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特表2022-505422疾患活動性を特徴付ける全身性エリテマトーデス(SLE)疾患活動性免疫指標のバイオマーカー
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  • 特表-疾患活動性を特徴付ける全身性エリテマトーデス(SLE)疾患活動性免疫指標のバイオマーカー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】疾患活動性を特徴付ける全身性エリテマトーデス(SLE)疾患活動性免疫指標のバイオマーカー
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20220106BHJP
   G01N 33/564 20060101ALI20220106BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20220106BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20220106BHJP
   C12Q 1/6813 20180101ALI20220106BHJP
【FI】
G01N33/68
G01N33/564 Z
G01N33/53 D
G01N33/53 M
C12Q1/686 Z
C12Q1/6813 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521430
(86)(22)【出願日】2019-09-25
(85)【翻訳文提出日】2021-06-09
(86)【国際出願番号】 US2019052917
(87)【国際公開番号】W WO2020081204
(87)【国際公開日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】62/747,455
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】594003676
【氏名又は名称】オクラホマ メディカル リサーチ ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】OKLAHOMA MEDICAL RESEARCH FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】825 N.E. 13th Street,Oklahoma City,Oklahoma 73104,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジュディス・アン・ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】メリッサ・エリザベス・マンロー
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA26
2G045CB03
2G045DA13
2G045DA14
2G045DA36
2G045FB02
2G045FB03
4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ03
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR55
4B063QR66
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
本発明は、全身性エリテマトーデス患者(SEE)における疾患活動性を特徴付ける方法を含み、患者から血液、血清、血漿、または尿試料に関連するデータセットを取得することであって、データセットは、(b)~(g)のそれぞれからの血液、血清、血漿、または尿試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベルを表すデータと、少なくとも1つの生得的な血清または血漿メディエーターバイオマーカーと、少なくとも1つの適応性血清または血漿メディエーターと、少なくとも1つのケモカイン/接着性分子バイオマーカーと、少なくとも1つの可溶性TNFスーパーファミリーバイオマーカーと、炎症メディエーターバイオマーカーSCFと、少なくとも1つのSLE関連自己抗体特異性バイオマーカーと、を含む取得することと、狼瘡疾患活動性免疫指標(LDAII)スコアを計算することと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全身性エリテマトーデス患者(SLE)における疾患活動性を特徴付ける方法であって、
(a)前記患者から血液、血清、血漿または尿試料に関連するデータセットを取得することであって、前記データセットが、(b)~(g)のそれぞれからの前記血液、血清、血漿または尿試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベルを表すデータを含む、前記取得することと、
(b)IL-1α、IL-1β、IL-1RA、IFN-α、IL-12p70、IL-6、及びIL-23p19から選択される少なくとも1つの生得的な血清または血漿メディエーターバイオマーカーのタンパク質発現の存在または量について前記データセットを評価することと、
(c)IL-2、IFN-γ、IL-5、IL-13、IL-17A、IL-21、IL-10、及びTGF-βから選択される少なくとも1つの適応性血清または血漿メディエーターバイオマーカーのタンパク質発現の存在または量について前記データセットを評価することと、
(d)IL-8/CXCL8、IP-10/CXCL10、MIG/CXCL9、MIP-1α/CCL3、MIP-1β/CCL4、MCP-1/CCL2、MCP-3/CCL7、及びICAM-1から選択される少なくとも1つのケモカイン/接着性分子バイオマーカーの存在または量について前記データセットを評価することと、
(e)TNFRI、TNFRII、TRAIL、TWEAK、CD40L/CD154、BLyS、及びAPRILから選択される少なくとも1つの可溶性TNFスーパーファミリーバイオマーカーの存在または量について前記データセットを評価することと、
(f)炎症性メディエーターバイオマーカーSCFの存在または量について前記データセットを評価することと、
(g)dsDNA、クロマチン、RiboP、Ro/SSA、La/SSB、Sm、SmRNP、及びRNPから選択される少なくとも1つのSLE関連自己抗体特異性バイオマーカーの存在または量について前記データセットを評価することと、
(h)狼瘡疾患活動性免疫指標(LDAII)スコアを計算することと、を含む、前記方法。
【請求項2】
少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、または39個のバイオマーカーが、前記LDAIIの前記計算に使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記データセットは、対数変換され、標準化され、第2のデータセットにおける自己抗体特異性とのスピアマンのr相関によって重み付けされ、可溶性タンパク質マーカーの合計がLDAIIスコアに等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの免疫アッセイの実行は、前記タンパク質マーカーを含む第1の試料を取得することと、前記第1の試料を複数の異なる試薬と接触させることと、前記試薬とマーカーとの間で複数の異なる複合体を生成することと、前記複合体を検出して前記データを生成することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの免疫アッセイは、多重化アッセイを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記LDAIIは、前記SLEの重症度または進行のレベルを、血清学的(dsDNA結合及び低補体)活動性(SA)または血清学的無活動(SQ)のいずれかである臨床的活動性(CA)または臨床的無活動(CQ)の疾患に分割する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記LDAIIスコアは、活動性狼瘡疾患及び低狼瘡疾患活動性を区別する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記患者が分類されたSLEに移行する予後を有することを決定した後に、臨床疾患分類に到達する前に、前記患者に処置を施すことをさらに含み、前記処置は、ヒドロキシクロロキン(HCQ)、ベリムマブ、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド、または疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
患者における全身性エリテマトーデス(SLE)臨床疾患の疾患活動性及び進行を評価する方法であって、
前記患者から血液、血清、血漿または尿試料を得ることと、
前記患者由来の試料に対して少なくとも1つの免疫アッセイを実施して、以下(1)~(6)のそれぞれからの少なくとも1つのバイオマーカーを含むデータセットを生成することと:
(1)IL-1α、IL-1β、IL-1RA、IFN-α、IL-12p70、IL-6、及びIL-23p19から選択される少なくとも1つの生得的な血清または血漿メディエーターバイオマーカーのタンパク質発現の存在または量について前記データセットを評価すること、
(2)IL-2、IFN-γ、IL-5、IL-13、IL-17A、IL-21、IL-10、及びTGF-βから選択される少なくとも1つの適応性血清または血漿メディエーターバイオマーカーのタンパク質発現の存在または量について前記データセットを評価すること、
(3)IL-8/CXCL8、IP-10/CXCL10、MIG/CXCL9、MIP-1α/CCL3、MIP-1β/CCL4、MCP-1/CCL2、MCP-3/CCL7、及びICAM-1から選択される少なくとも1つのケモカイン/接着性分子バイオマーカーの存在または量について前記データセットを評価すること、
(4)TNFRI、TNFRII、TRAIL、TWEAK、CD40L/CD154、BLyS、及びAPRILから選択される少なくとも1つの可溶性TNFスーパーファミリーバイオマーカーの存在または量について前記データセットを評価すること、
(5)前記炎症性メディエーターバイオマーカーSCFの存在または量について前記データセットを評価すること、及び
(6)dsDNA、クロマチン、RiboP、Ro/SSA、La/SSB、Sm、SmRNP、及びRNPから選択される少なくとも1つのSLE関連自己抗体特異性バイオマーカーの存在または量について前記データセットを評価すること、
LDAIIスコアを計算することと、を含む、前記方法。
【請求項10】
少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、または39個のバイオマーカーが、前記LDAIIの前記計算に使用される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記データセットは、対数変換され、標準化され、第2のデータセットにおける自己抗体特異性とのスピアマンのr相関によって重み付けられ、前記可溶性タンパク質マーカーの合計は、狼瘡疾患活動性免疫指標(LDAII)スコアに等しい、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの免疫アッセイの実行は、前記タンパク質マーカーを含む第1の試料を取得することと、前記第1の試料を複数の異なる試薬と接触させることと、前記試薬とマーカーとの間で複数の異なる複合体を生成することと、前記複合体を検出して前記データを生成することと、を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの免疫アッセイは、多重化アッセイを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記LDAIIは、前記SLEの重症度または進行のレベルを、血清学的(dsDNA結合及び低補体)活動性(SA)または血清学的無活動(SQ)のいずれかである臨床的活動性の(CA)または臨床的無活動の(CQ)疾患に分割する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記LDAIIスコアは、活動性の狼瘡疾患活動性及び低狼瘡疾患活動性の間を区別する、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記患者が分類されたSLEに移行する予後を有すると決定した後に、臨床疾患分類に到達する前に、処置を前記SLE患者に施すことをさらに含み、前記処置は、ヒドロキシクロロキン(HCQ)、ベリムマブ、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド、または疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記試料に関連する第1のデータセットを取得することは、前記試料を取得することと、前記試料を処理して前記第1のデータセットを実験的に決定することを含むか、または前記試料に関連する前記第1のデータセットを取得することは、前記試料を処理して前記第1のデータセットを実験的に決定する第三者から前記第1のデータセットを受信することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記SCF、TNFRII、及びMCP-1バイオマーカーの増加は、腎臓の関与を示す、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
対象におけるバイオマーカーのセットの発現レベルを測定することによって、狼瘡疾患活動性免疫指標(LDAII)を計算する方法であって、
生理学的試料中の免疫アッセイによるバイオマーカーのセットのバイオマーカー尺度を決定することであって、前記バイオマーカーが、ペプチド、タンパク質、翻訳後修飾を有するペプチド、翻訳後修飾を有するタンパク質、またはそれらの組み合わせであり、前記生理学的試料が、全血、血漿、血清、またはそれらの組み合わせであり、前記バイオマーカーのセットが、
IL-1α、IL-1β、IL-1RA、IFN-α、IL-12p70、IL-6、及びIL-23p19から選択される少なくとも1つの生得的な血清または血漿メディエーターバイオマーカーデータセットのタンパク質発現の存在または量と、
IL-2、IFN-γ、IL-5、IL-13、IL-17A、IL-21、IL-10、及びTGF-βから選択される少なくとも1つの適応性血清または血漿メディエーターバイオマーカーデータセットのタンパク質発現の存在または量と、
IL-8/CXCL8、IP-10/CXCL10、MIG/CXCL9、MIP-1α/CCL3、MIP-1β/CCL4、MCP-1/CCL2、MCP-3/CCL7、及びICAM-1から選択される少なくとも1つのケモカイン/接着性分子バイオマーカーデータセットの存在または量と、
TNFRI、TNFRII、TRAIL、TWEAK、CD40L/CD154、BLyS、及びAPRILから選択される少なくとも1つの可溶性TNFスーパーファミリーバイオマーカーデータセットの存在または量と、
炎症性メディエーターバイオマーカーSCFの存在または量と、
dsDNA、クロマチン、RiboP、Ro/SSA、La/SSB、Sm、SmRNP、及びRNPから選択される少なくとも1つのSLE関連自己抗体特異性バイオマーカーデータセットの存在または量と、から選択されるバイオマーカーのそれぞれのカテゴリーの少なくとも1つから選択される測定値のデータセットを含む、前記決定することと、
LDAIIスコアを計算することであって、それによって、前記データセットは、対数変換され、標準化され、第2のデータセットにおける自己抗体特異性とのスピアマンのr相関によって重み付けされ、前記可溶性タンパク質マーカーの合計がLDAIIスコアと等しい、前記計算することと、を含む、前記方法。
【請求項20】
全身性エリテマトーデス(SLE)の存在または発症に関して、前記試料を、分類システムにおけるバイオマーカー尺度のセットを使用して、前記対象において血清学的(dsDNA結合及び低補体)活動性(SA)または血清学的無活動(SQ)のいずれかである臨床的活動性(CA)または臨床的無活動(CQ)疾患に分類することであって、前記分類システムは、フィッシャーの直接検定、マン・ホイットニー検定、クラスカル・ワリス検定、ダンの多重比較によるクラスカル・ワリス検定、スピアマンの順位相関またはそれらの組み合わせからなる群から選択される分類及び回帰ツリーを含む機械学習システムである、前記分類することと、
前記狼瘡疾患活動性免疫指標(LDAII)を計算することであって、前記LDAIIスコアが、活動性SLE及び低SLE疾患活動性(低い臨床疾患(SLEDAI<4))を区別する、前記計算することと、をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
健康な対照と比較して、臨床的かつ血清学的無活動(CQSQ)のSLE患者を区別することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、または39個のバイオマーカーの量を決定することが、前記LDAIIの前記計算に使用されることをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記免疫アッセイは、多重化免疫アッセイである、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記LDAIIは、
濃度バイオマーカーが決定され、前記対象について対数変換され、前記対象試料について決定された各対数変換された可溶性メディエーターレベルが、
(観察値)-(すべてのSLE患者及び健康な対照来院の平均値)/(すべてのSLE患者及び健康な対照来院の標準偏差)のように標準化され、
健康対照と比較して、前記SLE患者において評価された各可溶性メディエーターに対する1つ以上の自己抗体(自己抗体)特異性間の関連性を試験する線形回帰モデルからスピアマン係数(スピアマンr)を生成することと、
前記対象の前記可溶性メディエーターレベルの前記値、及びそれらのそれぞれのスピアマン係数(スピアマンr)で重み付け(乗算)された前記値を変換し、標準化することと、
参加者来院ごとに、4つ以上の可溶性メディエーターの各々について対数変換され、標準化され、重み付けされた前記値を合計して、前記LDAIIを計算することと、のようにさらに計算される、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記LDAIIの増加は、SLE疾患の進行、増加した自己免疫疾患活動性、または臓器損傷のうちの少なくとも一つを示す、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、全身性エリテマトーデス(SLE)における疾患活動性を特徴付ける狼瘡疾患活動性免疫指標を計算するためのバイオマーカーの分野に関する。
【0002】
連邦政府が資金提供する研究の声明
該当せず。
【0003】
配列表の参照
該当せず。
【背景技術】
【0004】
本発明の範囲を限定することなく、その背景は、全身性エリテマトーデス(SLE)と関連して記載される。
【0005】
SLEを含む全身性自己免疫疾患は、米国の人口のかなりの割合に罹患する。最近の集団ベースの研究では、73/100,000人の罹患が反映される(1,2)が、米国狼瘡財団は、日常的な臨床診療において可能性のあるSLE患者の数が470/100,000人まであると評価される。SLEは、臨床症状の集団を提示する。疾患分類は、11個の米国リウマチ学会(ACR)基準のうち4個を満たすことに依存する(3,4)。影響を受けた患者の90%超が15~45歳の女性である。社会経済的地位が低い少数民族人口では罹患が高い(5)。持続的活動性臨床疾患及びその処置は、患者を中枢神経系、肺、心血管、及び腎損傷(9~12)、狼瘡腎炎、及び末期腎疾患(11、13)を含む臓器損傷(6~8)のリスクにさらす。ワックス/ワニング疾患及び臨床的活動性または無活動疾患を有する患者は、それぞれ臨床疾患再燃のリスクがある(14,15)。
【0006】
SLEは、臨床的及び血清学的に異種の全身自己免疫疾患であり、特に若い女性及び少数民族において顕著な罹患及び早期死亡を引き起こす。病原性自己抗体及び慢性炎症の形態の免疫調節異常は、皮膚発疹、関節炎、ならびに生命を脅かす腎臓及び/または中枢神経系の損傷を含む幅広い臨床兆候に寄与する。いくつかの抗核自己抗体(ANA)特異性は、SLE患者に蓄積されることが示されており、ヒドロキシクロロキンの使用は、自己抗体蓄積を抑制し、臨床疾患活動性をオフセットし得る。早期介入はSLE処置の魅力的なアプローチである。しかしながら、SLE疾患活動性における病原性メカニズムの理解は不十分である。この知識ギャップを埋めることにより、増加した疾患活動性及び永続的な臓器損傷のリスクがある個体を同定し、早期介入の機会の窓を定義し、経路標的処置の開発を促進する能力が向上する。
【0007】
高い疾患活動性の兆候及び症状が発生後に捕捉されるため、組織及び臓器損傷を防止するための認識及び早期処置は困難である。検証された臨床疾患活動性器具(16~18)及び改善された処置戦略にもかかわらず、持続的な活動性疾患はSLE患者の負担となる(19)。活動性疾患を管理するために必要な処置、特にステロイド(20~23)、ならびに腎障害(26)を含む永続的臓器損傷(24、25)に関連する罹患及び早期死亡の増加は、コストをさらに増加させる。さらに、疾患活動性を管理するために必要なステロイド(23)及び他の免疫抑制剤(27)の長期使用は、罹患の増加と関連している。臨床疾患を積極的に管理することができないことは、医療を反応性処置に限定し、末梢臓器損傷を防止するために(6~8)ステロイドを保持する免疫修飾剤を添加または増加させる積極的な戦略(28)を排除し、SLEの病原性及び社会経済的負担を低減する(29)。
【0008】
SLEにおける現在のバイオマーカーは、永続的臓器損傷の予測に限られた有用性を有する。抗dsDNA、抗スプライソソーム、及び抗Ro/SSA等のSLE関連自己抗体特異性は、SLE患者に蓄積されるが、それらの存在は、持続的な活動性疾患及び永続的臓器損傷への進行を予測するのに十分ではない。ANAは、他の全身性リウマチ疾患を有する患者、及びSLE患者の罹患していない家族メンバーの一部を含むSLEを発症しない健康な個体、ならびに最大14%の一般集団からの血清にも見出される。個体がANA陽性であるにもかかわらず健康なままである可能性があるため、ANA陽性だけではSLEの唯一の病原体ではない可能性が高い。ANA陽性に加えて、可溶性メディエーターによって駆動される様々な免疫経路の調節異常は、臨床疾患の発症に寄与し得る。SLE病因の複雑さと異質性を説明するのに十分な単一の要因またはメカニズムはない可能性が高い。したがって、多変量、長期間のアプローチが、早期疾患病因のメカニズムを説明し、SLE分類を予測する独自のパラメータを識別するために必要である。
【0009】
50年を超えるSLEのための最初のFDA承認薬物であるベリムマブ(30)を含むいくつかの指向性免疫経路処置の臨床試験にもかかわらず、これらの研究の大部分は、部分的には所与の患者において調節されない免疫経路を理解していないために失敗した。臨床疾患活動性の代替エンドポイントとしての免疫情報に基づいたバイオマーカーの必要性は、より緊急になっている。管理負担は、日常診療における検証されたSLE臨床疾患活動性尺度の使用を制限する(31)。現在使用されているハイブリッド全身性エリテマトーデス疾患活動性指標(hSLEDAI)(32、33)及び英国諸島狼瘡評価グループ(BILAG)指標(17)等の検証された疾患活動性器具は、労働集約型であり、これらの臨床器具が更新されるにつれて継続的な専門的訓練が必要である(34)。臨床疾患の活動性を評価するために医師の経験のみに依存すると、望ましくない変動と負の転帰のリスクが伴う(31,35)。
【0010】
SLEにおける臨床的異質性は、異種免疫調節異常が臨床疾患活動性の根底にあるという科学的前提の根底にある。本発明者らは、患者が組織損傷を受け、臨床後遺症を発症し、最終的に疾患分類に到達するにつれて、患者が臨床SLEの発症前に、フィードフォワード機構で増幅される免疫調節異常を呈することを以前に示した(36、37)。本発明者らはまた、多重のSLE関連自己抗体(自己抗体)ならびに調節不良の炎症及び調節免疫経路(36、37)の蓄積についても記載した。しかしながら、これまでのところ、SLEにおける免疫機構情報に基づく疾患管理試験の欠如は、同時または将来の臨床疾患活動性のいずれかの普遍的な代替物として機能する個々の免疫経路情報に基づくバイオマーカーがないことに由来する(38)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】1.Lim SS,Bayakly AR,Helmick CG,Gordon C,Easley KA,Drenkard C.The incidence and prevalence of systemic lupus erythematosus,2002-2004:The Georgia Lupus Registry.Arthritis & rheumatology.2014;66(2):357-68.
【非特許文献2】2.Somers EC,Marder W,Cagnoli P,Lewis EE,DeGuire P,Gordon C,et al.Population-based incidence and prevalence of systemic lupus erythematosus:the Michigan Lupus Epidemiology and Surveillance program.Arthritis & rheumatology.2014;66(2):369-78.
【非特許文献3】3.Tan EM,Cohen AS,Fries JF,Masi AT,McShane DJ,Rothfield NF,et al.The 1982 revised criteria for the classification of systemic lupus erythematosus.Arthritis and Rheumatism.1982;25(11):1271-7.
【非特許文献4】4.Hochberg MC.Updating the American College of Rheumatology revised criteria for the classification of systemic lupus erythematosus.Arthritis and Rheumatism.1997;40(9):1725.
【非特許文献5】5.Feldman CH,Hiraki LT,Liu J,Fischer MA,Solomon DH,Alarcon GS,et al.Epidemiology and sociodemographics of systemic lupus erythematosus and lupus nephritis among US adults with Medicaid coverage,2000-2004.Arthritis Rheum.2013;65(3):753-63.
【非特許文献6】6.Kasitanon N,Intaniwet T,Wangkaew S,Pantana S,Sukitawut W,Louthrenoo W.The clinically quiescent phase in early-diagnosed SLE patients:inception cohort study.Rheumatology(Oxford).2015;54(5):868-75.
【非特許文献7】7.Oglesby A,Korves C,Laliberte F,Dennis G,Rao S,Suthoff ED,et al.Impact of early versus late systemic lupus erythematosus diagnosis on clinical and economic outcomes.Appl Health Econ Health Policy.2014;12(2):179-90.
【非特許文献8】8.Thong B,Olsen NJ.Systemic lupus erythematosus diagnosis and management.Rheumatology(Oxford).2017;56(suppl_1):i3-i13.
【非特許文献9】9.Conti F,Ceccarelli F,Perricone C,Leccese I,Massaro L,Pacucci VA,et al.The chronic damage in systemic lupus erythematosus is driven by flares,glucocorticoids and antiphospholipid antibodies:results from a monocentric cohort.Lupus.2016;25(7):719-26.
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【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、分類されたSLEを有する患者における疾患活動性及び進行の検出、追跡、及び評価のための新規な方法の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一実施形態では、本発明は、全身性エリテマトーデス(SLE)患者における疾患活動性を特徴付けるための方法を含み、この方法は、(a)患者から血液、血清、血漿または尿試料に関連するデータセットを取得することであって、データセットは、(b)~(g)のそれぞれからの血液、血清、血漿または尿試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベルを表すデータを含む、取得することと、(b)IL-1α、IL-1β、IL-1RA、IFN-α、IL-12p70、IL-6、及びIL-23p19から選択される少なくとも1つの生得的な血清または血漿メディエーターバイオマーカーのタンパク質発現の存在または量についてデータセットを評価することと、(c)IL-2、IFN-γ、IL-5、IL-13、IL-17A、IL-21、IL-10、及びTGF-βから選択される少なくとも1つの適応性血清または血漿メディエーターバイオマーカーのタンパク質発現の存在または量についてデータセットを評価することと、(d)IL-8/CXCL8、IP-10/CXCL10、MIG/CXCL9、MIP-1α/CCL3、MIP-1β/CCL4、MCP-1/CCL2、MCP-3/CCL7、及びICAM-1から選択される少なくとも1つのケモカイン/接着性分子バイオマーカーの存在または量についてデータセットを評価することと、(e)TNFRI、TNFRII、TRAIL、TWEAK、CD40L/CD154、BLyS、及びAPRILから選択される少なくとも1つの可溶性TNFスーパーファミリーバイオマーカーの存在または量についてデータセットを評価することと、(f)炎症性メディエーターバイオマーカー幹細胞因子(SCF)の存在または量についてデータセットを評価することと、(g)dsDNA、クロマチン、RiboP、Ro/SSA、La/SSB、Sm、SmRNP、及びRNPから選択される少なくとも1つのSLE関連自己抗体特異性バイオマーカーの存在または量についてデータセットを評価することと、(h)狼瘡疾患活動性免疫指標(LDAII)スコアを計算することとを含む。一態様において、LDAIIの計算には、少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、または39個のバイオマーカーが使用される。別の態様において、データセットは、対数変換され、標準化され、第2のデータセットにおける自己抗体特異性とのスピアマンのr相関によって重み付けされ、可溶性タンパク質マーカーの合計は、LDAIIスコアと等しい。別の態様において、少なくとも1つの免疫アッセイの性能は、タンパク質マーカーを含む第1の試料を得ることと、第1の試料を複数の異なる試薬と接触させることと、試薬とマーカーとの間で複数の異なる複合体を生成することと、複合体を検出してデータを生成することと、を含む。別の態様において、少なくとも1つの免疫アッセイは、多重化アッセイを含む。別の態様において、LDAIIは、SLEの重症度または進行のレベルを、血清学的(dsDNA結合及び低補体)活動性(SA)または血清学的無活動(SQ)のいずれかである臨床的活動性(CA)または無活動(CQ)疾患に分割する。別の態様において、LDAIIスコアは、活動性狼瘡疾患と低狼瘡疾患活動性とを区別する。別の態様において、方法は、患者が分類されたSLEに移行する予後を有すると判定した後に、臨床疾患分類に到達する前に、患者に処置を施すことをさらに含み、処置は、ヒドロキシクロロキン(HCQ)、ベリムマブ、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド、または疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)のうちの少なくとも1つを含む。
【0014】
別の実施形態において、本発明は患者における、全身性エリテマトーデス(SLE)臨床疾患の疾患活動性及び進行を評価する方法を含み、この方法は、患者から血液、血清、血漿、または尿試料を得ることと、患者からの試料に対して少なくとも1つの免疫アッセイを実施して、(1)~(6):(1)IL-1α、IL-1β、IL-1RA、IFN-α、IL-12p70、IL-6、及びIL-23p19から選択される少なくとも1つの生得的な血清または血漿メディエーターバイオマーカーのタンパク質発現の存在または量について、前記データセットを評価すること、(2)IL-2、IFN-γ、IL-5、IL-13、IL-17A、IL-21、IL-10、及びTGF-βから選択される少なくとも1つの適応性血清または血漿メディエーターバイオマーカーのタンパク質発現の存在または量についてデータセットを評価すること、(3)IL-8/CXCL8、IP-10/CXCL10、MIG/CXCL9、MIP-1α/CCL3、MIP-1β/CCL4、MCP-1/CCL2、MCP-3/CCL7、及びICAM-1から選択される少なくとも1つのケモカイン/接着性分子バイオマーカーの存在または量についてデータセットを評価すること、(4)TNFRI、TNFRII、TRAIL、TWEAK、CD40L/CD154、BLyS、及びAPRILから選択される少なくとも1つの可溶性TNFスーパーファミリーバイオマーカーの存在または量についてデータセットを評価することと、(5)炎症性メディエーターバイオマーカーSCFの存在または量についてデータセットを評価すること、(6)dsDNA、クロマチン、RiboP、Ro/SSA、La/SSB、Sm、SmRNP、及びRNPから選択される少なくとも1つのSLE関連自己抗体特異性バイオマーカーの存在または量についてデータセットを評価すること、のそれぞれからの少なくとも1つのバイオマーカーを含むデータセットを生成することと、LDAIIスコアを計算することと、を含む。一態様において、LDAIIの計算には、少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、または39個のバイオマーカーが使用される。別の態様において、データセットは、対数変換され、標準化され、第2のデータセットにおける自己抗体特異性とのスピアマンのr相関によって重み付けされ、可溶性タンパク質マーカーの合計は、狼瘡疾患活動性免疫指標(LDAII)スコアと等しい。別の態様において、少なくとも1つの免疫アッセイの性能は、タンパク質マーカーを含む第1の試料を得ることと、第1の試料を複数の異なる試薬と接触させることと、試薬とマーカーとの間で複数の異なる複合体を生成することと、複合体を検出してデータを生成することと、を含む。別の態様において、少なくとも1つの免疫アッセイは、多重化アッセイを含む。別の態様において、LDAIIは、SLEの重症度または進行のレベルを、血清学的(dsDNA結合及び低補体)活動性(SA)または血清学的無活動(SQ)のいずれかである臨床的活動性(CA)または無活動(CQ)疾患に分割する。別の態様において、LDAIIスコアは、活動性狼瘡疾患と低狼瘡疾患活動性とを区別する。別の態様において、方法は、患者が分類されたSLEに移行する予後を有すると判定した後に、臨床疾患分類に到達する前に、SLE患者に処置を施すことをさらに含み、処置は、ヒドロキシクロロキン(HCQ)、ベリムマブ、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド、または疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)のうちの少なくとも1つを含む。別の態様において、試料と関連する第1のデータセットを取得することは、試料を取得し、試料を処理して第1のデータセットを実験的に決定することを含むか、または試料と関連する第1のデータセットを取得することは、試料を処理した第三者からの第1のデータセットを受けて、第1のデータセットを実験的に決定することを含む。別の態様において、SCF、TNFRII、及びMCP-1バイオマーカーの増加は、腎臓器関与を示す。
【0015】
別の実施形態では、本発明は、対象におけるバイオマーカーのセットの発現レベルを測定することによって、狼瘡疾患活動性免疫指標(LDAII)を計算する方法を含み、この方法は、生理学的試料における免疫アッセイによってバイオマーカーのセットのバイオマーカー尺度を決定することであって、バイオマーカーが、ペプチド、タンパク質、翻訳後修飾を有するペプチド、翻訳後修飾を有するタンパク質、またはそれらの組み合わせであり、生理学的試料が、全血、血漿、血清、またはそれらの組み合わせであり、バイオマーカーのセットが、IL-1α、IL-1β、IL-1RA、IFN-α、IL-12p70、IL-6、及びIL-23p19から選択される少なくとも1つの生得的な血清または血漿メディエーターバイオマーカーデータセットのタンパク質発現の存在または量と、IL-2、IFN-γ、IL-5、IL-13、IL-17A、IL-21、IL-10、及びTGF-βから選択される少なくとも1つの適応性血清または血漿メディエーターバイオマーカーデータセットのタンパク質発現の存在または量と、IL-8/CXCL8、IP-10/CXCL10、MIG/CXCL9、MIP-1α/CCL3、MIP-1β/CCL4、MCP-1/CCL2、MCP-3/CCL7、及びICAM-1から選択される少なくとも1つのケモカイン/接着性分子バイオマーカーデータセットの存在または量と、TNFRI、TNFRII、TRAIL、TWEAK、CD40L/CD154、BLyS、及びAPRILから選択される少なくとも1つの可溶性TNFスーパーファミリーバイオマーカーデータセットの存在または量と、炎症性メディエーターバイオマーカーSCFの存在または量と、dsDNA、クロマチン、RiboP、Ro/SSA、La/SSB、Sm、SmRNP、及びRNPから選択される少なくとも1つのSLE関連自己抗体特異性バイオマーカーデータセットの存在または量と、から選択されるバイオマーカーの少なくとも1つのそれぞれのカテゴリーから選択される測定値のデータセットを含む、決定することと、LDAIIスコアを計算することと、を含み、それによってデータセットは、対数変換され、標準化され、第2のデータセットにおける自己抗体特異性とのスピアマンのr相関によって重み付けされ、可溶性タンパク質マーカーの合計はLDAIIスコアと等しい。別の態様において、方法は、分類システムにおけるバイオマーカー尺度のセットを使用して、全身性エリテマトーデス(SLE)の存在または発症に関して、試料を対象における血清学的(dsDNA結合及び低補体)活動性(SA)または血清学的無活動(SQ)のいずれかである臨床的活動性(CA)または無活動(CQ)の疾患に分類することであって、分類システムは、フィッシャーの直接検定、マン・ホイットニー検定、クラスカル・ワリス検定、ダンの多重比較を伴うクラスカル・ワリス検定,スピアマンの順位相関またはそれらの組み合わせからなる群から選択される分類及び回帰ツリーを含む機械学習システムである、分類することと、狼瘡疾患活動性免疫指標(LDAII)を計算することであって、LDAIIスコアが、活動性SLE及び低SLE疾患活動性(低臨床疾患(SLEDAI<4)を区別する計算することと、をさらに含む。別の態様において、方法は、健康な対照と比較して、臨床的及び血清学的無活動(CQSQ)SLE患者を区別することをさらに含む。別の態様において、方法は、ある量の少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、または39個のバイオマーカーが、LDAIIの計算に使用されることをさらに含む。別の態様において、イムノアッセイは、多重化イムノアッセイである。別の態様において、LDAIIは、濃度バイオマーカーが対象について決定され、対数変換され、対象試料について決定された各対数変換可溶性メディエーターレベルは(観察値)-(全てのSLE患者及び健康な対照来院の平均値)/(全てのSLE患者及び健康な対照来院の標準偏差)のように標準化され、健康な対照(スピアマンr)と比較して、SLE患者において評価された各可溶性メディエーターについての1つ以上の自己抗体(自己抗体)特異性間の線形回帰モデル試験関連からスピアマン係数を生成することと、対象の可溶性メディエーターレベルの値及びそれらのそれぞれのスピアマン係数(スピアマンr)によって重み付けされた(乗じた)値を変換し、標準化することと、参加者来院ごとに、4つ以上の可溶性メディエーターの各々について対数変換され、標準化され、重み付けされた値を合計して、LDAIIを計算することと、のようにさらに計算した。別の態様において、LDAIIの増加は、SLE疾患の進行、自己免疫疾患活動性の増加、または臓器損傷のうちの少なくとも1つを示す。
【0016】
本発明の特徴及び利点のより完全な理解のために、付属の図面と共に本発明の詳細な説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】A及びBは、活動性疾患を有するSLE患者における増加したhSLEDAI及び自己抗体特異性の数を示す。(A)低(hSLEDAI<4;n=132)及び活動性(hSLEDAI≧4;n=179)疾患を有するSLE患者来院におけるハイブリッドSLEDAI(SLEDAI-2Kによって定義されるタンパク質尿を有するSELENA-SLEDAI)。平均値±SEM、p<0.0001(対のないt検定による)。(B)適合した健康な対照(対照;n=48)に対する、低疾患または活動性疾患を有するSLE患者におけるSLE関連自己抗体特異性の数(dsDNA、クロマチン、Ro/SSA、La/SSB、Sm、SmRNP、及びRNPに対する抗体)。レベルは平均値±SEMとして提示される。ダンの多重比較を用いたクラスカル・ワリス検定によって**p<0.01;****p<0.0001。
図2】A~Iは、SLE低対活動性疾患及び対照における変更されたた可溶性メディエーターを示す。適合した対照(n=48)に対する、低疾患活動性を有する来院中のSLE患者からの血漿試料(n=132)を、活動性疾患を有する来院中に調達したSLE患者試料(n=179)と比較した。検討された要因には、(A)IFN-α、(B)IP-10、(C)IL-6、(D)IL-1α、(E)IL-8、(F)IL-21、(G)BLyS、(H)IL-10、及び(I)総TGF-βが含まれた。レベルは平均値±SEMとして提示される。(ダンの多重比較を用いたクラスカル・ワリス検定によってp<0.05;**p<0.01、***p<0.001、***p<0.0001。
図3】A~Dは、疾患活動性/自己抗体陽性について変更されたIFN関連メディエーターを示す。自己抗体陰性(陰性)/低疾患活動性(低)試料(n=56)を有するSLE患者来院を、自己抗体陰性/活動性疾患(活動性;n=52)、自己抗体陽性(Pos)/低(n=76)、及び自己抗体陽性/活動性試料と比較した。SLE患者試料もまた、適合した対照試料(n=48)と比較した。検討された要因には、(A)IFN-α、(B)IFN-γ、(C)IP-10、及び(D)MIGが含まれた。レベルは、ダンの多重比較を用いたクラスカル・ワリス検定によって平均±SEMp<0.05、**p<0.01、***p<0.001、***p<0.0001として提示される。症例(SLE患者群)を、マン・ホイットニー検定によって対照と比較した。
図4】A~Dは、疾患活動性/自己抗体陽性について変更されたTNFスーパーファミリーメディエーターを示す。自己抗体陰性(陰性)/低疾患活動性(低)試料(n=56)を有するSLE患者来院を、自己抗体陰性/活動性疾患(活動性;n=52)、自己抗体陽性(Pos)/低(n=76)、及び自己抗体陽性/活動性試料と比較した。SLE患者試料を、適合した対照試料(n=48)と比較した。検討された要因には、(A)BLyS、(B)APRIL、(C)TRAIL、及び(D)TNFRIIが含まれた。レベルは平均値±SEMとして提示される。p<0.05;**p<0.01、****p<0.0001(ダンの多重比較によるクラスカル・ワリス検定による)。症例(SLE患者群)を、マン・ホイットニー検定によって対照と比較した。
図5】A~Dは、疾患活動性/自己抗体陽性について変更された生得的及び適応性メディエーターを示す。自己抗体陰性(陰性)/低疾患活動性(低)試料(n=56)を有するSLE患者来院を、自己抗体陰性/活動性疾患(活動性;n=52)、自己抗体陽性(陽性)/低(n=76)、及び自己抗体陽性/活動性試料と比較した。SLE患者試料もまた、適合した対照試料(n=48)と比較した。検討された要因には、(A)IL-1a、(B)IL-6、(C)IL-2、及び(D)IL-21が含まれた。レベルを、ダンの多重比較を用いたクラスカル・ワリス検定によって平均±SEM、p<0.05、**p<0.01、****p<0.0001として提示する。症例(SLE患者群)を、マン・ホイットニー検定によって対照と比較した。
図6】A~Dは、疾患活動性/自己抗体陽性で変更された炎症性及び調節性メディエーターを示す。自己抗体陰性(陰性)/低疾患活動性(低)試料(n=56)を有するSLE患者来院を、自己抗体陰性/活動性疾患(活動性;n=52)、自己抗体陽性(陽性)/低(n=76)、及び自己抗体陽性/活動性試料と比較した。SLE患者試料もまた、適合した対照試料(n=48)と比較した。検討された要因には、(A)SCF、(B)IL-8、(C)IL-10、及び(D)総TGF-βが含まれた。レベルは、ダンの多重比較を用いたクラスカル・ワリス検定によって平均±SEMp<0.05、**p<0.01、***p<0.001、***p<0.0001として提示される。症例(SLE患者群)を、マン・ホイットニー検定によって対照と比較した。
図7】A及びBは、狼瘡疾患活動性免疫指標(LDAII)が、対照に対して、低疾患及び活動性疾患を有するSLE患者を区別することを示す。(A)LDAIIを、対照に対して、低または活動性疾患を有するSLE患者について計算した。LDAIIは、ダンの多重比較を用いたクラスカル・ワリス検定によって平均±SEM、p<0.05、**p<0.01、***p<0.0001として示される。(B)対照からの区別SLE患者(低または活動性疾患)について曲線下面積(AUC)。オッズ比を、活動性狼瘡を有する陽性LDAIIスコアを有する可能性に基づいて計算し、p値、特異性、感度、陰性予測値(NPV)、及び陽性予測値(PPV)を、フィッシャーの直接検定によって計算した。
図8】A~Fは、狼瘡疾患活動性免疫指標(LDAII)が、対照に対して、無活動疾患を有するSLE患者に対して、臨床的及び血清学的活動性疾患を有するSLE患者を区別することを示す。(A)LDAIIを、対照に対して、臨床的及び血清学的無活動疾患(CQSQ;n=73)、または臨床的及び血清学的活動性疾患(CASA;n=115)を有するSLE患者について計算した。LDAIIは、ダンの多重比較を用いたクラスカル・ワリス検定によって平均±SEM、p<0.05、**p<0.01、***p<0.0001として示される。(B)対照からのSLE患者(低疾患または活動性疾患)の区別についての曲線下面積(AUC)。オッズ比を、活動性狼瘡を有する陽性LDAIIスコアを有する可能性に基づいて計算し、p値、特異性、感度、陰性予測値(NPV)、及び陽性予測値(PPV)を、フィッシャーの直接検定によって計算した。IL-6(C)、IL-8(D)、及びIP-10(E)を含む異なる因子の血漿レベル、ならびに自己抗体特異性の数(F)をまた決定した。レベルは、ダンの多重比較を用いたクラスカル・ワリス検定によって平均±SEM、p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001として提示される。
図9】A~Eは、狼瘡疾患活動性免疫指標(LDAII)が、低疾患活動性と比較して、腎または非腎活動性疾患を有するSLE患者を区別することを示す。(A)LDAIIを、低疾患活動性を有するSLE患者の来院(n=132)に対して、腎(n=24)または非腎(n=155)活動性疾患を有するSLE患者の来院について計算した。LDAIIは、ダンの多重比較を用いたクラスカル・ワリス検定によって平均±SEM、p<0.05、**p<0.01、***p<0.0001として示される。(B)腎症状を有する区別SLE患者についての曲線下面積(AUC)。オッズ比を、活動性狼瘡及び腎兆候を有する陽性LDAIIスコアを有する可能性に基づいて計算し、p値、特異性、感度、陰性予測値(NPV)、及び陽性予測値(PPV)を、フィッシャーの直接検定によって計算した。SCF(C)、TNFRII(D)、及び自己抗体特異性の数(E)を含む、異なる因子の血漿レベルも決定した。レベルを、ダンの多重比較を用いたクラスカル・ワリス検定によって平均±SEM、p<0.05、**p<0.01、***p<0.001として提示する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の様々な実施形態の作製及び使用が以下で詳細に論じられるが、本発明が、広範な特定の文脈で具現化され得る多くの適用可能な発明概念を提供することを理解されたい。本明細書で論じられる特定の実施形態は、本発明を作製及び使用するための特定の方法を例示するにすぎず、本発明の範囲を限定しない。
【0019】
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語が以下に定義される。本明細書に定義される用語は、本発明に関連する分野の当業者によって通常理解されるような意味を有する。「a」、「an」及び「the」などの用語は、単一の存在のみを指すことは意図されないが、特定の例が例示のために使用され得る一般的なクラスを含む。本明細書の用語は、本発明の特定の実施形態を記載するために使用されるが、それらの使用は、特許請求の範囲に概説される場合を除き、本発明を限定するものではない。
【0020】
本発明者らは、オクラホマ狼瘡コホートにおける全身性エリテマトーデス(SLE)患者から連続して収集した血漿試料を活用して、レベルを比較し、適合した健康な対照と比較して、低または活動性疾患を有するSLE患者における多重の免疫経路からの自己抗体と免疫メディエーターとの間の時間的関係を決定した。本発明は、臨床疾患活動性に関連する免疫病態発生の潜在的なメカニズムについて明らかにし、それによって、免疫メディエーターの調節異常は、自己抗体蓄積と並行して、自己抗体蓄積とは独立して発生する。さらに、本発明は、狼瘡患者が臨床疾患活動性に関連する狼瘡患者の免疫状態を評価するための信頼できる感受性の高いツールの設計及び検証を含む。本発明を使用して、リウマチ科の紹介及び前向きな前臨床介入研究への登録を必要とする高いリスクの患者を同定し、組織損傷を回避または遅延させるための新規処置戦略の開発を知らせることができる。
【0021】
本明細書で使用される場合、「データセット」という用語は、所望の条件下での試料(または試料の集団)の評価から生じる数値のセットを指す。データセットの値は、例えば、患者試料等の試料から尺度を実験的に取得し、これらの測定値からデータセットを構築することによって得ることができる。あるいは、データセットは、データセットが格納されたデータベースもしくはサーバ、または内部もしくは第三者の実験室などのサービスプロバイダからも得ることができる。
【0022】
本明細書で使用される場合、本発明の文脈で「疾患」という用語は、例えば、SLEを引き起こす、例えば機能不全または誤って機能する免疫系に現れる任意の障害、状態、疾患、または病気を指す。
【0023】
本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、単一または多重の細胞、細胞の断片、体液のアリコート、全血、血小板、血清、血漿、赤血球、白血球(white blood cell)または白血球(leucocyte)、内皮細胞、組織生検、滑液、リンパ液、腹水、及び間質性または細胞外流体を含み得るが、これらに限定されない、対象から単離される任意の生物学的試料を指す。「試料」という用語はまた、歯肉裂孔液、骨髄、脳脊髄液、唾液、粘液、痰、精液、汗、尿、または任意の他の体液を含む、細胞間の空間における流体を包含する。
【0024】
本明細書で使用される場合、「血液試料」という用語は、血液細胞、赤血球、白血球(white blood cell)、または白血球(leucocyte)、血小板、血清及び血漿を含む、全血またはその任意の画分を指す。試料は、限定されないが、静脈穿刺、排泄、射精、マッサージ、生検、針吸引、洗浄、スクラッピング、外科的切開、もしくは介入、または当該技術分野で知られる他の手段を含む手段によって、対象から得ることができる。
【0025】
本明細書で使用される場合、「対象」または「患者」という用語は、一般に、限定されないが、性別または年齢に関係なく、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウシ、ウマ、及びブタを含む哺乳動物を指す。対象は、自己免疫疾患及び/または炎症性疾患を有すると以前に診断または同定されており、自己免疫疾患及び/または炎症性疾患の治療介入を既に経験しているか、または経験しつつある対象であることができる。しかしながら、対象はまた、自己免疫疾患及び/または炎症性疾患を有すると以前に診断されなかった患者、例えば、自己免疫疾患及び/または炎症性疾患の1つ以上の症状もしくは危険因子を示す対象、または自己免疫疾患及び/または炎症性疾患の症状もしくは危険因子を示さない対象、または自己免疫疾患及び/または炎症性疾患の無症状の対象を含むことができる。
【0026】
本明細書で使用される場合、語句「生得的な血清または血漿メディエーターバイオマーカー(複数可)」は、IL-1α、IL-1β、IL-1RA、IFN-α、IL-15、IL-12p70、IL-6、及びIL-23p19のバイオマーカーのうちの1つ以上を指す。これらのバイオマーカーは、RNAまたはタンパク質レベルで測定することができ、哺乳動物、例えば、ヒト患者である患者からの試料、例えば、血液、血清、血漿、及び/または尿試料から得ることができる。本明細書で使用される全てのバイオマーカーの略語は、当業者に周知であり、例えば、IL-1は、インターロイキン-1等である。略語は、例えば、www.genecards.orgにおいて、タンパク質と適合させることができる。
【0027】
本明細書で使用される場合、語句「適応性血清または血漿メディエーターバイオマーカー(複数可)」は、IL-2、IFN-γ、IL-4、IL-5、IL-13、IL-17A、IL-21、IL-10、及びTGF-βのバイオマーカーのうちの1つ以上を指す。これらのバイオマーカーは、RNAまたはタンパク質レベルで測定することができ、哺乳動物、例えば、ヒト患者である患者からの試料、例えば、血液、血清、血漿、及び/または尿試料から得ることができる。
【0028】
本明細書で使用される場合、語句「ケモカインバイオマーカー(複数可)」は、IL-8/CXCL8、IP-10/CXCL10、MIG/CXCL9、MIP-1α/CCL3、MIP-1β/CCL4、MCP-1/CCL2、及びMCP-3/CCL7のバイオマーカーのうちの1つ以上を指す。これらのバイオマーカーは、試料、例えば、哺乳動物、例えば、ヒト患者である患者由来の血液、血清、血漿及び/または尿試料から測定することができる。
【0029】
本明細書で使用される場合、語句「可溶性TNFスーパーファミリーバイオマーカー(複数可)」は、TNF-α、TNFRI、TNFRII、Fas、CD40L/CD154、BLyS、及びAPRIL、または腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー13(TNFSF13)のバイオマーカーのうちの1つ以上を指す。これらのバイオマーカーは、RNAまたはタンパク質レベルで測定することができ、哺乳動物、例えば、ヒト患者である患者からの試料、例えば、血液、血清、血漿、及び/または尿試料から得ることができる。
【0030】
本明細書で使用される場合、語句「炎症性メディエーターバイオマーカー(複数可)」は、幹細胞因子(SCF)、プラスミノーゲンアクティベーター阻害剤1(PAI-1)、及びレジスチンのバイオマーカーのうちの1つ以上を指す。これらのバイオマーカーは、RNAまたはタンパク質レベルで測定することができ、哺乳動物、例えば、ヒト患者である患者からの試料、例えば、血液、血清、血漿、及び/または尿試料から得ることができる。
【0031】
本明細書で使用される場合、「SLE関連自己抗体特異性バイオマーカー(複数可)」という語句は、dsDNA、クロマチン、RiboP、Ro/SSA、La/SSB、Sm、SmRNP、及びRNPのうちの標的に対する自己抗体であるバイオマーカーのうちの1つ以上を指し、これらは全て、SLE分野の当業者に周知である。これらのバイオマーカーは、RNAまたはタンパク質レベルで測定することができ、哺乳動物、例えば、ヒト患者である患者からの試料、例えば、血液、血清、血漿、及び/または尿試料から得ることができる。
【0032】
本明細書で使用される場合、「健康対照」は、SLEの臨床的証拠がないSLE患者ではない健康対照を指す。
【0033】
本発明は、狼瘡全国評価におけるエストロゲンの安全性-全身性エリテマトーデス疾患活動性指標(SELENA-SLEDAI)によって定義される臨床疾患活動性に関連するSLE患者の処置を、ハイブリッド-SLEDAI(hSLEDAI)として知られるSLEDAI-2Kによって定義されるタンパク質尿と同定し、変更する方法を含む。SLEの臨床兆候が、それらが発生した後にhSLEDAIにおける疾患活動性に寄与するため、本発明は、対象が、SLE患者を永続的臓器損傷及び早期死亡のリスクにさらす疾患活動性に寄与し得るバイオマーカーを呈し得るかどうかを判定するために使用される。
【0034】
SLE分類のためのACR基準に従って、患者は、疾患分類(診断)に到達するためには、SLEについての少なくとも4つのACR基準を満たさなければならない。これには、マラール発疹、椎間板発疹、感光性、口腔潰瘍、関節炎、漿膜炎(胸膜炎または心膜炎)、腎障害(タンパク質尿または細胞テンプレート)、神経障害(発作または精神病)、血液障害(溶血性貧血、白血球減少症、リンパ球減少症、または血小板減少症)、免疫障害(抗DNA、抗Sm、または抗リン脂質抗体)、及び陽性ANA(HEp-2IIFアッセイ)が含まれる。他の基準も、当業者に既知のように、例えば、SLEの分類のための全身性狼瘡国際共同クリニック(SLICC)ルールを使用して、患者は、少なくとも1つの臨床基準及び1つの免疫学的基準を含む少なくとも4つの基準を満たさなければならないか、または患者は、抗核抗体または抗二本鎖DNA抗体の存在下、生検で証明された狼瘡腎炎を有しなければならない。
【0035】
バイオマーカー検出。タンパク質発現を評価するために使用することができる種々の方法がある。かかるアプローチの1つは、抗体の使用によるタンパク質同定を行うことである。
【0036】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、広義には、IgG、IgM、IgA、IgD及びIgE抗体、もしくはそのサブクラス等の任意の免疫学的結合剤、または単鎖断片を含むその結合断片を指す。一般に、IgG及び/またはIgMは、それらが生理学的状況において最も通常の抗体であるため、及び実験室環境において通常かつ容易に作製されるために使用される。本明細書で使用される場合、「抗体断片」という用語は、抗原結合領域を有し、Fab’、Fab、F(ab’)、単一ドメイン抗体(DAB)、Fv、scFv(単鎖Fv)等の抗体断片を含む任意の抗体様分子を指す。様々な抗体ベースの構築物及び断片を調製及び使用するための技法は、当該技術分野で周知である。ポリクローナル及びモノクローナルの両方の抗体を調製及び特徴付けるための手段は、当該技術分野でも周知である(例えば、参照により関連部分が本明細書に組み込まれるAntibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988を参照されたい)。
【0037】
本発明に従って、免疫検出方法の例が提供される。いくつかの免疫検出方法として、いくつか挙げると、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、イムノラジオメトリックアッセイ、蛍光免疫測定法、化学発光測定法、生物発光測定法、及びウェスタンブロットが挙げられる。様々な有用な免疫検出方法のステップは、科学文献であって、参照により関連部分が本明細書に組み込まれるCurrent Protocols in Immunology,Wiley & Sons Press,2017に記載されている。
【0038】
一般に、免疫結合方法は、関連するポリペプチドを含有すると疑われる試料を得ることと、試料を、免疫複合体の形成を可能にするのに有効な条件下で第1の抗体と接触させることと、を含む。抗原検出に関して、分析される生体試料は、抗原、例えば、組織切片または標本、均質化組織抽出物、細胞、またはさらには生物学的流体を含有することが疑われる任意の試料であり得る。
【0039】
有効な条件下で、かつ免疫複合体(一次免疫複合体)の形成を可能にするのに十分な期間にわたって、選択された生体試料を抗体と接触させることは、一般的に、抗体組成物を試料に単純に添加し、抗体が免疫複合体を形成する、すなわち存在する抗原に結合するのに十分な長さの時間の期間にわたって混合物をインキュベートすることの事項である。この時間後、組織切片、ELISAプレート、ドットブロットまたはウェスタンブロットなどの試料-抗体組成物を一般的に洗浄して、任意の非特異的に結合した抗体種を除去し、一次免疫複合体内で特異的に結合したそれらの抗体のみが検出されることを可能にする。
【0040】
一般に、免疫複合体形成の検出は当該技術分野で周知であり、多くのアプローチを適用することによって達成され得る。これらの方法は、一般に、それらの放射性、蛍光性、生物学的、及び酵素タグのいずれかのような標識またはマーカーの検出に基づく。かかる標識の使用に関する特許としては、米国特許第3,817,837号、同第3,850,752号、同第3,939,350号、同第3,996,345号、同第4,277,437号、同第4,275,149号、及び同第4,366,241号が挙げられ、これらはそれぞれ参照により本明細書に組み込まれる。もちろん、当該技術分野で知られているように、第2の抗体及び/またはビオチン/アビジンリガンド結合配置などの二次結合リガンドの使用を通じて、追加の利点を見出し得る。
【0041】
抗体またはその結合断片を検出に使用することができ、それ自体が検出可能な標識に連結されてもよく、次いで、この標識を単純に検出し、それによって組成物中の一次免疫複合体の量を決定することができる。あるいは、一次免疫複合体内で結合するようになる第1の抗体は、抗体に対する結合親和性を有する第2の結合リガンドによって検出され得る。これらの場合、第2の結合リガンドは、検出可能な標識に連結され得る。第2の結合リガンド自体は多くの場合抗体であり、これはしたがって「二次」抗体と称され得る。一次免疫複合体は、二次免疫複合体の形成を可能にするのに十分な有効な条件下で、かつ期間に渡って、標識された二次結合リガンドまたは抗体と接触させる。次いで、二次免疫複合体を一般的に洗浄して、任意の非特異的に結合した標識二次抗体またはリガンドを除去し、次いで、二次免疫複合体中の残った標識を検出する。
【0042】
さらなる方法は、2段階アプローチによる一次免疫複合体の検出を含む。抗体に対する結合親和性を有する抗体等の第2の結合リガンドを使用して、上記のように二次免疫複合体を形成する。洗浄後、二次免疫複合体を、再び免疫複合体(三次免疫複合体)の形成を可能にするのに十分な有効な条件下、かつ期間に渡って、第2の抗体に対する結合親和性を有する第3の結合リガンドまたは抗体と接触させる。第3のリガンドまたは抗体は、検出可能な標識に連結され、かくして形成された第3の免疫複合体の検出を可能にする。このシステムは、これが所望される場合、シグナル増幅を提供し得る。
【0043】
免疫検出の1つの方法は、2つの異なる抗体を使用する。第1のステップのビオチン化モノクローナルまたはポリクローナル抗体は、標的抗原(複数可)を検出するために使用され、次いで第2のステップの抗体は、複合体化ビオチンに結合されたビオチンを検出するために使用される。その方法において、試験される試料は、最初に、第1のステップの抗体を含有する溶液中でインキュベートされる。標的抗原が存在する場合、抗体のいくつかは抗原と結合して、ビオチン化抗体/抗原複合体を形成する。次いで、抗体/抗原複合体を、ストレプトアビジン(またはアビジン)、ビオチン化DNA、及び/または相補的ビオチン化DNAの連続溶液中でインキュベーションすることによって増幅し、各ステップは、追加のビオチン部位を抗体/抗原複合体に付加する。増幅ステップは、好適なレベルの増幅が達成されるまで繰り返され、その時点で、試料は、ビオチンに対する第2のステップの抗体を含有する溶液中でインキュベートされる。この第2のステップ抗体は、例えば、染色体基質を使用する組織酵素学によって抗体/抗原複合体の存在を検出するために使用することができる酵素で標識される。好適な増幅により、肉眼的に見える結合体を産生することができる。
【0044】
免疫検出の別の既知の方法は、免疫PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)方法論を利用する。PCR法は、ビオチン化DNAとのインキュベーションまでのCantor法と同様であるが、多重ラウンドのストレプトアビジン及びビオチン化DNAインキュベーションを使用する代わりに、DNA/ビオチン/ストレプトアビジン/抗体複合体は、抗体を放出する低pHまたは高塩類緩衝液で洗い流される。次いで、結果として生じる洗浄液を使用して、適切な対照を有する好適なプライマーを用いたPCR反応を行う。少なくとも理論的には、PCRの巨大な増幅能力及び特異性を利用して単一の抗原分子を検出することができる。
【0045】
上記に詳述されるように、イムノアッセイは、本質的に結合アッセイである。ある特定の免疫アッセイは、当該技術分野で既知の様々なタイプのELISA及びRIAである。しかしながら、検出はそのような技法に限定されず、ウェスタンブロット、ドットブロット、FACS分析等も使用され得ることが容易に理解されるであろう。
【0046】
1つの例示的なELISAにおいて、本発明の抗体は、タンパク質親和性を示す選択された表面、例えば、ポリスチレンマイクロタイタープレート中のウェル上に固定化される。次いで、抗原を含有する疑いのある試験組成物、例えば、臨床試料をウェルに添加する。結合及び洗浄して非特異的に結合した免疫複合体を除去した後、結合した抗原が検出され得る。検出は、一般に、検出可能な標識に連結される別の抗体を添加することによって達成される。このタイプのELISAはシンプルな「サンドイッチELISA」である。検出は、第2の抗体を添加し、続いて、第2の抗体に対する結合親和性を有する第3の抗体を添加することによっても達成され得、第3の抗体は検出可能な標識に連結されている。
【0047】
別の例示的なELISAでは、抗原を含有すると疑われる試料を、ウェル表面上に固定化させ、次いで、本発明の抗ORFメッセージ及び抗ORF翻訳された産物抗体と接触させる。結合及び洗浄して非特異的に結合した免疫複合体を除去した後、結合した抗ORFメッセージ及び抗ORF翻訳産物抗体が検出される。初期抗ORFメッセージ及び抗ORF翻訳産物抗体が検出可能な標識に連結されている場合、免疫複合体は直接検出され得る。再び、免疫複合体は、第1の抗ORFメッセージ及び抗ORF翻訳産物抗体に対する結合親和性を有する第2の抗体を使用して検出され得、第2の抗体は検出可能な標識に連結される。
【0048】
抗原が固定化されるELISAの別のタイプは、検出における抗体競合の使用を伴う。このELISAにおいて、抗原に対する標識抗体をウェルに添加し、結合させ、それらの標識によって検出する。次いで、未知の試料中の抗原の量を、コーティングされたウェルとのインキュベーション中に、試料を抗原に対する標識抗体と混合することによって決定する。試料中の抗原の存在は、ウェルへの結合に利用可能な抗原に対する抗体の量を低減するように作用し、したがって、最終シグナルを低減する。これは、未知の試料中の抗原に対する抗体の検出にも適切であり、ここで、非標識抗体は、抗原でコーティングされたウェルに結合し、標識された抗体に結合するために利用可能な抗原の量も低減させる。
【0049】
本明細書で使用される場合、「免疫複合体(抗原/抗体)の形成を可能にするのに有効な条件下で」という語句は、抗体またはその結合断片が抗体の特異的標的である抗原と相互作用するこれらの条件下を指し、BSA、ウシγグロブリン(BGG)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)/Tween等の溶液で抗原及び/または抗体を希釈することも含み得る。これらの添加された剤はまた、非特異的バックグラウンドの低減を補助する傾向がある。「好適な」条件は、インキュベーションが、有効な結合を可能にするのに十分な温度または期間にあるものである。インキュベーションステップは、典型的には、約1~2~4時間程度、好ましくは25℃~27℃程度の温度で、または約4℃程度で一晩であってもよい。
【0050】
バイオマーカー発現を評価するための別の抗体ベースのアプローチは、フローサイトメトリーの特殊なタイプである蛍光標識細胞分取(FACS)である。これは、生物学的細胞の異種混合物を、各細胞の特定の光散乱及び蛍光特性に基づいて、一度に1細胞ずつ2つ以上の容器に選別する方法を提供する。これは、個々の細胞からの蛍光シグナルの迅速で客観的かつ定量的な記録、ならびに特に関心のある細胞の物理的分離を提供する。細胞懸濁液は、狭く、急速に流れる液体の流れの中心に挟まれる。フローは、それらの直径に対して細胞間に大きな分離があるように配置される。振動機構は、細胞の流れを個々の液滴に分解させる。システムは、液滴当たり2個以上の細胞が存在する可能性が低いように調整される。流れが液滴に分解する直前に、流れは各細胞の目的の蛍光特性を測定する蛍光測定ステーションを通過する。充電リングは、流れが液滴にまさに分解するポイントに配置される。電荷は、直前の蛍光強度測定に基づいてリング上に配置され、反対の電荷は、液滴が流れから分解する際に液滴上に捕捉される。次いで、帯電液滴は、それらの帯電に基づいて液滴を容器にそらす静電偏向システムを通って落下する。いくつかのシステムにおいて、電荷は流れに直接印加され、液滴分解は流れと同じ符号の電荷を保持する。その後、液滴が分解された後、流れをニュートラルに戻す。FACSを使用する1つの一般的な方法は、細胞上または細胞内の標的に結合する蛍光標識された抗体を用いて、それによって、所与の標的を有する細胞を同定することである。この技法は、蛍光活性の量が標的の量と相関する場合に定量的に使用することができ、それによって蛍光の相対量、したがって標的の相対量に基づいて選別することができる。
【0051】
ビーズベースのxMAP技術はまた、請求される本発明と併せて、免疫学的検出に適用され得る。この技術は、高度な流体、光学、及びデジタルシグナル処理と独自のミクロスフェア技術を組み合わせて、多重化アッセイの可能性を送達する。柔軟でオープンなアーキテクチャ設計を特徴として、xMAP技術は、さまざまなバイオアッセイを素早く、費用対効果が高く、正確に実行するように構成されることができる。
【0052】
蛍光コード化されたミクロスフェアは、最大500個の異なるセットに配列される。各ビーズセットは、特定のバイオアッセイに特異的な試薬(例えば、抗体)でコーティングされ得、本出願のバイオマーカー等の試料からの特定の分析物の捕捉及び検出を可能にする。xMAP多重化分析器内で、光源は、各ミクロスフェア粒子を同定する内部色素、及びまたアッセイ中に捕捉された任意のレポーター色素を励起する。各ビーズセット上で多くの読み取りが行われ、結果をさらに検証する。このプロセスを使用して、xMAP技術は、単一の試料内で、迅速かつ正確に、最大500種の独特なバイオアッセイの多重化を可能にする。個々のミクロスフェアを識別するために異なるサイズ及び色強度の組み合わせを使用する他のフローサイトメーターミクロスフェアベースのアッセイとは異なり、xMAP技術は、独自の染色プロセスを介して赤色光及び赤外線蛍光体で内部染色された5.6ミクロンサイズのミクロスフェアを使用して、各個々のミクロスフェアを同定するために使用される500種の独特な色素混合物を作製する。
【0053】
xMAPの利点のいくつかには、固体の、平面アレイよりも多重化すること(コストと人件費の削減)、より少ないサンプルでより多くのデータを生成すること、より少ない労力及びより低いコスト、速く、より再現性の高い結果、ならびに多種多様な用途に対応するための1~500個の分析対象物の焦点を置いた柔軟な多重化が含まれる。
【0054】
核酸検出。タンパク質発現を検出するための他の実施形態において、遺伝子転写についてアッセイし得る。例えば、タンパク質発現を検出するための間接的方法は、タンパク質が作製されるmRNA転写産物を検出することである。
【0055】
核酸の増幅。多くのmRNAは比較的低い存在量で存在するため、核酸増幅は発現を評価する能力を大幅に増強する。一般的な概念は、核酸を、目的とする領域に隣接する対のプライマーを使用して増幅することができることである。本明細書で使用される場合、「プライマー」という用語は、テンプレート依存性プロセスで新生核酸の合成をプライミングすることができる任意の核酸を指す。典型的には、プライマーは、長さが10~20及び/または30塩基対のオリゴヌクレオチドであるが、より長い配列を用いることができる。プライマーは、一本鎖形態がしばしば使用されるが、二本鎖形態及び/または一本鎖形態で提供され得る。
【0056】
選択された遺伝子に対応する核酸に選択的にハイブリダイゼーションするように設計されたプライマーの対を、選択的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下でテンプレート核酸と接触させる。所望の用途に応じて、プライマーに完全に相補的な配列へのハイブリダイゼーションのみを可能にする高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件が選択され得る。他の実施形態において、ハイブリダイゼーションは、プライマー配列との1つ以上のミスマッチを含有する核酸の増幅を可能にするために低減されたストリンジェンシー下で行われ得る。ハイブリダイゼーションすると、テンプレート-プライマー複合体を、テンプレート依存性核酸合成を促進する1つ以上の酵素と接触させる。「サイクル」とも称される多重の増幅ラウンドは、十分な量の増幅産物が産生されるまで実施される。
【0057】
増幅産物は、検出または定量され得る。ある特定の用途において、検出は、視覚的方法によって行い得る。あるいは、検出は、化学発光、組み込まれた放射性標識もしくは蛍光標識の放射性シンチグラフィー、または電気及び/または熱インパルスシグナルを使用するシステムまでも介して、産物を間接的に同定することを伴い得る。
【0058】
所与のテンプレート試料中に存在するオリゴヌクレオチド配列を増幅するためのいくつかのテンプレート依存性プロセスが利用可能である。最も既知の増幅方法の1つは、米国特許第4,683,195号、4,683,202号、及び4,800,159号に詳細に記載されているポリメラーゼ連鎖反応(PCR)であり、これらのそれぞれは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0059】
逆転写酵素-PCR増幅手順を実施して、増幅されたmRNAの量を定量化し得る。RNAをcDNAに逆転写する方法は周知である(Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2001を参照されたい)。逆転写のための代替方法は、熱安定性DNAポリメラーゼを利用する。これらの方法は、WO90/07641に記載されている。ポリメラーゼ連鎖反応方法論は、当該技術分野で周知である。RT-PCRの代表的な方法は、米国特許第5,882,864号に記載されている。標準PCRは、通常、1対のプライマーを使用して特定の配列を増幅するが、一方、多重化PCR(MPCR)は、多重対のプライマーを使用して、多くの配列を同時に増幅する。単一チューブ中の多くのPCRプライマーの存在は、ミスプライミングされたPCR産物及び「プライマー二量体」の形成の増加、より長いDNA断片の増幅差別等の多くの問題を引き起こし得る。通常、MPCR緩衝液は、Taqポリメラーゼ添加剤を含有し、これは、MPCR中のアンプリコン間の競合及びより長いDNA断片の増幅差別を減少させる。MPCR産物をさらに、検証のために遺伝子特異的プローブとハイブリダイゼーションさせることができる。理論的には、必要な数のプライマーを使用することができるはずである。しかしながら、MPCR中に引き起こされる副作用(プライマー二量体、ミスプライミングPCR産物等)により、MPCR反応で使用することができるプライマーの数に制限がある(20未満)。参照により関連部分が本明細書に組み込まれる欧州出願第0364255号も参照されたい。
【0060】
増幅のための別の方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる欧州出願第320308号に開示されるリガーゼ連鎖反応(「LCR」)である。米国特許第4,883,750号は、プローブ対を標的配列に結合するためのLCRと同様の方法を記載している。米国特許第5,912,148号に開示されるPCR及びオリゴヌクレオチドリガーゼアッセイ(OLA)に基づく方法もまた使用し得る。本発明の実施に使用され得る標的核酸配列の増幅のための代替方法は、参照により各関連部分が本明細書に組み込まれる米国特許第5,843,650号、同第5,846,709号、同第5,846,783号、同第5,849,546号、同第5,849,497号、同第5,849,547号、同第5,858,652号、同第5,866,366号、同第5,916,776号、同第5,922,574号、同第5,928,905号、同第5,928,906号、同第5,932,451号、同第5,935,825号、同第5,939,291号、及び同第5,942,391号、英国出願第2202328号、ならびにPCT出願第PCT/US89/01025号に開示される。
【0061】
核酸の検出。任意の増幅に続いて、増幅産物をテンプレート及び/または過剰プライマーから分離することが望ましい場合がある。一実施形態において、増幅産物を、標準的な方法(Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2001)を使用するアガロース、アガロースアクリルアミドまたはポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離する。分離された増幅産物は、さらなる操作のために、ゲルから切断及び溶出され得る。低融点アガロースゲルを使用して、分離したバンドは、ゲルを加熱し、続いて核酸を抽出することによって除去され得る。核酸の分離は、当該技術分野で既知のクロマトグラフィー技法によっても行われ得る。吸着、分画、イオン交換、ヒドロキシルアパタイト、分子ふるい、逆相、カラム、紙、薄層、及びガスクロマトグラフィー、ならびにHPLCを含む、本発明の実施に使用され得る多くの種類のクロマトグラフィーがある。
【0062】
ある特定の実施形態において、増幅産物は可視化される。典型的な可視化方法は、臭化エチジウムによるゲルの染色、及び紫外線下でのバンドの可視化を伴う。あるいは、増幅産物がラジオまたはフルオロメトリックに標識されたヌクレオチドで一体的に標識されている場合、分離した増幅産物をX線フィルムに曝露するか、または適切な励起スペクトル下で可視化することができる。
【0063】
一実施形態において、増幅産物の分離後、標識核酸プローブを増幅マーカー配列と接触させる。プローブは、好ましくは発色団に結合されるが、放射標識され得る。別の実施形態では、プローブは、抗体もしくはビオチンなどの結合パートナー、または検出可能な部分を担持する別の結合パートナーに結合される。
【0064】
特定の実施形態において、検出は、サザンブロット法及び標識プローブによるハイブリダイゼーションによって行われる。サザンブロットに関与する技法は、当業者に周知である(Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2001を参照されたい)。前述の一例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,279,721号に記載されており、この特許は、自動電気泳動及び核酸の移転のための装置及び方法を開示する。本装置は、ゲルを外部操作することなく電気泳動及びブロットを可能にし、本発明による方法の実施に理想的に適している。
【0065】
本発明の実施に使用され得る他の核酸検出方法は、米国特許第5,840,873号、同第5,843,640号、同第5,843,651号、同第5,846,708号、同第5,846,717号、同第5,846,726号、同第5,846,729号、同第5,849,487号、同第5,853,990号、同第5,853,992号、同第5,853,993号、同第5,856,092号、同第5,861,244号、同第5,863,732号、同第5,863,753号、同第5,866,331号、同第5,905,024号、同第5,910,407号、同第5,912,124号、同第5,912,145号、同第5,919,630号、同第5,925,517号、同第5,928,862号、同第5,928,869号、同第5,929,227号、同第5,932,413号、及び同第5,935,791号に開示され、これらはそれぞれ参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
核酸アレイ。マイクロアレイは、実質的に平坦な基質、例えば、バイオチップの表面上に空間的に分布し、かつそれと安定して会合する複数の高分子を含む。ポリヌクレオチドのマイクロアレイが開発されており、スクリーニング及びDNA配列決定などの様々な用途での使用を見出す。特にマイクロアレイが使用を見出す1つの領域は、遺伝子発現分析である。
【0067】
マイクロアレイを用いた遺伝子発現分析では、「プローブ」オリゴヌクレオチドのアレイを、目的の核酸試料、すなわち標的、例えば特定の組織型由来のポリA mRNAと接触させる。接触をハイブリダイゼーション条件下で行い、次いで非結合核酸を除去する。結果として生じるハイブリダイゼーション核酸のパターンは、試験した試料の遺伝子プロファイルに関する情報を提供する。マイクロアレイ上の遺伝子発現分析の方法論は、定性的及び定量的情報の両方を提供することが可能である。
【0068】
本発明と共に使用され得る様々な異なるアレイは、当該技術分野で既知である。標的核酸との配列特異的ハイブリダイゼーションが可能なアレイのプローブ分子は、ポリヌクレオチドまたはそのハイブリダイゼーション類似体または模倣物であり得、これらには、ホスホジエステル結合が置換結合、例えば、ホスホチオエート、メチルイミノ、メチルホスホネート、ホスホラミデート、グアニジン等で置換されている核酸、リボースサブユニットが置換されている核酸、例えば、ヘキソースホスホジエステル、ペプチド核酸等が含まれる。プローブの長さは、概して、10~1,000ヌクレオチドの範囲であり、いくつかの実施形態では、プローブは、オリゴヌクレオチドであり、通常、15~150ヌクレオチドの範囲であり、より通常、15~100ヌクレオチドの長さであり、他の実施形態では、プローブは、より長く、通常、150~1,000ヌクレオチドの範囲であり、ポリヌクレオチドプローブは、一本鎖または二本鎖であってもよく、通常、一本鎖であってもよく、cDNAから増幅されるPCR断片であり得る。
【0069】
基質の表面上のプローブ分子は、分析される選択された遺伝子に対応し、既知の位置でアレイ上に配置され、その結果、陽性ハイブリダイゼーション事象は、標的核酸試料が由来する生理学的供給源における特定の遺伝子の発現と相関し得る。プローブ分子が安定して会合する基質は、プラスチック、セラミック、金属、ゲル、膜、ガラス等を含む様々な材料から製造され得る。アレイは、プローブを予め形成し、次いでそれらを支持体の表面と安定して会合され、またはプローブを支持体上で直接成長させる等の、任意の都合の良い方法論に従って生産され得る。それらのためのいくつかの異なるアレイ構成及び生産方法は、当業者に既知であり、米国特許第5,445,934号、同第5,532,128号、同第5,556,752号、同第5,242,974号、同第5,384,261号、同第5,405,783号、同第5,412,087号、同第5,424,186号、同第5,429,807号、同第5,436,327号、同第5,472,672号、同第5,527,681号、同第5,529,756号、同第5,545,531号、同第5,554,501号、同第5,561,071号、同第5,571,639号、同第5,593,839号、同第5,599,695号、同第5,624,711号、同第5,658,734号、同第5,700,637号、及び同第6,004,755号に開示されており、これらの関連部分は参照により本明細書に組み込まれる。
【0070】
ハイブリダイゼーションの後、非ハイブリダイゼーション標識核酸が検出ステップ中にシグナルを発することができる場合、洗浄ステップが使用され、ここで、非ハイブリダイゼーション標識核酸が支持体表面から除去され、基質表面上にハイブリダイゼーション核酸のパターンを生成する。それらの使用のための様々な洗浄液及びプロトコルが当業者に既知であり、使用され得る。標的核酸上の標識が直接検出可能でない場合、次いで、結合標的を現在含むアレイを、用いられているシグナル生成系の他のメンバー(複数可)と接触させる。例えば、標的上の標識がビオチンである場合、次いで、特異的結合メンバー対間の結合が生じるのに十分な条件下で、アレイをストレプトアビジン-蛍光結合体と接触させる。接触後、シグナル生成系の任意の非結合メンバーは、次いで、例えば、洗浄によって除去される。使用される特定の洗浄条件は、使用されるシグナル生成系の特定の性質に必然的に依存し、使用される特定のシグナル生成系に精通している当業者に既知であろう。標識核酸の結果として生じるハイブリダイゼーションパターン(複数可)は、様々な方法で可視化または検出され得、特定の検出方法は、核酸の特定の標識に基づいて選択され得、ここで、代表的な検出手段は、シンチレーション計数、オートラジオグラフィー、蛍光測定、熱量測定、発光測定等を含む。
【0071】
検出または可視化の前に、ミスマッチハイブリダイゼーション事象がパターン上で偽陽性シグナルを生成する可能性を低減することを望む場合、ハイブリダイゼーション標的/プローブ複合体のアレイは、エンドヌクレアーゼが一本鎖DNAを分解するが、二本鎖DNAを分解しない十分な条件下、エンドヌクレアーゼで処理され得る。様々な異なるエンドヌクレアーゼが既知であり、使用され得、ここで、そのようなヌクレアーゼは、リョクトウヌクレアーゼ、S1ヌクレアーゼ等を含む。そのような処理は、標的核酸が直接検出可能な標識で標識されないアッセイにおいて、例えば、ビオチン化標的核酸を使用するアッセイにおいて使用される場合、エンドヌクレアーゼ処理は、一般に、アレイがシグナル生成系の他のメンバー(複数可)、例えば、蛍光-ストレプタビジン結合体と接触する前に行われる。上述のエンドヌクレアーゼ処理は、プローブの3’末端で実質的に完全なハイブリダイゼーションを有する末端標識標的/プローブ複合体のみがハイブリダイゼーションパターンで検出されることを確実にする。前記のようにハイブリダイゼーション及び任意の洗浄ステップ(複数可)及び/または後続の処理の後、結果として生じるハイブリダイゼーションパターンが検出される。ハイブリダイゼーションパターンを検出または可視化する際、標識の強度またはシグナル値は検出されるだけでなく、定量化される。これは、ハイブリダイゼーションの各スポットからのシグナルが測定され、既知の数の末端標識標的核酸によって放出されるシグナルに対応する単位値と比較されて、ハイブリダイゼーションパターンのアレイ上の特定のスポットにハイブリダイゼーションされる各末端標識標的のコピー数のカウントまたは絶対値を得ることを意味する。
【0072】
RNA配列決定。RNA-seq(RNA配列決定)、別名全トランスクリプトームショットガン配列決定(WTSS)は、次世代配列決定(NGS)の能力を利用して、所与の瞬間にゲノムからのRNA存在及び量のスナップショットを明らかにする技術である。細胞のトランスクリプトームは動的であり、静的ゲノムとは対照的に継続的に変化する。次世代配列決定の最近の発展は、DNA配列の塩基カバレッジの増加、ならびにより高い試料スループットを可能にする。これは、細胞におけるRNA転写産物の配列決定を容易にし、代替の遺伝子スプライシング転写産物、転写後変化、遺伝子融合、変異/SNP、及び遺伝子発現の変化を見る能力を提供する。mRNA転写産物に加えて、RNA-Seqは、RNAの異なる集団を見て、総RNA、小RNA、例えばmiRNA、tRNA、及びリボソームプロファイリングを含むことができる。RNA-Seqをまた使用して、エクソン/イントロン境界を決定し、以前に注釈付けられた5’及び3’遺伝子境界を検証または修正することができる。進行中のRNA-Seq研究は、感染中の細胞経路変更、及びがん研究における遺伝子発現レベル変化を観察することを含む。NGSの前に、転写構造及び遺伝子発現研究は、標的配列内の一致をプローブする何千ものDNA配列を含有する発現マイクロアレイを用いて以前に行われ、発現されるすべての転写物のプロファイルを利用可能にした。これは、後に遺伝子発現の連続分析(SAGE)で行われた。
【0073】
SLEの処置。したがって、本発明は、特定のバイオマーカーの検出、続いてSLEの処置の変更を企図し、これは、示される場合、標準的な治療アプローチを使用することを含み得る。一般に、SLEの処置は、上昇した疾患活動性を処置することと、増加した炎症及び増加した免疫複合体の形成/沈着/補体活性化に関連することができる臓器損傷を最小限に抑えることを試みることとを伴う。基礎処置は、コルチコステロイド及び/または抗マラリア薬を含むことができる。びまん性増殖性糸球体腎炎等の特定の種類の狼瘡腎炎は、細胞傷害性薬物のバウトを必要とする。これらの薬物には、最も一般的に、シクロホスファミド及びミコフェノレートが含まれる。ヒドロキシクロロキン(HCQ)は、1955年に狼瘡のためにFDAによって承認された。他の疾患に承認された薬の中には、「適応性症外」でSLEに使用されるものもある。ベリムマブ(ベンリスタ)は、自己抗体陽性狼瘡患者に見られる上昇した疾患活動性の処置として使用することができる。
【0074】
SLEを首尾よく処置するためには、SLEへの様々な症状及び臓器系の関与により、個体におけるその重症度を評価しなければならない。軽度または寛解性疾患は、場合によっては、ヒドロキシクロロキン単独で最小限に処置し、安全に放置され得る。必要に応じて、非ステロイド性抗炎症薬及び低用量ステロイドも使用し得る。ヒドロキシクロロキン(HCQ)は、体質的な、皮膚の、及び関節の兆候に使用されるFDA承認の抗マラリア薬である。ヒドロキシクロロキンは比較的副作用が少なく、SLEを有する人々の生存率を向上させ、安定したSLE患者でHCQを停止することにより、カナダ人の狼瘡患者の疾患再燃が増加するという証拠がある。疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)は、疾患活動性を減少させ、ステロイド使用の必要性を低下させるためにSLEの適応性症外でしばしば使用される。通常使用されるDMARDは、メトトレキサート及びアザチオプリンである。より重症なケースでは、免疫系を積極的に抑制する薬物(主に高用量コルチコステロイド及び主要免疫抑制剤)を使用して、疾患を制御し、損傷を予防する。シクロホスファミドは、重度の糸球体腎炎、ならびに血管炎及び狼瘡性脳炎等の他の生命を脅かす合併症または臓器損傷性合併症に使用される。マイコフェノール酸は、狼瘡腎炎の処置にも使用されるが、この適応性症にはFDAが承認していない。
【0075】
投与量に応じて、ステロイドを必要とする人々は、トランクス型肥満のクッシング症状、紫色の縞、バッファローハンプ、及びその他の関連する症状を発症し得る。大規模な初回投薬量が低減される場合、これらは、収まり得るが、低用量でも長期的に使用すると、血圧の上昇、ブドウ糖不耐性(メタボリックシンドローム及び/または糖尿病を含む)、骨粗しょう症、不眠症、虚血性壊死及び白内障を引き起こすことができる。
【0076】
多くの新しい免疫抑制薬がSLEについて積極的に試験されている。免疫系を非特異的に抑制するのではなく、コルチコステロイドのように、それらは、個々のタイプの免疫細胞の応答を標的とする。ベリムマブ、またはBリンパ球刺激因子に対するヒト化モノクローナル抗体(BlySまたはBAFF)は、特にベースライン疾患活動性の上昇及び自己抗体の存在を有する患者において、狼瘡処置及びSLE疾患活動性の低下のためにFDA承認されている。アバタセプト、エプラツジマブ、エタネルセプトなどの添加薬物は、SLE患者において積極的に研究されており、これらの薬物のいくつかは、関節リウマチまたは他の疾患の処置のために既にFDA承認されている。高い割合のSLEを有する人々は、様々な量の慢性疼痛に罹患しているため、市販薬(主に非ステロイド性抗炎症薬)が効果的な緩和を提供しない場合、より強力な処方鎮痛剤(analgesic)(鎮痛剤(pain killer))が使用され得る。インドメタシンやジクロフェナクなどの効能のあるNSAIDは、腎不全及び心不全のリスクを増加させるため、SLEを有する患者には比較的禁忌である。
【0077】
中程度の疼痛は、典型的には、デキストロポキシフェン及びココダモール等の軽度の処方オピエートで処置される。中程度から重度の慢性疼痛は、ヒドロコドン等のより強いオピオイドまたはオキシコドン、MSコンチン、またはメタドン等のより長時間作用する連続放出性オピオイドで処置される。フェンタニル耐久性経皮パッチはまた、その長時間作用型放出及び使用しやすさのために、合併症によって引き起こされる慢性疼痛のための広く使用される処置オプションである。オピオイドは長期間使用されると、薬物耐性、化学物質依存性、及び中毒が発生し得る。病状が完全に消失する可能性はあまりないため、オピエート中毒の懸念は典型的ではない。したがって、オピオイドによる生涯処置は、慢性疼痛症状にかなり一般的であり、任意の長期的なオピオイドレジメンに典型的である定期的な用量設定を伴う。
【0078】
静脈内免疫グロブリンを使用して、臓器関与または血管炎を伴うSLEを制御し得る。それらの作用機序が十分に理解されていないにもかかわらず、抗体産生を減少させるか、または体からの免疫複合体のクリアランスを促進すると考えられる。免疫抑制剤及びコルチコステロイドとは異なり、IVIGは、免疫系を抑制しないため、これらの薬物による重篤な感染のリスクは低い。
【0079】
日光を避けることがSLE患者のライフスタイルの主な変化であり、日光は、激しい疲労の破壊的な影響のように、疾患を悪化させることが知られている。これらの2つの問題は、長期間にわたって患者が引きこもりとなることにつなげることができる。SLEに関連しない薬物は、疾患を悪化させないことが知られている場合にのみ処方すべきである。シリカ、殺虫剤、水銀への職業的曝露はまた、病気を悪化させることができる。
【0080】
腎移植は、狼瘡腎炎の合併症の一つである末期腎疾患のために選択される処置であるが、移植された腎臓における完全な疾患の再発は最大30%の患者において一般的である。
【0081】
抗リン脂質症候群は、脳における神経性狼瘡症状の発症にも関連している。この疾患の形態では、原因は狼瘡とは大きく異なる。血管で血栓(thrombose)(血栓(blood clot)または「粘着性血液」)が形成され、それらが血流内で動くと致命的であることが証明される。血栓が脳に移行すると、脳への血液供給を遮断することによって脳卒中を引き起こすことができる。この障害が患者に疑われる場合、早期発見には脳スキャンが通常必要である。これらのスキャンは、血液供給が十分でなかった脳の局所領域を示すことができる。これらの患者の処置計画は、抗凝固を要する。多くの場合、この目的のために低用量のアスピリンが処方されるが、ワルファリンなどの血栓症抗凝固剤が使用されることを伴う。
【0082】
医薬製剤及び送達。治療用途の変更が企図され、意図される用途に適した形態で医薬組成物を調製する必要がある。一般に、これは、発熱物質、ならびにヒトまたは動物に有害であり得る他の不純物を本質的に含まない組成物を調製することを伴う。
【0083】
一般に、適切な塩及び緩衝液を使用して、送達ベクターを安定にし、標的細胞による取り込みを可能にする。組換え細胞が患者に導入されるときに、緩衝液も用いられる。本発明の水性組成物は、薬学的に許容される担体または水性媒体中に溶解または分散される、細胞への有効量のベクターを含む。そのような組成物は、接種物とも称される。
【0084】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」または「薬理学的に許容される」という語句は、動物またはヒトに投与されたときに有害な、アレルギー性の、または他の不快な反応を生じない分子実体及び組成物を指す。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、任意の及びすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含む。薬学的に活性な物質のためのかかる媒体及び剤の使用は、当該技術分野で周知である。任意の従来の媒体または剤が本発明のベクターまたは細胞と互換性がない場合を除いて、治療組成物におけるその使用が企図される。また、補助的な有効成分も組成物に組み込むことができる。
【0085】
本発明の活性組成物は、古典的な医薬調製物を含み得る。本発明によるこれらの組成物の投与は、標的組織がその経路を介して利用可能である限り、任意の共通経路を介するものであろう。かかる経路としては、経口経路、経鼻経路、口腔経路、直腸経路、膣経路または局所経路が挙げられる。あるいは、投与は、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、または静脈内注射により得る。かかる組成物は、通常、薬学的に許容される組成物として投与されるであろう。活性化合物をまた、非経口的または腹腔内投与し得る。遊離塩基または薬理学的に許容される塩としての活性化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロース等の界面活動性剤と好適に混合されて水中に調製することができる。分散体をまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物中、ならびに油中に調製することができる。通常の保存及び使用条件下では、これらの調製物は、微生物の成長を防止するための防腐剤を含有する。
【0086】
注射可能用途に好適な薬学的形態は、滅菌水溶液もしくは分散物、及び滅菌注射可能溶液もしくは分散物を即時調製するための滅菌粉末を含む。すべての場合、形態は滅菌である必要があり、容易な注射可能性が存在する程度まで流体でなければならない。製造及び保存条件下で安定でなければならず、また、細菌及び真菌等の微生物の汚染作用から保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)、それらの好適な混合物、ならびに植物油を含有する溶媒または分散媒であることができる。適切な流動性は、例えば、レシチン等のコーティングの使用によって、分散物の場合必要な粒径を維持することによって、及び界面活動性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の予防は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等の種々の抗菌剤及び抗真菌剤によってもたらすことができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射可能組成物の持続的吸収は、組成物中の吸収を遅延させる剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの使用によってもたらすことができる。
【0087】
滅菌注射可能溶液は、必要に応じて、上に列挙される様々な他の成分を有する適切な溶媒に、必要とされる量の活性化合物を組み込み、その後で濾過滅菌することによって調製する。一般に、分散物は、基本の分散媒、及び上に列挙されるものから必要とされる他の成分を含有する滅菌ビヒクルに様々な滅菌された活動性成分を組み込むことによって調製される。滅菌注射可能溶液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は真空乾燥及び凍結乾燥技法であり、予め滅菌濾過したその溶液から活性成分及び任意の追加の所望の成分の粉末を得る。
【0088】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という語句は、任意及びすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを指す。薬学的活性物質のためのかかる媒体及び剤の使用は、当該技術分野で周知である。任意の従来の媒体または剤が活性成分と互換性がない場合を除き、治療組成物中でのその使用が企図される。また、補助的な活動性成分も組成物に組み込むことができる。
【0089】
経口投与のために、本発明のポリペプチドは、賦形剤と共に組み込まれ、非摂取性マウスウォッシュ及び歯磨き粉の形態で使用され得る。マウスウォッシュは、必要とされる量の活性成分をホウ酸ナトリウム溶液(Dobell溶液)などの適切な溶媒に組み込んで調製され得る。あるいは、活性成分は、ホウ酸ナトリウム、グリセリン、及び重炭酸カリウムを含有する除菌洗浄液に組み込まれ得る。活性成分はまた、ゲル、ペースト、粉末、及びスラリーを含む歯磨き粉中に分散され得る。活性成分は、治療有効量で、水、結合剤、研磨剤、香味剤、発泡剤、及び湿潤剤を含み得るペースト歯磨き粉に添加され得る。
【0090】
本発明での使用のための組成物は、中性または塩形態で製剤化され得る。薬学的に許容される塩としては、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基で形成される)が挙げられ、例えば、塩酸もしくはリン酸等の無機酸、または例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸等の有機酸で形成される。遊離カルボキシル基で形成される塩はまた、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または水酸化第二鉄等の無機塩基、及び例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカイン等の有機塩基に由来することができる。製剤化の際、溶液は、投与量製剤と適合性のある様式で、かつ治療的に有効な量で投与される。製剤は、注射可能溶液、薬物放出カプセル等の様々な剤形で容易に投与される。例えば、水溶液中の非経口投与のために、必要に応じて溶液を適切に緩衝させ、液体希釈剤を十分な生理食塩水またはグルコースで最初に等張性にすべきである。これについて、使用することができる滅菌水性媒体は、本開示に照らして当業者に既知である。例えば、1回の投与量は、1mlの等張NaCl溶液中に溶解され得、1,000mlの皮下溶解液に添加されるか、または提案される注入部位に注入され得る(例えば、参照により関連部分が組み込まれる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」,15th Ed.,1035~1038及び1570~1580を参照されたい)。投与量のいくつかの変動は、処置される対象の病状に応じて必然的に生じるであろう。投与の責任者は、いずれにしても、個々の対象に適切な用量を決定する。さらに、ヒト投与のために、調製物は、FDA Office of Biologics基準によって要求される滅菌性、発熱性、一般的な安全性、及び純度基準を満たすべきである。
【0091】
キット。本明細書に記載の用途で使用するために、キットはまた、本発明の範囲内にある。かかるキットは、バイアル、チューブ等の1つ以上の容器を受容するように区画化された担体、パッケージ、または容器を含むことができ、容器(複数可)の各々は、本方法で使用される別個の要素のうちの1つ、特に、Bright阻害剤を含む。本発明のキットは、典型的には、上記の容器と、緩衝液、希釈剤、フィルター、及び使用説明書付き添付文書を含む、市販のエンドユーザーの観点から望ましい材料を含む1つ以上の他の容器とを含むであろう。加えて、組成物が特定の治療用途に使用されることを示すために容器上にラベルを提供することができ、上記のようなインビボまたはインビトロでの使用のための指示も示すことができる。指示及び/または他の情報は、キットに含まれる添付文書(insert)に含めることもできる。特に、本発明によるキットは、ANA試験及び/または抗ENAのためのSLE治療薬及び/または試薬、ならびにそれらを評価するための対照のうちの1つ以上と共に、上述のバイオマーカーのレベルを評価するための剤の集合物を企図する。
【0092】
狼瘡疾患活動性尺度における現在のバイオマーカーは、高められた臨床疾患活動性を反映するための有用性が限られている。これらは、臨床疾患活動性の最も早い測定値でも、最も情報的な測定値でもない。抗dsDNA、抗スプライソソーム、及び抗Ro/SSA等のSLE関連自己抗体特異性は、分類の数年前にSLE患者に蓄積されるが、それらの存在は、臨床疾患活動性及び永続的臓器損傷のリスクを反映するのに十分ではない。ANAは、他の全身性リウマチ疾患を有する患者、及びSLE患者のいくつかの影響を受けない家族メンバーを含むSLE発症につながらない健康な個体、ならびに最大14%の一般集団からの血清にも見出される。個体がANA陽性であるにもかかわらず健康であり得るため、ANA陽性だけではSLEの唯一の病原性原動力ではない可能性が高い。ANA陽性に加えて、可溶性メディエーターによって駆動される様々な免疫経路の調節異常は、臨床疾患活動性に寄与し得る。
【実施例
【0093】
本発明の種々の態様をさらに例示するために、以下の実施例が含まれる。以下の実施例に開示される技法は、本発明の実施において良好に機能するために発明者によって発見された技法及び/または組成物を表し、したがって、その実施のための好ましいモードを構成すると見なされ得ることを当業者には理解されたい。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、開示され、依然として同様または類似の結果を得る特定の実施形態において多くの変更が行われ得ることを理解すべきである。
【0094】
SLEは免疫調節異常を特徴とする複雑な自己免疫疾患である。変更された疾患活動性の関連するメディエーターを追跡するための包括的でありながら費用対効果の高いツールは、疾患管理を改善し、臓器損傷を予防するのに役立つ。この実施例の目的は、活動性狼瘡疾患を低狼瘡疾患活動性から区別するための実用的な生体認証の重要な構成要素を同定することであった。
【0095】
本発明は、SLE関連自己抗体特異性、ならびにSLE疾患活動性の変化によって調節されない可能性がある炎症性及び調節性可溶性メディエーター経路を含む特定の免疫メディエーターの同定を含む。多重化アプローチを使用して、適合した健康な対照(HC)と比較して、低(hSLEDAI<4)または活動性(hSLEDAI≧4)の疾患活動性来院を有するSLE患者は、自己抗体特異性の蓄積ならびに炎症及び調節メディエーターの血漿レベルにおける疾患活動性依存性変化を実証した。これらの結果は、臨床疾患活動性の変化を有する免疫変更を反映する組み合わせ狼瘡疾患活動性免疫指標(LDAII)の開発を可能にした。
【0096】
低臨床疾患(全身性エリテマトーデス疾患活動性指標(SLEDAI)<4、範囲0~3、n=132)またはより活動性の疾患(SLEDAI≧4、範囲4~30、n=179)の日付において調達された分類SLEを有する198人の患者、ならびに人種、性別、及び年齢(n=48)について適合した健康な対照(HC)からの311個の血漿試料において、SLE連結免疫メディエーター及び自己抗体を評価した。dsDNA、クロマチン、Ro/SSA、La/SSB、Sm、SmRNP、及びRNPを含む32個の可溶性メディエーター及びSLE関連自己抗体特異性を、多重化ビーズベースのアッセイまたはサンドイッチELISA(BLyS、APRlL、及びTGF-β)によって評価した。可溶性メディエーターレベルを、自己抗体の存在と併せて、臨床疾患活動性レベルにわたって比較した。
【0097】
低疾患または活動性疾患を有する患者は、年齢、民族、及び性別で類似していた。多重比較のために調整した後(ボンフェローニ補正p<0.0018)、IL-6、IL-1α、IP-10、及びIL-8は、SLEDAIスコアと有意に相関した(スピアマンr=0.179~0.253)が、22/32個の可溶性メディエーターは、上記に列挙されるもの、ならびにSCF、IFN-α、IFN-γ、IL-17A、IL-10、MIG、MIP-1β、TNFRII、及びBLySを含む増大したSLE関連自己抗体の数と有意に相関した(r=0.318[IL-17A]~0.468[IP-10])。調節メディエーターIL-10は、低疾患活動性を有する患者からの試料において最も高かった(p<0.05)が、炎症メディエーターは、増大した自己抗体特異性を有する活動性疾患試料において最も高かった(p<0.001)。本発明者らは、これらの所見を統合して、各個体におけるSLE関連自己抗体の数によって重み付けされ正規化された(症例対対照)可溶性メディエーターレベル(n=32)を利用して計算された狼瘡疾患活動性免疫指標(LDAII)を構築した。LDAIIは、血清学的(dsDNA結合及び低補体)活動性(SA)または無活動(SQ)(p<0.0001)のいずれかである臨床的無活動(CQ)疾患を有する患者に対して臨床的活動性疾患(CA)を有する患者を区別し、それによって蓄積された自己抗体の数(p<0.0001)、ならびにIL-6、IL-8、及びIP-10レベル(p≦0.0006)は、最も有意に変更された。加えて、LDAIIは、臨床的及び血清学的無活動(CQSQ)SLE患者を、HCに対して区別することができた(p=0.019)。最後に、LDAIIは、患者におけるSLEDAIスコアと有意に相関し(p<0.0001)、SCF、TNFRII、及びMCP-1も最も有意に変更された(p≦0.005)腎臓器関与(p=0.002)を有する患者を同定した。
【0098】
試験集団、臨床データ、及び試料収集。研究は、ヘルシンキ宣言に従って実施され、オクラホマ医学研究財団の機関審査委員会及びオクラホマ大学ヘルスサイエンスセンターによって承認された。希釈されていない血漿及び血清試料を、オクラホマ狼瘡コホートにおける198名の適切に同意されたSLE患者(4つより多いACR分類基準(39)を満たす)、ならびにオクラホマ免疫コホートにおける48名の人種及び性別が適合した健康な個体(対照または対照)から調達した(表1)。試料を、OMRFのCAP認定バイオレポジトリであるオクラホマリウマチ性疾患研究コアセンター(ORDRCC)において-80℃で保管した。バイオレポジトリの試料は、SLE患者及び対照からの試料中の可溶性メディエーター及びSLE関連自己抗体のレベルを決定する能力について、出荷時間及び方法、処理手順、保管条件、ならびに保管の長さに関して試験された(33、36、37、40~45)。
【0099】
【表1】
【0100】
薬物使用、臨床検査値、及び臨床疾患活動性を含む、人口統計学的及び臨床情報を前述のように収集した(39)。臓器系関与の存在を、中枢神経系を伴う疾患兆候(CNS;発作、精神病、有機脳症候群、視覚障害、頭蓋神経障害、または狼瘡頭痛)、血管炎、関節炎、筋炎、腎炎(尿鋳物、血尿、タンパク質尿、または膿)、粘膜皮膚損傷(発疹、脱毛症、または粘膜潰瘍)、漿膜炎(胸膜炎または心膜炎)、または血液学的症状(低補体、増加したDNA結合、発熱、血小板減少症、または白血球減少症)の存在を含む、ハイブリッド全身性エリテマトーデス疾患活動性指標(hSLEDAI、SLEDAI-2Kによって定義されるタンパク質尿を伴うSELENA-SLEDAI)(32、33)の施用によって評価した(16)。4より小さいhSLEDAIスコアを有する患者来院は「低」疾患活動性とし、一方、4以上のhSLEDAIスコアを有する患者来院は「活動性」疾患として考えられた。各臨床来院時に各参加者から血液試料を調達した。血漿及び血清試料をアッセイ時まで-20℃で保管した。解凍したばかりの試料に対してアッセイを行った。
【0101】
可溶性メディエーター及び自己抗体特異性の測定。検証された多重化ビーズベースのアッセイまたはELISA(BLyS、APRIL、及びTGF-β)を使用して、サイトカイン、ケモカイン、及び可溶性受容体を含む、血漿可溶性メディエーター(n=32、表2)を検査した(46)。データを、試料/分析物当たり100ビーズのより低い境界を有するBio-Rad BioPlex 200(登録商標)アレイシステム(Bio-Rad Technologies,Hercules,CA)上で分析した。各分析物の蛍光強度の中央値を5パラメータロジスティック非線形回帰標準曲線から補間した。検出限界を下回る分析対象物に0.001pg/mLの値を割り当てた。既知の対照血清を各プレートに含めた(CellgroヒトAB血清、カタログ番号2931949、L/N#M1016)。サイトカイン検出のための多重化ビーズベースのアッセイの平均アッセイ間分散係数(CV)は、以前に10~14%であることが示されており(47、48)、このアッセイにおける分析物全体の類似の平均CV(10.5%)は、健康な対照血清を使用して得られた。各xMAPアッセイにおいて、重複ウェルのアッセイ内精度は平均10%CVより小さかった。
【0102】
【表2】
【0103】
BioPlex 2200多重化システム(Bio-Rad Technologies,Hercules,CA)を使用して、血清試料を自己抗体特異性についてスクリーニングした。BioPlex 2200 ANAキットは、dsDNA、クロマチン、リボソームP、Ro/SSA、La/SSB、Sm、Sm/RNP複合体、RNP、Scl-70、セントロメアB、及びJo-1(49)に対する反応性を含む11個の自己抗体特異性レベルの同時検出のために蛍光染色磁気ビーズを使用する。本研究では、dsDNA、クロマチン、Ro/SSA、La/SSB、Sm、Sm/RNP複合体、及びRNPに対するSLE関連自己抗体特異性を分析に使用した。抗dsDNA(IU/mL)は、10IU/mLの事前に決定された陽性カットオフを有し、抗体インデックス(AI)値(範囲0~8)は、AI=1.0の陽性カットオフを有する他の自己抗体特異性の各々の蛍光強度を反映することが、製造者によって報告される。AIスケールは、製造者が提供するキャリブレータ及び対照試料と比較して標準化される。
【0104】
統計解析。カテゴリー変数を、フィッシャーの直接検定によって比較した。活動性患臨床来院に対する低疾患臨床来院における疾患活動性スコアを、対のないt検定を使用して比較した。自己抗体特異性の数及び血漿可溶性メディエーター濃度を、低疾患または活動性疾患を有するSLE患者来院間で、マン・ホイットニー検定によって比較した。血漿メディエーター濃度及び自己抗体特異性の数を、低及び活動性疾患を有するSLE患者来院及び人種/性別が適合した対照試料との間で、ダンの多重比較を用いたクラスカル・ワリス検定によって比較した。血漿メディエーター濃度を、スピアマンの順位相関によって、hSLEDAIスコアまたは自己抗体特異性の数と相関させた。特記されている場合を除き、分析を、GraphPad Prism 6.02(GraphPad Software、San Diego,CA)を使用して行った。
【0105】
狼瘡疾患活動性免疫指標(LDAII)計算を開発して、患者来院中の全体的な炎症レベルを、対照から区別される、様々なレベルの疾患活動性と比較した。LDAII計算は、SLE患者のために使用される狼瘡再燃予測指標(LFPI)を開発するために、本発明者が同様に使用したアプローチに従った(42、45)。LDAIIは、同じ来院時に調達された試料から検出された自己抗体特異性の数との相関によって重み付けされた、低及び活動性疾患臨床来院時のSLE患者ならびに適合した対照において評価された32個の全ての血漿メディエーターの調節異常を要約する。LDAIIを以下のように計算した。1.全ての32個のベースライン血漿メディエーターの濃度(表2)を、各SLE患者または対照来院について対数変換した。2.各参加者来院についての各対数変換された可溶性メディエーターレベルを標準化した:(観察値)-(すべてのSLE患者及び対照来院の平均値)/(すべてのSLE患者及び対照来院の標準偏差)。3.全てのSLE患者及び対照来院で評価された各可溶性メディエーターの自己抗体特異性の数の間の関連性を試験する線形回帰モデルからスピアマン係数(スピアマンr)を生成した。4.変換され標準化された可溶性メディエーターレベルを、それらのそれぞれのスピアマン係数(スピアマンr)によって重み付け(乗算)した。5.各参加者来院について、32個の可溶性メディエーターの各々についての対数変換、標準化、重み付けされた値を合計して、総LDAIIを計算した。
【0106】
LDAIIを、低及び活動性疾患を有するSLE患者来院の間で、マン・ホイットニー検定によって比較し、さらに、ダンの多重比較を用いたクラスカル・ワリス検定によって対照と比較した。オッズ比(OR)を、それぞれ、陽性または陰性LDAIIスコアを有する、低疾患活動性(または対照)に対する活動性疾患を有するSLE患者来院の可能性について決定し、有意性を、フィッシャーの直接検定によって決定した。
【0107】
自己抗体特異性の増加した数及び臨床的活動性疾患を有する選択メディエーターの変更されたレベル。
【0108】
本発明者らは、分類されたSLE(4個より多いACR分類基準(39)を満たす)に移行する患者が、SLE関連の自己抗体特異性の蓄積(36、37、50)、ならびに炎症性及び調節性可溶性メディエーターの両方の変更(36、37)を含む多重レベルの免疫調節異常を示すことを以前に実証した。このような免疫調節異常が臨床的活動性疾患を有するSLE患者にも反映されるであろうという仮説に基づいて、本発明者らは、臨床来院中に調達された試料中の血清自己抗体及び血漿可溶性メディエータープロファイルを比較し、それによって198名のSLE患者が低疾患活動性(hSLEDAI<4、0~3の範囲、n=132)または活動性疾患(hSLEDAI≧4、4~30の範囲、n=179)を示した(図1A及び1Bならびに表3)。予想通り、活動性疾患を有するSLE患者は、低疾患活動性を有するSLE患者よりも、有意により高いhSLEDAIスコアを有し(図1A)、様々な臓器系の兆候を示す可能性がより高かった(表3)。さらに、活動性疾患を有するSLE患者は、疾患活動性が低い間に検出された数と比較して、SLE関連自己抗体特異性の数の有意な増加を示した(p=0.0038、図1B)が、一方、SLE患者は、疾患活動性にかかわらず、適合した対照と比較して有意に多くの自己抗体特異性を有した(p<0.0001)。dsDNA(p<0.0001)、クロマチン(p=0.0005)、及びSm(p=0.0380)に対する自己抗体は、活動性疾患の期間中に陽性である可能性がより高かったが、一方、Ro/SSA、La/SSB、SmRNP、及びRNP自己抗体特異性の頻度は、低及び活動性疾患において類似していた(表3)。活動性疾患を有するSLE患者は、ステロイドを処方され(p<0.0001)ならびに低疾患活動性を有する患者と同様にヒドロキシクロロキン及び/または免疫抑制剤を処方された可能性がより高かった(表3)。
【0109】
【表3-1】
【表3-2】
【0110】
自己抗体特異性の変化に加えて、本発明者らは、活動性疾患を有するSLE患者が、SLE関連可溶性メディエーターにおいても変更を有したかどうかも評価した(表4及び図2A~2I)。多重の比較のために調整した後、IL-8、IP-10、IL-1α、及びIL-6を含む選択メディエーターの血漿レベルを、試料調達と同時に臨床来院時のhSLEDAIスコアと直接相関させた(表4)。これは、活動性疾患を有するSLE患者における血漿メディエーターの増加したレベルによってさらに反映された。I型IFN、IFN-α(図2A)、ならびにIFN駆動ケモカイン、IP-10(図2B)、及び生得的なメディエーターIL-6(図2C)はすべて、低疾患活動性と比較して、活動性疾患の期間のSLE患者試料において有意により高く、SLE患者は、臨床疾患活動性に関係なく、対照よりも、これらのメディエーターのもより高いレベルを有した(p<0.05)。生得的なメディエーターであるIL-1α(図2D)、ケモカインIL-8(図2E)、及びTh17型メディエーターであるIL-21(図2F)は、活動性疾患を有するSLE患者で最も高かった(p<0.05)が、一方、低疾患活動性を有する患者は対照と同様のレベルを有した。SLE患者は、疾患活動性にかかわらず、対照よりもより高いレベルのBLySを示し(p<0.001)、これは、活動性疾患を有するSLE患者において最も高かったが、有意ではなかった(図2G)。調節メディエーターであるIL-10(図2H)は、低疾患活動性を有するSLE患者において最も高かった(SLE患者は、対照よりも有意により高いレベルを有した。p<0.01)が、一方、TGF-βレベルは対照で最高であり(p<0.01)、低及び活動性疾患を有するSLE患者の間で類似していた(図2I)。これらのデータは、いくつかの選択メディエーターが、臨床的活動性SLEとの直接的な関連性において変更され得ることを示す。
【0111】
【表4】
【0112】
可溶性メディエーターレベルは、自己抗体の存在及び臨床疾患活動性と関連して変更される。活動性疾患を有するSLE患者において検出された自己抗体特異性の増加した数及び選択血漿メディエーターの変更されたレベルを考慮して、本発明者らは、可溶性メディエーターレベルが検出された自己抗体特異性の数と相関しているかどうかを照会した(表5)。本発明者らは、蓄積されたSLE関連自己抗体の数と有意に(p≦0.0010)相関した多重の追加の可溶性メディエーター(評価された22/32)が、生得的及び適応性メディエーター、ケモカイン、及びTNFスーパーファミリーメンバーを含むSLE患者及び適合した健康な対照に存在することを見出した。これにより、これらの可溶性メディエーターのレベルが、対照に対して、自己抗体陰性(陰性)または陽性(陽性)のいずれかでもある低または活動性疾患を有するSLE患者の間でどのように比較されるかを評価することができた(図3~6)。I型(IFN-α、図3A)及びII型(IFN-γ、図3B)の両方のIFNは、自己抗体陽性SLE患者において増加し、活動性疾患を有する自己抗体陰性及び陽性患者の間に有意差があり、活動性疾患を有する自己抗体陽性SLE患者は、対照と比較して、これらのメディエーターの血漿レベルが最も高かった(p<0.001)。IFNケモカインIP-10(図3C)及びMIG(図3D)については、低(p<0.05)または活動性(p<0.0001)疾患を有する自己抗体陽性患者及び陰性SLE患者との間で、これらのメディエーターに有意な増加があり、対照と比較して、活動性疾患を有する自己抗体陽性SLE患者で最も高いレベルであった(p<0.001)。これらのデータにより、変更された疾患活動性に直接関連する可能性があることに加えて(図2)、IFN関連メディエーターはまた、自己抗体特異性の蓄積に結びつき得ることが示唆される(図3A~3D)。
【0113】
【表5-1】
【表5-2】
【0114】
Bリンパ球刺激因子(BLyS)は、I型(51)及びII型(52)IFNに応答して分泌され、B細胞生存及び分化を支持し、自己抗体産生及びクラス切り替えに寄与するTNFスーパーファミリーメンバーである(53)。IFN関連メディエーターと同様に、低または活動性疾患を有する自己抗体陽性SLE患者においてBLyS(図4A)が増加し(p<0.01)、それにより、自己抗体陽性SLE患者は、対照と比較して最高レベルを有する(p<0.0001)。増殖誘導リガンドである、Bリンパ球活性化及び自己抗体産生に関してBLySに関連する別のTNFスーパーファミリーメンバー(APRIL、図4B)(53)は、活動性疾患を有する自己抗体陽性SLE患者において同様に増加した(p<0.0001)。興味深いことに、低活動性疾患を有するSLE患者を、活動性疾患を有するSLE患者と比較すると、APRILレベルは、活動性疾患を有する自己抗体陰性SLE患者において、その自己抗体陽性対応物よりもより低いことが見出され、APRILは活動性疾患を有するSLE患者において最も高かったことが見出された(p<0.05)。TRAIL(図4C)及びTNFRII(図4D)を含む、評価された他のTNFスーパーファミリーメンバーはまた、活動性疾患を有する自己抗体陽性SLE患者において増加した(p<0.0001)。これらの2つのメディエーターはまた、疾患活動性とある程度相関したことを考慮すると(表4)、TNFスーパーファミリーメンバーが、自己抗体産生及び高められた臨床疾患活動性の両方に寄与し得る可能性がある。
【0115】
他の生得的及び適応性メディエーターは、SLE病原性及び高められた臨床疾患において変更されることが、本発明者らの以前の研究で示されている(36、42、45)。本発明者らは、IL-1a(図5A、p<0.01)及びIL-6(図5B、p<0.05)を含む生得的なメディエーターが、低または活動性疾患のいずれかを有する増加した自己抗体陽性SLE患者であることを観察した。加えて、IL-1aは、自己抗体陽性SLE患者における低活動性疾患と活動性疾患とを区別する(図5A、p=0.0206)。Th1型メディエーターであるIL-2(図5C)、及びTh17型メディエーターであるIL-21(図5D)を含む適応性メディエーターの増加したレベルは、活動性疾患を有する自己抗体陽性SLE患者においても有意に上昇した(p<0.05)。SCF(図6A、p=0.0356)及びIL-8(図6B、p<0.0001)を含む他の炎症性メディエーターも上昇した。IL-10の血漿レベル(図6C)は、低疾患活動性を有する自己抗体陰性SLE患者において最も高く、おそらくその調節属性を反映したが、活動性疾患を有する自己抗体陰性患者と自己抗体陽性SLE患者との間にIL-10レベルに有意な差があり(p=0.0089)、自己抗体陽性SLE患者においてはより高いレベルであり、IL-10が、Bリンパ球活性化及び自己抗体産生の炎症促進性の陽性調節因子としても作用し得ることを示唆している(54、55)。同様に、SLE患者(36、42、45)における阻害された調節を反映して、TGF-β(図6D)は対照において最も高いが、活動性疾患を有する陰性SLE患者に対して、自己抗体陽性においてより高いレベルが存在する(p=0.0066)。これは、IL-6と併せて分泌されるときに、TGF-βが炎症促進性のTh17型応答(56、57)を駆動する能力を反映し得る(図5B)。
【0116】
重み付けされた狼瘡疾患活動性免疫指標(LDAII)は、SLE患者において活動性疾患を区別する。SLE患者における活動性臨床疾患に関連する多重の免疫経路における有意な変更を考慮すると、本発明者らは、狼瘡疾患活動性免疫指標(LDAII)を開発して、個々の患者における免疫調節異常を要約し、SLE患者における低及び活動性疾患を、健康な個体または対照(Ctl)において見出される免疫プロファイルに対して比較した(図7A及び7B)。LDAIIを、検出されたSLE関連自己抗体特異性の数に対するそれらの相関に基づいて重み付けされた各可溶性メディエーターの、対数変換され、正規化されたレベルを使用して計算する。各分析物についての重み付けされ、対数変換され、正規化されたレベルの合計は、グローバルLDAIIを生成する(詳細については、材料及び方法を参照)。このアプローチの明確な利点は、陽性を確立するために各サイトカイン/ケモカインのカットオフを必要とせず、活動性疾患を有するSLE患者に見出されるであろう自己抗体特異性の蓄積とより強い(スピアマン)相関を有するそれらの未変換メディエーターに影響を与えることである。LDAII(各可溶性メディエーターによって寄与されるサブスコアの合計として計算)は、低疾患活動性を有するSLE患者及び対照試料と比較して、活動性臨床疾患を有するSLE患者において有意により高かった(図7A)。アルゴリズムに健康な個体を含めることで、低疾患活動性を有するSLE患者の最適な区別を可能にする。重要なことに、LDAIIは、hSLEDAIスコアと有意に相関し(r=0.226、p<0.0001)、活動性疾患または低疾患活動性を有するSLE患者を、対照に対して区別し(AUC=0.671、p=0.0001)、79%の特異性及び49%の感度を有して、0.94の陽性予測値(PPV)を有した(図7B)。これらのデータにより、追加の免疫調節異常が臨床疾患活動性に関連し、この異種調節異常は、臨床ケアに影響を与える可能性を有するLDAIIを形成するために利用することができることが示唆される。
【0117】
LDAIIは、臨床的及び血清学的活動性及び無活動疾患を有するSLE患者を区別する。臨床疾患活動性(hSLEDAI)スコアに基づいて免疫調節異常の違いを評価することに加えて、本発明者らはまた、LDAIIが、対照に対して、免疫学的疾患活動性基準(抗dsDNA結合自己抗体及び/または低補体レベル)(14、15)を満たすものとして定義される、血清学的無活動(SQ)疾患に対する血清学的活動性(SA)疾患と組み合わせて、臨床的無活動(CQ)疾患に対して臨床的活動性(CA)疾患を区別することができるかどうかを評価した(図8A~8F)。臨床的活動性疾患(CASA)を有したこれらのSLE患者は、臨床的無活動疾患(CQSQ)を有する患者よりも有意により高いLDAIIスコアを有した。両方のSLE患者群は、対照と有意に区別され(図8A)、0.88のPPV、79%の特異性、及び71%の感度(AUC=0.804[p<0.0001])を有した(図8B)。これらのデータにより、SLE患者におけるいくつかの異種性に変更された免疫経路によって通知される免疫指標が、高められた臨床疾患活動性を有する患者を同定することができることが示唆される。加えて、本発明者らは、IL-6(図8C)、IL-8(図8D)、及びIP-10(図8E)を含む、CASA SLE患者におけるメディエーターの増加したレベル(p<0.01)、ならびにSLE関連自己抗体特異性の増加した数(図8F)を観察した。興味深いことに、多くのCQSQ患者は、臨床的及び血清学的無活動であるにもかかわらず、少なくとも1つの自己抗体特異性についてなおも陽性であり、対照よりもより高い炎症メディエーターを有する。
【0118】
LDAIIは、疾患活動性の腎臓器兆候を有するSLE患者を区別する。病原性自己抗体産生及び炎症メディエーター質の増加したレベル含む慢性免疫調節異常は、進行性末梢臓器損傷に寄与する。腎損傷及び狼瘡腎炎は、SLEの最も重度の後遺症の中にあり、SLE関連の罹患及び死亡に実質的に寄与する(58)。腎損傷の早期発見及び処置は、永続的な臓器損傷のリスクを最小限に抑え、腎機能を維持するために不可欠である。本発明者らは、LDAIIが腎関与を有するSLE患者を区別することができるかどうかを評価し(図9A~9E)、これは、活動性疾患を有するSLE患者に存在した(表3)。本発明者らは、活動性疾患及び腎兆候を有するSLE患者が、腎兆候を有しない活動性疾患を有するSLE患者よりも有意により高いLDAIIスコアを有したことを見出した(p=0.0099)(図9A)。腎兆候を有する(p=0.0002)または有しない(p=0.0359)活動性疾患を有するSLE患者は、低疾患活動性を有するSLE患者よりもより高いLDAIIスコアを有し(図9A)、0.96のNPV、49%の特異性、及び88%の感受性(AUC=0.689[p=0.0029])を有した(図9B)。SCF(図9C)及びTNFRII(図9D)の両方、ならびに自己抗体特異性の数(図9E)は、疾患活動性の腎兆候を示さないそれらの患者と比較して、活動性疾患及び腎兆候を有するSLE患者において増加した(非腎/活動性疾患に対してp<0.001、低疾患活動性来院に対してp<0.01)。加えて、活動性疾患を有するが、腎兆候を有しないSLE患者は、低疾患活動性を有するSLE患者よりも、より多く存在するSLE関連自己抗体特異性を有した(p=0.0261、図9E)。これらのデータにより、LDAIIを通知する免疫調節異常を利用することは、狼瘡腎炎及び末期腎疾患(ESRD)の発症、罹患、及び早期死亡を予防するために、より詳細な臨床モニタリングから利益を受ける可能性が高い腎兆候を有するSLE患者を同定するのに有用であり得ることが示唆される。
【0119】
持続的に活動性の疾患は、長期にわたる疾患を有するそれらの患者であっても(19)、SLE患者にとって負担がかかり生活の質に影響を及ぼす(59)。疾患活動性は経時的に増加することが示されており、低疾患活動性を有する患者の大部分は、臓器損傷及び早期死亡の両方に関連する(24、25、60)活動性疾患を発症し(19)、SLEの最適な管理におけるギャップを強調する。最終的な目標は、臓器の兆候がより少なく、永続的な臓器損傷がより少なく、著しい副作用及び罹患をもたらす処置がより少なく、死亡がより低い転帰及び予後を改善することが示されている、低疾患活動性に患者を動かすことである(61)。
【0120】
疾患活動性の兆候及び症状が発生後に捕捉されるため、組織及び臓器損傷を防止するための認識及び早期処置は困難である。さらに、疾患活動性を管理するために必要なステロイド(23)及び他の免疫抑制剤(27)の長期使用は、増加した罹患と関連している。臨床疾患を積極的に管理することができないことは、医療を反応性処置に限定し、末梢臓器損傷を防止し(6~8)、SLEの病原性及び社会経済的負担を低減する(29)、ステロイドを保持する免疫修飾剤を追加または増加させる積極的な戦略を排除する(28)。本発明者らは、SLE関連自己抗体特異性の蓄積と共に(36、37、50)、多重の免疫経路の調節異常(36、37)が、分類されたSLEの発症及び移行の根底にあることを以前に実証した。本発明者らは、追加の免疫調節異常が臨床疾患再燃の前に生じ、免疫経路調節異常及び臨床疾患の異種性が狼瘡再燃予測指標(42、45)の出現によって利用され得ることをさらに示した。興味深いことに、この指標は同時の臨床疾患活動性を知らせなかった(42、45)。
【0121】
本発明者らは、進行中の臨床疾患活動性を反映し、現在の臨床疾患活動性器具を補完する免疫指標に情報を与える情報を利用する基礎となる免疫調節異常を決定しようとした。現在の研究内で、本発明者らは、低疾患活動性に対して活動性疾患活動性からのSLE患者試料中で変更された免疫経路の数及び型における異種性を観察した。これは、活動性疾患を有するSLE患者における炎症メディエーターの以前の報告間の変動性(62~64)、ならびに抗dsDNA、補体、補体分割産物、及び炎症マーカー(ESR及びCRP)を含む、単独でまたは組み合わせで提案された疾患活動性の血清学的マーカーとの一貫しない相関性及び限られた臨床有用性(65~67)を部分的に説明し得る。免疫経路関与における異種性にもかかわらず、各患者は、少なくとも1つの経路からの炎症性メディエーターの上昇を実証した。I型IFN(IFN-α)、II型IFN(IFN-γ)、及びIFN関連ケモカイン(IP-10)の変更を含む、IFN関連メディエーターが影響を受けたことは、SLE患者に存在する十分に記載されたIFNシグネチャを考慮すると、驚くべきことではなかった(68)。IFN関連メディエーターは、疾患活動性(低活動性対活動性、臨床的/血清学的無活動対活動性)に関連して、ならびに患者のサブセットにおけるSLE関連自己抗体の存在に関連して、直接影響を受けた。この所見は、IFN経路が疾患活動性を反映することができることを示す以前の研究によって裏付けられ(69)、患者のサブセットにおける自己抗体の存在に依存するが(70)、同時の臨床疾患活動性を普遍的には説明しなかったことを示した(71)。
【0122】
疾患活動性尺度と直接相関しなかったが、自己抗体特異性の蓄積と相関し、陰性SLE患者に対して自己抗体陽性患者の中で活動性疾患臨床来院に対して低疾患臨床来院を区別することができたいくつかのメディエーターが存在した。このカテゴリーで注目すべきは、Bリンパ球活性化及び自己抗体産生に寄与するTNFスーパーファミリーメディエーターであるBLyS及びAPRILであった(72~74)。BLySレベルは、狼瘡関連自己抗体特異性(37)の蓄積と相互作用するI型(51)及びII型(52)IFNメディエーターの早期調節異常から生じることができる。本発明者らは、BLyS、ならびにAPRILが、IFN関連メディエーターと同様に、活動性疾患を有する陽性SLE患者に対して自己抗体陰性SLE患者を区別したことを観察した(図3~4)。しかし、APRILはまた、自己抗体陰性患者(活動性<低疾患活動性)及び自己抗体陽性患者(活動性>低疾患活動性)における疾患活動性を(低活動性対活動性)区別することができた。いくつかの例ではBLySとのこの相違(自己抗体陰性試料)及びその他における収束(自己抗体陽性試料)は、SLEにおける他の研究(72、75~78)によって支持され、BLyS及びAPRILが利用する独自かつ重複する受容体によって説明され得る(72、73、79~82)。BLyS及びAPRILに共有されるこれらの受容体/経路は、収束した下流事象(自己抗体産生)につながる可能性が高いが、一方、本発明者らが自己抗体陰性SLE試料で見たように、分散した受容体シグナル伝達経路機構(例えば、APRIL-TACI相互作用(80))は、陰性調節におけるAPRILの明らかな役割に寄与することができる(図4A~4D)。
【0123】
狼瘡疾患活動性に関して表面上二重の抗炎症機能及び炎症促進機能を有する可溶性メディエーターの別の対は、IL-10及びTGF-βである。これらのメディエーターの両方は調節機能を有することが示されており(83~88)、本発明者らは、IL-10が低疾患活動性を有する自己抗体陰性SLE患者において最も高いことを見た(図6A~6D)が、TGF-βが健康な対照において最も高く、これはSLE患者における調節の喪失を示している(87、88)。逆に、活動性疾患を有するSLE患者は、自己抗体陽性(陰性に対して)試料中のIL-10及びTGF-βの増加したレベルを有する(図6A~6D)。IL-10は、Bリンパ球活動性化及び自己抗体産生に関して炎症促進特性を有することが示されているが(89)、一方、TGF-βは、自己抗体産生及びSLE発症に寄与する(92、93)、IL-21分泌及びBリンパ球の刺激につながる、IL-6の存在下でTh17型応答に寄与することが示されている(90、91)。
【0124】
狼瘡再燃予測指標(42、45)を形成するために学んだ教訓と併せて、これらの免疫系の変化は、可溶性メディエーター変更によって知らされ、SLE関連の自己抗体蓄積とのそれらの相関によって重み付けされる狼瘡疾患活動性免疫指標(LDAII)を開発するように私たちを導いた。疾患活動性評価の変動を最小限に抑えるための専門的な訓練の時間と必要性(31、35)は、しばしば、日常的な臨床実務における検証済みSLE疾患活動性尺度の使用を制限する。LDAIIに通知するために利用される進行中の臨床疾患活動性に関連する免疫系変化の検出は、より密接なモニタリングを必要とする患者の同定を可能にし、末梢臓器損傷を防止するための免疫改変処置による早期介入を可能にする(6~8)。陽性スコアは、新たなまたは悪化する臨床兆候の発症前に進行中の炎症を変更するためのより頻繁なモニタリング(94)及び/または投薬の変化の必要性を示すであろう。陰性スコアは、継続的なモニタリング及び投薬スケジュール(それらが機能している)の維持、より低い頻度のモニタリングの必要性(特に、少なくとも四半期ごとに来院が発生する場合)、及び/または顕著な副作用を有する、漸減するステロイド(23)または他の免疫修飾剤(27)の検討を示すであろう。臨床ケアにより積極的に参加するSLE患者は、永続的な臓器損傷が少ないことが示されている(95)。LDAIIは、患者が、臨床疾患活動性を排除する患者の免疫活動性についての監視されることを可能とし、さらなる臨床評価の必要性を患者及び医療提供者に警告することを可能とする。
【0125】
臨床的無活動のSLE患者は、疾患活動性が高まるリスクがあり、定期的に監視される必要がある(14)。活動性疾患を有するSLE患者は、hSLEDAI血清学的基準(増加したDNA結合及び/または低補体血症)を満たし、抗dsDNA 自己抗体について陽性である可能性がより高かった(表3)が、これらの因子のいずれも、高まった臨床疾患活動性の予測因子であることが示されていない(14、42、45)。重要なことに、LDAIIは、臨床的及び血清学的活動性(CASA)疾患に対して、臨床的及び血清学的無活動(CQSQ)疾患を有する患者を区別することができ(図8A~8F)、hSLEDAI疾患活動性スコア単独を使用するよりも、IL-6、IL-8、及びIP-10レベル、ならびにCQSQ及びCASAのSLE患者の間に存在するSLE関連自己抗体の数には大きな差があった(図1~2)。加えて、LDAIIは、腎兆候を示した活動性疾患を有するSLE患者を区別することができた(図9A~9E)。本発明は、経路特異的免疫調節異常の分析を可能にして、腎兆候及び狼瘡腎炎(LN)を有するSLE患者のための個別化されたプレシジョンメディシンを可能にする。さらに、本発明は、LNを発症する最大のリスクにある個体を同定し、所与の経路特異的生物学的処置のために最も適切なLN患者を選択するための経路特異的免疫調節異常の尺度を定義することを可能にする。腎関与を有するSLE患者の現在の評価において変更される2つのメディエーターは、SCF及びTNFRIIである(図9A~9E)。SCF及びその受容体c-kitとの相互作用は、以前に、糸球体腎炎及び腎不全を含む腎損傷に寄与することが示されている(96,97)。通常リンパ球上に存在するTNFRII(98~100)は、腎臓を含む慢性炎症の文脈で異常に上方制御され、炎症、腎損傷及び腎不全に寄与する(101~104)。
【0126】
臨床疾患活動性の反映として免疫状態の変化を検出する能力は、患者転帰を改善し、疾患監視及び処置の改善を可能とし、それは、SLEの病原性及び社会経済的負担を低減し得る(29)。本発明の特別な技術的効果は、陽性を確立するために各可溶性メディエーターのカットオフを必要とせず、及び/または特定の患者における疾患活動性に寄与する炎症経路の事前知識を必要としない患者のLDAIIを計算する利点である。本発明は、SLE臨床試験及び疾患管理における前向き多民族研究においてさらに検証することができる。個々の患者の包括的な臨床状況に応じて、臨床疾患活動性及び臓器損傷の高められたリスクを早期に検出することで、密接なモニタリング、1つ以上の予防的処置の選択、またはLDAII内の変更された経路に関連する標的化生物学的製剤を臨床試験に包めることが促進される。
【0127】
本明細書で論じられる任意の実施形態は、本発明の任意の方法、キット、試薬、または組成物に関して実装することができ、逆もまた同様であることが企図される。さらに、本発明の組成物を使用して、本発明の方法を達成することができる。
【0128】
本明細書に記載される特定の実施形態は、例示として示され、本発明の限定として示されないことを理解されたい。本発明の主な特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく種々の実施形態で採用され得る。当業者は、本明細書に記載される特定の手順に多数の等価物を認識するか、または通常の実験のみを使用して確認することができるであろう。かかる等価物は、本発明の範囲内であるとみなされ、特許請求の範囲によってカバーされる。
【0129】
本明細書で言及される全ての刊行物及び特許出願は、本発明が関連する当業者の技能レベルを示す。全ての刊行物及び特許出願は、各個々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されたかのように同じ程度で参照により本明細書に組み込まれる。
【0130】
特許請求の範囲及び/または本明細書における「含む」という用語と併せて使用される場合、単語「a」または「an」の使用は、「1つ」を意味し得るが、「1つ以上」、「少なくとも1つ」、及び「1つまたは2つ以上」の意味とも一致する。本開示は、択一的選択肢及び「及び/または」のみを支持するが、特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、択一的選択肢のみを指すことが明示的に示され、または択一的選択肢が互いに排他的である場合を除き、「及び/または」を意味するために使用される。本出願を通じて、「約」という用語は、値がデバイスの固有の誤差の変動を含むこと、方法が値を決定するために使用されること、または研究対象間に存在する変動を示すために使用される。
【0131】
本明細書及び特許請求の範囲(請求項)で使用される場合、単語「含む(comprising)」(及び「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」などの任意の形態の「含む」)、「有する(having)」(及び「有する(have)」及び「有する(has)」などの任意の形態の「有する」)、「含む(including)」(及び「含む(includes)」及び「含む(include)」を含む任意の形態の「含む」)、または「含む(containing)」(及び「含む(contains)」及び「含む(contain)」などの任意の形態の「含む」)は、包括的であるか、またはオープンエンドであり、追加の、言及されていない要素または方法ステップを除外しない。本明細書に提供される組成物及び方法のいずれかの実施形態では、「含む(comprising)」は、「本質的にからなる(consisting essentially of)」または「からなる(consisting of)」と置き換えられ得る。本明細書で使用される場合、「から本質的になる(consisting essentially of)」という語句は、指定された整数(複数可)またはステップ、ならびに請求される発明の性格または機能に実質的に影響を与えないものを必要とする。本明細書で使用される場合、「からなる(consisting)」という用語は、言及された整数(例えば、特徴、要素、特徴、特性、方法/プロセスステップまたは限定)または整数の群(例えば、特徴(複数可)、要素(複数可)、特徴(複数可)、特性(複数可)、方法/プロセスステップまたは限定(複数可)のみ)の存在を示すために使用される。
【0132】
本明細書で使用される「またはそれらの組み合わせ」という用語は、この用語の前に列挙された項目の全ての置換及び組み合わせを指す。例えば、「A、B、C、またはそれらの組み合わせ」は、A、B、C、AB、AC、BC、またはABC、及び特定の文脈で順序が重要な場合、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、またはCABのうちの少なくとも1つも含まれることが意図される。この実施例に引き続き、BB、AAA、AB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどの1つ以上の項目または用語の反復を含有する組み合わせが明示的に含まれる。当業者は、文脈から別段明らかでない限り、通常、任意の組み合わせの項目または用語の数に制限がないことを理解するであろう。
【0133】
本明細書で使用される場合、限定されないが、「約」、「実質的」または「実質的に」などの近似語は、そのように修飾された場合、必ずしも絶対的または完璧ではないと理解されるが、その状態を存在すると指定することを保証するのに十分に当業者に近いと見なされる条件を指す。記載がどの程度変化し得るかは、どの程度大きな変化を起こすことができるかに依存し、当業者であれば、修飾された特徴が依然として未修飾の特徴の必要な特性及び能力を有すると認識するであろう。概して、ただし、前述の考察を条件として、「約」などの近似語によって修飾される本明細書の数値は、記載される値から、少なくとも±1、2、3、4、5、6、7、10、12、または15%変動し得る。
【0134】
本明細書に開示及び特許請求される組成物及び/または方法のすべては、本開示に照らして過度の実験なしに作製及び実行することができる。本発明の組成物及び方法は好ましい実施形態の観点から記載されているが、当業者には、本発明の概念、精神、及び範囲から逸脱することなく、本発明に記載される方法の組成物及び/または方法、ならびにステップまたはステップのシーケンスに変形が適用され得ることが明白であろう。当業者に明白な全てのそのような類似の置換及び修飾は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の精神、範囲及び概念内にあると見なされる。
【0135】
特許庁、及び本出願に基づいて発行される特許の任意の読者が、本明細書に添付の特許請求の範囲を解釈するのを支援するために、出願人は、「のための手段」または「のためのステップ」という用語が特定の特許請求項で明示的に使用されない限り、添付の特許請求の範囲のいずれも、本願出願日に存在する米国特許法第112条第6項、米国特許法第112条第(f)項または同等物を援用することを意図しないことに留意したい。
【0136】
特許請求の範囲のそれぞれについて、先行する請求項が、請求項用語または要素についての妥当な先行する基礎を提供する限り、それぞれの独立項は、独立項ならびにそれぞれの及びすべての請求項についての先行する独立項から従属することができる。
【0137】
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【国際調査報告】