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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】ビデオ内視鏡及びブレーキ要素
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
A61B1/00 714
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521192
(86)(22)【出願日】2019-10-21
(85)【翻訳文提出日】2021-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2019078500
(87)【国際公開番号】W WO2020099067
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】102018128306.7
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510320416
【氏名又は名称】オリンパス・ウィンター・アンド・イベ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】特許業務法人森脇特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チューネン アルラン
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161BB03
4C161CC06
4C161FF30
4C161JJ13
4C161LL02
(57)【要約】
【課題】横方向視野のビデオ内視鏡(1)は、近位端及び遠位端を有する長尺のシャフト(2)と、シャフトの遠位端の部分に配置される対物レンズ(3)と、対物レンズ(3)の近傍に配置される電子イメージコンバータと、シャフトの近位端(2)に配置される本体(10)とを備える。
【解決手段】第1グリップ要素(11)は本体(10)に配置されており、シャフト(2)及び本体(10)と回転固定されており、ビデオ内視鏡(1)の視野方向を変更するために、シャフト(2)及び本体(10)をシャフト(2)の長手方向軸(5)を中心に回転させる役割を果たす。第2グリップ要素(12)は本体(10)に配置されており、シャフト(2)及び本体(10)に対してシャフト(2)の長手方向軸(5)を中心に回動可能であり、第1グリップ要素(11)を回転させビデオ内視鏡(1)の視野方向を変更するときに、電子イメージコンバータの水平位置を維持する役割を果たす。第2グリップ要素(12)と、本体(10)及び/又は第1グリップ要素(11)間には、少なくとも1つの環状弾性ブレーキ要素(21、22)が配置される。
本発明のビデオ内視鏡において、少なくとも1つの環状弾性ブレーキ要素(21、22)は周方向に巻かれたコイルバネ(30)を備え、コイルバネ(30)の巻線(31)は、1本の巻線(31)により張られた表面(33)の表面ベクトル(32)が、実質的にブレーキ要素の周方向に向くように配向されることを更に特徴とする。
さらにまた、ビデオ内視鏡(1)のための弾性環状ブレーキ要素(21、22)が示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横の視野方向を有するビデオ内視鏡(1)であって、前記ビデオ内視鏡(1)は、
近位端及び遠位端を有する長尺のシャフト(2)と、
前記シャフトの遠位端の部分に配置される対物レンズ(3)と、
前記対物レンズ(3)の近傍に配置される電子イメージコンバータと、
前記シャフト(2)の近位端に配置される本体(10)と、を備え、
第1グリップ要素(11)は前記本体(10)に配置されており、前記第1グリップ要素(11)は、前記シャフト(2)及び前記本体(10)と回転固定されており、前記ビデオ内視鏡(1)の視野方向を変更するために、前記シャフト(2)及び前記本体(10)を前記シャフト(2)の長手方向軸(5)を中心に回転させる役割を果たし、
第2グリップ要素(12)は前記本体(10)に配置されており、前記第2グリップ要素(12)は、前記シャフト(2)及び前記本体(10)に対して前記シャフト(2)の前記長手方向軸(5)を中心に回動可能であり、前記第1グリップ要素(11)を回転させ前記ビデオ内視鏡(1)の視野方向を変更するときに、前記電子イメージコンバータの水平位置を維持する役割を果たし、
前記第2グリップ要素(12)と、前記本体(10)及び/又は前記第1グリップ要素(11)間には、少なくとも1つの環状弾性ブレーキ要素(21、22)が配置され、
少なくとも1つの前記環状弾性ブレーキ要素(21、22)は、周方向に巻かれたコイルバネ(30)を備え、
前記コイルバネ(30)の巻線(31)は、1本の前記巻線(31)により張られた表面(33)の表面ベクトル(32)が、実質的に前記ブレーキ要素の周方向に向くように配向されることを更に特徴とするビデオ内視鏡。
【請求項2】
前記第2グリップ要素(12)が前記本体(10)に対して回転する間、第1接触面と第2接触面との間に前記コイルバネ(30)が、前記コイルバネ(30)の前記巻線(31)が前記第1接触面及び/又は前記第2接触面に沿って摺動するように配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のビデオ内視鏡。
【請求項3】
前記コイルバネ(30)は導電材料、特にはばね鋼で構成され、
前記第1接触面及び/又は前記第2接触面は、非導電体、特にはプラスチックで構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のビデオ内視鏡。
【請求項4】
ラビリンスシール又は間隙封止(23)が、少なくとも1つの環状ブレーキ要素(21、22)の前又は後ろに配置されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項記載のビデオ内視鏡。
【請求項5】
前記第2グリップ要素(12)と、前記本体(10)及び/又は前記第1グリップ要素(11)との間に、2つの前記環状弾性ブレーキ要素(21、22)が配置され、それぞれが、周方向に巻かれた前記コイルバネ(30)を備えることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項記載のビデオ内視鏡。
【請求項6】
第1の前記環状弾性ブレーキ要素(21)は、前記本体(10)の近位端の部分に配置されており、
第2の前記環状弾性ブレーキ要素(22)は、前記本体(10)の遠位端の部分に配置されていることを特徴とする、請求項5記載のビデオ内視鏡。
【請求項7】
前記コイルバネ(30)は非円形のコイル断面を有することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項記載のビデオ内視鏡。
【請求項8】
前記コイルバネ(30)の前記コイル断面の最大直径は、前記シャフト(2)の長手方向を向くように配置されることを特徴とする、請求項7記載のビデオ内視鏡。
【請求項9】
前記コイルバネ(30)の前記コイル断面の最小直径は、前記シャフト(2)の前記長手方向軸(5)に対して垂直を向くように配置されることを特徴とする、請求項6又は7に記載のビデオ内視鏡。
【請求項10】
少なくとも1つの前記ブレーキ要素(21、22)は、半径方向の間隙に配置され、
前記間隙の半径方向高さは、前記コイルバネ(30)の前記コイル断面の最小直径より少なくとも10%、好適には少なくとも25%小さいことを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項記載のビデオ内視鏡。
【請求項11】
少なくとも1つの前記ブレーキ要素(21、22)は、半径方向の間隙に配置され、
前記間隙の半径方向高さが、前記間隙の平均半径の20%未満、好ましくは15%未満、特に好適には10%未満であることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項記載のビデオ内視鏡。
【請求項12】
前記コイルバネ(30)は実質的に円形の断面を有するワイヤから巻かれることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一項記載のビデオ内視鏡。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項記載のビデオ内視鏡(1)の環状ブレーキ要素(21、22)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横の視野方向を有するビデオ内視鏡に関する。このビデオ内視鏡は、近位端及び遠位端を有する長尺のシャフトと、シャフトの遠位端の部分に配置される対物レンズと、対物レンズの近傍に配置される電子イメージコンバータ(画像変換器)と、シャフトの近位端に配置される本体とを備える。
第1グリップ要素は本体に配置されている。第1グリップ要素は、シャフト及び本体と回転固定され、ビデオ内視鏡の視野方向を変更するために、シャフト及び本体をシャフトの長手方向軸を中心とし回転させる役割を果たす。
第2グリップ要素は本体に配置されている。第2グリップ要素は、シャフト及び本体に対してシャフトの長手方向軸を中心とし回動可能であり、第1グリップ要素を回転させビデオ内視鏡の視野方向を変更するとき、電子イメージコンバータの水平位置を維持する役割を果たす。
第2グリップ要素と本体との間には、少なくとも1つの環状弾性ブレーキ要素が配置されている。
【0002】
さらにまた本発明は、環状ブレーキ要素に関する。
【背景技術】
【0003】
ビデオ内視鏡は、人間又は動物の患者の、接近するのが困難である部分を光学的に観察し、必要に応じて治療を行うために以前から医療(現場)で使用されてきた。この目的のために、ビデオ内視鏡は、対象箇所に元々あるか、又は外科的に作られた身体の開口部を介して挿入される長尺のシャフトを備えることが通例である。本体は、シャフトの近位端に位置し、ここでビデオ内視鏡の保持及び制御が可能である。対物レンズはシャフトの遠位端に配置され、対物レンズの近傍に配置される電子イメージコンバータ上に対象領域のイメージを映す。イメージコンバータは、シャフト内に延在している信号線を介して又はワイヤレスで本体に、そしてそこから制御装置へ送信される電子映像信号を生成する。制御装置から、モニタ及び/又はビデオ記録装置へ映像信号を送信することができる。
【0004】
観察可能な領域を拡張するために、ビデオ内視鏡は、横の視野方向(すなわち特定角度だけシャフトの長手方向軸から逸れた視野方向)を備えることが多い。シャフトを回転させることによって、この視野方向を回転させることができる。
【0005】
シャフトが回転するときに映像の水平位置を維持するために、電子イメージコンバータは、その回転位置において一定でなければならない。この目的のために、公知のビデオ内視鏡は、本体上に2つのグリップ要素を備える。第1グリップ要素は、回転できないようにシャフト及び本体に接続されている。その結果、第1グリップ要素を回転させることによって、シャフトと、ひいてはビデオ内視鏡の視野方向を回転させることができる。例えば、第1グリップ要素は、本体の遠位端に配置される回転リングを含むことができる。第2グリップ要素は、第1グリップ要素及び本体に対して回動可能であり、イメージコンバータの回転方向が第2グリップ要素の回転方向に常に対応するようイメージコンバータに結合される。
【0006】
ビデオ内視鏡の視野方向を変更するためには、使用者は、片方の手で第2グリップ要素を保ちながら、もう片方の手で第1グリップ要素を回転させることができる。このようにすると、映像の水平位置は、安定した状態が保たれる。
【0007】
ビデオ内視鏡の快適かつ安全な動作を確実にするために、第2グリップ要素と、本体及び/又は第1グリップ要素との間に配置される環状弾性ブレーキ要素によって、視野方向を回転させるために加えられるトルクが調整される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
互いに回動可能である部品(例えば第2グリップ要素と、本体及び/又は第1グリップ要素)間には必然的に間隙が生じ、ビデオ内視鏡を使用する際に水分及び汚れがこの間隙に入り得る。ビデオ内視鏡の再調整中にこの間隙を掃除するのは困難である。水分又は汚れが入るのを防止するために、環状の弾性ブレーキ要素を取り付けることにより、特定の封止効果を達成するようにしてもよい。
【0009】
対応するビデオ内視鏡は、例えば、名称「ENDOEYE」で本発明の出願人によって販売されている。
【0010】
従来技術においては、ゴム又はシリコンのようなエラストマーで作られる密封リングが、環状弾性ブレーキ要素として用いられるのが通例である。この種の密封リングは、(主にビデオ内視鏡を修理する間に密封リングに影響を与える)機械、熱、及び化学衝撃に対して充分な耐性を備えている。
【0011】
しかし、公知のエラストマーシールの封止能力が多くの再処理サイクルを通じて完全なままであっても、密封リングの特性に関する変化は生じる。特に、時間の経過とともに密封リングの摺動特性が変化することが認められており、本体に対して第2グリップ要素を回転させることが困難となる。これは、ビデオ内視鏡を使用する際に問題となる。
【0012】
従って本発明の目的は、記載された問題に対して改善されたビデオ内視鏡及び環状ブレーキ要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様によれば、この目的は、横の視野方向を備えたビデオ内視鏡によって達成される。本発明のビデオ内視鏡は、近位端及び遠位端を有する長尺のシャフトと、シャフトの遠位端の部分に配置される対物レンズと、対物レンズの近傍に配置される電子イメージコンバータと、シャフトの近位端に配置される本体とを備える。
第1グリップ要素は本体に配置されている。第1グリップ要素はシャフト及び本体と回転固定され、ビデオ内視鏡の視野方向を変更するために、シャフト及び本体をシャフトの長手方向軸を中心に回転させる役割を果たす。
第2グリップ要素は本体に配置されている。第2グリップ要素は、シャフト及び本体に対してシャフトの長手方向軸を中心とし回動可能であり、第1グリップ要素を回転させビデオ内視鏡の視野方向を変更するとき、電子イメージコンバータの水平位置を維持する役割を果たす。
第2グリップ要素と、本体及び/又は第1グリップ要素との間には、少なくとも1つの環状弾性ブレーキ要素が配置されており、少なくとも1つの環状弾性ブレーキ要素は周方向に巻かれたコイルバネを備え、コイルバネの巻線は、1本の巻線により張られた表面の表面ベクトルが、実質的にブレーキ要素の周方向に向くように配向されることを更に特徴とする。
【0014】
コイルバネの摺動特性と封止特性の両方は、エラストマーシールの対応する特性と比較すると、機械、熱及び/又は化学的な影響をそれほど受けないという発見を本発明は含む。同時に、驚くべきことに、周方向に巻かれたコイルバネで必然的に生じる間隙が、汚れ又は水分の侵入に対するコイルバネの封止効果をそれ程弱めないということを見出した。
【0015】
本発明のビデオ内視鏡の更なる有利な実施例において、第2グリップ要素が本体に対して回転する間、コイルバネの巻線が第1の接触面及び/又は第2の接触面に沿って摺動するというように、コイルバネは第1接触面と第2接触面との間に配置されてもよい。その結果、コイルバネの優れた長期安定性は、ビデオ内視鏡の摺動挙動に対して直接的に役立つ。
【0016】
コイルバネは導電材料(特にはばね鋼)で構成することができる一方で、第1及び/又は第2接触面は非導電体(特にはプラスチック)で構成することができる。この種の材料の組合せにより、一方では、特に好ましい摺動特性を提供し、他方では、従来のエラストマーシールと同様に、互いの接触面の電気的絶縁を提供する。
【0017】
本発明の別の実施例において、ラビリンスシール又は間隙シールを、少なくとも1つの環状ブレーキ要素の前又は後ろに配置してもよい。この種の追加ブレーキ要素は、ブレーキ要素の摺動特性に影響することなく封止効果を更に高めることができる。
【0018】
本発明のビデオ内視鏡の有利な実施例において、第2グリップ要素と、本体及び/又は第1グリップ要素との間に弾性ブレーキ要素を2つ配置することができ、それぞれ周方向に巻かれたコイルバネを備える。
【0019】
ここで、第1の弾性ブレーキ要素を本体の近位端の部分に、そして第2の弾性ブレーキ要素を本体部の遠位端の部分に配置することができる。この手段によって、第2グリップ要素は特に確実な方法で本体に導かれる。更に、このように本体と(本体の長さにわたり延在する)第2グリップ要素間の空洞は両側で封止することができる。
【0020】
本発明のビデオ内視鏡の1つの見込まれる実施例において、コイルバネは、非円形のコイル断面を有してもよい。この場合、コイルバネのコイル断面の最大直径が、シャフトの長手方向を向くように配置してもよく、コイルバネのコイル断面の最小直径は、シャフトの長手方向軸に対して垂直を向くように配置してもよい。
【0021】
このようなコイルバネの設計にはさまざまな利点がある。一方、非円形形状では、組み立て中にシャフトの長手方向にコイルバネが転がるのを防ぐが、ばねは不規則にねじられてしまい、その結果、制動及び/又は封止効果が均一ではなくなる。同時にコイルバネの内側及び外側の曲率半径が小さい場合は、接触面上の表面圧が低減される。
【0022】
本発明のビデオ内視鏡の好適な更なる実施例において、少なくとも1つのブレーキ要素は半径方向隙間に配置されており、間隙の半径方向高さは、コイルバネのコイル断面の最小直径より少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%小さい。しかし好適には、間隙の半径方向高さは、コイルバネのコイル断面で最小直径の少なくとも50%である。
【0023】
間隙の高さが低い場合は、シャフトの長手方向軸に対して垂直にコイルバネを圧縮し、コイルバネの個々のコイルを傾ける。傾斜角は、間隙の高さがコイルバネのコイル断面の最小直径より10%小さい場合は約25度であり、間隙の高さがコイルバネのコイル断面の最小直径より25%小さい場合は、約40度である。
【0024】
本発明のビデオ内視鏡の更に有利な実施例において、少なくとも1つのブレーキ要素が半径方向の間隙に配置され、間隙の半径方向高さは間隙の平均半径の20%未満、好ましくは15%未満、特に好ましくは10%未満である。間隙を対応する寸法にすることによって、コイルバネの個々の巻線間の間隙が封止効果を弱めるほどには広くならないようにする。好適には、間隙の半径方向高さは間隙の平均半径の少なくとも1%である。
【0025】
コイルバネは、実質的に円形の断面のワイヤから巻かれてもよい。
【0026】
本発明の目的は更にまた、前記実施例によるビデオ内視鏡のブレーキ要素によって達成される。この点に関して、有利な実施例ならびに、これにより達成可能な効果及び利点に関して、明示的に上記の参照がなされる。
【0027】
本発明は多くの例示的な実施形態を参照することにより、以下で更に詳細に記載される。明細書中、例示の実施例は本発明をよりよく理解できるように提供されるものであって、実施例に限定されるように理解されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】ビデオ内視鏡を示している。
図2】ビデオ内視鏡の断面図を示している。
図3図3(a)は弾性ブレーキ要素を示しており、図3(b)は図3(a)の部分的な拡大図である。
図4】弾性ブレーキ要素の断面図である。
図5図5(a)は無負荷状態のブレーキ要素の部分であり、図5(b)及び図5(c)は負荷のかかった状態のブレーキ要素の部分である。
図6】別のビデオ内視鏡の断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、対物レンズ3が配置されている遠位端に、長尺のシャフト2を有するビデオ内視鏡1を示す。対物レンズは横の視野方向を有しており、すなわち、矢印4が示す対物レンズ3の視野方向は、ビデオ内視鏡1の長手方向軸5から逸れている。
【0030】
更にまた、ビデオ内視鏡1は、第1のグリップ要素11及び第2のグリップ要素12が配置されている本体10を有する。
【0031】
第1のグリップ要素11は、本体の遠位端で回転ホイールとして設計されている。第1のグリップ要素11によって、シャフト2と、対物レンズ3と、本体10とは、内視鏡の長手方向軸5を中心に回転することができる。その結果、ビデオ内視鏡の視野方向もビデオ内視鏡の長手方向軸5を中心に回転する。これは、両方向矢印15によって示されている。
【0032】
対物レンズ3の近傍のシャフト2には、例えばCCDチップ又はCMOSチップなどの、図示しない電子イメージコンバータが配置されている。もちろん異なる色空間又はステレオ光学システムの部分画像を撮像するために複数のイメージコンバータが設けられていてもよい。電子イメージコンバータは対物レンズ3によって投影される画像を電気信号に変換する。そして、それはシャフト2を介して本体10へ、そこからケーブル16を介して外部処理デバイス(図示なし)へ送信される。処理デバイスは、例えばモニタで表示するため又はメモリ素子に格納するために、電気信号を処理することができる。
【0033】
ビデオ内視鏡1の視野方向が回転するときに映像の水平位置を維持するために、イメージコンバータはシャフト2に回動可能に配置され、第2のグリップ要素12に回転結合される。この目的のために、シャフト又は本体10の壁を介して作用する電磁結合が設けられている。この電磁結合の構造は公知であり、詳細に説明する必要はない。
【0034】
第2のグリップ要素12は、第1の回転体11及び本体10に対して回動可能に配置される。第1のグリップ要素11を回すことにより、ビデオ内視鏡の視野方向を回転させても、第2のグリップ要素12(の回転)は同時に保たれる。これにより、電子イメージコンバータの向きも一定に保持される。
【0035】
図2において、ビデオ内視鏡1は簡略断面図で示されており、明瞭化のためにシャフト2及び本体10の内部は図示されていない。
【0036】
第1のグリップ要素11は、シャフト2から本体10への移行部付近でシャフト2に回転不能に接続されることが分かる。第2のグリップ要素12は、本体10の近位端からその遠位端まで延在し、本体10と第1のグリップ要素11間で延在している。
【0037】
ビデオ内視鏡1の視野方向を回転させるために必要とされるトルクを調整するため、環状の弾性ブレーキ要素21、22は、以下で詳細に説明するが、本体10と第2のグリップ要素12の間、そして第1のグリップ要素11と第2のグリップ要素12の間に配置される。
【0038】
本体10と、第1のグリップ要素11と、第2のグリップ要素12との間には、ビデオ内視鏡1の使用中に水分や汚れが入り込む可能性のある空洞20が形成されており、除去は困難を伴う。
【0039】
ブレーキ要素21、22は更に、水分及び汚れが空洞20に入るのを防止するシールとして作用する。加えて、第1グリップ要素11と第2グリップ要素12の間の間隙23は、付加的な間隙シールとして作用するように特に狭く作られる。
【0040】
図3(a)は、無負荷状態の弾性ブレーキ要素21を正面図で示しており、図3(b)は、図3(a)のXで示される部分の拡大図である。
【0041】
ブレーキ要素21はコイルバネ30から成ることが分かる。コイルバネ30の個々の巻線31は、個々の巻線31により張られた表面33の表面ベクトル32が、実質的にブレーキ要素21の周方向に向くように配向される。
【0042】
コイルバネ30は、実質的に円形の断面を有する金属ワイヤから巻かれている。例えばステンレス鋼は、コイルバネ30の材料に適している。
【0043】
環状ブレーキ要素21を製造するために、コイルバネはまず、まっすぐなコイルバネとしてブレーキ要素の周長に沿って巻かれ、それからリングを形成するために弾性的に湾曲させてもよい。その後、コイルバネの両端を例えば溶接等で接合し、端と端がつながった環状コイルバネを形成することができる。
【0044】
ブレーキ要素21の外部分では、円環形状により、コイルスプリング30の巻線31間に小さな間隙35が必然的に生じる。この間隙が、ブレーキ要素21の封止効果を減じる程度まで大きくならないように、ブレーキ要素21が挿入される間隙の半径方向高さは、間隙の平均半径より著しく小さい。間隙の高さは、好適には間隙の平均半径の20%未満、より好ましくは15%未満、最も好ましくは10%未満である。
【0045】
図4には、弾性ブレーキ要素21の断面が示されている。ブレーキ要素21のコイルの断面が非円形であり、略楕円であることが分かる。本明細書において、コイル断面の最大(略楕円の長軸)直径はシャフト2の長手方向軸5の方向を向くように配置される。その一方で、コイル断面の最小(略楕円の短軸)直径はシャフト2の長手方向軸5に対して垂直方向を向くように配置される。
【0046】
ビデオ内視鏡1が組み立てられるとき、例えば第2グリップ要素12が本体10上で軸方向に摺動するとき、ブレーキ要素21の非円形のコイル断面はブレーキ要素21が接触面に沿って転がるのを防止する。この場合、コイルバネ30は不規則にねじれ得るのでその結果、ブレーキ要素21の制動及び/又は封止効果が弱まる。
【0047】
図5(a)~図5(c)は、コイルバネ30の構造体上にある、弾性ブレーキ要素21、22が挿入されている間隙の高さがもたらす影響について示している。
【0048】
図5(a)は弛緩状態のコイルバネの巻線31の位置を示し、ここでは、巻線31はブレーキ要素の周方向に対して略垂直となっている。
【0049】
図5(b)は、間隙の高さがコイルバネ30の巻き径より約10%小さい場合の状態について示す。図5(b)では、巻線31が弾性的に約25度片側へ移動していることが分かる。その過程で、コイルバネ30は、復元力を蓄積し、コイルバネ30と接触面との間の均一かつ封止接触を確実にする。
【0050】
コイルバネ30の復元力は、本質的に、ブレーキ要素30とそれぞれの接触面間の摩擦を決定する。その結果、ビデオ内視鏡1の視野角を回転させる際に、使用者が加えるべき力を決定する。復元力は、化学又は熱的影響にさらされてもほとんど影響を受けないので、摩擦は長期間にわたって一定しており、また(視野角の)再調整を多数回繰り返した後でも一定している。コイルバネ30の正確な復元力(ビデオ内視鏡1を快適に取扱うために必要)は、ビデオ内視鏡1の寸法及び使用される材料に大きく依存する。これは、特定のビデオ内視鏡1では、単純な実験において困難なく見つけられる。
【0051】
第2グリップ要素12がビデオ内視鏡1の本体10に対して回転するとき、コイルバネ30の巻線31は内側接触面又は外側接触面に沿って摺動する。コイルバネには鋼を用い、接触面にはプラスチック(例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はポリエチレン(PE))を用いることは、この場合特に有利な材料の組合せであると確認されている。非導電性接触面には、互いに回動可能なビデオ内視鏡1の部分が互いに電気絶縁されるという更なる利点があり、これは、従来のエラストマーシールを使用するときの条件に対応している。
【0052】
図5(c)は、間隙の高さがコイルバネ30の巻き径より約25%小さい場合の状態について示す。ここで巻線31は、角度が約40度傾けられている。
【0053】
ブレーキ要素22の設計は、ブレーキ要素21の記載されている設計に対応する。図6は、ビデオ内視鏡101の別の設計図を示す。これは、図2に示されるビデオ内視鏡1の設計に基本的に同じであり、対応する要素は、100加算された参照符号を備えており、再度詳細には説明されない。
【0054】
ビデオ内視鏡1とは異なり、ビデオ内視鏡101において、第2のブレーキ要素122は、第1グリップ要素111と第2グリップ要素112の間に配置されないが、シャフト102への移行部付近で、第2グリップ要素112と本体110の間に配置される。
【0055】
更なる特別な特徴として、ブレーキ要素122は、本体110に形成される内側スロットと、第2グリップ要素112に形成される外側スロットとの間に配置される。これにより、ビデオ内視鏡101組立て中に、ブレーキ要素122が実質的に2つのスロットの間に係合するため正しい位置を顕著に示すことができる。もちろん、同じ実施例を第1のブレーキ要素121に用いることも可能である。
図1
図2
図3a-3b】
図4
図5a
図5b
図5c
図6
【国際調査報告】