少させることが臨床的に証明されているが、使用者の口腔筋緊張をさらに改善するために、さらにまたは異なる方法論を適用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の最初の非排他的課題は、睡眠中の不規則な呼吸パターンを持続可能に減少させる、好ましくは覚醒状態で使用する治療システムを提供することである。本発明のさらに、より一般的な課題は、SDBの治療のための既存のシステムおよび装置よりも、少なくとも1つの点でより効果的な治療システムおよび装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明の第1の態様は、口腔筋緊張をトレーニングするための装置を提供することであって、この装置は、マウスピースを備えており、このマウスピースは、第1電極手段またはマウスピースに接続された第1電極セットと、使用者の口の外部に位置する第2電極手段または第2電極セットと、第1および第2の電極手段(または第1および第2電極セット)に作動可能に接続された電気回路とを備えており、
この装置は、使用時に、第1および/または第2電極手段(または第1および第2の電極セット)を介して、1つ以上の口腔筋および/または口底筋に電気刺激を与えて、安静時の筋緊張および/または睡眠中の筋緊張を増加させるようになっており、第2電極手段(または第2電極セット)は、第1および第2の電極を備えており、第2電極手段(または第2電極セット)の第1および第2の電極は、使用者の顔の正中線の横方向に配置または配置することができる。
【0012】
周知のように、顔の正中線は、額の上部から、鼻筋に沿って、鼻筋の隆起の中心に沿って、天使の弓の唇の下凸部を経由して、唇と下顎の中心に沿って伸びる名目上の線である。
【0013】
第1電極手段(または第1電極セット)は、第1および第2の電極を含むことができる。第1の電極手段(または第1電極セット)の第1および第2の電極は、使用者の顔の正中線の横方向および口の外底の横方向に配置または配置することができる。第1電極手段(または第1電極セット)は、使用時に舌下面に当接するように配置するまたは構成することができる。
【0014】
第2電極手段(または第2電極セット)の第1および第2の電極を正中線の横または横方向に配置することにより、使用者の正中線以外の筋肉に電流を、印加することができる。特に、第2電極手段(または第2電極セット)の第1および第2の電極を、正中線の横方向に配置することにより、本発明の装置は、顎舌骨筋、オトガイ舌骨筋および顎二腹筋の前腹を刺激することができる。さらに、本発明の装置は、口の異なる側の筋肉を、異なる強さで選択的に刺激すること、および/または口の異なる側の筋肉に、異なる刺激プロファイルを施すこともできる。例えば、第2電極手段(または第2電極セット)の第1および第2の電極に電流を印加して、使用者の正中線の一方の側から、正中線の他方の側へ横方向刺激を与えることができる。第2電極手段(または第2電極セット)の第1および第2の電極が、例えば第1電極手段(または第1電極セット)に関連して、垂直方向刺激のために電流を印加することもできる。したがって、第2電極手段(または第2電極セット)の第1および第2の電極は、使用時に、使用者の正中線の横方向に刺激するための電流を印加するように配置するまたは構成することができ、および/または第2電極手段(またはそれらのそれぞれ)の第1および第2の電極は、使用時に、垂直方向および/または斜め方向刺激として電流を印加するために配置するか、または構成することができる。刺激の方向は、刺激セッション中または刺激セッションの間に変更することができる。したがって、本発明の装置は、電極間の刺激の方向を維持および/または変更しうるようになっている。
【0015】
ヒトが目覚めている時、呼吸導管の収縮可能なセグメントは、この部分を制御する筋肉が緊張しているので、開放状態にある。ヒトが眠っている時、この筋肉の緊張は著しく弛緩する。閉塞性睡眠時無呼吸症候群を患っている患者の場合、この筋肉の緊張の弛緩が著しく大きく、鼾をかく人たちにおいては小さく、かつどちらも患っていない人の場合は、著しく小さいことが実証されている。
【0016】
咽頭筋の活動の増加または緊張は、気道の伸張及び弛緩を減退させることが実証されている。本発明は、電気刺激、特に、神経筋の電気刺激を使用して、舌筋および/または口蓋筋および/または知覚神経を刺激すると、筋力および緊張力の回復を向上させることができるという知見に基づいている。
【0017】
実施形態では、第2電極手段(または第2電極セット)の第1および第2の電極は、接続またはリンクするようになっている接続手段またはコネクタを備えることができる。例えば、第2電極手段(または第2電極セット)をマウスピースに物理的に接続またはリンクする。この接続手段は、1つ以上のアームまたはリードまたはワイヤ、例えば1対のアームまたはリードまたはワイヤを備えることができる。第2電極手段(または第2電極セット)のそれぞれの電極をマウスピースにリンクするように、1対のアームまたはリードまたはワイヤを配置するまたは構成することができる。例えば、第1電極は、第1のアームまたはリードまたはワイヤによってマウスピースに接続することができ、第2電極は、第2のアームまたはリードまたはワイヤによってマウスピースに接続することができる。コネクタまたは接続手段は、第2電極手段の第1および第2の電極をマウスピースおよび/または電源に作動可能に電気的に接続する電気回路をさらに備えることができる。
【0018】
実施形態では、コネクタまたは接続手段は、2つ以上、例えば1対のアームまたはリードまたはワイヤを備えている。一実施形態では、2つ以上のアームまたはリードまたはワイヤは同じ長さである。例えば、第2電極手段のそれぞれの電極を接続またはリンクする1対のアームまたはリードまたはワイヤのそれぞれを、互いに同じ長さとすることができる。
【0019】
有利なことに、第2電極手段(または第2電極セット)の第1および第2の電極をマウスピースに接続するため、1対のアームまたはリードまたはワイヤを同じ長さのものとすることにより、第2電極手段(または第2電極セット)の第1および第2の電極は、使用者の顔の正中線の横方向に、例えば使用者の顔の正中線の左右対称に位置するか、位置させることができる。
【0020】
本発明の装置は、ロシアン電流、干渉電流、事前変調電流、DC電流、二相電流またはインパルス電流のうちの1つ以上から選択することができる電流、例えばインパルス電流を供給するようになっていることが好ましい。他の形式の電流を使用することもできる。必要な刺激(および/または筋収縮)を生じさせるために、最小の電位差を適用し、可能な限り最小の電流を流すことが好ましい。電気刺激は、必要な電流を減らすために、光学的、熱的および/または振動的刺激と組み合わせて使用することができる。
【0021】
本発明の別の態様は、1つ以上の口腔筋をトレーニングするための電気刺激装置、例えば経粘膜神経筋電気刺激装置を提供することである。この経粘膜神経筋電気刺激装置は、マウスピース、マウスピースと接続された第1電極手段(または第1電極セット)、使用者の頭部の外部、例えば、使用者の顔または口の外底に固定するための2つ以上の電極を備えた第2電極手段(または第2電極セット)、および第1および第2の電極手段(または第1および第2の電極セット)のそれぞれに作動可能に接続された電気回路を備えており、この装置または電気回路は、使用時に、第2および/または第1の電極手段(または第2および/または第1の電極セット)を介して、電流、例えば二相電流、例えば二相電気インパルス電流を供給するようになっている。
【0022】
電流、例えば二相電流、特に二相電気インパルス電流を供給することにより、気道の伸張及び弛緩に寄与する舌筋、口底筋および/または口蓋筋を知覚神経とともに刺激して、安静時の筋緊張および睡眠中の筋緊張を増加させることができる。
【0023】
電流は、二相対称電流であることが好ましいが、平衡または非平衡のいずれかの二相非対称電流であってもよい。本発明の装置または電気回路は、使用時に、電極手段を介して、最大150Hz、例えば1、2、3、4、または5Hzから150Hzまでの周波数の電流を供給するようになっていてもよい。
【0024】
本発明の別の態様は、1つ以上の口腔筋をトレーニングするための電気刺激装置、例えば経粘膜神経筋電気刺激装置を提供することである。この経粘膜神経筋電気刺激装置は、マウスピース、マウスピースと接続された第1電極手段(または第1電極セット)、使用者の頭部の外部、例えば、使用者の顔または口の外底に配置するための1対の電極を備えた第2電極手段(または第2電極セット)、および第1および第2の電極手段に作動可能に接続された電気回路を備えており、この装置または電気回路は、使用時に、第1および第2の電極手段を介して、1~150Hzの周波数の電流を供給するようになっている。
【0025】
電流は、例えば1~10Hz、例えば1~9、8、7、6、5Hz、または10~140Hz、例えば15~130Hz、好ましくは20~120Hzの周波数を含むことができる。電流は、20~50Hzおよび/または50~120Hzの周波数を含んでいることが望ましい。
【0026】
第1電極手段および第2電極手段によって印加される電流は、同じであっても異なっていてもよい。一実施形態では、第2電極手段は、第1電極手段よりも大きな電流を生成してもよい。
【0027】
この装置または電気回路は、2つ以上の電流、例えば第1電流および/または第2電流および/または第3電流を供給するように構成されていてもよい。第2電流は、第1電流および/または第3電流とは異なっていてもよく、および/または第1電流および/または第3電流から構成可能または設定可能であってもよい。少なくとも1つの電流、例えば第1電流および/または第2電流および/または第3電流のすべては、二相電流または単相電流を含むことができ、それぞれが対称電流であることが好ましいが、非対称であっても、平衡または非平衡であってもよい。第1電流および/または第2電流および/または第3電流のうちの少なくとも1つは、最大150Hz、例えば5~150Hzの周波数を含むことができ、例えば1~150Hz、または10~140Hz、例えば15~130Hz、好ましくは20~120Hzの周波数を含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の電流は、1~50Hz(例えば、1~5Hz)、例えば5~20Hzまたは20~50Hzの周波数を含むことができ、および/または他の電流は、1~120Hzの周波数を含むことができる。
【0028】
本発明者らは、これら2つの周波数範囲の一方またはそれぞれにおける電流の印加が、気道の伸張及び弛緩に寄与する口蓋筋および舌筋および口底筋を標的とするのに特に適していると確信している。
【0029】
本発明の装置または電気回路は、使用時に、この周波数範囲の少なくとも1つの電流、またはそれぞれの電流を、口底、口の内膜、例えば口腔粘膜を通して、口蓋筋および/または舌筋および/または口底筋などの1つ以上の口腔筋に供給し、安静時の筋緊張および睡眠中の筋緊張を増加させるようになっていてもよい。いくつかの実施形態では、本発明の装置は、使用時に、例えば第1電流などの電流を口底の1つ以上の筋肉、例えば1つ以上の顎舌骨筋、オトガイ舌骨筋、および/または顎二腹筋の前腹に供給するようになっている。さらに、本発明の装置は、使用時に、電流、例えば第1または第2電流を、例えば舌背面を介して1つ以上の舌筋に供給するようになっていてもよい。さらに、本発明の装置は、使用時に、例えば第1または第2電流の電流を、舌下面(下側)を介して、1つ以上の舌筋、例えばオトガイ舌筋に供給するようになっていてもよい。特定の実施形態では、第1電極手段は、第1および第2の電極を備えている。第1電極手段の第1および第2の電極は、舌下面に当接することができる。
【0030】
第3電極手段(または第3電極セット)を設けることができる。第3電極手段は、マウスピースと接続することができる。マウスピースは、第3電極手段を備えることができる。第3電極手段は、第1および第2の電極を備えることができる。第3の電極手段は、使用中、舌背面に当接することができる。
【0031】
第1、第2および/または第3の電極手段は、印加された電流が、第1電極手段の電極間に、第2電極手段の電極間に、または第3電極手段の電極間に横方向に刺激を加えるように作動可能である。さらに、第1、第2、および第3の電極手段は、印加された電流が、第1電極手段および第2電極手段の電極間に、および/または第2電極手段および第3電極手段の電極間に、および/または第1電極手段および第3電極手段の電極間に垂直方向に刺激を加えるように作動可能である。第1、第2、および/または第3の電極手段は、電流が印加されて、すなわち、第1電極手段から第2および/または第3の電極手段に、第2および/または第3の電極手段から第1電極手段に斜め方向に刺激を加えるように作動可能である。
【0032】
コントローラを設けることができる。このコントローラは、第2電極手段の電極を選択的に通電して、第1パラメータセット(モード1)を有する電流で横方向に刺激を与えるように構成することができる。このモード1は、コントローラが第2電極手段および例えば第3電極手段を選択的に通電して、第1パラメータセットまたは第2パラメータセット(モード2)で垂直方向に刺激を行うように構成されている間、停止または継続することができる。さらに、このコントローラは、第1電極手段および第2電極手段の電極に通電して、第3パラメータセット(モード3)で垂直方向に刺激を行うように構成することができる。コントローラが第3電極手段に通電して、第4パラメータセット(モード4)で横方向に刺激を行うように構成されている間、モード3を停止または継続することができる。3つの別個に制御可能な電極手段の組み合わせに基づいて、例えば、様々な筋肉群の横方向または垂直方向または斜め方向の刺激、または横方向および垂直方向および/または斜め方向の両方の刺激を生成するために、異なるさらなるモードを提供することができることは理解されよう。治療セッション中に通電する電極を変更することにより、さまざまな刺激モードを提供することができる。例えば、第1電極セットは、第1期間で通電することができ、第2電極セットは、第2期間で通電することができる等である。したがって、本発明の装置は、特定の時間枠にわたってどの電極が通電されるかを変更するように配置するか、または構成することができる。本発明の装置は、異なる電極を選択して、異なる方向(横方向および/または垂直方向および/または斜め方向)に刺激をもたらすように配置するまたは構成することができる。本発明の装置は、予め設定された、または予めプログラムされた指示セットに沿って、電極通電の異なるパターンを段階的に実行するように構成されていてもよい。
【0033】
第1および/または第2および/または第3の電極手段のすべての電極は、使用中に、使用者の顔の正中線と交差しないように配置されていることが好ましい。
【0034】
実施形態では、マウスピースは、1つ以上の口腔筋に接触するために、1つ以上のアーム、および/または1つ以上のアームから延在することができる1つ以上の付属物またはフランジを備えることができる。少なくとも1つのアーム、および/または少なくとも1つの付属物またはフランジは、例えば主要面を有する平坦面または平面とすることができる。必要に応じて、マウスピースは、それぞれが1つ以上の付属物またはフランジを含むことができる1対のアームを備えることができる。いくつかの実施形態では、マウスピースは、少なくとも部分的に互いに並んで、および/または互いに角度をなして、および/または互いに平行に延在することができる1対のアームを備えることができる。例えば、マウスピースは、一端が互いに結合し、他端がほぼV字形またはU字形または馬蹄形で、互いに分岐する1対のアームを備えることができる。
【0035】
1つ以上の付属物またはフランジは、例えば一方のアームから他方のアームに向かって、1対のアームの内側に延在することができる。いくつかの実施形態では、それぞれのアームは、少なくとも1つの付属物またはフランジを備えており、例えば、互いに反対側および/または互いに向かって延在している。実施形態において、それぞれのアームは、2つ以上の付属物またはフランジ、例えば、それぞれのアームの自由端から延在する付属物またはフランジ、および/またはそれぞれのアームの中間部分から延在する付属物またはフランジを備えている。
【0036】
少なくとも1つの付属物またはフランジは、湾曲した、例えば少し湾曲した形状または部材であってもよく、および/またはマウスピースまたはその少なくとも1つのアームの面から上向きまたは下向きに、または外に延在していてもよい。少なくとも1つの付属物またはフランジは、舌面、例えば、舌背面または舌下面と協働するか、近接するか、または収容するように形作られていてもよい。実施形態では、マウスピースは、舌背面と協働するか、近接するか、または収容するように形作られる少なくとも1つの付属物またはフランジを備えており、舌下面と協働するか、近接するか、または収容するように形作られている少なくとも1つの付属物またはフランジを備えている。1対のアームを有する実施形態では、それぞれのアームは、舌背面と協働するか、近接するか、または収容するように形作られている付属物またはフランジと、舌下面と協働するか、近接するか、または収容するように形作られている付属物またはフランジとを備えることができる。
【0037】
付属物またはフランジの少なくとも1つは、1つ以上の電極または一連の電極を備えることができる。少なくとも1つの電極または一連の電極は、少なくとも1つの付属物またはフランジの表面、例えば主要面に隣接するか、および/または接続するか、および/または露出することができる。実施形態では、付属物またはフランジの少なくとも1つは、その主要面のそれぞれに接続する電極を備えている。主要面の一方に接続している電極は、別のまたは他の主要面から切り離して分離および/または制御することができる。さらに、1つの付属物またはフランジの電極、または関連する電極は、少なくとも1つの他の付属物またはフランジから切り離して分離および/または制御することができる。
【0038】
実施形態では、マウスピースは、一端で互いに結合し、互いに分岐して、少なくとも1つのアームから内側に延在する1つ以上のフランジを備える実質的に馬蹄形の形状を有する1対のアームを備えることができ、そのフランジまたはそれぞれのフランジは、電極手段を備えている。マウスピースは、それぞれのアームから内向きに延在する1対のフランジを備えることができ、そのフランジは、舌背面に適合するように形作られている。マウスピースは、それぞれのアームから内側に延在する1対のフランジを備えていてもよく、それぞれのフランジは、舌下面に適合するように形作られている。1対のフランジのそれぞれは、アームの自由端で、またはそれに隣接して延在する舌背面に適合するように形作られていてもよく、および/または1対のフランジのそれぞれは、アームの中間部分から延在する舌下面に適合するように形作られていてもよい。一実施形態では、前記第1および第2のアームのそれぞれは、長手方向軸を有しており、アームの自由端から長手方向軸の延長として延在するフランジを備えることができ、それぞれのフランジは、少なくとも1つの電極手段を保持していることが好ましい。
【0039】
本発明の別の態様は、1つ以上の口腔筋をトレーニングするための電気刺激装置、例えば経粘膜神経筋電気刺激装置を提供することである。この経粘膜神経筋電気刺激装置は、マウスピース、マウスピースに関連する第1電極手段(または第1電極セット)、第2外部電極手段(または第2電極セット)、および第1および第2の電極手段に作動可能に接続された電気回路を備えており、マウスピースは、一端で互いに結合し、互いに分岐して、少なくとも1つのアームから内側に延在する1つ以上のフランジを有する1対のアームを備えており、このフランジまたはそれぞれのフランジは、1つ以上の口腔筋に電気刺激を付与するために関連する第1電極手段(または第1電極セット)の少なくとも一部を含んでおり、第2電極手段(または第2電極セット)は、使用者の正中線の横方向に位置している。
【0040】
本発明のさらに別の態様は、外部電極手段(または外部電極セット)と、1つ以上の口腔筋または口底筋をトレーニングするためのマウスピース、例えば経粘膜神経筋電気刺激マウスピースを備える電気刺激装置を提供し、このマウスピースは一端で互いに結合し、互いに分岐して、少なくとも1つのアームから内側に延在する1つ以上のフランジを有する1対のアームを備えており、このフランジまたはそれぞれのフランジは、1つ以上の口腔筋に電気刺激を付与するために関連する電極手段(または電極セット)を含んでおり、外部電極手段(または外部電極セット)は、使用者の口の外底の正中線のいずれかの側に位置する第1および第2の電極を備えている。
【0041】
マウスピースは、把持ベースを備えており、この把持ベースは、拡大された端部、例えば拡大された自由端を備えることができ、この自由端は、例えばネック部によって、マウスピースまたは本体または1つ以上またはそれぞれのアームに接続または固定され、例えば一体的に形成することができる。
【0042】
電極手段またはそれぞれの電極手段は、少なくとも1つのアノードおよび少なくとも1つのカソード、例えば2つ以上のアノードおよび/または2つ以上のカソード、例えば複数のアノードおよび複数のカソードを備えていることが好ましい。電極手段の少なくとも一部、例えば、1つ以上の電極、またはそれぞれの電極またはすべての電極は、マウスピースに、またはマウスピース上に、またはマウスピース内に取り付けられてもよ、および/または少なくとも部分的にマウスピース内に収容され、または少なくとも部分的にマウスピース内に含まれていてもよい。いくつかの実施形態では、マウスピースによって、またはマウスピースで、またはマウスピースの片側から、電気刺激または電流が印加または供給されることを抑制または防止するために、マウスピースは、例えば電極手段の片側に、遮蔽または遮蔽手段を備えている。遮蔽または遮蔽手段に適する材料は、当業者には明らかであると思う。
【0043】
実施形態では、例えば、第1電極セットまたは一連の電極手段または電極と、第2電極セットまたは一連の電極手段または電極との間に、遮蔽手段または遮蔽を含めることによって、第1および/または第2および/または第3の電極手段は、例えば、それまたはそれらが固定されている(または配置されている)本体に、本体から、少なくとも本体の片側、それぞれの側、または両側に電気刺激または電流を供給または印加するように構成または作動可能である。いくつかの実施形態では、第1電流は、マウスピースの第1側、例えば主側、および/または第1電極セット、または一連の電極手段または電極によって供給されるか、または刺激が加えられる。さらに、第2電流は、マウスピースの第2側、例えば主側、および/または第2電極セット、または一連の電極手段または電極によって、供給されるか、または刺激が加えられてもよい。他の実施形態では、第1および第2の電流が供給されるか、または少なくとも片側またはそれぞれの側または両側から刺激が加えられてもよい。
【0044】
マウスピースは、口に挿入可能であり、例えば手動で適所に保持される。マウスピースは、少なくとも部分的に平坦、および/または実質的に平坦、および/またはパドル状であり、例えば、少なくとも1つの平坦面および/または主要面、好ましくは2つの平坦な主要面であってもよい。いくつかの実施形態では、本発明の装置は、マウスピースが例えば堅固におよび/または解放可能に接続または据え付けまたは取り付けられるハンドルを含んでいてもよい。例えば、使用時にマウスピースを口内の1つ以上の位置および/または向きに挿入および/または保持できるようにする。いくつかの実施形態では、マウスピースは、それを使用者の口に、または口の中または内部に取り付けるか、または固定するための取り付け手段を一切持っていない。マウスピースの電極を、マウスピースの隣接する部分から突出させることができる。そうすることで、口の対抗面にしっかりと接続される。
【0045】
実施形態では、マウスピースは、取り付け手段を含んでいてもよい。この取り付け手段は、マウスピースを口の上部に取り付けるためのものである。これにより、マウスピースまたはその第1側面または第1表面が、1つ以上の口蓋筋および/または口蓋に接触および/または隣接するか、または接触および/または隣接することができる。および/またはマウスピースまたはその第2側面または第2表面が、1つ以上の舌筋、例えば、舌背面に接触および/または隣接する、または接触および/または隣接することができる。さらに、この取り付け手段は、マウスピースを口の下部に取り付けるためのものである。これにより、マウスピースまたはその第1側面または第1表面が、1つ以上の舌筋、例えば、舌下面に接触および/または隣接する、または接触および/または隣接することができる。実施形態では、本発明の装置は、口の上部に取り付けるための取り付け手段を有する第1マウスピースと、口の下部に取り付けるための第2マウスピースとを備えている。
【0046】
本発明の装置は、電気刺激または電流を有効化または活性化または初期化するために、例えば入力手段またはアクチベータなどのコントローラを備えることができ、これは、1つ以上の入力デバイス、ボタンおよび/または押しボタン、および/またはスイッチ、および/またはダイヤルなどを含むことができる。装置またはハンドルは、電源および/または電源に接続可能なケーブル、電源からのケーブルを接続できるようにする手段を備えることができる。いくつかの実施形態では、装置は、ハンドルを含むか、または組み込むか、または提供するか、および/または電源を含むか、または収容する本体を備えている。この装置は、再充電可能な電源または再充電可能な1つ以上のバッテリーを備えることができ、および/またはケーブルを含むことができるか、または作動可能、例えば誘導的に、充電ステーションに接続可能である。充電ステーションは、ケーブルを含むか、または組み込んでおり、例えば電源を再充電できるようにする。本発明の装置は、充電ステーションを含むか、または充電ステーションに接続することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、本発明の装置は、調整手段または調整器、例えば、電流または前記第1および/または第2電流の周波数を調整するための周波数調整手段または調整器、例えば、それぞれ、周波数を、前述した周波数範囲の1つの間に調整するための第1及び第2電流周波数調整手段、または調整器を備えている。本発明の一態様においては、前記調整手段または調整器は、段階的調整手段または調整器、および/または使用者が、2つ以上、例えば、3、4または5の所定の周波数設定から選択できるような構成になっている。調整手段または調整器は、電流の印加タイミングを調整することができる。この装置は、第1及び第2の電流を(瞬間的時間において)同時に、および/または(時間的に継続性をもって)同時に、および/または(同時並行的に)同時に供給するように作動するようになっているか、またはそのような構造となっている。さらに、本発明の装置は、第1及び第2の電流を、直列に、および/または、順番に、および/または、連続して供給することができるようになっている。したがって、コントローラは、特定の時間枠にわたって、どの電極が通電されるかを変更するように配置するか、または構成することができる。コントローラは、異なる電極を選択して、異なる方向(横方向および/または垂直方向および/または斜め方向)に刺激をもたらすように構成するまたは配置することができる。コントローラは、予め設定された、または予めプログラムされた指示セットに沿って、電極通電の異なるパターンを段階的に実行するように構成されていてもよい。さらに、例えば熱的、光学的、または振動的放出手段またはエミッタから、熱的、振動的または光学的刺激を加えることができる。
【0048】
他の実施形態では、コントローラは、遠隔装置、例えばスマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータなどの遠隔コンピュータ装置から受信した指示によって制御することができる。指示は、有線または無線接続を介して提供することができる。例えば、Bluetooth(RTM)または他の無線プロトコルを介して指示することができる。有線接続は、USB、USB-C、MicroUSB、FireWire(RTM)、磁気コネクタ、またはその他の有線インターフェースを介して行うことができる。指示は、遠隔コンピュータ装置に保持されているソフトウェアによって提供することができる。一実施形態において、指示は、パーソナルコンピュータ装置、例えばスマートフォンまたはタブレットに提供されるAPPから提供することができる。指示は、予め設定されたルーチンに沿って提供することができる。指示は、使用者が変更することができる。指示は、舌筋緊張の変化の進行状況に応じて変更することができる。
【0049】
電流または第1および/または第2の電流の少なくとも一方、例えば両方は、インパルス電流を含むことができる。インパルス電流、またはそれぞれのインパルス電流のパルス持続時間は、50~1000μs、例えば100~900μs、例えば150~800μs、好ましくは200~700μsとすることができる。好ましくは、装置の調節手段または調節器、または例えばパルス持続時間調節手段または調節器のさらなる調節手段または調節器は、例えば前述の範囲の1つの間でパルス持続時間を調節するために提供される。
【0050】
電気刺激または電流、または第1および/または第2の電流は、強度または電流振幅を含むことができ、治療する筋肉の最大収縮を与えるように選択または選択可能であることが好ましい。一例として、強度または振幅は、約10mA、例えば1~100mA、例えば5~50mA、例えば5~15mAまたは7~25mA、例えば8~12mAを含むことができる。調整手段または調整器、またはさらなる調整手段または調整器、例えば、強度または振幅調整手段または調整器は、例えば、0~500mAまたは0~250mAまたは0~200mAまたは0~150mAまたは0~100mAまで、強度または振幅を調整するために提供することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、本発明の装置は、電気刺激または電流、または第1および/または第2の電流を、1分~3時間、1分~2.5時間、2時間、1.5時間または1時間を含むことができる所定の期間にわたって供給するように構成またはプログラムされている。一実施形態では、本発明の装置は、電気刺激または電流を、例えば、5~30分間、好ましくは10~20または30分間供給するように構成またはプログラムされている。調整手段または調整器、またはさらなる調整手段または調整器、例えば治療期間調整手段または調整器は、治療期間を、例えば、0~10時間、または0~5時間、または0~1時間、または0~30分間とするようにすることができる。刺激は、同じか、または異なる刺激パターンで、1日に複数回印加させることがでる。本発明の装置は、1日に1回以上(例えば複数回)刺激を与えるようにプログラムすることができる。本発明の装置は、最初のまたは先行する刺激セッションの終了からの経過時間を決定することができる。この装置は、特定の、公知の、または所定の時間が経過するまで、刺激が加えられないようにすることができる。例えば、刺激が1日に2回以上必要な場合、装置は、一定の時間が経過するまで、次の刺激セッションを防止するように作動可能である。
【0052】
本発明の装置は、例えば無線または有線接続を介して、ホスト、例えばホストコンピュータからダウンロードまたはダウンロード可能な制御パラダイムを用いて、ユーザプログラムまたはプログラム可能ある。
【0053】
本発明の装置は、例えば、所定の治療計画に沿って、電気刺激または電流または複数の電流の1つ以上の特徴を制御するために、プログラムまたはプログラム可能な制御手段を備えることができる。この制御手段は、制御システムおよび/またはコントローラを含むことができ、および/または電気回路を備えるか、または少なくとも部分的に備えることができる。制御手段は、調節手段または調整器の少なくとも一部、例えば、周波数および/またはパルス持続時間、および/または強度、および/または振幅、および/または治療期間調整手段、または調整器のうちの1つ以上を含むことができる。
【0054】
コントローラまたは制御手段は、第1、第2、および/または第3の電極手段、またはこれら3つの組み合わせを選択的に通電するように作動可能であり、例えば、第1、第2および/または(存在する場合)第3の電極手段の2つ以上の間で、横方向の刺激、垂直方向の刺激、またはその2つの混合の刺激を与える。
【0055】
接続手段は、コントローラまたは制御手段から延在することができる。接続手段は、コントローラまたは制御手段に取り外し可能に、または恒久的に接続することができる。接続手段は、1対のリードが延在する一体の配線部を備えることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、入力手段は、電気刺激または電流、または第1および/または第2の電流の1つ以上の特徴、例えば、周波数および/またはパルス持続時間、および/または強度、および/または振幅、および/または治療持続時間、を制御および/または調整すること、または構成すること、または作動可能とすることができる。さらに、装置または入力手段は、装置または制御手段を別の装置に接続するためのコネクタまたはレセプタクルなど、パーソナルコンピュータまたは携帯用デバイスなどのインターフェースまたは接続手段を備えることができる。これらは、前述の機能の1つ以上を、プログラムおよび/または制御および/または調整するように作動可能である。
【0057】
コントローラは、第2電極手段の第1および第2の電極、ならびに第1電極手段および/または第3電極手段を、同じまたは異なる制御パラダイムで選択的に通電するように構成することができる。制御パラダイムは、電流、振幅、周波数、パルス持続時間、パルス幅、波形、刺激方向、治療持続時間、治療周期、治療時間から選択される。
【0058】
本発明のさらなる態様は、例えば、口腔底の1つ以上の筋肉をトレーニングするための方法または治療計画を提供するもので、この方法は、使用者の頭部、例えば顔または口の外底において、使用者の顔の正中線の横方向に電極を設けるかまたは適用し、顔の正中線の横方向に電流を印加する。
【0059】
この方法は、使用者の顎舌骨筋、オトガイ舌骨筋、および顎二腹筋の前腹のうちの1つ以上を刺激することを含むことができる。好ましくは、十分な時間、電流を印加することにより、舌骨および下咽頭の気道の位置を変化させ、それによりSBDおよび好ましくはOSAが減少する。
【0060】
本発明の装置または制御手段または調整手段は、例えば、所定の方法で、および/または所定の治療計画に従って、電気刺激または電流、または第1および/または第2の電流の1つ以上の特徴を制御するように構成またはプログラムすることができる。この装置または制御手段は、例えば入力手段を介して電気刺激装置が接続される装置によって、所定の治療計画を作成および/または変更するように作動可能またはプログラム可能である。
【0061】
本発明の別の態様は、方法または治療計画を実施するための手順をプロセッサに実行させるためのコンピュータ可読プログラムコード手段を含むコンピュータプログラム要素を提供する。この方法または治療計画は、例えば、安静時の筋緊張および/または睡眠中の筋緊張を増加させるために、口の内膜、たとえば口腔粘膜を通して、1つ以上の口腔筋、例えば口蓋筋および/または舌筋に電気刺激を与えることを含んでいる。
【0062】
本発明の別の態様は、例えば経粘膜神経筋電気刺激による1つ以上の口腔筋をトレーニングするための方法または治療計画を提供し、この方法は、例えば、安静時の筋緊張および/または睡眠中の筋緊張を増加させるために、1つ以上の口腔筋、例えば口蓋筋および/または舌筋に、口腔粘膜、例えば口腔筋を介して、電気刺激を供給するまたは印加することを含んでいる。
【0063】
本発明のさらに別の態様は、1つ以上の口腔筋をトレーニングするための装置、例えば経粘膜神経筋電気刺激装置を備えており、この装置は、それぞれの近位端で結合し、それぞれの遠位端に向かって分岐する1対のアームを有するマウスピースを備えており、少なくとも1つのアームは、そこから延在し、平坦面を定めるフランジを有しており、このフランジは、平坦面から目立つように直立している少なくとも1つの電極を保持している。
【0064】
実施形態では、両方のアームが少なくとも1つのフランジを有している。それぞれのフランジは、少なくとも1つの電極を備えていてもよい。1つ以上の電極は、周囲のフランジ領域を目立つように直立することができる。
【0065】
誤解を避けるために、本明細書に記載した本発明の全ての特徴は、本発明の全ての態様に等しく適用されるものである。
【0066】
本発明の方法または治療計画は、電流、例えば電流またはインパルス電流、例えば二相電流またはインパルス電流を、例えば1つ以上の口腔筋に供給するまたは印加することを含むことができる。
【0067】
本発明の別の態様は、例えば、口腔底の1つ以上の筋肉をトレーニングするための方法または治療計画を提供し、この方法は、使用者の頭部で、使用者の顔の正中線または使用者の口の外底の横方向に電極を設けまたは適用し、顔の正中線の横方向に電流を印加する。
【0068】
この方法または治療計画は、第1電流および/または第2電流を供給または印加することができ、第2電流は第1電流と異なっていてもよい。電流、または第1および/または第2の電流の少なくとも一方、例えば両方は、交流を含むことができる。電流、または少なくとも1つの電流、またはそれぞれの電流は、1~150Hz、例えば10~140Hz、例えば15~130Hz、好ましくは20~120Hz、より好ましくは20~50Hz、および/または50~120Hzの周波数を備えることができる。いくつかの実施形態では、第1電流は、20~50Hzの周波数を備えており、および/または第2電流は、50~120Hzの周波数を備えている。
【0069】
実施形態では、二相電流の相、または第1および第2の電流を、同時に、および/または(時間的に継続性をもって)同時に印加することができる。いくつかの実施形態では、二相電流の相、または第1および第2の電流を、直列に、および/または、順番に、および/または、連続して印加してもよい。
【0070】
電流、または第1および/または第2の電流の少なくとも一方、例えば両方は、インパルス電流を含むことができる。インパルス電流またはそれぞれのインパルス電流のパルス持続時間は、50~1000μs、例えば100~900μs、例えば150~800μs、好ましくは200~700μsとすることができる。
【0071】
電気刺激または電流、または第1および/または第2の電流は、強度または電流振幅を含むことができる。強度または電流振幅は、治療する筋肉の最大収縮を与えるように選択または選択可能であることが好ましい。一例として、その強度または電流振幅は、約10mA、例えば、1~100mA、例えば5~50mA、例えば5~15mA、または7~25mA、例えば8~12mAを含むことができる。
【0072】
本発明の方法または治療計画は、電気刺激または電流、または第1および/または第2の電流を所定時間、供給または印加することを含むことができる。所定時間は、1分~3時間、例えば5~30分、好ましくは10~20分を含むことができる。
【0073】
電気刺激は、1日に1回または複数回の刺激セッションを適用することができる。1日に2回以上の刺激セッションの回数は、同じでも異なっていてもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、本発明の方法または治療計画は、電気刺激または電流、または第1および/または第2の電流を第1所定期間、第1の筋肉または筋肉群、および/または舌の上面または背面に供給または印加することを含むことができる。第1の筋肉または筋肉群は、1つ以上の口蓋筋および/または舌筋、例えば、1つ以上の内面筋、口蓋垂筋、口蓋帆挙筋および口蓋咽頭筋を含むことができる。
【0075】
さらに、本発明の方法または治療計画は、電気刺激または電流、または第1および/または第2の電流を第2の所定期間、第2の筋肉または筋肉群、および/または舌の下側、例えば舌下に供給または印加することを含むことができる。第2の筋肉または筋肉群は、1つ以上の口蓋筋および/または舌筋を含むことができ、それらの1つ以上は、第1の筋肉または筋肉群、例えばオトガイ舌筋とは異なっていてもよい。一例として、第1所定期間は、1分~3時間、例えば5~30分、例えば5分、10分、15分、20分、30分を含むことができ、および/または第2所定期間は、5~30分、例えば5分、10分、15分、20分、または30分を含むことができる。
【0076】
さらに、本発明の方法または治療計画は、前述の工程の1つ以上を所定の間隔で行うことを含んでおり、この所定の間隔は、1日に1~10回、またはその間の任意の回数、例えば1日2回とすることができる。さらに、本発明の方法または治療計画は、1~12週間、例えば2~10週間、例えば5~8週間、例えば6週間などの所定の治療期間にわたって、前述のステップの1つ以上を行うことを含んでいる。
【0077】
方法または治療計画は、電気刺激または電流、または第1および/または第2の電流の1つ以上の特徴、例えば、周波数および/またはパルス持続時間および/または強度および/または振幅および/または治療持続時間を調整することを含むことができる。この調整は、1つ以上の押しボタンおよび/またはダイヤルなどの入力手段を使用して、またはコネクタやレセプタクルなど、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットまたはその他のパーソナルコンピュータ装置または携帯用デバイスなどのインターフェースまたは接続手段を介して行うことができる。有利なことに、コンピュータ装置に保持されたソフトウェアは、コマンドセットを使用して本発明の装置を制御またはプログラムするように作動可能である。
【0078】
いくつかの実施形態において、本発明の方法または治療計画は、例えば、安静時の筋緊張および/または睡眠中の筋緊張を確立するために、例えば電気刺激または電流、または第1および/または第2の電流が供給または印加される、例えば第1の治療期間を含んでいる。本発明の方法または治療計画はまた、例えば第2の維持期間を含んでいる。例えば、その期間において、電気刺激または電流または第1および/または第2の電流の1つ以上の特徴が、例えば第1の治療期間に関して、例えば安静時の筋緊張および/または睡眠中の筋緊張を維持するために調整または変更される。第1の治療期間は、第1の計画を含むことができ、および/または第2の維持期間は、例えば第1の計画とは異なる第2の計画を含むことができる。
【0079】
例示的な実施形態では、本発明の方法または治療計画は、例えば安静時の筋緊張および/または睡眠中の筋緊張を確立するために、1つ以上の口腔筋に10~20分間、1日2回、6週間の電気刺激を供給または印加することを含んでいる。さらに、本発明の方法または治療計画は、例えば安静時の筋緊張および/または睡眠中の筋緊張を維持するために、1つ以上の口腔筋に10~20分間、1日1回、継続的に電気刺激を供給または印加することを含んでもよい。
【0080】
本発明の別の態様は、例えば知覚刺激などによる1つ以上の口腔筋をトレーニングするための方法または治療計画を提供する。この方法は、1つ以上の口腔筋、例えば、口蓋筋および/または舌筋および/または口底筋に振動刺激を供給または印加することを含んでいる。この方法は、上記の方法の任意の1つ以上の特徴をさらに含んでいてもよい。
【0081】
本発明のさらなる態様は、前述の方法または治療計画を実施するための手順をプロセッサに実行させるためのコンピュータ可読プログラムコード手段を含むコンピュータプログラム要素を提供する。本発明のさらに別の態様は、コンピュータ可読媒体に具現化されたコンピュータプログラム要素を提供する。
【0082】
本発明のさらに別の態様は、プログラムが格納されたコンピュータ可読媒体を提供し、このプログラムは、コンピュータに、前述の方法または治療計画を実施するための手順を実行させるように構成されている。
【0083】
本発明のさらに別の態様は、前述のコンピュータプログラム要素またはコンピュータ可読媒体を含むか、または、例えば、上述の方法を制御するための経粘膜神経筋電気刺激などによる1つ以上の口腔筋をトレーニングするための治療計画を制御するための制御手段または制御システムまたはコントローラを提供するものである。
【0084】
明細書、図面、特許請求の範囲、要約書等に記載した本発明の種々の目的、実施形態、実施例及び変形例は、それぞれ、独立して、または組み合わせて理解されるべきである。本発明の一つの態様に関して記載した複数の特徴は、特段の但し書きが無い限り、全ての態様に適用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【
図1】本発明の一実施形態による装置の一部の平面図である。
【
図3A】本発明の装置を使用する使用者の立面図である。
【
図3B】本発明の装置を使用する使用者の底面図である。
【
図5】舌口蓋筋及び舌の表面を示すヒトの口の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0086】
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して、実施例によって説明する。
【0087】
図1および
図2は、本発明による装置の構成要素を示している。
図1および
図2は、把持ベース130と、馬蹄形を形成するために把持ベース130の一端と一体に形成された1対の湾曲アーム131とを含むマウスピース103を示している。それぞれのアームは、第1および第2の接触フランジ132、133を有しており、その中に電極(132a、b;133a、b)が設けられている(またはその上に配置されている)。
【0088】
第1接触フランジ132は、それぞれのア-ム131の1つの自由端から互いに向かって内側に延び、かつ上方に延びて、湾曲した形を形成し、患者(図示せず)の舌背面57を受け容れるようになっている。第2接触フランジ133は、それぞれのア-ム131の中間部から互いに向かって内側に延びており、かつ下方に延びて、湾曲した形を形成し、舌下面を受け容れるようになっている。側面から見ると(
図2)、第1接触フランジ132上の電極132aは下向きであり、第2接触フランジ133上の電極133a、133bは上向きである。このように、使用者の舌が第1接触フランジ132と第2接触フランジ133との間に位置する場合、電極132a、132b;133a、133bは、垂直方向に電界を印加することができ、オトガイ舌筋を特に標的とする。
【0089】
把持ベース130は、ネック部135によってアーム131に結合されている拡大端部134を有している。拡大端部134の端面は、電気コネクタ136を備えていて、電源(図示せず)と接続するようになっている。コネクタ136は、USB、microUSB、USB-C、FireWire(RTM)、Thuderbolt(RTM)、またはその他の適切なタイプの有線コネクタを備えている。他の態様では、前記コネクタは、無線接続手段と置き換えられる。いくつかの実施形態では、マウスピースには、バッテリーのような電源を組み込んである。
【0090】
マウスピース103は、それぞれのフランジ132、133の表面、即ち、それぞれのフランジ132、133の上方表面及び下方表面のそれぞれに、電極132a、132b、133a、133bのそれぞれの列を提供する電気回路構成要素(図示せず)を含んでいる。これらの電極132a、132b、133a、133bのそれぞれの列は、遮蔽材によって互に電気的に隔離されており、周辺の全ての筋肉を、同時に、または必要な順番どおりに、刺激するようになっている。電極132a、133aは、フランジ132、133の外表面と協動し、それらと結合して、実質的に接触面を形成している。この態様では、マウスピース103は、シリコン級または生体親和性級プラスチック材料、例えばシリコーンプラスチック材料で製造されている。この態様では、電極132a、132b、133a、133bは、金属、例えば金、または銅、または複合材料、或いは露出面をもった合金で製造するのが好ましい。
【0091】
使用時は、マウスピース103を、患者の口の中に置いて、患者の舌をマウスピース103の中に収容し、舌背面57を第1接触フランジ132と接触させ、舌下面を第2接触フランジ133と接触させる。第1接触フランジ132は、舌背面57の後方または後部と接触し、第2接触フランジ133は、舌下面の前方または前部と接触することは、当業者であれば理解しうると思う。患者が口を閉じると、フランジ132、133も、接触して、舌の他方の側の隣接する筋肉、例えば口蓋筋を刺激することができる。マウスピース103は、舌の両側を順番にまたは同時に刺激することができる。この構造により、硬口蓋領域および軟口蓋領域にある筋肉を含めて、舌の筋肉及び舌の周囲の筋肉を刺激するこができることは理解しうると思う。
【0092】
ここで
図3Aおよび3Bを参照すると、使用者の口内に配置されたマウスピース103’を含む本発明の装置100が示されている。マウスピース103’は、
図1および
図2に示すものと同様であり(同じ構成要素を示すために同じ数字を使用するが、プライム記号(’)によって区別してある)、
図4Aから
図4Cに示されている。マウスピース103’は、使用者の下唇の上に延在する下垂部135'を有する把持ベース130'を有している。
【0093】
下垂部135'の端子部は、マウスピース103’の電極132a'、132b'、133a'、133b'、およびさらなる電極に電力を供給するように配置された制御および/または電源ユニット150と係合するためのインターフェース136'を有している。マウスピース103’の電極132a’、132b’、133a’、133b’は、複数のパッドまたは接触点とすることができるが、単一のパッドとして示されていることに留意されたい。使用者は、大きな表面積を提供する単一のパッドを好む。マウスピース103’の電極132a'、132b'、133a'、133b'は、関連するフランジ132'、133'の隣接部から目立つように突出して、ユーザの舌の対向部との良好な接続を容易にする。
【0094】
本発明の装置100は、制御ユニット150から1対の成形電極152a、152bへの有線接続151をさらに備えている。有線接続151は、コントローラ150に恒久的に配線されてもよいし、コントローラ150上に位置するソケット(またはプラグ)(図示せず)と係合するプラグ151a(またはソケット)を備えることができる。有線接続151は、1対のリード151a、151bが延びる単一の有線部分151bを含んでいる。1対のリード151a、151bは、制御ユニット150を1対の成形電極152a、152bに接続する。すなわち、第1リード151aは、制御ユニット150を第1成形電極152aに接続し、第2リード151bは、制御ユニット150を第2成形電極152bに接続する。電極152a、152bのそれぞれは、使用者の口Fの外底の後方に位置する比較的広い近位部153a、および使用者の口Fの外底の前方部にまたは前方部に向かって位置する比較的狭い遠位部153bを有する四辺形の周囲を有する凹平面状の本体の上に、またはその中に取り付けられている。成形された電極152a、152bは、使用者の顎の対向面に追従するように、または少なくとも使用者の下顎および顎の線の対向面に快適に追従できるように十分に凹状である(
図3Aに見られるように)。
【0095】
使用中、電極152a、152bは、医学的に許容される接着剤を使用して、使用者の外底または口に、下顎の下部に、使用者の顔の正中線の横方向に、または口の外底に固定される。この接着剤は、電極152a、152bおよび使用者から容易に取り除くことができる。あるいは、電極152a、152bは、再利用可能な接着剤を保持することができる。有利なことに、1対のリード線151a、151bは、長さが同じであり、これにより、電極152a、152bを対称的に使用者の顔の正中線の側方に配置するか、または配置することができる。
【0096】
口腔筋をトレーニングするために、制御ユニット150がプログラムされ(または予めプログラムされたプログラムが選択され)、マウスピース103’および電極152a、152bが制御ユニット150に接続される。プログラムが開始されると、制御ユニット150は、筋肉に電気信号を印加するために、必要なまたは所望の作動プロファイルに沿って電極に通電する。
【0097】
有益なことに、電極152a、152bは、口底の筋肉、すなわち、顎舌骨筋、オトガイ舌骨筋、および顎二腹筋の前腹のうちの1つ以上に電気信号を印加する。一方、マウスピース103’の電極は、オトガイ舌筋と舌本体に電気信号を印加する。
【0098】
コントローラ150は、電極を順次に、および/または同時に通電して、口腔筋に様々な電流モードを供給するために操作することができる。例えば、第1、第2、および第3の電極に、横方向の刺激、垂直方向の刺激、または斜め方向の刺激、またはそれらの混合を引き起こすために通電することができる。いずれの場合も、印加される電流は、同じでも異なっていてもよく、および/または印加の持続時間、周波数などの様々な態様は、同じでも異なっていてもよい。コントローラは、異なる電極を使用して、さまざまなモードをステップ実行するようにすることができる。可能な作動モードの例示的な組が、
図10A~
図10Dに図表で示されている。コントローラ150は、様々な操作モードを引き起こすようにプログラムされていてもよく、またはプログラム可能であってもよい。他の実施形態では、作動モードは完全に斜め方向であるか、または混合されていてもよい。例えば、
1) 垂直方向(132-133)、
横方向(133a-133b)、
斜め方向(152a-133bおよび152b-133a)、
2) 斜め方向(132a-133b、132b-133a)、
横方向(133a-133b)
垂直方向(152a-133aおよび152b-133b)
3) 横方向(132a-132b)
斜め方向(132a-133b、132b-133a)
横方向(133a-133b)
垂直方向(152a-133aおよび152b-133b)
【0099】
特定の操作モードは、使用者の要求に沿って選択される。コントローラ150は、作動モードを変更するように構成することができ、例えば、コントローラ150は、操作期間中に様々なモードを循環することができる。例えば、コントローラ150は、上記のモード1を第1の期間に適用し、次に上記のモード3を、第2の同一または異なる期間に適用し、次に
図10Bに示すモードで、第3の同一または異なる期間に適用し、次にモードを、再び循環する(または異なるモードを使用する)ように構成することができる。これは、電極の極性を変えることで行うことができる。
【0100】
制御ユニット150は、バッテリー(図示せず)と、様々な電極への電流の印加を制御するロジックおよび制御回路(図示せず)とを備えることができる。
【0101】
ここで
図5~
図9は、さまざまな舌筋および口蓋筋を示している。
図5~
図7に示す口の特徴は、舌筋をより明確に示している。ここでは、咽頭口蓋弓51、口蓋扁桃52,舌口蓋筋53、頬筋54、有郭乳頭55,茸状乳頭56、舌背面57、茎状舌筋58、舌骨舌筋59、下顎骨60、オトガイ舌筋61、長手方向、横方向、および垂直方向内在筋62,63、64及びオトガイ舌骨筋65を示している。
【0102】
オトガイ舌筋61は最大の外舌筋であって、舌を前方に伸張させ、喉の気道開口部を拡大させているので、オトガイ舌筋61の緊張が舌の伸張および伸縮に最も影響を与えているということは理解されている。長手方向および横方向内在筋62、63などの内面筋の緊張もまた、気道の伸張および伸縮の低下に関与している。
【0103】
図8および
図9に示した口の特徴は、口蓋筋をより明確に示している。ここでは、歯列弓66、前顎骨67、切歯孔68、上顎骨口蓋突起69、口蓋骨70、後鼻棘71、口蓋孔72,ハムルス73、口蓋張筋74、口蓋帆挙筋75,口蓋帆張筋76、口蓋垂筋77、および口蓋咽頭筋78を示している。
【0104】
程度の差はあっても、口蓋の収縮筋および拡張筋も、鼾および睡眠時無呼吸に関与している。治療の目的は、喉を拡張させることであり、電気刺激を、口蓋垂筋77、口蓋帆挙筋75、および口蓋咽頭筋78などの正中線にある口蓋拡張筋に向けることである。
【0105】
口底の筋肉、特に顎舌骨筋、オトガイ舌骨筋、および顎二腹筋の前腹のうちの1つ以上が、一般的に、睡眠時無呼吸、鼾、SDBの発生率に影響を与えることがわかっている。あごに電流を横方向に流すと、口底の筋肉を強化できることがわかった。これは、筋肉の緊張に驚くべきプラスの効果をもたらし、SBDの発生率をさらに減らすのに役立つ。確かに、顎舌骨筋とオトガイ舌骨筋の調子を整えることで、舌骨と下咽頭の気道の位置が改善され、OSA、鼾、およびSDBの発生率が大幅に低下することが分かった。
【0106】
使用時、マウスピース103’は、舌背面57および/または舌下面に適用され、電流、例えば二相電流が印加され、二相電流は、強度、周波数、およびパルス持続時間を含む第1パラメータセットで構成することができる。パラメータは、使用者のこれらの筋肉の最大収縮をもたらすように選択され、治療は20分間行われる。
【0107】
次に、強度、周波数、およびパルス持続時間を調整して、マウスピース103’が舌の下側および/または舌背面57に適用される。第2パラメータセットを有している2つの電流、たとえば2つの二相電流を、オトガイ舌筋61を刺激するために、経粘膜に適用し、伝達する。第2パラメータセットを、使用者のオトガイ舌筋61の最大収縮をもたらすように選択し、治療は、最大3時間、例えば20~30分間行う。
【0108】
電流、例えば前述のパラメータによる二相電流の適用によって、前述の骨格筋を刺激する。この二相電流を、前述した骨格筋に適用することによって、振動感覚のような感覚機能を引き起こすものと考えられる。何らかの理論に拘束されることを好むものでないが、神経を電気及び振動刺激することによって、脳へフィードバックし、更に、筋肉緊張の改良度を強化するものと考えられる。特に、この治療の効果は、神経システム内部における多感覚統合によって高められるものと考えられる。
【0109】
電極152a、152bに印加される電流は、マウスピース103’によって印加される電流と同じでも、異なっていてもよい。
【0110】
例えば、コントローラ150は、第1パラメータセット(モード1)を有する電流で電極152a、152bを横方向に選択的に通電するように構成することができる。制御装置150が、例えば、電極133a'、133b'および電極132a'および132b'を、第2パラメータセット(モード2)を用いて垂直方向に選択的に通電するように構成している間、このモード1を停止または継続することができる。さらに、コントローラ150は、電極152a、152bおよび電極133a'、133b'を第3パラメータセット(モード3)で垂直方向に通電するように構成することができる。コントローラが第4パラメータセット(モード4)で電極132a'、132b'を横方向に通電するように構成している間、モード3を停止または継続することができる。例えば、横方向または垂直方向の刺激を生成するために、6つの個別に制御可能な電極の組み合わせに基づいて、異なるさらなるモードを付与することができることは理解しうると思う。
【0111】
第1、第2、第3、または第4(または第n)のパラメータセットは、すべて同じであっても異なっていてもよい。同じものもあれば、異なるものもある。
【0112】
例として説明すると、治療計画は、前述の筋肉群のそれぞれを1日に2回、10分から30分間刺激する、例えば6週間の誘導期間を含むことができる。この治療計画は、筋肉の緊張を高めるように設計されており、更に、続いて、1日に1回、10~20分間のセッションを含む、継続的メンテナンスを行なう。
【0113】
本発明の装置100は、第1の電流、例えば第1の二相または単相電流の電流振幅を0~100mAに調整するように操作することができる。本発明の装置100は、例えば第2の二相電流の電流振幅を0~100mAに調整するように操作することができる。本発明の装置100は、第1の電流、例えば二相電流を、例えば1~30分の間供給するように供給時間を調整するように操作することができる。本発明の装置100は、第2の電流、例えば二相電流または単相電流を、例えば1~30分の間供給するように供給時間を調整するように操作することができる。装置100は、外部電極152a、153aのみ、またはマウスピースの電極132a、132b、133a、133bの一部または全部、または両方またはすべて同時に通電するように操作することができる。
【0114】
第1および第2の電流、例えば二相電流または単相電流の1つ以上の特性を、別々にプログラムするために、USBポートまたは他のインターフェースが、装置103、103’をパーソナルコンピュータ(図示せず)に接続できるように備え付けられ、かつ構成されている。一実施形態では、第1の電流、例えば、二相電流の周波数は、例えば1~150Hzの間、例えば2~50Hzの間の値に設定さており、第二電流、例えば第2の単相電流は、3~120Hzの間の値に設定されており、それぞれの電流、例えば二相電流または単相電流のパルス持続時間は、200~700μsの間の値に設定されている。パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン、またはその他の携帯用コンピュータ装置(図示せず)は、例えば、制御本体150のダイヤル、ボタン、または他のユーザインターフェースをオーバーライドするように操作することができる制御ソフトウェアを組み込むこともできる。この制御ソフトウェアは、電流、例えば振幅、周波数、パルス持続時間、所定の期間など互いに別々の所定の特性を有する二相電流または単相電流を印加するようにプログラムすることができる。装置103、103’には、このような所定の特性を記憶するメモリを組み込むことができることが想定される。このような特性は、パーソナルコンピュータなど(図示せず)を、USBポートまたは他のインターフェースを介して、装置103、103’に接続することによって変調することができる。このような実施形態では、ダイヤルは、省略されるか、または事前にプログラムされた値から、前述の特性を調整するように構成することができる。いくつかの実施形態では、手動のダイヤル、ボタンなどによって、多かれ少なかれ機能が付与されることが想定される。
【0115】
本発明の装置は、複数のレベルでハードウェアに組み込まれた保護と、使用者とハードウェアとを不具合または不正操作から保護するファームウェアを備えることができる。不具合(または不正操作)が検出された場合、装置は「安全状態」に入り、不具合などが対処されない限り、現在および将来のいかなる刺激も自動的に停止することが好ましい。不具合の検出は、本発明の装置の異常な操作パラメータを検出することができ、本発明の装置の異常な環境条件を含むこともできる。
【0116】
当業者は、前述した態様には、特許請求の範囲から逸脱しない限り、幾つかの変形が考えられることは理解しうると思う。例えば、マウスピース103、103’は、前述した適当な筋肉に電気刺激を適用することができるような構造であれば、どのような形状にしてもよい。制御本体の出力は、制御本体自体のダイヤルを変更することによって変更することができ、または、制御本体150を、たとえばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットなどの携帯機器に搭載されたAPPなどのソフトウェアとインターフェースすることによって変更することができる。このソフトウェアは、互いに別々の所定の特性(電流、持続時間、周波数)を有する所望のまたは要求される電流、例えば二相電流を所定の時間印加するようにプログラムすることができる。この互いに別々の所定の特性は、振幅、周波数、及びパルス持続時間等である。本発明の装置100は、このような所定の特性を記憶するメモリを組み込むことがさらに想定される。尚、このメモリは、USBポートまたは他のインターフェース接続を介して、パーソナルコンピュータ(図示せず)を本発明の装置100に接続することによって変調することができる。他のインターフェース接続には、Bluetooth(RTM)、IR、NFC Wi-Fiなどの有線および無線接続が含まれる。
【0117】
コントローラおよび/またはAPPは、事前登録されたマウスピースおよび/または事前登録された外部電極のみを制御するように操作することができる。マウスピースに、シリアル番号、コード、またはその他の一意の識別子を付与することができ、これにより、コントローラおよび/またはAPPおよびマウスピースを一意にリンクすることができ、マウスピースが別のコントローラおよび/またはAPPと一緒に使用されたり、その逆が行われたりするのを防ぐことができる。外部電極に、シリアル番号、コード、または他の一意の識別子を付与することができ、これにより、コントローラおよび/またはAPPおよび外部電極を一意にリンクすることができ、外部電極が別のコントローラおよび/またはAPPと一緒に使用されたり、その逆が行われたりするのを防ぐことができる。コントローラおよび/またはAPPは、特定のマウスピースを特定の外部電極セットに関連付けるように操作することができ、これにより、特定のマウスピースは特定の外部電極セットでのみ使用することができる。
【0118】
また、当業者は、前述の特徴および/または添付図面に示される特徴の任意の数の組み合わせが、先行技術に対して明らかな利点を提供するものであり、かつ本明細書に記載の本発明の範囲内に含まれることを理解しうると思う。
【符号の説明】
【0119】
51 咽頭口蓋弓
52 口蓋扁桃
53 舌口蓋筋
54 頬筋
55 有郭乳頭
56 茸状乳頭
57 舌背面
58 茎状舌筋
59 舌骨舌筋
60 下顎骨
61 オトガイ舌筋
62 長手方向内在筋
63 横方向内在筋
64 垂直方向内在筋
65 オトガイ舌骨筋
66 歯列弓
67 前顎骨
68 切歯孔
69 上顎骨口蓋突起
70 口蓋骨
71 後鼻棘
72 口蓋孔
73 ハムルス
74 口蓋張筋
75 口蓋帆挙筋
76 口蓋帆張筋
77 口蓋垂筋
78 口蓋咽頭筋
100 装置
103、103’ マウスピース
130 把持ベース
130’ 下垂部
131 湾曲アーム
132 第1接触フランジ
132a、132b 電極
132a’、132b’ 電極
133 第2接触フランジ
133a、133b 電極
133a’、133b’ 電極
134 拡大端部
135 ネック部
136 電気コネクタ
150 制御ユニット
151 有線接続
151a、151b リード線
152a、152b 成形電極
153a 近位部
153b 遠位部
【国際調査報告】