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特表2022-505467ポリエステル泡制御剤および食材を加工する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】ポリエステル泡制御剤および食材を加工する方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 29/00 20160101AFI20220106BHJP
   A23L 19/00 20160101ALI20220106BHJP
   A23L 19/12 20160101ALI20220106BHJP
   B01D 19/04 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
A23L29/00
A23L19/00 A
A23L19/00 Z
A23L19/12 A
B01D19/04 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521510
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(85)【翻訳文提出日】2021-04-20
(86)【国際出願番号】 US2019062159
(87)【国際公開番号】W WO2020106690
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】62/770,521
(32)【優先日】2018-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】カオ、ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ティアンラン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シュエ
【テーマコード(参考)】
4B016
4B035
4D011
【Fターム(参考)】
4B016LG01
4B016LG05
4B016LG06
4B016LK02
4B016LP03
4B016LP13
4B035LC16
4B035LG04
4B035LG07
4B035LG17
4B035LP41
4D011CB04
(57)【要約】
ポリオール、およびジカルボン酸もしくはトリカルボン酸またはそれらの無水物もしくは塩を使用して形成されるものなどのポリエステルは、食品加工において泡制御剤として使用される。ポリエステルは、依然として優れた泡制御能力を提供しながら、生分解性かつ生体適合性である。加えて、本開示のポリエステル泡制御剤は、さもなければ装置の機能に影響を与えるフィルムの形成を回避しながら、様々な装置で使用することができる。ポリエステルは、野菜(例えば、ジャガイモおよびテンサイ)ならびに果物の工業的加工中の様々な段階で使用することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材の加工中に泡を制御するための方法であって、
食材、および式Iの2つ以上の反復単位を含むポリエステルを含む組成物を形成することであって、
【化1】
式中、Rが、-(CH-または
【化2】
が、
【化3】
であり、式中、Rが、エステル基(複数可)、ヒドロキシル基(複数可)、式Iの反復単位(複数可)に対応する基、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み、xおよびzが独立して、1~8の範囲内の整数であり、R11が、-H、-OHであるか、または式Iの1つ以上の反復単位を含み、R12が、-C(O)OH、無水物、もしくはその塩であるか、または式Iの1つ以上の反復単位を含み、nおよびmが独立して、1~6の範囲内の整数である、形成することと、
前記組成物を加工することと、を含む、方法。
【請求項2】
が独立して、-H、-OH、-O(CO)R、-(CHRCHからなる群から選択され、Rが、水素、アルキル、エステルのうちの1つ以上を含む基、またはヒドロキシル基(複数可)、および式Iの反復単位(複数可)に対応する基から選択され、Rが、H、OH、および式Iの反復単位(複数可)に対応する基から選択され、yが、1~8の範囲内の整数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
が、-O(CO)R(CO)ORであり、Rが、1つ以上のヒドロキシル基(複数可)を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
が、1つ以上のヒドロキシル基、および6個以上の炭素原子を有する1つ以上のヒドロカルビル基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
が、Rのうちの2つ以上を含み、Rが独立して、i)-OH、ii)R10(式中、R10が、O(CO)(CHCHであり、wが独立して、1または2であり、yが、6~20の範囲内の整数、または8~18の範囲内の整数である)、およびiii)式Iの反復単位(複数可)に対応する基から選択される、請求項1または4に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリエステルが、以下の式を有し、
【化4】
式中、Rおよびzが、本明細書に記載の意味を有し、Rが、1つ以上のカルボキシレート基を含む基、もしくはその塩、1つ以上のヒドロキシル基、ヒドロカルビル基、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
xが、1~6の範囲内の整数または2~5の範囲内の整数である、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
zが、2~8の範囲内の整数または3~7の範囲内の整数である、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
xが、1、2、3、または4であり、zが、4、5、6、または7である、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記ポリエステルが、nである式Iの反復単位の数を有し、前記nが、2~20の範囲内の整数、3~15の範囲内の整数、4~12の範囲内の整数、または5~10の範囲内の整数である、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記ポリエステルが、500~50,000g/molの範囲内、750~10,000g/molの範囲内、または1000~4,000g/molの範囲内の重量平均分子量を有する、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
食材の加工中に泡を制御するための方法であって、
食材およびポリエステルを含む組成物を形成することであって、前記ポリエステルが、
(i)3個以上の炭素原子および2つ以上のヒドロキシル基を含むポリオール、ならびに
(ii)少なくとも4個の炭素原子を有する、二酸もしくは三酸、またはその無水物もしくは塩を含む反応物から形成される、形成することと、
前記組成物を加工することと、を含む、方法。
【請求項13】
前記ポリオールが、3~8の範囲内または3~6の範囲内の炭素原子の数を有し、前記二酸、三酸、またはその無水物もしくは塩が、4~10の範囲内または6~8の範囲内の炭素原子の総数を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリオールが、ジオール、トリオール、テトラオール、ペントール、ヘキソール、またはそれらの組み合わせである、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリオール、および前記二酸、三酸、またはその無水物もしくは塩がそれぞれ、3:1~1:3の範囲内、2:1~1:2の範囲内、3:2~2:3の範囲内、または4:3~3:4の範囲内のモル比である、請求項12~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
(a)前記ポリオール、および前記二酸、三酸、または無水物もしくは塩、あるいは(b)ポリオール、二酸、三酸、および単官能性脂肪酸が、前記反応物の90%以上(モル)、前記反応物の95%以上(モル)、または前記反応物の99%以上(モル)の量で前記組成物中に存在する、請求項12~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記ポリオールが、グリセロール、エリスリトール、スレイトール、アラビトール、リビトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、アリトール、ズルシトール、ガラクチトール、およびイジトールからなる群から選択される、請求項12~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
(ii)が、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、およびスベリン酸、ならびにそれらの無水物および塩からなる群から選択される、二酸またはその無水物もしくはその塩を含む、請求項12~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記ポリエステルが、6個以上の炭素原子を有する単官能性脂肪酸または6個以上の炭素原子を有する単官能性脂肪アルコールをさらに含む反応物から形成される、請求項12~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記単官能性脂肪酸が、カプリル酸(オクタン酸)、カプリン酸(デカン酸)、ラウリン酸(ドデカン酸)、ミリスチン酸(テトラデカン酸)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)、アラキジン酸(エイコサン酸)、ベヘン酸()、ならびにリグノセリン酸(テトラコサン酸)、ミリストレイン酸(C14不飽和酸)、パルミトレイン酸およびサピエン酸(C16不飽和酸)、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、およびリノレン酸(C18不飽和酸)、アラキドン酸およびエイコサペンタエン酸(C20不飽和酸)、ならびにエルカ酸(C22不飽和酸)からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ポリエステルが、(a)~(c):(a)リパーゼ、(b)40~120℃の範囲内の反応温度、(c)1時間~96時間の範囲内の反応時間のうちのいずれか1つ以上を使用して形成される、請求項12~20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記(a)リパーゼが、CALBリパーゼであり、(b)前記反応温度が、70~90℃の範囲内であり、(c)前記反応時間が、4時間~24時間の範囲内である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ポリエステルが、0.01~5%(重量)の範囲内の量で前記組成物中に存在する、請求項1~22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記ポリエステルが、0.1~1%(重量)の範囲内の量で前記組成物中に存在する、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記組成物が、前記食材に由来しない少なくとも20%(重量)の量の水を含む、請求項1~24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
加工後に前記組成物から水およびポリエステルを除去することを含む、請求項1~25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
加工後に前記組成物から少なくとも90%(重量)の水を除去することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記食材が、野菜、果物、または植物である、請求項1~27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記食材が、エンドウ豆、トウモロコシ、ジャガイモ、豆、米、小麦、キャッサバ、豆、サツマイモ、ヤムイモ、ソルガム、オオバコ、テンサイ、ヒヨコ豆、ダイズ豆、アルファルファモヤシ、シロインゲン豆(navy bean)、ハリコットインゲン豆(haricot bean)、およびキドニーインゲン豆(kidney bean)からなる群から選択される野菜であるか、またはそれらに由来する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
加工が、前記食材を洗浄することを含む、請求項1~29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記食材が、加工前に元の未加工のサイズを有し、加工が、前記食材の前記元のサイズを、前記元のサイズの1%以上の食材部分のサイズ、または0.1グラム以上の部分のサイズに低減する機械的動作を含む、請求項1~30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記食材が、加工前に元の未加工のサイズを有し、加工が、前記食材の前記元のサイズを、前記元のサイズの1%以上、または前記元のサイズの50%以上の最大サイズの食材部分を含む食材部分のサイズに低減する機械的動作を含む、請求項1~31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
加工が、以下の切断、みじん切り、すりおろし、スライス、皮むき、千切り、ミンチ、角切り、拡散、および細断からなる群から選択される動作のうちの1つ以上を含む、請求項1~32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記食材が、加工前に元の未加工のサイズを有し、加工が、前記食材の前記元のサイズを、前記元のサイズの1%以下の食材部分のサイズ、または0.5グラム未満の部分のサイズに低減する機械的動作を含む、請求項1~30のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
加工が、ブレンド、ピューレ化、叩き、液化、すりつぶし、泡立て、破砕、搾汁、および粉砕のうちの1つ以上を含む、請求項1~30または34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
加工が、結晶化または精製を含む、請求項1~35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
加工が、発酵を含む、請求項1~36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記組成物が、前記食材、前記ポリエステル、および水から本質的になる、請求項1~37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
食材と、
請求項1~24のいずれかに記載のポリエステルと、を含む、食品製品前駆組成物。
【請求項40】
請求項1~38のいずれかに記載の方法に従って食材を加工するためのシステムであって、
(a)洗浄、切断、みじん切り、すりおろし、スライス、皮むき、千切り、ミンチ、角切り、細断、ブレンド、ピューレ化、叩き、液化、すりつぶし、泡立て、破砕、搾汁、粉砕、および発酵のうちの1つ以上を行って、食材を加工食材にすることができる食材加工機と、
(b)前記ポリエステルおよび前記加工食材を含むように保持するように構成された容器と、
(c)前記ポリエステルを前記加工食材から分離することができる分離機構と、を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年11月21日に出願されたシリアル番号第62/770,521号を有する所有者共通の米国特許仮出願の利益を主張し、この仮出願の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
食材を製造するためのプロセスは、時折、望ましくない泡の発生を引き起こす。泡管理の機械的方法は、有効性が限定されている。代わりに、泡制御剤を製造プロセスに添加して、泡の発生を低減する。食品および医薬品用途の場合、従来の泡制御剤には、エチレンオキシドベース、プロピレンオキシドベース、およびシリコーンベースの薬剤が含まれる。泡制御剤には、泡の形成を防止する泡抑制剤(抗泡剤)、および泡が形成された後に泡を低減する消泡剤が含まれる。
【0003】
望ましくない泡の形成は、野菜、果物、または植物食材の加工中の様々な加工段階で起こり得る。例えば、(糖、シロップ、およびジュースの形成をもたらすような)テンサイの工業的加工中、洗浄、切断、拡散、炭化、および蒸発工程中に加工装置内で泡の形成が起こり得る。同様に、ジャガイモの工業的加工中、洗浄、清浄、研磨、および切断中に加工装置内で泡の形成が起こり得る。泡の制御が望ましい食材を使用するさらなる他のプロセスには、栄養補助食品および医薬品の製造のための発酵を含む工業的発酵プロセスが含まれる。
【0004】
泡制御剤は、望ましくは、泡制御剤を使用して、泡を制御する工業プロセスに対して、食材の工業的発酵において使用される微生物への悪影響を含む悪影響を及ぼさない。泡制御剤は、場合によっては、食材加工手順の最終製品中に存在する可能性があるため、それらが生理学的に安全であることが望ましい。また、廃棄される水組成物中に存在する泡制御剤は、好ましくは、生分解性かつ環境的に安全なものである。しかしながら、食品加工に使用される多くの従来の泡制御剤は、生分解性ではない。
【発明の概要】
【0005】
本発明の態様は、ポリエステルを使用して食材加工中に泡を制御するための方法、ポリエステルを含む食品製品前駆組成物、およびポリエステルを使用し、泡の形成を制御するように構成された食材を加工するためのシステムを対象とする。
【0006】
実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式Iを含むポリエステルを使用して食材を加工しながら、泡を制御するための方法を提供する。本方法は、(a)食材、および式Iの2つ以上の反復単位を含むポリエステルを含む組成物を形成する工程であって、
【化1】
式中、Rが、-(CH-または
【化2】
であり、
が、
【化3】
であり、式中、Rが、エステル基(複数可)、ヒドロキシル基(複数可)、式Iの反復単位に対応する基、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み、xおよびzが独立して、1~8の範囲内の整数であり、R11が、-H、-OHであるか、または式Iの1つ以上の反復単位(複数可)を含み、R12が、-C(O)OH、無水物、もしくはその塩であるか、または式Iの1つ以上の反復単位(複数可)を含み、nおよびmが独立して、1~6の範囲内の整数である、工程と、(b)組成物を加工する工程とを含む。本方法では、ポリエステルは、加工中の発泡を低減または防止することができる。
【0007】
他の実施形態では、本発明は、ポリエステルを使用して食材を加工しながら、泡を制御するための方法であって、ポリエステルが、ポリオール、および二酸もしくは三酸、またはその無水物を含む反応物から作製される、方法を提供する。本方法は、(a)食材およびポリエステルを含む組成物を形成する工程であって、ポリエステルが、3個以上の炭素原子および2つ以上のヒドロキシル基を含むポリオール、ならびに少なくとも4個の炭素原子を有する二酸、三酸、またはその無水物を含む反応物から形成される、工程と、(b)組成物を加工する工程とを含む。例示的な反応物は、C3-C6ジオール、3つ以上のヒドロキシル基を有するポリオール(トリオール、テトラオール、ペントール、およびヘキソール)、ならびにC6-C12二酸またはそれらの無水物、およびクエン酸などの三酸を含む。長鎖脂肪酸および/または長鎖脂肪アルコールなどの他の反応物を任意で使用して、ポリエステルを作製することができる。本開示のポリエステルは、線状または分岐状構造を有し得る。
【0008】
他の実施形態では、本発明は、食品製品前駆組成物であって、(a)食材と、(c)本開示のポリエステルとを含む、組成物を提供する。
【0009】
他の実施形態では、本発明は、本開示のポリエステルを使用して食材を加工するためのシステムを提供する。本システムは、(a)洗浄、切断、みじん切り、すりおろし、スライス、皮むき、千切り、ミンチ、角切り、細断、ブレンド、ピューレ化、叩き、液化、すりつぶし、泡立て、破砕、搾汁、粉砕、および発酵のうちの1つ以上を行って、食材を加工食材にすることができる食材加工機と、(b)ポリエステルおよび加工食材を保持するように構成された容器と、(c)ポリエステルを加工食材から分離することができる分離機構とを備える。
【0010】
本開示のポリエステル泡制御剤を使用する方法、組成物、およびシステムは、ジャガイモなどの相当量のデンプンを含むもの、またはテンサイなどの相当量のサポニンを含むものなどの、様々なタイプの植物、果物、または野菜の加工に使用することができる。これらの食材からのデンプンおよびサポニンの放出は、さもなければ泡の形成を引き起こし得るが、これは、本開示のポリエステルを使用して制御される。
【0011】
本開示のポリエステル泡制御剤は、依然として優れた泡制御能力を提供しながら、良好な生分解性を有するという点で、他の従来の泡制御剤に勝る利点を提供する。本開示のポリエステルは、生体適合性試薬から形成されるため、生体適合性ではない(例えば、毒性または別様に生物系に有害である)反応物から形成される泡制御ポリマーに勝って有益に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】テンサイの工業的加工の工程を示す概略図である。
図2】ジャガイモの工業的加工の工程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、泡を制御するための方法、組成物、およびシステムを説明する。本明細書に記載の方法、組成物、およびシステムは、特に食品加工用途に関する。食品加工中、製造プロセスの様々な時点で泡が発生し得る。泡は、加工中に(例えば、機械的撹拌、混合、洗浄、抽出、撹拌、スパージなどによって発生する)空気混入が起こる場合、タンパク質、脂肪酸、デンプンなどの多糖類、サポニン、および糖などの界面活性物質の存在によって引き起こされる。泡は、多くの異なる方法で食品加工プロセスを害し、プロセスの流れを大きく混乱させる。本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の方法およびポリエステルが使用されない同様の食品プロセスと比較して、食品加工用途において発生する泡の量を限定するのに有効である。理論に限定されることなく、本開示の方法は、(1)食品加工において発生する泡の量を限定し(抗泡剤としても知られる)、(2)発生した泡を最小化または排除する(消泡剤としても知られる)という両方の特徴を有することが期待される。食品組成物および泡制御剤は、当該技術分野で知られているように、例えば、混合することによって組み合わされる。
【0014】
本開示の泡制御剤は、食品加工作業の単一の時点で使用されても、手順中の2つ以上の時点で使用されてもよい。例えば、いくつかの野菜、果物、または植物の工業的加工は、洗浄、皮むき、サイズ低減(例えば、切断、細断、ブレンドなど)、拡散、抽出、および発酵などの加工工程を含み得る。本開示の泡制御剤は、これらの特定の加工工程のうちのいずれか1つ以上で使用することができ、各タイプの加工事象に好適な組成物中に必要に応じて配合することができる。
【0015】
本開示の泡制御剤には、本明細書に記載の式Iの反復単位を有するポリエステル、または特定のポリオール、および二酸または三酸/無水物構成成分を含む反応組成物から形成されるポリエステルが含まれる。ポリエステルは、生体適合性反応物から形成することができ、ポリエステルは、使用後に生体適合性(分解)生成物に最終的に分解されることができる。「生体適合性」材料は、生物系に悪影響を及ぼさない材料であり、そのような悪影響は、毒性効果のように、生物の下位構造(例えば、細胞)の生物全体に有害である。
【0016】
線状および分枝状構造を有するものを含む本開示のポリエステルは、ポリオールと、二酸、三酸、またはその無水物との反応などによって、合成的に調製することができる。ポリエステル形成をもたらす反応は、リパーゼの存在によって促進され得る。本開示のポリエステルは、「非天然」化合物と称されることがある。
【0017】
本開示のポリエステルは、式Iの反復単位を含むことができ、
【化4】
ここで、Rは、-(CH-または
【化5】
であり、Rは、
【化6】
であり、式中、Rが、エステル基(複数可)、ヒドロキシル基(複数可)、式Iの反復単位に対応する基、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み、R11が、-H、-OHであるか、または式Iの1つ以上の反復単位(複数可)を含み、R12が、-C(O)OH、無水物、もしくはその塩であるか、または式Iの1つ以上の反復単位(複数可)を含み、nおよびmが独立して、1~6の範囲内の整数である。式I中、xおよびzは独立して、1~8の範囲内の整数である。実施形態では、xは、1~7の範囲内の整数、1~6の範囲内の整数、1~5の範囲内の整数、または1~4の範囲内の整数である。実施形態では、xは、1、2、3、または4である。さらなる実施形態では、zは、2~8の範囲内の整数、3~7の範囲内の整数、または3~6の範囲内の整数である。実施形態では、zは、4、5、6、または7である。
【0018】
例えば、本開示のポリエステルでは、Rは独立して、-H、-OH、-O(CO)R、-(CHRCH、および式Iの反復単位に対応する基からなる群から選択され得る。Rは、水素、アルキル、エステルのうちの1つ以上を含む基、またはヒドロキシル基(複数可)、および式Iの反復単位に対応する基から選択され得る。Rは独立して、-H、-OH、および式Iの反復単位に対応する基から選択され得る。-(CHRCH中、yは、1~8の範囲内の整数であり得る。実施形態では、xは、1以上であり、Rは、-OHであり、これらは、以下のものなどのR基の例示的な化学を提供する。
【化7】
【0019】
のxが1より大きい、例えば、2~8の範囲内の整数である場合、Rは、2つの以上の異なるR基を含むことができ、ここで、その中のRは独立して、-H、-OH、-O(CO)R、-(CHRCH、および式Iの反復単位に対応する基から選択される。例えば、Rは、以下のものであり得る。
【化8】
【0020】
その中のRが-(CHR)yCHである、本開示のポリエステル中のR基の例には、例えば、以下のものが含まれる。
【化9】
【0021】
その中のRが式Iの1つ以上の反復単位(複数可)に対応する基を含む、本開示のポリエステル中のR基の例には、例えば、
【化10】
などのものが含まれ、式中、RおよびRが、本明細書に記載の意味を有し、pが、ポリエステル中の式Iの反復単位の総数からnを引いたものに等しい整数である。
【0022】
いくつかの実施形態では、Rは、i)1つ以上のヒドロキシル基、および6個以上の炭素原子を有する1つ以上のヒドロカルビル基、ii)1つ以上のヒドロキシル基、および式Iの反復単位に対応する1つ以上の基、iii)6個以上の炭素原子を有する1つ以上のヒドロカルビル基、および式Iの反復単位に対応する1つ以上の基、ならびにiv)1つ以上のヒドロキシル基、6個以上の炭素原子を有する1つ以上のヒドロカルビル基、および式Iの反復単位に対応する1つ以上の基を含む。
【0023】
実施形態では、ヒドロカルビル基は、ポリエステル骨格から垂れ下がって伸長しており、ポリエステルの界面活性剤特性を増強することができる脂肪族基であり得る。6個以上の炭素原子を有する例示的なヒドロカルビル基には、飽和および部分飽和線状、分岐状、ならびに環状アルキル、アルケンアリール、アリーレンアルキルなどが含まれる。好ましいヒドロカルビル基は、8~22の範囲内または10~20の範囲内の炭素の量を有する。
【0024】
したがって、実施形態では、Rは、以下の下位式のうちのいずれか1つであることができ、
【化11】
式中、Rが独立して、-OH、R10から選択され、R10が、6個以上の炭素原子を有するヒドロカルビル基、および式Iの反復単位に対応する基を含む。実施形態では、Rのうちの2つ以上は、-Hであり、Rのうちの少なくとも1つは、R10である。実施形態では、R中、a)1つの-OHおよび1つの-R10、b)2つの-OHおよび1つの-R10、c)3つの-OHおよび1つの-R10、d)1つの-OHおよび式Iの反復単位(複数可)に対応する1つの基、e)2つの-OHおよび式Iの反復単位(複数可)に対応する1つの基、またはf)3つの-OHおよび式Iの反復単位(複数可)に対応する1つの基、g)1つのR10および式Iの反復単位(複数可)に対応する1つの基、h)2つのR10および式Iの反復単位(複数可)に対応する1つの基、またはi)1つの-OH、式Iの反復単位(複数可)に対応する1つの基、および1つのR10が存在する。
【0025】
実施形態では、R10は、C8-C22またはC10-C20飽和または部分飽和線状、分岐状、環状アルキル、アルケンアリール、またはアリーレンアルキル基を含み得る。いくつかの実施形態では、R10は、-O(CO)(CHCHであり、式中、wが独立して、1または2であり、yが、6~20の範囲内の整数または8~18の範囲内の整数である。
【0026】
例示的なヒドロカルビル基は、中間ポリエステルのRの1つ以上のヒドロキシル基を、C6+飽和脂肪酸、C6+部分飽和脂肪酸、またはそれらの混合物と反応させることによって形成することができる。例えば、脂肪酸は、カプリル酸(オクタン酸)、カプリン酸(デカン酸)、ラウリン酸(ドデカン酸)、ミリスチン酸(テトラデカン酸)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)、アラキジン酸(エイコサン酸)、ベヘン酸(ドコサン酸)、およびリグノセリン酸(テトラコサン酸)を含む飽和脂肪酸から選択され得る。脂肪酸はまた、ミリストレイン酸(C14不飽和酸)、パルミトレイン酸およびサピエン酸(C16不飽和酸)、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、およびリノレン酸(C18不飽和酸)、アラキドン酸およびエイコサペンタエン酸(C20不飽和酸)、ならびにエルカ酸(C22不飽和酸)などの部分飽和脂肪酸であってもよい。
【0027】
10基を有するR基の例には、以下が含まれる。
【化12】
【0028】
いくつかの実施形態では、Rは、-O(CO)R(CO)ORであり、Rは、1つ以上のヒドロキシル基(複数可)を含む。この式のR基の例には、
【化13】
が含まれ、式中、Rが、本明細書に記載のように定義される。
【0029】
本開示のポリエステルはまた、以下の化学を有することができ、
【化14】
式中、Rが、本明細書に記載の意味を有し、Rが、1つ以上のカルボキシレート基(複数可)を含む基、もしくはその塩、または1つ以上のヒドロキシル基、ヒドロカルビル基、またはそれらの組み合わせである。例示的なR基には、式-R(CO)OXのもの(式中、Xが、-Hまたは対イオンである)、および式-(COH)のもの(式中、xが、1~5の範囲内である)が含まれる。例示的なR基はまた、6個以上の炭素原子を有するもの、例えば、式-(CHCHのもの(式中、wが独立して、1または2であり、yが、6~20の範囲内の整数または8~18の範囲内の整数である)などのヒドロカルビル基を含み得る。
【0030】
実施形態では、式IのポリエステルのR基は、以下の式のものであることができ、
【化15】
式中、R11が、-H、-OHであるか、または式Iの1つ以上の反復単位(複数可)を含み、R12が、-C(O)OH、無水物、もしくはその塩であるか、または式Iの1つ以上の反復単位(複数可)を含み、nおよびmが独立して、1~6の範囲内の整数である。この化学を有するR基は、クエン酸などの三酸またはその無水物の反応(すなわち、nおよびmは両方とも、1である)から誘導することができる。実施形態では、本開示のポリエステルは、R11および/またはR12の一方または両方が式Iの1つ以上の反復単位(複数可)を含む分岐状構造を有し得る。主ポリエステル鎖からの分岐状伸長は、R11位および/またはR12位のヒドロキシル基および/またはカルボン酸基と、それぞれ二酸もしくは三酸および/またはポリオールとの反応によって形成され得る。本開示の分岐状構造では、式Iの反復単位の総数は、主ポリエステル鎖およびそれからの分岐(複数可)におけるものを含む。
【0031】
ポリエステルは、nによって反映される式IまたはIIの反復単位の数によって説明される所望のサイズであり得る。実施形態では、nは、2~20の範囲内の整数、3~15の範囲内の整数、4~12の範囲内の整数、または5~10の範囲内の整数である。ポリエステルはまた、重量平均分子量などの分子量によっても説明することができ、ポリエステルは、500~50,000g/molの範囲内、750~10,000g/molの範囲内、または1000~4,000g/molの範囲内の重量平均分子量を有する。
【0032】
一般に、ポリマーは、1,000ダルトン以上の重量平均分子量(Mw)を有し、モル質量に関して多分散である。ポリマー試料中の「平均」鎖長を測定する1つの便利な方法は、Mnとして知られる量、数平均モル質量を提供する。ポリマーの物理的特性と相関し得る別の周知のモル質量平均は、重量平均モル質量、Mwである。MnおよびMwはまた、それぞれ数平均分子量および重量平均分子量としても一般的に知られている。
【0033】
重量平均分子量(M)は、以下の式によって定義することができ、
【数1】
式中、Nが、Mの質量を有する試料中のポリマーのモル数を表し、Σが、調製物中のすべてのN(種)の合計である。Mは、光散乱、超遠心分離などの一般的な技術を使用して、またはサイズ排除クロマトグラフィー(SEC、ゲル浸透クロマトグラフィー、もしくはGPCとも呼ばれる。Striegel,A.M.;Yau,W.W.;Kirkland,J.J.;Bly,D.D.,Modern Size-Exclusion Liquid Chromatography,Practice of Gel Permeation and Gel Filtration Chromatography.2nd ed.John Wiley&Sons,Inc.:Hoboken,New Jersey,2009,page 7)から測定することができる。SEC実験の終了時に、異なるサイズのポリマー分子が分離され、それらの濃度が保持体積の関数として検出される。SEC溶出曲線をモル質量分布(MMD)に定量的に変換することができるように、SEC実験を較正するための様々な方法が存在する。最も一般的な方法は、それらのピーク位置を使用して狭幅MMD標準で較正することである。このアプローチは、ピーク位置または較正相対較正として知られている(Striegel,A.M.;Yau,W.W.;Kirkland,J.J.;Bly,D.D.,Modern Size-Exclusion Liquid Chromatography,Practice of Gel Permeation and Gel Filtration Chromatography.2nd ed.John Wiley&Sons,Inc.:Hoboken,New Jersey,2009.Page 196)。例えば、狭幅ポリスチレン(PS)分子量標準をSEC較正に使用する場合、較正は、PS相対較正と呼ばれ、未知の試料の得られる分子量は、PS相対分子量と呼ばれる。SECを使用するMnおよびMw決定の考察は、例えば、Striegel,A.M.;Yau,W.W.;Kirkland,J.J.;Bly,D.D.,Modern Size-Exclusion Liquid Chromatography,Practice of Gel Permeation and Gel Filtration Chromatography.2nd ed.John Wiley&Sons,Inc.:Hoboken,New Jersey,2009に見出すことができる。ポリマー調製物の分子量の定義に使用されるMおよび他の用語の考察は、例えば、Allcock,H.R.and Lampe,F.W.(1990)Contemporary Polymer Chemistry;pg 271に見出すことができる。
【0034】
本開示のポリエステルはまた、ポリエステルの形成に使用される材料(反応物)に関して説明することができる。一般に、本開示のポリエステルは、少なくとも、ポリオール、およびポリカルボン酸またはその反応性誘導体(ポリカルボン酸無水物など)を含む反応物から形成される。ポリオール/ヒドロキシル化学および/またはポリカルボン酸/カルボキシレート化学と反応性である他の材料(反応物)を使用して、ポリエステルを形成することができる。
【0035】
実施形態では、ポリエステルは、3個以上の炭素原子および2つ以上または3つ以上のヒドロキシル基を含むポリオールと、少なくとも4個の炭素原子を有する二酸もしくは三酸またはその無水物とを含む、反応物から形成される。
【0036】
例示的なポリオールには、ジオール(2つのヒドロキシル基)、トリオール(3つのヒドロキシル基)、テトラオール(4つのヒドロキシル基)、ペントール(5つのヒドロキシル基)、およびヘキソール(6つのヒドロキシル基)、またはそれらの組み合わせが含まれる。ポリオールは、炭素原子と等しい数のヒドロキシル基を有し得るか、またはポリオールは、炭素原子とは異なる数のヒドロキシル基を有し得る。炭素原子と等しい数のヒドロキシル基を有するポリオールには、グリセロールなどの3C/3OH化合物、エリスリトールおよびスレイトールなどの4C/4OH化合物、アラビトール、リビトール、およびキシリトールなどの5C/5OH化合物、ならびにソルビトール、マンニトール、アリトール、ズルシトール、ガラクチトール、およびイジトールなどの6C/6OH化合物が含まれる。炭素原子に対してより少ないヒドロキシル基を有するポリオールには、1,2,4ブタントリオールなどの4C/3OH化合物、1,3,5ペンタントリオールなどの5C/3OH化合物、ペンタン1,3,4,5テトラオールなどの5C/4OH化合物、および1,3,6ヘキサントリオールなどの6C/3OH化合物が含まれる。2つ以上の異なるポリオール化合物の混合物を使用することができる。
【0037】
例示的な二酸には、ジカルボン酸およびそれらの無水物が含まれ、例示的な三酸には、トリカルボン酸およびそれらの無水物が含まれる。好ましいジカルボン酸には、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、およびスベリン酸などのC3-12ジカルボン酸が含まれ、無水物誘導体もまた、使用することができる。例示的なトリカルボン酸は、クエン酸である。
【0038】
ポリエステルの作製に使用されるポリオールとポリカルボン酸との組み合わせは、例えば、2つの反応物タイプの組み合わせを有する総炭素原子に関して説明することができる。例えば、ポリオール、およびポリ酸またはその無水物は、8~17の範囲内、9~16の範囲内、または10~15の範囲内の炭素原子の総数を有し得る。ポリオールとポリカルボン酸との組み合わせはまた、ポリエステルの作製に使用される各試薬の相対モル量に関して説明することもできる。例えば、ポリオール、およびポリカルボン酸またはその無水物は、それぞれ3:1~1:3の範囲内、2:1~1:2の範囲内、3:2~2:3の範囲内、または4:3~3:4の範囲内のモル比のポリエステルの作製に組成物中で使用される。
【0039】
ポリエステルはまた、(任意の他の反応物と比較して)合成に使用されるポリオールおよびポリカルボン酸の総量に関して説明することもできる。例えば、合成様式では、ポリオール、およびポリカルボン酸またはその無水物は、反応物の75%以上(モル)、反応物の80%以上(モル)、反応物の90%以上(モル)、反応物の95%以上(モル)、または反応物の99%以上(モル)の量で組成物中に存在する。ポリオール化学および/またはポリカルボン酸化学と反応性であるものなどの、他の任意の反応物が存在する場合、それらは、25%(モル)以下、20%(モル)以下、10%(モル)以下、5%(モル)以下、または1%(モル)以下の量で存在する。
【0040】
ポリエステルの調製中に使用することができる他の任意の反応物には、単官能性脂肪酸、単官能性脂肪アルコール、二官能性脂肪アルコール、酸基含有ポリマー、または酸基含有モノマーなどの、ポリオール化学および/またはポリカルボン酸化学と反応性であるものが含まれる。
【0041】
好ましい(単官能性)脂肪アルコールの例には、式、
HO(CHCHのものが含まれ、式中、zが独立して、1または2であり、yが、6~20の範囲内の整数または8~18の範囲内の整数である。
【0042】
例には、1-デカノール、ウンデカノール、ラウリルアルコール、トリデカノール、ミリスチルアルコール、ペンタデカノール、セチルアルコール、パルミトレイルアルコール、ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデカノール、およびエイコサノールを含むがこれらに限定されない、飽和および部分飽和脂肪アルコールが含まれる。
【0043】
好ましい(単官能性)脂肪酸の例には、式、
HO(O)C(CHCHのものが含まれ、式中、zが独立して、1または2であり、yが、6~20の範囲内の整数または8~18の範囲内の整数である。
【0044】
飽和脂肪酸には、カプリル酸(オクタン酸)、カプリン酸(デカン酸)、ラウリン酸(ドデカン酸)、ミリスチン酸(テトラデカン酸)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)、アラキジン酸(エイコサン酸)、ベヘン酸、およびリグノセリン酸(テトラコサン酸)が含まれる。部分飽和脂肪酸には、ミリストレイン酸(C14不飽和酸)、パルミトレイン酸およびサピエン酸(C16不飽和酸)、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、およびリノレン酸(C18不飽和酸)、アラキドン酸およびエイコサペンタエン酸(C20不飽和酸)、ならびにエルカ酸(C22不飽和酸)が含まれる。
【0045】
アルキレンジオールの例には、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、およびドデカンジオールなどが含まれる。
【0046】
これらの任意の反応物は、ポリエステルの合成中の所望の時点で添加することができる。いくつかの実施様式では、任意の反応物を、ポリオールおよびポリカルボン酸を使用する合成反応の終了近くまたは終了時に添加して、ポリエステルを形成する。結果として、任意の反応物は、ポリエステルの末端に所望の化学を、またはポリエステル骨格から垂れ下がった化学を提供することができる。この合成様式では、本明細書に記載の任意の反応物とさらに反応させることができるヒドロキシル基およびカルボン酸基のような反応性化学を有するものなどの、「ポリエステル中間体」を形成することができる。ポリエステル中間体は、本明細書に記載の一般式のもの、例えば、Rおよび/もしくはR11が1つ以上のヒドロキシル基を含むもの、ならびに/またはR12が-C(O)OH、無水物、もしくはその塩であるものであり得る。
【0047】
ポリエステルは、所望の反応方法を使用してポリエステルを形成するための、ポリオール、およびポリカルボン酸またはその無水物の反応物を使用して形成することができる。いくつかの実施様式では、ポリエステルは、リパーゼの存在下で形成され、リパーゼは、さもなければポリオール単位間の架橋の防止に用いられている保護-脱保護方法および化学を使用する必要性を回避することができるため、有用である。位置選択的なエステル化反応は、リパーゼおよびプロテアーゼを使用して低~中程度の温度で実行することができる。他の実施様式では、ポリオールが二酸もしくは三酸(またはその無水物)と反応する場合のように、リパーゼの使用は、任意であってもよい。
【0048】
いくつかの実施様式では、ポリエステルは、構成成分を加熱することなどによって、液体形態のポリオールおよびポリカルボン酸構成成分を提供し、次いでリパーゼの存在下で反応させることによって形成することができる。例示的な反応温度は、40~120℃の範囲内または70~90℃の範囲内である。例示的な反応時間は、1時間~96時間の範囲内または4時間~24時間の範囲内である。例示的なポリエステル合成方法は、本明細書、ならびにKumar,A.,et al.(2003)Versatile Route to Polyol Polyesters by Lipase Catalysis,Macromolecules,36:8219-8221などの刊行物に記載されている。
【0049】
リパーゼ反応は、停止させることができ、形成されたポリマーは、膜濾過、相分離、および蒸発によって精製することができる。
【0050】
ポリエステル合成は、単段階反応/重合または多段階反応/重合を使用して実施することができる。例えば、単段階反応/重合は、少なくともポリオール、および二酸もしくは三酸(またはその無水物)の反応物、ならびに任意で単官能性脂肪アルコールおよび/または単官能性脂肪酸の反応物(複数可)を使用して実施することができる。多段階反応/重合は、第1段階反応/重合でポリオール、および二酸もしくは三酸(またはその無水物)の反応物、ならびに次いで第2段階反応/重合で単官能性脂肪アルコールおよび/または単官能性脂肪酸の反応物(複数可)などの他の反応物を使用して実施することができる。リパーゼの使用は、第1段階では任意であるが、第2段階では好ましい。
【0051】
本開示のポリエステル泡制御剤は、食材または食材製品に由来する製品を含む組成物に添加されるように構成された形態であってもよい。例えば、ポリエステル泡制御剤は、食材または食材に由来する製品を含む水性組成物に添加される、粉末または顆粒形態などの固体組成物の形態であってもよい。あるいは、泡制御剤は、食材を含む水性組成物に添加することができる、液体濃縮物などの液体組成物であってもよい。そのような組成物の形態は、所望の量が食材を含む組成物に添加されたときに、作動量のポリエステル泡制御剤を提供する、「ストック」または「濃縮」組成物であってもよい。
【0052】
ストックまたは濃縮液体組成物は、溶媒、界面活性剤、乳化剤、またはそれらの組み合わせをさらに含み得る。ポリエステルは、そのような液体組成物中に溶解または懸濁された形態であってもよい。任意の界面活性剤または乳化剤は、組成物の0.1~30重量%の範囲内の量であり得る。
【0053】
例示的な任意の界面活性剤(複数可)または乳化剤(複数可)は、アニオン性、カチオン性、および非イオン性化合物である。好適なアニオン性界面活性剤または乳化剤の例は、アルカリ金属、アンモニウム、およびアミン石鹸であり、そのような石鹸の脂肪酸部分は、好ましくは少なくとも16個の炭素原子を含有する。石鹸はまた、「インサイチュ」で形成することもでき、言い換えれば、脂肪酸を油相に添加し、アルカリ性材料を水相に添加してもよい。
【0054】
好適なアニオン性界面活性剤または乳化剤の他の例は、アルキル-アリールスルホン酸のアルカリ金属塩、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、硫酸化またはスルホン化油、例えば、硫酸化ヒマシ油、スルホン化獣脂、および短鎖石油スルホン酸のアルカリ塩である。
【0055】
好適なカチオン性界面活性剤または乳化剤は、オレイルアミドアセテート、セチルアミンアセテート、乳酸ジドデシルアミン、アミノエチル-アミノエチルステアラミドのアセテート、ジラウロイルトリエチレンテトラミンジアセテート、1-アミノエチル-2-ヘプタデセニルイミダゾリンアセテートなどの長鎖第一級、第二級、または第三級アミンの塩;ならびに臭化セチルピリジニウム、ヘキサデシルエチルモルホリニウムクロリド、およびジエチルジドデシルアンモニウムクロリドなどの第四級塩である。
【0056】
好適な非イオン性界面活性剤または乳化剤の例は、オレイルアルコールと10個のエチレンオキシド単位との反応生成物などの高級脂肪アルコールとエチレンオキシドとの縮合生成物;イソオクチルフェノールと12個のエチレンオキシド単位との反応生成物などのアルキルフェノールとエチレンオキシドとの縮合生成物;5つ以上のエチレンオキシド単位を有する高級脂肪酸アミドの縮合生成物;テトラエチレングリコールモノパルミテート、ヘキサエチレングリコールモノラウレート、ノナエチレングリコールモノステアレート、ノナエチレングリコールジオレエート、トリデカエチレングリコールモノアラキデート、トリコサエチレングリコールモノベヘネート、トリコサエチレングリコールジベヘネートなどの長鎖脂肪酸のポリエチレングリコールエステル、ソルビタントリステアレートなどの多価アルコール部分高級脂肪酸エステル、多価アルコール部分高級脂肪酸エステルのエチレンオキシド縮合生成物、ならびにそれらの内部無水物(マンニタンと呼ばれるマンニトール無水物およびソルビタンと呼ばれるソルビトール無水物)(10個の分子のエチレンオキシドと反応したグリコールモノパルミテート、12個の分子のエチレンオキシドと反応したペンタエリスリトールモノオレエート、10~15個の分子のエチレンオキシドと反応したモノステアリン酸ソルビタン、10~15分子のエチレンオキシドと反応したマンニタンモノパルミテートなど);一方のヒドロキシル基が高級脂肪酸でエステル化され、他方のヒドロキシル基がメトキシポリエチレングリコール550モノステアレート(550はポリグリコールエーテルの平均分子量を意味する)などの低分子アルコールでエーテル化されている長鎖ポリグリコールである。これらの界面活性剤のうちの2つ以上の組み合わせが使用されてもよく、例えば、カチオン性は非イオン性と、またはアニオン性は非イオン性とブレンドされてもよい。
【0057】
泡制御剤組成物は、任意で1つ以上の添加剤(複数可)を含み得る。添加剤の例には、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、ブチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、エチレンオキシド/ブチレンオキシドブロックコポリマー、ワックス、およびシリコーンベースの材料が含まれる。
【0058】
泡制御剤組成物は、ポリエステル泡制御剤を含む方法、組成物、またはシステムと組み合わせて使用される、1つ以上の第2の泡制御化合物を任意で含み得る。本開示のポリエステル泡制御剤とは異なる任意の第2の泡制御剤には、アルコール(複数可)のアルコキシル化によって生成される1つ以上の薬剤;少なくとも1つのアルキルポリグルコシド(APG);2019年9月19日にXue Chenらの名前(複数可)で出願され、弁護士整理番号第81861号を有する譲受人の同時係属中の国際公開第2019/177726号、2019年9月19日にMichael L.Tulchinskyらの名前(複数可)で出願され、弁護士整理番号第81862号を有する国際公開第WO2019/178306号、2019年9月19日にClark H.Cumminsの名前(複数可)で出願され、弁護士整理番号第81863号を有する国際公開第WO2019/177727号、および2019年9月19日にW.Kingらの名前(複数可)で出願され、弁護士整理番号第81864号を有する国際公開第WO2019/178306号のうちの1つ以上に記載の泡制御剤が含まれ、これらの出願の開示は、本明細書に組み込まれる。本開示のポリエステル泡制御剤とは異なる他の任意の第2の泡制御剤にはまた、本明細書と同時に出願され、CYCLIC KETAL COMPOUNDS HAVING LONG SIDE CHAINS USEFUL AS FOAM CONTROL AGENTS IN THE MANUFACTURE OF FOOD AND BEVERAGE PRODUCTSと題する米国仮出願として特定される、譲受人の同時係属中の米国仮特許出願、2019年9月27日にXue Chenらの名前で出願され、弁護士整理番号第82301-US-NP号(DOW0096US)を有する同時係属中の米国特許出願第16/585,514号、および2019年9月17日に出願され、ALKYL ETHER AMINE FOAM CONTROL COMPOUNDS AND METHODS OF PROCESSING FOODSTUFFSと題し、弁護士整理番号第82299-WO-PCT号(DOW0097WO)を有する国際出願第PCT/US19/51424号に記載される泡制御剤も含まれ、両方の開示の全体が、本明細書に組み込まれる。これらの任意の第2の泡制御剤は、食品加工作業の1つ以上の時点で本開示のポリエステル食品制御剤とともに同じ組成物中で使用されてもよいか、または多工程の食品加工作業の1つ以上の異なる時点で使用されてもよい。つまり、例えば、異なる第2の泡制御剤は、上流の加工工程(野菜の洗浄など)で使用されてもよい一方で、ポリエステル食品制御剤は、下流の加工工程(野菜パルプからの糖の拡散)で使用される。
【0059】
実施様式では、ポリエステル泡制御剤を水に添加して、水性組成物を形成し、水性組成物を1つ以上の食材加工工程で食材とともに使用して、使用される食材および加工条件の結果として発生し得る任意の泡を制御する。ポリエステル泡制御剤を、本明細書に記載のように、0.01~5%(重量)または0.1~1%(重量)の範囲内などの任意の濃度で使用して、加工中の泡の形成を制御することができる。実行されている特定のタイプの食材加工に応じて、1つ以上の他の試薬が、ポリエステルとともに水性組成物中に存在してもよい。
【0060】
本開示の態様は、ポリエステル食品制御剤が、泡制御剤を含まない組成物または比較化合物を使用する組成物と比較して、加工工程で組成物中の泡を制御する能力に関して任意で説明することができる。例示的な試験プロセスでは、食材(テンサイなど)を、ポリエステル泡制御剤を含む水性組成物中で(ブレンドなどによって)加工し、発生する泡の量を、泡の体積または泡の量(質量)を測定することなどによって測定する。次いで、これを、同じ加工条件下ではあるが泡制御剤を使用しないか、または比較化合物を使用するかのいずれかで発生する泡と比較する。ポリエステル泡制御剤の使用は、泡制御剤を含まない組成物と比較して、泡の形成の量を、約10%~約95%または約20%~約95%の範囲内などの、少なくとも約10%だけ、または少なくとも約20%だけ低減することができる。
【0061】
本明細書で使用される場合、「食材」は、食用もしくは飲用可能な材料、または食用もしくは飲用可能材料に加工することができる材料を指す。食材は一般に、ポリエステル泡制御剤を含む組成物と組み合わせて使用される、任意の材料を指すために使用される。
【0062】
「中間食材」または「前駆食材」は、ポリエステル泡制御剤を含む組成物を使用して第1の工程で加工されるが、第2の工程でさらなる加工に供される食材を指すことができ、第2の工程は、食用もしくは飲用可能な食品製品またはその前駆体のいずれかを生成する別の加工工程である。中間または前駆食材の例は、泡制御剤の存在下で皮をむいた、皮むきジャガイモであり、皮むきジャガイモは、フライドポテト部分またはポテトフレークなどの食用可能な部分へのジャガイモの切断またはすりおろしに関与する第2の加工工程で使用され、これらのさらに加工された部分は、「食品製品」と見なすことができる。中間または前駆食材でもあり得る「材料食材」は、ポリエステル泡制御剤を含む組成物から加工され、その後食品または飲料製品などの食材製品中で使用される食材を指す。材料食材の例は、本開示の方法を使用して得られたテンサイなどに由来する糖であり得る。しかしながら、直接消費用に包装されるような糖はまた、それ自体が食品製品にもなり得る。本開示の方法を使用して得られた糖およびデンプン食材はまた、発酵飲料、バイオ燃料、および医薬品などの発酵製品の提供などの発酵方法でも使用することができ、これらは、本明細書では「食材誘導体」と称されることがあり、食用もしくは飲用可能な食品製品である場合も、またはそうでない場合もある。
【0063】
食材には、食用可能な植物、野菜、果物、および穀物、ならびにこれらの食品が本開示の方法を使用して加工に供されたときに形成される食用可能な植物、野菜、果物、および穀物の誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0064】
一般的に加工に供されるいくつかの食材は、デンプンを有する植物、野菜、および果物を含む。本開示の方法を使用して、0.01%(重量)超、0.1%(重量)超、または1.0%(重量)超のデンプン含有量を有するものを含む、植物、野菜、および果物を加工することができる。
【0065】
本開示の方法に従って加工することができるいくつかの食材は、0.01重量%~30重量%の範囲内の量のデンプン、0.01重量%~80重量%の範囲内の量の非デンプン炭水化物、0.01重量%~20重量%の範囲内の量のタンパク質、および20重量%~95重量%の範囲内の量の水を含む。
【0066】
より高いデンプン含有量の植物、野菜、および果物は、約5%~約25%(重量)または約10%~約25%(重量)の範囲内などの、2.5%(重量)超、約5%(重量)以上、約7.5%(重量)以上、または約10%(重量)以上のデンプン含有量を有し得る。本開示のポリエステル食品制御剤の使用は、デンプンを水性加工組成物中に放出するか、あるいは別様に望ましくない泡の形成を引き起こす可能性がある、これらの植物、野菜、および果物の加工中の泡の制御に有用であり得る。
【0067】
様々な植物、野菜、および果物は、高いデンプン含有量を有し、ポリエステル泡制御剤とともに本開示の方法で使用することができる。例えば、いくつかの実施様式では、デンプン含有食材は、エンドウ豆、トウモロコシ、ジャガイモ、豆、米、小麦、キャッサバ、豆、サツマイモ、ヤムイモ、ソルガム、およびオオバコからなる群から選択される野菜または植物であるか、またはそれに由来する。
【0068】
高含有量デンプン食材はまた、食品を構成する他の構成成分に関して定義することもできる。例えば、本開示の方法はまた、5重量%~25重量%の範囲内の量のデンプン、0.01重量%~10重量%の範囲内の量の非デンプン炭水化物、0.01重量%~10重量%の範囲内の量のタンパク質、および50重量%~95重量%の範囲内の量の水、または10重量%~20重量%の範囲内の量のデンプン、0.1重量%~5%重量の範囲内の量の非デンプン炭水化物、0.1重量%~5%重量の範囲内の量のタンパク質、および70重量%~90重量の範囲内の量の水を含む、植物、野菜、または果物を使用することもできる。
【0069】
一般的に加工に供されるいくつかの食材は、サポニンを有する植物、野菜、および果物を含む。サポニンは、親油性トリテルペン部分に結合した1つ以上の親水性グリコシド部分を構造的に有する両親媒性グリコシドとして化学的に定義される。本開示のポリエステル食品制御剤の使用は、サポニンを水性加工組成物中に放出するか、あるいは別様に望ましくない泡の形成を引き起こす可能性がある、これらの植物、野菜、および果物の加工中の泡の制御に有用であり得る。本開示の方法を使用して、1ppm超のサポニン含有量を有するものを含む、植物、野菜、および果物を加工することができる。高サポニン含有量の植物、野菜、および果物は、約0.005%(重量)~約0.2%(重量)の範囲内などの、または約0.01%(重量)~約0.2%(重量)の範囲内などの、0.001%(重量)(10ppm)超、約0.005%(重量)(50ppm)以上、または約0.01%(重量)(100ppm)以上のサポニン含有量を有するものを含む。サポニンは、テンサイ中にテンサイの0.01%~0.2%のレベルで見いだされることが報告されている。(例えば、Hallanoro,H.,et al.(1990).Saponin,a cause of foaming problems in beet sugar production and use.Proc.Conf.Sugar Proc.Res.,pp.174-203、Roberts,E.J.,Clarke,M.A.,and Godshall,M.A.,Sugarbeet Saponins and Acid Beverage Floc.American Society of Sugar Beet Technologists:Proceedings from the 29th Biennial Meeting Operations,1997,pages 39-46を参照されたい)。
【0070】
様々な植物、野菜、および果物中のサポニン含有量が、研究されており、そのような食材は、ポリエステル泡制御剤とともに本開示の方法で使用することができる。例えば、いくつかの実施様式では、サポニン含有食材は、エンドウ豆、トウモロコシ、ジャガイモ、豆、米、小麦、キャッサバ、豆、サツマイモ、ヤムイモ、ソルガム、およびオオバコからなる群から選択される野菜もしくは植物であるか、またはそれに由来する。
【0071】
サポニン含有食材はまた、食品を構成する他の成分の観点から定義され得る。例えば、本開示の方法はまた、1ppm~5重量%の範囲内の量のサポニン、0.01重量%~30重量%の範囲内の量のデンプン、0.01重量%~80重量%の範囲内の量の非デンプン炭水化物、0.01重量%~20重量%の範囲内の量のタンパク質、および20重量%~95重量%の範囲内の量の水を含む、植物、野菜、または果物を使用することができる。
【0072】
「食材加工」は、食材を処理する物理的または化学的動作を指す。場合によっては、食材加工は、清浄もしくは洗浄手順、または拡散手順であるか、あるいはそれらを含む。例えば、清浄または洗浄手順を使用する食材加工は、ポリエステル泡制御剤を含む水性組成物などの組成物と、全体または実質的に全体の形態の植物、野菜、または果物などの食材とを使用することができる。清浄または洗浄手順は、ポリエステル泡制御剤、および植物、野菜、植物、または果物の全体または部分を有する水性組成物を保持することができる、おけ、タンク、ビン、または容器などの清浄または洗浄装置を利用することができる。清浄または洗浄装置は、撹拌機、ミキサー、またはその中の植物、野菜、もしくは果物の移動を引き起こし、それによって食材および水性組成物の移動による清浄を引き起こす同様のデバイスなどの、1つ以上の任意の特徴をさらに含み得る。清浄または洗浄装置は、植物、野菜、または果物からの、汚れ、ワックス、残留物、微生物、または他の望ましくない材料などの破片の除去を容易にするためのブラシまたは噴霧器をさらに含み得る。清浄または洗浄装置は、ポリエステル泡制御剤を含有する水性組成物からの、洗浄または清浄された食材の分離を容易にするストレーナ、ふるい、フィルター、格子、水切りなどの特徴をさらに含み得る。例えば、噴霧分散剤、ジャガイモの皮を除去するためのディスク50の研磨面、およびジャガイモ部分用の濾過器またはストレーナ185を有する、(例えば、ジャガイモ用の)野菜皮むき器および清浄器を説明する、米国特許第2,838,083号(この開示は、参照により本明細書に組み込まれる)の図9を参照されたい。
【0073】
清浄または洗浄手順中に、ポリエステルは、さもなければ植物、野菜、または果物に由来する構成成分(例えば、デンプン、サポニン)の、水性洗浄組成物中への放出から生じ得る、泡の形成を防止および/または低減することができる。水性洗浄または清浄組成物は、0.01~5%(重量)の範囲内または0.1~1%(重量)の範囲内などの、所望の濃度のポリエステルを水性洗浄組成物中に含み得る。水性洗浄または清浄組成物は、界面活性剤(複数可)、抗菌剤、酸(複数可)、酸化剤(複数可)、緩衝液(複数可)などの1つ以上の他の試薬を任意で含み得る。水性洗浄または清浄組成物は、洗浄または清浄される食材に対して所望の量で使用することができる。例えば、水性洗浄または清浄組成物は、望ましくは、食材、およびポリエステル消泡剤を含む水性液体部分を含む組成物の少なくとも約20%である。典型的には、清浄または洗浄プロセスは、25~90%(重量)の範囲内の量の水性液体部分、および10~75%(重量)の範囲内の量の食材部分を使用する。洗浄を、所望の温度で所望の期間にわたって実行して、食材が適切に清浄され、食材の所望の特性(例えば、官能性)が維持されることを確実にすることができる。一般に、清浄または洗浄手順中、食材は、より小さい部分に加工されない。
【0074】
実施様式では、洗浄または清浄手順に続いて、食材は、ポリエステル消泡剤を使用する1つ以上の他の食品加工手順(例えば、「下流の手順」)に供されてもよい。そのような下流の手順には、サイズ部分加工、拡散/抽出、ブレンド/均質化、蒸発、および/または発酵が含まれるが、これらに限定されない。
【0075】
場合によっては、食材加工は、食材のサイズをより大きい(例えば、元の)サイズから複数のより小さいサイズに物理的に低減する(サイズ加工)手順であるか、またはそれを含む。場合によっては、加工によって形成される複数のより小さいサイズは、前加工された食材(例えば、ジャガイモまたはテンサイ全体)のサイズに関して説明することができる。例えば、食材は、加工前に、元の未加工のサイズを有し、加工は、食材の元のサイズを、元のサイズの1%以上、10%以上、または50%以上のサイズの食材部分に低減する機械的動作を含む。あるいは、そのような加工は、例えば、加工食材部分が、1グラム以上または5グラム以上のサイズを有する場合、加工食材の重量に関して説明することができる。
【0076】
そのようなサイズの加工食材部分の生成に使用することができる加工技術の例には、切断、みじん切り、すりおろし、スライス、皮むき、千切り、ミンチ、角切り、拡散、および細断が含まれる。形成される食材の部分の例は、植物、野菜、および果物のぶつ切り、スライス、チップ、フレーク、断片、およびさいの目であり得る。これらのタイプの食材のより小さい部分は、消費用の食品製品へと作製してもよいか、または拡散/抽出、ブレンド/均質化、蒸発、および/もしくは発酵などのさらなる下流の手順に使用してもよい。加工されたサイズの食材部分は、食材部分の形状および/またはサイズに関して任意で説明することができる。
【0077】
食材のサイズ加工は、食材のサイズを、より大きいサイズから複数のより小さいサイズに物理的に低減する1つ以上の特徴を有する装置を利用することができる。例えば、装置は、植物、野菜、または果物を切断してより小さい部分を生成し得るブレード(複数可)、スライサー(複数可)、チッパー(複数可)、細断器(複数可)、およびすりおろし器(複数可)などの1つ以上の鋭利な物品を含み得る。切断特徴は、ポリエステル泡制御剤を有する水性組成物を保持するためのおけ、タンク、ビン、または容器のうちの1つ以上と組み合わせて使用することができ、これ(ら)は、切断される植物、野菜、もしくは果物を提供することができるか、または切断された植物、野菜、もしくは果物を保持することができるか、またはその両方を行うことができる。
【0078】
サイズ加工中、ポリエステルは、さもなければ植物、野菜、または果物に由来する構成成分(例えば、デンプン、サポニン)の、サイズ加工と組み合わせて使用される水性組成物中への放出から生じ得る、泡の形成を防止および/または低減することができる。サイズ加工用の水性組成物は、0.01~5%(重量)の範囲内または0.1~1%(重量)の範囲内などの、所望の濃度のポリエステルを含み得る。水性組成物の使用は、サイズが低減した食材の酸化を有益に低減または防止することができ、サイズ加工中に放出される食材ベースの構成成分もまた除去することができる。サイズ加工を、所望の温度で所望の期間にわたって実行して、食材が適切に清浄され、食材の所望の特性(例えば、官能性)が維持されることを確実にすることができる。一般に、清浄または洗浄手順中、食材は、より小さい部分に加工されない。
【0079】
実施様式では、サイズ低減手順に続いて、食材は、ポリエステル消泡剤を使用する1つ以上の他の下流の手順に供されてもよい。そのような下流の手順には、拡散/抽出、ブレンド/均質化、蒸発、および/または発酵が含まれるが、これらに限定されない。
【0080】
場合によっては、サイズ加工は、食材の元のサイズの1%未満、0.1%未満、0.01%未満、または0.001%未満などの、非常に小さいサイズの食材部分をもたらす。非常に小さい部分を生成することができる例示的な加工技術には、ブレンド、ピューレ化、叩き、液化、すりつぶし、泡立て、破砕、搾汁、および粉砕が含まれる。そのような技術は、0.1グラム未満、10mg未満、1mg未満、または100μg未満などの、非常に少ない重量の食品粒径をもたらすことができる。そのような技術はまた、1mm未満、0.1mm未満、または10μm未満などの、非常に小さい食品粒径ももたらすことができる。
【0081】
食材のサイズ加工は、本明細書に記載のように、食材のサイズを、より大きいサイズから複数の非常に小さいサイズに物理的に低減する1つ以上の特徴を有する装置を利用することができる。例えば、装置は、非常に小さい食品製品粒子を生成するためのブレンダーブレード(複数可)などの1つ以上の鋭利な物品を含み得る。これらの加工特徴は、ポリエステル泡制御剤を有する水性組成物を保持するためのおけ、タンク、ビン、または容器のうちの1つ以上と組み合わせて使用することができ、これ(ら)は、切断される植物、野菜、もしくは果物を提供することができるか、またはブレンド、均質化などされた植物、野菜、もしくは果物を保持することができるか、またはその両方を行うことができる。これらの非常に小さい食品製品粒子へのサイズ加工中、ポリエステルは、さもなければ加工工程から生じ得る泡の形成を防止および/または低減することができ、本明細書に記載のポリエステルの濃度を、水性組成物中で使用することができる。加工後、食材固形物は、濾過、デカンテーション、遠心分離などの分離技術を使用して、水性部分から分離することができる。
【0082】
実施様式では、そのようなサイズ低減に続いて、食材粒子は、ポリエステル消泡剤を使用する1つ以上の他の下流の手順に供されてもよい。そのような下流の手順には、拡散/抽出、ブレンド/均質化、蒸発、および/または発酵が含まれるが、これらに限定されない。
【0083】
場合によっては、食材加工は、食材に由来する1つ以上の構成成分(複数可)を、ポリエステル消泡剤もまた含む水性組成物中に拡散させる手順であるか、またはそれを含む。拡散手順は、植物から、その後の加工段階で精製され得る糖などの所望の構成成分(複数可)を抽出することができる。清浄または洗浄装置と同様に、拡散装置は、ポリエステル泡制御剤、および植物、野菜、または果物の部分を有する水性組成物を保持することができるおけ、タンク、ビン、または容器、ならびにまた撹拌機、ミキサー、またはその中の植物、野菜、もしくは果物の部分の移動を引き起し、それによって食材の移動、および植物、野菜、もしくは果物構成成分(複数可)の水性組成物中への拡散による清浄を引き起こす同様のデバイスも含み得る。拡散のプロセスは、本明細書に記載のいずれか1つ以上のサイズの加工手順などの上流の手順によってすでに加工されている食材を利用することができる。つまり、拡散は、切断によって作製されたぶつ切りまたはスライスなどのより大きいサイズから、ブレンドなどによって作製された非常に小さい粒子までの範囲の加工食材を使用することができる。元のサイズの食材(例えば、ジャガイモまたはビート全体)よりも小さい食材部分の拡散プロセスでの使用は、食材に由来する所望の構成成分の、泡制御剤を含む水性組成物への拡散を改善することができる。ポリエステル泡制御剤の使用は、泡制御剤を用いることなく、さもなければ拡散中に形成される泡の発生を制御することができる。拡散プロセスが完了した後、水性組成物は、組成物中に溶解しない食材の部分(複数可)から分離することができる。
【0084】
場合によっては、食材加工は、食材(加工食材、または糖もしくはデンプンなどの加工食材に由来する製品など)および泡制御剤を含む組成物から水を蒸発させる手順であるか、またはそれを含む。蒸発のプロセスは、本明細書に記載のいずれか1つ以上のサイズ加工手順および/または拡散手順などの上流の手順によってすでに加工されている食材を利用することができる。例えば、組成物は、本開示による拡散プロセスで得られる糖(複数可)またはタンパク質(複数可)などの、加工食材、または食材に由来する構成成分(複数可)を含み得る。蒸発は、熱または低圧などの1つ以上の物理的処理(複数可)を使用して、水性組成物からの水の除去を容易にすることができる。蒸発装置は、食品製品およびポリエステル泡制御剤を有する水性組成物を保持することができる容器、ならびに組成物からの水の蒸発を引き起こすように操作される吸引機およびヒーターなどの特徴を含み得る。ポリエステル泡制御剤の使用は、泡制御剤を用いることなく、さもなければ蒸発中に形成される泡の発生を制御することができる。
【0085】
場合によっては、食材加工は、食材に由来する1つ以上の構成成分(複数可)を、ポリエステル消泡剤もまた含む水性組成物中で発酵させる手順であるか、またはそれを含む。発酵手順は、糖および/もしくはデンプンなどの食材に由来する1つ以上の化合物(複数可)を、エタノール、医薬品、または工業用化学物質などのバイオ製品に発酵させる、細菌または酵母などの微生物を含み得る。発酵のプロセスは、本明細書に記載のいずれか1つ以上のサイズ加工手順、拡散、および/または蒸発手順などの上流の手順によってすでに加工されている中間または前駆食材を利用することができる。発酵装置は、当該技術分野で一般的に知られているように、発酵培地の混合を引き起こすインペラーまたは撹拌機、ヒーター、ガス供給導管(複数可)などの特徴を含み得る。ポリエステル泡制御剤の使用は、泡制御剤を用いることなく、さもなければ発酵条件中に形成される泡の発生を制御することができる。
【0086】
発酵後、所望のバイオ製品は、発酵培地から分離することができる。分離は、蒸留、濾過、沈殿、遠心分離などの1つ以上のプロセスを含み得る。分離はまた、所望のバイオ製品からの泡制御剤の分離ももたらすことができる。
【0087】
一態様では、食材の加工は、さもなければ食材または食品製品を高熱に供する調理プロセス(すなわち、焼く、あぶる、揚げる、直火焼きなど)ではない。
【0088】
他の態様では、食材およびポリエステルを含む組成物は、生地、小麦粉、または乳製品の形態ではない。
【0089】
食材の加工方法におけるポリエステル泡制御剤(PEFCA)の有用性を示すために、テンサイの工業的加工100における段階を概略的に示す、図1を参照する。段階102では、未加工のテンサイ全体を、PEFCAを有する水性組成物を含み得る洗浄タンク内で、洗浄によって加工する。洗浄後、洗浄されたテンサイを、段階104でスライス装置などのサイズ加工装置に送達し、PEFCAを有する水性組成物と組み合わせて、サイズを低減する。場合によっては、サイズ低減後、加工されたテンサイは、工業的加工を終了することができ、食品製品として使用することができる。他のサイズ低減工程が含まれてもよいが、図1には示されていない。サイズ低減後、洗浄されたテンサイを、段階106で拡散タンクに送達し、そこでテンサイの糖などの1つ以上の構成成分を、PEFCAを含む水性組成物中に拡散させる。植物組織に由来する繊維を含むテンサイパルプなどの残りのテンサイ材料は、段階107に示されるように、糖含有組成物から分離することができ、パルプは、動物飼料として使用することができる。次いで、糖含有組成物は、段階108で1つ以上の精製工程に供されてもよい。精製副産物の生成は、段階109で農業目的に使用され得る。精製糖組成物は、段階110で蒸発に供されてもよく、同様にこの段階でPEFCAを使用して、泡を制御することができる。蒸発された糖は、段階112で結晶化および/または遠心分離に供され、段階114で乾燥機に送られてもよい。シロップおよび/または糖はまた、希釈段階116などの前処理、および次いで微生物およびPEFCAを含む発酵培地を使用して、発酵中の泡を制御する、段階118での発酵に関与し得る、発酵経路に送達されてもよい。発酵培地は、段階120でのPEFCAに対する蒸留などのプロセスによって分離され得る1つ以上のバイオ製品を含むことで、発酵中の泡を制御することができ、次いで蒸留された製品は、工程121および122で脱水または精留などの工程に供されてもよい。
【0090】
実施例番号食材の加工方法におけるポリエステル泡制御剤(PEFCA)の有用性を示すための別の例として、ジャガイモの工業的加工200における段階を概略的に示す、図2を参照する。段階202では、未加工のジャガイモ全体を、PEFCAを有する水性組成物を含み得る洗浄タンク内で、洗浄によって加工する。ジャガイモを、この段階で選別することもできる。洗浄および選別後、ジャガイモを、段階204で、PEFCAを有する水性組成物と組み合わせて実施することができる、皮むきおよび/または研磨装置に送達する。次いで、皮むきおよび/または研磨後、ジャガイモを、段階206で、切断装置などのサイズ低減装置に送達し、サイズ低減を、PEFCAを有する水性組成物と組み合わせて実施することができる。次いで、洗浄、皮むき、および切断されたジャガイモ部分を、冷却(段階208および212)、スピン/乾燥(段階210)、ならびに包装(段階214)などの様々な他の加工工程に供して、包装された製品216を提供することができる。
【0091】
実施例1:ポリ(ソルビチルアジペート)
13.6628gのソルビトールおよび7.307gのアジピン酸を秤量し、300mLの丸底フラスコに添加した。磁気撹拌棒をフラスコに追加し、フラスコをNで10分間パージした。混合物を低速で撹拌しながら加熱して、固体を溶融したが、120℃を超えないようにした。溶融混合物を十分に混合した後、フラスコの温度を80℃に低減させ、予備乾燥したNovoxzyme-435ビーズ2gをフラスコに添加して、反応を開始させた。混合物が分散したNovozyme 435ビーズを有する単相液体になるまで、反応フラスコを大気圧下で撹拌しながら所望の反応温度(80℃)に維持した。混合物を磁気撹拌しながら80℃に継続的に維持し、Nを緩徐にパージして、縮合反応から発生した水を除去しながら、室内真空を緩徐に適用した。反応は、約16時間続き、微細な水滴が形成されなくなったときに停止した。次いで、過剰量(約50mL)の無水tert-アミルアルコールを添加し、約10分間撹拌することによって反応を停止させた。次いで、混合物がまだ熱いうちに、200μmのフィルターバッグを使用する濾過によって酵素を除去して、溶液中の生成物を得た。生成物溶液を室温まで冷却した後、2つの層が形成された。Genevac蒸発器を使用して溶媒を除去することによって上層を収集および濃縮して、最終生成物を得た。
【0092】
実施例2:ポリ(グリセリルアジペート)
0.5558gのグリセロールおよび1.3155gのアジピン酸を秤量し、1オンスのガラスバイアルに添加した。10mLのtert-アミルアルコールおよび0.2gのNovozyme 435をバイアルに添加した。次いで、バイアルを、キャップは付けるが、振盪機(PL-SP260VS)には繋がない状態で、80℃、90rpmの撹拌速度で加熱した。反応を80℃で24時間行った。反応後、200μmのフィルターバッグを使用する濾過によって酵素を除去して、溶液中の生成物を得た。Genevac蒸発器を使用して生成物溶液中の溶媒を蒸発させて、最終生成物を得た。
【0093】
実施例3:ポリ(グリセリルアジペート)
5.5254gのグリセロールおよび13.1526gのアジピン酸を秤量し、300mLの丸底フラスコに添加した。その後、磁気撹拌棒をフラスコに追加し、これをNで10分間パージした。混合物を低速で撹拌しながら加熱して、固体を溶融したが、120℃を超えないようにした。溶融混合物を十分に混合した後、フラスコの温度を80℃に低減させ、2gの予備乾燥したNovoxzyme-435ビーズをフラスコに添加して、反応を開始させた。混合物が分散したNovozyme 435ビーズを有する単相液体になるまで、反応フラスコを大気圧下で撹拌しながら所望の反応温度(80℃)に維持した。混合物を磁気撹拌しながら80℃に継続的に維持し、Nを緩徐にパージして、縮合反応から発生した水を除去しながら、室内真空を緩徐に適用した。微細な水滴が形成されなくなるまで、反応は、約16時間続いた。過剰量(約50mL)の無水tert-アミルアルコールを添加し、約10分間撹拌することによって反応を停止させた。混合物がまだ熱い間に、200μmのフィルターバッグを使用する濾過によって酵素を除去して、溶液中の生成物を得た。生成物溶液を室温まで冷却した後、2つの層が形成された。底部層を収集し、Genevac蒸発器を使用して溶媒を蒸発させた。溶媒の大部分が蒸発した後、試料は、相分離する。上部液相を、特性評価および用途試験用の最終製品として収集した。
【0094】
実施例4:ポリ(グリセリルアジペート)
5.5254gのグリセロールとおよび13.1526gのアジピン酸を秤量し、300mLの丸底フラスコに添加し、磁気撹拌棒をフラスコに追加し、これをNで10分間パージした。混合物を低速で撹拌しながら加熱して、固体を溶融したが、120℃を超えないようにした。溶融混合物を十分に混合した後、フラスコの温度を80℃に低減させ、2gの予備乾燥したNovoxzyme-435ビーズをフラスコに添加して、反応を開始させた。混合物が分散したNovozyme 435ビーズを有する単相液体になるまで、反応フラスコを大気圧下で撹拌しながら所望の反応温度(80℃)に維持した。混合物を磁気撹拌しながら80℃に継続的に維持し、Nを緩徐にパージして、縮合反応から発生した水を除去しながら、室内真空を緩徐に適用した。微細な水滴が形成されなくなるまで、反応は、約16時間続いた。過剰量(約50mL)の無水tert-アミルアルコールを添加し、約10分間撹拌することによって反応を停止させた。混合物がまだ熱い間に、200μmのフィルターバッグを使用する濾過によって酵素を除去して、溶液中の生成物を得た。生成物溶液を室温まで冷却した後、2つの層が形成された。底部層を収集し、Genevac蒸発器を使用して溶媒を蒸発させた。溶媒の大部分が蒸発した後、試料は、相分離し、底部相を、特性評価および用途試験用の最終製品として収集した。
【0095】
実施例5:ポリ(グリセリルアジペートパルミテート)
6.9068gのグリセロールおよび10.9605gのアジピン酸および0.3203gのパルミチン酸を秤量し、300mLの丸底フラスコに添加し、磁気撹拌棒をフラスコに追加し、これをNで10分間パージした。混合物を低速で撹拌しながら加熱して、固体を溶融したが、120℃を超えないようにした。溶融混合物を十分に混合した後、フラスコの温度を80℃に低減させ、2gの予備乾燥したNovoxzyme-435ビーズをフラスコに添加して、反応を開始させた。混合物が分散したNovozyme 435ビーズを有する単相液体になるまで、反応フラスコを大気圧下で撹拌しながら所望の反応温度(80℃)に維持した。混合物を磁気撹拌しながら80℃に継続的に維持し、Nを緩徐にパージして、縮合反応から発生した水を除去しながら、室内真空を緩徐に適用した。微細な水滴が形成されなくなるまで、反応は、約16時間続いた。過剰量(約50mL)の無水tert-アミルアルコールを添加し、約10分間撹拌することによって反応を停止させた。混合物がまだ熱い間に、200μmのフィルターバッグを使用する濾過によって酵素を除去して、溶液中の生成物を得た。生成物溶液を室温まで冷却した後、2つの層が形成された。底部層を収集し、Genevac蒸発器を使用して溶媒を蒸発させて、特性評価および用途試験用の最終製品を得た。
【0096】
実施例6:ポリ(グリセリルアジペートパルミテート)
0.4605gのグリセロール、0.9142gのアジピン酸、および0.6469gのパルミチン酸を秤量し、1オンスのガラスバイアルに添加し、次いで10mLのtert-アミルアルコールおよび0.2gのNovozyme 435をこのバイアルに添加した。次いで、バイアルを、キャップは付けるが、振盪機(PL-SP260VS)には繋がない状態で、80℃、90rpmの撹拌速度で加熱した。反応を80℃で48時間維持し、混合物がまだ熱い間に、200μmのフィルターバッグを使用する濾過によって酵素を除去して、溶液中の生成物を得た。Genevac蒸発器を使用して溶媒を蒸発させて、最終生成物を得た。
【0097】
実施例7:ポリ(グリセリルアジペートパルミテート)
6.90675gのグリセロール、10.9605gのアジピン酸、および0.3203gのパルミチン酸を300mLの丸底フラスコに秤量し、磁気撹拌棒をフラスコに追加し、これをNで10分間パージした。50mLのtert-アミルアルコールをフラスコに添加し、次いでフラスコをNでパージして、空気を除去した。フラスコを撹拌しながら80℃まで加熱し、乾燥したNovoxzyme-435ビーズ2gをフラスコに添加して、反応を開始させた。フラスコをNで緩徐にパージしながら、凝縮器を追加して、過剰量の溶媒の除去を回避した。混合物を磁気撹拌しながら80℃に維持し、時折、Nで緩徐にパージして、縮合反応から発生した水を除去した。微細な水滴が形成されなくなるまで反応を保持し、これには約24時間かかった。10mLの無水tert-アミルアルコールを添加することによって反応を停止させ、混合物がまだ熱い間に、200μmのフィルターバッグを使用する濾過によって酵素を除去して、溶液中の生成物を得た。Genevac蒸発器を使用して溶媒を蒸発させた。溶媒の大部分が蒸発した後、試料は、相分離し、上部液相を、特性評価および用途試験用の最終製品として取得した。
【0098】
実施例8:ポリ(グリセリルアジペートパルミテート)
合成プロセスは、実施例7と同じである。しかし、溶媒の大部分が蒸発した後、試料は、相分離し、底部層を、特性評価および用途試験用の最終製品として収集した。
【0099】
2部:特性評価
選択した試料の分子量平均を、GPCを使用して特性評価した。GPC方法を以下に記載する。
【0100】
試料調製
すべての試料を、GPC溶媒中、約5mg/mLで調製した。各試料の正確な濃度を記録した。試料を水平振盪機で周囲温度で少なくとも2時間振盪して、溶解プロセスを促進した。調製した試料を、注入前に0.45μmのPTFEフィルターを使用してオートサンプラーバイアルに濾過した。濾過プロセス中に抵抗は観察されなかった。
【0101】
計装
GPC機器のセットアップは、Agilent 1100シリーズHPLCシステム(脱気器、ポンプ、オートサンプラー、紫外可視光検出器)、およびWyatt T-rEX屈折率検出器からなった。ASTRA7.0.1.24を使用して、データを取得および処理した。
【0102】
GPC条件
カラムは、2つのAgilent PL PolarGel-M(6μmの粒子を充填、7.5×300mm)カラムであった。移動相は、50mMのLiBrを有するジメチルアセトアミドであった。流量は、0.5mL/分であった。試料溶媒は、移動相と同じであった。試料濃度は、約5mg/mLであった。試料溶液の注入量は、100μLであった。濃度検出は、屈折率検出器であった。カラム較正標準は、PMMAであった。狭幅標準のピークモル質量はそれぞれ、1944000、790000、281700、144000、79250、28900、13300、5720、1960、1020g/molであった。これらのPMMA標準のSECピーク位置を使用して、3次較正曲線を構築した。実施例の得られたポリエステルのPMMA相対数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、および多分散度指数(PDI=Mw/Mn)を、表1に列挙する。
【表1】
【0103】
MALDI分析はまた、これらの試料のモル質量の構成成分が同様の範囲内にあることも実証した(データ示さず)。
【0104】
3部:泡制御性能評価
ジャガイモを洗浄し、皮をむき、スライスした。780gのスライスしたジャガイモおよび520gの脱イオン水をキッチンミキサーに添加し、1分間混合した。ジャガイモのスラリーが生成された。次いで、スラリーを濾紙で濾過し、液体を性能試験用の泡培地液体として収集し、この泡培地をジャガイモ液と名付けた。
【0105】
同様に、780gの皮をむいたテンサイおよび520gの脱イオン水を混合し、性能試験用に濾過し、この泡培地をテンサイ液と名付けた。
【0106】
実施例1~8の0.5gを99.5gの泡培地に添加した。各実施例について、100gの全液体を性能評価用に得た。
【0107】
比較のために、ポリエステルオリゴマーを有しない100の泡培地を調製し、比較例として標識した。
【0108】
スパージ管試験を利用して、ポリエステルオリゴマーの泡制御特性を評価した。各実施例の100gの上記の液体を、1000mLの体積および5cmの直径を有するガラスシリンダーに別々に添加した。シリンダーの底部にエアグリットを置き、シリンダーの底部から空気を通気させた。気流を、1に設定したAmetek Lo-Flo 0-10フロートメーターによって制御した。泡の体積を、気流を適用した後の最初の10分間記録した。泡の体積が最初の10分間以内に1000mLに達したとき、実験を停止した。
【0109】
表2および表3は、時間の関数における、ポリエステルオリゴマーを有する場合および有しない場合の、それぞれテンサイ液およびジャガイモ液の泡の体積である。表に示されるように、泡培地中にポリエステルオリゴマーが存在するジャガイモ液およびテンサイ液泡培地(実施例1~8)の両方について、泡は、ポリエステルオリゴマーを有しない泡培地(比較例)よりもはるかに良好に制御され得るが、これは、消泡剤を有しない両方の泡培地について、泡の体積が約2分間以内に急速に1000mLに達したためである。
【表2】

【表3】
図1
図2
【国際調査報告】