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特表2022-505519難燃性HIPS材料及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】難燃性HIPS材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 55/04 20060101AFI20220106BHJP
   C08K 5/3492 20060101ALI20220106BHJP
   C08K 3/016 20180101ALI20220106BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20220106BHJP
   C08L 27/12 20060101ALI20220106BHJP
   C08K 3/014 20180101ALI20220106BHJP
【FI】
C08L55/04
C08K5/3492
C08K3/016
C08K3/22
C08L27/12
C08K3/014
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521794
(86)(22)【出願日】2019-10-30
(85)【翻訳文提出日】2021-04-21
(86)【国際出願番号】 CN2019114369
(87)【国際公開番号】W WO2020108217
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】201811459227.7
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520070792
【氏名又は名称】金発科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】KINGFA SCI. & TECH. CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.33 Kefeng Road, Science City, Hi-Tech Industrial Development Zone, Guangzhou, Guangdong 510663, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】秦 旺平
(72)【発明者】
【氏名】付 錦鋒
(72)【発明者】
【氏名】肖 鵬
(72)【発明者】
【氏名】黄 険波
(72)【発明者】
【氏名】葉 南▲ビャオ▼
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AE043
4J002BD122
4J002BN141
4J002CP033
4J002DE128
4J002EB137
4J002EF019
4J002EG019
4J002EJ019
4J002EJ029
4J002EL027
4J002EN009
4J002EP009
4J002EU017
4J002EU179
4J002EU186
4J002EW069
4J002FD049
4J002FD079
4J002FD136
4J002FD137
4J002FD138
4J002FD173
4J002FD179
(57)【要約】
本発明は、難燃性HIPS材料及びその製造方法を開示し、前記難燃性HIPS材料は、HIPS樹脂90~67部、臭素系難燃剤8~15部、補助難燃剤3~7部を成分として含み、前記補助難燃剤は1,3,5-トリアジン系化合物である。本発明は、臭素系難燃剤と補助難燃剤を相乗的に配合することにより、臭素系難燃剤の使用量を効果的に低減させ、安定的なUL 94(1.5mm)V-0 難燃等級を達成することができ、従来の臭素系難燃性HIPSに比べて、低ハロゲン含有量、低ガス量、高いコストパフォーマンスを有し、過量の酸性ガスにより製品の表面にバーンマークが形成されることを回避し、優れた外観性を有し、薄肉製品の分野、たとえばオフィス設備、映画やテレビのマルチメディア、家電製品の分野などに幅広く適用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HIPS樹脂90~67重量部、臭素系難燃剤10~15重量部、補助難燃剤3~7重量部を成分として含み、
前記補助難燃剤は1,3,5-トリアジン系化合物であり、下記構造を有する化学物質又は誘導体である、ことを特徴とする難燃性HIPS材料。
(ただし、R、R、Rは同じであり、それぞれ独立して、-P(C、-P(CH、-PH、-PH、-SiH、--SiCl、-SiOH、SiHCl、-SiHO、-((CHSi)O、-NHR、-NR、-NCH、-NO、-NH、-NCO、-N(CH)又は-NClを表す。)
【請求項2】
前記HIPS樹脂は、ブタジエン-スチレングラフト共重合体であり、HIPS樹脂の全重量に対して、ゴム含有量が7~11wt%である、ことを特徴とする請求項1に記載の難燃性HIPS材料。
【請求項3】
前記HIPS樹脂のメルトフローレートは、200℃、5Kgの負荷条件下で5~15g/minである、ことを特徴とする請求項1に記載の難燃性HIPS材料。
【請求項4】
前記臭素系難燃剤は、デカブロモジフェニルエタン、臭素化エポキシ、テトラブロモビスフェノール A、トリス(トリブロモフェノキシ)トリアジン、2,2-ビス[3,5-ジブロモ-4-(2,3-ジブロモプロポキシ)フェニル]プロパン又は臭化イミンのうちの1種又は複数種の混合物である、ことを特徴とする請求項1に記載の難燃性HIPS材料。
【請求項5】
アンチモン系難燃相乗剤1~7重量部、滴下防止剤0.01~2重量部、加工助剤0~2重量部をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の難燃性HIPS材料。
【請求項6】
前記アンチモン系難燃相乗剤は、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム又は亜リン酸アンチモンのうちの1種又は複数種であり、前記滴下防止剤は、パーフルオロポリオレフィン又はスチレン-アクリロニトリル被覆パーフルオロポリオレフィンであり、前記加工助剤は、酸化防止剤、潤滑剤又は抗光熱酸化剤のうちの1種又は複数種である、ことを特徴とする請求項5に記載の難燃性HIPS材料。
【請求項7】
難燃性HIPS材料の全重量に対して、リン元素の重量含有量が30ppm~3000ppmである、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の難燃性HIPS材料。
【請求項8】
難燃性HIPS材料の全重量に対して、窒素元素の重量含有量が500ppm~50000ppmである、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の難燃性HIPS材料。
【請求項9】
前記リン元素の重量含有量の測定方法において、測定試料粒子0.4g~0.6gを丸底フラスコに投入し、濃HSO 10mlとH 5mlを加えて、480℃の電気加熱プレートにおいて完全に炭化するまで35min~45min溶融し、炭化終了後、5min冷却した後、適量のHを加えて、完全に炭化したか否かを判断し、完全に炭化していない場合、完全に炭化するまでHを加え続け、その後、100mlメスフラスコにて冷却して定容し、濾過して、遠心分離して上澄み液を取り、その後、誘導結合プラズマ発光分析ICPを行う、ことを特徴とする請求項7に記載の難燃性HIPS材料。
【請求項10】
前記窒素元素の重量含有量の測定方法において、ケルダール法を用いて、濃度が適切なタンパク質溶液1.0mLをフラスコに加え、分析試料をフラスコの底部に加え、硫酸カリウム-硫酸銅0.3g、濃硫酸2.0mL、30%過酸化水素1.0Mlを順次加えて、フラスコ内の物質が炭化して黒くなるまで弱火で加熱して沸騰させ、無機窒素標準試料の蒸留吸収、測定試料及び空白試料の蒸留吸収を行い、試料処理後、酸式マイクロビュレットを用いて0.0100mol/Lの標準塩酸溶液で滴定し、滴定ごとに使用される標準塩酸溶液のミリリットル数を記録し、最後に、測定試料の窒素元素含有量を算出する、ことを特徴とする請求項8に記載の難燃性HIPS材料。
【請求項11】
各成分の原料を所定配合比で高速ミキサーにて3~6分間十分に混合して、混合物を得るステップaと、
精密に計量された供給装置により、押出機スクリューの各部分の温度が170~220℃に制御され、二軸押出機のアスペクト比が30~35、スクリュー回転数が300~800回転/分の二軸押出機に上記混合物を送り、スクリューによりせん断、混合、搬送をしながら、材料を十分に溶融して混合し、その後、押し出して造粒し、乾燥させて難燃性HIPS粒子を得るステップbと、
難燃性HIPS粒子を射出成形機に加えて測定対象のストランドに成形し、射出成形条件として、バレル温度185~220℃、射出成形圧力40~60MPa、速度40~70cm/sとするステップcと
を含む、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の難燃性HIPS材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性高分子材料の分野に関し、具体的には、難燃性HIPS材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
難燃性HIPS樹脂は、良好な機械的特性、加工特性及び後加工特性、良好な寸法安定性や低い成形収縮率のため、視聴覚機器のケース、オフィス設備のケース、家電製品、電力変換装置などの分野に幅広く適用されている。
【0003】
現在の難燃性HIPS技術としては、ハロゲン含有難燃システムと、ハロゲンフリー難燃システムとの2種があり、ハロゲンフリー難燃システムの方は、より環境にやさしく、金型に対する腐食性が低く、ガス量が少ない反面、材料コスト及び加工のエネルギー消費量が高いため、市場への幅広い使用及び普及が制限されてしまい、通常のハロゲン含有難燃性HIPS材料には、HIPS樹脂用のハロゲン系難燃剤、アンチモン酸化物又は塩、滴下防止剤や酸化防止剤、潤滑剤などの必須な加工助剤が含有されており、剛性、流動性、靭性のバランスが取られた製品を製造することができる。しかし、ハロゲン系難燃剤の含有量が高すぎるため、材料が成型加工において加熱されて分解すると、多くのハロゲン化水素ガスが生じて、このような酸性ガスにより製品の表面にバーンマークが形成され、製品の外観性が損なわれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の欠陥及び欠点を解決するために、本発明の目的は、難燃性、安定性を有し、しかも外観性に優れた低ハロゲン含有量難燃性HIPS材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の技術案により実現される。
【0006】
難燃性HIPS材料であって、
HIPS樹脂90~67重量部、臭素系難燃剤10~15重量部、補助難燃剤3~7重量部を成分として含み、
前記補助難燃剤は1,3,5-トリアジン系化合物である。
【0007】
前記1,3,5-トリアジン系化合物は、下記構造を有する化学物質又は誘導体である。
(ただし、R、R、Rは同じであり、それぞれ独立して、-P(C、-P(CH、-PH、-PH、-SiH、--SiCl、-SiOH、SiHCl、-SiHO、-((CHSi)O、-NHR、-NR、-NCH、-NO、-NH、-NCO、-N(CH)又は-NClを表す。)
【0008】
前記HIPS樹脂は、ブタジエン-スチレングラフト共重合体であり、HIPS樹脂の全重量に対して、ゴム含有量が7~11wt%であり、メルトフローレートが200℃、5Kgの負荷条件下で5~15g/minである。
【0009】
前記臭素系難燃剤は、デカブロモジフェニルエタン、臭素化エポキシ、テトラブロモビスフェノール A、トリス(トリブロモフェノキシ)トリアジン、2,2-ビス[3,5-ジブロモ-4-(2,3-ジブロモプロポキシ)フェニル]プロパン又は臭化イミンのうちの1種又は複数種の混合物である。
【0010】
実際に必要とされる特性に応じて、本発明に係る難燃性HIPS材料は、アンチモン系難燃相乗剤1~7重量部、滴下防止剤0.01~2重量部、加工助剤0~2重量部をさらに含む。
【0011】
前記アンチモン系難燃相乗剤は、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム又は亜リン酸アンチモンのうちの1種又は複数種であり、前記滴下防止剤は、パーフルオロポリオレフィン又はスチレン-アクリロニトリル被覆パーフルオロポリオレフィンであり、前記加工助剤は、酸化防止剤、潤滑剤又は抗光熱酸化剤のうちの1種又は複数種である。
【0012】
前記酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系主酸化防止剤と亜リン酸エステル類補助酸化防止剤との配合物であり、
前記抗光熱酸化剤は、アルキル化ヒンダードポリフェノール、ヒンダードモノフェノール、アミン類、亜リン酸エステル類又はヒドロキシベンゾトリアゾールのうちの1種又は複数種の混合物であり、
前記潤滑剤は、脂肪族アミド、脂肪酸又はその塩、白鉱油、シリコーンオイル又はポリシリコーンのうちの1種又は複数種の混合物である。
【0013】
好ましくは、難燃性HIPS材料の全重量に対して、リン元素の重量含有量が30ppm~3000ppmであり、窒素元素の重量含有量が500ppm~50000ppmである。
【0014】
前記リン元素の重量含有量の測定方法において、測定試料粒子0.4g~0.6gを丸底フラスコに投入し、濃HSO 10mlとH 5mlを加えて、480℃の電気加熱プレートにおいて完全に炭化するまで35min~45min溶融し、炭化終了後、5min冷却した後、適量のHを加えて、完全に炭化したか否かを判断し、完全に炭化していない場合、完全に炭化するまでHを加え続け、その後、100mlメスフラスコにて冷却して定容し、濾過して、遠心分離して上澄み液を取り、その後、誘導結合プラズマ発光分析ICPを行い、値を10桁に丸める。
【0015】
前記窒素元素の重量含有量の測定方法において、ケルダール法を用いて、濃度が適切なタンパク質溶液1.0mLをフラスコに加え、分析試料をフラスコの底部に加え、硫酸カリウム-硫酸銅0.3g、濃硫酸2.0mL、30%過酸化水素1.0Mlを順次加えて、フラスコ内の物質が炭化して黒くなるまで弱火で加熱して沸騰させ、無機窒素標準試料の蒸留吸収、測定試料及び空白試料の蒸留吸収を行い、試料処理後、酸式マイクロビュレットを用いて0.0100mol/Lの標準塩酸溶液で滴定し、滴定ごとに使用される標準塩酸溶液のミリリットル数を記録し、最後に、測定試料の窒素元素含有量を算出し、値を10桁に丸める。
【0016】
本発明は、
各成分の原料を所定配合比で高速ミキサーにて3~6分間十分に混合して、混合物を得るステップaと、
精密に計量された供給装置により、押出機スクリューの各部分の温度が170~220℃に制御され、二軸押出機のアスペクト比が30~35、スクリュー回転数が300~800回転/分の二軸押出機に上記混合物を送り、スクリューによりせん断、混合、搬送をしながら、材料を十分に溶融して混合し、その後、押し出して造粒し、乾燥させて難燃性HIPS粒子を得るステップbと、
難燃性HIPS粒子を射出成形機に加えて測定対象のストランドに成形し、射出成形条件として、バレル温度185~220℃、射出成形圧力40~60MPa、流量40~70cm/sとするステップcと
を含む、上記難燃性HIPS材料の製造方法をさらに提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、従来技術に比べて、下記有益な効果を有する。
(1)本発明では、臭素系難燃剤と補助難燃剤を相乗的に配合することにより、臭素系難燃剤の使用量を効果的に低減させ、難燃コストを削減させ、気相と凝集相の複合による難燃機序を利用して、安定的なUL 94(1.5mm)V-0 難燃等級を達成することができる。
(2)本発明による難燃性HIPS材料は、従来の臭素系難燃性HIPSに比べて、低ハロゲン含有量、低ガス量、高いコストパフォーマンスを有し、過量の酸性ガスにより製品の表面にバーンマークが形成されることを回避し、優れた外観性を有し、薄肉製品の分野、たとえばオフィス設備、映画やテレビのマルチメディア、家電製品の分野などに幅広く適用できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、具体的な実施形態にて本発明をさらに説明するが、以下の実施例は本発明の好適な実施形態であるが、本発明の実施形態は下記実施例により制限されない。
【0019】
本発明で使用される原料は以下のとおりであり、すべて市販原料である。
HIPS 樹脂、PS 350K、台湾国亨公司製、ゴム含有量7~11wt%、メルトフローレート 200℃、5Kg負荷条件下で5~15g/min;
臭素系難燃剤:
デカブロモジフェニルエタン、市販由来;
臭素化エポキシ、市販由来;
臭素代トリアジン、市販由来;
臭化イミン、市販由来;
補助難燃剤1:R、R及びRが同じホスホアルキル基(-P(CH)又はリン酸基(-PH);
補助難燃剤2:R、R及びRが同じシリル基(-SiH3)又はアミン基(-NH);
潤滑剤:EBS B50、鋭馳化工製;
難燃相乗剤:三酸化アンチモン、益陽銀城鉱産製;
滴下防止剤、5935EF、米国3M社製。
【0020】
【0021】
実施例1~8及び比較例1~3:難燃性HIPS材料の製造
a、各成分の原料を所定配合比で高速ミキサーにて3~6分間十分に混合して、混合物を得た。
b、精密に計量された供給装置により、押出機スクリューの各部分の温度が170~220℃に制御され、二軸押出機のアスペクト比が30~35、スクリュー回転数が300~800回転/分の二軸押出機に上記混合物を送り、スクリューによりせん断、混合、搬送をしながら、材料を十分に溶融して混合し、その後、押し出して造粒し、乾燥させて難燃性HIPS粒子を得た。
c、難燃性HIPS粒子を射出成形機に加えて測定対象のストランドに成形し、射出成形条件として、バレル温度185~220℃、射出成形圧力40~60MPa、流量40~70cm/sとした。
難燃性HIPS材料の特性を測定し、データを表1に示す。
【0022】
【0023】
表1の実施例及び比較例を比較して分かるように、補助難燃剤とさまざまな臭素系難燃剤が共同作用することにより、V-0の難燃効果を達成することができ、両方は、相乗作用を有し、臭素系難燃剤の使用量を効果的に低減させ、難燃コストを削減させ、両方を組み合わせて配合すると、材料は安定的UL 94(1.5mm)V-0 難燃等級を達成できるとともに、過量の酸性ガスにより製品の表面にバーンマークが形成されることを回避し、優れた外観性を有する。
【手続補正書】
【提出日】2021-04-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HIPS樹脂90~67重量部、臭素系難燃剤10~15重量部、補助難燃剤3~7重量部を成分として含み、
前記補助難燃剤は1,3,5-トリアジン系化合物であり、下記構造を有する化学物質又は誘導体である、ことを特徴とする難燃性HIPS材料。
(ただし、R、R、Rは同じであり、それぞれ独立して、-P(C、-P(CH、-PH、-PH、-SiH-SiCl、-SiOHSiHCl、-SiHO、-((CHSi)O、-NHR、-NR、-NCH、-NO、-NH、-NCO、-N(CH)又は-NClを表す。)
【請求項2】
前記HIPS樹脂は、ブタジエン-スチレングラフト共重合体であり、HIPS樹脂の全重量に対して、ゴム含有量が7~11wt%である、ことを特徴とする請求項1に記載の難燃性HIPS材料。
【請求項3】
前記HIPS樹脂のメルトフローレートは、200℃、5gの負荷条件下で5~15g/minである、ことを特徴とする請求項1に記載の難燃性HIPS材料。
【請求項4】
前記臭素系難燃剤は、デカブロモジフェニルエタン、臭素化エポキシ、テトラブロモビスフェノール A、トリス(トリブロモフェノキシ)トリアジン、2,2-ビス[3,5-ジブロモ-4-(2,3-ジブロモプロポキシ)フェニル]プロパン又は臭化イミンのうちの1種又は複数種の混合物である、ことを特徴とする請求項1に記載の難燃性HIPS材料。
【請求項5】
アンチモン系難燃相乗剤1~7重量部、滴下防止剤0.01~2重量部、加工助剤0~2重量部をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の難燃性HIPS材料。
【請求項6】
前記アンチモン系難燃相乗剤は、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム又は亜リン酸アンチモンのうちの1種又は複数種であり、前記滴下防止剤は、パーフルオロポリオレフィン又はスチレン-アクリロニトリル被覆パーフルオロポリオレフィンであり、前記加工助剤は、酸化防止剤、潤滑剤又は抗光熱酸化剤のうちの1種又は複数種である、ことを特徴とする請求項5に記載の難燃性HIPS材料。
【請求項7】
難燃性HIPS材料の全重量に対して、リン元素の重量含有量が30ppm~3000ppmである、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の難燃性HIPS材料。
【請求項8】
難燃性HIPS材料の全重量に対して、窒素元素の重量含有量が500ppm~50000ppmである、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の難燃性HIPS材料。
【請求項9】
前記リン元素の重量含有量の測定方法において、測定試料粒子0.4g~0.6gを丸底フラスコに投入し、濃HSO 10mlとH 5mlを加えて、480℃の電気加熱プレートにおいて完全に炭化するまで35min~45min溶融し、炭化終了後、5min冷却した後、適量のHを加えて、完全に炭化したか否かを判断し、完全に炭化していない場合、完全に炭化するまでHを加え続け、その後、100mlメスフラスコにて冷却して定容し、濾過して、遠心分離して上澄み液を取り、その後、誘導結合プラズマ発光分析ICPを行う、ことを特徴とする請求項7に記載の難燃性HIPS材料。
【請求項10】
前記窒素元素の重量含有量の測定方法において、ケルダール法を用いて、濃度が適切なタンパク質溶液1.0mLをフラスコに加え、分析試料をフラスコの底部に加え、硫酸カリウム-硫酸銅0.3g、濃硫酸2.0mL、30%過酸化水素1.0mLを順次加えて、フラスコ内の物質が炭化して黒くなるまで弱火で加熱して沸騰させ、無機窒素標準試料の蒸留吸収、測定試料及び空白試料の蒸留吸収を行い、試料処理後、酸式マイクロビュレットを用いて0.0100mol/Lの標準塩酸溶液で滴定し、滴定ごとに使用される標準塩酸溶液のミリリットル数を記録し、最後に、測定試料の窒素元素含有量を算出する、ことを特徴とする請求項8に記載の難燃性HIPS材料。
【請求項11】
各成分の原料を所定配合比で高速ミキサーにて3~6分間十分に混合して、混合物を得るステップaと、
精密に計量された供給装置により、押出機スクリューの各部分の温度が170~220℃に制御され、二軸押出機のアスペクト比が30~35、スクリュー回転数が300~800回転/分の二軸押出機に上記混合物を送り、スクリューによりせん断、混合、搬送をしながら、材料を十分に溶融して混合し、その後、押し出して造粒し、乾燥させて難燃性HIPS粒子を得るステップbと、
難燃性HIPS粒子を射出成形機に加えて測定対象のストランドに成形し、射出成形条件として、バレル温度185~220℃、射出成形圧力40~60MPa、速度40~70cm/sとするステップcと
を含む、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の難燃性HIPS材料の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
前記1,3,5-トリアジン系化合物は、下記構造を有する化学物質又は誘導体である。
(ただし、R、R、Rは同じであり、それぞれ独立して、-P(C、-P(CH、-PH、-PH、-SiH-SiCl、-SiOHSiHCl、-SiHO、-((CHSi)O、-NHR、-NR、-NCH、-NO、-NH、-NCO、-N(CH)又は-NClを表す。)
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
前記HIPS樹脂は、ブタジエン-スチレングラフト共重合体であり、HIPS樹脂の全重量に対して、ゴム含有量が7~11wt%であり、メルトフローレートが200℃、5gの負荷条件下で5~15g/minである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
前記窒素元素の重量含有量の測定方法において、ケルダール法を用いて、濃度が適切なタンパク質溶液1.0mLをフラスコに加え、分析試料をフラスコの底部に加え、硫酸カリウム-硫酸銅0.3g、濃硫酸2.0mL、30%過酸化水素1.0mLを順次加えて、フラスコ内の物質が炭化して黒くなるまで弱火で加熱して沸騰させ、無機窒素標準試料の蒸留吸収、測定試料及び空白試料の蒸留吸収を行い、試料処理後、酸式マイクロビュレットを用いて0.0100mol/Lの標準塩酸溶液で滴定し、滴定ごとに使用される標準塩酸溶液のミリリットル数を記録し、最後に、測定試料の窒素元素含有量を算出し、値を10桁に丸める。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
本発明で使用される原料は以下のとおりであり、すべて市販原料である。
HIPS 樹脂、PS 350K、台湾国亨公司製、ゴム含有量7~11wt%、メルトフローレート 200℃、5Kg負荷条件下で5~15g/min;
臭素系難燃剤:
デカブロモジフェニルエタン、市販由来;
臭素化エポキシ、市販由来;
臭素代トリアジン、市販由来;
臭化イミン、市販由来;
補助難燃剤1:R、R及びRが同じホスホアルキル基(-P(CH)又はリン酸基(-PH);
補助難燃剤2:R、R及びRが同じシリル基(-SiH )又はアミン基(-NH);
潤滑剤:EBS B50、鋭馳化工製;
難燃相乗剤:三酸化アンチモン、益陽銀城鉱産製;
滴下防止剤、5935EF、米国3M社製。
【国際調査報告】