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特表2022-505325レボチロキシン及びジカルボン酸を含む共結晶
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】レボチロキシン及びジカルボン酸を含む共結晶
(51)【国際特許分類】
   C07C 229/34 20060101AFI20220106BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20220106BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20220106BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20220106BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20220106BHJP
   C07C 55/06 20060101ALI20220106BHJP
   C07C 59/08 20060101ALI20220106BHJP
   C07C 59/255 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
C07C229/34
A61P5/14
A61K9/20
A61K9/48
A61K31/198
C07C55/06
C07C59/08
C07C59/255
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521298
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(85)【翻訳文提出日】2021-06-11
(86)【国際出願番号】 EP2019078084
(87)【国際公開番号】W WO2020079079
(87)【国際公開日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】18200869.8
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19201020.5
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】305008042
【氏名又は名称】サンド・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステフィノビッチ,マリヤン
(72)【発明者】
【氏名】エンケルマン,デニス・ディモ
(72)【発明者】
【氏名】グリーサー,ウルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ゲルブリヒ,トーマス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC29
4C076FF09
4C076FF33
4C076FF34
4C076FF63
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA53
4C206KA15
4C206KA16
4C206KA17
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA55
4C206MA57
4C206MA72
4C206NA03
4C206NA11
4C206ZC06
4H006AA01
4H006AB27
4H006BJ50
4H006BM30
4H006BM74
4H006BN30
4H006BP60
4H006BS10
4H006BS70
(57)【要約】
本発明は、レボチロキシン及びジカルボン酸、好ましくはL-酒石酸又はシュウ酸を含む共結晶、及びその調製方法に関する。さらに、本発明は、本発明の共結晶、好ましくは、レボチロキシン及びL-酒石酸又はシュウ酸を含む共結晶と、少なくとも1種の薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物に関する。本発明の医薬組成物は、医薬として、特に甲状腺機能低下症の治療に使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レボチロキシン及びジカルボン酸を含む共結晶。
【請求項2】
前記ジカルボン酸がC2-8ジカルボン酸である、請求項1に記載の共結晶。
【請求項3】
前記ジカルボン酸がC2-6ジカルボン酸である、請求項1に記載の共結晶。
【請求項4】
前記ジカルボン酸がC2-4ジカルボン酸である、請求項1に記載の共結晶。
【請求項5】
前記ジカルボン酸がCジカルボン酸である、請求項1に記載の共結晶。
【請求項6】
前記ジカルボン酸が、アジピン酸、アスパラギン酸、フマル酸、グルタミン酸、グルタル酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、シュウ酸、コハク酸及び酒石酸からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の共結晶。
【請求項7】
前記ジカルボン酸がL-酒石酸である、請求項1~6のいずれか一項に記載の共結晶。
【請求項8】
波長0.15419nmのCu-Kα1,2放射線を用いて20~30℃の範囲の温度で測定したとき、(3.7±0.2)°、(20.3±0.2)°及び(22.9±0.2)°の2θ角において反射を含む粉末X線回折図を有することを特徴とする、請求項7に記載のレボチロキシン及びL-酒石酸を含む共結晶。
【請求項9】
波長0.15419nmのCu-Kα1,2放射線を用いて20~30℃の範囲の温度で測定したとき、(12.6±0.2)°及び/又は(17.9±0.2)°の2θ角において追加の反射を含む粉末X線回折図を特徴とする、請求項8に記載の共結晶。
【請求項10】
ダイヤモンドATRセルを用いて20~30℃の範囲の温度で測定したとき、(3471±4)cm-1、(1769±4)cm-1、(1586±4)cm-1、(1433±4)cm-1及び(1221±4)cm-1にピークを含むFTIRスペクトルを有することを特徴とする、請求項7~9のいずれか一項に記載の共結晶。
【請求項11】
20~30℃の範囲の温度及び波長785nmで測定したとき、波数(1732±4)cm-1、(1587±4)cm-1、(1242±4)cm-1、(1056±4)cm-1及び(823±4)cm-1にピークを含むラマンスペクトルを有することを特徴とする、請求項7~10のいずれか一項に記載の共結晶。
【請求項12】
レボチロキシン及びL-酒石酸のモル比が、1.0:0.8~1.2の範囲にある、請求項7~11のいずれか一項に記載の共結晶。
【請求項13】
エタノール溶媒和物であることを特徴とする、請求項7~12のいずれか一項に記載の共結晶。
【請求項14】
レボチロキシン、L-酒石酸及びエタノールのモル比が、1.0:0.8~1.2:0.8~1.2の範囲にある、請求項13に記載の共結晶。
【請求項15】
L-乳酸をさらに含む、請求項7に記載のレボチロキシン及びL-酒石酸を含む共結晶。
【請求項16】
波長0.15419nmのCu-Kα1,2放射線を用いて20~30℃の範囲の温度で測定したとき、(3.7±0.2)°、(20.2±0.2)°及び(22.4±0.2)°の2θ角において反射を含む粉末X線回折図を有することを特徴とする、請求項15に記載の共結晶。
【請求項17】
波長0.15419nmのCu-Kα1,2放射線を用いて20~30℃の範囲の温度で測定したとき、(13.9±0.2)°及び/又は(20.7±0.2)°の2θ角において追加の反射を含む粉末X線回折図を有することを特徴とする、請求項16に記載の共結晶。
【請求項18】
ダイヤモンドATRセルを用いて20~30℃の範囲の温度で測定したとき、(3456±4)cm-1、(1768±4)cm-1、(1440±4)cm-1、(1238±4)cm-1及び(1084±4)cm-1にピークを含むFTIRスペクトルを有することを特徴とする、請求項15~17のいずれか一項に記載の共結晶。
【請求項19】
1.0:0.8~1.2:0.8~1.2の範囲のレボチロキシン、L-酒石酸及びL-乳酸のモル比を有することを特徴とする、請求項15~18のいずれか一項に記載の共結晶。
【請求項20】
前記ジカルボン酸がシュウ酸である、請求項1~4又は6のいずれか一項に記載の共結晶。
【請求項21】
波長0.15419nmのCu-Kα1,2放射線を用いて20~30℃の範囲の温度で測定したとき、(3.6±0.2)°、(13.7±0.2)°及び(22.2±0.2)°の2θ角において反射を含む粉末X線回折図を特徴とする、請求項20に記載の共結晶。
【請求項22】
波長0.15419nmのCu-Kα1,2放射線を用いて20~30℃の範囲の温度で測定したとき、(16.7±0.2)°及び/又は(20.5±0.2)°の2θ角において追加の反射を含む粉末X線回折図を有することを特徴とする、請求項21に記載の共結晶。
【請求項23】
レボチロキシン及びシュウ酸のモル比が、1.0:0.8~1.2の範囲にある、請求項20~22のいずれか一項に記載の共結晶。
【請求項24】
エタノール溶媒和物であることを特徴とする、請求項20~23のいずれか一項に記載の共結晶。
【請求項25】
レボチロキシン、シュウ酸及びエタノールのモル比が、1.0:0.8~1.2:0.8~1.2の範囲にある、請求項24に記載の共結晶。
【請求項26】
医薬組成物の調製のための、請求項1~25のいずれか一項に記載の共結晶の使用。
【請求項27】
請求項1~25のいずれか一項に記載の共結晶及び少なくとも1種の薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項28】
医薬組成物が経口固体剤形である、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
経口固体剤形が錠剤又はカプセルである、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
甲状腺機能低下症の治療及び/又は予防に使用するための、請求項1~25のいずれか一項に記載の共結晶又は請求項27~29のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レボチロキシン及びジカルボン酸、好ましくはL-酒石酸又はシュウ酸を含む共結晶、及びその調製方法に関する。さらに、本発明は、本発明の共結晶、好ましくはレボチロキシン及びL-酒石酸又はシュウ酸を含む共結晶、及び少なくとも1種の薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物に関する。本発明の医薬組成物は、医薬として、特に甲状腺機能低下症の治療に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
レボチロキシンは、主に甲状腺機能低下症の治療における補充療法として使用される。レボチロキシンは、甲状腺で産生される内因性レボチロキシンと同じ生理作用を発揮し、それによって欠乏症があるときに正常なレボチロキシン濃度を維持する合成甲状腺ホルモンである。
【0003】
レボチロキシンは、様々な種類の甲状腺機能正常甲状腺腫の治療又は予防における下垂体TSH抑制の治療にも適応される。
【0004】
群を抜いて安価なレボチロキシン製剤は即放性錠剤である。市販されているレボチロキシンナトリウム錠には、活性剤の五水和物形が含まれる。レボチロキシンナトリウム五水和物は式Aに示す化学構造で表すことができる。
【0005】
【化1】
レボチロキシンナトリウム錠は、25~300マイクログラムの範囲の異なる濃度の低用量医薬品である。その上、この低用量レボチロキシンナトリウムは少ない治療指数(NTI)薬物にも分類される。NTI薬には血液中の最小毒性濃度と最小有効濃度に2倍未満の差があり、製剤の安全かつ有効な使用には慎重な用量漸増及び患者の
モニタリングが必要である。レボチロキシンナトリウムは低用量NTI薬であるため、通常許容できるレベルの化学分解、均一性又は製造中に経験される損失が、レボチロキシンナトリウム錠のより低い又はより優れた効能につながり、臨床的に有害な結果をもたらし、製品の有効性及び安全性の両方に影響を及ぼす可能性がある。過剰又は過少治療の結果は、とりわけ、成長及び発達、心血管機能、骨代謝、生殖機能、認知機能、情緒状態、消化管機能、並びにグルコース及び脂質代謝に対して影響し得る。
【0006】
1950年代に市販されて以来、レボチロキシンナトリウム錠はいくつかの異なるメーカーから何度もリコールされている。リコールのほとんどの根拠は、レボチロキシンナトリウム五水和物の製剤原料の化学的不安定さであり、その結果、有効期限前に含量均一性及び効能仕様を満たさないことであった。
【0007】
特に、市販のレボチロキシンナトリウム五水和物は、圧力及び/又は温度応力にさらされると、物理的及び化学的に不安定であることが、本発明者らにより見出され、このことは通常そのような条件を伴う製剤過程にとって重大である。
【0008】
レボチロキシンナトリウム五水和物の化学的不安定性は科学文献の主題でもある。例えば、Mazen Lee Hamadら「Impact of hydration state and molecular oxygen on the chemical stability of levothyroxine sodium」Pharm Dev Technol、2015、20(3)、314-319は、分子状酸素存在下でレボチロキシンナトリウム五水和物を乾燥条件へさらすと、顕著な分解につながることを示唆している。その結果、レボチロキシンナトリウム五水和物に特定の賦形剤、特に吸湿性賦形剤を配合すると、化学分解を誘発する可能性がある。
【0009】
多くの患者にとって、レボチロキシンは代替薬のない救命薬であり、一旦患者がレボチロキシンを服用し始めると、大部分の患者は一生この薬を必要とし続けることになる。このように、高い製品品質を有し、レボチロキシン代替に頼る患者のための高い安全性及び有効性基準を保証するレボチロキシン錠剤が必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Mazen Lee Hamadら「Impact of hydration state and molecular oxygen on the chemical stability of levothyroxine sodium」Pharm Dev Technol、2015、20(3)、314-319
【発明の概要】
【0011】
本発明は、改良されたレボチロキシン製剤の提供を目的とする。これは、レボチロキシン錠剤の全保存可能期間にわたって信頼性のある効能を維持するレボチロキシンの物理的及び化学的に安定な物理的形態を提供することによって達成される。特に、本発明は、レボチロキシンの改良された固体形態、例えば、レボチロキシンの現在市販されている形態であるレボチロキシンナトリウム五水和物よりも化学的及び物理的に安定なレボチロキシンの結晶形態を提供する。
【0012】
本発明は、レボチロキシン及びジカルボン酸、好ましくはC2-8ジカルボン酸、より好ましくはアジピン酸、アスパラギン酸、フマル酸、グルタミン酸、グルタル酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、シュウ酸、コハク酸及び酒石酸からなる群から選択されるC2-6ジカルボン酸を含む共結晶を提供する。特に、本発明は、レボチロキシン及びジカルボン酸、好ましくはアスパラギン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、シュウ酸、コハク酸及び酒石酸からなる群から選択されるC2-4ジカルボン酸を含む共結晶を提供する。別の実施形態では、本発明は、レボチロキシン及びジカルボン酸、好ましくはアスパラギン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸及び酒石酸からなる群から選択されるCジカルボン酸を含む共結晶に関する。より好ましくは、本発明は、レボチロキシン及びL-酒石酸又はシュウ酸を含む共結晶に関し、最も好ましくは本発明は、レボチロキシン及びL-酒石酸を含む共結晶に関する。
【0013】
本発明の共結晶、特にレボチロキシンとL-酒石酸又はシュウ酸を含む共結晶は、市販のレボチロキシンナトリウム五水和物と比較して種々の条件下で化学的及び物理的により安定である。
【0014】
例えば、分子状酸素の存在下で乾燥条件にさらした場合により安定であるが、レボチロキシン五水和物ナトリウムは同じ条件下で脱水し、続いて非常に速やかに分解する。吸湿性賦形剤とレボチロキシンナトリウム五水和物又は本発明のレボチロキシン共結晶を処方することは、製剤原料を乾燥条件にさらすことと類似しているので、これは特に関連性がある。また、レボチロキシンナトリウム五水和物については、乾燥条件を慎重に選択しなければならないが、本発明の共結晶については、特別な注意は必要ない。
【0015】
また、本発明の共結晶、特にレボチロキシン及びL-酒石酸又はシュウ酸を含む共結晶は、圧力にさらされた場合、市販のレボチロキシンナトリウム五水和物と比較して物理的及び化学的により安定である。錠剤化過程の間のような圧縮は、レボチロキシンナトリウム五水和物の化学的及び物理的安定性に負の影響を及ぼすが、本発明の共結晶は物理的及び化学的に安定なままである。
【0016】
最後になったがこれも他に劣らず重要なことには、本発明の共結晶、特にレボチロキシン及びL-酒石酸を含む共結晶も、レボチロキシンナトリウム五水和物と比較して温度応力に対してより安定である。粉砕及び乾燥のような錠剤製造中のいくつかの処理には、熱の発生が含まれる。したがって、製剤原料が温度応力下で安定なままであることは非常に重要である。
【0017】
レボチロキシンナトリウム五水和物の製造中及び調合、包装及び保管時には特別な注意を払わなければならないが、本発明の共結晶は、その物理的及び化学的安定性の改良により、標準化された方法及び装置で製造することができる。したがって、本発明のレボチロキシン共結晶は、全保存可能期間中に一定の効能を有する安全かつ有効なレボチロキシン薬剤の簡単な製造を可能にする。
【0018】
<略語>
PXRD 粉末X線回折図
SXRD 単結晶X線回折
DSC 示差走査熱量測定
TGA 熱重量分析
NMR 核磁気共鳴
RT 室温
RH 相対湿度
GC ガスクロマトグラフィー
MS 質量分析
rpm 1分当たりの回転数
EtOH エタノール
【0019】
<定義>
本明細書で使用される「レボチロキシン」(「L-チロキシン、テトラヨードチロニン及び「T4」としても知られる)という用語は、(S)-2-アミノ-3-(4-(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェノキシ)-3,5-ジヨードフェニル)プロパン酸又はO-(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェニル)-3,5-ジヨード-L-チロシンを指す。レボチロキシンは式Bに示す化学構造で表すことができる。
【0020】
【化2】
【0021】
本発明の過程において、「レボチロキシン」という用語はまた、式Cに示す化学構造によって表される分子の両性イオン形を包含する。
【0022】
【化3】
【0023】
本明細書で使用される「共結晶」という用語は、非イオン結合及び非共有結合によって会合する同じ結晶格子中の2つ以上の異なる分子及び/又はイオン性化合物から構成される結晶性物質を意味し、ここで、個々の分子及び/又はイオン性化合物の少なくとも2つが室温で固体である。
【0024】
本明細書中で使用される「水和物」という用語は、水が結晶構造の一部であるか又は結晶に取り込まれている(水内包物)など、結晶構造に協同しているか又は結晶構造に収容されている結晶性固体を指す。それによって、水は化学量論的又は非化学量論的な量で存在することができる。水が化学量論的な量で存在する場合、水和物はギリシャ数字の接頭辞を加えることによって言及してもよい。例えば、水和物は、水/化合物の化学量論に応じて、一水和物又は五水和物と呼ばれることがある。水分含量は、例えばKarl-Fischer電量分析によって測定することができる。
【0025】
本明細書中で使用される「脱水」(dehydrating又はdehydration)という用語は、ホスト分子の結晶構造からの水の少なくとも部分的な除去を説明する。
【0026】
本明細書中で使用される「溶媒和物」という用語は、1種以上の有機溶媒が結晶構造の一部であるか又は結晶に取り込まれている(溶媒内包物)など、結晶構造に協同しているか又は結晶構造に収容されている結晶性固体を指す。それによって、1種以上の有機溶媒は化学量論的又は非化学量論的量で存在することができる。1種以上の有機溶媒が化学量論量で存在する場合、溶媒和物はギリシャ数字の接頭辞を加えることによって言及してもよい。例えば、溶媒和物は、溶媒/化合物の化学量論に応じて、半溶媒和物又は一溶媒和物と呼ばれることがある。溶媒含量は、例えば、GC、H-NMR、SXRD及び/又はTGA/MSにより測定することができる。
【0027】
本明細書中で使用される「室温」という用語は、20~30℃の範囲の温度を指す。
【0028】
本明細書中で使用される「ジカルボン酸」という用語は、直鎖又は分枝の、飽和又は不飽和の、置換又は非置換のジカルボン酸を指す。
【0029】
本明細書中で使用される「C2-8ジカルボン酸」という用語は、2~8個の炭素原子を有する直鎖又は分枝の、飽和又は不飽和の、置換又は非置換のジカルボン酸を指し、アジピン酸、アスパラギン酸、フマル酸、グルタミン酸、グルタル酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、シュウ酸、コハク酸及び酒石酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書中で使用される「C2-6ジカルボン酸」という用語は、2~6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝の、飽和又は不飽和の、置換又は非置換のジカルボン酸を指し、アジピン酸、アスパラギン酸、フマル酸、グルタミン酸、グルタル酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、シュウ酸、コハク酸及び酒石酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書中で使用される「C2-4ジカルボン酸」という用語は、2~4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝の、飽和又は不飽和の、置換又は非置換のカルボン酸を指し、アスパラギン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、シュウ酸、コハク酸及び酒石酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
本明細書中で使用される「Cジカルボン酸」という用語は、4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝の、飽和又は不飽和の、置換又は非置換のジカルボン酸を指し、アスパラギン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸及び酒石酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書中で使用される「20~30℃の範囲の温度で測定される」という用語は、標準条件下での測定を指す。通常、標準条件は20~30℃の範囲、すなわち室温での温度を意味する。標準条件は、約22℃の温度を意味することができる。典型的には、標準条件は、相対湿度20~70%下での測定をさらに意味することができる。
【0034】
本明細書中で使用される粉末X線回折に関する「反射」という用語は、X線回折図におけるピークを意味し、このピークは、固体物質中の原子の平行な面によって散乱されたX線からの建設的干渉によって、ある回折角(ブラッグ角)において引き起こされるものであり、これは、長距離の位置的秩序における規則的かつ繰り返し的なパターンで分布している。このような固体物質は結晶性物質に分類されるが、非晶質物質は、長距離秩序を欠き、短距離秩序のみを示すため、広範囲に散乱する固体物質と定義される。文献によれば、長距離秩序は、例えば、約100~1000原子にわたって伸びるのに対し、短距離秩序は数原子にわたるのみである(Vitalij K.Pecharsky及びPeter Y.Zavalij、Kluwer Academic Publishers、2003、3頁による「Fundamentals of Powder Diffraction and Structural Characterization of Materials」参照)。
【0035】
粉末X線回折に関連して「本質的に同じ」という用語は、反射位置及び反射の相対強度のばらつきが考慮されることを意味する。例えば、2θ値の典型的な精度は±0.2°2θの範囲にあり、好ましくは±0.1°2θの範囲にある。したがって、通常3.7°2θに現れる反射は、標準条件下のほとんどのX線回折装置において、例えば、3.5°~3.9°2θの間、好ましくは、3.6°~3.8°2θの間で現れ得る。さらに、当業者は、相対反射強度が、結晶性の程度、好ましい配向、試料調製及び当業者に知られている他の因子によるばらつきと同様に装置間のばらつきを示し、定性的尺度としてのみ理解すべきであることを認識するであろう。
【0036】
赤外分光分析に関連して「本質的に同じ」という用語は、ピーク位置及びピークの相対強度のばらつきが考慮されることを意味する。例えば、波数の値の典型的な精度は±4cm-1の範囲にあり、好ましくは±2cm-1の範囲にある。したがって、例えば1769cm-1におけるピークは、標準条件下でほとんどの赤外分光計で1765~1773cm-1の間、好ましくは1767~1771cm-1の間に現れ得る。ピーク強度は一致した図から導き出すことができるが、当業者は結晶性の程度、試料調製、測定方法及び他の因子によるピーク強度の相違が赤外分光法においても生じ得ることを認識するであろう。したがって、ピーク強度は定性的尺度としてのみ理解すべきである。
【0037】
ラマン分光法に関連して「本質的に同じ」という用語は、ピーク位置及びピークの相対強度のばらつきを考慮しなければならないことを意味する。波数位置の精度は、機器の種類(例えば、ベンチトップ分散型、ベンチトップFT又はハンドヘルド)に依存し得、典型的には±4cm-1の範囲にあり、好ましくは±2cm-1の範囲にある。したがって、例えば1242cm-1におけるピークは、標準条件下でほとんどのラマン分光計で1238~1246cm-1の間、好ましくは1240~1244cm-1の間に現れ得る。ピーク強度は一致した図から導き出すことができるが、当業者は、結晶性の程度、試料調製、測定方法及び他の因子によるピーク強度の相違がラマン分光法においても生じ得ることを認識するであろう。したがって、ピーク強度は定性的尺度としてのみ理解すべきである。
【0038】
本発明の共結晶、特にレボチロキシン及びL-酒石酸又はシュウ酸を含む本発明の共結晶は、本明細書中では、図に「示されるような」粉末X線回折図又は赤外スペクトル又はラマンスペクトルを特徴とすると言うことができる。当業者は、機器の種類の変動、応答及び試料の方向性、試料の濃度、試料の純度、試料の履歴及び試料の調製における変動のような因子が、例えば、正確な反射又はピーク位置及び強度に関連する変動につながり得ることを理解する。しかし、本明細書に記載の図中のグラフデータと、未知の物理的形態について生成されたグラフデータとの比較、及び2組のグラフデータが同一の結晶形態に関係するという確認は、十分に当業者の知識の範囲内である。
【0039】
本明細書中で使用される「母液」という用語は、溶液からの固体の結晶化後に残る溶液を指す。
【0040】
レボチロキシン共結晶、特にレボチロキシン及びL-酒石酸又はシュウ酸を含む本発明の共結晶に関連して本明細書で使用される「所定量」とは、所望の有効性成分含量を有する医薬組成物の調製に使用される、レボチロキシン共結晶、特にレボチロキシン及びL-酒石酸又はシュウ酸を含む本発明の共結晶の初期量を指す。
【0041】
本明細書中で使用される、レボチロキシン共結晶、特にレボチロキシン及びL-酒石酸又はシュウ酸を含む本発明の共結晶と関連した「有効量」という用語は、所望の治療又は予防効果を引き起こすレボチロキシン共結晶、特にレボチロキシン及びL-酒石酸又はシュウ酸を含む本発明の共結晶の量を包含する。
【0042】
本明細書中で使用される「約」という用語は、値の統計的に意味のある範囲内にあることを意味する。このような範囲は、示された値又は範囲の1桁以内、典型的には10%以内、より典型的には5%以内、さらにより典型的には1%以内、及び最も典型的には0.1%以内であり得る。時に、そのような範囲は、与えられた値又は範囲の測定及び/又は決定のために使用される標準的方法の典型である実験誤差の範囲内にあることがある。
【0043】
本明細書中で使用される「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、与えられた用量で有意な薬理活性を持たず、かつ医薬品有効成分に加えて医薬組成物に添加される物質を意味する。賦形剤は、とりわけ、ビヒクル、希釈剤、剥離剤、崩壊剤、溶解変性剤、吸収増強剤、安定剤又は製造助剤の機能をとり得る。賦形剤には、増量剤(希釈剤)、結合剤、崩壊剤、滑沢剤及び流動促進剤が含まれ得る。
【0044】
本明細書中で使用される「増量剤」又は「希釈剤」という用語は、送達前に医薬品有効成分を希釈するために使用される物質を意味する。希釈剤及び増量剤も安定剤としても機能することができる。
【0045】
本明細書中で使用される「結合剤」という用語は、医薬品有効成分及び医薬的に許容可能な賦形剤を一緒に結合して、凝集性部分及び離散性部分を維持する物質を指す。
【0046】
本明細書中で使用される「崩壊剤(disintegrant又はdisintegrating agent)」という用語は、固体の医薬組成物に加えると、投与後のその分割又は崩壊を容易にし、その迅速な溶解を可能にするために、可能な限り効率的に医薬品有効成分の放出を可能にする物質を指す。
【0047】
本明細書中で使用される「滑沢剤」という用語は、錠剤化又はカプセル化処理の間に圧縮粉末塊が装置に付着するのを防止するために粉末ブレンドに添加される物質を指す。これらは、ダイからの錠剤の排出を助け、粉末流動を改善することができる。
【0048】
本明細書中で使用される「流動促進剤」という用語は、錠剤圧縮時の流動特性を改善し、アンチケーキ効果を生じるために、錠剤及びカプセル製剤に使用される物質を指す。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】レボチロキシン及びL-酒石酸を含む本発明の共結晶の代表的なPXRDを例示する。x軸は散乱角度を°2θで示し、y軸は散乱X線ビームの相対強度を検出された光子の計数で示す。
図2】レボチロキシン及びL-酒石酸を含む本発明の共結晶の代表的なFTIRスペクトルを例示する。x軸はcm-1で波数を示し、y軸はパーセント透過率で相対強度を示す。
図3】レボチロキシン及びL-酒石酸を含む本発明の共結晶の代表的なラマンスペクトルを示す。x軸はcm-1で波数を示し、y軸はラマン強度を示す。
図4】レボチロキシン及びL-酒石酸(a軸に沿った図)を含む本発明の共結晶の正投影の単位格子を図示する。
図5】レボチロキシン及びL-酒石酸を含む本発明の共結晶の30~230℃の範囲における代表的なTGA(上)曲線及びDSC(下)曲線を示す。x軸は温度を摂氏(℃)で示す。左のy軸は、熱流量をミリワット(mW)で示し、吸熱ピークは上昇している。右のy軸は、試料の質量(損失)を重量パーセント(重量%)で示す。
図6】レボチロキシンナトリウム五水和物の30~230℃の範囲における代表的なTGA(上)曲線及びDSC(下)曲線を示す。x軸は温度を摂氏(℃)で示す。左のy軸は、熱流量をミリワット(mW)で示し、吸熱ピークは上昇している。右のy軸は、試料の質量(損失)を重量パーセント(重量%)で示す。
図7】初期試料(下)、0%RH及び40℃で周囲の分子状酸素に3週間さらした試料(中央)及び6週間さらした試料(上)のレボチロキシン及びL-酒石酸を含む本発明の共結晶のH-NMRスペクトルのスタックプロットを示す。x軸は、6.5~8.5ppmの範囲での百万分の一(ppm)で表した化学シフトを示す。
図8】初期試料(下)、0%RH及び40℃で周囲の分子状酸素に3週間さらした試料(中央)及び6週間さらした試料(上)のレボチロキシンナトリウム五水和物のH-NMRスペクトルのスタックプロットを示す。x軸は、6.5~8.5ppmの範囲での百万分の一(ppm)で表した化学シフトを示す。
図9】レボチロキシン、L-酒石酸及びL-乳酸を含む本発明の共結晶の代表的なPXRDを例示する。x軸は散乱角度を°2θで示し、y軸は散乱X線ビームの相対強度を検出された光子の計数で示す。
図10】レボチロキシン、L-酒石酸及びL-乳酸を含む本発明の共結晶の代表的なFTIRスペクトルを例示する。x軸はcm-1で波数を示し、y軸はパーセント透過率で相対強度を示す。
図11】レボチロキシン、L-酒石酸及びL-乳酸を含む本発明の共結晶の30~230℃の範囲における代表的なTGA(上)曲線及びDSC(下)曲線を示す。x軸は温度を摂氏(℃)で示す。左のy軸は、熱流量をミリワット(mW)で示し、吸熱ピークは上昇している。右のy軸は、試料の質量(損失)を重量パーセント(重量%)で示す。
図12】レボチロキシン及びシュウ酸を含む本発明の共結晶の代表的なPXRDを例示する。x軸は散乱角度を°2θで示し、y軸は散乱X線ビームの相対強度を検出された光子の計数で示す。
図13】レボチロキシン及びシュウ酸を含む本発明の共結晶の代表的なFTIRスペクトルを例示する。x軸はcm-1で波数を示し、y軸はパーセント透過率で相対強度を示す。
図14】初期試料(下)、0%RH及び40℃で周囲の分子状酸素に3週間さらした試料(中央)及び6週間さらした試料(上)のレボチロキシン、L-酒石酸及びL-乳酸を含む本発明の共結晶のH-NMRスペクトルのスタックプロットを示す。x軸は、6.5~8.5ppmの範囲での百万分の一(ppm)で表した化学シフトを示す。
図15】初期試料(下)、0%RH及び40℃で周囲の分子状酸素に3週間さらした試料(中央)及び6週間さらした試料(上)のレボチロキシン及びシュウ酸を含む本発明の共結晶のH-NMRスペクトルのスタックプロットを示す。x軸は、6.5~8.5ppmの範囲での百万分の一(ppm)で表した化学シフトを示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明は、レボチロキシン及びジカルボン酸、好ましくはC2-8ジカルボン酸、より好ましくはC2-6ジカルボン酸、さらにより好ましくはC2-4ジカルボン酸、最も好ましくはCジカルボン酸を含む共結晶に関する。C2-6ジカルボン酸は、好ましくは、アジピン酸、アスパラギン酸、フマル酸、グルタミン酸、グルタル酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、シュウ酸、コハク酸及び酒石酸からなる群から選択され、ここでシュウ酸が特に好ましく、酒石酸が最も好ましい。酒石酸は、L-酒石酸、D-酒石酸及びDL-酒石酸からなる群から選択され得る。最も好ましくは、酒石酸はL-酒石酸である。
【0051】
レボチロキシン及びジカルボン酸、好ましくはC2-8ジカルボン酸、より好ましくはC2-6ジカルボン酸、さらにより好ましくはC2-4ジカルボン酸、最も好ましくはCジカルボン酸のモル比は、1.0:0.8~1.2の範囲にあり、好ましくは1.0:0.9~1.1の範囲にあり、さらにより好ましくは1.00:0.95~1.05の範囲にあり、最も好ましくはモル比は1.0:1.0である。1つの実施形態において、レボチロキシン及びジカルボン酸、好ましくはC2-8ジカルボン酸、より好ましくはC2-6ジカルボン酸、さらにより好ましくはC2-4ジカルボン酸、最も好ましくはCジカルボン酸のモル比は、1.0:1.8~2.2の範囲にあり、好ましくは1.0:1.9~2.1の範囲にあり、さらにより好ましくは1.00:1.95~2.05の範囲にあり、最も好ましくはモル比は1.0:2.0である。
【0052】
特定の好ましい実施形態において、本発明は、レボチロキシン及びL-酒石酸又はシュウ酸を含む前記の共結晶に関する。
【0053】
レボチロキシン及びL-酒石酸又はシュウ酸を含む本発明の共結晶は、結晶性固体を特徴付けるための製薬業界の分野で周知の分析方法によって特徴づけられ得る。このような方法は、PXRD、SXRD、FTIR、DSC及びTGAを含むが、これらに限定されない。レボチロキシン及びL-酒石酸又はシュウ酸を含む本発明の共結晶は、前記の分析方法の1つによって、又はそのうちの2つ以上を組み合わせることによって特徴づけられ得る。特に、レボチロキシン及びL-酒石酸又はシュウ酸を含む本発明の共結晶は、以下の実施形態のいずれか1つによって、又は以下の実施形態の2つ以上を組み合わせることによって特徴づけられ得る。
【0054】
<レボチロキシン及びL-酒石酸を含む共結晶>
第1の実施形態において、本発明は、波長0.15419nmのCu-Kα1,2放射線を用いてRTにおいて測定したときに、以下の2θ角において反射を含むPXRDを有することを特徴とする、レボチロキシン及びL-酒石酸を含む共結晶に関する。
(3.7±0.2)°、(20.3±0.2)°及び(22.9±0.2)°、又は
(3.7±0.2)°、(12.6±0.2)°、(20.3±0.2)°及び(22.9±0.2)°、又は
(3.7±0.2)°、(12.6±0.2)°、(17.9±0.2)°、(20.3±0.2)°及び(22.9±0.2)°、又は
(3.7±0.2)°、(12.6±0.2)°、(14.1±0.2)°、(17.9±0.2)°、(20.3±0.2)°及び(22.9±0.2)°、又は
(3.7±0.2)°、(12.6±0.2)°、(14.1±0.2)°、(17.9±0.2)°、(20.3±0.2)°、(20.9±0.2)°及び(22.9±0.2)°、又は
(3.7±0.2)°、(12.6±0.2)°、(14.1±0.2)°、(15.7±0.2)°、(17.9±0.2)°、(20.3±0.2)°、(20.9±0.2)°及び(22.9±0.2)°、又は
(3.7±0.2)°、(12.6±0.2)°、(14.1±0.2)°、(15.7±0.2)°、(16.9±0.2)°、(17.9±0.2)°、(20.3±0.2)°、(20.9±0.2)°及び(22.9±0.2)°、又は
(3.7±0.2)°、(12.6±0.2)°、(14.1±0.2)°、(15.7±0.2)°、(16.9±0.2)°、(17.9±0.2)°、(20.3±0.2)°、(20.9±0.2)°、(21.4±0.2)°及び(22.9±0.2)°。
【0055】
別の実施形態では、本発明は、波長0.15419nmのCu-Kα1,2放射線を用いてRTにおいて測定したときに、(3.7±0.2)°、(12.6±0.2)°、(17.9±0.2)°、(20.3±0.2)°、(20.9±0.2)°、(21.4±0.2)°、(22.7±0.2)°、(22.9±0.2)°、(23.2±0.2)°及び(25.6±0.2)°の2θ角において反射を含むPXRDを有することを特徴とするレボチロキシン及びL-酒石酸を含む共結晶に関する。
【0056】
さらなる実施形態において、本発明は、波長0.15419nmのCu-Kα1,2放射線を用いてRTにおいて測定したときに、以下の2θ角において反射を含むPXRDを有することを特徴とする、レボチロキシン及びL-酒石酸を含む共結晶に関する。
(3.7±0.1)°、(20.3±0.1)°及び(22.9±0.1)°、又は
(3.7±0.1)°、(12.6±0.1)°、(20.3±0.1)°及び(22.9±0.1)°、又は
(3.7±0.1)°、(12.6±0.1)°、(17.9±0.1)°、(20.3±0.1)°及び(22.9±0.1)°、又は
(3.7±0.1)°、(12.6±0.1)°、(14.1±0.1)°、(17.9±0.1)°、(20.3±0.1)°及び(22.9±0.1)°、又は
(3.7±0.1)°、(12.6±0.1)°、(14.1±0.1)°、(17.9±0.1)°、(20.3±0.1)°、(20.9±0.1)°及び(22.9±0.1)°、又は
(3.7±0.1)°、(12.6±0.1)°、(14.1±0.1)°、(15.7±0.1)°、(17.9±0.1)°、(20.3±0.1)°、(20.9±0.1)°及び(22.9±0.1)°、又は
(3.7±0.1)°、(12.6±0.1)°、(14.1±0.1)°、(15.7±0.1)°、(16.9±0.1)°、(17.9±0.1)°、(20.3±0.1)°、(20.9±0.1)°及び(22.9±0.1)°、又は
(3.7±0.1)°、(12.6±0.1)°、(14.1±0.1)°、(15.7±0.1)°、(16.9±0.1)°、(17.9±0.1)°、(20.3±0.1)°、(20.9±0.1)°、(21.4±0.1)°及び(22.9±0.1)°。
【0057】
さらに別の実施形態では、本発明は、波長0.15419nmのCu-Kα1,2放射線を用いてRTにおいて測定したときに、(3.7±0.1)°、(12.6±0.1)°、(17.9±0.1)°、(20.3±0.1)°、(20.9±0.1)°、(21.4±0.1)°、(22.7±0.1)°、(22.9±0.1)°、(23.2±0.1)°及び(25.6±0.1)°の2θ角において反射を含むPXRDを有することを特徴とするレボチロキシン及びL-酒石酸を含む共結晶に関する。
【0058】
さらに別の実施形態では、本発明は、波長0.15419nmのCu-Kα1,2放射線を用いてRTにおいて測定したとき、本発明の図1に示されたものと本質的に同じPXRDを有することを特徴とするレボチロキシン及びL-酒石酸を含む共結晶に関する。
【0059】
1つの実施形態において、本発明は、ダイヤモンドATRセルを用いてRTにおいて測定したとき、以下の波数のピークを含むFTIRスペクトルを有することを特徴とするレボチロキシン及びL-酒石酸を含む共結晶に関する。
(3471±4)cm-1、(1769±4)cm-1及び(1221±4)cm-1、又は
(3471±4)cm-1、(1769±4)cm-1、(1586±4)cm-1及び(1221±4)cm-1、又は
(3471±4)cm-1、(1769±4)cm-1、(1586±4)cm-1、(1433±4)cm-1及び(1221±4)cm-1、又は
(3471±4)cm-1、(1769±4)cm-1、(1586±4)cm-1、(1433±4)cm-1、(1282±4)cm-1及び(1221±4)cm-1、又は
(3471±4)cm-1、(1769±4)cm-1、(1586±4)cm-1、(1433±4)cm-1、(1282±4)cm-1、(1221±4)cm-1及び(1128±4)cm-1又は
(3471±4)cm-1、(1769±4)cm-1、(1586±4)cm-1、(1433±4)cm-1、(1282±4)cm-1、(1221±4)cm-1、(1128±4)cm-1及び(822±4)cm-1又は
(3471±4)cm-1、(1769±4)cm-1、(1586±4)cm-1、(1433±4)cm-1、(1282±4)cm-1、(1221±4)cm-1、(1128±4)cm-1、(822±4)cm-1及び(656±4)cm-1又は
(3471±4)cm-1、(3128±4)cm-1、(1769±4)cm-1、(1586±4)cm-1、(1433±4)cm-1、(1282±4)cm-1、(1221±4)cm-1、(1128±4)cm-1、(822±4)cm-1及び(656±4)cm-1
【0060】
別の実施形態において、本発明は、ダイヤモンドATRセルを用いてRTにおいて測定したとき、以下の波数のピークを含むFTIRスペクトルを有することを特徴とするレボチロキシン及びL-酒石酸を含む共結晶に関する。
(3471±2)cm-1、(1769±2)cm-1及び(1221±2)cm-1、又は
(3471±2)cm-1、(1769±2)cm-1、(1586±2)cm-1及び(1221±2)cm-1、又は
(3471±2)cm-1、(1769±2)cm-1、(1586±2)cm-1、(1433±2)cm-1及び(1221±2)cm-1、又は
(3471±2)cm-1、(1769±2)cm-1、(1586±2)cm-1、(1433±2)cm-1、(1282±2)cm-1及び(1221±2)cm-1、又は
(3471±2)cm-1、(1769±2)cm-1、(1586±2)cm-1、(1433±2)cm-1、(1282±2)cm-1、(1221±2)cm-1及び(1128±2)cm-1、又は
(3471±2)cm-1、(1769±2)cm-1、(1586±2)cm-1、(1433±2)cm-1、(1282±2)cm-1、(1221±2)cm-1、(1128±2)cm-1及び(822±2)cm-1、又は
(3471±2)cm-1、(1769±2)cm-1、(1586±2)cm-1、(1433±2)cm-1、(1282±2)cm-1、(1221±2)cm-1、(1128±2)cm-1、(822±2)cm-1及び(656±2)cm-1、又は
(3471±2)cm-1、(3128±2)cm-1、(1769±2)cm-1、(1586±2)cm-1、(1433±2)cm-1、(1282±2)cm-1、(1221±2)cm-1、(1128±2)cm-1、(822±2)cm-1及び(656±2)cm-1
【0061】
さらに別の実施形態では、本発明は、ダイヤモンドATRセルを用いてRTにおいて測定したときに、本発明の図2に示されたものと本質的に同じFTIRスペクトルを有することを特徴とするレボチロキシン及びL-酒石酸を含む共結晶に関する。
【0062】
1つの実施形態において、本発明は、RT及び波長785nmで測定したとき、以下の波数のピークを含むラマンスペクトルを有することを特徴とするレボチロキシン及びL-酒石酸を含む共結晶に関する。
(1242±4)cm-1、(1056±4)cm-1及び(823±4)cm-1、又は
(1587±4)cm-1、(1242±4)cm-1、(1056±4)cm-1及び(823±4)cm-1、又は
(1732±4)cm-1、(1587±4)cm-1、(1242±4)cm-1、(1056±4)cm-1及び(823±4)cm-1、又は
(1732±4)cm-1、(1587±4)cm-1、(1452±4)cm-1、(1242±4)cm-1、(1056±4)cm-1及び(823±4)cm-1、又は
(1732±4)cm-1、(1587±4)cm-1、(1452±4)cm-1、(1283±4)cm-1、(1242±4)cm-1、(1056±4)cm-1及び(823±4)cm-1、又は
(1732±4)cm-1、(1587±4)cm-1、(1452±4)cm-1、(1283±4)cm-1、(1242±4)cm-1、(1056±4)cm-1、(1041±4)cm-1及び(823±4)cm-1、又は
(1732±4)cm-1、(1587±4)cm-1、(1452±4)cm-1、(1283±4)cm-1、(1242±4)cm-1、(1056±4)cm-1、(1041±4)cm-1、(852±4)cm-1及び(823±4)cm-1、又は
(1732±4)cm-1、(1587±4)cm-1、(1452±4)cm-1、(1283±4)cm-1、(1242±4)cm-1、(1056±4)cm-1、(1041±4)cm-1、(852±4)cm-1、(823±4)cm-1及び(381±4)cm-1
【0063】
別の実施形態において、本発明は、RT及び波長785nmで測定したとき、以下の波数のピークを含むラマンスペクトルを有することを特徴とするレボチロキシン及びL-酒石酸を含む共結晶に関する。
(1242±2)cm-1、(1056±2)cm-1及び(823±2)cm-1、又は
(1587±2)cm-1、(1242±2)cm-1、(1056±2)cm-1及び(823±2)cm-1、又は
(1732±2)cm-1、(1587±2)cm-1、(1242±2)cm-1、(1056±2)cm-1及び(823±2)cm-1、又は
(1732±2)cm-1、(1587±2)cm-1、(1452±2)cm-1、(1242±2)cm-1、(1056±2)cm-1及び(823±2)cm-1、又は
(1732±2)cm-1、(1587±2)cm-1、(1452±2)cm-1、(1283±2)cm-1、(1242±2)cm-1、(1056±2)cm-1及び(823±2)cm-1、又は
(1732±2)cm-1、(1587±2)cm-1、(1452±2)cm-1、(1283±2)cm-1、(1242±2)cm-1、(1056±2)cm-1、(1041±2)cm-1及び(823±2)cm-1、又は
(1732±2)cm-1、(1587±2)cm-1、(1452±2)cm-1、(1283±2)cm-1、(1242±2)cm-1、(1056±2)cm-1、(1041±2)cm-1、(852±2)cm-1及び(823±2)cm-1、又は
(1732±2)cm-1、(1587±2)cm-1、(1452±2)cm-1、(1283±2)cm-1、(1242±2)cm-1、(1056±2)cm-1、(1041±2)cm-1、(852±2)cm-1、(823±2)cm-1及び(381±2)cm-1
【0064】
さらに別の実施形態では、本発明は、20~30℃の範囲の温度及び波長785nmで測定したときに、本発明の図3に示されたものと本質的に同じラマンスペクトルを有することを特徴とするレボチロキシン及びL-酒石酸を含む共結晶に関する。
【0065】
さらなる実施形態において、本発明は、空間群P2を有する単斜晶単位格子を示すことを特徴とするレボチロキシン及びL-酒石酸を含む共結晶に関する。好ましくは、単位格子は、0.71073オングストロームの波長を有するMo-Kα1,2放射線で(173±2)Kにおいて単結晶X線回折で測定したとき、以下のパラメータを有する。
a=5.7600(4)オングストローム
b=10.4551(5)オングストローム
c=46.8620(18)オングストローム
アルファ=90°
ベータ=90°
ガンマ=90°。
【0066】
本発明はまた、共結晶がエタノール溶媒和物、好ましくはエタノール一溶媒和物であることを特徴とする前記の実施形態のいずれか1つに記載されたレボチロキシン及びL-酒石酸を含む共結晶に関する。
【0067】
好ましくは、本発明は、レボチロキシン、L-酒石酸及びエタノールのモル比が、1.0:0.8~1.2:0.8~1.2、好ましくは1.0:0.9~1.1:0.9~1.1、さらにより好ましくは1.00:0.95~1.05:0.95~1.05の範囲であり、最も好ましくはモル比が1.0:1.0:1.0であることを特徴とする、レボチロキシン、L-酒石酸及びエタノールを含む共結晶に関する。
【0068】
あるいは、本発明は、式Dに描かれているような分子構造を有することを特徴とするレボチロキシン、L-酒石酸及びエタノールを含む共結晶であって、n及びmは、互いに独立して、0.8~1.2、好ましくは0.9~1.1、より好ましくは0.95~1.05の範囲である共結晶に関する。最も好ましくは、n及びmは1.0である。
【0069】
【化4】
【0070】
特に、本発明は、式Eに描かれているような分子構造を有することを特徴とするレボチロキシン、L-酒石酸及びエタノールを含む共結晶であって、n及びmは、互いに独立して、0.8~1.2、好ましくは0.9~1.1、より好ましくは0.95~1.05の範囲である共結晶に関する。最も好ましくは、n及びmは1.0である。
【0071】
【化5】
【0072】
1つの実施形態において、本発明は、15K/分の加熱速度でDSCで測定したとき、(149±5)℃、好ましくは(149±3)℃、より好ましくは(149±1)℃の開始温度を有する吸熱ピーク、好ましくは第1の吸熱ピークを含むDSC曲線を有すること特徴とする、レボチロキシン及びL-酒石酸を含む共結晶に関する。
【0073】
さらなる実施形態において、本発明は、15K/分の加熱速度でDSCで測定したとき、(165±5)℃、好ましくは(165±3)℃、より好ましくは(165±1)℃のピーク最高温度を有する吸熱ピーク、好ましくは第1の吸熱ピークを含むDSC曲線を有することを特徴とする、レボチロキシン及びL-酒石酸を含む共結晶に関する。
【0074】
さらに別の実施形態では、本発明は、15K/分の加熱速度でDSCで測定したとき、(180±5)℃、好ましくは(180±3)℃、より好ましくは(180±1)℃の開始温度を有する吸熱ピーク、好ましくは第2の吸熱ピークを含むDSC曲線を有することを特徴とする、レボチロキシン及びL-酒石酸を含む共結晶に関する。
【0075】
さらに別の実施形態において、本発明は、15K/分の加熱速度でDSCで測定したとき、(197±5)℃、好ましくは(197±3)℃、より好ましくは(197±1)℃のピーク最高温度を有する吸熱ピーク、好ましくは第2の吸熱ピークを含むDSC曲線を有することを特徴とする、レボチロキシン及びL-酒石酸を含む共結晶に関する。
【0076】
さらなる態様において、本発明は、レボチロキシン及びジカルボン酸、好ましくはC2-8ジカルボン酸、より好ましくはC2-6ジカルボン酸、さらにより好ましくはC2-4ジカルボン酸、最も好ましくはCジカルボン酸、特にL-酒石酸を含む共結晶の製造方法であって、以下を含む製造方法に関する。
(a) レボチロキシン、ジカルボン酸、好ましくはC2-8ジカルボン酸、より好ましくはC2-6ジカルボン酸、さらにより好ましくはC2-4ジカルボン酸、最も好ましくはCジカルボン酸、特にL-酒石酸及び適切な溶媒を含む混合物であって、レボチロキシン及びジカルボン酸、好ましくはC2-8ジカルボン酸、より好ましくはC2-6ジカルボン酸、さらにより好ましくはC2-4ジカルボン酸、最も好ましくはCジカルボン酸、特にL-酒石酸のモル比は、1:1.5~1:2.5の範囲である混合物を提供し、
(b) (a)で得た混合物を撹拌し、
(c) (b)で得た共結晶の少なくとも一部を母液から分離し、
(d) 任意に(c)で得た単離された共結晶を洗浄し、
(e) 工程(c)又は(d)で得た共結晶を乾燥させる。
【0077】
レボチロキシンは市販されている(例:abcr GmbH)。ジカルボン酸は、好ましくはC2-8ジカルボン酸、より好ましくはC2-6ジカルボン酸、さらにより好ましくはC2-4ジカルボン酸、最も好ましくはCジカルボン酸であり、例えば、アジピン酸、アスパラギン酸(D-異性体、L-異性体及びラセミ体を含む)、フマル酸、グルタミン酸(D-異性体、L-異性体及びラセミ体を含む)、グルタル酸、マレイン酸、リンゴ酸(D-異性体、L-異性体及びラセミ体を含む)、マロン酸、シュウ酸、コハク酸及び酒石酸(D-異性体、L-異性体及びラセミ体を含む)からなる群から選択される。最も好ましくは、L-酒石酸が、本方法において共結晶構成材として使用される。
【0078】
本方法の工程(a)では、過剰の共結晶構成材(fomer)が使用される。適用されるレボチロキシン及びジカルボン酸、好ましくはC2-8ジカルボン酸、より好ましくはC2-6ジカルボン酸、さらにより好ましくはC2-4ジカルボン酸、最も好ましくはCジカルボン酸、特にL-酒石酸のモル比は、1.0:1.5~2.5、好ましくは1.0:1.8~2.2、より好ましくは1.0:1.9~2.1からの範囲であり、最も好ましくはモル比は1.0:2.0である。
【0079】
工程(a)で使用できる適切な溶媒は、好ましくは、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール及びイソプロパノール、又はそれらの任意の混合物からなる群からから選択される。最も好ましくは、エタノールが、本方法において溶媒として使用される。
【0080】
工程(a)で提供される混合物のレボチロキシン濃度は約30~50g/Lの範囲にあり、最も好ましくはレボチロキシン濃度は約40g/Lである。
【0081】
共結晶化は、工程(a)で供給された混合物を撹拌することによって達成される。撹拌は、レボチロキシン出発材料の少なくともかなりの部分、好ましくはすべてが所望の共結晶に変換するのに十分な期間実施され得る。好ましくは、撹拌は室温で数時間~数日間の範囲で行われる。撹拌は2時間~7日間の範囲で、例えば、約3日間行うことができる。当業者は、混合物から試料を採取し、例えば、粉末X線回折によって試料を分析することによって、所望の共結晶へのレボチロキシンの変換を監視することができる。レボチロキシン出発材料及び共結晶構成材の特定の特徴的な反射がもはや粉末X線回折図で検出できなくなった場合には、撹拌を止めることができる。
【0082】
所望のレボチロキシン共結晶が得られたか、又は好ましくは本質的に純粋な形でレボチロキシン共結晶が得られたならば、共結晶の少なくとも一部は母液から分離される。好ましくは、共結晶は、濾過、遠心分離又はデカンテーションなどの任意の従来の方法によって、より好ましくは濾過又は遠心分離によって、最も好ましくは濾過によって母液から分離される。
【0083】
任意に、さらなる工程において、単離された共結晶は適切な溶媒で洗浄される。最も好ましいのは、任意の洗浄工程にエタノールを用いることである。
【0084】
得られた共結晶は最終的に乾燥させる。乾燥は、約20~80℃の範囲、好ましくは約20~40℃の範囲の温度で行うことができ、最も好ましくは乾燥はRTで行う。乾燥は、約1~72時間、好ましくは約2~48時間、より好ましくは約4~24時間、最も好ましくは約6~18時間の範囲の期間行うことができる。乾燥は、周囲圧力及び/又は減圧下で行うことができる。好ましくは、乾燥は約100mbar以下、より好ましくは約50mbar以下、最も好ましくは約30mbar以下の圧力で行われ、例えば、乾燥のために約25mbarの真空が適用される。
【0085】
<レボチロキシン、L-酒石酸及びL-乳酸を含む共結晶>
別の実施形態において、本発明は、波長0.15419nmのCu-Kα1,2放射線を用いてRTにおいて測定したとき、以下の2θ角において反射を含むPXRDを有することを特徴とする、レボチロキシン、L-酒石酸及びL-乳酸を含む共結晶に関する。
(3.7±0.2)°、(20.2±0.2)°及び(22.4±0.2)°、又は
(3.7±0.2)°、(13.9±0.2)°、(20.2±0.2)°及び(22.4±0.2)°、又は
(3.7±0.2)°、(13.9±0.2)°、(20.2±0.2)°、(20.7±0.2)°及び(22.4±0.2)°、又は
(3.7±0.2)°、(12.4±0.2)°、(13.9±0.2)°、(20.2±0.2)°、(20.7±0.2)°及び(22.4±0.2)°、又は
(3.7±0.2)°、(12.4±0.2)°、(13.9±0.2)°、(17.7±0.2)°、(20.2±0.2)°、(20.7±0.2)°及び(22.4±0.2)°、又は
(3.7±0.2)°、(12.4±0.2)°、(13.9±0.2)°、(17.7±0.2)°、(20.2±0.2)°、(20.7±0.2)°、(21.0±0.2)°及び(22.4±0.2)°、又は
(3.7±0.2)°、(8.9±0.2)°、(12.4±0.2)°、(13.9±0.2)°、(17.7±0.2)°、(20.2±0.2)°、(20.7±0.2)°、(21.0±0.2)°及び(22.4±0.2)°、又は
(3.7±0.2)°、(8.9±0.2)°、(12.4±0.2)°、(13.9±0.2)°、(17.7±0.2)°、(20.2±0.2)°、(20.7±0.2)°、(21.0±0.2)°、(22.4±0.2)°及び(23.0±0.2)°。
【0086】
さらに別の実施形態では、本発明は、波長0.15419nmのCu-Kα1,2放射線を用いてRTにおいて測定したとき、(3.7±0.2)°、(17.7±0.2)°、(20.2±0.2)°、(20.7±0.2)°、(21.0±0.2)°、(22.4±0.2)°、(22.7±0.2)°、(23.0±0.2)°、(25.1±0.2)°及び(26.0±0.2)°の2θ角において反射を含むPXRDを有することを特徴とする、レボチロキシン、L-酒石酸及びL-乳酸を含む共結晶に関する。
【0087】
さらなる実施形態において、本発明は、波長0.15419nmのCu-Kα1,2放射線を用いてRTにおいて測定したとき、以下の2θ角において反射を含むPXRDを有することを特徴とする、レボチロキシン、L-酒石酸及びL-乳酸を含む共結晶に関する。
(3.7±0.1)°、(20.2±0.1)°及び(22.4±0.1)°、又は
(3.7±0.1)°、(13.9±0.1)°、(20.2±0.1)°及び(22.4±0.1)°、又は
(3.7±0.1)°、(13.9±0.1)°、(20.2±0.1)°、(20.7±0.1)°及び(22.4±0.1)°、又は
(3.7±0.1)°、(12.4±0.1)°、(13.9±0.1)°、(20.2±0.1)°、(20.7±0.1)°及び(22.4±0.1)°、又は
(3.7±0.1)°、(12.4±0.1)°、(13.9±0.1)°、(17.7±0.1)°、(20.2±0.1)°、(20.7±0.1)°及び(22.4±0.1)°、又は
(3.7±0.1)°、(12.4±0.1)°、(13.9±0.1)°、(17.7±0.1)°、(20.2±0.1)°、(20.7±0.1)°、(21.0±0.1)°及び(22.4±0.1)°、又は
(3.7±0.1)°、(8.9±0.1)°、(12.4±0.1)°、(13.9±0.1)°、(17.7±0.1)°、(20.2±0.1)°、(20.7±0.1)°、(21.0±0.1)°及び(22.4±0.1)°、又は
(3.7±0.1)°、(8.9±0.1)°、(12.4±0.1)°、(13.9±0.1)°、(17.7±0.1)°、(20.2±0.1)°、(20.7±0.1)°、(21.0±0.1)°、(22.4±0.1)°及び(23.0±0.1)°。
【0088】
さらに別の実施形態では、本発明は、波長0.15419nmのCu-Kα1,2放射線を用いてRTにおいて測定したとき、(3.7±0.1)°、(17.7±0.1)°、(20.2±0.1)°、(20.7±0.1)°、(21.0±0.1)°、(22.4±0.1)°、(22.7±0.1)°、(23.0±0.1)°、(25.1±0.1)°及び(26.0±0.1)°の2θ角において反射を含むPXRDを有することを特徴とする、レボチロキシン、L-酒石酸及びL-乳酸を含む共結晶に関する。
【0089】
さらに別の実施形態では、本発明は、波長0.15419nmのCu-Kα1,2放射線を用いてRTにおいて測定したとき、本発明の図9に示されたものと本質的に同じPXRDを有することを特徴とするレボチロキシン、L-酒石酸及びL-乳酸を含む共結晶に関する。
【0090】
1つの実施形態において、本発明は、ダイヤモンドATRセルを用いてRTにおいて測定したとき、以下の波数のピークを含むFTIRスペクトルを有することを特徴とするレボチロキシン、L-酒石酸及びL-乳酸を含む共結晶に関する。
(1440±4)cm-1、(1238±4)cm-1及び(1084±4)cm-1、又は
(3456±4)cm-1、(1440±4)cm-1、(1238±4)cm-1及び(1084±4)cm-1、又は
(3456±4)cm-1、(1768±4)cm-1、(1440±4)cm-1、(1238±4)cm-1及び(1084±4)cm-1、又は
(3456±4)cm-1、(1768±4)cm-1、(1722±4)cm-1、(1440±4)cm-1、(1238±4)cm-1及び(1084±4)cm-1、又は
(3456±4)cm-1、(1768±4)cm-1、(1722±4)cm-1、(1588±4)cm-1、(1440±4)cm-1、(1238±4)cm-1及び(1084±4)cm-1、又は
(3456±4)cm-1、(1768±4)cm-1、(1722±4)cm-1、(1588±4)cm-1、(1440±4)cm-1、(1238±4)cm-1、(1084±4)cm-1及び(992±4)cm-1、又は
(3456±4)cm-1、(1768±4)cm-1、(1722±4)cm-1、(1588±4)cm-1、(1440±4)cm-1、(1238±4)cm-1、(1084±4)cm-1、(992±4)cm-1及び(753±4)cm-1、又は
(3456±4)cm-1、(1768±4)cm-1、(1722±4)cm-1、(1588±4)cm-1、(1440±4)cm-1、(1238±4)cm-1、(1084±4)cm-1、(992±4)cm-1、(753±4)cm-1及び(661±4)cm-1
【0091】
別の実施形態において、本発明は、ダイヤモンドATRセルを用いてRTにおいて測定したとき、以下の波数のピークを含むFTIRスペクトルを有することを特徴とするレボチロキシン、L-酒石酸及びL-乳酸を含む共結晶に関する。
(1440±2)cm-1、(1238±2)cm-1及び(1084±2)cm-1、又は
(3456±2)cm-1、(1440±2)cm-1、(1238±2)cm-1及び(1084±2)cm-1、又は
(3456±2)cm-1、(1768±2)cm-1、(1440±2)cm-1、(1238±2)cm-1及び(1084±2)cm-1、又は
(3456±2)cm-1、(1768±2)cm-1、(1722±2)cm-1、(1440±2)cm-1、(1238±2)cm-1及び(1084±2)cm-1、又は
(3456±2)cm-1、(1768±2)cm-1、(1722±2)cm-1、(1588±2)cm-1、(1440±2)cm-1、(1238±4)cm-1及び(1084±2)cm-1、又は
(3456±2)cm-1、(1768±2)cm-1、(1722±2)cm-1、(1588±2)cm-1、(1440±2)cm-1、(1238±2)cm-1、(1084±2)cm-1及び(992±2)cm-1、又は
(3456±2)cm-1、(1768±2)cm-1、(1722±2)cm-1、(1588±2)cm-1、(1440±2)cm-1、(1238±2)cm-1、(1084±2)cm-1、(992±2)cm-1及び(753±2)cm-1、又は
(3456±2)cm-1、(1768±2)cm-1、(1722±2)cm-1、(1588±2)cm-1、(1440±2)cm-1、(1238±2)cm-1、(1084±2)cm-1、(992±2)cm-1、(753±2)cm-1及び(661±2)cm-1
【0092】
さらに別の実施形態では、本発明は、ダイヤモンドATRセルを用いてRTにおいて測定したとき、本発明の図10に示されたものと本質的に同じFTIRスペクトルを有することを特徴とするレボチロキシン、L-酒石酸及びL-乳酸を含む共結晶に関する。
【0093】
好ましくは、本発明は、1.0:0.8~1.2:0.8~1.2、好ましくは1.0:0.9~1.1:0.9~1.1、さらにより好ましくは1.00:0.95~1.05:0.95~1.05の範囲において、レボチロキシン、L-酒石酸及びL-乳酸のモル比を有ることを特徴とするレボチロキシン、酒石酸及びL-乳酸を含む共結晶に関し、最も好ましくはモル比は1.0:1.0:1.0である。
【0094】
あるいは、本発明は、式Fに描かれるような分子構造を有することを特徴とするレボチロキシン、L-酒石酸及びL-乳酸を含む共結晶に関する。
【0095】
【化6】
式中、n及びmは、互いに独立して、0.8~1.2、好ましくは0.9~1.1、より好ましくは0.95~1.05の範囲である。最も好ましくは、n及びmは1.0である。
【0096】
特に、本発明は、式Gに描かれるような分子構造を有することを特徴とするレボチロキシン、L-酒石酸及びL-乳酸を含む共結晶に関する。
【0097】
【化7】
式中、n及びmは、互いに独立して、0.8~1.2、好ましくは0.9~1.1、より好ましくは0.95~1.05の範囲である。最も好ましくは、n及びmは1.0である。
【0098】
1つの実施形態では、本発明は、20K/分の加熱速度でDSCで測定したとき、(151±5)℃、好ましくは(151±3)℃、より好ましくは(151±1)℃の開始温度を有する吸熱ピーク、好ましくは第1の吸熱ピークを含むDSC曲線を有することを特徴とするレボチロキシン、L-酒石酸及びL-乳酸を含む共結晶に関する。
【0099】
さらなる実施形態において、本発明は、20K/分の加熱速度でDSCで測定したとき、(162±5)℃、好ましくは(162±3)℃、より好ましくは(162±1)℃の温度でピーク最大値を有する吸熱ピーク、好ましくは第1の吸熱ピークを含むDSC曲線を有することを特徴とするレボチロキシン、L-酒石酸及びL-乳酸を含む共結晶に関する。
【0100】
さらなる態様において、本発明は、レボチロキシン、L-酒石酸、及びL-乳酸を含む共結晶の調製のための方法であって、以下を含む上記実施形態のいずれか1つに定義される方法に関する。
(a) レボチロキシン、L-酒石酸、L-乳酸及び適切な溶媒を含む混合物であって、レボチロキシン、L-酒石酸及びL-乳酸のモル比は、約1.0:2.0:8.0の範囲である混合物を提供し、
(b) (a)で得た混合物を撹拌し、
(c) (b)で得た結晶の少なくとも一部を母液から分離し、
(d) 任意に(c)で得た単離された結晶を洗浄し、
(e) 工程(c)又は(d)で得た結晶を乾燥させる。
【0101】
市販のレボチロキシン(例えば、abcr GmbHから)は、工程(a)において、共結晶構成材である、過剰のL-酒石酸及びL-乳酸で処理される。それによって適用されるレボチロキシン、L-酒石酸及びL-乳酸のモル比は、約1.0:2.0:8.0の範囲である。
【0102】
工程(a)で用いることができる適切な溶媒は、好ましくは、エーテル、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル及び酢酸イソブチル又はそれらの任意の混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、酢酸イソブチルが、本方法において溶媒として使用される。
【0103】
工程(a)で提供される混合物のレボチロキシン濃度は、溶媒又は溶媒混合物1L当たり約80~120gの範囲にあり、最も好ましくは、レボチロキシン濃度は、溶媒又は溶媒混合物1L当たり約100gである。
【0104】
共結晶化は、工程(a)で提供された混合物を撹拌することによって達成される。撹拌は室温で行うことができる。より好ましくは、撹拌は、約10℃~20℃の範囲の温度で行うことができる。特定の好ましい実施形態において、撹拌は、温度を10℃~20℃の範囲の間で変化させることによって行うことができる。撹拌は、レボチロキシン出発材料の少なくともかなりの部分、好ましくはすべてがレボチロキシンL-酒石酸L-乳酸共結晶に変換されるのに十分な期間実施することができる。それゆえ、撹拌期間は数時間~数日の範囲であることができ、例えば、撹拌は約2時間~10日の範囲の期間、例えば、約7日間行うことができる。当業者は、混合物から試料を採取し、例えば粉末X線回折により試料を分析することにより、レボチロキシンL-酒石酸L-乳酸共結晶へのレボチロキシンの変換を監視することができる。レボチロキシン出発材料及び適用された共結晶構成材の特定の特徴的な反射が粉末X線回折図においてもはや検出できない場合には、撹拌を停止することができる。
【0105】
所望のレボチロキシンL-酒石酸L-乳酸共結晶が得られたか、又は好ましくは本質的に純粋な形で該共結晶が得られたならば、結晶の少なくとも一部が母液から分離される。好ましくは、結晶は、濾過、遠心分離又はデカンテーションなどの任意の従来の方法によって、より好ましくは濾過又は遠心分離によって、最も好ましくは濾過によって母液から分離される。
【0106】
任意に、さらなる工程において、単離された結晶を適切な溶媒、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル及び酢酸イソブチルからなる群から選択される1種以上のエーテルで洗浄する。最も好ましくは、任意の洗浄工程に酢酸イソブチルが使用される。
【0107】
得られた結晶を最終的に乾燥させる。乾燥は、約20~80℃の範囲、好ましくは約20~40℃の範囲の温度で行うことができ、最も好ましくは乾燥はRTで行う。乾燥は、約1~72時間、好ましくは約2~48時間、より好ましくは約4~24時間、最も好ましくは約6~18時間の範囲の期間行うことができる。乾燥は、周囲圧力及び/又は減圧下で行うことができる。好ましくは、乾燥は約100mbar以下、より好ましくは約50mbar以下、最も好ましくは約30mbar以下の圧力で行われ、例えば、乾燥のために約25mbarの真空が適用される。
【0108】
<レボチロキシン及びシュウ酸を含む共結晶>
別の実施形態において、本発明は、波長0.15419nmのCu-Kα1,2放射線を用いてRTにおいて測定したとき、以下の2θ角において反射を含むPXRDを有することを特徴とするレボチロキシン及びシュウ酸を含む共結晶に関する。
(3.6±0.2)°、(13.7±0.2)°及び(22.2±0.2)°、又は
(3.6±0.2)°、(13.7±0.2)°、(16.7±0.2)°及び(22.2±0.2)°、又は
(3.6±0.2)°、(13.7±0.2)°、(16.7±0.2)°、(20.5±0.2)°及び(22.2±0.2)°、又は
(3.6±0.2)°、(13.7±0.2)°、(16.7±0.2)°、(19.9±0.2)°、(20.5±0.2)°及び(22.2±0.2)°、又は
(3.6±0.2)°、(9.2±0.2)°、(13.7±0.2)°、(16.7±0.2)°、(19.9±0.2)°、(20.5±0.2)°及び(22.2±0.2)°、又は
(3.6±0.2)°、(9.2±0.2)°、(13.7±0.2)°、(16.7±0.2)°、(18.2±0.2)°、(19.9±0.2)°、(20.5±0.2)°及び(22.2±0.2)°、又は
(3.6±0.2)°、(9.2±0.2)°、(13.7±0.2)°、(16.7±0.2)°、(18.2±0.2)°、(19.9±0.2)°、(20.5±0.2)°、(22.2±0.2)°及び(22.7±0.2)°、又は
(3.6±0.2)°、(9.2±0.2)°、(13.7±0.2)°、(16.7±0.2)°、(18.2±0.2)°、(19.9±0.2)°、(20.5±0.2)°、(22.2±0.2)°、(22.7±0.2)°及び(23.5±0.2)°。
【0109】
さらなる実施形態において、本発明は、波長0.15419nmのCu-Kα1,2放射線を用いてRTにおいて測定したとき、以下の2θ角において反射を含むPXRDを有することを特徴とするレボチロキシン及びシュウ酸を含む共結晶に関する。
(3.6±0.1)°、(13.7±0.1)°及び(22.2±0.1)°、又は
(3.6±0.1)°、(13.7±0.1)°、(16.7±0.1)°及び(22.2±0.1)°、又は
(3.6±0.1)°、(13.7±0.1)°、(16.7±0.1)°、(20.5±0.1)°及び(22.2±0.1)°、又は
(3.6±0.1)°、(13.7±0.1)°、(16.7±0.1)°、(19.9±0.1)°、(20.5±0.1)°及び(22.2±0.1)°、又は
(3.6±0.1)°、(9.2±0.1)°、(13.7±0.1)°、(16.7±0.1)°、(19.9±0.1)°、(20.5±0.1)°及び(22.2±0.1)°、又は
(3.6±0.1)°、(9.2±0.1)°、(13.7±0.2)°、(16.7±0.2)°、(18.2±0.2)°、(19.9±0.2)°、(20.5±0.2)°及び(22.2±0.2)°、又は
(3.6±0.1)°、(9.2±0.1)°、(13.7±0.1)°、(16.7±0.1)°、(18.2±0.1)°、(19.9±0.1)°、(20.5±0.1)°、(22.2±0.1)°及び(22.7±0.1)°、又は
(3.6±0.1)°、(9.2±0.1)°、(13.7±0.1)°、(16.7±0.1)°、(18.2±0.1)°、(19.9±0.1)°、(20.5±0.1)°、(22.2±0.1)°、(22.7±0.1)°及び(23.5±0.1)°。
【0110】
さらに別の実施形態では、本発明は、波長0.15419nmのCu-Kα1,2放射線を用いてRTにおいて測定したとき、本発明の図12に示されたものと本質的に同じPXRDを有することを特徴とするレボチロキシン及びシュウ酸を含む共結晶に関する。
【0111】
1つの実施形態において、本発明は、ダイヤモンドATRセルを用いてRTで測定したとき、以下の波数のピークを含むFTIRスペクトルを有することを特徴とするレボチロキシン及びシュウ酸を含む共結晶に関する。
(1631±4)cm-1、(1432±4)cm-1及び(708±4)cm-1、又は
(1631±4)cm-1、(1518±4)cm-1、(1432±4)cm-1及び(708±4)cm-1、又は
(3466±4)cm-1、(1631±4)cm-1、(1518±4)cm-1、(1432±4)cm-1及び(708±4)cm-1、又は
(3466±4)cm-1、(1726±4)cm-1、(1631±4)cm-1、(1518±4)cm-1、(1432±4)cm-1及び(708±4)cm-1、又は
(3466±4)cm-1、(1726±4)cm-1、(1631±4)cm-1、(1585±4)cm-1、(1518±4)cm-1、(1432±4)cm-1及び(708±4)cm-1、又は
(3466±4)cm-1、(1726±4)cm-1、(1631±4)cm-1、(1585±4)cm-1、(1518±4)cm-1、(1432±4)cm-1、(1150±4)cm-1及び(708±4)cm-1、又は
(3466±4)cm-1、(1726±4)cm-1、(1631±4)cm-1、(1585±4)cm-1、(1518±4)cm-1、(1432±4)cm-1、(1150±4)cm-1、(1039±4)、及び(708±4)cm-1、又は
(3466±4)cm-1、(1726±4)cm-1、(1631±4)cm-1、(1585±4)cm-1、(1518±4)cm-1、(1432±4)cm-1、(1150±4)cm-1、(1039±4)、(797±4)及び(708±4)cm-1
【0112】
別の実施形態において、本発明は、ダイヤモンドATRセルを用いてRTで測定したとき、以下の波数のピークを含むFTIRスペクトルを有することを特徴とするレボチロキシン及びシュウ酸を含む共結晶に関する。
(1631±2)cm-1、(1432±2)cm-1及び(708±2)cm-1、又は
(1631±2)cm-1、(1518±2)cm-1、(1432±2)cm-1及び(708±2)cm-1、又は
(3466±2)cm-1、(1631±2)cm-1、(1518±2)cm-1、(1432±2)cm-1及び(708±2)cm-1、又は
(3466±2)cm-1、(1726±2)cm-1、(1631±2)cm-1、(1518±2)cm-1、(1432±2)cm-1及び(708±2)cm-1、又は
(3466±2)cm-1、(1726±2)cm-1、(1631±2)cm-1、(1585±2)cm-1、(1518±2)cm-1、(1432±2)cm-1及び(708±2)cm-1、又は
(3466±2)cm-1、(1726±2)cm-1、(1631±2)cm-1、(1585±2)cm-1、(1518±2)cm-1、(1432±2)cm-1、(1150±2)cm-1及び(708±2)cm-1、又は
(3466±2)cm-1、(1726±2)cm-1、(1631±2)cm-1、(1585±2)cm-1、(1518±2)cm-1、(1432±2)cm-1、(1150±2)cm-1、(1039±2)、及び(708±2)cm-1、又は
(3466±2)cm-1、(1726±2)cm-1、(1631±2)cm-1、(1585±2)cm-1、(1518±2)cm-1、(1432±2)cm-1、(1150±2)cm-1、(1039±2)、(797±2)及び(708±2)cm-1
【0113】
さらに別の実施形態では、本発明は、ダイヤモンドATRセルを用いてRTで測定したとき、本発明の図13に示されたものと本質的に同じFTIRスペクトルを有することを特徴とするレボチロキシン及びシュウ酸を含む共結晶に関する。
【0114】
本発明はまた、共結晶がエタノール溶媒和物、好ましくはエタノール一溶媒和物であることを特徴とする前記で定義された実施形態のいずれか1つに記載されたレボチロキシン及びシュウ酸を含む共結晶に関する。
【0115】
好ましくは、本発明は、1.0:0.8~1.2:0.8~1.2、好ましくは1.0:0.9~1.1:0.9~1.1、さらにより好ましくは1.00:0.95~1.05:0.95~1.05の範囲のレボチロキシン、シュウ酸及びエタノールのモル比を有することを特徴とするレボチロキシン、シュウ酸及びエタノールを含む共結晶に関し、最も好ましくはモル比が1.0:1.0:1.0である。別の実施形態では、レボチロキシン、シュウ酸及びエタノールを含む共結晶は、1.0:1.8~2.2:0.8~1.2、好ましくは1.0:1.9~2.1:0.9~1.1、より好ましくは1.00:1.95~2.05:0.95~1.05の範囲でレボチロキシン、シュウ酸及びエタノールのモル比を有することを特徴とすることができ、最も好ましくはモル比は1.0:2.0:1.0である。
【0116】
あるいは、本発明は、式Hに描かれるような分子構造を有することを特徴とするレボチロキシン、シュウ酸及びエタノールを含む共結晶に関する。
【0117】
【化8】
式中、n及びmは、互いに独立して、0.8~1.2、好ましくは0.9~1.1、より好ましくは0.95~1.05の範囲である。最も好ましくは、n及びmは1.0である。
【0118】
別の実施形態では、nは1.8~2.2、好ましくは1.9~2.1、より好ましくは1.95~2.05の範囲にあり、最も好ましくはnは2.0であり、一方mは0.8~1.2、好ましくは0.9~1.1、より好ましくは0.95~1.05の範囲にあり、最も好ましくはmは1.0である。
【0119】
特に、本発明は、式Iに描かれるような分子構造を有することを特徴とするレボチロキシン、シュウ酸及びエタノールを含む共結晶に関する。
【0120】
【化9】
式中、n及びmは、互いに独立して、0.8~1.2、好ましくは0.9~1.1、より好ましくは0.95~1.05の範囲である。最も好ましくは、n及びmは1.0である。
【0121】
別の実施形態では、nは1.8~2.2、好ましくは1.9~2.1、より好ましくは1.95~2.05の範囲にあり、最も好ましくはnは2.0であり、一方mは0.8~1.2、好ましくは0.9~1.1、より好ましくは0.95~1.05の範囲にあり、最も好ましくはmは1.0である。
【0122】
さらなる態様において、本発明は、レボチロキシン及びシュウ酸を含む共結晶の調製のための方法であって、以下を含む前記実施形態のいずれか1つに定義される方法に関する。
(a) レボチロキシン、シュウ酸及び適切な溶媒を含む混合物であって、レボチロキシン及びシュウ酸のモル比は、約1.0:2.0の範囲である混合物を提供し、
(b) (a)で得た混合物を撹拌し、
(c) (b)で得た結晶の少なくとも一部を母液から分離し、
(d) 任意に(c)で得た単離された結晶を洗浄し、
(e) 工程(c)又は(d)で得た結晶を乾燥させる。
【0123】
市販のレボチロキシン(例えば、abcr GmbHから)は、工程(a)で共結晶構成材である、過剰のシュウ酸で処理される。それによって適用されるレボチロキシン及びシュウ酸のモル比は、約1.0:2.0の範囲である。
【0124】
工程(a)で用いることができる適切な溶媒は、好ましくは、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール及びイソプロパノール又はそれらの任意の混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、エタノールが本方法における溶媒として使用される。
【0125】
工程(a)で提供される混合物のレボチロキシン濃度は、溶媒又は溶媒混合物1L当たり約80~120gの範囲にあり、最も好ましくは、レボチロキシン濃度は、溶媒又は溶媒混合物1L当たり約100gである。
【0126】
共結晶化は、工程(a)で提供された混合物を撹拌することによって達成される。撹拌は室温で行うことができる。より好ましくは、撹拌は、約10℃~20℃の範囲の温度で行うことができる。特定の好ましい実施形態において、撹拌は、温度を10℃~20℃の範囲の間で変化させることによって行うことができる。撹拌は、レボチロキシン出発材料の少なくともかなりの部分、好ましくはすべてがレボチロキシンシュウ酸共結晶に変換するのに十分な期間実施することができる。それゆえ、撹拌期間は数時間~数日の範囲であることがおでき、例えば、撹拌は約2時間~10日の範囲、例えば、約5日の期間実施することができる。当業者は、混合物から試料を採取し、例えば、粉末X線回折により試料を分析することにより、レボチロキシンシュウ酸共結晶へのレボチロキシンの変換を監視することができる。レボチロキシン出発材料及び適用された共結晶構成材の特定の特徴的な反射が粉末X線回折図においてもはや検出できない場合には、撹拌を停止することができる。
【0127】
所望のレボチロキシンシュウ酸共結晶が得られたか、又は好ましくは本質的に純粋な形でレボチロキシンシュウ酸共結晶が得られたならば、結晶の少なくとも一部は母液から分離される。好ましくは、結晶は、濾過、遠心分離又はデカンテーションなどの任意の従来の方法によって、より好ましくは濾過又は遠心分離によって、最も好ましくは濾過によって母液から分離される。
【0128】
任意に、さらなる工程において、単離された結晶を適切な溶媒で洗浄し、適切な溶媒は、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール及びイソプロパノール、又はそれらの任意の混合物からなる群から選択することができる。最も好ましくは、任意の洗浄工程にはエタノールが用いられる。
【0129】
得られた結晶は最終的に乾燥させる。乾燥は、約20~40℃の範囲の温度で行うことができ、好ましくは乾燥はRTで行う。乾燥は、約1~72時間、好ましくは約2~48時間、より好ましくは約4~24時間、最も好ましくは約6~18時間の範囲の期間行うことができる。乾燥は、周囲圧力及び/又は減圧下で行うことができる。好ましくは、乾燥は約100mbar以下、より好ましくは約50mbar以下、最も好ましくは約30mbar以下の圧力で行われ、例えば、乾燥のために約25mbarの真空が適用される。
【0130】
<医薬組成物及び医薬用途>
さらなる態様において、本発明は、医薬組成物の調製のための、レボチロキシン及びジカルボン酸、好ましくはC2-8ジカルボン酸、より好ましくはC2-6ジカルボン酸、さらにより好ましくはC2-4ジカルボン酸、最も好ましくはCジカルボン酸、特にL-酒石酸又はシュウ酸を含む共結晶の使用に関する。
【0131】
さらなる態様において、本発明は、レボチロキシン及びジカルボン酸、好ましくはC2-8ジカルボン酸、より好ましくはC2-6ジカルボン酸、さらにより好ましくはC2-4ジカルボン酸、最も好ましくはCジカルボン酸、特にL-酒石酸又はシュウ酸を、好ましくは所定量及び/又は有効量で含む共結晶と、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤とを含有する医薬組成物に関する。
【0132】
好ましくは、レボチロキシン及びジカルボン酸、好ましくはC2-8ジカルボン酸、より好ましくはC2-6ジカルボン酸、さらにより好ましくはC2-4ジカルボン酸、最も好ましくはCジカルボン酸、特にL-酒石酸又はシュウ酸を含む共結晶の所定量及び/又は有効量は、最終的なレボチロキシン共結晶容量が無水レボチロキシンナトリウムとして計算される25~300マイクログラムのレボチロキシンナトリウム用量に相当するように選択される。例えば、レボチロキシン及びジカルボン酸、好ましくはC2-8ジカルボン酸、より好ましくはC2-6ジカルボン酸、さらにより好ましくはC2-4ジカルボン酸、最も好ましくはCジカルボン酸、特にL-酒石酸又はシュウ酸を含む共結晶の所定量及び/又は有効量は、最終的なレボチロキシン共結晶用量が、無水レボチロキシンナトリウムとして計算される25マイクログラム、50マイクログラム、75マイクログラムmg、88マイクログラム、100マイクログラム、112マイクログラム、125マイクログラム、137マイクログラム、150マイクログラム、175マイクログラム、200マイクログラム又は300マイクログラムのレボチロキシンナトリウム用量に相当するように選択される。
【0133】
本発明の医薬組成物に含まれる少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤は、好ましくは、増量剤、希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0134】
好ましくは、前記のような本発明の医薬組成物は、経口固体剤形である。特定の好ましい実施形態では、経口固体剤形は錠剤又はカプセルであり、最も好ましくは錠剤である。
【0135】
錠剤は、レボチロキシン及びジカルボン酸、好ましくはC2-8ジカルボン酸、より好ましくはC2-6ジカルボン酸、さらにより好ましくはC2-4ジカルボン酸、最も好ましくはCジカルボン酸、特にL-酒石酸又はシュウ酸を含む共結晶と、増量剤、希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤又はそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の賦形剤とを混合することによって調製することができる。任意に、圧縮の前に、乾式又は湿式造粒工程のような造粒工程を行う。
【0136】
カプセルは、レボチロキシンとジカルボン酸、好ましくはC2-8ジカルボン酸、より好ましくはC2-6ジカルボン酸、さらにより好ましくはC2-4ジカルボン酸、最も好ましくはCジカルボン酸、特にL-酒石酸又はシュウ酸を含む共結晶と、増量剤、希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤又はそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の賦形剤とを混合し、ブレンドをカプセルに充填することによって調製することができる。カプセルシェルはゼラチンシェルかヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)シェルであることができる。
【0137】
さらなる態様において、本発明は、レボチロキシン及びジカルボン酸、好ましくはC2-8ジカルボン酸、より好ましくはC2-6ジカルボン酸、さらにより好ましくはC2-4ジカルボン酸、最も好ましくはCジカルボン酸、特にL-酒石酸又はシュウ酸を含む共結晶、医薬として使用するための前記態様及びそれらの対応する実施形態のいずれか1つで定義された共結晶を含む組成物又は医薬組成物に関する。
【0138】
さらに別の態様において、本発明は、レボチロキシン及びジカルボン酸、好ましくはC2-8ジカルボン酸、より好ましくはC2-6ジカルボン酸、さらにより好ましくはC2-4ジカルボン酸、最も好ましくはCジカルボン酸、特にL-酒石酸又はシュウ酸を含む共結晶、甲状腺機能低下症の治療に使用する前記態様及びそれらの対応する実施形態のいずれかで定義される共結晶を含む組成物又は医薬組成物に関する。
【0139】
別の好ましい実施形態において、本発明は、甲状腺機能低下症を治療及び/又は予防する方法であって、レボチロキシン及びジカルボン酸、好ましくはC2-8ジカルボン酸、より好ましくはC2-6ジカルボン酸、さらにより好ましくはC2-4ジカルボン酸、最も好ましくはCジカルボン酸、特にL-酒石酸又はシュウ酸を含む有効量の共結晶を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む方法に関する。
【実施例
【0140】
以下の非限定的な例は、開示のための例示であり、いかなる方法においても本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0141】
[実施例1:レボチロキシンL-酒石酸共結晶の調製]
レボチロキシン(1016mg、1.31mmol)、L-酒石酸(393mg、2.62mmol)及びエタノール(25mL)の混合物を、250rpmの速度でマグネチックスターラーで3日間撹拌した。その後、吸引フィルターを用いる濾過により固形物を採取し、冷エタノール(約5mL)で洗浄した。次に、材料を室温で濾紙上に0.5時間放置した後、さらに室温で減圧(50mbar)下で12時間乾燥させ、本発明のレボチロキシンL-酒石酸共結晶1230mg(理論値の96%の収率)を得た。
【0142】
[実施例2:レボチロキシンL-酒石酸L-乳酸共結晶の調製]
レボチロキシン(1000mg、1.29mmol)、L-酒石酸(387mg、2.58mmol)、L-乳酸(928mg、10.30mmol)及び酢酸イソブチル(10mL)の混合物を、250rpmの速度でマグネチックスターラーで撹拌した。それにより約10~20℃の範囲で約7日間温度を保った。その後、吸引フィルターを用いる濾過により固形物を採取し、冷酢酸イソブチル(約2×2.5mL)で2回洗浄した。次に、材料を室温で濾紙上に0.5時間放置した後、さらに室温で減圧(50mbar)下で12時間乾燥させ、本発明のレボチロキシンL-酒石酸L-乳酸共結晶1303mg(理論値の99.5%の収率)を得た。
【0143】
[実施例3:レボチロキシンシュウ酸共結晶の調製]
レボチロキシン(1000mg、1.29mmol)、シュウ酸二水和物(325mg、2.58mmol)及びエタノール(10mL)の混合物を、250rpmの速度でマグネチックスターラーで撹拌した。それにより約10~20℃の範囲で約5日間温度を保った。その後、吸引フィルターを用いた濾過により固形物を採取し、冷エタノール(約2×2.5mL)で2回洗浄した。次に、材料を室温で濾紙上に0.5時間放置した後、さらに室温で減圧(50mbar)下で12時間乾燥させ、本発明のレボチロキシンシュウ酸共結晶1008mg(理論値の82.5%の収率)を得た。
【0144】
[実施例4:粉末X線回折]
透過幾何学におけるθ/θ結合ゴニオメータ、ウェルプレートホルダを備えたプログラム可能なXYZステージ、集束鏡を備えたCu-Kα1,2放射線源(波長0.15419nm)、入射ビーム側の0.5°発散スリット、0.02°ソラースリットコリメータ及び0.1散乱防止スリット、回折ビーム側の2mm散乱防止スリット、0.04ソラースリットコリメータ、Niフィルター及び固体PIXcel検出器を備えたX’Pert PRO回折計(オランダ、アルメロ、PANalytical)で粉末X線回折図を得た。パターンは室温、管電圧40kV、管電流40mAで記録し、2°~40°の2θの角度範囲でステップ当り200秒の0.013°の2θのステップサイズを適用した。
【0145】
本発明によるレボチロキシンL-酒石酸共結晶の代表的な回折図を図1に示し、対応する2~30°の2θの反射リスト(ピークリスト)を下記の表1に提供する。
【0146】
【表1】
【0147】
本発明によるレボチロキシンL-酒石酸L-乳酸共結晶の代表的な回折図を図9に示し、2~30°の2θの対応する反射リスト(ピークリスト)を以下の表2に提供する。
【0148】
【表2】
【0149】
本発明によるレボチロキシンシュウ酸共結晶の代表的な回折図を図12に示し、2~30°の2θの対応する反射リスト(ピークリスト)を以下の表3に提供する。
【0150】
【表3】
【0151】
[実施例5:FTIR分光法]
FTIRスペクトルは、RTで4cm-1の分解能を有するBruker Tensor 27 FTIR分光計を用いて、MKII Golden Gate(商標) Single Reflection Diamond ATRセルで記録(取得)した。スペクトルを記録するために、試料のヘラの先端をダイヤモンドの表面に粉末状に適用した。次いで、試料をサファイアアンビルでダイヤモンドに押し付け、スペクトルを記録した。清浄なダイヤモンドのスペクトルをバックグラウンドスペクトルとして用いた。
【0152】
本発明によるレボチロキシンL-酒石酸共結晶の代表的なFTIRスペクトルを図2に示し、対応するピークリストを以下の表4に提供する。
【0153】
【表4】
【0154】
本発明によるレボチロキシンL-酒石酸L-乳酸共結晶の代表的なFTIRスペクトルを図10に表示し、対応するピークリストを以下の表5に提供する。
【0155】
【表5】
【0156】
本発明によるレボチロキシンシュウ酸共結晶の代表的なFTIRスペクトルを図13に表示し、対応するピークリストを以下の表6に提供する。
【0157】
【表6】
【0158】
[実施例6:ラマン分光法]
測定時間15秒で400mW出力の785nm Invictusレーザを用いて、Kaiser Optical Systems製の、スポットサイズ6mm、最大焦点距離250mmのRamanRxn 1ラマン分光計とPhATプローブでラマンスペクトルを記録した。スペクトルは、周囲条件で4cm-1の分解能で1850~200cm-1まで記録した。
【0159】
本発明によるレボチロキシンL-酒石酸共結晶の代表的なラマンスペクトルを図3に示する。スペクトルを1850~325cm-1で抜き出し、その後、15回の反復と64個のベースラインポイントを使用して凹型ラバーバンド法を用いてOPUS 7.0(Bruker Optik GmbH製)でベースラインを補正した。対応するピークリストを以下の表7に提供する。
【0160】
【表7】
【0161】
[実施例7:単結晶X線回折]
強度データを、Mo放射線(λ=0.71073Å)を用いて、CrysAlisProソフトウェア(Rigaku OD、2015)によって操作されるOxford Diffraction Gemini-R Ultra回折計で173Kにおいて収集した。データは等価反射の比較により吸収効果について補正した。SHELXTで実施した直接法手順で構造を解き、SHELXL-2014を用いてFのフルマトリックス最小二乗法により精緻化した(Sheldrick、Acta Cryst.A71(2015)、3~8及びC71(2015)、3~8)。結晶に及ぼす回折測定における異常分散効果によって絶対構造を確立した。-0.05(3)というAフラックxパラメータは、1533個の商[(I+)-(I-)/[(I+)+(I-)][Parsons、Flack及びWagner、Acta Cryst.B69(2013)249~259]から決定した。
【0162】
正投影の単位格子を本発明の図4に示し、セルパラメータを以下の表8に提供する。
【0163】
【表8】
【0164】
単結晶X線回折から得られた構造は、本発明のレボチロキシンL-酒石酸共結晶が、同じモル比で単位格子中にレボチロキシン、L-酒石酸及びエタノールを含む3成分結晶系であることを示唆する。分子間相互作用は水素結合に基づくので、非イオン性である。したがって、本発明によるレボチロキシンL-酒石酸共結晶は、レボチロキシンL-酒石酸共結晶エタノール溶媒和物、より正確にはレボチロキシンL-酒石酸共結晶モノエタノール溶媒和物として特定することができる。
【0165】
[比較例1:熱安定性(DSC)]
本発明によるレボチロキシンL-酒石酸共結晶及びレボチロキシンL-酒石酸L-乳酸共結晶並びに市販のレボチロキシンナトリウム五水和物をDSCにより調べ、DSCはPyris 2.0ソフトウェアを用いてDSC7(米国コネチカット州ノーウォークPerkin-Elmer)で行った。各試料(UM3超微量天秤、スイス グライフェンゼーMettlerを用いて約4±0.0005mg)をアルミニウム皿(25マイクロリットル)に秤量し、カバーで密封し、カバーには針で穿孔した。パージガスとして乾燥窒素を用いた(パージ速度:20mL/分)。試料を加熱速度20K/分で20から235℃へ加熱した。
【0166】
本明細書の図5の下部に示される本発明のレボチロキシンL-酒石酸共結晶のDSC曲線は、開始温度が約149℃、ピーク最高温度が約165℃の第1の吸熱ピークを示し、これはエタノールの喪失によって引き起こされる脱溶媒過程によるものである。開始温度が約180℃、ピーク最高温度が約197℃の第2の吸熱ピークは、付随する溶融及び分解過程によるものである。
【0167】
本明細書の図11の下部に示される本発明のレボチロキシンL-酒石酸L-乳酸共結晶のDSC曲線は、開始温度が約151℃、ピーク最高温度が約162℃の第1の吸熱ピークを示し、これは乳酸の放出によるものである。また、約183℃で最大となるピークは、試料が分解する前の溶融過程を示している。
【0168】
本明細書の図6の下部に示される市販のレボチロキシンナトリウム五水和物のDSC曲線は、約53℃の開始温度及び約78℃、106℃及び116℃の温度で複数のピーク最大値を有する広い吸熱ピークを示す。このシグナルは結晶水の喪失によって引き起こされる脱水によるものである。試料は約202℃の開始温度及び約205℃のピーク最高温度の吸熱ピークを示し、これは分解によるものである。
【0169】
DSC分析は、本発明のレボチロキシンL-酒石酸共結晶が、比較的低温で既にその結晶水を失い始めるレボチロキシンナトリウム五水和物と比較して、温度応力に対してより安定であり、著しく遅く脱溶媒和することを明らかにした。また、本発明のレボチロキシンL-酒石酸L-乳酸共結晶は、レボチロキシンナトリウム五水和物と比較して、温度応力に対してより安定である。例えば、本発明のレボチロキシンL-酒石酸L-乳酸共結晶は、約151℃でL-乳酸を失い始めるにすぎない。
【0170】
【表9】
【0171】
[比較例2:熱安定性(TGA)]
本発明のレボチロキシンL-酒石酸共結晶及びレボチロキシンL-酒石酸L-乳酸共結晶並びに市販のレボチロキシンナトリウム五水和物をTGAにより調べ、これはWindows NT用Pyrisソフトウェア(米国コネチカット州ノーウォークPerkin―Elmer)を用いて熱重量システムTGA-1で行った。各試料(UM3超微量天秤、スイス グライフェンゼーMettlerを使用して約4±0.0005mg)を、密封しない白金試料ホルダー(50マイクロリットル)に秤量した。試料を10K/分の速度で20から235℃へ加熱した。窒素(試料パージ速度20mL/分、残余のパージ速度40mL/分)をパージガスとして使用した。
【0172】
本明細書の図5の上部に示される本発明のレボチロキシンL-酒石酸共結晶のTGA曲線は、約120℃の温度までわずかな質量損失しか示さない。約150~170℃の間の温度においてのみ、TGA曲線に明瞭なステップが現れ、これは、図5の下部に示されるDSC曲線で観察される吸熱によく対応し、したがって、脱溶媒和過程に帰すことができる。
【0173】
本明細書の図11の上部に示される本発明のレボチロキシンL-酒石酸L-乳酸共結晶のTGA曲線は、約120℃の温度まで約0.5重量%というわずかな質量損失のみを示す。約150~170℃の間の温度でのみ、TGA曲線に明瞭なステップが現れ、これは、図11の下部に示されるDSC曲線において観察される第1の吸熱ピークによく対応し、乳酸の放出に帰すことができる。
【0174】
本明細書の図6の上部に示される市販のレボチロキシンナトリウム五水和物のTGA曲線は、測定の始めから約120℃までかなりの重量損失を示し、これは図6の下部に示されるDSC曲線で観測される吸熱によく対応し、したがって脱水過程に帰すことができる。
【0175】
【表10】
【0176】
[比較例3:化学的安定性]
本発明のレボチロキシンL-酒石酸共結晶、レボチロキシンL-酒石酸L-乳酸共結晶及びレボチロキシンシュウ酸共結晶並びに市販のレボチロキシンナトリウム五水和物を、温度40℃、相対湿度0%の周囲の空気(酸素濃度約20.9体積%)に6週間さらした。各物質のH-NMRスペクトルを試験期間の開始時、3週間後、最終的に6週間後に記録した。スペクトルはBruker Avance-300分光計(分光計周波数:300MHz)に記録した。分析のための各試料は、約20mgの固体を600マイクロリットルのd-DMSOに溶解することによって調製した。調製直後に全試料を分析した。
【0177】
図7は、初期のレボチロキシンL-酒石酸共結晶(下)と3週間後(中)及び6週間後(上)の応力を受けた試料とのH-NMRスペクトルのスタックプロットを示す。H-NMRスペクトルによると、本発明のレボチロキシンL-酒石酸共結晶は、適用した応力条件下で化学的に安定なままである。
【0178】
図8は、初期のレボチロキシンナトリウム五水和物(下)と、3週間後(中)及び6週間後(上)の応力を受けた試料のH-NMRスペクトルのスタックプロットを示す。適用した応力条件下で3週間後、レボチロキシンナトリウム五水和物のH-NMRスペクトルに追加のピークが明らかとなり、それは6週間後にさらに強くなる。したがって、レボチロキシンナトリウム五水和物は、適用した応力条件下では化学的に不安定である。
【0179】
図14は、初期のレボチロキシンL-酒石酸L-乳酸共結晶(下)と3週間後(中)及び6週間後(上)の応力を受けた試料とのH-NMRスペクトルのスタックプロットを示す。H-NMRスペクトルによると、本発明のレボチロキシンL-酒石酸L-乳酸共結晶は、適用した応力条件下で化学的に安定なままである。
【0180】
図15は、初期のレボチロキシンシュウ酸共結晶(下)と3週間後(中)と6週間後(上)の応力を受けた試料とのH-NMRスペクトルのスタックプロットを示す。H-NMRスペクトルによると、本発明のレボチロキシンシュウ酸共結晶は、適用した応力条件下で化学的に安定なままである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】