(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】表示装置エネルギー消費を低減するための方法及びエネルギー消費が低減される装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/58 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
H04N5/58
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521358
(86)(22)【出願日】2019-10-09
(85)【翻訳文提出日】2021-06-18
(86)【国際出願番号】 US2019055287
(87)【国際公開番号】W WO2020081305
(87)【国際公開日】2020-04-23
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】アミン,ジェイミン
(72)【発明者】
【氏名】ハート,シャンドン ディー
(72)【発明者】
【氏名】ハサウェイ,ブルック アンバー
(72)【発明者】
【氏名】コッホ,カール ウィリアム ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】コシク ウィリアムズ,カルロ アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】マヨレット,アレクサンドル ミシェル
【テーマコード(参考)】
5C026
【Fターム(参考)】
5C026CA08
(57)【要約】
表示装置エネルギー消費を低減する方法であって、(a)表示装置の周囲の照明条件を特定するステップと、(b)前記表示装置でユ-ザーが見ることを選択する内容を特定するステップと、(c)表示品質の前記ユ-ザーの知覚を画像見た目モデルを使用して計算するステップと、(d)前記知覚された表示品質が目標表示品質より高い時は、前記知覚された表示品質が前記目標表示品質と一致するように表示装置条件を調整してエネルギー消費を低減するステップとを含む方法。この方法を利用して、美的に楽しませる見る経験をユーザーに提供しながらエネルギー消費を低減する装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー消費が低減される表示装置であって、
前面、裏面、及び側面を有するハウジングと、
少なくとも部分的に前記ハウジング内にあり、コントローラ、メモリ、及び前記ハウジングの前記前面にあるか又は隣接した表示器を含む複数の電気部品と
を備え、
前記コントローラは
a.表示装置の周囲の照明条件を特定するステップと、
b.前記表示装置でユ-ザーが見ることを選択する内容を特定するステップと、
c.表示品質の前記ユ-ザーの知覚を画像見た目モデルを使用して計算するステップと、
d.前記知覚された表示品質が目標表示品質より高い時は、前記知覚された表示品質が前記目標表示品質と一致するように表示装置条件を調整してエネルギー消費を低減するステップと
を実行するようにプログラムされている、表示装置。
【請求項2】
前記周囲照明条件は輝度又は色を含み、前記周囲照明条件は前記表示装置によって能動的に検出される、請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記内容は映像、映画、絵、図形、テキスト、電子メールのうち1つ以上を含む、請求項1又は2記載の表示装置。
【請求項4】
前記目標表示品質は前記画像見た目モデルを使用して決定される、請求項1~3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
前記画像見た目モデルは前記ユ-ザーにより知覚される前記内容の明るさ、コントラスト、又は彩度を近似し、前記画像見た目モデルは前記表示装置の反射率、前記周囲照明条件、及び前記内容の関数である、請求項1~4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示装置動作条件は輝度出力又は色域を含む、請求項1~5のいずれかに記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示装置動作条件を調整することは表示装置反射率の関数である、請求項1~6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示装置は3%以下の総反射率を有する、請求項1~7のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示装置は1%以下の第1表面反射率を有するカバー基板(812)を備える、請求項1~8のいずれかに記載の表示装置。
【請求項10】
表示装置エネルギー消費を低減する方法であって、
a.表示装置(10、810)の周囲の照明条件を特定するステップと、
b.前記表示装置でユ-ザーが見ることを選択する内容を特定するステップと、
c.表示品質の前記ユ-ザーの知覚を画像見た目モデルを使用して計算するステップと、
d.前記知覚された表示品質が目標表示品質より高い時は、前記知覚された表示品質が前記目標表示品質と一致するように表示装置条件を調整してエネルギー消費を低減するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2018年10月17日に出願された米国仮特許出願第62/746811号の米国特許法第119条の下の優先権の利益を主張するものであり、その内容全体を本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概ね表示装置に関し、特にエネルギー消費を低減する方法及びエネルギー消費が低減される表示装置に関する。
【背景技術】
【0003】
電子装置、例えばスマートフォン、スマートウォッチ、タブレット、及びラップトップコンピュータはエネルギーを消費する表示装置を有する。通常これらの表示装置は携帯エネルギー源、例えばバッテリーで動作する。携帯エネルギー源電量を急速に消費し頻繁な充電を通常固定した外部エネルギー源、例えばユーザーの家の電源コンセントにおいて行う時がユーザーのイライラの種である。また、充電にかかる時間はユーザーが電子装置を利用できる時間及び/又はユーザーが固定した外部エネルギー源から離れて電子装置を利用できる時間を減らす。従って、携帯エネルギー源で電子装置を使用できる時間を延ばすために、エネルギー消費が低減される表示装置を有する電子装置が必要とされる。表示の明るさを低減しエネルギー消費を低減する方法があるが、そのような方法は明るさを低減することで表示画像品質を犠牲にする。しかし、ユーザーはエネルギー源持続時間を延ばすのに通常、表示画像品質も装置機能も犠牲にしたくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、表示画像品質が低下することなくエネルギー消費が低減される表示装置を有する電子装置が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示はエネルギー消費を低減しながら美的に楽しませる見る経験をユーザーに提供する表示装置を実現する方法及びその表示装置を有する電子装置を記述する。その表示装置は低反射特性を有する。反射防止被膜は当分野で既知であり、電子装置に適用されてきた。しかし、これらの装置は、反射防止被膜を有する装置でさえ、バッテリー持続時間を最大化し、及び/又は表示装置のエネルギー消費を最小化しながら様々な周囲照明条件下でユーザーにより知覚される表示画像品質を維持するように機能してこなかった。従って、美的に楽しませるユーザーの見る経験及び低減されるエネルギー消費及び/又は延びたバッテリー持続時間の複合目的を達成する方法が必要とされる。
【0006】
本開示は反射防止被膜が被覆された表示器を有する電子装置を使用し、及び/又はプログラムする方法、及びその表示器を有する電子装置を記述する。反射防止被膜は高硬度、低反射率、及び角度による低色シフトを有するのが好ましい。反射防止被膜は、エネルギー消費を低減しながら美的に楽しませる見る経験をユーザーに提供するように表示器の動作を可能にする。高硬度はその装置に耐久性を与える。即ち、反射防止被膜はかき傷が付けられるか又は他の仕方で損傷すると、見る経験が劣化し、その反射率は増加して、エネルギー消費を低減する本開示の技術の有効性を減じることがある。本書に記述された方法は、周囲照明(例えば、照度及び/又は色域を含む)の1つ以上の特性、表示反射率、表示輝度、表示器で見られている内容の種類(例えば、映像、映画、絵、図形、テキスト、及び/又は電子メールを含む)、及び/又は表示品質のユ-ザーの知覚を計算するための画像見た目モデル(ユ-ザーにより知覚される内容の明るさ、コントラスト、及び/又は彩度の点で、例えば表示器反射率、周囲照明条件、及び/又は内容種類の関数として)を利用して、美的に楽しませる内容を見る経験を依然としてユーザーに提供しながら表示器のエネルギー消費を最小化する。従って、この方法及びこの方法を使用する装置は低減されたエネルギー消費及び/又はより長いバッテリー持続時間を、ユーザーの見る経験を犠牲にすることなく提供する(周囲照明、表示内容、表示器反射率、表示器輝度、ユ-ザーにより知覚される内容の明るさ、コントラスト、彩度、及び/又は内容種類を考慮して)。本方法は表示装置コントローラにプログラムされるか又はにより実行されてよい。
【0007】
添付図面は記載された原理の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ一部をなしている。図面は1つ以上の実施形態を例示し、記述と共にそれらの実施形態の原理と動作を例により説明する働きをする。本明細書及び図面で開示された様々な特徴は、どんな、また全ての組合せで使用できることは理解されるべきである。非限定の例として、それら様々な特徴は以下の実施形態に明記されるように互いに組合せられてもよい。
【0008】
実施形態1
表示装置エネルギー消費を低減する方法であって、
a.表示装置の周囲の照明条件を特定するステップと、
b.前記表示装置でユ-ザーが見ることを選択する内容を特定するステップと、
c.表示品質の前記ユ-ザーの知覚を画像見た目モデルを使用して計算するステップと、
d.前記知覚された表示品質が目標表示品質より高い時は、前記知覚された表示品質が前記目標表示品質と一致するように表示装置動作条件を調整してエネルギー消費を低減するステップと
を含む方法。
【0009】
実施形態2
前記周囲照明条件は輝度を含む、実施形態1記載の方法。
【0010】
実施形態3
前記周囲照明条件は色を含む、実施形態1又は2記載の方法。
【0011】
実施形態4
前記周囲照明条件は前記表示装置によって能動的に検出される、実施形態1~3のいずれかに記載の方法。
【0012】
実施形態5
前記内容は映像、映画、絵、図形、テキスト、電子メールのうち1つ以上を含む、実施形態1~4のいずれかに記載の方法。
【0013】
実施形態6
前記目標表示品質は前記画像見た目モデルを使用して決定される、実施形態1~5のいずれかに記載の方法。
【0014】
実施形態7
前記画像見た目モデルは前記ユ-ザーにより知覚される前記内容の明るさ、コントラスト、又は彩度を近似する、実施形態1~6のいずれかに記載の方法。
【0015】
実施形態8
前記画像見た目モデルは前記表示装置の反射率、前記周囲照明条件、及び前記内容の関数である、実施形態1~7のいずれかに記載の方法。
【0016】
実施形態9
前記表示装置動作条件は輝度出力を含む、実施形態1~8のいずれかに記載の方法。
【0017】
実施形態10
前記表示装置動作条件は色域を含む、実施形態1~9のいずれかに記載の方法。
【0018】
実施形態11
前記表示装置動作条件を調整することは表示装置反射率の関数である、実施形態1~10のいずれかに記載の方法。
【0019】
実施形態12
前記表示装置反射率は前記表示装置によって能動的に検出される、実施形態11記載の方法。
【0020】
実施形態13
前記表示装置は3%以下の総反射率を有する、実施形態1~12のいずれかに記載の方法。
【0021】
実施形態14
前記表示装置は1%以下の第1表面反射率を有するカバー基板を備える、実施形態1~13のいずれかに記載の方法。
【0022】
実施形態15
前記カバー基板は100~500nmの押し込み深さに亘って10GPa以上の最大硬度を有する表面を有する、実施形態14記載の方法。
【0023】
実施形態16
前記カバー基板は100~500nmの押し込み深さに亘って12GPa以上の最大硬度を有する表面を有する、実施形態14記載の方法。
【0024】
実施形態17
エネルギー消費が低減される表示装置であって、
前面、裏面、及び側面を有するハウジングと、
少なくとも部分的に前記ハウジング内にあり、コントローラ、メモリ、及び前記ハウジングの前記前面にあるか又は隣接した表示器を含む複数の電気部品と
を備え、
前記コントローラは
a.表示装置の周囲の照明条件を特定するステップと、
b.前記表示装置でユ-ザーが見ることを選択する内容を特定するステップと、
c.表示品質の前記ユ-ザーの知覚を画像見た目モデルを使用して計算するステップと、
d.前記知覚された表示品質が目標表示品質より高い時は、前記知覚された表示品質が前記目標表示品質と一致するように表示装置動作条件を調整してエネルギー消費を低減するステップと
を実行するようにプログラムされている、表示装置。
【0025】
実施形態18
前記周囲照明条件は輝度を含む、実施形態17記載の表示装置。
【0026】
実施形態19
前記周囲照明条件は色を含む、実施形態17又は18記載の表示装置。
【0027】
実施形態20
前記周囲照明条件は前記表示装置によって能動的に検出される、実施形態17~19のいずれかに記載の表示装置。
【0028】
実施形態21
前記内容は映像、映画、絵、図形、テキスト、電子メールのうち1つ以上を含む、実施形態17~20のいずれかに記載の表示装置。
【0029】
実施形態22
前記目標表示品質は前記画像見た目モデルを使用して決定される、実施形態17~21のいずれかに記載の表示装置。
【0030】
実施形態23
前記画像見た目モデルは前記ユ-ザーにより知覚される前記内容の明るさ、コントラスト、又は彩度を近似する、実施形態17~22のいずれかに記載の表示装置。
【0031】
実施形態24
前記画像見た目モデルは前記表示装置の反射率、前記周囲照明条件、及び前記内容の関数である、実施形態17~23のいずれかに記載の表示装置。
【0032】
実施形態25
前記表示装置動作条件は輝度出力を含む、実施形態17~24のいずれかに記載の表示装置。
【0033】
実施形態26
前記表示装置動作条件は色域を含む、実施形態17~25のいずれかに記載の表示装置。
【0034】
実施形態27
前記表示装置動作条件を調整することは表示装置反射率の関数である、実施形態17~26のいずれかに記載の表示装置。
【0035】
実施形態28
前記表示装置反射率は前記表示装置によって能動的に検出される、実施形態27記載の表示装置。
【0036】
実施形態29
前記表示装置は3%以下の総反射率を有する、実施形態17~28のいずれかに記載の表示装置。
【0037】
実施形態30
前記表示装置は1%以下の第1表面反射率を有するカバー基板を備える、実施形態17~29のいずれかに記載の表示装置。
【0038】
実施形態31
前記カバー基板は100~500nmの押し込み深さに亘って10GPa以上の最大硬度を有する表面を有する、実施形態30記載の表示装置。
【0039】
実施形態32
前記カバー基板は100~500nmの押し込み深さに亘って12GPa以上の最大硬度を有する表面を有する、実施形態30記載の表示装置。
【0040】
本書に記載された実施形態及びそれら実施形態の特徴は代表的であり、単独で又は記載した他の実施形態の1つ以上のどんな特徴とも任意の組み合わせで本開示の範囲から逸脱することなく提供されうる。また、上記概要説明と下記の詳細な説明の両方とも、本開示の実施形態を提示し、それらの実施形態の特質及び特性を記述され請求されたように理解するための概観又は枠組みを提供するよう意図されていることは理解されるべきである。添付図面はそれらの実施形態の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ一部をなしている。図面は本開示の様々な実施形態を例示し、記述と共にそれらの原理と動作を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】幾つかの実施形態に係るユーザーが見る周囲条件内の表示装置の概略図である。
【
図2】幾つかの実施形態に係る異なる反射率を有する表示装置表示器1及び2についてのコントラスト比(y軸)対表示輝度(x軸)のグラフである。
【
図3A】幾つかの実施形態に係る異なる周囲照明条件下での表示装置表示器1及び2についての色域描写である。
【
図3B】幾つかの実施形態に係る異なる周囲照明条件下での表示装置表示器1及び2についての色域描写である。
【
図4】幾つかの実施形態に係るバッテリー持続時間(y軸上に%で)対時間(x軸上に分で)のグラフである。
【
図5】幾つかの実施形態に係るバッテリー持続時間(y軸上に時間で)対表示輝度(x軸上にcd/m
2で)のグラフである。
【
図6A】異なる周囲条件下での表示装置表示器1及び2についてのPCL(y軸上)対表示輝度(x軸上にcd/m
2で)のグラフである。
【
図6B】異なる周囲条件下での表示装置表示器1及び2についてのPCL(y軸上)対表示輝度(x軸上にcd/m
2で)のグラフである。
【
図7】幾つかの実施形態に係るPCL比(y軸上)対表示器2輝度(x軸上にcd/m
2で)である。
【
図8A】幾つかの実施形態に係る本書に開示した表示装置及び/又は被覆積層体構成のいずれかを取り込んだ代表的な電子装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
下記の詳細な説明において、限定ではなく説明の目的のために具体的詳細を開示する実施形態が様々な原理と態様の完全な理解を提供するために明記される。しかし、請求項の主題は本書に開示された具体的詳細から逸脱した他の実施形態で実施されうることは、本開示から当業者には明らかであろう。また、周知の装置、方法、及び材料の説明は、本書に明記される様々な原理の説明を不明瞭にしないように省略される場合がある。最後に、該当する所はどこでも、類似の符号は類似の部品を指す。
【0043】
本開示は反射防止被膜が被覆されたカバー基板を有する表示装置を有する電子装置を使用及び/又はプログラムする方法を明記する。反射防止被膜は、好ましくは高い最大硬度、例えば、本書に説明するバーコビッチ硬度試験を使用して測定した10GPa以上、又は12GPa以上、明所視可視平均として1%以下(例えば、0.9%以下、0.8%以下、0.7%以下、又は0.6%以下)の単一表面反射率を含む低反射率、及び/又はa*とb*色メトリック両方について法線(表示装置の表面に垂直)から0~60度の全視野角について角度による低色シフト(例えば、10以下、5以下、又は3以下)を有する。本書で使用されるように、「法線」は法線視野角と、法線から10度までと定義される「ほぼ法線」視野角とを含む。本書で使用されるように、「反射率」は、そうでないと明示されない限り明所視平均反射率を指す。「反射率」は正反射率か又は正反射+拡散反射率を指すことがある。表示器からの正反射率を低減する表示器表面、例えば粗い又は光を散乱する防眩表面が、本書で詳細に説明される概ね非散乱反射防止表面に加えて本開示の方法で利用されてもよい。「第1表面反射率」はユーザーに最も近い表示器表面からの反射光を指す。この第1表面は、詳細な光学モデルの観点から多重反射があると記述されうる何か微細構造で覆われるか又はを有するが、実際のユーザー及び測定の観点から前面は空気と物品の間の単一界面として通常測定される。「全反射率」は物品又は表示装置の前面と裏面両方又は埋め込まれた面からの反射光を指す。
【0044】
本方法は、周囲光、表示器反射率、表示器に表示されている内容、及びユーザーが知覚する明るさ、コントラスト、及び/又は色の各ファクターを考慮し表示器のエネルギー使用量及び電力消費を、満足できる美的に楽しませる内容を見る経験をユーザーに依然届けながら調整する。具体的な目標表示品質は、用途に特有でありうる明るさ、コントラスト、及び色のレベル(例えば、スマートウォッチ、スマートフォン、タブレット、ラップトップコンピュータで異なりうる)に依存する。この一般的な方法は、ユーザー、人ファクター研究、用途、及び/又は表示器設計者の経験により設定されることがある具体的な目標表示品質レベルに拘らず適用される。
【0045】
本開示の代表的な実施形態を示す添付図面を参照しながら方法及び装置が下記でより完全に説明される。可能ならいつでも、同じ又は類似の部品を指すために同じ符号を全図面に亘って使用する。しかし、本開示は多くの異なる形態で具現化されてよく、本書に明記された実施形態に限定されると解釈されるべきでない。
【0046】
表示輝度、コントラスト、及び色域は表示器自体から発せられている画像及び光を表す一方、周囲照明は外部源(例えば、部屋照明又は太陽)から表示器を照らす光(この光は表示器から反射され表示の見える又は測定可能な光学的働きを生じさせる)を表す。
【0047】
図1は光源14を持つ周囲環境12内の表示装置10の概略図である。光源14は表示表面で特定の輝度値を生成する光(光線16で示す)を放出する。放出光16は輝度RLを有する光線17で示されるように表示装置10からユーザーの眼20に向かって反射される。表示器もオンの時、特定の輝度値DLを有する光(光線11で示す)を放出する。ユーザーの眼20は表示器を光16及び反射光17により影響される輝度を有すると知覚する。
【0048】
表示コントラスト比(CR)は従来より完全オン「白」状態の表示輝度Lwと完全オフ「黒」状態の表示輝度Lbの比、即ち、CR=Lw/Lbとして定義される。より具体的には、表示器がオフされると、黒になる。しかし、表示器が黒くなっても、その黒をユーザーの眼20は反射光17(RL)からの輝度Lbを有すると知覚する。表示器が「オン」され「白」になると、その白をユーザーの眼20は輝度DLに反射光17からの輝度RLを加えた輝度Lwを有すると知覚する。「白」表示状態の輝度Lwと「黒」表示状態の輝度Lbの比は絶対コントラスト比(CR)と呼ばれる。式(1)として表すと、
CR=Lw/Lb (1)
LwとLbの値を式(1)に代入すると、式(2)が得られる。
【0049】
CR=(RL+DL)/(RL) (2)
式(2)を展開すると式(3)が得られる。
【0050】
CR=1+(DL/RL) (3)
式(3)からRLが増加するとCRが減少し及び/又はDLが増加するとCRが増加すると分かる。しかし、DLを増加させるとより多くのエネルギーを使用することになり電源持続時間がより短くなる。他方、RLを減少させることは電源からより多くのエネルギーを消費することはない。従って、
図2に関して下記に明記するように、表示装置上に反射防止被膜を使用すること(又は他のやり方で表示装置の反射率を低減して低反射率表示器を作製すること)を表示装置のエネルギー消費を低減するために利用できる。
【0051】
周囲照明の下、低反射率表示器のCRは、主に表示器が周囲光のうちより少ない光を反射しLbをより小さくする(表示の黒がより黒く見える)のでより高くなる。第2に低反射率表示器はより多くの光を通過させLwを若干増加させる。この場合、LbはCRにより大きな影響を持つ傾向がある。
【0052】
図2は1000ルクス輝度の周囲照明下での2つの異なる表示器についてのコントラスト比(CR)対平方メートル当りのカンデラ(cd/m
2)の単位の表示輝度のグラフである。線201はその上に被膜のないCorning(登録商標)Gorilla(登録商標)ガラスのカバー基板を有する第1表示器(表示器1)についての関係を描く。表示器1は約4%の第1表面明所視平均反射率を有する。他方、線202はその上に光学被膜を持つCorning(登録商標)Gorilla(登録商標)ガラスのカバー基板を有する第2表示器(表示器2)についての関係を描く。表示器2は約0.7%の第1表面明所視平均反射率を有する。2つの表示器は前面反射率以外は同一である。
図2から分かるように、表示器2は表示器1と同じCRを達成しうるが、より少ない輝度を使用する。より具体的には、約5のCRの場合、表示器1は約400cd/m
2の輝度を使用し一方、表示器2は200cd/m
2未満の輝度を使用する。この理解を使用して、概念的に表示画像品質はエネルギー、電力、及びバッテリー持続時間節約に関係しうる。CRは単純な比Lw/Lbであるので、低反射率表示器で達成できるようにLbを低減すると、LwはLbを低減するのと同様の率で低減されることができ、実現されるCRは同じになる。従って、より低い反射率により周囲照明下のLbを半分に減少させうるなら、Lw(表示器の輝度出力)も同様に半分に、例えば400cd/m
2から200cd/m
2に、同様のCRを保ちつつ減少させうる。
【0053】
CR改善に加えて、
図3A及び3Bに示すように周囲照明下の表示器の色域も低反射率第2表示器により改善する。これは、周囲照明は表示器で表示されている画像の彩度を「洗い流す」傾向があるためである。従って、周囲光の反射率を下げることは(低反射率表示装置を提供することで)この洗い流し効果を低減し、特定の周囲照明レベルに対して色域を増加させ、それにより表示の美的見た目を良くする。彩度を洗い流す効果が
図3A及び3Bに示されている。
【0054】
図3A及び3Bは、異なる周囲照明レベル下での表示器1及び2の(通常その略称CIELUVで知られる国際照明委員会(CIE)1976L
*,u
*,v
*色空間における)色域描写を示す。より具体的には、
図3Aは1000ルクスの周囲照度に対する色域描写を示し一方、
図3Bは10,000ルクスの周囲照度に対する同じ色域描写を示す。ここで、20~50ルクスはおおよそ薄暗い屋内照明に相当し、320~500ルクスはおおよそ明るい事務室照明に相当し、1000ルクスはおおよそ曇りの日の屋外に相当し、10,000~25,000ルクスはおおよそ晴れた日の白昼の屋外(しかし直射日光でない)に相当し、32,000~100,000ルクスはおおよそ直射日光の屋外に相当する。領域300は「暗い」を表し、「暗い」は周囲照明なしを意味し、及び/又は周囲照度は0ルクスに設定される。従って、暗い状態では表示器から光は反射されず、各場合(表示器1又は表示器2)で、周囲照明がない時、表示は洗い流されないので、暗い状態は基準及び/又は基線及び/又は比較のための対照状態である。従って、
図3Aにおいて、領域301は1000ルクスの周囲照度下での表示器1(620cd/m
2の輝度に設定された)の色域をユーザーが知覚する仕方を表し一方、領域302は1000ルクスの同じ周囲照度下での表示器2(640cd/m
2の輝度に設定された)の色域をユーザーが知覚する仕方を表す。領域301及び302を比較すると、表示器2の色域は表示器1の色域より広いと知覚されることが分かる。同様に、
図3Bにおいて、領域311は10,000ルクスの周囲照度下での表示器1(620cd/m
2の輝度に設定された)の色域をユーザーが知覚する仕方を表し一方、領域312は10,000ルクスの同じ周囲照度下での表示器2(640cd/m
2の輝度に設定された)の色域をユーザーが知覚する仕方を表す。領域311及び312を比較すると、表示器2の色域は表示器1の色域より広いと知覚されることが分かる。同じ周囲照明条件下で表示器1の彩度を表示器2に比べて増加させるために、表示器1の輝度を増加させることができるが、そうするとバッテリー持続時間を減少させる。或いは、表示器1の彩度が特定のユーザーに適切であれば、表示器2の輝度は減らすことができ表示器2の彩度は表示器1の彩度に向かう。それによりバッテリー持続時間は増加し、及び/又は表示器2のエネルギー消費を低減できる。従って、低反射率表示器(例えば、表示器2)の使用は表示の見た目を良くして美的に楽しませる見る経験をユーザーに提供し、及び/又はエネルギー消費を低減できる。
【0055】
周囲条件に対応するCR及び色域変化に合わせて調整するように表示輝度を変えることのバッテリー持続時間への効果が
図4及び5に描かれている。具体的には、
図4は、400cd/m
2(線401)、211cd/m
2(線402)、及び167cd/m
2(線403)の表示輝度についてサムソンGalaxyS8スマートフォンのバッテリーレベル(y軸上に%で)対時間(x軸上に分で)のプロットである。表示輝度の効果を分離するためにスマートフォンを飛行機モードで動作させた。表示輝度が400cd/m
2に設定された時、バッテリーレベルは約360分(約6時間)後に0%、即ち、線401がx軸と交わる点に到達した。同様に、表示輝度が211cd/m
2に設定された時、バッテリーレベルは約660分(約11時間)後に0%、即ち、線402がx軸と交わる点に到達した。そして、表示輝度が167cd/m
2に設定された時、バッテリーレベルは約800分(13時間超)後に0%、即ち、線403がx軸と交わる点に到達した。表示電力消費はスマートフォンなどの複雑な装置のバッテリー持続時間に関係する1つの要素であるが、表示器はバッテリー持続時間に影響する重要な要素である。400cd/m
2から211cd/m
2への表示輝度の低減は、バッテリー持続時間を約6時間(約360分)から約11時間(約660分)に増加させることが示されている。表示器が適切に反射防止であれば、ユーザーは211cd/m
2の輝度の表示器のCRは400cd/m
2の輝度の高反射率表示器と同じか若干良いCRを有すると知覚することを
図2及びその説明から思い出して頂きたい。従って、バッテリー持続時間を増加させ及び/又はエネルギー消費を低減するために、反射防止被膜が反射率を低減するように表示器のカバー基板上又は表示器内の別の適切な位置に配置されてよい。別の言い方をすれば、低反射率を持つ表示器を、美的に楽しませる見る経験をユーザーに提供しながらバッテリー持続時間を延ばすために、あるやり方で(例えば、輝度を低減することで)使用することができる。
図5は
図4で示されたのと同じ概念を見る別のやり方を示す。より具体的には、
図5は
図4と同じデータの1/x適合、即ち、y軸上に時間単位のバッテリー持続期間対x軸上に表示輝度(cd/m
2)のプロットである。
図5は400cd/m
2の表示輝度の場合、バッテリー持続時間は約6時間、200cd/m
2より若干大きい表示輝度の場合、バッテリー持続時間は約11時間、約160cd/m
2の表示輝度の場合、バッテリー持続時間は約12.5時間より長いことを示す。1/x依存は輝度の任意の低減に対してバッテリー節約量を人が予想するのを許す。例えば、輝度が20%だけ(即ち、本書に説明した概念を使うことで元の値の80%に)低減されると、持続時間は1/0.8=1.25だけ増加する(25%増加)。これは4又は5%の増加がかなり重要と考えられている現在の標準によればかなり大きな増加である。
【0056】
基本コントラスト比は表示性能の1つの測定値である。ユーザーのために美的に楽しませる見る経験を維持する要望がある。従って、表示輝度を低減しそれによりバッテリー持続時間を増加させるのに基本コントラスト比を利用しながら、ユーザーのために美的に楽しませる見る経験を維持するために輝度調整を緩和するようにメトリックが使用される。このメトリックはユーザーの表示性能及び品質の知覚に影響する様々な要素、例えば知覚されるコントラスト比、知覚される明るさ、及び知覚される色域を、周囲環境及び表示内容により引き起こされうるユーザーの眼及び知覚の変化を含めて組み合わせる。開発された1つのそのようなメトリックは、CIE技術委員会8‐01により2002年に公表された色見た目モデルCIECAM02の下で定義された知覚コントラスト長PCLである。より高いPCL値は、実際の世界ユーザーの視点からより高い知覚される画像品質に相当する。別の画像見た目モデルは、論文「iCAM06:HDR画像描画のための洗練された画像見た目モデル」、Kuang他、ジャーナルVision Communication Image Representation、第18巻(2007)ページ406~414に記載されたiCAM06である。バッテリー持続時間を増加させる本技術は使用される特定の画像見た目モデル(特定の用途、設計者及びユーザーの好みに依存しうる)に依存しない。また、モデルは新しいデータ及び理解が取り込まれながら時間とともに更新されうる。これらのモデルのいずれも又は類似のモデルは、様々な周囲光条件下での表示画像品質、見易さ、又は読み易さのユーザー知覚を計算するために、説明した実施形態において使用されうる。幾つかの実施形態では、使用されるモデルは次の目標、即ち、表示の明るさのユーザーの知覚、コントラストのユーザーの知覚、及び/又はユーザーにより知覚される内容の彩度を取り込む。幾つかの実施形態では、モデルは周囲光レベル、周囲照明の色、表示器反射率、及び表示器に示されている内容の種類も、又は代わりに入力として含んでもよい。
【0057】
図6A及び6Bは、2つの異なる表示器、即ち、約4%の前面反射率を持つ上記表示器1と約0.7%の第1表面反射率を持つ上記表示器2についての計算された知覚コントラスト長PCLのデータに放物線適合を使用して描かれている。点は色見た目モデルCIECAM02を通り明るさQを生成する測定値を表す。白の場合の明るさQと黒の場合の明るさQの差がPCLであり、これらの図にプロットされている。表示輝度においてデータが非線形なので放物線適合を使用した。
図6A及び6Bに示したように、1000~10,000ルクスの明るい周囲照明条件下でPCLは表示器1より低い反射率の表示器2では増加する。より具体的には
図6Aは、1000ルクスの周囲照度の場合の表示器1のPCL(線601)と表示器2のPCL(線602)を示す。
図6Aで分かるように、約200から600cd/m
2を超えるまでの表示輝度に亘って線602は線601より高い。従って、表示器2(表示器1より低い反射率を持つ)は表示器1(表示器2より高い反射率を持つ)より高いPCLを有する。同様に、
図6Bは、10,000ルクスの周囲照度の場合の表示器1のPCL(線611)と表示器2のPCL(線612)を示す。
図6Bで分かるように、約200から600cd/m
2を超えるまでの表示輝度に亘って線612は線611より高い。従って、表示器2(表示器1より低い反射率を持つ)は表示器1(表示器2より高い反射率を持つ)より高いPCLを有する。また、表示輝度が増加すると特定の表示輝度についてのPCLの差(即ち、線601と602及び/又は611と612のy方向の距離)は増加することが
図6A及び6B両方で分かる。
【0058】
図7は、低反射率の表示器2の正規化されたPCLと標準反射率の表示器1のPCLの比をプロットすることで、
図6A及び6Bに示された傾向をまとめる。より具体的には
図7はy軸上の表示器1のPCLで割った表示器2のPCLの比(表示器1が400cd/m
2輝度に設定された時)対x軸上の表示器2の輝度を示す。
図7のPCL比が1又は約1である時、2つの表示器のPCLは同じであり、
図7の比が1より高いと、表示器2は表示器1より高いPCL及び/又はより高い知覚される画像品質を有する。
図7は更に1000ルクス(線710)~10,000ルクス(線720)の周囲照明範囲の場合、表示器2の輝度は220~280cd/m
2の範囲(破線長円730で示す)に下げられ400cd/m
2に設定された標準表示器1に匹敵するPCLを与えうることを示す。即ち、破線長円730で指定された表示器2輝度レベル内では、PCL比は約1に留まる。従って、低減された表示輝度によるエネルギー使用量の低減及び表示器2を使用するシステムの対応するバッテリー持続時間増加は標準表示器1を使用するシステムに比べて大幅でありうる。
【0059】
上述した方法は装置製造業者によって表示装置動作条件をプログラムするために使用され、表示装置自体にプログラムされ、及び/又は、表示装置動作条件を、例えばプログラミングアルゴリズムで修正するのに最終消費者により使用され、より長いバッテリー持続時間(本方法を使用しない装置に比べて)の装置を実現し、美的に楽しませる見る経験を表示装置のユーザーに提供しうる。
【0060】
まとめると、方法、プロセス、プログラミングアルゴリズム、及び/又はプログラムされた表示装置は次のステップ又は要素を組み込んでもよい。
【0061】
(1)表示装置及び/又はカバー基板反射率値を得ること。反射率値は能動的に検出されても、又は装置製造構成に基づく固定パラメータであってもよい。好ましくは、表示装置は、1%以下の第1表面反射率、3%以下の総反射率(埋め込まれた界面を含む)を持つ又は有し、10GPa以上、例えば12GPa以上、又は13GPa以上、又は14GPa以上、又は15GPa以上、又は16GPa以上、又は17GPa以上、又は18GPa以上、又は19GPa以上、50GPaまでの最大硬度を100~500nmの押し込み深さに亘って有する低反射率被覆タッチスクリーンを備える。
【0062】
(2)周囲照明レベル及び/又は周囲照明色を得ること。これらの周囲条件は表示装置自体内のセンサーによって能動的に検出されても、又は表示装置に外部センサーから提供されてもよい。
【0063】
(3)ユーザーが表示器で見ることを選択する内容を特定すること。内容は、例えば映像、映画、絵、図形、テキスト、及び/又は電子メールを含んでよい。異なる内容は、表示装置明るさ、色レベル、コントローラ使用時間に関して異なる量のエネルギーを消費する。
【0064】
(4)表示品質のユーザーの知覚を画像見た目モデルを使って計算すること。このモデルは表示された画像のユーザーにより知覚される明るさ、ユーザーにより知覚されるコントラスト、又はユーザーにより知覚される彩度を計算、近似、又は出力する。知覚される表示品質は明るさ、コントラスト、及び色の目標レベルと比較されてよい。画像見た目モデルはステップ1~3で評価した上記表示反射率、周囲照明、及び表示内容のうち1つ以上を取り込んでもよい。
【0065】
(5)知覚される表示品質が目標表示品質より高い時、知覚される表示品質が目標表示品質と一致しエネルギー消費を減らすように表示装置条件を調整すること。表示装置条件は、例えば画像見た目モデルに従って許容できる目標ユーザー体験を維持しながら、表示輝度出力及び/又は色を含んでもよい。
【0066】
本書に開示した表示装置は表示器を有する物品(又は表示装置)(例えば、携帯電話、タブレット、コンピュータ、ナビゲーションシステム、装着可能装置(例えば、腕時計)などを含む消費者家電)、建築物、輸送体(例えば、自動車、列車、航空機、船など)、電気製品、又は改善された表示見易さ、耐傷性、耐摩耗性、又はこれらの組み合わせから恩恵を受ける任意の物品などの別の物品に組み込まれてよい。本書に開示した表示装置及び/又は反射防止被膜のいずれかを組み込んだ代表的な物品が
図8A及び8Bに示されている。具体的には、
図8A及び8Bは前面804、裏面806、及び側面808を有するハウジング802と、少なくとも部分的に又は完全にハウジング内にあり、少なくとも1つのコントローラ、メモリ、及びハウジングの前面にあるか又はそれに隣接した表示装置810を含む複数の電気部品(不図示)と、表示器を覆うようにハウジングの前面にあるか又はそれを覆うカバー基板812とを備える消費者電子装置800を示す。幾つかの実施形態では、カバー基板812は表示器に低反射率を与える低反射率基板であり、本書に記載の原理に従って使用されバッテリー持続時間を増加させ及び/又は美的に楽しませる見る経験をユーザーに提供しうる。
【0067】
表示器は様々なやり方で低反射率にされてよい。ここで低反射率のカバーガラス積層体の4つの実施例が説明される。
【0068】
実施例1
実施例1の製造されたままのサンプル(「実施例1」)は、67モル%SiO2、4モル%B2O3、13モル%Al2O3、14モル%Na2O、及び2モル%MgOの公称組成を持つガラス基板を準備し、ガラス基板上に下記の表1に示す13層を有する反射防止被膜を配置することで形成された。この実施例の製造されたままのサンプルのそれぞれの反射防止被膜(例えば、本開示に概説した反射防止被膜と一致する)は反応性スパッタリングプロセスを使用して蒸着された。
【0069】
【0070】
実施例2
実施例2の製造されたままのサンプル(「実施例2」)は、67モル%SiO2、4モル%B2O3、13モル%Al2O3、14モル%Na2O、及び2モル%MgOの公称組成を持つガラス基板を準備し、ガラス基板上に下記の表2に示す13層を有する反射防止被膜を配置することで形成された。この実施例の製造されたままのサンプルのそれぞれの反射防止被膜(例えば、本開示に概説した反射防止被膜と一致する)は反応性スパッタリングプロセスを使用して蒸着された。
【0071】
【0072】
実施例3
実施例3の製造されたままのサンプル(「実施例3」)は、69モル%SiO2、10モル%Al2O3、15モル%Na2O、及び5モル%MgOの公称組成を持つガラス基板を準備し、ガラス基板上に下記の表3に示す5層を有する反射防止被膜を配置することで形成された。この実施例の製造されたままのサンプルのそれぞれの反射防止被膜(例えば、本開示に概説した反射防止被膜と一致する)は反応性スパッタリングプロセスを使用して蒸着された。
【0073】
実施例3のサンプルモデル(「実施例3‐M」)は、この実施例の製造されたままのサンプルで使用するガラス基板と同じ組成を有するガラス基板を使用すると仮定した。また、サンプルモデルのそれぞれの反射防止被膜は下記の表3に示す層材料及び物理的厚みを有すると仮定した。
【0074】
【0075】
実施例4
実施例4の製造されたままのサンプル(「実施例4」)は、69モル%SiO
2、10モル%Al
2O
3、15モル%Na
2O、及び5モル%MgOの公称組成を持つガラス基板を準備し、ガラス基板上に
図2A及び下記の表4に示す7層を有する反射防止被膜を配置することで形成された。この実施例の製造されたままのサンプルのそれぞれの反射防止被膜(例えば、本開示に概説した反射防止被膜と一致する)は反応性スパッタリングプロセスを使用して蒸着された。
【0076】
実施例4のサンプルモデル(「実施例4‐M」)は、この実施例の製造されたままのサンプルで使用するガラス基板と同じ組成を有するガラス基板を使用すると仮定した。また、サンプルモデルのそれぞれの反射防止被膜は下記の表4に示す層材料及び物理的厚みを有すると仮定した。
【0077】
【0078】
カバー基板812は上記実施例1~4のいずれであっても、又は低反射率及び高硬度に関して類似の属性を達成する他の実施例であってもよい。低反射率は可視波長領域に亘る1%以下、例えば0.9%以下、0.8%以下、0.7%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下、0.3%以下、0.25%以下、又は0.2%以下の第1表面明所視平均光反射率であってもよい。或いは又は加えて、低反射率は可視波長領域に亘る4%以下、例えば3.5%以下、3.0%以下、2.5%以下、又は2%以下の総明所視平均光反射率であってもよい。高硬度は10GPa以上、例えば11GPa以上、又は12GPa以上、又は13GPa以上、又は14GPa以上、又は15GPa以上、又は16GPa以上、又は17GPa以上、又は18GPa以上、又は19GPa以上、又は20GPa以上、幾つかの実施形態では、50GPaまでの最大硬度を含んでもよい。
【0079】
幾つかの実施形態では、反射防止被膜を有する物品は、可視波長領域に亘る1%以下、例えば0.9%以下、0.8%以下、0.7%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下、0.3%以下、0.25%以下、又は0.2%以下の第1表面明所視平均光反射率を示す。本書において、「可視波長領域」は反射防止表面で測定した時(例えば、物品の被覆されていない裏面からの反射を、例えば吸収体に結合された裏面に屈折率整合油を使用することで又は他の既知の方法で取り除いた時の第1表面反射率)、約380nmから約720nm、例えば約400nmから約800nm、より正確には約450nmから約650nmの波長範囲を含む。そうでないと指定されない限り、平均反射率は0度の垂直入射照射角で測定される(しかし、そのような測定値はほぼ垂直入射照射角、即ち、垂直から10度まででとられてもよい)。
【0080】
本書で使用されるように、「明所視平均反射率」は、反射率対波長スペクトルを人の眼の感度に応じて重み付けすることで人の眼の応答を真似る。明所視平均反射率は、既知の規定、例えばCIE色空間規定に従って反射光の輝度又は三刺激Y値として定義されてもよい。明所視平均反射率は式(4)において、光源スペクトルI(λ)と眼のスペクトル感度に関係するCIE色マッチング関数y-(λ)とを乗じられたスペクトル反射率R(λ)として定義される。
【0081】
【0082】
幾つかの実施形態では、反射防止被膜を有する物品は、可視波長領域に亘って4%以下、例えば3.5%以下、3.0%以下、2.5%以下、又は2%以下の総明所視平均光反射率を示す。
【0083】
幾つかの実施形態では、反射防止被膜を有する物品は、10GPa以上、例えば11GPa以上、又は12GPa以上、又は13GPa以上、又は14GPa以上、又は15GPa以上、又は16GPa以上、又は17GPa以上、又は18GPa以上、又は19GPa以上、又は20GPa以上、幾つかの実施形態では、50GPaまでの最大硬度を示す。
【0084】
本書で使用されるように、最大硬度はバーコビッチ圧子硬度試験により測定される。本書で使用されるように、「バーコビッチ圧子硬度試験」は材料の表面での硬度をその表面をダイヤモンド・バーコビッチ圧子で押し込むことで測定することを含む。バーコビッチ圧子硬度試験は物品の反射防止表面又は反射防止被膜の表面をダイヤモンド・バーコビッチ圧子で押し込み約50nmから約1000nmの範囲内の押し込み深さ(又は反射防止被膜又は層の全厚み、どちらか小さい方)まで押し込みを形成し、この押し込みから全押し込み深さ範囲に沿って、又は押し込み深さの特定の部分(例えば、約100nmから約500nmの深さ範囲内の)に沿って様々な点において、又は特定の押し込み深さ(例えば、100nmの深さ、500nmの深さなど)において硬度を測定することを含む。硬度は通常、Oliver, W.C.; Pharr, G. M. An improved technique for determining hardness and elastic modulus using load and displacement sensing indentation experiments. J. Mater. Res., Vol. 7, No. 6, 1992, 1564-1583;及びOliver, W.C. and Pharr, G.M, “Measurement of Hardness and Elastic Modulus by Instrument Indentation: Advances in Understanding and Refinements to Methodology”, J. Mater. Res., Vol. 19, No. 1, 2004, 3-20に明記された方法を使用して測定される。また、硬度が押し込み深さ範囲(例えば、約100nmから約500nmの深さ範囲で)に亘って測定される時、結果は特定の範囲内の最大硬度として報告され、最大値はその範囲内の各深さで取った測定値から選択されうる。本書で使用されるように、「硬度」及び「最大硬度」は両方とも硬度値の平均ではなく測定されたままの硬度値を指す。同様に、硬度が押し込み深さにおいて測定される時、バーコビッチ圧子硬度試験から得られた硬度値はその特定の押し込み深さについて与えられる。
【0085】
通常、下にある基板より硬い被膜のナノ押し込み測定方法(例えば、バーコビッチ圧子を使用する)では、測定された硬度は浅い押し込み深さにおいて可塑性領域の発生によって初めは増加するように見えることがあり、より深い押し込み深さにおいて増加し最大値又は横ばいに達する。その後、硬度は更により深い押し込み深さにおいて下にある基板の効果によって減少し始める。被膜に比べてより大きな硬度を有する基板が利用される場合、同じ効果が見られうるが、硬度は下にある基板の効果によってより深い押し込み深さにおいて増加する。
【0086】
押し込み深さ範囲及びある押し込み深さ範囲における硬度値は、下にある基板の効果なしに本書に記載された光学膜構造体及びその層の特定の硬さ応答を特定するために選択されうる。バーコビッチ圧子で基板上に配置された光学膜構造体の硬度を測定する時、材料の永久変形領域(可塑性領域)はその材料の硬度と関連する。押し込みの間、弾性応力場が永久変形領域を超えて広がる。押し込み深さが増加すると、見かけの硬度及び係数は下にある基板との応力場相互作用により影響される。硬度への基板の影響はより深い押し込み深さにおいて発生する(例えば、通常光学膜構造体又は層厚みの約10%超の深さ)。また、更なる複雑さは、硬さ応答はある最小負荷を押し込みプロセスの間、全塑性を発達させるのに利用することである。その最小負荷の前に、硬度は概ね増加傾向を示す。
【0087】
小さい押し込み深さ(小さい負荷とも特徴付けられうる)(例えば、50nmまで)において、材料の見かけの硬度は押し込み深さに対して著しく増加するように見える。この小さい押し込み深さ領域は硬度の真のメトリックを表わさず、圧子の曲率の有限半径に関係する上記可塑性領域の発達を反映する。中間の押し込み深さでは、見かけの硬度は最大レベルに近づく。より深い押し込み深さでは、押し込み深さが増加すると基板の影響がより顕著になる。押し込み深さが光学膜構造体厚み又は層厚みの約30%を超えると硬度は著しく減少し始めることがある。
【0088】
上述したように、当業者は、例えば基板により過度に影響されることなくバーコビッチ圧子硬度試験から得た被膜及び/又は物品の硬度及び最大硬度値がこれらの要素を示すことを保証するのに様々な試験関連考慮(押し込み深さを含む)を考えうる。
【0089】
本書に記載された実施形態及び機能動作は、デジタル電子回路、又はコンピュータソフトウェア、ファームウェア、又はハードウェア(本明細書に開示した構造体及びその構造等価物を含む)、又はそれらの1つ以上の組合せにおいて実施されうる。本書に記載された実施形態は1つ以上のコンピュータプログラム製品、例えばデータ処理装置による又はその動作を制御する実行のための有形のプログラム担体上に符号化されたコンピュータプログラム命令群の1つ以上のモジュールとして実施されうる。有形のプログラム担体はコンピュータ読取可能媒体でありうる。コンピュータ読取可能媒体はマシン読取可能記憶装置、マシン読取可能記憶基板、メモリ装置、又はそれらの1つ以上の組合せであってよい。
【0090】
用語「プロセッサ」又は「コントローラ」はデータを処理するための全ての装置、デバイス、及びマシン(例としてプログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又はマルチ・プロセッサ又はコンピュータを含む)を含みうる。プロセッサはハードウェアに加えて対象のコンピュータプログラムのための実行環境を生成するコード、例えばプロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、又はそれらの1つ以上の組合せを構成するコードを含みうる。
【0091】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、又はコードとしても知られる)は任意の形態のプログラミング言語(コンパイルされた又は実行時解釈される言語、又は宣言又は手続き形言語を含む)で記述され、任意の形態(独立プログラム、モジュール、部品、サブルーチン、又は計算機環境での使用に適した他のユニットとして)で配布されうる。コンピュータプログラムはファイルシステム内のファイルに必ずしも一致しない。プログラムは、他のプログラム又はデータ(例えば、マーク付け言語文書内に記憶された1つ以上のスクリプト)を保持するファイルの一部に、又はその対象のプログラム専用の単一ファイルに、又は複数の連係されたファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、又はコード部分を記憶するファイル)内に記憶されうる。コンピュータプログラムは1つのコンピュータ上又は1つの場所に位置するか複数の場所に分散され通信ネットワークにより相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように配布されうる。
【0092】
本書に記載された処理は、入力データを処理し、出力を生成することによって機能する1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラマブルプロセッサによって実行されうる。また、処理及び論理フローは、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)などの専用論理回路によって実行されてもよく、装置はそのような専用論理回路として実現されてもよい。
【0093】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用及び専用マイクロプロセッサ、及び任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサを含む。通常、プロセッサは、読出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、又はそれら両方から命令群及びデータを受け取る。コンピュータの必須要素は、命令群を実行するためのプロセッサ、及び命令群及びデータを記憶するための1つ以上のデータメモリ装置である。通常、コンピュータは、データを記憶するための1つ以上の大容量記憶装置、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、又は光ディスクも含むか、又はそれらからデータを受信するか、それらへデータを転送するか、又は両方のために動作可能に接続される。しかし、コンピュータがそのような装置を有する必要はない。また、コンピュータは、別の装置、例えば携帯電話、携帯端末(PDA)に埋め込まれうる。
【0094】
コンピュータプログラム命令群及びデータを記憶するのに適したコンピュータ読取可能媒体は、不揮発性メモリ、媒体、及びメモリ装置を含む全ての形態のデータメモリを含み、例として半導体メモリ装置、例えばEPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリ装置、磁気ディスク、例えば内部ハードディスク又は取り外し可能ディスク、光磁気ディスク、及びCD-ROM及びDVD-ROMディスクを含む。プロセッサ及びメモリは、専用論理回路によって補足されても、又は組み込まれてもよい。
【0095】
本書に記載された実施形態は、ユーザーとの対話を可能にするために、ユーザーに情報を表示するための表示装置、例えば、CRT(陰極線管)又はLCD(液晶ディスプレー)モニタなどと、ユーザーがコンピュータに入力を提供できるキーボード及びポインティングデバイス、例えば、マウス又はトラックボール、又はタッチスクリーンとを有するコンピュータ上で実施されうる。ユーザーとの対話を可能にするために、他の種類の装置も使用できる。例えば、ユーザーからの入力は、音響、音声、又は触覚入力を含む任意の形態で受け取られうる。
【0096】
本書に記載された実施形態は、例えばデータサーバとしてバックエンド部品を含むか、又はミドルウェア部品、例えばアプリケーションサーバを含むか、又はフロントエンド部品、例えばユーザーが本書に記載された主題の実施形態とそれを通して対話できるグラフィカルユーザーインターフェース又はウェブブラウザを有するクライアントコンピュータを含むか、又は1つ以上のそのようなバックエンド部品、ミドルウェア部品、又はフロントエンド部品の任意の組合せを含む計算機システムにおいて実施されうる。そのシステムの部品群は、デジタルデータ通信の任意の形態又は媒体、例えば通信ネットワークによって相互接続されうる。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(LAN)及び広域ネットワーク(WAN)、例えば、インターネットを含む。
【0097】
計算機システムは、クライアント及びサーバを含みうる。クライアント及びサーバは、一般的に互いから離れており、通常通信ネットワークを介して対話する。クライアントとサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され互いとクライアント・サーバ関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。
【0098】
本書において使用されるように、用語「約」は量、サイズ、配合、パラメータ、及び他の数量及び特性が正確でなく正確である必要もないが、おおよそ及び/又はより大きいかより小さく、望まれるように、許容範囲、換算率、丸め、測定誤差など、及び当業者に既知の他の因子を反映する場合があることを意味する。用語「約」が値又は範囲の端点を記述するのに使用される時、その開示はその特定の値又は端点を含むと理解されるべきである。本明細書において数値又は範囲の端点に「約」が付いていてもいなくても、その数値又は範囲の端点は2つの実施形態、「約」により修飾されたものと修飾されていないものを含むよう意図されている。各範囲の端点は他方の端点と関係して、また他方の端点とは独立して意味があることも理解されよう。
【0099】
本書で使用される用語「実質的な」、「概ね」、及びそれらのバリエーションは記述された特徴が、ある値又は記述に等しい又はほぼ等しいことを表すよう意図されている。例えば、「概ね平面の」表面は、平面又はほぼ平面である表面を表すよう意図されている。また、「概ね」は2つの値が等しい又はほぼ等しいことを示すよう意図されている。幾つかの実施形態では、「概ね」は互いから約10%以内の値、例えば互いから約5%以内、又は互いから約2%以内の値を示す場合がある。
【0100】
本書で使用される方向の用語、例えば上へ、下へ、右へ、左へ、前、後、上部、底部、内方へ、外方へは描かれた図を参照してのみ使用され、絶対的な方向を意味するように意図されていない。
【0101】
本書で使用されるように、英語の「the」、「a」、又は「an」は「少なくとも1つの」を意味し、そうでないと明示的に示されない限り、「ただ1つの」に限定されるべきでない。従って、例えば、1つの構成要素への言及は、文脈からそうでないと明らかに示されない限り、2つ以上のそのような構成要素を有する実施形態を含む。
【0102】
本書で使用されるように、用語「comprising」及び「including」、及びそれらのバリエーションは、そうでないと示されない限り、同義でオープンエンドであると解釈されるべきである。移行句comprising又はincludingに続く要素のリストは非排他的リストであり、リストに具体的に記述されたそれらの他に要素が存在することがある。
【0103】
本開示の要旨と範囲から逸脱することなく、様々な部分変更及び変形が本開示にされうることは当業者には明らかであろう。従って、本開示は、そのような部分変更及び変形が添付の請求項及びそれらの等価物の範囲内に入る場合、それらを含むことが意図されている。
【0104】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0105】
実施形態1
表示装置エネルギー消費を低減する方法であって、
a.表示装置の周囲の照明条件を特定するステップと、
b.前記表示装置でユ-ザーが見ることを選択する内容を特定するステップと、
c.表示品質の前記ユ-ザーの知覚を画像見た目モデルを使用して計算するステップと、
d.前記知覚された表示品質が目標表示品質より高い時は、前記知覚された表示品質が前記目標表示品質と一致するように表示装置動作条件を調整してエネルギー消費を低減するステップと
を含む方法。
【0106】
実施形態2
前記周囲照明条件は輝度を含む、実施形態1記載の方法。
【0107】
実施形態3
前記周囲照明条件は色を含む、実施形態1又は2記載の方法。
【0108】
実施形態4
前記周囲照明条件は前記表示装置によって能動的に検出される、実施形態1~3のいずれかに記載の方法。
【0109】
実施形態5
前記内容は映像、映画、絵、図形、テキスト、電子メールのうち1つ以上を含む、実施形態1~4のいずれかに記載の方法。
【0110】
実施形態6
前記目標表示品質は前記画像見た目モデルを使用して決定される、実施形態1~5のいずれかに記載の方法。
【0111】
実施形態7
前記画像見た目モデルは前記ユ-ザーにより知覚される前記内容の明るさ、コントラスト、又は彩度を近似する、実施形態1~6のいずれかに記載の方法。
【0112】
実施形態8
前記画像見た目モデルは前記表示装置の反射率、前記周囲照明条件、及び前記内容の関数である、実施形態1~7のいずれかに記載の方法。
【0113】
実施形態9
前記表示装置動作条件は輝度出力を含む、実施形態1~8のいずれかに記載の方法。
【0114】
実施形態10
前記表示装置動作条件は色域を含む、実施形態1~9のいずれかに記載の方法。
【0115】
実施形態11
前記表示装置動作条件を調整することは表示装置反射率の関数である、実施形態1~10のいずれかに記載の方法。
【0116】
実施形態12
前記表示装置反射率は前記表示装置によって能動的に検出される、実施形態11記載の方法。
【0117】
実施形態13
前記表示装置は3%以下の総反射率を有する、実施形態1~12のいずれかに記載の方法。
【0118】
実施形態14
前記表示装置は1%以下の第1表面反射率を有するカバー基板を備える、実施形態1~13のいずれかに記載の方法。
【0119】
実施形態15
前記カバー基板は100~500nmの押し込み深さに亘って10GPa以上の最大硬度を有する表面を有する、実施形態14記載の方法。
【0120】
実施形態16
前記カバー基板は100~500nmの押し込み深さに亘って12GPa以上の最大硬度を有する表面を有する、実施形態14記載の方法。
【0121】
実施形態17
エネルギー消費が低減される表示装置であって、
前面、裏面、及び側面を有するハウジングと、
少なくとも部分的に前記ハウジング内にあり、コントローラ、メモリ、及び前記ハウジングの前記前面にあるか又は隣接した表示器を含む複数の電気部品と
を備え、
前記コントローラは
a.表示装置の周囲の照明条件を特定するステップと、
b.前記表示装置でユ-ザーが見ることを選択する内容を特定するステップと、
c.表示品質の前記ユ-ザーの知覚を画像見た目モデルを使用して計算するステップと、
d.前記知覚された表示品質が目標表示品質より高い時は、前記知覚された表示品質が前記目標表示品質と一致するように表示装置動作条件を調整してエネルギー消費を低減するステップと
を実行するようにプログラムされている、表示装置。
【0122】
実施形態18
前記周囲照明条件は輝度を含む、実施形態17記載の表示装置。
【0123】
実施形態19
前記周囲照明条件は色を含む、実施形態17又は18記載の表示装置。
【0124】
実施形態20
前記周囲照明条件は前記表示装置によって能動的に検出される、実施形態17~19のいずれかに記載の表示装置。
【0125】
実施形態21
前記内容は映像、映画、絵、図形、テキスト、電子メールのうち1つ以上を含む、実施形態17~20のいずれかに記載の表示装置。
【0126】
実施形態22
前記目標表示品質は前記画像見た目モデルを使用して決定される、実施形態17~21のいずれかに記載の表示装置。
【0127】
実施形態23
前記画像見た目モデルは前記ユ-ザーにより知覚される前記内容の明るさ、コントラスト、又は彩度を近似する、実施形態17~22のいずれかに記載の表示装置。
【0128】
実施形態24
前記画像見た目モデルは前記表示装置の反射率、前記周囲照明条件、及び前記内容の関数である、実施形態17~23のいずれかに記載の表示装置。
【0129】
実施形態25
前記表示装置動作条件は輝度出力を含む、実施形態17~24のいずれかに記載の表示装置。
【0130】
実施形態26
前記表示装置動作条件は色域を含む、実施形態17~25のいずれかに記載の表示装置。
【0131】
実施形態27
前記表示装置動作条件を調整することは表示装置反射率の関数である、実施形態17~26のいずれかに記載の表示装置。
【0132】
実施形態28
前記表示装置反射率は前記表示装置によって能動的に検出される、実施形態27記載の表示装置。
【0133】
実施形態29
前記表示装置は3%以下の総反射率を有する、実施形態17~28のいずれかに記載の表示装置。
【0134】
実施形態30
前記表示装置は1%以下の第1表面反射率を有するカバー基板を備える、実施形態17~29のいずれかに記載の表示装置。
【0135】
実施形態31
前記カバー基板は100~500nmの押し込み深さに亘って10GPa以上の最大硬度を有する表面を有する、実施形態30記載の表示装置。
【0136】
実施形態32
前記カバー基板は100~500nmの押し込み深さに亘って12GPa以上の最大硬度を有する表面を有する、実施形態30記載の表示装置。
【符号の説明】
【0137】
10 表示装置
11 光線
12 周囲環境
14 光源
16 放出光
17 反射光
20 ユーザーの眼
800 消費者電子装置
802 ハウジング
804 前面
806 裏面
808 側面
810 表示装置
812 カバー基板
【国際調査報告】