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特表2022-505466多入力多出力システム用遠隔無線ユニットおよび中央ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】多入力多出力システム用遠隔無線ユニットおよび中央ユニット
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/022 20170101AFI20220106BHJP
   H04B 10/2575 20130101ALI20220106BHJP
   H04B 10/2513 20130101ALI20220106BHJP
【FI】
H04B7/022
H04B10/2575 120
H04B10/2513
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521509
(86)(22)【出願日】2018-10-26
(85)【翻訳文提出日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 EP2018079432
(87)【国際公開番号】W WO2020083508
(87)【国際公開日】2020-04-30
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ガンファ
(72)【発明者】
【氏名】ケーヤーザデ、 ラミン
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ、ツィペン
(72)【発明者】
【氏名】バオ、ホンチアン
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA01
5K102AA11
5K102AA15
5K102AB13
5K102KA02
5K102KA40
5K102RD12
(57)【要約】
本開示は、遠隔無線ユニット(RRU)と中央ユニットとを備えるMIMOシステムに関する。前記RRUは、二位相偏移キーイング(BPSK)波形を局部発振器(LO)信号で変調して刺激信号を生成するように構成されており、前記LO信号は、中央ユニット(CU)からダウンリンクラジオオーバーファイバ(DL-ROF)を介して受信されたダウンリンク光信号から得られる、BPSK変調器と、前記刺激信号に基づいてアップリンク光信号を生成するように構成された、特にレーザであって、前記CUへのアップリンクラジオオーバーファイバ(UL-ROF)を介した送信のための光信号発生器とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔無線ユニット(RRU)であって、
二位相偏移キーイング(BPSK)波形を局部発振器(LO)信号で変調して刺激信号を生成するように構成されており、前記LO信号は、中央ユニット(CU)からダウンリンクラジオオーバーファイバ(DL-ROF)を介して受信されたダウンリンク光信号から得られる、BPSK変調器と、
前記刺激信号に基づいてアップリンク光信号を生成するように構成された、前記CUへのアップリンクラジオオーバーファイバ(UL-ROF)を介した送信のための光信号発生器と
を備える、RRU。
【請求項2】
前記アップリンク光信号の電力が、制御チャネルを介して前記CUによって制御される、
請求項1に記載のRRU。
【請求項3】
前記ダウンリンク光信号から前記LO信号を取り出すように構成された、バンドパスフィルタ(BPF)
を備える、請求項1または2に記載のRRU。
【請求項4】
前記ダウンリンク光信号は、キャリア周波数fcの前記LO信号および前記キャリア周波数fcの高調波を伝送する
請求項3に記載のRRU。
【請求項5】
前記BPFの通過帯域の周波数範囲は、前記キャリア周波数fcを含む
請求項4に記載のRRU。
【請求項6】
前記BPSK波形を生成ように構成された擬似ランダム2進シーケンス(PRBS)発生器またはホワイトノイズ発生器
を備える、請求項1から5の何れか一項に記載のRRU。
【請求項7】
時分割複信(TDD)モードのダウンリンク(DL)位相が、DL-ROFを介した前記DL光信号の受信に使用され、
前記TDDモードのアップリンク(UL)位相が、UL-ROFを介した前記UL光信号の送信のために使用され、
トレーニングおよび/または較正のために、DL/ULまたはUL/DL切替間隔が使用される
前記TDDモードで動作する、請求項1から6の何れか一項に記載のRRU。
【請求項8】
前記光信号発生器はレーザである、請求項1から7の何れか一項に記載のRRU。
【請求項9】
中央ユニット(CU)であって、
ダウンリンクラジオオーバーファイバ(DL-ROF)を介して無線遠隔ユニット(RRU)を伝送するためのダウンリンクデジタル信号に基づいてダウンリンク光信号を生成するように構成された、光信号発生器と、
デジタルプリディストータ(DPD)フィードバック信号に基づいて、前記ダウンリンクデジタル信号をデジタル的にプリディストーションするように構成された、DPDと、
前記RRUからアップリンクラジオオーバーファイバ(UL-ROF)を介して受信されたアップリンク光信号に基づいて、前記DPDフィードバック信号を提供するように構成される、ブラインド線形デジタルチャネルイコライザと
を備える、CU。
【請求項10】
前記アップリンク光信号から導出されたアップリンクデジタル信号に、決定指向性最小平均二乗法(DD-LMS)アルゴリズムを適用して、前記ブラインド線形デジタルチャネルイコライザの等化係数を決定する
請求項9に記載のCU。
【請求項11】
前記UL-ROFによって導入された非線形歪みを特定するために、前記RRUとの制御チャネルを介して前記RRUで生成された前記アップリンク光信号の利得を変化させる
請求項9または10に記載のCU。
【請求項12】
前記アップリンク光信号の前記利得の変化に基づいて前記UL-ROFの振幅対振幅変調(AM-AM)応答を識別する
請求項11に記載のCU。
【請求項13】
無記憶非線形系としての近似、N-Lモデルまたはハマースタインモデルによる近似に基づいて、前記UL-ROFによって導入された非線形歪みを識別する
請求項11または12に記載のCU。
【請求項14】
以下の関係に基づいて、前記ブラインド線形デジタルチャネルイコライザを調整する:
u_BB=h_(UL,CU)*Φ_(UL,ROF) (g r_BB )+n_BB
ここで、u_BBは、前記アップリンク光信号のデジタルベースバンド表現を示し、h_(UL,CU)は、前記CUで導入された線形歪みを示し、Φ_(UL,ROF)は、前記UL-ROFで導入された非線形歪みを示し、gは前記RRUで生成される前記アップリンク光信号の利得を示し、r_BBは前記アップリンク光信号の生成に使用される前記RRUにおけるBPSK波形のデジタルベースバンド表現を示し、n_BBは歪み信号を示す
請求項9から13の何れか一項に記載のCU。
【請求項15】
時分割複信(TDD)モードのダウンリンク(DL)位相をDL-ROFによる前記DL光信号の伝送に使用し、
前記TDDモードのアップリンク(UL)位相をUL-ROFによる前記UL光信号の受信に使用し、
DL/ULまたはUL/DL切替間隔をトレーニングおよび/または較正に使用する
前記TDDモードで動作する、請求項9から14の何れか一項に記載のCU。
【請求項16】
前記RRUに前記DL-ROFを介してキャリア周波数fcの局部発振器(LO)信号を送信する
請求項9から15の何れか一項に記載のCU。
【請求項17】
前記光信号発生器はレーザである、請求項9から16の何れか一項に記載のCU。
【請求項18】
多入力多出力(MIMO)システムであって、
請求項9から17の何れか一項に記載の中央ユニット(CU)と、
シングルモードファイバ(SMF)で前記CUに連結される、請求項1から8の何れか一項に記載の遠隔無線ユニット(RRU)と
を備える、MIMOシステム。
【請求項19】
方法であって、
中央ユニット(CU)から、ダウンリンクラジオオーバーファイバ(DL-ROF)を介してダウンリンク光信号を受信する、受信する段階と、
前記ダウンリンク光信号から導出される局部発振器(LO)信号による二位相偏移キーイング(BPSK)波形のBPSK変調に基づいて、刺激信号を生成する段階と、
光信号発生器、前記刺激信号に基づいたアップリンク光信号を生成して、アップリンクラジオオーバーファイバ(UL-ROF)を介して前記CUに送信する段階と
を備える、遠隔無線ユニット(RRU)によってアップリンク光信号を生成する、方法。
【請求項20】
方法であって、
光信号発生器により、ダウンリンクラジオオーバーファイバ(DL-ROF)を介して無線遠隔ユニット(RRU)に送信するためのダウンリンクデジタル信号に基づいてダウンリンク光信号を生成する段階と、
デジタルプリディストータ(DPD)により、DPDフィードバック信号に基づいて、前記ダウンリンクデジタル信号をデジタル的にプリディストートする段階と、
ブラインド線形デジタルチャネルイコライザによって、前記RRUからアップリンクラジオオーバーファイバ(UL-ROF)を介して受信されたアップリンク光信号に基づいて、前記DPDフィードバック信号を提供する段階と
を備える、中央ユニット(CU)によってダウンリンク光信号を生成する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、多入力多出力システム、特に大規模MIMOシステム用の遠隔無線ユニット(RRU)および中央ユニット(CU)に関する。本開示は、さらに、そのようなMIMOシステムのアップリンク(UL)およびダウンリンク(DL)信号を生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アナログROF(ラジオオーバーファイバ)は、O-E(光-電気)変換とRF(無線周波数)増幅のみで済むため、体積、重量、および消費電力の点で有利であり、特に大規模MIMOシナリオではRRU設計に大きな関心が寄せられている。一方、RFフロントエンドの歪み(例えば、電力増幅器の非線形性)を補償するために、デジタルプリディストーション(DPD)が広く使われている。アナログROFの範囲では、アップリンクROFはDPDアルゴリズムのフィードバックチャネルとして使用されるが、ROFフィードバックチャネルによって起因する歪みのために、DPDアルゴリズムの性能はそれぞれ低下していく:特に、非線形歪みは、ACLR(隣接チャネル漏洩率)を大幅に増加させる。以下では、図1に示すように、ROFチャネルの歪みを示すROF歪みをΦ_ROF (・)と表記する。図1において、信号xRF(t)104は、直接変調されたレーザ(DML)101を励起する。レーザ101の出力信号がシングルモードファイバ(SMF)102を通過した後、ポストディストーション(PD)103が信号yRF(t)105を提供する。
【0003】
DPD劣化を図2を用いて説明することができる。ここで、s(t),204は所望の信号であり、x(t),207はプレディストーションされた信号であり、y'(t),206はフィードバック信号であり、および、y(t),205は送信信号である。Ψ(・)は電力増幅器のような非線形系202を示し、Ф(・)はROFチャネルのようなフィードバックチャネル203を示すために使用される。DPDトレーニングアルゴリズム201はy'(t)=s(t)を目標としているため、真に送信信号y(t),205は、s(t),204を歪めたバージョンであるФ-1(s)に近いとなる。
【0004】
一般的な解決手段は、フィードバックチャネルの歪みを軽減することである。「E. E. Bergamann, "Dispersion-Induced Compmosite Second-Order Distortion at 1.5um," IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETTER VOL 3 NO1, 1991」で述べられているように、ROFの大歪みは、ファイバの色分散とレーザチャープ効果の共同作業によって引き起こされる。このような劣化を避けるために、ディスパージョン・クロマティック・モジュール(DCM)を使用することができ、その効果はテストで実証されている。しかし、この解決手段ではハードウェアのコストが大幅に増加する。現在の技術水準では、ベースバンド信号で動作するデジタル方式がより魅力的であると思われる。すなわち、「A. Hekkala, M. Lasanen, L. C. Vieira, N. J. Gomes und A. Nkansah, "Architectures for joint compensation of RoF and PA with nonideal feedback," in IEEE VTC Spring, Taipei, Taiwan, May 2010」で推奨されるポストディストーションである。
【0005】
ディスパージョン・クロマティック・モジュール(DCM)は、ファイバ伝送中に発生する色分散を補償する受動的光学デバイスを使用して構成される。光信号で動作し、アナログROFの非線形挙動に有効であることが実証された。しかし、このデバイスは比較的高価であり、実際には、例えば20km 1550mなど、使用する特定のファイバに合わせる必要がある。さらに、DCMを使用すると、実際のネットワーク設計では確実に望まれない光信号の強度の減衰が発生する。
【0006】
現在の技術水準では、ベースバンド信号で動作するデジタル方式がより魅力的であると思われる。すなわち、「A. Hekkala, M. Lasanen, L. C. Vieira, N. J. Gomes und A. Nkansah, "Architectures for joint compensation of RoF and PA with nonideal feedback," in IEEE VTC Spring, Taipei, Taiwan, May 2010」で推奨されるポストディストーションである(RRU側300でのトレーニングシーケンスに基づくポストディストーションを示す図3を参照)。この方法は以下のように構成されている。(1)RRU300がROF入力信号314の統計的挙動を近似できるトレーニング信号を送信する;(2)中央ユニットが既知のトレーニング信号を用いて非線形系の識別を行う;(3)UL323とフィードバック324の両方の使用のために、受信信号313に非線形ポストディストーション301を行う。このようなポストイコライズ法の欠点は、RRU側300からトレーニング信号を送信するために、まずデジタル信号を格納するための大容量メモリの使用が必要であり、次にDAC308およびフィードバックRF信号324の中心周波数に対するRF信号の変調には、追加のハードウェアが必要である。さらに、アップコンバータ309に供給されるLOは、中央ユニット側のダウンコンバータのLOと完全に同期している必要がある。
【0007】
RRU設計300を簡素化するために、非線形歪みが入力信号の電力の3乗に比例することを考慮することにより、入力信号の電力を減らすことができる。これにより、ある電力レベルでは、非線形効果が無視でき、システムは線形系で近似できる。
【数1】
【0008】
SNRはしたがって低下するが、システムの高い線形性が必要である場合にはこの設定が望ましい。線形化には、フィードバックROFチャネルに無視できる線形歪みが含まれていることが必要であるが、ハードウェアの障害によりこの条件が常に成立するわけではない。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、上述の問題を解決するための技術、すなわち、ラジオオーバーファイバ(ROF)システム、特に図2に示すようなデジタルプリディストーション(DPD)とフィードバックを用いたROFシステムを実装するためのハードウェア複雑性とコストを削減する技術を提供することである。
【0010】
この目的は、独立請求項に記載の特徴によって実現される。従属請求項、明細書、及び図面から、さらなる実装形態が明らかとなる。
【0011】
本発明の基本的な考え方は、受信側で刺激系列の知識がないことを前提とした単純な刺激信号生成を採用することで、非常にコンパクトな無線遠隔ユニット(RRU)設計を使用することである。このようなシナリオでは、ブラインド等化が実行され、次のようなシステム設計、すなわちBPSK支援型ポストディストーションが、RRU側でランダムに生成された2進シーケンスで変調されたキャリア信号(LO)に適用される。アップリンクROF(DML)に入力されるRF信号の電力は、CUによって制御される。このような設計については、図4を参照して後述する。
【0012】
開示されたRRU設計は、以下の特徴により特徴付けることができる:
(1)CUは、DL-ROFを介して、キャリア周波数fcのLO信号を送信する。
(2)このLO信号を受信したRRU側は、BPF(バンドパスフィルタ)を行ってLO信号を取り出した後、BPSK(二位相偏移キーイング)変調器に供給する;一方、ランダム2進シーケンス(PRBS;擬似ランダム2進シーケンス)発生器またはホワイトノイズ発生器によって生成されたBPSK波形は、BPSK変調器に送信される;変調されたBPSK RF信号は、中央ユニット(CU)によって利得gが制御されたUL-ROF(フィードバックチャネル)に送信される;
(3)CU側で、受信したベースバンド信号に、例えば決定論的最小平均二乗法(DD-LMS)アルゴリズムなどのブラインド線形チャネル等化を適用して、アップリンク線形歪みを特定し、RRU側で利得gを変化させて、UL-ROFの無記憶非線形歪みに対応する振幅対振幅変調(AM-AM)関数を求める。
(4)CU側では、DPDフィードバック信号またはアップリンク信号に対して、線形歪み補償や非線形歪み補償を適用する。
【0013】
本発明を詳細に説明すべく、以下の用語、略語及び表記を用いる。RRU:遠隔無線ユニットCU:中央ユニットMIMO:多入力多出力DPD:デジタルプリディストーションDML:直接変調されたレーザSMF:シングルモードファイバPD:ポストディストーションACLR:隣接チャネル漏洩率DCM:ディスパージョン・クロマティック・モジュールDL:ダウンリンクUL:アップリンクDAC:デジタル‐アナログ変換器ADC:アナログ‐デジタル変換器BPSK:二位相偏移キーイングROF:ラジオオーバーファイバDD-LMS:決定指向性最小平均二乗法AM-AM:振幅対振幅変調BPF:バンドパスフィルタPRBS:擬似ランダム2進シーケンス(発生器)LO:局部発振器RF:無線周波PA:電力増幅器ANT SW:アンテナスイッチU/C:アップコンバータD/C:ダウンコンバータVGA:可変利得増幅器SIG GEN:信号発生器BB:広帯域MOD:変調器CFO:キャリア周波数オフセットTDD:時分割複信
【0014】
第1の態様によると、本発明は、二位相偏移キーイング(BPSK)波形を局部発振器(LO)信号で変調して刺激信号を生成するように構成されており、前記LO信号は、中央ユニット(CU)からダウンリンクラジオオーバーファイバ(DL-ROF)を介して受信されたダウンリンク光信号から得られる、BPSK変調器と、前記刺激信号に基づいてアップリンク光信号を生成するように構成された、特にレーザであって、前記CUへのアップリンクラジオオーバーファイバ(UL-ROF)を介した送信のための光信号発生器とを備える遠隔無線ユニット(RRU)に関する。
【0015】
このようなRRU設計は、ハードウェア複雑性とコストを削減して実装することができる。RRU設計では、ラジオオーバーファイバ(ROF)システムを、特にデジタルプリディストーション(DPD)とフィードバックを使用したROFシステムを実行することができる。
【0016】
このようなRRUは、コンパクトで低コストのRRU設計によって実装することができ、同じ刺激信号をマルチ/マッシブMIMOケースに再利用することができる。RRU設計は、DPDアプリケーションのために高品質なUL-ROFチャネルと高品質なフィードバックROFチャネルを提供する。中央ユニット側では、シンプルな等化アルゴリズムを実装することができる。また、TDDシステムではROFリンクを追加する必要がなく、適応的なROF配備のためのオンライン較正も必要ではない。
【0017】
RRUの例示的な実装形態では、アップリンク光信号の電力は制御チャネルを介してCUによって制御される。 これにより、非線形歪みをCUで実質的に制御できるという利点がある。
【0018】
RRUの例示的な実装形態では、RRUは、ダウンリンク光信号からLO信号を取り出すように構成されたバンドパスフィルタ(BPF)を備える。
【0019】
これにより、チャネルの非線形歪みに起因する受信信号の高調波をバンドパスフィルタで除去できるという利点がある。
【0020】
RRUの例示的な実装形態では、ダウンリンク光信号は、キャリア周波数fcのLO信号およびキャリア周波数fcの高調波を伝送する。
【0021】
これにより、ダウンリンク光信号は、CUからのキャリア周波数fcの情報を伝送するため、BPSK変調器の制御信号として使用できるという利点がある。より少ないリソースが使用され、伝送効率が向上する。
【0022】
RRUの例示的な実装形態では、BPFの通過帯域の周波数範囲は、キャリア周波数fcを含む。
【0023】
これにより、バンドパスフィルタがCUからBPSK変調器へのキャリア周波数fcを通過させるように調整されるという利点がある。
【0024】
RRUの例示的な実装形態では、RRUは、BPSK波形を生成するように構成された擬似ランダム2進シーケンス(PRBS)発生器またはホワイトノイズ発生器を備える。
【0025】
これにより、このようなPRBSまたはホワイトノイズ発生器は、例えば、シフトレジスタ設計を使用することによって容易に実装できるという利点がある。
【0026】
RRUの例示的な実装形態で、RRUは、時分割複信(TDD)モードで動作し、ここで、TDDモードのダウンリンク(DL)位相がDL-ROFを介した前記DL光信号の受信に使用され、TDDモードのアップリンク(UL)位相がUL-ROFを介したUL光信号の送信のために使用され、トレーニングおよび/または較正のために、DL/ULまたはUL/DL切替間隔が使用されている。
【0027】
これにより、TDDモードの様々な位相でRRUの様々なタスクを実現できるため、設計がコンパクトで効率的になるという利点がある。
【0028】
第2の態様によると、本発明は、ダウンリンクラジオオーバーファイバ(DL-ROF)を介して無線遠隔ユニット(RRU)を伝送するためのダウンリンクデジタル信号に基づいてダウンリンク光信号を生成するように構成された、特にレーザである光信号発生器と、デジタルプリディストータ(DPD)フィードバック信号に基づいて、前記ダウンリンクデジタル信号をデジタル的にプリディストーションするように構成されたDPDと、前記RRUからアップリンクラジオオーバーファイバ(UL-ROF)を介して受信されたアップリンク光信号に基づいて、前記DPDフィードバック信号を提供するように構成される、ブラインド線形デジタルチャネルイコライザとを備える中央ユニット(CU)に関する。
【0029】
このようなCUは、コンパクトで低コストのCU設計によって実装することができ、同じ刺激信号をマルチ/マッシブMIMOケースに再利用することができる。CU設計は、DPDアプリケーションのために、高品質なUL-ROFチャネルと高品質なフィードバックROFチャネルを提供する。シンプルな等化アルゴリズムを実装できる。また、TDDシステムではROFリンクを追加する必要がなく、適応的なROF配備のためのオンライン較正も必要ではない。
【0030】
CUの例示的な実装形態では、CUは、アップリンク光信号から導出されたアップリンクデジタル信号に決定指向性最小平均二乗法(DD-LMS)アルゴリズムを適用して、ブラインド線形デジタルチャネルイコライザの等化係数を決定する。
【0031】
このようなCUは、DD-LMSのようなシンプルな等化アルゴリズムを実装することができ、ハードウェア(および/またはソフトウェア)の複雑性を軽減する。
【0032】
CUの例示的な実装形態では、CUは、UL-ROFによって導入された非線形歪みを特定するために、RRUとの制御チャネルを介してRRUで生成されたアップリンク光信号の利得を変化させる。これにより、非線形歪みを制御し、最小限に抑えることができるという利点がある。
【0033】
CUの例示的な実装形態では、CUは、アップリンク光信号の利得変化に基づいてUL-ROFの振幅対振幅変調(AM-AM)応答を識別する。これにより、AM-AM応答を制御および最適化できるという利点がある。
【0034】
CUの例示的な実装形態では、CUは、無記憶非線形系としての近似、特にN-Lモデルまたはハマースタインモデルによる近似に基づいて、UL-ROFによって導入された非線形歪みを識別する。
【0035】
これにより、非線形歪みを記述するための効率的なモデルを適用し、そのモデルによってMIMOシステムを最適化することができるという利点がある。
【0036】
CUの例示的な実装形態では、CUは、以下の関係に基づいて、前記ブラインド線形デジタルチャネルイコライザを調整する:
u_BB=h_(UL,CU)*Φ_(UL,ROF) (g r_BB )+n_BB
ここで、u_BBは、前記アップリンク光信号のデジタルベースバンド表現を示し、h_(UL,CU)は、前記CUで導入された線形歪みを示し、Φ_(UL,ROF)は、前記UL-ROFで導入された非線形歪みを示し、gは前記RRUで生成される前記アップリンク光信号の利得を示し、r_BBは前記アップリンク光信号の生成に使用される前記RRUにおけるBPSK波形のデジタルベースバンド表現を示し、n_BBは歪み信号を示す。
【0037】
これにより、このようなブラインド等化の調整が容易に実施されることになり、収束が早く、良好なトラッキング性能が得られるという利点がある。
【0038】
CUの例示的な実装形態では、CUは、時分割複信(TDD)モードで動作し、ここで、TDDモードのダウンリンク(DL)位相をDL-ROFを介してDL光信号の伝送に使用し、TDDモードのアップリンク(UL)位相をUL-ROFを介してUL光信号の受信に使用し、DL/ULまたはUL/DL切替間隔をトレーニングおよび/または較正に使用する。
【0039】
これにより、TDDモードの様々な位相によりCUの様々なタスクを実現できるため、設計がコンパクトで効率的になるという利点がある。
【0040】
CUの例示的な実装形態では、CUは、DL-ROFを介してキャリア周波数fcの局部発振器(LO)信号をRRUに送信する。
【0041】
これにより、RRUはCUでのキャリア周波数に関する情報を得ることができ、BPSK変調器を最適に調整することができるという利点がある。
【0042】
第3の態様によると、本発明は、上述の第2の態様による中央ユニット(CU)と、シングルモードファイバ(SMF)によってCUに連結された上述の第1の態様による遠隔無線ユニット(RRU)とを備える、多入力多出力(MIMO)システムに関する。
【0043】
このようなMIMOシステムは、コンパクトで低コストのRRUとCU設計によって効率的に実装することができ、同じ刺激信号をマルチ/マッシブMIMOケースに再利用することができる。MIMOシステムは、DPDアプリケーションのために、高品質なUL-ROFチャネルと高品質なフィードバックROFチャネルを提供する。シンプルな等化アルゴリズムを実装できる。また、TDDシステムではROFリンクを追加する必要がなく、適応的なROF配備のためのオンライン較正も必要ではない。
【0044】
第4の態様によると、本発明は、中央ユニット(CU)から、ダウンリンクラジオオーバーファイバ(DL-ROF)を介してダウンリンク光信号を受信する段階と、ダウンリンク光信号から導出される局部発振器(LO)信号による二位相偏移キーイング(BPSK)波形のBPSK変調に基づいて、刺激信号を生成する段階と、光信号発生器、特にレーザによって、刺激信号に基づいたアップリンク光信号を生成して、アップリンクラジオオーバーファイバ(UL-ROF)を介してCUに送信する段階とを備える、遠隔無線ユニット(RRU)によってアップリンク光信号を生成する方法に関する。
【0045】
このような方法は、コンパクトで低コストのRRUとCU設計によって容易に実装することができ、同じ刺激信号をマルチ/マッシブMIMOケースに再利用することができる。この方法は、DPDアプリケーションのための高品質なUL-ROFチャネルと高品質なフィードバックROFチャネルを提供する。
【0046】
第5の態様によると、本発明は、光信号発生器、特にレーザによって、ダウンリンクラジオオーバーファイバ(DL-ROF)を介して無線遠隔ユニット(RRU)に送信するためのダウンリンクデジタル信号に基づいてダウンリンク光信号を生成する段階と、デジタルプリディストータ(DPD)により、DPDフィードバック信号に基づいて、ダウンリンクデジタル信号をデジタル的にプリディストートする段階と、ブラインド線形デジタルチャネルイコライザによって、RRUからアップリンクラジオオーバーファイバ(UL-ROF)を介して受信されたアップリンク光信号に基づいて、DPDフィードバック信号を提供する段階とを備える、中央ユニット(CU)によってダウンリンク光信号を生成する方法に関する。
【0047】
このような方法は、コンパクトで低コストのCUとRRU設計で容易に実装でき、同じ刺激信号をマルチ/マッシブMIMOケースに再利用することができる。この方法は、DPDアプリケーションのための高品質なUL-ROFチャネルと高品質なフィードバックROFチャネルを提供する。シンプルな等化アルゴリズムを実装できる。
【0048】
第6の態様によると、本発明は、実行されると、少なくとも1つのコンピュータに第4または第5の態様による方法を実行させるコンピュータ実行可能コードまたはコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラム製品に関する。このようなコンピュータプログラム製品は、プロセッサで使用するためのプログラムコードをその上に格納した非一時的な読み取り可能な記憶媒体を含んでよく、ここで、プログラムコードは、以下に説明する方法またはコンピューティングブロックを実行するための命令を備える。
【図面の簡単な説明】
【0049】
本発明のさらなる実施形態が、以下の図に関して説明される。
【0050】
図1】ラジオオーバーファイバ(ROF)チャネルシステム100の歪みを示すブロック図である。
【0051】
図2】フィードバックチャネルの歪みによるDPDアルゴリズム劣化を含む、デジタルプリディストーション(DPD)システム200のブロック図である。
【0052】
図3】トレーニングシーケンスに基づくポストディストーションを適用する遠隔無線ユニット(RRU)300のブロック図である。
【0053】
図4】本開示によるBPSK支援型ポストディストーションを適用する中央ユニット(CU)410と無線遠隔ユニット(RRU)420を備えたMIMOシステム400のブロック図である。
【0054】
図5】本開示によるBPSK補助ブラインド等化を適用するように構成された遠隔無線ユニット(RRU)500のブロック図である。
【0055】
図6】本開示によるBPSK補助ブラインド等化を適用するように構成された中央ユニット(CU)600のブロック図である。
【0056】
図7】AM-AMの無記憶非線形効果を示す性能図700である。
【0057】
図8】不等化ROF伝送のための複素平面上の記号図800である。
【0058】
図9】本開示によるBPSK補助等化を用いて等化されたROF伝送の複素平面における記号図900である。
【0059】
図10】本開示によるTDD動作およびROFチャネル較正を示すTDDシステム1000の概略図である。
【0060】
図11】本開示による遠隔無線ユニット(RRU)によるアップリンク光信号の生成方法を示す概略図である。
【0061】
図12】本開示による中央ユニット(CU)によるダウンリンク光信号の生成方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下の詳細な説明では、その一部を構成する添付図面を参照し、本開示を実施してよい具体的態様を例示として示す。他の態様が利用されてよく、本開示の範囲を逸脱することなく、構造的または論理的変更がなされてよいことが理解される。以下の詳細な説明は、従って、限定する意味でとらえられるべきものではなく、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定される。
【0063】
記述された方法に関連して述べられたコメントは、その方法を実行するように構成された対応するデバイスまたはシステムにも当てはまる可能性があり、その逆もまた同様であることが理解される。例えば、特定の方法の段階が説明される場合、対応するデバイスが、説明された方法の段階を実行するユニットを、そのようなユニットが明示的に説明されていないまたは図に示されていない場合でも、含んでよい。さらに、本明細書に説明される様々な例示的な態様の特徴は、特に断りのない限り、互いに組み合わされてよいことが理解される。
【0064】
本明細書に記載されている方法、デバイス、およびシステムは、特に、遠隔無線ユニットおよび中央ユニットを使用するラジオオーバーファイバ(ROF)無線通信において実施してよい。
【0065】
ラジオオーバーファイバ(ROF)とは、光を無線周波信号で変調し、光ファイバリンクで伝送する技術のこと。光ファイバリンクを使用する主な技術的利点は、全電気信号伝送に比べて伝送損失が少なく、ノイズや電磁干渉に対する感度が低いことである。アプリケーションは、携帯電話の無線信号(例えば、3G、4G、5GおよびWiFiなど)の伝送、ケーブルテレビ信号の伝送、および衛星通信など多岐にわたる。
【0066】
無線通信の分野では、5GやWiFiなどの無線アクセスを同じアンテナから同時に促進することが一つの主なアプリケーションとなっている。つまり、無線信号を光ファイバケーブルで搬送する。従って、1本のアンテナは、1本のファイバケーブルで搬送されたありとあらゆる無線信号(5G、Wifi、セルなど)を中央となる場所で受信でき、その後、機器が信号を変換する。
【0067】
遠隔無線ユニット(RRU)は、無線ネットワークでは遠隔無線ヘッド(RRH)とも呼ばれ、電気または無線インターフェースを介してオペレータの無線コントロールパネルに接続する遠隔無線トランシーバである。
【0068】
GSM(登録商標)、CDMA、UMTS、LTE、5Gなどの無線システム技術では、無線機器はBTS/NodeB/eNodeB/gNodeB(中央ユニットとも呼ばれる)に遠隔で設置される。この機器は、農村地域やトンネルなどの厳しい環境下で、BTS/NodeB/eNodeB/gNodeBのカバレッジを拡張するために使用される。一般的には、共通の公衆無線インターフェースプロトコルを用いて、光ファイバケーブルを介してBTS/NodeB/eNodeB/gNodeBに接続されている。
【0069】
RRUは、現在の新しい分散型基地局の最も重要なサブシステムの1つとなった。RRUには、基地局のRF回路に加え、アナログ-デジタル/デジタル-アナログ変換器、およびアップ/ダウン変換器が搭載されている。また、RRUは、運用管理処理機能や、基地局の他の部分と接続するための標準化された光インターフェースも備えている。遠隔無線ユニットは、MIMO動作をより容易にし、基地局の効率を高め、ギャップカバレッジ問題のための物理的位置づけをより容易にする。
【0070】
本明細書に記載されている方法、デバイスおよびシステムは、特にPRBSおよびBPSK発生器を利用してよい。
【0071】
擬似ランダム2進シーケンス(PRBS)とは、決定論的なアルゴリズムで生成されるものの、予測が困難で、真にランダムなシーケンスと同様の統計的挙動を示す2進シーケンスのことである。擬似ランダム2進シーケンスは、線形フィードバックシフトレジスタを用いて生成することができる。
【0072】
BPSK(二位相偏移キーイング)は、位相シフトキーイング(PSK)の最も単純な形態である。180°離れた2つの位相を使用しているため、2-PSKとも呼ばれてよい。コンスタレーションポイントが正確に配置されている位置は特に重要ではない。そのため、復調器が誤った判断をする前に、最も高いノイズレベルや歪みを処理することができる。そのため、すべてのPSKの中で最も堅牢であると言える。
【0073】
説明されたデバイスは、集積回路および/または受動素子を含み、様々な技術に従って製造される可能性がある。例えば、回路は、論理集積回路、アナログ集積回路、ミックスドシグナル集積回路、光回路、メモリ回路、および/または集積受動素子として設計してよい。
【0074】
本明細書に記載されているデバイスおよびシステムは、プロセッサまたは処理デバイス、メモリおよびトランシーバ、すなわち送信機および/または受信機を含んでよい。以下の説明では、「プロセッサ」または「処理デバイス」という用語は、特定のタスク(またはブロックや段階)を処理するために利用できるあらゆるデバイスを表している。プロセッサまたは処理デバイスは、単一のプロセッサまたはマルチコアプロセッサであるか、プロセッサのセットを含むか、または処理のための手段を含むことができる。プロセッサや処理デバイスは、ソフトウェアやファームウェア、またはアプリケーションなどを処理することができる。
【0075】
図4は、本開示によるBPSK支援型ポストディストーションを適用する中央ユニット(CU)410と無線遠隔ユニット(RRU)420を備えたMIMOシステム400のブロック図である。
【0076】
このような多入力多出力(MIMO)システム400は、中央ユニット410と、シングルモードファイバ(SMF)によってCUに連結される遠隔無線ユニット(RRU)420とを備える。
【0077】
RRU420は、刺激信号325を生成するために、局部発振器(LO)信号426によってBPSK波形423を変調するように構成されている、二位相偏移キーイング(BPSK)変調器422を備える。LO信号426は、中央ユニットであるCU410から、ダウンリンクラジオオーバーファイバ、DL-ROF401を介して受信したダウンリンク光信号313(例えば、図3に示すようなもの)から得られる。RRU420は、光信号発生器312、例えば、レーザ(またはフォトダイオード)をさらに備え、この光信号発生器312は、CU410に、アップリンクラジオオーバーファイバ、UL-ROF402を介して送信するために、刺激信号325に基づいてアップリンク光信号314(例えば、図3に示すように)を生成するように構成されている。
【0078】
アップリンク光信号314の電力は、制御チャネル(図4において、CU410とRRU420との間の破線で表される)を介してCU410によって制御されてもよい。
【0079】
RRU420は、ダウンリンク光信号313からLO信号426を取得するように構成されたバンドパスフィルタ、BPF(例えば、図5に示すようなBPF503)を備えてもよい。ダウンリンク光信号313は、キャリア周波数fcのLO信号426と、キャリア周波数fcの高調波を搬送してもよい。BPF503の通過帯域の周波数範囲には、キャリア周波数fcが含まれていてもよい。
【0080】
RRU420は、BPSK波形423を生成するように構成された擬似ランダム2進シーケンス(PRBS)発生器421またはホワイトノイズ発生器をさらに含んでもよい。
【0081】
RRU420は、例えば、図10に図示されるように、時分割複信(TDD)モードで動作してもよい。特に、TDDモードのダウンリンク(DL)位相は、DL-ROF401を介したDL光信号313の受信のために使用され、TDDモードのアップリンク(UL)位相は、UL-ROF402を介したUL光信号314の送信のために使用され、DL/ULまたはUL/DL切替間隔は、例えば、図10に関して後述するように、トレーニングおよび/または較正のために使用されてもよい。CU410は、ダウンリンクラジオオーバーファイバ、DL-ROF401を介してRRU420に送信するためのダウンリンクデジタル信号416に基づいて、ダウンリンク光信号、例えば、図6に示すような信号610を生成するように構成された光信号発生器414、例えばレーザ(またはフォトダイオード)を備える。CU410は、DPDフィードバック信号419に基づいて、ダウンリンクデジタル信号416をデジタル的にプリディストーションするように構成されたデジタルプリディストータDPD412をさらに含む。CU410は、RRU420からアップリンクラジオオーバーファイバ、UL-ROF402を介して受信したアップリンク光信号、例えば、図6に示す信号611に基づいて、DPDフィードバック信号419を提供するように構成されたブラインド線形デジタルチャネルイコライザ417をさらに含む。
【0082】
CU410は、アップリンク光信号611から導出されたアップリンクデジタル信号に、決定指向性最小平均二乗法(DD-LMS)アルゴリズムを適用して、ブラインド線形デジタルチャネルイコライザ417の等化係数を決定するように構成されてもよい。
【0083】
CU410は、UL-ROF402によって導入された非線形歪みを特定するために、RRU420との制御チャネルを介してRRU420で生成されたアップリンク光信号611の利得を変化させるように構成されてもよい。CU410は、アップリンク光信号611の利得変動に基づいて、UL-ROF402の振幅対振幅変調(AM-AM)応答(例えば、図6に示すAM-AM補償器609によって決定される)を識別するように構成されてもよい。
【0084】
CU410は、無記憶非線形系としての近似、特にN-Lモデルまたはハマースタインモデルによる近似に基づいて、UL-ROF402によって導入された非線形歪みを識別するように構成されてもよい。ハマースタインモデルは、Adolf Hammersteinにちなんで名付けられた、非線形力学系の特殊なモデル形式です。特徴的なのは、線形時不変の動的システムの前に、静的な非線形性を直列に接続した構造です。ハマースタインモデルは、シングルサイズとマルチサイズの両方のシステムで定義されている。
【0085】
なお、CU410は、以下の関係に基づいて、ブラインド線形デジタルチャネルイコライザ417を調整するように構成されていてもよい:
u_BB=h_(UL,CU)*Φ_(UL,ROF) (g r_BB )+n_BB
ここで、u_BBは、アップリンク光信号611のデジタルベースバンド表現を示し、h_(UL,CU)は、CU410で導入された線形歪みを示し、Φ_(UL,ROF)は、UL-ROF402で導入された非線形歪みを示し、gはRRU420で生成されるアップリンク光信号611の利得を示し、r_BBはアップリンク光信号611の生成に使用されるRRU420におけるBPSK波形のデジタルベースバンド表現を示し、n_BBは歪み信号を示す。
【0086】
CU410は、例えば図10に示されているように、時分割複信(TDD)モードで動作させてよい。特に、TDDモードのダウンリンク(DL)位相をDL-ROFによるDL光信号の送信に使用し、TDDモードのアップリンク(UL)位相をUL-ROFによるUL光信号の受信に使用し、DL/ULまたはUL/DL切替間隔を、例えば図10に関して後述するように、トレーニングおよび/または較正に使用してよい。
【0087】
なお、CU410は、DL-ROF401を介してキャリア周波数fcの局部発振器(LO)信号をRRU420に送信するように構成されていてもよい。
【0088】
図4に示したMIMOシステム400は、受信側で刺激系列の知識がないことを前提とした単純な刺激信号生成を採用することで、非常にコンパクトな無線遠隔ユニット(RRU)設計で実装することができる。このようなシナリオでは、ブラインド等化が実行され、次のようなシステム設計、すなわちBPSK支援型ポストディストーションが、RRU側でランダムに生成された2進シーケンスで変調されたキャリア信号(LO)に適用される。アップリンクROF(DML)に入力されるRF信号の電力は、CUによって制御される。
【0089】
MIMOシステム400の設計は、以下の特徴により特徴付けることができる:
(1)CU410は、DL-ROF401を介して、キャリア周波数fcのLO信号を送信する。
(2)このLO信号を受信したRRU420側は、BPF(バンドパスフィルタ)を行ってLO信号を取り出した後、BPSK(二位相偏移キーイング)変調器422に供給する;一方、ランダム2進シーケンス(PRBS;擬似ランダム2進シーケンス)発生器421またはホワイトノイズ発生器によって生成されたBPSK波形423は、BPSK変調器422に送信される;変調されたBPSK RF信号は、中央ユニット(CU)410によって利得gが制御されたUL-ROF 402(フィードバックチャネル)に送信される;
(3)CU410側で、受信したベースバンド信号に、例えば決定論的最小平均二乗法(DD-LMS)アルゴリズムなどのブラインド線形チャネル等化417を適用して、アップリンク線形歪みを特定し、RRU420側で利得gを変化させて、UL-ROFの無記憶非線形歪みに対応する振幅対振幅変調(AM-AM)関数を求める。
(4)CU410側では、DPDフィードバック信号またはアップリンク信号に対して、線形歪み補償や非線形歪み補償を適用する。
【0090】
図5は、本開示によるBPSK補助ブラインド等化を適用するように構成された遠隔無線ユニット(RRU)500のブロック図である。RRU500は、図4に関して上述したRRU420の実装を表している。
【0091】
SMFから受信した光信号313は、すなわち、図4に関して上述したDL-ROF401を介して、ポストディストーションモジュール(PD)301および電力増幅器(PA)302を通過する。PD301の後(PAの後も同様)、受信信号は、キャリア周波数成分と複数の高調波で表現されることができる。PA302の後の受信信号は、第1サブ分岐を経由して変調器スイッチ306に転送され、第2サブ分岐を経由してバンドパスフィルタ(BPF)503に転送され、BPSK変調器422に転送されるフィードバック信号x(t)526を提供する減衰器303を備えた第1分岐に分岐する。PA302の後の受信信号は、アンテナスイッチ304で第2分岐に分岐し、ここでアンテナ305に切り替えられ、アップリンク信号323として変調器スイッチ306に切り替えられる。BPSK変調器422には、BPSK発生器501で生成された変調波形423が供給される。BPF503は、受信光信号313の複数の高調波からキャリア周波数成分を除去するように構成されている。このキャリア周波数成分は、BPSK変調器422を制御する。変調器スイッチ306の後、生成された出力信号は、出力信号の利得gを制御する可変利得増幅器(VGA)310に渡される。制御チャネル(図5に描写されない)を介して、CU410が利得を制御311することができる。増幅された出力信号は、図4に示すように、UL/FB-ROF402を介して送信するためにSMF403に供給される光信号314を生成する光発生器312、すなわち直接変調されたレーザ312を励起するために使用される。
【0092】
図5に描写されたRRU500では、CU410からDL-ROF401を経由して、CU実装600を説明する図6のxRF,DL(t)で示されるLO信号が送信される。
【0093】
受信信号yDL,RRU(t)313(DL-ROF401の出力)またはy'DL, RRU(t)(PA出力)は、DL-ROF401とPA302の非線形効果を考慮して、実際にはLO信号とその高調波である。このRF信号は、次にBPSK変調器422に供給され、キャリア周波数fc用のBPF503(バンドパスフィルタ)を用いて高調波をフィルタリングした後、CUのLOを完全に復元することができる。LOとその高調波は周波数領域で、例えば、3.5GHzと離れているため、BPF503の設計は容易である。CU転送されたLO信号を使用する利点は、キャリア周波数オフセット(CFO)を効果的に取り除くことができる。線形または非線形歪みも全て軽減される。
【0094】
RRU側500では、BPSKシーケンスまたはベースバンド波形発生器501が設置されており、生成されたシーケンス423は必ずしもCU410に知られていない。このBPSK信号発生器501は、PRBS(擬似ランダム2進シーケンス)発生器であっても、フィルタリングされたホワイトノイズ発生器であってもよい。興味深いことは、ランダム2進シーケンス発生器501、BPSK変調器422、およびフィルタが、例えば、標準的な集積回路を使用することによって、安価でコンパクトなユニット(ハードウェア回路)として実装できるため、RRU設計500が簡素化されていることである。
【0095】
rRF(t)で示される変調されたRF信号は、CU410が低レートのデジタル制御によって制御する利得gによって増幅される。
【0096】
図6は、本開示によるBPSK補助ブラインド等化を適用するように構成された中央ユニット(CU)600のブロック図である。CU600は、図4に関して上述したCU410の実装を表している。それは、図5に関して上述したRRU設計500と組み合わせて、図4に示すようなMIMOシステムにすることができる。
【0097】
CU設計600では、デジタル入力信号416がデジタルプリディストーション(DPD)ユニット412に渡される。DPD412の出力は、デジタル‐アナログ変換器(DAC)413およびアップコンバータ603を通過した後、直接変調されたレーザ(DML)414(すなわち光信号発生器)を励起し、SMFへの光信号610を生成する。受信経路では、光信号611はSMF403(図4参照)から受信され、ポストディストーション(PD)ユニット414、ダウンコンバータ(D/C)606、アナログ‐デジタル変換器(ADC)416を通過し、そこでデジタル受信信号uBB(n)に変換される。このデジタル受信信号uBB(n)は、例えばDD-LMSトレーニングアルゴリズムを用いたブラインドチャネル補償器417に入力される。AM-AM補償ブロック609の後、補償されたデジタル信号419は、DPD412を制御するために使用される。
【0098】
CU側600では、決定論的最小平均二乗法(DD-LMS)アルゴリズムのようなブラインドチャネル等化を実行して、線形等化器の係数を求める。そして、rRF(t)325(図5参照)に適用する利得を変化させ、非線形歪みを識別する。この処理を次のように詳しく説明できる:
【0099】
フィードバックシステムは次のようにモデル化できる:
【数2】
ここで、h_(UL,CU) (t)は、CU410、600(LNA、ミキサー、LPF、ADCなど)で導入された線形歪みを示し、Φ_(UL,ROF) (・)は、UL-ROF402で導入された非線形歪みを示す。なお、BPSK変調器422は、従来のアップコンバージョン方式に比べて(RF信号に対する)線形歪みをより少なく示すため、RRU側420での線形歪みを省略することができる。「E. E. Bergamann, "Dispersion-Induced Compmosite Second-Order Distortion at 1.5um," IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETTER VOL 3 NO1, 1991」に参照して、Φ_(UL,ROF) (・)は無記憶非線形系として近似できることに基づいて、Φ_(UL,ROF) (・)は図7に示すようなAM-AMモデル700(複素ベースバンド信号の絶対値に相当)を用いる記述することができ、従ってフィードバックROFチャネルがN-Lモデルやハマースタインモデルで近似できる。
【0100】
図7は、AM-AMの無記憶非線形効果を示す性能図700である。グラフ702は、(グラフ701で描写された)線形系に近似できる非線形系を表している。入力値が0~0.5の間である場合は良好な近似値が得られる一方、0.5~1の間である場合はまだ許容範囲内の近似値が得られる。従って、非線形系は無記憶と近似することができる。
【0101】
図8は、不等化ROF伝送のための複素平面における記号図800を示し、図9は、本開示によるBPSK補助等化を用いた等化ROF伝送のための複素平面における記号図900を示す。
【0102】
電力(振幅)が一定のBPSK波形を使用した場合、h_(UL,CU)は補償されるので、ROF非線形歪みΦ_(UL,ROF)は線形歪みの補償に影響を与えない:無記憶非線形歪み後のBPSK波形は、依然としてBPSK波形である。従って、従来のブラインド等化技術であるDD-LMSを用いて、制御チャネルを介してRRUでVGAの利得gを変化させることで、h_(UL,CU)を補償し、Φ_(UL,ROF)のAM-AM応答を識別することができる。較正は、Φ_(UL,ROF)の逆である。
【0103】
記号図800および900は、フィードバック信号の品質を効果的に改善できることを示している。図8および9は、20kmのROF伝送の例で、EVMが4.78%から2.41%に改善されている。
【0104】
図10は、本開示によるTDD動作およびROFチャネル較正を示すTDDシステム1000の概略図である。
【0105】
UL/DL-ROFの較正は、図10に示すように時分割複信(TDD)システム1000のために設計された。時間間隔1002、1012は、ダウンリンク信号輸送およびダウンリンクフィードバック信号輸送に使用され、一方、時間間隔1004、1014は、IDLE状態として使用され、アップリンク信号輸送に使用される、すなわち、通常のTDMシステムに従って使用される:
(1)ダウンリンク位相1002、1012では、ダウンリンク信号輸送にDL-ROFを使用する。
(2)アップリンク位相1004,1014においては、アップリンク信号輸送にUL-ROFを使用する。
(3)ダウンリンク較正(DL-ROFおよびRRU側のPAを含む)には、フィードバックチャネルとしてUL-ROFを使用する。
【0106】
本開示による新しいシステム設計では、DL/UL1003、1013またはUL/DL1001、1011の切替間隔を専用の較正に使用することができる:
(1)UL/DL切替間隔1001、1011の間、DL-ROFおよびUL-ROFは、開示されたBPSK補助等化法におけるLO信号をDL-ROFによってCU410からRRU420に送信することができるように、両方とも空いており、その後、開示されたブラインド等化を実行することができる;
(2)DL/UL切替間隔1003、1013の間に、ダウンリンク位相と同様のダウンリンク較正を実行することができる。
【0107】
較正手順は適応フィルタ方式で実行できるため、ポストディストーションは環境の急激な変化に追従することができ、従来のオフライントレーニング方法と比較して、このアプローチはオンライン較正により適している。
【0108】
図11は、本開示による遠隔無線ユニット(RRU)によって、例えば、図4および5に関して上述したようなRRUによって、アップリンク光信号を生成する方法を示す概略図である。
【0109】
方法1100は、ダウンリンクラジオオーバーファイバ(DL-ROF)を介して受信されたダウンリンク光信号を、中央ユニット(CU)、例えば、図4および6に関して上述したようなCUから、受信する段階1101を備える。
【0110】
方法1100は、局部発振器(LO)信号によるBPSK波形の二位相偏移キーイング(BPSK)変調に基づいて刺激信号1102を生成する段階を備え、LO信号は、例えば図4および5に関して上述したように、ダウンリンク光信号から導出される。
【0111】
方法1100は、光信号発生器、特にレーザによって、例えば図4および5に関して上述したように、アップリンクラジオオーバーファイバ(UL-ROF)を介してCUに送信するための刺激信号に基づくアップリンク光信号を生成する段階1103を備える。
【0112】
図12は、本開示による中央ユニット(CU)によって、例えば図4および6に関して上述したようなCUによって、ダウンリンク光信号を生成する方法を示す概略図である。
【0113】
方法1200は、光信号発生器、特にレーザによって、ダウンリンクラジオオーバーファイバ(DL-ROF)を介して無線遠隔ユニット(RRU)例えば図4および5に関して上述したRRUに送信するためのダウンリンクデジタル信号に基づくダウンリンク光信号を生成する段階1201を備える。
【0114】
方法1200は、例えば図4および6に関して上述したように、デジタルプリディストータ(DPD)フィードバック信号に基づいて、ダウンリンクデジタル信号を、DPDによって、デジタル的にデジタルプリディストートする段階1202を備える。 方法1200は、ブラインド線形デジタルチャネルイコライザによって、例えば図4および6に関して上述したように、RRUからアップリンクラジオオーバーファイバ(UL-ROF)を介して受信したアップリンク光信号に基づいて、DPDフィードバック信号を提供する段階1203を備える。
【0115】
また、本開示は、実行されると、少なくとも1つのコンピュータに、本明細書に記載された実行および計算段階、特に上述の方法および手順を実行させる、コンピュータ実行可能コードまたはコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラム製品をサポートする。このようなコンピュータプログラム製品は、コンピュータで使用するためのプログラムコードをその上に格納した読み取り可能な非一時的記憶媒体を含んでいてもよい。プログラムコードは、本明細書に記載されている処理および計算段階、特に上述の方法および手順を実行してよい。
【0116】
本開示の特定の特徴または態様は、いくつかの実装のうち1つのみに関して開示されている可能性があるが、そのような特徴または態様は、任意の所与のまたは特定のアプリケーションに対して所望かつ有利になるように、他の実装の1または複数の他の特徴または態様と組み合わせてよい。さらに、詳細な説明または特許請求の範囲のいずれかで、「含む」、「有する」、「伴う」、またはそれらの他の変形の用語が使用されている場合、これらの用語は、「備える」という用語と同様に包括的であることが意図されている。また、「例として」、「例えば」、「例示」という用語は、最善や最適ではなく、単に例示としての意味である。「連結」および「接続」という用語は、それらの派生語と共に用いられていてよい。これらの用語は、2つの要素が、物理的または電気的に直接接触しているか、または互いに直接接触していないかにかかわらず、互いに協働または相互作用することを示すために用いられている可能性があることが理解されるべきである。
【0117】
本明細書で具体的態様を図示して説明したが、本開示の範囲を逸脱することなく、図示および説明した具体的態様の代わりに、様々な代替および/または同等の実装を行うことができることは、当業者であれば理解できるであろう。本願は、本明細書において述べられた具体的態様のあらゆる適応形態または変形形態を包含することを意図している。
【0118】
以下の請求項に記載されている要素は、対応するラベルを付けて特定の順序で記載されているが、請求項の記載がそれらの要素の一部またはすべてを実施するための特定の順序を暗示するものでない限り、それらの要素は必ずしもその特定の順序で実施されることに限定されるものではない。
【0119】
多くの代替案、修正、および変形が、上記の教示に照らして当業者に明らかになるであろう。当業者であれば、本明細書において説明されたものの外にも本発明の多数のアプリケーションが存在することを容易に認識するのは当然である。本発明は、1または複数の特定の実施形態を参照して説明されてきたが、当業者であれば、多くの変更が、本発明の範囲から逸脱することなく行われ得ることを認識する。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内で、本明細書において具体的に説明された以外の態様で実施され得ることが理解されるべきである。

[他の考えられる項目]
[項目1]
遠隔無線ユニット(RRU)であって、
二位相偏移キーイング(BPSK)波形を局部発振器(LO)信号で変調して刺激信号を生成するように構成されており、前記LO信号は、中央ユニット(CU)からダウンリンクラジオオーバーファイバ(DL-ROF)を介して受信されたダウンリンク光信号から得られる、BPSK変調器と、
前記刺激信号に基づいてアップリンク光信号を生成するように構成された、特にレーザであって、前記CUへのアップリンクラジオオーバーファイバ(UL-ROF)を介した送信のための光信号発生器と
を備える、RRU。
[項目2]
前記アップリンク光信号の電力が、制御チャネルを介して前記CUによって制御される、
請求項1に記載のRRU。
[項目3]
前記ダウンリンク光信号から前記LO信号を取り出すように構成された、バンドパスフィルタ(BPF)
を備える、請求項1または2に記載のRRU。
[項目4]
前記ダウンリンク光信号は、キャリア周波数fcの前記LO信号および前記キャリア周波数fcの高調波を伝送する
請求項3に記載のRRU。
[項目5]
前記BPFの通過帯域の周波数範囲は、前記キャリア周波数fcを含む
請求項4に記載のRRU。
[項目6]
前記BPSK波形を生成するように構成された擬似ランダム2進シーケンス(PRBS)発生器またはホワイトノイズ発生器
を備える、請求項1から5の何れか一項に記載のRRU。
[項目7]
時分割複信(TDD)モードのダウンリンク(DL)位相が、DL-ROFを介した前記DL光信号の受信に使用され、
前記TDDモードのアップリンク(UL)位相が、UL-ROFを介した前記UL光信号の送信のために使用され、
トレーニングおよび/または較正のために、DL/ULまたはUL/DL切替間隔が使用される
前記TDDモードで動作する、請求項1から6の何れか一項に記載のRRU。
[項目8]
中央ユニット(CU)であって、
ダウンリンクラジオオーバーファイバ(DL-ROF)を介して無線遠隔ユニット(RRU)を伝送するためのダウンリンクデジタル信号に基づいてダウンリンク光信号を生成するように構成された、特にレーザである、光信号発生器と、
デジタルプリディストータ(DPD)フィードバック信号に基づいて、前記ダウンリンクデジタル信号をデジタル的にプリディストーションするように構成された、DPDと、
前記RRUからアップリンクラジオオーバーファイバ(UL-ROF)を介して受信されたアップリンク光信号に基づいて、前記DPDフィードバック信号を提供するように構成される、ブラインド線形デジタルチャネルイコライザと
を備える、CU。
[項目9]
前記アップリンク光信号から導出されたアップリンクデジタル信号に、決定指向性最小平均二乗法(DD-LMS)アルゴリズムを適用して、前記ブラインド線形デジタルチャネルイコライザの等化係数を決定する
請求項8に記載のCU。
[項目10]
前記UL-ROFによって導入された非線形歪みを特定するために、前記RRUとの制御チャネルを介して前記RRUで生成された前記アップリンク光信号の利得を変化させる
請求項8または9に記載のCU。
[項目11]
前記アップリンク光信号の前記利得の変化に基づいて前記UL-ROFの振幅対振幅変調(AM-AM)応答を識別する
請求項10に記載のCU。
[項目12]
無記憶非線形系としての近似、特にN-Lモデルまたはハマースタインモデルによる近似に基づいて、前記UL-ROFによって導入された非線形歪みを識別する
請求項10または11に記載のCU。
[項目13]
以下の関係に基づいて、前記ブラインド線形デジタルチャネルイコライザを調整する:
u_BB=h_(UL,CU)*Φ_(UL,ROF) (g r_BB )+n_BB
ここで、u_BBは、前記アップリンク光信号のデジタルベースバンド表現を示し、h_(UL,CU)は、前記CUで導入された線形歪みを示し、Φ_(UL,ROF)は、前記UL-ROFで導入された非線形歪みを示し、gは前記RRUで生成される前記アップリンク光信号の利得を示し、r_BBは前記アップリンク光信号の生成に使用される前記RRUにおけるBPSK波形のデジタルベースバンド表現を示し、n_BBは歪み信号を示す
請求項8から12の何れか一項に記載のCU。
[項目14]
時分割複信(TDD)モードのダウンリンク(DL)位相をDL-ROFによる前記DL光信号の伝送に使用し、
前記TDDモードのアップリンク(UL)位相をUL-ROFによる前記UL光信号の受信に使用し、
DL/ULまたはUL/DL切替間隔をトレーニングおよび/または較正に使用する
前記TDDモードで動作する、請求項8から13の何れか一項に記載のCU。
[項目15]
前記RRUに前記DL-ROFを介してキャリア周波数fcの局部発振器(LO)信号を送信する
請求項8から14の何れか一項に記載のCU。
[項目16]
多入力多出力(MIMO)システムであって、
請求項8から15の何れか一項に記載の中央ユニット(CU)と、
シングルモードファイバ(SMF)で前記CUに連結される、請求項1から7の何れか一項に記載のRRU(遠隔無線ユニット)と
を備える、MIMOシステム。
[項目17]
方法であって、
中央ユニット(CU)から、ダウンリンクラジオオーバーファイバ(DL-ROF)を介してダウンリンク光信号を受信する、受信する段階と、
前記ダウンリンク光信号から導出される局部発振器(LO)信号による二位相偏移キーイング(BPSK)波形のBPSK変調に基づいて、刺激信号を生成する段階と、
光信号発生器、特にレーザによって、前記刺激信号に基づいたアップリンク光信号を生成して、アップリンクラジオオーバーファイバ(UL-ROF)を介して前記CUに送信する段階と
を備える、遠隔無線ユニット(RRU)によってアップリンク光信号を生成する、方法。
[項目18]
方法であって、
光信号発生器、特にレーザによって、ダウンリンクラジオオーバーファイバ(DL-ROF)を介して無線遠隔ユニット(RRU)に送信するためのダウンリンクデジタル信号に基づいてダウンリンク光信号を生成する段階と、
デジタルプリディストータ(DPD)により、DPDフィードバック信号に基づいて、前記ダウンリンクデジタル信号をデジタル的にプリディストートする段階と、
ブラインド線形デジタルチャネルイコライザによって、前記RRUからアップリンクラジオオーバーファイバ(UL-ROF)を介して受信されたアップリンク光信号に基づいて、前記DPDフィードバック信号を提供する段階と
を備える、中央ユニット(CU)によってダウンリンク光信号を生成する、方法。
図1
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【国際調査報告】