(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】ビアを備えたデバイス並びにビアを製造するための方法および材料
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20220106BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20220106BHJP
H04N 5/66 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
H05K1/02 C
H05K3/00 K
H05K3/00 N
H04N5/66 102A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521171
(86)(22)【出願日】2019-10-09
(85)【翻訳文提出日】2021-06-11
(86)【国際出願番号】 US2019055343
(87)【国際公開番号】W WO2020081318
(87)【国際公開日】2020-04-23
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ガーナー,ショーン マシュー
(72)【発明者】
【氏名】レスリー,パトリック スコット
(72)【発明者】
【氏名】ナヤック,バラダ カンタ
(72)【発明者】
【氏名】ソレンセン,マイケル レスリー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァディ,ラジェッシュ
【テーマコード(参考)】
5C058
5E338
【Fターム(参考)】
5C058AA06
5E338AA02
5E338AA18
5E338BB14
5E338BB25
5E338BB75
5E338EE23
(57)【要約】
デバイスは、ガラス基板、複数の電子部品、金属化層、および複数のビアを備える。複数の電子部品は、ガラス基板の第一面上にある。金属化層は、第一面と反対のガラス基板の第二面上にある。複数のビアがガラス基板を通って延在している。少なくとも1つのビアが、電子部品および金属化層と電気的に繋がっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスにおいて、
ガラス基板、
前記ガラス基板の第一面上にある複数の電子部品、
前記第一面と反対の前記ガラス基板の第二面上にある金属化層、および
前記ガラス基板を通って延在している複数のビアであって、少なくとも1つのビアが、電子部品および前記金属化層と電気的に繋がっている、複数のビア、
を備え、
少なくとも1つのビアは、第1の直径に対する第2の直径の比が1.5:1より大きくなるように、前記第一面に第1の直径を、前記第二面に該第1の直径より大きい第2の直径を有する、デバイス。
【請求項2】
前記ビアの少なくとも1つが、前記第二面から前記第一面まで先細になっている、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
ビアを製造する方法において、
ガラス基板の第一面上に第1のゲル層を施す工程、
レーザアブレーションから生じる破片が前記第1のゲル層内に捕捉されるように、前記ガラス基板をレーザアブレーションして、該ガラス基板を貫通するビアホールを形成する工程、および
前記第一面から前記第1のゲル層を除去する工程、
を有してなる方法。
【請求項4】
5質量%から10質量%のポリビニルアルコール(PVA)の第1の水溶液、および
1質量%から10質量%の四ホウ酸ナトリウムの第2の水溶液、
を含む、レーザアブレーションによる破片を収集するための材料。
【請求項5】
デバイスにおいて、
ガラス基板、
前記ガラス基板の第一面上にある複数の電子部品、
前記第一面と反対の前記ガラス基板の第二面上にある金属化層、および
前記ガラス基板を通って延在している複数のビアであって、少なくとも1つのビアが、電子部品および前記金属化層と電気的に繋がっている、複数のビア、
を備え、
少なくとも1つのビアは、絶縁体、導体、または半導体材料で少なくとも部分的に充填されている、デバイス。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、ここに全て引用される、2019年7月19日に出願された米国仮特許出願第62/876131号、および2018年10月19日に出願された米国仮特許出願第62/747959号の米国法典第35編第119条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、広く、ガラス貫通ビアに関する。より詳しくは、本開示は、電子デバイスのためのレーザ形成されたガラス貫通ビアに関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロ発光ダイオード(マイクロLED)ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)および有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイと比べて、より高い輝度およびより高いコントラスト比を有することがある。特定の用途に応じて、マイクロLEDディスプレイに他の利点があるであろう。高解像度および大面積のディスプレイを可能にするために、低温ポリシリコン(LTPS)または酸化物薄膜トランジスタ(TFT)に基づくアクティブマトリクス・バックプレーンを備えたマイクロLEDディスプレイを製造することに関心が寄せられている。ディスプレイ構成は、ディスプレイの背面にドライバー基板が位置付けられた上面の発光マイクロLEDパネルを備えることがある。これらの表示パネルが大面積のタイル状ディスプレイ用途に使用される場合、2つの基板表面の間の電気相互接続は、タイルとタイルの間の間隔を密接に(例えば、タイル間の100マイクロメートル未満の間隔)できる様式で製造されるべきである。
【0004】
ガラス基板中の金属化ビアが、ガラス基板の第1の側にあるコンポーネントをガラス基板の第2の側にあるコンポーネントに電気的に相互接続するために使用されることがある。ガラス基板中にビアを製造する方法が、数多くある。しかしながら、これらの方法は、主に、薄いガラス(例えば、0.3ミリメートル未満)において、小さい基板サイズ(例えば、300ミリメートル未満)で、高密度での高品質のビアの製造に焦点を当てている。ビアを製造する方法の1つでは、レーザ損傷および数時間に及ぶガラスエッチング過程が使用される。このレーザ損傷および数時間に及ぶガラスエッチング過程を使用して製造されたビアは、ほぼ垂直な側壁を有する。既存の大型の世代のサイズのディスプレイ用ガラス加工の利用を可能にするために、ビアは、約0.3ミリメートル超の厚さを有するガラス基板に製造されるべきである。ビアのアスペクト比を約5:1の値に制限すると、ビアの直径は、真っ直ぐな側壁構造には、約60マイクロメートルとなるであろう。この60マイクロメートルの直径は、画素レイアウト内で著しい空間を占めるであろう。それに加え、インターポーザまたは他の用途に最適化されたビア製造過程を使用すると、より高コストの過程で過剰な設計のビアが製造されることになる。ガラスにガラス貫通ビアまたは微小孔を作るために、レーザが使用されることがある。しかしながら、直接的なレーザアブレーションに基づく微細孔の孔開けにより、望ましくない破片(debris)が生じ、微細孔の周りに縁も形成されてしまう。
【発明の概要】
【0005】
本開示のいくつかの実施の形態は、デバイスに関する。このデバイスは、ガラス基板、複数の電子部品、金属化層、および複数のビアを備える。複数の電子部品は、ガラス基板の第一面上にある。金属化層は、第一面と反対のガラス基板の第二面上にある。複数のビアがガラス基板を通って延在している。少なくとも1つのビアが、電子部品および金属化層と電気的に繋がっている。少なくとも1つのビアは、第1の直径に対する第2の直径の比が1.5:1より大きくなるように、第一面に第1の直径を、第二面に第1の直径より大きい第2の直径を有する。
【0006】
本開示のさらに他の実施の形態は、ビアを製造する方法に関する。この方法は、ガラス基板の第一面上に第1のゲル層を施す工程を含む。この方法は、レーザアブレーションから生じる破片が第1のゲル層内に捕捉されるように、ガラス基板をレーザアブレーションして、ガラス基板を貫通するビアホールを形成する工程を含む。この方法は、第一面から第1のゲル層を除去する工程を含む。
【0007】
本開示のさらに他の実施の形態は、レーザアブレーションによる破片を収集するための材料に関する。その材料は、第1の溶液および第2の溶液を含む。第1の溶液は、水中に5質量%から10質量%のポリビニルアルコール(PVA)を含む。第2の溶液は、水中に1質量%から10質量%の四ホウ酸ナトリウムを含む。
【0008】
本開示のさらに他の実施の形態は、デバイスに関する。このデバイスは、ガラス基板、複数の電子部品、金属化層、および複数のビアを備える。複数の電子部品は、ガラス基板の第一面上にある。金属化層は、第一面と反対のガラス基板の第二面上にある。複数のビアがガラス基板を通って延在している。少なくとも1つのビアが、電子部品および金属化層と電気的に繋がっている。少なくとも1つのビアは、絶縁体、導体、または半導体材料で少なくとも部分的に充填されている。
【0009】
ここに開示された方法および材料を使用して、実質的に破片なく、実質的に縁のない、レーザ形成されたガラス貫通ビアを備えたデバイスを形成することができる。ビアホールは、破片を収集し、ビアホール周りの縁形成を防ぐためにレーザアブレーションおよびゲル層を使用して、迅速かつ費用効率よく製造できる。したがって、ビアホールは、レーザ損傷およびエッチング過程を使用して形成されるビアに典型的に使用される毒性化学物質を使用せずに、形成できる。同じ基板に、形状とサイズが異なるビアホールを形成することができる。幅広いテーパー角のビアホールも形成できる。それに加え、ビアホールは、基板上に他のコンポーネント(例えば、電子部品)を製造する前または後に形成されてもよい。レーザアブレーション中に破片を収集し、縁形成を最小にするために使用されるゲル層は、再利用することができる。
【0010】
追加の特徴および利点が、以下の詳細な説明に述べられており、一部には、その説明から当業者に容易に明白となるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含む、ここに記載されたような実施の形態を実施することによって、認識されるであろう。
【0011】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、例示に過ぎず、請求項の性質および特徴を理解するための概要または骨子を提供することが意図されているのを理解すべきである。添付図面は、さらなる理解を与えるために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。図面は、1つ以上の実施の形態を示しており、説明と共に、様々な実施の形態の原理および作動を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2A】直線状の側壁を有する例示のビアホールの断面図
【
図2B】直線状の側壁を有する例示のビアホールの断面図
【
図2C】直線状の側壁を有する例示のビアホールの断面図
【
図2D】湾曲した側壁を有する例示のビアホールの断面図
【
図3A】湾曲した側壁を有する例示のビアホールの断面図
【
図3B】湾曲した側壁を有する例示のビアホールの断面図
【
図4A】ガラス基板の片側にあるゲル層を使用して、ビアホールを製造する例示の方法を示す断面図
【
図4B】ガラス基板の片側にあるゲル層を使用して、ビアホールを製造する例示の方法を示す断面図
【
図4C】ガラス基板の片側にあるゲル層を使用して、ビアホールを製造する例示の方法を示す断面図
【
図5A】ガラス基板の両側にあるゲル層を使用して、ビアホールを製造する例示の方法を示す断面図
【
図5B】ガラス基板の両側にあるゲル層を使用して、ビアホールを製造する例示の方法を示す断面図
【
図5C】ガラス基板の両側にあるゲル層を使用して、ビアホールを製造する例示の方法を示す断面図
【
図6A】ガラス基板の両側にゲル層を施す前にガラス基板上にコンポーネントを製造する例示の方法を示す断面図
【
図6B】ガラス基板の両側にゲル層を施す前にガラス基板上にコンポーネントを製造する例示の方法を示す断面図
【
図7A】使用前にレーザアブレーションによる破片を収集するための例示の材料の断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、その例が添付図面に示されている、本開示の実施の形態を詳しく参照する。できるときはいつでも、同じまたは同様の部分を称するために、図面に亘り同じ参照番号が使用される。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具体化されることがあり、ここに述べられた実施の形態に限定されるものと解釈すべきではない。
【0014】
範囲は、「約」ある特定の値から、および/または「約」別の特定の値まで、としてここに表すことができる。そのような範囲が表された場合、別の実施の形態は、そのある特定の値から、および/または他方の特定の値までを含む、同様に、「約」という先行詞を使用して、値が近似として表されている場合、特定の値は別の実施の形態を形成することが理解されよう。範囲の各々の端点が、他方の端点に関してと、他方の端点と関係なくの両方で有意であることがさらに理解されよう。
【0015】
ここに用いられているような方向を示す用語-例えば、上、下、右、左、前、後ろ、上部、底部、垂直、水平-は、描かれた図面に関してのみ用いられ、絶対的な向きを暗示する意図はない。
【0016】
特に明記のない限り、ここに述べられたどの方法も、その工程が特定の順序で行われることを必要とする、またはどの装置についても、特定の向きが要求されると解釈されることは決して意図されていない。したがって、方法の請求項が、その工程が従うべき順序を実際に列挙していない場合、または装置の請求項が、個々の構成要素に関する順序または向きを実際に列挙していない場合、もしくは請求項または記載に、工程が特定の順序に限定されること、または装置の構成要素に対する特定の順序または向きが列挙されていない場合、どの点に関しても、順序または向きが暗示されることは決して意図されていない。このことは、工程の配列、操作の流れ、構成要素の順序、または構成要素の向き;文法構成または句読法に由来する明白な意味;および明細書に記載された実施の形態の数またはタイプに関する論理事項を含む、解釈に関するどの可能性のある非表現基準にも適用される。
【0017】
ここに用いられているように、名詞は、内容が明白に他に示していない限り、複数の対象を含む。それゆえ、例えば、コンポーネントに対する言及は、内容が明白に他に示していない限り、そのようなコンポーネントを2つ以上有する態様を含む。
【0018】
インターポーザまたは他の用途と比べて、ディスプレイ用途において、基板はより大きいことがあり、ガラスはより厚いことがあり、より少ないビアが使用されることがあり、いくつかのビア要件が緩和されることがある。例えば、エッジ寸法が、約100、200、300、400、500、700、1000、または2000ミリメートルを超えるガラス基板について、ガラスの厚さは、約2、1、0.7、0.6、0.5、0.4、または0.3ミリメートル未満であることがある。ガラス基板のエッジ寸法およびガラスの厚さのこれらの組合せにより、ビアの直径に対する制約が増し、画素レイアウト内への配置の難易度が増すであろう。この基板はガラスとして記載されているが、特定の例示の実施の形態において、基板は、セラミックまたはガラスセラミック材料であることがある。他の実施の形態において、基板は、実質的に類似のまたは異なる材料の多層を含むことがある。
【0019】
したがって、ディスプレイに使用されることのある、ガラス製電子機器用基板が、ここに開示されている。ディスプレイの解像度が増すにつれて、エミッタ、TFT、導体線、および他のコンポーネントを収容するための画素内の面積が小さくなる。このために、画素内のコンポーネントのサイズは最小にされるべきである。それに加え、上面発光タイル状ディスプレイについて、基板の上面と背面との間に、電気相互接続が使用されることがある。一例として、上面発光マイクロLEDディスプレイを使用すると、ガラス基板の上面にマイクロLEDおよびTFTマトリクス(例えば、LTPS、酸化物、aSi、または有機半導体)は、ガラス基板の下に位置するドライバー基板と電気的に相互接続されるべきである。電気ビアは、この相互接続能力を与えることができる。これらのビアは、高解像度ディスプレイの画素の密集したレイアウト内に収まるために最小サイズおよび高度に位置合わせされた配置を有するべきである。典型的な画素は、垂直または水平方向のいずれかで、約1ミリメートル未満、または約700、500、400、300、または200マイクロメートルの画素ピッチを有することがある。TFTアクティブマトリクスが具体的に言及されているが、小径の高度に位置合わせされたビアの必要性は、パッシブマトリクスおよびダイレクトドライバー構成にも当てはまる。ここに開示されたビアおよびビア製造過程を使用するディスプレイ用途または他の用途は、従来の製造過程よりも、速い処理能力および低いコストをもたらす。マイクロLEDディスプレイが一例として述べられているが、他の用途に、液晶ディスプレイ、OLEDディスプレイ、および非ディスプレイ機器があるであろう。
【0020】
ここで
図1を参照すると、例示のデバイス100の断面図が示されている。デバイス100は、ガラス基板102、複数の電子部品104、金属化層105、および複数のビア106を備えている。特定の例示の実施の形態において、デバイス100は表示装置であり、複数の電子部品104は複数の薄膜トランジスタを含む。他の実施の形態において、デバイス100は非表示装置であり、電子部品は、一般に、基板の両面に存在し得る。複数の電子部品104は、ガラス基板102の第一面108上にある。金属化層105は、第一面108と反対のガラス基板102の第二面110上にある。複数のビア106が、ガラス基板102を通って延在している。各ビア106が、金属化層105および導体112を通じて電子部品104と電気的に繋がっている。他の実施の形態において、ビア106は、電子部品104と直接、物理的に接触していることがある。金属化層と電気的に繋がっていないビア構造も存在することがある。ビアは、表面上の最も近い電子部品から約500、200、100、50、20、または10マイクロメートルの距離内にあることがある。各ビア106は、
図2A~3Bを参照して下記により詳しく記載されるように、第一面108での第1の直径および第1の直径よりも大きい第二面110での第2の直径を有する。ビア106の各々は、第二面110から第一面108に先細になることがある。したがって、各ビア106は、第二面110よりも第一面108で小さい直径を有する。第一面108での各ビア106のより小さい直径により、電子部品104間の間隔を、先細にされていないビアと比べて、減少させることができる。このようにして、ビア106は、密集した高解像度のディスプレイ・バックプレーン内に精密に配置することができる。
【0021】
ガラス基板102は、例えば、第一面108と第二面110との間に、約0.3ミリメートル以上の厚さを有することがある。ビア106の各々は、第一面108と第二面110との間に直線状の側壁116を有することがある。ビア106の各々は、そのビアの側壁116上にコンフォーマルな導体層114(例えば、Cu)を有することがある。コンフォーマルな導体層114は、第一面108でくびれが切れた円錐を形成することがある。コンフォーマルな導体層114は、導体層114およびガラス基板102の熱膨張差の影響を低下させることによって、高温デバイス加工に適合することができる。他の実施の形態において、各ビア106は、導体材料で完全に充填されることがある。
【0022】
各ビア106のコンフォーマルな導体層114は、導体材料で完全に充填されたビアに観察される故障なく、より高い温度逸脱に耐えることができるであろう。例えば、完全に充填されたビアは、ビアの周りのガラスにおける応力亀裂の問題およびビアから出る導体材料のピストン作用を被ることがある。これは、導体材料と周囲のガラスとの間の熱膨張の不一致のためである。ビアがコンフォーマルに充填され、一端でくびれが切れている場合、ビアは、熱逸脱、例えば、約300、400、500、または600℃より高い温度に耐えられるであろう。各ビア106のコンフォーマルな導体層114は、各ビアの側壁116上で約50、20、10、5、2、または1マイクロメートル未満の厚さを有することがある。
【0023】
特定の例示の実施の形態において、ビア106の各々に、各ビアの側壁116上のコンフォーマルな導体層114内で、材料118が充填されることがある。材料118は、絶縁体、導体、または半導体であろうとなかろうと、1℃当たり約20、15、10、または5百万分率より大きい熱膨張係数も有することがある。各ビア106を充填する材料118は、プロセス汚染を最小にする、機械的支持を与える、または他の効果を与えることがある。例えば、材料118にゾルゲル材料が使用されることがある。そのゾルゲル材料は、LTPS、酸化物、aSi、または有機TFT加工に適合しているであろう。そのゾルゲル材料は、約300、400、500、または600℃より高い熱逸脱にも耐えるであろう。特定の例示の実施の形態において、材料118は、
図1に示されるようには、完全にビアを充填しなくてもよい。体積で、各ビアの側壁116上のコンフォーマルな導体層114の間の材料118は、約10、20、50、80、90、95、または99パーセントより大きく開口を充填することがある。材料118は、ビアの表面開口を越えて延在することもある。以下に限られないが、ガラス、ガラスセラミック、または隣接する基板102より小さい、大きい、または等しい熱膨張係数を有する他の適切な材料を含む、追加の適切な材料118も使用されることがある。
【0024】
図2Aおよび2Bは、それぞれ、例示のビアホール200aおよび200bの断面図である。ビアホール200aおよび200bは、各々、第一面108および第二面110を含むガラス基板102を通って形成されている。ビアホール200aおよび200bは、第二面110から第一面108に先細となっており、第一面108と第二面110との間に直線状の側壁116aを含む。全体としては、ビアホール200aおよび200bは、錘台形状を有するであろう。ビアホール200aは、第一面108での第1の直径202aおよび第二面110での第1の直径202aより大きい第2の直径204aを有する。同様に、ビアホール200bは、第一面108での第1の直径202bおよび第二面110での第1の直径202bより大きい第2の直径204bを有する。しかしながら、ビアホール200bについて、第1の直径202bおよび第2の直径204bは、それぞれ、ビアホール200aの第1の直径202aおよび第2の直径204aより大きい。他の実施の形態において、ビアホール200aおよび200bは、各ビアホールについて類似の、ある直径および各ビアホールについて異なる別の直径を有することがある。
【0025】
第1の直径202aまたは202bは、デバイス側(すなわち、ガラス基板102の第一面108)上にあり、例えば、約100、50、40、30、20、または10マイクロメートル未満であることがある。対照的に、ガラス基板102の第二面110上の第2の直径204aまたは204bは、例えば、約50、100、150、または200マイクロメートル超であることがある。特定の実施の形態において、それぞれ、第1の直径202aおよび202bに対する第2の直径204aおよび204bの比は、例えば、約1.5:1、2:1、5:1、10:1、または15:1より大きいことがある。第1の直径202aまたは202bに対するガラス基板102の厚さの比は、例えば、約2:1、5:1、10:1、20:1、または50:1より大きいことがある。
図2Aおよび2Bに示されたビアの形状は、インターポーザおよび他の用途に使用されるビアの形状(すなわち、垂直側壁を有するビア)と対照的である。もちろん、
図2Aおよび2Bに示されたビアの形状は、円柱形状(例えば、
図2C参照)または砂時計形状(例えば、
図2D参照)などの他の適切な形状であっても差し支えない。
【0026】
ガラス基板102の第一面108での小さい方の第1の直径202aおよび202bにより、高解像度ディスプレイの密集した画素レイアウト内の効率的な集積化が可能になる。ガラス基板102の第二面110での大きい方の第2の直径204aおよび204bにより、効率的な金属化および背面のパターン形成設計ルールの緩和が可能になる。一般に、ビアホール200aおよび200bの構造により、位置合わせの許容範囲の緩和からより恩恵を受けるガラス基板の側に、より大きいビアの寸法を可能にしつつ、精密な画素レイアウトおよび集積化を要するガラス基板の側に、より小さいビア寸法を使用することができる。ディスプレイまたは非ディスプレイ用途のためのあるデバイス設計は、同じ基板表面上のビアが小さい直径を有する最も効率的なレイアウトを有することがある。他の設計は、一方の基板表面上により小さい直径を持ついくつかのビアを、他方の基板表面上に小さい直径を持つ他のビアを有することにより恩恵を受けることがある。
【0027】
ビアホール200aおよび200bは、例えば、純粋に電気的な接続に使用されるコンポーネント以外の電子部品から、約100、50、20、または10マイクロメートル未満だけ離れて配置されることがある。例えば、その電子部品としては、TFT、コンデンサ、インダクタ、集積回路(IC)、または他のコンポーネントが挙げられるであろう。小さい方の第1の直径202aおよび202bにより、他のコンポーネントに対するこの近接近が可能になる。
【0028】
特定の例示の実施の形態において、異なる寸法を有する両方のビアホール200aおよび200bは、
図1のデバイス100におけるように、1つのガラス基板102内に形成されることがある。例えば、デバイス100の複数のビア106の第1の部分の各ビアは、デバイス100の複数のビア106の第2の部分の各ビアよりも大きい寸法を有することがある。他の実施の形態において、1つのガラス基板102は、異なる寸法を有する3つ以上のビアホールを備えることがある。これは、ビア位置の全てが類似のエッチング条件を経験する、ビアの全てが、使用される典型的なレーザ損傷およびエッチング過程のために同じ寸法を有する、単一基板内の典型的なビアとは対照的である。しかしながら、本開示において、同じ形成段階で、単一基板上に、直径の異なるビアが形成されるであろうから、ビアは、プロセスの工程を著しく増加させずに、基板に亘り直径が変動し得る。例えば、直径が小さいビアは、データ信号を伝送するために形成されることがあり、直径の大きいビアは、1つのガラス基板内でより高い電流駆動力を伝送するために形成されることがある。
【0029】
図3Aおよび3Bは、それぞれ、例示のビアホール300aおよび300bの断面図である。ビアホール300aおよび300bの各々は、第一面108および第二面110を有するガラス基板102を通って形成されている。ビアホール300aおよび300bは、第二面110から第一面108に先細になっており、第一面108と第二面110との間に湾曲した側壁116bを含む。ビアホール300aは、第一面108での第1の直径302aおよび第二面110での第1の直径302aより大きい第2の直径304aを有する。同様に、ビアホール300bは、第一面108での第1の直径302bおよび第二面110での第1の直径302bより大きい第2の直径304bを有する。しかしながら、ビアホール300bについて、第1の直径302bおよび第2の直径304bは、それぞれ、ビアホール300aの第1の直径302aおよび第2の直径304aより大きい。他の実施の形態において、ビアホール300aおよび300bは、各ビアホールについて類似の、ある直径および各ビアホールについて異なる別の直径を有することがある。特定の例示の実施の形態において、両方のビアホール300aおよび300bは、
図1のデバイス100におけるように、1つのガラス基板102内に形成されることがある。
【0030】
湾曲した側壁116bは、導体材料の架橋を、小さい方の第1の直径302aおよび302bの表面で生じさせるために、金属化およびビア充填過程中に有益であることがある。この架橋は、ガラス基板102の第一面108で細くなったビアを必然的に生じるであろう。第1の直径302aおよび302b並びに第2の直径304aおよび304bの寸法は、
図2Aおよび2Bを参照して先に記載したように、それぞれ、第1の直径202aおよび202b並びに第2の直径204aおよび204bと似ているであろう。特定の例示の実施の形態において、単一基板内に、側壁の形状が異なるビアが存在することがある。例えば、直径が同じかまたは異なる、線形の先細の、非線形の先細の、線形に垂直の、非線形に垂直の、または他のビア断面形状が、同じ基板内に存在することがある。これらのビアは、同じ方向に向けられても、逆に向けられてもよい。
【0031】
図4A~4Cは、ガラス基板の片側にあるゲル層を使用して、ビアホールを製造する例示の方法を示す断面図である。
図4Aは、ガラス基板102およびゲル層400の断面図である。ゲル層400は、ガラス基板102の第一面108上に施されている。特定の例示の実施の形態において、ゲル層400を施す工程は、ガラス基板102の第一面108にゲル層400を吹き付け塗りする工程を含むことがある。他の実施の形態において、ゲル層400を施す工程は、ガラス基板102の第一面108にゲル層400を回転塗布する工程を含むことがある。ゲル層400は、約0.5ミリメートル以上の厚さまで施されることがある。ゲル層400は、ガラス基板102の第一面108上に一時的な保護コーティングを与えて、レーザアブレーション過程中に第一面108を保護する(
図4B)。ゲル層400は、レーザアブレーション中に生じる破片を収集するように働き、レーザアブレーション中に各ビアの周りに形成されることのある任意の山から谷までのエッジ縁高さを最小にする。材料がゲルとして記載されているが、その層は、コンフォーマルなコーティングを形成する、基板に一時的に施される代わりの材料を含むことがある。
【0032】
両方のゲル層施用方法(すなわち、吹き付け塗りおよび回転塗布)において、材料の二段階施用が使用されることがある。例えば、第1の工程において、ポリビニルアルコール(PVA)溶液の層が、ガラス基板を覆うために、約0.5ミリメートル超の厚さまで施されることがある。第2の工程において、四ホウ酸ナトリウム溶液がPVAの上に噴霧されることがある。特定の例示の実施の形態において、ゲル層400を施す工程は、約5質量%から10質量%のPVAの第1の水溶液の層を施し、第1の水溶液の層の上に、約1質量%から10質量%の四ホウ酸ナトリウムの第2の水溶液を噴霧する工程を含むことがある。ゲル層400を施した後、ガラス基板102は、レーザアブレーションの準備ができている。あるいは、施用後に特定のゲル層400の厚さが望ましい場合、レーザアブレーションの前に、ゲル層を薄くするために、水溶液から水を蒸発させてもよい。ガラス基板102上にゲル層400を形成することにより、ゲル層とガラス基板との間の空隙がなくなることを確実にする。それに加え、ガラス基板102上にゲル層400を形成することにより、様々な表面状態が可能になる。従来の保護層は、平らな表面に施される必要があるが、ゲル層400は、
図6A~6Bを参照して下記により詳しく記載されるように、電子部品またはガラスの物理的特徴などのガラス基板102上の全ての既存の構造を覆って施されることがある。
【0033】
図4Bは、レーザアブレーションを行ってビアホール402を形成した後の、ガラス基板102およびゲル層400の断面図である。レーザアブレーションにより生じた破片406がゲル層400内に捕捉されるように、ガラス基板102をレーザアブレーションして、ガラス基板102を通るビアホール402を形成するために、レーザ404が使用される。レーザアブレーションは、第一面108での第1の直径および第二面110での、第1の直径よりも大きい第2の直径を有するビアホールを形成するために、ガラス基板102の第二面110から第一面108に行われる。特定の実施の形態において、小さい方の第1の直径に対する大きい方の第2の直径の比は、例えば、約1.5から約15まで変動することがある。ゲル層400のために、破片406は、下記により詳しく記載されるように、ガラス基板102上に再び生じない。破片406はガラス基板102上に実質的に再び形成されないので、そのガラス基板の表面は、実質的に粗くならず、よって、ガラス基板を研磨する必要性は、なくなるか、または低下する。レーザアブレーション中、レーザが入射するゲル層400のゲルは、ゲルがガラス基板102と結合しないように、レーザビームにより追いやられる。
【0034】
レーザがパルス状であり、ガラス基板上にゲル層がない場合、アブレーションされた材料が、ビアホールの周囲全体であって、数ミリメート離れた所まで、ガラス基板の表面上に再び形成される。その破片は、破片がガラス基板の表面に付着し、ガラスの一部となることがあるほど十分に熱いことがある。この破片は、研磨またはエッチングにより除去されるであろう。ゲル層400が、
図4Bに示されたように、ガラス基板102の表面上にあり、レーザがパルス状である場合、そのガラス基板の第一面108上に破片が再び形成される代わりに、破片406は、ゲル層400の内部に実質的に捕捉される。破片406は、ゲル層400内に保持され、ガラス基板102の第一面108に触れない。ゲル層400が破片を収集することに加え、レーザアブレーション後に、ゲルがガラス基板102の第一面108上に再び形成して(例えば、ゲルが自己回復作用を持つ)、新たに形成されたビアを、他の破片から、またはレーザ損傷の副生成物から保護する。他の保護材料層は一回の使用として機能し、この場合、レーザが一旦そのスポットに導入されたら、その保護材料は、アブレーションされてなくなり、新たに形成されたビアを追加の破片から保護することができない。
【0035】
レーザ404が、ゲル層のないガラス基板102に導入され、そのガラス基板をアブレーションする場合、そのレーザは、ビアホールの中央から離れた周囲の材料も溶融する。この溶融は、内部で、ガラス基板の局所的圧密を生じ、その材料は、ビアホールの開口に向かって、押し上げられ、ガラス基板から離されて、マイクロメートル規模であり得る縁を形成する。ゲル層400の付加により、縁の形成は、ガラス基板102の第一面108上では起こらないか、またはずっと低下したレベルで起こる。このことは、縁に起因するバリアを持たずに、多数の使用のためにビアに到達できるようにガラス基板102の表面品質を維持するのに役立つ。
【0036】
レーザアブレーションは、重大なエッチングを必要とせずに、先細構造を作るために、単一レーザ(例えば、CO2レーザ)で行われることがある。それでも、エッチング過程は、所望であれば、ビア形成を完成するために、浄化工程として使用してもよい。重大なエッチング工程がなくなると、特に、他の用途と比べて基板当たりのビアが少ないであろうディスプレイ用途にとって、ビア形成に関連する全体の加工時間と費用が劇的に減少する。ビア当たりのレーザ加工のわずかな増加を受けつつ、ビアエッチング工程の除外または実質的な減少は、全体の工程スループットを増加させるトレードオフである。
【0037】
ビアホール402は、実質的な電子的処理の前、デバイス製造過程の終わり、またはデバイス製造過程の最中に、ガラス基板102に形成されることがある。ビア形成過程の位置は、ビア形成の前または後で生じことのある特定の工程段階の要件に依存する。加工の一部として、一時的保護ゲル層400が、ビアホール形成の前のいずれかの工程で施され、ビアホール形成の後のいずれかの工程で除去されることがある。それに加え、ビアホール形成により、ブラインドビアホール構造を作ることができる。この場合、ビアホールは、ほとんど作られ、次いで、後の工程で、直径の小さい方の側に最終的な開口または接続が形成される。この最終開口は、エッチング過程により作られることがある。フォトリソグラフィーによりパターン形成されたエッチング過程により制御されている場合、直径が小さい方のビアの開口の位置は、画素内の集積化を可能にするように非常に精密に制御されるであろう。この小さいなエッチングされた開口は、レーザアブレーション過程の前に作られることもある。
【0038】
レーザ404は、例えば、様々な鏡およびレンズ(例えば、1、2、または4インチ(1インチ=約2.45cm)レンズ)を含むことがある。レーザ404は、約150マイクロメートルと約250マイクロメートルの間の上限直径(すなわち、第二面110での)および約10マイクロメートルと約150マイクロメートルとの間の下限直径(すなわち、第一面108での)を有するビアホール402を形成することがある。特定の例示の実施の形態において、レーザ404に対してガラス基板102を動かすために、xyzステージ(図示せず)が使用されることがある。レーザ404は、例えば、5.5、9.3、または10.6マイクロメートルの波長を有することがある。レーザ404は、例えば、200マイクロ秒の波形で50マイクロ秒のパルスを数百与えて、各ビアホール402を形成するために、30ワットのレーザであることがある。レーザ404は、280マイクロ秒の波形で27マイクロ秒のパルスを与えて、各ビアホール402を形成するための80ワットのレーザであることもある。他の実施の形態において、パルス列を与えて、約15ミリ秒以下でスルーホールをアブレーションすることによって、他のレーザ出力および波形を使用して、各ビアホール402を形成してもよい。そのレーザビームは、ゲル層400により妨げられない。
【0039】
図4Cは、ゲル層400を除去した後のガラス基板102の断面図である。ゲル層400は、ガラス基板102の第一面108から除去されている。ガラス基板102がレーザで加工された後、ゲル層400は、まだ失われた部分がなく、破片406を含んでいる。ゲル層400を除去すべき場合、そのゲル層は、どの適切な過程を使用して除去されてもよい。ゲル層400を除去する方法の1つは、ゲル層を剥がし、後に清浄な表面を残すことによるものである。ゲル層400を除去する別の方法は、ゲル層を水中に、または水中と、界面活性剤洗浄溶液中に溶かすことによるものである。これらの方法の両方とも、ガラス基板102の第一面108を破片のない状態にする。ゲル層400の除去後、所望であれば、ゲル層を、別の基板上に配置し、廃棄せずに再利用してもよい。ゲル層を複数回使用すると、費用が低下し、材料費が節約されるであろう。ゲル層400を再利用するために、ゲル層は、ある基板から剥がされ、別の基板上に置かれ、ゲル層をその基板に貼り付けるために、少量の力が印加されることがある。
【0040】
図5A~5Cは、ガラス基板の両側にあるゲル層を使用して、ビアホールを製造する例示の方法を示す断面図である。
図5Aは、ガラス基板102、第1のゲル層500a、および第2のゲル層500bの断面図である。第1のゲル層500aは、ガラス基板102の第一面108上に施されている。第2のゲル層500bは、ガラス基板102の第二面110上に施されている。特定の例示の実施の形態において、各ゲル層500aおよび500bを施す工程は、ガラス基板102の第一面108に第1のゲル層500aを吹き付け塗りする工程およびガラス基板102の第二面110に第2のゲル層500bを吹き付け塗りする工程を含むことがある。他の実施の形態において、各ゲル層500aおよび500bを施す工程は、ガラス基板102の第一面108に第1のゲル層500aを回転塗布する工程およびガラス基板102の第二面110に第2のゲル層500bを回転塗布する工程を含むことがある。
【0041】
各ゲル層500aおよび500bを施す工程は、例えば、各ゲル層500aおよび500bについて、5質量%から10質量%のポリビニルアルコール(PVA)の第1の水溶液の層を施す工程、および第1の水溶液の層の上に1質量%から10質量%の四ホウ酸ナトリウムの第2の水溶液を噴霧する工程を含むことがある。第1のゲル層500aおよび第2のゲル層500bは、例えば、両方とも、約0.5ミリメートル以上の厚さまで施されることがある。ゲル層500aおよび500bは、レーザアブレーション過程中に、それぞれ、第一面108および第二面110を保護するために、ガラス基板102の第一面108および第二面110上に一時的保護コーティングを提供する(
図5B)。ゲル層500aおよび500bは、レーザアブレーション中に生じる破片を収集する機能を果たし、レーザアブレーション中に各ビアの周りに作られることがある任意の山から谷までのエッジ縁高さを最小にする。例えば、ゲル層が使用されない場合、その山から谷までのエッジ縁高さ(すなわち、縁の上部から基板表面まで)は、約1、5、10、または30マイクロメートルより大きいことがある。レーザアブレーション中にゲル層を使用することによって、山から谷までのエッジ縁高さは、例えば、約1、0.5、0.1、0.05、または0.02マイクロメートル未満となるであろう。レーザアブレーション中にゲル層を使用することによって、山から谷までのエッジ縁高さは、例えば、1~500、2~100、または5~20ナノメートルの範囲内となるであろう。
【0042】
図5Bは、レーザアブレーションを行って、ビアホール502を形成した後の、ガラス基板102、第1のゲル層500a、および第2のゲル層500bの断面図である。レーザアブレーションからの破片506aが第1のゲル層500a内に捕捉され、レーザアブレーションからの破片506bが第2のゲル層500b内に捕捉されるように、ガラス基板102をレーザアブレーションして、ビアホール502を形成するために、レーザ404が使用される。レーザアブレーションは、ガラス基板102の第二面110から第一面108に行われて、第一面108での第1の直径および第二面110での、第1の直径より大きい第2の直径を備えたビアホールを形成する。第1のゲル層500aおよび第2のゲル層500bは、それぞれ、第一面108および第二面110上の各ビア502の周りの縁の形成を実質的に防ぐ。
【0043】
図5Cは、第1のゲル層500aおよび第2のゲル層500bの除去後の、ガラス基板102の断面図である。第1のゲル層500aは、ガラス基板102の第一面108から除去されており、第2のゲル層500bは、ガラス基板102の第二面110から除去されている。各ゲル層500aおよび500bは、例えば、
図4Cに関して先に記載されたように、それぞれ、第一面108および第二面110からゲル層を剥がすことにより、またはガラス基板102を洗浄して(例えば、水で)、ゲル層500aおよび500bを溶かすことによって、除去されるであろう。
【0044】
図6Aおよび6Bは、ガラス基板の両側にゲル層を施す前にガラス基板上にコンポーネントを製造する例示の方法を示す断面図である。
図6Aは、装置600の断面図である。装置600は、ガラス基板102の第一面108上に電子部品602と604およびガラス特徴606と608を有するガラス基板102を備える。電子部品602と604およびガラス特徴606と608は、
図5の第1のゲル層500aまたは第2のゲル層500bを施す前に、ガラス基板102の第一面108上に製造されることがある。
【0045】
図6Bは、第1のゲル層500aおよび第2のゲル層500bが施された、
図6Aの装置600の断面図である。第1のゲル層500aは、ガラス基板102の第一面108上に施され、電子部品602と604およびガラス特徴606と608を覆っている。したがって、電子部品602と604およびガラス特徴606と608は、レーザアブレーション中に破片から保護される。第2のゲル層500bは、ガラス基板102の第二面110上に施されている。次に、装置600は、先に記載され、
図5Bに関して示されているように、レーザ404により加工されて、ビアホールを形成することができる。
【0046】
図7Aは、使用前にレーザアブレーションによる破片を収集するための例示の材料700の断面図である。材料700は、5質量%から10質量%のポリビニルアルコール(PVA)の第1の水溶液および1質量%から10質量%の四ホウ酸ナトリウムの第2の水溶液を含むことがある。材料700は、60,000および140,000nポアズの間の粘度を有することがある。他の実施の形態において、材料700は、同様の粘度を有する他の溶液から作られることがある。材料700は、レーザアブレーションされるべき基板(例えば、先に記載されたガラス基板102)に付着するために、
図7Aに示されるような粘着性シートの形態にあることがある。
【0047】
材料700の組成物は、安価であり、毒性がない。材料700は非ニュートン固体であるので、その材料は、使用後にその基板から剥がすことができる。両方とも水溶性であるイオンおよび高分子から作られているので、材料700は、水による洗浄によってゲルが除去された後に、基板上にどのような残留物が残されていたとしても、容易に洗浄することもできる。
【0048】
図7Bは、破片702が材料700内に捕捉されている、使用後の例示の材料700の断面図である。材料700の粘着性シートは再利用可能であり、よって、材料700は、さらに別の基板のレーザアブレーション中に追加の破片を収集するために、レーザアブレーションすべきその別の基板に取り付けることができる。ガラス基板にビアホールをレーザアブレーションするために材料700を使用することによって、後の化学エッチングの必要がない。その材料は、基板に容易に施され、レーザアブレーション後に材料を剥がす事によって、容易に除去される。その材料は、前から存在する表面特徴の上に施され、それらの形状にしたがうことができる。その材料は、レーザアブレーションからの破片を収集し、それゆえ、破片のない表面がもたらされる。それに加え、ビアホールの周りの縁形成が、著しく減少している。材料700を使用することによって、ビアホールを形成するための過程は、低コストかつ高速になり、単純で安価な構成を有する。最後に、材料700を使用した、ここに開示されたビア形成過程は、異なるガラスのタイプおよび用途に使用してもよい。
【0049】
本開示の精神および範囲から逸脱せずに、本開示の実施の形態に、様々な改変および変更を行えることが、当業者に明白であろう。それゆえ、本開示は、そのような改変および変更を、それらが、付随の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内に入るという条件で、包含することが意図されている。
【0050】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0051】
実施形態1
デバイスにおいて、
ガラス基板、
前記ガラス基板の第一面上にある複数の電子部品、
前記第一面と反対の前記ガラス基板の第二面上にある金属化層、および
前記ガラス基板を通って延在している複数のビアであって、少なくとも1つのビアが、電子部品および前記金属化層と電気的に繋がっている、複数のビア、
を備え、
少なくとも1つのビアは、第1の直径に対する第2の直径の比が1.5:1より大きくなるように、前記第一面に第1の直径を、前記第二面に該第1の直径より大きい第2の直径を有する、デバイス。
【0052】
実施形態2
前記ビアの少なくとも1つが、前記第二面から前記第一面まで先細になっている、実施形態1に記載のデバイス。
【0053】
実施形態3
前記少なくとも1つの先細のビアが、前記第一面と前記第二面との間に直線状の側壁から作られている、実施形態2に記載のデバイス。
【0054】
実施形態4
前記少なくとも1つの先細のビアが、前記第一面と前記第二面との間に湾曲した側壁から作られている、実施形態2に記載のデバイス。
【0055】
実施形態5
前記ビアの少なくとも1つが、該ビアの側壁上にコンフォーマルな導体層を含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載のデバイス。
【0056】
実施形態6
前記ビアの少なくとも1つが、絶縁体、導体、または半導体材料で少なくとも部分的に充填されている、実施形態5に記載のデバイス。
【0057】
実施形態7
前記絶縁体、導体、または半導体材料が、ゾルゲル、ガラス、またはガラスセラミック材料の少なくとも1つから選択される、実施形態6に記載のデバイス。
【0058】
実施形態8
前記複数のビアの第1の部分の各ビアは、該複数のビアの第2の部分の各ビアより大きい寸法を有する、実施形態1から7のいずれか1つに記載のデバイス。
【0059】
実施形態9
前記デバイスがディスプレイを含み、前記複数の電子部品が、複数の薄膜トランジスタを含む、実施形態1から8のいずれか1つに記載のデバイス。
【0060】
実施形態10
ビアを製造する方法において、
ガラス基板の第一面上に第1のゲル層を施す工程、
レーザアブレーションから生じる破片が前記第1のゲル層内に捕捉されるように、前記ガラス基板をレーザアブレーションして、該ガラス基板を貫通するビアホールを形成する工程、および
前記第一面から前記第1のゲル層を除去する工程、
を有してなる方法。
【0061】
実施形態11
前記レーザアブレーションの前に、前記第一面と反対の、前記ガラス基板の第二面上に第2のゲル層を施す工程、および
前記レーザアブレーション後に前記第二面から前記第2のゲル層を除去する工程、
をさらに含み、
前記レーザアブレーションは、該レーザアブレーションからの破片が前記第1のゲル層および前記第2のゲル層内に捕捉されるように、前記ガラス基板をレーザアブレーションして、該ガラス基板を通る前記ビアホールを形成する、実施形態10に記載の方法。
【0062】
実施形態12
前記レーザアブレーションが、前記ガラス基板の第二面から前記第一面に行われて、該第一面での第1の直径および該第二面での該第1の直径より大きい第2の直径を有する前記ビアホールを形成する、実施形態10または11に記載の方法。
【0063】
実施形態13
前記第1のゲル層が、前記第一面上の前記ビアホールの周りの縁の形成を減少させるように、前記レーザアブレーションが、該第一面から前記ガラス基板の第二面に行われて、ビアホールを形成する、実施形態10から12のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
実施形態14
前記第1のゲル層を施す工程が、前記ガラス基板の第一面に前記第1のゲル層を吹き付け塗りする工程を含む、実施形態10から13のいずれか1つに記載の方法。
【0065】
実施形態15
前記第1のゲル層を施す工程が、前記ガラス基板の第一面に前記第1のゲル層を回転塗布する工程を含む、実施形態10から13のいずれか1つに記載の方法。
【0066】
実施形態16
前記第1のゲル層を施す前に、前記第一面上に電子部品を製造する工程、
をさらに含む、実施形態10から15のいずれか1つに記載の方法。
【0067】
実施形態17
前記第1のゲル層を施す工程が、5質量%から10質量%のポリビニルアルコール(PVA)の第1の水溶液の層を施す工程、および該第1の水溶液の層の上に1質量%から10質量%の四ホウ酸ナトリウムの第2の水溶液を噴霧する工程を含む、実施形態10から16のいずれか1つに記載の方法。
【0068】
実施形態18
5質量%から10質量%のポリビニルアルコール(PVA)の第1の水溶液、および
1質量%から10質量%の四ホウ酸ナトリウムの第2の水溶液、
を含む、レーザアブレーションによる破片を収集するための材料。
【0069】
実施形態19
前記材料が、60,000と140,000nポアズの間の粘度を有する、実施形態18に記載の材料。
【0070】
実施形態20
前記材料が、レーザアブレーションすべき基板に付着するために粘着性シートの形態にある、実施形態18または19に記載の材料。
【0071】
実施形態21
前記粘着性シートが再利用可能である、実施形態20に記載の材料。
【0072】
実施形態22
デバイスにおいて、
ガラス基板、
前記ガラス基板の第一面上にある複数の電子部品、
前記第一面と反対の前記ガラス基板の第二面上にある金属化層、および
前記ガラス基板を通って延在している複数のビアであって、少なくとも1つのビアが、電子部品および前記金属化層と電気的に繋がっている、複数のビア、
を備え、
少なくとも1つのビアは、絶縁体、導体、または半導体材料で少なくとも部分的に充填されている、デバイス。
【0073】
実施形態23
前記絶縁体、導体、または半導体材料が、ゾルゲル、ガラス、またはガラスセラミック材料の少なくとも1つから選択される、実施形態21に記載のデバイス。
【符号の説明】
【0074】
100 デバイス
102 ガラス基板
104 複数の電子部品
105 金属化層
106 複数のビア
108 第一面
110 第二面
112 導体
114 導体層
116、116a、116b 側壁
118、700 材料
200a、200b、300a、300b、402、502 ビアホール
202a、202b、302a、302b 第1の直径
204a、204b、304a、304b 第2の直径
400、500a、500b ゲル層
404 レーザ
406、506a、506b、702 破片
600 装置
602、604 電子部品
606、608 ガラス特徴
【国際調査報告】