(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】硫黄含有ビフェニル化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 319/20 20060101AFI20220106BHJP
C07C 323/64 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
C07C319/20
C07C323/64
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021522090
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(85)【翻訳文提出日】2021-04-26
(86)【国際出願番号】 CN2019109858
(87)【国際公開番号】W WO2020083018
(87)【国際公開日】2020-04-30
(31)【優先権主張番号】201811250209.8
(32)【優先日】2018-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516058241
【氏名又は名称】シェンヤン・シノケム・アグロケミカルズ・アールアンドディー・カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】Shenyang Sinochem Agrochemicals R&D Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.8-1 Shenliao East Road,Tiexi District,Shenyang,Liaoning 110021 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ハイボ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,グイミン
(72)【発明者】
【氏名】レン,ジョンバオ
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ホンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シュエリン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ズーヨン
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC23
4H006AC63
4H006AD15
4H006BA02
4H006BA07
4H006BA21
4H006BA37
4H006BA53
4H006BB20
4H006BC10
(57)【要約】
一般式(I)で示される硫黄含有ビフェニル化合物の製造方法は、下記反応式:
を有する。式中の各置換基は、本説明において定義される。この方法において、一般式(II)で示されるハロゲノベンゼンは、金属亜鉛の併用作用下で、ニッケル化合物と少なくとも1種の配位子とから構成される触媒系においてカップリング反応を生じさせて、一般式(I)で示される硫黄含有ビフェニル化合物を得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫黄含有ビフェニル化合物の製造方法であって、
一般式(I)で示される硫黄含有ビフェニル化合物の方法は、下記反応式:
【化7】
[式中、
Rは、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8ハロアルキル、C
2~C
8アルケニル、C
2~C
8ハロアルケニル、C
2~C
8アルキニル、C
2~C
8ハロアルキニルから選択され、Xは、塩素又は臭素から選択され、mは、0、1又は2から選択される]
を有することを特徴とする、
硫黄含有ビフェニル化合物の製造方法。
【請求項2】
一般式(II)で示される化合物が、金属亜鉛の併用作用下で、ニッケル化合物と少なくとも1種の配位子とから構成される触媒系においてカップリング反応を生じさせて、一般式(I)で示される化合物を得ることを特徴とする、請求項1記載の硫黄含有ビフェニル化合物の製造方法。
【請求項3】
反応条件が、一般式(II)で示される化合物、ニッケル化合物、配位子及び金属亜鉛が、適切な溶媒中において、20℃~選択された溶媒の沸点の温度で、1~24時間のカップリング反応を生じさせて、一般式(I)で示される化合物を得ることであることを特徴とする、請求項1記載の硫黄含有ビフェニル化合物の製造方法。
【請求項4】
溶媒が、トルエン、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、ブタノン、ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドから選択されることを特徴とする、請求項3記載の硫黄含有ビフェニル化合物の製造方法。
【請求項5】
活性化添加剤をカップリング反応において加え、活性化添加剤の添加量が、一般式(II)で示される化合物のモル重量の1%~15%であり、ここで、活性化添加剤が、金属ハロゲン化物、金属硫酸塩又は金属リン酸塩であり、活性化添加剤中の金属が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン又はアルミニウムであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項記載の硫黄含有ビフェニル化合物の製造方法。
【請求項6】
ニッケル化合物が、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ビス(トリフェニルホスフィン)塩化ニッケル又はビス(トリフェニルホスフィン)臭化ニッケルから選択され、ニッケル化合物の添加量が、一般式(II)で示される化合物のモル重量の1%~10%であり、配位子が、トリアリールホスフィンから選択され、ここで、アリールが、C
6~C
34アリールから選択され、配位子の添加量が、一般式(II)で示される化合物のモル重量の20%~100%であり、金属亜鉛の量が、一般式(II)で示される化合物のモル重量の50%~200%であることを特徴とする、請求項1記載の硫黄含有ビフェニル化合物の製造方法。
【請求項7】
ニッケル化合物が、塩化ニッケルから選択され、ニッケル化合物の添加量が、一般式(II)で示される化合物のモル重量の2%~5%であり、配位子が、トリフェニルホスフィンから選択され、配位子の添加量が、一般式(II)で示される化合物のモル重量の40%~60%であり、活性化添加剤が、アルカリ金属のハロゲン化物質から選択され、活性化添加剤の添加量が、一般式(II)で示される化合物のモル重量の5%~10%であり、金属亜鉛の量が、一般式(II)で示される化合物のモル重量の100%~150%であることを特徴とする、請求項6記載の硫黄含有ビフェニル化合物の製造方法。
【請求項8】
活性化添加剤が、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム又はヨウ化カリウムから選択されることを特徴とする、請求項7記載の硫黄含有ビフェニル化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機合成の分野に属し、特に、硫黄含有ビフェニル化合物の製造方法に関する。
【0002】
背景
硫黄含有ビフェニル化合物は、新規で効率的な殺ダニ剤である。CN第105541682号には、式Iで示される硫黄含有ビフェニル化合物が開示されている。この化合物は、tetranychus cinnabarinusに対して優れた殺ダニ活性を有する。CN第105541682号には、この化合物の合成方法が報告されている。アリールヨードベンゼン及びビス(ピナコラト)ジボロンを適切なアルカリの作用下で、適切な有機溶媒中において、パラジウム触媒とカップリングさせて、ターゲット対象を得る。具体的な反応式は、下記のとおりである。
【化1】
【0003】
技術者達は、高品質かつ低コストで、有効性が高く、安全な硫黄含有ビフェニル殺ダニ剤を製造するための、より高度で、好都合で、より環境に優しい新規な方法を研究し、開発する努力を続けている。
【0004】
概要
本発明の目的は、大規模工業生産に適した硫黄含有ビフェニル化合物の製造方法を提供することである。
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、下記技術的解決策を採用する。
【0006】
硫黄含有ビフェニル化合物の製造方法が提供される。一般式(I)で示される硫黄含有ビフェニル化合物の方法は、下記反応式:
【化2】
を有する。
【0007】
式中、Rは、C1~C8アルキル、C1~C8ハロアルキル、C2~C8アルケニル、C2~C8ハロアルケニル、C2~C8アルキニル、C2~C8ハロアルキニルから選択され、Xは、塩素又は臭素から選択され、mは、0、1又は2から選択される。
【0008】
一般式(II)で示される化合物は、金属亜鉛の併用作用下で、ニッケル化合物と少なくとも1種の配位子とから構成される触媒系においてカップリング反応を生じさせて、一般式(I)で示される化合物を得る。
【0009】
反応条件は、一般式(II)で示される化合物、ニッケル化合物、配位子及び金属亜鉛が、適切な溶媒中において、20℃~選択された溶媒の沸点の温度で、1~24時間のカップリング反応を生じさせて、一般式(I)で示される化合物を得ることである。
【0010】
溶媒は、トルエン、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、ブタノン、ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドから選択される。
【0011】
活性化添加剤をカップリング反応において加え、活性化添加剤の添加量は、一般式(II)で示される化合物のモル重量の1%~15%であり、ここで、活性化添加剤は、金属ハロゲン化物、金属硫酸塩又は金属リン酸塩であり、活性化添加剤において言及された金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン又はアルミニウムである。
【0012】
ニッケル化合物は、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ビス(トリフェニルホスフィン)塩化ニッケル又はビス(トリフェニルホスフィン)臭化ニッケルから選択され、ニッケル化合物の添加量は、一般式(II)で示される化合物のモル重量の1%~10%であり、配位子は、トリアリールホスフィンから選択され、ここで、アリールは、C6~C34アリールから選択され、配位子の添加量は、一般式(II)で示される化合物のモル重量の20%~100%であり、金属亜鉛の量は、一般式(II)で示される化合物のモル重量の50%~200%である。
【0013】
ニッケル化合物は、塩化ニッケルから選択され、ニッケル化合物の添加量は、一般式(II)で示される化合物のモル重量の2%~5%であり、配位子は、トリフェニルホスフィンから選択され、配位子の添加量は、一般式(II)で示される化合物のモル重量の40%~60%であり、活性化添加剤は、アルカリ金属のハロゲン化物質から選択され、活性化添加剤の添加量は、一般式(II)で示される化合物のモル重量の5%~10%であり、金属亜鉛の量は、一般式(II)で示される化合物のモル重量の100%~150%である。
【0014】
活性化添加剤は、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム又はヨウ化カリウムから選択される。
【0015】
さらに、上記製造方法の反応式において、Rは、メチル、エチル、シクロプロピル、トリフルオロメチル、CH2CF3、CH2CHF2、CH2CH2F、CH2CH=CF2又はCH2CNから選択され、Xは、塩素又は臭素から選択され、mが、0又は1から選択された場合、ニッケル化合物は、塩化ニッケル又は臭化ニッケルから選択され、活性化添加剤は、金属ハロゲン化物から選択され、配位子は、トリフェニルホスフィンから選択される。
【0016】
さらに、上記製造方法の反応式において、Rは、CH2CF3から選択され、Xは、塩素から選択され、mが、0から独立して選択された場合、ニッケル化合物は、塩化ニッケルから選択され、活性化添加剤は、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム又はヨウ化カリウムから選択され、配位子は、トリフェニルホスフィンから選択される。
【0017】
さらに、一般式(II)で示される化合物中の置換クロロベンゼン又はブロモベンゼンの調製は、WO第2014202505号に記載されている方法において見出すことができる。
【0018】
一方、上記製造方法における反応式において、m=1又は2である場合、一般式(I)で示される化合物は、スルホキシド又はスルホン化合物であり、これらは、上記方法により調製されたビフェニルスルフィド化合物(m=0)と適切な酸化剤との反応によっても調製することができる。ここで、適切な酸化剤は、過安息香酸、過酸化水素又は(メタ)過ヨウ素酸ナトリウムから選択される。
【0019】
上記提供された合成方法及び式で示される化合物中の基の定義において、コレクションにおいて使用される用語は、一般的には、下記のように定義される。
【0020】
アルキルは、直鎖又は分岐鎖基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル及びイソペンチルを指す。シクロアルキルは、環状鎖の形態にある基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロプロピル及びシクロプロピルシクロプロピルを指す。アルケニルは、直鎖又は分岐鎖アルケニル、例えば、1-プロペニル、2-プロペニル及び種々のブテニル及びペンテニル異性体を指す。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指す。
【0021】
従来技術と比較して、本発明は、下記利点を有する。
【0022】
本発明における一般式(I)で示される硫黄含有ビフェニル化合物は、新規で効率的かつ安全な殺ダニ剤である。硫黄含有ビフェニル化合物の大規模工業生産に適用可能な方法を見出すために、本発明は、元のヨードベンゼンの代わりに、原料として安価で容易に入手可能なクロロベンゼン又はブロモベンゼンを使用する。高価なパラジウム触媒の代わりに、低価格のニッケル化合物を触媒として使用する。したがって、本発明の新規な方法は、大規模工業生産により適している。
【0023】
実施例
下記実施例を本発明に示された一般式(I)の製造方法を詳細に説明するのに使用し、本発明を限定するのには使用しない。本発明の特許請求の範囲により定義された範囲内において、種々の変更及び修正をすることができる。
【0024】
本発明の製造方法において、置換クロロベンゼン又はブロモベンゼンを安価なニッケル化合物と有機ホスフィン配位子とから構成される触媒系において、安価な金属亜鉛とカップリングさせて、一般式(I)で示される硫黄含有ビフェニル化合物を調製する。
【0025】
実施例1
2,2’-ジフルオロ-4,4’-ジメチル-5,5’-ビス(2,2,2-トリフルオロエチルチオ)-1,1’-ビフェニルの合成
【化3】
トリフェニルホスフィン(13.23g、0.05moL)、臭化ナトリウム(1.55g、0.015moL)、亜鉛粉末(6.56g、0.1moL)及び塩化ニッケル(0.65g、0.005moL)を反応フラスコに加えた。窒素を導入して、空気を置き換えた。室温及び窒素保護の条件下で、DMF 12.5mLを撹拌せずに5分間反応フラスコに滴下した。物質は、部分的に赤色に変わった。ついで、DMF 50mLを加えた。この反応混合物を60℃に加熱し、1時間撹拌した。2-フルオロ-4-メチル-5-トリフルオロエチルチオブロモベンゼン(30.9g、0.1moL)とDMFとの混合物(30.9g、DMF 15mLに溶解)を約2時間滴加した。添加後、反応が完了するまで、温度を40~45℃に維持した。反応が終了した後、この反応混合物を冷却し、ろ過した(珪藻土によるろ過補助下)。ろ液を減圧下で濃縮した後、トルエン 50mL及び水 50mLを加え、この混合物を層形成のために放置した。有機層を反応フラスコに移し、氷水浴中で冷却した。過酸化水素(5.7g、0.05moL)を有機層に約0.5時間滴加した。添加後、温度を40℃で1時間保持し、この反応混合物をサンプリングし、分析した。トリフェニルホスフィンがトリフェニルホスフィンオキシドに完全に変換されたら、温度を室温に冷却し、ついで、トリフェニルホスフィンオキシドをろ過した。ろ過ケーキをトルエン(15mL)で洗浄し、ろ液を層形成させた。トルエンを減圧下で除去し、ついで、15g エタノールを加え、全ての固体が溶解するまで、温度を上げ、溶液を氷水浴で10℃以下に冷却した。固体を連続的に沈殿させ、ついで、ろ過し、乾燥させて、19.15g ターゲット化合物を得た。この化合物は、64.2~65.1℃の融点を有する白色の固体である。HPLC定量含量は、99%であり、収率は、85%である。
1H NMR (300MHz, CDCl
3): 7.55 (t, 2H), 7.06 (t, 2H), 3.33 (q, 4H), 2.52 (s, 6H)。[M]=446.6(GC-MS)。
【0026】
実施例2
2,2’-ジフルオロ-4,4’-ジメチル-5,5’-ビス(2,2,2-トリフルオロエチルチオ)-1,1’-ビフェニルの合成
【化4】
トリフェニルホスフィン(13.23g、0.05moL)、ヨウ化ナトリウム(1.64g、0.01moL)、亜鉛粉末(6.56g、0.1moL)及び塩化ニッケル(0.65g、0.005moL)を反応フラスコに加えた。窒素を導入して、空気を置き換えた。室温及び窒素保護の条件下で、DMF 12.5mLを撹拌せずに5分間反応フラスコに滴下した。物質は、部分的に赤色に変わった。ついで、DMF 50mLを加えた。この反応混合物を40℃に加熱し、1時間撹拌した。2-フルオロ-4-メチル-5-トリフルオロエチルチオクロロベンゼン(26.1g、0.1moL)とDMFとの混合物(26.1g、DMF 15mLに溶解)を約2時間滴加した。添加後、反応が完了するまで、温度を55~60℃に維持した。反応が終了した後、この反応混合物を冷却し、ろ過した(珪藻土によるろ過補助下)。ろ液を減圧下で濃縮した後、トルエン 50mL及び水 50mLを加え、この混合物を層形成のために放置した。有機層を反応フラスコに移し、氷水浴中で冷却した。過酸化水素(5.7g、0.05moL)を有機層に約0.5時間滴加した。添加後、温度を40℃で1時間保持し、この反応混合物をサンプリングし、分析した。トリフェニルホスフィンがトリフェニルホスフィンオキシドに完全に変換されたら、温度を室温に冷却し、ついで、トリフェニルホスフィンオキシドをろ過した。ろ過ケーキをトルエン(15mL)で洗浄し、ろ液を層形成させた。トルエンを減圧下で除去し、ついで、14g エタノールを加え、全ての固体が溶解するまで、温度を上げ、溶液を氷水浴で10℃以下に冷却した。固体を連続的に沈殿させ、ついで、ろ過し、乾燥させて、18.66g ターゲット化合物を得た。この化合物は、64.2~65.1℃の融点を有する白色の固体である。HPLC定量含量は、98%であり、収率は、82%である。
1H NMR (300MHz, CDCl
3): 7.55 (t, 2H), 7.06 (t, 2H), 3.33 (q, 4H), 2.52 (s, 6H)。[M]=446.6(GC-MS)。
【0027】
実施例3
2,2’-ジフルオロ-4,4’-ジメチル-5,5’-ビス(2,2,2-トリフルオロエチルチオ)-1,1’-ビフェニルの合成
【化5】
トリフェニルホスフィン(13.23g、0.05moL)、ヨウ化ナトリウム(0.75g、0.01moL)、亜鉛粉末(6.56g、0.1moL)及び臭化ニッケル(1.09g、0.005moL)を反応フラスコに加えた。窒素を導入して、空気を置き換えた。室温及び窒素保護の条件下で、DMF 12.5mLを撹拌せずに5分間反応フラスコに滴下した。物質は、部分的に赤色に変わった。ついで、DMF 50mLを加えた。この反応混合物を40℃に加熱し、1時間撹拌した。2-フルオロ-4-メチル-5-トリフルオロエチルチオクロロベンゼン(26.1g、0.1moL)とDMFとの混合物(26.1g、DMF 15mLに溶解)を約2時間滴加した。添加後、反応が完了するまで、温度を50~55℃に維持した。反応が終了した後、この反応混合物を冷却し、ろ過した(珪藻土によるろ過補助下)。ろ液を減圧下で濃縮した後、トルエン 50mL及び水 50mLを加え、この混合物を層形成のために放置した。有機層を反応フラスコに移し、氷水浴中で冷却した。過酸化水素(5.7g、0.05moL)を有機層に約0.5時間滴加した。添加後、温度を40℃で1時間保持し、この反応混合物をサンプリングし、分析した。トリフェニルホスフィンがトリフェニルホスフィンオキシドに完全に変換されたら、温度を室温に冷却し、ついで、トリフェニルホスフィンオキシドをろ過した。ろ過ケーキをトルエン(15mL)で洗浄し、ろ液を層形成させた。トルエンを減圧下で除去し、ついで、15g エタノールを加え、全ての固体が溶解するまで、温度を上げ、溶液を氷水浴で10℃以下に冷却した。固体を連続的に沈殿させ、ついで、ろ過し、乾燥させて、18.90g ターゲット化合物を得た。この化合物は、64.2~65.1℃の融点を有する白色の固体である。HPLC定量含量は、98%であり、収率は、83%である。
1H NMR (300MHz, CDCl
3): 7.55 (t, 2H), 7.06 (t, 2H), 3.33 (q, 4H), 2.52 (s, 6H)。[M]=446.6(GC-MS)。
【0028】
実施例4
2,2’-ジフルオロ-4,4’-ジメチル-5,5’-ビス(2,2,2-トリフルオロエチルチオ)-1,1’-ビフェニルの合成
【化6】
トリフェニルリン(triphenylphosphorus)(534.7g、2moL)、臭化ナトリウム(42.04g、0.4moL)、亜鉛粉末(265.3g、4moL)及び塩化ニッケル(18.13g、0.14moL)を反応フラスコに加えた。窒素を導入して、空気を置き換えた。室温及び窒素保護の条件下で、DMF 1200mLを撹拌せずに30分間反応フラスコに滴下した。物質は、部分的に赤色に変わった。ついで、DMF 1200mLを加えた。この反応混合物を60℃に加熱し、1時間撹拌した。2-フルオロ-4-メチル-5-トリフルオロエチルチオブロモベンゼン(1236g、4moL)とDMFとの混合物(1236g、DMF 600mLに溶解)を約2時間滴加した。添加後、反応が完了するまで、温度を40~45℃に維持した。反応が終了した後、この反応混合物を冷却し、ろ過した(珪藻土によるろ過補助下)。ろ液を減圧下で濃縮した後、トルエン 3000mL及び水 2500mLを加え、この混合物を層形成のために放置した。有機層を反応フラスコに移し、氷水浴中で冷却した。過酸化水素(226.7g、2moL)を有機層に約2時間滴加した。添加後、温度を40℃で1時間保持し、この反応混合物をサンプリングし、分析した。トリフェニルホスフィンがトリフェニルホスフィンオキシドに完全に変換されたら、温度を室温に冷却し、ついで、トリフェニルホスフィンオキシドをろ過した。ろ過ケーキをトルエン(500mL)で洗浄し、ろ液を層形成させた。トルエンを減圧下で除去し、ついで、700g エタノールを加え、全ての固体が溶解するまで、温度を上げ、溶液を氷水浴で10℃以下に冷却した。固体を連続的に沈殿させ、ついで、ろ過し、乾燥させて、787.1g ターゲット化合物を得た。この化合物は、64.2~65.1℃の融点を有する白色の固体である。HPLC定量含量は、98.6%であり、収率は、87%である。
1H NMR (300MHz, CDCl
3): 7.55 (t, 2H), 7.06 (t, 2H), 3.33 (q, 4H), 2.52 (s, 6H)。[M]=446.6(GC-MS)。
【0029】
一方、上記具体的な調製方法によれば、以下の表1における他の化合物を、一部の条件を置き換えるだけで調製することができる。具体的には、ニッケル化合物は、塩化ニッケル又は臭化ニッケルから選択され、活性化添加剤は、アルカリ金属ハロゲン化物から選択され、配位子は、トリフェニルホスフィンから選択される。
【0030】
【国際調査報告】