(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】直線的作動磁気結合デバイス
(51)【国際特許分類】
H01F 7/02 20060101AFI20220106BHJP
B25J 15/06 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
H01F7/02 F
B25J15/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021522069
(86)(22)【出願日】2019-10-24
(85)【翻訳文提出日】2021-04-22
(86)【国際出願番号】 US2019057766
(87)【国際公開番号】W WO2020086791
(87)【国際公開日】2020-04-30
(32)【優先日】2018-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519384781
【氏名又は名称】マグスウィッチ テクノロジー ワールドワイド プロプライエタリー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MAGSWITCH TECHNOLOGY WORLDWIDE PTY LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モートン,デイビッド・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】カープ,ポール・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】フェルトン,シェーン・エヌ
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707FS06
3C707FT04
3C707KS04
3C707KS30
3C707KS37
(57)【要約】
本開示は、磁気結合デバイスに関する。より具体的には、本開示は、直線的に作動および非作動するように構成された磁気結合デバイスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
強磁性ワークピースに磁気結合するための磁気結合デバイスであって、
ハウジングの第1の端部と前記ハウジングの第2の端部との間に延在する軸を有するハウジングと、
前記ハウジングの前記第2の端部から少なくとも第1の距離に配置された鉄ピースと、
前記ハウジングによって支持された磁気プラッタであって、前記磁気プラッタが、複数の強磁性極ピース部分の間に挿入された複数の永久磁石部分を含む、磁気プラッタと、を備え、
前記磁気プラッタが、前記軸に沿って前記ハウジング内で少なくとも第1の状態および第2の状態の各々に直線的に並進可能であり、前記磁気プラッタが前記第1の状態にあるときに、前記磁気結合デバイスが、前記鉄ピースを通して第1の磁気回路を確立し、前記磁気結合デバイスのワークピース接触インターフェースに第1の磁場を提供するように、前記磁気プラッタが、前記鉄ピースに隣接して配置されており、前記磁気プラッタが前記第2の状態にあるときに、前記磁気結合デバイスが、前記ワークピース接触インターフェースに第2の磁場を提供するように、前記磁気プラッタが、前記鉄ピースから離間して配置されており、前記第2の磁場が、非ゼロの磁場強度である、磁気結合デバイス。
【請求項2】
前記ハウジングの前記第2の端部から少なくとも第2の距離に配置された少なくとも1つの非強磁性ピースをさらに備える、請求項1に記載の磁気結合デバイス。
【請求項3】
前記磁気プラッタが、8mm以下の距離を並進する、請求項1に記載の磁気結合デバイス。
【請求項4】
前記磁気結合デバイスが、磁気結合デバイスの1立方mmあたり0.25グラム以上の保持力を提供する、請求項1に記載の磁気結合デバイス。
【請求項5】
前記磁気結合デバイスが、前記磁気プラッタの1立方mmあたり0.35グラム以上の保持力を提供する、請求項1に記載の磁気結合デバイス。
【請求項6】
前記磁気結合デバイスが、前記ワークピース接触インターフェースの1平方mmあたり0.15グラム以上の保持力を提供する、請求項1に記載の磁気結合デバイス。
【請求項7】
前記磁気結合デバイスが、第3の状態に直線的に並進可能であり、前記磁気プラッタは、前記磁気プラッタが前記第3の状態にあるとき、前記第1の状態と前記第2の状態との間に配置される、請求項1に記載の磁気結合デバイス。
【請求項8】
前記ハウジングが、前記磁気プラッタを前記第3の状態に解放可能に保持するように構成されたブレーキを備える、請求項7に記載の磁気結合デバイス。
【請求項9】
前記ワークピース接触インターフェースが、複数の離間した突起を備える、請求項1に記載の磁気結合デバイス。
【請求項10】
前記ワークピース接触インターフェースが、前記ハウジングによって解放可能に支持されている、請求項9に記載の磁気結合デバイス。
【請求項11】
前記磁気プラッタが、前記ハウジングによって解放可能に支持されている、請求項1に記載の磁気結合デバイス。
【請求項12】
前記ワークピース接触インターフェースが、四辺形のフットプリントを有する、請求項1に記載の磁気結合デバイス。
【請求項13】
前記四辺形のフットプリントが、長方形フットプリントまたは正方形フットプリントである、請求項12に記載の磁気結合デバイス。
【請求項14】
前記ハウジングによって支持された感知システムをさらに備え、前記感知システムが、前記ワークピース接触インターフェースで前記強磁性ワークピースが利用可能な磁束のレベルを監視する少なくとも1つのセンサーを含む、請求項1に記載の磁気結合デバイス。
【請求項15】
前記第1の状態と前記第2の状態との間で前記磁気プラッタを直線的に並進させるように構成されたアクチュエータをさらに備える、請求項1に記載の磁気結合デバイス。
【請求項16】
前記アクチュエータが、空気圧アクチュエータ、液圧アクチュエータ、および電気アクチュエータのうちの少なくとも1つである、請求項15に記載の磁気デバイス。
【請求項17】
前記鉄ピースが、複数の極ピース部分および/または複数の永久磁石部分にまたがる、請求項1に記載の磁気結合デバイス。
【請求項18】
磁気カプラーを強磁性ワークピースに結合および分離する方法であって、前記方法が、
前記強磁性ワークピースを前記磁気カプラーのワークピース係合インターフェースと接触させるステップと、
前記磁気結合デバイスの磁気プラッタを、前記ワークピース係合面からの第1の分離から、前記第1の分離よりも小さい前記ワークピース係合面からの第2の分離に移動させるステップと、
前記磁気カプラーを使用して、前記ワークピースを第1の位置から第2の位置に移動させるステップと、
前記磁気プラッタを前記ワークピース係合面から第3の分離に移動させて、前記磁気カプラーを前記ワークピースから切り離し、前記ハウジング内の鉄ピースを通る磁気回路を形成するステップであって、前記第3の分離は前記第2の分離よりも大きい、ステップと、を含む、方法。
【請求項19】
強磁性ワークピースに磁気結合するための磁気結合デバイスであって、
通路軸を確定する通路を有するハウジングと、
前記ハウジングによって支持された磁気プラッタであって、前記磁気プラッタが、前記通路軸に沿って第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、前記磁気プラッタが、複数の強磁性極ピース部分の間に挿入された複数の永久磁石部分を含む、磁気プラッタと、
前記ハウジングによって支持されており、かつ前記強磁性ワークピースに接触するように適合された、ワークピース接触インターフェースと、
前記ハウジングによって支持され、前記通路から磁気的にアクセス可能な磁気シャントであって、前記磁気プラッタが前記第1の位置にあることにより、第1の磁気回路が、前記磁気プラッタおよび前記磁気シャントで形成され、前記第2の位置にある前記磁気プラッタにより、第2の磁気回路が、前記磁気プラッタおよび前記ワークピースインターフェースを通る前記強磁性ワークピースで形成される、磁気シャントと、を備える、磁気結合デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、磁気結合デバイスに関する。より具体的には、本開示は、直線的に作動および非作動するように構成された磁気結合デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気結合デバイスは、強磁性ワークピースを結合して、第1の場所から第2の場所に強磁性ワークピースを輸送し、強磁性ワークピースを保持し、および/または強磁性ワークピースを持ち上げるために使用される。例示的な磁気結合デバイスは、「オフ」位置と「オン」位置との間で直線的に並進可能な磁気プラッタを含み得る切り替え可能な磁気結合デバイスである。磁気プラッタが「オン」状態にあるとき、磁気結合デバイスは、強磁性ワークピースに結合して、例えば、他の用途の中でも、持ち上げ操作、材料ハンドリング、材料保持、磁気的ラッチング、またはオブジェクトを互いに結合することを行うように構成される。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に含まれる実施形態は、直線的に作動および非作動するように構成された磁気結合デバイスに関する。実施形態には、以下の例が含まれるが、これらに限定されない。
【0004】
第1の例示的な実施形態では、強磁性ワークピースに磁気結合するための磁気結合デバイスは、ハウジングの第1の端部とハウジングの第2の端部との間に延在する軸を有するハウジングと、ハウジングの第2の端部から少なくとも第1の距離に配置された鉄ピースと、ハウジングによって支持された磁気プラッタであって、磁気プラッタは、複数の強磁性極ピース部分の間に挿入された複数の永久磁石部分を含む、磁気プラッタと、を備え、磁気プラッタは、軸に沿ってハウジング内で少なくとも第1の状態および第2の状態の各々に直線的に並進可能であり、磁気プラッタが第1の状態にあるときに、磁気結合デバイスが、鉄ピースを通して第1の磁気回路を確立し、磁気結合デバイスのワークピース接触インターフェースに第1の磁場を提供するように、磁気プラッタが、鉄ピースに隣接して配置されており、磁気プラッタが第2の状態にあるときに、磁気結合デバイスが、ワークピース接触インターフェースに第2の磁場を提供するように、磁気プラッタが、鉄ピースから離間して配置されており、第2の磁場は、非ゼロの磁場強度である。
【0005】
第2の例示的な実施形態では、磁気カプラーを強磁性ワークピースに結合および分離する方法は、強磁性ワークピースを磁気カプラーのワークピース係合インターフェースと接触させることと、磁気結合デバイスの磁気プラッタを、ワークピース係合面からの第1の分離から、第1の分離よりも小さいワークピース係合面からの第2の分離に移動させることと、磁気カプラーを使用して、ワークピースを第1の位置から第2の位置に移動させることと、磁気プラッタをワークピース係合面から第3の分離に移動させて、磁気カプラーをワークピースから切り離し、ハウジング内の鉄ピースを通る磁気回路を形成することと、を含み、第3の分離は第2の分離よりも大きい。
【0006】
第3の例示的な実施形態では、強磁性ワークピースに磁気結合するための磁気結合デバイスは、通路軸を画定する通路を有するハウジングと、ハウジングによって支持された磁気プラッタであって、磁気プラッタが、通路軸に沿って第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、磁気プラッタが、複数の強磁性極ピース部分の間に挿入された複数の永久磁石部分を含む、磁気プラッタと、ハウジングによって支持されており、かつ強磁性ワークピースに接触するように適合された、ワークピース接触インターフェースと、ハウジングによって支持され、通路から磁気的にアクセス可能な磁気シャントであって、磁気プラッタが第1の位置にあることにより、第1の磁気回路が、磁気プラッタおよび磁気シャントで形成され、第2の位置にある磁気プラッタにより、第2の磁気回路が、磁気プラッタおよびワークピースインターフェースを通る強磁性ワークピースで形成される、磁気シャントと、を備える。
【0007】
複数の実施形態が開示されているが、本発明のさらに他の実施形態は、本発明の例示的な実施形態を示し、説明する以下の詳細な説明から当業者には明らかになるであろう。したがって、図面および詳細な説明は、本質的に例示と見なされるべきであり、限定と見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】強磁性ワークピース上に位置付けられた例示的な第1のオフ状態の例示的な磁気結合デバイスの側面断面図を図示する。
【
図2】第2のオン状態の、
図1A~
図1Cの磁気結合デバイスの正面断面図を図示する。
【
図3】第3のオン状態の、
図1A~
図1Cの磁気結合デバイスの正面断面図を図示する。
【
図5】強磁性ワークピース上の第1の位置での
図1A~
図1Cの磁気結合デバイスの上部断面図を図示する。
【
図6】強磁性ワークピース上の第2の位置での
図1A~
図1Cの磁気結合デバイスの上部断面図を図示する。
【
図7】
図1A~
図1Cの磁気結合デバイスに組み込むことができる極板の例示的な部分である。
【
図8】
図1A~
図1Cの磁気結合デバイスに組み込むことができる極板の例示的な部分である。
【
図9】
図1A~
図1Cの磁気結合デバイスに組み込むことができる極板の例示的な部分である。
【
図10】
図1A~
図1Cの磁気結合デバイスに組み込むことができる極板の例示的な部分である。
【
図11】
図1A~
図1Cの磁気結合デバイスに組み込むことができる極板の例示的な部分である。
【
図12】
図1A~
図1Cの磁気結合デバイスに組み込むことができる極板の例示的な部分である。
【
図13】
図1A~
図1Cの磁気結合デバイスに組み込むことができる極板の例示的な部分である。
【
図14】アーム結合器の端として取り付けられた
図1A~
図1Cの例示的な磁気結合デバイスを含むロボットシステムを図示する。
【
図15】
図1A~
図1Cの磁気結合デバイスの例示的なセンサーレイアウトの上部断面図を図示する。
【
図17】
図1A~
図1Cの磁気結合デバイスおよび第1の分離によって磁気結合デバイスから分離された強磁性ワークピースの簡略化された正面図を図示する。
【
図18】
図1A~
図1Cの磁気結合デバイスおよび磁気結合デバイスから分離された強磁性ワークピースの簡略化された正面図を図示する。
【
図19】強磁性ワークピースに対して左から右に傾斜している
図1A~
図1Cの磁気結合デバイスの簡略化された正面図を図示する。
【
図20】強磁性ワークピースに対して前後に傾斜している
図1A~
図1Cの磁気結合デバイスの簡略化された正面図を図示する。
【
図21】強磁性ワークピースの右端部分に接触する
図1A~
図1Cの磁気結合デバイスの簡略化された正面図を図示する。
【
図22】強磁性ワークピースの中央部分に接触する
図1A~
図1Cの磁気結合デバイスの簡略化された正面図を図示する。
【
図23】第1の限界位置で強磁性ワークピースに接触する
図1A~
図1Cの磁気結合デバイスの簡略化された正面図を図示する。
【
図24】第2の限界位置で強磁性ワークピースに接触する
図1A~
図1Cのアーム磁気結合デバイスの端の簡略化された正面図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、様々な修正形態および代替形態が可能であるが、特定の実施形態が、例として図面に示され、以下で詳細に説明される。しかしながら、その意図は、記載された特定の実施形態に本発明を限定することではない。それとは逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にあるすべての修正物、等価物、および代替物を網羅することを意図している。
【0010】
図ならびに本明細書の前のセクションにおいて、「上方」、「下方」、「軸方向」などの用語、および他の参照用語は、ここで説明する技術の理解を容易にするために使用され、文脈で別段の指示がない限り、絶対的および限定的な参照指標として見なされるべきではない。「結合する」、「結合される」、「結合器」という用語およびそれらの変形は、2つ以上の構成要素が直接物理的に接触している配置および2つ以上の構成要素が互いに直接接触していない(例えば、構成要素が、少なくとも第3の構成要素を介して「結合され」ている)が、それでもなお相互に連携または相互作用する配置の両方を含むために使用される。
【0011】
図1Aは、第1のオフ状態の、例示的な切り換え可能な磁気結合デバイス100の側面断面図を図示し、
図1Bは、磁気結合デバイス100の正面断面図を図示し、
図1Cは、磁気結合デバイス100の正面図を図示する。
図2は、第2のオン状態の、
図1A~
図1Cの磁気結合デバイスの正面断面図を図示する。
図3は、第3のオン状態の、
図1A~
図1Cの磁気結合デバイスの正面断面図を図示する。
【0012】
磁気結合デバイス100は、第1のオフ状態(
図1A~
図1Cに示されている)、第2のオン状態(
図2に示されている)、および/または第3のオン状態の間で切り換えられ得る。磁気結合デバイス100がオン状態に切り換えられるときに、磁気結合デバイス100によって生成される磁場は、1つ上の強磁性ワークピース102を通過し、磁気結合デバイス100を強磁性ワークピース102のうちの1つ以上に結合する。磁気結合デバイス100がオフ状態に切り換えられるときに、磁気結合デバイス100によって生成される磁場は主に、磁気結合デバイス100内にとどまり、したがって、磁気結合デバイス100は、もはや強磁性ワークピース102のうちの1つ以上に結合しない。オフ状態およびオン状態は、以下でより詳細に考察される。
【0013】
磁気結合デバイス100は、ロボットシステム600(
図14を参照)などのロボットシステムのためのアーム(「EOAMT」)ユニットの端として使用され得るが、また、強磁性ワークピース102のための、他の持ち上げ、輸送、および/または分離システムで使用され得る。例示的な持ち上げおよび輸送システムは、ロボットシステム、機械的ガントリー、クレーンホイスト、および強磁性ワークピース102を持ち上げおよび/または輸送するさらなるシステムを含む。加えて、磁気結合デバイス100は、溶接、検査、および他の動作などの動作のために少なくとも一部を保持するための固定器具の一部としても使用され得る。
【0014】
図1Aを参照すると、磁気結合デバイス100は、強磁性ワークピース102の上部上に位置付けられており、強磁性ワークピース102と接触および係合するように構成されたワークピース接触インターフェース104を含む。ワークピース接触インターフェース104は、極板106であり得る。少なくとも1つの実施形態では、極板106は、
図1Bで図示されているように、複数の離間した突起108を含む。他の実施形態では、極板106は、離間した突起108を含まない。離間した突起108は、磁気結合デバイス100がオン状態にあるときに、磁気結合デバイス100の磁束が主に第1の強磁性ワークピース102’を通過するように、ワークピース接触インターフェース104の近くにより多くの磁束を集中させることを容易にし得る。極板106および突起108の例示的な態様は、以下で考察される。
【0015】
磁気結合デバイス100はまた、磁気プラッタ112を支持するハウジング110を含む。磁気プラッタ112は、磁気結合デバイス100がオン状態にあるときに、磁気結合デバイス100が強磁性ワークピース102に結合することを可能にする磁場を生成する。少なくとも1つの実施形態では、磁気プラッタ112は、
図1Bで示されているように、複数の離間した永久磁石部分114と複数の極部分116とを含む積層磁気プラッタである。複数の離間した永久磁石部分114の各々は、1つ以上の永久磁石を含む。一実施形態では、各永久磁石部分114は、1つの永久磁石を含む。別の実施形態では、各永久磁石部分114は、複数の永久磁石を含む。各永久磁石部分114は、正反対に磁化され、N-極側と、S-極側と、を有する。
【0016】
各極部分116Aは、2つの永久磁石部分114の間に位置付けられており、極部分116Bは、1つの永久磁石部分114に隣接して配置されている。さらに、永久磁石部分114は、間で極部分116Aと接触する2つの永久磁石部分114の各々が、極部分116Aと接触する、それらのN極側またはそれらのS極側のいずれかを有するように配置されている。隣接する永久磁石部分114のN-極側が極部分116Aと接触するときに、極部分116AはN-極部分と呼ばれる。隣接する永久磁石部分114のS-極側が極部分116Aと接触するときに、極部分116AはS-極部分と呼ばれる。同様に、極部分116Bについて、永久磁石部分114のS-極側が極部分116Bと接触するときに、極部分116BはS-極部分と呼ばれる。逆に、永久磁石部分114のN-極側が極部分116Bと接触するときに、極部分116BはN-極部分と呼ばれる。
【0017】
示されている実施形態では、永久磁石部分114は、水平軸118に沿って配置されている。しかしながら、他の実施形態では、永久磁石部分114は、円形構成で配置され得る。さらに、実施形態は、6つの永久磁石部分114と7つの極部分116とを含む磁気プラッタ112を例示しているが、他の実施形態は、より多いまたはより少ない永久磁石部分114および極部分116を含み得る。例えば、一実施形態では、磁気プラッタ112は、1つの永久磁石部分114と、2つの極部分116と、を含み得、1つの極部分116が、永久磁石部分114の各側上に配置されている。
【0018】
磁気プラッタ112および磁気結合デバイス100の構成により、磁気結合デバイス100は、従来の実施形態よりも、強磁性ピース102のうちの1つ以上へのより大きな磁束移動を有し得る。これにより、磁気結合デバイス100が、磁気結合デバイス100に含まれる磁気ボリューム当たりの、より多いおよび/またはより重い強磁性ワークピース102を持ち上げることができることになる。例えば、磁気結合デバイス100は、磁気結合デバイス100の立方mmのボリューム当たり0.35グラム以上の強磁性ワークピース102の保持力を有し得る。別の実施例として、磁気結合デバイス100は、磁気結合デバイス100のハウジング110の立方mmのボリューム当たり0.8グラム以上の強磁性ワークピース102の保持力を有し得る。
【0019】
磁気結合デバイス100を第1のオフ状態と第2のオン状態との間で切り換えるために、磁気プラッタ112は、ハウジング104の内部空洞122内で軸120に沿って直線的に並進可能である。実施形態では、軸120は、鉛直軸120である。代替的に、軸120は、鉛直軸以外の軸である。軸120は、ハウジング104の第1の端部124とハウジング110の第2の端部126との間で延在する。少なくともいくつかの実施形態では、第1の端部124は、ハウジング110の上方部分であり、第2の端部126はハウジング110の下方部分であり、本明細書ではそのように呼ばれ得る。しかしながら、少なくともいくつかの他の実施形態では、第1の端部124は、ハウジング110の上方部分以外のハウジング110の一部分であり、第2の端部126は、ハウジング110の下方部分以外のハウジング110の一部分である。磁気プラッタ112がハウジング110の上方部分124の近くに配置されるときに、磁気結合デバイス100は、第1のオフ状態にある。磁気プラッタ112がハウジング110の下方部分126の近くに配置されるときに、磁気結合デバイス100は、第2のオン状態にある。第1のオフ状態および第2のオン状態に加えて、磁気プラッタ112は、
図3で示されているように、上方部分124と下方部分126との間の1つ以上の中間位置に配置され得る。中間位置は、本明細書で、第3のオン状態と呼ばれ得る。以下で考察されるように、第3のオン状態は、第2のオン状態よりもワークピース接触インターフェース104でより少ない磁束を生成し得る。例えば、第3のオン状態は、磁束の大部分が第1のワークピース102’のみを通って延在する結果となり得、その結果、少量の磁束のみが第2および第3のワークピース102”、102’’’を通って延在する。したがって、第3のオン状態は、図示のように、ワークピース102’をワークピース102”、102’’’からディスタックすることを容易にすることができる。
【0020】
磁気プラッタ112を鉛直軸120に沿って並進させて、磁気結合デバイス100をオン状態とオフ状態との間、および逆も同様に移行させるために、磁気結合デバイス100は、アクチュエータ128を含む。少なくとも1つの実施形態では、アクチュエータ128は、係合部分130および非強磁性取り付け板132を介して磁気プラッタ112に結合されている。すなわち、アクチュエータ128は、非強磁性取り付け板132に結合された係合部分130に結合されており、非強磁性取り付け板132は、磁気プラッタ112に結合および接触している。アクチュエータ128は、係合部分130上に力を与えるように構成されており、それに応じて、係合部分130は、鉛直軸120に沿って並進して、磁気結合デバイス100をオフ状態からオン状態に、および逆も同様に移行させる。すなわち、磁気結合デバイス100をオフ状態からオン状態に移行させるために、アクチュエータ128は、非強磁性取り付け板132および磁気プラッタ112に並進する係合部分130上に下向きの力を与える。それに応じて、磁気プラッタ112は、上方部分124から下方部分126に並進する。逆に、磁気結合デバイス100をオン状態からオフ状態に移行させるために、アクチュエータ128は、非強磁性取り付け板132および磁気プラッタ112に並進する係合部分130上に上向きの力を与える。それに応じて、磁気プラッタ112および非強磁性取り付け板132は、下方部分126から上方部分124に並進する。
【0021】
磁気プラッタ112を第3のオン状態に配置するために、アクチュエータ128は、係合部分130上に力を生成して、磁気プラッタ112を上方部分124から下方部分126に、または逆も同様に並進させ得る。次いで、磁気プラッタ112が上方部分124から下方部分126に、または逆も同様に並進しているときに、ハウジング110内および/またはアクチュエータ128内に配置されたブレーキ134は、
図3で示されているように、磁気プラッタ112、非強磁性取り付け板132および/または係合部分130と係合し、第3のオン状態で磁気プラッタ112を停止させる。
【0022】
例示的なアクチュエータ128は、電気アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、液圧アクチュエータ、および係合部分130上に力を与える他の好適なデバイスを含む。例示的な空気圧リニアアクチュエータが
図4で示されており、それに関連してより詳細に考察される。例示的な電気アクチュエータは、係合部分130に結合された「アンロール」ステータおよびロータを備える電気モーターである。他の例示的な係合部分およびアクチュエータは、「SWITCHABLE PERMANENT MAGNETIC DEVICE」と題する米国特許第7,012,495号、「MODULAR PERMANENT MAGNET CHUCK」と題する米国特許第7,161,451号、「MAGNET ARRAYS」と題する米国特許第8,878,639号、「MAGNETIC COUPLING DEVICE WITH A ROTARY ACTUATION SYSTEM」と題する2015年10月30日出願の米国仮特許出願第62/248,804号、整理番号MTI-0007-01-US-E、および「MAGNETIC COUPLING DEVICE WITH A LINEAR ACTUATION SYSTEM」と題する2015年11月7日出願の米国仮特許出願第62/252,435号、整理番号MTI-0006-01-US-Eで開示されており、その全体の開示は、参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0023】
追加的または代替的に、アクチュエータ128は、コントローラ136および/またはセンサー138Aを含み得る。コントローラ136は、関連するコンピュータ可読媒体、例示的にはメモリ142とともにプロセッサ140を含む。メモリ142は、プロセッサ140によって実行されるときに、磁気デバイス100がオフ状態、第2のオン状態、および/または第3のオン状態にあるように磁気プラッタ112を移動させるように、電子コントローラ136に対してアクチュエータ128に命令させる制御ロジック144を含む。例えば、センサー138Aは、アクチュエータ128の位置を感知し得、磁気プラッタ112の位置に並進するセンサー138Aによって感知される所定の位置に応答して、制御ロジック144は、磁気プラッタ112が所望の位置に達するときに、磁気プラッタ112上に力をかけることを停止するようにアクチュエータ128に命令する。
【0024】
少なくとも1つの実施形態では、アクチュエータ128は、ステッピングモーターであり、アクチュエータ128の回転運動は、アクチュエータ128のシャフトと係合部分130との間の結合(例えば、ギア)を介して、係合部分130の線形運動に変換される。これらの実施形態では、センサー138Aは、ステッピングモーターを駆動するために使用されるパルスをカウントし、パルスの数に基づいて、磁気プラッタ112の位置に変換される、ステッピングモーターのシャフトの位置を判定する。すなわち、磁気プラッタ112は、パルスの数をカウントすることによってモーターが移動するステップによって、規定された位置まで、鉛直軸120に沿って相対的に移動される。別の実施例では、エンコーダをステッピングと一体化して、適切な作動角度が維持されることを確認するステッピングモーターが提供される。
【0025】
別の実施例として、磁気結合デバイス100は、センサー138Bを含み得る。センサー138Bは、ハウジング110内の磁気プラッタ112の位置を測定し得る。例示的なセンサー138Bは、磁気プラッタ112にはり付けられた反射ストリップを監視する光センサーを含む。他のセンサーシステムが、磁気プラッタ112の位置を判定するように使用されてもよい。
【0026】
さらに別の実施例として、磁気結合デバイス100は、1つ以上のセンサー138C(
図1Bで図示されている)を含み得る。センサー138Cは、磁束センサーであり得、一般的に、極板106の上の1つ以上の位置に位置付けられ得る。例示的な磁束センサーは、ホール効果センサーを含む。センサー138Cは、極板106の1つ以上のN極およびS極に近接する漏れ束を測定する。各センサー138Cでの漏れ束の量は、極板106に対する磁気プラッタ112の位置、およびワークピース接触インターフェース104から強磁性ワークピース102に極板106のN極およびS極を通過する束の量に基づいて変化する。極板106のN極およびS極のワークピースインターフェース104の反対の場所で磁束を監視することによって、磁気プラッタ112の相対位置が判定され得る。実施形態では、磁気結合デバイス100は、強磁性ワークピース102の上部上に位置付けられており、磁気プラッタ112がオフ状態から第2のオン状態に移動するときにセンサー138Cによって測定される磁束は、磁気プラッタ112の位置の関数として記録される。磁束の各々は、磁気プラッタ112の所望の位置に割り当てられる。センサー138Cを有する例示的な感知システムは、「Magnetic Coupling Device with at Least One of a Sensor Arrangement and a Degauss Capability」と題する2018年4月27日出願の米国特許出願第15/964,884号で開示されており、その全体の開示は、参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0027】
さらに別の実施例として、磁気結合デバイス100は、1つ以上のセンサー138D(
図1A、
図1B、
図1C、
図2、および
図3に図示されている)を含み得る。センサー138Dは、磁束センサーであり得、一般的に、極板106に隣接して位置付けられ得る。例示的な磁束センサーは、ホール効果センサーを含む。少なくとも1つの実施例では、センサー138Dは、極板106の1つ以上の突起108の端に隣接して位置し、極板106の1つ以上のN極およびS極の側面からの漏れ磁束を測定する。各センサー138Dでの漏れ束の量は、極板106に対する磁気プラッタ112の位置、および、極板106のN極およびS極ならびにワークピース接触インターフェース104を通過して強磁性ワークピース102に到達する束の量に基づいて変化する。極板106に隣接する場所で磁束を監視することによって、磁気プラッタ112の相対位置が判定され得る。実施形態では、磁気結合デバイス100は、強磁性ワークピース102の上部上に位置付けられており、磁気プラッタ112がオフ状態から第2のオン状態に移動するときにセンサー138Dによって測定される磁束は、磁気プラッタ112の位置の関数として記録される。磁束の各々は、磁気プラッタ112の所望の位置に割り当てられる。センサー138Dを有する例示的な感知システムは、「Magnetic Coupling Device with at Least One of a Sensor Arrangement and a Degauss Capability」と題する2018年4月27日出願の米国特許出願第15/964,884号で開示されており、その全体の開示は、参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0028】
少なくともいくつかの実施形態では、磁気結合デバイス100は、シールド板139(
図1A、
図1B、
図1C、
図2、および
図3に図示されている)を含む。シールド板139は、磁気プラッタ112からの磁束を吸収し、磁気結合デバイス100がオフ位置にあるときに、磁気結合デバイス100の外部磁場を低減し得る。シールド板139は、大量の磁束を吸収することができる高磁気飽和材料から形成され得る。一例では、シールド板139は、ハウジング110の外部に位置する。シールド板139の上縁は、磁気プラッタ112の上面と平面であり得る。追加的または代替的に、シールド板139は、ハウジング110に沿って下向きに延在し得、その結果、シールド板139の下縁は、磁気プラッタ112の底部平面を越えて延在する。シールド板139は、磁気結合デバイス100の任意の側に位置することができる。少なくとも1つの実施例では、シールド板139は、磁気結合デバイス100のすべての側面に位置する。別の実施例では、シールド板139Aは、
図1A、
図1Cに示されるように、永久磁石部分114の端部に隣接する磁気結合デバイス100の面上にのみ位置する。別の言い方をすれば、シールド板139Aは、センサー138Dと同じ側(複数可)に位置し得る。別の実施例では、シールド板139Bは、
図2および
図3に示されるように、突起108に平行に延在する磁気結合デバイス110の側面にのみ位置する。
【0029】
実施形態では、コントローラ136は、I/Oデバイス146から受信される入力信号に応答して、磁気結合デバイス100の状態を変更する。例示的な入力デバイスは、ボタンと、スイッチと、レバーと、ダイヤルと、タッチディスプレイと、空気圧バルブと、ソフトキーと、通信モジュールと、を含む。例示的な出力デバイスは、視覚インジケータと、音声インジケータと、通信モジュールと、を含む。例示的な視覚インジケータは、ディスプレイと、ライトと、他の視覚システムと、を含む。例示的な音声インジケータは、スピーカーと、他の好適な音声システムと、を含む。実施形態では、デバイス100は、制御ロジック144のプロセッサ140によって駆動される、1つ以上のLEDの形態でのシンプルな視覚ステータスインジケータを含んで、予め定められた磁気結合デバイス100ステータスが存在するかまたは存在しないときを示す(例えば、磁気結合デバイス100が第1のオフ状態にあるときに赤色LEDがオンで、磁気結合デバイス100が第2のオン状態にあり、強磁性ワークピース102が近接していることが検出されるときに緑色LEDが高速で明滅し、強磁性ワークピース102上の意図された特定のエリア(
図22~
図24に関連する考察を参照)の外側で強磁性ワークピース102と接触するときに黄色LEDとともに緑色LEDがよりゆっくりと明滅し(例えば、部分的に完全な磁気作動回路)、緑色LEDが安定してオンで黄色LEDがオフは、磁気結合デバイス100が閾値限度内で係合していることを示し、安全な磁気結合状態を示す。
【0030】
例えば、一実施形態では、磁気結合デバイス100は、ロボットアームのアームの端に結合されており、I/Oデバイス146は、コントローラ136が、第1のオフ状態、第2のオン状態、または第3のオン状態のうちの1つに磁気結合デバイス100をいつ置くかについての命令をロボットコントローラから受信するネットワークインターフェースである。例示的なネットワークインターフェースは、有線ネットワーク接続と、無線ネットワーク接続のためのアンテナと、を含む。上で考察された実施形態は、電子的、空気圧、または液圧の作動に関するが、代替の実施形態では、磁気結合デバイス100は、人間のオペレータによって手動で作動され得る。
【0031】
磁気結合デバイス100はまた、
図1Aで図示されているように、ハウジング100の上方部分124に、または上方部分124の近くに配置された1つ以上の強磁性ピース148を含み得る。少なくとも1つの実施形態では、非強磁性取り付け板132および強磁性ピース148は、磁気結合デバイス100が第1のオフ位置にあるときに、非強磁性取り付け板132が強磁性ピース148との間で接触して位置するように、ハウジング110内に配置されている。さらに、磁気プラッタ112の上部分は、強磁性ピース148の底部分に接触し得る。別の例示的な実施形態では、強磁性ピース148は、磁気プラッタ112の側面の下に延在し得る。これらの実施形態では、強磁性ピース148は、磁気プラッタ112によって生成される磁場のさらなる吸収を提供することによって、磁気プラッタ112の漏れを低減し得る。
【0032】
少なくとも1つの実施形態では、非強磁性取り付け板132は、非強磁性材料(例えば、アルミニウム、オーステナイト系ステンレス鋼など)で作ることができる。これらの実施形態では、磁気結合デバイス100が第1のオフ状態にあり、磁気プラッタ112および非強磁性取り付け板132が、ハウジング104の上方部分118に、またはその近くに位置するときに、取り付けプラッタ112、強磁性ピース148、および非強磁性取り付け板132の間の1つ以上の回路は、
図1Bに図示されるように生み出される。さらに、磁気結合デバイス100が第1のオフ状態にあるときに、内部空洞116にエアおよび/または低磁化率を有する別の物質を含む(
図1Aの)ギャップ150は、極板106と磁気プラッタ112との間にあり、それらを分離する。その結果、磁気結合デバイス100が第1のオフ状態にあるときに、磁気プラッタ112からの磁束は、ワークピース接触インターフェース104に、および強磁性ワークピース102を通ってほとんどまたは全く延在しない。したがって、磁気結合デバイス100は、強磁性ワークピース102から分離され得る。さらに、取り付けプラッタ112、強磁性ピース148、および非強磁性取り付け板132の間の回路のために、磁気プラッタ112からの磁束のすべてではないにしてもほとんどがハウジング110内に含まれる。
【0033】
強磁性ピース148を含むことのさらなる利点は、磁気プラッタ112の底と極板106との間のギャップ150の距離が、磁気結合デバイス100が非強磁性取り付け板132および強磁性ピース148を含まない場合よりも短くなり得ることである。すなわち、磁気プラッタ112、強磁性ピース148、および非強磁性取り付け板132の間に生み出される1つ以上の回路は、磁気プラッタ112からの磁束のすべてではないにしてもほとんどを、磁気プラッタ112の近くに、および極板106から離れて、ハウジング110内に限定することを容易にする。したがって、磁気結合デバイス100によって強磁性ワークピース102に移動される磁束は、1つ以上の強磁性ワークピース102を持ち上げるには不十分である。別の方法で言うと、磁束は、極板106の底で事実上ゼロであり得、したがって、磁束は、磁気結合デバイス102によって強磁性ワークピース102に事実上移動されず、これは、磁気結合デバイス102がオフ状態と1つ以上のオン状態との間で移行するときに、磁気プラッタ112が移動する必要がある全体的に必要な高さ(以下の高さ182を参照)を低減する。
【0034】
逆に、非強磁性取り付け板132および強磁性ピース148が磁気結合デバイス102に含まれない場合、磁気プラッタ112からのより少ない磁束が、ハウジング110内および/または磁気プラッタ112の近くにとどまる。そして、より少ない磁束が磁気プラッタ112の近くにとどまるため、磁束が極板106を通って下に延在して磁気結合デバイス100を強磁性ワークピース102のうちの1つ以上に結合しないようにするために、磁気プラッタ112の底と極板106との間のギャップ150はより大きくなければならない。ギャップ150が図示された実施形態でより小さいことにより、磁気結合デバイス100は、これらの特徴を有さない他の磁気結合デバイスよりも小さくあり得る。
【0035】
一実施例として、磁気プラッタ112が第1のオフ状態から第2のオン状態に移行するように移動し得るギャップ150は、8mm以下であり得る。逆に、第2のオン状態から第1のオフ状態に移行するために、磁気プラッタ112は、8mm以下を移動し得る。
【0036】
図示された実施形態の別の利点は、ギャップ150がより小さいことにより、より少ないエネルギーが、ハウジング110内の鉛直軸120に沿って磁気プラッタ112を並進させるようにアクチュエータ128によって使用され得ることである。図示された実施形態のさらに別の利点は、アクチュエータ128が磁気プラッタ112を第1のオフ位置から第2のオン位置に並進させ、磁気プラッタ112が極ピース106と接触状態になるときに、磁気プラッタ112が壊れにくくなることである。これは、低減されたギャップ150により、磁気プラッタ112が移行中のより少ない運動量を構築した結果である。図示された実施形態のさらに別の利点として、磁気結合デバイス100がオフ状態にある間に磁気結合デバイス100が故障した場合、非強磁性取り付け板132および強磁性ピース148により、磁気結合デバイス100は、オン状態に移行しない。したがって、磁気結合デバイス100は、磁気結合デバイスが故障したときにオフ状態からオン状態に移行する磁気結合デバイスよりも安全である。逆に、磁気結合デバイス100が非強磁性取り付け板132および/または強磁性ピース148を含まない場合、オフ位置で生み出される磁気回路がないことにより、磁気プラッタ112は、オン状態により移行しやすくなり得る。
【0037】
上述のように、磁気プラッタ106がハウジング104の下方部分126に、または下方部分126の近くに位置付けられるときに、磁気結合デバイス100は、第2のオン状態にある。
図2で図示されているように、磁気結合デバイス100が第2のオン状態にあるときに、磁気プラッタ106からの磁束は、強磁性ワークピース102のうちの1つ以上を通って延在する。したがって、磁気結合デバイス100が第1のオン状態にあるときに、磁気結合デバイス100は、1つ以上の強磁性ワークピース102に結合するように構成されている。磁束線が両方の強磁性ワークピース102’、102”を通過するように図示されているが、いくつかの実施形態では、磁束線は主に、強磁性ワークピース102’のみを通過する。磁束線が主に、第1の強磁性ワークピース102’を通過するときに、磁気結合デバイス100は、強磁性ワークピース102を互いにディスタックおよび分離するように使用され得る。
【0038】
磁気結合デバイス100が第2のオン状態にあるときに、磁束線が主に第1の強磁性ワークピース102’のみを通過することを容易にするために、磁気プラッタ112は、取り外し可能で置き換え可能であり得、これにより、異なる強度、高さ、および/または幅の磁気プラッタ112が磁気結合デバイス100で使用されることが可能になる。磁気プラッタ112の強度、高さ、および/または幅は、磁気結合デバイス100が第2のオン位置にあるときに、強磁性ワークピース102が十分に互いにディスタックおよび分離され得るように、強磁性ワークピース102の厚さに基づいて選択され得る。
【0039】
追加的または代替的に、極板106は、取り外し可能で置き換え可能であり得、これにより、異なるタイプの極板106が磁気結合デバイス100で使用されることが可能になる。例えば、極板106は、磁気結合デバイス100が結合されている強磁性ワークピース102のタイプに基づいて選択され得る。例えば、磁気結合デバイス100は、引っかかれるかまたは傷つけられ得ないクラスAの表面を取り扱い得る。その結果、ワークピース接触インターフェース上に配置されたゴム(または強磁性ワークピース102が引っかかれるかまたは傷つけられる可能性を低減する別の材料)を有する極板106が選択され、磁気結合デバイス100内に組み込まれ得る。別の実施例として、異なる突起および/またはギャップを有する極板106が、磁気結合デバイス100が結合されている強磁性ワークピース102の厚さに基づいて選択され得る。突起および/またはギャップの関連性のさらなる実施例は、
図7~
図13に関連して下記でより詳細に説明されている。
【0040】
図4に関連して以下でより詳細に考察されるように、ハウジング104は、磁気プラッタ112および/または極板106が容易に取り外し可能で置き換え可能であることを可能にする様式で構成されている。
【0041】
追加的または代替的に、磁気結合デバイス100は、上述のように1つ以上の中間状態に移行し得る。例えば、磁気結合デバイス100は、
図3で図示されているように、第3のオン状態に移行し得る。第3のオン状態は、磁気プラッタ112が、磁気結合デバイス100が第1のオフ状態にあるときの磁気プラッタ112の場所と、磁気結合デバイス100が第2のオン状態にあるときの磁気プラッタ112の場所との間で、鉛直軸120に沿って位置するときである。同じ磁気プラッタ112が使用されている実施形態では、
図3で図示されているように、磁気結合デバイス100が第2のオン状態にあるときよりも少ない磁束が、磁気結合デバイス100が第3のオン状態にあるときに、ワークピース接触インターフェース104を通って強磁性ワークピース102内を通る。すなわち、同じ強度の磁気プラッタ112が、
図2および
図3で示された実施形態で使用されていると仮定すると、磁束線は、
図2において両方の強磁性ワークピース102’、102”を通過するが、一方、磁束線は、
図3において強磁性ワークピース102’のみを通過する。第3のオン状態になることができることによって、磁気結合デバイス100は、磁気プラッタ112を異なる強度の磁気プラッタ112に置き換える必要なく、異なる厚さの強磁性ワークピース102をディスタックすることができ得る。
【0042】
上述のように、極板106は、複数の突起108を含む。突起108の各々は、極部分116のそれぞれの極部分についての極延長部として機能する。すなわち、磁気結合デバイス100が第2または第3のオン状態にあるときに、極部分116のそれぞれのN極またはS極は、それぞれの突起108を通って下に延在する。次いで、N極部分116から、それぞれのN-極突起108を通り、1つ以上の強磁性ワークピース102を通り、S-極突起108を通り、S極部分116を通る磁気回路が生み出される。磁気結合デバイス100がオン状態にあるときに、各永久磁石部分はこれらの磁気回路のうちの1つを生み出す。
図7~
図13に関連して下記でより詳細に説明されているように、突起108のサイズおよびその間の距離は、強磁性ワークピース102への束移動に影響を及ぼし、強磁性材料102のより効果的なディスタックおよび増加した保持力を可能にする。例えば、少なくともいくつかの実施形態では、強磁性ワークピース102の強磁性ピース102’を通って移動される磁束が最高に集中することを達成し、したがって、強磁性ワークピース102’を強磁性ワークピース102”、102’’’からディスタックすることができる最高の可能性を有するために、突起(例えば、幅および高さ)ならびにその間のギャップのサイズは、強磁性ワークピース102の厚さとほぼ一致すべきである。
【0043】
NおよびS突起108を分離するために、極板106は、1つ以上の非強磁性ピース152(
図1Bで示されている)を受容するように構成されたスロットを含み得る。非強磁性ピース152は、突起108の各々の間のそれぞれのエンベロープ154(
図1Bで示されている)内に配置され得る。非強磁性ピース152により、永久磁石部分114によって生み出される磁気回路は、実質的に非強磁性ピース152を通って延在せず、したがって、NおよびS突起は互いに分離されている。さらに、上述のように、突起108により、極板106が複数の突起108を含まない場合よりも、磁気プラッタ112からの磁束がワークピース接触インターフェース104により近くになることになる。磁気プラッタ112からの磁束がワークピース接触インターフェース104のより近くに集中することを容易にする突起108の異なる態様は、
図7~
図13に関連して下記で考察されている。
【0044】
図4を参照すると、磁気結合デバイス100の分解図が図示されている。図示されているように、ハウジング110は、上方部分110Bに解放可能で固定可能な下方部分110Aを含む。下方部分110Aは、1つ以上のねじ156を使用して、上方部分110Bに固定され得る。以下で説明されるように、ねじ156は、ハウジング110内に配置された磁気結合デバイス110の構成要素への簡単なアクセスを提供し得る。
【0045】
下方部分110Aおよび上方部分110Bを接合する前に、下方部分110Aは、極板106を受容する。少なくとも1つの実施形態では、下方部分110Aは、極板106のタブ160を受容するように構成された凹部/切り欠き158を含む。タブ160は、下方部分110A内の極板106の適切な位置付けを容易にする。現在設置されている極板106とは異なる突起108を備える極板106が望まれる場合、極板106の適切な位置付けは、極板106の簡単な交換を容易にし得る。例えば、ハウジング110の下方部分110Aは、ねじ156を取り外すことによって、上方部分110Bから分離され得る。次いで、極板106が、下方部分110Aから取り外され得る。その後、異なる突起108を有する別の極板106が、タブ160が凹部/切り欠き158によって受容されるように、下方部分110Aに挿入され得る。最後に、ねじ156が、下方部分110Aを上方部分110Aに固定するように使用され得る。
【0046】
極板106を置き換えることに加えて、またはその代わりに、磁気結合デバイス100の設計はまた、磁気プラッタ112の簡単な取り外しおよび交換を容易にする。例えば、図示されているように、非強磁性取り付け板132は、1つ以上のねじ161を介して磁気プラッタ116に結合されている。下方部分110Aを上方部分110Bから取り外した後、磁気プラッタ116が、ねじ161がアクセスされ得るように、鉛直軸120に沿って下げられ得る。ねじ161が外されると、磁気プラッタ116が、非強磁性取り付け板132から分離され得、別の磁気プラッタ116と交換され得る。新しい磁気プラッタ116は、ねじ161を使用して、非強磁性取り付け板132に固定され得る。その後、下方部分110Aおよび上方部分110Bは、ねじ156を使用して、ともに結合され得る。
【0047】
いくつかの場合では、磁気プラッタ116が破損または損傷した場合、磁気プラッタ116が置き換えられる必要があり得る。他の場合では、磁気プラッタ116は、より強いまたはより弱い磁場を生成する磁気プラッタ116に置き換えられる必要があり得る。上で考察されたように、磁気プラッタ116をより強いまたはより弱い磁気を有する磁気プラッタ116に置き換えることは、強磁性ワークピース102のディスタックを容易にし得る。例えば、第1の磁気プラッタ116は、両方の強磁性ワークピース102’、102”を持ち上げるために、第1および第2の強磁性ワークピース102’、102”を通る十分な磁束を生成し得る。しかしながら、第1の強磁性ワークピース102’を第2の強磁性ワークピース102”から分離することが望ましい場合がある。これらの場合では、第1の磁気プラッタ116よりも弱く、第1の強磁性ワークピース102’を持ち上げるのに十分な、強磁性ワークピース102を通る磁束だけを生成する第2の磁気プラッタ116が、第1の磁気プラッタ116に置き換えられ得る。
【0048】
図示された実施形態では、アクチュエータ128の下方部分128Aは、1つ以上のねじ162を使用してハウジング110に結合される。したがって、下方部分128Aは、ハウジング110に対するカバーとして機能する。さらに、強磁性ピース148は、1つ以上のねじ162を使用して、アクチュエータ128の底部分128Aに結合される。したがって、磁気プラッタ112および非強磁性取り付け板132がハウジング110の上方部分に移動され、磁気結合デバイス100が第1のオフ位置にあるとき、磁気プラッタ112および非強磁性取り付け板132は、強磁性ピース148の近くおよび/または接触して配置される。次いで、磁気プラッタ112のN極部分116から、強磁性ワークピース148のうちの1つを通り、非強磁性取り付け板132を通り、他の強磁性ワークピース148を通り、磁気プラッタ112のS極部分116に、磁気回路が形成される。回路は、上で考察された磁気結合デバイス100に対して多くの利点をもたらす。
【0049】
図示されているように、非強磁性取り付け板132は、ねじ166で係合部分130に結合される。係合部分130は、第1の部分130Aと、第2の部分130Bと、を含み、少なくともいくつかの実施形態では、第1の部分130Aは、第2の部分130Bよりも小さい断面積を有する。少なくとも1つの実施形態では、第1の部分130Aは、底部分128Aで導管168を通って延在し、ねじ166を介して非強磁性取り付け板132に結合される。係合部分130を非強磁性取り付け板132に結合することにより、鉛直軸120に沿った係合部分130の並進は、非強磁性取り付け板132および磁気プラッタ112を鉛直軸120に沿って並進させる。
【0050】
鉛直軸120に沿って係合部分130を並進させるために、アクチュエータ128が、空気圧で作動され得る。例えば、アクチュエータのハウジング128Bは、第1のポート174Aと第2のポート174Bとを含むポート174を含み得る。エアが、エアコンプレッサまたは他の方法を介して、ポート174A内に提供されるときに、アクチュエータのハウジング128B内および第2の部分130Bの上の圧力が増加し、これにより、係合部分130が鉛直軸120に沿って下向きに移動することになる。係合部分130の並進により、磁気プラッタ112は、磁気結合デバイス100が第1のオフ状態から第2のオン状態もしくは第3のオン状態、または第3のオン状態から第2のオン状態に移行されるように、鉛直軸120に沿って下向きに移動することになる。アクチュエータのハウジング128B内および係合部分130の上でポート174A内に提供されるエアを限定するために、アクチュエータ128は、1つ以上のねじ176を介して、アクチュエータのハウジング128Bに固定されるカバー(示されていない)を含み得る。追加的または代替的に、第2の部分130Bの上の圧力に対して第2の部分130Bの下の圧力を低減するために、エアがポート174Bから取り出され得、これにより、係合部分130が鉛直軸120に沿って下向きに移動することになる。
【0051】
逆に、エアがポート174B内に提供されるときに、アクチュエータのハウジング128B内および第2の部分130Bの下の圧力が増加し、これにより、板が鉛直軸120に沿って上向きに移動することになる。係合部分130の並進により、磁気プラッタ112は、磁気結合デバイス100が第2のオン状態から第3のオン状態もしくは第1のオフ状態、または第3のオン状態から第1のオフ状態に移行されるように、鉛直軸120に沿って上向きに移動することになる。追加的または代替的に、第2の部分130Bの下の圧力に対して第2の部分130Bの上の圧力を低減するために、エアがポート174Aから取り出され得、これにより、係合部分130が鉛直軸120に沿って上向きに移動することになる。
【0052】
少なくともいくつかの他の実施形態では、ポート174A、174Bは、ハウジング110Bを通して形成され得、圧力または圧力の減少が、磁気プラッタ112の上部または磁気112の底に適用されて、鉛直軸120に沿って磁気プラッタ112を並進させ得る。
【0053】
図5および
図6は、強磁性ワークピース102上の異なる位置での
図1A~
図1Bの磁気結合デバイスの上部断面図を図示する。
図5を参照すると、磁気プラッタ112が強磁性ワークピース102’上に示されている。図示されているように、磁気プラッタ112のフットプリントの全体が、強磁性ワークピース102’上に置かれている。本明細書で使用されるように、フットプリントという用語は、磁気プラッタ112の表面積、すなわち、幅180×高さ182として定義され得る。最も多くの量の磁束が、磁気プラッタ112から強磁性ワークピース102’に移動されるために、磁気プラッタ112の全体のフットプリントが強磁性ワークピース102’上に置かれることが好ましい。磁気プラッタ112の全体のフットプリントが強磁性ワークピース102’上に置かれるときに、磁気結合デバイス100は、磁気プラッタ112のフットプリントの1平方mmの面積当たり22.0グラム以上の強磁性ワークピース102を持ち上げるように構成され得る。
【0054】
磁気プラッタ112の全体のフットプリントを強磁性ワークピース102’上に置くことが好ましいが、多くの場合、磁気プラッタ112は、
図6で示されているように強磁性ワークピース102’上に置かれる。これは、磁気結合デバイス100が、(
図14の)ロボットシステム600などのロボットシステムのためのアームユニットの端に取り付けられているときに発生し得、磁気プラッタ112の強磁性ワークピース102’上への配置は、磁気結合デバイス100の決定された位置、コンピュータビジョン、および/または他の何らかの自動化されたプロセスを使用して実行されている。
【0055】
図6に示されるように、磁気プラッタ112が強磁性ワークピース102’上に置かれる場合、磁気プラッタ112の構成は、いくつかの利点を提供し得る。具体的には、他の磁気結合デバイスと比較して、磁気プラッタ112が強磁性ワークピース102’を持ち上げるときに、磁気プラッタ112が強磁性ワークピース102’から剥離する可能性が低くなり得る。すなわち、複数の永久磁石部分114が磁気プラッタ112に含まれているために、磁気プラッタ112が、
図6で示されるように強磁性ワークピース102’上に置かれているときに、最も左の永久磁石部分114のみが強磁性ワークピース102’から外れる。したがって、5つの他の磁気回路が依然として、磁気プラッタ112と強磁性ワークピース102’との間に形成される。したがって、磁気プラッタ112は依然として、約83%の能力(5/6=.83)で動作し得る。比較すると、磁気プラッタ112が1つの永久磁石部分114のみを含む場合、極部分の1/3が強磁性ワークピース102’から外れるために、磁気回路の1/3は、強磁性ワークピース102’で形成されない。したがって、磁気プラッタ112は、約66%の能力で動作し得る。別の例として、磁気プラッタが1つ以上のN極および1つ以上のS極を含む円形フットプリントを有し、磁気プラッタが、強磁性ワークピース102上に部分的にのみ置かれた場合、極のうちの1つまたは複数の極の大部分が強磁性ワークピース102から離れ、それによって磁気プラッタの保持力が大幅に減少する。
【0056】
上で述べたように、極板106は、離間した突起108を有し得る。
図7~
図13を参照すると、
図1A~
図1Cの磁気結合デバイスに組み込むことができる極板106および突起108の例示的な部分である。
【0057】
図7は、極板106として使用することができる極板200の例示的な部分の一部の側面図である。極板200は、極板200の底部分208上に配置された複数の突起206を含む。突起206の各々は、凹部210によって分離されている。加えて、複数の突起206は、極板200のワークピース接触インターフェース212を集合的に形成している。
【0058】
極板200に含まれる複数の突起206により、極板200を含む磁気結合デバイスは、突起206を含まない極板を含む磁気結合デバイスよりも、ワークピース接触インターフェース212の近くにより強い磁場を生成する。ワークピース接触インターフェース212の近くで生成される磁場は、本明細書で浅い磁場と呼ばれ得る。さらに、極板200上に複数の突起206を含むことによって、極板200を含む磁気結合デバイスは、突起206を含まない磁気結合デバイスよりも、極板200からより深い深さでより弱い磁場を生成する。極板200からより遠くで生成される磁場は、本明細書で、極板200によって生成される遠方場磁場または深磁場と呼ばれ得る。別の方法で言うと、突起206を有する極板200を含む磁気デバイスは、突起206を含まない同じ高さの連続的なインターフェースを備える極板を含む磁気デバイスよりも、ワークピース接触インターフェース212の近くにより強い保持力を有する。
【0059】
極板200の突起206が、より強い浅い磁場およびより弱い遠方場磁場の生成を容易にする結果として、極板200を含む磁気結合デバイスは、突起206のない極板を有する磁気結合デバイスよりも良好に薄い強磁性ワークピース102をディスタックするために使用され得る。すなわち、突起206を有さない極板を含む磁気デバイスは、複数の薄い強磁性ワークピース102が磁気結合デバイスに結合される結果となる、より強い遠方場磁場を生成し得る。薄い強磁性ワークピース102のスタックアレイから単一の薄い強磁性ワークピース102を得ようとするときに、これは望ましくない結果である。したがって、強磁性ワークピース102をディスタックするために、突起206のない極板を含む磁気デバイスを使用する代わりに、突起206を含む極板200が使用され得る。
【0060】
実施形態では、突起206の幅214を変化させることにより、異なる浅い磁場が同じ磁気結合デバイスによって生成されることになる。例えば、磁気突起206の幅214が増加するにつれて、浅い磁場は減少し、遠方場磁場は増加する。したがって、特定の強磁性ワークピース102のために好ましい浅い磁場を生成するために、突起206の幅214は、ディスタックされる強磁性ワークピース102の厚さの約+/-25%以内の幅を有し得る。例えば、磁気結合デバイスが2mmの厚さの強磁性ワークピース102をディスタックするとき、突起206の幅214は、約2mm(例えば、2mm+/-25%)であり得る。実施形態では、これは、ワークピース接触インターフェース212から0mm~2mmの深さの強い浅い磁場を生成する。しかしながら、少なくとも1つの実施形態では、限界未満の厚さを有するいくつかの強磁性ワークピース102のために好ましい浅い磁場を生成することについての限度が存在し得る。すなわち、Xmm未満の厚さを有する強磁性ワークピース102のために、好ましい浅い磁場は、Xmmの下限にあるが下限以上である幅214を有する突起206によって生成され得る。すなわち、1/2*Xmmの厚さを有するワークピース102のために好ましい磁場を生成するために、突起206の幅214は、1/2*Xmmの+/-25%の代わりに、Xmmの下限であり得る。しかしながら、強磁性ワークピース102の厚さがXmm以上である場合、幅214は、強磁性ワークピース102の厚さにほぼ等しく(例えば、+/-25%)あり得る。下限の実施例は、0mm~2mmの範囲であり得る。しかしながら、これは単なる実施例であり、限定することを意味するものではない。
【0061】
少なくとも1つの実施形態では、極板200を含む磁気結合デバイスが、異なる厚さを有する強磁性ワークピース102に結合しているときに、強磁性ワークピースの厚さの平均である幅214を有する極板200が、極板を変更する必要性を低減するために使用され得る。しかしながら、上記と同様に、下限(例えば、2.0mm)が適用されてもよく、その結果、強磁性ワークピース102の平均厚さが下限未満(すなわち、<2.0mm)である場合、幅214は、下限(すなわち、2.0mm)であるように構成され得る。
【0062】
実施形態では、凹部210の深さ216および/または幅218を変化させることにより、異なる浅い磁場が同じ磁気結合デバイス100によって生成されることになる。実施形態では、特定の強磁性ワークピース102のために適切な浅い磁場を生成するために、凹部210の深さ216および/または幅218は、突起206の幅214とほぼ同じ(例えば、+/-25%)であり得る。例えば、突起206の幅214が2mmである場合、凹部210の深さ216および/または幅218は、約2mm(例えば、2mm+/-25%)であり得る。実施形態では、これは、接触インターフェース212から0mm~2mmの深さの強い浅い磁場を生成する。しかしながら、上記と同様に、限界未満の厚さを有するいくつかの強磁性ワークピース102のために好ましい浅い磁場を生成することについての限度が存在し得る。すなわち、Xmm未満の厚さを有する強磁性ワークピース102の場合、好ましい浅い磁場は、Xmmの下限にあるが下限以上である深さ216および幅218によって生成され得る。すなわち、1/2*Xmmの厚さを有する強磁性ワークピース102のために好ましい磁場を生成するために、深さ216および幅218は、1/2*Xmmの+/-25%の代わりに、Xmmの下限であり得る。しかしながら、強磁性ワークピース102の厚さがXmm以上である場合、深さ216および幅218は、強磁性ワークピース102の厚さにほぼ等しく(例えば、+/-25%)あり得る。
【0063】
上記と同様に、極板200を含む磁気結合デバイス100が、異なる厚さを有する強磁性ワークピース102に結合しているときに、強磁性ワークピース102の厚さの平均である、凹部210の深さ216および/または幅218を有する極板200が、極板を変更する必要性を低減するために使用され得る。さらに、強磁性ワークピース102の平均厚さが下限未満(すなわち、<2.0mm)である場合、深さ216および幅218が下限(すなわち、2.0mm)であるように構成され得るように、下限(例えば、2.0mm)が適用され得る。
【0064】
極板200は、磁気結合デバイス100に解放可能に結合され得る。したがって、極板200の突起206が、磁気デバイス100が結合している強磁性ワークピース102に対して適切な幅214、深さ216、および/または幅218を有さないときに、極板200は、より適切な極板200によって置き換えられ得る。
【0065】
図8は、極板106として使用することができる極板300の別の例示的な部分の一部の側面図である。
図7で示されている極板200と同様に、極板300は、極板300の底部分308上に配置された複数の突起306を含む。突起306の各々は、凹部分310によって分離されている。複数の突起306は、極板300のワークピース接触インターフェース312を集合的に形成している。
【0066】
上記と同様に、突起306の幅314ならびに/または凹部310の深さ316および/もしくは幅318を変化させることにより、異なる浅い磁場が同じ磁気結合デバイス100によって生成されることになる。実施形態では、特定の強磁性ワークピース102のために適切な浅い磁場を生成するために、突起の幅314ならびに/または凹部310の深さ316および/もしくは幅318は、磁気結合デバイス100に結合される強磁性ワークピース102の厚さとほぼ同じ(例えば、+/-25%)であり得る。しかしながら、少なくとも1つの実施形態では、限界未満の厚さを有するいくつかの強磁性ワークピース102のために好ましい浅い磁場を生成することについての限度が存在し得る。すなわち、Xmm未満の厚さを有する強磁性ワークピース102のために、好ましい浅い磁場は、Xmmの下限にあるが下限以上である、幅314、深さ316、および/または幅318によって生成され得る。すなわち、1/2*Xmmの厚さを有する強磁性ワークピース102のために好ましい磁場を生成するために、幅314、深さ316、および/または幅318は、1/2*Xmmの+/-25%の代わりに、Xmmの下限であり得る。しかしながら、強磁性ワークピース102の厚さがXmm以上である場合、幅314、深さ316、および/または幅318は、強磁性ワークピース102の厚さにほぼ等しく(例えば、+/-25%)あり得る。下限の実施例は、0mm~2mmの範囲であり得る。しかしながら、これは単なる実施例であり、限定することを意味するものではない。
【0067】
代替的に、極板300を含む磁気結合デバイスが、異なる厚さを有する強磁性ワークピース102に結合しているときに、強磁性ワークピース102の厚さのほぼ平均である、幅314、深さ316、および/または幅318を有する極板300が、極板を変更する必要性を低減するために使用され得る。しかしながら、上記と同様に、強磁性ワークピース102の平均厚さが下限未満(すなわち、<2.0mm)である場合、幅314、深さ316、および/または幅318が下限(すなわち、2.0mm)であるように構成され得るように、下限(例えば、2.0mm)が適用され得る。
【0068】
図9を参照すると、突起306の間の凹部310は、それらの上方端で連続的な傾斜輪郭(傾斜がすべての点で規定されており、鋭い角がない)を有し得る。湾曲した凹部310は、鋭い角を有する凹部を含む極板を含む磁気結合デバイスよりも、強磁性ワークピース102へのより高い磁束移動を有し得る。実施形態では、高い磁束移動を提供するために、湾曲した凹部310の曲率半径324は、凹部310の幅318の約1/2であり得る。テストデータは、凹部324の幅318の1/2である、凹部310の傾斜輪郭を含むことによって、3%を超える改善が得られ得ることを示している。
【0069】
図10は、極板106として使用することができる別の例示的な極板400の一部の側面図である。
図6および
図7にそれぞれ示されている極板200、300と同様に、極板400は、極板400の底部分408上に配置された複数の突起406を含む。突起406の各々は、凹部410によって分離されている。複数の突起406は、極板400のワークピース接触インターフェース412を集合的に形成している。
【0070】
上記と同様に、突起406の幅414ならびに/または凹部410の深さ416および/もしくは幅418を変化させることにより、異なる浅い磁場が同じ磁気結合デバイス100によって生成されることになる。実施形態では、特定の強磁性ワークピース102のために適切な浅い磁場を生成するために、突起406の幅414ならびに/または凹部410の深さ416および/もしくは幅418は、強磁性ワークピース102の厚さとほぼ同じ(例えば、+/-25%)であり得る。しかしながら、少なくとも1つの実施形態では、限界未満の厚さを有するいくつかの強磁性ワークピース102のために好ましい浅い磁場を生成することについての限度が存在し得る。すなわち、Xmm未満の厚さを有する強磁性ワークピース102のために、好ましい浅い磁場は、Xmmの下限にあるが下限以上である、幅414、深さ416、および/または幅418によって生成され得る。すなわち、1/2*Xmmの厚さを有する強磁性ワークピース102のために好ましい磁場を生成するために、幅414、深さ416、および/または幅418は、1/2*Xmmの+/-25%の代わりに、Xmmの下限であり得る。しかしながら、強磁性ワークピース102の厚さがXmm以上である場合、幅414、深さ416、および/または幅418は、強磁性ワークピース102の厚さにほぼ等しく(例えば、+/-25%)あり得る。下限の実施例は、0mm~2mmの範囲であり得る。しかしながら、これは単なる実施例であり、限定することを意味するものではない。
【0071】
代替的に、極板400を含む磁気結合デバイスが、異なる厚さを有する強磁性ワークピース102に結合しているときに、強磁性ワークピース102の厚さの平均である、幅414、深さ416、および/または幅418を有する極板400が、極板を変更する必要性を低減するために使用され得る。しかしながら、上記と同様に、強磁性ワークピース102の平均厚さが下限未満(すなわち、<2.0mm)である場合、幅414、深さ416、および/または幅418が下限(すなわち、2.0mm)であるように構成され得るように、下限(例えば、2.0mm)が適用され得る。
【0072】
実施形態では、極板400はまた、凹部410で突起406の間に配置された圧縮性部材420を含み得る。実施形態では、極板400を含む磁気デバイス100が強磁性ワークピース102に結合するときに、圧縮性部材420が縮む。圧縮性部材420の圧縮により、突起406と強磁性ワークピース102との間の静止摩擦よりも潜在的に大きい、圧縮性部材420と強磁性ワークピース102との間の静止摩擦が生み出される。したがって、極板400を含む磁気デバイス100に結合された強磁性ワークピース102は、強磁性ワークピース102が圧縮性部材420を含まない極板に結合された場合よりも、回転および並進しにくくなり得る。実施形態では、圧縮性部材420は、イソプレン、ポリウレタン、ニトリルゴムおよび/または同様のもののポリマーなどの弾性材料で構成され得る。
【0073】
図11A~
図11Bは、極板106として使用することができる別の例示的な極板500を示す。
図7、
図8、および
図10で示されている極板200、300、400と同様に、極板500は、極板500の底部分504上に配置された複数の突起502を含む。突起502の各々は、凹部506によって分離されている。複数の突起502は、極板500のワークピース接触インターフェース508を集合的に形成している。
【0074】
図示されているように、ワークピース接触インターフェース508は、非平面である。実施形態では、非平面のワークピース接触インターフェース508は、磁気結合デバイス100を非平面の表面を有する強磁性ワークピースに結合することを容易にし得る。例えば、極板500を含む磁気結合デバイス100は、磁気結合デバイス100を1つ以上のタイプのロッド、シャフト等(例えば、カムシャフト)に結合するために使用され得る。ワークピース接触インターフェース508は、湾曲した表面510を含むが、ワークピース接触インターフェース508は、任意の他のタイプの非平面の表面を有し得る。例えば、ワークピース接触インターフェース508は、ワークピース接触インターフェース508を含む磁気結合デバイスが結合することを意図される強磁性ピースと同様の外形を含み得る。
【0075】
非平面のワークピース接触インターフェース508を有するにもかかわらず、突起502の幅512ならびに/または凹部506の深さ514および/もしくは幅516を変化させることにより、異なる浅い磁場が同じ磁気結合デバイスによって生成されることになる。実施形態では、特定の強磁性ワークピース102のために適切な浅い磁場を生成するために、突起552の幅512ならびに/または凹部506の深さ514および/もしくは幅516は、強磁性ワークピース102の厚さとほぼ同じ(例えば、+/-25%)であり得る。しかしながら、少なくとも1つの実施形態では、限界未満の厚さを有するいくつかの強磁性ワークピース102のために好ましい浅い磁場を生成することについての限度が存在し得る。すなわち、Xmm未満の厚さを有する強磁性ワークピース102のために、好ましい浅い磁場は、Xmmの下限にあるが下限以上である、幅512、深さ514、および/または幅516によって生成され得る。すなわち、1/2*Xmmの厚さを有する強磁性ワークピース102のために好ましい磁場を生成するために、幅512、深さ514、および/または幅516は、1/2*Xmmの+/-25%の代わりに、Xmmの下限であり得る。しかしながら、強磁性ワークピース102の厚さがXmm以上である場合、幅512、深さ514、および/または幅516は、強磁性ワークピース102の厚さにほぼ等しく(例えば、+/-25%)あり得る。下限の実施例は、0mm~2mmの範囲であり得る。しかしながら、これは単なる実施例であり、限定することを意味するものではない。
【0076】
代替的に、極板500を含む磁気結合デバイスが、異なる厚さを有する強磁性ワークピース102に結合しているときに、強磁性ワークピース102の厚さの平均である、幅512、深さ514、および/または幅516を有する極板500が、極板を変更する必要性を低減するために使用され得る。しかしながら、上記と同様に、強磁性ワークピース102の平均厚さが下限未満(すなわち、<2.0mm)である場合、幅512、深さ514、および/または幅516が下限(すなわち、2.0mm)であるように構成され得るように、下限(例えば、2.0mm)が適用され得る。
【0077】
図12A~
図12Bは、極板106として使用することができる別の例示的な極板550を示す。
図7、
図8、
図10、
図11A~
図11Bで示されている極板200、300、400、500と同様に、極板550は、極板550の底部分554上に配置された複数の突起552を含む。突起552の各々は、凹部分556によって分離されている。複数の突起552は、極板550のワークピース接触インターフェース558を集合的に形成している。
【0078】
図示されているように、ワークピース接触インターフェース558は、非平面である。実施形態では、非平面のワークピース接触インターフェース558は、磁気結合デバイス100を非平面の表面を有する強磁性ワークピースに結合することを容易にし得る。例えば、極板550を含む磁気結合デバイスは、磁気結合デバイス100を強磁性ワークピースの1つ以上の縁、角等に結合するために使用され得る。ワークピース接触インターフェース558は、中心点562から延在する2つの下向きに傾斜している表面560を含むが、ワークピース接触インターフェース558は、任意の他のタイプの非平面の表面を有し得る。例えば、ワークピース接触インターフェース558は、ワークピース接触インターフェース558を含む磁気結合デバイスが結合することを意図される強磁性ピースと同様の外形を含み得る。
【0079】
非平面のワークピース接触インターフェース558を有するにもかかわらず、突起552の幅564ならびに/または凹部556の深さ566および/もしくは幅568を変化させることにより、異なる浅い磁場が同じ磁気結合デバイスによって生成されることになる。実施形態では、特定の強磁性ワークピース102のために適切な浅い磁場を生成するために、突起552の幅564ならびに/または凹部556の深さ566および/もしくは幅568は、強磁性ワークピース102の厚さとほぼ同じ(例えば、+/-25%)であり得る。しかしながら、少なくとも1つの実施形態では、限界未満の厚さを有するいくつかの強磁性ワークピース102のために好ましい浅い磁場を生成することについての限度が存在し得る。すなわち、Xmm未満の厚さを有する強磁性ワークピース102のために、好ましい浅い磁場は、Xmmの下限にあるが下限以上である、幅564、深さ566、および/または幅568によって生成され得る。すなわち、1/2*Xmmの厚さを有する強磁性ワークピース102のために好ましい磁場を生成するために、幅564、深さ566、および/または幅568は、1/2*Xmmの+/-25%の代わりに、Xmmの下限であり得る。しかしながら、強磁性ワークピース102の厚さがXmm以上である場合、幅564、深さ566、および/または幅568は、強磁性ワークピース102の厚さにほぼ等しく(例えば、+/-25%)あり得る。下限の実施例は、0mm~2mmの範囲であり得る。しかしながら、これは単なる実施例であり、限定することを意味するものではない。
【0080】
代替的に、極板550を含む磁気結合デバイスが、異なる厚さを有する強磁性ワークピース102に結合しているときに、強磁性ワークピース102の厚さの平均である、幅564、深さ566、および/または幅568を有する極板550が、極板を変更する必要性を低減するために使用され得る。しかしながら、上記と同様に、強磁性ワークピース102の平均厚さが下限未満(すなわち、<2.0mm)である場合、幅564、深さ566、および/または幅568が下限(すなわち、2.0mm)であるように構成され得るように、下限(例えば、2.0mm)が適用され得る。
【0081】
図13は、例示的な突起206の部分の側面である。図示のように、各突起206は、それ自体が突起206’を含み得る。突起206’は、突起206が突起206’を含まなかった場合と比較して、浅い磁場をさらに増加させ、遠方場磁場を減少させることができる。代替の実施形態では、突起206は、突起206’を含まなくてもよい。
【0082】
極板の他の特性は、「MAGNETIC LIFTING DEVICE HAVING POLE SHOES WITH SPACED APART PROJECTIONS」と題する2018年1月29日出願の米国仮特許出願第62/623,407号、整理番号MTI-0015-01-US-Eに記載されており、その全体の開示は、参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0083】
図7~
図13の前述の開示を検証することを考慮して、様々なタイプの極板106についての以下の平均離脱力が、以下の表に提供されている。
【0084】
【0085】
図14を参照すると、例示的なロボットシステム600が図示されている。ロボットシステム600が
図14で示されているが、それに関連して記載される実施形態は、他のタイプの機械(例えば、クレーンホイスト、ピックアンドプレース機械、ロボット取付け具、など)に適用され得る。
【0086】
ロボットシステム600は、電子コントローラ136を含む。電子コントローラ136は、プロセッサ140による実行のための関連するメモリ142に記憶されたさらなるロジックを含む。ロボットアーム604の移動を制御するロボット移動モジュール602が含まれている。図示された実施形態では、ロボットアーム604は、鉛直軸の周りでベースに対して回転可能である第1のアームセグメント606を含む。第1のアームセグメント606は、第1のジョイント610を通して第2のアームセグメント608に移動可能に結合されており、第2のアームセグメント608は、第1の方向に第1のアームセグメント606に対して回転され得る。第2のアームセグメント608は、第2のジョイント612を通して第3のアームセグメント611に移動可能に結合されており、第3のアームセグメント611は、第2の方向に第2のアームセグメント608に対して回転され得る。第3のアームセグメント611は、第3のジョイント616を通して第4のアームセグメント614に移動可能に結合されており、第4のアームセグメント614は、第3の方向に第3のアームセグメント611に対して回転され得、回転ジョイント618によって、第3のアームセグメント611に対する第4のアームセグメント614の向きが変更され得る。磁気結合デバイス100は例示的に、ロボットアーム604の端に固定されて示されている。磁気結合デバイス100は、強磁性ワークピース102(図示せず)をロボットアーム604に結合するために使用される。
【0087】
一実施形態では、ロボット移動モジュール602を実行するプロセッサ140による電子コントローラ136は、第1の姿勢までロボットアーム604を移動させ、磁気結合デバイス100は、第1の場所で強磁性ワークピース102に接触する。制御ロジック144を実行するプロセッサ140による電子コントローラ136は、磁気デバイス100に、強磁性ワークピース102をロボットシステム600に結合するために、第1のオフ状態から第2のオン状態または第3のオン状態に移行するように命令する。ロボット移動モジュール602を実行するプロセッサ140による電子コントローラ136は、強磁性ワークピース102を第1の場所から第2の、所望の、離間した場所に移動させる。強磁性ワークピース102が所望の第2の位置にあると、制御ロジック144を実行するプロセッサ140による電子コントローラ136は、磁気結合デバイス100に、強磁性ワークピース102をロボットシステム600から切り離すために第2のオン状態から第1のオフ状態に移行するように命令する。次いで、電子コントローラ136は、別の強磁性ワークピース102を結合、移動、および切り離すプロセスを繰り返す。
【0088】
実施形態では、制御ロジック144はまた、磁気結合デバイス100に関連する強磁性ワークピース102の存在、不在、または他の特性を決定し得る。そうするために、磁気結合デバイス100は、1つ以上の磁場センサーを含み得る。
図15を参照すると、磁場センサー702を含む磁気結合デバイス100の代表的な上部断面図が図示されている。磁場センサー702は、本明細書に記載のように位置付けられ、第1の磁場センサー702Aは、磁気結合デバイス100の左側半分704に位置付けられ、第2の磁場センサー702Bは、磁気結合デバイス100の右側半分706に位置付けられている。加えて、第3の磁場センサー702Cが、磁気結合デバイス100の前半分708に位置付けられ、第4の磁場センサー702Dが、磁気結合デバイス100の後半分710に位置付けられている。前半分708は、左側半分704の第1の部分712および右側半分706の第1の部分714を含んでいる。後半分710は、左側半分704の第2の部分716および右側半分706の第2の部分718を含んでいる。第3および第4の磁場センサー702C、702Dの追加は、磁気結合デバイス100の様々な動作状態を判定するために使用され得る追加のセンサー値を提供する。例えば、4つの磁場センサーの出力に基づく制御ロジック144は、左から右への傾斜および前から右への傾斜などの2つの回転軸における強磁性ワークピース102に対するワークピース接触インターフェース104の向きを決定し得る。
【0089】
次に、制御ロジック144の機能ブロックに目を向ける。磁気結合デバイス100について必要とされる最も単純な情報は、磁気結合デバイス100のスイッチング状態の情報であり、すなわち、第1のオフ状態、第2のオン状態、または第3のオン状態などの部分的なオン状態にあるユニットである。第1のオフ状態では、磁気結合デバイス100は、漏れ磁束が非常に少ないか、あるいは全くない。第2のオン状態では、強磁性ワークピース102を備えたほぼ完全な磁気作動回路上でさえ、磁気結合デバイス100は、第1のオフ状態よりもかなり多くの漏れ磁束を有する。したがって、較正プロセスにおいて、磁気結合デバイス100のオフ状態にある第1の磁場センサー702のうちの1つ以上の読み取り値は、制御ロジック144のプロセッサ140に関連付けられたメモリ142(
図15を参照)に、較正された値またはハードコードされた値として記憶することができ、磁力計の読み取り値が、この第1のオフ状態の値を上回るか、このオフ状態の値を上回るいくらかのオフセットが発生するとき、磁気結合デバイス100は、第2のオン状態または第3のオン状態などの部分的なオン状態にあると見なすことができる。磁力計の読みが較正保存値にある、またはそれに近いとき、磁気結合デバイス100は、第1のオフ状態であると見なすことができる。実施形態では、較正プロセスを通じて、所望の部分的オン状態にある第1の磁場センサー702のうちの1つ以上の読み取り値は、較正値またはハードコードされた値としてメモリ142に記憶され得、磁力計の読み取り値が、特定の記憶された読み取り値に上昇したとき、または特定の記憶された読み取り値のあるパーセンテージ内に上昇したとき、磁気結合デバイス100は、第3のオン状態などの対応する部分的なオン状態にあると見なすことができる。いくつかの実施形態では、磁場センサー702は、磁気結合デバイス100を較正するために磁気プラッタ112の位置を判定するために使用される1つ以上の位置センサーで補足され得る。
【0090】
磁気結合デバイス100がオン状態にあるとき、制御ロジック144の別の機能ブロックを使用して、左側半分704のみ、右側半分706のみの下、または左側半分704および右側半分706の両方の下に強磁性ワークピース102があるかどうかを判定することができる。磁気結合デバイス100が磁気的に付着するためのターゲット部分が存在しない場合(
図16を参照)、極板106を通る「真の」(すなわち、外部作動)磁気回路は存在しない(
図1Bを参照)。いずれのワークピース102も、磁場を歪ませないように極板106から十分に離間していると仮定すると、磁束は、(
図1Bの)極部分116の間のエアを通って広がり、漏れ磁束を効果的に表す。これはまた、磁場センサー702に高い漏れ磁束が存在する原因となる。所与の第2のオン状態、または第3のオン状態などの部分的オン状態に対するこの「最大漏れ磁束」を、磁気結合デバイス100の通常の動作における、ハードコードされた(この値が不変であると仮定して)、または較正実行からのいずれかで、制御ロジック144のプロセッサ140に関連付けられたメモリ142に記憶することによって、磁気結合デバイス100を、記憶された「最大漏れ磁束」基準値に対応する状態で、第2の状態または第3の状態などの部分的な状態に置き、電流センサーの出力を、オン状態または部分オン状態の記憶された「最大漏れ磁束」基準値と比較することによって、強磁性ワークピース102が存在するかどうかを判定することが可能である。
【0091】
ワークピース102の存在または不在を検出することに加えて、論理制御ロジック144はまた、強磁性ワークピース102の存在が検出されたときに、ワークピース102からのワークピース接触インターフェース104の間隔の表示を提供し得る(電流センサー値は、存在検出のために記憶された「最大漏れ磁束」より下)。実施形態では、制御ロジック144は、ワークピース接触インターフェース104が強磁性ワークピース102に近接しているかどうかを判定するように構成される。一例では、制御ロジック144は、対応するセンサー702の電流値が閾値を下回ったときに、ワークピース接触インターフェース104がワークピース102に近接しているかどうかを判定する。閾値は、較正実行中に決定され、メモリ142に記憶され得、ワークピース接触インターフェース104とワークピース102との間の既知の間隔に対応し得る(
図17を参照)。一実施形態では、複数の閾値がメモリ142に記憶され、各々がそれぞれの既知の間隔に対応する。複数の記憶された閾値により、制御ロジック144は、ワークピース接触インターフェース104とワークピース102との間の間隔のより良い近似を提供し、第1の間隔(
図17を参照)と第2のより小さな間隔(
図18を参照)とを区別することができる。とりわけ利点は、ワークピースの近接性を正確に判定する能力により、ロボットシステム600(
図14を参照)は、磁気結合ユニット100がワークピース102から第1の間隔内に入るまで、より高速で移動し、その後、ワークピース102と接触するまで、より遅い速度で移動することが可能になることである。実施形態では、本明細書で考察される様々な較正の実行および値について、ターゲットセンサーの読み取り値が、ターゲット強磁性ワークピースのそれぞれのサイズ、形状、材料などに基づいて異なる可能性があるという事実のために、異なるタイプの強磁性材料に対して別個の較正が実行されまたは値が取られる。
【0092】
実施形態では、制御ロジック144は、強磁性ワークピース102に対する第1のワークピース接触インターフェース104および第2のワークピース接触インターフェース104の向きを判定するように構成される。一例では、強磁性ワークピース102に対する、ワークピース接触インターフェース104の左側半分704およびワークピース接触インターフェース104の右側半分706の向きは、第1の磁場センサー702Aの出力と第2の磁場センサー702Bの出力との比較によって決定される。ワークピース接触インターフェース104の左側半分704と強磁性ワークピース102との間の第1の間隔、およびワークピース接触インターフェース104の右側半分706と強磁性ワークピース102との間の第2の間隔は、第1の磁場センサー702Aの出力および第2の磁場センサー702Bの出力が第1の基準を満たすとき、制御ロジック144によって概して等しいと決定される。一例では、第1の基準は、第1の磁場センサー702Aの出力が、第2の磁場センサー702Bの出力の閾値量内にあることである。閾値量の例は、絶対差である。別の例では、閾値量はパーセンテージの差である。第1の基準が満たされると、ワークピース接触インターフェース104の左側半分704および右側半分706は、ワークピース102に対して概して等しい間隔を有する(
図18を参照)。第1の基準が満たされない場合、ワークピース接触インターフェース104の左側半分704および右側半分706は、ワークピース102に対して角度が付く(
図19を参照)。
図15に示すように、第3および第4の磁場センサーが組み込まれる場合、
図19に示すロール軸の周りの角度に加えて、ピッチ軸の周りの角度(
図20を参照)も決定され得る。追加的または代替的に、三次元磁束センサーの組み込みは、ピッチ軸の周りの角度(
図20を参照)および/または
図19に示されるロール軸の周りの角度を決定し得る。
【0093】
これらのデバイスステータスおよびワークピース検出機能に加えて、極板106上の指定された場所における少なくとも2つの磁場センサー702の存在および特定の場所は、より高度なフィードバックを提供する。これは、極板106の個々の極部分116の周りの状況依存の、潜在的に不均一な漏れ磁束の分布をサンプリングし、比較し、評価することができるためである。
【0094】
実施形態では、第2に、磁気結合デバイス100のオン状態(既知の部分オン状態に等しく適用可能)において、極板106のワークピース接触インターフェース104の左側半分704が強磁性ワークピース102と良好に接触しているが、ワークピース接触インターフェース104の右側半分706がワークピース102との接触が不十分である場合(
図21を参照)、左側半分704よりも右側半分706の方が漏れ磁束が多い。左側半分704の上の第1の磁場センサー702Aおよび右側半分706の上の第2の磁場センサー702Bは、この状態を検出することができ、右側半分706の上のセンサー702Bは、左側半分704の上のセンサー702Aよりも高い読み取り値を返す。一例では、双方向ホール効果センサーがセンサー702に使用される。したがって、各センサー702を別々に読み取り、それらの間の読み取りを比較することによって、制御ロジック144は、右側半分706がワークピース102への接触が不十分であると判定することができる。実施形態では、制御ロジック144は、そのような評価を行うための機能ブロックを有し、ハードウェアおよびマイクロプロセッサソフトウェアに実装可能である。一例では、制御ロジック144は、センサー702Aとセンサー702Bとの読み取り値の差が記憶された閾値量を超えるとき、右側半分706の接触が不十分であると判定する。別の実施例では、制御ロジック144は、センサー702Bの読み取り値と既知の記憶された値との差が閾値未満である場合、右側半分706の接触が不十分であると決定し、既知の記憶された値は、磁気結合デバイス100の較正中に決定され得る。
【0095】
実施形態では、制御ロジック144は、強磁性ワークピース102に対するワークピース接触インターフェース104の左側半分704およびワークピース接触インターフェース104の右側半分706の配置が、強磁性ワークピース102上のターゲットゾーン802内にあるかどうかを判定するように構成される(
図22~
図24を参照)。一例では、強磁性ワークピース102に対するワークピース接触インターフェース104の左側半分704およびワークピース接触インターフェース104の右側半分706の配置は、第1の磁場センサー702Aの出力が第1の基準を満たし、かつ第2の磁場センサー702Bの出力が第2の基準を満たすとき、強磁性ワークピース102のターゲットゾーン802(
図22~
図24)内にあると制御ロジック144によって決定される。例示的な第1の基準は、第1の磁場センサー702Aの出力が磁束値の第1の範囲内にあり、例示的な第2の基準は、第2の磁場センサー702Bの出力が磁束値の第2の範囲内にあることである。
【0096】
図22~
図24を参照すると、ターゲットゾーン802が図示されている。ワークピース102は、右端804および左端806を有する材料のシートとして図示されている。ターゲットゾーン802は、ワークピース102の右端804からの第1のオフセット808と、ワークピース102の左端806からの第2のオフセット810との間のワークピース102の部分である。一例では、磁気結合デバイス100が第2のオフセット810に近づくおよび/または超えると、ワークピース接触インターフェース104の左側半分704に関連付けられた漏れ磁束は、ワークピース接触インターフェース104の左側半分704がワークピース102の左端806に接近しているため、ワークピース接触インターフェース104の右側半分706に関連付けられた漏れ磁束よりも高い。同様に、デバイス100が第1のオフセット808に近づくおよび/または超えると、ワークピース接触インターフェース104の右側半分706に関連付けられた漏れ磁束は、ワークピース接触インターフェース104の右側半分706がワークピース102の右端804に接近しているため、ワークピース接触インターフェース104の左側半分704に関連付けられた漏れ磁束よりも高い。線形ターゲットゾーン802として示されているが、二次元ターゲットゾーン802が、強磁性ワークピース102の長さおよび幅に対して定義されてもよい。一例では、較正実行が実行され、デバイス100が、第1の限界808(
図24を参照)および第2の限界810(
図23を参照)の各々に置かれ、両方の限界での磁束センサー702A、702Bの対応する漏れ磁束値が、メモリ142に記憶される。第1の限界位置(
図24を参照)に対して記憶された2つの漏れ磁束値は、「限界位置1」としてメモリ142に記憶される(2つの値、各センサー702A、702Bについて1つ)。第2の限界位置(
図23を参照)に対して記憶された2つの漏れ磁束値は、「限界位置2」としてメモリ142に記憶される(2つの値、各センサー702A、702Bについて1つ)。実施形態では、第1の基準の第1の範囲は、磁場センサー702A、702Bのうちの1つについての限界位置1と限界位置2との間、およびそれらを含む値であり、第2の基準の第2の範囲は、磁場センサー702A、702Bのうちの他方についての限界位置1と限界位置2との間、およびそれらを含む値である。値の第1の範囲がワークピース接触インターフェース104の左側半分704に対応し、値の第2の範囲がワークピース接触インターフェース104の右側半分706に対応すると仮定すると、制御ロジック144は、第2の基準が満たされ、第1の基準が満たされないとき、磁気結合デバイス100の左端がターゲットゾーン802の外側に位置すると決定し、同様に、第1の基準が満たされ、第2の基準が満たされないとき、磁気結合デバイス100の右端がターゲットゾーン802の外側に位置すると判定する。
【0097】
実施形態では、メモリ142で「限界位置1および限界位置2」の較正値を使用(記憶)することにより、特定の磁気作動回路が形成されたとき(同じ位置として較正された場合)または磁気作動回路の範囲内である(2つの異なる位置として較正された場合)ときに、デバイスユーザが強磁性ワークピース102の現在の信号を較正して、ただオンになることを可能にする。ワークピース接触インターフェース104の左側半分704および右側半分706は、限界位置1/2の「最大漏れ」位置と同等であるか、またはより大きな漏れ位置でそれの外側にある可能性がある。これらの較正は、いわゆるダブルブランク検出(DBD)およびパーツ固有または範囲固有の確認を可能にするものである。ワークピース接触インターフェース104の左側半分704および右側半分706が限界位置の外側にある自由は、特にそれらがより薄い鋼板の縁の近くに着地する場合に、ユーザにより多くの自由を与えることを意図している。
【0098】
実施形態では、この多感覚アプローチを使用して、追加のデバイスステータスデータを提供することも可能である。上記の状況では、2つのセンサー読み取り値を比較して、磁気結合デバイス100の一般的な状態、およびワークピース接触インターフェース104の近くにある強磁性ワークピース104の有無を判定するだけでなく、強磁性ワークピース102に近接しているときに(すなわち、存在はすでに検出されているが、近接はまだ定量化されていない)、各センサー702からより差別化された正確な磁場測定値を取得し、各センサー702の信号の値および磁力計の読み取り値間の差の値について計算を行うことによって、デバイス100を含む磁石グリッパーが平坦な強磁性ワークピース102に対してどの角度に座っているかなど、強磁性ワークピース102に対する磁気結合デバイス100の向きを判定することができる。
【0099】
これをさらに進めると、既知のパラメータ(サイズ、形状、材料など)を有する事前定義された強磁性ワークピース102に関して磁気結合デバイス100の較正実行を使用し、様々な較正実行中にセンサー702出力信号の処理から得られた評価回路データをメモリ142に記憶することによって、ワークピース接触インターフェース104が強磁性ワークピース102に接触する前であっても、特に、
図15に示すように、追加の磁場センサーが以前に指定された場所以外の場所に置かれている場合、磁気結合デバイス100の位置に対する強磁性ワークピース102のターゲット表面までの向きおよび距離を完全に判定することが可能である。磁気結合デバイス100は、オフ状態であっても、任意の状態で漏れ磁束を放出するので、非常に感度の高いセンサーは、オフ状態のセンサー検出面で極板106から発する漏れ磁束の小さな変動に応答することができる。オフ状態または既知の部分オン状態の磁気結合デバイス100が強磁性ワークピース102に近づくと、次に、適切に感度のある磁力計は、構成要素への近接を示すことができ、それ以外の場合はブラインドロボットの一種の「ビジョン」として機能するロボットアーム600のための制御信号に変換される信号を配信することができる。別の例として、適切に感度のある磁力計は、磁気結合デバイス100と強磁性ワークピース102との間の距離(例えば、2つの間の深さ)を判定することによってのみ、その二次元位置を判定することができるロボットアーム600を支援することができる。したがって、ロボットアーム600は、磁気結合デバイス100が強磁性ワークピース102に接近して衝突を回避しながら(例えば、直接的にまたは非直接的に)減速するようにプログラムすることができる。
【0100】
例えば、合計4つの磁力計が存在すると仮定すると、前述のように、1つはワークピース接触インターフェース104の左半分側704の磁束検出面にあり、1つはワークピース接触インターフェース104の右半分側706の磁束検出面にあり、および、
図15に示されるように、2つの追加のセンサーが他の場所にあり、磁気結合デバイス100を強磁性ワークピース102に向かって移動させ、センサー702のうちの1つを他のセンサー702よりも(絶対的に)近づけるとき、そのセンサー702の近くの漏れ磁束線は、密度が増加し、強磁性ワークピース102に向かって集束する。磁気結合デバイス100を強磁性ワークピース102にさらに近づけることにおいて(ロボット600のアームの端に結合された磁気結合デバイス100の空間的姿勢および並進方向を変えることなく)、磁束線は磁気結合デバイス100にわたってより強く再分配され、最も近いセンサー702上の磁束線の密度は、センサー702と強磁性ワークピース102との間の距離に反比例する。これは、近接センサー702の上の磁力計においてさらに高い読み取り値を生成する。近接磁力計の出力を他の3つの磁力計からの信号出力と比較することにより、かつデータを評価することにより、センサー702とワークピース接触インターフェース104の作業面との間の既知の空間的関係が与えられると、強磁性ワークピース102が磁気結合デバイス100の作業面にどこでどれだけ近いかを知ることができる。別の例として、1つ以上の三次元磁力計を使用して、強磁性ワークピース102が磁気結合デバイス100の作業面にどれだけ近いかを判定することができる。
【0101】
磁気結合デバイス100の磁力計の出力に対して正確な計算を実行する際に、磁束源がオンにされ、強磁性ワークピース102との接触が確立されるときに、他の機能を有効にすることができる。作動中の磁気回路内の磁束の量と、作動中の磁気回路が耐えることができる物理的な力の量との間には直接的な関係があり、磁気結合デバイス100の場合、デバイスの100ペイロードに対応する。永久磁石からの漏れ磁束は、一次作動回路で「消費される」(つまり束縛される)磁束の量に依存するため、漏れ磁束と、磁気結合デバイス100によって維持できる最大ペイロードとの間には相関関係がある。制御ロジック144のプロセッサ140は、一実施形態では、適切な式でプログラムされ、磁気結合デバイス100上の磁力計の組み合わされた読み取り値を使用して、既知のデバイスよりも磁気結合デバイス100のより正確な保持力を導き出すことができるように、較正実行を行うことができる。これは、(i)磁気結合デバイス100が、ロボット600によって動かされる前に強磁性ワークピース102を持ち上げることができることを確認するための「安全性チェック」、(ii)磁気結合デバイス100がフルキャパシティで動作している、および/または(iii)磁気結合デバイス100は、損傷または劣化せずに動作している、として使用することができる。追加的または代替的に、これらの方法は、部品固有の検出、および/または強磁性ワークピース102のある範囲の厚さの検出のために使用され得る。
【0102】
これらの状況のすべてにおいて、制御ロジック144のプロセッサ140は、磁気結合デバイス100の磁力計702の各々からの入力を受け入れ、計算および比較を行う役割を担う。次に、プロセッサ140は、計算に基づいて様々なデバイス状態を判定する。実施形態では、デバイス100は、決定されたデバイス状態およびフィードバックポイントをロボットコントローラ(例えば、
図14の136)に伝達する。これは、24VI/Oまたは通信モジュール(図示せず)のいずれかによって処理される。フィードバックがロボットコントローラ136に伝達されると、ロボットコントローラ136は次いで、動作中の課題または問題に対処するために、デバイス100の向きおよび動作を調整することができる。
【0103】
制御ロジック144は、磁気結合デバイス100のオンボードプロセッサ140によって処理するためにセンサーによって提供される信号の分離、フィルタリング、および増幅を行うために必要な構成要素を備えることが理解されよう。
【0104】
磁気結合デバイス100に組み込まれ得る感知能力およびセンサー配置に関する追加の詳細および実施形態は、2018年4月27日に出願された、「MAGNETIC COUPLING DEVICE WITH AT LEAST ONE OF A SENSOR ARRANGEMENT AND A DEGAUSS CAPABILITY」と題する、PCT特許出願第PCT/US18/29786号に開示されており、その開示全体は、参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0105】
様々な修正および追加が、本開示の範囲から逸脱することなく、考察された例示的な実施形態に対して行われ得る。例えば、上記の実施形態は特定の特徴に言及しているが、本発明の範囲はまた、特徴の異なる組み合わせを有する実施形態と、記載された特徴のすべてを含まない実施形態と、を含む。したがって、本発明の範囲は、そのすべての等価物とともに、特許請求の範囲の範囲内にあるようなすべてのそのような代替、修正、および変形を包含するように意図される。
【国際調査報告】