(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】術前および他の薬物との組み合わせでのメロキシカムの静脈内投与方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/5415 20060101AFI20220106BHJP
A61K 31/485 20060101ALI20220106BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220106BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220106BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20220106BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220106BHJP
A61P 1/12 20060101ALI20220106BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20220106BHJP
A61P 7/04 20060101ALI20220106BHJP
A61K 31/167 20060101ALI20220106BHJP
A61K 31/195 20060101ALI20220106BHJP
A61K 31/4178 20060101ALI20220106BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20220106BHJP
A61K 31/46 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
A61K31/5415
A61K31/485
A61K45/00
A61P29/00
A61P25/04
A61P43/00 121
A61P1/12
A61P31/04
A61P7/04
A61K31/167
A61K31/195
A61K31/4178
A61K31/573
A61K31/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521960
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(85)【翻訳文提出日】2021-06-22
(86)【国際出願番号】 US2019057692
(87)【国際公開番号】W WO2020086737
(87)【国際公開日】2020-04-30
(32)【優先日】2018-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520345173
【氏名又は名称】ボーダックス バイオ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マック、ランダール ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】マッカラム、ステュアート
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA19
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4C206AA01
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4C206ZB35
4C206ZC41
4C206ZC75
(57)【要約】
本開示は、外科的処置を受ける予定の患者における痛みを治療する方法であって、外科的処置の開始前に患者にメロキシカムを投与することを含む方法を提供する。ある実施態様においては、メロキシカムはナノ結晶メロキシカムである。本開示は、それを必要とする患者における痛みを治療する方法であって、アセトアミノフェンおよび/またはガバペンチンと組み合わせて、メロキシカムを患者に静脈内投与すること含む方法をさらに提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要とする患者において痛みを治療する方法であって、患者が外科的処置を受ける予定の患者であり、外科的処置の開始前に患者にメロキシカムを投与することを含む方法。
【請求項2】
痛みが急性の痛みである請求項1記載の方法。
【請求項3】
メロキシカムがナノ結晶メロキシカムとして存在する請求項1および2記載の方法。
【請求項4】
ナノ結晶メロキシカムがコロイド分散状態にある請求項3記載の方法。
【請求項5】
メロキシカムが、約5mg~約180mgの範囲の量で患者に投与される請求項1~4記載の方法。
【請求項6】
メロキシカムが、約15mg~約60mgの量で患者に投与される請求項1~5記載の方法。
【請求項7】
メロキシカムが、約30mgの量で患者に投与される請求項1~6記載の方法。
【請求項8】
メロキシカムが、患者に静脈内投与される請求項1~7記載の方法。
【請求項9】
メロキシカムが、約5秒~約60秒かけて患者に静脈内投与される請求項1~8記載の方法。
【請求項10】
メロキシカムが、約10秒~約60秒かけて患者に静脈内投与される請求項1~9記載の方法。
【請求項11】
メロキシカムが、約15秒~約30秒かけて患者に静脈内投与される請求項1~10記載の方法。
【請求項12】
メロキシカムが、約15秒かけて患者に静脈内投与される請求項1~11記載の方法。
【請求項13】
メロキシカムが、外科的処置の開始前約2時間以内に患者に投与される請求項1~12記載の方法。
【請求項14】
メロキシカムが、外科的処置の開始前約45分間以内に患者に投与される請求項1~13記載の方法。
【請求項15】
メロキシカムが、外科的処置の開始前約30分間以内に患者に投与される請求項1~14記載の方法。
【請求項16】
メロキシカムが、麻酔の投与前に患者に投与される請求項1~12記載の方法。
【請求項17】
メロキシカムが、麻酔の投与後に患者に投与される請求項1~12記載の方法。
【請求項18】
外科的処置が軟組織、硬組織またはその組み合わせに行われる請求項1~17記載の方法。
【請求項19】
外科的処置が直視下外科的処置を含む請求項1~18記載の方法。
【請求項20】
外科的処置が腹腔鏡手術を含む請求項1~18記載の方法。
【請求項21】
外科的処置が結腸直腸手術を含む請求項1~20記載の方法。
【請求項22】
外科的処置が整形外科的処置を含む請求項1~20記載の方法。
【請求項23】
ガバペンチン、アセトアミノフェンまたはその組み合わせを外科的処置の開始前に患者に投与することをさらに含む請求項1~22記載の方法。
【請求項24】
外科的処置前、外科的処置中、または外科的処置後に患者に鎮痛剤を投与することをさらに含む請求項1~22記載の方法。
【請求項25】
鎮痛剤が、アセトアミノフェン、オピオイド、またはその組み合わせを含む請求項24記載の方法。
【請求項26】
オピオイドがオキシコドンである請求項25記載の方法。
【請求項27】
外科手術の開始前にメロキシカムを投与した後、かつ患者がもはや必要としなくなるまで、約18時間ごと~約26時間ごとに患者にメロキシカムを投与することをさらに含む請求項1~26記載の方法。
【請求項28】
外科手術の開始前にメロキシカムを投与した後、約24時間後、約48時間後、約72時間後および/または約96時間後に患者にメロキシカムを投与することをさらに含む請求項27記載の方法。
【請求項29】
外科手術の開始前にメロキシカムを投与した後、約24時間ごとに患者にメロキシカムを投与することをさらに含む請求項27記載の方法。
【請求項30】
患者において急性の痛みを治療する方法であって、患者が軟組織の外科手術を受ける予定の患者であり、ナノ結晶コロイド分散(NCD)メロキシカムを、軟組織の外科手術の開始の約30分前に約30mgの量で患者に約15秒かけて静脈内投与することを含む方法。
【請求項31】
外科手術の開始前にNCDメロキシカムを投与した後、かつ患者がもはや必要としなくなるまで、約18時間ごと~約26時間ごとに患者にNCDメロキシカムを投与することをさらに含む請求項30記載の方法。
【請求項32】
外科手術の開始前にNCDメロキシカムを投与した後、約24時間後、約48時間後、約72時間後および/または約96時間後に患者にNCDメロキシカムを投与することをさらに含む請求項31記載の方法。
【請求項33】
患者において急性の痛みを治療する方法であって、患者が硬組織の外科手術を受ける予定の患者であり、ナノ結晶コロイド分散(NCD)メロキシカムを、麻酔の投与後かつ外科手術の開始前に約30mgの量で患者に約15秒かけて静脈内投与することを含む方法。
【請求項34】
外科手術の開始前にNCDメロキシカムを投与した後、かつ患者がもはや必要としなくなるまで、約24時間ごとに患者にNCDメロキシカムを投与することをさらに含む請求項33記載の方法。
【請求項35】
外科手術の開始前にNCDメロキシカムを投与した後、約24時間後、約48時間後、約72時間後および/または約96時間後に患者にNCDメロキシカムを投与することをさらに含む請求項33記載の方法。
【請求項36】
痛みが中程度から重度の痛みである請求項1~35記載の方法。
【請求項37】
必要とする患者において痛みを治療する方法であって、アセトアミノフェンおよび/またはガバペンチンと組み合わせてメロキシカムを患者に静脈内投与することをさらに含む方法。
【請求項38】
痛みが急性の痛みである請求項37記載の方法。
【請求項39】
メロキシカムがナノ結晶メロキシカムとして存在する請求項37および38記載の方法。
【請求項40】
ナノ結晶メロキシカムがコロイド分散状態にある請求項39記載の方法。
【請求項41】
メロキシカムが、約5mg~約180mgの範囲の量で患者に投与される請求項37~40記載の方法。
【請求項42】
メロキシカムが、約15mg~約60mgの量で患者に投与される請求項37~41記載の方法。
【請求項43】
メロキシカムが、約30mgの量で患者に投与される請求項37~42記載の方法。
【請求項44】
メロキシカムが、約5秒~約60秒かけて患者に静脈内投与される請求項37~43記載の方法。
【請求項45】
メロキシカムが、約10秒~約60秒かけて患者に静脈内投与される請求項37~44記載の方法。
【請求項46】
メロキシカムが、約15秒~約30秒かけて患者に静脈内投与される請求項37~45記載の方法。
【請求項47】
メロキシカムが、約15秒かけて患者に静脈内投与される請求項37~46記載の方法。
【請求項48】
メロキシカムが、アセトアミノフェンと組み合わせて患者に投与されることを含む請求項37~47記載の方法。
【請求項49】
アセトアミノフェンが、経口、静脈内またはその組み合わせで投与される請求項48記載の方法。
【請求項50】
アセトアミノフェンが、約5mg~約1gの範囲の量で投与される請求項48および49記載の方法。
【請求項51】
アセトアミノフェンが、約200mg~約800mgの範囲の量で投与される請求項48~50記載の方法。
【請求項52】
アセトアミノフェンが、約650mgの範囲の量で投与される請求項51記載の方法。
【請求項53】
メロキシカムが、ガバペンチンと組み合わせて患者に投与されることを含む請求項37~52記載の方法。
【請求項54】
ガバペンチンが、経口投与される請求項53記載の方法。
【請求項55】
ガバペンチンが、約200mg~約700mgの範囲の量で投与される請求項53および54記載の方法。
【請求項56】
ガバペンチンが、約300mgの範囲の量で投与される請求項55記載の方法。
【請求項57】
ガバペンチンが、約600mgの範囲の量で投与される請求項55記載の方法。
【請求項58】
メロキシカムならびにアセトフェノンおよび/またはガバペンチンが患者に併用投与される請求項37~57記載の方法。
【請求項59】
メロキシカムが、アセトフェノンおよび/またはガバペンチンの投与の約2時間以内に患者に投与される請求項37~57記載の方法。
【請求項60】
メロキシカムが、アセトフェノンおよび/またはガバペンチンの投与の約1時間以内に患者に投与される請求項37~57および59記載の方法。
【請求項61】
メロキシカムが、アセトフェノンおよび/またはガバペンチンの投与の約30分以内に患者に投与される請求項37~57、59および60記載の方法。
【請求項62】
患者が外科的処置を受ける予定であり、かつメロキシカムおよびアセトフェノンおよび/またはガバペンチンが外科的処置の開始前に患者に投与される請求項37~61記載の方法。
【請求項63】
アセトフェノンおよび/またはガバペンチンが外科的処置の開始約30~約90分前に投与される請求項62記載の方法。
【請求項64】
アセトフェノンおよび/またはガバペンチンが麻酔の投与前に投与される請求項62記載の方法。
【請求項65】
メロキシカムが、麻酔の投与後に投与される請求項62~64記載の方法。
【請求項66】
外科的処置の完了後患者にアセトアミノフェンを投与することをさらに含む請求項62~65記載の方法。
【請求項67】
外科的処置が軟組織、硬組織またはその組み合わせに行われる請求項62~66記載の方法。
【請求項68】
外科的処置が直視下外科的処置を含む請求項62~67記載の方法。
【請求項69】
外科的処置が腹腔鏡手術を含む請求項62~67記載の方法。
【請求項70】
外科的処置が結腸直腸手術を含む請求項62~69記載の方法。
【請求項71】
外科的処置が片側人工膝関節全置換術を含む請求項62~69記載の方法。
【請求項72】
抗生物質、吐き気止め、出血多量を治療または予防するための医薬、またはその組み合わせを患者に投与することをさらに含む請求項37~71記載の方法。
【請求項73】
抗生物質を投与することを含み、抗生物質が予防的抗生物質である請求項72記載の方法。
【請求項74】
吐き気止めを投与することを含み、吐き気止めがオンダンセトロン、デキサメタゾン、プロメタジン、スコポラミン、またはその組み合わせである請求項72および73記載の方法。
【請求項75】
出血多量を治療または予防するための医薬を投与することを含み、出血多量を治療または予防するための医薬がトラネキサム酸である請求項72~74記載の方法。
【請求項76】
患者において急性の痛みを治療する方法であって、患者が硬組織の外科手術を受ける予定の患者であり、ナノ結晶コロイド分散(NCD)メロキシカムを、約30mgの量で、約650mgのアセトアミノフェンおよび約600mgのガバペンチンとの組み合わせで、患者に約15秒かけて静脈内投与することを含み、アセトアミノフェンおよびガバペンチンを外科手術の開始前の約30~90分の範囲以内の時点で投与し、かつNCDメロキシカムを外科手術の開始の約30分前であって、かつ麻酔の投与後に投与する方法。
【請求項77】
外科手術の開始前にNCDメロキシカムを投与した後、かつ患者がもはや必要としなくなるまで、約18時間ごと~約26時間ごとに患者にNCDメロキシカムを投与することをさらに含む請求項76記載の方法。
【請求項78】
外科手術の開始前にNCDメロキシカムを投与した後、約24時間後、約48時間後、約72時間後および/または約96時間後に患者にNCDメロキシカムを投与することをさらに含む請求項76記載の方法。
【請求項79】
患者において急性の痛みを治療する方法であって、患者が軟組織の外科手術を受ける予定の患者であり、ナノ結晶コロイド分散(NCD)メロキシカムを、約30mgの量で、約650mgのアセトアミノフェンおよび約300mgのガバペンチンとの組み合わせで、患者に約15秒かけて静脈内投与することを含み、アセトアミノフェンおよびガバペンチンを外科手術の開始前の約30~90分の範囲以内の時点で投与し、かつNCDメロキシカムを外科手術の開始の約30分前に投与する方法。
【請求項80】
開始前にNCDメロキシカムを投与した後、かつ患者がもはや必要としなくなるまで、約18時間ごと~約26時間ごとに患者にNCDメロキシカムを投与することをさらに含む請求項79記載の方法。
【請求項81】
外科手術の開始前にNCDメロキシカムを投与した後、約24時間後、約48時間後、約72時間後および/または約96時間後に患者にNCDメロキシカムを投与することをさらに含む請求項79記載の方法。
【請求項82】
アセトアミノフェンが外科的処置の開始前に患者に投与され、次いで、外科的処置の開始前のアセトアミノフェンの投与後かつ患者がもはや必要としなくなるまで、約4~8時間ごとに投与される請求項62~65および67~81記載の方法。
【請求項83】
メロキシカムが、外科的処置の開始前のメロキシカムの投与の後、約18時間ごと~約26時間ごとに投与される請求項62~75記載の方法。
【請求項84】
メロキシカムが、外科的処置の開始前のメロキシカムの投与の後、約24時間ごとに投与される請求項83記載の方法。
【請求項85】
痛みが中程度から重度の痛みである請求項37~83記載の方法。
【請求項86】
鎮痛剤が、外科手術の開始前にメロキシカムと併用で投与される請求項24記載の方法。
【請求項87】
鎮痛剤がメロキシカムと併用で投与される請求項27~29記載の方法。
【請求項88】
鎮痛剤がメロキシカムと併用で投与されることをさらに含む請求項33~35記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
この出願は、2018年10月23日に出願された米国仮特許出願第62/749,407号の特許法第119条(e)項に基づく優先権の利益を請求する。この出願は、すべての目的のため、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本開示は、術前および/または他の薬物との組み合わせでなどを含む、痛みの治療のためのメロキシカムを投与する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
メロキシカム(4-ヒドロキシ-2-メチル-N-(5-メチル-2-チアゾリル)-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド-1,1-ジオキシド)は、抗炎症活性、鎮痛活性および解熱活性を有する長時間作用型非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)であり、シクロオキシゲナーゼ(COX)の阻害およびそれに続くプロスタグランジン生合成の低下に関連すると考えられている。メロキシカムは、ベーリンガーインゲルハイムファーマシューティカルズインクによって1990年代から経口剤、Mobic(登録商標)として上市されている。Mobicは、変形性関節症およびリウマチ性関節炎の症状の治療に使用されている。
【0004】
しかしながら、経口メロキシカムは、主に水溶性に乏しいことから、ゆっくりとした作用発現を示し、急性の痛みの治療に現在のところ承認されていない。経口剤形は、最大観測血漿濃度(tmax)となる時間が経口投与後約5~6時間である持続的な吸収時間を示し、それはその低い水溶性と一致している。
【0005】
NSAIDであるイブプロフェンの静脈内(IV)投与が痛みの管理に対して2009年に承認されたが、30分の注入時間が必要とされ、痛みの治療のために6時間ごとに投与しなければならない。CALDOLOR(登録商標)の処方情報参照。加えて、イブプロフェン、ケトロラクおよび他のNSAIDのIV投与を受けた患者は、相対的に高い比率で注射部位の痛みと不快感に煩わされており(例えば、14%~29%が報告)、より早い投与時間は禁じられている。非特許文献1、非特許文献2参照。現在、IV NSAIDはゆっくりとした注入時間を必要とし、術前(言い換えれば予防的治療)に投与されていないため、患者は痛みの軽減の発現前にかなりな痛みを経験する。したがって、作用のより速い発現と急性の痛み(軽度から中程度の痛みおよび中程度から重度の痛み)の予防的疼痛治療を提供することができるメロキシカムを投与する方法が必要とされる。
【0006】
さらに、何千万もの患者が毎年外科的処置を受けている。これらの患者の多くは、術部付近内に局在化された痛みや術後の痛みに苦しんでいる。従来は、NSAIDは、一般に、患者がすでにかなりな痛みを経験している外科的処置後に投与される。さらに、術後の痛みの治療および管理は、現在この目的で使用されている薬物が、回復の遅れ、入院の延長および特定の弱い患者群を重大な合併症のリスクにさらすなどの様々な目立った副作用を有するため、困難に満ちている。したがって、術後の痛みは、重大でかつしばしば扱いにくい医学的問題であり、相対的に少なくまたは小さい重大な副作用で術後の痛みを効果的に治療および/または管理する治療介入が急務である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Gan TJ, et al., Clinical Therapeutics, 2015, 37, 368-375
【非特許文献2】Zhou TJ, et al. Anesth Analg. 2001; 92: 1569-1575
【発明の概要】
【0008】
本開示は、患者が外科的処置を受ける予定の患者において痛みを治療する方法であって、外科的処置の開始前に患者にメロキシカムを投与することを含む方法を提供する。ある実施態様においては、痛みは急性の痛みである。ある実施態様においては、メロキシカムはナノ結晶メロキシカムとして存在する。ある実施態様においては、ナノ結晶メロキシカムはコロイド分散状態にある。ある実施態様においては、メロキシカムは、約5mg~約180mgの範囲の量、または約15mg~約60mgの範囲の量、例えば30mgなどの量で患者に投与される。ある実施態様においては、メロキシカムは患者に静脈内投与される。ある実施態様においては、メロキシカムは、約5秒~約60秒、約10秒~約60秒、約15秒~約30秒、例えば15秒などの時間で患者に静脈内投与される。
【0009】
ある実施態様においては、メロキシカムは、外科的処置の開始前、約2時間以内、約45分間以内または約30分以内に患者に投与される。ある実施態様においては、メロキシカムは麻酔の投与前に患者に投与され、一方、他の実施態様においては、メロキシカムは麻酔の投与後に患者に投与される。ある実施態様においては、外科的処置が軟組織、硬組織またはその組み合わせに行われる。ある実施態様においては、外科的処置は直視下外科手術を含む。ある実施態様においては、外科的処置は腹腔鏡手術を含む。ある実施態様においては、外科的処置は結腸直腸手術を含む。ある実施態様においては、外科的処置は片側人工膝関節全置換術を含む。
【0010】
ある実施態様においては、外科的処置を受ける予定の患者において痛みを治療する方法であって、外科的処置の開始前に患者にメロキシカムを投与することを含む方法が、ガバペンチン、アセトアミノフェンまたはその組み合わせを外科的処置の開始前に患者に投与することをさらに含む。ある実施態様においては、方法は、外科的処置前、外科的処置中、または外科的処置後に患者に鎮痛剤を投与することをさらに含む。ある実施態様においては、鎮痛剤は、アセトアミノフェン、オピオイド、またはその組み合わせを含み、他の実施態様においては、オピオイドがオキシコドンである。ある実施態様においては、オピオイドは外科的処置の後に投与される。
【0011】
ある実施態様においては、外科的処置を受ける予定の患者において痛みを治療する方法であって、外科的処置の開始前に患者にメロキシカムを投与することを含む方法は、外科的処置の開始前にメロキシカムを投与した後、かつ患者がもはや必要としなくなるまで、約18時間ごと~約26時間ごとに患者にメロキシカムを投与することをさらに含む。ある実施態様においては、方法は、外科的処置の開始前にメロキシカムを投与した後、約24時間後、約36時間後、約48時間後、約54時間後、約72時間後、約90時間後、および/または約96時間後に患者にメロキシカムを投与することを含む。特別な実施態様においては、方法は、外科的処置の開始前にメロキシカムを投与した後、約24時間ごとに患者にメロキシカムを投与することを含む。ある実施態様においては、痛みは中程度から重度の痛みである。
【0012】
本開示は、患者において急性の痛みを治療する方法であって、患者が軟組織の外科手術を受ける予定の患者であり、ナノ結晶コロイド分散(NCD)メロキシカムを、軟組織の外科手術の開始の約30分前に約30mgの量で患者に約15秒かけて静脈内投与することを含む方法も提供する。ある実施態様においては、方法は、外科手術の開始前にNCDメロキシカムを最初に投与した後、かつ患者がもはや必要としなくなるまで、約18時間ごと~約26時間ごとに患者にNCDメロキシカムを投与することをさらに含む。ある実施態様においては、方法は、外科手術の開始前にNCDメロキシカムを投与した後、約24時間後、約36時間後、約48時間後、約54時間後、約72時間後、約90時間後、および/または約96時間後に患者にNCDメロキシカムを投与することをさらに含む。ある実施態様においては、痛みは中程度から重度の痛みである。
【0013】
本開示は、患者において急性の痛みを治療する方法であって、患者が硬組織の外科手術を受ける予定の患者であり、ナノ結晶コロイド分散(NCD)メロキシカムを、麻酔の投与後かつ外科手術の開始前に約30mgの量で患者に約15秒かけて静脈内投与することを含む方法をさらに提供する。ある実施態様においては、方法は、外科手術の開始前にNCDメロキシカムを投与した後、かつ患者がもはや必要としなくなるまで、約18時間ごと~約26時間ごとに患者にNCDメロキシカムを投与することをさらに含む。ある実施態様においては、方法は、外科手術の開始前にNCDメロキシカムを投与した後、約24時間後、約36時間後、約48時間後、約54時間後、約72時間後、約90時間後、および/または約96時間後に患者にNCDメロキシカムを投与することをさらに含む。ある実施態様においては、痛みは中程度から重度の痛みである。
【0014】
本開示は、それを必要とする患者において痛みを治療する方法であって、アセトアミノフェンおよび/またはガバペンチンと組み合わせてメロキシカムを患者に静脈内投与することを含む方法をさらに提供する。ある実施態様においては、痛みは急性の痛みである。ある実施態様においては、痛みは中程度から重度の痛みである。ある実施態様においては、メロキシカムは、ナノ結晶メロキシカムとして存在する。ある実施態様においては、ナノ結晶メロキシカムはコロイド分散状態にある。ある実施態様においては、メロキシカムは、約5mg~約180mgの範囲の量、または約15mg~約60mgの範囲の量、例えば30mgなどの量で患者に投与される。ある実施態様においては、メロキシカムは患者に静脈内投与される。ある実施態様においては、メロキシカムは、約5秒~約60秒、約10秒~約60秒、約15秒~約30秒、例えば15秒などの時間をかけて患者に静脈内投与される。
【0015】
ある実施態様においては、方法は、アセトアミノフェンと組み合わせてメロキシカムを患者に投与することを含む。ある実施態様においては、アセトアミノフェンは、経口、静脈内またはその組み合わせで投与される。ある実施態様においては、アセトアミノフェンは、約5mg~約1gの範囲の量、または約200mg~約800mgの範囲の量、例えば、約650mgの量で投与される。ある実施態様においては、方法は、ガバペンチンと組み合わせてメロキシカムを患者に投与することを含む。ある実施態様においては、ガバペンチンは経口で投与される。ある実施態様においては、ガバペンチンは、約200mg~約700mgの範囲の量、例えば、約300mgの量、または約600mgの量で投与される。ある実施態様においては、メロキシカムおよびアセトフェノンおよび/またはガバペンチンは、患者に併用で投与される。別の実施態様においては、メロキシカムは、アセトフェノンおよび/またはガバペンチンの投与の約2時間以内、約1時間以内、または約30分以内に患者に投与される。
【0016】
ある実施態様においては、患者が外科的処置を受ける予定の患者であり、かつメロキシカムおよびアセトフェノンおよび/またはガバペンチンは外科的処置の開始前に患者に投与される。ある実施態様においては、アセトフェノンおよび/またはガバペンチンは外科的処置の開始約30~約90分前に投与される。ある実施態様においては、アセトフェノンおよび/またはガバペンチンは麻酔の投与前に投与される。ある実施態様においては、メロキシカムが、麻酔の投与後に投与される。ある実施態様においては、方法は、外科的処置の完了後患者にアセトアミノフェンを投与することをさらに含む。
【0017】
ある実施態様においては、外科的処置は軟組織、硬組織またはその組み合わせに行われる。ある実施態様においては、外科的処置は直視下外科的処置を含む。ある実施態様においては、外科的処置は腹腔鏡手術を含む。ある実施態様においては、外科的処置は結腸直腸手術を含む。ある実施態様においては、外科的処置は片側人工膝関節全置換術を含む。
【0018】
ある実施態様においては、方法は、抗生物質、吐き気止め、出血多量を治療または予防するための医薬、またはその組み合わせを患者に投与することをさらに含む。ある実施態様においては、抗生物質は予防的抗生物質である。ある実施態様においては、吐き気止めはオンダンセトロン、デキサメタゾン、プロメタジン、スコポラミン、またはその組み合わせである。ある実施態様においては、出血多量を治療または予防するための医薬、出血多量を治療または予防するための医薬はトラネキサム酸である。
【0019】
本開示は、患者において急性の痛みを治療する方法であって、患者が硬組織の外科手術を受ける予定の患者であり、約650mgのアセトアミノフェンおよび約600mgのガバペンチンと組み合わせてナノ結晶コロイド分散(NCD)メロキシカムを、約30mgの量で、患者に約15秒かけて静脈内投与することを含み、アセトアミノフェンおよびガバペンチンを外科手術の開始前の約30~90分の範囲以内の時点で投与し、かつNCDメロキシカムを外科手術の開始の約30分前であって、かつ麻酔の投与後に投与する方法も提供する。ある実施態様においては、方法は、外科手術の開始前にNCDメロキシカムを投与した後、かつ患者がもはや必要としなくなるまで、約18時間ごと~約26時間ごとに患者にNCDメロキシカムを投与することをさらに含む。ある実施態様においては、方法は、外科手術の開始前にNCDメロキシカムを投与した後、約18時間後、約24時間後、約36時間後、約48時間後、約54時間後、約72時間後、約90時間後および/または約96時間後に患者にNCDメロキシカムを投与することをさらに含む。
【0020】
本開示は、患者において急性の痛みを治療する方法であって、患者が軟組織の外科手術を受ける予定の患者であり、約650mgのアセトアミノフェンおよび約300mgのガバペンチンと組み合わせてナノ結晶コロイド分散(NCD)メロキシカムを、約30mgの量で、患者に約15秒かけて静脈内投与することを含み、アセトアミノフェンおよびガバペンチンを外科手術の開始前の約30~90分の範囲以内の時点で投与し、かつNCDメロキシカムを外科手術の開始の約30分前に投与する方法も提供する。ある実施態様においては、方法は、開始前にNCDメロキシカムを投与した後、かつ患者がもはや必要としなくなるまで、約18時間ごと~約26時間ごとに患者にNCDメロキシカムを投与することをさらに含む。ある実施態様においては、方法は、外科手術の開始前にNCDメロキシカムを投与した後、約18時間後、約24時間後、約36時間後、約48時間後、約54時間後、約72時間後、約90時間後および/または約96時間後に患者にNCDメロキシカムを投与することをさらに含む。
【0021】
ある実施態様においては、外科的処置の開始前に、アセトアミノフェンおよびガバペンチンを組み合わせてメロキシカムを患者に静脈内投与することを含む患者における痛みを治療する方法は、外科的処置の開始前にアセトアミノフェンを投与した後、6時間ごとにアセトアミノフェンを投与することをさらに含む。ある実施態様においては、メロキシカムは、外科的処置の開始前のメロキシカムの投与の後、約18時間ごと~約26時間ごとに投与される。ある実施態様においては、痛みは中程度から重度の痛みである。
【0022】
ある実施態様においては、本開示の方法は、鎮痛剤をメロキシカムと併用で投与することをさらに含む。ある実施態様においては、鎮痛剤は手術前にメロキシカムと併用で投与される。ある実施態様においては、鎮痛剤は外科手術の後にメロキシカムと併用で投与される。ある実施態様においては、鎮痛剤はオピオイドである。ある実施態様においては、オピオイドは外科手術の後に投与される。
【0023】
本開示の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかとなる。しかしながら、発明の詳細な説明および具体的な実施例は、好ましい態様を示しているものの、本開示の精神および範囲内で様々な変更および修飾がこの発明の詳細な説明から当業者に明らかとなるであろうため、単なる説明により与えられるものであることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】mITT集団における手術後6時間間隔でのオピオイド消費の概要を示す。包括解析(mITT)集団と呼ばれる有効性集団は、試験薬の少なくとも1回の注射を受け、予定された外科手術を受けたすべての患者を含む。有効性/mITT集団は、すべての有効性評価に使用された。
【
図2】mITT集団における最初のオピオイドレスキューまでの時間のカプランマイヤー生存曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[定義]
本明細書において使用される専門用語は、ただ具体的な実施形態を説明する目的のためのものであり、限定を意味するものではないことが理解されるべきである。
【0026】
別段の定めがない限り、本明細書において使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有するものに共通して理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に説明されるものと同様または等価の任意の方法および材料が本願の実施または試験において使用することができるが、代表的な方法および材料は本明細書において説明される。
【0027】
長年にわたる特許法の慣習に従い、用語、「a」、「an」および「the」は、特許請求の範囲を含め、本願で使用される場合、「1または2以上」を意味する。したがって、例えば「担体(a carrier)」への言及は、1つまたは2つ以上の担体、2つまたは3つ以上の担体などの混合物を含み、そして「方法(the method)」への言及は、当業者に既知の等価な工程および/または方法などへの言及を含む。
【0028】
別段の指摘がない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される成分、反応条件、およびその他の量を表現するすべての数は、すべての場合、用語「約」により修飾されるものであることが理解されるべきものである。そのため、反対の指摘がない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲に示される数値パラメータは、本願により得ようとする所望の性質により変化可能な近似値である。一般に、本明細書において重さ、時間、用量など測定可能な値に関して使用される用語「約」は、当技術分野における許容可能な変動の程度内の値を包含することを意味する。ある実施態様においては、変動の程度は、FDAガイドラインに基づく。
【0029】
本明細書において使用されるように、「メロキシカム」は、4-ヒドロキシ-2-メチル-N-(5-メチル-2-チアゾリル)-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド-1,1-ジオキシドを意味し、以下に描く構造を有する。分子量は351.4である。その分子式は、C
14H
13N
3O
4S
2である。
【化1】
【0030】
本明細書において使用されるように、用語「ボーラス用量(bolus dose)」は、医薬または薬物、例えばメロキシカムの、特定の時間内に投与される個別の量を意味する。ボーラス用量が投与される特定の時間(本明細書において注入速度とも言う)は、作用の速やかな発現(すなわち、痛みの軽減)を提供し、かつ著しい灼熱感などのかなりの注射部痛を引き起こすことのない任意の適切な時間とすることができる。ある実施形態においては、注入時間は、約1分以下、例えば約30秒間または約15秒間であってもよい。
【0031】
本明細書において使用される場合、「治療」は、有益なまたは所望の臨床結果を得るためのアプローチである。この発明の目的のために、有益なまたは所望の臨床結果は、次の、重症度の軽減を含む痛みの任意の側面の改善、痛みの任意の側面(安静時痛および/または機械的に誘発される痛み、痛みの持続時間の短縮、および/または痛みの感受性または感覚の減少など)を含む痛みに関連する1つまたは複数の症状の軽減、痛みの発生率の減少、管理、改善、予防、および/または発達または進行の遅延の1つまたは複数を含むが、それらに限定されるものではない。
【0032】
用語「有効量」または「治療有効量」は、結果に到達する、例えば有益または所望の結果をなすのに十分な薬剤の量を意味する。治療有効量は、対象、治療すべき病状、対象の体重および年齢、病状の重症度、投与方法などの1つまたは複数に依存して変動可能である。
【0033】
用語「併用の(concurrent)」または「併用で(concurrently)」は、2つまたはそれより多くの薬物を互いに近い時間に投与することを意味する。ある実施態様においては、2つまたはそれより多くの併用で投与された薬物は、互いに約1時間以内、約30分以内、約15分以内、約10分以内、約5分以内に投与される。ある実施態様においては、2つまたはそれより多くの併用で投与された薬物は、同時に投与される。
【0034】
[治療用途]
メロキシカムの経口投与は、炎症(例えば、変形性関節症およびリウマチ性関節炎)を治療するために承認されているが、メロキシカムの現在入手可能な経口製剤は、メロキシカムの乏しい溶解性のため作用のゆっくりとした発現を示すことが知られている。経口メロキシカムの作用のゆっくりとした発現により、メロキシカムは急性の痛み管理(例えば、軽度~中度の痛みおよび/または中度~重度の痛み)に不適切なものとなっている。
【0035】
本発明者らは、メロキシカムの静脈内処方は、術後疼痛などの急性の痛みの治療に重要であるメロキシカムの作用の迅速な発現を提供するために外科的処置の前に、および/または追加的治療薬と組み合わせて投与できることを発見した。メロキシカムナノ結晶は、メロキシカムの溶解性を顕著に改善し、メロキシカムがナノ結晶として製造されない他の同様な処方と比較してメロキシカムのより高濃度の静脈内投与を可能とする。具体的には、本発明者らは、約5mg~約200mgのメロキシカム用量が、急性の痛み(例えば、軽度から中度の痛みおよび/または中度から重度の痛み)の治療に有効かつ安全でありながら、メロキシカムの作用の迅速な発現を達成するのに重要であることを見出した。イブプロフェンおよびケトロラクなどの他の静脈内NSAIDと対照的に、メロキシカムナノ結晶は注射部痛を引き起こすことなく静脈内に安全に投与することができる。加えて、本発明者らは、約60秒(例えば、約1~約60秒、約1~約30秒、約15~約30秒など)かけて投与されるボーラス用量が、痛みの治療に安全かつ効果的であることを見出した。ある実施態様においては、メロキシカムの静脈内投与は、約15分~約24時間以内、例えば、約15分以内、約30分以内、約1時間以内、約2時間以内、約3時間以内、約4時間以内、約5時間以内、約6時間以内、約12時間以内、約18時間以内、約24時間以内(それらの間のすべての値およびサブ範囲を含む)に患者に痛みの軽減を提供する。
【0036】
ある実施態様においては、本明細書に開示される方法は、メロキシカムが約30mgの用量であるメロキシカムの用量を患者に静脈内投与することを含む。ある実施態様においては、本明細書に開示される方法は、メロキシカムが約30mg/mLの濃度であるメロキシカムの用量を患者に静脈内投与することを含む。一実施態様においては、静脈内用量はボーラス用量である。ある実施態様においては、薬物用量は、患者に行われる外科手術、患者の年齢、および患者の臨床状態に基づき、患者に対して調整され得る。ある実施態様においては、メロキシカムは筋肉内投与される。
【0037】
一実施形態において、メロキシカムはメロキシカムナノ結晶の形態である。別の実施形態において、メロキシカムナノ結晶は、Alkermes NanoCrystal(商標)テクノロジーを用いて形成される。米国特許第8,512,727号明細書参照。これは、すべての目的のためその全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0038】
本明細書に開示される方法の一実施形態において、メロキシカムのIV用量(ボーラス用量など)は約1~約60秒(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)にわたって患者に投与される。すなわち、メロキシカムのIV用量は、患者に、約1秒、約2秒、約3秒、約4秒、約5秒、約6秒、約7秒、約8秒、約9秒、約10秒、約11秒、約12秒、約13秒、約14秒、約15秒、約16秒、約17秒、約18秒、約19秒、約20秒、約21秒、約22秒、約23秒、約24秒、約25秒、約26秒、約27秒、約28秒、約29秒、約30秒、約31秒、約32秒、約33秒、約34秒、約35秒、約36秒、約37秒、約38秒、約39秒、約40秒、約41秒、約42秒、約43秒、約44秒、約45秒、約46秒、約47秒、約48秒、約49秒、約50秒、約51秒、約52秒、約53秒、約54秒、約55秒、約56秒、約57秒、約58秒、約59秒、または約60秒、またはこれらの値の間の任意の範囲で投与してもよい。
【0039】
例えば、ある実施態様においては、メロキシカムのIV用量(ボーラス用量など)は、約5~約45秒にわたって患者に投与される。他の実施形態において、メロキシカムのIV用量は、約10~約40秒にわたって患者に投与される。なお別の実施形態において、メロキシカムのIV用量は、約15~約35秒にわたって患者に投与される。ある実施態様においては、メロキシカムのIV用量は、約10~約30秒にわたって患者に投与される。特定の実施形態において、メロキシカムのIV用量は、約15~約30秒にわたって患者に投与される。一実施形態において、メロキシカムのIV用量は、約15秒かけて患者に投与される。
【0040】
本開示の注入速度は、少なくとも30分は必要とするCALDOLOR(登録商標)(NSAID、イブプロフェンの静脈内処方)のFDAに承認された注入時間よりも顕著により速い。CALDOLOR(登録商標)の処方情報参照。同様に、本開示の注入速度はまた、15分の注入速度を必要とするOFIRMEV(登録商標)(アセトアミノフェンの静脈内処方)に関する注入速度よりも顕著により速い。OFIRMEV(登録商標)の処方情報参照。イブプロフェンおよびアセトアミノフェンの静脈内処方は、それぞれ15分および30分よりも速い速度で投与された場合に注射部位痛を引き起こすが、本処方は、驚くべきことにIV用量(ボーラス用量など)で投与された場合にそのような注射部位痛を引き起こさないことを発見した。
【0041】
さらに、本発明者らは、本明細書において開示された方法により、メロキシカムの秒内での注射が、手術後の痛みなどの急性の痛みの管理に重要である鎮痛の速やかな発現を達成することを発見した。例えば、一実施形態において、患者に静脈内投与されたメロキシカムの用量は、約10分以内に痛みの軽減を提供することができる。本開示の方法により提供されたこの痛みの軽減の速やかな発現は、痛みの軽減の発現に最大30分かかるケトロラクなどの入手可能な静脈内NSAIDからの実質的な改善である。ケトロラクトロメタミン注射処方情報参照。ある実施態様においては、メロキシカムの用量は、外科手術前に患者に静脈内投与し、有利には術後疼痛治療することができる。さらなる、あるいは代替的な実施態様においては、メロキシカムは痛みの軽減を提供するために他の治療剤と組み合わせて投与することができる。
【0042】
さらに、高い注射部位痛副作用を生じる先に報告されたNSAID注射(例えば、16%~24%が報告)とは異なり、本発明者らは、静脈内メロキシカムの用量を投与されている患者の2%のみが注射部位痛を報告したように、本明細書において開示されるメロキシカムの投与のための注射法が安全かつ効果的であることを見出した。
【0043】
本明細書に開示される方法の一実施形態において、メロキシカムの用量は、約1mg~約250mgの範囲(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)にある。すなわち、メロキシカムの用量は、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、約150mg、約155mg、約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約185mg、約190mg、約195mg、約200mg、約205mg、約210mg、約215mg、約220mg、約225mg、約230mg、約235mg、約240mg、約245mg、または約250mg、またはこれらの値の間の任意の範囲にあってもよい。
【0044】
ある実施態様においては、メロキシカムの用量は、約5mg~約200mgの範囲にある。ある実施態様においては、メロキシカムの用量は約15mg~約180mgの範囲にある。ある実施態様においては、メロキシカムの用量は約15mg~約100mgの範囲にある。他の実施態様においては、メロキシカムの用量は、約15mg~約80mgの範囲にある。ある実施態様においては、メロキシカムの用量は約20mg~約70mgの範囲にある。ある実施態様においては、メロキシカムの用量は約30mg~約60mgの範囲にある。ある実施態様においては、メロキシカムの用量は約30mgである。別の実施形態においては、メロキシカムの用量は約60mgである。
【0045】
ある実施態様においては、静脈内メロキシカムは、約10mg/mL~約50mg/mL、例えば、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約30mg/mL、約35mg/mL、約40mg/mL、約45mg/mL、約50mg/mL、約55mg/mL、および約60mg/mL(それらの間のすべての値およびサブ範囲を含む)の濃度で処方される。特別な実施形態において、静脈内メロキシカムは、約30mg/mLの濃度で処方される。
【0046】
ある実施態様においては、本明細書に開示されるメロキシカムの用量は、1日1回、1日2回、1日3回、1日おき、または医師が適当と認める頻度で投与される。一実施形態においては、メロキシカムの用量は1日1回静脈内に投与される。ある実施態様においては、メロキシカムは、患者がもはやそれを必要としなくなるまで、約18~26時間ごとに投与される。本明細書において使用される場合、痛みが弱くなっているかまたは患者が退院する場合、「患者がもはやそれを必要としなくなる」。ある実施態様においては、メロキシカムは、12時間ごとに1回、18時間ごとに1回、24時間ごとに1回、36時間ごとに1回、48時間ごとに1回、または医師が適当と認める頻度で投与される。特別な実施形態においては、メロキシカムは、24時間ごとに1回投与される。
【0047】
ある実施態様においては、本明細書に開示されるメロキシカムの用量は、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間のあいだ1日1回、または医師が適当と認める期間および頻度で投与することができる。
【0048】
一実施形態において、本明細書において開示されたボーラス用量などの単回用量は、約12時間から約48時間持続する迅速な治療を提供することができる。一実施形態において、本明細書において開示された単回用量は、約24時間持続する迅速な治療を提供することができる。現在開示されたメロキシカム処方の約24時間持続する治療を提供する能力は、6時間ごとの注入を必要とするCALDOLOR(登録商標)などの先に承認されたNSAID IV治療に対して顕著な改善である。CALDOLOR(登録商標)の処方情報参照。
【0049】
本明細書に開示された方法のいずれかにおいて、メロキシカムは、痛みの治療または痛みの管理のために投与することができる。一実施形態において、メロキシカムは、中度から重度の痛みの治療または管理のために投与することができる。一実施形態において、メロキシカムは、軽度から中度の痛みの治療または管理のために投与することができる。一実施形態において、痛みの管理はヒトの患者のためである。一実施形態において、ヒトの患者は成人である。
【0050】
[処方]
一実施形態において、本明細書に開示されたIV注射またはIV注入のための用量は、1つまたは2つ以上の当業者に既知の薬学的に許容され得る賦形剤または担体を含むことができる。
【0051】
一実施形態において、IV注射またはIV注入のための用量のための薬学的に許容され得る賦形剤には、アラビアゴム、アルギン酸ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースカルシウムもしくはナトリウム、セトステアリルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチングァーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリビニルアルコール、ポビドン、プロピレンカーボネート、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム(デオキシコール酸)、トラガカントデンプン、スクロースまたはキサンタンガムを含むことができる。
【0052】
一実施形態において、注射または注入のための本明細書に開示されたメロキシカムの用量は、例えば水、水中デキストロース、水中グルコース、植物油、アルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、またはグリセリンなどの液状担体に処方することができる。一実施形態において、注射のための本明細書に開示されたメロキシカムの用量は、滅菌水に処方される。
【0053】
一実施形態において、メロキシカムの用量は水性ディスパージョンの形態である。
【0054】
本明細書に開示された方法の一実施形態において、メロキシカムの用量は、約0.5mL~約4mLの容量(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)に存在する。つまり、メロキシカムのIV用量(ボーラス用量を含む)は、約0.5mL、約0.6mL、約0.7mL、約0.8mL、約0.9mL、約1.0mL、約1.1mL、約1.2mL、約1.3mL、約1.4mL、約1.5mL、約1.6mL、約1.7mL、約1.8mL、約1.9mL、約2.0mL、約2.1mL、約2.2mL、約2.3mL、約2.4mL、約2.5mL、約2.6mL、約2.7mL、約2.8mL、約2.9mL、約3.0mL、約3.1mL、約3.2mL、約3.3mL、約3.4mL、約3.5mL、約3.6mL、約3.7mL、約3.8mL、約3.9mL、または約4.0mL、またはこれらの値の間の任意の範囲の容量に存在する。別の実施形態において、メロキシカムの用量は、約1mLの容量に存在する。
【0055】
本明細書に開示された方法の一実施形態において、メロキシカムの用量は、約30mg/mLの濃度で存在する。すなわち、メロキシカムの用量は、約28.5mg/mLおよび約31.5mg/mLの間、またはこれら2つの値の間の任意の範囲の濃度で存在することができる。一実施形態においてメロキシカムの用量は、約22mg/mL、約23mg/mL、約24mg/mL、約25mg/mL、約26mg/mL、約27mg/mL、約28mg/mL、約29mg/mL、約30mg/mL、約31mg/mL、約32mg/mL、約33mg/mL、約34mg/mL、約35mg/mL、約36mg/mL、約37mg/mL、または約38mg/mL(それらの間のすべての値およびサブ範囲を含む)の濃度で存在することができる。一実施態様においては、本明細書において開示されるメロキシカムの用量は、ボーラス用量であり得る。
【0056】
一実施形態において、メロキシカムの用量は、単回使用バイアルとして約30mg/mL濃度で存在する。
【0057】
先述のとおり、メロキシカムは水溶性に乏しく、このことが、経口投与が急性の痛みの治療に適切でない主な理由の1つである。さらに、メロキシカムの低い水溶性のために、注射部位痛を引き起こすことなく痛みの軽減の迅速な発現を達成するために、秒単位で患者に投与することのできるように十分に濃縮された注射可能な処方を提供することは困難なことである。しかしながら、本発明者らは、メロキシカムナノ結晶を用いることによりメロキシカムの濃度を30mg/mLに増加させることができた。これは、メロキシカムがナノ結晶として製造されていない以外同様の処方と比較して濃度で20%の増加であり、メロキシカムが水にほとんど溶けないということを考慮するとかなりなものである。本明細書において開示されるメロキシカムの濃度は、IV用量を提供し、注射部位痛を引き起こすことなく痛みの軽減の迅速な発現を達成するために重要である。本明細書において開示された濃度よりも高いメロキシカムの濃度では、薬物は溶液から晶出する可能性があり、製剤の注射可能性(injectability)および/または注射針通過性(syringeability)を妨げ得る。本明細書において開示された濃度よりも低いメロキシカムの濃度では、担体の容量がより多くなり、本明細書において特定された時間内に投与できず、それにより、痛みの軽減の迅速な発現を達成することができない可能性がある。
【0058】
一実施形態においては、本明細書において開示されたメロキシカムの用量は、希釈剤と一緒に使用される。一実施態様においては、本明細書において開示されたメロキシカムの用量は希釈することなく使用される。一実施形態においては、メロキシカムの30mg/mL用量は希釈することなく使用される。一実施形態においては、メロキシカムの30mg/mL用量はIV溶液またはIV液体バッグには加えられない。すなわち、本明細書において開示されたメロキシカムの30mg/mLの用量は、30mg/mLとして必要とする患者に投与される。
【0059】
[薬物動態]
一実施形態においては、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約4000ng/mL~約11000ng/mLの範囲の約80%~約125%内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Cmaxを提供する。すなわち、単回30mg/mLボーラス用量は、患者において約3000ng/mL、約3100ng/mL、約3200ng/mL、約3300ng/mL、約3400ng/mL、約3500ng/mL、約3600ng/mL、約3700ng/mL、約3800ng/mL、約3900ng/mL、約4000ng/mL、約4100ng/mL、約4200ng/mL、約4300ng/mL、約4400ng/mL、約4500ng/mL、約4600ng/mL、約4700ng/mL、約4800ng/mL、約4900ng/mL、約5000ng/mL、約5100ng/mL、約5200ng/mL、約5300ng/mL、約5400ng/mL、約5500ng/mL、約5600ng/mL、約5700ng/mL、約5800ng/mL、約5900ng/mL、約6000ng/mL、約6100ng/mL、約6200ng/mL、約6300ng/mL、約6400ng/mL、約6500ng/mL、約6600ng/mL、約6700ng/mL、約6800ng/mL、約6900ng/mL、約7000ng/mL、約7100ng/mL、約7200ng/mL、約7300ng/mL、約7400ng/mL、約7500ng/mL、約7600ng/mL、約7700ng/mL、約7800ng/mL、約7900ng/mL、約8000ng/mL、約8100ng/mL、約8200ng/mL、約8300ng/mL、約8400ng/mL、約8500ng/mL、約8600ng/mL、約8700ng/mL、約8800ng/mL、約8900ng/mL、約9000ng/mL、約9100ng/mL、約9200ng/mL、約9300ng/mL、約9400ng/mL、約9500ng/mL、約9600ng/mL、約9700ng/mL、約9800ng/mL、約9900ng/mL、約10000ng/mL、約10100ng/mL、約10200ng/mL、約10300ng/mL、約10400ng/mL、約10500ng/mL、約10600ng/mL、約10700ng/mL、約10800ng/mL、約10900ng/mL、約11000ng/mL、約11100ng/mL、約11200ng/mL、約11300ng/mL、約11400ng/mL、約11500ng/mL、約11600ng/mL、約11700ng/mL、約11800ng/mL、約11900ng/mL、約12000ng/mL、約12100ng/mL、約12200ng/mL、約12300ng/mL、約12400ng/mL、約12500ng/mL、約12600ng/mL、約12700ng/mL、約12800ng/mL、約12900ng/mL、約13000ng/mL、約13100ng/mL、約13200ng/mL、約13300ng/mL、約13400ng/mL、および約13500ng/mL、または上記値の間の任意の値または範囲の血漿Cmaxを提供することができる。
【0060】
一実施形態において、30mg/mLの1mLボーラスは、メロキシカムの静脈内投与後の患者において、約5642.9±1009.0ng/mLからの範囲の約80%~約125%以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Cmaxを提供する。一実施形態において、単回30mg/mLボーラス用量は、メロキシカムの静脈内投与後の患者において、約3707.1ng/mL~約8314.9ng/mLの範囲内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Cmaxを提供する。一実施形態において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約4000ng/mL~約7000ng/mLの範囲の約80%~約125%内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Cmaxを提供する。一実施形態において、単回30mg/mLボーラス用量は、メロキシカムの静脈内投与後の患者において、約4600ng/mL~約6700ng/mLの範囲の約80%~約125%内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Cmaxを提供する。一実施形態において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約5000ng/mL~約6000ng/mLの範囲の約80%~約125%内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Cmaxを提供する。
【0061】
一実施形態において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約7972.5±2579.0ng/mLからの範囲の約80%~約125%以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の血漿Cmaxを提供する。一実施形態において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約4312.1ng/mL~約13190.5ng/mLの範囲内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の血漿Cmaxを提供する。一実施形態において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約5000ng/mL~約11000ng/mLの範囲の約80%~約125%以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Cmaxを提供する。一実施形態において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約5500ng/mL~約10500ng/mLの範囲の約80%~約125%内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Cmaxを提供する。一実施形態において、単回30mg/mLボーラス用量の1mLは、メロキシカムの静脈内投与後の患者において、約7000ng/mL~約9000ng/mLの範囲の約80%~約125%以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Cmaxを提供する。
【0062】
一実施形態において、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量(例えば1日1回投与される)は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約10632.5±4729.8ng/mLからの範囲の約80%~約125%以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の血漿Cmax(例えば、定常状態Cmax)を提供する。一実施形態において、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約4722.2ng/mL~約19202.9ng/mLの範囲内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の血漿Cmaxを提供する。すなわち、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量は、患者において、約4500ng/mL、約4600ng/mL、約4700ng/mL、約4800ng/mL、約4900ng/mL、約5000ng/mL、約5100ng/mL、約5200ng/mL、約5300ng/mL、約5400ng/mL、約5500ng/mL、約5600ng/mL、約5700ng/mL、約5800ng/mL、約5900ng/mL、約6000ng/mL、約6100ng/mL、約6200ng/mL、約6300ng/mL、約6400ng/mL、約6500ng/mL、約6600ng/mL、約6700ng/mL、約6800ng/mL、約6900ng/mL、約7000ng/mL、約7100ng/mL、約7200ng/mL、約7300ng/mL、約7400ng/mL、約7500ng/mL、約7600ng/mL、約7700ng/mL、約7800ng/mL、約7900ng/mL、約8000ng/mL、約8100ng/mL、約8200ng/mL、約8300ng/mL、約8400ng/mL、約8500ng/mL、約8600ng/mL、約8700ng/mL、約8800ng/mL、約8900ng/mL、約9000ng/mL、約9100ng/mL、約9200ng/mL、約9300ng/mL、約9400ng/mL、約9500ng/mL、約9600ng/mL、約9700ng/mL、約9800ng/mL、約9900ng/mL、約10000ng/mL、約10100ng/mL、約10200ng/mL、約10300ng/mL、約10400ng/mL、約10500ng/mL、約10600ng/mL、約10700ng/mL、約10800ng/mL、約10900ng/mL、約11000ng/mL、約11100ng/mL、約11200ng/mL、約11300ng/mL、約11400ng/mL、約11500ng/mL、約11600ng/mL、約11700ng/mL、約11800ng/mL、約11900ng/mL、約12000ng/mL、約12100ng/mL、約12200ng/mL、約12300ng/mL、約12400ng/mL、約12500ng/mL、約12600ng/mL、約12700ng/mL、約12800ng/mL、約12900ng/mL、約13000ng/mL、約13100ng/mL、約13200ng/mL、約13300ng/mL、約13400ng/mL、約13500ng/mL、約13600ng/mL、約13700ng/mL、約13800ng/mL、約13900ng/mL、約14000ng/mL、約14100ng/mL、約14200ng/mL、約14300ng/mL、約14400ng/mL、約14500ng/mL、約14600ng/mL、約14700ng/mL、約14800ng/mL、約14900ng/mL、約15000ng/mL、約15100ng/mL、約15200ng/mL、約15300ng/mL、約15400ng/mL、約15500ng/mL、約15600ng/mL、約15700ng/mL、約15800ng/mL、約15900ng/mL、約16000ng/mL、約16100ng/mL、約16200ng/mL、約16300ng/mL、約16400ng/mL、約16500ng/mL、約16600ng/mL、約16700ng/mL、約16800ng/mL、約16900ng/mL、約17000ng/mL、約17100ng/mL、約17200ng/mL、約17300ng/mL、約17400ng/mL、約17500ng/mL、約17600ng/mL、約17700ng/mL、約17800ng/mL、約17900ng/mL、約18000ng/mL、約18100ng/mL、約18200ng/mL、約18300ng/mL、約18400ng/mL、約18500ng/mL、約18600ng/mL、約18700ng/mL、約18800ng/mL、約18900ng/mL、約19000ng/mL、約19100ng/mL、約19200ng/mL、約19300ng/mL、約19400ng/mL、約19500ng/mL、約19600ng/mL、約19700ng/mL、約19800ng/mL、約19900ng/mL、または約12000ng/mL、または上記値の間の任意の値または範囲の血漿Cmaxを提供する。
【0063】
一実施形態において、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約5000ng/mL~約20000ng/mLの範囲の約80%~約125%内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の血漿Cmaxを提供する。一実施形態において、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約7000ng/mL~約18000ng/mLの範囲の約80%~約125%内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Cmaxを提供する。一実施形態において、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約8000ng/mL~約13000ng/mLの範囲の約80%~約125%以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Cmaxを提供する。
【0064】
一実施形態において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約55000ng*hr/mL~約190000ng*hr/mLの範囲の約80%~約125%内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。すなわち、単回30mg/mLボーラス用量は、患者において、約40000ng*hr/mL、約45000ng*hr/mL、約50000ng*hr/mL、約55000ng*hr/mL、約60000ng*hr/mL、約65000ng*hr/mL、約70000ng*hr/mL、約75000ng*hr/mL、約80000ng*hr/mL、約85000ng*hr/mL、約90000ng*hr/mL、約95000ng*hr/mL、約100000ng*hr/mL、約105000ng*hr/mL、約110000ng*hr/mL、約115000ng*hr/mL、約120000ng*hr/mL、約125000ng*hr/mL、約130000ng*hr/mL、約135000ng*hr/mL、約140000ng*hr/mL、約145000ng*hr/mL、約150000ng*hr/mL、約155000ng*hr/mL、約160000ng*hr/mL、約165000ng*hr/mL、約170000ng*hr/mL、約175000ng*hr/mL、約180000ng*hr/mL、約185000ng*hr/mL、約190000ng*hr/mL、約195000ng*hr/mL、約200000ng*hr/mL、約205000ng*hr/mL、約210000ng*hr/mL、約215000ng*hr/mL、約220000ng*hr/mL、約225000ng*hr/mL、約230000ng*hr/mL、約235000ng*hr/mL、および約240000ng*hr/mL、または上記値の間の任意の値または範囲の平均血漿AUCinfを提供することができる。
【0065】
一実施形態において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約107508.7±34443.0ng*hr/mLからの範囲の約80%~約125%以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施形態において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約58452.6ng*hr/mL~約177440.0ng*hr/mLの範囲内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施形態において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約121437.6±64505.6ng*hr/mLからの範囲の約80%~約125%以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施形態において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約45545.6ng*hr/mL~約232429.0ng*hr/mLの範囲内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施形態において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約70000ng*hr/mL~約190000ng*hr/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施形態において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約70000ng*hr/mL~約140000ng*hr/mLの約80%~約125%の範囲内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施形態において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約75000ng*hr/mL~約130000ng*hr/mLの約80%~約125%の範囲内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施形態において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約85000ng*hr/mL~約120000ng*hr/mLの約80%~約125%の範囲内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施形態において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約55000ng*hr/mL~約190000ng*hr/mLの約80%~約125%の範囲内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施形態において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約80000ng*hr/mL~約160000ng*hr/mLの範囲の約80%~約125%内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施形態において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約100000ng*hr/mL~約140000ng*hr/mLの範囲の約80%~約125%の約以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。
【0066】
一実施形態において、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量(例えば1用量よりも多い)は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約297771.6±241604.01ng*hr/mLの範囲の約80%~約125%以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の血漿AUCinfを提供する。一実施形態において、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約44934.1ng*hr/mL~約674219.5ng*hr/mLの範囲内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の血漿AUCinfを提供する。一実施形態において、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約55000ng*hr/mL~約540000ng*hr/mLの範囲の約80%~約125%内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施形態において、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約80000ng*hr/mL~約500000ng*hr/mLの範囲の約80%~約125%内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施形態において、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約100000ng*hr/mL~約450000ng*hr/mLの範囲の約80%~約125%の約以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施形態において、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約150000ng*hr/mL~約400000ng*hr/mLの範囲の約80%~約125%の約以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施形態において、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約200000ng*hr/mL~約350000ng*hr/mLの範囲の約80%~約125%の約以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。一実施形態において、30mg/mLボーラス用量の繰り返し用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、約250000ng*hr/mL~約325000ng*hr/mLの範囲の約80%~約125%の約以内(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿AUCinfを提供する。
【0067】
一実施形態において、定常状態は、7日間の1日1回の静脈投与された30mgボーラス用量の繰り返し用量で達成することができる。
【0068】
一実施形態において、単回30mg/mLボーラスIV用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、の約0.05h~約0.20h(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Tmaxを提供する。すなわち、単回30mg/mLボーラスIV注射は、患者において、約0.05h、約0.06h、約0.07h、約0.08h、約0.09h、約0.10h、約0.11h、約0.12h、約0.13h、約0.14h、約0.15h、約0.16h、約0.17h、約0.18h、約0.19h、または約0.20h、または上記値の間の任意の値または範囲の平均血漿Tmaxを提供することができる。
【0069】
一実施形態において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、の約0.08h~約0.16h(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Tmaxを提供する。一実施形態において、単回30mg/mLボーラス用量は、30mgのメロキシカムの静脈内投与後の患者において、の約0.10h~約0.14h(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の平均血漿Tmaxを提供する。
【0070】
経口投与されたメロキシカムは、吸収が遅く、投与後約5~7時間の平均血漿Tmaxを有する。本明細書において開示された方法は、例えば投与後約0.08h~約0.16hの有意に速いTmaxを提供し、迅速な発現と速い吸収を示す。
【0071】
一実施形態において、本明細書において開示された方法は、約30分~約60分以内のメロキシカムのピーク鎮静作用を提供することができる。すなわち、メロキシカムの30mg/mLボーラスIV注射の投与は、約30分、約35分、約40分、約45分、約50分、約55分、または約60分、または上記値の間の任意の値または範囲のピーク鎮静作用を提供することができる。一実施形態において、メロキシカムの30mg/mLボーラスIV注射の投与は、約40分のピーク鎮静作用を提供することができる。
【0072】
本明細書に開示されたメロキシカム投与は痛みの軽減の速い発現を提供するのみならず、他の既知のIV NSAIDs(ケトロラクは最大効果までに1~2時間かかる)よりも早くピーク鎮静作用に達し、少なくとも約24時間のより長い治療ウィンドウを有する(ケトロラクの鎮静作用の持続時間は4~6時間である)。ケトロラクトロメタミン注射剤処方情報参照。
【0073】
一実施形態において、メロキシカム30mg/mLの1mLボーラスは、静脈内投与後約30分で患者において、4160±1020ng/mLの約80%~約125%(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。一実施形態において、メロキシカムの単回30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約30分で患者において、約2512ng/mL~約6475ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。ある実施態様においては、メロキシカムの単回30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約30分で患者において、約3000ng/mL~約6000ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。他の実施形態においては、メロキシカムの単回30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約30分で患者において、約3500ng/mL~約5500ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。ある実施態様においては、メロキシカムの単回30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約30分で患者において、約3500ng/mL~約5000ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。
【0074】
一実施形態においては、メロキシカム30mg/mLの1mLボーラス用量は、静脈内投与後約60分で患者において、3590±708ng/mLの約80%~約125%(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。一実施形態においては、メロキシカムの単回30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約60分で患者において、約2305ng/mL~約5373ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。ある実施態様においては、メロキシカムの単回30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約60分で患者において、約2500ng/mL~約5000ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。別の実施形態においては、メロキシカムの単回30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約60分で患者において、約2750ng/mL~約4500ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。ある実施態様においては、メロキシカムの単回30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約60分で患者において、約3000ng/mL~約4000ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。
【0075】
一実施形態において、単回メロキシカム30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約120分で患者において、約2660±394ng/mLの約80%~約125%(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。一実施形態において、単回メロキシカム30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約120分で患者において、約1812ng/mL~約3818ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。ある実施態様においては、単回メロキシカム30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約120分で患者において、約1900ng/mL~約3800ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。別の実施形態においては、単回メロキシカム30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約120分で患者において、約2100ng/mL~約3600ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。ある実施態様においては、単回メロキシカム30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約120分で患者において、約2200ng/mL~約3400ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。
【0076】
一実施形態においては、単回メロキシカム30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約4時間で患者において、約2190±262ng/mLの約80%~約125%(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。一実施形態においては、単回メロキシカム30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約4時間で患者において、約1542ng/mL~約3065ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。ある実施態様においては、単回メロキシカム30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約4時間で患者において、約1600ng/mL~約3000ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。別の実施形態においては、単回メロキシカム30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約4時間で患者において、約1800ng/mL~約2800ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。ある実施態様においては、単回メロキシカム30mg/mLボーラス用量は、静脈内投与後約4時間で患者において、約1900ng/mL~約2600ng/mL(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)の範囲にメロキシカムの平均血漿濃度を提供する。
【0077】
治療方法
(i)メロキシカムの術前投与
必要とする患者における痛みの治療方法であって、患者が外科的処置を受ける予定の患者であり、外科的処置の開始前に患者にメロキシカムを投与することを含む方法が本明細書に開示される。ある実施態様においては、メロキシカムは外科的処置の開始前に投与される。本明細書において使用される場合、「外科手術の開始(start of surgery)」または「外科的処置の開始(start of surgery procedure)」は、最初の切開の時を意味する。理論にとらわれることなく、メロキシカムの術前投与は、術後疼痛の治療および/または管理を提供し、それにより術後のオピオイド系鎮痛剤の必要性を減らし(例えば、最初のオピオイドレスキューの時間により証明されるように)、そして滞在の長さ、腸機能の回復、および/または痛みのコントロールの満足度により証明されるように術後の回復経過を改善する。本開示は、患者における外科手術および/またはけがによる外傷からの回復を高める方法であって、患者にメロキシカムを投与することを含む方法を提供する。
【0078】
ある実施態様においては、メロキシカムの術前投与は、つぎの有効性パラメータ:オピオイド系鎮痛剤の総使用量の減少、オピオイド系鎮痛剤の不使用、合計した痛み強度の減少、オピオイドレスキュー投薬の最初の使用までの時間の増加、歩行中の痛み強度の減少、入院の長さの減少、入院費用総額の減少、再入院の発生率の減少、および退院後の熟練した看護の要求の減少の一つまたは複数に関連付けられ、その有効性パラメータの一つまたは複数を促進し、および/またはその有効性パラメータの一つまたは複数を結果として生じる。ある実施態様においては、その有効性パラメータの一つまたは複数は、外科手術の収量(H0)から時間24(H24と表示)までの期間を通して測定される。ある実施態様においては、その有効性パラメータの一つまたは複数は、時間(H)0~H48、H0~H72、H0~治療間隔の終わり、H24~H48、H48~H72、H0~H6、H6~H12、H12~H18、H18~H24、H24~H30、H30~H36、H36~H42、およびH42~H48(その間にあるすべてのサブ範囲を含む)の期間を通して測定される。ある実施態様においては、メロキシカムは、多様なレジメンの一部として術前に投与され、すなわち、メロキシカムは、後述するように一つまたは複数の医薬の投与と組み合わせて術前に投与される。
【0079】
本明細書に開示される方法のある実施態様においては、メロキシカムは、外科手術、切開または外傷の前、間、および/または後に生じる痛みを治療するために投与される。ある実施態様においては、メロキシカムは、外科手術、切開および/または外傷の前、間および/または後に投与されてもよい。特別な実施態様においては、メロキシカムは外科手術の前に投与される。ある実施態様においては、痛みは、炎症性疼痛、神経因性疼痛、内臓痛、損傷により誘発された痛み、および/または切開により誘発された痛みである。ある実施態様においては、痛みは、神経および/または血管の切断により生じ得る。ある実施態様においては、痛みは慢性痛であり、ある実施態様においては、痛みは急性痛である。ある実施態様においては、痛みは中程度から重度の痛みである。
【0080】
ある実施態様においては、メロキシカムは術後疼痛を治療するために投与される。術後疼痛は、二つの臨床的に重要な側面、言い換えれば、安静時痛、すなわち患者が動いていないときの痛みと、動き(咳/くしゃみ、ベッドから起き上がる、理学療法、など)により増幅される機械的な痛みとが含まれ得る。ある実施態様においては、安静時痛が治療され、ある実施態様においては、機械的に誘発された痛み(動きにより生じる痛みが含まれる)が治療され、そしてある実施態様においては、熱に誘発された痛みが治療される。ある実施態様においては、異痛(すなわち、普通は非侵害の刺激に対する応答の増加(すなわち、侵害感覚の増加))が治療される。ある実施態様においては、痛覚過敏(すなわち、普通は侵害または不快な刺激に対する応答の増加)が治療される。ある実施態様においては、異痛および/または痛覚過敏は、実際は熱的または機械的(接触)、または安静時痛である。ある実施態様においては、痛みは切開、創傷または外傷部位、および/または切開、創傷および/または外傷部位の近位またはその近くに関連する。ある実施態様においては、痛みは、身体表面の痛み、身体深部の痛み、および内臓痛などの侵害痛であり、ある実施態様においては、痛みは、中枢神経因性疼痛および末梢神経因性疼痛などの神経因性疼痛である。
【0081】
ある実施態様においては、外科的処置は硬組織および/または軟組織に行われる。ある実施態様においては、外科的処置は軟組織に行われる。ある実施態様においては、軟組織手術としては、生殖手術、腹部手術、胸部手術、上気道手術、頭頚部手術、神経手術、外科腫瘍および創傷ケアおよび再建術などが含まれるが、これらに限定されるものではない。ある実施態様においては、軟組織としては、腱、靭帯、筋膜、皮膚、線維組織、脂肪、および滑膜(結合組織である)、ならびに筋肉、神経および血管(非結合組織)などが含まれるが、これらに限定されるものではない。他の実施態様においては、外科的処置は硬組織に行われる。硬または石灰化された組織としては、石灰化しており、そして安定した細胞間マトリックスを有する組織を含む。硬組織の非限定的な例は、骨、エナメル質、象牙質およびセメント質である。
【0082】
ある側面においては、外科手術は直視下外科手術であり、これは、執刀医が関係する構造および器官の全景を見られるように皮膚および組織を切開する手技を意味する。直視下外科手術の非限定的な例は、胆嚢または腎臓などの器官摘出、臓器移植、脳腫瘍摘出、損傷した腎臓摘出、または心臓切開手術などが含まれる。
【0083】
ある側面においては、外科手術は低侵襲手術であり、これは典型的には大きな切開を作ることを伴わない手技を意味する。低侵襲手術の非限定的な例は、腹腔鏡手術、内視鏡検査、関節鏡検査、気管支鏡検査、細胞検査、胃カメラ検査、子宮鏡検査、およびS状結腸鏡検査が含まれる。ある実施態様においては、外科的処置は腹腔鏡手術である。通常、腹腔鏡手術は、腹部の壁に小さな切開(カット)を作成し、その切開の1つの中に腹腔鏡(薄いライト付きの管)を挿しこむことを伴う外科的処置を意味する。ある実施態様においては、腹腔鏡手術の間、器官摘出や顕微鏡下で疾患の兆候を確認するための組織試料の採取などの手技を行うため、同じ切開または他の切開を通して他の器具が挿入されてもよい。腹腔鏡手術の非限定的な例は、婦人科手術、リンパ節切除術、腎臓手術、前立腺全摘手術、肝臓手術、胆嚢摘出(gallbladder removal)(胆嚢切除(cholecystectomy))、虫垂切除、ヘルニアの修復、結腸の一部摘出(結腸切除)、小腸の一部摘出、胃酸逆流病のための手術(噴門形成術)、副腎摘出、および脾臓摘出が含まれる。ある側面においては、手術は顕微手術であり、これは通常、特別な機器や顕微鏡を使用して手術部位を拡大し、小さな手術器具を使用する非常に小さな身体構造での繊細な作業のために使用される。顕微手術の非限定的な例は、精管切除の反転または切断された指の再付着である。ある実施態様では、手術はロボット支援手術であり、執刀医は、手術中にロボットアームを操作して、より正確な動きを可能にする。ロボット手術の非限定的な例は、頭頸部の手術、子宮摘出術および前立腺癌治療などの婦人科および泌尿器科の手術を含む。
【0084】
ある実施態様では、手術は結腸直腸手術であり、他の実施態様では、手術は整形外科手術である。ある実施態様においては、手術は関節置換手術である。ある実施態様では、手術は片側人工膝関節全置換術である。
【0085】
ある実施態様においては、メロキシカムは、外科的処置の約5分~約24時間前、例えば、約5分前、約10分前、約15分前、約20分前、約25分前、約30分前、約35分前、約40分前、約45分前、約50分前、約55分前、約1時間前、約2時間前、約3時間前、約4時間前、約5時間前、約6時間前、約7時間前、約8時間前、約9時間前、約10時間前、約11時間前、約12時間前、約13時間前、約14時間前、約15時間前、約16時間前、約17時間前、約18時間前、約19時間前、約20時間前、約21時間前、約22時間前、約23時間前、および約24時間前、(それらの間のすべての値およびサブ範囲を含む)に投与される。ある実施態様においては、メロキシカムは、外科的処置の開始の約5分~約24時間前、(それらの間のすべての値およびサブ範囲を含む)に投与される。例えば、メロキシカムは、外科的処置の開始の約5分~約12時間前、約10分~約6時間前、約20分~約3時間前、約30分~約2時間前、約30分~約90分前、約40分~約70分前、約50分~約60分前、(それらの間のすべての値およびサブ範囲を含む)に投与されてもよい。ある実施態様においては、メロキシカムは、外科的処置の開始前、約24時間以内、約12時間以内、約6時間以内、約5時間以内、約4時間以内、約3時間以内、約2時間以内、約1時間以内、約45分以内、約30分以内、約15分以内、約10分以内、約5分以内、または外科的処置の開始の直前に投与される。本明細書において使用される場合、「直前」は、約2分以内、約1.5分以内、約1分以内、約45秒以内、約30秒以内、または約15秒以内、(それらの間のすべての値およびサブ範囲を含む)を意味する。
【0086】
ある実施態様においては、メロキシカムは、麻酔の投与前に投与されるが、他の実施態様においては、メロキシカムは、麻酔の投与後に投与される。ある実施態様においては、メロキシカムは、麻酔の投与の約2時間前~約直前(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)に投与される。例えば、メロキシカムは、麻酔の投与前の約2時間以内、約90分以内、約1時間以内、約30分以内、約15分以内、約10分以内、約5分以内、その間のすべての値およびサブ範囲など、または約直前に投与してもよい。ある実施態様においては、メロキシカムは、麻酔の投与の約2時間後~約直後(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)に投与される。例えば、メロキシカムは、麻酔の投与後の約2時間以内、約90分以内、約1時間以内、約30分以内、約15分以内、約10分以内、約5分以内、それらの間のすべての値およびサブ範囲など、または約直後に投与してもよい。本明細書において使用される場合、「直後」は、約2分以内、約1.5分以内、約1分以内、約45秒以内、約30秒以内、または約15秒以内(それらの間のすべての値およびサブ範囲を含む)を意味する。
【0087】
ある実施態様においては、患者は外科手術前に少なくとも一用量投与される。ある実施態様においては、メロキシカムの最初の投与は、外科手術前に投与される。ある実施態様においては、患者は、外科手術の前に一用量投与され、他の実施態様においては、患者は外科手術前に複数用量(multiple doses)投与される。例えば、外科手術前に患者に投与されるメロキシカムの投与回数(number of dose)は、1~20用量、1~10用量または1~5用量または医師が適切と判断した場合になる。ある実施態様においては、外科手術前に患者に投与されるメロキシカムの複数回投与は、1日1回、1日2回、1日3回、1日おき、または医師が適切と判断した頻度で投与され得る。ある実施態様においては、外科手術前に患者に投与されるメロキシカムの複数回投与は、12時間ごとに1回、18時間ごとに1回、24時間ごとに1回、36時間ごとに1回、または48時間ごとに1回、または医師が適切と判断した場合に投与され得る。ある実施態様においては、患者は、外科手術前の一定期間をかけてメロキシカムを投与することを含む治療レジメンを受けていてもよい。外科手術前の一定期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、1~11ヵ月または1年であり得る。
【0088】
ある実施態様においては、本明細書に開示した方法は、外科手術の前に投与されたメロキシカムの1または複数の用量の後に少なくとも1用量のメロキシカムを投与することをさらに含む。ある実施態様においては、その方法は、外科手術前に投与されたメロキシカムの用量の後、約18~26時間ごとにメロキシカムを投与することを含む。ある実施態様においては、その方法は、外科手術前に投与されたメロキシカムの1または複数の用量の後、約6時間ごと、約8時間ごと、約12時間ごと、約18時間ごと、約24時間ごと、約36時間ごと、約48時間ごと、または医師が適切と判断した頻度で投与することを含む。ある実施態様においては、その方法は、外科手術前に投与されたメロキシカムの1または複数の用量の後、約18時間で、約24時間で、約36時間で、約48時間で、約54時間で、約72時間で、約96時間で、約5日で、約6日で、など、医師により要求されるまでメロキシカムを投与することを含む。ある実施態様においては、本明細書に開示された方法は、外科的処置の完了後、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日間、約18時間ごと~約24時間ごとまたは医師が適切と判断した頻度で、メロキシカムの用量を投与することをさらに含む。
【0089】
(ii)他の医薬との組み合わせにおけるメロキシカムの投与
本明細書に開示されるのは、1つまたは複数の他の医薬と組み合わせてメロキシカムを静脈内投与することを含む、それを必要とする患者の痛みを治療する方法である。ある実施形態においては、痛みは慢性的な痛みである。ある実施態様においては、痛みは急性の痛みである。ある実施態様においては、痛みは中等度から重度の痛みである。
【0090】
ある実施態様においては、医薬は神経障害性疼痛、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛、中枢神経障害性疼痛を含む痛みを治療するために、または過剰な出血を防ぐために使用される薬物であり得る。ある実施態様においては、医薬は、鎮痛剤、抗けいれん剤、三環系抗うつ剤、抗悪心薬または抗生物質であり得る。
【0091】
本明細書に開示した方法のある実施態様においては、メロキシカムは、鎮痛剤と組み合わせて投与される。鎮痛薬は、痛みを和らげるために使用される薬物のグループである。鎮痛薬の種類の例には、非ステロイド性抗炎症薬、オピオイド、医療大麻、向精神薬、非オピオイド疼痛受容体に作用するもの、ソマトスタチン類似体、およびNMDA受容体拮抗薬が含まれる。鎮痛剤の例には、アセトアミノフェン、プロピフェナゾン、アセマタシン、アセチルサリチル酸、メタミゾールおよびそれらの塩が含まれる。ある実施態様では、鎮痛薬は短時間作用型鎮痛薬である。ある実施態様では、鎮痛薬は即時放出型鎮痛薬である。
【0092】
非ステロイド性抗炎症薬の例には、アスピリン(アセチルサリチル酸)、ジフルニサル(ドロビド)、サリチル酸および他のサリチル酸塩、サルサレート(ジサルシド)、イブプロフェン、デキシブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、デクスケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、ロキソプロフェン、インドメタシン、トルメチン、スリンダック、エトドラック、ケトロラック、ジクロフェナク、セレコキシブ、アセクロフェナク、ナブメトン、ピロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロロノキシカム、フェニルブタゾン、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、エトリコキシブ、クロニックスおよびリコフェロンが含まれる。
【0093】
オピオイド鎮痛薬の例には、モルヒネ、フェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニル、ヒドロモルホン、メペリジン、メタドン、ブプレノルフィン、DADL、ブトルファノール、ヒドロコドン、オキシコドン、レボルファノール、ジヒドロコデイン、コデイン、ジヒドロモルヒネ、ペチジン、ピリトラミド、チリジン、トラマドール、それらの塩、および関連オピオイドが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0094】
非オピオイド疼痛受容体に作用する鎮痛薬の例には、クロニジン、チザニジン、ST-91、メデトミジン、デクスメデトミジンなどのアルファ-2アドレナリン作動性受容体アゴニストおよび関連するアルファ-2アドレナリン作動性アゴニストが含まれる。NMDA受容体拮抗薬の例には、デキスメトルファン、イフェンプロジル、MK-801および関連するNMDA拮抗薬が含まれる。ソマトスタチン類似体の例には、オクトレオチド、サンドスタチン、バプレオチド、ランレオチドおよび関連するソマトスタチン類似体が含まれる。非オピオイド疼痛受容体に作用する他の鎮痛薬の例には、スーパーオキシドジスムターゼ、バクロフェン、カルシトニン、セロトニン、血管作用性腸ポリペプチド、ボンベシン、オメガコノペプチドおよび関連する非オピオイド鎮痛薬が含まれる。神経因性疼痛に使用される薬物の例には、プレガバリン、ガバペンチン、デュロキセチン、ベンラファキシン、ミルナシプラン、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、デシプラミン、ボツリヌス毒素、およびカンナビノイドが含まれる。
【0095】
抗生物質の例には、アモキシシリン、ドキシサイクリン、セファレキシン、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、メトロニダゾール、アジスロマイシン、スルファメトキサゾール/トリメトプリム、アモキシシリン/クラブラン酸塩およびレボフロキサシンが含まれるが、これらに限定されるものではない。ある実施態様においては、抗生物質は予防的抗生物質である。抗悪心薬の例には、オンダンセトロン、グラニセトロン、ドラセトロン、デキサメタゾン、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナート、ロラゼパム、プロクロルペラジン、ハロペリドール、メトクロプラミド、ナビロン、およびネツピタントを伴うパロノセトロン塩酸塩、塩酸メクリジン、エメトロール、サリチル酸ビスマス、プロメタジン、スコポラミン、またはそれらの組み合わせが含まれる。過剰な出血を治療または予防するための薬物の例には、トラネキサム酸、オキシトシン、エルゴタミンおよびカルベトシンが含まれる。
【0096】
本明細書に開示した方法のある実施態様においては、メロキシカムは外科手術、切開および/または創傷の前、あいだ、および/または後に投与される。ある実施態様においては、メロキシカムは1つまたは複数の他の薬物と同時に患者に投与される。別の実施態様においては、メロキシカムは、1つまたは複数の他の薬物の投与の前、約24時間以内、約12時間以内、約6時間以内、約5時間以内、約4時間以内、約3時間以内、約2時間以内、約1時間以内、約45分以内、約30分以内、約15分以内、約10分以内、約5分以内、それらの間のすべての値およびサブ範囲、または投与直前に患者に投与される。ある実施態様においては、メロキシカムは、1つまたは複数の他の薬物の投与の後、約24時間以内、約12時間以内、約6時間以内、約5時間以内、約4時間以内、約3時間以内、約2時間以内、約1時間以内、約45分以内、約30分以内、約15分以内、約10分以内、約5分以内、それらの間のすべての値およびサブ範囲、または投与直後に患者に投与される。
【0097】
ある実施態様においては、1つまたは複数の薬物は、約1mg~約1000mg、約1mg~約900mg、約10mg~約850mg、約100mg~約800mg、約200mg~約800mg、約200mg~約700mg、約300mg~約700mg、約400mg~約600mg、約500mg~約700mg、およびその間のすべての値およびサブ範囲の量で投与される。例えば、1つまたは複数の薬物は、約1mg~約1g、例えば、約1mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、および約100mg(それらの間のすべての値およびサブ範囲を含む)の量で投与される。
【0098】
ある実施態様においては、1つまたは複数の薬物は、全身経路または粘膜経路または経皮経路を介して、または特定の組織に直接投与され得る。本明細書で使用される場合、「全身投与」という用語は、非経口投与経路を含む。特に、非経口投与には、皮下、腹腔内、静脈内、動脈内、筋肉内、または胸骨内注射、静脈内、または腎臓透析注入技術が含まれる。本明細書で使用される場合、「粘膜投与」という用語は、経口、鼻腔内、膣内、直腸内、気管内、腸内および眼内投与を含む。
【0099】
(iii)他の薬物と組み合わせたメロキシカムの術前投与
ある実施態様においては、患者は、外科的処置を受ける患者であり、メロキシカムは、外科的処置、切開または創傷の前、最中、および/または後に、1つまたは複数の薬物と組み合わせて投与される。ある実施態様においては、メロキシカムは、外科的処置の開始前、外科的処置の間、および/または外科的処置の完了後に、1つまたは複数の薬物と組み合わせて投与される。1つまたは複数の薬物は、上記の薬物のいずれか1つまたは複数であり得る。その外科的処置は、上記の外科的処置のいずれかである。
【0100】
ある実施態様においては、メロキシカムと組み合わせて投与される1つまたは複数の薬物は、外科的処置の前約5分~約24時間、その間のすべての値およびサブ範囲に投与される。ある実施態様においては、1つまたは複数の薬物は、外科手術の開始前、約5分~約24時間(例えば、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約35分、約40分、約45分、約50分、約55分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、および約24時間(それらの間のすべての値およびサブ範囲を含む))に投与される。例えば、1つまたは複数の薬物は、外科的処置の開始前、約5分~約12時間、約10分~約6時間、約20分~約3時間、約30分~約2時間、約30分~約90分または約40分~約70分、約50分~約60分(それらの間のすべての値およびサブ範囲を含む)に投与してもよい。ある実施態様においては、1つまたは複数の薬物は、外科的処置の開始前、約24時間以内、約12時間以内、約6時間以内、約5時間以内、約4時間以内、約3時間以内、約2時間以内、約1時間以内、約45分以内、約30分以内、約15分以内、約10分以内、約5分以内(それらの間のすべての値およびサブ範囲を含む)、または外科的処置の直前に投与してもよい。
【0101】
ある実施態様においては、メロキシカムと組み合わせて投与される1つまたは複数の薬物は、麻酔薬の投与の前に投与され、別の実施態様においては、1つまたは複数の薬物は、麻酔薬の投与後に投与される。ある実施態様においては、1つまたは複数の薬物は、麻酔薬の投与の約2時間前~約直前(例えば、約5分以内、約4分以内、3分以内、2分以内、1分以内)(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)に投与される。例えば、1つまたは複数の薬物は、麻酔薬の投与の前、約2時間、約90分、約1時間、約30分、約15分、約10分、約5分、または直前に投与してもよい。ある実施態様においては、1つまたは複数の薬物は、麻酔薬の投与の後、約2時間~約直後(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)に投与される。例えば、1つまたは複数の薬物は、麻酔薬の投与の後、約2時間、約90分、約1時間、約30分、約15分、約10分、約5分または直後に投与してもよい。
【0102】
特別な実施態様においては、ガバペンチン、アセトアミノフェンおよびメロキシカムは、外科的処置の開始前に投与され;そしてその後、アセトアミノフェンがその術前用量に続き6時間ごとに投与され、そしてIVメロキシカムがその術前用量に続き約18時間ごと~約26時間ごと(例えば、約24時間ごと)に投与される。特別な実施態様においては、ガバペンチン、アセトアミノフェンおよびメロキシカムは、外科的処置の開始前に投与され;そしてその後、アセトアミノフェンがその術前用量に続き8時間ごとに投与され、そしてIVメロキシカムがその術前用量に続き約20時間ごと~約25時間ごとに投与される。
【0103】
ある実施態様においては、患者は外科手術前にメロキシカムの用量を投与される。ある実施態様においては、患者は外科手術前にメロキシカムと組み合わせて1つまたは複数の薬物の少なくとも1用量を投与される。ある実施態様においては、患者は、外科手術前にメロキシカムと組み合わせて1つまたは複数の薬物の1用量を投与され、別の実施態様においては、患者は外科手術前にメロキシカムの1つまたは複数の用量と組み合わせて1または複数の薬物の複数用量を投与される。
【0104】
ある実施態様においては、本明細書に開示された方法は、1つまたは複数の薬物を、その術前用量の後で、単独でまたはメロキシカムと組み合わせて投与することを含む。ある実施態様においては、1つまたは複数の薬物は、外科手術の前に投与された用量の後、約4時間ごと、約6時間ごと、約8時間ごと、約10時間ごと、約12時間ごと、約24時間ごと、約36時間ごと、または約48時間ごとに、または医師により適切と認められた用量および頻度で投与してもよい。
【0105】
ある実施態様においては、本明細書に開示された方法は、1つまたは複数の薬物の少なくとも1用量を、単独またはメロキシカムと組み合わせて外科的処置の完了後に投与することをさらに含む。例えば、1つまたは複数の薬物は、外科的処置の完了後、約5分~約24時間(その間のすべての値およびサブ範囲を含む)に投与されてもよい。例えば、1つまたは複数の薬物は、外科的処置の完了後、約5分~約12時間、約10分~約6時間、約20分~約3時間、約30分~約2時間、約30分~約90分または約40分~約70分、約50分~約60分に投与されてもよい。ある実施態様においては、1つまたは複数の薬物は、外科的処置の完了後、約24時間以内、約12時間以内、約6時間以内、約5時間以内、約4時間以内、約3時間以内、約2時間以内、約1時間以内、約45分以内、約30分以内、約15分以内、約10分以内、約5分以内、または外科的処置の直後に投与される。
【0106】
ある実施態様においては、メロキシカムは、メロキシカムまたは医薬品の任意の成分に対する既知の過敏症を有する患者において禁忌である。ある実施態様においては、メロキシカムは、アスピリンまたは他のNSAIDを服用した後、喘息、蕁麻疹、または他のアレルギー型反応の病歴を有する患者において禁忌である。ある実施態様においては、メロキシカムは、冠状動脈バイパス移植(CABG)手術を受けている患者において禁忌である。ある実施態様においては、メロキシカムは、体液量減少による腎不全のリスクがある中等度から重度の腎機能不全の患者において禁忌である。
【0107】
ある実施態様においては、メロキシカムは、肝毒性を引き起こし得る。したがって、メロキシカムを投与された患者は、肝毒性の兆候と症状について警告を受ける可能性がある。ある実施態様においては、異常な肝機能検査が持続または悪化する場合、または肝疾患の臨床的徴候および症状が発現する場合、メロキシカムは直ちに中止され得る。ある実施態様においては、メロキシカムは高血圧を引き起こし得る。いくつかの降圧薬を服用している患者は、メロキシカムを服用しているときにこれらの治療に対する応答が損なわれている可能性がある。ある実施態様においては、そのような患者の血圧を監視することができる。ある実施態様においては、メロキシカムは、心不全および浮腫を引き起こし得る。重度の心不全の患者は、心不全を悪化させるリスクを利益が上回ると予想されない限り、メロキシカムの使用を避けることができる。ある実施態様においては、メロキシカムは腎毒性を引き起こし得る。ある実施態様においては、腎機能は、腎または肝機能障害、心不全、脱水症、または循環血液量減少を有する患者において監視され得る。腎機能を悪化させるリスクを利益が上回ると予想されない限り、進行性腎疾患の患者ではメロキシカムの使用を避けることができる。ある実施態様においては、メロキシカムはアナフィラキシー反応を引き起こし得る。アナフィラキシー反応が起こった場合、緊急の助けが求められることがある。ある実施態様においては、メロキシカムは、アスピリン感受性喘息の患者において禁忌である。ある実施態様においては、既存の喘息(アスピリン感受性のない)を有する患者は、喘息の悪化についてモニターされ得る。ある実施態様においては、メロキシカムは、既存の喘息(アスピリン感受性のない)を有する患者において禁忌である。ある実施態様においては、メロキシカムは、重篤な皮膚反応を引き起こし得、そして皮膚発疹または他の過敏症の徴候の最初の出現で中止され得る。ある実施態様においては、メロキシカムは、妊娠の第3トリメスターにおいて胎児動脈管の早期閉鎖を引き起こし得る。ある実施態様においては、メロキシカムの使用は、妊娠30週が始まる妊婦において回避され得る。ある実施態様においては、メロキシカムは、血液学的毒性を引き起こし得る。ヘモグロビンまたはヘマトクリットは、貧血の兆候または症状のある患者で監視され得る。ある実施態様においては、メロキシカムは、貧血の徴候または症状を有する患者において禁忌である。ある実施態様においては、メロキシカムは、悪心、頭痛、便秘、嘔吐、そう痒症またはそれらの組み合わせを引き起こし得る。
【0108】
メロキシカムは、止血を妨げる薬物(例えばワーファリン、アスピリン、SSRI/SNRI)と相互作用し得る。止血を妨げる薬物とメロキシカムを併用している患者は、出血について監視され得る。ある実施態様においては、出血が重篤である場合、メロキシカムが打ち切られ得る。ある実施態様においては、メロキシカムとアスピリンの鎮痛用量との併用は薦められない。ある実施態様においては、メロキシカムは、ACE阻害剤、アンギオテンシン受容体遮断薬(ARB)、またはベータ遮断薬と相互作用し得る。メロキシカムとの併用は、これらの薬物の高血圧効果を損なう可能性がある。ある実施態様においては、メロキシカムは、ACE阻害剤、アンギオテンシン受容体遮断薬(ARB)、またはベータ遮断薬と一緒には使用禁止である。ある実施態様においては、メロキシカムは、ACE阻害剤およびARBと相互作用する。高齢者、体液量が不足している人、または腎機能障害のある人でのメロキシカムとの併用は、腎機能の低下を生じる可能性がある。このようなハイリスクの患者では、腎機能の悪化の兆候を監視し得る。ある実施態様においては、メロキシカムは利尿剤と相互作用し得る。NSAIDは、フロセミドおよびチアジド系利尿薬のナトリウム利尿作用を低下させる可能性がある。降圧効果を含む利尿効果を保証するために、患者を監視し得る。ある実施態様においては、メロキシカムは利尿薬と一緒には使用禁止である。ある実施態様においては、メロキシカムは、ジゴキシンと相互作用し得る。メロキシカムとの併用は、血清濃度を高め、ジゴキシンの半減期を延ばすことができる。血清ジゴキシン濃度を監視し得る。ある実施態様においては、メロキシカムは、ジゴキシンとの併用使用には使用禁止である。ある実施態様においては、NSAIDは、可逆性不妊症と関連している可能性がある。メロキシカムの中止は、妊娠が困難な女性に考慮される場合がある。
【実施例】
【0109】
実施例1:メロキシカム30mgIV注射処方
【0110】
IV注射処方は、30mgのメロキシカム、ポビドン、デオキシコール酸ナトリウム(デオキシコール酸)、ショ糖、および注射用水を即時使用可能な(ready-to-use)バイアルに総量1mLで含む即時使用可能な処方として製造する。
【0111】
プラセボは、大豆油、卵黄リン脂質、グリセリン、フルオレセインナトリウム、葉酸ナトリウム、エデト酸2ナトリウム、ベンジルアルコール、ポリソルベート80、デキストロース、および注射用水を含む。塩酸および/または水酸化ナトリウムをpH調整に使用することができる。
【0112】
実施例2:アセトアミノフェンおよびガバペンチンと組み合わせた直腸結腸手術前のIVメロキシカム投与の安定性および有効性
【0113】
開腹または腹腔鏡下結腸直腸手術を受けている成人対象におけるIVメロキシカム30mgの術前投薬の安全性および有効性を評価する、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同試験が実施されている。研究コホートは、30mgのIVメロキシカムまたはプラセボのいずれかの投与にランダム化(1:1)された約50人の対象を含む。少なくとも48~72時間の入院となると予想される結腸直腸手術を受ける予定の18~80歳の成人対象は、米国の最大20の研究施設で参加のためにスクリーニングされる。スクリーニングは、IVメロキシカム投与前28日以内に行われる。インフォームドコンセントに署名した後、病歴、身体検査、臨床検査、12誘導心電図(ECG)、妊娠検査、およびバイタルサインの測定をスクリーニング訪問中に終える。
【0114】
術前に、アルビモパンの使用は禁止されている。ガバペンチン300mgのPOは術前約30~90分投与され、そしてアセトアミノフェン650mgのPOまたはIVは、術前約30~90分投与される。ミダゾラム2mgのIVは、必要に応じて1回投与される。IVメロキシカムは、手術開始前30分以内に投与される(最初の切開の時間として定義される;用量1)。IVメロキシカムのすべての用量は、約15秒間かけてIVボーラスとして投与される。試験薬投与の初回用量の開始時間(用量1)は、その後の用量をスケジュールするために使用される。
【0115】
術中試験プロトコルは以下を含む。硬膜外薬は使用されていない。術中鎮痛は、IVオピオイドを用いて維持される。禁止されている術中治療には、NSAID、ケタミン、腹横筋面(TAP)ブロック、リドカイン、および/または局所点滴が含まれる。悪心予防のために、デキサメタゾンIVを4mgまでおよびオンダンセトロンIVを4mgまたはプロメタジンIVを25mgおよびスコポラミン経皮パッチ0.5mgが投与される。亜酸化窒素、イソフルラン、セボフルランまたはデスフルラン、または完全静脈麻酔が使用される。
【0116】
術後、対象は、IV鎮痛が臨床的に適切である限り、または退院するまでのいずれか早い方まで、用量1から24時間ごとにIVメロキシカムを投与され続ける。各対象は、試験参加中にIVメロキシカムの少なくとも2つの用量を投与される。対象は、手術後少なくとも48~72時間、または入院治療が臨床的に適切である限り、試験センターに滞在する。IVメロキシカムの最終用量は、退院が予定されている対象に最大4時間早く投与される。試験薬の前回の投与後28時間超IVメロキシカムの用量を投与されなかった対象は、治療を受けていないと見なされ、IVメロキシカムのさらなる用量は投与されなかった。
【0117】
すべての対象は、IVメロキシカムの最終用量後24時間まで許容されるように、650mgのアセトアミノフェンQ8HのPOを投与される。IVモルヒネ、またはモルヒネ患者管理鎮痛(PCA)は、術後すぐに利用できるようになる。モルヒネの総用量は14mg/時を超えてはならない。患者は、PCAに加えて約1mgから約2mgのモルヒネQ1Hを補充されてもよい。対象が水分摂取に耐えられるようになると、経口鎮痛への変換がなされる。経口鎮痛レジメンは、オキシコドン5mgのQ4H PO PRNであり、補足鎮痛に必要な場合は、IVメロキシカムの最終用量から24時間後まで、モルヒネ1~4mgのIVボーラスをQ1Hまで投与する。ガムを噛んだり、アルビモパンを使用したりすることは禁止されている。オンダンセトロン4mgのIVまたは8mgのPOは、必要に応じて悪心のために投与される。
【0118】
対象は、臨床状態に基づいて試験センターから退院し、安全性評価は、IVメロキシカムの最後の用量後1日(24時間)または退院時の早い方に行われる。対象は、試験センターから退院した後の疼痛管理のための標準鎮痛ケアレジメンを提供される。治療を受けたすべての対象は、退院後30日まで追跡される。すべての対象は試験センターに戻り、退院後5~21日でフォローアップ訪問1を完了し、フォローアップ訪問2は退院後30日に電話で完了する。
【0119】
安全性評価には、有害事象のモニタリング、創傷治癒評価、バイタルサイン、および臨床検査が含まれる。有効性評価には、総オピオイド消費量、最初の歩行時の11ポイントの数値疼痛評価尺度(NPRS;0~10)による疼痛強度、最初の鎮痛レスキューまでの時間、腸機能の回復までの時間(最初の放屁または腸音、および最初の腸の動きまでの時間など)、移動までの時間(病院のベッドからの最初の補助移動までの時間および病院のベッドからの最初の独立した移動までの時間など)、疼痛管理の患者の全体的な評価、簡単な痛みの一覧、痛み治療に対する対象の満足度、退院までの時間(退院命令が書かれるまでの時間および実際の退院までの時間など)、経鼻胃(NG)チューブ挿入の発生率、滞在期間、初回退院後の再入院の発生率、および入院の総費用が含まれる。
【0120】
実施例3:アセトアミノフェンおよびガバペンチンと組み合わせた開放片側人工膝関節全置換術前のIVメロキシカム投与の安全性および有効性
【0121】
方法:
選択的開放片側人工膝関節全置換術を受けている成人対象における無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同試験が、術前にIVメロキシカムを投与することの安全性および有効性を評価するために実施されている。外科的処置は、24時間以上の入院となることが予想される入院病院で実施される。各対象は、1日目に手術を受ける前の28日以内に適格性についてスクリーニングされる。手術前に、約200人の適格な対象が1:1の比率でランダム化され、30mgのIVメロキシカムまたはプラセボのいずれかが15秒以内の静脈内(IV)ボーラス注射として投与される。
【0122】
対象は、予定された外科的処置の30~90分前に、経口アセトアミノフェン650mgおよび経口ガバペンチン600mgを投与される。対象は、適切な予防的IV抗生物質、およびトラネキサム酸1グラムIVを手術の30~90分前に投与される。くも膜下麻酔(7.5~15mgのブピバカインHCl)の投与後、かつ手術の開始(つまり、最初の切開時)前に、対象は無作為化にしたがい15秒未満でIVメロキシカムの初回用量を投与される。その後、すべての対象は、試験責任医師の臨床診療および施設の基準に従って外科的処置を受ける。
【0123】
フェンタニルおよび他の類似体は、時々、術中に(外科的処置の過程の間に)投与される。ただし、フェンタニル(および他の類似体)の投与は、外科的処置の予想される終了前の30分以内を避ける。投与されたフェンタニルおよび他の類似体の時間および用量が記録される。他のオピオイド鎮痛薬は術前または術中には投与されないが、これは、術後期間(時間0を退院に至るまでの最後の縫合、ステープル止め、またはステリストリップ配置の時間として定義する)中のオピオイド鎮痛に対する対象の要求を混乱させるかまたは影響する可能性があるためである。
【0124】
創傷閉鎖の直前に、90mLの通常の生理食塩水の容量に拡張されたエピネフリン0.5mgと共にブピバカインHCl 0.5% 30mLが、手術部位の様々な領域に局所的に注射される。外科的処置の終了時(時間0)および退院に至るまで、術後の疼痛管理は、試験責任医師の臨床診療および施設の基準に従って、IVおよび経口オピオイドを使用して行われる。
【0125】
IVメロキシカムの追加用量は、最初の用量の後、24時間(±1時間)ごとに投与される。投与は、対象が退院するまで、またはIVメロキシカムの投与が臨床的にもはや適切でなくなるまでのいずれかまで続けられる。IVメロキシカムに加えて、すべての対象は、時間0から退院に至るまで続く抑えきれない痛みの管理に必要な場合、IVおよび/または経口(PO)オピオイド薬(最初の1時間は10分ごとにモルヒネ1~4mg IV、その後1~8mg IV Q1H PRNおよびオキシコドン即時放出(IR)5mg PO Q4H(最大10mg Q4H PRN))を利用可能である。対象はまた、メロキシカムの最終用量後24時間まで許容されるように650mgのアセトアミノフェンQ8H POを投与される。IVメロキシカム、アセトアミノフェン、および上記のオピオイドを除く他の鎮痛剤は、時間0から48時間まで許可されていない。対象が液体の摂取に耐えられるようになると、IVから経口鎮痛への変更がなされる。対象は、少なくとも24時間、または入院ケアが臨床的に適応されなくなるまで入院患者のままである。退院時に、対象は、試験責任医師によって決定されたように、疼痛管理および理学療法のための標準的なケアレジメンを提供される。
【0126】
退院後24時間および48時間に、資格のある試験スタッフが、オピオイド薬の使用、疼痛強度、理学療法の受診、および医療リソースの利用(すなわち、病院の再入院、熟練した看護施設の使用、痛みに関連する予定外の電話および/または外来診療、および痛みおよび/または他の医学的問題に関連する緊急治療室[ER]診療)を評価するために電話インタビューを実施する。対象は、術後日(POD)10から14の間に臨床現場を訪れ、有害事象、創傷治癒、および医療リソースの利用について評価される。最終的な電話インタビューは、AE、オピオイドの使用、および医療リソースの利用を評価するためにPOD30で実施される。POD30の電話インタビューの後、対象は試験から解放される。
【0127】
結果:
この無作為化プラセボ対照試験は、最初の片側TKAを受けている対象において、外科手術前に開始して1日1回30mgのナノ結晶メロキシカムの投与を評価した。この試験に参加する対象/試験責任医師は、一般的に受け入れられている実施方法に従い、施設間での対象ケアの比較可能性を維持するために、術前、術中、および術後に標準化された臨床ケアプロトコルに従うことが期待された。
【0128】
術後オピオイド使用の有意な減少が、一次エンドポイント(最後の縫合、ステープル止め、またはステリステップ配置の時間として定義される、外科的処置の終了時の時間0[H0]~時間24[H24])ならびに多数の二次間隔(H48~H72、H0~H48、H0~H72、およびH0から治療終了まで)で、30mgのナノ結晶メロキシカム治療群を支持して観察された。術後最初の日には、ナノ結晶メロキシカム治療を受けた対象の利用した総オピオイド用量が有意に低く、プラセボ群と比較して37.1%の減少であった(p<0.0001;18.94mg対27.73mg)。表1を参照。オピオイド要求におけるこの減少は、特に急性の痛みの状況では、ベストプラクティスを改訂するための継続的な努力によりオピオイドの使用が減少するため臨床的に重要なものである。
【表1】
【0129】
平均オピオイド消費量は、評価されたすべての手術後間隔において、プラセボと比較してナノ結晶メロキシカム30mg群で数値的に低く、H48~H72、H0~H48、H0~H72、およびH0から治療間隔の終わりまで統計的に有意な差に達した(p<0.05)。さらに、退院後0~24および24~48時間の退院後間隔で、有意に低いオピオイド消費が認められた(p<0.05)。術前および術中のオピオイド使用は、治療群間で類似していた。様々な試験間隔での総オピオイド使用の概要を表2に示す。
【表2】
【0130】
外科手術終了後の6時間間隔でのオピオイドの使用を評価するために、追加の計画外分析(アドホック)が実施された。オピオイドの使用は、H42~H48を除いて、6時間間隔ごとにナノ結晶メロキシカム30mgグループで数値的に低かった。H24までの6時間間隔ごとに有意な減少が観察され、プラセボと比較してナノ結晶メロキシカム30mgについてオピオイド使用が有意に減少したことを示す。外科手術終了後の6時間間隔でのオピオイド使用の概要を表3および
図1に示す。
【表3】
【0131】
オピオイド消費の減少に加えて、合計疼痛強度(SPI)の有意な減少が、30mgのナノ結晶メロキシカム治療群において複数の間隔で観察された。オピオイドレスキューの使用を説明するために疼痛強度(PI)スコアに代入または調整が行われず、したがって、これらのSPIの大幅な低下が、プラセボ群でのオピオイド使用の増加(複数の間隔で有意)の傾向にもかかわらずもたらされたことは注目に値する。
【0132】
合計14の疼痛強度(PI)スコアが予定された:13のPIスコアが、手術終了後の最初の48時間以内に収集され、さらに1つのPIスコアが退院時に収集された。予定されたPIスコアの時点は次のとおりである。麻酔後ケアユニット(PACU)に到着時;試験薬の初回用量に対する時点(時間0):4時間±15分、6時間±15分、8時間±30分、10時間±1時間、12時間±1時間、16時間±1時間、20時間±1時間、24時間±1時間(必要に応じて試験薬投与前)、30時間±2時間、36時間±2時間、42時間±2時間、および48時間±2時間(試験薬投与前、示された場合)、対象が目覚めているとき;そして退院前。さらに、レスキュー鎮痛薬を使用する前に、予定外のPI評価が実施され;PIは、各歩行試行の前にも評価され(表6)、そして歩行中の最悪の痛みの強さが収集されたが、歩行中の最悪の疼痛スコアはSPI分析に含まれなかった。
【0133】
最初の試験用量(T0)後の24時間の間に、合計PI(SPI
24)は、プラセボと比較して、ナノ結晶メロキシカム治療対象において有意に低かった(p<0.0001)。表4を参照。
【表4】
【0134】
SPI
24データの概要が、後方にまとめられた追加のSPI間隔の分析と共に表4に提供される。プラセボと比較して、ナノ結晶メロキシカム30mg群では、最初の試験用量(T0)から最初の補助歩行までおよび退院時までの時間にSPIの有意な減少が観察された(p≦0.0235)。T0から最初の独立した歩行までのSPIスコアは、ナノ結晶メロキシカムの方が数値的に低かったが、有意性には達しなかった。表5を参照。
【表5】
【0135】
上記のように様々な間隔で実施される予定されたPI評価に加えて、PIは歩行前に評価され、歩行中の最悪のPIが、歩行セッションの完了後に収集された。試験における最初の補助歩行および/または独立歩行の前または最中に、PIに有意差は観察されなかった。平均PIスコアは、プラセボと比較して、最初の補助歩行および独立歩行の歩行前のナノ結晶メロキシカムについて数値的に低かった。最初の歩行でのPIスコアの概要を表6に示す。
【表6】
【0136】
外科手術後の最初の補助歩行および最初の独立歩行を使用することにより、最初の歩行までの時間を分析した。カプランマイヤー(KM)50%と最初の補助歩行までの平均時間は、ナノ結晶メロキシカム治療群で数値的に短かったが、有意性には達しなかった(p=0.0512)。入院中に独立して歩行できた対象はごくわずか(ナノ結晶メロキシカム群で18%、プラセボ群で11%)であったことを考えると、最初の独立歩行までの時間に違いは見られなかった。最初の歩行までの時間の概要を表7に示す。
【表7】
【0137】
さらに、患者全体評価(PGA)および鎮痛スコアの全体的利益(OBAS)評価(以下を参照)は、ナノ結晶メロキシカムを支持する初期の有意な減少を示し、その後の時点でナノ結晶メロキシカム治療対象に対して好ましい応答を維持した。これらの発見は、対象のオピオイド要求を減らしながらも、対象の疼痛コントロールおよび満足度が従来のケアレジメン(プラセボ+オピオイドレスキュー)で見られるものと比較して改善されているということを支持し、1日1回の30mgナノ結晶メロキシカムを含むこの設定でのマルチモーダル疼痛レジメンの恩恵を証明している。マルチモーダル疼痛管理の一環として、対象は予定された外科的処置の30~90分前に経口アセトアミノフェン650mgと経口ガバペンチン600mgを投与された。対象は、最後の試験用量+1日(LSD+1)までアセトアミノフェン650mg POQ8Hの投与を継続した。対象はまた、手術の30~90分前に適切な予防的IV抗生物質とトラネキサム酸1グラムIVとを投与された。
【0138】
術後日(POD1)から開始し、退院または最終試験用量(LSD)+1のいずれか早い方まで毎日継続し、試験スタッフは、対象に、それまでの期間中の疼痛管理を次のスケール:0-悪い、1-普通、2-良い、3-非常に良い、または4-優れている」にしたがって評価するように求めた。対象が報告したPGAスコアは、分析のために肯定的(評価2-良い以上)または肯定的ではない(評価1-普通以下)としてグループ化された。POD1では、ナノ結晶メロキシカム治療群の有意に多くの対象が、プラセボと比較してPGAで肯定的な評価を報告した(80.4%対63.1%;p=0.0105)。同様に、ナノ結晶メロキシカム治療群のより多くの対象が、POD2と退院前に肯定的な評価を報告したが、その差は統計的に有意ではなかった。ほとんどの対象はPOD3の前に退院したため、POD3およびPOD4でのこの評価に利用できる対象の数は非常に少なかった。肯定的なPGA評価の発生率の概要を表8に示す。
【表8】
【0139】
POD1から開始し、退院または最終試験用量(LSD)+1のいずれか早い方まで毎日継続し、対象は、OBAS質問票に含まれる次の7つの項目に回答した(Lehmann 2010に記載されているように、本明細書に組み込まれる)。以下のように、すべての目的のために全体が参照として本明細書に組み込まれる)。7つの項目は次のとおりである。1.0=最小の痛みと4=想像できる最大の痛みとの間のスケールでの安静時の現在の痛み;2.過去24時間の嘔吐による苦痛と煩わしさ(0=まったくないから4=非常に多い);3.過去24時間のかゆみによる苦痛と悩み(0=まったくないから4=非常に多い);4.過去24時間の発汗による苦痛と悩み(0=まったくないから4=非常に多い);5.過去24時間の麻痺(freezing)による苦痛と煩わしさ(0=まったくないから4=非常に多い);6.過去24時間のめまいによる苦痛と悩み(0=まったくないから4=非常に多い);および7.過去24時間の疼痛治療に対する満足度(0=まったくないから4=非常に多い)。
【0140】
OBAS評価から得られる2つの主要なスコアは、全体的なOBASスコアおよびオピオイド次元苦痛スコア(Opioid Dimension Distress Score)(ODDS)である。OBASは、プラセボと比較してPOD1のナノ結晶メロキシカムで有意に低く(p=0.0027)、その後の日でも数値的に低いままであったが、有意性に達することはなかった。ODDSは、POD1、POD2、および退院前のナノ結晶メロキシカムでは数値的に低かったが、POD3ではプラセボについてより低かった。ODDS結果の違いはいずれも有意差はなかった。OBASおよびODDSのスコアリング結果の概要を表9に示す。
【表9】
【0141】
オピオイド使用の有意な減少に加え、この試験は、最初のオピオイドレスキューの時間への有意な遅延を示した。外科手術の終了後、対象は痛みの症状の必要に応じてオピオイド鎮痛を要求することができた。ナノ結晶メロキシカム30mgで治療された対象は、プラセボ対象と比較して、手術終了から最初のオピオイド要求(IVまたは経口投与による)までの時間が有意に長かった(p=0.0003)。外科手術の終了から最初のオピオイドレスキューまでの時間の概要を表10に提供し、最初のオピオイドレスキュー(IVまたは経口)までの時間のカプランマイヤー生存曲線プロットを
図2に提供する。
【表10】
【0142】
レスキューまでの追加時間の分析を以下に提供する。上記の最初のオピオイドレスキュー(IVまたは経口)までの時間で見られるように、最初のオピオイド使用への有意な遅延は、投与の個々のレスキュー経路を介しても見られた。対象における最初のIVおよび最初の経口オピオイドレスキューまでの時間は、プラセボと比較して、ナノ結晶メロキシカム30mgを投与された対象で有意に長かった(p≦0.0038)。最初のIVおよび最初の経口オピオイドレスキューまでの時間の概要を表11に示す。
【表11】
【0143】
ナノ結晶メロキシカム治療群のより大きな改善とともに、オピオイドを使用していない対象の数が時間とともに増加したことは注目に値する。現在の試験がオピオイドを使用していない対象の発生率を観察しようとしたあいだ、オピオイドが第一レスキュー医薬として特定され、ケアプロトコルはオピオイド薬の使用を具体的に減らしたり回避したりする努力をしなかった。特に、入院期間中のオピオイド使用の有意な減少は、退院後の最初の48時間に継続することが観察された。
【0144】
これらの発見は、急性の痛みの状況においてマルチモーダル鎮痛レジメンの一部として使用されるナノ結晶メロキシカムの有益な役割をさらに支持する。異なる作用機序を有する2つ以上の鎮痛薬を含むマルチモーダルレジメンは、痛みの緩和を改善し、患者のオピオイド要件を減らすための多様な鎮痛レジメンの恩恵を一貫して示している。マルチモーダルレジメンの構成要素には、鎮痛薬(オピオイド、NSAID、アセトアミノフェン、ガバペンチノイド、および/またはセロトニン作動薬を含む)、局所または局部神経ブロック、および/または他の構成要素の中でも関節内および創傷浸潤が含まれ得る。
【0145】
さらに、病院料金データは、ナノ結晶メロキシカムが、プラセボと比較して、医療リソースの使用が少なく、医療費が削減されたことを示唆している。入院期間の長さは、外科手術終了(H0)から退院命令書が記載された時間、および実際の退院時までの時間(時間)として測定した。カプランマイヤー(KM)の50パーセンタイルとKM平均値は、プラセボと比較してナノ結晶メロキシカムの方が数値的に低かったものの、入院期間の長さにおいてグループ間で有意差は確認されなかった。入院期間の長さの概要を表12に示す。
【表12】
【0146】
最初の入院の費用は、UB-04および/または請求目的に使用される同様の病院請求書式を使用して決定された。UB-04/病院請求書式に記録されたように総入院費が記録された。さらに、合計病院費用は、UB-04/病院請求書式に報告されているように、入院時から退院までのすべての病院ケアの請求コードおよび/または処置コードから決定された。平均入院費用は、プラセボと比較してナノ結晶メロキシカム30mg治療群で低く、明らかに10.2%の費用の削減が見られた。総入院費の概要を表13に示す。
【表13】
【0147】
資格のある試験スタッフは、退院の24時間後および48時間後、POD10~14の外来、およびPOD30で電話インタビューを実施した。各電話インタビューの間に、対象は、オピオイド薬の使用、痛みの強さ、理学療法の受診、およびヘルスケアリソースの利用(すなわち、病院の再入院、熟練した看護施設の使用、痛みに関連する予定外の電話および/または外来診療、および痛みに関連する緊急治療室[ER]受診)について尋ねられた。全体として、ナノ結晶メロキシカム治療を受けた対象は、プラセボと比較して、再入院の発生率(1.1%対3.4%)、痛みによるER受診(0対4.5%)、および痛みによる医師の呼び出し(4.3%対10.2%)が低かった。痛みのために予定外の医師の受診を報告した対象はいなかった。表14に、再入院とER受診、痛みによる医師の受診および医師の呼び出しの概要を示す。
【表14】
【0148】
病院後の各フォローアップ電話インタビュー中およびPOD10~14受診中に、対象は、熟練した看護施設の使用を含む医療リソースの利用について質問された。プラセボ群では、ナノ結晶メロキシカムと比較して、退院後に熟練した介護ケアを必要とする対象の発生率が数値的に高く、追加の介護を必要とする対象は14.8%対5.4%であった。熟練した介護ケア利用の概要を表15に示す。
【表15】
【0149】
全体として、これらの結果は、プラセボよりも、ナノ結晶メロキシカムの術前投与の有意な利益を示す。これらの結果はまた、マルチモーダルレジメンの一部として(例えば、アセトアミノフェンおよびガバペンチンと組み合わせて)術前にナノ結晶メロキシカムを投与することは、プラセボを投与することと比較して優れた効果を有することを支持する。
【0150】
ナノ結晶メロキシカム30mg治療群の対象は、術後初日(外科手術の終了から手術後24時間まで;一次有効性エンドポイント)のオピオイド消費が有意に低く、プラセボと比較して31.7%減少した(p<0.0001)。ナノ結晶メロキシカム30mg治療群の対象はまた、術後初日と入院期間中の合計疼痛強度(SPI)も有意に低く(p≦0.0001)、オピオイド使用を説明するためのPIデータ補完は行われなかったため、プラセボSPIスコアには、複数の評価間隔中の有意に高いオピオイド使用からの応答が含まれている。これらの違いにもかかわらず、対象の大多数は、術後初日に少なくとも1つのオピオイド薬を投与されたが、治療間でオピオイドを使用しない対象の発生率に差はなかった。しかし、術前のナノ結晶メロキシカム30mgを投与された対象は、プラセボと比較して、手術後の最初のオピオイドレスキューまでの時間が有意に長かった(p=0.0021)。オピオイド使用の有意な減少は、入院治療全体(p=0.0002)および試験全体(p=0.0073)でも見られた。ナノ結晶メロキシカムを支持するPGAおよびOBASスコアについて1日目に有意差が認められた(p=0.0105および0.0027)。ナノ結晶メロキシカム30mg治療群の対象は、退院後の医療リソースの利用も少なく、すべての原因による再入院の発生率が数値的に低く、熟練した看護施設に退院する対象が少なく、フォローアップ期間中の痛みに関連するER受診と医師の呼び出しが少なくなっている。
【0151】
30mgのナノ結晶メロキシカムによる術前投薬の安全性を評価する目的のために、安全性プロファイルは、術後投薬条件下での開発プログラムを通して同定されたものと一致することが観察された。治療に起因する有害事象(TEAE)の種類は、引き続き外科的集団設定と一致し、強度は主に軽度または中程度であり、一般に試験治療とは関係がなく、プラセボと比較してナノ結晶メロキシカム治療群では全体的に発生率が低かった。臨床検査評価、バイタルサイン、および外科的創傷評価の変化もプラセボと同等であった。
【0152】
要するに、これらの結果は、最初の片側TKAを受けている対象におけるマルチモーダルレジメンの一部として、術前に30mgのナノ結晶メロキシカムを投与することの有効性および安全性を実証している。
【0153】
特定する言及により本明細書において引用されたすべての刊行物、特許、特許出願および公開特許出願の開示は、これによりそれら全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0154】
引用された文献と本明細書との間に矛盾がある場合は、明細書が優先するものとする。本出願の実施形態を説明する場合、具体的な用語が明確性のために用いられる。しかしながら、本発明は、そのように選択された具体的な用語に限定されることを意図するものではない。本明細書におけるいかなるものも、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。提示するすべての例は、代表的なものであり、非限定的なものである。上記教示に照らして当業者により十分理解されるように、上述の実施形態は、本発明から逸脱することなく、修飾または変更することができる。したがって、特許請求の範囲およびそれらの等価物のなかで、本発明は、具体的に説明されている以外のもので実施することができる。
【国際調査報告】