(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】鼻腔内圧力薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 15/08 20060101AFI20220106BHJP
B65D 83/14 20060101ALI20220106BHJP
A61M 11/00 20060101ALI20220106BHJP
A61M 15/00 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
A61M15/08
B65D83/14 200
A61M11/00 D
A61M15/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021522047
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(85)【翻訳文提出日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 US2019057714
(87)【国際公開番号】W WO2020086752
(87)【国際公開日】2020-04-30
(32)【優先日】2018-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518180814
【氏名又は名称】アクティバックス,インク.
【氏名又は名称原語表記】AKTIVAX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ゲノサール、アミール
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB01
3E014PB02
3E014PC06
3E014PD01
3E014PE15
3E014PE30
3E014PF10
(57)【要約】
圧力チャンバおよび少なくとも1つの分配ポートを含むディスペンサ本体を含む有益な薬剤の分配デバイス。可撓性の一次容器は、その本体内に収容される有益な薬剤を貯蔵する。装置は、圧力チャンバ内の圧力が可撓性の一次容器を押圧し、分配ポートを通って有益な薬剤を放出するように構成される。有益な薬剤の分配デバイスは、鼻腔内に有益な薬剤を送達するように構成され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有益な薬剤を貯蔵する少なくとも1つの一次容器と、
前記一次容器に関連して、かつ、圧力チャンバと少なくとも1つの分配ポートとを含むディスペンサ本体であって、前記圧力チャンバの活性化により、前記一次容器が収縮して前記有益な薬剤が前記分配ポートを通って放出されるディスペンサ本体と
を含む有益な薬剤の分配デバイス。
【請求項2】
前記一次容器は、ブリスターパックを含む請求項1に記載の有益な薬剤の分配デバイス。
【請求項3】
前記ブリスターパックは、フィルムおよび箔のうちの少なくとも1つから形成される請求項2に記載の有益な薬剤の分配デバイス。
【請求項4】
前記圧力チャンバを加圧するための圧力源をさらに含む請求項1に記載の有益な薬剤の分配デバイス。
【請求項5】
前記圧力源は、破裂可能なメンブレンおよび破裂ピンを含むCO
2カートリッジである請求項4に記載の有益な薬剤の分配デバイス。
【請求項6】
前記CO
2カートリッジを破裂させるための活性化機構と前記活性化機構に関連するハンドルとをさらに含む請求項5に記載の有益な薬剤の分配デバイス。
【請求項7】
前記一次容器は、可撓性の、または、半可撓性のパッケージを含む請求項1に記載の有益な薬剤の分配デバイス。
【請求項8】
前記一次容器は、ブリスターパック、成形容器、ブロー成形容器、サシェ、ポーチ、チューブ、またはそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つまたは複数を含む請求項7に記載の有益な薬剤の分配デバイス。
【請求項9】
前記分配ポートは、ジェットノズル、スプレイノズル、または局所塗布具のうちの少なくとも1つを含む請求項1に記載の有益な薬剤の分配デバイス。
【請求項10】
前記有益な薬剤の分配デバイスは、同じかまたは異なる複数の有益な薬剤を貯蔵する複数の一次容器を含む請求項1に記載の有益な薬剤の分配デバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1つの一次容器は複数の区画を含み、その内容物は前記分配デバイスの活性化時に混合されて、前記有益な薬剤を再構成および形成する請求項1に記載の有益な薬剤の分配デバイス。
【請求項12】
前記圧力チャンバは複数の一次容器を含み、それらの一次容器の内容物は、前記少なくとも1つの分配ポートを通って分配される請求項1に記載の有益な薬剤の分配デバイス。
【請求項13】
前記一次容器の前記内容物は、共通の分配ポートを通って分配される請求項12に記載の有益な薬剤の分配デバイス。
【請求項14】
前記ディスペンサ本体に取り外し可能に取り付けられたキャップをさらに含む請求項1に記載の有益な薬剤の分配デバイス。
【請求項15】
前記圧力チャンバを活性化するためのハンドルをさらに含む請求項1に記載の有益な薬剤の分配デバイス。
【請求項16】
前記圧力チャンバに関連し、前記ハンドルの活性化時に活性化前の位置から活性化位置に移動可能であるピストンをさらに含む請求項15に記載の有益な薬剤の分配デバイス。
【請求項17】
前記ピストンを格納するように付勢して、前記ピストンを前記活性化前の位置に推進するピストンリターンスプリングをさらに含む請求項16に記載の有益な薬剤の分配デバイス。
【請求項18】
前記分配ポートの内側に配置され、かつ、分配本体の内部と連通するチューブをさらに含む請求項1に記載の有益な薬剤の分配デバイス。
【請求項19】
前記圧力チャンバ内の圧力の制御を援助するためのブリード穴をさらに含む請求項1に記載の有益な薬剤の分配デバイス。
【請求項20】
前記キャップに取り付けられたテザーおよびカラビナをさらに含む請求項14に記載の有益な薬剤の分配デバイス。
【請求項21】
前記ディスペンサ本体の少なくとも一部は伸縮自在であって、前記ディスペンサ本体の近位端部は、格納された構成にあるとき、前記ディスペンサ本体が伸張された構成に動くまで前記キャップが取り外されることを防ぐように前記キャップの遠位端部を覆う請求項20に記載の有益な薬剤の分配デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に分配パッケージに関連する。より具体的には、本開示は鼻腔内薬物送達デバイスに関連する。
【背景技術】
【0002】
鼻腔内ディスペンサ、例えばNarcan(登録商標)の投与に使用されるものなどは、デバイス内に収容される有益な薬剤のスプレイまたはジェットを作るために手動力を利用する。これは、ディスペンサがどれほど強くおよび/またはどれほど速く操作されたかに応じて、分配されるフロー特性が変動する見込みがあることにつながる。フロー特性におけるこの不規則性は、薬物吸収度および有効性の変動をも生じ得る。
【0003】
以前から知られている鼻腔内ディスペンサは、シリンジスタイルの形状因子(すなわち、バレルおよびピストン装置)を使用する。そのようなディスペンサの1つの欠点は、シリコーンおよびゴムなどのシリンジに付随する材料に有益な薬剤を暴露することが有益な薬剤の安定性および有効性を弱め得ることである。ガラスシリンジはまた、デバイスの衝撃に対する耐性を弱め得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、上記された問題のうちのいくつかまたはすべてに対処する改善された鼻腔内ディスペンサが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書には、本体と、少なくとも1つの分配ポートとを含む有益な薬剤のディスペンサの様々な実施形態が記載される。圧力チャンバは、本体内に配置される。有益な薬剤は、本体内に配置された可撓性の一次容器内に貯蔵される。いくつかの実施形態において、一次容器は、フィルムおよび箔のうちの少なくとも1つから作られたブリスターパックであり得る。圧力チャンバ内の圧力は一次容器を押圧し、有益な薬剤が分配ポートから放出される。圧力源は、圧力チャンバを加圧する。いくつかの実施形態において、圧力源は、破裂可能なメンブレンを有する比較的小さなCO2カートリッジである。破裂可能なピンは、破裂可能なメンブレンの前に配置され得る。破裂可能なピンは、破裂可能なメンブレンと相対運動で互いに向かって移動するとき、破裂可能なメンブレンを破裂させる。CO2カートリッジを破裂させ、圧力チャンバを加圧するために、活性化機構に関連するハンドルは、相対運動を始めるために使用され得る。
一次容器は、例えば、成形容器、ブロー成形容器、サシェ、ポーチ、チューブ、またはそれらの任意の組み合わせを含む可撓性の、または半可撓性のパッケージであり得る。
【0006】
分配ポートは、局所、経口、舌下、眼、口腔、および吸入用を含む様々な用途のために構成され得る。分配ポートは、例えば、ジェットノズル、スプレイノズル、または、ブラシまたはスポンジなどの局所塗布具を含む様々な形態であり得る。
【0007】
圧力が化学反応から生じる圧力源を含む、CO2カートリッジ以外の圧力源を使用してよい。
いくつかの実施形態において、本開示のディスペンサは、同じか、または異なる有益な薬剤を含有する複数の一次容器を含む。他の実施形態において、一次容器は、投与前に手動で、または、自動で混合され得る複数の区画を含む。いくつかの実施形態において、第1区画は、乾燥形態の有効成分を含み、第2区画は希釈剤を含み、その2つの区画は投与前に混合されて、2つの物質が再構成され、有益な薬剤が形成されることを可能にする。本開示のディスペンサは複数の一次容器を含み得、そのそれぞれの内容物は共通の分配ポートを介して分配される。いくつかの構成において、本開示のディスペンサは複数の一次容器を含み、そのそれぞれの内容物は、異なる分配ポートから分配される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1a】例示的な実施形態による鼻腔内ディスペンサの立面図であって、活性化前の構成におけるディスペンサを示す図。
【
図1b】
図1aの線1b-1bについて見たときの鼻腔内ディスペンサの断面図。
【
図2a】活性化構成における鼻腔内ディスペンサの立面図。
【
図2b】
図2aの線2b-2bについて見たときの鼻腔内ディスペンサの断面図。
【
図3a】伸縮自在な本体を有する鼻腔内ディスペンサの透視図。
【
図3b】
図3bの鼻腔内ディスペンサの透視図であって、そのキャップが取り外された図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1aは、本明細書に記載される様々な実施形態による鼻腔内ディスペンサ100を示す。鼻腔内ディスペンサ100は、本体111と、近位端部114において本体111に取り付けられたキャップ113と、活性化ハンドル112とを含み得る。活性化ハンドル112は活性化機構102と連通する(
図1b)。
【0010】
図1bは、
図1aに示される線1b-1bに沿った鼻腔内ディスペンサ100の断面図を示す。ディスペンサ100は、本体111内に圧力チャンバ110を含む。ディスペンサ100は、CO
2カートリッジ121をさらに含み、遠位端部は、破裂ピン122と対面する。カートリッジ121の遠位端部は活性化機構102と連通し、ハンドル112によって操作することができる。ピストン125は、圧力チャンバ110の近位端部を画定し、活性化前の位置(
図1bに示される)と活性化位置(
図2bにおいて示される)との間で移動可能である。第1の一次容器123は圧力チャンバ110内に配置され、ピストン125に連結される。前述したように、2つ以上の一次容器123が本体111内に配置され得るが、
図1bには単一の一次容器123を示す。
図1bに示されるように、一次容器123は、成形側面、蓋、平らな側面、および装備品124から作られたブリスターパックである。成形側面および蓋側面は、互いに周囲を密封され、それぞれが装備品124に密封されて密封された区画を形成する。装備品124は、ピストン125内の開口部内に、シール126を介して厳重に密封されて収容される。ピストンシール128は、ピストン125と本体111との間に密封連結を維持する。通気窓127は、本体111の近位端部内に圧力が蓄積されることを防ぐ。ディスペンサ100の近位端部において、分配ポート132(2つのプローンの(two-prone)鼻の塗布具の形態において
図1bに示される)は、本体111から延在する。チューブ131は、分配ポート132の内側を走り、本体111の内部と分配ポート132の近位端部との間を連通する。キャップ113は、分配ポート132に対して、物理的保護および無菌封入のうちの少なくとも1つを提供する。
【0011】
図2aは、活性化位置における鼻腔内ディスペンサ100を示す。この構成に到達するために、ハンドル112は本体111から離れるように回転されて、活性化機構102を引き戻し、その後、本体111に向かって押圧されて、活性化機構102が破裂ピン122に対してCO
2カートリッジ121を破裂させ、それによって圧力チャンバ110を加圧する。キャップ113は取り外されて分配ポート132が露出する。
【0012】
図2bにおいて、活性化機構102がCO
2カートリッジ121を前進させることにより、破裂ピン122がカートリッジ121内に侵入し、CO
2ガスが圧力チャンバ110を加圧することを可能にする。その圧力がピストン125をディスペンサ100の近位端部に向かって活性化位置に前進させることにより、チューブ131の遠位端部が一次容器123を貫通し、その圧力が一次容器123を押圧し、分配ポート132を通って一次容器123の内容物を放出させる。シール128は、通気窓127内に示され、デバイス100が作動されていることを示す。
【0013】
いくつかの実施形態において、シール128が活性化位置に到達したときにブリード穴が開くことにより、圧力チャンバ110からガスが激減して圧力が減少する。いくつかの実施形態において、ピストンリターンスプリング(図示せず)が通気されるチャンバ130に配置され(
図1b)、装置は、活性化後、圧力チャンバ110内の圧力が特定の閾値未満に激減したとき、ばね力が圧力チャンバ110内の圧力によって加えられる力に打ち勝つことにより、ピストン125が格納されてピストンシール128から離脱するようにする。ブリード穴は、活性化位置でのピストン滞留時間のタイマーとして機能し、より早い抽気(例えば、より大きいブリード穴)が圧力チャンバ110内の圧力をより早く減少させ、ばねがピストン125をより早く格納するようにする。活性化前の位置から活性化位置へのピストン125の運動およびその逆は、最初から最後までディスペンサ100のユーザに触覚を提供する。圧力チャンバ110から圧力を抽気することは、最初から最後まで分配プロセスの可聴感覚をユーザに提供する。当業者は、様々な分配デバイスがジェットノズルおよびスプレイノズルなどの分配ポートの近位端部において収容され得ることを認識するであろう。
【0014】
図3aおよび3bは、鼻腔内ディスペンサ100と同様の鼻腔内ディスペンサ300を示し、伸縮自在な本体301を含む。テザー304は、一端にてキャップ303に取り付けられ、他端にてカラビナ305に取り付けられる。
図3aは、貯蔵のためにより便利なように本体が収縮されたときのディスペンサ300を示す。
図3bに示すように、伸縮自在な本体301を保持しながらテザー304を本体301の反対方向に引くことにより、伸縮自在な本体は軸方向に伸張し、同時にキャップ305は取り外されて分配ポート321が露出する。装置は、伸縮自在な本体301の近位端部がキャップの遠位端部を覆うようにし、本体301が伸張するまでキャップが取り外されることを防ぐ。伸張位置において、ハンドル312は活性化のための作動可能な位置に移動できる。テザー304には、ユーザのトレーニングおよび操作を容易にするための情報が印刷される。本体301の遠位部分は、ディスペンサ300を異なる医薬品の他のディスペンサから区別するために色分けされる。同様の方法で、テザー304、キャップ303、およびカラビナ305のうちの少なくとも1つは、色分けされ得る。また、本体301の遠位端部302は、処置の特定を補助するために区別された形状を有し得る。伸張された本体301はデバイスのより良好な把持を提供し、カラビナ305を有するテザー304はキャップ303を直接保持するより、より簡単な保持および牽引を可能にするので、ディスペンサ300は、手先の器用さが制限された状態で、すなわち手袋を着用しているときの、ディスペンサ300の操作を容易にする。片手操作のために、カラビナ305は衣服、キャリングケース、またはバッグなどの硬い物体に取り付けられ得、本体301の伸張は伸縮自在な本体301を単に引くだけによってなされる。処置の詳細は、テザー304、カラビナ305、またはキャップ303のうちの少なくとも1つに印刷され得るか、または、取り付けられ得る。カラビナ305は、対象が処置中であることを示すために、対象の衣服に取り付けられ得る。
【0015】
前述から、本発明の特定の実施形態が例示の目的で本明細書に記載されること、しかし、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正を行い得ることが理解されるであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲による場合を除いて限定されない。
【0016】
本技術は特定の構造および材料に固有の言語で説明されてきたが、添付の特許請求の範囲で定義された本発明は、説明された特定の構造および材料に必ずしも限定されないことを理解されたい。むしろ、特定の態様は、クレームされた発明を実施する形態として説明されている。本発明の多くの実施形態は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく実施することができるので、本発明は、以下に添付される特許請求の範囲に存在する。
【0017】
特に示されなければ、本明細書(特許請求の範囲以外)で使用される寸法、物理的特性などを表すものなどのすべての数または表現は、すべての場合において用語「おおよそ」によって修飾されると理解される。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に限定する試みとしてではなく、明細書または特許請求の範囲に記載されている「おおよそ」という用語によって修飾された各数値パラメータは、記載されている有効数字を考慮して、かつ、丸め手法を適用して少なくとも解釈されるべきである。また、本明細書に開示されるすべての範囲は、特許請求の範囲に含まれるありとあらゆるサブ範囲またはありとあらゆる個々の値を記載するクレームを包含し、サポートを提供すると理解されたい。たとえば、1~10の提示された範囲は、最小値1と最大値10との間および/またはそれらを含むありとあらゆるサブ範囲または個々の値を記載するクレームを含み、サポートを提供するとみなすべきである。すなわち、最小値が1以上で始まり、最大値が10以下で終わる全てのサブ範囲(例えば、5.5~10、2.34~3.56など)または1~10の任意の値(例えば、3、5.8、9.9994など)。
【国際調査報告】