(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】導電接続のためのソケットコンタクト素子
(51)【国際特許分類】
H01R 13/11 20060101AFI20220106BHJP
H01R 43/16 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
H01R13/11 A
H01R43/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521297
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(85)【翻訳文提出日】2021-05-21
(86)【国際出願番号】 EP2019078361
(87)【国際公開番号】W WO2020079219
(87)【国際公開日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】102018125964.6
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599092192
【氏名又は名称】アンフェノル-テュッヘル・エレクトロニクス・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【氏名又は名称】玉井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】デュラン クラウス
(72)【発明者】
【氏名】カップリンガー ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】カイム マヌエル
【テーマコード(参考)】
5E063
【Fターム(参考)】
5E063GA03
5E063XA20
(57)【要約】
【解決手段】
本発明は、ケーブルとの導電接続を確立するための圧着部と、コンタクトボックスコネクタとの解除可能な導電接続を確立するためのコンタクトボックスとを有する、導電接続を確立するためのソケットコンタクト素子に関する。この場合、ソケットコンタクト素子は一体的に構成されていて、幾何学的な形状に基づく複数の組み込まれた実装機能を有している。さらに本発明は、ソケットコンタクト素子を製造するためのシート状の半製品、ならびに成形による製造方法に関する。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電接続を確立するためのソケットコンタクト素子(100)であって、ケーブルとの導電接続を確立するための圧着部(50)と、コンタクトボックスコネクタとの解除可能な導電接続を確立するためのコンタクトボックス(70)とを有している形式のものにおいて、
前記ソケットコンタクト素子(100)が一体的に構成されていて、幾何学的なデザインに基づく複数の統合的に実装された機能を有していることを特徴とする、導電接続を確立するためのソケットコンタクト素子(100)。
【請求項2】
前記ソケットコンタクト素子(100)に操作部(10)が追加されていることを特徴とする、請求項1記載のソケットコンタクト素子(100)。
【請求項3】
前記ソケットコンタクト素子(100)が絶縁部(30)を有していることを特徴とする、請求項1記載のソケットコンタクト素子(100)。
【請求項4】
前記絶縁部(30)は、受けようとするケーブルの心線の十分に真っすぐな配置を支援するように、前記圧着部(50)に対して配置されていることを特徴とする、請求項3記載のソケットコンタクト素子(100)。
【請求項5】
前記コンタクトボックス(70)が四角形または長方形のボックス状の基本構造を有しており、それによって前記コンタクトボックス(70)が、接点支持体またはマルチ接点ブロックの対応する受け孔内に挿入可能であることを特徴とする、請求項1記載のソケットコンタクト素子(100)。
【請求項6】
前記コンタクトボックス(70)が少なくとも1つの整列リップ(71)を有しており、該整列リップ(71)が前記コンタクトボックス(70)のボックス状の構造を越えて延在していることを特徴とする、請求項1記載のソケットコンタクト素子(100)。
【請求項7】
前記コンタクトボックス(70)の少なくとも1つの側面に、少なくとも1つの閉鎖舌片(72)が追加されていることを特徴とする、請求項1記載のソケットコンタクト素子(100)。
【請求項8】
少なくとも1つの前記閉鎖舌片(72)に、前記コンタクトボックス(70)の少なくとも1つの側壁に対応する閉鎖突起(72a)および/または輪郭が与えられている閉鎖突起(72b)が追加されており、それによって前記コンタクトボックス(70)の構造的な完全性が支援されていることを特徴とする、請求項7記載のソケットコンタクト素子(100)。
【請求項9】
前記閉鎖突起(72b)の輪郭が、前記コンタクトボックスの挿入方向EKとは逆向きに構成されていて、前記コンタクトボックス(70)内の対応する切欠内に係合することを特徴とする、請求項8記載のソケットコンタクト素子(100)。
【請求項10】
前記コンタクトボックス(70)が少なくとも1つの係止フック(73)を有しており、該係止フック(73)が接点支持体またはマルチ接点ブロックの受け孔内での係止を支援することを特徴とする、請求項1記載のソケットコンタクト素子(100)。
【請求項11】
前記コンタクトボックス(70)が、少なくとも部分的に内部空間を取り囲んでおり、それによって、コンタクトボックスコネクタのための受け室(70a)および/またはコンタクトゾーン(70b)が形成されていることを特徴とする、請求項1記載のソケットコンタクト素子(100)。
【請求項12】
少なくとも1つの前記係止フック(73)および/または少なくとも1つのばねリップ(74)および/またはストッパ(76)が、それぞれ1つの閉鎖舌片(72)と一体的に構成されていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載のソケットコンタクト素子(100)。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項記載のソケットコンタクト素子(100)を製造するためのシート状の半製品(100′)であって、
半製品材料が、導電性でかつ成形可能であり、それにより、折り曲げおよび/または折り畳みおよび/または三次元的な成形によってソケットコンタクト素子(100)が製造可能であることを特徴とする、ソケットコンタクト素子(100)を製造するためのシート状の半製品(100′)。
【請求項14】
請求項13記載のソケットコンタクト素子(100)を製造するためのシート状の半製品(100′)において、
前記半製品(100′)の縁部および輪郭が、成形後の前記ソケットコンタクト素子(100)の幾何学的な形状を支援することを特徴とする、ソケットコンタクト素子(100)を製造するためのシート状の半製品(100′)。
【請求項15】
請求項1から12までのいずれか1項記載のソケットコンタクト素子(100)を製造するための方法において、請求項13または14記載の半製品(100′)から三次元的な成形および/または折り畳みおよび/または曲げによって製造する、ソケットコンタクト素子(100)を製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルとの導電接続を確立するための圧着部と、コンタクトボックスコネクタとの解除可能な導電接続を確立するためのコンタクトボックスとを有する、導電接続を確立するためのソケットコンタクト素子に関する。本発明はさらに、ソケットコンタクト素子を製造するためのシート状の半製品、および成形による製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気コンタクト素子、コンタクト装置、差し込み式および着脱式ケーブル接続素子、ならびにそのために適した製造方法は、公知の従来技術において提供可能になってる。ソケット素子またはコンタクト素子は、圧着端子として設計されていてもよい。電気的なコンタクト機能のための接続技術において、圧着端子は、舌片を有するエレメントとして形成されていて、その舌片端部が電気ケーブルの周囲に巻き付けられると同時に電気ケーブルに圧着される。このような提供可能な接続技術は圧着と呼ばれる。このために必要な成形および圧縮工程は、しばしばこのために用意された半製品に実施され、この半製品は、圧着されていないかまたは予め圧着されている原材料として提供され、後でコンタクト素子を形成する。圧着を実現するために、半製品はしばしば圧着工具のアンビル上に設置される。次いで、電気ケーブルまたは電気ケーブルの剥離された部分がコンタクト素子上に置かれる。次いで、コンタクト素子と電気ケーブルとの間で機械的に頑丈な導電性の接続を確立するために、少なくとも1つの圧着舌片が剥離された部分の周囲に巻き付けられ、この部分に圧着される。
【0003】
圧着接続には、使用用途に応じて異なる、部分的に累積的な要求が課せられる。例えば、機械的強度、耐疲労性、電気エネルギの抵抗の少ない伝送、耐腐食性、気密性および液密性である。
【0004】
圧着端子は、ケーブルまたはこれと類似の、たいていは電気を通す導線をコンタクト素子に固定するという機能的な課題を有するだけでなく、コンタクト構成部品にはその他の多くの要求が課せられている。このような理由から、圧着接続領域に加えて、端子コンタクト構成部品内には、一体的にまたは別個に設けられる、別のボディタイプの構成要素が存在する。このための例は、クランプおよびガイド要素、ソケット、端子部品などである。
【0005】
コンタクト構成部品を製造するための公知の方法は、特に打ち抜きおよび成形プロセスである。まず、打ち抜きステップによって、または一般的に分離ステップによっても、シート状材料から平坦材が分離される。この場合、平坦材は、適切な形式で、コンタクト素子への成形およびその規定された機能を支援する輪郭を備えている。このような形式で提供された平坦な半製品は、次いで1回または複数回の成形ステップでさらに成形される。可能な成形工程は、折り畳み、折り曲げ、プレス、深絞り等によって実現され得る。
【0006】
コンタクト素子のその他の製造オプションは、焼結工程、追加的な製作方法、または機械加工もしくは切削加工によって得られる。
【0007】
シート状の原材料の打ち抜きおよび成形の方法の組み合わせは、大量の個数のコンタクト構成部品を経済的で確実なやり方で提供することができるが、限定的な幾何学的形状付与によって、一体的なコンタクト構成部品内、特にソケットコンタクト素子内への様々な機能の組み込みを制限する。
【0008】
このような欠点を緩和し、構成部品の複雑性を低減するために、機能の実装が制限されるか若しくは少なくされ、および/またはコンタクト構成部品が多数の部分より構成される。また付加的な製造方法、例えば3Dプリントまたはステレオリソグラフィーも考慮の対象となるが、3Dプリントまたはステレオリソグラフィーは、大量生産には限定的にしか適しておらず、経済的に不利であり、処理可能な材料に関連して限定的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、前記欠点を少なくとも部分的に低減し、多数の組み込まれた機能を有する一体的なソケットコンタクト素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題を解決するために、本発明によれば、ケーブルとの導電接続を確立するための圧着部と、コンタクトボックスコネクタとの解除可能な導電接続を確立するためのコンタクトボックスとを有する、導電接続を確立するためのソケットコンタクト素子が提案されており、この場合、ソケットコンタクト素子が一体的に構成されていて、幾何学的な形態に基づく複数の統合的に実装された機能を有している。さらに、本発明によれば、ソケットコンタクト素子を製造するためのシート状の半製品、ならびに成形による製造方法が提案されている。
【0011】
本発明によれば、一体的なソケットコンタクト素子のための半製品としての平坦材料の幾何学的な複雑さおよび/または適切な成形順序が、実装された機能の数を増やすために適していることが分かった。本発明は、個々の具体的なケースでは、弾性的な材料特性と、バリの形成および平坦な厚さ方向に対して斜めのスタンプエッジに関して、成形およびスタンピングプロセス中に生じる結果を考慮する。
【0012】
本発明のその他の態様は、打ち抜きプロセスの結果としての半製品の幾何学的な輪郭を、得られる寸法精度にも、また、成形可能性、弾性および強度に関する、好適には金属のおよび/または少なくとも導電性の材料特性にも適合させる、ということである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1a】ソケットコンタクト素子の例示的実施形態の第1の斜視図である。
【
図1b】ソケットコンタクト素子の例示的実施形態の第2の斜視図である。
【
図2a】ソケットコンタクト素子の例示的実施形態の第3の斜視図である。
【
図2b】ソケットコンタクト素子の例示的実施形態の第4の斜視図である。
【
図3a】ソケットコンタクト素子の例示的実施形態の第5の斜視図である。
【
図3b】ソケットコンタクト素子の例示的実施形態の第6の斜視図である。
【
図4a】例示的実施形態によるソケットコンタクト素子のコンタクトボックスの第1の斜視図である。
【
図4b】例示的実施形態によるソケットコンタクト素子のコンタクトボックスの第2の斜視図である。
【
図5a】例示的実施形態によるソケットコンタクト素子の第1の側面図である。
【
図5b】例示的実施形態によるソケットコンタクト素子の第1の平面図である。
【
図6a】例示的実施形態によるソケットコンタクト素子の第2の側面図である。
【
図6b】例示的実施形態によるソケットコンタクト素子の第2の平面図である。
【
図7a】例示的実施形態によるソケットコンタクト素子の第1の端面図である。
【
図7b】例示的実施形態によるソケットコンタクト素子の第2の端面図である。
【
図8a】例示的実施形態によるソケットコンタクト素子のコンタクトボックスの第1の断面図である。
【
図8b】例示的実施形態によるソケットコンタクト素子のコンタクトボックスの第2の断面図である。
【
図9a】例示的実施形態によるソケットコンタクト素子全体およびそのコンタクトボックスを断面した第1の斜視図である。
【
図9b】例示的実施形態によるソケットコンタクト素子のコンタクトボックスを断面した第1の斜視図である。
【
図10a】例示的実施形態によるソケットコンタクト素子の全体およびそのコンタクトボックスを断面した第1の斜視図である。
【
図10b】例示的実施形態によるソケットコンタクト素子のコンタクトボックスの詳細を含むコンタクトボックスを断面した第2の斜視図である。
【
図11a】ソケットコンタクト素子のコンタクトボックスの、ストッパを備えた閉鎖舌片の部分におけるA-A線断面図である。
【
図11b】ソケットコンタクト素子のコンタクトボックスの、係止フックの係止フックヘッドの部分におけるB-B線断面図である。
【
図12a】ソケットコンタクト素子のコンタクトボックスの、係止フックを有する閉鎖舌片の支持突起の部分におけるC-C線断面図である。
【
図12b】ソケットコンタクト素子のコンタクトボックスの、閉鎖舌片およびコンタクトゾーンの部分におけるD-D線断面図である。
【
図13】ソケットコンタクト素子のコンタクトボックスの、ばねリップを備えた閉鎖舌片の部分におけるE-E線断面図である。
【
図14】打ち抜きプロセス後で折り曲げ、折り畳みによる成形前の、例示的実施形態による半製品としてのシート状の一体的な平坦材料の平面図である。
【
図15】第2の実施形態による半製品としてのシート状の一体的な平坦材料の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を図面に示した好適な実施形態を用いて以下に詳しく説明する。
【0015】
図1aおよび
図1bは、ソケットコンタクト素子100の例示的実施形態の第1および第2の斜視図を示す。好適な形式で一体的なエレメントは、対称的な構成の領域内で対称軸線または中心軸線Mと同一である長手方向軸線Lの方向に延在している。本発明は、組み込まれた機能が、この領域によっておよび場合によってはこの領域内で実現されるようになっている。
図1では、長手方向で互いに相前後して並んだ配置が実現されている複数の領域10,20,30,40,50,60,70を備えたソケットコンタクト素子100が示されている。
【0016】
図2aおよび
図2bは、例示的実施形態によるソケットコンタクト素子100の第3および第4の三次元的な図を示し、
図3aおよび
図3bは、第5および第6の三次元的な図を示す。
【0017】
図4aおよび
図4bはそれぞれ、ソケットコンタクト素子100の例示的実施形態のコンタクトボックス70の斜視図を示す。コンタクトボックス70は、図示の実施形態では、一体的に実装された複数の機能を有している。特にガイドおよびスプリングエレメントが、外側および内側の両方に設けられている。
【0018】
コンタクトボックス70の四角形の輪郭の外側に整列リップ71が設けられており、この整列リップ71は、例えば接点支持体またはマルチ接点ブロック内へのソケットコンタクト素子100の挿入方向に、押し込み斜面、挿入斜面71aを有している。整列リップ71は、組立が強制的に正しい整列位置でのみ行われるように、接点支持体またはマルチ接点ブロックに対応するように構成された受け孔と幾何学的に協働する。整列リップ71には、長手方向一端面側においてコンタクトボックス70の挿入方向EKとは逆方向に突出した突起71bが追加されていてもよい。突起71bは、例えば接点支持体またはマルチ接点ブロックのスプリングエレメントと機能的に協働するか、または後部係合手段として用いられてもよい。さらに、閉鎖舌片72の閉鎖突起72aを受けるための孔71cが設けられていてもよい。
【0019】
コンタクトボックス70の四角形の形状を形成するために、さらに少なくとも1つの閉鎖舌片72が設けられていてもよい。この閉鎖舌片72は、折り畳みまたは折り曲げとも呼ばれる成形工程によって、長手方向軸線Lに対して平行な折り畳みラインを中心にして曲げられてその位置にもたらされる。閉鎖突起72aまたは輪郭が与えられている閉鎖突起72bによる、コンタクトボックス70の側壁の対応する切欠または整列リップの孔71c内への後方係合が、閉鎖舌片72の所定の位置固定を支援する。接点支持体またはマルチ接点ブロック内にコンタクトボックス70を挿入する際の問題の原因となり得る、挿入方向のエッジが形成されないようにするために、輪郭が与えられている閉鎖突起72bは、好適にはその輪郭が与えられている部分が、コンタクトボックス70の挿入方向EKとは逆向きになるように構成されている。
【0020】
閉鎖舌片72には、組み込まれた機能の位置および数に応じて支持突起72cが追加されていてもよい。この支持突起72cは、閉鎖突起72aと幾何学的に同じような形状であってよく、その構成によってコンタクトボックス70の側壁端面側上の支持ショルダを成していて、側壁端面上に位置する。このような形式で、構造全体の強度および構造的な完全性が高められ、成形工程における簡単な運動制限が提供される。
【0021】
スプリングエレメントとして構成された係止フック73は、その係止フックヘッドがコンタクトボックス70の挿入方向EKとは逆方向に向けられていて、接点支持体またはマルチ接点ブロック内への挿入後にコンタクトボックス70を長手方向の位置に固定するために用いられる。係止フックヘッド73aは、図示されているように放射状に突出した翼を有しており、これらの翼は、係止フック73の曲げ戻しおよびひいては接点支持体またはマルチ接点ブロックからのコンタクトボックス70の取り外しを支援するために、接点支持体若しくはマルチ接点ブロック内の切欠きと対応するかまたは工具作用面を提供する。選択的に、係止フック73は、取り外し可能性が支援されるべきでない場合には、端部側が平らに終わっていてよい。ばね特性およびばね力または戻し力に意図的に影響を及ぼすために、係止フック舌片は係止フックヘッドに向かって先細りして構成されている。
【0022】
図5aは、ソケットコンタクト素子100の例示的実施形態の第1の側面図を示す。
【0023】
図5bは、
図5aと同様のソケットコンタクト素子100の例示的実施形態の平面図を示す。好適な形式で、端部側に操作部10が設けられており、この操作部10は、平坦材料の部分によって形成されていて、長手方向軸線Lに隣接して孔11を備えた中央領域、および中央領域から放射状に延在する少なくとも1つの平坦部材12を有している。例えばスプリング要素を実装するために、または組立状態で隣接する平坦部の把持部として、操作部10の先端部に付加的な突起部13が設けられていてよい。
【0024】
図6aは、ソケットコンタクト素子100の例示的実施形態の第2の側面図を示す。コンタクトボックス70と圧着部50とが、中心軸線L,Mに対して長手方向に同一列に配置されているのに対して、絶縁部30と操作部10とは、これに関連して平行にオフセットしていてもよい。このオフセットは、第2の接続部40および/または第3の接続部60の傾斜によって実現される。このオフセットは、特に圧着部50および絶縁部30内でのケーブルガイドに関連して好適である。何故ならば、ケーブル心線の折れ曲がりが避けられるからである。これは、オフセットが、ケーブルのケーブル心線を取り囲む絶縁材料の壁厚の大きさに応じて選択されていることによって得られる。
【0025】
絶縁部30は、固定されたケーブル(図示せず)に作用する機械的な負荷、特に引張負荷が、絶縁部30によって受け止められ、それによって圧着部50に作用しないようにすることによって、圧着部のための機械的な負荷軽減機能をソケットコンタクト素子100内に組み込む。従って、絶縁部は引張負荷軽減部と呼ばれてもよい。
【0026】
図6bは、
図6aと同様のソケットコンタクト素子100の例示的実施形態の第2の平面図を示す。絶縁されたケーブルが絶縁部30の受け室31内に配置可能であるのに対して、ケーブル心線(絶縁被覆を剥がされたケーブル)は圧着部50の受け室51内に位置する。その結果、ソケットコンタクト素子100に圧着されるケーブル(図示せず)は、長手方向軸線L,Mに対して同一列に固定可能であり、また折れ曲がりを十分に軽減させて固定可能でもある。
【0027】
図7aは、コンタクトボックスコネクタのための受け室70aを備えたコンタクトボックス70の端部側から見たソケットコンタクト素子100の例示的実施形態の第1の端面図を示す。四角形室は、図示のように正方形を有していてもよく、また同じでない長さの側縁部も可能である。
【0028】
図7bは、操作部10の端部側から見たソケットコンタクト素子100の例示的実施形態の第2の端面図を示す。
【0029】
図8aおよび
図8bはそれぞれ、ソケットコンタクト素子100の例示的実施形態のコンタクトボックス70の断面図を有している。コンタクトボックス70内の内部空間は、コンタクトボックスコネクタのための受け室70aとして構成されていて、本発明のその他の実装された機能を開示する。
【0030】
図8aは、整列リップ71の反対側を向いているコンタクトボックス70の断面図を示している。コンタクトボックス70の内側に、挿入可能なコンタクトボックスコネクタのための受け室70aが形成されており、この受け室70aは、少なくともコンタクトゾーン70b内でコンタクトボックス70と物理的に、特に電気的に接触接続可能である。コンタクトボックス70の側壁が機能的に、挿入方向ESで組み込もうとするコンタクトボックスコネクタ(図示せず)のために直線的な側方ガイドを行うのに対して、コンタクトゾーン70bは、ばねリップ74および接点湾曲部75によって形成されるかまたは空間的に制限される。
【0031】
好適な実施形態では、コンタクトゾーン70bは、コンタクトボックスコネクタが挿入された状態で、中心軸線L,Mに対して対称的にまたは軸対称的に構成されている。
【0032】
コンタクトゾーン70bの内法幅は、コンタクトボックスコネクタが挿入されていない状態でコンタクトボックスコネクタよりも寸法が小さいので、コンタクトボックスコネクタが挿入されることによって、ばねリップ74はそのばね力に抗して変位し、コンタクトボックスコネクタのために必要な内法幅が得られる。ばねリップ74の戻し力が、接点面74aでコンタクトボックスコネクタを接点湾曲部75の接点面75aに押し付ける。
【0033】
接点面74a,75aは領域的に円筒形側面として構成されているので、次の機能的な特性が支援されている。
-接点面74a,75aは、面状のコンタクトボックスコネクタに対してそれぞれ線状の接点面を形成する。
-線状の接点面はその寸法が比較的小さいので、より高い面圧を得ることができる。
-高められた面圧により、接触接続相手同士の互いの確実な接触接続動作が得られる。
-接点面74a,75aを円筒形側面として構成したことによって、受け室70a内へのコンタクトボックスコネクタのより簡単な押し込みおよび挿入が支援される。
-方向ESに抗してコンタクトボックスコネクタを押し出すことによる接点解除の際の線状の剥離力が低下する。
【0034】
図8bは、整列リップ71側を向いているコンタクトボックス70の断面図を示している。コンタクトボックス70の受け室70a内へのコンタクトボックスコネクタの挿入深さを機械的に制限するために、本発明によれば、挿入方向ESの前側へのストッパ76がコンタクトボックス70の端部に設けられている。このストッパは、折り曲げ部または突起として構成されていてもよいので、コンタクトボックスコネクタのための物理的なストッパ部材が形成されている。
【0035】
図9aは、ソケットコンタクト素子100の例示的実施形態の第1の断面した斜視図を含む。長手方向軸線または中心軸線L,Mの部分での垂直方向の切断面は、好適な形式で統合的に一体に実装された機能または幾何学的な形態を示す
【0036】
図9bは、
図9aに示したコンタクトボックス70の断面した斜視図の詳細を示す。この実施形態では、閉鎖舌片72に実装された機能が実現されている。コンタクトボックスコネクタの挿入方向ESに配置された第1の閉鎖舌片72は、接点面74aの部分円筒状領域の範囲内でばねリップ74に一体的に追加されている。この場合、ばねリップ74およびその接点面74aの幅寸法は、コンタクトボックスコネクタ(図示せず)の受け室70aの内法幅を下回るように選定されている。同じことは、接点面75aを備えた接点湾曲部75の幅についても当てはまる。
【0037】
コンタクトボックスコネクタの挿入方向ESに配置された第2の閉鎖舌片72は、方向ESで見て、係止フックヘッド73aを備えた係止フック73の近傍で一体に追加されている。
【0038】
コンタクトボックスコネクタの挿入方向ESに配置された第3の閉鎖舌片72は、方向ESで見て、ストッパ76の近傍に一体に追加されている。
【0039】
図10aは、ソケットコンタクト素子100の例示的実施形態の第2の断面した斜視図を含み、
図10bは、
図10aに示したコンタクトボックス70の断面した斜視図の詳細を含む。
【0040】
図11aは、ストッパ76を有する閉鎖舌片72の閉鎖突起72aの部分における、ソケットコンタクト素子100のコンタクトボックスの断面
図A-Aを示す。閉鎖突起72aは、整列リップ71の孔71c内に係合し、折り曲げ部、曲げヒンジ72dに対する事実的な補強として働くので、構造的な形状安定性の増大に役立つ。
【0041】
図11bは、係止フック73の係止フックヘッド73aの部分における、ソケットコンタクト素子100のコンタクトボックス70の断面
図B-Bを含む。
【0042】
図12aは、係止フック73を有する閉鎖舌片72の支持突起72cの部分における、ソケットコンタクト素子100のコンタクトボックス70の断面
図C-Cを示す。やはり、本発明は、支持突起72cによって形成された、折り曲げ部、曲げヒンジ72dに対する補強の形状安定性増大作用に役立つ。この断面で、コンタクトボックスコネクタのための受け室70a内にばねリップ74および接点湾曲部75が延在している。
【0043】
図12bは、コンタクトゾーン70bを備えた閉鎖舌片72の部分における、ソケットコンタクト素子100のコンタクトボックス70の断面
図D-Dを示す。コンタクトゾーン70bは、ばねリップ74の接点面74aおよび接点湾曲部75の接点面75aによって形成された最小のクリアランスの領域内に位置している。ここでは、接点面74a,75aのそれぞれ湾曲がついた輪郭形状が示されている。この幾何学的に引き起こされた実装機能は、コンタクトボックスコネクタ(図示せず)に対する縮小された接触領域をもたらすので、より高められた面圧、さもなければばねリップ74のばね力と等しい面圧が得られる。
【0044】
図13は、ばねリップ74を備えた閉鎖舌片72の部分における、ソケットコンタクト素子100のコンタクトボックス70の断面
図E-Eを示す。閉鎖舌片72の左側の折り曲げ部72dが図示されており、この折り曲げ部72dは、
図12aおよび
図12bに示した係止フック73を備えた閉鎖舌片72の折り曲げ部72dとは逆向きに位置している。本発明によれば、折り曲げ部72dを逆向きに配置することが、平坦な半製品からの成形による一体的な製造を支援するために適していることが分かった。
【0045】
図14は、折り曲げ、折り畳みによる成形前でかつ打ち抜きプロセス後における、例示的実施形態による半製品としてのシート状の一体的な平坦材料100′の平面図を示す。輪郭が与えられている平坦材料100′は、予備生産後に、圧着部50内の圧着輪郭形状を付与し、かつ後から形成されるコンタクトゾーン70b内に接点湾曲部75を形成するための原材料として用いられる。このために、通常、大量成形手段がとられる。
【0046】
ソケットコンタクト素子100を形成するための成形プロセスは、大まかに平坦半製品100′の3つのゾーンに分けることができる。
-外側領域間の中央領域MB
-中央領域MBに隣接する2つの外側領域
【0047】
中央領域MBは、操作部10内およびコンタクトボックス70の領域内で成形されないかまたは縁部だけが成形されるので、概ね面状の構造が得られる。その他の領域では、様々な形、例えば円筒状の形に、球状のまたは三次元的な成形が行われる。
【0048】
それぞれの外側領域は、折り曲げ手段、折り畳みプロセスまたは自由成形の対象であってよい。コンタクトボックスコネクタのための後で形成される受け室70aの外側の係止フック73の正しい位置、およびコンタクトボックスコネクタのための後で形成される受け室70a内のばねリップ74の正しい位置を形成するために、特にコンタクトボックス70の領域内に折り曲げおよび折り畳みの連続が設けられていてよい。この実施形態では、これは具体的には、係止フック73を有する閉鎖舌片72のための成形プロセスに続いて、第1の折り畳みまたは折り曲げプロセスによって、まず、ばねリップ74を有する閉鎖舌片72がその終端位置に成形される、ということである。ストッパ76を有する閉鎖舌片72は、順序強制に支配されず、任意の時点で、半製品曲げ平面からソケットコンタクト素子100のコンタクトボックス70を形成するための最終状態に成形されてよい。
【0049】
図15は、シート状の一体的な平坦材料100′の第2の具体例の平面図を示す。コンタクトボックス70の幾何学的な構成は、
図14に示された状況と同じようであるのに対して、
図15は、第1の接続部20、絶縁部30、第2の接続部40、圧着部50および第3の接続部60における変更された幾何学形状を示す。
【符号の説明】
【0050】
10 操作部
11 孔、穴
12 平坦部材
13 突起部
20 第1の接続部
30 絶縁部
31 ケーブルのための受け室
40 第2の接続部
50 圧着部
51 絶縁被覆を剥がされたケーブル(心線)のための受け室
60 第3の接続部
70 コンタクトボックス
70a コンタクトボックスコネクタのための受け室
70b コンタクトゾーン
71 整列リップ
71a 押し込み斜面、挿入斜面
71b 突起
71c 孔
72 閉鎖舌片
72a 閉鎖突起
72b 輪郭が与えられている閉鎖突起
72c 支持突起
72d 折り曲げ部、曲げヒンジ
73 係止フック
73a 係止フックヘッド
74 ばねリップ
74a 接点面
75 接点湾曲部
75a 接点面
76 ストッパ
100 ソケットコンタクト素子
100′ 半製品、平形材
EK コンタクトボックスの挿入方向
ES コンタクトボックスコネクタの挿入方向
L 長手方向軸線
M 中心軸線
MB 中央領域
【国際調査報告】