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特表2022-505616歯科用セラミック炉および歯科用焼結炉のための発熱体
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  • 特表-歯科用セラミック炉および歯科用焼結炉のための発熱体 図1
  • 特表-歯科用セラミック炉および歯科用焼結炉のための発熱体 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】歯科用セラミック炉および歯科用焼結炉のための発熱体
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/44 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
H05B3/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021522020
(86)(22)【出願日】2019-10-17
(85)【翻訳文提出日】2021-04-22
(86)【国際出願番号】 EP2019078192
(87)【国際公開番号】W WO2020088943
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】18203114.6
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509207014
【氏名又は名称】ビタ ツァーンファブリク ハー.ラウター ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】VITA ZAHNFABRIK H.RAUTER GMBH & CO.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100189083
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 圭介
(72)【発明者】
【氏名】バホルザー,トーマス
【テーマコード(参考)】
3K092
【Fターム(参考)】
3K092PP09
3K092QA02
3K092QB02
3K092RA02
3K092RB14
3K092RD11
(57)【要約】
歯科用炉のための発熱体が、加熱コイル(34)を内部に収容する管要素(30)を備える。少なくとも1つの閉鎖要素(28/40)が、管要素の少なくとも1つの開放端に接続され、電気コネクタ(36、38)が、閉鎖要素(40)を貫いて導かれ、要素(28)に融合される。
本発明によれば、管要素は、セラミック材料、とくには酸化物セラミックから製作され、最大500℃まで熱作用によって管要素(30)から逃げ出したガスが進入できず、したがって発熱体の動作の安全性が確保されるように、異なる熱膨張係数を補償するための複数の中間ガラス/遷移ガラスおよびガラスはんだを介してコネクタ(28、40)に接続される。さらに、本発明は、そのような発熱体を備える歯科用炉に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に加熱コイル(34)を収容する管要素(30)と、
前記管要素(30)の開放端を閉じる少なくとも1つの閉鎖要素(28)と
を備えており、
電気コネクタ(36、38)が前記閉鎖要素(28)を貫いて引き出される、歯科用炉のための発熱体であって、
前記加熱コイル(34)は、必要に応じて、保護ガスで満たされた前記管要素(30)内で動作する、ことを特徴とする発熱体。
【請求項2】
前記管要素(30)の両端が、閉鎖要素(28)によって閉じられ、電気コネクタ(36、38)が、必要に応じて、前記2つの閉鎖要素(28)のうちの一方のみを貫いて引き出される、ことを特徴とする請求項1に記載の発熱体。
【請求項3】
前記少なくとも1つの閉鎖要素(28)は、石英ガラスおよび/またはホウケイ酸ガラスを含み、あるいは石英ガラスおよび/またはホウケイ酸ガラスから作られる、ことを特徴とする請求項1または2に記載の発熱体。
【請求項4】
前記少なくとも1つの閉鎖要素(28)は、少なくとも1つの中間要素(40)を介して前記管要素(30)に接続される、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の発熱体。
【請求項5】
とくには中間ガラスおよび/または遷移ガラスである複数の中間要素(40)が設けられる、ことを特徴とする請求項4に記載の発熱体。
【請求項6】
前記中間ガラスおよび/または遷移ガラスは、前記管要素(30)の熱膨張係数と前記閉鎖要素(28)の熱膨張係数との間の範囲にわたる異なる熱膨張係数を有する、ことを特徴とする請求項5に記載の発熱体。
【請求項7】
前記管要素(30)、前記少なくとも1つの閉鎖要素(28)、および好ましくは接続材料は、同様の熱膨張係数、とくには同じ熱膨張係数を有する、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の発熱体。
【請求項8】
前記加熱コイルは、2000℃よりも高い融点を有する金属合金または金属、とくにはタングステンおよび/またはモリブデンを含む、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の発熱体。
【請求項9】
前記加熱コイルの溶融温度は、少なくとも2600℃、好ましくは少なくとも3400℃である、ことを特徴とする請求項8に記載の発熱体。
【請求項10】
前記管要素(30)は、セラミック材料、とくには酸化物セラミックから製作され、あるいは前記材料を含む、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の発熱体。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の発熱体
を備えており、
ハウジング(10)が、焼成チャンバ(12)を定めており、
前記ハウジング(10)は、前記発熱体(20)を導き通す少なくとも1つの貫通穴(22)を備え、前記少なくとも1つの閉鎖要素(28)は、前記焼成チャンバ(12)の外部に配置され、前記管要素(30)は、内部に配置される、歯科用炉。
【請求項12】
前記少なくとも1つの貫通穴(22)は、好ましくは前記発熱体(20)を取り囲むシール要素(26)によって閉じられる、ことを特徴とする請求項11に記載の歯科用炉。
【請求項13】
前記貫通穴(22)の各々の反対側に、前記発熱体(20)のための収容要素(24)または別の貫通穴が配置されている、ことを特徴とする請求項11または12に記載の歯科用炉。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用セラミック炉のための発熱体、ならびに本発明による発熱体を備える歯科用焼結炉に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化ジルコニウムなどの金属を含まない歯科用補綴物の焼結、ならびにとくにはジルコニウムおよび/または他のセラミック材料から歯科用合金への歯科用セラミック化合物の焼成のために、さまざまな発熱体を備える歯科用炉が知られている。
【0003】
化粧セラミックの焼結、ならびに装飾用塗装または光沢処理を固定する目的での焼成に使用される炉として、石英ガラスユニット内の加熱ワイヤ(好ましくはKanthal(登録商標)製)を発熱体として使用する抵抗ヒータが知られている。しかしながら、この材料は、これらの発熱体を最大1200℃までで使用することを可能にし、これは、化粧セラミックの焼結および塗装を固定する目的での焼成の実行に充分である。
【0004】
ここ数年において、SiOを用いた歯科修復がますます行われるようになってきた。典型的には、この材料は、予備焼結状態で加工され、その後に焼結炉において最終的に焼結される。1200℃の温度は、この目的には充分ではなく、むしろ最大約1650℃の温度が必要である。これらの温度要件を満たす焼結炉として、例えば、ケイ化モリブデンの発熱体が知られている。これは、ケイ化モリブデンと、主にガラス相の酸化物部分とを含む緻密な金属-セラミック材料である。このガラス部分または保護層は、加熱段階において変化する。これは、剥離につながる可能性があり、したがって焼成チャンバの汚染につながる可能性があり、結果として焼結されるべき物体の汚染につながる可能性がある。小さなガラス破片およびガラス粉末の形態の薄片が、焼成チャンバおよび焼結されるべき物体を汚染する。
【0005】
このような発熱体上の酸化物層のその後の分解は、MoO(三酸化モリブデン)の形成につながる。これは、焼結または焼成されるべき歯科用の物体の望ましくない黄緑色の着色につながる。このような着色は、いわゆるカバー付きの焼結トレイを使用することによってのみ防ぐことができる。これは、複雑な構成の歯科用炉を必要とする。さらに、発熱体上の酸化物層を更新するための洗浄目的の焼成を行う必要がある。これは、かなりの時間およびエネルギを必要とし、なぜならば、このような洗浄目的の焼成は、歯科用炉を空にして、1400℃を上回る温度で、少なくとも4時間にわたって実行されなければならないからである。
【0006】
さらに、炭化ケイ素の発熱体を使用することが、一般的に行われている。これはセラミック材料であるが、破損しやすい。したがって、歯科用炉の焼成チャンバへのそのような発熱体の組み込みは、きわめて複雑かつ面倒である。とくに、そのような発熱体は、いかなる力またはモーメントにもさらされてはならない。他方で、歯科用セラミック化合物を焼成する目的で、焼成チャンバを排気されるように構成することが必要とされる。これは、発熱体の端部が焼成チャンバから引き出されることを必要とする。これは、焼成チャンバのハウジングの真空を漏らさない貫通穴によって実現される。ここで、焼成要素に力が加わり、場合によってはモーメントが加わる。炭化ケイ素からの発熱体の場合、これが損傷につながる可能性があり、とくには発熱体の完全な破壊につながる可能性がある。加えて、炭化ケイ素からの複数の発熱体が使用される場合、同じ電気抵抗を有する発熱体のみが相互接続されることが重要である。したがって、常にすべての発熱体を交換する必要がある。個々の発熱体だけを交換することが可能であるが、これは、きわめて短時間のうちにさらなる発熱体を故障させる結果となるため、合理的でない。炉のすべての発熱体を交換するために、かなりの費用が生じる。
【0007】
さらに、誘導によって歯科用の物体を焼結することが、一般的に行われている。しかしながら、誘導による焼結が行われる場合、焼成チャンバのサイズは大幅に制限される。さらに、焼成チャンバへの装てん時に、焼成チャンバを傷めることがないように注意を払わなければならず、なぜならば、炉のチャンバの内壁の損傷が、誘導挙動の変化につながりかねないからである。加えて、歯科用誘導炉の使用の可能性は、適切な熱的挙動を達成するために処理対象の材料およびインダクタ/サセプタの特性が互いに正確に一致していなければならないため、大幅に制限される。誘導によって動作する歯科用炉の場合、材料パラメータへの依存性ゆえに、適用分野が大幅に制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、適用の可能性の改善をもたらす歯科用炉のための発熱体を提供することである。さらに、本発明の目的は、そのような発熱体を備える歯科用炉を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴を有する発熱体、ならびに請求項11の特徴を有する歯科用炉によって達成される。
【0010】
本発明による歯科用炉のための発熱体は、加熱コイルを内部に収容する管要素を備える。管要素は、少なくとも片側が閉鎖要素によって閉じられる。閉鎖要素は、管要素の開放端を閉じる。管要素の第2の端部は、別の閉鎖要素によって閉じられてよく、あるいは閉じられるように構成される。少なくとも1つの閉鎖要素は、加熱コイルのための電気接続要素を引き出すための役に立つ。発熱体に2つの閉鎖要素が設けられる場合、電気接続要素を2つの閉鎖要素から引き出すことができ、あるいは2つの閉鎖要素のうちの1つからのみ引き出すことができる。本発明によれば、管要素は、好ましくはセラミック材料から製作される。材料として、とくには酸化物セラミックが好適である。好ましくは、好ましくは1700℃を超え、とくには1800℃を超える高い耐熱性を有する酸化物セラミックが使用される。とくには、とりわけ本発明による動作条件下で10-8mbar*l/s(Helios漏れ試験による)を下回る高い真空気密性または低い漏れ率を達成するセラミック材料を使用することができる。
【0011】
とくに好ましくは、セラミック材料は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸アルミニウム、チタン酸バリウム、および酸化イトリウム、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される酸化物セラミックを含み、あるいはこれらから製作される。本発明による発熱体または歯科用炉の使用中の汚染を防止するために、高純度の酸化物セラミック材料が有利であることが証明されている。本発明の好ましい実施形態によれば、管要素中の酸化物セラミックの割合は、管要素の材料の総重量に対して90重量%、好ましくは95重量%、とくには97重量%、とりわけ99重量%または99.5重量%を超える。
いずれも95重量%、好ましくは97重量%、とくには98重量%または99重量%、とりわけ99.5重量%を超える純度を有する酸化アルミニウムまたは酸化ジルコニウムまたは酸化イットリウムがとくに好ましい。
【0012】
とくには上述の材料から製作された管要素を提供することは、ジルコニウムおよび/または他のセラミック材料などの歯科用合金へと歯科用セラミック化合物を最大1100℃の温度で焼成するために、良好な結果を達成できるという利点を提供する。同じことが、酸化ジルコニウムまたは同様の材料などからの金属を含まない補綴物のとくには最大1600℃での焼結にも当てはまる。とくには、管要素に上述の材料を使用することにより、例えばケイ化モリブデンを使用した場合に発生するガラス破片/ガラス粉末などの材料粒子の剥離が防止される。さらに、上述の材料から製作された管要素は、力およびモーメントの影響をきわめて受けにくく、したがって、とくには、本明細書による発熱体を、焼成チャンバのハウジングの貫通穴を通って確実に導き、この貫通穴に固定することができる。
好ましくは電気コネクタの収容および電気コネクタの導出に役立つ少なくとも1つの閉鎖要素は、好ましくは、石英ガラスおよび/またはホウケイ酸ガラスから作られる。
少なくとも1つの閉鎖要素の管要素への接続は、好ましくは、ガラスおよび/またはガラスはんだによって実現される。
本発明のとくに好ましい態様において、使用される材料、とくには管要素および少なくとも1つの接続要素の熱膨張係数は、互いに類似し、好ましくは基本的に同一である。
【0013】
独立した発明である本発明による発熱体の別のきわめて好ましい実施形態によれば、管要素の熱膨張係数は、8.8×10-6-1~9.2×10-6-1の範囲である。通常は、電気コネクタの収容および電気コネクタの導出に役立つ石英ガラスおよび/またはホウケイ酸ガラスの閉鎖要素の熱膨張係数は、0.5×10-6-1~3.3×10-6-1の範囲である。したがって、発熱体と閉鎖要素との直接接続は、本発明による使用の最中に生じる熱に起因した機械的応力ゆえに、問題がある。
【0014】
応力割れ、したがって発熱体における漏れを防止するために、管要素と閉鎖要素との間に少なくとも1つの中間要素を設けることが好ましい。ここで、少なくとも1つの中間要素は、管要素の熱膨張係数と閉鎖要素の熱膨張係数との間の範囲の熱膨張係数を有する。とくに好ましくは、複数の中間要素が設けられ、その各々が、熱膨張係数が徐々に調整されるように、異なる熱膨張係数を有する。ここで、中間要素として、中間ガラスまたは遷移ガラスを、異なる熱膨張係数を補償または調整するために使用することが好ましい。
【0015】
電気コネクタに石英ガラスからの中間要素が使用される場合、10~15個の中間ガラスが必要であり、互いに融合させられ、ホウケイ酸ガラスが使用される場合は、酸化アルミニウムまたは酸化ジルコニウムまたは酸化イットリウムから作られた管要素について5~10個の中間ガラスが必要であり、互いに融合させられる。
【0016】
中間ガラスから融合させられ、管要素から接続要素へと延びる接続部は、それぞれの調整された熱膨張係数ゆえに、個々のガラスの間の応力、したがって割れを防止し、とくには10-8mbar*l/s未満の真空気密性または漏れ率を保証する。
管要素は、500℃までの温度でのこの範囲において、とくには10-8mbar*l/s未満の真空気密性または漏れ率が保証されるように、少なくとも1つの中間要素、とくには複数の中間ガラスを介して融合させられる。
さらに、応力が回避され、割れの恐れが大幅に低減されるように、管要素と閉鎖要素との間の遷移の領域において発熱体を強力に冷却すること、および/または長い遷移を設けることが可能である。
【0017】
好ましい実施形態によれば、管要素の内部に配置される加熱コイルは、タングステンおよび/またはモリブデンから作られた加熱コイルである。とくには、加熱コイルの材料は、高融点の金属または金属合金で構成される。好都合には、使用される材料の溶融温度は、2000℃、好ましくは2500℃、とくには2600℃を超える。一実施形態によれば、加熱コイルの溶融温度は、とくには少なくとも2600℃または少なくとも3400℃である。
【0018】
好ましくは、発熱体が配置される管要素は、保護ガスで満たされる。とくには、アルゴン、ネオン、およびクリプトンからなる群から選択される希ガス、ならびにこれらの任意の混合物が、保護ガスまたは不活性ガスとして適切であることが証明されている。ここで、管要素は、好ましくは、保護ガスが焼成チャンバに進入できないように気密である。対応する気密性は、歯科用炉の焼成チャンバの内部の圧力が大気圧と比べて低い場合にも達成される。この目的のために、20mbar~1barの範囲、とくには50mbar~950mbarの範囲の圧力を使用することができる。
【0019】
さらに、本発明は、好ましくは上述のように構成された発熱体を含む歯科用炉に関する。歯科用炉は、焼成チャンバを定めるハウジングを備える。焼成チャンバ内に、焼成または焼結される歯科用要素が配置される。このプロセスは、通常は、可動であってよい焼成テーブル上で実行される。焼成チャンバの内部に、少なくとも1つの発熱体が配置される。この目的のために、歯科用炉のハウジングは、少なくとも1つの貫通穴を備え、発熱体は、それぞれの貫通穴を通って焼成チャンバへと通され、あるいは挿入される。ここで、とくには好ましい態様に基づいて説明される本発明による発熱体は、閉鎖要素が焼成チャンバの外部、とくにはハウジングの外部に位置するように配置される。したがって、閉鎖要素は、焼成チャンバ内に広がる高温にさらされることがない。
【0020】
少なくとも1つの貫通穴は、好ましくは、シール要素によって閉じられる。とくに、シール要素は、焼成チャンバ内に真空を生成するためにも役に立つ。さらに、シール要素は、発熱体を保持または固定することができる。ここで、シール要素は、好ましくは環状の構成であり、発熱体を取り囲む。ここで、発熱体は、とくには、閉鎖要素、すなわち好ましくはガラス要素が、完全に焼成チャンバのハウジングの外側に配置されるように、管要素の領域に保持される。
【0021】
さらに、各々の貫通穴の反対側に、発熱体を収容するための要素を配置することが好ましい。この収容要素は、ハウジングの非貫通穴であってよいが、とくには発熱体の自由端、すなわち閉鎖要素が設けられていない発熱体の端部を収容する。発熱体が両側において閉鎖要素に接続されている場合、代替の実施形態によれば、各々の貫通穴の反対側に、第2の閉鎖要素が焼成チャンバのハウジングから反対側において突出するように、別の貫通穴が配置されることが好ましい。
以下で、本発明を、添付の図面を参照して、好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】歯科用炉の焼成チャンバの基本的な構成要素の大幅に簡略化された概略の斜視図を示している。
図2】本発明による発熱体の概略の断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
歯科用炉が、ハウジング10を備えており、ハウジング10は、図示の実施形態においては、基本的に円筒形の断面を有し、内部に焼成チャンバ12を定めている。ハウジング10の内側には、高温断熱材14が設けられている。焼成テーブル16の助けにより、焼成テーブル16の上面18に配置された焼成または焼結されるべき歯科要素を、焼成チャンバ12へと送り込むことが可能である。さらに、焼成チャンバ12は、図示されていないカバーによって、上面において閉鎖される。例えば、カバーを介して、焼成チャンバ内に真空を生成するための真空接続を接続することができる。
【0024】
図示の典型的な実施形態においては、2つの発熱体が焼成チャンバ12内に配置され、図1において、発熱体は組み込み前の状態で図示されている。2つの発熱体20の各々は、ハウジング10に設けられた貫通穴22を通って焼成チャンバへと挿入される。発熱体20を焼成チャンバ内に固定するために、一方では、収容要素24が、貫通穴22の反対側に設けられ、これらの収容要素は、図示の典型的な実施形態においては、発熱体20の自由端が挿入される非貫通穴である。他方で、発熱体20は、シール要素26の助けによって、挿入された状態で固定される。図示の実施形態において、シール要素は、発熱体を環状に取り囲み、例えば貫通穴22のスタッドに設けられたねじ山に固定されてよい。据え付けられた状態において、シール要素26は、閉鎖要素40の領域の前方で管要素30を取り囲む。
発熱体は、好ましくは、管要素30の領域においてのみ固定またはシールされる。
【0025】
遷移領域において、好ましくは、とくには複数の中間ガラス/遷移ガラス/ガラスはんだ40または任意の他の接続材料であってよい中間要素を介した接続部が、閉鎖要素28を管要素30へと接続するためにさらに設けられる。ここで、個々の中間要素は、管要素30の熱膨張係数から始まって閉鎖要素28の熱膨張係数へと熱膨張係数が徐々に、または段階的に調整されるように、異なる熱膨張係数を有する。
【0026】
発熱体20の構成が、とくに図2に示されている。発熱体20の図示の実施形態は、管要素30を備える。図示の典型的な実施形態において、管要素30は、自由端32において閉じられている。この実施形態において、自由端32は、凹部24に挿入される。中空な管要素30の内部に、加熱コイル34が配置されている。加熱コイルの2つの電気コネクタ36/38が、少なくとも1つの中間要素40および閉鎖要素28から引き出され、融合されている。閉鎖要素28は、例えば、それぞれの熱膨張係数へと調整されたガラスはんだ、およびそれぞれの調整された熱膨張係数をやはり有する複数の中間ガラス/遷移ガラスを介して、管要素30に融合される。
加熱コイル34を収容する発熱体30の中空空間42内に、保護ガスアルゴン、ネオン、クリプトンがもたらされる。
【0027】
図2に示される実施形態の代わりに、加熱コイルは、接続要素36/38が図2の管要素30の左側に引き出されるように構成されてもよい。この典型的な実施形態においては、閉鎖要素28/40と同様に構成された第2の閉鎖要素が右側に配置され、やはりガラスはんだならびに異なる熱膨張係数への調整のための複数の中間ガラス/遷移ガラスを介して、管要素30に接続されと考えられる。これらの調整された熱膨張係数により、保護ガス/不活性ガスのアルゴン/クリプトンで満たされた管要素の漏れ率が10-8mbar*l/s未満であることが保証される。

図1
図2
【国際調査報告】