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特表2022-505267無接点電力供給及びデータ通信装置と、これを用いる回転駆動ユニットを備えたシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】無接点電力供給及びデータ通信装置と、これを用いる回転駆動ユニットを備えたシステム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20220106BHJP
   H01F 38/18 20060101ALI20220106BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20220106BHJP
   H04B 10/114 20130101ALI20220106BHJP
   H04B 10/80 20130101ALI20220106BHJP
【FI】
H02J50/10
H01F38/18 J
H01F38/18 M
H01F38/14
H04B10/114
H04B10/80
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521230
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(85)【翻訳文提出日】2021-05-28
(86)【国際出願番号】 KR2019013571
(87)【国際公開番号】W WO2020080820
(87)【国際公開日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】10-2018-0123172
(32)【優先日】2018-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521156860
【氏名又は名称】ライドロ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ミョン イル
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AL23
5K102PB11
5K102PH31
(57)【要約】
無接点電力供給及びデータ通信装置と、これを用いるシステムが開示される。無接点電力供給及びデータ通信装置は、モーターによって回転する回転部、及び前記回転部から所定の距離だけ離間して外部の電力を供給され、固定されて作動する固定部が一対をなして形成され、回転部と固定部は、中空リング状の内部貫通孔が形成されたフェライトコアと、フェライトコアを中央において固定して制御機能を行う制御基板、及び制御基板の中心部に位置する光通信モジュールからそれぞれ構成され、このような構成により、固定部に供給される電力を電磁気誘導して回転部に電力を供給し、回転部と固定部とが赤外線などを用いた光通信モジュールによるデータ通信を行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターによって回転する回転部、及び前記回転部から所定の距離だけ離間して外部の電力を供給され、固定されて作動する固定部が一対をなして形成され、
前記固定部に供給される電力を磁気誘導方式で前記回転部に誘導して電力を供給し、
前記回転部に配設された第1の光通信モジュールと、前記固定部に固定された第2の光通信モジュールとを介して無線方式で信号またはデータを送受信することを特徴とする無接点電力供給及びデータ通信装置。
【請求項2】
前記固定部と前記回転部は、中空部をそれぞれ備えて一方の端面同士が向かい合う一対のフェライトを備え、前記第1及び第2の光通信モジュールは、前記中空部を介して無線信号またはデータを送受信することを特徴とする請求項1に記載の無接点電力供給及びデータ通信装置。
【請求項3】
モーターによって回転する回転部、及び前記回転部と向かい合って隔置される固定部が一対をなして形成された機械機構部と、
前記回転部に配置される第1のプリント回路基板と、
前記第1のプリント回路基板の上において前記回転部の一方の面の中央部に配置される第1のフェライトコアと、
前記第1のフェライトコアの一方の端面と並ぶように前記第1のフェライトコアに巻き付けられ、その両端部が前記第1のプリント回路基板の電源入力端子に接続される第1のコイルと、
前記第1のプリント回路基板の上に配置され、前記第1のフェライトコアの中空部に露出される第1の光通信ユニットと、
前記固定部に配置され、外部の電力を供給される第2のプリント回路基板と、
前記第2のプリント回路基板の上において前記第1のフェライトコアと向かい合って配置される第2のフェライトコアと、
前記第1のフェライトコアの一方の端面と向かい合う前記第2のフェライトコアの一方の端面と並ぶように前記第2のフェライトコアに巻き付けられ、その両端部が前記第2のプリント回路基板の電源出力端子に接続される第2のコイルと、
前記第1のフェライトコアの中空部と、直線パイプ中空部状に延びて配置される前記第2のフェライトコアの中空部に露出され、前記第2のプリント回路基板の上に配置される第2の光通信ユニットと、
を備える無接点電力供給及びデータ通信装置。
【請求項4】
前記第1のフェライトコアと前記第1のコイルとの間に配置される第1の巻線型枠(coil former)と、
前記第2のフェライトコアと前記第2のコイルとの間に配置される第2の巻線型枠と、
をさらに備える請求項3に記載の無接点電力供給及びデータ通信装置。
【請求項5】
第1の光通信モジュール及び第2の光通信モジュールは、光信号を送受信する赤外線(IR)センサーを備える請求項3に記載の無接点電力供給及びデータ通信装置。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか一項に記載の無接点電力供給及びデータ通信装置と、
前記無接点電力供給及びデータ通信装置の回転部に結合する回転駆動ユニットと、
を備えるシステム。
【請求項7】
前記システムは、レーザー距離測定機またはライダー(LiDAR)である、請求項6に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無接点電力供給及びデータ通信装置に係り、さらに詳しくは、回転する回転部と固定されている固定部とを備えた機械装置に結合して、無接点方式で固定部側の電力を回転部側に供給し、回転部側と固定部側との間においてデータの送受信を行うことのできる無接点電力供給及びデータ通信装置と、これを用いる回転駆動ユニットを備えたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、モーターや電動機の電力供給システムなどにおいて、有接点回路を採用した有接点電力伝送装置が採用されている。有接点電力伝送装置は、比較的単純であり、しかも、安価であるというメリットを有しているとはいえ、有線で接続されるため、回転構造や回転駆動ユニットを備える機械装置には使用し難い。
【0003】
これを解決するために、別の従来の技術においては、ロータリージョイント、ロータリーコネクターなどとも呼ばれる電気/機械的な部品であるスリップリング(Slipring)を常用する。スリップリング(Slipring)は、回転する物体に電源または電気信号を供給するために用いられる装置であって、電源を供給されて動作する装置が回転する物体の内部に組み込まれる場合、これを接続する電線にヨレが生じて回転動作が不可能になることを解消して、電線のヨレなしに電力を伝達することのできる一種の回転型コネクターである。
【0004】
しかしながら、スリップリングのような無接点電力伝送装置は、単に電源を供給する目的で多用され、黒鉛タイプの低価型スリップリングが主流をなしている。ところが、黒鉛タイプのスリップリングは、不良が生じ易く、メンテナンスを行い難い他、微細信号種類の増加が生じるという不都合があり、複雑な構造、高いコスト及び高い技術要求事項を求めるというデメリットがある。
【0005】
さらに別の従来の技術としての韓国登録特許第10-1671352号公報には、光信号伝達手段付き3軸スリップリングが公知となっている。この従来の技術は、圧力と、電力及び光信号が単一のスリップリングにより供給できるように、圧力を伝達する圧力伝達部と、電力を伝達する電力伝達部と、光信号を伝達する光信号伝達部とが単一の構成要素により形成された3軸無接点スリップリングモーターを開示する。
【0006】
しかしながら、前記従来の技術の無接点スリップリングモーターは、回転子部と、回路基板部と、コネクター部及びスリップリングユニットを備える複雑な構造を有し、無線光通信を提供するものではなく、貫通孔内の光ケーブルを介して光信号を伝達するように構成される。したがって、上記の従来の技術は、光信号の伝達のための貫通孔を備えることを余儀なくされるため、製造し難く、耐久性、信頼性及び再現性を確保し難いという不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1671352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような従来の技術の不都合を解決するために案出された本発明は、回転するモーターと同じ回転駆動ユニット(負荷側)と、ここに結合される電源側固定ユニットとを無線電力方式で配置することで、負荷側と電源側との間において無接点方式でデータを送受信できるようになっている装置を提供するところにその目的がある。
【0009】
本発明の別の目的は、回転体と固定体との間の電源を安定的に供給するための手段を提供するだけではなく、回転体と固定体との間にデータ通信環境を提供することのできる無接点電力供給及びデータ通信装置と、これを用いる回転駆動ユニットを備えたシステムまたは応用装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の技術的課題を解決するための本発明の一側面による無接点電力供給及びデータ通信装置は、モーターによって回転する回転部、及び前記回転部から所定の距離だけ離間して外部の電力を供給され、固定されて作動する固定部が一対をなして形成され、前記固定部に供給される電力を磁気誘導方式で前記回転部に誘導して電力を供給し、前記回転部に配設された第1の光通信モジュールと、前記固定部に固定された第2の光通信モジュールとを介して無線方式で信号またはデータを送受信することを特徴とする。
【0011】
一実施形態において、前記固定部と前記回転部は、中空部をそれぞれ備えて一方の端面同士が向かい合う一対のフェライトを備え、その個所において、前記第1及び第2の光通信モジュールは、前記中空部を介して無線信号またはデータを送受信することを特徴とする。
【0012】
上記の技術的課題を解決するための本発明の別の側面による無接点電力供給及びデータ通信装置は、モーターによって回転する回転部、及び前記回転部と向かい合って隔置される固定部が一対をなして形成された機械機構部と、前記回転部に配置される第1のプリント回路基板と、前記第1のプリント回路基板の上において前記回転部の一方の面の中央部に配置される第1のフェライトコアと、前記第1のフェライトコアの一方の端面と並ぶように前記第1のフェライトコアに巻き付けられ、その両端部が前記第1のプリント回路基板の電源入力端子に接続される第1のコイルと、前記第1のプリント回路基板の上に配置され、前記第1のフェライトコアの中空部に露出される第1の光通信ユニットと、前記固定部に配置され、外部の電力を供給される第2のプリント回路基板と、前記第2のプリント回路基板の上において前記第1のフェライトコアと向かい合って配置される第2のフェライトコアと、前記第1のフェライトコアの一方の端面と向かい合う前記第2のフェライトコアの一方の端面と並ぶように前記第2のフェライトコアに巻き付けられ、その両端部が前記第2のプリント回路基板の電源出力端子に接続される第2のコイルと、前記第1のフェライトコアの中空部と、直線パイプ中空部状に延びて配置される前記第2のフェライトコアの中空部に露出され、前記第2のプリント回路基板の上に配置される第2の光通信ユニットと、を備える。
【0013】
一実施形態において、無接点電力供給及びデータ通信装置は、前記第1のフェライトコアと前記第1のコイルとの間に配置される第1の巻線型枠(coil former)と、前記第2のフェライトコアと前記第2のコイルとの間に配置される第2の巻線型枠と、をさらに備えていてもよい。
【0014】
上記の技術的課題を解決するための本発明のさらに別の側面による無接点電力供給及びデータ通信装置は、モーターによって回転する回転部、及び前記回転部から所定の距離だけ離間して外部の電力を供給され、固定されて作動する固定部が一対をなして形成され、前記回転部と前記固定部は、中空リング状の内部貫通孔が形成されたフェライトコア(Ferrite Core)と、前記フェライトコアを中央において固定して制御機能を行う制御基板、及び前記制御基板の中心部に位置する光通信モジュールからそれぞれ構成されることにより、前記固定部に供給される電力を電磁気誘導して前記回転部に電力を供給し、前記回転部と前記固定部とが前記光通信モジュールによるデータ通信を行うことを特徴とする。
【0015】
一実施形態において、前記回転部と前記固定部は、前記フェライトコア(Ferrite Core)の内側のリング空間に嵌設される巻線型枠(Coil former)及び前記巻線型枠(Coil former)の外側に巻線されるコイル(Coil)をそれぞれ備えていてもよい。
【0016】
一実施形態において、前記回転部の光通信モジュールと前記固定部の光通信モジュールは、前記回転部フェライトコアに形成された貫通孔及び前記固定部フェライトコアに形成された貫通孔の中心部を介して双方向にデータ通信を行ってもよい。
【0017】
一実施形態において、前記回転部の光通信モジュール及び前記固定部の光通信モジュールは、光信号を送受信する赤外線(IR)センサーから構成されてもよい。
【0018】
上記の技術的課題を解決するための本発明のさらに別の側面による回転駆動ユニットを備えたシステムは、前述した実施形態のうちのいずれか一つの無接点電力供給及びデータ通信装置と、前記無接点電力供給及びデータ通信装置の回転部に結合する回転駆動ユニットと、を備える。
【0019】
前記システムは、レーザー距離測定機またはライダー(LiDAR:light detection and ranging、光の検出と測距)であってもよい。
【発明の効果】
【0020】
前述した無接点電力供給及びデータ通信装置と、これを用いる回転駆動ユニットを備えたシステムまたは応用装置を用いる場合には、より単純な構成で回転する回転体に電力を供給することができるという効果があり、しかも、様々な構造に取り付けるのに適しており、諸電気装置との電気的な結合もまた容易に行えるというメリットがある。
【0021】
また、本発明によれば、光通信素子をフェライトコアに形成された貫通孔の中心部に備えて遮蔽物なしに無線光通信を可能にするという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る無接点電力供給及びデータ通信装置に対する概略的な正面図である。
図2図1の装置のA-A線による横断面図である。
図3図1の装置の分解斜視である。
図4図1の装置を用いる回転駆動ユニットを備えたシステムの外観を示す例示図である。
図5図4のシステムに採用可能なライダー(LiDAR:light detection and ranging)の主な構成部に対する正面図である。
図6図5のライダーの左側面図である。
図7図5のライダーのL-L線による横断面図である。
図8図5のライダーの分解斜視図である。
図9】本発明の別の実施形態に係る無接点電力供給及びデータ通信装置を用いる回転駆動ユニットを備えたシステムの外観を示す例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は、自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に踏まえて、本発明の技術的な思想に見合う意味及び概念として解釈されなければならない。
【0024】
よって、この明細書に記載の実施形態と図面に示されている構成は、本発明の最適な一実施形態に過ぎないものであり、本発明の技術的な思想をいずれも代弁するものではないため、本発明の出願時点においてこれらに代替できる様々な均等物と変形例があり得るということを理解しなければならない。
【0025】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好適な実施形態について詳しく説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る無接点電力供給及びデータ通信装置に対する概略的な正面図である。図2は、図1の装置の横断面図である。そして、図3は、図1の装置の分解斜視図である。
【0027】
図1から図3を参照すると、この実施形態に係る無接点電力供給及びデータ通信装置100は、回転部及び固定部からなる機械機構部を備え、回転部に配置される第1のプリント回路基板11と、第1のフェライトコア12と、第1のコイル13と、第1の巻線型枠(coil former)14及び第1の光通信ユニット16を備え、固定部に配置される第2のプリント回路基板21と、第2のフェライトコア22と、第2のコイル23と、第2の巻線型枠24及び第2の光通信ユニット26を備える。回転部は、モーターなどの回転駆動ユニットによって回転するレーザー送受信モジュールの筐体の一方の端部31を備え、前記一方の端部31において、第1のプリント回路基板11、第1のフェライトコア12、第1のコイル13、第1の巻線型枠(coil former)14及び第1の光通信ユニット16からなる受電及び通信ユニットは弾性体32によって支持固定されてもよい。
【0028】
受電及び通信ユニットは、レーザー送受信モジュールの回転に際して、第1のプリント回路基板11と、第1のフェライトコア12と、第1のコイル13と、第1の巻線型枠(coil former)14及び第1の光通信ユニット16からなる送電及び通信ユニットと位置合わせ状態を保っていてもよい。
【0029】
前述したレーザー送受信モジュールは、少なくとも2つが対向方向に配置されるか、あるいは、4つ以上が対称または放射状に配置される複数のレーザー送信ユニットと、前記複数のレーザー送信ユニットの一方の側にペアをなして配置される複数のレーザー受信ユニットと、を一体に備えていてもよい。レーザー送受信モジュールの他方の端部は、モーターの駆動軸に直接的にもしくは間接的に接続され、これによって、レーザー送受信モジュールは、モーターの回転軸の回転につれて回転して、モーターの回転速度の制御に従ってその回転速度が制御されることが可能である。
【0030】
前述した構成において、機械機構部の回転部とは、モーターなどの回転駆動ユニットによって回転する部分のことをいい、固定部とは、回転部と向かい合って隔置される部分のことをいう。第1のプリント回路基板11は回転部に配置され、第2のプリント回路基板21は固定部に配置されて回転部に伝送すべき外部の電力を供給されるように配設される。
【0031】
第1のフェライトコア12は、第1のコイル13に流れる有効な電力信号は円滑に通過させ、高周波成分などの無効な電力信号は遮断する。これと同様に、第2のフェライトコア22は、第2のコイル23に流れる有効な電力信号は円滑に通過させ、高周波成分などの無効な電力信号は遮断する。
【0032】
前述した第1のフェライトコア12は、第1のプリント回路基板11の上において、回転部の一方の面の中央部に配置される。第1のフェライトコア12は、中空部12aを有するドラム状を呈していてもよく、その仮想の回転軸の延長方向は、回転部の一方の面の中央部を横切って配置され、モーターまたは回転駆動ユニットの回転軸の上に位置してもよい。中空部は、内部貫通孔に対応してもよい。
【0033】
また、第2のフェライトコア22は、第2のプリント回路基板21の一方の面の上に配置される。第2のフェライトコア22は、第2のプリント回路基板21の上において第1のフェライトコア12と向かい合うように配置される。第2のフェライトコア22は、中空部22aを有するドラム状を呈していてもよく、その仮想の回転軸の延長方向は、第2のフェライトコア22の中空部の中心部を横切って第1のフェライトコア12の回転軸につながってモーターまたは回転駆動ユニットの回転軸に一直線状に位置合わせしてもよい。
【0034】
さらに、第2のフェライトコア22は、第2のプリント回路基板21と向かい合う一方の端部から中心軸の放射状の向きに所定の長さに見合う分だけ延び、第2のフェライトコア22の本体の外表面から所定の間隔だけ離間して本体の外表面を二重管状に覆うカバー22bを備えた構造を有していてもよい。これと同様に、第1のフェライトコア12は、第1のプリント回路基板11と向かい合う他方の端部から中心軸の放射状の向きに所定の長さに見合う分だけ延び、第1のフェライトコア12の本体の外表面から所定の間隔だけ離間して本体の外表面を二重管状に覆うカバーを備えた構造を有していてもよい。
【0035】
第1のコイル13は、第1のフェライトコア12の一方の端面と並ぶように第1のフェライトコア12の外周面に巻き付けられ、その両端部が第1のプリント回路基板11の電源入力端子側に接続される。これと同様に、第2のコイル23は、第1のフェライトコア12の一方の端面と向かい合う第2のフェライトコア22の一方の端面と並ぶように第2のフェライトコア22の外周面の上に巻き付けられ、その両端部が第2のプリント回路基板21の電源出力端子に接続される。
【0036】
第2のコイル23と第1のコイル13は、記載順に、送信コイル及び受信コイルと称されもよく、磁気誘導方式によって第2のコイル23から第1のコイル13へと電力が無線で伝送されるように動作してもよい。無線電力は、数ワット(W)であってもよい。第1のコイル13と第2のコイル23の巻線量と、第1及び第2のフェライトコア12、22間の離間距離とに応じて、電磁気誘導量または無線電力伝送エネルギー量が決定されてもよい。巻線量を高めたり離間距離を縮めたりすると、電力の伝送率が高くなり、歩留まり率が向上する。
【0037】
第1の巻線型枠(coil former)14は、第1のフェライトコア12と第1のコイル13との間に配置され、第2の巻線型枠24は、第2のフェライトコア22と第2のコイルとの間に配置される。第1の巻線型枠14及び第2の巻線型枠24には、各フェライトコアの外周面にコイルを巻付け可能な凹部などの凹凸部を形成してもよい。
【0038】
第2の巻線型枠24の中空部24aには第2のフェライトコア22が嵌入されてもよく、これと同様に、第1の巻線型枠14の中空部には第1のフェライトコア12が嵌入されてもよい。
【0039】
第1の光通信ユニット16は、第1のプリント回路基板11の上に配置され、第1のフェライトコア12の中空部に露出される。第2の光通信ユニット26は、第1のフェライトコア12の中空部と、直線パイプ中空部状に延びて配置される第2のフェライトコア22の中空部に露出されるように第2のプリント回路基板21の上に配置される。
【0040】
前述した第1のプリント回路基板11と第2のプリント回路基板21は、双方向通信に対応可能であり、ライダー(LiDAR)に採用される場合、搭載される信号処理モジュールまたは制御モジュールによってレーザー送信ユニット(図5における51参照)とレーザー受信ユニット(図5における52参照)を制御するように実現されてもよい。前述した構成のために、第1のプリント回路基板11と第2のプリント回路基板21は、第1及び第2の光通信モジュールとして赤外線光通信素子をそれぞれ搭載してもよい。
【0041】
前述したように、この実施形態に係る無接点電力供給及びデータ通信装置100は、固定部から回転部へと誘導される電流によって回転部側の回転駆動ユニットに電力を供給したり、回転部側のレーザーなどの駆動装置に電力を供給したりすることができ、固定部と回転部とを備えた同一の機械機構部において、フェライトコアの貫通孔の中心部を用いる第1及び第2の光通信モジュールを介して遮蔽物なしに無接点方式または無線方式で光通信を行うことができる。
【0042】
敷衍して説明すると、この実施形態に係る無接点電力供給及びデータ通信装置100は、回転体に電力を供給するだけではなく、両方向データ通信に対応するための装置であって、図示のごとく、モーターによって回転する回転部と、前記回転部から離れて固定されて配置される固定部とが一対をなして形成される。
【0043】
固定部は、回転部から所定の間隔だけ離間して配置されてもよく、外部の電力を供給される装置を備えていてもよい。上記の所定の間隔とは、磁気誘導可能な近い距離のことを意味する。回転部と固定部は、中空リング状の内部貫通孔が形成されたフェライトコア(Ferrite Core)と、前記フェライトコアを中央において固定して制御機能を行う制御基板及び制御基板の中心部に位置する光通信モジュールからそれぞれ構成されてもよい。制御基板は、制御モジュールまたはプリント回路基板と称されてもよい。
【0044】
具体的に、制御基板は、プリント回路基板(printed circuit board;PCB)の上に多数の電子部品や回路素子を取り付け、これらを配線で接続して電源の供給、データ通信、制御回路などの既に設定された動作を行えるように実現されてもよい。
【0045】
フェライトコアは、内側のリング空間に嵌設される巻線型枠及びこの巻線型枠の外側に巻線されるコイルをそれぞれ備える構造に形成される。なお、フェライトコアは、制御基板上の中央において円筒が垂直方向に固定される形状に配設される。
【0046】
ここで、フェライトコアとは、フェライト製の磁気鉄芯であって、透磁率が高く、かつ、伝導性が低いといった特性を用いて、変圧器や誘導子の芯などとして使われる強磁性素子である。この実施形態においては、内側に中空孔または貫通孔などの空間が形成されるリング構造の円筒状であって、内部にはコイルが巻線されて内側のリング空間に嵌入可能なように形成されたフェライトコアを用いる。
【0047】
この実施形態においては、説明のし易さのために、フェライトコアを回転部フェライトコアと固定部フェライトコアとに区別して称しても良い。なお、制御基板を回転部制御基板と固定部制御基板とに区別して称してもよく、光通信モジュールもまた回転部光通信モジュールと固定部光通信モジュールとに区別してそれぞれ称してもよい。
【0048】
すなわち、回転部フェライトコアと固定部フェライトコアは、互いに対称となる構造を有する。これにより、コイルの巻線量及び回転部フェライトコアと固定部フェライトコアとの離間距離に応じて、電磁気誘導量の性能が左右され得る。例えば、コイルに巻き付けた巻線量が増加し、かつ、離間距離が短くなるにつれて、電磁気誘導に伴う歩留まり率が上がる。
【0049】
さらに、この実施形態においては、制御基板の中心部に位置する光通信モジュールによって双方向にデータ通信を行ってもよい。回転部光通信モジュールと固定部光通信モジュールは、回転部フェライトコアに形成された貫通孔及び固定部フェライトコアに形成された貫通孔の中心部を介して光の伝送を行い、回転部制御基板及び固定部制御基板を介した信号処理プロセスによって、回転部の付加装置を制御したり、固定部の付加装置と互いに連動したりすることができる。回転部光通信モジュール及び固定部光通信モジュールは、光信号を送受信する赤外線(IR)センサーから構成されてもよい。
【0050】
図4は、図1の装置を用いる回転駆動ユニットを備えたシステムの外観を示す例示図である。図5は、図4のシステムに採用可能なライダー(LiDAR:light detection and ranging)の主な構成部に対する正面図である。図6は、図5のライダーの左側面図である。図7は、図5のライダーのL-L線による横断面図である。図8は、図5のライダーの分解斜視図である。
【0051】
図4から図8を参照すると、この実施形態に係るライダー装置200は、回転駆動ユニットを備えたシステムの一種であって、無接点電力供給及びデータ通信装置100と、レーザー送受信モジュール50及び回転駆動ユニット60を備える。ライダー装置200は、円筒状のケースの一方の面に形成されるレーザー覗き窓201を介してレーザー光を送出し、外部の物体などから反射されて戻ってくるレーザー光を受光するように構成されてもよい。
【0052】
無接点電力供給及びデータ通信装置100は、外部の電力が印加される電源コネクター41と、外部のネットワークとの接続のための通信コネクター42と、を備えていてもよく、実現例に応じて、電源と通信兼用の統合コネクター41aを選択的にさらに備えていてもよい。電源コネクター41と、統合コネクター41a及び通信コネクター42は、第2のプリント回路基板21に実装されてもよい。
【0053】
この実施形態に係るライダー装置200は、モーターによって回転してレーザーを発信し且つ受信するレーザー送受信モジュール50を備える。レーザー送受信モジュール50は、一方の端部においてボルト及びナットなどの締結手段58によって無接点電力供給及びデータ通信装置100と結合されてもよい。
【0054】
レーザー送受信モジュール50は、単にレーザーモジュールと称されてもよい。レーザーモジュールは、複数のレーザー送信ユニット51a、51bと、複数のレーザー受信ユニット52a、52bと、を備えていてもよい。
【0055】
複数のレーザー送信ユニット51a、51bは、2つである場合、回転軸と直交する所定の方向から互いに反対の方向を向くように配置されてもよく、3つ以上である場合、回転軸と直交する放射状の方向をそれぞれ向くように均等に配列されてもよい。複数のレーザー受信ユニット52a、52bは、複数のレーザー送信ユニット51a、51bとペアをなすように各レーザー送信ユニットと隣り合うように配置されてもよい。
【0056】
また、ライダー装置200は、レーザーモジュールに電源を供給するために前述した無接点電力供給及びデータ通信装置100を適用するものであって、回転するレーザーモジュールは、回転部制御基板と、回転部制御基板の上に内部貫通孔が形成された回転部フェライトコア、フェライトコアの内側のリング空間に嵌設される巻線型枠を備えてコイルが巻線可能な構造を取ることになる。
【0057】
これと対称的に、レーザーモジュールから所定の距離だけ離間して配置される固定部制御基板には、固定部フェライトコアと、巻線型枠及びこの巻線型枠に巻線されるコイルが配備されていてもよい。
【0058】
回転駆動ユニット60は、モーターを備えていてもよい。この実施形態において、回転駆動ユニット60は、ボルト及びナットなどの締結手段によってレーザーモジュールの他方の端部に結合され、回転力をレーザーモジュールに与えてレーザーモジュールを回転させることができる。その個所において、レーザーモジュールの一方の端部に結合する無接点電力供給及びデータ通信装置100の回転部は、レーザーモジュールの回転につれて回転することが可能である。
【0059】
前述した構成を通じて、ライダー装置200は、固定部に供給される電力を電磁気誘導して回転部に電力を供給し、回転部に誘導された電流によってレーザーモジュールの発信及び受信の動作に必要な電力を供給したり、回転部制御基板やモーターに電力を供給したりし、かつ、回転部制御基板の制御機能のための信号及びデータを伝達したり、モーターの動作を制御するための制御信号を伝達したりすることができる。
【0060】
さらに、レーザーモジュールが結合する回転部制御基板や固定部制御基板には光通信モジュールが配備されて、回転部フェライトコアに形成された貫通孔及び固定部フェライトコアに形成された貫通孔の中心部を介して遮蔽物なしに光通信を行うことができる。
【0061】
そのため、ライダー装置200は、固定部から誘導された電流を回転部のレーザーモジュールに供給して、レーザーの発信及び受信を行いながら、回転部制御基板と固定部制御基板との間の双方向通信に対応できるようにして、回転部制御基板における信号処理を通じてレーザーモジュールの発信及び受信を制御するようにできる。
【0062】
以上述べたように、この実施形態に係るライダー装置200に搭載される無接点電力供給及びデータ通信装置100は、固定部に供給される電力を磁気誘導方式で回転部に供給し、回転部と固定部とが光通信モジュールによって信号及びデータを送受信可能な様々な構造の装置、応用装置またはシステムに効果的に適用されることが可能である。
【0063】
一方、前述した実施形態において、回転駆動ユニットを備えたライダー装置200の作動原理は既に周知であるため、これについての詳しい説明を省略する。但し、ライダー装置200は、鏡をさらに備え、ここで、鏡は、回転駆動ユニットによって動きながらレーザー送信ユニットのレーザー光を反射したり、レーザー受信ユニットのレーザー光を反射したりするように実現されてもよい。その場合、回転駆動ユニットは、無接点電力供給及びデータ通信装置によって供給される電力によって動作して、鏡の反射角度を変化させるように動作してもよい。なお、回転駆動ユニットの動作は、無接点電力供給及びデータ通信装置を介して受信される制御信号に基づいて制御されてもよい。
【0064】
図9は、本発明のさらに別の実施形態に係る無接点電力供給及びデータ通信装置を用いる回転駆動ユニットを備えたシステムの外観を示す例示図である。
【0065】
図9を参照すると、この実施形態に係る回転駆動ユニットを備えたシステム200aは、レーザー距離測定機であって、図1から図3に基づいて上述した無接点電力供給及びデータ通信装置と、レーザー送信器と、レーザー受信器及び回転駆動ユニットを備える。
【0066】
また、システム200aは、鏡を備え、鏡は、レーザー送信器のレーザー光を反射したり、レーザー受信器のレーザー光を反射したりするように実現されてもよい。その個所において、回転駆動ユニットは、無接点電力供給及びデータ通信装置によって供給される電力によって動作して、鏡の反射角度を変化させるように動作することができる。なお、回転駆動ユニットの動作は、無接点電力供給及びデータ通信装置を介して受信される制御信号に基づいて制御されてもよい。
【0067】
このように、この実施形態に係る無接点電力供給及びデータ通信装置を用いるレーザー距離測定機を用いると、鏡の動きを制御するためのモーターの動作の制御と電源の供給とを単一のモジュールタイプの無接点電力供給及びデータ通信装置により実現することができて、レーザー距離測定機の嵩と重さを減らし、構成を単純化させて製造し易くする他、耐久性と信頼性を向上させることができるというメリットがある。
【0068】
以上において、本発明の実施形態について説明したが、この他にも、様々な改変が可能であるということはいうまでもない。本発明の技術分野において通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載の本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内において様々な態様に修正及び変更可能であるということが理解できる筈である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】