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特表2022-505270ガラクトース経口組成物およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】ガラクトース経口組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/00 20160101AFI20220106BHJP
   A61K 51/04 20060101ALI20220106BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220106BHJP
   A23L 33/125 20160101ALI20220106BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20220106BHJP
   G01N 33/66 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
A23L5/00 K
A61K51/04 320
A61K9/08
A23L33/125
G01N33/50 Z
G01N33/66 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521235
(86)(22)【出願日】2018-10-19
(85)【翻訳文提出日】2021-04-13
(86)【国際出願番号】 CN2018111079
(87)【国際公開番号】W WO2020077632
(87)【国際公開日】2020-04-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521157166
【氏名又は名称】アヴァロン ヘパポク リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AVALON HEPAPOC LIMITED
【住所又は居所原語表記】Unit 608-613, IC Development Centre, No. 6 Science Park West Avenue, Hong Kong Science Park, Sha Tin, New Territories, Hong Kong 100053, China
(74)【代理人】
【識別番号】100125450
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 広明
(72)【発明者】
【氏名】フー オリバー ヨウ-プ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ピン
(72)【発明者】
【氏名】ション チォン-フゥイ
【テーマコード(参考)】
2G045
4B018
4B035
4C076
4C085
【Fターム(参考)】
2G045AA40
2G045CA25
2G045DA33
2G045FB17
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4C085KB78
4C085LL05
(57)【要約】
ガラクトース、酸化防止剤および緩衝剤を含むガラクトース経口組成物。ガラクトース経口組成物は、1重量%~80重量%のガラクトースを含む。酸化防止剤は、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、亜硫酸水素ナトリウム、フラボノイド類、ポリフェノール類、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、およびNTA-ニトリロ三酢酸(NTA)から選択される。緩衝剤は、アスコルビン酸緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、酢酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、およびトリエタノールアミン緩衝剤から選択される。本発明のガラクトース経口組成物を適用することで、個々のガラクトース代謝能力を検出し、肝機能を評価することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラクトース経口組成物であって、
ガラクトース;
緩衝剤;および
約0~約99体積パーセント量の酸化防止剤;を含み、
前記ガラクトース経口組成物は、2.0から10.0の範囲のpH値を有し、
前記ガラクトースが、D―(+)―ガラクトース、L―(-)―ガラクトース、安定同位体ガラクトース、ガラクトース環、またはガラクトース誘導体のうちの少なくとも一つを含む、
ガラクトース経口組成物。
【請求項2】
前記酸化防止剤が、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、亜硫酸水素ナトリウム、ポリフェノール類、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、フラボノイド類、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、およびNTA-ニトリロ三酢酸(NTA)からなる群から選択される、請求項1に記載のガラクトース経口組成物。
【請求項3】
前記緩衝剤が、アスコルビン酸緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、酢酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、およびトリエタノールアミン緩衝剤からなる群から選択される、
請求項1に記載のガラクトース経口組成物。
【請求項4】
前記ガラクトース経口組成物が、3.0から6.0の範囲のpH値を有する、
請求項1に記載のガラクトース経口組成物。
【請求項5】
前記ガラクトース経口組成物が、食品組成物および/または医薬組成物である、
請求項1に記載のガラクトース経口組成物。
【請求項6】
前記ガラクトース経口組成物が、乳化剤、着色剤、香辛料、香味料、甘味料、防腐剤、賦形剤、増量剤、安定剤、分散剤、許容可能な食品添加物または許容可能な医薬賦形剤のうちの少なくとも一つをさらに含む、
請求項1に記載のガラクトース経口組成物。
【請求項7】
前記甘味料が、D-ソルビトール、D-ソルビトール70%溶液、D-キシリトール、グリチルリチン、グリチルリチン酸三ナトリウム、D-マンニトール、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、シクラミン酸カルシウム、アスパルテーム、ステビオールグリコシド、リコリス抽出物、アセスルファムカリウム、アンモニア化グリチルリチン、グリチルリチン一アンモニウム、マルチトール、マルチトールシロップ(水素化グルコースシロップ)、イソマルト(水素化パラチノース)、ラクチトール、モノグルクロニルグリチルレチン酸、タウマチン、エリスリトール、スクラロースおよびネオテームからなる群から選択される、
請求項6に記載のガラクトース経口組成物。
【請求項8】
前記スパイスが、チェリー、レモン、ライム、マンダリン、オレンジ、タンジェリン、ミント、ストロベリー、バナナ、キャラメル、甘草、パッションフルーツ、ピーチ、ラズベリー、トゥッティフルッティ、グレープフルーツ、バニラ、クリーム、チョコレートおよびグレープからなる群から選択される、
請求項6に記載のガラクトース経口組成物。
【請求項9】
対象におけるガラクトースの肝血流状態、肝酵素状態、および代謝能力を評価する方法であって、
a)請求項1に記載の経口ガラクトース組成物を前記対象に投与すること;
b)前記対象から生体試料を収集すること;および
c)前記生体試料中のガラクトース量を測定して、前記対象のガラクトースの肝血流状態、肝酵素状態および代謝能力を評価することを含む、方法。
【請求項10】
前記ガラクトース経口組成物の各経口投与量が、0.0lg/kgから5g/kgの範囲である、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ガラクトース組成物であって、
ガラクトース;
緩衝剤;および
約0から約99体積パーセント量の酸化防止剤;を含み、
前記ガラクトース組成物は、2.0から10.0の範囲のpH値を有し、
前記ガラクトース組成物は、高温条件下で元の色を維持し、および
前記ガラクトースが、D―(+)―ガラクトース、L―(-)―ガラクトース、安定同位体ガラクトース、ガラクトース環、またはガラクトース誘導体のうちの少なくとも一つを含む、
ガラクトース組成物。
【請求項12】
前記高温が80℃から250℃の温度である、
請求項11に記載のガラクトース組成物。
【請求項13】
前記ガラクトース組成物は栄養甘味料である、
請求項11に記載のガラクトース組成物。
【請求項14】
前記ガラクトース組成物を食品、栄養物、および調合乳に加えることができる、
請求項11に記載のガラクトース組成物。
【請求項15】
対象におけるガラクトースの肝血流状態、肝酵素状態、および代謝能力を評価する方法であって、
a)請求項11に記載のガラクトース組成物を前記対象に投与すること;
b)前記対象から生体試料を収集すること;および
c)前記生体試料中のガラクトース量を測定して、前記対象のガラクトースの肝血流状態、肝酵素状態および代謝能力を評価することを含む、方法。
【請求項16】
前記ガラクトース組成物の各投与量が0.01g/kgから5g/kgの範囲である、
請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血中のガラクトース濃度の検出に用いられるガラクトース経口製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラクトースはブドウ糖のエピマーであり、乳糖の主成分の一つである。ガラクトースは主に体内の肝臓で代謝されグルコースに変換され、次にグリコーゲンとなり肝臓に貯蔵される。肝疾患によりガラクトースの代謝は大きく左右されるが、血中の最大ガラクトース除去能(GEC)濃度とガラクトース単一点法(GSP)により求めたガラクトース濃度を肝機能の臨床指標として適用することができる。
【0003】
長年、GECはヒトの肝機能を定量的に検査する方法として使われてきた。ただし、GECテストでは、検量線を作成するために多数の血液サンプルが必要であり、このため臨床応用が困難であった。ヒトの肝機能を評価するためにGSPを使用する多くの研究がある。肝機能には、ガラクトースの肝血流状態、肝酵素状態または代謝能力が含まれる。
【0004】
Tang H.S.とHu O.Y.P.(Digestion 1992;52:222-231)らは、慢性肝炎、肝硬変、肝癌などのさまざまな肝疾患をGSP法で正確に特定できることを明らかにした。また、GSP法を使用して残存肝機能を評価することもできる。GSP法は、米国食品医薬品局(FDA)からベンチマークとして推奨されており、これは一般的な肝疾患に罹患した場合の残存肝機能を評価する上での極めて簡便かつ実行可能な方法であることが検証されている。さらに、このGSP法はFDAが発行した企業向け指針において、肝機能の推奨検査方法の一つにもなっている。
【0005】
以前、対象の血中ガラクトース濃度は、空腹時の対象に0.5g/kgのガラクトースを静脈内に三分間で急速注射してから60分後に、GSP値(μg/ml)として測定していた。しかし、静脈内注射は侵襲的であり、対象に心理的ストレスをもたらし、また組織の損傷、痛み、または潜在的な合併症を引き起こす。特に、小学生や幼稚園の子供たちには人気がなく、細い血管に上手に注射するのには相当な努力が必要であった。
【0006】
したがって、対象に経口投与することができ、かつGSP法によって正確に検出することができる非侵襲性のガラクトース製剤をどのように設計するかが、本発明によって解決されるべき重要なトピックスとなっていた。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、ガラクトース、緩衝剤および酸化防止剤を含むガラクトース経口組成物を提供することであって、前述のガラクトース経口組成物は、2.0から10.0の範囲のpH値を示し、前述のガラクトースは、D-(+)―ガラクトース、L-(-)-ガラクトース、安定同位体ガラクトース、ガラクトース環、またはガラクトース誘導体を含む。
【0008】
上述の本発明の目的を達成するために、前述の酸化防止剤は、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、亜硫酸水素ナトリウム、ポリフェノール類、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、フラボノイド類、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、およびNTA-ニトリロ三酢酸(NTA)からなる群から選択される。
【0009】
上述の本発明の目的を達成するために、前述の緩衝剤は、アスコルビン酸緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、酢酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、およびトリエタノールアミン緩衝剤のうち少なくとも一つを含む群から選択される。
【0010】
上述の本発明の目的を達成するために、前述のガラクトース経口組成物は、3.0から6.0の範囲のpH値を示す。
【0011】
上述の本発明の目的を達成するために、前述のガラクトース経口組成物は食品組成物および/または医薬組成物である。
【0012】
上述の本発明の目的を達成するために、前述のガラクトース経口組成物は、乳化剤、着色剤、香味料、甘味料、防腐剤、賦形剤、増量剤、安定剤および分散剤のうちの少なくとも一つをさらに含む。
【0013】
上述の本発明の目的を達成するために、前述の甘味料は、D-ソルビトール、D-ソルビトール70%溶液、D-キシリトール、グリチルリチン、グリチルリチン酸三ナトリウム、D-マンニトール、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、シクラミン酸カルシウム、アスパルテーム、ステビオールグリコシド、リコリス抽出物、アセスルファムカリウム、アンモニア化グリチルリチン、グリチルリチン一アンモニウム、マルチトール、マルチトールシロップ(水素化グルコースシロップ)、イソマルト(水素化パラチノース)、ラクチトール、モノグルクロニルグリチルレチン酸、タウマチン、エリスリトール、スクラロースおよびネオテームのうち少なくとも一つを含む群から選択される。
【0014】
上述の本発明の目的を達成するためには、前述のスパイスは、チェリー、レモン、ライム、マンダリン、オレンジ、タンジェリン、ミント、ストロベリー、バナナ、キャラメル、甘草、パッションフルーツ、ピーチ、ラズベリー、トゥッティフルッティ、グレープフルーツ、バニラ、クリーム、チョコレートおよびグレープのうち少なくとも一つを含む群から選択される。
【0015】
本発明の他の目的は、ガラクトースの肝血流状態、肝酵素状態、および代謝能力を検査するための調製薬剤である上述のガラクトース経口組成物の一種を提供することである。
【0016】
上述の本発明の目的を達成するためには、ガラクトース経口組成物の各経口投与量は、0.0lg/kgから5g/kgの範囲である。
【0017】
本発明の他の目的としては、ガラクトース、緩衝剤および酸化防止剤を含むガラクトース組成物を提供することであって、前述のガラクトース組成物は、2.0から10.0の範囲のpH値を示し、前述のガラクトース組成物は、高温条件下で元の色を維持し、さらに前述のガラクトースは、D―(+)―ガラクトース、L―(-)―ガラクトース、安定同位体ガラクトース、ガラクトース環、またはガラクトース誘導体のうちの少なくとも一つを含む。
【0018】
上述の本発明の目的を達成するうえで、前述の高温とは80℃から250℃の温度のことである。
【0019】
上述の本発明の目的を達成するうえで、前述のガラクトース組成物は糖尿病向けの栄養甘味料である。
【0020】
上述の本発明の目的を達成するうえで、前述のガラクトース組成物を食品、栄養物、および調合乳に加えることができる。
【0021】
本発明の他の目的は、ガラクトースの肝血流状態、肝酵素状態、および代謝能力を検査するための調製薬剤である上述したガラクトース組成物の一種を提供することである。
【0022】
上述の本発明の目的を達成するためには、ガラクトース組成物の各投与量は0.0lg/kgから5g/kgの範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1にガラクトース経口溶液品の検査報告書の結果を示す。
図2図2にガラクトース静脈内注射によるGSP結果とガラクトース経口投与によるOGSP結果の相対分布図を示す。
図3図3は、肝機能が正常、中等度、重度に障害のある対象のガラクトース経口投与によるOGSP結果の分布図を示す。
図4図4は、ガラクトース経口投与によるOGSP結果と肝硬変との相関関係を示す。
図5図5は、ガラクトース静脈内注射によるGSP結果と肝硬変との相関関係を示す。
図6図6は、ガラクトース経口投与によるOGSP結果と末期肝疾患度合いとの相関関係を示す。
図7図7は、ガラクトース静脈内注射によるGSP結果と末期肝疾患度合いとの相関関係を示す。
図8図8は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に罹患した動物にガラクトースを経口投与した後の各時点でのOGSPの変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を例示的に示すが、本発明は以下の実施形態によってなんら限定されるものではない。
【0025】
本発明においては、良好なガラクトース経口製剤を提供するにあたって、様々な種類および濃度の緩衝剤および酸化防止剤を添加して、異なるpH値のガラクトース経口溶液を調整し、そして安定性試験を実施する。
【0026】
本発明のガラクトースは、D-(+)-ガラクトース、L-(-)-ガラクトース、および安定同位体ガラクトースのうちの少なくとも一つを含むガラクトースを指す。
【0027】
本発明の酸化防止は、ビタミンCおよび/または亜硫酸水素ナトリウム、ビタミンA、ビタミンE、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、フラボノイド類、ポリフェノール類、およびNTA-ニトリロ三酢酸(NTA)の少なくとも一つを含む酸化防止剤を指す。
【0028】
本発明の緩衝剤は、クエン酸塩緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、酢酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、アスコルビン酸緩衝剤、およびトリエタノールアミン緩衝剤のうちの少なくとも一つを含む緩衝剤を指す。
【0029】
ガラクトース経口溶液の調製:
45℃の水50リットルをバレルディスペンサーに注入し、次に155gのクエン酸ナトリウムを加えて完全に溶解するまで攪拌する。pH値を4.5±0.5に調整した後、亜硫酸水素ナトリウム500gを加えて完全に溶解するまで攪拌し、D-ガラクトース40kgを加えて完全に溶解するまで攪拌し、次にクエン酸ナトリウム36gを加えて完全に溶解するまで攪拌する。pH値を4.5±0.5に調整した後、混合物全体の容量が100リットルに達するまで45℃の水で充填し、それから10分間撹拌し、0.22μmの孔径のフィルターでろ過する。均一混合後、この混合物をそれぞれ100ml容量の複数のガラス瓶に注ぎ、サンプリングしてすぐに密封する。最後に、各ボトルを121℃(1.2kg/cm)の高圧スチームポットに入れる。15分間滅菌した後、ボトルを取り出してサンプリングする。表1にガラクトース経口溶液の長期安定性試験の結果を示す。製剤は37~148ヶ月の経過後でも良好な安定性を有することが示される。
【0030】
【表1】
【0031】
ガラクトースの含有量は1%~80%である。この方法においては、高温でガラクトースを1%~80%溶液として調製し、その後でより好適な、総重量に対して4%~40%の含有量になるように希釈する。緩衝剤を総重量の0.001%~5%よりも多く加えてはならない。酸化防止剤を総重量の0.001%~5%よりも多く添加したりしてはならない。好適な経口溶液製剤は、適宜緩衝剤と酸化防止剤を選択し、各成分の含有量が以下のようになるように調製することができる:酸化防止剤として0.001M~1Mの亜硫酸水素ナトリウムおよび/またはビタミンC、ビタミンA、ビタミンE、フラボノイド類、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ポリフェノール類、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、および/またはNTA―ニトリロ三酢酸(NTA);および/または以下の7溶液のうちの一緩衝剤液、すなわち、0.001M~1Mのクエン酸塩緩衝剤液、リン酸塩緩衝剤液、酢酸塩緩衝剤液、炭酸塩緩衝剤液、アスコルビン酸緩衝剤液、およびトリエタノールアミン緩衝剤液で4.0~9.0の範囲のpH値に調整した緩衝剤液。安定した経口溶液製剤は、0.01%クエン酸塩緩衝剤と0.5%亜硫酸水素ナトリウムを加えることで得られ、pH値は4.5となる。
【0032】
上記製剤により調製された経口溶液では、ガラクトースの濃度は400mg/mlで容量は100mlである。次に、得られたガラクトース経口溶液を検査し、その結果を図1に示す。図1の結果からは、本発明のガラクトース経口溶液の色、成分含有量、pH値、体積は、標準的な値を示す。デキストロース経口液体中の主分解物の5-ヒドロキシメチルフルフラールに対するUSP-XXII版の規則、および関連物質の含有量に関するその他の関連規則において、284nm波長下で測定したデキストロース濃度が1/250g/mlの条件下、ブランク対照溶液としての当該水の吸光度値は0.25を超えてはならないとある。本発明のガラクトース経口溶液中の5―ヒドロキシメチルフルフラールの含有量は、長期間置いた後でもわずか0.02である。したがって、図1および表1の結果によると、本発明のガラクトース経口溶液は、長期間配置され、安定性を維持することができる。
【0033】
実施形態1:酸化防止剤および緩衝剤のガラクトースの安定性への効果。
経口溶液
ガラクトース経口溶液を調製した際のガラクトースの濃度は4%、容量は100mlであった。表2に示すように、安定性試験の結果、酸化防止剤としてビタミンC(0.5M)を添加したすべての製剤で、80℃、168時間経過後に経口溶液の色が変化した。しかし、酸化防止剤としての亜硫酸水素ナトリウム(0.1M、0.5M)を添加し、pH値を4.5に調整した場合、製剤を80℃の条件下で168時間置いても変色はなかった。
【0034】
【表2】
【0035】
ガラクトース経口溶液を調製した際のガラクトースの濃度は4%、容量は100mlであった。安定性試験用に、緩衝剤濃度0.01Mの五つの異なる緩衝剤液それぞれに酸化防止剤を添加して試験溶液を調整し、ここで緩衝剤は、クエン酸塩緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、酢酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、トリエタノールアミン緩衝剤を含む群から選択され、酸化防止剤は0.01M濃度の亜硫酸水素ナトリウムとビタミンCのままにしておいた。表3の結果によると、酸化防止剤としてビタミンCを添加したすべての製剤は、168時間後に色が変化、その安定性が低下した。しかし、亜硫酸水素ナトリウムを酸化防止剤として添加したすべての製剤では、緩衝剤に関係なく、pH値が7.35または4.5の条件下では色に変化はなかった。クエン酸塩緩衝剤および亜硫酸水素ナトリウム酸化防止剤を含む、4.5のpH値の条件下にある1~30のガラクトース製剤を観察すると、pH値および色変化の点で安定性により優れていることがわかる。
【0036】
【表3】
【0037】
ガラクトース経口溶液を調製した際のガラクトースの濃度は4%、容量は100mlであった。安定性試験用に、緩衝剤1M濃度の五つの異なる緩衝剤液それぞれに酸化防止剤を添加した試験溶液を調製し、ここで緩衝剤は、クエン酸塩緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、トリエタノールアミン緩衝剤を含む群から選択され、酸化防止剤は0.5M濃度の亜硫酸水素ナトリウムまたはビタミンCのままであった。表4の結果によると、酸化防止剤として0.5MのビタミンCを添加したすべての製剤では、168時間後に色が変化し、安定性は低かった。また、酸化防止剤として0.5Mの亜硫酸水素ナトリウムを添加した一部の製剤では、80℃の条件下、168時間後に色が変化した。さらに、pH値7.35で1Mの炭酸塩緩衝剤液中およびpH値4.5で1Mのトリエタノールアミン緩衝剤液中で一週間保存すると、色が変化する。したがって、亜硫酸水素ナトリウムと緩衝剤の濃度が一緒に増加すると、製剤の安定性が低下することがわかる。残り四つの高濃度緩衝剤添加系、すなわちクエン酸塩緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、トリエタノールアミン緩衝剤を加えたものを、pH値4.5の条件下で高濃度の亜硫酸水素ナトリウム酸化防止剤に加えると、製剤はより安定化するが、クエン酸塩緩衝剤液および酢酸塩緩衝剤液の環境下の方がより良好な結果が得られる。製剤31~50を80℃の条件下に一週間置いた後でも沈殿物は見られない。
【0038】
【表4】
【0039】
実施形態2:pH値のガラクトース経口溶液の安定性への影響。
ガラクトース経口溶液の安定性試験は、pH値が5.02から8.52の範囲で行われるが、ここではガラクトース濃度は4%、容量は100mlで、緩衝剤および酸化防止剤は一切含まれていない。デキストロース経口液体中の主分解生成物である5-ヒドロキシメチルフルフラールに関するUSP-XXII版の規制および関連物質の含有量に関するその他の関連規制によれば、284nm波長にて測定したデキストロース濃度が1/250g/mlの条件下で、ブランク対照溶液としての当該水の吸光度値は0.25を超えてはならないとある。したがって、本発明の4%のガラクトース経口溶液の吸光度値は、2.5を超えてはならない。その結果、pH値が4.5の場合、滅菌前後の製剤のばらつきが少ないことが分かった。したがって、低pH環境下では、安定性がより良好であることが分かる。
【0040】
実施形態3:酸化防止剤濃度のガラクトース経口溶液の安定性への影響。
異なる酸化防止剤濃度で調製されたガラクトース経口溶液の安定性を観察したところ、酸化防止剤濃度が増加すると、pH値と吸光度値の両方が滅菌前後で最小の変化を示し、酸化防止剤を添加した場合は、酸化防止剤を添加しない場合よりも良好なことが分かり得る。0.01Mクエン酸塩緩衝剤液を用いて、経口溶液のpH値と亜硫酸水素ナトリウム酸化防止剤の濃度の両方を調整したところ、結果として、酸性条件下、亜硫酸水素ナトリウム酸化防止剤1%濃度の場合、pH値と吸光度値の両方が滅菌前後で最小の変化を示した。
【0041】
0.01Mリン酸塩緩衝剤液を用いて、経口溶液のpH値と亜硫酸水素ナトリウム酸化防止剤濃度の両方を調整した。その結果として、酸性条件下、亜硫酸水素ナトリウム酸化防止剤1%濃度下では、pH値と吸光度値の両方が滅菌前後で最小の変化を示し、安定性が優れていること示される。0.01M酢酸塩緩衝剤液を用いて、経口溶液のpH値と亜硫酸水素ナトリウム酸化防止剤濃度の両方を調整すると、亜硫酸水素ナトリウム酸化防止剤の濃度が1%の条件下では、pH値と吸光度値の両方が滅菌前後の変化が少なく、安定性に優れる。0.01Mトリエタノールアミン緩衝剤液を用いて、経口溶液のpH値と亜硫酸水素ナトリウム酸化防止剤の濃度の両方を調整したところ、亜硫酸水素ナトリウム酸化防止剤の1%濃度の条件下では、pH値と吸収値の両方が滅菌前後の変化が少なく、安定性に優れる結果が得られる。
【0042】
上記pH値の最小の変化と溶液色の最小の変化の結果から、クエン酸塩緩衝剤を含む製剤を理想的なモデル系として選択することができる。さらなる検討としてはガラクトースの濃度を40%に上げることが考えられる。純水を使った系では、溶液はガラクトース濃度の増加とともに黄色が増す。酸性のクエン酸塩緩衝剤系では、異なる濃度の亜硫酸水素ナトリウムを添加しても、滅菌前後のpH値にはほとんど影響しない。しかし、亜硫酸水素ナトリウムの濃度が0.5%を超えると、経口溶液の色は変化せず、吸光度値の変化も最小限に抑えられる。アルカリ性のクエン酸塩緩衝剤系においては、亜硫酸水素ナトリウムの濃度をいくら加えても、80℃で一週間保存すると経口溶液の色が大きく変化する。
【0043】
ショ糖やガラクトースなどの一般的な糖の場合は、約80℃の高温で変色し、高温のガラクトースは、固体でも溶液でも変色する。本発明のガラクトース経口溶液製剤を、貯蔵のために80℃に、または高温滅菌のために121℃に置いても色の変化はない。すなわち、本発明のガラクトース経口溶液製剤は、ベーキング程度の高温下で甘味サプリメントとして使用することができる。ガラクトースには甘味があり高カロリーであるが、血糖値には影響を与えないため、糖尿病や血糖値をコントロールする必要がある人にとっての栄養甘味料にもなる。
【0044】
以下では、ガラクトース経口組成物を血中のガラクトース濃度検出に適用する場合のその具現性についてさらに示す。
【0045】
被験対象者の条件
対象の選択基準:
1.20~85歳の男性または女性。
2.対象同意書に署名することに同意し、すべての実験手順に協力する意思がある人。
対象の除外基準:
1.ガラクトースにアレルギー反応があり、ガラクトース血症の患者。
2.胃全摘術または胃亜全摘術、セリアック病および腸切除術を受けており、その他の病歴がある人。
3.糖尿病。
4.子供または障害者。
5.主任研究者が認めるその他の医療関連の理由があれば、この治験から除外される。
【0046】
治験方法、手順、および関連治験
(1)事前審査
スクリーニング期間の前に対象同意書に署名する必要がある。対象は治験対象薬を使って対象をグルーピングする前に、あらかじめ過去の病歴(薬歴を含む)を記録して治験に参加できるよう実験遂行医に協力する。
(2)治験の開始
各対象は、GSPとOGSPの二つの追加の肝機能検査を受け、それぞれ一定期間にわたって調査される。これら二つのテストの時間間隔は、少なくとも12時間にする必要がある。またテスト日の前に6時間絶食する必要がある。
【0047】
OGSP検査:対象は体重1kgあたり1.25mlのガラクトース溶液(1mlあたり400mgのガラクトース)、すなわち体重1kgあたり0.5g/kgのガラクトースを飲む。ガラクトース経口溶液を3~5分間で飲んだ後、少なくとも20mlの水が与えられる。経口投与終了後60分後に指から採血し、全血0.5mlを採取してガラクトース試験紙にゆっくりと滴下し、検査を終了する。
【0048】
ガラクトースは、総重量の1%から80%含まれるが、好ましくは4%から40%とし、緩衝剤は添加の有無にかかわらず0.001%から5%、および酸化防止剤は添加の有無にかかわらず0.001%から5%含まれる。酸化防止剤としては、ビタミンCおよび/または亜硫酸水素ナトリウム、ビタミンA、ビタミンE、ポリフェノール類、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、フラボノイド類、および/またはNTA-ニトリロ三酢酸(NTA)のうち少なくとも一つを含む群から選択される。緩衝剤は、クエン酸塩緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、酢酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、アスコルビン酸緩衝剤、およびトリエタノールアミン緩衝剤のうち少なくとも一つを含む群から選択される。
【0049】
GSP:対象には、体重1kgあたり1.25mlのガラクトース注射(1mlあたり400mgのガラクトース)、つまり体重1kgあたり0.5g/kgのガラクトースが注射される。ガラクトース注射は3~5分以内で完了する。注射してから60分後に指から採血し、全血0.5mlを採取してガラクトース試験紙にゆっくりと滴下し、検査を終了する。
【0050】
実施形態4:ガラクトース経口投与によるOGSP結果およびガラクトース静脈内注射によるGSP結果。
図2および3は、127人の対象(正常な肝機能の人56人、肝機能障害の人71人)のガラクトース静脈内注射によるGSP結果とガラクトース経口投与によるOGSP結果の相対分布図である。Digestion 1992;52:222-231による推奨に従って、対象を静脈内投与されたガラクトースのGSP値(GSP)により3つのグループに分けることができた。ここで、GSP<280μg/mlでは、対象は正常な肝機能を示していると定義される。280<GSP<480μg/mlでは、対象は中等度の肝機能障害にあると定義され、GSP>480μg/mlでは、対象は重度の肝機能障害にあると定義される。図2および3の結果によれば、経口ガラクトースによるOGSP値は静脈内ガラクトースによる値よりも高く、経口ガラクトースによるOGSP値は肝機能障害の重症度とともに増加し、OGSPとGSPには正の相関が認められる。正常な肝機能を示す対象おグループでは、ガラクトース経口投与によるOGSPが318±27μg/ml(平均±標準誤差SE)である。ここで最小値は18g/mlで最大値は887μg/mlである。軽度または中等度の肝機能障害のある対象ではガラクトース経口投与によるOGSPが590±40μg/ml(平均±標準誤差SE)で、最小値は294μg/ml、最大値は1282μg/mlであった。重度の肝機能障害のある対象ではガラクトース経口投与によるOGSPが777±48μg/ml(平均±標準誤差SE)で、最小値は293μg/ml、最大値は1499μg/mlであった。図5は、三つの対象グループのガラクトース経口投与によるOGSPとガラクトース静脈内注射によるGSP結果を示す。結果からわかるように、ガラクトース経口投与によるOGSP値は、肝機能障害の重症度とともに増加する。特に、ガラクトース経口によるOGSP値は、静脈内ガラクトースによる値よりも高くなっている。図2図3および表5から、正常な肝機能を持つ対象グループではガラクトース経口投与によるOGSPの主範囲(平均±2倍の標準誤差SE)が約264~372μg/mlであると判断できる。軽度または中等度の肝機能障害のある対象グループではガラクトース経口投与によるOGSPの主範囲(平均±2倍の標準誤差SE)が約510~670μg/mlであり、重度の肝機能障害のある対象グループではガラクトース経口投与によるOGSPの主範囲(平均±2倍の標準誤差SE)が約681~873μg/mlである。対象により結果がばらつく場合でも、正常な肝機能を持つ対象グループではガラクトース経口投与によるOGSPは670μg/mlを超えないが、肝機能障害のある対象のOGSPは370μg/mlを超える場合がある。したがって、OGSPが370μg/mlを超える対象は、追加の肝機能検査を行う必要がある。
【0051】
【表5】
【0052】
実施形態5:血液生化学値とガラクトース経口投与によるOGSP結果、ガラクトース静脈内注射によるGSP結果との関係
127人の対象(糖尿病患者を除く)は、静脈内投与されたガラクトースのGSP値(GSP)により3つのグループに分けられた。ここで、GSP<280μg/mlでは、対象が正常な肝機能を示していると定義され、280<GSP<480μg/mlでは、対象が中等度の肝機能障害にあると定義され、そしてGSP>480μg/mlでは、対象が重度の肝機能障害にあると定義される。図6は、三つの対象グループにおける血液生化学値とガラクトース経口投与によるOGSP結果、ガラクトース静脈内注射によるGSP結果との関係を示す。この結果からは、静脈内ガラクトースによるGSP値と経口ガラクトースのOGSP値共に、数々の血液生化学指標と有意に相関していることが示されており、ここでAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)とALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)は肝機能障害の指標であり、経口ガラクトースによるOGSP値とAST、ALTとの相関関係は、静脈内ガラクトースによるGSP値とAST、ALTとの相関関係よりも大きくなっている。
【0053】
【表6】
【0054】
実施形態6:経口ガラクトースによるOGSP値、静脈内ガラクトースによるGSP値と重度の肝疾患との相関
GSP検査は、肝硬変の42人の患者に対してガラクトース経口投与を行い実施される。
図3は、経口ガラクトースによるOGSP結果と肝硬変との相関関係を示す。通常、Child Pugh index(Child Pughスコア)は、肝硬変の重症度を推定するために使われる臨床指標である。図4は、経口ガラクトースによるOGSP値がChild Pugh スコアと正の相関があることを示す(r=0.817、p<0.005)。従来の静脈内ガラクトースによるGSP結果(図5)と比較すると、経口ガラクトースによるOGSP値は高くなっている。しかし、経口ガラクトースによるOGSP値と静脈内ガラクトースによるGSP値は、どちらも肝硬変と正の相関がある。したがって、経口ガラクトースによるOGSP値と静脈内ガラクトースによるGSP値の両方により、肝硬変を推定することが可能になる。
【0055】
MELD(末期肝疾患のモデル)は末期肝疾患患者の短中期の死亡率を予想するのに効果的なものであるが、この評価指標は簡便かつ客観的で、さらに計算により簡単に得られる。そのため肝疾患の診断や治療に広く使用されている。OGSP検査は、肝硬変の42人の患者に対してガラクトースを経口投与し実施される。図5に経口ガラクトースによるOGSP結果とMELDの相関関係を示す。図6は、経口ガラクトースによるOGSP値がMELDと正の相関関係にあることを示している(r=0.660、p<0.005)。従来の静脈内ガラクトースによるGSP結果(図7)と比較して、経口ガラクトースによるOGSP値は高くなっている。ただし、経口ガラクトースによるOGSP値と静脈内ガラクトースによるGSP値は、どちらもMELDと正の相関がある。したがって、経口ガラクトースによるOGSP値と静脈内ガラクトースによるGSP値の両方によりMELDを推定することが可能になる。
【0056】
実施形態7:NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)に罹患したマウスの経口ガラクトースによるOGSP変化
図8にガラクトース経口投与後の各時点でのOGSP結果(OGSP)を示す。マウスは高脂肪食を与えられると非アルコール性肝炎(NASH)に罹患する。NASHに罹った動物はすべて、経口投与後10~90分以内に正常個体の値よりも高いOGSP値を示すが、ここでOGSP値は経口投与後30~90分以内に大きく変化する。その結果から、経口ガラクトースによるGSP値からNASHが推定でき、ガラクトースの経口投与後30~80分の値が推定する上で理想的な値であることが示される。
【0057】
上記の詳細な説明においては、本発明の実施可能な実施形態を具体的に例示するのを目的としたが、これらの実施形態により本発明の特許範囲はなんら限定されるものではなく、本発明の範囲から逸脱することなく実施されるすべての実施形態またはその改良形態は本発明の特許範囲内に包含される。
【0058】
本発明は、従来技術に比べて以下の利点を有する。
(1)本発明のガラクトース経口組成物は、非侵襲性のガラクトース製剤であり、GSP法に対して対象に経口投与することができる;
(2)ガラクトース経口組成物製剤は、長期保存および高温滅菌後も良好な品質を維持し、良好な安定性および性能を有する;そして
(3)本発明のガラクトース経口組成物によって、静脈内ガラクトース法を超えるガラクトース代謝量を検出することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】