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特表2022-505684筋肉及び肉を酸化から保護するために使用するタキソジオン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】筋肉及び肉を酸化から保護するために使用するタキソジオン
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20220106BHJP
   A61K 31/122 20060101ALI20220106BHJP
   A61K 36/53 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20220106BHJP
   A23L 3/3499 20060101ALI20220106BHJP
   A23B 4/00 20060101ALI20220106BHJP
   A23B 4/20 20060101ALI20220106BHJP
   A23B 5/14 20060101ALI20220106BHJP
   A23K 50/75 20160101ALI20220106BHJP
   A23K 10/30 20160101ALI20220106BHJP
【FI】
A23L33/105
A61K31/122
A61K36/53
A61P21/00
A61P39/06
A23L3/3499
A23B4/00 H
A23B4/20 Z
A23B5/14
A23K50/75
A23K10/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021522134
(86)(22)【出願日】2019-07-03
(85)【翻訳文提出日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2019067814
(87)【国際公開番号】W WO2020007895
(87)【国際公開日】2020-01-09
(31)【優先権主張番号】18305871.8
(32)【優先日】2018-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(71)【出願人】
【識別番号】517007286
【氏名又は名称】ユニヴェルスィテ ドゥ モンペリエ
(71)【出願人】
【識別番号】518095987
【氏名又は名称】アンスティチュート ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ レシェルシュ メディカル (アンセルム)
(71)【出願人】
【識別番号】518027472
【氏名又は名称】エコール プラティーク デ オート エチュード
【氏名又は名称原語表記】ECOLE PRATIQUE des HAUTES ETUDES
(71)【出願人】
【識別番号】521000781
【氏名又は名称】ユニベルスィテ モンペリエ トルワジエム ポール・ヴァレリー
(71)【出願人】
【識別番号】521000792
【氏名又は名称】アンスティチュ ドゥ ルシェルシュ プール ル デベロップマン
(71)【出願人】
【識別番号】521000806
【氏名又は名称】フロール アン タイム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サン、ナタリー
(72)【発明者】
【氏名】ラピオール、シルビー
(72)【発明者】
【氏名】ビトー、マノン
(72)【発明者】
【氏名】ブーゲ、ギョーム
(72)【発明者】
【氏名】カルナック、ジル
(72)【発明者】
【氏名】モレル、シルビー
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
4B018
4B021
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
2B005DA03
2B150AA05
2B150AB05
2B150DD32
2B150DD44
2B150DD57
4B018LB05
4B018LB06
4B018LB07
4B018LB08
4B018LB09
4B018LB10
4B018MD08
4B018MD66
4B018ME06
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF06
4B018MF14
4B021LW03
4B021LW04
4B021LW05
4B021LW07
4B021LW08
4B021LW10
4B021MC03
4B021MK17
4C088AB38
4C088AC05
4C088BA08
4C088BA09
4C088BA10
4C088BA11
4C088BA32
4C088CA08
4C088CA11
4C088CA14
4C088NA14
4C088ZA94
4C206AA01
4C206AA02
4C206CB24
4C206KA05
4C206KA17
4C206KA18
4C206MA01
4C206NA14
4C206ZA94
(57)【要約】
本発明は、筋肉消耗性疾患及び/又は障害の治療におけるその使用のための、アビエタンジテルペンタキソジオン及びタキソジオンを含有するローズマリー茎抽出物に関し;それはまた、天然の肉保存剤としてのタキソジオンの使用にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋肉における酸化を防止及び/又は減少させる使用のためのタキソジオン又はローズマリー茎抽出物。
【請求項2】
筋肉におけるタンパク質の酸化分解を防止及び/もしくは減少させるため、及び/又は筋肉における酸化促進分子の蓄積を防止及び/もしくは減少させるための、請求項1に記載の使用のためのタキソジオン又はローズマリー茎抽出物。
【請求項3】
筋肉量の喪失及び/又は筋肉疲労及び/もしくは筋肉消耗疾患を予防及び/又は治療し、前記筋肉量の喪失、筋肉疲労、及び筋肉消耗性疾患が、酸化ストレスに関連している、請求項1又は請求項2に記載の使用のためのタキソジオン又はローズマリー茎抽出物。
【請求項4】
ローズマリー茎抽出物が、少なくとも1%w/wのタキソジオンを含む、請求項1~3のいずれかに記載の使用のためのタキソジオン又はローズマリー茎抽出物。
【請求項5】
ローズマリー茎抽出物が、ローズマリー茎の乾燥粉末を調製すること;前記乾燥粉末を有機又は水冷溶媒中で少なくとも5日間、好ましくは7日間浸軟させること;任意に、超音波抽出を適用すること;液相を回収し、溶媒を留去すること;により得られ、前記溶媒が、アルコール、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アセトン、酢酸エチル、水、又はそれらの混合物の中から選択される、請求項1~4のいずれかに記載の使用のためのタキソジオン又はローズマリー茎抽出物。
【請求項6】
タンパク質及び/又は脂質を含有する食品用天然防腐薬剤としてのタキソジオン又はローズマリー茎抽出物の使用。
【請求項7】
タンパク質を含有する食品が、肉を含有する食品、非熱処理の加工肉、熱処理された加工肉、加工魚及び水産物、加工卵及び卵製品、ならびに粉乳の中から選択される、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
脂質を含有する食品が、調味料、卓上調味料、マスタード、スープ及びブロスソース、本質的に水を含まない脂肪及び油の中から選択される、請求項6に記載の使用。
【請求項9】
タンパク質及び/又は脂質を含有する食品が、新鮮な肉及びデリカテッセンからなる群において選択された肉を含有する食品である、請求項6に記載の使用。
【請求項10】
貯蔵寿命が改善された肉を含有する食品を調製する方法であって、前記プロセスが、前記肉を含有する食品にタキソジオン又はローズマリー茎抽出物を添加する工程を含む、方法。
【請求項11】
肉及び肉由来食品の品質を改善するための家畜用栄養剤としてのタキソジオン又はローズマリー茎抽出物の使用。
【請求項12】
肉又は肉由来食品のタンパク質分解及び/又は脂質過酸化を低減し、及び/又は色、風味、及び/もしくは食感の安定性を改善するための、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
タキソジオン又はローズマリー茎の抽出物を家畜飼料に添加する工程を含む、家畜肉の品質を改善するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋肉消耗性疾患及び/又は障害の治療での使用のためのアビエタンジテルペンタキソジオンに関し;それはまた、天然の肉保存剤としてのタキソジオンの使用にも関する。
【0002】
実際、本発明者らは、骨格筋細胞における酸化ストレスの有害な影響を防止することができる、ローズマリー・オフィシナリス茎中の化合物を同定した。より具体的には、本発明者らは、タキソジオンが、(細胞生存率、ROS産生、H2AXリン酸化、及びCHOP遺伝子発現を監視することにより、実験部分を参照)ローズマリー葉抽出物の2つの主要な参照抗酸化化合物であるカルノシン酸及びカルノソールよりも効率的に、過酸化水素誘発細胞毒性損傷からヒト骨格筋細胞を保護することを示した。さらに、本発明者らはまた、タキソジオンが冷蔵保存中にミンチ肉の脂質及びタンパク質の酸化を減少させることを示した。したがって、本発明者らの研究は、タキソジオンを、ヒト骨格筋及び加工肉の酸化を制限するために使用できる天然薬剤の安価な供給源として定義することを可能にした。
【0003】
酸化プロセスは、生体分子に損傷を与え、ヒトの筋肉消耗性疾患、及び食物システムの望ましくない変化に関連している(Canton,Menazza,&Di Lisa,2014;Choi,Ow,Yang,&Taneja,2016;Papuc,Goran,Predescu,&Nicorescu,2017)。ヒト及び動物の疾患では、活性酸素種(ROS)に由来する酸化促進分子の蓄積が、タンパク質合成と分解とのバランスに影響を及ぼし、筋肉疲労、細胞死、及び骨格筋修復機能障害を引き起こす可能性があり、時間の経過とともに広範囲の筋肉喪失をもたらす(Canton,Menazza,&Di Lisa,2014;Choi,Ow,Yang,&Taneja,2016)。動物の肉の酸化中、脂質の過酸化及び変色(ミオグロビン酸化)などの多数の化合物の変化は、肉製品の側面及び品質に悪影響を及ぼし、それらの貯蔵寿命を制限する(Papuc,Goran,Predescu,&Nicorescu,2017)。抗酸化化合物は、これらの酸化プロセスを防止又は遅延させるために使用することができる。合成抗酸化剤は、肉及び肉製品に成功裏に添加されてきたが、それらの毒性効果及び最近の消費者の天然物への関心のために、それらの使用は推奨されていない。
【0004】
したがって、食肉業界は、新しい安価で効果的な天然抗酸化剤を同定するための研究を推進している(Shah,Bosco,&Mir,2014)。この研究努力は、ヒトにも有用であり得る。実際、骨格筋機能を改善するための抗酸化治療の臨床的関連性及び抗酸化補助への一般の人々の大きな関心にもかかわらず、それらの有効性に関する証拠は、非常に限られており(Passerieux,Hayot,Jaussent,Carnac,Gouzi,Pillard,et al.,2015)、筋肉量の喪失を遅らせる、防止する、又は逆転させる抗酸化能力は、不明である(Steinhubl,2008)。さらに、いくつかの抗酸化剤は、骨格筋前駆体の分化に有害な影響をもたらす(Ding,Choi,Kim,Han,Piao,Jeong,et al.,2008)。
【0005】
したがって、食品用途及びヒトの健康のための効果的で安全な天然抗酸化分子を同定することが依然として必要とされている。
【0006】
植物は、生物活性分子の重要な供給源である(Newman&Cragg,2012)。ローズマリー(Rosmarinus officinalis L.、Lamiaceae)葉抽出物は、多くの主要な生物学的特性(抗糖尿病、抗炎症、抗酸化、及び抗癌)を有する、フラボノイドならびにフェノール性ジテルペン及びトリテルペンを含む多くの異なるフェノール化合物(Borras-Linares,Stojanovic,Quirantes-Pine,Arraez-Roman,Svarc-Gajic,Fernandez-Gutierrez,et al.,2014)を含有する(Altinier,Sosa,Aquino,Mencherini,Della Loggia,&Tubaro,2007;Bakirel,Bakirel,Keles,Ulgen,&Yardibi,2008;Lo,Liang,Lin-Shiau,Ho,&Lin,2002;Perez-Fons,Garzon,&Micol,2010)。ローズマリー葉抽出物の抗酸化活性は、主に2つのフェノール性ジテルペンであるカルノシン酸(CA)及びカルノソール(CO)に起因する可能性があり、ロスマリン酸などの他のフェノール化合物に起因する程度は少ない(Birtic,Dussort,Pierre,Bily,&Roller,2015;Srancikova,Horvathova,&Kozics,2013)。ローズマリー葉抽出物は、欧州議会及び理事会の規則1333/2008に基づき、食品添加物E932として欧州連合での使用が承認されている。ローズマリー由来の成分は、多くの化粧品の配合にも使用されている。ローズマリーベースの食事及びその活性分子、本質的にカルノシン酸は、動物骨格筋の抗酸化状態を高めることができる(Ortuno,Serrano,Jordan,&Banon,2016)。ローズマリー・オフィシナリス(Rosmarinus officinalis)葉抽出物は、化学抗酸化物質の代わりにかつ酸化から保護するために加工肉における防腐剤としても使用されている(AKARPAT,TURHAN,&USTUN,2008;Naveena,Vaithiyanathan,Muthukumar,Sen,Kumar,Kiran,et al.,2013;Xiong,2017)。さらに、ローズマリーのエッセンシャルオイルは、冷蔵肉の貯蔵寿命を延ばすためにも使用されている(Sirocchi,Devlieghere,Peelman,Sagratini,Maggi,Vittori,et al.,2017)。
【発明の概要】
【0007】
本発明者らが実施した研究の目的は、ローズマリー副産物、例えば、茎から抽出でき、かつ哺乳類の骨格筋細胞、特にヒトの健康及び食品用途の肉での酸化ストレスの悪影響を防止することができる新しい天然分子を同定することである。
【0008】
これに関連して、本発明者らは、タキソジオンを、生物学的複合媒体、特に哺乳類の筋肉での酸化を防止することができる非常に効率的な分子として同定した。
【0009】
第1の実施形態によれば、本発明は、筋肉での酸化、より具体的には、ヒト、家畜、及びペットなどの哺乳動物の骨格筋細胞で起こる酸化を防止及び/又は減少させるその使用のためのタキソジオン又はローズマリー茎抽出物に関する。
【0010】
タキソジオン(CAS 19026-31-4)は、(4bS,8aS)-4b,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-4-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4b,8,8-トリメチルフェナントレン-3,9-ジオン又は11-ヒドロキシアビエタ-7,9(11),13-トリエン-6,12-ジオンとも呼ばれるアビエタンジテルペンであり、以下の化学構造を有する:
【化1】
【0011】
タキソジオン(TX)は、以前には、ローズマリー・オフィシナリス(Rosmarinus officinalis)根から0.14mg/gの乾燥根の精製収率で単離され(Abou-Donia,Assaad,Ghazy,Tempesta,&Sanson,1989)、茎で同定され(未指定の精製)(El-Lakany,2004)、葉の[9]-ショウガオールとの混合物で単離された(Borras-Linares,Perez-Sanchez,Lozano-Sanchez,Barrajon-Catalan,Arraez-Roman,Cifuentes,et al.,2015)。TXは、異なる植物:ラクウショウ(Taxodium distichum)、タキソジウム・アセンデンス(Taxodium ascendens)、ホソイトスギ(Cupressus sempervirens)、ヴォルカメリア・エリオフィラ(Volkameria eriophylla)(同義語:クレロデンドラム・エリオフィルム(Clerodendrum eriophyllum))、コレウス・フォルスコリ(Plectranthus barbatus)、タイワンウオクサギ(Premna obtusifolia)、及びいくつかのアキギリ属(Salvia sp.)でも説明された。以下に示すように、大量のTXを取得することに焦点を当てた研究はほとんどない:ラクウショウ(Taxodium distichum)の種子及び球果から(3~3.4mg/gの乾燥物)(Hirasawa,Izawa,Matsuno,Kawahara,Goda,&Morita,2007;Kupchan,Karim,&Marcks,1968)、サルビア・フロモイデス(Salvia phlomoides)根から(3.72mg/gの乾燥根)(Hueso-Rodriguez,Jimeno,Rodriguez,Savona,&Bruno,1983)、形質転換されたサルビア・アウストリアカ(Salvia austriaca)毛状根から(0.43mg/gの乾燥根及び超高速液体クロマトグラフィー-ダイオードアレイ検出器-タンデム質量分析による1.15mg/g)(Kuzma,Wysokinska,Sikora,Olszewska,Mikiciuk-Olasik,&Szymanski,2016)(Kuzma,Kaiser,&Wysokinska,2017)。
【0012】
タキソジオンは、様々な生物活性:抗真菌性、抗微生物性、抗リーシュマニア性、抗原虫性、抗真菌性、ヒトコリンエステラーゼ阻害剤、抗酸化剤、ならびに癌細胞株における抗増殖性及びアポトーシス促進性を有する(表1-1~表1-4を参照):
【表1-1】

【表1-2】

【表1-3】

【表1-4】
【0013】
Borras Linares(2015)が言及するローズマリーの葉におけるタキソジオンの存在については、本発明者らはローズマリー葉抽出物においてこの化合物を検出できなかったため、確認していない(例2を参照)。
【0014】
本発明において、タキソジオンは、ローズマリー茎抽出物に含有され得る。
【0015】
茎とは、葉及び花のないローズマリー植物の地上部分であると理解すべきである。
【0016】
本発明は、筋肉におけるタンパク質の酸化分解及び/もしくは脂質酸化を防止及び/もしくは減少させるため、及び/又は筋肉における酸化促進分子の蓄積を防止及び/もしくは減少させるために使用するためのタキソジオン又はローズマリー茎抽出物に関する。
【0017】
したがって、本発明は、筋肉量の喪失及び/又は筋肉疲労及び/又は筋肉消耗疾患を予防及び/又は治療するその使用のためのタキソジオン又はローズマリー茎抽出物に関し、上記筋肉量の喪失、筋肉疲労、及び筋肉消耗性疾患は、酸化ストレスに関連している。
【0018】
筋肉消耗とは、進行性の筋肉量の喪失、ならびに/又は運動を制御する骨格筋もしくは随意筋、心臓を制御する心筋(心筋症)及び平滑筋を含む進行性の筋肉の衰弱及び変性を指す。慢性的な筋肉消耗は、進行性の筋肉量の喪失、ならびに筋肉の衰弱及び変性を特徴とする慢性的な状態である(つまり、長期間持続する)。
【0019】
筋肉消耗中に発生する筋肉量の喪失は、異化作用による筋肉タンパク質の分解によって特徴付けることができる。タンパク質異化作用は、異常に高いタンパク質分解速度、異常に低いタンパク質合成速度、又はその両方の組み合わせが原因で発生する。筋肉タンパク質異化作用は、高度のタンパク質分解又は低度のタンパク質合成によって引き起こされるかどうかにかかわらず、筋肉量の減少及び筋肉消耗につながる。
【0020】
筋肉消耗は、通常、加齢及び慢性、神経学的、遺伝的又は感染性の病状、疾患、病気、又は状態に関連している。これらには、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、及び筋緊張性ジストロフィーなどの筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型ジストロフィー、ラミノパシー、コラーゲンVI及びジスフェリン遺伝子の変異によって引き起こされるジストロフィー;ポリオ後筋萎縮(PPMA)などの筋萎縮;心臓悪液質、AIDS悪液質、及び癌悪液質などの悪液質;ならびに栄養失調、ハンセン病、糖尿病、腎疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、癌、末期腎不全、サルコペニア、肺気腫、骨軟化症、HIV感染症、AIDS、及び心筋症が含まれる。
【0021】
筋肉消耗は、減じないままにしておくと、健康に深刻な影響を与える可能性がある。例えば、筋肉消耗中に発生する変化は、個人の健康に有害な身体状態の弱体化につながる可能性があり、その結果、骨折に対する感受性が高まり、身体能力状態が低下する。
【0022】
本発明はまた、それを必要とする対象における酸化ストレスに関連する筋肉消耗性疾患の治療、重症度の軽減、発生率の低下、発症の遅延、又は病因の軽減の方法であって、上記対象に治療上有効量のタキソジオン又はローズマリー茎抽出物を投与する工程を含む、方法に関する。
【0023】
本発明の特定の実施形態では、タキソジオン又はローズマリー茎抽出物は、医薬組成物に処方される。
【0024】
本明細書で使用される場合、医薬組成物は、治療有効量の活性成分、すなわち、タキソジオン又はローズマリー茎抽出物を、医薬的に許容される担体又は希釈剤と共に含む。本明細書で使用される「治療有効量」は、所与の状態及び投与計画に対して治療効果を提供する量を指す。
【0025】
本明細書で使用される場合、「投与する」という用語は、対象を本発明の化合物と接触させることを指す。
【0026】
本発明の化合物を含有する医薬組成物は、経口、非経口、血管内、傍癌、経粘膜、経皮、筋肉内、鼻腔内、静脈内、皮内、皮下、舌下、腹腔内、脳室内、頭蓋内、膣内、吸入による、直腸内、腫瘍内などの当業者に公知の任意の方法によって対象に投与することができる。
【0027】
一実施形態では、医薬組成物は、経口投与され、したがって経口投与に適した形態で、つまり固体又は液体調製物として処方される。好適な固形経口製剤には、錠剤、カプセル、ピル、顆粒、ペレット、粉末などが含まれる。好適な液体経口製剤には、溶液、懸濁液、分散液、乳濁液、油などが含まれる。
【0028】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体又は希釈剤」は、当業者に周知である。担体又は希釈剤は、固体製剤用の固体担体もしくは希釈剤、液体製剤用の液体担体もしくは希釈剤、又はそれらの混合物であり得る。
【0029】
タキソジオン又はローズマリー茎抽出物は、筋肉中のタンパク質の酸化分解及び/もしくは脂質酸化を防止及び/もしくは減少させることができ、及び/又は筋肉中の酸化促進分子の蓄積を防止及び/もしくは減少させることができるため、それらは、家畜用栄養剤としての貴重な用途を見出す。
【0030】
したがって、別の実施形態では、本発明は、肉の抗酸化状態、したがって肉及び肉由来の食品の品質を改善するための家畜用栄養剤としてのタキソジオン又はローズマリー茎抽出物の使用に関する。
【0031】
実際、タキソジオン又はローズマリー茎の抽出物を給餌する家畜の補給は、肉の脂質過酸化及び/又はタンパク質分解を遅らせ、かつ肉の色、風味、及び食感の安定性を改善するのに効果的である。
【0032】
本発明はまた、タンパク質分解及び/もしくは脂質過酸化の減少、及び/又は肉もしくは肉由来食品の色、風味、及び/もしくは食感の安定性の改善、特に肉又は肉由来の食品の変色及び酸敗を回避することを含む、家畜肉の品質を改善するための方法であって、タキソジオン又はローズマリー茎の抽出物を家畜飼料に添加する工程を含む、方法に関する。
【0033】
特定の実施形態では、上記タキソジオンは、1~20mg/kgの飼料を含んだ量で投与される。
【0034】
食品防腐剤は、供給源に応じて、天然防腐剤及び合成防腐剤の2つのカテゴリーに分類することができる。天然防腐剤は、コストが高いため、長い間食品加工に広く使用されていない。安息香酸ナトリウムなどの人工合成防腐剤は、その低価格及び優れた防腐効果により、食品加工で手に入れられている。しかしながら、広く使用された研究では、一部の合成防腐剤には発癌性、催奇形性、及び食中毒への感受性などの問題があることが分かった。例えば、安息香酸塩は、食中毒を引き起こす場合があり、亜硝酸塩及び硝酸塩を生成する場合がある(発癌性ニトロソアミン)。
【0035】
したがって、低コストで簡単に製造される新しい天然防腐剤を見出す必要がある。
【0036】
本発明者らはまたその研究において、タキソジオンが、加工肉で発生する酸化、特に加工肉に含有されるタンパク質もしくは脂質の酸化を防止及び/又は低減するのに非常に効率的であることを示した。
【0037】
したがって、別の実施形態によれば、本発明は、肉を含有する食品などのタンパク質及び/又は脂質を含有する複合食品用天然防腐薬剤としてのタキソジオン又はローズマリー茎抽出物の使用に関する。
【0038】
本発明の天然防腐剤は、肉を含有する食品を噴霧、含浸、もしくはコーティングして、層状フィルムを形成し得るか、又は上記食品に組み込まれ得、これにより、上記食品の貯蔵寿命を大幅に延ばすことができ、防腐剤は、抗酸化機能を示すことができる。
【0039】
本発明によれば、「タンパク質を含有する食品」は、非熱処理の加工肉及び熱処理された加工肉、軟体動物及び甲殻類を含む加工魚及び水産物、加工卵及び卵製品、粉乳…であり得;より具体的には、「肉を含有する食品」は、販売前に包装することを意図されているであろう、あらゆる起源の新鮮な肉、牛肉、子牛肉、子羊及び羊、豚肉、鶏肉、例えば、スライス肉、ミンチ肉、又は挽肉、パテ、ハム、及びスモックハム、ソーセージなどのデリカテッセンを包含し;「脂質を含有する食品」は、調味料、卓上調味料、マスタード、スープ、及びブロスソース、本質的に水を含まない油脂…を包含する。
【0040】
本発明はまた、改善された貯蔵寿命を有する、肉を含有する食品などのタンパク質及び/又は脂質を含有する食品の調製プロセスであって、上記プロセスが、タキソジオン又はローズマリー茎抽出物を、肉を含有する食品などのタンパク質及び/又は脂質を含有する上記食品に添加する工程を含む、プロセスに関する。
【0041】
当業者は、タンパク質及び/又は脂質を含有する食品に添加されるタキソジオン又はローズマリー茎抽出物の量を選択し得;例えば、上記量は、タンパク質を含有する複合食品1kgあたり1~50mg、好ましくは1~10mgのタキソジオンを表し得る。
【0042】
本発明のすべての実施形態では、タキソジオンは、ローズマリー茎抽出物に含有され得る。上記ローズマリー茎抽出物は、少なくとも1%w/wのタキソジオンを含み、上記抽出物は、好ましくは少なくとも3%w/w、より好ましくは5%w/wのタキソジオンを含む。
【0043】
上記抽出物は、好ましくは、ローズマリー茎の乾燥粉末を調製することによって得られ;上記乾燥粉末を、アルコール又は水アルコールなどの有機溶媒中で少なくとも5日間、好ましくは7日間浸軟させ、上記溶媒は、好ましくは、アルコール、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アセトン、酢酸エチル、水、又はこれらの溶媒の混合物であり;溶媒を留去することにより液相を回収する。溶媒は、好ましくは、エタノールなどのC-Cアルコール、又は水とエタノールもしくはヘキサンなどのC-Cアルコールとの混合物である。代替の実施形態によれば、上記抽出物は、ローズマリー茎の乾燥粉末を調製することによっても得られ得;上記乾燥粉末を、アルコール又は水アルコールなどの有機溶媒中で少なくとも5日間、好ましくは7日間浸軟させ、上記溶媒は、好ましくは、アルコール、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アセトン、酢酸エチル、水、又はこれらの溶媒の混合物であり;超音波抽出を適用し、溶媒を留去することによって液相を回収する。
【0044】
少なくとも部分的に茎に由来する、蒸気蒸留(つまり、水蒸気蒸留)を使用した精油の抽出後に得られたローズマリーの乾燥残留物(固形廃棄物)も、本発明の茎抽出物を調製するためにローズマリー茎の乾燥粉末の代わりに使用され得る。
【0045】
抽出物中のタキソジオンの濃度は、以下の実験部分で説明されているように決定することができる。
【0046】
タキソジオン又はローズマリー茎抽出物の有利な特性をさらに高めるために、それらは、ビタミン、ミネラル、抗酸化剤などの関心のある栄養剤と関連付けし得る。
【0047】
本発明は、以下の例によってさらに説明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】ローズマリー茎抽出物が、誘発された酸化ストレスからヒト筋芽細胞を保護する図である。 (A、B)120μMのH(致死濃度)とのインキュベーション前の、(A)ローズマリー・オフィシナリス(Rosmarinus officinalis)全抽出物(RW)もしくはテンポル(合成抗酸化剤;対照として50μM)又は(B)異なる濃度のローズマリー・オフィシナリス(Rosmarinus officinalis)葉(RL)もしくは茎(RS)抽出物とインキュベートしたヒト筋芽細胞における細胞死の定量化(すべての細胞のパーセンテージ)。CTRL:Hとインキュベートされていない細胞。細胞死は、細胞計数及び生存率キットならびにMuse細胞分析装置を使用して定量化した;H(A、B)と比較してp<0.001(***)及びp<0.0001(****)(一元配置分散分析)。
図2】ローズマリー茎抽出物からのタキソジオン精製の異なる工程である。
図3】タキソジオンが、ヒト筋肉細胞に対して強力な抗酸化作用を有する図である。 (A、B)120μMのH(致死濃度)への曝露前の、(A、B)示した濃度のタキソジオン(TX)又は(B)ローズマリー、カルノシン酸(CA)、及びカルノソル(CO)の主要な生物活性化合物とのインキュベーション時のヒト筋芽細胞における細胞死の定量化(すべての細胞のパーセンテージ)。CTRL:Hとインキュベートされていない細胞。細胞死は、細胞計数及び生存率キットならびにMuse細胞分析装置を使用して定量化した。H(A、B)と比較してp<0.05(*)、p<0.01(**)、及びp<0.001(***)(一元配置分散分析)。
図4】タキソジオンが、ヒト筋肉細胞の酸化損傷を減少させる図である。 筋芽細胞は、Hに曝露する前に、タキソジオン(TX)(0.5μg/mL)と共に24時間インキュベートした。(A)活性酸素種(ROS)の生成は、「Muse酸化ストレスキット」及び蛍光活性化セルソーティング(FACS)を使用して定量化した。(B)リン酸化γH2AXタンパク質レベルのウエスタンブロット分析;ヒストンH1.4をローディングコントロールとして使用した(右パネル)。Odysseyソフトウェアを使用したウエスタンブロットデータの定量化(左パネル)。(C)CHOP遺伝子の相対的発現レベル(未処理の対照と比較)を示すRT-qPCR分析;RPLPOを参照遺伝子として使用した。(D、E)コンフルエントなヒト初代筋芽細胞を4日間分化培地に切り替えた。2日目に、細胞をTX(0.5μg/mL)と共に24時間インキュベートし、次いでHに24時間曝露した。(D)H毒性を、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性を定量化することによって決定した;(E)CellRox(ROS活性プローブ)を筋管にロードし、TECAN分光光度計を使用して蛍光を定量化した;Hと比較して、p<0.01(**)及びp<0.001(***)(一元配置分散分析)。
図5】タキソジオンが、冷蔵保存中にマウスのミンチ肉を脂質及びタンパク質の酸化から保護する図である。 生後6か月のC57BL/6雄マウスのミンチにした腓腹筋をエタノール(CTRL)又はエタノールに溶解したBHT(0.010%、0.005%、0.0025%w/wのミンチにした筋肉)、カルノシン酸(CA)(0.015%、0.0075%、0.00375%w/wのミンチにした筋肉)、又はタキソジオン(TX)(0.015%、0.0075%、0.00375%w/wのミンチにした筋肉)と混合した。冷蔵保存(+4℃)の0日目及び7日目に、(A)脂質酸化をTBARS定量化によって評価し、(B)タンパク質酸化を総チオール定量化によって評価した;CTRLと比較して、p<0.05(*)、p<0.01(**)、p<0.001(***)(一元配置分散分析)。
図6】冷蔵保存中のマウスのミンチ肉の脂質酸化に関するエタノール性ローズマリー茎抽出物(RS(EtOH))とヒドロエタノール性ローズマリー茎抽出物(RS)との比較である。
図7】冷蔵保存中のマウスのミンチ肉の脂質酸化に関するローズマリー茎抽出物(RS)とローズマリー葉抽出物(RL)との比較である。
図8】冷蔵保存中のマウスのミンチ肉の脂質酸化に関するローズマリー茎抽出物(RS)とビタミンCとの比較である。
図9】マウスの肉脂質の過酸化に関するいくつかのタキソジオン濃縮抽出物とE392との比較である。
図10】牛肉脂質の過酸化に関するいくつかのタキソジオン濃縮抽出物とE392との比較である。
【0049】

例1
材料及び方法
1.一般的な実験手順
フラッシュカラムクロマトグラフィーは、UV/可視分光光度計、クォータナリポンプ、及びフラクションコレクターを備えたスポット液体クロマトグラフィーフラッシュ装置(Armen Instrument、Saint-Ave,France)を使用して実行した。H NMR、13C NMR、及び2D NMRスペクトルは、BRUKER Avance III-600MHz NMR分光計で適切な重水素化溶媒中で記録した。
【0050】
2.試薬及び標準
DPPHラジカル(97%)、シクロヘキサン(99.8%)、クロロホルム(99%)、ジクロロメタン(99.9%)、重水素化クロロホルム(99.8%)、DMSO(99.9%)、及びテンポルは、Sigma-Aldrich(Steinheim,Germany)から購入した。アセトニトリル(99.9%)は、Chromasolv(Seelze,Germany)から購入した。ギ酸(98%)、酢酸エチル(99%)、及びアセトン(99.5%)は、Panreac(Barcelona,Spain)から購入した。Trolox(98%)は、Fluka Chemicals(Steinheim,Switzerland)から購入し、エタノール(99.9%)は、VWR BDH Prolabo(Pennsylvania,USA)から購入した。L-アスコルビン酸(ビタミンC)(Sigma-Aldrich,France)
【0051】
3.植物材料
ローズマリー・オフィシナリス(Rosmarinus officinalis)は、2015年2月にMontpellier(France)の北部で収集した。乾燥茎及び葉を粉砕し、直接抽出した。
【0052】
4.抽出
150gの粉砕したローズマリー茎を、室温の暗所で900gの無水エタノール及び450gの蒸留水と24時間ごとに撹拌しながら浸軟させた。7日後、茎抽出物を濾過した。減圧下で蒸発乾固させて、RS(ローズマリー茎)と名付けられた12.2gのヒドロエタノール抽出物を得た。同じ手順を150gの粉砕した葉に使用し、RL(ローズマリー葉)と名付けられた69gのヒドロエタノール抽出物を得ることができた。同じ手順を、RW(ローズマリーホール)と名付けられた150gの粉砕した葉及び茎に使用した。100%のエタノール抽出物も、150gの粉砕した茎に対して同じ手順で調製して;RS(EtOH)と名付けられた5.3gの抽出物が得られた。乾燥抽出物を、分析及び精製まで-20℃に保った。
【0053】
5.ローズマリー茎抽出物からのタキソジオンのバイオアッセイガイドによる単離
各精製工程で、以下に説明するアッセイを使用して画分を試験した。RS抽出物(12.2g)をCHCl可溶性画分と水性画分とに分配した。減圧下で蒸発乾固した後、これらの2つの画分は、4.41gのCHCl可溶性抽出物及び7.79gの水溶性抽出物をもたらした。CHCl可溶性抽出物は、順相フラッシュカラムクロマトグラフィー(Merck Chimie SVF D26-SI60、15~40μm~30g、流速6.5mL/分、25mL/画分)で分離した。溶出は、シクロヘキサン:酢酸エチル(100:0~0:100)、次いでクロロホルム:メタノール(1%、次いで5%の段階的に100:0~80:20)の混合物で完了した。薄層クロマトグラフィー(TLC)分析後、100%のシクロヘキサンで溶出した第1の画分(画分1~69)を合わせ、減圧下で濃縮して、画分F1(370mg)を得た。F1をLH-20セファデックスゲルで精製した(2.4×38cm、40gのLH-20、溶出:100%のジクロロメタンから100%のメタノール、50%の段階的、次いで100%のアセトン、3mL/画分)。100%のCHClで溶出された画分17~33を合わせ、減圧下で濃縮して、画分F1-2(160mg)を得た。F1-2は、最終的に逆相フラッシュカラムクロマトグラフィー(Chromabond(登録商標)Flash、RS4C18、4.3g、流速:5mL/分、25mL/画分)で精製した。アセトニトリル/水(50:50~100:0)の混合物で溶出を完了し、111の画分を得た。アセトニトリル/水(60:40)で溶出した画分17~29を合わせ(F1-2-3)、50mgの純粋なタキソジオンを得た。
【0054】
6.高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析
定量分析のためのクロマトグラフィーによる分離及び検出は、P4000ポンプ、SCM1000デガッサ、AS3000自動サンプラー、及びUV6000LP DAD検出器(Thermo Fisher Scientific Inc.,San Jose,USA)を含んだSpectroSYSTEM(登録商標)機器で実行した。システムは、ChromQuestソフトウェアバージョン5.0を使用して操作した。クロマトグラフ分離は、ODS Hypersyl C18カラム(250mm×4.6mm、5μm、Thermo Fisher Scientific Inc.,San Jose,USA)で、カラム温度を30℃に維持して実現した。溶媒A(水/ギ酸99.9:0.1v/v)及び溶媒B(アセトニトリル)を使用して、画分を1mL/分(初期背圧約105bar)の流速で溶出した。標準及びローズマリー抽出物の分析に使用された勾配は、0~10分、85%A;10~20分、85~65%A;20~25分、65~30%A;25~30分、30%A;30~50分、30~20%A;50~60分、20~10%A;60~70分、10~85%;70~80分85%Aであった。UV/visスペクトルを200~400nmの範囲で記録し、230、280、及び330nmでクロマトグラムを取得した。粗抽出物及び画分中のロスマリン酸、カルノソール、カルノシン酸、及びロスマノールの同定は、市販の標準の保持時間及びUVスペクトルとの比較に基づいた。
【0055】
7.HPLCによるタキソジオンの定量化
直線性/作業範囲:0.029~1mg/mL(n=3)の濃度範囲に対応するTXの量を増やして検量線を作成した。タキソジオンのピーク面積を統合し、検量線を構成した。回帰分析では、回帰係数rが>0.99の場合、カーブフィッティングは、許容できると見なした。
【0056】
検出限界/定量限界(LOD/LOQ):LODは、ノイズレベルの3倍の応答が得られるサンプル濃度として定義した。LOQは、ノイズレベルの10倍の応答が得られるサンプル濃度として定義した。
【0057】
タキソジオンの回収率は、3つの異なる濃度(0.05、0.4、0.8mg/mL)でのサンプル分析によって評価した。精度は、パーセント誤差[(測定された平均)/予想した平均]x100として表され、精度は、決定された変動係数(CV、%)であった。
【0058】
標準的な既知量のタキソジオンを添加した後の抽出物サンプルの回収率:RS抽出物をHPLCで分析して、TX濃度を定量化し、既知濃度の純粋なTXでスパイクした同じ抽出物と比較した。回収率は、[(スパイクされた抽出物の平均値-スパイクされていない抽出物の平均値)/(予想濃度)x100]として決定した。
【0059】
8.ヒト筋芽細胞の初代培養
大腿四頭筋生検は、1人の健康な成人からのものであった(AFM-BTR「Banque de tissus pour la recherche」)。以前に説明したように、筋芽細胞を筋生検から精製し、10%のウシ胎児血清(FBS)、0.1%のUltroser G、及び1ng/mlのヒト塩基性線維芽細胞成長因子(増殖培地)を含むDMEM/F12培地でコラーゲンコーティングディッシュ上で培養した(Kitzmann,Bonnieu,Duret,Vernus,Barro,Laoudj-Chenivesse,et al.,2006)。細胞分化のために、コンフルエントな細胞を4%のFBSを含むDMEMで3~5日間培養した(分化培地)。
【0060】
9.細胞死及びROSの定量化
筋芽細胞:筋芽細胞を35mmのコラーゲンコーティングディッシュに播種し、増殖培地で培養し、試験化合物と24時間プレインキュベートし、又はプレインキュベートせず、次いで致死濃度の過酸化水素(H)、強力な酸化促進/アポトーシス促進化合物と24時間インキュベートし、又はインキュベートしなかった。最適なH濃度は、すべての細胞の30%~50%を死滅させるのに必要な濃度であり、各実験の前に確立された。一般に、筋芽細胞は、120μMのHとインキュベートした。死んだ筋芽細胞は、Muse(登録商標)計数及び生存率キットで染色することにより同定し、ROSは、Muse(登録商標)酸化ストレスキットで定量した後、蛍光活性化セルソーティング(FACS)Muse装置(Millipore,France)で分析した。
【0061】
筋管:筋芽細胞を35mmのコラーゲンコーティングディッシュに播種し、増殖培地でコンフルエントになるまで培養した後、分化培地に4日間切り替えた。2日目に、Hで24時間インキュベートする前に、細胞をTXで24時間インキュベートした。筋管培養で使用されるH濃度(550μM)は、筋芽細胞で使用される濃度よりも高く、これは、筋管がアポトーシス誘導物質に耐性があることを示唆している(未発表の結果;(Salucci,Burattini,Baldassarri,Battistelli,Canonico,Valmori,et al.,2013))。筋管は、FACS分析には大きすぎるため、H効果は、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性を定量化することによって決定し、これは、LDH細胞毒性キット(ThermoFisher,France)を使用して、組織損傷時に培地で増加する。並行して、筋管培養物にROS蛍光プローブ(CellRox)をロードし、続いてTECAN分光光度計を使用して蛍光を定量化した。
【0062】
10.RT-qPCRアッセイ
筋芽細胞を35mmのコラーゲンコーティングディッシュに播種し、増殖培地で培養し、TXと24時間プレインキュベートし、又はプレインキュベートせず、次いで致死量以下の濃度のH(80μM;死細胞との干渉を避けるため)と24時間インキュベートし、又はインキュベートしなかった。次いで、NucleoSpin RNA II Kit(Macherey-Nagel,Hoerdt,France)を使用して、筋肉細胞から全RNAを単離した。各サンプルのRNA濃度は、エッペンドルフバイオフォトメーターで測定した。cDNAは、Verso cDNA合成キット(Thermo Scientific,Ilkirch,France)を使用して調製した。
【0063】
CHOP(標的)及びRPLPO(対照)遺伝子の発現は、前述のように(El Haddad,Notarnicola,Evano,El Khatib,Blaquiere,Bonnieu,et al.,2017)、以下のプライマーを使用して、LightCycler装置(Roche Diagnostics,Meylan,France)での定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)によって分析した。
RPLPO:
配列番号N°1:TCATCCAGCAGGTGTTCG
配列番号N°2:AGCAAGTGGGAAGGTGTAA
CHOP:
配列番号N°3:AAGGAAAGTGGCACAGC
配列番号N°4:ATTCACCATTCGGTCAATCAGA.
【0064】
11.ウエスタンブロッティング
筋芽細胞を35mmのコラーゲンコーティングディッシュに播種し、増殖培地で培養し、TXと24時間プレインキュベートし、又はプレインキュベートせず、次いで80μMのHと24時間インキュベートし、又はインキュベートしなかった。タンパク質抽出物をSDS-PAGEゲル電気泳動で分離し、ニトロセルロースメンブレンに転写し、Odysseyブロッキングバッファー(Eurobio,France)で室温でブロックし、ウサギポリクローナル抗ヒストンH1.4(Sigma-Aldrich;1/5000)でプローブし、ウサギポリクローナル抗ガンマH2AX(Cell signalling;1/3000)抗体、続いてIRDye(登録商標)680RD及びIRDye(登録商標)800RD二次抗体(Eurobio、France)でプローブした。Odysseyソフトウェアを用いて蛍光を定量化した。データは、α-チューブリン発現に対して正規化した。
【0065】
12.筋肉のサンプリング及び調製
この研究の実験プロトコルは、欧州指令(86/609/CEE)に厳密に従っており、ラングドックルシヨン地域の倫理委員会によって承認された。生後6か月のC57BL/6雄マウスの腓腹筋を取り出し、すぐに氷上に置いた。次いで、筋肉を滅菌はさみで5分間ミンチにし、600mgのバッチに分割した。ミンチにした筋肉の各バッチを、エタノール(50μL/600mg)に溶解した、異なる量のブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)(0.010%、0.005%、0.0025%w/wのミンチにした筋肉)、CA(0.015%、0.0075%、0.00375%w/wのミンチにした筋肉)、又はTX(0.015%、0.0075%、0.00375%w/wのミンチにした筋肉)と混合した。対照バッチは、エタノール(50μL/600mg)のみと混合した。分子量の違いを補正するために、異なるパーセンテージの3つの抗酸化剤を使用した。ミンチにした筋肉の各バッチは、計量カップを使用して4つの部分(150mg)に分割し、ポリプロピレンフィルムバッグに個別に包装した。3つの部分を4±1℃の暗所で7日間保存した。最後の1つ(0日)は、Ultra-Turraxホモジナイザーを用いて50mMのリン酸緩衝液(pH7.0)(1:9)で直ちにホモジナイズした。チオバルビツール酸反応性物質(TBARS)の測定に必要なホモジナートの画分をすばやく凍結し、総チオールの測定のために-20℃で保存する前に、残りを1000g、4℃で15分間遠心分離した。同じ手順を牛肉(「アントルコート」)に採用した。肉片は、1週間前に屠殺された動物からのものであった。
【0066】
13.α,α-ジフェニル-β-ピクリルヒドラジル(DPPH)フリーラジカルスカベンジングアッセイ
ラジカル捕捉活性は、いくつかの変更を加えたMorel et al.によって記述された方法に従って、DPPHを使用して評価した(Morel,Landreau,Nguyen,Derbre,Grellier,Pape,et al.,2012)。試験した抽出物及び標準液を、異なる濃度の絶対エタノールで希釈した。エタノールをブランクとして使用し、10、25、50、及び75μMのTroloxをキャリブレーション溶液として使用した。試験した化合物又は標準溶液(100μL)を、試験濃度ごとに3回ずつ96ウェルプレートに入れた。絶対エタノールを添加した(75μL)。25μLの新たに調製したDPPH溶液(1mM)を添加して、反応を開始し、最終容量を200μL/ウェルにした。室温の暗所で30分後、UVMAXモレキュラーデバイスマイクロタイタープレートリーダー(MDS Inc.,Toronto,Canada)を用いて550nmで吸光度を決定した。結果は、DPPHラジカルの50%が除去される有効濃度として表した(EC50、μg/mL)。結果は、3回の独立した実験の平均±標準偏差(SD)である(各実験の濃度ごとに3つのウェル)。
【0067】
14.TBARS測定
脂質過酸化指数は、TBARSを測定することによって筋肉ホモジナートで決定した(Sunderman,Marzouk,Hopfer,Zaharia,&Reid,1985)。簡単に説明すると、筋肉ホモジナートを154mMのKCl、リン酸(1%v/v)、及び30mMのチオバルビツール酸(TBA)と混合した。混合物を100℃で1時間煮沸した。冷却後、n-ブタノールで抽出し、1000g、室温で15分間遠心分離した。有機相の蛍光強度を分光蛍光光度計(Ex:515nm;Em:553nm)で測定した。標準は、1,1,3,3-テトラエトキシプロパン(TEP)から調製して、結果は、組織1グラムあたりのTBARSのナノモルとして表し、3回の実験の平均±SDであった。
【0068】
15.タンパク質酸化アッセイ又はスルフヒドリル基測定
総チオール定量化(Faure&Lafond,1995)は、5,5'-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(DTNB)と、412nmで分光光度的に定量できる黄色の生成物であるチオニトロ安息香酸(TNB)を生成するサンプルとの反応に基づく。結果は、タンパク質1ミリグラムあたりの総チオールのナノモルとして表し、3回の実験の平均±SDであった。タンパク質濃度は、BioRadタンパク質アッセイ(BioRad,Hercules,CA,USA)及び標準としてウシ血清アルブミンを使用して決定した。
【0069】
16.統計分析
統計分析は、GraphPad Prism 6.0ソフトウェア(GraphPad Software Inc.,San Diego,CA,USA)を用いて行った。すべての実験を3回実行した。エラーバーは、平均のSDを表す。統計的有意性は、一元配置分散分析を使用して決定した;p<0.05(*)、p<0.01(**)、p<0.001(***)、及びp<0.0001(****)を有意であると見なした。
【0070】
結果及び考察
1.ローズマリー茎抽出物は、複雑な生体系で強力な抗酸化作用を有する
強力な酸化促進分子であるHは、ヒト筋芽細胞(骨格筋前駆体)の付着培養におけるアポトーシス細胞の割合を増加させることが以前に実証されている(Jean,Laoudj-Chenivesse,Notarnicola,Rouger,Serratrice,Bonnieu,et al.,2011)。
【0071】
葉と茎との混合物からのローズマリー・オフィシナリス(Rosmarinus officinalis)抽出物(全ローズマリー抽出物、RW)又は強力な合成抗酸化剤であるテンポルの濃度を増加させて、ヒト筋芽細胞をプレインキュベートする効果は、致死濃度のHとのインキュベーションの前に24時間試験される。予想通り、テンポルは、H誘発細胞死からヒト筋芽細胞を効率的に保護した(図1A)。RWはまた、試験したすべての濃度で細胞死を効率的に減少させた。
【0072】
次いで、ローズマリー・オフィシナリス(Rosmarinus officinalis)の葉(RL)又は茎(RS)抽出物を調製し、筋芽細胞を10μg/mL未満のRL又はRS抽出物の濃度を上げながら24時間インキュベートした後、Hを添加して細胞死を定量化した。RSは、1、2、及び4μg/mLでH誘発細胞死から筋芽細胞を保護するのに最も効率的であった(図1B)。2つの主要な既知のローズマリー抗酸化物質であるカルノシン酸(CA)及びカルノソール(CO)は、主に葉から抽出され、茎などの植物の木質部分に非常に低レベルで存在するため、この結果は、非常に驚くべきものであった(del Bano,Lorente,Castillo,Benavente-Garcia,del Rio,Ortuno,et al.,2003)。これは、他の分子(複数可)がRS抗酸化活性に寄与する可能性があることを示唆した。
【0073】
2.RS抽出物からの抗酸化化合物のバイオアッセイガイドによる単離
RS抽出物の抗酸化活性の原因となる化合物(複数可)を単離するために、バイオアッセイガイドによる分画アプローチが使用されている。具体的には、RS抽出物は、CHClと水画分に分離され(図2)、H誘発細胞死から筋芽細胞を保護する能力を評価した。このアプローチは、CHCl可溶性画分がRS抗酸化活性の原因であったことを示した(データは、図示せず)。したがって、この画分をさらに分画して(図2及び方法を参照)、50mgの純粋な化合物を得る。NMR及び質量分析により、この化合物をタキソジオン(TX)として同定し(Rodriguez,2003)、精製収率は、0.33mgの乾燥茎のタキソジオン(TX)/g又は4.1mg/gの乾燥抽出物であった。
【0074】
RS及びRL抽出物中のTXを定量化するために、方法が開発され、HPLCによって検証され;この方法は、RS抽出物では、TX濃度が11.7mg/gの乾燥抽出物であったのに対し、RL抽出物では検出できなかったことを示した(<LOD)。RS(EtOH)では、TX濃度は、38mg/gの乾燥抽出物であった。HPLCによる定量化は、RS抽出物中のTX濃度が精製収率によって示唆されたものよりも高かったことを示唆し、これは抽出及び精製の条件を改善できることを含意する。
【0075】
3.タキソジオンは、H誘発ストレスからヒト筋芽細胞及び筋管を保護する
を添加する前に、筋芽細胞を0.125μg/mL、0.250μg/mL、及び0.5μg/mLのTXと24時間インキュベートした。3つの濃度すべてが、H誘発細胞死に対して同様かつ強力な保護効果を有した(図3A)。
【0076】
次いで、TX抗酸化活性を、ローズマリーの主要な生物活性化合物:CA及びCOの活性と比較した(図3B)。TXは、試験したすべての濃度で大幅に効率的であったのに対して、発明者らは、以前に報告されたように、Troloxのような強力な抗酸化能力を示したCA、CO、及びロスマリン酸と比較して、TXが低いDPPHフリーラジカル捕捉活性を示すことを見出した(Erkan,Ayranci,&Ayranci,2008;Luis&Johnson,2005)。
【0077】
などの酸化促進分子は、ROS産生、DNA損傷、小胞体小胞体ストレス、及び細胞分化の変化を促進する。したがって、H損傷から筋芽細胞を効率的に保護するTX容量が評価されている。TXと24時間プレインキュベーションし、Hに24時間曝露した後、ROSのレベル(図4A)、DNA二本鎖切断形成時にリン酸化されるタンパク質であるγH2AXのレベル(図4B)、及び小胞体ストレスのマーカーであるCHOP遺伝子のレベル(図4C)を定量化した。
【0078】
予想通り、H処理により、ROS、γH2AXタンパク質、CHOP mRNAのレベルが上昇した。TXによる前処理は、H効果を減少させたのに対して、TX単独では、効果がなかった。筋細胞の分化中、衛星幹細胞の子孫である筋芽細胞は、細胞周期を終了し、筋肉特異的な構造タンパク質を発現する静止多核細胞である筋管に自発的に分化する。TXがより成熟した骨格筋細胞でも抗酸化活性を示すかどうかを決定するために、本発明者らは、コンフルエントなヒト初代筋芽細胞を分化培地に4日間切り替えた。2日目に、本発明者らは、細胞をTXと24時間インキュベートし、続いてHをさらに24時間インキュベートした。LDH活性及びROSレベルは、Hとのみインキュベートした筋管で増加した(図4D、E)。逆に、TXとのプレインキュベーションは、H効果を大幅に減少させた。
【0079】
したがって、TXは、酸化ストレスからヒトの骨格筋細胞を効率的に保護することが実証されている。これは、TXが酸化ストレス及び骨格筋消耗性疾患に関連するヒトの病状に有用であり得ることを示唆している。また、これらの状態に関連する強力な酸化ストレスを軽減することにより、骨格筋疾患の治療アプローチの有効性を改善させることができる。
【0080】
4.タキソジオンは、ミンチ肉における脂質及びタンパク質の酸化を制限する。
加工肉では、脂質及びタンパク質は、時間の経過とともに酸化されるが、このプロセスは、抗酸化物質の添加によって遅らせることができる(Shah,Bosco,&Mir,2014)。
【0081】
TXの抗酸化能を特徴付けるためのマウスの死後の肉に関する実験が開発されきた。
【0082】
食品用肉に示されているように、TBARSによって定量化された脂質酸化は、4℃での保存の2日目からマウスの筋肉で徐々に増加するが、チオールレベルは、急激に減少し、これは高レベルのタンパク質酸化を示している(データは、示さず)。TX抗酸化能を決定するために、TX、CA、及び合成フェノール系抗酸化剤BHTの、RS及びRLの、ならびにRS、BHT、及びビタミンCの脂質及びタンパク質酸化を減少させる効果を比較した(それぞれ図5図7図8)。
【0083】
マウスのミンチ肉(CTRL)では、TBARS分析によって定量化された脂質酸化が、4℃で7日間保存した後に激しく増加した。逆に、チオールレベルは、著しく低下し、これは高レベルのタンパク質酸化を示している(図5A及びB)。BHT、CA、又はTXを含有する肉サンプルでは、TBARS値は、0日目(図5A)ですでに有意に低く、7日目(図5A)でも対照(CTRL;未処理サンプル)よりも低いままであった。0日目では、チオールレベルは、対照及びBHT、CA、又はTXのサンプルで同等であったが、総チオールレベルが大幅に低いTX濃度が最も高い(0.015%)サンプルでは同等ではなかった(図5B)。7日間の保存後、肉のチオールレベルは、抗酸化剤を含むサンプルよりも対照で有意に低かったが、0.01%のBHTでは有意に低くはなかった(図5B)。ハイドロエタノール(RS)又はエタノール(RS(EtOH))バッファーで抽出された粉砕したローズマリー茎の抽出物の抗酸化能を比較した。エタノール抽出物は、ハイドロエタノール抽出物(1.17%のタキソジオン)よりも多くのタキソジオン(2.86%のタキソジオン、330nmでのHPLC-UVによる定量化)を含有する。0日目に、肉サンプルは、RS又はRS(EtOH)の添加によって大幅に減少したTBARS値によって特徴付けられる(図6)。7jでは、RS又はRS(EtOH)で処理されたサンプルは、同じ日に対照群と比較して、非常に低いレベルでTBARS値を維持した(図6)。しかしながら、ローズマリー茎の「エタノール性」抽出物は、「ヒドロエタノール性」抽出物よりもはるかに効果的である。
【0084】
さらに、これらのアッセイは、RS(EtOH)の肉における脂質酸化の抑制がRL(図7)及びビタミンC(図8)の肉における脂質酸化の抑制と比較して大幅に改善されたことも示している。
【0085】
これらの結果は、肉保存中の脂質及びタンパク質の酸化に対するTXの保護効果がBHT及びCAの保護効果に匹敵し、RS(EtOH)はRL及びビタミンCよりも良好であることを示している。
【0086】
例2-いくつかのローズマリー抽出物の比較
2.1.いくつかの製品におけるタキソジオンの定量化
抽出方法:
-RS、RSE、RLのハイドロエタノール及びエタノール浸軟:乾物及び粉砕物を7日間の浸軟により、ハイドロエタノール溶液又はエタノール(比率植物/溶媒:1g/10mL)で抽出した。次いで、減圧下での濾過及び蒸発により、乾燥抽出物が得られる。
-RSJ-ヘキサン及びRL-ヘキサンのヘキサン抽出物。タキソジオンの抽出収率を高めるために、乾物及び粉砕物をヘキサン(比率植物/溶媒:1g/10mL)で超音波処理しながら3*15分間抽出した。次いで、減圧下での濾過及び蒸発により、乾燥抽出物が得られる。この方法を使用して、濃縮抽出物を得た。この方法を使用して、葉抽出物も調製した。
【0087】
RS:ローズマリー茎
RS:ハイドロエタノール溶媒中で7日間浸軟させた茎抽出物。
RSE:エタノール溶媒中で7日間浸軟させた茎抽出物
RSJ-ヘキサン:ヘキサン中の茎の超音波抽出物
【0088】
RL:ローズマリー葉
RL:ハイドロエタノール溶媒で7日間浸軟させた葉抽出物。
RL-ヘキサン:ヘキサン中の葉の超音波抽出物
【表2】
【0089】
2.2.マウスの肉脂質の過酸化に対するタキソジオン強化抽出物の効果(図9
E392の抗酸化活性は、ミンチ肉における脂質酸化を減少させるその能力について、TXが豊富な抽出物と比較している。
【0090】
RSE及びRSJ-ヘキサンの調製は、2.1項に記載されているとおりである。
【0091】
マウスのミンチにした筋肉(CTRL)では、TBARS分析によって定量化された脂質酸化が、4℃で7日間保存した後に激しく増加した。E392、RSE、又はRSJ-ヘキサンを含有する死後の筋肉サンプルでは、TBARS値は、0.04%及び0.01%の濃度で有意に低かった。E392、RSE、又はRSJ-ヘキサンの間で0.04%の濃度で有意差は、観察されなかった。しかしながら、0.01%の濃度では、RSE又はRSJ-ヘキサンは、E392よりもTBARSレベルを下げる効率が高かった。
【0092】
2.3.牛肉脂質の過酸化に対するタキソジオン強化抽出物の効果(図10
ヒトが消費するための肉に関するこれらの結果を検証するために、牛のミンチ肉をBHT、TX、E392、RSE、又はRSJ-ヘキサンを用いて4℃で7日間処理した。予想通り、脂質の酸化は、7日間の保存後に大幅に増加した。マウスの筋肉で実証されているように、脂質酸化は、BHT、TX、E392、RSE、又はRSJ-ヘキサンで処理された牛のミンチ肉で低いままであった:RSJ-ヘキサンは、E392よりもTBARSレベルを低下させる効率が高かった。
【0093】
これらの結果は、肉の保存中の脂質及びタンパク質の酸化に対するTX及びTXが豊富な抽出物の保護効果を裏付ける。牛肉分析からのこれらの結果は、死後のマウスの筋肉から観察されたものと同様である。
【0094】
これらの実験はまた、死後の骨格筋の変化を予測し、肉の完全性を保つための生物学的試験を確立するのに有用な動物モデルとして齧歯動物を確証する。

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図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2021-09-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋肉における酸化を防止及び/又は減少させる使用のためのタキソジオン又はローズマリー茎抽出物。
【請求項2】
筋肉におけるタンパク質の酸化分解を防止及び/もしくは減少させるため、及び/又は筋肉における酸化促進分子の蓄積を防止及び/もしくは減少させるための、請求項1に記載の使用のためのタキソジオン又はローズマリー茎抽出物。
【請求項3】
筋肉量の喪失及び/又は筋肉疲労及び/もしくは筋肉消耗疾患を予防及び/又は治療し、前記筋肉量の喪失、筋肉疲労、及び筋肉消耗性疾患が、酸化ストレスに関連している、請求項1又は請求項2に記載の使用のためのタキソジオン又はローズマリー茎抽出物。
【請求項4】
ローズマリー茎抽出物が、少なくとも1%w/wのタキソジオンを含む、請求項1~3のいずれかに記載の使用のためのタキソジオン又はローズマリー茎抽出物。
【請求項5】
ローズマリー茎抽出物が、ローズマリー茎の乾燥粉末を調製すること;前記乾燥粉末を有機又は水冷溶媒中で少なくとも5日間、好ましくは7日間浸軟させること;任意選択で、超音波抽出を適用すること;液相を回収し、溶媒を蒸発させること;により得られ、前記溶媒が、アルコール、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アセトン、酢酸エチル、水、又はそれらの混合物の中から選択される、請求項1~4のいずれかに記載の使用のためのタキソジオン又はローズマリー茎抽出物。
【請求項6】
タンパク質及び/又は脂質を含有する食品用天然防腐薬剤としてのタキソジオン又はローズマリー茎抽出物の使用。
【請求項7】
タンパク質を含有する食品が、肉を含有する食品、非熱処理の加工肉、熱処理された加工肉、加工魚及び水産物、加工卵及び卵製品、ならびに粉乳の中から選択される、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
脂質を含有する食品が、調味料、卓上調味料、マスタード、スープ及びブロスソース、本質的に水を含まない脂肪及び油の中から選択される、請求項6に記載の使用。
【請求項9】
タンパク質及び/又は脂質を含有する食品が、新鮮な肉及びデリカテッセンからなる群において選択された肉を含有する食品である、請求項6に記載の使用。
【請求項10】
貯蔵寿命が改善された肉を含有する食品を調製する方法であって、前記プロセスが、前記肉を含有する食品にタキソジオン又はローズマリー茎抽出物を添加する工程を含む、方法。
【請求項11】
肉及び肉由来食品の品質を改善するための家畜用栄養剤としてのタキソジオン又はローズマリー茎抽出物の使用。
【請求項12】
肉又は肉由来食品のタンパク質分解及び/又は脂質過酸化を低減し、及び/又は色、風味、及び/もしくは食感の安定性を改善するための、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
タキソジオン又はローズマリー茎の抽出物を家畜飼料に添加する工程を含む、家畜肉の品質を改善するための方法。
【請求項14】
以下による、少なくとも1%w/wのタキソジオンを含むローズマリー茎の抽出物を調製する方法
ローズマリー茎の乾燥粉末を調製すること;
乾燥粉末を有機溶媒又は水アルコール溶媒中で少なくとも5日間、好ましくは7日間浸軟すること;
任意に超音波抽出を適用すること;
液相を回収し、溶媒を留去すること
該溶媒はアルコール、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アセトン、酢酸エチル、水又はそれらの混合物から選択される。
【請求項15】
少なくとも1%w/w、好ましくは3%w/wのタキソジオンを含むローズマリー茎の抽出物。
【国際調査報告】