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特表2022-505735光電検出器、製造方法およびレーザーレーダーシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】光電検出器、製造方法およびレーザーレーダーシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/107 20060101AFI20220106BHJP
   G01J 1/42 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
H01L31/10 B
G01J1/42 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021522388
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(85)【翻訳文提出日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 CN2019111463
(87)【国際公開番号】W WO2020083082
(87)【国際公開日】2020-04-30
(31)【優先権主張番号】201811246844.9
(32)【優先日】2018-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521048299
【氏名又は名称】フォグレイン テクノロジー (シェンゼン)カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PHOGRAIN TECHNOLOGY(SHENZHEN)CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】F4, Building A5, Nanshan I-Park, No.1001, Xueyuan Blvd, Nanshan District, Shenzhen, Guangdong China
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ, ホンリアン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ヤンウェイ
【テーマコード(参考)】
2G065
5F849
【Fターム(参考)】
2G065AA12
2G065AB02
2G065AB09
2G065AB19
2G065AB22
2G065BA09
2G065BA14
2G065DA15
5F849AA02
5F849AA07
5F849AB07
5F849AB17
5F849BA03
5F849BA04
5F849BA05
5F849BA08
5F849BB07
5F849CB05
5F849CB06
5F849CB09
5F849CB14
5F849CB15
5F849DA03
5F849DA28
5F849FA05
5F849HA01
5F849HA12
5F849HA13
5F849LA01
5F849XB18
5F849XB38
(57)【要約】
光電検出器、製造方法およびレーザーレーダーシステムでは、光電検出器の感光領域(200)を、100μm~300μmの範囲の直径を有する円形領域にし、感光領域(200)が50μmの従来の光電検出器に対して、検出距離を200m以上に到達させ、応答性を20A/W以上にし、暗電流を10nA未満にすることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザーレーダーシステム用のアバランシェ光電検出器であって、前記光電検出器は、
チップ基板と、
100μm~300μmの範囲の直径を有する円形の感光領域を含む、前記チップ基板の一方の側面に設けられたエピタキシャル機能層と、
前記エピタキシャル機能層の前記チップ基板から離反する一方の側面に設けられた第1の電極と、
前記チップ基板の他方の側面に設けられた第2の電極と、を含むことを特徴とする、光電検出器。
【請求項2】
前記エピタキシャル機能層は、前記チップ基板上に順次設けられたバッファ層、吸収層、遷移層、電界制御層、最上層および接触層を含み、
ここで、前記吸収層はInGaAs吸収層であることを特徴とする、請求項1に記載の光電検出器。
【請求項3】
前記エピタキシャル機能層はZn拡散領域を有し、前記Zn拡散領域は、第1の拡散領域と、前記第1の拡散領域を取り囲む第2の拡散領域とを含み、
前記第1の拡散領域の拡散深さはH1であり、前記第2の拡散領域の拡散深さはH2であり、前記接触層の厚さはh1であり、前記最上層の厚さはh2であり、前記電界制御層の厚さはh3であり、
ここで、h1<H1<h1+h2、h1+h2<H2<h1+h2+h3であり、
および/または、
前記吸収層の厚さは3.5μm未満であり、
および/または、
前記チップ基板はN型半絶縁性InP基板であり、前記バッファ層はInPバッファ層であり、遷移層はInGaAsP遷移層であり、前記電界制御層はInP電界制御層であり、前記最上層はInP最上層であり、前記接触層はInGaAsP接触層であることを特徴とする、請求項2に記載の光電検出器。
【請求項4】
前記エピタキシャル機能層は、前記チップ基板から離反する一方の側面にパッシベーション膜が設けられ、前記パッシベーション膜は前記感光領域を取り囲み、前記パッシベーション膜と前記感光領域との間に第1の電極スルーホールを有し、前記第1の電極は、前記第1の電極スルーホールを介して前記エピタキシャル機能層と電気的に接触することを特徴とする、請求項1に記載の光電検出器。
【請求項5】
前記パッシベーション膜は、積層された窒化シリコン層およびシリコン酸化層を含み、
および/または、
前記感光領域の表面には、反射防止膜が覆われており、
および/または、
前記感光領域の直径は200μmであることを特徴とする、請求項4に記載の光電検出器。
【請求項6】
製造方法は、
複数のチップ基板を備え、且つ隣接するチップ基板の間にカットチャネルを有するウェハを提供することと、
前記ウェハの一方の側面にエピタキシャル機能層を形成することと、ここで、各前記チップ基板に対応する前記エピタキシャル機能層は、いずれも円形の感光領域を含み、前記感光領域は100μm~300μmの範囲の直径を有し、
前記エピタキシャル機能層の前記ウェハから離反する一側にパターニングされた第1の電極層を形成することと、ここで、前記第1の電極層は、前記チップ基板に1対1で対応する第1の電極を含み、
前記ウェハの他側に第2の電極層を形成することと、
前記カットチャネルに基づいて前記ウェハを分割し、複数のシングルグレイン光電検出器を形成することとを含み、ここで、分割後、前記第2の電極層は、前記チップ基板に1対1で対応する複数の第2の電極を形成することを特徴とする、光電検出器の製造方法。
【請求項7】
上述した前記ウェハの一方の側面にエピタキシャル機能層を形成することは、
前記ウェハ上に、バッファ層、吸収層、遷移層、電界制御層、最上層および接触層を順次成長させることを含み、
ここで、前記吸収層はInGaAs吸収層であることを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記エピタキシャル機能層はZn拡散領域を有し、前記Zn拡散領域は、第1の拡散領域と、前記第1の拡散領域を取り囲む第2の拡散領域とを含み、前記Zn拡散領域の形成方法は、
前記接触層の表面にパッシベーション膜を形成することと、
前記パッシベーション膜をパターニングし、第1の拡散窓としての第1の環状領域を形成することと、ここで、各チップ基板に対応するパッシベーション膜のすべてに、前記第1の環状領域が設けられており、
前記第1の拡散窓に基づいて第1回のZn拡散を行うことと、
前記第1の環状領域内の前記パッシベーション膜を除去し、第2の拡散窓を形成することと、
前記第1の拡散窓および前記第2の拡散窓に基づいて第2回のZn拡散を行い、前記第1の拡散領域および前記第2の拡散領域を形成することと、を含むことを特徴とする、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記第1の拡散領域の拡散深さはH1であり、前記第2の拡散領域の拡散深さはH2であり、前記接触層の厚さはh1であり、前記最上層の厚さはh2であり、前記電界制御層の厚さはh3であり、
ここで、h1<H1<h1+h2、h1+h2<H2<h1+h2+h3であることを特徴とする、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
上述した前記エピタキシャル機能層の前記ウェハから離反する一側にパターニングされた第1の電極層を形成することは、
前記第1の拡散窓および前記第2の拡散窓を覆う反射防止膜を形成することと、
前記反射防止膜に環状開口部を形成し、前記環状開口部に囲まれた領域を前記感光領域とし、前記環状開口部を第1の電極スルーホールとすることと、
前記反射防止膜および前記パッシベーション膜の表面に前記第1の電極層を形成し、前記第1の電極層をパターニングし、前記チップ基板に1対1で対応する複数の第1の電極を形成し、前記第1の電極は、対応する前記第1の電極スルーホールを介して前記拡散領域に電気的に接触することと、を含むことを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
レーザーレーダーシステムは、請求項1-5のいずれか一項に記載の光電検出器を含むことを特徴とする、レーザーレーダーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号伝送技術の分野に関し、より具体的には、光電検出器、製造方法およびレーザーレーダーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の自動運転技術の目標は、車両をより安全で、より快適に走行させ、ある程度交通渋滞を緩和することである。科学技術の進化に伴い、自動車の自動運転技術も成熟してきており、一部の自動運転機能を持つ先進運転支援システム(ADAS)が自動車に十分に組み込まれるようになっている。
【0003】
自動車の自動運転を可能にする主要な部品は、車載センサーである。自動運転の進化に伴い、車載センサーは新たな技術的課題に直面する。レーザーレーダー(LiDAR)システムは、上記課題に対応する最適な解決手段として広く認識されている。この技術は、ADASの応用でその精度と信頼性が実証されている。また、レーザーレーダーシステムの高機能化・軽量化により、より多くの車載機能への搭載が可能になっている。
【0004】
レーザーレーダーシステムに対して、最も肝心なのは光波長の選択であり、現在、最も代表的な波長は905nmと1550nmであり、結晶シリコンは、精製やドーピングが容易であり、高温に強いなどの利点を有するが、1100nmを超える波長の光波を吸収できない。入射光の波長が1100nmを超えると、シリコン検出器の光に対する吸収率や応答率が大きく低下する。一方、波長が短いほど人体へのダメージが大きくなるため、レーザーレーダーシステムでは応答波長1550nmのインジウムガリウム砒素アバランシェ光電検出器がより適している。しかし、既存のインジウムガリウム砒素アバランシェ光電検出器は、検出距離が短く、応答性が低いため、一般的に光ファイバ通信に使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の実施例の技術的解決手段では、光電検出器の検出距離と応答性を向上させた光電検出器、製造方法およびレーザーレーダーシステムが提供されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するために、本発明の実施例は、以下のような技術的解決手段を提供する。
【0007】
レーザーレーダーシステム用のアバランシェ光電検出器である光電検出器であって、前記光電検出器は、
チップ基板と、
100μm~300μmの範囲の直径を有する円形の感光領域を含む、前記チップ基板の一方の側面に設けられたエピタキシャル機能層と、
前記エピタキシャル機能層の前記チップ基板から離反する一方の側面に設けられた第1の電極と、
前記チップ基板の他方の側面に設けられた第2の電極と、を含む。
【0008】
任意選択的に、上記光電検出器において、前記エピタキシャル機能層は、前記チップ基板上に順次設けられたバッファ層、吸収層、遷移層、電界制御層、最上層および接触層を含む。
【0009】
ここで、前記吸収層はInGaAs吸収層である。
【0010】
任意選択的に、上記光電検出器において、前記エピタキシャル機能層はZn拡散領域を有し、前記Zn拡散領域は、第1の拡散領域と、前記第1の拡散領域を取り囲む第2の拡散領域とを含む。
【0011】
前記第1の拡散領域の拡散深さはH1であり、前記第2の拡散領域の拡散深さはH2であり、前記接触層の厚さはh1であり、前記最上層の厚さはh2であり、前記電界制御層の厚さはh3である。
【0012】
ここで、h1<H1<h1+h2、h1+h2<H2<h1+h2+h3。
【0013】
任意選択的に、上記光電検出器において、前記吸収層の厚さは3.5μm未満である。
【0014】
任意選択的に、上記光電検出器において、前記チップ基板はN型半絶縁性InP基板であり、前記バッファ層はInPバッファ層であり、遷移層はInGaAsP遷移層であり、前記電界制御層はInP電界制御層であり、前記最上層はInP最上層であり、前記接触層はInGaAsP接触層である。
【0015】
任意選択的に、上記光電検出器において、前記エピタキシャル機能層は、前記チップ基板から離反する一方の側面にパッシベーション膜が設けられ、前記パッシベーション膜は前記感光領域を取り囲み、前記パッシベーション膜と前記感光領域との間に第1の電極スルーホールを有し、前記第1の電極は、前記第1の電極スルーホールを介して前記エピタキシャル機能層と電気的に接触する。
【0016】
任意選択的に、上記光電検出器において、前記パッシベーション膜は、積層された窒化シリコン層およびシリコン酸化層を含む。
【0017】
任意選択的に、上記光電検出器において、前記感光領域の表面には、反射防止膜が覆われている。
【0018】
任意選択的に、上記光電検出器において、前記感光領域の直径は200μmである。
【0019】
本発明の実施例はさらに、光電検出器の製造方法を提供し、前記製造方法は、
複数のチップ基板を備え、且つ隣接するチップ基板の間にカットチャネルを有するウェハを提供することと、
前記ウェハの一方の側面にエピタキシャル機能層を形成することと、ここで、各前記チップ基板に対応する前記エピタキシャル機能層は、いずれも円形の感光領域を含み、前記感光領域は100μm~300μmの範囲の直径を有し、
前記エピタキシャル機能層の前記ウェハから離反する一側にパターニングされた第1の電極層を形成することと、ここで、前記第1の電極層は、前記チップ基板に1対1で対応する第1の電極を含み、
前記ウェハの他側に第2の電極層を形成することと、
前記カットチャネルに基づいて前記ウェハを分割し、複数のシングルグレイン光電検出器を形成することとを含み、ここで、分割後、前記第2の電極層は、前記チップ基板に1対1で対応する複数の第2の電極を形成する。
【0020】
任意選択的に、上記製造方法において、上述した前記ウェハの一方の側面にエピタキシャル機能層を形成することは、
前記ウェハ上に、バッファ層、吸収層、遷移層、電界制御層、最上層および接触層を順次成長させることを含み、
ここで、前記吸収層はInGaAs吸収層である。
【0021】
任意選択的に、上記製造方法において、前記エピタキシャル機能層はZn拡散領域を有し、前記Zn拡散領域は、第1の拡散領域と、前記第1の拡散領域を取り囲む第2の拡散領域とを含み、前記Zn拡散領域の形成方法は、
前記接触層の表面にパッシベーション膜を形成することと、
前記パッシベーション膜をパターニングし、第1の拡散窓としての第1の環状領域を形成することと、ここで、各チップ基板に対応するパッシベーション膜のすべてに、前記第1の環状領域が設けられており、
前記第1の拡散窓に基づいて第1回のZn拡散を行うことと、
前記第1の環状領域内の前記パッシベーション膜を除去し、第2の拡散窓を形成することと、
前記第1の拡散窓および前記第2の拡散窓に基づいて第2回のZn拡散を行い、前記第1の拡散領域および前記第2の拡散領域を形成することと、を含む。
【0022】
任意選択的に、上記製造方法において、前記第1の拡散領域の拡散深さはH1であり、前記第2の拡散領域の拡散深さはH2であり、前記接触層の厚さはh1であり、前記最上層の厚さはh2であり、前記電界制御層の厚さはh3であり、
ここで、h1<H1<h1+h2、h1+h2<H2<h1+h2+h3。
【0023】
任意選択的に、上記製造方法において、上述した前記エピタキシャル機能層の前記ウェハから離反する一側にパターニングされた第1の電極層を形成することは、
前記第1の拡散窓および前記第2の拡散窓を覆う反射防止膜を形成することと、
前記反射防止膜に環状開口部を形成し、前記環状開口部に囲まれた領域を前記感光領域とし、前記環状開口部を第1の電極スルーホールとすることと、
前記反射防止膜および前記パッシベーション膜の表面に前記第1の電極層を形成し、前記第1の電極層をパターニングし、前記チップ基板に1対1で対応する複数の第1の電極を形成し、前記第1の電極は、対応する前記第1の電極スルーホールを介して前記拡散領域に電気的に接触することと、を含む。
【0024】
本発明の実施例はさらに、レーザーレーダーシステムを提供し、前記レーザーレーダーシステムは、上記のいずれか一項に記載の光電検出器を含む。
【0025】
以上の説明からわかるように、本発明の実施例の技術的解決手段によって提供される光電検出器、製造方法およびレーザーレーダーシステムでは、光電検出器の感光領域を、100μm~300μmの範囲の直径を有する円形領域にし、感光領域が50μmの従来の光電検出器に対して、検出距離を200m以上に到達させ、応答性を20A/W以上にし、暗電流を10nA未満にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の実施例または従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例または従来技術の説明で使用される図面を簡単に紹介し、当然のことながら、以下の説明における図面は、本発明の実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的労働を要することなく、これらの図面に基づくその他の図面を得ることができる。
【0027】
図1】本発明の実施例によって提供される光電検出器の正面上面図である。
図2図1に示す光電検出器のP-P’方向に沿った断面図である。
図3】本発明の実施例によって提供される光電検出器の製造方法のフローチャートである。
図4】本発明の実施例によって提供される光電検出器の製造方法のフローチャートである。
図5】本発明の実施例によって提供される光電検出器の製造方法のフローチャートである。
図6】本発明の実施例によって提供される光電検出器の製造方法のフローチャートである。
図7】本発明の実施例によって提供される光電検出器の製造方法のフローチャートである。
図8】本発明の実施例によって提供される光電検出器の製造方法のフローチャートである。
図9】本発明の実施例によって提供される光電検出器の製造方法のフローチャートである。
図10】本発明の実施例によって提供される光電検出器の製造方法のフローチャートである。
図11】本発明の実施例によって提供される光電検出器の製造方法のフローチャートである。
図12】本発明の実施例によって提供される光電検出器の製造方法のフローチャートである。
図13】本発明の実施例によって提供される光電検出器の製造方法のフローチャートである。
図14】本発明の実施例によって提供される光電検出器の製造方法のフローチャートである。
図15】本発明の実施例によって提供される光電検出器の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本出願の実施例の目的、技術的解決手段および利点をより明確にするために、本出願の実施例における図面と併せて、本出願の実施例における技術的解決手段を以下に明確かつ完全に説明し、もちろん、説明された実施例は本出願の実施例の一部であり、そのすべてではない。当業者は、本出願の実施例に基づいて、創造的労働を要することなく得られたその他のすべての実施例は、本出願の保護の範囲内にある。
【0029】
赤外線単光子の検出では、従来のインジウムガリウム砒素アバランシェ光電検出器は、シリコンアバランシェ光電検出器に比べて検出効率が悪く、バックグラウンドノイズが大きく、検出距離が短いという問題がある。本発明の実施例によって提供される光電検出器は、インジウムガリウム砒素アバランシェ光電検出器であり、1550nmの波長の信号に応答することができ、検出効率が高く、バックグラウンドノイズが低く、検出距離が大きく、応答性が高いという利点を有する。
【0030】
本発明の上記目的、特徴および利点をより容易に理解するために、以下は図面および特定の実施形態と併せて、本発明をさらに詳細に説明する。
【0031】
図1および図2を参照し、図1は本発明の実施例によって提供される光電検出器の正面上面図であり、図2図1に示す光電検出器のP-P’方向に沿った断面図であり、本発明の実施例に記載の光電検出器は、チップ基板2、およびエピタキシャル機能層100を含み、前記エピタキシャル機能層100は、前記チップ基板2の一方の側面に設けられる。前記エピタキシャル機能層100は、円形の感光領域200を含み、前記感光領域200は、100μm~300μmの範囲の直径を有する。
【0032】
前記光電検出器はさらに、第1の電極12および第2の電極1を含む。前記第1の電極12は、前記エピタキシャル機能層100の前記チップ基板2から離反する一方の側面に設けられ、前記第1の電極12は環状であり、前記感光領域200を取り囲んでいる。前記第1の電極12は、前記エピタキシャル機能層100に電気的に接触する。前記第2の電極1は、前記チップ基板2の他方の側面に設けられる。前記第2の電極1は、前記チップ基板2の他方の側面を完全に覆う。
【0033】
本発明の実施例に記載の光電検出器は、インジウムガリウム砒素アバランシェ光電検出器であり、前記感光領域200の直径の範囲を100μm~300μmに設定する。一方、従来のインジウムガリウム砒素アバランシェ光電検出器では、その感光領域の直径はわずか50μmであり、短距離の光ファイバ通信に使用されている。本発明の実施例に記載の光電検出器は、既存の構造に比べて、感光領域の範囲が大きくなり、検出効率、検出距離および応答性が向上し、バックグラウンドノイズが低減される。
【0034】
図2に示すように、前記エピタキシャル機能層100は、前記チップ基板上に順次設けられたバッファ層3、吸収層4、遷移層5、電界制御層6、最上層7および接触層8を含み、ここで、前記吸収層4はInGaAs吸収層である。この構造のエピタキシャル機能層100を上記範囲の感光領域200と合わせることで、光電検出器の検出距離を大幅に長くし、応答性を大幅に改善することができる。
【0035】
前記エピタキシャル機能層100は、Zn拡散領域10を有し、これにより、エピタキシャル機能層100にPN接合を形成して光信号を電気信号に変換する。前記Zn拡散領域10は、第1の拡散領域101と、前記第1の拡散領域101を取り囲む第2の拡散領域102とを含み、前記第1の拡散領域101の拡散深さはH1であり、前記第2の拡散領域の拡散深さはH2であり、前記接触層の厚さはh1であり、前記最上層の厚さはh2であり、前記電界制御層の厚さはh3である。
【0036】
ここで、h1<H1<h1+h2、h1+h2<H2<h1+h2+h3である。このようにして、光電検出器の検出距離を長くし応答性を向上させるとともに、拡散領域10のエッジブレークダウン効果を抑制し、ゼロボルトバイアスで光電流を発生させることができる。
【0037】
図2に示すように、Zn拡散領域10の外径を、感光領域200の外径よりも大きくすることで、感光領域200を介して検出器に導かれた光信号がすべてZn拡散領域内に入り、電気信号に変換され得る。
【0038】
本発明の実施例に記載の光電検出器では、前記吸収層4の厚さは3.5μm未満である。既存の構造に比べて、感光領域200の範囲が大きくなり、厚さを減らすことができる。
【0039】
前記チップ基板2はN型半絶縁性InP基板であり、前記バッファ層3はInPバッファ層であり、遷移層5はInGaAsP遷移層であり、前記電界制御層6はInP電界制御層であり、前記最上層7はInP最上層であり、前記接触層8はInGaAsP接触層である。上記実施形態のチップ基板2およびエピタキシャル機能層100を用いて、上記サイズの感光領域200と合わせることで、光電検出器の検出距離を大幅に長くし応答性を大幅に改善することができる。
【0040】
本発明の実施例では、前記エピタキシャル機能層100の前記チップ基板2から離反する一方の側面にはパッシベーション膜9が設けられ、前記パッシベーション膜9は前記感光領域200を取り囲んでおり、前記パッシベーション膜9と前記感光領域200との間に第1の電極スルーホール13を有し、前記第1の電極12は、前記第1の電極スルーホール13を介して前記エピタキシャル機能層100に電気的に接触する。任意選択的に、前記パッシベーション膜9は、積層された窒化シリコン層とシリコン酸化層を含み、ここで、窒化シリコン層とシリコン酸化層の形成順序は、本出願において限定されることなく、需要に応じて調整することができる。
【0041】
感光領域200の透過率を高め、検出感度を向上させるために、前記感光領域200の表面には反射防止膜11が覆われている。
【0042】
本発明の実施例において、前記感光領域200の直径は200μmである。前記感光領域200の直径が200μmである場合、検出距離および応答性を最大化し、暗電流およびバックグラウンドノイズを大きく低減することができる。
【0043】
以上の説明からわかるように、本発明の実施例に記載の光電検出器は、検出効率が高く、バックグラウンドノイズが低く、検出距離が大きく、応答性が高いなどの多くの利点を有し、車載レーザーレーダーシステムに使用され、1550nmの光波信号をより良く検出することができる。
【0044】
上記実施例に基づいて、本発明の別の実施例はさらに、上記実施例に記載の光電検出器を製造するための製造方法を提供し、前記製造方法は図3図15に示す通りで、図3図15は、本発明の実施例によって提供される光電検出器の製造方法のフローチャートであり、当該製造方法は以下のステップを含む。
【0045】
ステップS11:図3および図4に示すように、ウェハ400を提供する。
【0046】
図3はウェハ400の上面図であり、図4は、図3に示すウェハ400のQ-Q’方向に沿った断面図である。前記ウェハ400は、複数のチップ基板2を含み、隣接する前記チップ基板2の間にカットチャネル300を有する。
【0047】
ステップS12:図5図10に示すように、前記ウェハの一方の側面にエピタキシャル機能層100を形成する。
【0048】
各前記チップ基板2に対応する前記エピタキシャル機能層100はすべて、円形の感光領域200を含み、前記感光領域200は、100μm~300μmの範囲の直径を有する。
【0049】
このステップでは、上述した前記ウェハの一方の側面にエピタキシャル機能層100を形成することは、図5に示すように、前記ウェハ上に、バッファ層3、吸収層4、遷移層5、電界制御層6、最上層7および接触層8を順次成長させることを含み、ここで、前記吸収層4はInGaAs吸収層である。
【0050】
M0CVDエピタキシャル成長装置を用いて、前記エピタキシャル機能層100の各層の構造を順次形成することができる。ウェハはN型半絶縁性InPウェハであるため、チップ基板2はすべてN型半絶縁性InP基板である。ウェハ上に、厚さが1umを超え、ドーピング濃度が1X1017cm-3を超えるInPバッファ層3と、厚さが3.5um未満、ドーピング濃度が5X1014cm-3未満のInGaAs吸収層4と、カットオフ波長がそれぞれ1.45um、1.25um、1.05umで、厚さが0.1um未満のInGaAsP遷移層5と、厚さが0.25um未満、ドーピング濃度が1X1017cm-3を超えるInP電界制御層6と、厚さが3.5umを超え、ドーピング濃度が1X1015cm-3未満のInP最上層7と、厚さが0.2um未満、カットオフ波長が1.05umのInGaAsP接触層8と、を順次成長させる。
【0051】
前記エピタキシャル機能層は、Zn拡散領域10を有し、前記Zn拡散領域10は、第1の拡散領域101と、前記第1の拡散領域101を取り囲む第2の拡散領域102とを含み、前記Zn拡散領域10の形成方法は以下を含む。
【0052】
まず、図6に示すように、前記接触層8の表面にパッシベーション膜9を形成する。PECVD装置を用いて前記パッシベーション膜9を形成することができる。
【0053】
次に、図7に示すように、前記パッシベーション膜9をパターニングし、第1の拡散窓91としての第1の環状領域を形成する。各チップ基板2に対応するパッシベーション膜のすべてに、前記第1の環状領域が設けられている。同じ前記チップ基板2については、前記エピタキシャル機能層100上の前記第1の環状領域の垂直投影は、前記感光領域200をカバーする。第1の環状領域の外径は、前記感光領域200を取り囲む。このステップでは、フォトリソグラフィまたは反応性イオンエッチング(RIE)またはウェットエッチングプロセスによって、前記パッシベーション膜9をパターニングすることができる。前記パッシベーション膜9は、積層された窒化シリコン層とシリコン酸化層を含み、ここで、窒化シリコン層とシリコン酸化層の形成順序は、本出願において限定されることなく、需要に応じて調整することができる。
【0054】
前記第1の環状領域を形成する時、後続の切断処理を容易にするために、カットチャネル300の位置にあるパッシベーション膜9をそれと同時に除去することができる。また、カットチャネル300の位置にあるパッシベーション膜9を保持し、後続の切断処理によってカットチャネル300の位置にあるパッシベーション膜9を直接分割して除去してもよい。
【0055】
さらに図8に示すように、前記第1の拡散窓に基づいて第1回のZn拡散を行う。第1回のZn拡散によって形成された拡散領域は環状であり、横方向の拡散が存在するため、この環状の幅は、第1の拡散窓91に対応する環状の幅よりも大きい。
【0056】
さらに図9に示すように、前記第1の環状領域内の前記パッシベーション膜9を除去して、第2の拡散窓92を形成する。このステップでは、フォトリソグラフィまたは反応性イオンエッチング(RIE)またはウェットエッチングプロセスによって、前記パッシベーション膜9をパターニングすることができる。
【0057】
最後に、図10に示すように、前記第1の拡散窓91および前記第2の拡散窓92に基づいて第2回のZn拡散を行い、前記第1の拡散領域101および前記第2の拡散領域102を形成する。
【0058】
最上層7はN型であり、Zn拡散領域10はP型であり、Zn拡散領域10の第1の拡散領域101は、下方の最上層7とP-N接合を形成してもよい。Zn拡散領域10の第2の拡散領域102は、第1の拡散領域101に比べて拡散深さが大きく、第2の拡散領域102の底部が電界制御層6内に位置することで、Zn拡散領域10全体を囲む環状の保護構造を形成し、エッジブレークダウン効果を抑制し、ゼロボルトバイアスで光電流を発生させることができる。
【0059】
上記のように、前記第1の拡散領域101の拡散深さはH1であり、前記第2の拡散領域102の拡散深さはH2であり、前記接触層の厚さはh1であり、前記最上層の厚さはh2であり、前記電界制御層の厚さはh3であり、ここで、h1<H1<h1+h2、h1+h2<H2<h1+h2+h3である。
【0060】
ステップS12:図11図13に示すように、前記エピタキシャル機能層100の前記ウェハから離反する一側にパターニングされた第1の電極層を形成し、前記第1の電極層は、前記チップ基板2に対応する第1の電極12を含む。第1の電極12はP電極である。
【0061】
熱蒸着プロセスまたは電子ビーム蒸着プロセスのいずれかを用いて前記第1の電極層を形成することができる。第1の電極層は、順次形成されたTi/Pt/Auであってもよく、この三層構造では、Tiが最初に形成される。他の形態では、第1の電極層は、順次形成されたCr/Auであってもよく、この2層構造ではCrが最初に形成される。フォトリソグラフィまたはウェットエッチングのいずれかを用いて、前記第1の電極層をパターニングすることができる。
【0062】
このステップでは、上述した前記エピタキシャル機能層100の前記ウェハから離反する一側にパターニングされた第1の電極層を形成することは以下を含む。
【0063】
まず、図11に示すように、前記第1の拡散窓および前記第2の拡散窓を覆う反射防止膜11を形成する。
【0064】
次に、図12に示すように、前記反射防止膜に環状開口部を形成し、前記環状開口部に囲まれた領域を前記感光領域200とし、当該環状開口部を第1の電極スルーホール13とする。
【0065】
最後に、図13に示すように、前記反射防止膜11および前記パッシベーション膜9の表面に前記第1の電極層を形成し、且つ前記第1の電極層をパターニングして前記チップ基板2に1対1で対応する複数の第1の電極12を形成し、前記第1の電極12は、対応する前記第1の電極スルーホール13を介して前記拡散領域10に電気的に接触する。
【0066】
ステップS13:図14に示すように、前記ウェハの他側に第2の電極層を形成する。
【0067】
前記第2の電極層を形成する前に、前記ウェハの他側を薄くして、ウェハの厚さを150μm±5μmにしてもよい。熱蒸着プロセスまたは電子ビーム蒸着プロセスによって前記第2の電極層を形成することができる。第2の電極層はAu層であってもよく、厚さが0.5μmを超える。
【0068】
ステップS14:図15に示すように、前記カットチャネル300に基づいて前記ウェハを分割し、複数のシングルグレイン光電検出器を形成する。ここで、分割後、前記第2の電極層は、前記チップ基板2に対応する複数の第2の電極1を形成する。第2の電極1はN電極である。
【0069】
本発明の実施例に記載の製造方法によれば、上記実施例に記載の光電検出器を、簡単な製造方法と低い製造コストで製造することができる。実験データによると、この光電検出器は、検出距離が200m以上に達し、応答性が20A/W以上に達し、暗電流を10nA未満にすることができる。
【0070】
上記実施例に基づいて、本発明の別の実施例はさらに、レーザーレーダーシステムを提供し、前記レーザーレーダーシステムは上記実施例に記載の光電検出器を含む。
【0071】
なお、本明細書の各実施例は、他の実施例との相違点に着目して漸進式で説明されており、各実施例間の同様または類似部分については相互に参照すれば十分である。
【0072】
なお、本書では、「第1」や「第2」などの関係用語は、ある実体や操作を別の実体や操作から区別するためにのみ使用されており、それらの実体や操作の間にこのような関係や順序が実在することを必ずしも必要としたり、示唆したりするものではない。さらに、「含む」、「包含」またはその任意の変体は、一連の要素からなるプロセス、方法、物品、または装置が、それらの要素だけでなく、明示的に記載されていない他の要素、またはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有の要素も含むような、非排他的な包含を対象とすることを意図している。さらに限定されることなく、「・・・・・・を含む」という記述によって定義される要素は、当該要素を含むプロセス、方法、物品または装置における追加の同一の要素の存在を排除するものではない。
【0073】
本明細書、添付図面、および特許請求の範囲で言及されている上記特徴は、本発明の範囲内で意味があれば任意で互いに組み合わせることができる。
【0074】
前述の内容は、当業者が本発明を理解または実施できるようにするための、本発明の具体的な実施形態に過ぎない。これらの実施例に対する様々な変更が当業者にとって明らかであり、ここで定義された一般原則は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく他の実施例で実施することができる。したがって、本発明は、本明細書に示されたこれらの実施例に限定されるものではなく、本明細書に適用された原理および新規の特徴に合致する最も広い範囲に適用されるものである。
【0075】
(付記1)
レーザーレーダーシステム用のアバランシェ光電検出器であって、前記光電検出器は、
チップ基板と、
100μm~300μmの範囲の直径を有する円形の感光領域を含む、前記チップ基板の一方の側面に設けられたエピタキシャル機能層と、
前記エピタキシャル機能層の前記チップ基板から離反する一方の側面に設けられた第1の電極と、
前記チップ基板の他方の側面に設けられた第2の電極と、を含むことを特徴とする、光電検出器。
【0076】
(付記2)
前記エピタキシャル機能層は、前記チップ基板上に順次設けられたバッファ層、吸収層、遷移層、電界制御層、最上層および接触層を含み、
ここで、前記吸収層はInGaAs吸収層であることを特徴とする、付記1に記載の光電検出器。
【0077】
(付記3)
前記エピタキシャル機能層はZn拡散領域を有し、前記Zn拡散領域は、第1の拡散領域と、前記第1の拡散領域を取り囲む第2の拡散領域とを含み、
前記第1の拡散領域の拡散深さはH1であり、前記第2の拡散領域の拡散深さはH2であり、前記接触層の厚さはh1であり、前記最上層の厚さはh2であり、前記電界制御層の厚さはh3であり、
ここで、h1<H1<h1+h2、h1+h2<H2<h1+h2+h3であり、
および/または、
前記吸収層の厚さは3.5μm未満であり、
および/または、
前記チップ基板はN型半絶縁性InP基板であり、前記バッファ層はInPバッファ層であり、遷移層はInGaAsP遷移層であり、前記電界制御層はInP電界制御層であり、前記最上層はInP最上層であり、前記接触層はInGaAsP接触層であることを特徴とする、付記2に記載の光電検出器。
【0078】
(付記4)
前記エピタキシャル機能層は、前記チップ基板から離反する一方の側面にパッシベーション膜が設けられ、前記パッシベーション膜は前記感光領域を取り囲み、前記パッシベーション膜と前記感光領域との間に第1の電極スルーホールを有し、前記第1の電極は、前記第1の電極スルーホールを介して前記エピタキシャル機能層と電気的に接触することを特徴とする、付記1に記載の光電検出器。
【0079】
(付記5)
前記パッシベーション膜は、積層された窒化シリコン層およびシリコン酸化層を含み、
および/または、
前記感光領域の表面には、反射防止膜が覆われており、
および/または、
前記感光領域の直径は200μmであることを特徴とする、付記4に記載の光電検出器。
【0080】
(付記6)
製造方法は、
複数のチップ基板を備え、且つ隣接するチップ基板の間にカットチャネルを有するウェハを提供することと、
前記ウェハの一方の側面にエピタキシャル機能層を形成することと、ここで、各前記チップ基板に対応する前記エピタキシャル機能層は、いずれも円形の感光領域を含み、前記感光領域は100μm~300μmの範囲の直径を有し、
前記エピタキシャル機能層の前記ウェハから離反する一側にパターニングされた第1の電極層を形成することと、ここで、前記第1の電極層は、前記チップ基板に1対1で対応する第1の電極を含み、
前記ウェハの他側に第2の電極層を形成することと、
前記カットチャネルに基づいて前記ウェハを分割し、複数のシングルグレイン光電検出器を形成することとを含み、ここで、分割後、前記第2の電極層は、前記チップ基板に1対1で対応する複数の第2の電極を形成することを特徴とする、光電検出器の製造方法。
【0081】
(付記7)
上述した前記ウェハの一方の側面にエピタキシャル機能層を形成することは、
前記ウェハ上に、バッファ層、吸収層、遷移層、電界制御層、最上層および接触層を順次成長させることを含み、
ここで、前記吸収層はInGaAs吸収層であることを特徴とする、付記6に記載の製造方法。
【0082】
(付記8)
前記エピタキシャル機能層はZn拡散領域を有し、前記Zn拡散領域は、第1の拡散領域と、前記第1の拡散領域を取り囲む第2の拡散領域とを含み、前記Zn拡散領域の形成方法は、
前記接触層の表面にパッシベーション膜を形成することと、
前記パッシベーション膜をパターニングし、第1の拡散窓としての第1の環状領域を形成することと、ここで、各チップ基板に対応するパッシベーション膜のすべてに、前記第1の環状領域が設けられており、
前記第1の拡散窓に基づいて第1回のZn拡散を行うことと、
前記第1の環状領域内の前記パッシベーション膜を除去し、第2の拡散窓を形成することと、
前記第1の拡散窓および前記第2の拡散窓に基づいて第2回のZn拡散を行い、前記第1の拡散領域および前記第2の拡散領域を形成することと、を含むことを特徴とする、付記7に記載の製造方法。
【0083】
(付記9)
前記第1の拡散領域の拡散深さはH1であり、前記第2の拡散領域の拡散深さはH2であり、前記接触層の厚さはh1であり、前記最上層の厚さはh2であり、前記電界制御層の厚さはh3であり、
ここで、h1<H1<h1+h2、h1+h2<H2<h1+h2+h3であることを特徴とする、付記8に記載の製造方法。
【0084】
(付記10)
上述した前記エピタキシャル機能層の前記ウェハから離反する一側にパターニングされた第1の電極層を形成することは、
前記第1の拡散窓および前記第2の拡散窓を覆う反射防止膜を形成することと、
前記反射防止膜に環状開口部を形成し、前記環状開口部に囲まれた領域を前記感光領域とし、前記環状開口部を第1の電極スルーホールとすることと、
前記反射防止膜および前記パッシベーション膜の表面に前記第1の電極層を形成し、前記第1の電極層をパターニングし、前記チップ基板に1対1で対応する複数の第1の電極を形成し、前記第1の電極は、対応する前記第1の電極スルーホールを介して前記拡散領域に電気的に接触することと、を含むことを特徴とする、付記9に記載の製造方法。
【0085】
(付記11)
レーザーレーダーシステムは、付記1-5のいずれか一つに記載の光電検出器を含むことを特徴とする、レーザーレーダーシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】