(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】制御された不可逆電気穿孔法によるアブレーション体積のための可動電極
(51)【国際特許分類】
A61B 18/00 20060101AFI20220106BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20220106BHJP
A61N 1/32 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
A61B18/00
A61B18/14
A61N1/32
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021522442
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(85)【翻訳文提出日】2021-04-23
(86)【国際出願番号】 US2019057596
(87)【国際公開番号】W WO2020086677
(87)【国際公開日】2020-04-30
(32)【優先日】2018-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】フォーサイス、ブルース アール.
(72)【発明者】
【氏名】キャナディ ジュニア、ラリー ディ.
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ、ホン
(72)【発明者】
【氏名】オストルート、ティモシー エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ゴルジツキ、ジョナサン タイラー
【テーマコード(参考)】
4C053
4C160
【Fターム(参考)】
4C053JJ02
4C053JJ03
4C053JJ04
4C053JJ13
4C053JJ14
4C160KK63
4C160KK70
4C160KL03
4C160MM32
(57)【要約】
本明細書では、長尺状の内側シャフト及び先端電極を備える内側電極組立体と、長尺状の外側シャフト及び基端電極を有する外側電極組立体であって、内側電極組立体を摺動可能に受け入れるように構成された中心通路を画定し、先端電極又は基端電極は、他方に対して軸方向に可動である、外側電極組立体と、先端電極及び基端電極に電気的に接続されるように構成され、且つパルス電場(PEF)を送達するように構成されたエネルギー源とを含む、アブレーションのためのシステムが説明される。先端電極及び基端電極の一方は、非拡張位置と拡張位置との間で可動である2つ以上の電極素子を含む第1の拡張可能な電極アレイの一部である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の内側シャフト及び先端電極を含む内側電極組立体と、
長尺状の外側シャフト及び基端電極を含む外側電極組立体であって、前記内側電極組立体を摺動可能に受け入れるように構成された中心通路を画定し、前記先端電極又は前記基端電極は、他方に対して軸方向に可動である、外側電極組立体と、
前記先端電極及び前記基端電極に電気的に接続されるように構成され、且つパルス電場(PEF)を送達するように構成されたエネルギー源と
を含む、アブレーションのためシステムであって、前記先端電極及び基端電極の一方は、非拡張位置と拡張位置との間で可動である3つ以上の電極素子を含む第1の拡張可能な電極アレイの一部である、システム。
【請求項2】
前記第1の拡張可能な電極アレイの前記拡張位置は、少なくとも第1の拡張位置及び第2のさらなる拡張位置を含み、前記システムは、前記第1の拡張位置及び前記第2の拡張位置において前記PEFを送達するように構成される、請求項1又は3~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項3】
前記先端電極及び前記基端電極に接続され、且つ組織のインピーダンスに対応する少なくとも1つの信号を発生させるように構成されたセンシング回路をさらに含む、請求項1若しくは2又は4~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項4】
前記先端電極は、前記第1の拡張可能な電極アレイの一部である、請求項1~3又は5~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記基端電極は、非拡張位置と拡張位置との間で可動である3つ以上の電極素子を含む第2の拡張可能な電極アレイの一部である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記基端電極は、前記第1の拡張可能な電極アレイの一部である、請求項1~5又は7~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記先端電極、前記基端電極及び前記第1の拡張可能な電極アレイの前記3つ以上の電極素子のそれぞれに、個別に制御される電気極性を提供するように構成される、請求項1~6又は8~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
長尺状の中間シャフト及び中間電極を含む中間電極組立体をさらに含み、前記長尺状の中間シャフトは、前記内側電極組立体を摺動可能に受け入れるように構成された中心通路を画定し、前記長尺状の中間シャフトは、外側電極組立体の前記中心通路内に受け入れられるように構成される、請求項1~7又は9~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記中間電極は、前記第1の拡張可能な電極アレイの一部である、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の拡張可能な電極アレイの前記3つ以上の電極素子は、シース内の前記非拡張位置と前記拡張位置との間で直線的な力によって可動である3つ以上の電極タインである、請求項1~9又は11~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記3つ以上の電極素子は、回転式に作用する機構により、前記非拡張位置と前記拡張位置との間で可動である、請求項1~10又は12~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記3つ以上の電極素子は、半径方向に作用する機構により、前記非拡張位置と前記拡張位置との間で可動である、請求項1~11又は13若しくは14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記3つ以上の電極素子は、直線的な力により、前記非拡張位置と前記拡張位置との間で可動である、請求項1~12又は14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の拡張可能な電極アレイは、血管壁の長尺状の部分と接触するように構成された長尺状の電極アレイである、請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
長尺状の内側シャフト及び先端電極を含む内側電極組立体と、
長尺状の外側シャフト及び基端電極を含む外側電極組立体であって、前記内側電極組立体を摺動可能に受け入れるように構成された中心通路を画定する外側電極組立体と、
3つ以上の電極素子を含む拡張可能な電極アレイであって、前記先端電極又は前記基端電極のいずれかを含む拡張可能な電極アレイと
を含むアブレーションプローブを提供すること、
非拡張位置から拡張位置に前記拡張可能な電極アレイを動かすこと、
前記先端電極及び前記基端電極にパルス電場(PEF)を送達すること、及び
前記先端電極及び前記基端電極の一方を他方に対して軸方向に動かすこと
を含むアブレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全指定国の出願人としてボストン・サイエンティフィック・サイムド・インコーポレイテッド(Boston Scientific Scimed,Inc.)(米国企業)並びに全指定国の発明人としてブルース R.フォーサイス(Bruce R.Forsyth)(米国民)、全指定国の発明人としてラリー D.キャナディ・ジュニア(Larry D.Canady,Jr.)(米国民)、全指定国の発明人としてホン・カオ(Hong Cao)(米国民)、全指定国の発明人としてティモシー A.オストルート(Timothy A.Ostroot)(米国民)及び全指定国の発明人としてジョナサン・タイラー・ゴルジキ(Jonathan Tyler Gorzycki)(米国民)の名義で2019年10月23日にPCT国際特許出願として出願されている。本出願は、2018年10月24日出願の米国仮特許出願第62/749,898号明細書に対する優先権を主張し、且つ2019年10月22日出願の米国特許出願公開第16/660,498号明細書に対する優先権を主張し、それらの内容全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
不可逆電気穿孔法(IRE:irreversible electroporation)を含むパルス電場(PEF:Pulsed Electric Field)アブレーションは、0.1マイクロ秒~100マイクロ秒のほぼマイクロ秒範囲にある単相又は二相いずれかの高圧電気パルスを適用して電場強度を送達し、それにより細胞の膜電位に影響を及ぼし得るアブレーションモダリティである。細胞は、水利用の表面ナノ細孔を生じることにより透過性にされ、これは、電位、パルス幅全体、パルス周波数及び送達されるパルス数によって制御される一体化された印加電場強度に依存して、血漿中脂質二重層に永久的な変化を引き起こすようにされ得る。不可逆電気穿孔法と可逆電気穿孔法との違いは、細胞原形質膜にわたって回復し得る一時的な細孔間の推移又は治癒できない永久的なナノ細孔間の推移である。不可逆電気穿孔法は、ネクローシス及び最終的に細胞死に至るアポトーシスシグナルの段階的なカスケードの誘導の両方により、細胞死を引き起こす。一般的に言えば、PEF/IREモダリティは、非熱死機構であり、且つこの適用では、活性電極の表面の近くに適度な組織加熱及びネクローシスがあり得るが、広範囲に及ぶ壊死性熱損傷による細胞死を引き起こさない。IRE療法の著しい利点は、膠原質、動脈、静脈、管、神経及び脈管構造を含む組織構造の大部分がほとんど影響を受けず、且つIRE治療に耐性を示すことである - これらの組織は、著しい変性又は永久的な損傷なしにそれらの構造を維持する。この結果は、膵臓などの重要臓器の近くにあり得る繊細な生物組織又はそうでなければ従来の熱アブレーション技術によって損傷される重要な脈管構造にとって重要である。
【発明の概要】
【0003】
1つの一般的態様は、内側電極組立体及び外側電極組立体を含む、アブレーションのためのシステムである。内側電極組立体は、長尺状の内側シャフト及び先端電極を含む。外側電極組立体は、長尺状の外側シャフト及び基端電極を含み、外側電極組立体は、内側電極組立体を摺動可能に受け入れるように構成された中心通路を画定し、先端電極又は基端電極は、他方に対して軸方向に可動である。システムは、先端電極及び基端電極に電気的に接続されるように構成され、且つパルス電場(PEF)を送達するように構成されたエネルギー源も含む。システムは、先端電極及び基端電極の一方が、非拡張位置と拡張位置との間で可動である2つ以上の電極素子を含む第1の拡張可能な電極アレイの一部である場合も含む。
【0004】
例は、以下の特徴の1つ以上を含み得る。第1の拡張可能な電極アレイの拡張位置は、少なくとも第1の拡張位置及び第2のさらなる拡張位置を含む、システムであって、第1の拡張位置及び第2の拡張位置においてPEFを送達するように構成されるシステム。先端電極及び基端電極に接続され、且つ組織のインピーダンスに対応する少なくとも1つの信号を発生させるように構成されたセンシング回路をさらに含むシステム。先端電極は、第1の拡張可能な電極アレイの一部である、システム。基端電極は、非拡張位置と拡張位置との間で可動である2つ以上の電極素子を含む第2の拡張可能な電極アレイの一部である、システム。基端電極は、第1の拡張可能な電極アレイの一部である、システム。先端電極、基端電極及び第1の拡張可能な電極アレイの2つ以上の素子にそれぞれに、個別に制御される電気極性を提供するように構成される、システム。長尺状の中間シャフト及び中間電極を含む中間電極組立体をさらに含み、長尺状の中間シャフトは、内側電極組立体を摺動可能に受け入れるように構成された中心通路を画定し、長尺状の中間シャフトは、外側電極組立体の中心通路内に受け入れられるように構成される、システム。中間電極は、第1の拡張可能な電極アレイの一部である、システム。第1の拡張可能な電極アレイの2つ以上の電極素子は、シース内の非拡張位置と拡張位置との間で直線的な力によって可動である2つ以上の電極タインである、システム。2つ以上の電極素子は、回転式に作用する機構により、非拡張位置と拡張位置との間で可動である、システム。2つ以上の電極素子は、半径方向に作用する機構により、非拡張位置と拡張位置との間で可動である、システム。2つ以上の電極素子は、直線的な力により、非拡張位置と拡張位置との間で可動である、システム。拡張可能な電極アレイは、血管壁の長尺状の部分と接触するように構成された長尺状の電極アレイである、システム。上述の技術の実行は、ハードウェア、方法若しくはプロセス又はコンピュータでアクセス可能な媒体のコンピュータソフトウェアを含み得る。
【0005】
1つの一般的態様は、内側電極組立体及び外側電極組立体を含む、アブレーションのためのシステムである。内側電極組立体は、長尺状の内側シャフト及び先端電極アレイを含み、先端電極アレイは、内側電極シャフト内の非拡張位置と拡張位置との間で直線的な力によって可動である2つ以上の電極タインを含む。外側電極組立体は、長尺状の外側シャフト及び基端電極アレイを含み、基端電極アレイは、長尺状の外側シャフト内の非拡張位置と拡張位置との間で直線的な力によって可動である2つ以上の電極タインを含み、外側電極組立体は、内側電極組立体を摺動可能に受け入れるように構成された中心通路を画定し、先端電極アレイ又は基端電極アレイは、他方に対して軸方向に可動である。システムは、先端電極アレイ及び基端電極アレイに電気的に接続されるように構成され、且つパルス電場(PEF)を送達するように構成されたエネルギー源も含む。
【0006】
1つの一般的態様は、内側電極組立体及び外側電極組立体を含むアブレーションプローブであって、内側電極組立体は、長尺状の内側シャフト及び先端電極を含み、及び外側電極組立体は、長尺状の外側シャフト及び基端電極を含み、外側電極組立体は、内側電極組立体を摺動可能に受け入れるように構成された中心通路を画定する、アブレーションプローブを提供することを含むアブレーション方法を含む。この方法のアブレーションプローブは、2つ以上の電極素子を含む拡張可能な電極アレイも含み、拡張可能な電極アレイは、先端電極又は基端電極のいずれかを含む。アブレーション方法は、患者の組織にアブレーションプローブを挿入することも含む。アブレーション方法は、非拡張位置から拡張位置に拡張可能な電極アレイを動かすことも含む。アブレーション方法は、先端電極及び基端電極にパルス電場(PEF)を送達することも含む。アブレーション方法は、先端電極及び基端電極の一方を他方に対して軸方向に動かすことも含む。
【0007】
例は、以下の特徴の1つ以上を含み得る。PEFの送達は、先端電極及び基端電極の一方を他方に対して軸方向に動かす間に生じる、方法。先端電極は、拡張可能な電極アレイの一部であり、且つPEFの送達は、先端電極に対して基端電極を軸方向に動かす間に生じる、方法。以下のステップ:先端電極及び基端電極を互いに対して軸方向に動かすステップ、基端電極が固定して保持されている間に先端電極に対して基端電極を軸方向に動かすステップ、拡張位置から非拡張位置に拡張可能な電極アレイを動かし、拡張可能な電極アレイを軸方向に動かし、且つ非拡張位置から拡張位置に拡張可能な電極アレイを動かすステップ及び第1の拡張位置から第2のさらなる拡張位置に拡張可能な電極アレイを動かすステップの少なくとも1つを実施した後に第2のPEFを送達することをさらに含む方法。先端電極、基端電極及び拡張可能な電極アレイの2つ以上の電極素子のそれぞれに、個別の電気極性を提供することをさらに含む方法。上述の技術の実行は、ハードウェア、方法若しくはプロセス又はコンピュータでアクセス可能な媒体のコンピュータソフトウェアを含み得る。
【0008】
この概要は、本出願の技術のいくつかの概要であり、本主題の唯一の又は徹底的な取り扱いを意図するものではない。さらなる詳細は、詳細な説明及び添付の特許請求の範囲において見出される。他の態様は、以下の詳細な説明を読んで理解し、且つその一部をなす図面を見ることで当業者に明らかになり、それらは、それぞれ限定と受け取られるべきではない。本明細書の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの法的な均等物によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】いくつかの例によるアブレーションプローブの斜視図である。
【
図2】いくつかの例による第1の形態における
図1のアブレーションプローブの側面図である。
【
図3】いくつかの例による第2の形態における
図1のアブレーションプローブの側面図である。
【
図4A】いくつかの例によるアブレーションプローブの縦断面図である。
【
図4B】いくつかの例による第2の形態における
図4Aのアブレーションプローブの縦断面図である。
【
図5】いくつかの例による、
図4Aの線5-5に沿って取った
図4Aのアブレーションプローブの横断面図である。
【
図6】いくつかの例によるアブレーションシステムの概略図である。
【
図7】いくつかの例による代替的なアブレーションプローブの斜視図である。
【
図8】いくつかの例による代替的なアブレーションプローブの断面図である。
【
図9】いくつかの例による非拡張状態におけるアブレーション機器の側面図である。
【
図10】いくつかの例による、線10-10に沿って取った非拡張状態における
図9のアブレーション機器の断面図である。
【
図11】いくつかの例による拡張状態における
図9のアブレーション機器の側面図である。
【
図12】いくつかの例による、線12-12に沿って取った拡張状態における
図9のアブレーション機器の断面図である。
【
図13】いくつかの例によるアブレーション機器の側面図である。
【
図14】いくつかの例による
図13のアブレーション機器の側面図である。
【
図15】いくつかの例による代替的なアブレーション機器の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、サイズ及び形状が制御されたアブレーション外傷を作るために複数の可動電極を使用するアブレーション機器を提供する。いくつかの例では、アブレーション機器は、第1の電極が第2の電極に対して動かされるときにシリンダー状外傷を作るために使用され得る。いくつかの例では、アブレーションは、可動電極のための固定点において実施され得る。代替的な例では、アブレーションは、1つの電極が第2の電極に対して動かされるため、連続的に実施され得る。これにより、医師は、正確な治療領域をアブレーションできる。
【0011】
いくつかの例では、アブレーション機器は、1つ以上の拡張可能な電極アレイを含む。拡張可能な電極アレイは、それぞれ複数の電極素子を含む。いくつかの例では、電極素子は、アブレーション機器のルーメン内に引き込み可能であり、且つそれから拡張可能である湾曲したタインであり得る。代替的な例では、拡張可能な電極アレイは、回転式に作用する機構を使用して拡張される。代替的な例では、拡張可能な電極アレイは、拡張可能なバルーン部材を含む。代替的な例では、拡張可能な電極アレイは、プッシュ及びプルワイヤを使用するような直線的な力を使用して拡張されて、電極組立体を拡張させる。
【0012】
いくつかの例では、導電性のバイポーラ又はモノポーラ回路は、予め成形された電極、ワイヤ、フープ又は拡張可能な設計に埋め込まれた他の構造のいずれかを使用して構築され得る。モノポーラ機器システムに外部接地パッドが設けられる。いくつかの例では、拡張可能なシース又はカテーテルを含む拡張可能な構造にらせん電極、スパイラル電極、巻回回路及びフレキシブル回路が取り付けられる。いくつかの例では、電極素子は、アブレーション機器の長尺状のシャフトに沿った、延長された軸方向長を網羅するように展開され得る。これにより、電極は、拡張可能な電極組立体によって半径方向力を加えることにより、狭窄管腔内又は他の内部空洞若しくは空間内の組織壁に到達できるようになる。
【0013】
電極の活性化前及び活性化中、個々の電極、電極アレイ又はそれらの両方のサイズ及び箇所を制御できるようにすることにより、医師がアブレーション中にサイズ、形状及び外傷の深さに影響を及ぼすことができるようにする。
【0014】
いくつかの例では、制御システムは、軸方向又は半径方向の外傷のサイズ及び形状を制御するためにいくつかの電極対の選択的スイッチング又は多重化を行う。多重化、同時直列又は並列のスイッチング電極は、電極を組織表面に直接並置させて、選択方向のアブレーションを可能にする。そのため、パルス電場の印加は、制御された正確な双方向又は単方向の円周方向のエネルギー送達を提供でき、細胞膜に透過性を生じる。多方向の電極終端部は、内部遮蔽に部分的な絶縁を使用して、離散した極めて電気的に活性に富む電極を提供し得る。
【0015】
アブレーションのためのシステムの様々な例では、システムは、長尺状の内側シャフト及び先端電極を含む内側電極組立体と、長尺状の外側シャフト及び基端電極を含む外側電極組立体とを含む。外側電極組立体は、内側電極組立体を摺動可能に受け入れるように構成された中心通路を画定する。換言すると、中心通路は、内側電極組立体が外側電極組立体に対して軸方向に摺動できるか又は動くことができるように構成される。その結果、先端電極又は基端電極は、他方に対して軸方向に可動である。システムは、先端電極及び基端電極に電気的に接続されるように構成され、且つパルス電場(PEF)を送達するように構成されたエネルギー源をさらに含む。先端電極及び基端電極の一方は、非拡張位置と拡張位置との間で可動である2つ以上の電極素子を含む第1の拡張可能な電極アレイの一部である。
【0016】
ここで、図面を参照すると、
図1は、いくつかの例によるアブレーション機器を示す。
図1及び
図2は、第1の形態におけるアブレーション機器のそれぞれ斜視図及び側面図を示し、
図3は、第2の形態におけるアブレーション機器の側面図を示す。アブレーション機器101は、内側電極組立体102及び外側電極組立体104を含む。アブレーション機器101は、パルス電場アブレーション、例えば可逆又は不可逆電気穿孔法のために構成される。アブレーション機器101は、先端部分103及び基端部分105を含む。本明細書で使用される場合、語基端及び先端は、2つの部分間の空間的な関係を表す。先端として指定される部分は、基端と指定される部分よりもシステムの挿入端部の近くに位置決めされる。
【0017】
内側電極組立体102は、長尺状の内側シース又はシャフト112及び先端電極114を含む。いくつかの例では、内側電極組立体102は、複数の先端電極114を有する。いくつかの例では、先端電極114は、複数の先端電極114の一部である。
図1の例を含むいくつかの例では、内側電極組立体102は、先端電極114及び複数の先端タイン115を含む、2つ以上の電極素子を備える拡張可能な先端電極アレイ124も含む。
図1の例では、拡張可能な先端電極アレイ124は、集合的に傘の形状を形成する複数の電極を含む。複数の電極タイン115は、長尺状の内側シャフト112内に引っ込められた非拡張位置と、
図1に示す拡張位置との間で直線的な力によって可動である。
【0018】
外側電極組立体104は、長尺状の外側シース又はシャフト116を含む。外側電極組立体104は、外側電極組立体104が内側電極組立体102を摺動可能に受け入れることができるようにする中心通路を画定する。外側電極組立体104は、基端電極126をさらに含む。いくつかの例では、外側電極組立体104は、複数の基端電極127を含む。いくつかの例では、基端電極126は、複数の基端電極127の一部である。
図1の例を含むいくつかの例では、外側電極組立体104は、基端電極126及び複数の基端電極127を含む、2つ以上の電極素子を備える拡張可能な基端電極アレイ134を含む。
【0019】
いくつかの例では、電極タイン115及び電極タイン127は、ニチノールなどの形状記憶材料で作製される。タインは、ルーメン内に引っ込められ得、それによりタインを直線にして、ルーメンの内部に適合させる。タインがルーメン外に展開されると、タインは、直線の、角度を付けられた又は湾曲した形状など、事前に設定された形状を取り戻す。
【0020】
先端電極114及び基端電極126は、アブレーション外傷のサイズ及び形状を制御するために互いに対して軸方向に可動である。本明細書で使用される場合、軸方向運動は、機器の軸に対応する方向の物体の動きを指す。
図2~3を検討すると、長尺状の内側シャフト112及び長尺状の外側シャフト116は、互いに対して軸方向に可動である。
図2~3の例では、長尺状の内側シャフト112は、長尺状の外側シャフト116のルーメン内に配置され、且つ長尺状の外側シャフト116に対してルーメン内で軸方向に動くことができる。長尺状の内側及び外側シャフト112、116は、それらの形態を変えることができ、それにより、長尺状の内側シャフト112は、長尺状の外側シャフト116から突出するか又はそれに引っ込むように作製され得る。
図2は、長尺状の内側シャフト112が長尺状の外側シャフト16から第1の距離D1突出している、第1の突出した形態を示す。
【0021】
図3は、長尺状の内側シャフト112が長尺状の外側シャフト116から第2の距離D2突出している、第2の突出した形態を示す。外側シャフト116に対する内側シャフト112の突出距離を調整することにより、基端電極と先端電極との間の距離も調整される。例えば、
図2に示す第1の突出した形態では、先端電極114及び基端タイン電極は、第1の距離だけ離間している。
図3に示す第2の突出した形態では、外側電極組立体104に対して内側電極組立体102が軸方向に動いた結果、先端電極114及び基端電極126は、第2のより長い距離だけ離間している。
【0022】
アブレーション機器101がパルス電場アブレーション治療のために人体において使用されているとき、機器の先端部分103は、機器の基端部分105とは無関係に体内で可動である。反対に、基端部分105は、先端部分103とは無関係に体内で可動である。例えば、内側電極組立体102は、患者の体内で静止位置に保持され得る一方、外側電極組立体104は、軸方向に動かされて、突出距離を短くするか又は長くする。代わりに、外側電極組立体104は、静止位置に保持され得る一方、内側電極組立体102は、軸方向に動かされて、内側電極組立体102の突出距離を短くするか又は長くする。
【0023】
さらに、電極アレイ124、134は、互いに無関係に且つアブレーション機器101の基端部分105及び先端部分103の動きとは無関係に、引き込み可能であり、且つ体内で拡張可能である。
【0024】
電極アレイ124、134は、それぞれ拡張形態、部分的な拡張形態及び非拡張形態を有する。いくつかの例では、先端及び基端電極アレイ124、134の拡張は、連続的に可変であり、すなわち、タイン115、127の突出量は、完全に引っ込められている状態から完全に拡張されている状態に又はそれらの間のいずれの拡張量にも変化し得る。
【0025】
図4A~Bは、第1の拡張位置及び第2の拡張位置における基端電極アレイ134及び先端電極アレイ124を示す。
図4Aでは、先端電極アレイ124の複数のタイン115が長尺状の内側シャフト112の先端チップ412から突出しているため、特定のタインの長さ部分は、突出しており、及び基端電極アレイ134の複数のタイン127は、特定のタインの長さ部分だけ長尺状の外側シャフト116の先端チップ416から突出している。この第1の拡張位置では、システムは、パルス電場エネルギーを送達して、特定のサイズ及び形状のアブレーション外傷を生じるために使用され得る。
【0026】
アブレーション機器101の電極をさらに展開することにより、パルス電場のサイズ及び形状、従ってアブレーション外傷のサイズ及び形状は、変更され得る。
図4Bでは、先端電極アレイ124の複数のタイン115は、
図4Aよりも長いタインの長さ部分だけ長尺状の内側シャフト112の先端チップ412から突出しており、及び基端電極アレイ134の複数のタイン127は、
図4Aよりも長いタインの長さ部分だけ長尺状の外側シャフト116の先端チップ416から突出している。この第2の拡張位置では、システムは、パルス電場エネルギーを送達して、異なる外傷形状を生じるために使用され得る。
【0027】
先端電極アレイ124及び基端電極アレイ134の両方は、電極素子の全てが引っ込められている非拡張位置(図示せず)を有するようにも構成される。内側電極組立体102が非拡張形態にあるとき、複数の電極タイン115は、長尺状の内側シャフト112のルーメン415内に引っ込められる。外側電極組立体104が非拡張形態にあるとき、複数の電極タイン127は、長尺状の外側シャフト116の中心通路501内に引っ込められる。
【0028】
上述の通り、いくつかの例では、先端及び基端電極アレイ124、134の拡張は、連続的に可変であり、すなわち、先端チップ412、416のそれぞれからタイン115、127のそれぞれが突出する量は、完全に引っ込められている状態から完全に拡張されている状態に又はそれらの間のいずれの拡張量若しくはタインの長さにも変化し得る。
【0029】
アブレーション機器101は、アブレーション機器101の先端部分103と基端部分105との間の軸方向距離を調整すること及び拡張可能な電極アレイ124、134の拡張位置を調整することの両方により、アブレーション外傷のサイズ及び形状をカスタマイズできることが理解される。さらに、先端電極アレイ124は、基端電極アレイ134とは無関係に拡張可能であり、且つ引き込み可能である。いくつかの例では、基端電極アレイ134が第2の拡張位置に調整される間、先端電極アレイ124は、第1の拡張位置にあり得る。反対のことも当てはまる、先端電極アレイ124が第2の拡張位置に調整される間、基端電極アレイ134は、第1の拡張位置にあり得る。
【0030】
図5は、いくつかの例による、
図4Aの線5-5に沿って取った
図4Aのアブレーション機器の横断面図である。
図5は、長尺状の外側シャフト116及び長尺状の内側シャフト112を示す。長尺状の外側シャフトは、中心通路501を画定する。中心通路501は、内側電極組立体102を摺動可能に受け入れるように構成される。いくつかの例では、内側電極組立体102は、外層511を備えて、外側電極組立体104から内側電極組立体102を電気的に絶縁する。内側電極組立体102及び外側電極組立体104は、それぞれ電極アレイに接続されるプッシュロッド構造を含む。内側電極組立体102のプッシュロッド113は、先端電極アレイ124の電極114の基端部に接続される。プッシュロッドは、ユーザから直線的な力を受け、それに応答して電極アレイをシャフト内で軸方向に動かして、先端部から突出させるか又は引っ込める。代わりに、スクリューアーム(図示せず)が電極の半径方向作動をもたらし得る。その場合、スクリューの回転力は、電極組立体102又は104の拡張に変換される。外側電極組立体104のプッシュロッドは、内側電極組立体102を受け入れる中心通路を画定する。
【0031】
図6は、いくつかの例によるアブレーションシステムの概略図を示す。アブレーションシステム600は、コントローラ612を含むアブレーション制御装置602を含む。制御装置602は、ユーザ入力部613及びディスプレイ614を含んで、ユーザがコントローラ602と関わることができるようにする。エネルギー源621は、組織の可逆又は不可逆電気穿孔法のためのパルス電場エネルギーを提供するように構成される。センシング回路623が設けられている。センシング回路623は、先端電極114、基端電極126及び他の電極に接続されて、2つの電極114及び126間の組織のインピーダンスに対応する信号を発生させ得る。加えて又は代わりに、システムは、1つ以上の電極と接地パッドとの間の組織のインピーダンスに対応する信号を発生させるように構成され得る。インピーダンス測定値は、例えば、三次元モデル、マップ又はシミュレーションを生じて、アブレーション外傷の体積及び治療の有効性を推定するために使用され得る。公知の電極の幾何学的形状、間隔及び展開並びにPEFの電気的設定は、三次元モデル、マップ又はシミュレーションへの入力であり得る。インピーダンス感知は、治療の終了を推奨又は決定するか、又はこれらの任意の組み合わせのための入力として外傷のサイズを推定し、治療有効性を推定するために使用され得る。インピーダンス感知は、外傷の発生及び組織応答についての証拠を提供し得、これは、治療期間を通して又は治療後に使用され得る。
【0032】
アブレーションシステムは、アブレーション機器101と、アブレーション機器101を手動操作するためのハンドル631とを含む。アブレーションシステムは、組織の可逆又は不可逆電気穿孔法のためにアブレーション機器101にパルス電場を送達するように構成される。
【0033】
ハンドル631は、ポート618を含む。ポート618は、長尺状の外側シャフト116の中心通路501への内側電極組立体102又はガイドワイヤなどの機器の通過を容易にするために使用され得る。ハンドル631は、電極アレイの1つ以上を展開し、且つ引っ込めるためのアクチュエータ616を含む。1つ以上の追加的なアクチュエータは、他の電極アレイを展開し且つ引っ込めるか、1つ以上の電極組立体の軸方向運動を制御するか又はそれらの両方のためにハンドル631に設けられ得る。加えて又は代わりに、電極組立体及び電極アレイの1つ以上の軸方向運動は、自動的に展開するか、又は引っ込めるか、又は軸方向に動かすためにモータ付きそりによって制御される。
【0034】
図7は、いくつかの例による代替的なアブレーション機器の斜視図である。アブレーション機器701は、先端電極組立体702、基端電極組立体706及び先端電極組立体702と基端電極組立体706との間に位置する中間電極組立体704を有する。先端電極組立体702は、
図1の電極組立体102と同様であり得、及び基端電極組立体706は、
図1の外側電極組立体104と同様であり得る。先端電極組立体702は、先端シャフト712と、複数の電極素子716を含む先端電極アレイ714とを含む。中間電極組立体704は、中間シャフト724と、複数の電極素子728を含む拡張可能な電極アレイ726とを含む。基端電極組立体706は、基端シャフト732と、複数の電極素子736を含む電極アレイ734とを含む。基端シャフト732は、中間シャフト724を摺動可能に受け入れるように構成された中心通路を有する。同様に、中間シャフト724は、先端シャフト712を摺動可能に受け入れるように構成された中心通路を画定する。
【0035】
3つの電極組立体702、704、706は、電極組立体間の軸方向距離を修正するように入れ子式に動く。電極組立体702、704、705は、電極送達組立体とも呼ぶことができる。中間電極組立体704は、先端電極組立体702及び基端電極組立体706の両方とは無関係に軸方向に可動である。同様に、先端電極組立体702は、中間電極組立体704及び基端電極組立体706の両方とは無関係に軸方向に可動である。電極アレイ714、726及び734は、それぞれ
図1の電極アレイ124及び134と同様に拡張位置、部分的な拡張位置及び非拡張位置を有する。いくつかの例では、電極アレイ714、726及び734の拡張は、連続的に可変であり、すなわち、タインが突出する量は、完全に引っ込められている状態から完全に拡張されている状態に又はそれらの間のいずれの拡張量にも変化し得る。
回転によって拡張する電極アレイ(
図8)
図8は、いくつかの例による代替的なアブレーション機器の断面図である。アブレーション機器801は、長尺状の内側シャフト814と、先端電極818とを含む内側電極組立体812を含む。アブレーション機器801は、長尺状の外側シャフト826と基端電極828とを備える外側電極組立体824をさらに含む。内側電極組立体812及び外側電極組立体824の両方は、シース802内に入れられている。外側電極組立体824は、内側電極組立体812を摺動可能に受け入れるように構成された中心通路を画定する。内側電極組立体812及び外側電極組立体824は、互いに対して軸方向に可動である。
【0036】
いくつかの例では、内側電極組立体812は、非拡張位置と拡張位置との間で拡張可能である拡張可能な先端電極アレイ831を含む。先端電極アレイ831は、複数の電極素子832を含む。複数の電極素子832は、先端電極818を含み得る。非拡張形態では(図示せず)、電極素子832は、シース803内に引っ込められる。非拡張形態では、電極素子832は、長尺状の内側シャフト814の外周に巻き付く。先端電極アレイ831は、長尺状の内側シャフト814を時計回りに回転させる間、長尺状の外側シャフト826を固定して保持することによって展開され得る。先端電極アレイ831は、長尺状の外側シャフト826を固定して保持し、且つ長尺状の内側シャフト814を反時計回りに回転させることによって引っ込められ得る。いくつかの例では、先端電極アレイ831の拡張は、連続的に可変であり、電極素子832は、完全に引っ込められ得るか、完全に拡張され得るか又は完全な拡張と完全な引っ込みとの間のいずれかの量で部分的に拡張され得る。
【0037】
いくつかの例では、外側電極組立体826は、非拡張位置と拡張位置との間で拡張可能である拡張可能な基端電極アレイ854を含む。基端電極アレイ854は、複数の電極素子856を含む。複数の電極素子856は、基端電極828を含み得る。非拡張形態では(図示せず)、電極素子856は、シース802内に引っ込められる。非拡張形態では、電極素子856は、長尺状の外側シャフト826の外周に巻き付く。基端電極アレイ854は、長尺状の外側シャフト826を時計回りに回転させる間、シース802を固定して保持することによって展開され得る。基端電極アレイ854は、シース802を固定して保持し、且つ長尺状の外側シャフト826を反時計回りに回転させることによって引っ込められ得る。いくつかの例では、基端電極アレイ854の拡張は、連続的に可変であり、電極素子856は、完全に引っ込められ得るか、完全に拡張され得るか又は完全な拡張と完全な引っ込みとの間のいずれかの量で部分的に拡張され得る。
【0038】
内側電極組立体812及び外側電極組立体824は、互いに対して軸方向に可動である。長尺状の内側シャフト814は、長尺状の外側シャフト826とは無関係に可動である。従って、先端電極アレイ831と基端電極アレイ854との間の距離は、パルス電場アブレーション治療期間を通して所望の外傷形状を生じるように調整可能である。
【0039】
アブレーション機器801は、内側電極組立体812及び外側電極組立体824の軸方向の位置を調整することと、拡張可能な電極アレイ831、854の拡張位置を調整することとの両方により、アブレーション外傷のサイズ及び形状をカスタマイズできることが理解される。さらに、先端電極アレイ831は、基端電極アレイ854とは無関係に拡張可能及び引き込み可能である。すなわち、いくつかの例では、基端電極アレイ854が異なる拡張位置に調整されている間、先端電極アレイ831は、第1の拡張位置にあり得る。
膨張又は直線的な力によって拡張する電極アレイ(
図9~14)
図9~12は、拡張可能な電極アレイの代替形態を示す。拡張可能な電極アレイ901は、バルーンタイプの拡張可能部材、プルワイヤタイプの拡張可能部材又はプッシュワイヤ拡張可能部材である。電極アレイ901は、拡張可能な電極アレイ124、134の代替形態として使用され得る。
図9及び10は、非拡張位置における電極アレイ901を示す。
図10は、線10-10に沿って取った
図9の断面図である。また、
図11~12は、拡張位置における電極アレイ901を示す。
図12は、線12-12に沿って取った
図11の断面図である。
【0040】
電極アレイ901は、中心コア914の周りに位置する複数の折り畳み可能部材912を有する。バルーンタイプの拡張可能部材の周りに設けられるとき、電極アレイ901は、折り畳み可能部材912によって取り囲まれているバルーンの膨張によって提供される半径方向に作用する機構により、非拡張位置から拡張位置になる。プルワイヤタイプの拡張可能部材の周りに設けられるとき、電極アレイ901は、拡張可能な電極アレイ901の先端部を軸方向に基端方向に引き寄せるプルワイヤによってもたらされた直線的な力により、非拡張位置から拡張位置になる。電極アレイ901は、拡張可能な電極アレイ901の先端部を軸方向に先端方向に押し進めるプルワイヤによってもたらされた直線的な力により、拡張位置から非拡張位置になる。折り畳み可能部材912は、形状記憶材料製であり得る。電極アレイ901は、
図6のシステムに関連して使用され得る複数の電極922を含んで、組織の可逆及び不可逆電気穿孔法を含むパルス電場アブレーションを実施する。
【0041】
図13~15は、拡張可能な電極アレイ124、134の代替形態として使用され得る拡張可能な電極アレイの代替形態を示す。
図13は、拡張位置における電極アレイ1301を示し、
図14は、非拡張位置における電極アレイ1301を示す。電極アレイ1301は、複数の電極1303を保有する複数の折り畳み可能部材1302を含む。折り畳み可能部材1302は、拡張可能な電極アレイ1301の先端部を軸方向に基端方向において引き寄せるプルワイヤ、プルチューブ又は他のプル機構によってもたらされた直線的な力により、非拡張位置から拡張位置に動かされ得る。折り畳み可能部材1302は、拡張可能な電極アレイ1301の先端部を軸方向に先端方向において押し進めるプル機構によってもたらされた直線的な力により、拡張位置から非拡張位置に動かされ得る。代わりに又は加えて、プル機構は、拡張可能な電極アレイ1301の基端部に作用して、それを拡張状態と非拡張状態との間で動かす。
【0042】
折り畳み可能部材1302は、形状記憶材料製であり得る。いくつかの実施形態では、折り畳み可能部材1302は、非拡張位置において休止状態を有し、且つプル機構を使用して拡張位置に動かされる。いくつかの実施形態では、折り畳み可能部材1302は、拡張位置において休止状態を有し、プル機構を使用して非拡張位置に保持され、且つ拡張位置に解放され得る。
【0043】
一実施形態では、折り畳み可能部材1302は、一方向にスパイラル状に巻き付けられて、完全な拡張形態を提供するように構成される。加えて又は代わりに、プル機構は、拡張可能な電極アレイの基端部に取り付けられたチューブであり得、且つユーザによってねじられて、折り畳み可能部材1302の形状及び巻き付き形態を修正し得る。
【0044】
いくつかの例では、拡張位置における拡張可能な電極アレイ1301の直径は、適用ニーズに従い、且つどの程度ユーザがプル機構を作動させるか及びユーザがプル機構にトルクを加えるかどうかに依存して、ユーザによって調整可能である。加えて又は代わりに、折り畳み可能部材1302は、折り畳み可能部材1302内のバルーン部材を使用して、非拡張位置から拡張位置に動かされ得る。
【0045】
図15は、代替形態における非拡張位置での電極アレイ1501を示す。この例では、電極アレイ1501は、形状記憶材料、例えばニチノールなどを使用するワイヤメッシュ又はワイヤ編組配置構成を含む。
図13~14に関して上述した作動機構は、電極アレイ1501にも適用されて、電極アレイ1501を、
図15に示す非拡張形態と拡張形態との間で動かす。電極アレイ1501の電極は、ワイヤ材料の交差点又は交差点間のワイヤ材料の直線部に位置し得るか又は接続され得る。
電極組立体の軸方向運動の制御
電極組立体、例えば内側電極組立体、中間電極組立体又は外側電極組立体は、いくつかの異なる方法によって別の電極組立体のチャンネル内に挿入され、引っ込められ、且つ動かされる。制御は、例えば、電極組立体が手でポートに挿入されるとき、手動であり得る。この状況では、電極組立体は、電極組立体のシャフトに複数の挿入深さのマーキングを有し得る。マーキングは、等間隔にされて、電極組立体の挿入深さを示すためにラベルが付けられ得る。代わりに又は加えて、システムは、1つの電極組立体を別の電極組立体又はアブレーションシステムに対して適所に保持するロッキング機構を提供し得る。代わりに又は加えて、電極組立体は、別の電極組立体、例えば外側電極組立体又は中間電極組立体の中心チャンネル内で機器を動かすための機械的な手段を備え得る。機器を動かすための機械的な手段の例は、スクリューの回転運動を電極組立体の線形の軸方向運動に変換するスクリュー装置を含む。代わりに又は加えて、電極組立体の挿入及び引っ込みは、モータ付き組立体を使用して電子的に制御され得る。
電極構造の機械的な間隔
いくつかの実施形態では、所望の電場を得るために、所望の電極間隔、形態又はそれらの両方を生じるための機械的構造が使用される。いくつかの実施形態では、電極素子は、電場を変化させるために、電極素子の導電性材料が絶縁されるマスクされた部分を含む。他の実施形態では、電場を変化させるために、電極素子の複数の部分から組織を遮蔽する外側カニューレが提供される。いくつかの例では、電極間隔は、電極のサイズ及び間隔を制御し、従って後続のアブレーションの体積及び三次元シミュレーションを制御するために、様々な機構を通して正確に調整又は操作され得る。
長尺状の電極組立体のシャフト
電極又は電極アレイを有する各電極組立体は、電極又は電極アレイへの電気的接続をもたらすための構造を含む。いくつかの例では、その構造は、拡張可能な電極アレイを展開するためにも使用される。いくつかの例では、その構造は、内側電極組立体、中間電極組立体又はそれらの両方を収容するための中心通路を画定する。いくつかの例では、その構造は、電極組立体の長尺状のシャフトである。長尺状のシャフトは、好適な材料で作製されたチューブであり得る。いくつかの例では、長尺状の電極組立体のシャフトは、コイル状材料又は微細加工された材料を含む。好適な材料は、ステンレス鋼又はポリマーを含む。いくつかの例では、シャフトの内径に絶縁用ライニングが設けられ得る。シャフトは、シャフトの基端部に加わる直線的な力に応答して、アブレーションカテーテル内の電極アレイを展開し、且つ引っ込めるのに十分な圧縮張力を生じ得る。いくつかの例では、シャフトの壁厚さは、少なくとも0.0762mm(0.003インチ)である。いくつかの例では、シャフトの壁厚さは、0.381mm(0.015インチ)以下である。いくつかの例では、壁厚さは、約0.0762mm(0.003インチ)~約0.381mm(0.015インチ)であり、それらの値を含む。
【0046】
いくつかの例では、チューブの内径は、少なくとも0.66mm(2フレンチ(French))である。いくつかの例では、チューブの外径は、3.33mm(10フレンチ)以下である。いくつかの例では、チューブの内径は、0.66mm(2フレンチ)~3.33mm(10フレンチ)であり、それらの値を含む。
【0047】
いくつかの例では、シャフトの外径は、少なくとも0.635mm(0.025インチ)である。いくつかの例では、シャフトの外径は、4.0132mm(0.158インチ)以下である。いくつかの例では、シャフトの外径は、約0.635mm(0.025インチ)~約4.0132mm(0.158インチ)であり、それらの値を含む。
【0048】
いくつかの例では、シャフトの長さは、少なくとも10cmである。いくつかの例では、シャフトの長さは、40cm以下である。いくつかの例では、シャフトの長さは、約10cm~約40cmである。一例では、チューブは、内径0.6858mm(0.027インチ)、外径0.9906mm(0.039インチ)及び壁厚さ0.1524mm(0.006インチ)のSAEタイプ304ステンレス鋼チューブである。
リード線
本技術の様々な例の電極組立体は、アブレーションカテーテルの外部にある発電機から、患者の体内にある電極にエネルギーを伝えるために導電性のリード線を備える。リード線は、電極組立体の電極素子を外部発電機に電気的に接続するように構成される。リード線は、アブレーションカテーテルの特定の実装例に基づいて、いくつかの異なる構成に置かれ得る。例えば、電極組立体自体のシャフトは、ステンレス鋼などの導電性材料から構築され得、その場合、シャフトは、リード線の機能を果たし得る。代替的な例では、電極組立体シャフトの内面又は外面に位置決めされたワイヤは、リード線として使用され得る。代替的な例では、リード線は、電極組立体の壁内に配置され得るか、又はリード線は、電極組立体の内面又は外面上にある導電性トレースであり得る。
【0049】
各電極組立体は、少なくとも1つのリード線を備える。別個のリード線が電極組立体の各電極に提供され得るため、個々の電極は、異なる電位で保持され得る。
電極素子及び電極アレイ
電極素子及び電極アレイの特定の例示的な実施形態が提供されるが、本開示は、本明細書の具体例に限定されない。追加的な形態が考慮される。いくつかの例では、電極アレイは、アブレーションカテーテル内の第1の引っ込められた位置からアブレーションカテーテル外の拡張位置に拡張可能である。いくつかの例では、電極組立体は、単一の電極を含む。いくつかの例では、電極アレイは、電極組立体の先端部分に位置決めされた2つ以上の電極素子を含む。いくつかの例では、電極アレイ又は電極組立体は、電極組立体の先端部分に位置決めされた3つ以上の電極素子を含む。いくつかの例では、電極アレイ又は電極組立体は、電極組立体の先端部分に位置決めされた4つ以上、5つ以上、6つ以上又は7つ以上の電極素子を含む。電極アレイは、電極素子が拡張されて展開されるとき、電極素子がアブレーションカテーテルの外部の円周を取り囲むように構成され得るが、これは、必須ではない。いくつかの例では、電極素子は、選択的に展開され得、いくつかの電極素子が引っ込められた位置になると同時に、他の電極素子が拡張位置になるようにする。いくつかの例では、複数の電極素子が存在し、且つ電極素子間の距離が調整可能である。
【0050】
いくつかの例では、電極アレイの拡張は、連続的に可変であり、すなわち、電極素子の突出量は、完全に引っ込められている状態から完全に拡張されている状態に又はそれらの間のいずれの拡張量にも変化し得る。
【0051】
いくつかの例では、電極素子は、ニッケルチタン合金(ニチノール)などの導電性形状記憶合金材料などの導電性タインであり得る。代替的な例では、電極素子は、ステンレス鋼、金、銅、銀又は白金のような導電性金属であり得る。いくつかの例では、電極素子は、導電性を有するペースト、ゲル又はリボンを備えるポリマーコーティング層を含み得る。代わりに、メッキ又はコーティングは、タイン又はシャフト電極のいずれかに導電性材料として使用され得る。
【0052】
様々な例の電極素子は、いくつかの異なる組立方法を使用して電極組立体に取り付けられ得る。例えば、電極組立体シャフトが金属であり、且つ電極素子が金属である場合、それら2つは、溶接され得る。代替的な配置構成では、電極素子は、電極組立体シャフトが金属チューブであるときなど、電極組立体の材料から一体的な構築され得る。この例では、チューブは、正しい割合で切断されて、電極素子を生じ得る。代替的な例では、電極素子は、カラーを使用して取り付けられ得るか、又はシャフトの端部にある開口部を通してループ状にされ得る。
不可逆電気穿孔法のパラメータ
不可逆電気穿孔法では、パルス幅は、約10ナノ秒~約1マイクロ秒、又は約0.5マイクロ秒~100マイクロ秒、又は約1マイクロ秒~75マイクロ秒の範囲であり得る。パルスは、単相又は二相のいずれかであり得る(両方とも正及び負を有する)。電圧は、組織において1センチメートル当たり500ボルト(V/cm)~2500V/cm、好ましくは1000V/cm~2500V/cmの電場強度を有して細胞損傷を引き起こすように、200ボルト~5000ボルト、好ましくは1000ボルト~3000ボルトの範囲である。
アブレーション方法
本開示で提供されるアブレーション機器の様々な例は、アブレーション方法を実施するために使用され得る。方法は、長尺状の内側シャフト及び先端電極を備える内側電極組立体と、長尺状の外側シャフト及び基端電極を備える外側電極組立体とを有するアブレーションプローブによって使用され得る。内側電極組立体又は外側電極組立体のいずれかは、拡張可能な電極アレイを含む。アブレーションの方法は、アブレーションプローブを患者の組織に挿入すること及び電極アレイを非拡張位置から拡張位置に動かすことを含む。方法は、パルス電場エネルギーを先端電極及び基端電極の両方に送達することによって開始する。方法は、先端電極及び基端電極を互いに対して軸方向に動かすことを含む。
【0053】
いくつかの例では、パルス電場は、先端電極及び基端電極が互いに軸方向に動かされているのと同時に送達される。いくつかの例では、拡張可能な電極アレイは、先端電極を含む先端電極アレイであり、及びパルス電場アブレーション治療は、先端電極に対して基端電極を軸方向に動かす間に行われる。
【0054】
いくつかの例では、方法は、先端電極及び基端電極を互いに対して軸方向に動かした後、第2のパルス電場を送達することをさらに含む。いくつかの例では、先端電極に対して基端電極を軸方向に動かした後、基端電極が固定して保持されている間に第2のパルス電場が送達される。いくつかの例では、以下の少なくとも1つを実施している間に第2のパルス電場が送達される:第1の電極アレイを拡張位置から非拡張位置に動かすこと、第1の電極アレイを軸方向に動かすこと及び第1の電極アレイを非拡張位置から拡張位置に動かすこと。いくつかの例では、第1の電極アレイを第1の拡張位置から第2のさらなる拡張位置に動かす間に第2のパルス電場が送達される。いくつかの例では、方法は、先端電極、基端電極及び拡張可能な電極アレイにおける素子のそれぞれに個々の電気極性を提供することをさらに含む。
【0055】
本明細書及び添付の特許請求の範囲では、単数形は、文脈上明白に他を指示する場合を除いて、複数を含む。用語「又は」は、一般的に、文脈上明白に他の意味を指示する場合を除いて、「及び/又は」の意味で用いられる。語句「構成される」は、特定のタスクを実施するか又は特定の形態を採用するように構築又は構成されるシステム、装置又は他の構造を説明する。用語「構成される」は、他の同様の用語、例えば配置される、構築される、製造されるなどと区別せずに使用され得る。
【0056】
本明細書で言及した全ての刊行物及び特許出願は、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
本明細書で説明される本技術の例は、様々な修正形態及び代替形態が可能であるが、その詳細は、例として図面に示されている。しかしながら、本明細書の範囲は、説明される特定の例に限定されないことが理解されるべきである。むしろ、本明細書の趣旨及び範囲に入る修正形態、均等物及び代替形態を網羅することが意図される。
【国際調査報告】