IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 漢陽大学校産学協力団の特許一覧

特表2022-505250膜構造体、素子およびマルチレベル素子
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】膜構造体、素子およびマルチレベル素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20220106BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20220106BHJP
   B82Y 10/00 20110101ALI20220106BHJP
【FI】
H01L29/78 618B
H01L29/06 601W
B82Y10/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521212
(86)(22)【出願日】2019-03-20
(85)【翻訳文提出日】2021-04-16
(86)【国際出願番号】 KR2019003242
(87)【国際公開番号】W WO2020080621
(87)【国際公開日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】10-2018-0124405
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0021029
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515084292
【氏名又は名称】漢陽大学校産学協力団
【氏名又は名称原語表記】Industry-University Cooperation Foundation Hanyang University
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ソン ミョンモ
(72)【発明者】
【氏名】ギム ホンボム
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ジンウォン
(72)【発明者】
【氏名】バク ジンソン
【テーマコード(参考)】
5F110
【Fターム(参考)】
5F110AA09
5F110CC07
5F110FF01
5F110FF02
5F110FF03
5F110GG01
5F110GG05
5F110GG07
5F110GG14
5F110GG15
5F110GG19
5F110GG20
5F110GG25
(57)【要約】
本発明の一実施例に係る膜構造体は、少なくとも1軸方向に量子化されたエネルギーレベルを有する少なくとも一層のアクティブモノレイヤ(active monolayer)および前記少なくとも一層のアクティブモノレイヤと交互に積層される少なくとも一層のバリア(barrier)を含み、前記アクティブモノレイヤには電流が流れ、前記量子化されたエネルギーレベルによって電流の流れが制限され得る。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1軸方向に量子化されたエネルギーレベルを有する少なくとも一層のアクティブモノレイヤ(active monolayer)、および
前記少なくとも一層のアクティブモノレイヤと交互に積層される少なくとも一層のバリア(barrier)を含み、
前記アクティブモノレイヤには電流が流れ、前記量子化されたエネルギーレベルによって電流の流れが制限される、膜構造体。
【請求項2】
前記アクティブモノレイヤおよび前記バリアはハイブリッド超格子構造(hybrid superlattice structure)を有する、請求項1に記載の膜構造体。
【請求項3】
前記アクティブモノレイヤは2次元層状構造を有する、請求項1に記載の膜構造体。
【請求項4】
前記アクティブモノレイヤおよび前記バリアの積層は量子井戸構造(quantum well structure)を提供する、請求項1に記載の膜構造体。
【請求項5】
請前記アクティブモノレイヤが金属単原子またはTMDC(Transitionmetal dichalcogenide)からなる場合、前記アクティブモノレイヤは短軸方向に量子化されたエネルギーレベルを有する、請求項1に記載の膜構造体。
【請求項6】
前記アクティブモノレイヤが金属酸化物からなる場合、前記アクティブモノレイヤは3軸方向に量子化されたエネルギーレベルを有する、請求項1に記載の膜構造体。
【請求項7】
前記アクティブモノレイヤに印加されるフィールド(field)の強度が増加しても、前記量子化されたエネルギーレベルによって電流の流れが制限される、請求項1に記載の膜構造体。
【請求項8】
ゲート電極、前記ゲート電極の一側のゲート絶縁膜、前記ゲート絶縁膜の一側に設けられる少なくとも一層のアクティブモノレイヤ(active monolayer)、
前記少なくとも一層のアクティブモノレイヤと交互に積層される少なくとも一層のバリア(barrier)、および
前記ゲート電極にゲート電圧が印加される場合、前記アクティブモノレイヤを通じて電流が流れるソース電極およびドレイン電極を含む、素子。
【請求項9】
前記アクティブモノレイヤは少なくとも1軸方向に量子化されたエネルギーレベル(quantized energy level)を有する、請求項8に記載の素子。
【請求項10】
前記量子化されたエネルギーレベルは、前記ゲート電圧がターンオン電圧(turn on voltage)以上において、前記アクティブモノレイヤを流れる電流の量を制限する、請求項9に記載の素子。
【請求項11】
前記アクティブモノレイヤが金属単原子およびTMDCのうち少なくとも一つを含む場合、前記アクティブモノレイヤは短軸方向に量子化されたエネルギーレベルを有する、請求項8に記載の素子。
【請求項12】
前記アクティブモノレイヤが金属酸化物を含む場合、前記アクティブモノレイヤは3軸方向に量子化されたエネルギーレベルを有する、請求項8に記載の素子。
【請求項13】
前記アクティブモノレイヤは複数の結晶質領域と前記結晶質領域を囲む非晶質領域を含む、請求項8に記載の素子。
【請求項14】
前記アクティブモノレイヤは3軸方向に量子化されたエネルギーレベルを有する、請求項13に記載の素子。
【請求項15】
前記アクティブモノレイヤと前記ソースおよびドレイン電極の間には前記バリアが積層される、請求項8に記載の素子。
【請求項16】
前記アクティブモノレイヤは前記バリアの間に挟まれた構造を有する、請求項8に記載の素子。
【請求項17】
前記アクティブモノレイヤは所定の厚さを有し、前記所定の厚さはナノサイズである、請求項8に記載の素子。
【請求項18】
前記ゲート電極に印加されるゲート電圧によって前記第1および前記第2アクティブ層のうち活性化されるアクティブ層の数が制御される、請求項8に記載のマルチレベル素子。
【請求項19】
前記ソース電極および前記ドレイン電極は前記第2アクティブ層とのみ電気的に接触する、請求項8に記載のマルチレベル素子。
【請求項20】
前記ゲート電極に印加される第1ゲート電圧範囲、前記第2ゲート電圧範囲および前記第3ゲート電圧範囲に区分されており、前記ゲート電圧の増加順で前記第1、前記第2および前記第3ゲート電圧範囲が提供される、請求項8に記載のマルチレベル素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は膜構造体および素子に関し、より具体的には、量子化されたアクティブモノレイヤを含む膜構造体、素子およびマルチレベル素子に関する。
【背景技術】
【0002】
最近ハードウェアやソフトウェア的により高い仕様の性能が要求されている。このため、より速く、容量が大きく、低電力特性を有する電子素子に対する研究が活発に行われている。
【0003】
しかし、既存のMOSFETを微細化するとしても微細化には限界がある。それは、微細化そのものによる問題が発生するためである。例えば、集積回路上の素子密度が増加するにつれてて高温が発生することになり、これは素子の信頼性を劣化させる問題を惹き起こすことになる。
【0004】
したがって、ダウンスケーリング(down scaling)を通じての接近方式は未来に要求される電子素子の特性を達成するのに根本的な限界を有している。
【0005】
そこで、本発明者らは、未来指向的な素子に適用され得る創意的な膜構造体、素子およびマルチレベル素子を通じて従来技術の問題点を解決しようとする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする一技術的課題は、電流の流れが制限(limit)される膜構造体および素子を提供するところにある。
【0007】
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、量子化されたアクティブモノレイヤを含む膜構造体および素子を提供するところにある。
【0008】
本発明が解決しようとするさらに他の技術的課題は、1軸または3軸で量子化されたアクティブモノレイヤを含む膜構造体および素子を提供するところにある。
【0009】
本発明が解決しようとするさらに他の技術的課題は、超格子構造を有する膜構造体および素子を提供するところにある。
【0010】
本発明が解決しようとするさらに他の技術的課題は、量子井戸構造を有する膜構造体および素子を提供するところにある。
【0011】
本発明が解決しようとするさらに他の技術的課題は、しきい電圧以上で電流/ゲート電圧が所定の傾き以下である膜構造体および素子を提供するところにある。
【0012】
本発明が解決しようとするさらに他の技術的課題は、製造が容易な膜構造体および素子を提供するところにある。
【0013】
本発明が解決しようとするさらに他の技術的課題は、マルチレベル素子を提供するところにある。
【0014】
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、製造工程が簡単なマルチレベル素子を提供するところにある。
【0015】
本発明が解決しようとすること技術的課題は、超薄膜のマルチレベル素子を提供するところにある。
【0016】
本発明が解決しようとする技術的課題は、前述されたものに制限されない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一実施例に係る膜構造体は、少なくとも1軸方向に量子化されたエネルギーレベルを有する少なくとも一層のアクティブモノレイヤ(active monolayer)および前記少なくとも一層のアクティブモノレイヤと交互に積層される少なくとも一層のバリア(barrier)を含むものの、前記アクティブモノレイヤには電流が流れるものの、前記量子化されたエネルギーレベルによって電流の流れが制限され得る。
【0018】
一実施例によると、前記アクティブモノレイヤおよび前記バリアは、ハイブリッド超格子構造(hybrid superlattice structure)を有することができる。
【0019】
一実施例によると、前記アクティブモノレイヤは2次元層状構造を有することができる。
【0020】
一実施例によると、前記モノレイヤおよび前記バリアの積層は量子井戸構造(quantum well structure)を提供することができる。
【0021】
一実施例によると、前記アクティブモノレイヤが金属単原子またはTMDC(Transitionmetal dichalcogenide)からなる場合、前記アクティブモノレイヤは短軸方向に量子化されたエネルギーレベルを有することができる。
【0022】
一実施例によると、前記アクティブモノレイヤが金属酸化物からなる場合、前記アクティブモノレイヤは3軸方向に量子化されたエネルギーレベルを有することができる。
【0023】
一実施例によると、前記アクティブモノレイヤに印加されるフィールド(field)の強度が増加しても、前記量子化されたエネルギーレベルによって電流の流れが制限され得る。
【0024】
本発明の一実施例に係る膜構造体は、2次元層状構造を有する少なくとも一層のアクティブモノレイヤ(active monolayer)、および前記少なくとも一層のアクティブモノレイヤと交互に積層される少なくとも一層のバリア(barrier)を含むものの、前記アクティブモノレイヤおよび前記バリアはハイブリッド超格子構造(hybrid superlattice structure)を有することができる。
【0025】
本発明の一実施例に係る膜構造体は、量子井戸構造の少なくとも一層のアクティブモノレイヤ(active monolayer)を含むものの、前記アクティブモノレイヤは少なくとも1軸方向に量子化されたエネルギーレベルを有し、前記量子化されたエネルギーレベルによって前記アクティブモノレイヤを流れる電流の流れが制限され得る。
【0026】
本発明の一実施例に係る素子は、ゲート電極、前記ゲート電極の一側のゲート絶縁膜、前記ゲート絶縁膜の一側に設けられる少なくとも一層のアクティブモノレイヤ(active monolayer)、前記少なくとも一層のアクティブモノレイヤと交互に積層される少なくとも一層のバリア(barrier)、および前記ゲート電極にゲート電圧が印加される場合、前記アクティブモノレイヤを通じて電流が流れるソース電極およびドレイン電極を含むことができる。
【0027】
一実施例によると、前記アクティブモノレイヤは少なくとも1軸方向に量子化されたエネルギーレベル(quantized energy level)を有することができる。
【0028】
一実施例によると、前記量子化されたエネルギーレベルは、前記ゲート電圧がターンオン電圧(turn on voltage)以上において、前記アクティブモノレイヤを流れる電流の量を制限することができる。
【0029】
一実施例によると、前記アクティブモノレイヤを流れる電流の量の制限によって、前記ゲート電極に印加される電圧に対する前記ソースおよびドレイン電極間の電流変化は所定の傾き以下であり得る。
【0030】
一実施例によると、前記アクティブモノレイヤが金属単原子およびTMDCのうち少なくとも一つを含む場合、前記アクティブモノレイヤは短軸方向に量子化されたエネルギーレベルを有することができる。
【0031】
前記アクティブモノレイヤが金属酸化物を含む場合、前記アクティブモノレイヤは3軸方向に量子化されたエネルギーレベルを有することができる。
【0032】
一実施例によると、前記アクティブモノレイヤは複数の結晶質領域と前記結晶質領域を囲む非晶質領域を含むことができる。
【0033】
一実施例によると、前記アクティブモノレイヤは3軸方向に量子化されたエネルギーレベルを有することができる。
【0034】
一実施例によると、前記アクティブモノレイヤと前記ソースおよびドレイン電極の間には前記バリアが積層され得る。
【0035】
一実施例によると、前記アクティブモノレイヤは前記バリアの間に挟まれた構造を有することができる。
【0036】
一実施例によると、前記アクティブモノレイヤは所定の厚さを有し、前記所定の厚さはナノサイズであり得る。
【0037】
本発明の一実施例に係る素子は、ゲート電極、前記ゲート電極の一側のゲート絶縁膜および前記ゲート絶縁膜の一側に設けられる少なくとも一層のアクティブモノレイヤ(active monolayer)を含むものの、前記ゲート電極に印加されるゲート電圧が増加しても、前記アクティブモノレイヤを流れる電流の増加は制限され得る。
【0038】
本発明の一実施例に係るマルチレベル素子は、ゲート電極、前記ゲート電極の一側に形成され、第1TMDC(Transitionmetal dichalcogenide)を含む第1アクティブ層、前記第1アクティブ層の一側に形成され、第2TMDCを含む第2アクティブ層、前記第2アクティブ層の一側に設けられるソースおよびドレイン電極および前記第1アクティブ層と前記第2アクティブ層を分離するバリア層を含むことができる。
【0039】
本発明の一実施例に係るマルチレベル素子は、ゲート電極、前記ゲート電極の一側に形成され、第1金属単原子を含む第1アクティブ層、前記第1アクティブ層の一側に形成され、第2金属単原子を含む第2アクティブ層、前記第2アクティブ層の一側に設けられるソースおよびドレイン電極および前記第1アクティブ層と前記第2アクティブ層を分離するバリア層を含むことができる。
【0040】
一実施例によると、前記ゲート電極に印加されるゲート電圧によって前記第1および前記第2アクティブ層のうち活性化されるアクティブ層の数が制御され得る。
【0041】
一実施例によると、前記第1アクティブ層、前記バリア層、前記第2アクティブ層および前記ソースおよびドレイン電極が順次積層形成され得る。
【0042】
一実施例によると、前記ソース電極および前記ドレイン電極は前記第2アクティブ層とのみ電気的に接触することができる。
【0043】
一実施例によると、前記ソース電極および前記ドレイン電極は、前記第1アクティブ層と電気的に非接触することができる。
【0044】
一実施例によると、前記ゲート電極に印加される第1ゲート電圧範囲、前記第2ゲート電圧範囲および前記第3ゲート電圧範囲に区分されるものの、前記ゲート電圧の増加順で前記第1、前記第2および前記第3ゲート電圧範囲が提供され得る。
【0045】
一実施例によると、前記ゲート電極に前記第1ゲート電圧範囲内のゲート電圧が印加される場合、前記第1アクティブ層のみ活性化され、前記ゲート電極に前記第3ゲート電圧範囲内のゲート電圧が印加される場合、前記第1および前記第2アクティブ層が活性化され得る。
【0046】
一実施例によると、前記第2ゲート電圧範囲内で前記第1アクティブ層は飽和状態(saturation state)であり得る。
【0047】
一実施例によると、前記ゲート電極に前記第1ゲート電圧範囲または前記第2ゲート電圧範囲のゲート電圧が印加された場合、前記第1アクティブ層に流れる電流によって前記ゲート電極で前記第2アクティブ層に加えられるフィールドが遮蔽され得る。
【0048】
一実施例によると、前記第1および前記第2アクティブ層はTMDCモノレイヤ(monolayer)を含むことができる。
【0049】
本発明の一実施例に係るマルチレベル素子製造方法は、第1TMDCを含む第1アクティブ層を蒸着する段階、前記第1アクティブ層の一側にバリア層を蒸着する段階および前記バリア層の一側に第2TMDCを含む第2アクティブ層を蒸着する段階を含むことができる。
【0050】
一実施例によると、前記第1アクティブ層および第2アクティブ層を蒸着する段階のうち少なくとも一つのアクティブ層蒸着段階は、前記TMDCモノレイヤを蒸着する段階を含み、前記TMDCモノレイヤを蒸着する段階は、カルコゲンソースガスをドージングし、パージングする第1カルコゲン蒸着段階、チャンバーの流出口を閉じた状態で、遷移金属前駆体を含む金属前駆体ソースガスを提供することによって、前記チャンバー内の圧力を増加させ、前記遷移金属前駆体を前記基板に吸着させる金属前駆体ソースガス加圧ドージング(dosing)、前記金属前駆体ソースガス加圧ドージング段階後、パージさせる第1メインパーシング(main purging)段階、前記第1メインパーシング段階後、反応ガスを提供する反応ガスドージング段階、前記反応ガスドージング段階後、パージさせる第2メインパーシング段階および前記カルコゲンソースガスをドージングし、パージングする第2カルコゲン蒸着段階を含むことができる。
【0051】
本発明の一実施例に係るマルチレベル素子製造方法は、第1金属単原子を含む第1アクティブ層を蒸着する段階、前記第1アクティブ層の一側にバリア層を蒸着する段階および前記バリア層の一側に第2金属単原子を含む第2アクティブ層を蒸着する段階を含むことができる。
【0052】
一実施例によると、前記第1アクティブ層および第2アクティブ層を蒸着する段階のうち少なくとも一つのアクティブ層蒸着段階は、チャンバーの流出口を閉じた状態で、金属前駆体を含む金属前駆体ソースガスを提供することによって、前記チャンバー内の圧力を増加させ、前記金属前駆体を前記基板に吸着させるソースガス加圧ドージング(dosing)、前記ソースガス加圧ドージング段階後、パージさせる第1メインパーシング(main purging)段階、前記第1メインパーシング段階後、反応ガスを提供する反応ガスドージング段階および前記反応ガスドージング段階後、パージさせる第2メインパーシング段階を含むことができる。
【発明の効果】
【0053】
本発明の一実施例に係る膜構造体は、少なくとも1軸方向に量子化されたエネルギーレベルを有する少なくとも一層のアクティブモノレイヤ(active monolayer)および前記少なくとも一層のアクティブモノレイヤと交互に積層される少なくとも一層のバリア(barrier)を含むことができる。
【0054】
一実施例によると、前記モノレイヤおよび前記バリアの積層は量子井戸構造(quantum well structure)を提供することができ、アクティブモノレイヤが少なくとも1軸方向に量子化されたエネルギーレベルを有するため、ゲート電圧のスイングにもかかわらず、電流の流れが制限され得る。
【0055】
また、前記アクティブモノレイヤは2次元層状構造を有するものの、ハイブリッド超格子構造を有するため安定性が向上し得る。
【0056】
また、本発明の一実施例に係る膜構造体の製造工程は低温工程で遂行され得るため、優秀な工程安定性を提供することができる。
【0057】
また、本発明の一実施例に係る膜構造体の製造工程によって容易にハイブリッド超格子構造が提供され得る。
【0058】
本発明の一実施例に係るマルチレベル素子はマルチレベル導電率を提供することができる。
【0059】
本発明の一実施例に係るマルチレベル素子は簡易な製造方法を提供することができる。
【0060】
本発明の一実施例に係るマルチレベル素子は容易なアクティブ層の厚さ制御を提供することができる。
【0061】
本発明の一実施例に係るマルチレベル素子は超薄膜性を提供することができる。
【0062】
本発明の効果は前述した効果に制限されず、以下の説明によってより明確となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】本発明の第1実施例に係る素子を説明するための図面である。
図2】本発明の第1実施例に係る素子を説明するための図面である。
図3】本発明の第1実施例に係る素子を説明するための図面である。
図4】本発明の第1実施例に係るアクティブモノレイヤを詳細に説明するための図面である。
図5】本発明の第1実施例に係るアクティブモノレイヤを詳細に説明するための図面である。
図6】本発明の第1実施例に係る素子の製造方法を説明するための図面である。
図7】本発明の第1実施例に係る素子の製造方法を説明するための図面である。
図8】本発明の第1実施例に係る素子の製造方法を説明するための図面である。
図9】本発明の第1実施例に係る素子の製造方法を説明するための図面である。
図10】本発明の第1実施例に係る素子の動作特性を説明するための図面である。
図11】本発明の第1実施例に係る素子の動作特性を説明するための図面である。
図12】本発明の第1実施例に係る素子の動作特性を説明するための図面である。
図13】本発明の第2実施例に係る素子を説明するための図面である。
図14】本発明の第2実施例に係る素子を説明するための図面である。
図15】本発明の第2実施例に係る素子の動作特性を説明するための図面である。
図16】本発明の第2実施例に係る素子の動作特性を説明するための図面である。
図17】本発明の第2実施例に係る素子の動作特性を説明するための図面である。
図18】本発明の第3実施例に係る素子を説明するための図面である。
図19】本発明の第3実施例に係る素子を説明するための図面である。
図20】本発明の第3実施例に係る素子の動作特性を説明するための図面である。
図21】本発明の第3実施例に係る素子の動作特性を説明するための図面である。
図22】本発明の第3実施例に係る素子の動作特性を説明するための図面である。
図23】本発明の第1実施例に係るマルチレベル素子を説明するための図面である。
図24】本発明の第1実施例に係るマルチレベル素子の製造方法を説明するための図面である。
図25】本発明の第1実施例に係るマルチレベル素子の特性を説明するための図面である。
図26】本発明の第2実施例に係るマルチレベル素子を図示する。
図27】本発明の第2実施例に係るマルチレベル素子の製造方法を説明するためのフローチャートである。
図28】本発明の第2実施例に係るマルチレベル素子の特性を説明するための図面である。
図29】加圧ドージング段階による表面カバレッジを測定した結果である。
図30】本発明の一実施例によって製造されたWS2薄膜を図示する。
図31】本発明の一実施例によって製造されたWS2薄膜を図示する。
図32】本発明の一実施例によって製造されたWS2薄膜を図示する。
図33】本発明の一実施例によって製造されたWS2薄膜を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。しかし、本発明の技術的思想はここで説明される実施例に限定されず、他の形態で具体化されてもよい。かえって、ここで紹介される実施例は開示された内容が徹底しかつ完全となり得るように、そして、当業者に本発明の思想が十分に伝達され得るようにするために提供されるものである。
【0065】
本明細書で、ある構成要素が他の構成要素の上にあると言及される場合、それは他の構成要素上に直接形成されてもよく、またはそれらの間に第3の構成要素が介在されてもよいことを意味する。また、図面において、膜および領域の厚さは技術的内容の効果的な説明のために誇張されたものである。
【0066】
また、本明細書の多様な実施例で第1、第2、第3等の用語が多様な構成要素を記述するために使われたが、これら構成要素はこのような用語によって限定されてはならない。これら用語は単にある構成要素を他の構成要素と区別させるために使われただけである。したがって、いずれか一つの実施例に第1構成要素として言及されたものが他の実施例では第2構成要素と言及されてもよい。ここに説明され例示される各実施例はその相補的な実施例も含む。また、本明細書で「および/または」は前後に羅列した構成要素のうち少なくとも一つを含む意味で使われた。
【0067】
明細書で単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り複数の表現を含む。また、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性を排除するものと理解されてはならない。また、本明細書で「連結」は複数の構成要素を間接的に連結するもの、および直接的に連結するものをすべて含む意味で使われる。
【0068】
また、下記で本発明を説明するにおいて、関連した公知の機能または構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にさせ得る恐れがあると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0069】
本発明の一実施例に係る膜は、少なくとも1軸方向に量子化されたエネルギーレベルを有する少なくとも一層のアクティブモノレイヤ(active monolayer)および前記少なくとも一層のアクティブモノレイと交互に積層される少なくとも一層のバリア(barrier)を含むものの、前記アクティブモノレイヤには電流が流れるものの、前記量子化されたエネルギーレベルによって電流の流れが制限され得る。
【0070】
この時、アクティブモノレイヤは少なくとも1軸方向に量子化されたエネルギーレベル(quantized energy level)を有するため、前記アクティブモノレイヤを流れる電流の量が制限され得る。
【0071】
もし、前記アクティブモノレイヤが金属単原子およびTMDCのうち少なくとも一つを含む場合、前記アクティブモノレイヤは短軸方向に量子化されたエネルギーレベルを有することができる。これとは異なり、前記アクティブモノレイヤが金属酸化物を含む場合、前記アクティブモノレイヤは3軸方向に量子化されたエネルギーレベルを有することができる。この場合、フィールドスイングにもかかわらず、前記アクティブモノレイヤに流れる電流の強度は一定であり得る。すなわち電流の飽和状態が提供され得る。
【0072】
電流の飽和(current saturation)特性は本発明の一実施例に係る特有の効果として理解され得る。以下、具体的な説明のために、図1図12を参照して金属酸化物をアクティブモノレイヤとして活用する第1実施例を説明することにする。
【0073】
図1図3は、本発明の第1実施例に係る素子を説明するための図面である。
【0074】
図1図3を参照すると、本発明の第1実施例に係る素子100aは、基板(図示されず)、ゲート電極120、第1バリア130、アクティブモノレイヤ140、第2バリア150、ソース電極160およびドレイン電極162のうち少なくとも一つを含むことができる。アクティブモノレイヤとバリアのうち少なくとも一つを含んで膜構造体と呼称され得る。以下、各構成について説明することにする。
【0075】
前記基板はその種類に制限がなく、例えば、シリコン基板、ガラス基板、フレキシブル基板のうち少なくとも一からなり得る。
【0076】
前記ゲート電極120はゲート電圧が印加される構成であって、導電性を有する物質例えば、金属物質からなり得る。
【0077】
前記ゲート絶縁膜125は誘電層の機能を遂行する構成であって、絶縁物質例えば、シリコン系絶縁物質、金属酸化物系絶縁物質のうち少なくとも一つの物質からなり得る。前記ゲート絶縁膜125の厚さは印加されるゲート電圧の動作範囲に相応するように決定され得る。例えば、ゲート電圧の動作範囲が低い場合、絶縁膜130の厚さは、ゲート電圧の動作範囲が高い場合に比べて薄くてもよい。
【0078】
前記第1および前記第2バリア130、150のうち少なくとも一つのバリアは、有機物、無機物、有機-無機複合物のうち少なくとも一つを含んでなり得る。前記バリアが有機物である場合、前記バリアは4MP(4-mercaptophenol)およびZn4MP(Zinc 4-mercaptophenol)のうち少なくとも一つを含むことができ、前記バリアが有機-無機複合物である場合、前記バリアはAlリンカーを有する4MPすなわちAl4MPを含むことができる。
【0079】
以下では説明の便宜のために、前記第1および前記第2バリア130、150がZn4MPであるものを想定することにする。
【0080】
前記バリアは前記アクティブモノレイヤを保護することができる。例えば、前記アクティブモノレイヤ140の形成後、他の層が形成される時、前記第2バリア150は前記アクティブモノレイヤ140が意図せずにドーピングされたり、他層の蒸着による前駆体が前記アクティブモノレイヤ140に浸透することを最小化することができる。
【0081】
前記アクティブモノレイヤ140は金属酸化物例えば、ZnOを含むことができる。また、一実施例によると、前記アクティブモノレイヤ140は2次元層状構造を有することができる。この時、アクティブモノレイヤ140の2次元層状構造は所定の積層を通じて超格子構造をなすことができる。
【0082】
一実施例によると、前記アクティブモノレイヤ140の厚さはFET(Field Effect Transistor)特性が示される範囲内であり得る。例えば、前記アクティブモノレイヤ140がジンクオキサイドを含む場合、1.5nm以上の厚さを有することができる。もし、ジンクオキサイドの厚さが1.5nmより小さいと、ジンクオキサイドがFET特性をなくす可能性がある。また、前記アクティブモノレイヤの厚さは20nm以下であり得る。もし、アクティブモノレイヤの厚さが20nmより厚い場合、動作電圧の増加により消費電力の面で不利となり得る。またゲート絶縁膜125が大きいゲート電圧に耐えるためにより厚くならなければならないところ、素子の小型化の趨勢にも符合しなくなる。
【0083】
引き続き図1を参照すると、少なくとも一層のアクティブモノレイヤと少なくとも一層のバリアは交互に積層され得る。この時、アクティブモノレイヤの少なくとも一面にバリアが設けられ得る。もし、アクティブモノレイヤの一面と他面の両方にバリアが設けられる場合、アクティブモノレイヤは前記第1および第2バリアに挟まれた構造を有し得る。他の観点から、前記アクティブモノレイヤ140の少なくとも一面はバリアと直接接触することができる。すなわち、前記アクティブモノレイヤ140の一面は第1バリア130と面接触し、他面は第2バリア150と面接触することができる。以下では、説明の便宜のためにアクティブモノレイヤ140の両面に第1バリア130および第2バリア150がそれぞれ位置するものを想定することにする。
【0084】
一例によると、第1バリア130、アクティブモノレイヤ140、第2バリア150それぞれは数nmの厚さを有することができる。
【0085】
一実施例によると、前記アクティブモノレイヤと前記アクティブモノレイヤに隣接するバリアはハイブリッド超格子構造(hybrid superlattice structure)をなすことができる。超格子構造によって安定性が向上し得る。
【0086】
また、一実施例によると、前記バリアは、前記アクティブモノレイヤと隣接界面を形成することによって、前記アクティブモノレイヤはバリアを通じて量子井戸(quantum well)構造を有することができる。
【0087】
一例によると、前記アクティブモノレイヤ140は、図2および図3に図示された通り、非晶質領域(Amorphous Region;AM_R)および前記非晶質領域AM_Rによって囲まれる複数の結晶質領域NC_Rを含む層(layer)で形成され得る。すなわち、前記アクティブモノレイヤ内には、非晶質領域AM_Rと結晶質領域NC_Rが混在し得る。
【0088】
この時、前記結晶質領域NC_Rそれぞれはナノサイズで形成されて量子閉じ込め効果(quantum confinement effect)を有することができる。具体的には、前記結晶質領域NC_Rは数nmの大きさ例えば、約3nmの大きさを有することができ、結晶質領域間の平均距離は約2.5nmであり得る。換言すると、結晶質領域NC_Rは互いに平均約2.5nmの距離をおいて離隔し、結晶質領域NC_Rは非晶質領域AM_Rに囲まれて孤立したアイランド状(island shape)を有することができる。また、前記結晶質領域NC_Rは前記非晶質領域AM_R内で2次元内で任意的に分布することができる。これに伴い、前記結晶質領域NC_Rは3軸方向に量子閉じ込め効果を提供することができる。すなわち、前記結晶質領域NC_Rは厚さ方向だけでなく、面方向にも量子閉じ込め効果を提供することができる。
【0089】
前記アクティブモノレイヤの3軸量子化によって電流の飽和領域(図12のVs領域)が生成され得るところ。具体的な説明のために図4および図5を参照することにする。
【0090】
図4および図5は、本発明の第1実施例に係るアクティブモノレイヤを詳細に説明するための図面である。
【0091】
図4を参照すると、前記アクティブモノレイヤ140の非晶質領域AM_Rは多くの偏在状態(localized state)を有することができる。これとは異なり、前記アクティブモノレイヤ140の結晶質領域NC_Rは、前記非晶質領域AM_Rによる偏在状態より少ない、少数の離隔化された偏在状態(discrete localized state)を有することができる。この場合、前記非晶質領域AM_Rが有する偏在したエネルギー状態のうちの特定エネルギー状態AM_Eと、前記結晶質領域NC_Rが有する偏在したエネルギー状態のうちの特定エネルギー状態NC_Eが互いに共鳴エネルギーマッチング(resonant energy matching)をなすことができる。
【0092】
前記共鳴エネルギーマッチングによるハイブリッド化(hybridization)は、量子化された導電性状態(quantized conduction state)を提供することができる。前記量子化された導電性状態は導電性状態を提供するものの、制限された電流移動を提供することができる。前記量子化された導電性状態について図5を参照してより詳細に説明することにする。
【0093】
図5は、本発明の一実施例に係るdensity of state(DOS)を図示する。因みに、DOSシミュレーション結果はVASP(Vienna ab initio simulation)というプログラムを使うものの、製造されたアクティブモノレイヤをPBE(Perdew-Burke-Ernzerhof) exchange-correlation functionalとPAW(projector-augmented wave) pseudopotentials方法で計算することによって、得ることができる。
【0094】
図5のDOSは、電子エネルギーの増加による電子状態個数の変化を示す。図5に図示された通り、本発明の一実施例に係るアクティブモノレイヤ140は価電子帯(valence band)と伝導帯(conduction band)を有することができる。
【0095】
前記価電子帯はモビリティエッジ(mobility edge)によって非偏在状態である拡張された状態(extended state)と偏在状態に区分され得る。また、伝導帯もモビリティエッジによって拡張された状態と偏在状態に区分され得る。
【0096】
図5に図示された通り、本発明の一実施例に係るアクティブモノレイヤ140は、伝導帯(conduction band)内のローレベル電子エネルギー範囲(約2.8eV~2.9eV)で第1電子状態個数を提供し、前記伝導帯内の、前記ローレベル電子エネルギー範囲より高いハイレベル電子エネルギー範囲(約3.2eV以上)で第2電子状態個数を提供することができる。
【0097】
この時、前記ローレベル電子エネルギー範囲での第1電子状態個数曲線と、前記ハイレベル電子エネルギー範囲での第2電子状態個数曲線は互いに不連続的であり得る。換言すると、前記ローレベル電子エネルギー範囲(約2.9eV)の最大電子エネルギー値は、前記ハイレベル電子エネルギー範囲の最小電子エネルギー値(約3.2eV)より小さくてもよい。ここで、前記ローレベル電子エネルギー範囲内で前記第1電子状態個数の最大値は、前記ハイレベル電子エネルギー範囲内で前記第2電子状態個数の最小値より小さくてもよい。
【0098】
一実施例によると、前記ローレベル電子エネルギー範囲と前記ハイレベル電子エネルギー範囲は、伝導帯内のモビリティエッジより高い電子エネルギーで提供され得る(i.e. mobility edge quantization)。これはアクティブモノレイヤ140の非晶質領域AM_Rが有する偏在状態のエネルギーレベルと、結晶質領域が有する偏在状態のエネルギーレベルがマッチングされるものの、モビリティエッジ以上でマッチングされることを意味し得る。これに伴い、前記アクティブモノレイヤ140は前記ローレベル電子エネルギー範囲および前記ハイレベル電子エネルギー範囲は導電性状態を提供することができる。この時、モビリティエッジの上で第1電子状態個数を有するローレベル電子エネルギー範囲での伝導状態を量子化された拡張された状態(quantized extended state)と定義することができる。
【0099】
また、前記ローレベル電子エネルギー範囲と前記ハイレベル電子エネルギー範囲の間で偏在状態(すなわち、電子状態個数は0個)を提供することができる。これはアクティブモノレイヤの結晶質領域NC_Rが前記ローレベル電子エネルギー範囲と前記ハイレベル電子エネルギー範囲の間でエネルギー状態を有さないことを意味し得る。これに伴い、前記ローレベル電子エネルギー範囲と前記ハイレベル電子エネルギー範囲の間で結晶質領域NC_Rと非晶質領域AM_R間に共鳴エネルギーがマッチングされなくなる。
【0100】
一実施例によると、前記ローレベル電子エネルギー範囲は前述した通り、前記アクティブモノレイヤ140の結晶質領域NC_Rと非晶質領域AM_Rの共鳴エネルギーマッチングによって提供され得る。この時、前記結晶質領域NC_Rが3軸方向に量子閉じ込め効果を有するため、前記ローレベル電子エネルギー範囲と第1電子状態個数によって定義される曲線は非常に制限された面積を有することができる。これは非常に制限されたキャリアが存在し得ることを意味し得る。
【0101】
すなわち、前記アクティブモノレイヤ140がローレベルエネルギー状態で制限された電子状態個数を有するため、電流の飽和状態(図12のVs領域)が提供され得る。
【0102】
再び図1を参照すると、前記ソースおよび前記ドレイン電極160、162は最上端のバリアと接触することができる。他の観点から、前記ソースおよび前記ドレイン電極160、162は最上端の第2バリア150とは接触し、第1バリア130とアクティブモノレイヤ140とは非接触することができる。
【0103】
以上、本発明の第1実施例に係る素子を構造的観点で説明した。以下、図6図9を参照して、本発明の第1実施例に係る素子の製造方法を説明することにする。
【0104】
図6図9は、本発明の第1実施例に係る素子の製造方法を説明するための図面である。
【0105】
図9を参照すると、本発明の第1実施例に係る素子の製造方法は、基板、ゲート電極、ゲート絶縁膜を準備する段階(S110)、第1バリアを形成する段階(S120)、アクティブモノレイヤ形成段階(S130)、第2バリアを形成する段階(S140)およびソースおよびドレイン電極形成段階(S150)のうち少なくとも一つの段階を含むことができる。以下、各段階について説明することにする。
【0106】
(段階S110)
段階S110は事前準備段階であって、基板を準備する段階、基板上にゲート電極を形成する段階、前記ゲート電極上にゲート絶縁膜を形成する段階を含んでなり得る。
【0107】
(段階S120)
前記ゲート絶縁膜上に第1バリアが形成され得る。前記第1バリアは分子層成長法(MLD)を通じて製造され得る。例えば、前記分子層成長法を通じてZn4MPを蒸着する場合、分子層成長法は、DEZ前駆体提供段階、パージ段階、4MP前駆体提供段階、パージ段階を含んでなり得る。これにより、第1バリア130が蒸着され得る。
【0108】
(段階S130)
段階S130でアクティブモノレイヤ140が蒸着され得る。段階S130を具体的に説明するために図7を参照することにする。
【0109】
図7は、本発明の一実施例に係る段階S130を詳細に説明するためのフローチャートである。
【0110】
図7を参照すると、本発明の一実施例に係るアクティブモノレイヤ製造方法は、ソースガス加圧ドージング段階(S210)、第1メインパーシング段階(S220)、反応ガスドージング段階(S230)および第2メインパーシング段階(S240)のうち少なくとも一つの段階を含んでなり得る。以下、各段階について説明することにする。
【0111】
(段階S210)
ソースガス加圧ドージング段階(S210)のために、ソースガスが準備され得る。ソースガスは蒸着しようとする膜の種類によって多様に準備され得る。例えば、蒸着しようとする膜が金属酸化物である場合、それに対応する金属前駆体ソースガスが準備され得る。例えば、蒸着しようとする膜がジンクオキサイド(ZnO)の場合、ソースガスはDEZ(diethyl zinc)を含むことができる。
【0112】
前記ソースガスは前記チャンバーの流出口を閉じた状態で提供され得る。これに伴い、ソースガスがチャンバー内に流入するにつれてチャンバー内の圧力は上昇し得る。換言すると、ソースガスの供給によってチャンバー内の圧力が上昇するため、ソースガスが加圧雰囲気で基板が吸着され得る。また、上昇したチャンバーの圧力は所定時間維持され得る。これに伴い、基板吸着効率が向上し得る。
【0113】
この時、段階S210は0.03Torr超過、好ましくは0.1Torr、ひいては0.3Torr以上であり得る。また、段階S210で工程温度は80度~250度であり得る。一例として工程温度は100度~150度であり得る。
【0114】
(段階S220)
第1メインパージングする段階(S220)で不活性ガスが利用され得、不活性ガスは例えば、アルゴン(Ar)、または窒素(N2)ガスからなり得る。パージングする段階によって、基板の表面に吸着できなかった過剰のソースガスが除去され得る。
【0115】
(段階S230)
反応ガスドージング段階(S230)で、反応ガスはソースガスと反応して蒸着しようとする膜に還元され得る。例えば、ソースガスがDEZを含む場合、反応ガスはH2Oからなり得る。
【0116】
(段階S240)
反応ガスドージング段階後、第2メインパージングする段階(S240)がさらに遂行され得る。これにより、基板の表面に吸着できなかった過剰のガスが除去され得る。
【0117】
以上、本発明の一実施例に係る段階S210~段階S240を説明した。以下、段階S210の加圧ドージングについて詳細に説明することにする。
【0118】
(段階S210の加圧ドージング)
段階S210のソースガス加圧ドージング段階は加圧雰囲気で遂行され得る。換言すると、ソースガス加圧ドージング段階は高圧の雰囲気で遂行され得、これは加圧段階と略称され得る。
【0119】
説明の便宜のために、段階S210のソースガス加圧ドージング段階について詳術するが、段階S230の反応ガスをドージングする段階でも加圧ドージングが遂行されることは言うまでもない。
【0120】
一実施例に係る加圧ドージング段階は、基板が設けられたチャンバー内を密閉させた状態で遂行され得る。例えば、チャンバーの流出バルブを閉じた状態で、金属前駆体ソースガスをチャンバー内に供給する(サブ加圧ドージング段階)ことにより、チャンバー内を高圧に誘導し、誘導された高圧を維持(サブ露出段階)することができる。高圧を所定時間維持することによって、高圧の雰囲気で金属前駆体ソースガスが対象面に吸着するように誘導され得る。
【0121】
すなわち、加圧ドージング段階は、サブ加圧ドージング段階、サブ露出段階およびサブパーシング段階のうち少なくとも一つの段階を含むことができる。前記サブ加圧ドージング段階は、チャンバーの流出口を閉じた状態でソースガスを提供し、チャンバー内の所定圧力に達するようにする段階と理解され得る。前記サブ露出段階は、サブ加圧ドージング段階によって提供された所定圧力を維持する段階である。このために、チャンバーの流入口および流出口がすべて閉じられ得る。すなわち、チャンバーは密閉され得る。前記サブパーシング段階は、前記サブ露出段階後に遂行されて過剰に供給されたソースガスを除去することができる。
【0122】
この時、サブ露出段階の圧力は図8に図示された通り、サブ露出段階の回数が増加しても一定に維持され得、これとは異なって図9に図示されたように増加し得る。因みに図17のY軸は圧力を図示し、X軸は工程段階を図示する。
【0123】
一実施例によると、段階S210の工程温度は80度~250度の間であり得る。より具体的には、工程温度は100度~150度の間であり得る。
【0124】
また、段階S210の各サブ段階は互いに同一温度で遂行され得、特に低温で遂行され得る。本明細書で意味する低温とは250度以下を意味し得る。
【0125】
前述した段階S210~段階S240によってアクティブモノレイヤ140が蒸着され得る。この時、段階S210~段階S240の繰り返し回数によって蒸着される膜の厚さが制御され得る。例えば、蒸着される膜がジンクオキサイドである場合、膜の厚さは1.5nmを超過するように段階S210~段階S240が繰り返され得る。また、蒸着される膜がジンクオキサイドである場合、膜の厚さが20nm以下となるように段階S210~段階S240が繰り返され得る。
【0126】
段階S210~段階S240によって製造されたアクティブモノレイヤは、前記図5に図示された通り、DOSシミュレーション結果を提供することができる。すなわち、量子化された導電性状態、より具体的にはモビリティエッジより高いエネルギーで、量子化された導電性状態を提供することができる。DOSシミュレーション結果は前述した通り、VASP(Vienna ab initio simulation)というプログラムを使うものの、製造されたアクティブモノレイヤをPBE(Perdew-Burke-Ernzerhof) exchange-correlation functionalとPAW(projector-augmented wave) pseudopotentials方法で計算することによって、得ることができる。
【0127】
(段階S140)
再び図6を参照すると、アクティブモノレイヤ140上に第2バリア150が蒸着され得る。段階S140は前述した段階S120に対応するため、具体的な説明を省略することにする。
【0128】
(段階S150)
前記第2バリア150上にはソース電極およびドレイン電極160、162が蒸着され得る。すなわち、前記ソース電極およびドレイン電極160、162は第2バリア150と接触することができる。他の観点から、前記ソース電極およびドレイン電極160、162は第1バリア130およびアクティブモノレイヤ140と非接触することができる。
【0129】
以上、説明した段階S110~段階S150によって本発明の第1実施例に係る素子が製造され得る。
【0130】
以上、図6図9を参照して本発明の第1実施例に係る素子の製造方法を説明した。本発明の実施例に係る素子の製造方法は、工程が全体的に低温で遂行されるという点およびハイブリッド超格子構造を容易に製造できるという点で利点がある。
【0131】
以下、図10図12を参照して本発明の第1実施例に係る素子の動作特性を説明することにする。
【0132】
図10図12は、本発明の第1実施例に係る素子の動作特性を説明するための図面である。
【0133】
まず、本発明の第1実施例に係る素子の動作特性を詳察するために、本発明の第1実施例に係る素子を製作した。
【0134】
前述した製造方法の段階S120を通じて第1バリア130としてZn4MPを蒸着した。より具体的には、DEZを30mTorr圧力で2秒間提供し、20秒間パージした。その後、4MPを20秒間10mTorr圧力で提供し、200秒間パージした。工程温度は120度にした。段階S120の各段階を25サイクル繰り返し遂行して10nm厚さの第1バリア130を蒸着した。
【0135】
段階S120を通じて第1バリア130を蒸着した後に、図10に図示された工程によって段階S130を遂行した。図10を参照すると、ソースガスとしてDEZを準備し、反応ガスとしてH2Oを準備した。段階S210によってDEZをサブ加圧ドージング段階を通じて提供した。すなわち第1サブ加圧ドージング段階では、チャンバーの流出口を閉じた状態でDEZを供給してチャンバー内が1Torrで加圧された雰囲気で3秒間維持し、15秒パージした。その後、第2サブ加圧ドージング段階では、チャンバーの流出口を閉じた状態でDEZを供給してチャンバー内が1Torrで加圧された雰囲気で3秒間維持し、再び15秒間パージした。引き続き第3サブ加圧ドージング段階では、チャンバーの流出口を閉じた状態でDEZを供給してチャンバー内の圧力が1Torrに達するようにし、3秒間維持した。その後、15秒間パージし第4サブ加圧ドージング段階を遂行した。第4サブ加圧ドージング段階でのチャンバー内の圧力は1Torrにした。これにより、段階S210を遂行した。段階S210に続き段階S220と段階S230を遂行した。段階S230は段階S210と対応するため、具体的な説明を省略することにする。段階S230後に段階S240を通じてパージした。このような段階を1サイクルと定義し、15サイクルを進行した。これにより、3nm厚さのアクティブモノレイヤ140を蒸着することができた。アクティブモノレイヤ140の蒸着工程も110度~120度にした。
【0136】
その後、再び段階S130によって第2バリア150を蒸着し、段階S140によってソースおよびドレイン電極160、162を蒸着した。
【0137】
これにより、本発明の第1実施例に係る素子を製造した。
【0138】
図11を参照すると、本発明の第1実施例に係る素子は第1および第2バリア130、150、そして、アクティブモノレイヤ140が量子井戸構造を有することができる。この時、アクティブモノレイヤ140は3軸方向に量子閉じ込め効果を有するため電流の移動が制限され得る。
【0139】
図12を参照すると、本発明の第1実施例によって製造された素子100aは約1V付近でターンオン電圧を有する。すなわちゲート電極120に1V以上の電圧が印加されることによって、ソースおよびドレイン電極160、162の間には電流が流れることになる。この時、ゲート電極120に印加されるゲート電圧が増加するにつれて、ソースおよびドレイン電極160、162間に流れる電流は増加する。しかし、ゲート電圧が2V以上に大きくなると、ゲート電圧の増加にもかかわらず、ソースおよびドレイン電極160、162の間の電流が一定な電流の飽和領域(Vs)が現れることになる。電流が一定な電流の飽和領域はリニアスケールおよびログスケールにおいても明確に観察された。すなわちゲート電圧のスイングにもかかわらず、ソースおよびドレイン電極間の電流が飽和されたのである。これは図4および図5を参照して説明した通り、アクティブモノレイヤ140が3軸方向に量子閉じ込め効果を有するためであると解釈される。他の観点から、前記アクティブモノレイヤ140がDOS上で、ローレベル電子エネルギー範囲で非常に制限されたキャリアが存在し得るためであると解釈される。
【0140】
以上、図1図12を参照して本発明の第1実施例に係る素子について説明した。
【0141】
本発明の第1実施例を説明するにおいて、アクティブモノレイヤ140がZnO、すなわち金属酸化物を含むものを想定した。しかし、アクティブモノレイヤ140が複数の結晶質領域と結晶質領域を囲む非晶質領域を有する物質からなり得ることは言うまでもなく、DOS上でモビリティエッジ上に制限された(不連続的な)ローレベル電子エネルギー領域を有する物質からなり得ることは言うまでもない。
【0142】
以下、図13図17を参照して本発明の第2実施例に係る素子について説明することにする。本発明の第2実施例は本発明の第1実施例とは異なり、アクティブモノレイヤが金属単原子を含む点で異なる。以下、異なる点を中心に本発明の第2実施例について説明し、第1実施例と共通の部分については説明を省略することにする。
【0143】
図13および図14は、本発明の第2実施例に係る素子を説明するための図面である。
【0144】
図13および図14を参照すると、本発明の第2実施例に係る素子100bのアクティブモノレイヤ142は金属単原子を含むことができる。例えば金属単原子はタングステン(W)、モリブデン(Mo)および銅(Cu)のうち一つであり得、これに制限されるものではない。
【0145】
前記アクティブモノレイヤ142も数ナノサイズの厚さを有することができる。例えば、前記アクティブモノレイヤ142の厚さもFET(Field Effect Transistor)特性が示される範囲内であり得る。より具体的には、アクティブモノレイヤ142の厚さは1.0nm~20nmであり得る。
【0146】
第1実施例でも説明した通り、前記第2実施例に係るアクティブモノレイヤ142も量子井戸構造を有することができ、ハイブリッド超格子構造を有することができる。また、アクティブモノレイヤ142は少なくとも1軸、例えば短軸方向に量子化された状態を有することができる。これに伴い、ターンオン電圧以上においても電流の流れを制限することができる。より具体的には、ゲート電圧の増加によるソースおよびドレイン電極の間の電流の傾きは15.1nA/V以下であり得る。
【0147】
図15は、本発明の第2実施例に係る素子の製造方法を説明するための図面である。
【0148】
第2実施例に係る素子の動作特性を詳察するために、前記図6図9を参照して説明した素子の製造方法によって第2実施例に係る素子を製造した。アクティブモノレイヤ142の他には、図10を参照して説明した第1実施例に係る素子の製造工程条件と同一にした。第2実施例に係るアクティブモノレイヤ142の具体的な工程は、図15に図示された通りである。
【0149】
図15を参照すると、段階S210により、ソースガスとしてWF6を準備した。段階S210の工程温度は120度にした。段階S210を遂行するものの、WF6を5回のサブ加圧ドージングで提供した。すなわち、第1サブ加圧ドージング時にはWF6をチャンバーの流出口を閉じた状態で提供し、1.0Torrまでチャンバーの圧力を増加させた。その後、30秒間チャンバーの流入口も閉じて、1.0Torrの圧力でWF6を浸透させた。その後、30秒間サブパーシングした。その後、第2サブ加圧ドージング時にはWF6をチャンバーの流出口を閉じた状態で提供し、1.0Torrまでチャンバー内の圧力を再び増加させた。その後、30秒間チャンバーの流入口も閉じて、1.0Torrの圧力でWF6を浸透させた。同一の方式で第5サブ加圧ドージング段階、第5サブ浸透段階まで遂行した。
【0150】
その後、30秒間段階S220によって第1メインパーシング(工程温度120度)を遂行した。
【0151】
その後、段階S230により、反応ガスとしてSi2H6を準備した。段階S230の工程温度は120度にした。
【0152】
段階S230を遂行するものの、SiH6を5回のサブ加圧ドージングおよびサブ露出段階に提供した。この時、圧力および時間などの工程変数はWF6ドージングと同一にした。
【0153】
その後、段階S240によって30秒間第2メインパーシング(工程温度120度)を遂行した。
【0154】
この時、段階S210~段階S240を繰り返し遂行することによってタングステン層の高さを制御した。本実験例では3サイクルを繰り返して1nm厚さのタングステン金属単原子層を製造した。これにより、アクティブモノレイヤを蒸着することができた。
【0155】
図16および図17は、本発明の第2実施例に係る素子の動作特性を説明するための図面である。
【0156】
図16を参照すると、本発明の第2実施例に係る素子100bは第1および第2バリア130、150、そして、アクティブモノレイヤ142が量子井戸構造を有することができる。この時、アクティブモノレイヤ140は短軸方向(例えば、厚さ方向)に量子閉じ込め効果を有するため電流の移動が制限され得る。
【0157】
図17を参照すると、本発明の第2実施例によって製造された素子は約-5V付近でターンオン電圧を有する。すなわちゲート電極120に-5V以上の電圧が印加されることによってソースおよびドレイン電極160、162の間には電流が流れることになる。この時、ゲート電極120に印加されるゲート電圧が増加するにつれてソースおよびドレイン電極160、162間に流れる電流は増加する。しかし、ゲート電圧が約7V以上に大きくなると、ゲート電圧の増加にもかかわらず、ソースおよびドレイン電極160、162の間の電流の増加が制限された領域が現れることを確認することができる。すなわちゲート電圧のスイングにもかかわらず、ソースおよびドレイン電極間の電流の増加が15.1nA/Vに極めて制限されたことを確認することができる。これはアクティブモノレイヤ142が短軸方向に量子化されたエネルギーレベルを有するためであると解釈される。
【0158】
以上、図13図17を参照して本発明の第2実施例に係る素子を説明した。以下、図18図22を参照して本発明の第3実施例に係る素子を説明することにする。本発明の第3実施例は本発明の第1実施例とは異なり、アクティブモノレイヤがTMDC(Transitionmetal dichalcogenide)を含む点で異なる。以下、異なる点を中心に本発明の第3実施例について説明し、第1実施例と共通する部分は説明を省略することにする。
【0159】
図18および図19は、本発明の第3実施例に係る素子を説明するための図面である。
【0160】
図18および図19を参照すると、本発明の第3実施例に係る素子100cのアクティブモノレイヤ146はTMDCを含むことができる。例えばTMDCはWS2、MOS2のうち一つであり得、これに制限されるものではない。
【0161】
前記アクティブモノレイヤ146も数ナノサイズの厚さを有することができる.前記アクティブモノレイヤ146も数ナノサイズの厚さを有することができる。例えば、前記アクティブモノレイヤ142の厚さもFET(Field Effect Transistor)特性が示される範囲内であり得る。より具体的には、アクティブモノレイヤ142の厚さは1.0nm~20nmであり得る。
【0162】
第1実施例でも説明した通り、前記第3実施例に係るアクティブモノレイヤ146も量子井戸構造を有することができ、ハイブリッド超格子構造を有することができる。また、アクティブモノレイヤ146は少なくとも1軸、例えば短軸方向に量子化された状態を有することができる。これに伴い、ターンオン電圧以上においても電流の流れを制限することができる。より具体的には、ゲート電圧の増加によるソースおよびドレイン電極の間の電流の傾きは-0.2nA/V以下であり得る。
【0163】
図20は、本発明の第3実施例に係る素子の製造方法を説明するための図面である。
【0164】
第3実施例に係る素子の動作特性を詳察するために、前記図6図9を参照して説明した素子の製造方法によって第3実施例に係る素子を製造した。アクティブモノレイヤ146の他には、図10を参照して説明した第1実施例に係る素子の製造工程条件と同一にした。第3実施例に係るアクティブモノレイヤ146の具体的な工程は図15に図示された通りである。
【0165】
図15を参照すると、カルコゲンソースガスを100度以上に加熱して30秒間提供した後、30秒間パージした。これにより、基板上にS(硫黄)を処理した。
【0166】
その後、段階S210により、ソースガスとしてWF6を準備した。段階S210の工程温度は120度にした。段階S210を遂行するものの、WF6を5回のサブ加圧ドージングで提供した。すなわち、第1サブ加圧ドージング時にはWF6をチャンバーの流出口を閉じた状態で提供し、1.0Torrまでチャンバーの圧力を増加させた。その後、30秒間チャンバーの流入口も閉じて、1.0Torrの圧力でWF6を浸透させた。その後、30秒間サブパーシングした。その後、第2サブ加圧ドージング時にはWF6をチャンバーの流出口を閉じた状態で提供し、1.0Torrまでチャンバー内の圧力を再び増加させた。その後、30秒間チャンバーの流入口も閉じて、1.0Torrの圧力でWF6を浸透させた。同一の方式で第5サブ加圧ドージング段階、第5サブ浸透段階まで遂行した。
【0167】
その後、30秒間段階S220によって第1メインパーシング(工程温度120度)を遂行した。
【0168】
その後、段階S230により、反応ガスとしてSi2H6を準備した。段階S230の工程温度は120度にした。
【0169】
段階S230を遂行するものの、SiH6を5回のサブ加圧ドージングおよびサブ露出段階に提供した。この時、圧力および時間などの工程変数はWF6ドージングと同一にした。
【0170】
その後、段階S240によって30秒間第2メインパーシング(工程温度120度)を遂行した。
【0171】
これにより、S(硫黄)処理された基板の表面に遷移金属を蒸着した。この時、段階S210~段階S240を1回遂行した。すなわち第1および第2実施例とは異なってサイクルの繰り返しはしなかった。
【0172】
引き続きカルコゲンソースガスを100度以上に加熱して30秒間提供した後、30秒間パージした。これにより、アクティブモノレイヤ146として1nm厚さのWS2モノレイヤを蒸着することができた。
【0173】
図21および図22は、本発明の第3実施例に係る素子の動作特性を説明するための図面である。
【0174】
図21を参照すると、本発明の第3実施例に係る素子100cは第1および第2バリア130、150、そして、アクティブモノレイヤ146が量子井戸構造を有することができる。この時、アクティブモノレイヤ146は短軸方向(例えば、厚さ方向)に量子閉じ込め効果を有するため電流の移動が制限され得る。
【0175】
図22を参照すると、本発明の第3実施例によって製造された素子は約0V付近でターンオン電圧を有する。すなわちゲート電極120に約0V以上の電圧が印加されることによってソースおよびドレイン電極160、162の間には電流が流れることになる。この時、ゲート電極120に印加されるゲート電圧が増加するにつれてソースおよびドレイン電極160、162間に流れる電流は増加する。しかし、ゲート電圧が約-5V以上に大きくなると、ゲート電圧の増加にもかかわらず、ソースおよびドレイン電極160、162の間の電流の増加が制限された領域が現れることを確認することができる。すなわちゲート電圧のスイングにもかかわらず、ソースおよびドレイン電極間の電流の増加が-0.2nA/Vに極めて制限されたことを確認することができる。これはアクティブモノレイヤ146が短軸方向に量子化されたエネルギーレベルを有するためであると解釈される。
【0176】
以上、本発明の第1~第3実施例に係る膜構造体および素子は、超格子構造および量子井戸構造を有し、少なくとも1軸方向の量子化されたエネルギーレベルを有することができる。これに伴い、ターンオン電圧以上のゲート電圧区間においても電流の移動が制限され、ひいては飽和される特有の効果を提供することができる。
【0177】
また、第1~第3実施例に対する素子の説明において、トランジスタ構造を参照して説明したが、本発明の第1~第3実施例に係る膜構造体がトランジスタ以外の3端子素子および2端子素子にも適用され得ることは言うまでもない。
【0178】
本発明の第1~第3実施例に係る膜構造体が電流の流れを制限するため、実施例に係る膜構造体はマルチレベル特性を提供することができる。より具体的には、実施例に係る膜構造体を積層すると、膜構造体それぞれのターンオン電圧の間に電流の飽和によるnon-gating領域が発生し得る。すなわち、膜構造体それぞれのアクティブモノレイヤの活性化が明確に区分され得る。これに伴い、本発明の実施例に係る膜構造体はマルチレベル素子に活用され得る。以下、本発明の実施例に係るマルチレベル素子を説明することにする。
【0179】
本発明の一実施例に係るマルチレベル素子は、第1アクティブ層、バリア層および第2アクティブ層が順次積層された構造を有することができる。この時、一実施例に係るマルチレベル素子のゲート電極に印加されるゲート電圧によって、前記第1および前記第2アクティブ層のうち活性化されるアクティブ層の数が制御され得る。
【0180】
前記ゲート電極に印加されるゲート電圧の大きさによって第1および第2アクティブ層の導電性の活性化が制御され得る。例えば、第1ゲート電圧範囲、第1ゲート電圧範囲より大きい領域である第2ゲート電圧範囲、第2ゲート電圧範囲より大きい領域である第3ゲート電圧範囲が、ゲート電極が印加される場合を分けて説明することにする。
【0181】
因みに、本明細書でゲート電圧は、正と負を区分せずに絶対値を基準として説明する。また、第1ゲート電圧範囲は図25および図28のR1、第2ゲート電圧範囲は図25および図28のR2、第3ゲート電圧範囲は図25および図28のR3と理解され得る。
【0182】
まず、第1ゲート電圧範囲のうち最も小さいゲート電圧が第1turn-on電圧となり得る。第1turn-on電圧がゲート電極に印加される場合、前記第1アクティブ層が活性化、すなわちturn-onされ得る。この時、第2アクティブ層は非活性化、すなわちturn-off状態であり得る。この後、第1ゲート電圧範囲内で電圧が増加するにつれて、前記ソースおよび前記ドレイン電極の間に流れる電流の大きさは増加し得る。すなわち、第1ゲート電圧範囲内でゲート電圧の増加によるソース/ドレイン電極間の電流比は第1傾きを有することができる。
【0183】
説明の便宜のために、第2ゲート電圧範囲のゲート電圧の印加は後述し、第3ゲート電圧範囲のゲート電圧の印加を先に説明することにする。第1および第2ゲート電圧範囲より大きい第3ゲート電圧範囲のゲート電圧が印加される場合、前記第1アクティブ層だけでなく第2アクティブ層も活性化、すなわちturn-onされ得る。すなわち、第3ゲート電圧範囲内の最も小さいゲート電圧は第2turn-on電圧となり得る。この後、第3ゲート電圧範囲内でゲート電圧が増加するにつれて、前記ソースおよび前記ドレイン電極の間に流れる電流の大きさは第3傾きに増加し得る。すなわち、第3ゲート電圧範囲内のゲート電圧の増加による電流比は第3傾きを有することができる。この時、第3ゲート電圧範囲内のゲート電圧の印加時、第1および第2アクティブ層はいずれもturn-on状態となるため、前記ソースおよびドレイン電極の間には第1ゲート電圧範囲内のゲート電圧の印加時よりも大きい電流が流れることができる。
【0184】
第1ゲート電圧範囲より大きく第3ゲート電圧範囲より小さい第2ゲート電圧範囲内のゲート電圧がゲート電極に印加される場合、前記第1アクティブ層のみ活性化、すなわちturn-on状態であり得る。この時、第2ゲート電圧範囲内でゲート電圧が増加しても、ソース/ドレイン電極間の電流の移動の程度は維持され得る。すなわち、第1ゲート電圧範囲内でゲート電圧が増加する場合、前記ソースおよび前記ドレイン電極の間に流れる電流の大きさは例えば、第1傾きに増加する反面、第2ゲート電圧範囲内でゲート電圧が増加する場合、前記ソースおよび前記ドレイン電極の間に流れる電流の大きさは第1および第3傾きより小さくてもよい。より具体的には、第2ゲート電圧範囲内でゲート電圧が増加する場合、前記ソースおよび前記ドレイン電極の間の電流値は一定であり得る。換言すると、第2傾きは0であり得る。これに伴い、本発明の一実施例に係るマルチレベル素子はマルチレベル導電率を提供することができる。
【0185】
メカニズムの観点から、第1ゲート電圧範囲内のゲート電圧が印加される場合、第1アクティブ層がturn-onされ得る。この場合、第1アクティブ層を流れる電流(ソース電極の電子は第2アクティブ層およびバリア層をトンネリングする)によってゲート電圧によるフィールドが第2アクティブ層に達せずに遮蔽されることになる(shielding effect)。
【0186】
第2ゲート電圧範囲のゲート電圧が印加される場合、依然として第1アクティブ層を流れる電流によってゲート電圧によるフィールドが第2アクティブ層に達せずに遮蔽される。また、第2領域のゲート電圧の印加時には、第1アクティブ層の飽和(saturation)によってゲート電圧を増加させてもソースおよびドレイン電極の間の電流は一定に流れることになる。他の観点から、前記バリア層は、第2ゲート電圧範囲内でゲート電圧が増加しても第2アクティブ層のゲーティング(gating)を遅延させ、第1アクティブ層の制限された電子の流れを維持することができる。
【0187】
第3ゲート電圧範囲のゲート電圧が印加される場合、フィールド浸透(field penetration)によってゲート電圧が第2アクティブ層に及ぶようになる。これに伴い、第2アクティブ層がturn-onされ得るのである。
【0188】
第1実施例によると、ゲート電圧がフィールド浸透によって第2アクティブ層に達するようにするためには、第1アクティブ層がTMDCモノレイヤであることが好ましい。もし、第1アクティブ層がより厚い場合、第1アクティブ層を流れる電流の大きさが大きくなる。これに伴い、第1アクティブ層によってゲート電圧が第2アクティブ層にフィールド浸透できないように防ぐシールド効果が大きくなる。この場合、第2アクティブ層をturn-onさせるためには過度に大きいゲート電圧が必要となるところ、消費電力の面で不利となる。また、ゲート絶縁膜が大きいゲート電圧に耐えるために、より厚くならなければならないところ、トランジスタの小型化の趨勢にも符合できなくなる。これに反し、第1アクティブ層がTMDCモノレイヤである場合、通常のゲート電圧範囲内でも第2アクティブ層がturn-onされ得るため、消費電力および小型化の趨勢に符合することができる。
【0189】
以下、本発明の一実施例に係るマルチレベル素子を具体的に説明することにする。
【0190】
図23は、本発明の第1実施例に係るマルチレベル素子を説明するための図面である。
【0191】
図23を参照すると、本発明の第1実施例に係るマルチレベル素子300aは、基板、ゲート電極120、ゲート絶縁膜125、第1アクティブ層142a、バリア層132、第2アクティブ層142b、ソース電極160およびドレイン電極162を含んでなり得る。
【0192】
図23の右側に図示された通り、第1アクティブ層142aは金属単原子層であるWを含み、第2バリア層132は第1バリア層であるZnOと第2バリア層である4MPを含み、第2アクティブ層142bは金属単原子層であるWを含むことができる。
【0193】
すなわち、本発明の第1実施例に係るマルチレベル素子は、前述した本発明の第2実施例に係る素子を基盤とすることができる。
【0194】
図24は、本発明の第1実施例に係るマルチレベル素子の製造方法を説明するための図面である。
【0195】
図24を参照すると、本発明の第1実施例に係るマルチレベル素子の製造方法は、ゲート電極および前記ゲート電極の一側にゲート絶縁膜を形成する段階(S310)、前記ゲート絶縁膜の一側に第1金属単原子を含む第1アクティブ層を蒸着する段階(S320)、前記第1アクティブ層の一側にバリア層を蒸着する段階(S330)、前記バリア層の一側に第2金属単原子を含む第2アクティブ層を蒸着する段階(S340)および前記第2アクティブ層の一側にソースおよびドレイン電極を形成する段階(S350)のうち少なくとも一つの段階を含んでなり得る。以下、各段階について詳術することにする。
【0196】
(段階S310)
段階S310で、基板上に、ゲート電極および前記ゲート電極の一側にゲート絶縁膜が形成され得る。ゲート電極はゲート電圧が印加される構成であって、導電性を有するある物質、例えば金属からなり得る。ゲート絶縁膜はゲート電極に印加されたゲート電流の漏洩を防止する構成であって、絶縁性を有するある物質例えば、Al2O3、SiNx、SiO2のうち少なくとも一つの物質からなり得る。
【0197】
(段階S320)
段階S320でゲート絶縁膜の一側に第1金属単原子を含む第1アクティブ層が蒸着され得る。段階S320は前記図15を参照して説明した工程に対応するため、具体的な説明を省略することにする。段階S320でも図7を参照して説明した加圧ドージング段階が適用され得ることは言うまでもない。
【0198】
これにより、第1金属単原子を含む第1アクティブ層が製造され得る。この時、第1アクティブ層の厚さは例えば、0.7nm超過4nm未満、好ましくは1nm以上、2nm以下であり得る。
【0199】
(段階S330)
段階S330で、前記第1アクティブ層上にバリア層が蒸着され得る。前記バリア層は後述する第2アクティブ層と蒸着された第1アクティブ層間に設けられ得る。
【0200】
段階S330で、分子層成長法を通じてバリア層、例えば有機分子層および/または無機分子層が形成され得る。この場合、段階S330は、有機前駆体をドージングする段階およびパージングする段階からなる単位サイクル(cycle)を含むことができる。単位サイクルによって一層の有機分子層が形成され得る。すなわち、単位サイクルが繰り返されることによって蒸着される有機分子層の層数が制御され得る。
【0201】
段階S330において、圧力範囲は0.001~1Torrであり得、工程温度範囲は80~200度であり得、特に有機前駆体の温度範囲は25~100度であり得る。
【0202】
これにより、第1アクティブ層上に望む厚さのバリア層が蒸着され得る。
【0203】
(段階S340および段階S350)
段階S340は段階S320に対応するため、具体的な説明を省略することにする。段階S340後にソースおよびドレイン電極が形成され得る。
【0204】
以上の段階S310~段階S350によって本発明の第1実施例に係るマルチレベル導電率を有する素子が製造され得る。
【0205】
図25は、本発明の第1実施例に係るマルチレベル素子の特性を説明するための図面である。
【0206】
まず、シミュレーションのために、本発明の第1実施例に係るマルチレベル素子を製造した。この時、第1アクティブ層および第2アクティブ層は前述した段階S320(図15の工程条件)によって製造した。また、第1アクティブ層と第2アクティブ層間に形成されるバリア層は、第1バリア層と第2バリア層からなる。第1バリア層でZnOを形成した。ZnOも加圧ドージングをした。すなわち、ZnO金属前駆体ソースガスであるDEZを5回のサブ加圧ドージングで提供した。すなわち、第1サブ加圧ドージング時にはDEZをチャンバーの流出口を閉じた状態で提供し、1.0Torrまでチャンバーの圧力を増加させた。その後、3秒間チャンバーの流入口も閉じて、1.0Torrの圧力でDEZを浸透させた。その後、30秒間サブパーシングした。その後、第2サブ加圧ドージング時にはDEZをチャンバーの流出口を閉じた状態で提供し、1.0Torrまでチャンバー内の圧力を再び増加させた。その後、3秒間チャンバーの流入口も閉じて、1.0Torrの圧力でDEZを浸透させた。同一の方式で第5サブ加圧ドージング段階、第5サブ浸透段階まで遂行した。この後、15秒間第1メインパーシング段階を遂行した。引き続き、H2Oを5回のサブ加圧ドージング、サブ露出段階に提供した。この時、圧力および時間などの工程変数はDEZドージングと同一にした。この後、第2メインパーシング段階を遂行して第1バリア層を製造した。
【0207】
第1バリア層上に第2バリア層を形成した。第2バリア層として4MPを蒸着した。このために、有機前駆体として4MPを準備し、パーシングガスとしてアルゴンを準備した。有機前駆体をドージングする段階の圧力は200mTorr、20秒間にし、パージングする段階は60秒間持続した。各工程の圧力は100度にした。これにより、有機バリア層を蒸着した。
【0208】
これにより、本発明の第2実施例に係るマルチレベル素子を製造した。
【0209】
図25を参照すると、-1.5~4ボルトのゲート電圧がゲート電極に印加される場合、ソースおよびドレイン電極間の電流が増加することを確認することができた。すなわち、-1.5~4ボルトは第1ゲート電圧範囲R1と理解され得る。これは前述した通り、第2アクティブ層がturn-offされた状態で、第1アクティブ層がturn-onされることにより電流が移動すると解釈される。
【0210】
また、4~7ボルトのゲート電圧がゲート電極に印加される場合、ソースおよびドレイン電極間の電流量に変化がないことを確認することができた。すなわち、4~7ボルトは第2ゲート電圧範囲R2と理解され得る。これは4~7ボルトのゲート電圧範囲では依然として第2アクティブ層がturn-off状態で、第1アクティブ層が飽和されたためであると解釈される。そして、4~7ボルトのゲート電圧範囲では、バリア層と第1アクティブ層によって第2アクティブ層に達するゲートフィールドが遮蔽されて第2アクティブ層がturn-onされないものと解釈される。すなわち、アクティブ層の少なくとも1軸方向の量子化されたエネルギーレベルによって電流の飽和現象が発生し、電流の飽和現象によって第2ゲート電圧範囲R2が生成され得る。
【0211】
また、7ボルト以上のゲート電圧がゲート電極に印加される場合、ソースおよびドレイン電極間の電流が再び増加することを確認することができた。すなわち、7ボルト以上のゲート電圧は、第3ゲート電圧範囲R3と理解され得る。これは7ボルト以上の電圧ではゲート電圧が第1アクティブ層およびバリア層を通過して第2アクティブ層に達したものと解釈される。
【0212】
図26は、本発明の第2実施例に係るマルチレベル素子を図示する。
【0213】
図26を参照すると、本発明の第2実施例に係るマルチレベル素子300bは、基板、ゲート電極120、ゲート絶縁膜125、第1アクティブ層144a、バリア層134、第2アクティブ層144b、ソース電極160およびドレイン電極162を含んでなり得る。
【0214】
図示された通り、第2実施例に係る素子はゲート電極120を基準として第1アクティブ層144a、バリア層134、第2アクティブ層144bが順次積層された構造を有することができる。
【0215】
前記ソースおよびドレイン電極160、162は前記第2アクティブ層144bと電気的に接触することができる。換言すると、前記ソースおよびドレイン電極160、162は前記第1アクティブ層144aおよび前記バリア層134と電気的に非接触することができる。
【0216】
図26の右側に図示された通り、第1アクティブ層144aはWS2TMDCを含み、第2バリア層134は4MPを含み、第2アクティブ層144bはWS2TMDCを含むことができる。
【0217】
すなわち、本発明の第2実施例に係るマルチレベル素子は前述した本発明の第3実施例に係る素子を基盤とすることができる。
【0218】
図27は、本発明の第2実施例に係るマルチレベル素子の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【0219】
図27を参照すると、本発明の第2実施例に係るマルチレベル素子の製造方法は、ゲート電極および前記ゲート電極の一側にゲート絶縁膜を形成する段階(S410)、前記ゲート絶縁膜の一側に第1TMDCを含む第1アクティブ層を蒸着する段階(S420)、前記第1アクティブ層の一側にバリア層を蒸着する段階(S430)、前記バリア層の一側に第2TMDCを含む第2アクティブ層を蒸着する段階(S440)および前記第2アクティブ層の一側にソースおよびドレイン電極を形成する段階(S450)のうち少なくとも一つの段階を含んでなり得る。
【0220】
段階S410、段階S450は第1実施例に係るマルチレベル素子の製造方法に対応するため、具体的な説明を省略することにする。段階S420および段階S440は図20を参照して説明したものに対応するため、具体的な説明を省略することにする。段階S430は図23を参照して説明した段階S330に対応するため、具体的な説明を省略することにする。
【0221】
引き続き、本発明の第2実施例に係るマルチレベル伝導度特性を説明することにする。図27を参照して説明した条件によって製造されたマルチレベル素子は、図28に図示された通り、I-Vカーブ上でマルチレベル導電率を有することが確認された。
【0222】
図28を参照すると、4~-19ボルトのゲート電圧がゲート電極に印加される場合、ソースおよびドレイン電極間の電流が増加することを確認することができた。すなわち、4~-19ボルトは第1ゲート電圧範囲R1と理解され得る。これは前述した通り、第2アクティブ層がturn-offされた状態で、第1アクティブ層がturn-onされることにより電流が移動すると解釈される。
【0223】
また、-19~-22ボルトのゲート電圧がゲート電極に印加される場合、ソースおよびドレイン電極間の電流量に変化がないことを確認することができた。すなわち、-19~-22ボルトは第2ゲート電圧範囲R2と理解され得る。これは-19~-22ボルトのゲート電圧範囲では依然として第2アクティブ層がturn-off状態で、第1アクティブ層が飽和されたためであると解釈される。そして、-19~-22ボルトのゲート電圧範囲ではバリア層と第1アクティブ層によって第2アクティブ層に達するゲートフィールドが遮蔽され、第2アクティブ層がturn-onされないと解釈される。すなわち、アクティブ層の少なくとも1軸方向の量子化されたエネルギーレベルによって電流の飽和現象が発生し、電流の飽和現象によって第2ゲート電圧範囲R2が生成され得る。
【0224】
また-22ボルト以上のゲート電圧がゲート電極に印加される場合、ソースおよびドレイン電極間の電流が再び増加することを確認することができた。すなわち、-22ボルト以上のゲート電圧は第3ゲート電圧範囲R3と理解され得る。これは-22ボルト以上の電圧ではゲート電圧が第1アクティブ層およびバリア層を通過して第2アクティブ層に達したものと解釈される。
【0225】
以上、本発明の第2実施例に係るマルチレベル素子を説明した。
【0226】
以下、前述した本発明の実施例に係る工程の優秀性について説明することにする。まず、加圧ドージング段階の優秀性について説明することにする。
【0227】
図29は、ソースガスとして、タングステンヘキサフルオライドガスを使って図7を参照して説明した加圧ドージング段階を遂行するものの、金属前駆体ソースガスによるチャンバーの圧力を増加させながら表面カバレッジを測定した結果である。
【0228】
図29を参照すると、圧力をそれぞれ5mTorrから10mTorr、20mTorr、50mTorr、100mTorr、200mTorr、300mTorr、1000mTorr、2000mTorr、3000mTorrに増加させた場合、表面カバレッジはそれぞれ61%、62.5%、62、65%、66.5%、69.5%、91.5%、96.5%、97.5%、99%に向上することを確認することができる。
【0229】
すなわち、ソースガスのドージング圧力が0.2mTorrの低圧である場合、表面カバレッジが約70%と低く示された。しかし、ソースガスのドージング圧力を0.3Torr以上に増加させた場合、表面カバレッジが約90%であって、顕著に優秀なことが分かった。
【0230】
これにより、ソースガス加圧ドージング段階の最小圧力は0.3Torr以上であることが好ましいことを確認することができた。
【0231】
これは前述した通り、チャンバーを密閉させた状態でソースガスを供給してチャンバー内の圧力を高圧に形成する場合、ソースガスの対象体の表面吸着率が顕著に増加することを意味する。したがって、本発明の一実施例に係る加圧ドージングによって優秀な膜質が提供され得る。
【0232】
加圧ドージング段階は本発明の一実施例に係る素子および本発明の一実施例に係るマルチレベル素子に適用され得る。
【0233】
以下、第3実施例に係る素子および第2実施例に係るマルチレベル素子のWS2特性について説明することにする。
【0234】
図30および図31に図示された通り、本発明の第3実施例に係る素子および第2実施例に係るマルチレベル素子のWS2に対してXPS分析を遂行してみた。製造工程は図20を参照して説明したものと同一である。
【0235】
遷移金属であるタングステンXPSピークに比べ(図30(a)、図31(a))、本発明の一実施例によって製造されたWS2はWによるピークの他に明確にSによるピークを確認することができた(図30(b)、図31(b))。これを通じて、WS2が蒸着されたことを確認することができる。
【0236】
次いで、図32に図示された通り、本発明の一実施例によって製造されたWS2に対してraman shift分析を遂行してみた。
【0237】
分析結果、intensity ratio(I2LA/IA1g)が2.4、E2gとA1gのFrequency difference(cm-1)が62.5に確認された(図32(b))。分析結果に基づいて、本発明の一実施例によって製造されたWS2はモノレイヤであることを確認することができる。
【0238】
次いで、図33に図示された通り、本発明の一実施例によって製造されたWS2に対してAFM分析を遂行してみた。
【0239】
シリコン基板上に遷移金属であるタングステンを蒸着した場合、0.379nmの厚さの偏差が発生した反面(図33(a))、シリコン基板上に本発明の一実施例によって製造されたWS2の場合、0.736nmの厚さの偏差が発生した(図33(b))。0.736nmの厚さの偏差により一実施例によって製造されたWS2はモノレイヤであることを確認することができる。
【0240】
これにより、本発明の一実施例によって製造されたマルチレベル素子は高いカバレッジを有するモノレイヤのTMDCアクティブ層を有することを確認することができた。
【0241】
以上、本発明を好ましい実施例を使って詳細に説明したが、本発明の範囲は特定の実施例に限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲によって解釈されるべきである。また、この技術分野で通常の知識を習得した者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく多様な修正と変形が可能であることが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
【国際調査報告】