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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】構成要素のシールド
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/28 20060101AFI20220106BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20220106BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20220106BHJP
   F04D 29/32 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
F01D5/28
F02C7/00 D
F01D25/00 X
F04D29/32 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521292
(86)(22)【出願日】2019-09-30
(85)【翻訳文提出日】2021-06-15
(86)【国際出願番号】 EP2019076480
(87)【国際公開番号】W WO2020078707
(87)【国際公開日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】1816894.8
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005438
【氏名又は名称】ロールス‐ロイス、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROLLS-ROYCE PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チューシャー,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】コリス,アンドリュー アール
【テーマコード(参考)】
3G202
3H130
【Fターム(参考)】
3G202EA09
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC17
3H130BA96C
3H130CB01
3H130EA01C
3H130EC12C
3H130EC17C
3H130ED01C
(57)【要約】
ガスタービンエンジン(10)のため構成要素(32)を製造する方法であり、熱可塑性ポリマー樹脂シート(43)を構成要素(32)のための複合材体(37)の上に適用する工程と、シールド(35)を複合材体(37)の一部の上に適用し、シールド(35)は、熱可塑性ポリマー樹脂シート(43)を覆う端部(39)で終了し、構成要素のシールド領域と非シールド領域との間とのインターフェース(41)を画定するステップと、を含む。熱可塑性ポリマー樹脂シート(43)がシールド(35)の端部の周りで変形するように、シールド(35)を熱可塑性ポリマー樹脂シート(43)にプレスし、シールド領域と非シールド領域との間のインターフェース(41)における構成要素の外観プロファイルを平らにする方法を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジン(10)のための構成要素(32)を製造する方法であって、
熱可塑性ポリマー樹脂シート(43)を、前記構成要素(32)のための複合材本体(37)の上に適用する工程と、
前記複合材本体(37)の一部にシールド(35)を適用する工程であって、前記シールド(35)が、前記熱可塑性ポリマー樹脂シート(43)を覆う端部(39)で終了し、前記構成要素のシールド領域と非シールド領域との間のインターフェース(41)を画定する工程と、
前記熱可塑性ポリマー樹脂シート(43)が前記シールド(35)の端部の周りで変形するように、前記シールド(35)を前記熱可塑性ポリマー樹脂シート(43)にプレスし、前記シールド領域と前記非シールド領域との間の前記インターフェース(41)における前記構成要素の外観プロファイルを平らにする工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記熱可塑性ポリマー樹脂シート(43)が前記シールドの前記端部(39)で不連続な厚さを有するように、前記熱可塑性ポリマー樹脂シート(43)を前記シールド(35)の端部の周りで変形させる際に、前記シールド(35)を前記熱可塑性ポリマー樹脂シート(43)にプレスすることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シールド(35)と前記複合材本体(37)との間の前記熱可塑性ポリマー樹脂シート(43)の厚さが、前記非シールド領域の前記熱可塑性ポリマー樹脂シート(43)の厚さに対して、例えば少なくとも10%減少するように、前記熱可塑性ポリマー樹脂シート(43)を前記シールド(35)の端部(39)の周りで変形させる際に、前記シールド(35)を前記熱可塑性ポリマー樹脂シート(43)にプレスすることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記構成要素のプロファイルを定義する型を用いて、前記シールド(35)を前記熱可塑性ポリマー樹脂シート(43)にプレスすることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記熱可塑性ポリマー樹脂シート(43)が熱可塑性ポリウレタン樹脂からなることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記シールド(35)が金属シールド(35)であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記シールド(35)の前記端部(39)が面取りされていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記熱可塑性ポリマー樹脂シート(43)と前記複合材本体(37)との間に接着剤(42)を塗布する工程、および/または
前記シールド(35)と前記複合材本体(37)、および/または前記熱可塑性ポリマー樹脂シート(43)との間に前記接着剤(44)を塗布する工程を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記接着剤(43、44)が、例えば最大約6gsmの重量を有するスクリム材料によって支持されていることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記構成要素(32、301)がファンブレード(32)またはガイドベーン(301)であり、複合材が複合ファンブレード本体または複合ガイドベーン本体であり、前記複合ファンブレード本体または前記複合ガイドベーン本体は、それぞれが前縁(33、303)と後縁(34、304)との間に延在する圧力面および吸引面を備えており、
前記シールド(33、302)を前記前縁(33、303)および/または前記後縁(34、304)の上に適用することを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記構成要素がノーズコーン(401)であり、複合材が複合ノーズコーン本体であり、
前記複合ノーズコーン本体の頂点(403)の上に前記シールド(402)を適用することを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の方法を用いて製造される、ガスタービンエンジン(10)のための構成要素(32、301、401)であって、例えばファンブレード(32)、ガイドベーン(301)、またはノーズコーン(401)を含む、構成要素。
【請求項13】
ガスタービンエンジン(10)のための構成要素(32)であって、
複合材本体(37)と、
前記複合材本体(37)の上に延在する熱可塑性ポリマー樹脂層(36)と、
前記複合材本体(37)の一部を覆って延在する少なくとも1つのシールド(35)、または前記シールド(35)の各々が、前記熱可塑性ポリマー樹脂層(36)を覆う端部(39)で終了し、前記構成要素(32)の各々のシールド領域と非シールド領域との間のインターフェース(41)を画定し、前記シールド領域と前記非シールド領域との間の前記インターフェース(41)の各々における前記構成要素(32)の外観プロファイルが同一の形状である前記シールド(35)とを備え、
前記シールド(35)の各々の前記端部(39)において、前記熱可塑性ポリマー樹脂層(36)が不連続な厚さを有し、前記シールド領域の各々における前記シールド(35)と前記複合材本体(37)との間の前記熱可塑性ポリマー樹脂層(36)の厚さが、前記非シールド領域における前記熱可塑性ポリマー樹脂層(37)の厚さよりも薄く、例えば少なくとも10%減少し、
前記熱可塑性ポリマー樹脂層(36)が、少なくとも1つの前記シールド(35)のうちいずれにも覆われていない前記複合材本体(37)の残りの部分を覆っていることを特徴とする、構成要素。
【請求項14】
前記構成要素(32、301)がファンブレード(32)またはガイドベーン(301)であり、複合材が複合ファンブレード本体または複合ガイドベーン本体であり、
前記ファンブレード(32)または前記ガイドベーン(301)は、それぞれが前縁(33、303)と後縁(34、304)との間に延在する圧力面および吸引面を備え、および/または、前記前縁(33、303)および/または前記後縁(34、304)を覆って延在する前記シールド(35、302)の各々を備えることを特徴とする、請求項13に記載の構成要素(32、301)。
【請求項15】
前記構成要素がノーズコーン(401)であり、複合材が複合ノーズコーン本体であり、
少なくとも1つの前記シールド(402)がノーズコーン本体の頂点(403)の上に延びている、請求項13に記載の構成要素(401)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジンのための構成要素、および当該構成要素の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最新のガスタービンエンジンには、繊維強化ポリマーなどの複合材料で作られた構成要素(部品)が含まれ得る。ガスタービンエンジンに使用されている複合材の例としては、複合ファンブレード、複合ガイドベーン、複合ノーズコーンなどが挙げられる。このような複合材部品は、使用する複合材によっては、航空宇宙で要求される強度、剛性、重量を満たすことができる。しかし、露出した複合材部品は、異物の衝突による損傷や表面の侵食に対して脆弱である虞がある。
【0003】
従来、複合材の表面侵食を抑制するために、複合材には耐摩耗性の熱硬化性のポリマーコーティングが施され、衝撃を受けやすい複合材部品の部分は、(金属やゴムなどの)シールドを用いて保護していた。しかし、シールドと複合材の残部、または耐摩耗性コーティングとの間に、空力性能を低下させないような同一のインターフェースを実現することは困難であり、現在のシールドされた複合材部品の製造方法は、複雑で時間がかかる場合がある。
【発明の概要】
【0004】
第1の側面によると、本発明は、ガスタービンエンジンのための構成要素を製造する方法であって、熱可塑性ポリマー樹脂シートを前記構成要素のための複合材本体の上に適用する工程と、前記複合材本体の一部にシールドを適用する工程であって、前記シールドが、前記熱可塑性ポリマー樹脂シートを覆う端部で終了し、前記構成要素のシールド領域と非シールド領域との間のインターフェースを画定する工程と、前記熱可塑性ポリマー樹脂シートが前記シールの端部の周りで変形するように、前記シールドを前記熱可塑性ポリマー樹脂シーにプレスし、前記シールド領域と前記非シールド領域との間の前記インターフェースにおける前記構成要素の外観プロファイルを平らにする工程と、を含む。
【0005】
このような方法によれば、シールドは、当該構成要素のシールド領域に改良された耐衝撃性を提供し、熱可塑性ポリマー樹脂シートは、非シールド領域の耐浸食性を向上させることができる。構成要素の外観プロファイルのシールド領域と非シールド領域との間の同一(すなわち、連続した)平面上のインターフェースを維持することは、ガスタービンエンジンの使用に際して、外観プロファイルを横切るスムーズな流体(例えば、空気)の流れを可能にするために重要である。
【0006】
熱可塑性ポリマー樹脂とは、高温、特にポリマーのガラス転移温度(T)以上、ポリマーの溶融温度(T)未満の温度で柔軟性や成形性が得られるポリマーであることが理解されるだろう。熱可塑性ポリマー樹脂は、加熱すると化学的に架橋し、不溶解性のポリマーネットワークを形成することによって再成型できない熱可塑性ポリマー樹脂とは対照的であるが、特に、T以上の熱可塑性ポリマー樹脂は、加えられた応力に応じてかなりの量の塑性流動を起こすことが可能である。
【0007】
したがって、本発明の方法は、シールド領域と非シールド領域との間のインターフェースにおける構成要素の外観プロファイルが同一平面になるように、熱可塑性ポリマー樹脂シートがシールドの端部の周りを流れる(例えば、塑性流動する)ように、シールドを熱可塑性ポリマー樹脂シートにプレスすることを含んでいてもよい。
【0008】
本発明の方法は、熱可塑性ポリマー樹脂シートをシールドの端部で変形させて、シールド領域と非シールド領域との間に同一のインターフェースを形成することで、ポリマーコーティングの面取りやインターフェースの手作業によるドレッシングなど、時間のかかる構成要素の加工工程が不要となる。これに対して、例えばシールドと熱硬化性ポリマー耐摩耗層との間にフラッシュインターフェースを形成する場合には、そのような工程が一般的に必要となる。
【0009】
また、本発明の方法は、熱可塑性ポリマー樹脂シートがシールドの端部で不連続な(例えば可変の)厚さを有するように、熱可塑性ポリマー樹脂シートをシールドの端部の周りで変形させる際に、シールドを熱可塑性ポリマー樹脂シートにプレスすることを含んでいてもよい。
【0010】
また、本発明の方法は、シールド領域におけるシールドと複合材本体との間の熱可塑性ポリマー樹脂シートの厚さが、非シールド領域における熱可塑性ポリマー樹脂シートの厚さに対して、および/または複合材本体に適用する前の熱可塑性ポリマー樹脂シートの厚さに対して減少するように、熱可塑性ポリマー樹脂シートをシールドの端部の周りで変形させる際に、シールドを熱可塑性ポリマー樹脂シートにプレスすることを含んでいてもよい。
【0011】
このような方法によれば、シールド領域におけるシールドと複合材本体との間の熱可塑性ポリマー樹脂シートの厚さが、非シールド領域における熱可塑性ポリマー樹脂シートの厚さに対して、および/または複合材本体に適用する前の熱可塑性ポリマー樹脂シートの厚さに対して、少なくとも10%、例えば、少なくとも20%または少なくとも30%または少なくとも40%減少するように、熱可塑性ポリマー樹脂シートをシールドの端部の周りで変形させる際に、シールドを熱可塑性ポリマー樹脂シートにプレスすることを含んでいてもよい。また、当該方法は、シールド領域におけるシールドと複合材本体との間の熱可塑性ポリマー樹脂シートの厚さが、非シールド領域の熱可塑性ポリマー樹脂シートの厚さおよび/または複合材本体に適用する前の熱可塑性ポリマー樹脂シートの厚さの90%以下、例えば80%以下または70%以下または60%以下になるように、熱可塑性ポリマー樹脂シートをシールドの端部の周りで変形させる際に、シールドを熱可塑性ポリマー樹脂シートにプレスすることを含んでいてもよい。また、本方法は、シールド領域におけるシールドと複合材本体との間の熱可塑性ポリマー樹脂シートの厚さと、非シールド領域における熱可塑性ポリマー樹脂シートの厚さおよび/または複合材本体に適用する前の熱可塑性ポリマー樹脂シートの厚さとの比が、約1対2~約9対10の間になるように、熱可塑性ポリマー樹脂シートをシールドの端部の周りで変形させる際に、シールドを熱可塑性ポリマー樹脂シートにプレスすることを含んでいてもよい。
【0012】
また、本方法は、型(成形型)を用いて、シールドを熱可塑性ポリマー樹脂シートにプレスすることを含んでいてもよい。例えば、当該方法は、型を介してシールドに圧力を加えることを含んでいてもよい。このとき、型は、構成要素のプロファイル(例えば、外観プロファイル)を定義する型であってもよい。また、型は、増圧型であってもよい。また、型は、増圧型であって、例えば、シリコーンゴム製の増圧型であってもよい。なお、増圧型は、柔軟性を有していてもよい。増圧型は、それ自体が、構成要素のための複合材本体を成形する際に使用される型の成形品であってもよい。また、型は、例えば金属製のカウルプレートであってもよい。
【0013】
また、本方法は、熱可塑性ポリマー樹脂シートを加熱すること(例えば、熱可塑性ポリマー樹脂シートとシールドおよび/または複合材本体を加熱すること)を含んでいてもよい。当該方法は、シールドを熱可塑性ポリマー樹脂シートにプレスする前または最中に、熱可塑性ポリマー樹脂シート(例えば、熱可塑性ポリマー樹脂シートとシールドおよび/または複合材本体)を加熱することを含んでいてもよい。また、当該方法は、熱可塑性ポリマー樹脂シート(例えば、熱可塑性ポリマー樹脂シートとシールドおよび/または複合材本体)を、熱可塑性ポリマー樹脂のガラス転移温度(T)よりも高い温度に加熱することを含んでいてもよい。また、当該方法は、熱可塑性ポリマー樹脂シート(例えば、熱可塑性ポリマー樹脂シートとシールドおよび/または複合材本体)を、熱可塑性ポリマー樹脂のガラス転移温度(T)よりも高く、熱可塑性ポリマー樹脂の溶融温度(T)未満の温度に加熱することを含んでいてもよい。また、当該方法は、熱可塑性ポリマー樹脂シート(例えば、熱可塑性ポリマー樹脂シートとシールドおよび/または複合材本体)を、約60℃よりも高い温度、例えば、約70℃よりも高い温度、約80℃よりも高い温度、約90℃よりも高い温度、約100℃よりも高い温度、約110℃よりも高い温度、約120℃よりも高い温度、約130℃よりも高い温度、約140℃よりも高い温度、約150℃よりも高い温度、約160℃よりも高い温度、または約170℃よりも高い温度に加熱することを含んでいてもよい。また、当該方法は、熱可塑性ポリマー樹脂シート(例えば、熱可塑性ポリマー樹脂シートとシールドおよび/または複合材本体)を、約250℃より低い温度、例えば、約240℃より低い温度、約230℃より低い温度、約220℃より低い温度、約210℃より低い温度、または約200℃より低い温度に加熱することを含んでいてもよい。また、当該方法は、熱可塑性ポリマー樹脂シート(例えば、熱可塑性ポリマー樹脂シートとシールドおよび/または複合材本体)を、約60℃~約250℃の温度、例えば、約80℃~約230℃の温度、または約90℃~約220℃の温度、または約100℃~約210℃の温度、または約120℃~約200℃の温度、または約90℃~約180℃の温度に加熱することを含んでいてもよい。
【0014】
また、本方法は、少なくとも約1バール(ゲージ)、例えば、少なくとも約2バール(ゲージ)、または少なくとも約3バール(ゲージ)の圧力を、シールド、熱可塑性ポリマー樹脂シート、および複合材本体に加えることを含んでいてもよい。また、当該方法は、約4バール(ゲージ)以下、例えば約3バール(ゲージ)以下、または約2バール(ゲージ)以下の圧力を、シールド、熱可塑性ポリマー樹脂シート、および複合材本体に加えることを含んでいてもよい。また、当該方法は、約1バール~約4バールの圧力をシールド、熱可塑性ポリマー樹脂シート、および複合材本体に加えることを含んでいてもよい。
【0015】
また、本方法は、シールド、熱可塑性ポリマー樹脂シート、および複合材本体に、少なくとも約1時間、または少なくとも約2時間、または少なくとも約3時間、熱および/または圧力を加えることを含んでいてもよい。当該方法は、シールド、熱可塑性ポリマー樹脂シート、および複合材本体に、約10時間以下、または約8時間以下、または約6時間以下、熱および/または圧力を加えることを含んでいてもよい。また、当該方法は、シールド、熱可塑性ポリマー樹脂シート、および複合材本体に、約2時間~約6時間の間、熱および/または圧力を加えることを含んでいてもよい。
【0016】
また、本方法は、オートクレーブ内でシールド、熱可塑性ポリマー樹脂シートおよび複合材本体に圧力を加えることを含んでいてもよい。当該方法は、オートクレーブ内でシールド、熱可塑性ポリマー樹脂シートおよび複合材本体に熱および圧力の両方を適用することを含んでいてもよいまた、当該方法は、シールド、熱可塑性ポリマー樹脂シートおよび複合材本体をオーブンで加熱することを含んでいてもよい。
【0017】
また、熱可塑性ポリマー樹脂シートは、1つまたは複数の熱可塑性ポリマー樹脂、例えば1つまたは複数の熱可塑性エラストマーポリマー樹脂から構成されていてもよい(例えば、形成されていてもよい)。熱可塑性ポリマー樹脂シートは、1つまたは複数の共重合体、例えば1つまたは複数のブロック共重合体から構成されていてもよい(例えば、形成されていてもよい)。
【0018】
熱可塑性ポリマー樹脂シートは、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)、例えば熱可塑性エラストマー樹脂から構成されている(例えば、TPUから形成されている)場合がある。熱可塑性ポリウレタン樹脂(例えば、熱可塑性エラストマーポリウレタン樹脂)は、ジイソシアネートと短鎖ジオールおよび長鎖ジオールの両方の反応により形成されたハードポリマーセグメントとソフトポリマーセグメントの交互配列からなるブロック共重合体であることが理解されるであろう。熱可塑性ポリマー樹脂シートは、ポリエステル系熱可塑性ポリウレタン樹脂、例えば、ポリエステル系熱可塑性エラストマー樹脂から構成する(例えば、ポリエステルから形成する)ことができる。
【0019】
熱可塑性ポリマー樹脂シートは、約0.1mm~約1.0mm、例えば、約0.2mm~約0.8mm、または約0.3mm~約0.6mmの厚さ(すなわち、複合材本体に適用する前の厚さおよび/または非シールド領域の厚さ)を有していてもよい。また、熱可塑性ポリマー樹脂シートは、複合材本体に適用する前に、実質的に均一な厚さを有していてもよい。
【0020】
シールドは、金属からなる(例えば、金属から形成される)ものであってもよく、金属シールドであってもよい。金属シールドは、任意の適切な金属または金属合金から構成されていてもよく(例えば、形成されていてもよく)、金属シールドは、チタンまたは1つ以上のチタン合金から構成されていてもよい(例えば、形成されていてもよい)。また、シールドは、板金から構成されていてもよい(例えば、形成されていてもよい)。また、シールド(例えば板金)は、熱可塑性ポリマー樹脂シートに重なる端部に向かって、約0.1mm~約1.0mm、例えば、約0.2mm~約0.9mm、約0.3mm~約0.8mm、約0.3mm~約0.7mm、約0.3mm~約0.6mm、または約0.3mm~約0.5mmの厚さを有していてもよい。
【0021】
また、シールドは、ポリマー樹脂材料から構成されていてもよい(例えば、形成されていてもよい)。また、シールドは、エラストマー樹脂材料、例えば、1つ以上のエラストマーポリマーから構成されていてもよい(例えば、形成されていてもよい)。エラストマー材料は、1つまたは複数の熱硬化性エラストマーポリマー樹脂または1つまたは複数の熱可塑性エラストマーポリマー樹脂から構成されていてもよい(例えば、形成されていてもよい)。また、シールドは、天然ゴムまたは合成ゴム、例えば、加硫ゴムから構成されていてもよい(例えば、形成されていてもよい)。
【0022】
複合材本体は、例えば、繊維強化ポリマー材料などの繊維強化複合材料から構成されていてもよい。繊維強化複合材料は、例えば、ガラス、カーボン、アラミド(例えば、ケブラー(商標登録)やトワロン(商標登録)などのパラ系アラミド)からなる強化繊維で構成されていてもよい。強化繊維は、熱硬化性高分子マトリックス、例えば、エポキシ樹脂マトリックスに懸架されていてもよい。複合材本体は、ガラス繊維強化プラスチック(GFRPまたはファイバーグラス)または炭素繊維強化プラスチック(CFRP)で構成されていてもよい(例えば、形成されていてもよい)。
【0023】
シールドの端部は、面取りされていてもよい。あるいは、シールドの端部が面取りされていなくてもよい。面取りされていない端部を有するシールドを製造する方が容易である場合がある。
【0024】
また、本方法は、熱可塑性ポリマー樹脂シートを複合材本体の一部の上に適用することを含んでいてもよい。また、本方法は、複合材本体の一部が熱可塑性ポリマー樹脂シートによって覆われないように、複合材本体の上に熱熱可塑性ポリマー樹脂シートを適用することを含んでいてもよい。また、本方法は、熱可塑性ポリマー樹脂シートを複合材本体の外向きの表面の大部分に適用することを含んでいてもよい。また、本方法は、熱可塑性ポリマー樹脂シートを複合材本体の外向きの表面の全体にわたって適用することを含んでいてもよい。
【0025】

また、本方法は、熱可塑性ポリマー樹脂シートで覆われていない複合材本体の一部と、熱可塑性ポリマー樹脂シートで覆われている複合材本体の一部の上に、シールドを適用することを含んでいてもよい。
【0026】
また、本方法は、熱可塑性ポリマー樹脂シートと複合材本体との間に接着剤を塗布することを含んでいてもよい。さらに、または代わりに、本方法は、シールドと複合材本体および/または熱可塑性ポリマー樹脂シートとの間に接着剤を塗布することを含んでいてもよい。例えば、当該方法は、熱可塑性ポリマー樹脂シートと、熱可塑性ポリマー樹脂シートを覆うシールドの端部との間に接着剤を塗布することを含んでいてもよい。また、熱可塑性ポリマー樹脂シートで覆われていない複合材本体の一部と、熱可塑性ポリマー樹脂シートを覆っていないシールドの一部との間に接着剤を塗布することを含んでいてもよい。また、シールド領域において、シールドと複合材本体および/または熱可塑性ポリマー樹脂シートとの間に接着剤を塗布することを含んでいてもよい。また、シールドを熱可塑性ポリマー樹脂シートにプレスする前に、シールドと複合材本体および/または熱可塑性ポリマー樹脂シートとの間に接着剤を塗布することを含んでいてもよい。
【0027】
接着剤は、複合材本体、熱可塑性ポリマー樹脂シートおよび/またはシールドに塗布してもよい。例えば、本方法は、複合材本体の一部に第1接着剤層を塗布する工程と、第1接着剤層の上に熱可塑性ポリマー樹脂シートを塗布する工程と、熱可塑性ポリマー樹脂シートで覆われていない複合材本体の一部および熱可塑性ポリマー樹脂シートの一部に第2接着剤層を塗布する工程と、第2接着剤層の上にシールドを塗布する工程とを含み、シールドは、熱可塑性ポリマー樹脂シートを覆う端部で終了し、構成要素のシールド領域と非シールド領域との間のインターフェースを画定することができる。あるいは、本方法は、第1接着剤層を熱可塑性ポリマー樹脂シートに塗布する工程と、第1接着剤層が複合材本体に接触するように熱可塑性ポリマー樹脂シートを複合材本体の一部に塗布する工程と、第2接着剤層を熱可塑性ポリマー樹脂シートで覆われていない複合材本体の一部および熱可塑性ポリマー樹脂シートの一部に塗布する工程と、第2接着剤層の上にシールドを塗布する工程であって、シールドは、熱可塑性ポリマー樹脂シートを覆う端部で終了し、構成要素のシールド領域と非シールド領域との間のインターフェースを画定する工程と、を含んでいてもよい。さらなる代替案として、本方法は、第1接着剤層を複合材本体の一部に塗布する工程と、第1接着剤層の上に熱可塑性ポリマー樹脂シートを塗布する工程と、第2接着剤層をシールドに塗布する工程と、熱可塑性ポリマー樹脂シートで覆われていない複合材本体の一部および熱可塑性ポリマー樹脂シートの一部にシールドを塗布する工程であって、シールドは、熱可塑性ポリマー樹脂シートを覆う端部で終了し、構成要素のシールド領域と非シールド領域との間のインターフェースを画定する工程を含んでいてもよい。また、さらに別の方法では、第1接着剤層を熱可塑性ポリマー樹脂シートに塗布する工程と、第1接着剤層が複合材本体に接触するように熱可塑性ポリマー樹脂シートを複合材本体の一部に塗布する工程と、第2接着剤層をシールドに塗布する工程と、シールドを、熱可塑性ポリマー樹脂シートで覆われていない複合材本体の一部および熱可塑性ポリマー樹脂シートの一部に塗布する工程であって、シールドは、熱可塑性ポリマー樹脂シートを覆う端部で終了し、構成要素のシールド領域と非シールド領域との間のインターフェースを画定する工程を含んでいてもよい。
【0028】
接着剤(例えば、第1および/または第2接着剤層)は、ポリマー樹脂接着剤であってもよい。接着剤(例えば、第1および/または第2接着剤層)は、熱硬化性樹脂から構成されていてもよい(例えば、熱硬化性樹脂そのものであってもよい)。接着剤(例えば、第1および/または第2接着剤層)は、エポキシ樹脂から構成されていてもよい(例えば、エポキシ樹脂そのものであってもよい)。
【0029】
接着剤(例えば、第1および/または第2接着剤層)は、フィルムとして提供されてもよい。フィルムは、約0.015ポンド/ft(すなわち約74g/m)~約0.085ポンド/ft(すなわち約417g/m)、例えば約0.060ポンド/ft(すなわち約294g/m)の重量を有していてもよい。フィルムは、約2.5ミル(すなわち、約0.06mm)~約13ミル(すなわち、約0.33mm)、例えば約10ミル(すなわち、約0.25mm)の公称厚さを有してもよい。
【0030】
接着剤(例えば、第1および/または第2接着剤層)は、支持されていなくてもよい(例えば、非支持の接着フィルム)。あるいは、接着剤(例えば、第1および/または第2接着剤層)は、支持されていてもよい(例えば、支持された接着剤フィルム)。接着剤(例えば、第1および/または第2接着剤層)は、例えば、最大約6gsmの重量を有するスクリム材料によって支持されてもよい。スクリム材は、ガラスまたは炭素の微細な繊維から形成されていてもよい。
【0031】
構成要素は、ファンブレードであってもよい。また、複合材本体は、複合ファンブレード本体であってもよい。複合ファンブレードおよび/または複合ファンブレード本体は、それぞれが前縁と後縁との間に延びる圧力面と吸引面とを含んでいてもよい。また、本方法は、前縁および/または後縁の上にシールドを適用することを含んでいてもよい。
【0032】
構成要素は、ガイドベーンであってもよい。また、複合材本体は、複合ガイドベーン本体であってもよい。複合ガイドベーンおよび/または複合ガイドベーン本体は、それぞれが前縁と後縁との間に延びる圧力面と吸引面とを含んでいてもよい。本方法は、前縁および/または後縁の上にシールドを適用することを含んでいてもよい。
【0033】
この方法は、構成要素のための複合材本体の上に複数の熱可塑性ポリマー樹脂シートを適用する工程と、複合材本体の一部の上にシールドを適用する工程であって、シールドが少なくとも1つの熱可塑性ポリマー樹脂シートの上に位置し、構成要素のシールド領域と非シールド領域との間のインターフェースを画定する端部で終了する工程と、シールドを複数の熱可塑性ポリマー樹脂シートにプレスする工程を含み、シールド領域と非シールド領域との間のインターフェースにおける構成要素の外観プロファイルが平らになるように、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー樹脂シートをシールドの端部の周りで変形させる際に、シールドを少なくとも1つの熱可塑性ポリマー樹脂シートにプレスする工程を含んでいてもよい。当該方法は、構成要素のための複合材本体の上に、2複数の熱可塑性ポリマー樹脂シートを重ねて適用することを含んでいてもよい。例えば、複合材部品がファンブレードまたはガイドベーンである場合、本方法は、複合ファンブレード本体または複合ガイドベーン本体の圧力面の上に、複数の熱可塑性ポリマー樹脂シートを互いに重ねて適用することを含んでいてもよい。複合ファンブレードまたは複合ガイドベーンの圧力面は、対応する吸引面と比較して、使用中に大きなレベルの侵食を受ける可能性がある。
【0034】
構成要素は、ノーズコーンであってもよい。また、複合材本体は、複合ノーズコーン本体であってもよい。本方法は、複合ノーズコーン本体の頂点の上にシールドを適用することを含んでいてもよい。シールドは、ノーズコーンスピナーであってもよい。また、シールドは、ゴムから構成される(例えば、ゴムから形成される)ものであってもよい。
【0035】
第2の側面によると、本発明は、第1の側面の方法に従って製造されたガスタービンエンジンのための構成要素が提供される。当該構成要素は、例えば、ファンブレード、ガイドベーン、またはノーズコーンであってもよい。
【0036】
また、構成要素は、複合材部品であってもよい。複合材部品は、例えば、複合ファンブレード、複合ガイドベーン、または、複合ノーズコーンであってもよい。
【0037】
第3の側面によると、本発明は、ガスタービンエンジンのための構成要素が提供される。当該構成要素は、複合材本体と、複合材本体の上に延在する熱可塑性ポリマー樹脂層と、複合材本体の一部を覆って延在する少なくとも1つのシールドを備え、一つのシールドまたは各シールドが熱可塑性ポリマー樹脂層を覆う終了し、構成要素のそれぞれのシールド領域と非シールド領域との間のインターフェースを画定し、前記シールド領域と非シールド領域との間の一つのインターフェースまたは各インターフェースにおける構成要素の外観プロファイルは、同一平面上にあることを特徴とし、各シールドの端部において、熱可塑性ポリマー樹脂層が不連続な厚さを有し、各シールド領域におけるシールドと複合材本体との間の熱可塑性ポリマー樹脂層の厚さが、非シールド領域における熱可塑性ポリマー層の厚さよりも薄く、熱可塑性ポリマー樹脂層が、少なくとも1つのシールドのいずれにも覆われていない複合材本体の残部を覆っていることを特徴とする。したがって、複合材本体は、熱可塑性ポリマー樹脂層およびシールドの少なくとも1つによって全体的に覆われている。
【0038】
少なくとも1つのシールドのいずれにも覆われていない複合材本体の残部を覆う熱可塑性ポリマー樹脂層は、複合材本体の残部に侵食耐性の増加を提供することができる。
【0039】
構成要素または構成要素の一つのシールド領域または各シールド領域は、複合材本体がシールドによって覆われている構成要素の領域であり、構成要素の非シールド領域は、複合材本体(すなわち、複合材本体の残部)がいかなるシールドによっても覆われていない構成要素の領域であることが理解されるであろう。
【0040】
それぞれのシールド領域において、一つのシールド領域または各シールド領域と複合材本体との間の熱可塑性ポリマー樹脂層の厚さは、非シールド領域における熱可塑性ポリマー樹脂層の厚さよりも、少なくとも10%低く、例えば、少なくとも20%低く、または少なくとも30%低く、または少なくとも40%低くてもよい。また、それぞれのシールド領域における一つのシールド領域または各シールド領域と複合材本体との間の熱可塑性ポリマー樹脂層の厚さは、非シールド領域における熱可塑性ポリマー樹脂層の厚さの90%以下、例えば80%以下、70%以下、または60%以下であってもよい。また、それぞれのシールド領域における、一つのシールド領域または各シールド領域と複合材本体との間の熱可塑性ポリマー樹脂層の厚さと、非シールド領域における熱可塑性ポリマー樹脂層の厚さとの比は、約1対2~約9対10の間であってもよい。
【0041】
熱可塑性ポリマー樹脂層は、1つまたは複数の熱可塑性ポリマー樹脂、例えば1つまたは複数の熱可塑性エラストマーポリマー樹脂から構成されていてもよい(例えば、形成されていてもよい)。また、熱可塑性ポリマー樹脂層は、1つまたは複数の共重合体、例えば1つまたは複数のブロック共重合体から構成されていてもよい(例えば、形成されていてもよい)。
【0042】
熱可塑性ポリマー樹脂層は、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)、例えば熱可塑性エラストマー樹脂から構成されている(例えば、TPUから形成されている)場合がある。熱可塑性ポリウレタン樹脂(例えば、熱可塑性エラストマーポリウレタン樹脂)は、ジイソシアネートと短鎖ジオールおよび長鎖ジオールの両方の反応で形成されたハードポリマーセグメントとソフトポリマーセグメントとの交互配列からなるブロック共重合体であることが理解されるであろう。熱可塑性ポリマー樹脂層は、ポリエステル系熱可塑性ポリウレタン樹脂、例えば、ポリエステル系熱可塑性エラストマー樹脂から構成する(例えば、ポリエステルから形成する)ことができる。
【0043】
熱可塑性ポリマー樹脂層は、非シールド領域において、約0.1mm~約1.0mm、例えば、約0.2mm~約0.8mm、または約0.3mmか~0.6mmの厚さを有していてもよい。
【0044】
また、一つのシールドまたは各シールドは、金属から構成されていてもよく、金属シールドであってもよい。また、一つの金属シールドまたは各金属シールドは、任意の適切な金属または金属合金から構成されていてもよい(例えば、形成されていてもよい)。また、一つの金属シールドまたは各金属シールドは、チタンまたは1つ以上のチタン合金から構成されていてもよい(例えば、形成されていてもよい)。また、一つのシールドまたは各シールドは、板金で構成されていてもよい。一つのシールドまたは各シールド(例えば、板金)は、熱可塑性ポリマー樹脂シートに重なる端部に向かって、約0.1mm~約1.0mm、例えば、約0.2mm~約0.9mm、約0.3mm~約0.8mm、約0.3mm~約0.7mm、約0.3mm~約0.6mm、または約0.3mm~約0.5mmの厚さを有していてもよい。
【0045】
また、一つのシールドまたは各シールドは、ポリマー樹脂材料から構成されていてもよい(例えば、形成されていてもよい)。また、一つのシールドまたは各シールドは、エラストマー樹脂材料、例えば、1つまたは複数のエラストマーポリマーから構成されていてもよい(例えば、形成されていてもよい)。エラストマー材料は、1つまたは複数の熱硬化性エラストマーポリマー樹脂または1つまたは複数の熱可塑性エラストマーポリマー樹脂から構成されていてもよい(例えば、形成されていてもよい)。また、一つのシールドまたは各シールドは、天然ゴムまたは合成ゴム、例えば、加硫ゴムから構成されていてもよい(例えば、形成されていてもよい)。
【0046】
複合材本体は、例えば、繊維強化ポリマー材料などの繊維強化複合材料から構成されていてもよい。繊維強化複合材料は、例えば、ガラス、カーボン、アラミド(例えば、ケブラー(商標登録)やトワロン(商標登録)などのパラ系アラミド)からなる強化繊維で構成されていてもよい。強化繊維は、熱硬化性高分子マトリックス、例えば、エポキシ樹脂マトリックスに懸架されていてもよい。複合材本体は、ガラス繊維強化プラスチック(GFRPまたはファイバーグラス)または炭素繊維強化プラスチック(CFRP)で構成されていてもよい(例えば、形成されていてもよい)。
【0047】
一つのシールドまたは各シールドの端部は、面取りされていてもよい。あるいは、一つのシールドまたは各シールドの端部が面取りされていなくてもよい。面取りされていない端部を有するシールドを製造する方が容易である場合がある。
【0048】
熱可塑性ポリマー樹脂層と複合材本体との間に接着剤が設けられていてもよい。さらに、または代わりに、一つのシールドまたは各シールドと複合材本体よび/または熱可塑性ポリマーシートとの間に接着剤を設けてもよい。
【0049】
接着剤は、ポリマー接着剤であってもよい。また、接着剤は、(すなわち、硬化した)熱硬化性樹脂からから構成されていてもよい(例えば、熱硬化性樹脂そのものであってもよい)。接着剤は、(すなわち、硬化した)エポキシ樹脂から構成されていてもよい(例えば、エポキシ樹脂そのものであってもよい)。また、接着剤は、支持されていなくてもよく、支持されていてもよい。また、接着剤は、例えば、最大約6gsmの重量を有するスクリム材料によって支持されてもよい。スクリム材は、ガラスや炭素の微細な繊維で形成されていてもよい。
【0050】
構成要素がファンブレードまたはガイドベーンであり、複合材本体が複合ファンブレード本体または複合ガイドベーン本体であり、ファンブレードまたはガイドベーンおよび/またはファンブレード本体またはガイドベーン本体が、それぞれが前縁と後縁との間に延びる圧力面と吸引面、および前縁および/または後縁を覆って延びる一つのシールドまたは各シールドから構成されていてもよい。
【0051】
構成要素がノーズコーンであり、複合材本体が複合ノーズコーン本体であり、少なくとも1つのシールドがノーズコーン本体の頂点の上に延びていてもよい。シールドは、ノーズコーンスピナーであってもよい。また、シールドは、ゴムから構成される(例えば、ゴムから形成される)ものであってもよい。
【0052】
本明細書の他の箇所で述べたように、本開示は、ガスタービンエンジンに関するものであってもよい。このとき、ガスタービンエンジンは、タービンと、燃焼器と、コンプレッサーと、タービンとコンプレッサーとを連結するコアシャフトとを備えるエンジンコアを含んでいてもよい。当該ガスタービンエンジンは、エンジンコアの上流に位置する(ファンブレードを有する)ファンを含んでいてもよい。
【0053】
本開示の構成は、排他的ではないが、特に、ギアボックスを介して駆動されるファンに対して有益である。したがって、ガスタービンエンジンは、コアシャフトからの入力を受け、ファンがコアシャフトよりも低い回転速度で駆動するように、ファンに駆動を出力するギアボックスを含んでいてもよい。このとき、ギアボックスへの入力は、コアシャフトから直接行ってもよいし、例えば、平歯車やギアを介してコアシャフトから間接的に行ってもよい。また、コアシャフトは、タービンとコンプレッサーが同じ速度で回転するように(ファンがより低い速度で回転するように)、タービンとコンプレッサーを強固に接続してもよい。
【0054】
本明細書に記載された、および/または請求されたガスタービンエンジンは、任意の適切な一般的なアーキテクチャを有していてもよい。例えば、ガスタービンエンジンは、複数のタービンおよびコンプレッサーを接続する任意の所望の数のシャフト、例えば1つ、2つまたは3つのシャフトを有してもよい。純粋に例を挙げると、コアシャフトに接続されたタービンは、第1タービンであってもよく、コアシャフトに接続されたコンプレッサーは、第1コンプレッサーであってもよく、コアシャフトは、第1コアシャフトであってもよい。エンジンコアは、第2タービンと、第2コンプレッサーと、第2タービンと第2コンプレッサーとを接続する第2コアシャフトと、をさらに備えてもよい。また、第2タービン、第2コンプレッサー、および第2コアシャフトは、第1コアシャフトよりも速い回転速度で回転するように配置されていてもよい。
【0055】
このような配置において、第2コンプレッサーは、第2コンプレッサーの軸方向下流に配置されてもよい。第2コンプレッサーは、第2コンプレッサーからの流れを受け取る(例えば、直接受け取る、例えば、概ね環状のダクトを介して受け取る)ように配置されていてもよい。
【0056】
ギアボックスは、最も遅い回転速度で回転するように構成されたコアシャフト(例えば、上記の例では第1コアシャフト)によって駆動されるように配置されていてもよい。例えば、ギアボックスは、最も遅い回転速度で回転するように構成されたコアシャフトによってのみ駆動されるように配置されてもよい(例えば、上記の例では、第1コアシャフトのみであり、第2コアシャフトではない)。あるいは、ギアボックスは、任意の1つ以上のシャフト(例えば、上記の例では、第1および/または第2シャフト)によって駆動されるように配置されていてもよい。
【0057】
本明細書に記載された、および/または請求された任意のガスタービンエンジンにおいて、燃焼器は、ファンおよびコンプレッサー(複数可)の軸方向下流に設けられてもよい。例えば、第2コンプレッサーが設けられている場合、燃焼器は、第2コンプレッサーの直接下流(例えば、その出口)に設けられてもよい。さらに例を挙げると、燃焼器への出口の流れは、第2タービンが設けられている場合、第2タービンの入口に提供されていてもよい。また、燃焼器は、タービン(複数可)の上流に設けられていてもよい。
【0058】
一つのコンプレッサーまたは各コンプレッサー(例えば、上述の第1コンプレッサーおよび第2コンプレッサー)は、任意の数のステージ、例えば複数のステージから構成されていてもよい。各ステージは、動翼の列と静翼の列とで構成されていてもよく、これらは可変静翼であってもよい(この場合、入射角が可変であることを指す)。動翼の列と静翼の列は、互いに軸方向にオフセットされていてもよい。
【0059】
本明細書に記載された、および/または請求されたファンブレードおよび/または翼部分は、任意の適切な材料または材料の組み合わせから製造することができる。例えば、ファンブレードおよび/または翼の少なくとも一部は、複合材料、例えば、金属マトリックス複合材料および/または炭素繊維などの有機マトリックス複合材料から少なくとも部分的に製造されてもよい。さらに例を挙げると、ファンブレードおよび/または翼の少なくとも一部は、チタンベースの金属、アルミニウムベースの材料(アルミニウム-リチウム合金など)、または金属ベースの材料などの金属から少なくとも部分的に製造されていてもよい。また、ファンブレードは、異なる材料で製造された少なくとも2つの領域から構成されていてもよい。例えば、ファンブレードは、保護用の前縁部を有しており、この前縁部は、ブレードの他の部分よりも(例えば、鳥や氷などの)衝撃に対する耐性が高い材料を使用して製造されている場合がある。このような前縁は、例えば、チタンまたはチタンベースの合金を使用して製造することができる。したがって、純粋な例として、ファンブレードは、炭素繊維またはアルミニウムベースの本体(アルミニウムリチウム合金など)に、チタン製の前縁を備えていてもよい。
【0060】
本明細書に記載された、および/または請求されたファンは、中央部分を含み得、そこからファンブレードが例えば半径方向に延びていてもよい。ファンブレードは、任意の所望の方法で中央部分に取り付けられてもよい。例えば、各ファンブレードは、ハブ(またはディスク)の対応するスロットに係合する固定具を含んでいてもよい。純粋な例として、このような固定具は、ファンブレードをハブ/ディスクに固定するために、ハブ/ディスクの対応するスロットに挿入および/または係合する蟻継ぎをしていてもよい。
【0061】
本明細書に記載された、および/または請求されたガスタービンのファンは、任意の所望の数のファンブレード、例えば16、18、20、または22のファンブレードを有することができる。
【0062】
当業者であれば、相互に排他的な場合を除き、上記のいずれかの側面に関連して記載された特徴は、他のいずれかの側面に準用され得ることを理解するであろう。さらに、相互に排他的な場合を除いて、本明細書に記載された任意の特徴は、任意の側面に適用されてもよいし、本明細書に記載された任意の他の特徴と組み合わせてもよい。
【0063】
以下、図を参照しながら、実施形態を例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】ガスタービンエンジンの側面を示す断面図である。
図2】シールドされた複合ファンブレードの側面図である。
図3図2に示すシールドされた複合ファンブレードのシールド領域と非シールド領域との間のインターフェースにおける表面の断面図である。
図4図2に示すシールドされた複合ファンブレードの製造に使用された構成要素のアセンブリを示す断面図である。
図5】シールドされた複合材部品の製造方法を示すフロー図である。
図6】シールドされた複合材部品の製造方法を示すフロー図である。
図7】シールドされた複合ガイドベーンの側面図である。
図8】シールドされたノーズコーンの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1は、主回転軸9を有するガスタービンエンジン10を示す図である。ガスタービンエンジン10は、吸気口12と、コア気流Aとバイパス気流Bの2つの気流を発生させる推進ファン23とから構成され、コア気流Aを受けるエンジンコア11を有している。エンジンコア11は、軸流系列で、低圧コンプレッサー14、高圧コンプレッサー15、燃焼装置16、高圧タービン17、低圧タービン19、コア排気ノズル20を備えている。ナセル21は、ガスタービンエンジン10を取り囲み、バイパスダクト22とバイパス排気ノズル18を画定している。バイパス気流Bは、バイパスダクト22を流れる。ファン23は、シャフト26およびエピサイクリックギアボックス30を介して、低圧タービン19に取り付けられており、低圧タービン19によって駆動される。ファン格納部31は、ナセル21の機内でファン23の周囲に延びている。
【0066】
使用時において、コア気流Aは低圧コンプレッサー14によって加速されて圧縮され、低圧コンプレッサー15に導かれてさらなる圧縮が行われる。高圧コンプレッサー15から排出された圧縮空気は、燃焼装置16に導かれて燃料と混合され、その混合物が燃焼される。その結果、高温の燃焼生成物が膨張し、高圧タービンおよび低圧タービン17、19を駆動した後、ノズル20から排出され、推進力となる。高圧タービン17は、適切な相互接続シャフト27によって高圧コンプレッサー15を駆動する。ファン23は、一般に、推進力の大部分を提供する。エピサイクリックギアボックス30は、減速ギアボックスである。
【0067】
本開示が適用される、その他のガスタービンエンジンは、代替の構成を有していてもよい。例えば、エンジンは、代替数のコンプレッサー、および/またはタービン、および/または代替数の相互接続シャフトを有していてもよい。さらに例を挙げると、図1に示すガスタービンエンジンは、分流ノズル20、22を有しており、これは、バイパスダクト22を通る流れが、コアエンジンノズル20とは別の半径方向外側にある独自のノズルを有することを意味する。しかし、これらの形態は限定的なものではなく、本開示の任意の態様は、バイパスダクト22を通る流れとコア11を通る流れとが、単一のノズルの前(または上流)で混合される、または結合されるエンジンにも適用することができ、これは、混合流ノズルと呼ばれることがある。一方または両方のノズル(混合流または分流のいずれか)は、固定または可変の面積を有していてもよい。また、上記で説明した例は、ターボファンエンジンに関するものであるが、本開示は、例えば、オープンロータ(ファンステージがナセルによって囲まれていない)またはターボプロップエンジンなどの任意のタイプのガスタービンエンジンに適用することができる。また、いくつかの配置では、ガスタービンエンジン10は、ギアボックス30を含んでいなくてもよい。
【0068】
ガスタービンエンジン10およびその構成要素の形状は、軸方向(回転軸9と一致する)、半径方向(図1の下から上の方向)、および周方向(図1の図に対して垂直な方向)からなる従来の軸系によって定義される。なお、軸方向、径方向、周方向は、相互に直交している。
【0069】
本開示が適用される他のガスタービンエンジンは、代替の構成を有していてもよい。例えば、エンジンは、代替数の相互接続シャフト(例えば2つ)、および/または代替数のコンプレッサー、および/またはタービンを有していてもよい。さらに、エンジンは、タービンからコンプレッサーおよび/またはファンへの駆動系に設けられたギアボックスを含んでいてもよい。
【0070】
図2は、ファンブレードの詳細を示す。ファンブレード32は、硬化したエポキシ樹脂で互いに接着された炭素繊維層を主成分とする複合ファンブレードである。ファンブレードの圧力面および吸引面は、前縁33と後縁34との間に広がっている。前縁33におけるファンブレード32の外面は、チタンシールド35によって形成されている。チタンシールド35で覆われていないファンブレード32の残部は、少なくとも1つの熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)層36で覆われている。チタンシールド35は、例えば、鳥や氷の結晶の衝突時に発生する可能性のある異物の損傷からブレード32の前縁を保護する。熱可塑性ポリウレタン樹脂層36は、ファンブレードの残部の耐浸食性を向上させる。
【0071】
図3は、チタンシールド33とTPUでコーティングされたファンブレード32の残部との間のインターフェースにおけるファンブレード32の圧力面の一部を、線C-Cに沿った部分断面で示したものである。図3に示すように、ファンブレードのこの部分が、炭素繊維積層ブレード本体37と、TPU層36と炭素繊維積層ブレード本体37との間、チタンシールド35と炭素繊維積層ブレード本体37との間、およびチタンシールド35とTPU層36との間に延びる、硬化したエポキシ接着剤38によって互いに接着されたTPU層36とチタンシールド35とで構成されている。チタンシールド35の端部39は、TPU層36の一部40を覆っており、この部分は、チタンシールド35に覆われていないTPU層36の残部よりも薄くなっている。チタンシールド35とTPU層36の外面は、外部インターフェース41において互いに同一平面となっており、このフラッシュインターフェース41により、空気は、前縁から後縁に向かってブレードの圧力面上スムーズに流れる。
【0072】
図2および図3では、前縁33の上にチタンシールド35が配置されているが、前縁シールドの代わりに、または前縁シールドに加えて、後縁34の上にチタンシールドを配置してもよいことが理解されるであろう。
【0073】
次に、図4を参照して、フラッシュインターフェース41の製造方法を説明する。まず、エポキシ接着剤の第1フィルム42が炭素繊維積層ブレード本体37に塗布され、TPUシート43がエポキシ接着剤の第1フィルム42に塗布される。また、エポキシ接着剤の第2フィルム44が、TPUシート43の一部を覆うように、炭素繊維積層体ブレード本体37に塗布される。次に、チタンシールド35を、端部39がTPUシート43を覆うように、エポキシ接着剤の第フィルム44に塗布する。その後、アセンブリを加熱し、矢印45で示す方向に圧力をかけて、チタンシールド35の端部39をTPUシート43にプレスする。高温になると、エポキシ接着剤の第1フィルムおよび第2フィルム42、44が液化し、同時にTPUシート43が軟化する。また、アセンブリに圧力が加えられると、TPUシート43が変形する。特に、TPUシート43は、チタンシールド35の端部39の周りや、チタンシールド35と炭素繊維積層ブレード本体37との間を塑性流動し、チタンシールド35と炭素繊維積層ブレード本体37との間のTPUの厚さが、チタンシールド35から離れる方向に位置するTPUの厚さに比べて相対的に薄くなっている。このプロセスは、チタンシールド35とTPUシートの外面がインターフェース41で同一平面になるまで続けられる。温度と加圧力を下げると、エポキシ接着剤が硬化してTPUの成形性が低下し、ブレード本体37とTPU層36に対する金属シールド35の位置が固定される。
【0074】
次に、チタンシールドを積層体に貼り付ける簡単な方法を、図5に示すフロー図で説明する。まず、ブロック101では、TPUシートを積層体に適用する。また、ブロック102では、チタンシールドの端部がTPUシートの一部を覆うように、チタンシールドを積層体に適用する。また、ブロック103では、チタンシールドをTPUシートにプレスし、チタンシールドの端部の周りのTPUを変形させて、シールド領域と非シールド領域との間のインターフェースにおける外観プロファイルを平らにする。
【0075】
上記の方法は、図6に、より詳細なフロー図で示されている。まず、ブロック201では、エポキシ接着剤の第1層が積層体に適用される。また、ブロック202では、TPUシートが、エポキシ接着剤の第1層の上の積層体に適用される。また、ブロック203では、エポキシ接着剤の第2層が積層体とTPUシートの一部に適用される。また、ブロック204において、チタンシールドは、チタンシールドの端部がTPUシートの一部の上に重なるように、積層体に適用される。また、ブロック205では、積層体、TPUシート、チタンシールド、およびエポキシ接着剤の第1層と第2層のアセンブリを加熱し、チタンシールドをTPUシートにプレスして、シールド領域と非シールド領域との間のインターフェースにおける外観プロファイルが同一平面になるように、チタンシールドの端部の周りのTPUを変形させる。
【0076】
なお、上述した説明は、本発明の特定の実施形態に関するものであり、使用される材料および方法を種々改変することは可能であることが理解されるであろう。
【0077】
例えば、複合ファンブレード本体37は、ガラス繊維強化ポリマー(GFRPまたはファイバーグラス)、炭素繊維強化ポリマー(カーボンファイバー)またはアラミド繊維強化ポリマー(例えば、ケブラー(商標登録)またはトワロン(商標登録)の繊維を含む)などの任意の適切な複合材料から形成されてもよい。シールド35は、金属や金属合金、ゴムなど、任意の適切な材料から形成することができる。熱可塑性ポリウレタン樹脂層36または熱可塑性ポリウレタン樹脂シート43は、加熱により軟化する任意の適切な熱可塑性ポリマー樹脂で置き換えてもよい。例となる熱可塑性ポリマー樹脂は、3M社で厚さ0.3mm~0.6mmで販売されている熱可塑性ポリウレタンエラストマー樹脂フィルムの中から適用することができる。エポキシ接着剤は、航空宇宙用途での使用に適した任意の接着剤に置き換えてもよく、例えば約6gsmまでの重量を有するスクリム材料で支持されたフィルムとして提供することができる。なお、ここでいう適切な接着剤とは、例えば、3M社やHenkel社などのサプライヤーが提供する構造用接着剤フィルムの製品群に含まれるものを指す。
【0078】
複合ファンブレード本体37は、当該分野で周知の標準的な複合材製造技術を用いて製造することができる。例えば、複合ファンブレード本体37は、まず複合ファンブレード本体用のプリフォームを積層し、その後、例えばオートクレーブ内でプリフォームを硬化させることによって製造することができる。プリフォームを積層するには、炭素繊維プラの層を型などの成形型に繰り返し適用することが必要である。炭素繊維プライは、炭素繊維テープまたはシート、特に未硬化樹脂などの未硬化マトリックス材料を事前に含浸させた炭素繊維テープまたはシートの形態で適用することができる。また、積層が完了した後に、未硬化のマトリックス材料をプリフォームに注入してもよい。プリフォームは、当技術分野で知られているあらゆる複合材の成形技術を用いて、硬化前に成形してもよい。
【0079】
シールドファンブレードの製造時には、当該分野でよく知られている標準的な複合材の製造技術を用いて、図4に示すアセンブリに熱と圧力を加えることができる。例えば、オートクレーブの中でアセンブリに熱と圧力を加えてもよい。オートクレーブは、アセンブリを90℃以上180℃以下に加熱し、1バール(ゲージ)以上4バール(ゲージ)以下の圧力を例えば2~6時間かけて加えるように設定されている。オートクレーブに入れる前に、アセンブリを真空バッグの中に封入してもよい。シールドを熱可塑性ポリウレタン樹脂にプレスするために金型などのツールを使用してもよいし、完成した構成要素の外観プロファイルを金型で定義してもよい。例えば、金型は、熱可塑性ポリウレタン樹脂の外面を平滑化することにより、下層の複合ファンブレード本体の表面の不規則性を補うなどして、熱可塑性ポリウレタン樹脂の外面を形成してもよい。金型は、オートクレーブに入る前にアセンブリと一緒に真空バッグに挿入される増圧型(すなわち、複合ファンブレード本体の製造に使用されるモールドの薄いシリコーンゴム型)であってもよい。金型は柔軟なものであってもよいが、金型は、熱可塑性ポリウレタン樹脂およびシールドの外面に当てたときに、シールドを熱可塑性ポリウレタン樹脂にプレスして同一平面上のインターフェースを提供するために、インターフェース領域において十分な局所的曲げ剛性を有する必要がある。
【0080】
上記の方法は、ガスタービンエンジンのその他のシールドされた構成要素の製造にも適用できることは、当業者には明らかであろう。例えば、本方法は、シールドされた複合ガイドベーンまたはシールドされた複合ノーズコーンの製造に用いることができる。図7に示すように、例示的なシールドされた複合ガイドベーン301は、前縁303とシールドされていない後縁304の上に位置する金属シールド302を含む。また、図8に示すように、例示的なシールドされた複合ノーズコーン401は、ノーズコーンの頂点403の上に位置するゴムシールド402を含む。いずれの場合も、圧力と熱を加えることで、シールド(金属シールド302またはゴムシールド402のいずれか)をTPUの対応する層にプレスすることができ、それによってシールド領域と非シールド領域との間に同一のインターフェースを形成することができる。
【0081】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本明細書に記載された概念から逸脱することなく、様々な変更や改良が可能であることが理解されるであろう。相互に排他的な場合を除き、いずれかの特徴は、個別にまたは他の特徴と組み合わせて採用することができ、本開示は、本明細書に記載された1つまたは複数の特徴のいずれかを含む組み合わせを含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】