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特表2022-505653オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた抗体を用いて細胞を検出するための方法およびキット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた抗体を用いて細胞を検出するための方法およびキット
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/04 20060101AFI20220106BHJP
   C12Q 1/6816 20180101ALI20220106BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALI20220106BHJP
【FI】
C12Q1/04 ZNA
C12Q1/6816 Z
C12Q1/6851 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021522067
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(85)【翻訳文提出日】2021-06-14
(86)【国際出願番号】 US2019059255
(87)【国際公開番号】W WO2020092835
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】62/753,854
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ANDROID
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】503115205
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ケネディー-ダーリン,ジュリア
(72)【発明者】
【氏名】サムシク,ニコライ
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ05
4B063QR32
4B063QR48
4B063QR66
4B063QS34
4B063QS36
4B063QX02
(57)【要約】
組織の微小環境は、病気の機序および治療効率にとって重要な要素である。本明細書で提供されるのは、空間次元に関連する特有かつ重要な生物学的関連を明らかにする可能性がある、単一組織内で同時に数十のパラメータの測定を可能にするイメージングプラットフォーム、方法、およびキットである。本明細書に記載のプラットフォーム、方法、およびキットの感度は、疾患進行の追跡、疾患の診断、またはその両方に重要である可能性がある低レベルのマーカーを測定するために拡張される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的特徴検出のための方法であって、
複数の目的の生物学的特徴を含む試料を複数の捕捉剤と接触させることであって、各捕捉剤は異なる目的の生物学的特徴に結合することができ、各捕捉剤は異なるオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされる、接触させることと、
目的の生物学的特徴に結合した前記捕捉剤を前記試料に固定することと、
各オリゴヌクレオチドを環状核酸プライマーと接触させることであって、前記核酸プライマーのセグメントは前記オリゴヌクレオチドに相補的であり、各オリゴヌクレオチドは異なる核酸プライマーと接触させられる、接触させることと、
前記環状核酸プライマーをテンプレートとして使用してオリゴヌクレオチドを増幅し、増幅されたオリゴヌクレオチドを生成することと、
前記オリゴヌクレオチドのサブセットのそれぞれを、標識を含むプローブと接触させて、プローブで増幅されたオリゴヌクレオチド二本鎖を形成することであって、各プローブは、1つのオリゴヌクレオチドのみに結合することができる、形成することと、
前記試料を読み取って前記プローブのそれぞれについて結合パターンを決定し、前記標識を不活化または除去し、オリゴヌクレオチドの異なるサブセットに結合する異なるプローブで前記接触および読み取りステップを繰り返すことと、を含む、方法。
【請求項2】
前記試料は生物学的試料である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記試料は、新鮮な試料、凍結試料、および化学固定試料からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記試料はFFPE組織試料である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記試料は細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記試料は、生体組織、生体液、およびホモジネートからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記試料は細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記細胞は稀な細胞集団を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記細胞は癌細胞を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記細胞は、動物細胞、植物細胞、細菌、真菌細胞、または原生生物からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記試料は、ヒト試料またはマウス試料である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記試料は病原体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記病原体は、細菌細胞、酵母細胞、細菌細胞、ウイルス、ウイルスベクター、またはプリオンからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記試料は腫瘍組織を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記試料は健康な組織を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記試料はスライドに接着される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記生物学的特徴はタンパク質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記生物学的特徴はマーカーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記マーカーのうちの少なくとも1つは低レベルのマーカーである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記生物学的特徴は疾患マーカーを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記生物学的特徴は診断マーカーを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記マーカーは、転写因子、シグナル伝達分子、拡散性細胞外マーカー、または細胞表面マーカーからなる群から選択される分子を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記生物学的特徴は変異タンパク質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記捕捉剤は抗体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記捕捉剤は抗体フラグメントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記抗体フラグメントは、IgG、IgM、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、scFv、ナノボディ、Fab、またはダイアボディからなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
それぞれの異なるオリゴヌクレオチドは、少なくとも10ヌクレオチド長である、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
それぞれの異なるオリゴヌクレオチドは、少なくとも25ヌクレオチド長である、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
それぞれの異なるオリゴヌクレオチドは、100ヌクレオチド長以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記固定は架橋を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記架橋は、ホルムアルデヒドを使用することを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記環状核酸プライマーは、6ヌクレオチド長~100ヌクレオチド長である、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記オリゴヌクレオチドに相補的である前記核酸プライマーの前記セグメントは、16ヌクレオチド長~18ヌクレオチド長である、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記増幅は、ポリメラーゼを使用して行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記ポリメラーゼは、Phi29ポリメラーゼである、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記増幅するステップは、約1時間持続する、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記増幅するステップは、約37℃で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
各プローブは、他の各プローブとは異なる標識を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
前記プローブで増幅されたオリゴヌクレオチド二本鎖は、少なくとも15℃のTを有することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記標識は蛍光標識であり得る、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
前記蛍光標識は、Cy3、Cy5、Alexafluor555、Alexafluor647、Alexafluor750、POPO-3、TOTO-3、POPRO3、およびTOPRO3からなる群から選択され得る、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記蛍光標識は、リンカーによって前記プローブに結合させることができる、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
前記試料を読み取ることは、蛍光イメージングを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2018年10月31日に出願された米国仮特許出願第62/753,854号の優先権を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
バイオマーカー測定により、様々な生物学的状態の検出が可能になる。一部のアッセイでは、所与の試料の病状を評価するには、単一のパラメータのバルク測定が十分である。しかしながら、これらの測定は単一細胞の解像度データを不明瞭にし、生物学的に関連する標本の根本的な不均一性を曖昧にする可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
本明細書で提供されるのは、複数の目的の生物学的特徴を含む試料を複数の捕捉剤と接触させることであって、各捕捉剤は異なる目的の生物学的特徴に結合することができ、各捕捉剤は異なるオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされる、接触させることと、目的の生物学的特徴に結合した捕捉剤を試料に固定することと、各オリゴヌクレオチドを環状核酸プライマーと接触させることであって、核酸プライマーのセグメントはオリゴヌクレオチドに相補的であり、各オリゴヌクレオチドは異なる核酸プライマーと接触させられる、接触させることと、環状核酸プライマーをテンプレートとして使用してオリゴヌクレオチドを増幅し、増幅されたオリゴヌクレオチドを生成することと、オリゴヌクレオチドのサブセットのそれぞれを、標識を含むプローブと接触させて、プローブで増幅されたオリゴヌクレオチド二本鎖を形成することであって、各プローブは、1つのオリゴヌクレオチドのみに結合することができる、形成することと、試料を読み取ってプローブのそれぞれについて結合パターンを決定し、標識を不活化または除去し、オリゴヌクレオチドの異なるサブセットに結合する異なるプローブで接触および読み取りステップを繰り返すことと、を含む、方法である。
【0004】
いくつかの実施形態において、試料は生物学的試料である。いくつかの実施形態において、試料は、新鮮な試料、凍結試料、および化学固定試料からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、試料はFFPE組織試料である。いくつかの実施形態において、試料は細胞を含む。いくつかの実施形態において、試料は、生体組織、生体液、およびホモジネートからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、試料は細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞は稀な細胞集団を含む。いくつかの実施形態において、細胞は癌細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、動物細胞、植物細胞、細菌、真菌細胞、または原生生物からなる群から選択される。
【0005】
いくつかの実施形態において、試料は、ヒト試料またはマウス試料である。いくつかの実施形態において、試料は病原体を含む。いくつかの実施形態において、病原体は、細菌細胞、酵母細胞、細菌細胞、ウイルス、ウイルスベクター、またはプリオンからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、試料は腫瘍組織を含む。いくつかの実施形態において、試料は健康な組織を含む。いくつかの実施形態において、試料はスライドに接着される。いくつかの実施形態において、生物学的特徴はタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、生物学的特徴はマーカーを含む。いくつかの実施形態において、マーカーのうちの少なくとも1つは低レベルのマーカーである。いくつかの実施形態において、生物学的特徴は疾患マーカーを含む。いくつかの実施形態において、生物学的特徴は診断マーカーを含む。いくつかの実施形態において、マーカーは、転写因子、シグナル伝達分子、拡散性細胞外マーカー、または細胞表面マーカーからなる群から選択される分子を含む。いくつかの実施形態において、生物学的特徴は変異タンパク質を含む。
【0006】
いくつかの実施形態において、捕捉剤は抗体を含む。いくつかの実施形態において、捕捉剤は抗体フラグメントを含む。いくつかの実施形態において、抗体フラグメントは、IgG、IgM、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、scFv、ナノボディ、Fab、またはダイアボディからなる群から選択される。
【0007】
いくつかの実施形態において、それぞれの異なるオリゴヌクレオチドは、少なくとも10ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、それぞれの異なるオリゴヌクレオチドは、少なくとも25ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、それぞれの異なるオリゴヌクレオチドは、100ヌクレオチド長以下である。
【0008】
いくつかの実施形態において、固定は架橋を含む。いくつかの実施形態において、架橋は、ホルムアルデヒドを使用することを含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、環状核酸プライマーは、6ヌクレオチド長~100ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドに相補的である核酸プライマーのセグメントは、16ヌクレオチド長~18ヌクレオチド長である。
【0010】
いくつかの実施形態において、増幅は、ポリメラーゼを使用して行われる。いくつかの実施形態において、ポリメラーゼは、Phi29ポリメラーゼである。いくつかの実施形態において、増幅するステップは、約1時間持続する。いくつかの実施形態において、増幅するステップは、約37℃で行われる。
【0011】
いくつかの実施形態において、各プローブは、他の各プローブとは異なる標識を含む。いくつかの実施形態において、プローブで増幅されたオリゴヌクレオチド二本鎖は、少なくとも15℃のTを有し得る。いくつかの実施形態において、標識は蛍光標識であり得る。いくつかの実施形態において、蛍光標識は、Cy3、Cy5、Alexafluor555、Alexafluor647、Alexafluor750、POPO-3、TOTO-3、POPRO3、およびTOPRO3からなる群から選択され得る。いくつかの実施形態において、蛍光標識は、リンカーによってプローブに結合させることができる。
【0012】
いくつかの実施形態において、試料を読み取ることは、蛍光イメージングを含む。
【0013】
本開示において提供されるのは、それぞれが固有のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた複数の抗体、それぞれが固有のオリゴヌクレオチドのうちの1つに特異的な複数のプライマー、およびそれぞれが固有のオリゴヌクレオチドのうちの1つに特異的な複数の色を含むキットである。
【0014】
本開示の別の態様は、1つまたは複数のコンピュータプロセッサによって実行されると、上記または本明細書の他の箇所に記載の方法のいずれかを実装する、機械実行可能コードを含む非一時的なコンピュータ可読媒体を提供する。
【0015】
本開示の別の態様は、1つまたは複数のコンピュータプロセッサおよびそれに連結されたコンピュータメモリを含むシステムを提供する。コンピュータメモリは、1つまたは複数のコンピュータプロセッサによって実行されると、上記または本明細書の他の箇所に記載の方法のいずれかを実装する、機械実行可能コードを含む。
【0016】
本開示の追加の態様および利点は、本開示の例示的な実施形態のみが示され、説明される、以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかになる。理解されるように、本開示は、他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、全て本開示から逸脱することなく、様々な明らかな点において変更することができる。したがって、図面および説明は、本質的に例示的なものと見なされるべきであり、限定的なものとして見なされるべきではない。
【0017】
参照による援用
本明細書で言及する全ての公表物、特許、および特許出願は、あたかも各個々の公表物、特許、または特許出願が、参照により援用されることが具体的かつ個別に示されているかのように参照により本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細において具体的に記述される。本発明の原理が利用される例示的な実施形態を記述する以下の詳細な記載、および添付の図面を参照することにより、本発明の特徴および利点についてのよりよい理解が得られるであろう。
【0019】
図1】いくつかの実施形態による、バックボーンパドロックプローブ/環状核酸プライマーに含まれる追加のレポーター配列を使用してシグナル検出が行われるローリングサークル増幅スキームを示す。
図2】いくつかの実施形態による、オリゴヌクレオチドを認識するパドロックプローブの同じセグメント(「バーコード配列」)を使用してシグナル検出が行われるローリングサークル増幅スキームを示す。
図3】本明細書に記載の方法を実行または制御するようにプログラムされたまたは別様に構成されたコンピュータシステムを示す。
図4A】いくつかの実施形態による、RCAを介して増幅され、蛍光標識プローブでプローブしたオリゴヌクレオチド結合抗体で染色されたヒト新鮮凍結扁桃組織を示す。パネルAは、CD45-BX001(露光時間-50ms)およびCD4-BX021(露光時間20ms)を示す。
図4B】パネルBはパネルAの拡大部分を示す。
図4C】パネルCはCD2-BX002(露光時間20ms)を示す。
図4D】パネルDは、パネルCの拡大部分を示す。
図5A】いくつかの実施形態による、オリゴヌクレオチドに結合した抗体で染色されたヒト新鮮凍結、パラフィン包埋扁桃組織を示す。パネルAおよびBは、CD31-CX001(露光時間-50ms)およびCD3-CX002(露光時間20ms)を示す。
図5B】パネルAおよびBは、CD31-CX001(露光時間-50ms)およびCD3-CX002(露光時間20ms)を示す。
図5C】パネルCは、デハイブリダイゼーションによって標識プローブを除去した後の組織試料を示す。
図5D】パネルDおよびEは、それぞれパネルAおよびBの拡大領域を示す。
図5E】パネルDおよびEは、それぞれパネルAおよびBの拡大領域を示す。
図6】いくつかの実施形態による、ヒト扁桃腺を染色するために24マーカー抗体パネルを使用して収集されたデータの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
概要
本明細書で提供されるのは、試料の要素を検出するための方法、システム、およびキットであり、これらは、空間的状況で高パラメータデータを測定するために適用することができる。そのような測定は、重大な病状または治療法の機構的理解を提供することができる。場合によっては、そのような測定により、強化された診断ツールの開発が可能になる。
【0021】
試料の複数の目的の生物学的特徴は、標識の適用、画像化、および標識の除去の反復サイクルと組み合わせて単一捕捉分子染色ステップを用いることによって検出することができる。場合によっては、捕捉剤を試料に固定することができる。ローリングサークル増幅(RCA)等の増幅ステップは、例えば、シグナルの増幅を提供するために、捕捉分子染色ステップと反復サイクルとの間に用いられ得る。
【0022】
捕捉剤を試料に結合させることにより、試料の要素、例えば、目的の生物学的特徴の最終的な検出を可能にし得る。捕捉分子染色ステップは、複数の目的の生物学的特徴を含む試料を複数の捕捉剤と接触させることを含むことができ、その結果、各捕捉剤が、異なる目的の生物学的特徴に結合することができる。場合によっては、各捕捉剤を異なるオリゴヌクレオチドにコンジュゲートさせることができる。
【0023】
固定ステップは、捕捉剤が試料に固定され得るように、捕捉剤の結合に続くことができる。そのような固定ステップは、組織表面上で行われる後続の増幅ステップを可能にすることができる。場合によっては、そのような固定ステップは、増幅後の信頼できる多重化ならびに/または反復的な標識および画像化ステップを可能にすることができる。
【0024】
オリゴヌクレオチドはそれぞれ、増幅ステップの準備として環状核酸プライマーと接触させることができる。場合によっては、環状核酸プライマーは、オリゴヌクレオチドと接触する前に非環状であり得、オリゴヌクレオチドと接触させると環状化することができる。場合によっては、非環状核酸は、オリゴヌクレオチドと接触させて、ライゲーションを介して環状化することができる。例えば、場合によっては、環状核酸プライマーがRCA反応のテンプレートであってもよい。場合によっては、非環状核酸プライマーは、ライゲーションによって環状核酸プライマーになるように環状化された後、RCAのテンプレートであってもよい。そのようなプライマーは、捕捉剤に結合したオリゴヌクレオチドのセグメントに相補的なセグメントを含み得る。場合によっては、そのようなプライマーはプローブセグメントを含み得る。増幅ステップ中にプローブセグメントがコピーされる場合、プローブセグメントのコピーは、核酸プローブに相補的であり得る。場合によっては、プローブセグメントは核酸プローブと同じ配列を有し得る。場合によっては、各オリゴヌクレオチドを異なる環状核酸プライマーと接触させることができる。
【0025】
環状核酸を適用した後、RCA反応を行って試料を増幅することができる。RCA反応は、捕捉剤が結合した後、場合によっては架橋または固定ステップの後に、試料の表面上で行うことができる。RCAは、免疫蛍光法および免疫組織化学法等の、このような増幅なしで行われる同様の方法と比較して、増強された感度を提供することができる。RCAは、例えば、オリゴヌクレオチドに結合した環状核酸プローブの等温増幅を含むことができ、その結果、環状核酸プローブが、RCA反応のためのプライマーとして作用する。環状核酸プライマーがプローブセグメントを有する場合等、場合によっては、RCA反応により標識プローブの複数の結合部位が作成される可能性がある。
【0026】
RCA反応後、増幅されたオリゴヌクレオチドのサブセットを、標識を含むプローブと接触させることができる。これらのプローブは、各RCA反応で作成されたプローブセグメントのコピーに結合することができる核酸配列であり得る。場合によっては、これらのプローブは、各RCA反応で作成されたプローブセグメントのコピーに相補的であり得る核酸配列であり得る。場合によっては、各プローブはサブセット内の増幅されたオリゴヌクレオチドの1つに結合することができる。場合によっては、サブセット内の異なる増幅されたオリゴヌクレオチドごとに異なるプローブ配列が使用される。場合によっては、サブセット内の増幅された各オリゴヌクレオチドが1つのプローブ配列に結合することができる。このようにして、増幅されたオリゴヌクレオチドのサブセット内のオリゴヌクレオチドに関連するそれぞれの目的の生物学的特徴を、異なるプローブに関連付けることができる。これにより、それぞれの目的の生物学的特徴の検出が可能になる。
【0027】
プローブをハイブリダイズさせた後、試料を読み取って、プローブのそれぞれについて結合パターンを決定することができる。この読み取り値は、捕捉剤を介してプローブのそれぞれに関連する目的の生物学的特徴に関する空間情報を示すことができる。場合によっては、試料を読み取ることは、1つまたは複数のプローブ上の標識を検出することを含み得る。読み取りは、標識の検出に適した任意の許容可能な方法を使用して達成され得る。例えば、標識が色素標識または蛍光標識である場合、これは、それぞれ白色光または蛍光顕微鏡で試料を画像化することによって達成することができる。別の例として、標識が酵素標識である場合、これは、酵素に基質を提供し、反応を起こさせ、反応の生成物を検出することによって達成することができる。
【0028】
試料を読み取った後、標識は不活化または除去され得る。場合によっては、増幅されたオリゴヌクレオチド上にプローブが残った状態のままで、プローブから標識を除去してもよい。場合によっては、その標識が付いたプローブを、増幅されたオリゴヌクレオチドから除去してもよい。場合によっては、標識に関連付けられたプローブからシグナルを検出できなくするために、標識を不活化してもよい。不活化または除去ステップにより、試料を読み取る後続のラウンドで、異なるプローブセットについて結合パターンを決定することができる。
【0029】
オリゴヌクレオチドの異なるサブセットに結合することができる標識プローブの異なるセットを用いて、接触および読み取りを繰り返すことができる。場合によっては、以前にプローブされていない増幅されたオリゴヌクレオチドを含む増幅されたオリゴヌクレオチドのサブセットを、それぞれ、標識を含むプローブと接触させることができる。場合によっては、新しいサブセット内のそれぞれの増幅されたオリゴヌクレオチドは、新しいサブセット内の他の増幅されたオリゴヌクレオチドとは異なるプローブに結合することができる。場合によっては、各プローブは、新しいサブセット内の1つの増幅されたオリゴヌクレオチドにのみに結合することができる。
【0030】
読み取りステップを行って新しい標識のセットを読み取り、新しいプローブのセットについて結合パターンを決定することができる。したがって、読み取りは、最初の反復よりも様々な目的の生物学的特徴に関する空間情報を示すことができる。場合によっては、標識の除去または不活化、接触、および読み取りのステップを繰り返すことができる。場合によっては、所定の数または全ての目的の生物学的特徴が検出されるまで、繰り返しを続けることができる。
【0031】
本明細書で提供される方法は、免疫組織化学または免疫蛍光等の他のアッセイと比較して感度を向上させることができる増幅戦略を提供することができる。これらの方法は、アッセイの多重化を可能にし、場合によっては、低レベルのマーカーまたは利用可能な抗体が比較的弱い可能性があるマーカーの検出を可能にし得る。
【0032】
本明細書のいくつかの方法において、増幅、RCA反応は、各抗体分子と比較して検出分子の化学量論を増加させることができるシグナルの増幅を可能にすることができる。この化学量論は、他のアッセイと比較して、少なくとも5倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも500倍、少なくとも1000倍、少なくとも5000倍、または少なくとも10000倍増加させることができる。
【0033】
場合によっては、本明細書で提供される方法は、増幅ステップを有しない他のいくつかのアッセイ、および増幅ステップを有する他のいくつかのアッセイを含む、他の検出アッセイの検出限界未満であり得るマーカーの検出を可能にし得る。
【0034】
そのような方法の例は、図1の4つのステップに示されている。第1のステップでは、オリゴヌクレオチドに結合した抗体を試料に結合させることができる(試料は図示されていない)。このオリゴヌクレオチドは、「バーコード」、または環状核酸プライマーに結合することができる領域を含み得る。この図では、オリゴヌクレオチド全体がバーコードとして機能する。他の例では、オリゴヌクレオチド全体よりも少ない場合があるオリゴヌクレオチドの一部がバーコードとして機能し得る。環状核酸プライマー(「パドロックプローブ」)は、一方の端がバーコードの一方の部分(第1の結合配列)に逆相補的であり、他方の端がバーコードの他方の部分(第2の結合配列)に相補的であるように設計することができる。これらの両端の間には、プローブ配列を有する領域があり得る。第2のステップにおいて、環状核酸プライマーは、環状核酸プライマーが環状形状をとるように、第1および第2の結合配列を介してオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができる。環状核酸プライマーの末端をライゲーションすることができる。第3のステップでは、RCAを行うことができ、オリゴヌクレオチドを伸長し、パドロックプローブに相補的であり得る一連の核酸を繰り返して含むことができる増幅されたオリゴヌクレオチドがもたらされる。特に、プローブ配列は、この増幅されたオリゴヌクレオチドにおいて複数回繰り返すことができる。ステップ4において、増幅されたオリゴヌクレオチドは、プローブ配列に相補的であり得る核酸配列をそれぞれが含むことができる標識プローブとともにインキュベートされ得る。そのようなプローブは、検出可能な標識に結合させることができる。標識プローブは、増幅されたオリゴヌクレオチド上のプローブ配列にハイブリダイズすることができ、例えば、画像化によって検出することができる。場合によっては、この種の方法はタイプ1RCA法と称される場合がある。
【0035】
そのような方法の別の例は、図2の4つのステップに示されている。第1のステップでは、オリゴヌクレオチドに結合した抗体を試料に結合させることができる(試料は図示されていない)。このオリゴヌクレオチドは、「バーコード」、または環状核酸プライマーに結合することが可能であり得る領域を含み得る。この図では、オリゴヌクレオチド全体がバーコードとして機能する。他の例では、オリゴヌクレオチド全体よりも少ない場合があるオリゴヌクレオチドの一部がバーコードとして機能し得る。環状核酸プライマー(「パドロックプローブ」)は、一方の端がバーコードの一方の部分(第1の結合配列)に逆相補的であり、他方の端がバーコードの他方の部分(第2の結合配列)に相補的であるように設計することができる。これらの2つのレポーター配列は、オリゴヌクレオチドが次のステップでライゲーションして環状形状になると、プローブ配列を構成することができる。第2のステップにおいて、環状核酸プライマーは、環状核酸が環状形状をとることができるように、第1および第2の結合配列を介してオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができる。環状核酸プライマーの末端をライゲーションすることができる。第3のステップでは、RCAを行うことができ、オリゴヌクレオチドを伸長し、パドロックプローブに相補的であり得る一連の核酸を繰り返して含むことができる増幅されたオリゴヌクレオチドがもたされる。特に、プローブ配列は、この増幅されたオリゴヌクレオチドにおいて複数回繰り返すことができる。ステップ4において、増幅されたオリゴヌクレオチドは、プローブ配列に相補的であり得る核酸配列をそれぞれが含むことができる標識プローブとともにインキュベートされ得る。そのようなプローブは、検出可能な標識に結合させることができる。標識プローブは、増幅されたオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができ、例えば、画像化によって検出することができる。場合によっては、この種の方法はタイプ2RCAメソッドと称される場合がある。
【0036】
試料
試料は生物学的試料であり得る。試料は、新鮮、凍結、または固定(例えば、化学固定)であり得る。試料は、動物、植物、細菌、真菌、または原生生物由来のものであり得る。場合によっては、試料は、ヒト、マウス、ラット、ウシ、ブタ、ヒツジ、サル、ウサギ、ショウジョウバエ、カエル、線虫、またはマーモットの試料であってもよい。試料は、細胞(例えば、単離された細胞、不死化細胞、初代細胞、培養細胞、または組織もしくは生物の細胞)、生体組織、生体液、ホモジネートを含み得るか、または未知の試料であり得る。場合によっては、試料は病原体を含み得る。病原体は、培養または未培養であってもよい。病原体は、試料の感染症であり得る。場合によっては、病原体は、試料が収集された生物の細胞、体液、組織、臓器、またはマイクロバイオームの感染症であり得る。場合によっては、試料は、酵母細胞、細菌細胞、ウイルス、ウイルスベクターまたはプリオンである病原体を含み得る。
【0037】
試料は、組織切片であってもよい。場合によっては、組織切片は、対象から得られ、任意選択的に固定され、切片化され、平面的な表面、例えば、顕微鏡スライドの上にマウントされた組織片を指し得る。
【0038】
試料は平面試料であってもよい。場合によっては、試料を表面に固定化することができる。場合によっては、表面はスライド、プレート、ウェル、チューブ、メンブレン、フィルム、またはビーズであり得る。場合によっては、試料がスライドに接触していてもよい。スライドに接触する試料は、試料が効果的に固定化されるようにスライドに付着させることができる。これは、例えば、固定または試料の凍結によって達成することができる。同様に、試料は、同じまたは同様の付着技術を使用して、別の種類の表面に固定化することができる。
【0039】
場合によっては、試料はホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織切片であり得る。FFPEは、組織片、例えば、対象から得られ、例えば、ホルマリンもしくはホルムアルデヒド(例えば、リン酸緩衝生理食塩水中で3%~5%のホルマリンもしくはホルムアルデヒド)またはブアン固定液中で固定され、ワックスに包埋され、薄い切片に切断され、次いで、顕微鏡スライドの上にマウントされた生検を指す。
【0040】
試料は非平面試料であってもよい。非平面試料は、実質的に平坦ではない試料、例えば、Clear Lipid-exchanged Acrylamide-hybridized Rigid Imaging-compatible Tissue-hydrogel(CLARITY)等の屈折率整合技法により透明化された、全体的または部分的な器官載置物(例えば、リンパ節、脳、肝臓等)を指すことができる。例えば、Roberts et al.,J Vis Exp.2016;(112):54025を参照されたい。標本に透明性を付与するために、ベンジルアルコール/安息香酸ベンジル(BABB)またはベンジルエーテルなどの透明化剤を使用してもよい。
【0041】
試料は、アルデヒド、アルコール、酸化剤、水銀、ピクリン酸塩、またはHOPE固定液を使用して固定してもよい。場合によっては、試料は、アセトン、ホルムアルデヒド、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、エタノール、またはメタノールを使用して固定することができる。あるいは、試料は熱固定を使用して固定することができる。固定は、浸漬または灌流を介して達成されてもよい。
【0042】
場合によっては、生体試料を凍結してもよい。場合によっては、生体試料は、0℃未満、-10℃未満、-20℃未満、-30℃未満、-40℃未満、-50℃未満、-60℃未満、-70℃未満、または-80℃未満で冷凍されることがある。
【0043】
場合によっては、生体試料を3次元形態で固定化することができる。上記3次元形態は、凍結ブロック、パラフィンブロック、または凍結液体であり得る。例えば、生物学的試料は、最適な切断温度(OCT)化合物中の凍結した動物組織のブロックであり得る。そのような組織のブロックは、凍結または固定することができる。場合によっては、組織のブロックを切断して、抗体または抗体フラグメントが接触する表面であり得る表面を明らかにすることができる。場合によっては、ブロックの連続した表面が抗体または抗体フラグメントと接触できるように、ブロックを切片化することができる。そのような場合、3次元または3次元に近いデータであるデータを取得することができる。
【0044】
目的の生物学的特徴
試料は、目的の生物学的特徴を含み得る。目的の生物学的特徴は、本明細書に記載の方法を使用して測定することができる試料の任意の部分を含み得る。場合によっては、目的の生物学的特徴は、捕捉剤に結合することによって示され得る試料の一部を含み得る。目的の生物学的特徴は、正常化のため等のハウスキーピング特徴(例えば、アクチン)などの制御特徴、細胞の一部(例えば、核、核膜、小胞体、ミトコンドリア、細胞膜、または細胞の他の部分に関連するタンパク質)を特定することができる特徴、細胞タイプを特定することができる特徴(例えば、細胞表面マーカーまたは免疫細胞もしくは癌細胞等の特定の細胞型に発現されるタンパク質)、または別の目的の特徴であり得る。場合によっては、目的の生物学的特徴は、癌、糖尿病、心臓病、肺疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、または別の種類の疾患等の疾患のマーカーであり得る。場合によっては、目的の生物学的特徴は、損傷のマーカーまたは損傷治癒中に存在するマーカーであり得る。場合によっては、目的の生物学的特徴は、健康な細胞を示すことができるマーカーであり得る。場合によっては、目的の生物学的特徴は、診断、創薬、研究、識別、または最適化を目的とする、目的の特徴であり得る。場合によっては、目的の生物学的特徴は抗原であり得る。場合によっては、目的の生物学的特徴は、細胞壁、核、細胞質、膜、ケラチン、筋肉線維、コラーゲン、骨、タンパク質、核酸(例えば、mRNAまたはゲノムDNA等)、脂肪等を含み得る。目的の生物学的特徴はまた、免疫学的な方法、例えば、オリゴヌクレオチドに結合した捕捉剤を使用して、免疫組織学的方法によって示すこともできる。
【0045】
試料は、本明細書の方法を使用して検出することができるいくつかの目的の生物学的特徴を含み得る。場合によっては、本明細書の方法の多重化特徴(例えば、試料上で捕捉剤を無傷に保ちながら標識を除去することを可能にし、したがって単一試料上で方法の数回または多数の反復を可能にする)を使用して、多くの目的の生物学的特徴を検出することができる。場合によっては、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、または少なくとも100の目的の生物学的特徴を検出することができる。場合によっては、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、または約100の目的の生物学的特徴を検出することができる。場合によっては、非多重化法、捕捉剤を試料から除去しなければならない方法、試料への捕捉剤の固定または架橋を含まない方法、増幅なしの方法、またはRCAとは異なる増幅方法を用いる方法等の他の方法を使用するよりも、本方法を使用して試料においてより多くの生物学的特徴を検出することができる。
【0046】
目的の生物学的特徴は、マーカーを含み得る。マーカーは、細胞の種類、疾患状態、病原性、老化、または他の特性について情報を与えることができる、タンパク質等の細胞内の分子であり得る。マーカーは、場合によっては、リンパ細胞、T細胞、B細胞、好中球、マクロファージ、胚芽細胞、幹細胞、神経細胞、癌細胞、健康な細胞、老化した細胞、感染した細胞、または特定の器官に属する細胞(例えば、心臓細胞、セルトリ細胞、肝細胞、皮膚細胞、甲状腺細胞、肺細胞、腸細胞、扁桃腺細胞、筋肉細胞、骨細胞、桿体もしくは錐体等の網膜細胞、または別の器官の細胞)等の、細胞の種類を知らせることができる。場合によっては、マーカーを使用して病原体を特定することができる。
【0047】
マーカーは疾患マーカーであり得る。疾患マーカーは、形状、活性、量、位置、または所与の病状を有する細胞に存在するかどうかを変更することができるマーカー(例えば、タンパク質)であり得る。例えば、疾患マーカーは、癌マーカー(例えば、乳癌マーカー、膵臓癌マーカー、リンパ腫マーカー、頭頸部癌マーカー、胃癌マーカー、精巣癌マーカー、白血病マーカー、肝細胞癌マーカー、肺癌マーカー、メラノーママーカー、卵巣癌マーカー、甲状腺癌マーカー、または別の種類の癌のマーカー)、感染症マーカー(例えば、病原体上のマーカーまたは病原体に感染した細胞もしくは組織のマーカー等の、病原体によって引き起こされる疾患のマーカー)、または遺伝性疾患マーカーを含み得る。
【0048】
マーカーは診断マーカーであり得る。「診断マーカー」は、疾患を検出するため、疾患の進行もしくは治療の効果を測定するため、または目的のプロセスを測定するために有用となる特定の分子特性を有する、体内の特定の生化学物質であり得る。
【0049】
マーカーは、低レベルの表面マーカー等の低レベルのマーカーであり得る。
【0050】
捕捉剤
捕捉剤は、試料に結合することができる分子であり得る。場合によっては、捕捉剤は、試料の目的の生物学的特徴に結合することができる。場合によっては、捕捉剤は、試料中の生物学的特徴上の相補的部位に特異的に結合することができる。簡単に言えば、目的の生物学的特徴は、本明細書に記載の方法を使用して捕捉剤を使用して検出することができる試料の特徴であり得る。場合によっては、目的の生物学的特徴が捕捉剤によって結合される場合がある。
【0051】
捕捉剤は、生物学的特徴に結合することができる分子であり得る。場合によっては、捕捉剤は、タンパク質、ペプチド、アプタマー、またはオリゴヌクレオチドを含み得る。場合によっては、捕捉剤は、抗体またはその抗原結合フラグメントを含み得る。場合によっては、抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメント、精製された抗体もしくはその抗原結合フラグメント、組換え抗体もしくはその抗原結合フラグメント、改変された抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または合成抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含み得る。本明細書に記載の抗体は、当該技術分野で既知であるように改変され得ることが理解されよう。
【0052】
抗体またはその抗原結合フラグメントである捕捉剤は、可変領域を含み得る。場合によっては、可変領域は、試料に接触または特異的に結合して目的の生物学的特徴と結合することができる抗体またはその抗原結合フラグメントの一部を含み得る。可変領域は、抗体軽鎖の可変領域、抗体重鎖の可変領域、または抗体軽鎖の可変領域と抗体軽鎖の可変領域との組み合わせを指すことができる。場合によっては、目的の異なる生物学的特徴に結合する捕捉剤は、アミノ酸配列、タンパク質修飾、三次元構造、またはそれらの組み合わせが異なる可変領域を含み得る。
【0053】
抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含む捕捉剤は、抗体を含むことができるか、または抗体フラグメントは、IgG、IgM、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、scFv、ナノボディ、Fab、もしくはダイアボディを含み得る。場合によっては、抗体またはその抗原結合フラグメントは、マウス、ラット、ウサギ、ヒト、ラクダ、またはヤギ由来のものであり得る。場合によっては、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト、マウス、ラット、ウシ、ブタ、ヒツジ、サル、ウサギ、ショウジョウバエ、カエル、線虫またはマーモットの抗原に対して産生され得る。場合によっては、抗体またはその抗原結合フラグメントは、動物、植物、細菌、真菌、または原生生物の抗原に対して産生され得る。場合によっては、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ウイルス、ウイルスベクター、またはプリオンに対して産生され得る。
【0054】
場合によっては、方法は、複数の捕捉剤で試料を標識することを含み得る。このステップは、捕捉剤が試料中の目的の生物学的特徴に結合することができる条件下で、試料(例えば、顕微鏡スライド等の平面表面上にマウントされたFFPE切片)を全ての捕捉剤とまとめて接触させることを含む。試料中の部位に抗体およびアプタマーを結合させるための方法は周知である。
【0055】
捕捉剤は緩衝液中に含めることができる。場合によっては、捕捉剤を緩衝液中の試料に適用することができる。捕捉剤を含む緩衝液は、捕捉剤が目的の生物学的特徴に結合することができる状態で捕捉剤を構成または折り畳むことを可能にすることができる特性を含み得る。場合によっては、捕捉剤を含む緩衝液は、目的の生物学的特徴への捕捉剤の結合を促進することができる特性を含み得る。場合によっては、捕捉剤を含む緩衝液は、捕捉剤に対して非破壊的、オリゴヌクレオチドに対して非破壊的、試料に対して非破壊的、または目的の生物学的特徴に対して非破壊的であり得る特性を含み得る。
【0056】
捕捉剤は、目的の生物学的特徴に対して特異性を有することができる。場合によっては、捕捉剤は、1つのみの目的の生物学的特徴に対して特異性を有することができる。場合によっては、捕捉剤は、異なる目的の生物学的特徴に対するその捕捉剤の特異性よりも大きい、目的の生物学的特徴に対する特異性を有することができる。場合によっては、捕捉剤は、他の目的の生物学的特徴に対する特異性よりもはるかに大きい1つの目的の生物学的特徴に対する特異性を有することができ、それを使用して第1の目的の生物学的特徴を確実に検出することができる。
【0057】
捕捉剤は、試料の要素に対して親和性を有することができる。場合によっては、親和性は、抗体がいかに迅速にまたはいかに強力に要素に結合することができるかを指し得る。親和性は、解離定数(Kd)で表すことができる場合がある。捕捉剤は、10-4M以下、10-5M以下、10-6M以下、10-7M以下、10-8M以下、10-9M以下、10-10M以下、10-11M以下、10-12M以下、10-13M以下、または10-14M以下のKdを有することができる。場合によっては、捕捉剤は、約10-4M、約10-5M、約10-6M、約10-7M、約10-8M、約10-9M、約10M-10、約10-11M、約10-12M、約10-13M、または約10-14MのKdを有することができる。
【0058】
捕捉剤は、目的の生物学的特徴上の結合部位で目的の生物学的特徴に結合することができる。そのような結合部位は、例えば、エピトープであり得る。場合によっては、エピトープは目的の生物学的特徴の一部であり得る。そのような場合、目的の生物学的特徴は抗原を含み得る。場合によっては、エピトープは、抗体またはその抗原結合フラグメントである捕捉剤に結合することができる。そのような場合、抗体またはその抗原結合フラグメントの可変領域は、そのエピトープで目的の生物学的特徴に結合することができる。
【0059】
場合によっては、捕捉剤は、試料に過剰に適用されてもよい。
【0060】
場合によっては、捕捉剤を試料と接触させた後、それを一定時間インキュベートすることができる。場合によっては、捕捉剤は、試料上で少なくとも30秒、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも3分、少なくとも4分、少なくとも5分、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも20分、少なくとも25分、少なくとも30分、少なくとも35分、少なくとも40分、少なくとも45分、少なくとも50分、少なくとも55分、少なくとも60分、少なくとも1.5時間、少なくとも2時間、少なくとも2.5時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、または少なくとも6時間の間インキュベートすることができる。場合によっては、捕捉剤は、試料上で30秒以下、1分以下、2分以下、3分以下、4分以下、5分以下、10分以下、15分以下、20分以下、25分以下、30分以下、35分以下、40分以下、45分以下、50分以下、55分以下、60分以下、1.5時間以下、2時間以下、2.5時間以下、3時間以下、3.5時間以下、4時間以下、4.5時間以下、5時間以下、5.5時間以下、または6時間以下でインキュベートすることができる。場合によっては、捕捉剤は、試料上で30秒~6時間、30秒~3時間、30秒~60分、30秒~45分、30秒~30分、30秒~15分、30秒~5分、30秒~1分、1分~6時間、1分~3時間、1分~60分、1分~45分、1分~30分、1分~15分、1分~5分、5分~6時間、5分~3時間、5分~60分、5分~45分、5分30分、5分~15分、15分~6時間、15分~3時間、15分~60分、15分~45分、15分~30分、30分~6時間、30分~3時間、30分~60分、30分~45分、45分~6時間、45分~3時間、45分~60分、60分~6時間、または60分~3時間の間インキュベートすることができる。
【0061】
場合によっては、試料を捕捉剤と接触させた後、所与の温度で捕捉剤を試料上でインキュベートすることができる。捕捉剤は、約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、または約55℃で、試料上でインキュベートすることができる。場合によっては、捕捉剤は、少なくとも4℃、少なくとも5℃、少なくとも6℃、少なくとも7℃、少なくとも8℃、少なくとも9℃、少なくとも10℃、少なくとも11℃、少なくとも12℃、少なくとも13℃、少なくとも14℃、少なくとも15℃、少なくとも15℃、少なくとも16℃、少なくとも17℃、少なくとも18℃、少なくとも19℃、少なくとも20℃、少なくとも21℃、少なくとも22℃、少なくとも23℃、少なくとも24℃、少なくとも25℃、少なくとも26℃、少なくとも27℃、少なくとも28℃、少なくとも29℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃、少なくとも45℃、少なくとも50℃、または少なくとも55℃の温度でインキュベートすることができる。場合によっては、捕捉剤は、4℃以下、5℃以下、6℃以下、7℃以下、8℃以下、9℃以下、10℃以下、11℃以下、12℃以下、13℃以下、14℃以下、15℃以下、16℃以下、17℃以下、18℃以下、19℃以下、20℃以下、21℃以下、22℃以下、23℃以下、24℃以下、25℃以下、26℃以下℃、27℃以下、28℃以下、29℃以下、30℃以下、35℃以下、40℃以下、45℃以下、50℃以下、または55℃以下の温度でインキュベートすることができる。場合によっては、捕捉剤は、4℃~55℃、4℃~50℃、4℃~45℃、4℃~40℃、4℃~35℃、4℃~30℃、4℃~25℃、4℃~20℃、4℃~15℃、4℃~10℃、10℃~55℃、10℃~50℃、10℃~45℃、10℃~40℃、10℃~35℃、10℃~30℃、10℃~25℃、10℃~20℃、10℃~15℃、15℃~55℃、15℃~50℃、15℃~45℃、15℃~40℃、15℃~35℃、15℃~30℃、15℃~25℃、15℃~20℃、20℃~55℃、20℃~50℃、20℃~45℃、20℃~40℃、20℃~35℃、20℃~30℃、20℃~25℃、25℃~55℃、25℃~50℃、25℃~45℃、25℃~40℃、25℃~35℃、25℃~30℃、30℃~55℃、30℃~50℃、30℃~45℃、30℃~40℃、30℃~35℃、35℃~55℃、35℃~50℃、35℃~45℃、35℃~40℃、40℃~55℃、40℃~50℃、40℃~45℃、45℃~55℃、45℃~50℃、または50℃~55℃の温度でインキュベートすることができる。
【0062】
場合によっては、試料を捕捉剤と接触させた後、余分な捕捉剤を洗い流すことができる。場合によっては、洗浄緩衝液を使用して洗浄ステップを行うことができる。洗浄緩衝液は、試料、結合した捕捉剤、または捕捉剤に結合したオリゴヌクレオチドに大きな影響を与えることなく、過剰な捕捉剤を洗い流すことができる任意の緩衝液であり得る。場合によっては、洗浄緩衝液は、PBS、PBS-T、TBS、TBS-T水、生理食塩水、またはクレブス緩衝液を含み得る。
【0063】
過剰な捕捉剤は、1回または複数回の洗浄で洗い流すことができる。場合によっては、約1回、約2回、約3回、約4回、約5回、または約6回の洗浄を行うことができる。場合によっては、少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、または少なくとも6回の洗浄を行うことができる。場合によっては、1回以下、2回以下、3回以下、4回以下、5回以下、または6回以下の洗浄を行うことができる。場合によっては、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、2~6、2~5、2~4、2~3、3~6、3~5、3~4、4~6、4~5、または5~6回の洗浄を行うことができる。
【0064】
各洗浄は、約10秒、約15秒、約30秒、約1分、約2分、約3分、約4分、約5分、約10分、または約15分持続し得る。各洗浄は、少なくとも10秒、少なくとも15秒、少なくとも30秒、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも3分、少なくとも4分、少なくとも5分、少なくとも10分、または少なくとも15分持続し得る。場合によっては、洗浄は10秒未満の間持続し得る。各洗浄は、最大10秒、最大15秒、最大30秒、最大1分、最大2分、最大3分、最大4分、最大5分、最大10分、または最大15分持続し得る。場合によっては、洗浄は15分超の間持続し得る。各洗浄は、10秒~15分、10秒~10分、10秒~5分、10秒~1分、10秒~30秒、30秒~15分、30秒~10分、30秒~5分、30秒~1分、1分~15分、1分~10分、1分~5分、5分~15分、5分~10分、または10分~15分であり得る。
【0065】
洗浄は、約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、または約55℃の温度であり得る。場合によっては、洗浄は、少なくとも4℃、少なくとも5℃、少なくとも6℃、少なくとも7℃、少なくとも8℃、少なくとも9℃、少なくとも10℃、少なくとも11℃、少なくとも12℃、少なくとも13℃、少なくとも14℃、少なくとも15℃、少なくとも15℃、少なくとも16℃、少なくとも17℃、少なくとも18℃、少なくとも19℃、少なくとも20℃、少なくとも21℃、少なくとも22℃、少なくとも23℃、少なくとも24℃、少なくとも25℃、少なくとも26℃、少なくとも27℃、少なくとも28℃、少なくとも29℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃、少なくとも45℃、少なくとも50℃、または少なくとも55℃の温度であり得る。場合によっては、洗浄は、4℃以下、5℃以下、6℃以下、7℃以下、8℃以下、9℃以下、10℃以下、11℃以下、12℃以下、13℃以下、14℃以下、15℃以下、16℃以下、17℃以下、18℃以下、19℃以下、20℃以下、21℃以下、22℃以下、23℃以下、24℃以下、25℃以下、26℃以下℃、27℃以下、28℃以下、29℃以下、30℃以下、35℃以下、40℃以下、45℃以下、50℃以下、または55℃以下の温度であり得る。場合によっては、洗浄は、4℃~55℃、4℃~50℃、4℃~45℃、4℃~40℃、4℃~35℃、4℃~30℃、4℃~25℃、4℃~20℃、4℃~15℃、4℃~10℃、10℃~55℃、10℃~50℃、10℃~45℃、10℃~40℃、10℃~35℃、10℃~30℃、10℃~25℃、10℃~20℃、10℃~15℃、15℃~55℃、15℃~50℃、15℃~45℃、15℃~40℃、15℃~35℃、15℃~30℃、15℃~25℃、15℃~20℃、20℃~55℃、20℃~50℃、20℃~45℃、20℃~40℃、20℃~35℃、20℃~30℃、20℃~25℃、25℃~55℃、25℃~50℃、25℃~45℃、25℃~40℃、25℃~35℃、25℃~30℃、30℃~55℃、30℃~50℃、30℃~45℃、30℃~40℃、30℃~35℃、35℃~55℃、35℃~50℃、35℃~45℃、35℃~40℃、40℃~55℃、40℃~50℃、40℃~45℃、45℃~55℃、45℃~50℃、または50℃~55℃の温度であり得る。
【0066】
オリゴヌクレオチド
オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドの鎖であり得る分子であり得る。本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、リボ核酸を含み得る。本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、デオキシリボ核酸を含み得る。場合によっては、オリゴヌクレオチドは、ユーザ指定配列を含む任意の配列であり得る。
【0067】
場合によっては、オリゴヌクレオチドは、G、A、T、U、C、または相補的ヌクレオチドと確実に塩基対形成することができる塩基を含み得る。そのような塩基の例は、7-デアザ-アデニン、7-デアザ-グアニン、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル、2-デアザ-2-チオ-グアノシン、2-チオ-7-デアザ-グアノシン、2-チオ-アデニン、2-チオ-7-デアザ-アデニン、イソグアニン、7-デアザ-グアニン、5,6-ジヒドロウリジン、5,6-ジヒドロチミン、キサンチン、7-デアザ-キサンチン、ヒポキサンチン、7-デアザ-キサンチン、2,6ジアミノ-7-デアザプリン、5-メチル-シトシン、5-プロピニル-ウリジン、5-プロピニル-シチジン、2-チオ-チミン、または2-チオ-ウリジンであるが、他にも多くのものが知られている。オリゴヌクレオチドは、例えば、LNA、PNA、UNA、またはモルホリノオリゴマーを含み得る。本明細書で使用されるオリゴヌクレオチドは、天然または非天然のヌクレオチドまたは結合を含み得る。
【0068】
オリゴヌクレオチドは、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、または少なくとも100ヌクレオチド長であり得る。場合によっては、オリゴヌクレオチドは、10~30、10~50、10~70、10~100、20~50、20~70、20~100、30~50、30~70、30~100、40~70、40~100、50~70、50~100、60~70、60~80、60~90、または60~100ヌクレオチド長であり得る。場合によっては、オリゴヌクレオチドは、5以下、10以下、15以下、20以下、25以下、30以下、35以下、40以下、45以下、50以下、55以下、60以下、65以下、70以下、75以下、80以下、85以下、90以下、95以下、または100以下のヌクレオチド長であり得る。
【0069】
場合によっては、オリゴヌクレオチドは完全に一本鎖であり得る。場合によっては、オリゴヌクレオチドは部分的に二重鎖であり得る。部分的に二重鎖の領域は、オリゴヌクレオチドの3’末端、オリゴヌクレオチドの5’末端、またはオリゴヌクレオチドの5’末端と3’末端との間にあり得る。場合によっては、1つより多くの二重鎖領域が存在してもよい。
【0070】
場合によっては、オリゴヌクレオチドは二次構造を有し得る。場合によっては、オリゴヌクレオチドは三次構造を有し得る。いくつかのオリゴヌクレオチドは、それ自体が折り畳まれて(例えば、オリゴヌクレオチドの1つの領域がオリゴヌクレオチドの別の領域に相補的である場合)、一本鎖を含む1つまたは複数の二重鎖領域を生成できるような構造を有することができる。
【0071】
場合によっては、環状核酸プライマーに結合することができるオリゴヌクレオチドのセグメントは、オリゴヌクレオチドの一本鎖領域またはオリゴヌクレオチドの折り畳まれていない領域に曝露され得る。場合によっては、環状核酸プライマーに結合することができるオリゴヌクレオチドのセグメントは、オリゴヌクレオチドの融解時にそのような環状核酸プライマーが結合することができるように、オリゴヌクレオチドの二重鎖または折り畳まれた領域にあり得る。
【0072】
場合によっては、オリゴヌクレオチドを捕捉剤にコンジュゲートまたは結合させることができる。場合によっては、オリゴヌクレオチドは、捕捉剤上の任意の好適な化学部分を使用して、捕捉剤に直接コンジュゲートまたは結合させることができる。場合によっては、オリゴヌクレオチドは、例えばライゲーションによって、酵素的に捕捉剤に結合させることができる。場合によっては、オリゴヌクレオチドは、例えば、ビオチン/ストレプトアビジン相互作用またはその同等物等の非共有結合的な相互作用を介して、アプタマーもしくは二次抗体を介して、またはロイシンジッパータグ相互作用等のタンパク質間相互作用を介して、捕捉剤に間接的に結合させることができる。
【0073】
場合によっては、オリゴヌクレオチドは、クリックケミストリーまたは同様の方法を使用して捕捉剤に結合させることができる。クリックケミストリーは、オリゴヌクレオチドと捕捉剤等の分子の結合を可能にする生体適合性のある小分子反応のクラスを指すことができる。クリック反応はワンポット反応であってもよく、場合によっては水によって妨げられない。クリック反応は、最小限の副産物、無害な副産物を生成し得るか、または副産物を生成しない場合がある。クリック反応は、大きな熱力学的力によって駆動され得る。場合によっては、クリック反応は、迅速にかつ/または高収率の単一反応生成物(例えば、捕捉剤にコンジュゲートされたオリゴヌクレオチド)に対して不可逆的に駆動され得、高い反応特異性を有することができる。クリック反応は、限定されないが、[3+2]環化付加、チオール-エン反応、ディールス・アルダー反応、逆電子要請型ディールス・アルダー反応、[4+1]環化付加、求核置換、尿素のカルボニル化学様形成、または炭素-炭素二重結合への付加反応(例えば、ジヒドロキシル化)を含み得る。
【0074】
場合によっては、そのようなオリゴヌクレオチドの1つまたは複数のセグメントは、環状核酸プライマーの核酸の1つまたは複数のセグメントに相補的であり得る。そのようなセグメントは、3~30核酸長、3~20核酸長、3~10核酸長、5~30核酸長、5~20核酸長、5~10核酸長、10~30核酸長、10~20核酸長、または20~30核酸長であり得る。場合によっては、そのようなセグメントは、少なくとも3核酸長、少なくとも5核酸長、少なくとも10核酸長、少なくとも15核酸長、少なくとも20核酸長、少なくとも25核酸長、または少なくとも30核酸長であり得る。場合によっては、そのようなセグメントは、3核酸長以下、5核酸長以下、10核酸長以下、15核酸長以下、20核酸長以下、25核酸長以下、または30核酸長以下であり得る。
【0075】
固定および架橋
捕捉剤は、試料に固定することができる。場合によっては、目的の生物学的特徴に結合している捕捉剤のみを試料に固定することができる。場合によっては、目的の生物学的特徴に結合している全ての捕捉剤を試料に固定することができる。試料への捕捉剤の固定は、場合によっては、過剰な(例えば、結合していない)捕捉剤が洗い流された後に行われ得る。
【0076】
いくつかの実施形態において、捕捉剤は試料に架橋または固定されてもよく、それによって、捕捉剤が後続のステップの間に解離するのを防ぐ。場合によっては、架橋により、RCA反応中または1つもしくは複数の標識の不活化もしくは除去中に捕捉剤が解離するのを防ぐことができる。したがって、試料への捕捉剤の固定または架橋は、(溶液中でではなく)試料上でRCA反応を行うことを可能にし、また、捕捉剤を妨害することなく標識を除去または不活化することができるため、複数回の読み取りの反復を可能にすることにより、アッセイの多重化を可能にすることができる。この架橋ステップは、アミン-アミン架橋剤(例えば、ホルムアルデヒド、ジスクシンイミルタレート、または同様の作用を有する別の試薬)を使用して行われてもよいが、所望であれば、捕捉剤を試料に架橋するために、他の種々の化学物質を使用することができる。
【0077】
環状核酸プライマー
本明細書の環状核酸プライマーは、RCA反応のテンプレートとして使用することができる核酸分子であり得る。場合によっては、オリゴヌクレオチドを環状核酸プライマーと接触させることができ、RCA反応を使用して、環状核酸プライマーの配列に従ってオリゴヌクレオチドを延長することができる。
【0078】
環状核酸プライマーは、環状であり得る、ヌクレオチドの鎖であり得る分子であり得る。場合によっては、環状核酸プライマーに末端がないため、環状核酸プライマーを使用してポリメラーゼ連鎖反応増幅を行った場合、増幅はプライマーの長さによって制限されないであろう。
【0079】
核酸プライマーは、環状のヌクレオチドの鎖であり得る分子であり得る。環状は、鎖内のあらゆる核酸の3’末端を鎖内の別の核酸の5’末端に接続することができ、鎖内のあらゆる核酸の5’末端を鎖内の別の核酸の3’末端に接続することができることを意味する。本明細書に記載の環状核酸プライマーは、リボ核酸を含み得る。本明細書に記載の環状核酸プライマーは、デオキシリボ核酸を含み得る。場合によっては、環状核酸プライマーは、ユーザ指定配列を含む任意の配列であり得る。
【0080】
場合によっては、環状核酸プライマーは、G、A、T、U、C、または相補的ヌクレオチドと確実に塩基対形成することができる塩基を含み得る。そのような塩基の例は、7-デアザ-アデニン、7-デアザ-グアニン、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル、2-デアザ-2-チオ-グアノシン、2-チオ-7-デアザ-グアノシン、2-チオ-アデニン、2-チオ-7-デアザ-アデニン、イソグアニン、7-デアザ-グアニン、5,6-ジヒドロウリジン、5,6-ジヒドロチミン、キサンチン、7-デアザ-キサンチン、ヒポキサンチン、7-デアザ-キサンチン、2,6ジアミノ-7-デアザプリン、5-メチル-シトシン、5-プロピニル-ウリジン、5-プロピニル-シチジン、2-チオ-チミン、または2-チオ-ウリジンであるが、他にも多くのものが知られている。
【0081】
環状核酸プライマーは、オリゴヌクレオチドの1つまたは複数のセグメントに相補的であり得るセグメントを含み得る。そのようなセグメントは、3~30核酸長、3~20核酸長、3~10核酸長、5~30核酸長、5~20核酸長、5~10核酸長、10~30核酸長、10~20核酸長、または20~30核酸長であり得る。場合によっては、そのようなセグメントは、少なくとも3核酸長、少なくとも5核酸長、少なくとも10核酸長、少なくとも15核酸長、少なくとも20核酸長、少なくとも25核酸長、または少なくとも30核酸長であり得る。場合によっては、そのようなセグメントは、3核酸長以下、5核酸長以下、10核酸長以下、15核酸長以下、20核酸長以下、25核酸長以下、または30核酸長以下であり得る。場合によっては、そのようなセグメントは、15核酸長、16核酸長、17核酸長、18核酸長、19核酸長、または20核酸長であり得る。そのようなセグメントは、15核酸長~20核酸長、15核酸長~19核酸長、15核酸長~18核酸長、15核酸長~17核酸長、15核酸長~16核酸長、16核酸長~20核酸長、16核酸長~19核酸長、16核酸長~18核酸長、16核酸長~17核酸長、17核酸長~20核酸長、17核酸長~19核酸長、17核酸長~18核酸長、18核酸長~20核酸長、18核酸長~19核酸長、または19核酸長~20核酸長であり得る。
【0082】
環状核酸プライマーは、プローブセグメントを含み得る。プローブセグメントは、コピーされたときに、そのコピーが核酸プローブに相補的であり得るセグメントであり得る。プローブセグメントは、3~30核酸長、3~20核酸長、3~10核酸長、5~30核酸長、5~20核酸長、5~10核酸長、10~30核酸長、10~20核酸長、または20~30核酸長であり得る。場合によっては、プローブセグメントは、少なくとも3核酸長、少なくとも5核酸長、少なくとも10核酸長、少なくとも15核酸長、少なくとも20核酸長、少なくとも25核酸長、または少なくとも30核酸長であり得る。場合によっては、プローブセグメントは、3核酸長以下、5核酸長以下、10核酸長以下、15核酸長以下、20核酸長以下、25核酸長以下、または30核酸長以下であり得る。場合によっては、そのようなセグメントは、15核酸長、16核酸長、17核酸長、18核酸長、19核酸長、または20核酸長であり得る。そのようなセグメントは、15核酸長~20核酸長、15核酸長~19核酸長、15核酸長~18核酸長、15核酸長~17核酸長、15核酸長~16核酸長、16核酸長~20核酸長、16核酸長~19核酸長、16核酸長~18核酸長、16核酸長~17核酸長、17核酸長~20核酸長、17核酸長~19核酸長、17核酸長~18核酸長、18核酸長~20核酸長、18核酸長~19核酸長、または19核酸長~20核酸長であり得る。
【0083】
場合によっては、環状核酸プライマーは、プローブセグメントとオリゴヌクレオチドの1つまたは複数のセグメントに相補的なセグメントの両方を含み得る。場合によっては、そのような環状核酸プライマーは、約30核酸長、約40核酸長、約50核酸長、約60核酸長、約70核酸長、約80核酸長、約90核酸長、約100核酸長、約110核酸長、または約120核酸長であり得る。場合によっては、そのような環状核酸プライマーは、少なくとも30核酸長、少なくとも40核酸長、少なくとも50核酸長、少なくとも60核酸長、少なくとも70核酸長、少なくとも80核酸長、少なくとも90核酸長、少なくとも100核酸長、少なくとも110核酸長、または少なくとも120核酸長であり得る。場合によっては、そのような環状核酸プライマーは、30核酸長以下、40核酸長以下、50核酸長以下、60核酸長以下、70核酸長以下、80核酸長以下、90核酸長以下、100核酸長以下、110核酸長以下、または120核酸長以下であり得る。場合によっては、そのような環状核酸プライマーは、30核酸長~120核酸長、30核酸長~110核酸長、30核酸長~100核酸長、30核酸長~90核酸長、30核酸長~80核酸長、30核酸長~70核酸長、30核酸長~60核酸長、30核酸長~50核酸長、30核酸長~40核酸長、40核酸長~120核酸長、40核酸長~110核酸長、40核酸長~100核酸長、40核酸長~90核酸長、40核酸長~80核酸長、40核酸長~70核酸長、40核酸長~60核酸長、40核酸長~50核酸長、50核酸長~120核酸長、50核酸長~110核酸長、50核酸長~100核酸長、50核酸長~90核酸長、50核酸長~80核酸長、50核酸長~70核酸長、50核酸長~60核酸長、60核酸長~120核酸長、60核酸長~110核酸長、60核酸長~100核酸長、60核酸長~90核酸長、60核酸長~80核酸長、60核酸長~70核酸長、70核酸長~120核酸長、70核酸長~110核酸長、70核酸長~100核酸長、70核酸長~90核酸長、70核酸長~80核酸長、80核酸長~120核酸長、80核酸長~110核酸長、80核酸長~100核酸長、80核酸長~90核酸長、90核酸長~120核酸長、90核酸長~110核酸長、90核酸長~100核酸長、100核酸長~120核酸長、100核酸長~110核酸長、または110核酸長~120核酸長であり得る。
【0084】
場合によっては、環状核酸プライマーは、パドロックプライマーであり得る。場合によっては、パドロックプライマーは、捕捉剤に結合したオリゴヌクレオチドと接触すると、次に縮合して環状オリゴヌクレオチドを形成することができる、線状オリゴヌクレオチドであり得る。
【0085】
パドロックプローブの5’末端のアミノ酸は、オリゴヌクレオチドの一部の逆相補体に相補的であるように設計することができ、一方、パドロックプローブの3’末端のアミノ酸は、オリゴヌクレオチドの3’末端の一部の補体に相補的であるように設計することができる。このようにして、パドロックプローブがオリゴヌクレオチドに接触すると、パドロックプローブがバーコード配列に環状に結合するように塩基対のハイブリダイゼーションが起こり得る。
【0086】
環状核酸プローブは、オリゴヌクレオチドと接触する前に環状であり得る。
【0087】
環状核酸プローブは、オリゴヌクレオチドと接触すると環状形状をとる線状核酸プライマーであり得る。このような場合、プライマーは、環状核酸プローブの5’末端および3’末端でオリゴヌクレオチドに相補的であり得る。場合によってはプライマーの5’末端上の少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、または少なくとも12個の核酸が、オリゴヌクレオチド上の核酸と相補的であり得る。場合によっては、プライマーの3’末端上の少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、または少なくとも12個の核酸が、オリゴヌクレオチド上の核酸と相補的であり得る。場合によっては、プライマーの5’末端上の3個以下、4個以下、5個以下、6個以下、7個以下、8個以下、9個以下、10個以下、11個以下、また12個以下の核酸が、オリゴヌクレオチド上の核酸と相補的であり得る。場合によっては、プライマーの3’末端上の3個以下、4個以下、5個以下、6個以下、7個以下、8個以下、9個以下、10個以下、11個以下、また12個以下の核酸が、オリゴヌクレオチド上の核酸と相補的であり得る。場合によっては、プライマーの5’末端上の3~12個、3~11個、3~10個、3~9個、3~8個、3~7個、3~6個、3~5個、3~4個、4~12個、4~11個、4~10個、4~9個、4~8個、4~7個、4~6個、4~5個、5~12個、5~11個、5~10個、5~9個、5~8個、5~7個、5~6個、6~12個、6~11個、6~10個、6~9個、6~8個、6~7個、7~12個、7~11個、7~10個、7~9個、7~8個、8~12個、8~11個、8~10個、8~9個、9~12個、9~11個、9~10個、10~12個、10~11個、または11~12個の核酸が、オリゴヌクレオチド上の核酸と相補的であり得る。場合によっては、プライマーの3’末端上の3~12個、3~11個、3~10個、3~9個、3~8個、3~7個、3~6個、3~5個、3~4個、4~12個、4~11個、4~10個、4~9個、4~8個、4~7個、4~6個、4~5個、5~12個、5~11個、5~10個、5~9個、5~8個、5~7個、5~6個、6~12個、6~11個、6~10個、6~9個、6~8個、6~7個、7~12個、7~11個、7~10個、7~9個、7~8個、8~12個、8~11個、8~10個、8~9個、9~12個、9~11個、9~10個、10~12個、10~11個、または11~12個の核酸が、オリゴヌクレオチド上の核酸と相補的であり得る。
【0088】
オリゴヌクレオチドおよび環状核酸プライマーは、ヌクレオチドの任意の所望の配列を得るために、確立されたオリゴヌクレオチド合成法を使用して合成することができる。オリゴヌクレオチドを合成する方法は、当該技術分野で周知である。そのような方法は、標準的な酵素消化とそれに続くヌクレオチドフラグメントの単離(例えば、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Third Edition,Cold Spring Harbor,N.Y.,(2000)、Wu et al,Methods in Gene Biotechnology(CRC Press,New York,N.Y.,1997)、およびRecombinant Gene Expression Protocols,in Methods in Molecular Biology,Vol.62,(Tuan,ed.,Humana Press,Totowa,N.J.,1997)(参照によりその開示が本明細書に組み込まれる)を参照のこと)から、純粋に合成法まで、例えば、Milligen社またはBeckman社のSystem 1 Plus DNA Synthesizer(例えば、Milligen-Biosearch, Burlington,Mass.のModel 8700自動シンセサイザー、またはABI Model 380B)を使用するシアノエチルホスホルアミダイト法にまで及び得る。オリゴヌクレオチドを作製するのに有用な合成法は、Ikuta et al., Ann.Rev.Biochem.53:323-356(1984)、(ホスホトリエステルおよびホスファイト-トリエステル法)、およびNarang et al.,Methods Enzymol.,65:610-620(1980)、(ホスホトリエステル法)によっても記載されている。タンパク質核酸分子は、Nielsen et al.,Bioconjug.Chem.5:3-7(1994)によって記載されたもの等の既知の方法を使用して作製することができる。
【0089】
増幅
増幅は、試料中の目的の生物学的特徴に関連するようになる可能性のある標識の数を増加させるための機構を含み得る。本明細書のいくつかの方法において、増幅は、試料中の目的の生物学的特徴に関連するようになる可能性のある標識プローブの数を増加させるための機構を含み得る。場合によっては、増幅は、標識プローブが結合することができるオリゴヌクレオチド上の場所の数を増加させる機構または方法を使用して達成することができ、したがって、目的の生物学的特徴に関連するようになる可能性のある標識プローブの数を増加させる。
【0090】
増幅は、固定ステップの後に行うことができる。場合によっては、固定ステップにより、捕捉剤を試料に固定することができる。このような場合、捕捉剤に結合したオリゴヌクレオチドは、試料に間接的に結合させることができる。場合によっては、このオリゴヌクレオチドを増幅することができる。
【0091】
増幅反応は、DNAテンプレートの1つまたは複数のコピーを生成することができる反応を含み得る。場合によっては、DNAテンプレートは環状核酸プライマーであり得る。DNAテンプレートは、捕捉剤にコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドの領域に相補的であり得る領域を含み得る。
【0092】
増幅はRCA反応を含み得る。RCA反応では、環状核酸プライマーをオリゴヌクレオチドの伸長のためのテンプレートとして使用することができる。いくつかのそのような場合、増幅は、捕捉剤に接続されているオリゴヌクレオチドに接続され得る、環状核酸プライマーの1つまたは複数のコピーを生成することを含み得る。本明細書において、伸長されるオリゴヌクレオチドは、捕捉分子にコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドであり得る。
【0093】
RCA反応を実行するための成分を試料に加えることができる。場合によっては、固定または架橋ステップの後に成分を試料に加えることができる。成分は、環状核酸プライマーを適用する前、環状核酸プライマーを適用するのと同時に、または環状核酸プライマーを適用した後に、試料に適用することができる。成分は、個々にまたは成分の混合物として適用され得る。
【0094】
成分は、ポリメラーゼを含み得る。ポリメラーゼは、DNAポリメラーゼ(例えば、DNA配列を増幅するため)またはRNAポリメラーゼ(例えば、RNA配列を増幅するため)であり得る。DNAポリメラーゼの例として、限定されないが、Phi29、Bst、またはVentが挙げられる。RNAポリメラーゼの例として、限定されないが、T7 RNAポリメラーゼが挙げられる。
【0095】
成分は、ポリメラーゼと適合する緩衝液等の好適な緩衝液を含み得る。場合によっては、増幅用の緩衝液はTris-HClを含み得る。緩衝液は、約10mMのトリス-HCl、約15mMのトリス-HCl、約20mMのトリス-HCl、約25mMのトリス-HCl、または約30mMのトリス-HClを含み得る。
【0096】
場合によっては、増幅用の緩衝液は塩化マグネシウム(MgCl)を含み得る。緩衝液は、少なくとも1mMのMgCl、少なくとも1.5mMのMgCl、少なくとも2.0mMのMgCl、少なくとも2.5mMのMgCl、少なくとも3.0mMのMgCl、少なくとも3.5mMのMgCl、または少なくとも4.0mMのMgClを含み得る。
【0097】
増幅用の緩衝液は、1mM以下のMgCl、1.5mM以下のMgCl、2.0mM以下のMgCl、2.5mM以下のMgCl、3.0mM以下のMgCl、3.5mM以下のMgCl、または4.0mM以下のMgClを含み得る。
【0098】
増幅用の緩衝液は、1.0mM MgCl~4.0mM MgCl、1.0mM MgCl~3.5mM MgCl、1.0mM MgCl~3.0mM MgCl、1.0mM MgCl~2.5mM MgCl、1.0mM MgCl~2.0mM MgCl、1.0mM MgCl~1.5mM MgCl、1.5mM MgCl~4.0mM MgCl、1.5mM MgCl~3.5mM MgCl 1.5mM MgCl~3.0mM MgCl、1.5mM MgCl~2.5mM MgCl、1.5mM MgCl~2.0mM MgCl、2.0mM MgCl~4.0mM MgCl、2.0mM MgCl~3.5mM MgCl、2.0mM MgCl~3.0mM MgCl、2.0mM MgCl~2.5mM MgCl、2.5mM MgCl~4.0mM MgCl、2.5mM MgCl~3.5mM MgCl、2.5mM MgCl~3.0mM MgCl、3.0mM MgCl~4.0mM MgCl、3.0mM MgCl~4.5mM MgCl、または3.5mM MgCl~4.0mM MgClを含み得る。
【0099】
増幅用の緩衝液は、塩化カリウム(KCl)を含み得る。緩衝液は、少なくとも1mMのKCl、少なくとも5mMのKCl、少なくとも10mMのKCl、少なくとも15mMのKCl、または少なくとも20mMのKClを含み得る。
【0100】
増幅用の緩衝液は、1mM以下のKCl、5mM以下のKCl、10mM以下のKCl、15mM以下のKCl、または20mM以下のKClを含み得る。
【0101】
増幅用の緩衝液は、約1mMのKCl、約5mMのKCl、約10mMのKCl、約15mMのKCl、または約20mMのKClを含み得る。
【0102】
増幅用の緩衝液は、1mM KCl~20mM KCl、1mM KCl~15mM KCl、1mM KCl~10mM KCl、1mM KCl~5mM KCl、5mM KCl~20mM KCl、5mM KCl~15mM KCl、5mM KCl~10mM KCl、10mM KCl~20mM KCl、10mM KCl~15mM KCl、または15mM KCl~20mM KClを含み得る。
【0103】
場合によっては、増幅用の緩衝液はDMSOを含み得る。緩衝液は、少なくとも0.5%v/vのDMSO、少なくとも1%v/vのDMSO、少なくとも2%v/vのDMSO、少なくとも3%v/vのDMSO、少なくとも4%v/vのDMSO、少なくとも5%v/vのDMSO、少なくとも6%v/vのDMSO、少なくとも7%v/vのDMSO、少なくとも8%v/vのDMSO、少なくとも9%v/vのDMSO、少なくとも10%v/vのDMSO、少なくとも15%v/vのDMSO、少なくとも20%v/vのDMSO、少なくとも25%v/vのDMSO、または少なくとも30%v/vのDMSOを含み得る。
【0104】
増幅用の緩衝液は、0.5%v/v以下のDMSO、1%v/v以下のDMSO、2%v/v以下のDMSO、3%v/v以下のDMSO、4%v/v以下のDMSO、5%v/v以下のDMSO、6%v/v以下のDMSO、7%v/v以下のDMSO、8%v/v以下のDMSO、9%v/v以下のDMSO、または10%v/v以下のDMSO、15%v/v以下のDMSO、20%v/v以下のDMSO、25%v/v以下のDMSO、または30%v/v以下のDMSOを含み得る。
【0105】
増幅用の緩衝液は、約0.5%v/vのDMSO、約1%v/vのDMSO、約2%v/vのDMSO、約3%v/vのDMSO、約4%v/vのDMSO、約5%v/vのDMSO、約6%v/vのDMSO、約7%v/vのDMSO、約8%v/vのDMSO、約9%v/vのDMSO、約10%v/vのDMSO、約15%v/vのDMSO、約20%v/vのDMSO、約25%v/vのDMSO、または約30%v/vのDMSOを含み得る。
【0106】
増幅用の緩衝液は、0.5%v/v DMSO~30%v/v DMSO、0.5%v/v DMSO~25%v/v DMSO、0.5%v/v DMSO~20%v/v DMSO、0.5%v/v DMSO~15%v/v DMSO、0.5%v/v DMSO~10%v/v DMSO、0.5%v/v DMSO~9%v/v DMSO、0.5%v/v DMSO~8%v/v DMSO、0.5%v/v DMSO~7%v/v DMSO、0.5%v/v DMSO~6%v/v DMSO、0.5%v/v DMSO~5%v/v DMSO、0.5%v/v DMSO~4%v/v DMSO、0.5%v/v DMSO~3%v/v DMSO、0.5%v/v DMSO~2%v/v DMSO、0.5%v/v DMSO~1%v/v DMSO、1%v/v DMSO~30%v/v DMSO、1%v/v DMSO~25%v/v DMSO、1%v/v DMSO~20%v/v DMSO、1%v/v DMSO~15%v/v DMSO、1%v/v DMSO~10%v/v DMSO、1%v/v DMSO~9%v/v DMSO、1%v/v DMSO~8%v/v DMSO、1%v/v DMSO~7%v/v DMSO、1%v/v DMSO~6%v/v DMSO、1%v/v DMSO~5%v/v DMSO、1%v/v DMSO~4%v/v DMSO、1%v/v DMSO~3%v/v DMSO、1%v/v DMSO~2%v/v DMSO、2%v/v DMSO~30%v/v DMSO、2%v/v DMSO~25%v/v DMSO、2%v/v DMSO~20%v/v DMSO、2%v/v DMSO~15%v/v DMSO、2%v/v DMSO~10%v/v DMSO、2%v/v DMSO~9%v/v DMSO、2%v/v DMSO~8%v/v DMSO、2%v/v DMSO~7%v/v DMSO、2%v/v DMSO~6%v/v DMSO、2%v/v DMSO~5%v/v DMSO、2%v/v DMSO~4%v/v DMSO、2%v/v DMSO~3%v/v DMSO、3%v/v DMSO~30%v/v DMSO、3%v/v DMSO~25%v/v DMSO、3%v/v DMSO~20%v/v DMSO、3%v/v DMSO~15%v/v DMSO、3%v/v DMSO~10%v/v DMSO、3%v/v DMSO~9%v/v DMSO、3%v/v DMSO~8%v/v DMSO、3%v/v DMSO~7%v/v DMSO、3%v/v DMSO~6%v/v DMSO、3%v/v DMSO~5%v/v DMSO、3%v/v DMSO~4%v/v DMSO、4%v/v DMSO~30%v/v DMSO、4%v/v DMSO~25%v/v DMSO、4%v/v DMSO~20%v/v DMSO、4%v/v DMSO~15%v/v DMSO、4%v/v DMSO~10%v/v DMSO、4%v/v DMSO~9%v/v DMSO、4%v/v DMSO~8%v/v DMSO、4%v/v DMSO~7%v/v DMSO、4%v/v DMSO~6%v/v DMSO、4%v/v DMSO~5%v/v DMSO、5%v/v DMSO~30%v/v DMSO、5%v/v DMSO~25%v/v DMSO、5%v/v DMSO~20%v/v DMSO、5%v/v DMSO~15%v/v DMSO、5%v/v DMSO~10%v/v DMSO、5%v/v DMSO~9%v/v DMSO、5%v/v DMSO~8%v/v DMSO、5%v/v DMSO~7%v/v DMSO、5%v/v DMSO~6%v/v DMSO、6%v/v DMSO~30%v/v DMSO、6%v/v DMSO~25%v/v DMSO、6%v/v DMSO~20%v/v DMSO、6%v/v DMSO~15%v/v DMSO、6%v/v DMSO~10%v/v DMSO、6%v/v DMSO~9%v/v DMSO、6%v/v DMSO~8%v/v DMSO、6%v/v DMSO~7%v/v DMSO、7%v/v DMSO~30%v/v DMSO、7%v/v DMSO~25%v/v DMSO、7%v/v DMSO~20%v/v DMSO、7%v/v DMSO~15%v/v DMSO、7%v/v DMSO~10%v/v DMSO、7%v/v DMSO~9%v/v DMSO、7%v/v DMSO~8%v/v DMSO、8%v/v DMSO~30%v/v DMSO、8%v/v DMSO~25%v/v DMSO、8%v/v DMSO~20%v/v DMSO、8%v/v DMSO~15%v/v DMSO、8%v/v DMSO~10%v/v DMSO、8%v/v DMSO~9%v/v DMSO、9%v/v DMSO~30%v/v DMSO、9%v/v DMSO~25%v/v DMSO、9%v/v DMSO~20%v/v DMSO、9%v/v DMSO~15%v/v DMSO、9%v/v DMSO~10%v/v DMSO、10%v/v DMSO~30%v/v DMSO、10%v/v DMSO~25%v/v DMSO、10%v/v DMSO~20%v/v DMSO、10%v/v DMSO~15%v/v DMSO、15%v/v DMSO~30%v/v DMSO、15%v/v DMSO~25%v/v DMSO、15%v/v DMSO~20%v/v DMSO、20%v/v DMSO~30%v/v DMSO、20%v/v DMSO~25%v/v DMSO、または25%v/v DMSO~30%v/v DMSOを含み得る。
【0107】
場合によっては、増幅用の緩衝液は、特定のpHを有し得る。増幅用の緩衝液は、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、約8.0、約8.1、約8.2、約8.3、約8.4、約8.5、約8.6、約8.7、約8.8、約8.9、または約9.0のpHを有し得る。場合によっては、緩衝液は、6.8~7.0、6.9~7.1、7.0~7.2、7.1~7.3、7.2~7.4、7.3~7.5、7.4~7.6、7.5~7.7、7.6~7.8、7.7~7.9、7.8~8.0、7.9~8.1、8.0~8.2、8.1~8.3、8.2~8.4、8.3~8.5、8.4~8.6、8.5~8.7、8.6~8.8、8.7~8.9、8.8~9.0、または8.9~9.1のpHを有し得る。
【0108】
成分は、本明細書に記載されるように、環状核酸プライマーを含み得る。
【0109】
成分は、本明細書に記載されるように捕捉分子に結合したオリゴヌクレオチド等のオリゴヌクレオチドを含み得る。
【0110】
成分は、1つまたは複数のヌクレオチド三リン酸を含み得る。ヌクレオシド三リン酸は、DNAヌクレオシド三リン酸(dNTP)またはRNAヌクレオシド三リン酸を含み得る。場合によっては、NTP成分は、アデノシン三リン酸(ATP)、デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、グアノシン三リン酸(GTP)、デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)、シチジン三リン酸(CTP)、デオキシシチジン三リン酸(dCTP)、チミジン三リン酸(TTP)、デオキシチミジン三リン酸(dTTP)、ウリジン三リン酸(UTP)、および/またはデオキシウリジン三リン酸(dUTP)を含み得る。場合によっては、NTP分子の混合物を提供することができる。場合によっては、NTP分子の混合物は、ATP、GTP、CTP、およびUTPを含み得る。他のNTP分子は、dATPの互変異性体、dGTPの互変異性体、dCTPの互変異性体、dATPの互変異性体、dUTPの互変異性体を含み得る。
【0111】
場合によっては、NTP分子の混合物は、ATP、GTP、CTP、およびTTPを含み得る。場合によっては、NTP分子の混合物は、dATP、dGTP、dCTP、およびdUTPを含み得る。場合によっては、NTP分子の混合物は、dATP、dGTP、dCTP、およびdTTPを含み得る。場合によっては、他のNTP分子をRCA反応の成分中に含めることができる。
【0112】
場合によっては、成分は、少なくとも100μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、少なくとも200μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、少なくとも300μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、少なくとも400μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、少なくとも600μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、少なくとも600μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、または少なくとも700μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれを含み得る。
【0113】
場合によっては、成分は、100μM以下のdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、200μM以下のdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、300μM以下のdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、400μM以下のdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、500μM以下のdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、600μM以下のdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、または700μM以下のdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれを含み得る。
【0114】
場合によっては、成分は、100~700μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、100~600μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、100~500μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、100~400μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、100~300μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、100~200μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、200~700μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、200~600μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、200~500μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、200~400μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、200~300μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、300~700μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、300~600μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、300~500μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、300~400μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、400~700μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、400~600μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、400~500μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、500~700μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、500~600μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれ、または600~700μMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれを含み得る。
【0115】
RCA反応は、伸長ステップを含み得る。伸長は、一本鎖DNA伸長または一本鎖RNA伸長を含み得る。伸長は、テンプレート核酸鎖(すなわち、環状核酸プライマー)に従って、単一のオリゴヌクレオチド鎖(すなわち、捕捉剤に結合したオリゴヌクレオチド)にヌクレオチドを付加することを含み得る。オリゴヌクレオチド鎖への核酸の付加は、ポリメラーゼ等の酵素によって媒介され得る。
【0116】
伸長ステップは、オリゴヌクレオチド(例えば、試料に固定されている捕捉剤に結合したオリゴヌクレオチド)を、PCR成分(例えば、ポリメラーゼ、緩衝液、環状核酸プライマー、およびNTPを含む)とともに、ポリメラーゼがオリゴヌクレオチドにヌクレオチドを付加することができる温度でインキュベートすることを含み得る。ヌクレオチドを添加して、オリゴヌクレオチドの末端に付加されたヌクレオチドの長鎖を形成することができる。
【0117】
伸長ステップは、少なくとも20℃、少なくとも25℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも37℃、少なくとも40℃、少なくとも45℃、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、または少なくとも75℃の温度で行われ得る。
【0118】
伸長ステップは、20℃以下、25℃以下、30℃以下、35℃以下、37℃以下、40℃以下、45℃以下、50℃以下、55℃以下、60℃以下、65℃以下、70℃以下、または75℃以下の温度で行われ得る。
【0119】
伸長ステップは、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約37℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、または約75℃の温度で行われ得る。
【0120】
伸長ステップは、20℃~75℃、20℃~70℃、20℃~65℃、20℃~60℃、20℃~55℃、20℃~50℃、20℃~45℃、20℃~40℃、20℃~35℃、20℃~30℃、20℃~25℃、25℃~75℃、25℃~70℃、25℃~65℃、25℃~60℃、25℃~55℃、25℃~50℃、25℃~45℃、25℃~40℃、25℃~35℃、25℃~30℃、30℃~75℃、30℃~70℃、30℃~65℃、30℃~60℃、30℃~55℃、30℃~50℃、30℃~45℃、30℃~40℃、30℃~35℃、35℃~75℃、35℃~70℃、35℃~65℃、35℃~60℃、35℃~55℃、35℃~50℃、35℃~45℃、35℃~40℃、40℃~75℃、40℃~70℃、40℃~65℃、40℃~60℃、40℃~55℃、40℃~50℃、40℃~45℃、45℃~75℃、45℃~70℃、45℃~65℃、45℃~60℃、45℃~55℃、45℃~50℃、50℃~75℃、50℃~70℃、50℃~65℃、50℃~60℃、50℃~55℃、55℃~75℃、55℃~70℃、55℃~65℃、55℃~60℃、60℃~75℃、60℃~70℃、60℃~65℃、65℃~75℃、65℃~70℃、または70℃~75℃の温度で行われ得る。
【0121】
伸長ステップは、少なくとも1分、少なくとも5分、少なくとも15分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも1.5時間、少なくとも2時間、少なくとも2.5時間、少なくとも3時間、少なくとも3.5時間、少なくとも4時間、少なくとも4.5時間、または少なくとも5時間の間持続し得る。
【0122】
伸長ステップは、1分以下、5分以下、15分以下、30分以下、45分以下、1時間以下、1.5時間以下、2時間以下、2.5時間以下、4時間以下、3.5時間以下、4時間以下、4.5時間以下、または5時間以下の間持続し得る。
【0123】
伸長ステップは、約1分、約5分、約15分、約30分、約45分、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、約3時間、約3.5時間、約4時間、約4.5時間、または約5時間の間持続し得る。
【0124】
伸長ステップは、1分~5時間、1分~4.5時間、1分~4時間、1分~3.5時間、1分~3時間、1分~2.5時間、1分~2時間、1分~1.5時間、1分~1時間、1分~45分、1分~30分、1分~15分、1分~5分、5分~5時間、5分~4.5時間、5分~4時間、5分~3.5時間、5分~3時間、5分~2.5時間、5分~2時間、5分~1.5時間、5分~1時間、5分~45分、5分~30分、5分~15分、15分~5時間、15分~4.5時間、15分~4時間、15分~3.5時間、15分~3時間、15分~2.5時間、15分~2時間、15分~1.5時間、15分~1時間、15分~45分、15分~30分、30分~5時間、30分~4.5時間、30分~4時間、30分~3.5時間、30分~3時間、30分~2.5時間、30分~2時間、30分~1.5時間、30分~1時間、30分~45分、45分~5時間、45分~4.5時間、45分~4時間、45分~3.5時間、45分~3時間、45分~2.5時間、45分~2時間、45分~1.5時間、45分~1時間、1時間~5時間、1時間~4.5時間、1時間~4時間、1時間~3.5時間、1時間~3時間、1時間~2.5時間、1時間~2時間、1時間~1.5時間、1.5時間~5時間、1.5時間~4.5時間、1.5時間~4時間、1.5時間~3.5時間、1.5時間~3時間、1.5時間~2.5時間、1.5時間~2時間、2時間~5時間、2時間~4.5時間、2時間~4時間、2時間~3.5時間、2時間~3時間、2時間~2.5時間、2.5時間~5時間、2.5時間~4.5時間、2.5時間~4時間、2.5時間~3.5時間、2.5時間~3時間、3時間~5時間、3時間~4.5時間、3時間~4時間、3時間~3.5時間、3.5時間~5時間、3.5時間~4.5時間、3.5時間~4時間、4時間~5時間、4時間~4.5時間、または4.5時間~5時間の間持続し得る。
【0125】
場合によっては、RCAは増幅を引き起こし得る。場合によっては、より大きな増幅は、テンプレート(すなわち、環状核酸プライマー)がコピーされた回数が多いことを示し得る。
【0126】
増幅は、検出のために増幅されたオリゴヌクレオチドに結合することができる標識プローブの数として定量化することができる。例えば、10倍の増幅は、検出のために1つのオリゴヌクレオチドに結合する10個の標識プローブをもたらすことができる増幅を含み得る。場合によっては、より大きな増幅は、増幅されたオリゴヌクレオチドに結合することができる標識プローブの数が多いことを示し得る。標識プローブの数が多いほど、検出することができるより大きなシグナルを生成し得る。
【0127】
場合によっては、RCAは、少なくとも2倍の増幅、少なくとも5倍の増幅、少なくとも10倍の増幅、少なくとも20倍の増幅、少なくとも30倍の増幅、少なくとも40倍の増幅、少なくとも50倍の増幅、少なくとも60倍の増幅、少なくとも70倍の増幅、少なくとも80倍の増幅、少なくとも90倍の増幅、少なくとも100倍の増幅、少なくとも200倍の増幅、少なくとも300倍の増幅、少なくとも400倍の増幅、少なくとも500倍の増幅、少なくとも600倍の増幅、少なくとも700倍の増幅、少なくとも800倍の増幅、少なくとも900倍の増幅、少なくとも1000倍の増幅、少なくとも5000倍の増幅、または少なくとも10000倍の増幅をもたらし得る。
【0128】
場合によっては、RCAは、2倍以下の増幅、5倍以下の増幅、10倍以下の増幅、20倍以下の増幅、30倍以下の増幅、40倍以下の増幅、50倍以下の増幅、60倍以下の増幅、70倍以下の増幅、80倍以下の増幅、90倍以下の増幅、100倍以下の増幅、200倍以下の増幅、300倍以下の増幅、400倍以下の増幅、500倍以下の増幅、600倍以下の増幅、700倍以下の増幅、800倍以下の増幅、900倍以下の増幅、1000倍以下の増幅、5000倍以下の増幅、または10000倍以下の増幅をもたらし得る。
【0129】
場合によっては、RCAは、2倍増幅~10000倍増幅、2倍~5000倍増幅、2倍増幅~1000倍増幅、2倍増幅~500倍増幅、2倍増幅~100倍増幅、2倍増幅~50倍増幅、2倍増幅~10倍増幅、10倍~10000倍増幅、10倍~5000倍増幅、10倍増幅~1000倍増幅、10倍~500倍増幅、10倍~100倍増幅、10倍増幅~50倍増幅、50倍増幅~10000倍増幅、50倍増幅~5000倍増幅、50倍増幅~1000倍増幅、50倍増幅~500倍増幅、50倍増幅~100倍増幅、100倍増幅~10000倍増幅、100倍増幅~5000倍増幅、100倍増幅~1000倍増幅、100倍増幅~500倍増幅、500倍増幅~10000倍増幅、500倍増幅~5000倍増幅、500倍増幅~1000倍増幅、1000倍増幅~10000倍増幅、1000倍増幅~5000倍増幅、または5000倍増幅~10000倍増幅をもたらし得る。
【0130】
プローブ
プローブは、目的の生物学的特徴の検出に使用される分子であり得る。
【0131】
試料が捕捉剤に結合され、RCA反応が実施された後、方法は、標識プローブのセットを試料と接触させることを含み得る。場合によっては、例えば、標識されたプローブが標識された核酸プローブである場合、接触は、プローブを試料に特異的にハイブリダイズさせることを含み得る。本明細書において、プローブは、標識プローブ/オリゴヌクレオチド二本鎖を生成するように、識別可能に標識することができる。
【0132】
場合によっては、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、または8個のプローブを適用することができる。場合によっては、1、2、3、4、5、6、7、または8個以下のプローブを適用することができる。場合によっては、1~8個のプローブ、1~7個のプローブ、1~6個のプローブ、1~5個のプローブ、1~4個のプローブ、1~3個のプローブ、1~2個のプローブ、2~8個のプローブ、2~7個のプローブ、2~6個のプローブ、2~5個のプローブ、2~4個のプローブ、2~3個のプローブ、3~8個のプローブ、3~7個のプローブ、3~6個のプローブ、3~5個のプローブ、3~4個のプローブ、4~8個のプローブ、4~7個のプローブ、4~6個のプローブ、4~5個のプローブ、5~8個のプローブ、5~7個のプローブ、5~6個のプローブ、6~8個のプローブ、6~7個のプローブ、または7~8個のプローブを適用することができる。
【0133】
場合によっては、ハイブリダイゼーション連鎖反応、分岐DNA(bDNA)増幅等を含むがこれらに限定されない二次核酸増幅ステップは、標識プローブを適用する前に行われ得る。
【0134】
いくつかの実施形態において、プローブは、ハイブリダイゼーションステップの二本鎖が同じ範囲のTmを有するように、15℃~70℃(例えば、20℃~60℃、または35℃~50℃)の範囲の計算融解温度(T)を有し得る。これらの実施形態において、Tは、IDT社のOligoAnalyzerプログラム(IDTのウェブサイトで入手可能であり、Owczarzy et al.,Nucleic Acids Res.2008 36:W163-9に記載される)を使用して、例えば、50mM Na+および250nMオリゴヌクレオチドのデフォルト設定を用いることにより、計算することができる。
【0135】
プローブは、Tを一致させることができ、この場合、「Tを一致させる」という用語は、定義された範囲内、例えば、15℃未満、10℃未満または5℃未満の定義された温度の融解温度を有する配列を指すことができる。明らかであるように、プローブは、5’末端、3’末端、またはその間の任意の箇所で標識され得る。いくつかの実施形態において、プローブは、特異的に切断可能であり得る。例えば、プローブは、切断可能なリンカー(例えば、光学的にまたは化学的に切断可能なリンカー)を含むことができる。
【0136】
プローブで増幅されたオリゴヌクレオチド二本鎖のTは、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、または約30℃であり得る。プローブで増幅されたオリゴヌクレオチド二本鎖のTは、少なくとも10℃、少なくとも15℃、少なくとも20℃、少なくとも25℃、または少なくとも30℃であり得る。プローブで増幅されたオリゴヌクレオチド二本鎖のTは、10℃以下、15℃以下、20℃以下、25℃以下、または30℃以下であり得る。プローブで増幅されたオリゴヌクレオチド二本鎖のTは、10℃~30℃、10℃~25℃、10℃~20℃、10℃~15℃、15℃~30℃、15℃~25℃、15℃~20℃、20℃~30℃、20℃~25℃、または25℃~30℃であり得る。
【0137】
場合によっては、プローブを試料上でインキュベートして、試料へのハイブリダイゼーションを可能にすることができる。プローブは、約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、または約55℃の温度でインキュベートすることができる。
【0138】
プローブは、少なくとも10秒、少なくとも15秒、少なくとも30秒、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも3分、少なくとも4分、少なくとも5分、少なくとも10分、または少なくとも15分の間、試料上でインキュベートすることができる。場合によっては、洗浄が10秒未満の間持続し得る。
【0139】
プローブは、最大10秒、最大15秒、最大30秒、最大1分、最大2分、最大3分、最大4分、最大5分、最大10分、または最大15分の間、試料上でインキュベートすることができる。場合によっては、洗浄は15分超の間持続し得る。
【0140】
プローブは、10秒~15分、10秒~10分、10秒~5分、10秒~1分、10秒~30秒、30秒~15分、30秒~10分、30秒~5分、30秒~1分、1分~15分、1分~10分、1分~5分、5分~15分、5分~10分、または10分~15分の間、試料上でインキュベートすることができる。
【0141】
標識
標識は、プローブにコンジュゲートまたは結合された検出可能な分子であり得る。単一の反復中に適用されたプローブに結合された標識は、上記のように、それらのプローブが識別可能に標識されるように、互いに識別することができる。
【0142】
識別可能に標識されたプローブは、識別可能な標識を含むことができる。そのような標識は、励起波長、発光波長、強度、または他の特性に基づいて識別され得る。いくつかの実施形態において、蛍光標識された標識プローブのセットは、1つまたは複数の識別可能な蛍光標識対で標識されたプローブを含むことができる。
【0143】
本方法において有用な好適な識別可能な蛍光標識対は、Cy-3およびCy-5(Amersham Inc.、Piscataway、NJ)、Quasar 570およびQuasar 670(Biosearch Technology、Novato CA)、Alexafluor555およびAlexafluor647(Molecular Probes、Eugene,OR)、BODIPY V-1002およびBODIPY V1005(Molecular Probes、Eugene,OR)、POPO-3およびTOTO-3(Molecular Probes、Eugene,OR)、ならびにPOPRO3およびTOPRO3(Molecular Probes、Eugene,OR)を含む。さらに好適な識別可能な検出可能な標識は、Kricka et al.(Ann Clin Biochem.39:114-29,2002)、Ried et al.(Proc.Natl.Acad.Sci.1992:89:1388-1392)およびTanke et al.(Eur.J.Hum.Genet.1999 7:2-11)等に見出され得る。いくつかの実施形態において、3つまたは4つの識別可能な色素が用いられてもよい。目的の具体的な蛍光色素は、キサンテン色素、例えば、フルオレセインおよびローダミン色素、例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、6-カルボキシフルオレセイン(略称FAMおよびFによって一般に知られる)、6-カルボキシ-2’,4’,7’,4,7-ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、6-カルボキシ-4’,5’-ジクロロ-2’,7’-ジメトキシフルオレセイン(JOEまたはJ)、N,N,N’,N’-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRAまたはT)、6-カルボキシXローダミン(ROXまたはR)、5-カルボキシローダミン-6G(R6G5またはG5)、6-カルボキシローダミン-6G(R6G6またはG6)、およびローダミン110;シアニン色素、例えば、Cy3、Cy5、およびCy7色素;クマリン、例えば、ウンベリフェロン;ベンズイミド色素、例えば、ヘキスト33258;フェナントリジン色素、例えば、テキサスレッド;エチジウム色素;アクリジン色素;カルバゾール色素;フェノキサジン色素;ポルフィリン色素;ポリメチン色素、例えば、BODIPY色素、およびキノリン色素を含む。本出願において一般的に使用される目的の特定の蛍光体は、ピレン、クマリン、ジエチルアミノクマリン、FAM、フルオレセインクロロトリアジニル、フルオレセイン、R110、エオシン、JOE、R6G、テトラメチルローダミン、TAMRA、リサミン、ナフトフルオレセイン、テキサスレッド、Cy3、およびCy5等を含む。上述したように、プローブの各サブセット内で、蛍光体は、それらが互いに識別可能であるように、すなわち独立して検出可能であるように選択されてもよく、これは、たとえ複数の標識が混合された場合であっても、これらの標識を独立して検出および測定することが可能であることを意味する。言い換えれば、各標識について存在する標識の量(例えば、蛍光の量)は、複数の標識が同一の場所に存在する場合(例えば、同一管中、または切片の同一領域)であっても、別々に測定可能である。
【0144】
標識は、例えば、蛍光体前駆体、二次的に活性化可能な蛍光体、蛍光タンパク質、可視染色、多染性バーコード、質量タグ(例えば、定義されたサイズの同位体またはポリマー)、標識フリー検出のための構造タグ、放射線感受性タグ(THzカメラによって活性化される)、放射性タグ、または特定の周波数の光だけを吸収する光吸収タグであってもよい。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、蛍光体を送達する酵素を送達してもよく、またはシグナルの酵素的増幅が存在してもよい。場合によっては、標識の検出可能なシグナルは、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、ラマン分光法、赤外線検出、または磁気/電気検出によって、ある場合には生成され得る。
【0145】
場合によっては、標識は酵素を含むことができる。そのような場合、酵素は生物学的試料への検出可能な物質の沈着を媒介することができる。場合によっては、この検出可能な物質の沈着がシグナル増幅を構成する可能性がある。例えば、標識は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、またはチラミンシグナル増幅を媒介することができる西洋ワサビペルオキシダーゼと同様の特性を有するように操作された合成酵素を含むことができる。例えば、酵素は、過酸化水素等の基質を使用して酸化還元反応を媒介し、検出のために、色素または標識とコンジュゲートしたチラミド等の色素または標識の表面への沈着を媒介することができる。
【0146】
リンカー
本明細書の組成物において、異なる分子は、1つまたは複数のリンカーを介して接続することができる。例えば、捕捉剤は、リンカーを介してオリゴヌクレオチドに結合させることができる。別の例として、プローブは、リンカーを介してプローブに結合させることができる。
【0147】
リンカーは、直接結合、または酸素もしくは硫黄等の原子、NR1、C(O)、C(O)NH、SO、SO2、SO2NH等の単位、または原子鎖、例えば、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロシクリルアルキニル、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、アルキニルヘテロシクリルアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキルヘテロアリール、アルケニルヘテロアリール、アルキニルヘテロアリールを含んでもよく、この場合、1つもしくは複数のメチレンは、O、S、S(O)、SO2、N(R1)2、C(O)、切断可能な連結基、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換複素環によって中断または終端してもよく、R1は、水素、アシル、脂肪族、もしくは置換脂肪族である。
【0148】
場合によっては、リンカーは核酸リンカーであり得る。「核酸リンカー」は、化合物の2つの部分、例えば、親和性分子を標識部分に接続する核酸であり得る。核酸リンカーは、一本鎖、完全に二本鎖、または部分的に二本鎖であり得る。核酸リンカーは任意の長さであり得る。例えば、核酸リンカーは、1ヌクレオチド~約100ヌクレオチドの長さであり得る。核酸リンカーが二本鎖である場合、リンカーは、約6~約100の連続する塩基対の二重鎖領域を含むことができる。しかしながら、二本鎖領域は、二本鎖の一方または両方における1つまたは複数の一本鎖領域によって中断され得る。さらに、二本鎖核酸リンカーは、二本鎖領域の一端または両端に一本鎖オーバーハングを含むことができる。さらに、核酸リンカーは、本明細書に記載の1つまたは複数の核酸修飾を含むことができる。核酸リンカーは、非核酸リンカーによって化合物に結合させることができる。
【0149】
場合によっては、リンカーは「非核酸リンカー」であり得、これは、核酸リンカーではない任意のリンカーであり得る。
【0150】
リンカーは、分子を共有結合的にまたは非共有結合的に連結することができる。したがって、いくつかの実施形態において、捕捉剤およびオリゴヌクレオチドは、非核酸リンカーを使用して一緒に共有結合され得る。例えば、捕捉剤とオリゴヌクレオチドは、結合、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)リンカー、スルホ-SMCCリンカー、スクシニミジル-6-ヒドラジノ-ニコチンアミド(S-HyNic)リンカー、N-スクシンイミジル-4-ホルミルベンズアミド(S-4FB)リンカー、ビス-アリールヒドラゾン結合(S-HyNic/S-4FB反応から)、長さゼロのペプチド結合(アフィニティー分子と核酸上の-COOHと-NHの間)、スペーサー上の2つのペプチド結合(2つの-NH基の架橋から)、トリアゾール結合(「クリック」反応から)、ホスホジエステル結合、ホスホチオエート結合、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるリンカーを介して一緒に共有結合され得る。別の例では、プローブと標識は、結合、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)リンカー、スルホ-SMCCリンカー、スクシニミジル-6-ヒドラジノ-ニコチンアミド(S-HyNic)リンカー、N-スクシンイミジル-4-ホルミルベンズアミド(S-4FB)リンカー、ビス-アリールヒドラゾン結合(S-HyNic/S-4FB反応から)、長さゼロのペプチド結合(アフィニティー分子と核酸上の-COOHと-NHの間)、スペーサー上の2つのペプチド結合(2つの-NH基の架橋から)、トリアゾール結合(「クリック」反応から)、ホスホジエステル結合、ホスホチオエート結合、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるリンカーを介して一緒に共有結合され得る。
【0151】
方法
生物学的試料は、本明細書に記載の方法の前に、またはその一部として、調達または調製することができる。生物学的試料の非限定的な例として、組織、細胞、または器官を挙げることができる。
【0152】
場合によっては、捕捉剤を適用する前に、タンパク質遮断薬を試料に適用することができる。
【0153】
捕捉剤(または複数の捕捉剤)は、試料上でインキュベートすることができる。本明細書に記載されるように、各捕捉剤が異なるオリゴヌクレオチドに結合するように、捕捉剤をオリゴヌクレオチドに結合させることができる。場合によっては、一度に1つの捕捉剤を試料と同時にインキュベートすることができる。場合によっては、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上の捕捉剤を試料と同時にインキュベートすることができる。場合によっては、全ての捕捉剤を試料と同時にインキュベートすることができる。
【0154】
場合によっては、捕捉剤は、約4℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、または約45℃でインキュベートすることができる。場合によっては、捕捉剤は、少なくとも4℃、少なくとも10℃、少なくとも15℃、少なくとも20℃、少なくとも25℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃、または少なくとも45℃でインキュベートすることができる。場合によっては、捕捉剤は、4℃以下、10℃以下、15℃以下、20℃以下、25℃以下、30℃以下、35℃以下、40℃以下、または45℃以下でインキュベートすることができる。場合によっては、捕捉剤は、4℃~45℃、4℃~40℃、4℃~35℃、4℃~30℃、4℃~25℃、4℃~20℃、4℃~15℃、4℃~10℃、10℃~45℃、10℃~40℃、10℃~35℃、10℃~30℃、10℃~25℃、10℃~20℃、10℃~15℃、15℃~45℃、15℃~40℃、15℃~35℃、15℃~30℃、15℃~25℃、15℃~20℃、20℃~45℃、20℃~40℃、20℃~35℃、20℃~30℃、20℃~25℃、25℃~45℃、25℃~40℃、25℃~35℃、25℃~30℃、30℃~45℃、30℃~40℃、30℃~35℃、35℃~45℃、35℃~40℃、または40℃~45℃でインキュベートすることができる。
【0155】
捕捉剤は、約30分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、または約6時間の間インキュベートすることができる。場合によっては、捕捉剤は、少なくとも30分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、または少なくとも6時間の間インキュベートすることができる。場合によっては、捕捉剤は、30分以下、1時間以下、2時間以下、3時間以下、4時間以下、5時間以下、または6時間以下の間インキュベートすることができる。場合によっては、捕捉剤は、30分~6時間、30分~5時間、30分~4時間、30分~3時間、30分~2時間、30分~1時間、1時間~6時間、1時間~5時間、1時間~4時間、1時間~3時間、1時間~2時間、2時間~6時間、2時間~5時間、2時間~4時間、2時間~3時間、3時間~6時間、3時間~5時間、3時間~4時間、4時間~6時間、4時間~5時間、または5時間~6時間の間インキュベートすることができる。
【0156】
捕捉剤とともにインキュベーションした後、試料を洗浄して過剰な捕捉剤を除去することができる。洗浄は、ある時間の間試料に緩衝液を適用し、続いて緩衝液を除去することを含み得る。場合によっては、洗浄は、試料を回転させる、振盪する、揺動させる、または振動させる等による穏やかな撹拌を含むことができる。洗浄は、少なくとも50μL、少なくとも100μL、少なくとも500μL、少なくとも1mL、少なくとも5mL、少なくとも10mL、少なくとも20mL、少なくとも30mL、少なくとも40mL、または少なくとも50mLの緩衝液を試料に適用することを含み得る。洗浄は、50μL以下、100μL以下、500μL以下、1mL以下、5mL以下、10mL以下、20mL以下、30mL以下、40mL以下、または50mL以下の緩衝液を試料に適用することを含み得る。場合によっては、洗浄は、50μL~50mL、50μL~40mL、50μL~30mL、50μL~20mL、50μL~10mL、50μL~5mL、50μL~1mL、50μL~500μL、50μL~100μL、100μL~50mL、100μL~40mL、100μL~30mL、100μL~20mL、100μL~10mL、100μL~5mL、100μL~1mL、100μL~500μL、500μL~50mL、500μL~40mL、500μL~30mL、500μL~20mL、500μL~10mL、500μL~5mL、500μL~1mL、1mL~50mL、1mL~40mL、1mL~30mL、1mL~20mL、1mL~10mL、1mL~5mL、5mL~50mL、5mL~40mL、5mL~30mL、5mL~20mL、5mL~10mL、10mL~50mL、10mL~40mL、10mL~30mL、10mL~20mL、20mL~50mL、20mL~40mL、20mL~30mL、30mL~50mL、30mL~40mL、または40mL~50mLの緩衝液を試料に適用することを含み得る。洗浄緩衝液は、許容可能な任意の緩衝液であり得る。場合によっては、洗浄緩衝液は、例えば、捕捉剤が入っているのと同じ緩衝液、またはPBS、PBS-T、TBS、またはTBS-T等の別の緩衝液であり得る。洗浄ステップは、少なくとも10秒、少なくとも30秒、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも3分、少なくとも4分、少なくとも5分、少なくとも10分、または少なくとも15分の間持続し得る。洗浄ステップは、最大10秒、最大30秒、最大1分、最大2分、最大3分、最大4分、最大5分、最大10分、または最大15分の間持続し得る。洗浄ステップは、10秒から15分、10秒~10分、10秒~5分、10秒~30秒、30秒~15分、30秒~10分、30秒~5分、30秒~1分、1分~15分、1分~10分、1分~5分、5分~15分、5分~10分、または1分~15分持続し得る。洗浄ステップは、1、2、3、4、5回、またはそれ以上行うことができる。
【0157】
捕捉剤は試料に架橋することができる。そのような架橋は、捕捉剤が後続のステップ中に分離するのを防ぐことができる。この架橋ステップは、アミン-アミン架橋剤(例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ジスクシンイミルタレート、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、または同様の作用を有する別の試薬)を使用して行われてもよいが、所望であれば、捕捉剤を試料に架橋するために、他の種々の化学物質を使用することができる。
【0158】
場合によっては、環状核酸プライマーを適用する前に、核酸遮断薬を試料に適用することができる。このステップでは、サケ精子DNAまたは別の市販の製品等の、任意の許容可能な核酸遮断薬を使用することができる。
【0159】
場合によっては、核酸遮断薬は、約4℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、または約45℃でインキュベートすることができる。場合によっては、核酸遮断薬は、少なくとも4℃、少なくとも10℃、少なくとも15℃、少なくとも20℃、少なくとも25℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃、または少なくとも45℃でインキュベートすることができる。場合によっては、核酸遮断薬は、4℃以下、10℃以下、15℃以下、20℃以下、25℃以下、30℃以下、35℃以下、40℃以下、または45℃以下でインキュベートすることができる。場合によっては、核酸遮断薬は、4℃~45℃、4℃~40℃、4℃~35℃、4℃~30℃、4℃~25℃、4℃~20℃、4℃~15℃、4℃~10℃、10℃~45℃、10℃~40℃、10℃~35℃、10℃~30℃、10℃~25℃、10℃~20℃、10℃~15℃、15℃~45℃、15℃~40℃、15℃~35℃、15℃~30℃、15℃~25℃、15℃~20℃、20℃~45℃、20℃~40℃、20℃~35℃、20℃~30℃、20℃~25℃、25℃~45℃、25℃~40℃、25℃~35℃、25℃~30℃、30℃~45℃、30℃~40℃、30℃~35℃、35℃~45℃、35℃~40℃、または40℃~45℃でインキュベートすることができる。
【0160】
場合によっては、ブロッキングステップは、約10分、約20分、約30分、約40分、約50分、または約60分の間持続し得る。場合によっては、ブロッキングステップは、少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも40分、少なくとも50分、または少なくとも60分の間持続し得る。場合によっては、ブロッキングステップは、10分以下、20分以下、30分以下、40分以下、50分以下、または60分以下の間持続し得る。場合によっては、ブロッキングステップは10分~60分、10分~50分、10分~40分、10分~30分、10分~20分、20分~60分、20分~50分、20分~40分、20分~30分、30分~60分、30分~50分、30分~40分、40分~60分、40分~50分の間、または50分~60分の間持続し得る。
【0161】
環状核酸プライマー(例えば、パドロックプローブ)を試料に適用することができる。環状核酸プライマーは、環状核酸プライマーがオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができるように、試料上でインキュベートすることができる。
【0162】
場合によっては、環状核酸プライマーは、約4℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、または約45℃でインキュベートすることができる。場合によっては、環状核酸プライマーは、少なくとも4℃、少なくとも10℃、少なくとも15℃、少なくとも20℃、少なくとも25℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃、または少なくとも45℃でインキュベートすることができる。場合によっては、環状核酸プライマーは、4℃以下、10℃以下、15℃以下、20℃以下、25℃以下、30℃以下、35℃以下、40℃以下、または45℃以下でインキュベートすることができる。場合によっては、環状核酸プライマーは、4℃~45℃、4℃~40℃、4℃~35℃、4℃~30℃、4℃~25℃、4℃~20℃、4℃~15℃、4℃~10℃、10℃~45℃、10℃~40℃、10℃~35℃、10℃~30℃、10℃~25℃、10℃~20℃、10℃~15℃、15℃~45℃、15℃~40℃、15℃~35℃、15℃~30℃、15℃~25℃、15℃~20℃、20℃~45℃、20℃~40℃、20℃~35℃、20℃~30℃、20℃~25℃、25℃~45℃、25℃~40℃、25℃~35℃、25℃~30℃、30℃~45℃、30℃~40℃、30℃~35℃、35℃~45℃、35℃~40℃、または40℃~45℃でインキュベートすることができる。
【0163】
場合によっては、環状核酸プライマーは、約10分、約20分、約30分、約40分、約50分、または約60分の間、試料上でインキュベートすることができる。場合によっては、環状核酸プライマーは、少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも40分、少なくとも50分、または少なくとも60分の間、試料上でインキュベートすることができる。場合によっては、環状核酸プライマーは、10分以下、20分以下、30分以下、40分以下、50分以下、または60分以下の間、試料上でインキュベートすることができる。場合によっては、環状核酸プライマーは、10分~60分、10分~50分、10分~40分、10分~30分、10分~20分、20分~60分、20分~50分、20分~40分、20分~30分、30分~60分、30分~50分、30分~40分、40分~60分、40分~50分の間、または50分~60分の間、試料上でインキュベートすることができる。
【0164】
場合によっては、環状核酸プライマーを試料に適用してインキュベートした後、試料を洗浄して、例えば、過剰なプライマーを除去することができる。洗浄は、例えば、上記の通りであり得る。
【0165】
場合によっては、環状核酸プローブをライゲーションすることができる。例えば、環状核酸プローブがオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする前に線状である場合、それは、RCA反応の前にライゲーションすることができる。ライゲーションは、ライゲーション緩衝液中で行うことができる。リガーゼ(例えば、T4 DNAリガーゼまたは他のDNAもしくはヌクレオチドリガーゼ)を適用して、ライゲーションを促進することができる。場合によっては、ブロッキングステップと同時にライゲーションを行うことができる。場合によっては、ハイブリダイゼーションのために環状核酸プライマーを試料上でインキュベートすると同時にライゲーションを行うことができる。場合によっては、ライゲーション、ハイブリダイゼーション、ブロッキングを同時に行うことができる。
【0166】
場合によっては、リガーゼは、約4℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、または約45℃でインキュベートすることができる。場合によっては、リガーゼは、少なくとも4℃、少なくとも10℃、少なくとも15℃、少なくとも20℃、少なくとも25℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃、または少なくとも45℃でインキュベートすることができる。場合によっては、リガーゼは、4℃以下、10℃以下、15℃以下、20℃以下、25℃以下、30℃以下、35℃以下、40℃以下、または45℃以下でインキュベートすることができる。場合によっては、リガーゼは、4℃~45℃、4℃~40℃、4℃~35℃、4℃~30℃、4℃~25℃、4℃~20℃、4℃~15℃、4℃~10℃、10℃~45℃、10℃~40℃、10℃~35℃、10℃~30℃、10℃~25℃、10℃~20℃、10℃~15℃、15℃~45℃、15℃~40℃、15℃~35℃、15℃~30℃、15℃~25℃、15℃~20℃、20℃~45℃、20℃~40℃、20℃~35℃、20℃~30℃、20℃~25℃、25℃~45℃、25℃~40℃、25℃~35℃、25℃~30℃、30℃~45℃、30℃~40℃、30℃~35℃、35℃~45℃、35℃~40℃、または40℃~45℃でインキュベートすることができる。
【0167】
場合によっては、リガーゼは、約10分、約20分、約30分、約40分、約50分、または約60分の間、試料上でインキュベートすることができる。場合によっては、リガーゼは、少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも40分、少なくとも50分、または少なくとも60分の間、試料上でインキュベートすることができる。場合によっては、リガーゼは、10分以下、20分以下、30分以下、40分以下、50分以下、または60分以下の間、試料上でインキュベートすることができる。場合によっては、リガーゼは、10分~60分、10分~50分、10分~40分、10分~30分、10分~20分、20分~60分、20分~50分、20分~40分、20分~30分、30分~60分、30分~50分、30分~40分、40分~60分、40分~50分の間、または50分~60分の間、試料上でインキュベートすることができる。
【0168】
環状核酸プライマーは、(例えば、過剰なプライマーを除去するために)洗浄することができる。洗浄は、例えば上記のように行うことができる。
【0169】
RCA反応は、環状核酸プライマーをテンプレートとして使用してオリゴヌクレオチドを伸長するために行うことができる。RCA反応は、試料をRCA用の試薬とともにインキュベートすることを含み得る。例えば、試料は、BSA、ポリメラーゼ(例えば、Phi29ポリメラーゼまたは別のポリメラーゼ)、dNTP、および選択されたポリメラーゼに適切な緩衝液(例えば、Phi29が選択されたポリメラーゼである場合、Phi29ポリメラーゼ緩衝液)とともにインキュベートされ得る。
【0170】
試料は、RCA反応後に(例えば、過剰なポリメラーゼまたは過剰なdNTP等の過剰な試薬を除去するために)洗浄することができる。洗浄は、例えば上記のように行うことができる。
【0171】
RCA反応は、約37℃でインキュベートすることができる。場合によっては、RCA反応は、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、または約45℃でインキュベートすることができる。場合によっては、RCA反応は、少なくとも20℃、少なくとも25℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃、または少なくとも45℃でインキュベートすることができる。場合によっては、RCA反応は、20℃以下、25℃以下、30℃以下、35℃以下、40℃以下、または45℃以下でインキュベートすることができる。場合によっては、RCA反応は、20℃~45℃、20℃~40℃、20℃~35℃、20℃~30℃、20℃~25℃、25℃~45℃、25℃~40℃、25℃~35℃、25℃~30℃、30℃~45℃、30℃~40℃、30℃~35℃、35℃~45℃、35℃~40℃、または40℃~45℃でインキュベートすることができる。
【0172】
標識プローブは、DMSOの存在下で伸長されたオリゴヌクレオチドとともにインキュベートすることができる。DMSOは、増幅されたオリゴヌクレオチドへのプローブのハイブリダイゼーションを調節することができ、場合によっては、DMSOは、プローブの結合を促進するのを助けるために、伸長したオリゴヌクレオチドをほぐすまたはほどく効果を有することができる。
【0173】
プローブは、試料に適用することができる。プローブの適用は、例えば、プローブが伸長したオリゴヌクレオチドと接触する機会を有するように、ピペッティング、拭き取り、注入、滴下、またはプローブを含む溶液を試料に別様に導入することによって行うことができる。
【0174】
プローブは、溶液中、例えば本明細書に記載の緩衝液中の試料に適用することができる。プローブは、伸長したオリゴヌクレオチドを有する捕捉剤と接触している試料の領域をカバーするのに十分な量で適用することができる。場合によっては、プローブは、試料全体をカバーするのに十分な量で適用することができる。場合によっては、少なくとも5μL、少なくとも10μL、少なくとも15μL、少なくとも20μL、少なくとも30μL、少なくとも40μL、少なくとも50μL、少なくとも60μL、少なくとも70μL、少なくとも80μL、少なくとも90μL、少なくとも100μL、少なくとも200μL、少なくとも300μL、少なくとも400μL、または少なくとも500μLのプローブを試料に適用することができる。場合によっては、5μL以下、10μL以下、15μL以下、20μL以下、30μL以下、40μL以下、50μL以下、60μL以下、70μL以下、80μL以下、90μL以下、100μL以下、200μL以下、300μL以下、400μL以下、500μL以下のプローブを試料に適用することができる。場合によっては、5μL~500μL、50μL~500μL、100μL~500μL、200μL~500μL、300μL~500μL、400μL~500μL、5μL~400μL、50μL~400μL、100μL~400μL、200μL~400μL、300μL~400μL、5μL~300μL、50μL~300μL、100μL~300μL、200μL~300μL、5μL~200μL、50μL~200μL、100μL~200μL、5μL~100μL、50μL~100μL、または5μL~50μLのプローブを試料に適用することができる。
【0175】
試料に適用されるプローブは、溶液中、例えば緩衝液中であり得る。プローブは、少なくともある濃度で溶液中に存在し得る。
【0176】
プローブが、捕捉剤および伸長されたオリゴヌクレオチドを介して試料の目的の生物学的特徴に関連付けられるように試料に適用された後、目的の生物学的特徴を特定および/または定量化するために、プローブを読み取るまたは検出することができる。複数のプローブをそれぞれの目的の生物学的特徴に関連付けることができ、それにより、他の方法と比較してシグナルを増幅することができる。読み取りは以下のように行うことができる。
【0177】
読み取り
試料を読み取って、1つまたは複数のプローブの結合パターンを決定することができる。場合によっては、試料を読み取って、各プローブの結合パターンを決定することができる。プローブの結合パターンは、オリゴヌクレオチドおよびコンジュゲートされた捕捉剤の空間情報を示すことができ、これは次に、目的の生物学的特徴の空間情報を示すことができる。
【0178】
ハイブリダイズしていないあらゆる標識プローブを除去するために試料を洗浄した後、本方法は、前のステップでハイブリダイズされたプローブの各サブセットについての結合パターンが決定され得る画像を得るために試料を読み取ることを含む。このステップは、任意の都合の良い読み取り方法を使用して行われてもよく、いくつかの実施形態において、例えば、異なるプローブのハイブリダイゼーションは、各蛍光体に適するフィルタを備えた蛍光顕微鏡を使用して、または複数の蛍光体を観察するためのデュアルもしくはトリプルバンドパスフィルタを使用することにより、別々に読み取ることができる(例えば、米国特許第5,776,688号を参照のこと)。
【0179】
場合によっては、標識に関連付けられたそれぞれの目的の生物学的特徴と同時に、標識に関連付けられた別の目的の生物学的特徴を、同じ反復中に読み取ることができる。同じ反復中に読み取られる標識は異なる場合がある。2つの標識は、読み取り媒体を使用して検出されたときに互いに識別可能である場合に、異なると見なすことができる。例えば、2つの蛍光分子は、顕微鏡を使用して画像化したときに、励起波長、発光波長、強度、またはその他の特性などによって、それらのシグナルが互いに区別可能である場合に、異なると見なすことができる。
【0180】
各読み取りは、プローブのサブセットの結合パターンを示す、試料の画像を生成する。いくつかの実施形態において、この方法は、少なくとも2つの画像を分析すること、比較すること、または重ね合わせることをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、この方法は、全ての画像を重ね合わせて、全ての捕捉剤の試料への結合パターンを示す画像を生成することをさらに含む。使用される画像解析モジュールは、各蛍光体からのシグナルを変換して、複数の偽色画像を生成してもよい。画像解析モジュールは、多重化された偽色画像を得るために、複数の偽色画像を重ね合わせる(例えば、各画素に偽色を重ね合わせる)ことができる。例えば、特定の捕捉剤の結合を特徴とする目的の生物学的特徴を表すために、複数の画像(例えば、重み付けされていない、または重み付けされた)を単一の偽色に変換してもよい。ユーザからの手動入力に基づいて、偽色を特定の捕捉剤または捕捉剤の組み合わせに割り当てることができる。特定の態様では、画像は、核コンパートメント内など、目的の特徴に関連する標識の強度のみに関連する偽色を含んでもよい。画像解析モジュールはさらに、シグナル強度もしくは偽色の強度および/またはコントラストを調整(例えば、正規化)し、畳み込み演算(強度もしくは偽色のぼかしまたはシャープ化など)を実行するように、または画像の質を高めるために任意の他の適切な操作を実行するように、構成されてもよい。画像解析モジュールは、上記の操作のいずれかを実行して、連続した複数の画像から得られた画素を整列させてもよく、および/または連続した複数の画像から得られた画素の強度もしくは偽色をぼかすまたは平滑化してもよい。
【0181】
いくつかの実施形態において、試料の画像は、z方向において異なる焦点面で撮影されてもよい。これらの光学切片は、試料の三次元画像を再構築するために使用することができる。他の方法も知られているが、光学切片は共焦点顕微鏡を用いて撮影されてもよい。画像解析方法は、コンピュータ上で実施することができる。特定の実施形態では、汎用コンピュータは、本明細書に開示されている方法およびプログラムのための機能的配置となるように構成することができる。このようなコンピュータのハードウェアアーキテクチャは、当業者に周知であり、1つまたは複数のプロセッサ(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、内部または外部のデータ記憶媒体(例えば、ハードディスクドライブ)を含むハードウェア構成要素を含むことができる。コンピュータシステムは、グラフィック情報を処理して表示手段に出力するために、1つまたは複数のグラフィックボードを含むこともできる。上記の構成要素は、コンピュータ内部のバスを介して適切に相互接続することができる。コンピュータは、モニター、キーボード、マウス、ネットワークなどの汎用外部構成要素と通信するための適切なインターフェースをさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、コンピュータは、並列処理が可能であってもよく、または本方法およびプログラムの処理能力を高めるために、並列もしくは分散コンピューティング用に構成されたネットワークの一部とすることができる。いくつかの実施形態において、記憶媒体から読み出されたプログラムコードは、コンピュータに挿入された拡張ボードに備わるメモリ、またはそのコンピュータに接続された拡張ユニットに書き込むことができ、そして、拡張ボードもしくは拡張ユニットに備わるCPUなどは、以下に記載の機能を達成するために、プログラムコードの指示に従って実際に操作の一部または全てを実行する。他の実施形態では、この方法は、クラウドコンピューティングシステムを使用して実行することができる。これらの実施形態では、データファイルおよびプログラミングをクラウドコンピュータにエクスポートすることができ、クラウドコンピュータはプログラムを実行し、出力をユーザに返す。
【0182】
不活化および除去
標識は、不活化または除去することができる。不活化または除去は、不活化または除去ステップがない場合と比べてより多くの複数の目的の生物学的特徴を検出することができるように、本方法の多重化を可能にすることができる。
【0183】
試料を読み取った後、本方法は、増幅されたオリゴヌクレオチドに関連付けられた(すなわち、ハイブリダイズした)標識を不活化または除去し、複数の捕捉剤およびそれらに関連付けられたオリゴヌクレオチドを依然として試料に結合させたままにすることを含み得る。試料に関連している標識は、限定されないが、変性(その場合、標識、およびプローブ全体が放出され得、洗い流され得る)、プローブ中の結合を切断することによる(その場合、標識、およびプローブの一部が放出され得、洗い流され得る)、プローブとプローブがハイブリダイズしている増殖されたオリゴヌクレオチドの両方を切断することによる(フラグメントが放出され、洗い流され得るように)、プローブと標識との間の結合を切断することによる(その場合、標識が放出され得、洗い流され得、洗い流され得る)、制限酵素を使用すること等によって増幅されたオリゴヌクレオチドを切断することによる(その場合、増幅されたオリゴヌクレオチドおよび標識プローブが洗い流され得る)、または標識自体を不活化することによる(例えば、標識内の結合を切断し、それによって標識からのシグナル生成を阻止することによる、またはシグナルの検出を阻止するために標識にクエンチャーを導入することによる)等の様々な方法によって除去または不活化されてもよい。提供されるような許容可能な除去方法では、他の抗体(例えば、まだ検出されていない目的の生物学的特徴に結合した抗体)に付着しているハイブリダイズしていない増幅されたオリゴヌクレオチドは、無傷であり、次のサイクルで使用される標識プローブのセットにハイブリダイズされる。いくつかの実施形態において、蛍光は、光ベースの漂白により、過酸化物にベースの漂白により、または切断可能なリンカーを介してヌクレオチドに結合された蛍光体を(例えば、切断試薬としてTCEPを使用して)切断することにより、不活化されてもよい。
【0184】
いくつかの実施形態において、除去ステップは、変性によって試料からハイブリダイズしたプローブを除去し、他の捕捉剤(すなわち、プローブにハイブリダイズしていない捕捉剤)およびそれらに関連付けられたオリゴヌクレオチドを依然として試料に結合させておくことによって、実施される。他の実施形態では、除去ステップは、変性によって試料からハイブリダイズしたプローブを除去し、他の捕捉剤(すなわち、プローブにハイブリダイズしていない捕捉剤)およびそれらに関連付けられたオリゴヌクレオチドを依然として試料に結合させておくことによって、実施されない。これらの実施形態では、標識は、試料に関連付けられたプローブ中の少なくとも1つの結合、またはプローブを標識に連結するリンカーを切断し、それにより、プローブから標識を放出させることにより、除去されてもよい。この切断は、酵素的に、化学的に、または光への暴露を介して行うことができる。代替的には、標識は、フォトブリーチにより、または標識を化学的に改変することにより、不活化され得る。
【0185】
除去ステップが、変性によって試料からハイブリダイズしたプローブを除去することによって行われない場合、様々な化学的方法、酵素触媒的方法、または光誘導的切断方法が使用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、プローブは、化学物質または光への曝露によってそれらが断片化され得るように、化学的にまたは光により切断可能な結合を含み得る。いくつかの実施形態において、二本鎖(それらが二重鎖であるため)は、例えば、制限酵素または二本鎖DNA特異的エンドヌクレアーゼ(フラグメント化酵素)によって切断され得る。いくつかの実施形態において、プローブはウラシル(これはUSERによって切断され得る)を含んでもよく、またはミスマッチ特異的エンドヌクレアーゼを使用して切断され得るミスマッチを含むヘアピンを含んでもよい。これらの実施形態のいくつかにおいて、切断後、標識を含むプローブのフラグメントのTmは、オリゴヌクレオチドと塩基対合を維持するには十分に高くない可能性があり、そのためフラグメントはオリゴヌクレオチドから解離し得る。いくつかの実施形態において、プローブおよび標識は、光により切断可能なまたは化学的に切断可能なリンカーによって連結されてもよい。このリンカーを切断すると、試料から標識を放出することができる。他の実施形態では、プローブはRNAであってもよく、プローブは、RNAseを用いて分解することができる。いくつかの実施形態において、酵素的に切断可能な結合を使用することができる。例えば、エステルは、エステラーゼによって切断することができ、グリカンはグリカーゼによって切断することができる。代替的には、標識を修飾することによって標識自体を不活化してもよい。一例では、色素はフォトブリーチされてもよいが、他の方法も知られている。
【0186】
いくつかの実施形態において、試料を読み取った後、本方法は、(e)変性によって(すなわち、標識プローブをオリゴヌクレオチドから非アニーリングして、それらを洗い流すことによって)試料からステップ(c)でハイブリダイズしたプローブを除去し、一方で、(b)の捕捉剤およびそれらに関連付けられたオリゴヌクレオチドを依然として試料に結合させたままにすること、を含んでもよい。このステップは、任意の好適な化学変性剤、例えば、ホルムアミド、DMSO、尿素、またはカオトロピック剤(例えば、塩化グアニジニウムなど)を用いて、足掛かり(toehold)放出戦略を用いて(例えば、Kennedy-Darling、Chembiochem.2014 15:2353-2356を参照されたい)、または熱、塩基、トポイソメラーゼ、もしくは一本鎖結合剤(例えば、SSBP)を用いて、実施されてもよい。このステップはまた、より高い親和性を有するオリゴヌクレオチド(例えば、PNA)のハイブリダイゼーションによっても達成され得る。いくつかの場合において、プローブは、試料を70%~90%のホルムアミド(例えば、75%~85%のホルムアミド)中で少なくとも1分間(例えば、1~5分間)インキュベートし、その後、洗浄することによって、除去されてもよい。必要ならば、この変性ステップを繰り返して、ハイブリダイズしたプローブの全てが除去されてもよい。明らかなように、このステップは酵素的には実施されず、すなわち、このステップは、DNAseまたは制限酵素のようなヌクレアーゼを使用せず、また、例えば、プローブまたはオリゴヌクレオチドのいずれにおいても、いかなる共有結合の切断ももたらさず、または試料からいかなる捕捉剤の除去ももたらさない。このステップにおいて、プローブ/オリゴヌクレオチド二本鎖の鎖は互いに分離され(すなわち、変性され)、そして今や溶液中で遊離している分離されたプローブは洗い流され、捕捉剤およびそれらに関連付けられたオリゴヌクレオチドは依然として無傷であり、かつ適切な場所にある。
【0187】
切断可能な結合が使用される場合(例えば、プローブ中、またはプローブを標識に連結するため)、切断可能なリンカーは、抗体に結合したオリゴヌクレオチド中の結合を破壊することなく、刺激(例えば、光またはその環境の変化)を使用して選択的に切断され得るべきである。いくつかの実施形態において、切断可能な結合は、還元剤(例えば、β-メルカプトエタノールなど)を使用して容易に切断され得るジスルフィド結合であり得る。使用されてもよい好適な切断可能な結合としては、以下:塩基切断可能部位、例えば、エステル、特に、コハク酸エステル(例えば、アンモニアまたはトリメチルアミンによって切断可能)、四級アンモニウム塩(例えば、ジイソプロピルアミンによって切断可能)およびウレタン(水酸化ナトリウム水溶液によって切断可能);酸切断可能部位、例えば、ベンジルアルコール誘導体(トリフルオロ酢酸を使用して切断可能)、テイコプラニンアグリコン(トリフルオロ酢酸、続いて、塩基によって切断可能)、アセタールおよびチオアセタール(トリフルオロ酢酸によっても切断可能)、チオエーテル(例えば、HFまたはクレゾールによって切断可能)、およびスルホニル(トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、チオアニソールなどによって切断可能);求核剤切断可能部位、例えば、フタルアミド(置換ヒドラジンによって切断可能)、エステル(例えば、三塩化アルミニウムによって切断可能);ならびにワインレブアミド(水素化アルミニウムリチウムによって切断可能);ならびにホスホロチオエート(銀または水銀イオンによって切断可能)およびジイソプロピルジアルコキシシリル(フッ化物イオンによって切断可能)を含む他の種類の化学的に切断可能な部位、が挙げられるが、これらに限定されない。他の切断可能な結合は、当業者に明らかであるか、または関連する文献およびテキストに記載されている(例えば、Brown(1997)Contemporary Organic Synthesis 4(3);216-237)。いくつかの実施形態において、切断可能な結合は、酵素によって切断されてもよい。
【0188】
特定の実施形態では、光切断可能な(「PC」)リンカー(例えば、UV切断可能なリンカー)が使用されてもよい。使用に好適な光切断可能なリンカーは、Guillierら(Chem Rev.2000 Jun14;100(6):2091-158)に記載されているような、オルト-ニトロベンジル系リンカー、フェナシルリンカー、アルコキシベンゾインリンカー、クロムアレーン錯体リンカー、NpSSMpactリンカー、およびピバロイルグリコールリンカーを含み得る。本方法で使用することができる例示的な連結基は、上記のGuillierらおよびOlejnikら(Methods in Enzymology 1998 291:135-154)に記載され、USPN6,027,890;Olejnik et al.(Proc.Natl.Acad Sci,92:7590-94);Ogata et al.(Anal.Chem.2002 74:4702-4708);Bai et al.(Nucl.Acids Res.2004 32:535-541);Zhao et al.(Anal.Chem.2002 74:4259-4268);およびSanford et al.(Chem Mater.1998 10:1510-20)にさらに記載されており、Ambergen(Boston、MA;NHS-PC-LC-Biotin)、Link Technologies(Bellshill、Scotland)、Fisher Scientific(Pittsburgh、PA)およびCalbiochem-Novabiochem Corp.(La Jolla、CA)から購入可能である。
【0189】
反復法
本明細書の方法は、繰り返されるステップを含むことができる。場合によっては、これは本方法の繰り返しステップを含むことができる。これは、ステップを繰り返すことなく達成され得るよりも多く複数の目的の生物学的特徴を検出することを可能にすることができる。
【0190】
プローブを除去した後、試料は、増幅されたオリゴヌクレオチドの異なるサブセットに結合することができる標識プローブの異なるサブセット(例えば、複数のプローブが識別可能に標識されている場合、2~4個の標識プローブの第2のサブセット)とハイブリダイズされてもよく、また、試料は、最も直近にハイブリダイズしたプローブのサブセットのそれぞれについて結合パターンを示す画像を生成するために再度読み取られてもよい。このようにして、試料を読み取る異なる反復において、異なる目的の生物学的特徴を検出することができる。試料が読み取られた後、プローブは、例えば、変性または他の方法(上記のような)によって試料から除去されてもよく、ハイブリダイゼーションおよび読み取りステップは、増幅されたオリゴヌクレオチドの別の異なるサブセットに結合することができる識別可能に標識されたプローブの別の異なるセットを用いて繰り返されてもよい。言い換えれば、この方法は、2~4個の標識された核酸プローブの異なるサブセットを用いて、ハイブリダイゼーションステップ、標識除去または不活化ステップ、および読み取りステップを複数回繰り返して、試料の複数の画像を生成することを含んでもよく、ここで、各サブセット中のプローブは識別可能に標識されており、各繰り返しの後には、例えば、変性または別の方法によりプローブの除去が続き(最後の繰り返しを除く)、各画像は、標識された核酸プローブのサブセットに対応する。ハイブリダイゼーション/読み取り/標識除去または不活化のステップは、全ての目的の生物学的特徴が分析されるまで繰り返すことができる。
【0191】
使用されるヌクレオチド配列は、非特異的吸着に由来する、または内因性ゲノム配列(RNAまたはDNA)への結合によるバックグラウンド染色を最小にするために選択され得る。同様に、ハイブリダイゼーションおよび洗浄用の緩衝液は、非特異的吸着に由来するか、または内因性ゲノム配列(RNAまたはDNA)への結合もしくは他のレポーター配列への結合を通してのいずれかによるバックグラウンド染色を最小にするために設計されてもよい。
【0192】
上記の標識方法に加えて、上記の方法を実施する前または後に、細胞学的染色を使用して試料を染色してもよい。これらの実施形態では、染色は、例えば、ファロイジン、ガドジアミド、アクリジンオレンジ、ビスマルクブラウン、バーミン、クマシーブルー、ブレシルバイオレット、ブリスタルバイオレット、DAPI、ヘマトキシリン、エオシン、臭化エチジウム、酸性フクシン、ヘマトキシリン、ヘキスト染色、ヨウ素、マラカイトグリーン、メチルグリーン、メチレンブルー、中性赤、ナイルブルー、ナイルレッド、四酸化オスミウム(osmium tetroxide)(正式名称:osmium tetraoxide)、ローダミン、サフラニン、リンタングステン酸、四酸化オスミウム、四酸化ルテニウム、モリブデン酸アンモニウム、ヨウ化カドミウム、カルボヒドラジド、塩化第二鉄、ヘキサミン、三塩化インジウム、硝酸ランタン、酢酸鉛、クエン酸鉛、硝酸鉛(II)、過ヨウ素酸、リンモリブデン酸、フェリシアン化カリウム、フェロシアン化カリウム、ルテニウムレッド、硝酸銀、プロテイン酸銀、塩化金(III)酸ナトリウム、硝酸タリウム、チオセミカルバジド、酢酸ウラニル、硝酸ウラニル、硫酸バナジル、またはそれらの任意の誘導体であってもよい。染色は、目的とする任意の特徴、例えば、単一のタンパク質、または複数のタンパク質のクラス、リン脂質、DNA(例えば、二本鎖DNA、一本鎖DNA)、RNA、細胞内小器官(例えば、細胞膜、ミトコンドリア、小胞体、ゴルジ体、核エンベロープ等)、細胞コンパートメント(例えば、細胞質ゾル、核分画等)について特異的であってもよい。染色は、細胞内または細胞外構造のコントラストまたはイメージングを向上してもよい。いくつかの実施形態において、試料をヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色してもよい。
【0193】
キット
本開示により、上記のように本方法を実施するための試薬を含むキットも提供される。
【0194】
キットは、オリゴヌクレオチドに結合した2つ以上の捕捉剤を含むことができる。キットは、それぞれの異なる捕捉剤が異なるオリゴヌクレオチドに結合するように構成することができる。場合によっては、捕捉剤をオリゴヌクレオチドに事前に結合させることができる。場合によっては、捕捉剤は、オリゴヌクレオチドとは別にパッケージ化することができ、例えば、キットは、捕捉剤をオリゴヌクレオチドに連結するための説明書を含む。場合によっては、キットは、捕捉剤をオリゴヌクレオチドに結合するための1つまたは複数の試薬を含むことができる。
【0195】
キットは、環状核酸プライマーを含むことができる。キットは、それぞれの異なるオリゴヌクレオチドが異なる環状核酸プライマーに対応するように構成することができる。環状核酸プライマーは、結合させるか、または事前に環状化することができる。場合によっては、環状核酸プライマーは線状(例えば、パドロックプローブ)であり得る。そのような場合、キットは、例えばオリゴヌクレオチドへの結合後、核酸プライマーを環状化するための説明書を含むことができる。いくつかのそのような場合、キットは、環状核酸プライマーを連結するための、リガーゼ、緩衝液、または他の試薬等の試薬を含むことができる。
【0196】
キットは、捕捉剤を試料に架橋するための試薬を含むことができる。場合によっては、そのようなキットは、パラホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド、メタノール、エタノール、アセトン、それらの組み合わせ、または捕捉剤を試料に架橋することができる別の化学物質を含むことができる。場合によっては、試薬は、例えば、架橋緩衝液として、事前に混合することができる。場合によっては、試薬は別々であってもよく、(例えば、架橋緩衝液を作成するために)一緒に混合するための説明書を伴う。場合によっては、例えば試薬が一般的に入手可能である場合、キットは試薬を提供しなくてもよいが、捕捉剤を試料に架橋するために、架橋緩衝液を作成してそれを使用するための説明書を提供することができる。
【0197】
キットは、ローリングサークル増幅反応を実行するための試薬を含むことができる。そのような試薬は、例えば、BSA、ポリメラーゼ(例えば、Phi29ポリメラーゼ、または本明細書に記載されるもの等の別のポリメラーゼ)、dNTP、および/またはポリメラーゼに適切な反応緩衝液であり得る。場合によっては、キットは、ローリングサークル増幅を実行するための説明書を追加的に含むことができる。
【0198】
キットは、それぞれが標識を含むプローブを含むことができる。キットは、それぞれの異なるオリゴヌクレオチドが異なるプローブに対応できるように構成することができる。プローブは、例えば、本明細書に記載のリンカーによって、標識に結合させることができる。場合によっては、プローブを標識に事前に結合させることができる。場合によっては、プローブは、標識とは別にパッケージ化することができ、例えば、キットは、標識をプローブに結合させるための説明書を含む。
【0199】
キットは、結合した標識プローブを用いて試料を画像化するための説明書を含むことができる。場合によっては、そのようなキットは、イメージングプロトコルの多重化を可能にする説明書および/または試薬を含むことができる。例えば、キットは、プローブまたは標識を化学的に除去、不活化、クエンチ、切断、または脱ハイブリダイズするための説明書および/または試薬を含むことができる。
【0200】
上記の構成要素に加えて、キットは、本方法を実施するためにキットの構成要素を使用するための説明書、すなわち、試料分析のための説明書をさらに含み得る。本発明の方法を実施するための説明書は、一般に、適切な記録媒体に記録される。例えば、説明書は、紙またはプラスチックなどの基材上に印刷されてもよい。そのようなものとして、説明書は、添付文書としてキット中に、キットの容器またはその構成要素(すなわち、包装または副包装に関連する)の標識中などに存在し得る。他の実施形態では、説明書は、CD-ROM、ディスケットなどの適切なコンピュータ可読記憶媒体上に存在する、電子記憶データファイルとして存在する。さらに他の実施形態では、実際の説明書はキット中に存在しないが、例えば、インターネットを介してリモートソースから説明書を取得するための手段が提供される。この実施形態の一例は、説明書を閲覧することができ、かつ/または説明書をダウンロードすることができるウェブアドレスを含むキットであり得る。説明書と同様に、説明書を得るためのこの手段は、適切な基材上に記録される。
【0201】
コンピュータシステム
本開示は、本開示の方法を実施するようにプログラムされたコンピュータシステムを提供する。図3は、本明細書に記載の方法を実行するようにプログラムされたまたは別様に構成されたコンピュータシステム301を示している。コンピュータシステム301は、例えば、1)本明細書に記載の捕捉剤にコンジュゲートされた複数のオリゴヌクレオチドを含む溶液、2)洗浄緩衝液、3)固定剤、4)環状核酸プライマー、および5)RCA反応を実行するための試薬、またはこれらの成分の任意のサブセットの試料への送達を制御するように構成することができる。コンピュータシステム301は、例えば、送達される捕捉剤の量、捕捉剤のインキュベーションの期間、洗浄の長さおよびタイミング、送達される固定剤の量、固定剤のインキュベーションの期間、送達される環状核酸プライマーの量、環状核酸のハイブリダイゼーション、サイクルのタイミング、温度等を含むPCR増幅プロトコル、送達されるプローブの量、プローブインキュベーションの期間、ならびに/またはイメージング機器および/もしくはソフトウェアの制御を含むプローブの検出等の、本開示の方法の様々な側面を調節することができる、コンピュータシステム301は、ユーザの電子デバイス、または電子デバイスに対して遠隔に配置するコンピュータシステムであり得る。電子デバイスは、モバイル電子デバイスであり得る。
【0202】
コンピュータシステム301は、中央処理装置(CPU、本明細書では「プロセッサ」および「コンピュータプロセッサ」とも称される)305を含み、これは、シングルコアもしくはマルチコアプロセッサ、または並列処理のための複数のプロセッサであり得る。コンピュータシステム301はまた、メモリまたはメモリ位置310(例えば、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶装置315(例えば、ハードディスク)、1つまたは複数の他のシステムと通信するための通信インターフェース320(例えば、ネットワークアダプタ)、ならびにキャッシュ、他のメモリ、データストレージおよび/または電子ディスプレイアダプタ等の周辺機器325を含む。メモリ310、記憶装置315、インターフェース320、および周辺機器325は、マザーボード等の通信バス(実線)を介してCPU305と通信している。記憶装置315は、データを格納するためのデータ記憶装置(またはデータリポジトリ)であり得る。コンピュータシステム301は、通信インターフェース320の助けを借りてコンピュータネットワーク(「ネットワーク」)330に動作可能に連結することができる。ネットワーク330は、インターネット、インターネットおよび/もしくはエクストラネット、またはインターネットと通信しているイントラネットおよび/もしくはエクストラネットであり得る。ネットワーク330は、場合によっては、電気通信および/またはデータネットワークである。ネットワーク330は、クラウドコンピューティング等の分散コンピューティングを可能にすることができる1つまたは複数のコンピュータサーバを含むことができる。ネットワーク330は、場合によってはコンピュータシステム301の助けを借りて、ピアツーピアネットワークを実装することができ、これにより、コンピュータシステム301に連結されたデバイスがクライアントまたはサーバとして動作することが可能になり得る。
【0203】
CPU305は、プログラムまたはソフトウェアで具体化することができる一連の機械可読命令を実行することができる。命令は、メモリ310等のメモリ位置に格納することができる。命令は、CPU305に向けることができ、CPU305は、その後、本開示の方法を実装するようにCPU305をプログラムするかまたは別様に構成することができる。CPU305によって実行される操作の例は、フェッチ、デコード、実行、およびライトバックを含み得る。
【0204】
CPU305は、集積回路等の回路の一部であり得る。システム301の他の1つまたは複数のコンポーネントを回路に含めることができる。場合によっては、この回路は特定用途向け集積回路(ASIC)である。
【0205】
記憶装置315は、ドライバ、ライブラリー、および保存されたプログラム等のファイルを格納することができる。記憶装置315は、ユーザデータ、例えば、ユーザプリファレンスおよびユーザプログラムを格納することができる。コンピュータシステム301は、場合によっては、例えば、イントラネットまたはインターネットを介してコンピュータシステム301と通信しているリモートサーバー上に位置する、コンピュータシステム301の外部にある1つまたは複数の追加のデータ記憶装置を含むことができる。
【0206】
コンピュータシステム301は、ネットワーク330を介して1つまたは複数のリモートコンピュータシステムと通信することができる。例えば、コンピュータシステム301は、ユーザのリモートコンピュータシステムと通信することができる。リモートコンピュータシステムの例として、パーソナルコンピュータ(例えば、ポータブルPC)、スレートまたはタブレットPC(例えば、Apple(登録商標)iPad、Samsung(登録商標)GalaxyTab)、電話、スマートフォン(例えば、Apple(登録商標)iPhone、Android対応デバイス、Blackberry(登録商標))、またはパーソナルデジタルアシスタントが挙げられる。ユーザは、ネットワーク330を介してコンピュータシステム301にアクセスすることができる。
【0207】
本明細書に記載の方法は、例えば、メモリ310または電子記憶装置315等の、コンピュータシステム301の電子記憶位置に格納された機械(例えば、コンピュータプロセッサ)実行可能コードによって実装することができる。機械実行可能コードまたは機械可読コードは、ソフトウェアの形態で提供され得る。使用中、コードはプロセッサ305によって実行され得る。場合によっては、プロセッサ305が容易にアクセスできるように、コードは、記憶装置315から読み出され、メモリ310に格納され得る。状況によっては、電子記憶装置315が排除されてもよく、機械実行可能命令がメモリ310に格納される。
【0208】
コードは、コードを実行するように適合されたプロセッサを有する機械とともに使用するために事前にコンパイルおよび構成され得るか、またはランタイムの間にコンパイルされ得る。コードは、コードが事前にコンパイルされた様式またはその場でコンパイルされる様式で実行することを可能にするように選択され得るプログラミング言語で供給され得る。
【0209】
コンピュータシステム301等の、本明細書で提供されるシステムおよび方法の態様は、プログラミングにおいて具体化することができる。本技術の様々な態様は、典型的には、ある種の機械可読媒体において行われるまたは具体化される機械(またはプロセッサ)実行可能コードおよび/または関連データの形態の「製品」または「製造品」であると考えることができる。機械実行可能コードは、メモリ(例えば、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)またはハードディスク等の電子記憶装置に格納することができる。「記憶」型媒体は、ソフトウェアプログラミングのいかなる時点においても非一時的な記憶を提供し得る、様々な半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブ等の、コンピュータ、プロセッサ等の有形メモリまたはその関連モジュールのいずれかまたは全てを含むことができる。ソフトウェアの全部または一部は、時には、インターネットまたは他の様々な電気通信ネットワークを介して通信される場合がある。そのような通信は、例えば、あるコンピュータまたはプロセッサから別のコンピュータまたはプロセッサへの、例えば、管理サーバまたはホストコンピュータからアプリケーションサーバのコンピュータプラットフォームへのソフトウェアのローディングを可能にし得る。したがって、ソフトウェア要素を保持し得る別の種類の媒体は、例えば、有線および光地上通信ネットワークを介して、ならびに様々なエアリンクにわたって、ローカルデバイス間の物理インターフェースにわたって使用される、光波、電波および電磁波を含む。有線または無線リンク、光リンク等の、そのような波を運ぶ物理的要素も、ソフトウェアを搭載した媒体であると見なされ得る。本明細書で使用される場合、非一時的な、有形の「記憶」媒体に限定されない限り、コンピュータまたは機械の「可読媒体」等の用語は、実行のためにプロセッサに命令を提供することに関与する任意の媒体を指す。
【0210】
したがって、コンピュータ実行可能コード等の機械可読媒体は、有形記憶媒体、搬送波媒体、または物理的伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態をとることができる。不揮発性記憶媒体は、例えば、図面に示されるデータベース等を実装するために使用され得る、任意のコンピュータ(複数可)等における記憶デバイスのいずれか等の、光ディスクまたは磁気ディスクを含む。揮発性記憶媒体は、そのようなコンピュータプラットフォームのメインメモリ等の動的メモリを含む。有形伝送媒体は、コンピュータシステム内にバスを含むワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線および光ファイバを含む。搬送波伝送媒体は、電気信号もしくは電磁信号、または無線周波数(RF)および赤外線(IR)データ通信中に生成されるような音波または光波の形をとることができる。したがって、コンピュータ可読媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、DVDもしくはDVD-ROM、任意の他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有する任意の他の物理記憶媒体、RAM、ROM、PROMおよびEPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップもしくはカートリッジ、データもしくは命令を転送する搬送波、そのような搬送波を転送するケーブルもしくはリンク、またはコンピュータがプログラミングコードおよび/もしくはデータを読み取ることができる任意の他の媒体を含む。これらの形態のコンピュータ可読媒体の多くは、実行のために1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスをプロセッサに運ぶことに関与し得る。
【0211】
コンピュータシステム301は、例えば、本明細書に記載の方法を実行するための命令、方法の様々なステップのユーザ制御、または収集された画像の分析を提供するためのユーザインターフェース(UI)340を含む電子表示部1135を含むことができるか、またはそれと通信し得る。UIの例は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)およびWebベースのユーザインターフェースを非限定的に含む。
【0212】
本開示の方法およびシステムは、1つまたは複数のアルゴリズムによって実装することができる。アルゴリズムは、中央処理装置305による実行時にソフトウェアによって実装することができる。アルゴリズムは、例えば、本明細書に記載の方法の制御、オリゴヌクレオチド/環状核酸プライマー/プローブセットの作成、または収集された画像および/もしくはデータの分析を行うことができる。
【実施例
【0213】
実施例1:新鮮凍結組織での増幅
ヒト新鮮凍結扁桃組織をスライドに適用し、アセトンで固定した。組織を水和し、緩衝液A(10mM Trisおよび.5、10mM MgCl2、150mM NaCl、0.1%Triton×100)で洗浄した。次に、組織試料を1.6%パラホルムアルデヒドで固定し、再度緩衝液Aで洗浄した。組織を、緩衝液A中で、CD45-BX001(CD45に特異的)、CD4-BX002(CD4に特異的)、およびCD2-BX021(CD2に特異的)と表されるバーコード(BXと略される)を含むオリゴヌクレオチドに結合した抗体とともに3時間XX分の間インキュベートした。各オリゴヌクレオチドは、表1に示すバーコード配列を含んでいた。
【表1】
【0214】
次に、試料を緩衝液AでXX回、それぞれXX分間洗浄して過剰な抗体を除去し、1.6%冷パラホルムアルデヒド、冷メタノール、およびBS3で抗体を試料上に固定した。スライドは増幅ステップまで4℃に維持した。
【0215】
次に、オリゴヌクレオチドを、環状核酸プローブとして機能するパドロックプローブと接触させた。パドロックプローブの配列を表2に示す。
【表2】
【0216】
パドロックプローブの5’末端のアミノ酸は、バーコード配列の一部の逆相補体に相補的であるように設計され、一方、パドロックプローブの3’末端のアミノ酸は、バーコード配列の3’末端の一部の補体に相補的であるように設計された。このようにして、パドロックプローブがバーコード配列に接触すると、塩基対結合が起こり、その結果、パドロックプローブがバーコード配列に環状に結合した。
【0217】
オリゴヌクレオチドに結合したパドロックプローブがライゲーションされて環状になるように、ライゲーション緩衝液中の試料でパドロックプローブをインキュベートした。ライゲーション緩衝液は、T4 DNAリガーゼ(ライゲーション酵素)およびサケ精子DNA(ブロッキング用)を追加的に含んでいた。ライゲーション緩衝液のレシピは表3に見ることができる。
【表3】
【0218】
次に、試料をPBSで洗浄して、DNAリガーゼ、プローブ、およびサケ精子DNAを除去した。
【0219】
次に、オリゴヌクレオチドを増幅するためにRCA反応を行った。バーコードを増幅緩衝液中のPhi29ポリメラーゼとともに37℃で1時間インキュベートした。増幅緩衝液のレシピは表4に見ることができる。
【表4】
【0220】
試料を洗浄し、20%DMSO中で10分間インキュベートした後、標識プローブとともに5分間インキュベートした。次に、試料を20%DMSOで洗浄した後、1XAC1で洗浄し、蛍光顕微鏡を使用して画像化した。使用したバーコードに特異的な標識プローブの配列を表5に示す。
【表5】
【0221】
プローブしたヒト新鮮凍結扁桃組織から得られた画像を図4に提供する。パネルAは、CD45-BX001(露光時間-50ms)およびCD4-BX021(露光時間20ms)を示す。パネルBはパネルAの拡大部分を示す。パネルCはCD2-BX002(露光時間20ms)を示す。パネルDは、パネルCの拡大部分を示す。
【0222】
実施例2:オリゴヌクレオチドの設計
パイプラインを使用して、オリゴヌクレオチドのローリングサークル増幅用のパドロックプローブを作成した。
【0223】
ランダムな42merオリゴヌクレオチドを生成し、GC含量(36%≦GC%≦55%)、T(66℃≦T≦72℃)、テトラマー、およびホモポリマーについてフィルタリングした。PythonおよびBiopythonを、42merの生成およびフィルタリングに使用した。
【0224】
バーコードの5mer、6mer、7mer、および8merオリゴヌクレオチドのカウントテーブルは、Perlを使用して生成した。カウントの高い配列は、Kmerを使用して除外した。
【0225】
NCBI-Blastソフトウェアを使用して、バーコードを42merオリゴヌクレオチドに対してブラストし、42merオリゴヌクレオチドを、ヒトゲノム、ヒト転写物、ヒトrDNA、マウスゲノム、マウス転写物、およびマウスrDNAに対してブラストした。
【0226】
この時点で、96個の使用中のバーコードがあった。これらの96個のバーコードを熱力学的中間点に従って分割し、Pythonを使用して「粘着末端」配列を作成した。表6は、このアプローチを使用して生成されたシーケンスを示す。
【表6-1】

【表6-2】
【0227】
実施例3:FFPE組織でのローリングサークル増幅
ヒトFFPE扁桃組織をスライド上に調製し、脱脂し、染色に備えてTris/EDTA緩衝液中で標準的な抗原賦活化プロトコルに供した。
【0228】
次に、試料をCD31(標識CX001)およびCD3(標識CX002)に対する抗体とともにインキュベートし、抗体をオリゴヌクレオチドに結合させた。試料/抗体/オリゴヌクレオチド複合体を、オリゴヌクレオチドに対応するパドロックプローブとともに37℃で2時間インキュベートした。このステップのライゲーション緩衝液は、表3に記載したものと同じである。
【0229】
CX001およびCX002を、対応するパドロックプローブとともに37℃で30分間ライゲーションのためにインキュベートした。パドロックプローブは、ローリングサークル増幅ステップの後に、標識プローブがパドロックプローブと同じ配列に結合するように設計した。
【0230】
次に、パドロックプローブにライゲーションされた抗体を組織上で2時間インキュベートした。このステップの緩衝液は、表2に記載したものと同じである。
【0231】
組織試料をPBSで洗浄し、ローリングサークル増幅を行った。増幅緩衝液中のPhi29ポリメラーゼとともに37℃で1時間インキュベートした。増幅緩衝液のレシピは表4に見ることができる。
【0232】
組織試料をPBSで洗浄し、1.6%パラホルムアルデヒド、冷MeOH、およびBS3とともにインキュベートして抗体を組織に架橋させた後、PBSで再度洗浄した。組織試料は、画像化まで4℃で保存した。
【0233】
組織試料を洗浄し、20%DMSOで10分間インキュベートした。次に、組織試料を標識プローブとともに5分間インキュベートした後、20%DMSOで洗浄し、1XAC1で洗浄し、蛍光顕微鏡を使用して画像化した。ハイブリダイゼーションに使用したレポーターは、AlexaFluor-750-RX001、Atto550-RX002であった。
【0234】
明確な組織プロトコルを使用して、除去のために標識プローブをデハイブリダイズし、組織試料を再び蛍光顕微鏡を使用して画像化して、標識プローブの除去を確認した。
【0235】
この実験からのオリゴヌクレオチドに結合した抗体で染色されたヒトFFPE扁桃組織の画像を図5に示す。パネルAおよびBは、CD31-CX001(露光時間-50ms)およびCD3-CX002(露光時間20ms)を示す。パネルCは、デハイブリダイゼーションによって標識プローブを除去した後の組織試料を示す。パネルDおよびEは、それぞれ、パネルAおよびBの拡大領域を示す。
【0236】
実施例4:RCAベースの増幅戦略
オリゴヌクレオチドタグ付き抗体(例えば、CODEX抗体)をRCAベースの戦略に使用して、使用される3つ全ての蛍光チャネル(FAM、Cy3、およびCy5)について、標準的なCODEX技術と比較して色素タグ付きオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションによって測定した場合に抗体シグナルを20倍増幅することができる。
【0237】
Phi29ポリメラーゼを使用したcDNAの等温増幅は、反復オリゴヌクレオチド配列のコピーを作成する効率的な方法であり得る。反復配列は、抗体コンジュゲーション部位ごとにCODEXタグ付き色素の複数の結合部位を作成することにより、各CODEXタグ付き抗体に関連するシグナルを増加させることができる。例えば、抗ヒトCD3(クローン:UCHT1)、抗ヒトCD19(クローン:HIB19)、および抗ヒトCD31(クローン:WM59)等の抗体を使用して、標準的なCODEXワークフローを用いて新鮮凍結ヒト扁桃組織を染色することができる。Keyence社のBZ-X700倒立顕微鏡を使用して抗体染色を視覚化することができる。場合によっては、定量化はImageJを使用して評価してもよく、セグメンテーションベースのアルゴリズムの使用を伴い得る。非増幅ハイブリダイゼーション実験(すなわち、本発明のCODEXワークフロー)からの染色データは、セグメンテーション分析から生成され得る統合されたシグナル強度値を使用して、RCAベースの試料から生成されたデータと比較することができる。
【0238】
CODEX検出のためのRCA条件の最適化:本発明の(非RCA)CODEXワークフローには、1)抗体コンジュゲーションおよびパネルの開発、2)CODEXタグ付き抗体による組織染色、ならびに3)CODEX画像取得および流体サイクルが含まれる。抗体とコンジュゲートしたDNA配列の増幅は、抗体染色および組織固定の後、CODEXデータ取得の前に実行すると、効率的であり、かつ実験の複雑さが最小限となり得る。このステップでは、結合した全てのCODEXタグ付き抗体を、パラホルムアルデヒドおよびNHSエステルベースの架橋のいずれかまたは両方を介して組織標本に接着させることができる。したがって、RCAステップを行うための試料の操作は、溶液中でではなく組織表面で行うことができる。
【0239】
RCA方法に関連するパラメータ空間は、cDNAおよびプライマーの熱力学的特性、ポリメラーゼ酵素:基質比、ヌクレオチド濃度、緩衝液組成、塩濃度、ならびにインキュベーション時間および温度を含み得る。出発点として、抗体部分にコンジュゲートしたDNAを増幅するために以前に使用された酵素および緩衝液条件に関連する条件を模倣することができ、一方で、オリゴヌクレオチド配列空間が最適化される。cDNA構造には3つの要素がある:1)抗体とコンジュゲートしたオリゴヌクレオチド(a)への結合部位(a’)、2)CODEXタグ付き色素(b)への結合部位(b’)、3)これらの2つの結合部位の間の配列。CODEXタグ付き色素結合領域のオリゴヌクレオチド特性は、既存のCODEXプラットフォームの開発のために慎重に検討された。これらの配列では、最適化されたCODEXハイブリダイゼーション緩衝液を使用して室温で確実に結合させ、CODEX除去緩衝液の存在下で完全に除去するために、十分な長さおよび関連する熱力学的特性を有することが重要となり得る。これらの配列のセットは、スクリーニング目的でRCAに適合するオリゴヌクレオチドを設計するための配列bおよびb’として使用することができる。配列aおよびa’の設計では、対応して異なる熱力学的特性を有する異なる配列の長さをスクリーニングすることができる。これらのDNA成分の最適な配列特性により、phi29ポリメラーゼを使用した効率的かつ特異的なライゲーションおよび効果的な増幅が得られるはずである。配列が短すぎると、関連するCODEX抗体タグへの結合が非効率的または一時的になり得るため、シグナルの増強が低下するか、まったく見られない可能性がある。
【0240】
ライゲーションは、前述の条件に基づいて行うことができる。ゲル電気泳動で測定した場合に90%を超える再現性のあるライゲーション効率は、成功であると見なすことができる。上記の3つの抗体クローンを使用したRCAベースのCODEXスクリーニング実験の結果を定量化し、標準的なCODEXワークフローから得られた結果と比較することができる。同等の露光時間および他の関連する顕微鏡設定を用いて、シグナル感度の直接比較を可能にすることができる。緩衝液組成、酵素:基質比、およびインキュベーション時間に関連する様々な条件をスクリーニングして、シグナル強度の最適な増強を決定することができる。少なくとも20倍のシグナル強度の増加がもたらされ得る。低レベルマーカーに対する抗体を用いた最適化された条件のスクリーニング:RCAに適合するCODEX条件を開発するために使用される3つの抗体クローンは、ヒト扁桃組織内の豊富な細胞表面マーカーを標的とする。これらの抗体は、本方法が機能していることを確認するための陽性対照として良好に機能する。このシグナル増強の有用性は、より少ないマーカーの測定のためであり得る。この目的のために、これらの最適化された条件は、標準的なCODEX技術を用いて以前に理解しにくいことが証明されていた様々なマーカーの検出に適用することができる。これらのマーカーは、GATA-3、T-bet、CD25、pSTAT1、およびRORγTを含む。これらの各マーカーの精製抗体は、RCAに適合するCODEX配列にコンジュゲートさせることができ、新鮮凍結ヒト扁桃腺、リンパ節、および黒色腫組織を染色するために使用することができる。これらの抗体のいくつかは、関連するマーカー染色を依然として明らかにできない可能性がある。これは、試験組織内での発現の欠如、抗体コンジュゲーションによる抗原結合の喪失、アセトンへの組織の曝露による抗原結合の喪失(CODEX染色プロトコルの一部)、または効果的なシグナル増強の欠如を含む様々な理由が原因であり得る。同じクローンおよび組織試料を使用した対照実験は、これらの説明の一部を排除する手段として、ポリマーで強化された二次抗体による検出を伴う標準的なIFワークフローを用いて実行することができる。これらの実験は、5つのマーカーのうち3つが、少なくとも5の関連するシグナル対ノイズ比でCODEXによって検出可能となった場合に成功したと見なすことができる。
【0241】
実施例5:RCA強化法の検証
タグ付き抗体および関連するオリゴヌクレオチド試薬を使用してRCA強化多重化法(例えば、CODEX)を実行し、色素タグの追加および除去の反復サイクルを使用して完全なパネル(例えば40以上のマーカー)を開発することの実現可能性を実証することができる。各抗体チャネルは、標準的なプラットフォームと比較して20倍に増幅することができ、蛍光シグナルおよび関連するマーカーの既知の染色パターンによって測定したときに試料間のシグナルに重複がない場合がある。
【0242】
CODEX技術は、配列直交型プローブのライブラリーに基づいており、相補的な色素標識タグの追加および除去を制御して、サイクルごとにタグ付き抗体の大きなパネルのサブセットを明らかにする。各プローブ対は、他の配列のシグナルに干渉しない可能性があり、内因性のDNAまたはRNA成分に結合しない。さらに、CODEXプローブ対のライブラリーは、相補的な色素タグの結合および除去が同じ緩衝液のセットで達成できるように、同様の熱力学的特性を有することができる。CODEXタグ付き抗体のライブラリーに対してRCAによるCODEXシグナル増強を実施するために、3つの基準のうち1つまたは複数を提示することができる:1)配列直交型オリゴヌクレオチドセットの設計、2)ハイブリダイゼーション対を促進および解離するための効率的かつ再現可能な条件の最適化、および3)増幅プロセスに供することができない抗体に結合したオリゴヌクレオチドの保護。本開示は、一般に30~40個のマーカーである標準的なCODEX抗体パネルへのRCA増強の使用を記載する。これは、より小さなパネル(例えば、6つのマーカー)で前述の各基準を満たす条件を開発することにより実現することができる。RCA CODEXに適合するプローブセットの完全なライブラリーを作成するためのより大きな開発努力は、この助成金申請の第II部の間に行うことができる。
【0243】
各RCAオリゴヌクレオチドセットは、抗体オリゴヌクレオチドタグへの結合領域(aおよびa’)とCODEXタグ付き色素への結合領域(bおよびb’)の2つの領域からなる。これらの後者の配列(bおよびb’)に必要な特性は、CODEXプラットフォームの本発明の実装に使用されるものと同等であるべきである。aおよびa’について最適な配列長および対応する融解温度を決定することができる。10セットのRCAに適合するCODEX配列は、aおよびb(ならびに伸長によりa’およびb’)の熱力学的特性要件に基づいて、公的に利用可能なランダムDNA配列ジェネレーター(https://www.random.org/sequences/)を使用して設計することができる。RCAに適合する異なるCODEXタグセット間の配列の重複、および内因性のヒトRNAおよびDNA成分との重複は、NCBI PrimerBLAST(www.ncbi.nlm.nih.gov/tools/primer-blast/)を使用してスクリーニングできる。得られたプローブセットのグループを使用して、以前の特定の目的から検証された3つの低レベルマーカーに加えて、スクリーニングおよび最適化実験で使用される豊富なマーカー(CD3、CD19、およびCD31)を標的とする3つの抗体で構成される6つのマーカー抗体パネルを生成することができる。CODEXタグ付き抗体のそれぞれを個別にスクリーニングして、抗体の染色条件および関連する露光時間を最適化することができる。2サイクルのRCA強化CODEX実験は、これらの6つのマーカーを使用して行うことができ、3つの標準的な蛍光チャネル(FAM、Cy3、Cy5)を使用して最初のサイクルでそれらの半分を、同じ蛍光色素を使用して第2のサイクルで半分を明らかにする。CODEXプラットフォームの本発明の実装に基づく標準的なハイブリダイゼーションおよびプローブ除去条件を試験して、CODEXタグ付き色素を効果的に除去できるかどうかを判断することができる。これは、CODEXタグ色素ハイブリダイゼーション後および除去後の染色パターンを画像化することにより測定することができる。陽性染色が測定された蛍光シグナルは、完全に除去することができ、除去を成功させるためのバックグラウンドシグナルと同等である。これらの条件は、増幅がない場合に使用される短いオリゴヌクレオチド配列と比較して、RCA後のDNA構造の違いに対応するように最適化することが可能である。必要に応じて、結合したCODEXタグ付き色素の除去を最適化するために、DMSO濃度、塩濃度および組成、除去緩衝液のインキュベーション時間を含む様々なパラメータをスクリーニングすることができる。bおよびb’の熱力学的特性を変更して、効果的なCODEXタグ色素の除去を促進することができる。これは、緩衝液組成を変更しても効果的なCODEXタグ色素の除去が得られない場合に試験することができる。成功は、各抗体で個々に達成された染色パターンおよびシグナルに対して測定することができ、CODEX実験中にこれらの値の10%以内の偏差で得られたシグナルは許容可能であると見なすことができる。
【0244】
RCA強化CODEX実験の一部の実装では、いくつかの抗体シグナルを増幅することは有用であり得るが、他のシグナルを増幅することは有用ではない場合がある。これは、存在量および/または抗体結合効果のレベルに大きな違いがあるマーカーを同時に測定する場合に当てはまる可能性がある。これらの場合、非常に高レベルのマーカーのシグナルを増幅することは必要ではない場合があるが、非常に低レベルのマーカーのシグナルを増加させることは必要であり得る。Phi29ポリメラーゼは、5’-*3’重合活性および3’-*5’エキソヌクレアーゼ活性の両方を有する。RCAステップをCODEXワークフローに組み込むために、増幅を目的としていない抗体部分に結合したオリゴヌクレオチドが、この潜在的なエキソヌクレアーゼ分解から保護されることを確実にすることが必要であり得る。抗体のタグ付けに使用される配列は、ホスホロチオエート結合、2’-O-メチル-、逆dT、リン酸化、およびPEGスペーサー25を含む、このヌクレアーゼ活性を阻害することが知られている共有結合基で、3’末端またはその近くで修飾することができる。エキソヌクレオアーゼ活性は、標準的なCODEX染色実験を使用して測定することができ。この実験では、抗体に結合した組織に結合したオリゴヌクレオチドは、理論上、phi29ポリメラーゼの付加により分解される。オリゴヌクレオチド分解の防止および合成コストの検討に基づいて、最適な修飾を選択することができる。これらの最適化された配列は、上記と同じ2サイクルのCODEX実験に組み込むことができ、CD3、CD19、およびCD31には、phi29ポリメラーゼによる分解を防ぐための修飾が含まれる。これらのマーカーの蛍光強度は、phi29の非存在下で染色された試料と比較することができ、これらの値の10%以内の偏差のシグナル強度により、RCAプロセス中の配列の忠実度を確認することができる。
【0245】
シグナル増強戦略は、完全な抗体パネルとともに使用するため、および様々なマーカータイプを測定するために、CODEXプラットフォーム用に拡張される。この取り組みの一環として、50を超えるRCAに適合するCODEX配列のライブラリーを設計および検証することができる。これに対応して、既存のCODEXプラットフォームを使用して現在シグナル閾値を下回っている転写因子、細胞シグナル伝達タンパク質、および他の潜在的に低レベルのマーカーに対する複数の抗体クローンを、RCA強化CODEX法とともに使用するためにスクリーニングすることができる。さらに、様々なマーカータイプにわたるCODEXデータから有意義な生物学的データを抽出することが可能であるように、強化されたソフトウェア分析ツールを開発することができる。最後に、RCA強化CODEXの試薬および関連する分析ソフトウェアを、潜在的な顧客と既存の顧客による統合された使用のために2つのテストサイトで展開し、統合されたシステムの有用性を確認し、これらの要素の生成および製造に関するフィードバックを提供することができる。
【0246】
実施例6:オリゴヌクレオチド配列ライブラリーの設計およびスクリーニング
RCA強化CODEXに適合するオリゴヌクレオチド配列のライブラリーは、高度な多重化アッセイ(例えば、50を超えるパラメータ)で使用するために設計およびスクリーニングすることができる。各オリゴヌクレオチドセットは、配列直交型であり得、同様の増幅特性を有することができる。場合によっては、配列により、標準的なCODEXプラットフォームと比較して少なくとも20倍のシグナル増強がもたらされ得る。細胞内標的に対する抗体を、このプラットフォームとの互換性についてスクリーニングすることができる。このような設計により、場合によっては、少なくとも20の検証されたクローンがもたらされ得る。
【0247】
最初に、RCA強化CODEXオリゴヌクレオチドライブラリーを生成することができる。本開示は、ユーザが既製の抗体パネルを選択できるように、関連するRCAオリゴヌクレオチド成分を有するプレコンジュゲートCODEXタグ付き抗体を提供する。例えば、50以上の適合するRCA対応CODEXプローブセットのライブラリーを使用することができる。さらに、ユーザが、より個別化された用途向けに独自のRCA強化CODEX抗体パネルを作成することができるように、配列はコンジュゲーションキット形式で提供され得る。50の適合するオリゴヌクレオチド対のセットのライブラリーサイズは、両方の経路を可能にし、様々なプレコンジュゲートCODEX抗体製品を生成するのに十分な大きさであり得る。
【0248】
例示的な実施形態において、RCA強化CODEXオリゴヌクレオチドライブラリーの特性は以下の通りであり得る:1)結合したオリゴヌクレオチド抗体(a)および検出配列(b)は、チャネル間にシグナル重複がないように直交する配列を含む。2)ライゲーションおよび重合が各セットで効率的かつ再現可能であり、色素プローブのハイブリダイゼーションおよび除去が同じ緩衝液条件で達成されるように、これらの配列のそれぞれの熱力学的特性が類似し得る。3)検出および増幅配列を含む各オリゴヌクレオチドセットは、ヒトおよびマウスを含む関連種全体の内因性DNAおよびRNA成分に結合しない。少数のこれらのオリゴヌクレオチドセットの設計および生成は手動で達成され得る。しかしながら、このサイズのライブラリーを生成するために、これらの基準をインシリコでスクリーニングし、さらなるスクリーニングに適した一連の出力配列を作成するカスタムソフトウェアパッケージを開発することができる。アルゴリズムまたはソフトウェアパッケージは、必要な熱力学的特性を備えた候補オリゴヌクレオチド配列を生成し、候補集団内での重複、ならびにマウスおよびヒトのトランスクリプトームおよびゲノムの両方に対する重複についてこれらの配列をスクリーニングすることができ、既知の蛍光干渉を伴うCODEXタグ付き色素配列を排除することができる。得られた候補配列は、RCA強化CODEX実験において合成され、効果的な活性についてスクリーニングすることができる。
【0249】
候補オリゴヌクレオチドセットのスクリーニングおよび検証プロセスは、複数のステップを含み得る。最初に、ライゲーション効率および重合速度を、各セットについて個別に測定することができる。これを行うために、各オリゴヌクレオチドセットを抗ヒトCD3抗体(クローン:UCHT1)にコンジュゲートさせ、ヒト新鮮凍結扁桃組織を染色するために使用することができる。ライゲーション効率は、ゲル電気泳動に基づいて決定することができ、重合速度は、増幅されていない配列に直接ハイブリダイゼーションできる標準的なCODEX実験と比較して測定することができる。90%を超えるライゲーション効率または少なくとも20倍のシグナル増強をもたらす重合率は成功であると見なすことができる。次に、増幅配列、検出配列、またはその両方に関連するシグナルの重複について配列をスクリーニングすることができる。抗マウスCD45抗体の試料は、各オリゴヌクレオチドセットの対応する成分にコンジュゲートさせ、野生型マウスから単離され得る脾臓細胞の試料を染色するために使用することができる。各試料を組み合わせて、さらに処理するためにカバースリップ上に広げることができる。ハイブリダイゼーションによるライゲーション、増幅、および検出は、例えば、CODEX機器を使用することによって行うことができる。各試料は、関連するCODEXタグ付き色素の追加と除去の繰り返しに供することができる。シグナルの重複を示す配列は、増幅配列、検出配列、またはその両方に起因する可能性がある。シグナルの重複は問題になる可能性があり、排除され得る。この分析に基づいて、重複する配列の最小セットを候補ライブラリーから除去することができる。最後に、残りの配列は、潜在的な配列の重複についてスクリーニングすることができるが、これは、全ての抗体を単一ステップにおいて染色できる抗体染色ステップの間の会合から生じる可能性がある。各抗体は、以前に検証された固有の抗体クローンにコンジュゲートさせることができ、ヒト扁桃腺、リンパ節、黒色腫を含む複数の試験組織を染色するために使用することができる。配列の重複は、RCA強化CODEX実験から得ることができる染色とは独立して染色された場合に各抗体クローンについて示され得る既知の染色パターンの比較に基づいて決定することができる。
【0250】
少なくとも50のRCA強化CODEXに適合するオリゴヌクレオチドセットのライブラリーを生成することができる。50を大幅に下回るオリゴヌクレオチドセットのライブラリーを含む、より小さなライブラリーの場合、新たに設計された配列のセットに対して同様の取り組みを行うことができる。これらのスクリーニングの試みのそれぞれに起因して失敗をもたらしたオリゴヌクレオチドの特徴を評価することができ、最初のオリゴヌクレオチド設計アルゴリズムを必要に応じて更新し、他のサイクルの配列生成において同様の失敗を防ぐことができる。
【0251】
抗体クローンを、RCA強化CODEXプラットフォームについて検証することができる。抗マウスおよび抗ヒト抗体クローンであり得る200を超える抗体は、新鮮凍結組織でCODEX技術とともに使用するために検証することができ、場合によっては、大部分が豊富な細胞表面マーカーを標的とする。RCA強化CODEXは感度を向上させることができ、この感度の向上により、様々な異なるマーカータイプの検出が可能になる。この目的のために、より低い発現のマーカーを標的とする抗体クローンをスクリーニングおよび検証することができる。場合によっては、30~40の追加の抗体クローンをスクリーニングして、より低い発現のマーカーを標的とすることを検証することができる。標準的な抗体スクリーニングプロセスは、場合によっては、直接的に色素とコンジュゲートした対比染料の存在下で、様々な試験組織をCODEXタグ付き抗体の候補で染色することを含んでもよい。得られたシグナルパターンは、対比染色の予想される染色パターンおよび公的に利用可能なデータベース(例えば、www.proteinatlas.org/tissue)と比較することができる。これらのスクリーニング実験中に抗体シグナルが見られない理由は、コンジュゲーションによる抗体シグナルの喪失、試験組織における不十分な発現、またはその両方を含み得る。
【0252】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の抗体クローンが抗体コンジュゲーションに適合しない場合、同じ抗原を標的とする代替のクローンをスクリーニングすることができる。一部のマーカーでは、複数の組織型に発現が限定される場合がある。それらの場合において発現を確認するために、精製された一次抗体およびポリマーにコンジュゲートした二次抗体を使用する標準的なIHCアッセイを用いることができる。場合によっては、新鮮凍結組織のRCA強化CODEX検出に適合する最大約20個またはそれ以上の抗体クローンを検証することができる。
【0253】
CODEXプラットフォームの本発明の実装のために検証された抗体パネルの一部または全ては、新鮮凍結組織、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織、またはその両方の分析と互換性があり得る。
【0254】
実施例7:ソフトウェア分析モジュール
高パラメータのRCA強化CODEXデータセットを処理するためのソフトウェア分析モジュールは、細胞内マーカーに対する染色データを含むことができる。
【0255】
CODEXプラットフォームの有用性は、データおよび関連する分析ツールに根ざし得る。初めて、マーカーの発現に関してだけでなく、最大約40以上の標的の関連する空間構成に関しても、組織試料を分析することができる。CODEXプラットフォームの本発明の実装には、豊富な細胞表面マーカーを測定し、アノテーションを付けられた細胞タイプ間の空間的関連性を抽出することが有用であり得る。技術の進歩により、CODEXによる追加のマーカーの検出が可能となり、測定可能な標的の種類が拡大する可能性がある。更新された分析パイプラインおよび関連するソフトウェアパッケージにより、これらのデータセットから有意義な生物学的データを抽出することが可能となる。
【0256】
高度なセグメンテーションベースの分析ツールは、分析を改善することができる。転写因子、シグナル伝達分子、および拡散性細胞外タンパク質を標的とする抗体パネルを使用して、RCA対応のCODEXデータを分析するためのツールおよび方法を用いることができる。転写因子、シグナル伝達分子、またはその両方の場合、細胞内局在は、潜在的な生物学的影響を伴う重要なパラメータである可能性がある。核内と細胞質内でこれらのマーカーの発現を区別することが重要であり得る。細胞内セグメンテーションアルゴリズムを使用して、これらの各領域をマッピングし、対応する蛍光シグナルをこの位置に関連付けることができる。核はヘキスト色素を使用して特定することができる。細胞質は、細胞表面マーカーからのシグナルに対して核を差し引くことによって特定することができる。追加の関連パラメータは、蛍光シグナルの出現であり得、任意選択的に、それが本質的に点状であるか拡散性であるかである。このパラメータは、局所的な蛍光シグナルを分析し、これらのパッチを拡散シグナルまたは点状シグナルのいずれかを表す異なるモデルに適合させることにより測定することができる。細胞内局在および関連する蛍光シグナルの性質のいずれかまたは両方を、データ出力ファイルに提供することができ、該ファイルは、任意選択的に、本発明のセグメンテーションアルゴリズムもしくは組織内の対応する空間次元、またはその両方に基づいて、組織試料内のあらゆる細胞の関連する発現データを含むことができる。これらの細胞機能は、様々な既存のアルゴリズムおよびツールの1つまたは複数を使用して細胞をクラスター化するために使用することができ、場合によっては、得られた細胞タイプにアノテーションを付けることができる。細胞内局在インジケーターツールの追加により、細胞表面マーカーの発現、細胞の状態、またはその両方に基づいて細胞を分類することができる。場合によっては、分類により、疾患の機構および治療の作用機序に関する重要な洞察が明らかになり得る。
【0257】
機械学習アルゴリズムは、RCA強化CODEXデータ分析に使用することができる。組織データのセグメンテーションは、この空間内の単一細胞発現プロファイルへの洞察を提供することができる。補償アルゴリズムは、場合によっては隣接する細胞縁の近接性に起因するこのアプローチの制限を緩和し得る。場合によっては、古典的な画像分析と機械学習の組み合わせを使用する別のセグメンテーションアプローチが、細胞パッチを特定および改良することができる。分析ツールは、これらの方法を使用して、RCA強化CODEXデータを分析することができる。RCA強化CODEXデータセットのパラメータ空間全体の蛍光シグナルのパッチを分析して、異なるマーカー分布に対応するシグナルの異なる組み合わせをマッピングするように、機械学習モデルを訓練することができる。場合によっては、オープンソースの機械学習プラットフォームを使用して分析を達成することができる。このステップの後に、蛍光補正ステップが続き得る。この分析で特定されたパッチの組成は、単一細胞データもしくは隣接する細胞からのデータ、またはその両方から構成され得る。細胞の境界は、重要である場合と重要でない場合がある。場合によっては、マーカーの組み合わせのシグナル強度の特徴が比較の単位になる。例えば、CD4、CD19、pSTAT1、およびKi67のシグナル強度から構成される機械学習アルゴリズムによって特定されたパッチは、増殖の兆候があるB細胞の隣にあるCD4ヘルパーT細胞に対応する可能性がある。場合によっては、各個々の細胞に関連付けられたシグナル間の違いを個別に区別できない場合がある。場合によっては、マーカーの組み合わせ間の空間的に駆動される関連付けが特定され得る。場合によっては、機械学習モデルをデータのサブセットで訓練した後、得られたモデルを適用して、それらの残りのデータセット全体でデータを抽出することができる。場合によっては、これはユーザにとって容易である。
【0258】
実施例8:RCAプラットフォームの統合
生化学試薬および関連する分析ツールを含む、RCA強化CODEXプラットフォームを統合することができる。このプラットフォームをテストサイトに展開して、全ての成分の適合性を試験する、フィードバックを得る、またはその両方を行うことができる。テストサイトは、事前に検証された、テストサイトで開発された、またはその両方であるオリゴヌクレオチドタグ付き抗体を使用して、RCA強化CODEX実験からデータを取得して分析することができる。
【0259】
場合によっては、CODEXプラットフォームの感度が向上すると、この技術とともに使用される追加のマーカーの検証につながる可能性がある。場合によっては、CODEXプラットフォームの感度が向上すると、このタイプの分析から恩恵を受ける可能性のある潜在的なアプリケーションを広げることができる。試薬のセットおよび関連するソフトウェアパッケージ、またはキットにより、RCA強化CODEXの使用が可能になる。場合によっては、キットを機器と組み合わせて使用して、多数の異なる試料タイプを分析することができる。試薬製品は、RCAに適合するオリゴヌクレオチドに対するプレコンジュゲートCODEX抗体、カスタムCODEX抗体パネルの開発のためにエンドユーザがコンジュゲートしやすいオリゴヌクレオチド配列、またはその両方を含み得る。対応する緩衝液を使用して、RCAステップと標準的なCODEXワークフローの両方を行うことができる。RCA強化CODEXデータの取得は、CODEX機器で行うことができ、これは、任意選択的に実験室で顕微鏡インフラストラクチャに連結することができる。得られたRCA強化CODEXデータの分析は、ツールキットを使用して行うことができる。
【0260】
テストサイトは、CODEX機器を装備することができ、CODEXタグ付き抗体のパネルを受け取ることができる。パネルは、約10、20、30、40、またはそれ以上のCODEXタグ付き抗体を含むことができる。パネルは、対応する検出CODEXタグ付き色素を含むことができ、これは、マウス組織用途、ヒト組織用途、またはその両方に使用するために最適化することができる。場合によっては、パネルは、カスタマイズされたCODEX抗体パネルを作成するために使用することができるコンジュゲーション材料を含み得る。緩衝液、関連試薬、またはその両方は、予想されるCODEX抗体の製剤に基づいて提供され得る。関連するRCA強化CODEXプロトコルについて担当者を訓練するために、フィールドアプリケーションサイエンティストが利用可能であり得る。各テストサイトは、1つまたは複数の組織型から少なくとも1、5、10、20、30、40、またはそれ以上のデータセットを収集することができる。データセットは、RCA強化CODEXプラットフォームを使用して収集することができる。データセットは、プレコンジュゲートCODEXタグ付き抗体パネルを使用して収集することができる。RCA強化CODEXプラットフォームで使用するためのCODEXタグ付き抗体のカスタムセットを設計および作成することができる。これらの抗体は、プレコンジュゲート抗体のパネルに追加することができる。追加のデータセットを収集することができる。場合によっては、同じ組織標本を使用して独立して生成されたデータの比較に基づいて成功を測定することができる。場合によっては、異なる顕微鏡を使用してデータを収集することができる。場合によっては、蛍光シグナル強度を直接比較することが適切であり得る。場合によっては、蛍光シグナル強度の比較が最良の測定基準ではない可能性がある。場合によっては、蛍光シグナル強度の比較が適切でない可能性がある場合によっては、シグナル対ノイズ比を比較することができる。場合によっては、互いの閾値内にある独立したデータセットのシグナル対ノイズ比の値を成功であると見なすことができる。場合によっては、絶対的基準値の閾値内の独立したデータセットのシグナル対ノイズ比の値を成功であると見なすことができる。閾値は、約1、5、10、15、20、25、または30%であり得る。
【0261】
抗体染色の特異性を試料間で比較して、任意選択的にそれらの関連する生物学的機能に基づいて、共局在を検出するか、異なるマーカーの相互排他性を検出するか、またはその両方を行うことができる。
【0262】
実施例9:ヒト扁桃組織の分析
新鮮凍結ヒト扁桃組織試料を、図6に示すように24マーカーの抗体パネルで染色した。A)核染色を各サイクル中に収集し、ドリフト補正に使用した。画像B~Iは、8サイクルおよび3つの蛍光チャネルにわたって収集されたCODEXデータを示している。シグナルは、赤、緑、青の順に列挙されており、それぞれFAM、Cy3、Cy5チャネルで収集されたデータに対応している。B)コラーゲンIV、CD7、Ki67、C)CD38、CD31、CD4、D)CD45、CD90、CD19、E)CD15、CD3、CD56、F)CD21、CD34、CD278、G)HLA-DR、CD22、CD279、H)CD8、CD57、パンサイトケラチン、I)CD9、ポドプラニン、CD11c。セグメンテーションパイプラインの例をパネルJ~Lに示す。J)は単一CODEXサイクルからのデータの拡大オーバーレイを示し、K)は対応する核染色を示し、L)は個々の細胞を特定するためのセグメンテーションアルゴリズムの結果を示す。全てのチャネルおよびサイクルにわたってセグメント化された各細胞の蛍光データを統合し、関連する空間次元とともに出力テーブルに列挙した。次に、このデータを様々な既存のツールを使用してクラスター化し、既知の細胞タイプに基づいてアノテーションを付けることができる。その後、様々なダウンストリーム分析を行うことができる。M)42個のCODEXタグ付き抗体で染色された扁桃組織試料からのマーカー間の空間相関を示すヒートマップの例である。N)扁桃組織の濾胞領域内のアノテーション付き細胞タイプのヒートマップ相関分析の例である。
【0263】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示して説明してきたが、そのような実施形態が例としてのみ提供されていることは当業者には明らかであろう。本発明は、本明細書内に提供される特定の例によって限定されることを意図するものではない。本発明を前述の明細書を参照して説明してきたが、本明細書の実施形態の説明および図解は、限定的な意味で解釈されることを意図するものではない。当業者は、本発明から逸脱することなく、数多くの変形、変更、および置換を思いつくであろう。さらに、本発明の全ての態様は、様々な条件および変数に依存する、本明細書に記載の特定の描写、構成、または相対的な比率に限定されないことを理解されたい。本明細書に説明されている本発明の実施形態の様々な代替形態が、本発明を実施する際に用いられ得ることを理解されたい。したがって、本発明は、そのような代替、修正、変形、または同等物も包含することが企図される。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲の範囲内の方法および構造ならびにそれらの均等物がそれによって網羅されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
【配列表】
2022505653000001.app
【国際調査報告】