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特表2022-505826動く歩道のパレットベルト用コンベアチェーンの取付方法
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  • 特表-動く歩道のパレットベルト用コンベアチェーンの取付方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】動く歩道のパレットベルト用コンベアチェーンの取付方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 23/02 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
B66B23/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021522501
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(85)【翻訳文提出日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2019078829
(87)【国際公開番号】W WO2020089002
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】18203448.8
(32)【優先日】2018-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040729
【氏名又は名称】インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プラクスマーラー,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】クレーバイン,ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】シュトライビヒ,クルト
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321AA01
3F321CA24
(57)【要約】
動く歩道(1)のパレットベルト(3)用コンベアチェーン(5)の取付け方法を提案する。提供されるパレット(7)締結用の細長い接続要素(39)は、1つの連結工程において、互いに及びチェーンリンク(27)に対して連結され、当該接続要素(39)は、(i)接続要素(39)が、コンベアチェーン(5)の延在方向(17)に平行に前後に配置され、(ii)各接続要素(39)が、前端部(41)において、チェーンピン(37)のうちの関連する第1のチェーンピンに連結され、後端部(43)において、チェーンピン(37)のうちの関連する第2のチェーンピンに連結され、第1のチェーンピン(37)と第2のチェーンピン(37)との間の接続要素の間隔距離(T2)が、チェーン間隔距離(T1)の整数倍であるように、互いに連結される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動く歩道(1)のパレットベルト(3)用コンベアチェーン(5)を取り付ける方法であって、
コンベアチェーン(5)の延在方向(17)に前後にチェーン間隔距離(T1)で配置された複数の細長いチェーンリンク(27)を提供するステップであって、延在方向(17)に隣接する2つのチェーンリンク(27)が、ジョイント領域(33)において、チェーンピン(35、37)によって、張力に関して応力が加わる形で、、かつチェーンピン(35、37)の中心長手方向軸線(M)を中心に延在方向(17)に対して横方向に旋回可能に互いに連結されるステップを含み、
パレット(7)が取り付けられることができる複数の細長い接続要素(39)を提供するステップと、
接続要素(39)を1つの連結工程で互いにかつチェーンリンク(27)に連結するステップであって、
-接続要素(39)が、コンベアチェーン(5)の延在方向(17)に平行に前後に配置され、
-各接続要素(39)が、前端部(41)において、チェーンリンク(27)を連結するチェーンピン(37)のうちの関連する第1のチェーンピンに連結され、後端部(43)において、チェーンリンク(27)を連結するチェーンピン(37)のうちの関連する第2のチェーンリンクに連結され、第1のチェーンピン(37)と第2のチェーンピン(37)との間の接続要素の間隔距離(T2)は、チェーン間隔距離(T1)の整数倍であり、
-接続要素(39)が、チェーンピン(37)の中心長手方向軸線(M)を中心に延在方向(17)に対して横方向に旋回され得るようにチェーンピン(37)に連結されるステップと、を特徴とする方法。
【請求項2】
延在方向(17)に隣接する2つの接続要素(39)が互いに重なり合うように配置され、2つの接続要素(39)のうちの前方の後端部(43)及び2つの接続要素(39)のうちの後方の前端部(41)が、それぞれ共通のチェーンピン(37)に連結される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各接続要素(39)の前端部(41)が、それぞれの第1のチェーンピン(37)に旋回可能かつ同軸に配置される方法で連結されることができ、各接続要素(39)の後端部(43)が、それぞれの第2のチェーンピン(37)に旋回可能に連結され得、また所定の距離(d)にわたって移動可能な直線的な形式で延在方向(17)に案内されることができ、
連結工程中に、接続要素(39)のうちの少なくとも1つが、まず、2つの端部のうちの第1の端部で、当該端部を軸線方向に摺動させることによって、関連チェーンピン(37)に連結され、次に、第1の端部の反対側にある第2の端部で、旋回方向(61)に旋回させることによって、この端部に関連付けられたチェーンピン(37)に接線方向に連結される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
各接続要素(39)が、その第2の端部で、延在方向(17)に対して横方向に、かつ関連チェーンピン(37)の中心長手方向軸線(M)を横切る方向に、関連する第2のチェーンピン(37)に取外し可能に連結される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
接続要素(39)が、第1の端部及び第2の端部のそれぞれに通路開口部(45、47)を有し、それぞれのチェーンピン(37)が、それぞれのチェーンピン(37)との連結状態にあるときに通路開口部(45、47)を通って延在し、接続要素(39)が、第2の端部上の少なくとも通路開口部(45)において、側方開口部(49)を有し、それによって、チェーンピン(37)が、側方開口部(49)を通って、連結解除工程中に通路開口部(45)の外に、又は連結工程中に通路開口部(45)内に移動されることができ、
各接続要素(39)が、連結工程中に、関連する第2のチェーンピン(37)が接続要素(39)の第2の端部における側方開口部(49)を通ってそこに位置する通路開口部(45)内に入るように旋回方向(61)に旋回される、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
接続要素(39)の第1の端部が、摺動要素(51)を介して関連チェーンピン(37)に対してそれぞれ保持され、接続要素(39)の軸線方向移動の前に、摺動要素(51)が、関連チェーンピン(37)に対して配置され、接続要素(39)の軸線方向移動中に、接続要素(39)及び関連チェーンピン(37)の対向する表面の間に挿入される、請求項3から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
接続要素(39)の第2の端部が、ブッシング(53)を介して関連チェーンピン(37)に対して保持され、ブッシング(53)は、接続要素(39)が接線方向に旋回した後に、関連チェーンピン(37)に対して配置され、また、この配置に従って、接続要素(39)の第2の端部における通路開口部(45)と連動して相互作用し、それによって旋回方向(61)とは反対の接続要素(39)の旋回をブロックするように設計される、請求項3から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
連結工程の後、各接続要素(39)が、軸線方向に取外し可能な締結要素(63)によって、その端部(41、43)のそれぞれにおいて、それぞれ関連するチェーンピン(37)に締結されることができる、請求項3から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項3から8のいずれか一項に記載の方法に従って取り付けられたコンベアチェーン(5)における接続要素(39)を交換する方法であって、
交換される接続要素(39)を、その第2の端部で旋回方向(61)とは反対の接線方向に旋回させ、それによって関連する第2のチェーンピン(37)から第2の端部を連結解除した後、関連する第1のチェーンピン(37)から軸線方向に第1の端部を引き抜くことによって交換される接続要素(39)を取り外すステップと、
このようにして解放された接続要素(39)を交換用接続要素と交換するステップと、
交換用接続要素を、まず第1の端部で関連する第1のチェーンピン(37)に、軸線方向に摺動させることによって連結してから、交換用接続要素を旋回方向(61)に旋回させることによって、交換用接続要素を反対側の第2の端部で関連する第2のチェーンピン(37)に連結するステップと、を含む方法。
【請求項10】
動く歩道(1)用のパレットベルト(3)の取付方法であって、
請求項1から8のいずれか一項に記載の第1のコンベアチェーン(5)及び第2のコンベアチェーン(5)を取り付けるステップと、
当該2つのコンベアチェーン(5)を互いに平行に配置するステップと、
当該2つのコンベアチェーン(5)に複数のパレット(7)を取り付けるステップであって、当該パレット(7)が、コンベアチェーン(5)の延在方向(17)に前後に配置されるステップと、を含み、
各パレット(7)は、第1の側端で第1のコンベアチェーン(5)の接続要素(39)の1つに締結され、反対側の第2の側端で第2のコンベアチェーン(5)の接続要素(39)の1つに締結される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動く歩道のパレットベルト用コンベアチェーンを取り付ける方法、コンベアチェーン内の接続要素を交換する方法、及び動く歩道用のパレットベルトの取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動く歩道は、通常は水平又はわずかに傾斜した移動経路に沿って構造物内で人を輸送する目的で、乗客輸送システムとして使用される。前記目的のために、動く歩道にはパレットベルトがあり、乗客はその上に立つことができ、このパレットベルトは移動経路に沿って連続的に移動され得る。パレットベルトには、多数のパレットが前後に配置されている。各パレットは通常、パレットベルトの両側に沿って配置された2つのコンベアチェーンの間に取り付けられる。次に、各コンベアチェーンは、多数の細長いチェーンリンクからなり、これらチェーンリンクは間隔距離を置いて前後に配置され、チェーンピンを介して旋回可能に互いに接続されているため、コンベアチェーン全体が張力に関して高い応力を受ける。この場合、間隔距離は本質的にチェーンピンの中心長手方向軸線間の距離に対応する。
【0003】
パレットベルトは連続して配置される。これは、コンベアチェーンを使用して、パレットが移動経路に沿って順方向に移動され得ることを意味する。移動経路の端で、パレットベルトは偏向装置によって偏向され、その結果、パレットは、環状に閉鎖されたパレットベルトで、反対の戻り方向に移動され、移動経路の始端部に戻されることができる。対応する偏向装置は、一般に、それぞれがコンベアチェーンの一方と相互作用して、一般に、前記コンベアチェーンを順方向から戻り方向に、又はその逆に180°偏向させる偏向スプロケットを有する。
【0004】
新たに建設される構造物に動く歩道が設置されることが想定される場合、動く歩道の少なくとも一部が構造物の床に一体化されることで、パレットによって順方向に形成される走行面が、前記床の表面と可能な限り同一平面になり得る。この目的のために、動く歩道が収容され得る構造物の床に深い空洞が設けられることを回避するために、動く歩道を低い設計高さで提供することが有利である可能性がある。
【0005】
既存の構造物において動く歩道が後付けされる場合、例えば、静力学の理由で、前記動く歩道を少なくとも部分的に構造物の床内に降ろすことができないか、少なくとも非常にコストがかかる場合がある。この場合、動く歩道は構造物の床上に構築される必要がある。有利には、動く歩道の走行面が延びる水平面と周囲の床の水平面との間の高さの差は、可能な限り小さくすべきである。したがって、この用途の場合、特に低い設計高さを有する動く歩道を使用することが特に望ましい。
【0006】
動く歩道の設計高さは、その偏向装置の設計高さ、特にその中に挿入された通常は垂直に配置された偏向スプロケットの直径によって著しく決定される。非常に小径の偏向スプロケットを使用すると、任のタイプの狭いパレットを使用できないため、いわゆる多角形効果が発生する可能性があり、代わりに、実用においては、パレットは(移動経路の方向で測定された)最小の長さを有する。このような多角形効果は、パレットの長さ、ひいてはコンベアチェーンの間隔距離が、偏向スプロケットの直径と比較して十分に小さくない場合に顕著に発生する可能性がある。多角形効果を回避するために、従来の動く歩道では、最小歯数17以上の歯の偏向スプロケット、したがって最小設計高さが一般的に使用された。
【0007】
国際公開第2013/152714号は、コンベアシステムにおいて、特に動く歩道において使用するためのパレットベルトについて説明している。説明されているパレットベルトは、2つのコンベアチェーン及びこれらの間に配置されたパレットを有する。このパレットベルトは、その構造設計により、小さな偏向スプロケットを使用している場合でも、多角形効果をある程度制限するのに役立つ。しかしながら、説明されているパレットベルトの構造設計は比較的脆弱である上、誤った取付けや故障の場合に使用者にとって危険な状況につながり得る安全に関連する構成部品を多数有する。
【0008】
とりわけ、パレットベルト用のコンベアチェーンを取り付ける方法、コンベアチェーンの要素を交換する方法、及び/又はパレットベルトを取り付ける方法が必要となる場合があり、その方法において、又はその方法によって、上述の問題又は制限の、とりわけいくつかは、取り付けられたコンベアチェーン又は取り付けられたパレットベルトにおいて有利に克服される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2013/152714号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
具体的には、パレットベルトが簡単に、また比較的少ない労力で取り付けられ得、過度の多角形効果を引き起こさずに、小さな設計高さで動く歩道において高い信頼性で使用され得る、コンベアチェーンやパレットベルトの取付け方法が必要な場合がある。
【0011】
そのような必要性は、独立請求項のいずれかによる主題で満たされ得る。有利な実施形態は、従属請求項及び以下の説明で定義される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、動く歩道のパレットベルト用コンベアチェーンの取付方法が提案される。この方法は、少なくとも次のステップ、すなわち、コンベアチェーンの延在方向にチェーン間隔距離で前後に配置される複数の細長いチェーンリンクが提供されるステップを、場合によっては、しかし必ずしもそうではないが、提供される順序で含む。この場合、延在方向に隣接する2つのチェーンリンクは、チェーンピンによってジョイント領域で互いに連結され、チェーンリンクは、チェーンピンによって、張力に関して応力の加わる方法で、かつチェーンピンの中心長手方向軸線を中心に延在方向に対して横方向に互いに旋回可能に接続される。さらに、パレットを取り付けることができる複数の細長い接続要素が提供される。接続要素は、1つの連結工程で互いに及びチェーンリンクに対して連結され、
-接続要素は、コンベアチェーンの延在方向に平行に前後に配置され、
-各接続要素は、前端において、チェーンリンクを連結するチェーンピンのうちの関連する第1のチェーンピンに連結され、後端において、チェーンリンクを連結するチェーンピンのうちの関連する第2のチェーンピンに連結され、第1のチェーンピンと第2のチェーンピンとの間の接続要素の間隔距離は、チェーン間隔距離の整数倍であり、
-接続要素は、チェーンピンの中心長手方向軸線を中心に延在方向に対して横方向に旋回され得るようにチェーンピンに連結される。
【0013】
本発明の第1の態様の一実施形態では、延在方向に隣接する2つの接続要素は、それぞれ、互いに重なり合うように配置され得る。その目的のために、2つの接続要素のうちの前方の後端及び2つの接続要素のうちの後方の前端は、それぞれ共通のチェーンピンに連結される。
【0014】
本発明の第1の態様のさらなる実施形態では、各接続要素の前端は、それぞれの第1のチェーンピンに旋回可能かつ同軸に配置される方法で連結され得、各接続要素の後端は、それぞれの第2のチェーンピンに旋回可能に連結され得、また所定の距離にわたって移動可能な直線的な方法で延在方向に案内され得る。したがって、連結工程において、接続要素のうちの少なくとも1つは、まず、2つの端部のうちの第1の端部で、当該端部を軸線方向に摺動させることによって、関連チェーンピンに連結され得、次に、旋回方向に旋回させることによって、第1の端部とは反対側にある第2の端部に関連付けられた連結ピンに接線方向に連結され得る。
【0015】
本文書において、「連結」、「連結する」、「連結された」という特徴は、連結部品間の相対的な動きを可能にするが、追加の努力なしに連結部品を分離することができない接続を指す。そのような追加の努力は、例えば、部品の連結を解除するための、ねじ、ナット、コッタ・ピンの緩め、スナップアクション装置の作動、又は連結構成部品の不可逆的な破壊などであり得る。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、コンベアチェーン内の接続要素の交換方法が提案される。コンベアチェーンは、請求項のいずれかに記載の方法に従って取り付けられており、取付け方法から生じる、対応する構造特性を有する。この方法は、少なくとも次のステップ、すなわち、交換される接続要素が、その第2の端部で旋回方向とは反対の接線方向に旋回されることにより、第2の端部を関連する第2のチェーンピンから連結解除するステップを、場合によっては、しかし必須ではないが、指定された順序で有する。次に、交換される接続要素は、第1の端部を軸線方向に引き離すことによって、関連する第1のチェーンピンから解放される。この方法で解放された接続要素は、次に交換用接続要素に置き換えられる。交換用接続要素は、最初に、軸線方向に摺動させることによって、関連する第1のチェーンピンに第1の端部で連結され、次に、交換用接続要素は、交換用接続要素を旋回方向に旋回させることによって、反対側の第2の端部で関連する第2のチェーンピンに連結される。
【0017】
本発明の第3の態様によれば、動く歩道用のパレットベルトの取付方法が提案される。この方法は、少なくとも次のステップ、すなわち、第1のコンベアチェーン及び第2のコンベアチェーンが、本発明の第1の態様の実施形態に従って取り付けられるステップを、場合によっては、しかし必須ではないが、指定された順序で有する。次に、2つのコンベアチェーンが互いに平行に配置される。続いて、複数のパレットが2つのコンベアチェーンに取り付けられ、パレットは、コンベアチェーンの延在方向に前後に配置される。その目的のために、各パレットは、第1の側端で第1のコンベアチェーンの接続要素の1つに締結され、対向する第2の側端で第2のコンベアチェーンの接続要素の1つに締結される。
【0018】
本発明による方法は、コンベアチェーン又はパレットベルトの連動する要素及び重なり合う要素や構成部品の構造化された安全な取付けを可能にする。これらの連動する要素及び重なり合う要素により、高度な動作安全性が確保され得る。連動する要素及び重なり合う要素の特定の設計には、要素を置き換えるための構造化された方法も必要となる。
【0019】
簡単に要約すると、本発明の実施形態の可能な特徴及び利点は、とりわけ、本発明を限定することなく、以下に記載される概念及び知見に基づくと見なすことができる。
【0020】
動く歩道用の従来のパレットベルトの場合、パレットは通常、コンベアチェーンの場合によっては細長いチェーンピンに直接接続されていた。ほとんどの場合、間隔距離が比較的大きいコンベアチェーンが使用されたため、パレットの長さは本質的にコンベアチェーンの間隔距離に対応していた。
【0021】
例えば国際公開第2013/152714号に記載されている方法の場合のように、短いチェーンリンクを使用してコンベアチェーンのための短い間隔距離を実現しようとした場合、パレットは依然としてコンベアチェーンのチェーンピンに直接接続されるであろう。しかしながら、1つのパレットが複数のチェーンリンクの長さにまたがっていたため、フロントチェーンピンへのパレットの連結とリアチェーンピンへのパレットの連結との間に、パレットに接続されない1つ又は複数のチェーンピンが残った。
【0022】
このような構成における偏向スプロケットでのコンベアチェーンの偏向は、偏向スプロケットの円周に沿って延びるコンベアチェーンの領域と、その間に直線的に延びるパレットとの間の長さの差をもたらすので、前記長さの差は、適切な機構によって補正される必要がある。従来、この機構は、パレットが連結されることになっている、1つ又は複数のチェーンピンへのパレットの接続の領域に提供されている。このような機構の構造は、複雑である及び/又は慎重な扱いを要する可能性がある。さらに、コンベアチェーンへのパレットのこのタイプの接続では、例えばメンテナンス工程の一部として、パレットベルトを取り付ける及び/又は分解すること、及び/又は、例えばパレットベルトの欠陥部品を交換することは、コストがかかる可能性がある。
【0023】
本明細書に記載の取付け方法の実施形態によって、構造的及び機能的に特別に設計されたコンベアチェーンを簡単な方法で取り付けること、又はコンベアチェーンに含まれる構成部品を簡単に分解又は交換することができるようになる。
【0024】
コンベアチェーンの場合、パレットはコンベアチェーンのチェーンピンに直接接続されない。代わりに、パレットを取り付けることができる特定の接続要素が提供される。これらの接続要素は、それぞれのコンベアチェーンに平行に延びる一種の追加のチェーンを形成し、接続要素は、コンベアチェーンのチェーンリンクより何倍も長く、すなわち、接続要素によって形成される追加のチェーンは、チェーンリンクによって形成されるチェーンより大きな間隔距離を有する。換言すれば、接続要素は、複数のチェーンリンクと重なり合う。このような場合、接続要素は、チェーンリンクも連結するコンベアチェーンのチェーンピンのいくつかに連結される。接続要素はコンベアチェーンのチェーンリンクより長いため、接続要素の両端はそれぞれ、2個ごとに1個、3個ごとに1個、又はより一般的にはn(n>2)個ごとに1個のチェーンピンに連結され、すなわち、接続要素に連結されていない少なくとも1つのチェーンピンは、接続要素に連結されている2つのチェーンピンの間にある。
【0025】
この場合、接続要素は、コンベアチェーンの偏向中にコンベアチェーンの短いチェーンリンクと比較的長い接続要素との間で生じる長さの差を補正できるように、構造的に適切であるように設計される。その結果、コンベアチェーンは、望ましくない影響を与える多角形効果なしに、小径の偏向スプロケットでも偏向され得る。
【0026】
パレットはチェーンピンに直接接続されていないが、接続要素を介してチェーンピンに間接的に接続されているので、とりわけ、パレット及び/又はパレットベルトの他の構成部品を、簡単な方法で取り付けたり、分解又は交換することが可能である。
【0027】
具体的には、接続要素は、それらの第2の端部でそれらが必ずしも関連チェーンピンに軸線方向に連結される必要はなく、代わりに旋回され得、それによって関連チェーンピンに接線方向に連結され得るように設計することができる。このようにして、両端が共通のチェーンピンに連結されている隣接する接続要素を、それぞれのチェーンピンから個別に取り外すことができる。
【0028】
したがって、取り付けられた個々の接続要素又はパレットが、例えば摩耗により交換されることになっている場合、チェーンリンクによって形成されたチェーンからすべての接続要素を取り外す必要はない。例えば、代わりに個々の接続要素が取り外され、交換され得る。
【0029】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して以下に説明され、図面も説明も本発明を限定するものとして解釈されることを意図するものではない。本明細書における本発明の可能な特徴及び利点のいくつかは、コンベアチェーン、パレットベルト、若しくは動く歩道に関する様々な実施形態を参照して、又はコンベアチェーンの取付け方法、コンベアチェーンにおける接続要素の交換方法、若しくは動く歩道用のパレットベルトの取付け方法に関する様々な実施形態を参照して説明されることに留意すべきである。当業者は、本発明のさらなる実施形態に到達するために、特徴が適切な方法で組み合わされ、転送され、適合され、又は置き換えられ得ることを認識する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、動く歩道の大まかで概略的な縦断面図を示している。
図2図2は、本発明の実施形態に従って取り付けられたコンベアチェーンを備えた動く歩道用のパレットベルトの一部の斜視図を示している。
図3図3は、図1に示されているコンベアベルトの一部のさらなる斜視図を部分的に分解図で示している。
図4a図4aは、本発明の実施形態に従って取り付けられたコンベアチェーンのセグメントの斜視分解図を示す。
図4b図4bは、本発明の実施形態に従って取り付けられたコンベアチェーンのセグメントの斜視正面図を示す。
図4c図4cは、本発明の実施形態に従って取り付けられたコンベアチェーンのセグメントの斜視背面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
これらの図面は単に概略的なものであり、縮尺通りではない。異なる図面では、同一の参照記号は同一又は類似の機能を示す。
【0032】
本発明による取付け方法の方法ステップをよりよく理解できるようにするために、取付け方法の基礎となるパレットベルト3の様々な構成部品、及びそれらの互いに対する配置を図1から図4cを参照して最初に説明する。
【0033】
図1は、動く歩道1を大まかに概略的に示しており、この動く歩道1によって、乗客は水平方向の移動経路に沿って輸送され得る。動く歩道1は、パレットベルト3を有し、そのアクセス可能な上向き部分は、移動経路に沿って延在方向17に延在する。動く歩道1の動作中、パレットベルト3の前記アクセス可能な部分は、順方向に移動される。パレットベルト3は、環状に閉鎖されているか、連続的に配置されており、偏向スプロケット9によって動く歩道1の両端で偏向されるので、パレットベルトの下向き部分は、戻り方向に戻される。パレットベルト3に簡単かつ無段階でアクセスできるようにするために、入口領域と出口領域に斜めの傾斜路11が設けられている。さらに、手すり13が、移動経路に沿って配置されており、これは、明確にするために、破線としてのみ示されている。
【0034】
パレットベルト3は、本質的に、2つのコンベアチェーン5と、前記コンベアチェーン5に対して保持された複数のパレット7とからなる。コンベアチェーン5は、動く歩道1の両側に、動く歩道1の(像面に垂直な)幅方向に対して、互いに平行に配置されている。各コンベアチェーン5は、チェーンピンによって互いに旋回可能に連結された多数のチェーンリンクで構成されている。パレット7は2つのコンベアチェーン5に機械的に接続されているので、コンベアチェーン5が移動されると、パレット7は移動経路に沿って移動される。
【0035】
図示の例では、動く歩道1は、床15上に構築されている。このような場合、例えば、傾斜路11の長さ又は傾斜を区切るために、設計高さhは可能な限り低くすべきである。そのような望ましい低い設計高さhのために、偏向スプロケット9の直径もまた可能な限り小さくすべきである。
【0036】
従来の動く歩道では、コンベアチェーンを形成するチェーンリンクの長さは、延在方向に沿って測定され、本質的にパレットの長さに対応する。換言すれば、従来のコンベアチェーンの間隔距離は、本質的に、前記コンベアチェーンで形成された従来のパレットベルトの間隔距離に対応する。このようにして、パレットは、その前端及びその後端の両方で、パレット7に平行に延びるチェーンリンクの両端にあるチェーンピンの1つに接続される。
【0037】
しかしながら、コンベアチェーン5又はパレットベルト3の間隔距離が偏向スプロケット9の直径より著しく小さくない場合、接続されたパレット7を含む比較的長いチェーンリンクの偏向は、著しい多角形効果をもたらす可能性がある。歯付きホイールとして設計され、それぞれ1つの歯がチェーンリンクに形成された凹部と噛み合うことになっている偏向スプロケット9の場合、偏向スプロケット9の歯数が17未満である場合、顕著な多角形効果が生じることが特に明らかになった。
【0038】
本発明は、動く歩道1及びその構成部品、特にパレットベルト3及びコンベアチェーン5、並びにそのような構成部品を取り付ける又は修理するための方法に関し、動く歩道1は、その構造的及び機能的特性により、パレットベルト3の偏向中に生じる許容できない強い多角形効果なしに低い設計高さhを備えることができる。さらに、本発明は、その特有の構造的特徴により、動く歩道1の動作信頼性を高める。また、コンベアチェーン5又は前記コンベアチェーン5によって形成されるパレットベルト3は、容易に取り付けられ得、そこに含まれる構成部品は必要に応じて容易に交換され得る。
【0039】
以下では、本発明の実施形態の可能な詳細及び利点を、図面を参照して説明する。まず、コンベアチェーン5、前記コンベアチェーン5によって形成されるパレットベルト3、又は最終的にそれとともに備えられた動く歩道1の、主に構造的特性又は機能的特性について説明する。続いて、そのようなコンベアチェーン5又はそのようなパレットベルト3の取付方法、並びにそのようなコンベアチェーン5内の接続要素の交換方法に関する、可能な実施形態について説明する。
【0040】
コンベアチェーン5や、パレットベルト3、動く歩道1などの装置について記載された特徴は、それらの取付け及び修理のためのそれぞれの方法に対して対応する効果を有することができ、逆に、本明細書に記載された方法の特徴は、次に、このように形成された装置の特性と相関することができることに留意しなければならない。
【0041】
図2は、偏向領域19内の動く歩道1の一部を斜視図で示している。偏向領域19において、パレットベルト3は、偏向装置21によって、順方向から戻り方向へ、又はその逆に偏向される。この目的のために、偏向装置21は、歯付きホイール23の形態の偏向スプロケット9を有し、偏向スプロケット9は、パレットベルト3の両側に配置され、前記両側を延びるコンベアチェーン5と相互作用する。偏向スプロケット9は、例えば、40cm未満、好ましくは30cm未満、より好ましくは25cm未満の小径を有し、したがって、動く歩道1全体は、例えば、50cmを大きく下回る、好ましくはさらに35cmを下回る低い設計高さhを有することができる。
【0042】
しかしながら、コンベアチェーン5のチェーン間隔距離T1が短いため、コンベアチェーン5の個々のチェーンリンク27と噛み合う歯付きホイール23上に形成された歯25は、互いに近接して配置され得る。したがって、小さな偏向スプロケット9でも外周に少なくとも17個の歯25を設けることができるので、コンベアチェーン5が円運動するときの多角形効果は無視できる。
【0043】
図3及び図4aから図4cは、パレットベルト3及びそこに挿入されたコンベアチェーン5の詳細を斜視図として部分的に分解図で示している。以下では、それらをまとめて説明する。
【0044】
コンベアチェーン5は、複数の細長いチェーンリンク27を有する。チェーンリンク27は、コンベアチェーン5の延在方向17に沿って前後に配置されている。図示の例(特に図4aを参照)では、各チェーンリンク27は、平行に配置された2枚のシート状ブラケット29で設計されている。ブラケット29は、スリーブ31によって互いに離間されている。延在方向17で隣接するチェーンリンク27は、チェーンピン35によってジョイント領域33でそれぞれ互いに接続されている。結果として、コンベアチェーン5は、張力に関して応力が加わり、チェーンピン35のそれぞれの中心長手方向軸線Mを中心に延在方向17に対して横方向に旋回可能である。
【0045】
コンベアチェーン5上の2つの隣接するチェーンピン35間の中心長手方向軸線Mの距離は、チェーン間隔距離T1に対応する。コンベアチェーン5の偏向中に、所望の無視できる多角形効果を達成するために、コンベアチェーン5の個々のチェーンリンク27は、チェーン間隔距離T1が好ましくは10cmより短く、より好ましくは6cmより短く、特に50mm±2mmとなるように、非常に短くなっている。
【0046】
従来のパレットベルト3では、パレット7は通常、コンベアチェーン5のチェーンピン35に直接接続されている。例えば、パレット7は、側端面で、コンベアチェーン5を越えて横方向に突出する細長いチェーンピン35に直接接続されている。
【0047】
対照的に、本明細書で提案されるパレットベルト3では、追加の細長い接続要素39がコンベアチェーン5に備えられている。チェーンリンク27と同様に、接続要素39は、延在方向17に前後に、又は前記延在方向17に平行に配置されている。この場合、延在方向17で隣接する2つの接続要素39は、延在方向17に対して横方向に互いに旋回可能に連結される。例えば、そのような連結は、チェーンリンク27を越えて横方向に突出し、接続要素39を接続することができる、コンベアチェーン5の細長いチェーンピン37を介して達成することができる。
【0048】
具体的には、接続要素39のそれぞれは、第1の端部41で、細長いチェーンピン37のうちの関連する前方のチェーンピンに連結され得、後端部43で、細長いチェーンピン37のうちの関連する第2のチェーンピンに連結され得る。
【0049】
第1の細長いチェーンピン37と第2の細長いチェーンピン37の延在方向17における中心長手方向軸線M間の距離は、本明細書では、接続要素間隔距離T2と呼ばれる。本明細書に記載のコンベアチェーン5の場合、この接続要素間隔距離T2は、チェーン間隔距離T1の整数倍、すなわち、T2=n*T1、n=2、3、4・・・であると想定される。図示の例では、接続要素間隔距離T2はチェーン間隔距離の3倍、すなわちT2=3*T1である。換言すれば、接続要素39は、チェーンリンク27より整数倍長い、例えば、チェーンリンク27より2倍又は3倍長いと想定される。
【0050】
結果として、各接続要素39は、その両端部41、43で、直接隣接するチェーンピン35、37に接続されていない。代わりに、接続要素39に連結されていない少なくとも1つのチェーンピン35、37が、接続要素39のそれぞれの端部41、43の一方に接続されている2つのチェーンピン35、37の間に配置されている。換言すれば、接続要素39のそれぞれは、1個置き、3個ごとに1個、又は概してn個ごとに1個のチェーンピン35、37にのみ連結される。
【0051】
図示の例では、接続要素39は、それらの端部41、43で、3個ごとに1個のチェーンピン35、37に連結され、ここで、前記チェーンピン35、37は、細長いチェーンピン37として設計される。そのような細長いチェーンピン37の間に、コンベアチェーン5のチェーンリンク27のみを接続するが、平行に延びる接続要素39には接続されない2つのより短いチェーンピン35が配置される。
【0052】
説明したパレットベルト3では、パレット7はコンベアチェーン5に直接接続されていない。代わりに、パレット7はそれぞれ接続要素39に取り付けられ、前記接続要素39を介してコンベアチェーン5に間接的に接続される。
【0053】
このような場合、延在方向17で測定されたパレット7の長さLは、接続要素間隔距離T2にほぼ対応し得、したがって、チェーンリンク27の長さ及びそれらのチェーン間隔距離T1より何倍も長くなり得る。一般に、パレット7は、これにより、接続要素間隔距離T2よりわずかに短いため、隣接するパレット7の間に小さな間隙が残り、したがって、パレット7は、互いに対して移動することができる。具体的には、例えば、ほぼ150mmのパレット長は、50mmのチェーン間隔距離T1を有するコンベアチェーン5に使用され得、したがって、パレット7のそれぞれは、複数のチェーンリンク27にまたがる、又は「重なり合う」。
【0054】
そのようなパレットベルト3が偏向領域19で偏向されると、そのチェーンリンク27を備えたコンベアチェーン5は、偏向スプロケット9の1つの外周に沿ってピッチ円のラジアン測定値を実質的に移動する。しかしながら、長いパレット7は、前記パレット7が重なるチェーンリンク27間の弦に沿って延在する。換言すれば、パレット7は、偏向中にチェーンピン35、37によって画定される横断に沿って延在するのではなく、接続要素39が接続されるチェーンピン35、37を接続する直線に沿って延在する。前記弦の長さは、円周又は前記横断の長さより短い。これは、弦短縮と呼ぶことができる。
【0055】
チェーンリンク27と比較して長い接続要素39によって生じる弦短縮を補正することができるように、接続要素39の特定の設計、又は接続要素39がコンベアチェーン5に接続される方法が必要である。具体的には、各接続要素39の端部41、43の少なくとも1つは、弦短縮を補正するための長さ調整をもたらすことができるように、コンベアチェーン5に連結されるべきである。
【0056】
さらに明確にするために、特定の接続要素39とともに説明される延長チェーンピン37は、以下では、関連チェーンピン37と呼ばれる。さらに、接続要素の特定の領域と相互作用する細長いチェーンピン37は、関連する接続要素39に対するそれらの配置を説明できるようにするために、1つ目のチェーンピン37及び2つ目のチェーンピン37、あるいは第1のチェーンピン37及び第2のチェーンピン37と呼ばれる。同じ理由で、接続要素39の端部は、前端部41及び後端部43と呼ばれ、これらの呼称は、延在方向における接続要素39の移動方向を特定するものではない。
【0057】
弦短縮を補正するために、例えば、接続要素39の前端部41は、旋回可能かつ同軸に配置される方法で、第1のチェーンピン37に連結され得る。
【0058】
換言すれば、接続要素39の前端部41は、接続要素39が第1のチェーンピン37の中心長手方向軸線Mを中心に旋回可能であるが、チェーンピン37の中心長手方向軸線Mを横切る方向においてチェーンピン37に対して所定の位置に固定されるように、第1のチェーンピン37に連結され得る。したがって、接続要素39の前端部41は、チェーンピン37の中心長手方向軸線Mを中心に旋回可能であるようにコンベアチェーン5に接続されるが、チェーンピン37に対して直線的に移動され得ない。換言すれば、接続要素39は、その前端部41で第1のチェーンピン37に連動して接続され得、その結果、チェーンピン37の中心長手方向軸線Mを中心とした旋回運動のみが可能であり、チェーンピン37に対する延在方向17の並進運動は不可能である。
【0059】
対照的に、各接続要素39の後端部43は、第2のチェーンピン37に、旋回可能に連結されることも、所定の距離dにわたって延在方向17に移動可能な直線的な方法で案内されることも可能である。
【0060】
換言すれば、接続要素39の後端部43は、接続要素39が第2のチェーンピン37の中心長手方向軸線Mを中心に旋回可能であり、さらに、チェーンピン37に対して所定の距離dにわたって前記中心長手方向軸線Mを横切る方向に移動可能であるように、第2のチェーンピン37に連結され得、接続要素39と第2のチェーンピン37との間の連結の設計により、その直線運動において案内される。さらに換言すると、接続要素39の後端部43の第2のチェーンピン37への接続は、前記後端部43が、チェーンピン37の中心長手方向軸線Мを横切る方向に第2のチェーンピン37に対して並進的に移動できるように設計することができる。
【0061】
この場合、距離dにわたる直線運動が可能であると考えられる。前記距離dは、前述の弦短縮の長さ以上であり得る。換言すれば、距離dは、コンベアチェーン5が円形セグメントの周りで偏向されるときの、第1のチェーンピン37及び第2のチェーンピン37の間の弦と円形セグメントに沿った円周との差分の長さに対応し得る。例えば、距離dは、第2のチェーンピン37の直径の少なくとも150%、又は好ましくは少なくとも200%に対応し得る。
【0062】
本明細書に記載の接続要素39及びコンベアチェーン5への接続要素39の接続は、実質的に平行なチェーンをもたらし、その間隔距離は、チェーンリンク27の間隔距離より著しく大きく、本質的にパレット7の長さに対応する。接続要素39の第1の端部41及び第2の端部43における構造的及び機能的設計、並びにこれらの端部がコンベアチェーン5のチェーンピン37に連結される方法により、パレットベルト3が偏向されるときに生じる弦短縮を接続要素39において補正できることが達成され得る。
【0063】
一実施形態によれば、接続要素39のそれぞれは、その端部41、43の少なくとも1つで、延在方向17に対して横方向に、またそれぞれの端部41、43が連結されているチェーンピン37の中心長手方向軸線Мを横切る方向に、関連チェーンピン37に取外し可能に連結され得る。
【0064】
換言すれば、接続要素39は、それらの端部の一方において、前記端部41、43が延在方向17に対して横方向に、かつチェーンピン37の中心長手方向軸線Мを横切る方向に移動されることによって、接続要素39が関連する細長いチェーンピン37から取り外され得るように設計されことができる。換言すれば、接続要素39の端部41、43のうちの1つは、接続要素39が延在方向17から外れて上下に旋回され得、そうすることで、割り当てられたチェーンピン37から取り外すことができるように構造的に設計されるべきである。
【0065】
特に接続要素39を旋回させることによって達成される、関連チェーンピン37のそのような取外し可能性により、接続要素39は、関連チェーンピン35から軸線方向に接続要素39を取り外す必要なく、少なくともそれぞれの端部41、43で、コンベアチェーン5への連結から解放され得る。以下でより詳細に説明するように、これにより、本明細書で提案するコンベアチェーン5をそれに対して配置された接続要素39とともに簡単な方法で取付け又は分解することができるか、又は個々の接続要素39を置き換えることができる簡単な選択肢を実現することができる。
【0066】
一実施形態によれば、接続要素39は、前端部41及び後端部43の両方に通路開口部45、47を有し、それぞれ関連するチェーンピン37が連結状態にあるときに、それぞれのチェーンピン37が通路開口部45、47を通って延びる。接続要素39は、これらの通路開口部45のうちの1つに側方開口部49を有しており、したがって、ブッシング53が取り外された後、関連チェーンピン37が側方開口部49を通って通路開口部45、47の外に移動するため、結果として関連チェーンピン37との連結から解放され得る。
【0067】
換言すれば、接続要素39の両端部41、43のそれぞれにおいて、通路開口部45、47が形成され、それらを通って、好ましくは細長いチェーンピン37が延びることができるようになっている。これらの通路開口部45、47は、例えば、前方通路開口部45の場合、円筒形の細長いチェーンピン37との部分的な連動接続がもたらされるように寸法が決められ得る。したがって、前方通路開口部45は、少なくとも断面において円形であり、細長いチェーンピン37の直径とほぼ同じ直径を有するように設計することができる。接続要素39の後方通路開口部47は、好ましくは、細長く、例えば矩形又は準矩形に設計することができる。延在方向17における前記後方通路開口部47の長さは、接続要素39が関連チェーンピン35に対して移動され得ると想定される距離dに対応することができる。前記後方通路開口部47の高さは、関連チェーンピン35の直径にほぼ対応することができる。
【0068】
この文脈において、2つの通路開口部45、47のうちの少なくとも一方は、環状に閉鎖することはできず、片側で開口し得る。換言すれば、接続要素39の一端部41、43は、側方に開口した、ほぼ丸い目の形態の通路開口部45を有するように設計することができる。側方開口部49により、この通路開口部45は、例えば、U字形又はΩ字形に開口され得る。
【0069】
通路開口部45の側方開口部49は、接続要素39を旋回させることにより、上記のように接続要素39を取り外すことを可能にする。例えば、接続要素39を取り付けるために、割り当てられたチェーンピン37に接続要素39の後端部43が軸線方向に押し込まれることができ、次に、チェーンリンク27から形成されたチェーンと接続要素39との間に所望の連結をもたらすために、接続要素39を下方に旋回させ、それによって関連チェーンピン37を、側方開口部49を通って通路開口部45内に押し込むことによって、前端部41が他の割り当てられたチェーンピン37に連結され得る。
【0070】
一実施形態によれば、隣接する接続要素39は、延在方向17に互いに重なり合うことができ、前方接続要素39の後端部43及び後方接続要素39の前端部41は、それぞれ共通のチェーンピン37に連結され得る。
【0071】
換言すれば、本明細書に記載されるコンベアチェーン5の接続要素39は、チェーンリンク27のブラケット29と同様に、延在方向17に重なり合うことができ、隣接する接続要素39はそれぞれ、それらの端部41、43のうちの一方で共通のチェーンピン37に連結されることができる。
【0072】
したがって、コンベアチェーン5のすべての接続要素39は、好ましくは、同一であるように、すなわち、同じ形状を有するように設計することができる。したがって、接続要素39によって形成されるチェーンは、単純な設計を有することができ、1つのタイプの接続要素39のみを製造し、保管し、最終的に取り付ける必要がある。パレットベルト3の平行に走る対向するコンベアチェーン5の場合、2つの鏡面対称タイプの接続要素39(右/左)が必要となる場合がある。
【0073】
例えば、接続要素39は、クランク部材として形成されることができ、したがって、例えば、接続要素39のすべての後端部43は、同じチェーンピン37に対して配置された隣接する接続要素39の前端部41よりも、関連チェーンピン37に対するチェーンリンク27の近くに配置される。
【0074】
そのような構成では、接続要素39の後端部43は、コンベアチェーン5を取り付けるために、環状の閉鎖された通路開口部47で、関連チェーンピン37上を軸線方向に移動され得る。割り当てられたチェーンピン37にすべての接続要素39がこのように取り付けられた後、次に、連結ピン39は、隣接する細長いチェーンピン37におけるそれらの前端部41と係合できるようにするために旋回され得る。接続要素39は、延在方向に互いに重なり合っていても、このように組み立てて、コンベアチェーン5上のチェーンリンク27に平行なチェーンを実際に形成することができる。
【0075】
一実施形態によれば、接続要素39の後端部43はそれぞれ、摺動要素51を介して関連チェーンピン35、37に対して保持され得る。この目的のために、摺動要素51は、接続要素39及びチェーンピン37の対向する表面の間に挿入され得る。
【0076】
換言すれば、接続要素39は、それぞれ、後端部43で、摺動要素51を介して関連チェーンピン37に連結され得る。これにより、摺動要素51は、特定の方向において、所望の強制ロック接続を提供することができ、又は特定の方向において、細長いチェーンピン37と、例えば接続要素39における通路開口部47の領域内の内面との間の特定の連動接続を提供することができる。
【0077】
特定の実施形態によれば、接続要素39は、後端部43において、平行な内面を備えた細長い孔形状の通路開口部47を有することができる。次に、摺動要素51は、通路開口部47の内面に隣接する平行な外面を備えた外側輪郭を有することができる。
【0078】
換言すれば、摺動要素51は、例えば、矩形又は準矩形の外側輪郭を有することができ、接続要素39の後端部43の通路開口部47はまた、矩形又は準矩形であり得る。摺動要素51の高さは、通路開口部47の高さに対応することができる。しかしながら、摺動要素51の長さは、通路開口部47の長さより短くあるべきである。例えば、摺動要素51の長さは、通路開口部の長さの50%未満又は30%未満であり得る。そのような構成のために、摺動要素51は、例えば、上記の距離dだけ、通路開口部47内で直線的に移動することができる。換言すれば、摺動要素51は、方形の構成部品として設計されることができ、接続要素39の細長い孔として形成された通路開口部47とともに直線状のガイドを形成することができる。
【0079】
換言すれば、接続要素39の直線状のガイドは、コンベアチェーン5の偏向中に発生する弦短縮を補正するために、摺動要素51及び通路開口部47の設計によって達成され得る。
【0080】
互いに平行な面を有する摺動要素51及び通路開口部47の構成により、摺動要素51が接続要素39上の通路開口部47の内面に当たる接触面を増やすことができる。このようにして、関連チェーンピン37に接続要素39が接続されるときの面圧を低減することができる。その結果、例えば、コンベアチェーン5の摩耗を低減することができる。
【0081】
すでに説明したように、接続要素39の前端部41は、ブッシング53を介して関連チェーンピン35に保持されている。
【0082】
ブッシング53は、関連チェーンピン37の外面と、接続要素39の通路開口部45の領域内の内面との間に挿入され得る。ブッシング53は、環状に閉鎖されることができ、特に円形又は円筒形になるように設計されている。コンベアチェーン5の組立て中、例えば、接続要素39の前端部41がその側方開口部49で関連チェーンピン37上で旋回された後、ブッシング53は延長チェーンピン37に軸線方向に押し込まれることができる。結果として、細長いチェーンピン37と側方に開口した前方通路開口部45の領域における接続要素39との間の連動接続がもたらされ得る。
【0083】
一実施形態によれば、摺動要素51及び/又はブッシング53は、少なくとも部分的にポリマー材料から作られることができ、すなわち、ポリマー材料からなるか、又は、例えば、ポリマー材料で被覆され得る。好ましくは、十分な強度を有するとともに、これらの構成部品に対して連結され、旋回可能に移動する、摺動要素51又はブッシング53と、関連チェーンピン35及び接続要素39との間の十分な摺動特性も可能にするポリマー材料が使用され得る。例えば、PA、PMMA、POM、GRP、CFRP、PVC、PTFEなどの、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂がポリマー材料として使用され得る。
【0084】
一実施形態によれば、接続要素39は、金属から製造されることができる。結果として、接続要素39は、接続要素39に取り付けられたパレット7とコンベアチェーン5の連結チェーンリンク27との間の中間リンクとして機能できるように、また、例えば、チェーンリンク破損の場合にコンベアチェーンの引張力を吸収することができるように、十分な機械的安定性を有する。例えば、鋼などの高強度金属が使用され得る。
【0085】
一実施形態によれば、1つのガイドローラ55はそれぞれ、チェーンピン35、37のうちの少なくともいくつかにさらに配置されることができ、ガイドローラ55は、その中心長手方向軸線Mを中心にそれぞれのチェーンピン35、37に対して回転可能に取り付けられるべきである。従来のコンベアチェーンと同様に、このようなガイドローラ55は、コンベアチェーン5をガイドレール(図示せず)に対して支持し、延在方向17に沿った移動中にそれを案内するために、又はコンベアチェーン5と支持構造及び/又は案内構造との間の摩擦を低減するために使用されることができる。ガイドローラ55は、例えば、金属又はポリマー材料から製造されることができる。ガイドローラ55は、例えば滑り軸受を介して、それぞれのチェーンピン35、37に摩擦を低減して取り付けられ得る。ガイドローラ55は、チェーンリンクと接続要素39との間に配置され得る。
【0086】
すでに詳細に述べられ、説明された構成部品に加えて、さらなる構成部品がコンベアチェーン5に提供され得る。例えば、1つ又は複数の摺動ディスク又はスペーサ57を、細長いチェーンピン37に沿って軸線方向に設けることができる。さらに、それぞれ1つの固定ねじ59を、細長いチェーンピン37の一方の軸線方向端部に設けることができ、それぞれの細長いチェーンピン37にねじ込むことができ、このようにして、前記チェーンピン37に連結された構成部品、すなわち、具体的には接続要素39、並びに摺動要素51及びブッシング53は、チェーンピン37からの軸線方向滑りに対して固定され得る。
【0087】
以下に、本明細書に記載の特徴を有するコンベアチェーン5を取り付けるための方法の可能な設計及び実施形態を説明する。さらに、パレットベルト3をそのようなコンベアチェーン5に取り付けるための方法、及びそのようなコンベアチェーン5内の接続要素39を交換するための方法の可能な設計及び実施形態を説明する。
【0088】
まず、複数の細長いチェーンリンク27及び複数の細長い接続要素39が設けられる。チェーンリンク27及び接続要素39は、上記のような構造的特性及び/又は機能的特性を有することができる。具体的は、チェーンリンク27は、チェーンピン35、37によって張力に関して応力が加わる可能性があり、チェーンピン35、37のそれぞれの中心長手方向軸線Mに対して横方向に互いに旋回可能に連結され得る。続いて、接続要素39は、1つの連結工程において、互いに及びチェーンリンク27に対して連結され得る。この目的のために、必ずしもすべての方法ステップを同一の設置場所で単一の時間間隔内に実行する必要はない。具体的には、例えば、チェーンリンク27及びチェーンピン35、37は、そのようなチェーンを専門とする下請け業者から、完全に組み立てられたチェーンとしてすでに入手することができる。
【0089】
連結工程は、取り付けられたコンベアチェーン5が本明細書に記載のすべての構造的特性及び/又は機能的特性を最終的に有するように設計されることができる。具体的には、連結工程は、完全に組み立てられたコンベアチェーン5の場合、
-接続要素39がコンベアチェーン5の延在方向17に平行に前後に配置され、
-各接続要素39が、前端部41において、チェーンピン35、37のうちの関連する第1のチェーンピンに連結され、後端部43において、チェーンピン35、37のうちの関連する第2のチェーンピンに連結され、接続要素の間隔距離T2は、チェーン間隔距離T1の整数倍であり、
-延在方向17に隣接する2つの接続要素39が互いに重なり合い、2つの接続要素39のうちの前方の後端部43及び2つの接続要素39のうちの後方の前端が、それぞれ共通のチェーンピン35、37に連結され、したがって、隣接する接続要素39が、延在方向17に対して横方向に互いに旋回可能に連結され、
-各接続要素39の前端部41が、それぞれの第1のチェーンピン35、37に旋回可能かつ同軸に配置される形式で連結され、
-各接続要素39の後端部43が、それぞれの第2のチェーンピン35、37に旋回可能に連結され、所定の距離dにわたって移動可能な直線的な形式で延在方向17に案内されるように設計される。
【0090】
接続要素39の連結工程中に、接続要素39のそれぞれは、最初に、軸線方向に摺動させることによって、第1の端部で関連チェーンピン35、37に連結されることができる。次に、接続要素39のうちの少なくとも1つ、又は代替として、接続要素39のうちのいくつか若しくはそれぞれは、旋回方向61に旋回することによって、反対側の第2の端部で、関連チェーンピン35、37に接線方向に連結される(例えば、図4aを参照)。
【0091】
換言すれば、接続要素39によって形成されたチェーンにコンベアチェーン5を取り付けるために、接続要素39のそれぞれは、最初に、第1の端部でチェーンピン35のうちの1つに軸線方向に連結される。例えば、それぞれの端部は、前記端部に設けられた通路開口部45、47で細長いチェーンピン37のうちの1つに押し込まれることができる。続いて、接続要素39の少なくとも1つは、チェーンピン37の中心長手方向軸線Mを中心に旋回方向61に旋回され、接続要素39は、その第1の端部ですでに連結されており、最終的に、関連する他のチェーンピン35、37に接線方向に連結される。
【0092】
原則として、最初に、コンベアチェーン5に設けられるすべての接続要素39を、それらの第1の端部でそれぞれ関連するチェーンピン37に軸線方向に連結し、続いて、旋回することによって、接続要素39のそれぞれの第2の端部を隣接するチェーンピン37に接線方向に連結することが可能である。
【0093】
しかしながら、別法として、接続要素39を、それらの2つの端部のそれぞれにおいて、関連チェーンピン37に連続的に軸線方向に連結することも可能である。最後の接続要素39を除いて、これは、連続的に閉鎖されたコンベアチェーン5に設けられるすべての接続要素39について達成することができる。前記最後の接続要素39は、それが連結されることになっている2つのチェーンピン37のうちの一方が、以前に取り付けられた別の接続要素39によってすでに「ブロック」されているので、同じ方法で取り付けることができない。したがって、少なくともこの最後の接続要素39は、「ブロックされた」チェーンピン37に接線方向に後から連結できるようにするために、その第2の端部で旋回方向61に旋回される必要がある。
【0094】
接続要素39の設計に応じて、それらの前端及び後端は、本明細書で前述した第1の端部41及び第2の端部43に対応することができ、又はその逆も可能であることに留意されたい。
【0095】
図示の例では、接続要素39の第1の端部は後端部43に対応し、後端部43は、細長い孔形状の環状に囲まれた通路開口部47で細長いチェーンピン37の1つに押し込まれる。接続要素39がその第1の端部で関連チェーンピン37に連結された後、前記接続要素39は次に旋回方向61に旋回され、したがってその反対側の第2の前端部41とともに接線方向に移動され、それによって、関連する他のチェーンピン37に連結される。
【0096】
一実施形態によれば、各接続要素39は、その第2の端部で、延在方向17に対して横方向に、かつ関連チェーンピン37の中心長手方向軸線Mを横切る方向に、関連チェーンピン37に取外し可能に連結される。
【0097】
換言すれば、接続要素39のそれぞれは、好ましくは少なくともその第2の端部において、関連チェーンピン37に連結され、その結果、接続要素39は、延在方向17に対して横方向に、かつ関連チェーンピン37の中心長手方向軸線Mを横切る方向に、連結から再び解放され得るようになっている。
【0098】
具体的には、一実施形態によれば、接続要素39は、第1の端部及び第2の端部のそれぞれに通路開口部45、47を有することができる。それぞれのチェーンピン37は、それぞれのチェーンピン37に連結された状態のこれらの通路開口部45、47を通って延在することができる。接続要素39は、第2の端部の少なくとも通路開口部45に側方開口部49を有し、その結果、関連チェーンピン37は、側方開口部49を通って、通路開口部45の外に、又は通路開口部45内に移動され得る。次に、連結工程中に、各接続要素39は、関連チェーンピン37が接続要素39の第2の端部の側方開口部49を通過してそこの通路開口部45に入るように、旋回方向61に旋回される。
【0099】
換言すれば、接続要素39は、両端部41、43に、それぞれ関連するチェーンピン37が、連結状態でそこを経て延在することができる通路開口部45、47を有することができる。軸線方向に連結される第1の端部では、そこにある通路開口部47は、閉じられた境界によって囲まれ得る。しかしながら、旋回方向61への接続要素39の旋回によって連結される第2の端部では、そこにある通路開口部45は、閉じられた境界によって囲まれるべきではなく、むしろ側方開口部49を有するべきである。この側方開口部49は、接続要素39が旋回されるとき、関連チェーンピン35が、旋回運動の終わりに通路開口部45の内側に入るまで、この側方開口部49を通って接線方向に移動され得るように十分に広くすることができる。
【0100】
一実施形態によれば、接続要素39の第1の端部はそれぞれ、摺動要素51を介して関連チェーンピン37に対して保持され得る。接続要素39の軸線方向移動の前に、摺動要素51は、この場合、関連チェーンピン39に対して配置され、次に、接続要素39の軸線方向移動中に、接続要素39及び関連チェーンピン37の対向する表面の間に挿入される。
【0101】
換言すれば、接続要素39の第1の端部は、前記関連チェーンピン37に直接当たらないが、介在する摺動要素51を介してチェーンピン37に保持されるという点で、関連チェーンピン37に連結されることができる。上記のように、前記摺動要素51は、例えば、方形又は矩形であり得、接続要素39の第1の端部で細長い孔形状の通路開口部47と噛み合うことができる。
【0102】
連結工程中に、この場合、摺動要素51は、例えば、それがチェーンピン37に軸線方向に押し込まれるという点で、関連チェーンピン37に最初に取り付けられ得る。次に、このように締結された摺動要素51は、接続要素39の第1の端部に軸線方向に連結されることができ、すなわち、例えば、接続要素39は、摺動要素51に軸線方向に押し込まれる。
【0103】
特定の実施形態によれば、接続要素39の第2の端部は、ブッシング53を介して関連チェーンピン37に対して保持されることができる。この場合、ブッシング53は、接続要素39を接線方向に旋回させた後、関連チェーンピン37に対して配置されることができる。この場合、ブッシング53は、前記配置後、接続要素39の第2の端部の通路開口部45と連動して相互作用し、したがって、旋回方向61に対する接続要素39の旋回をブロックするように設計されることができる。
【0104】
換言すれば、接続要素39の第2の端部も、前記チェーンピン37に直接当たらないが、介在するブッシング53を介してチェーンピン37に保持されるという点で、関連チェーンピン37に連結されることができる。
【0105】
連結工程中、第2の端部はその通路開口部45で、この目的のために、最初にチェーンピン37を介して旋回され得る。続いて、第2の端部は、ブッシング53によってチェーンピン37にしっかりと取り付けられ得る。この目的のために、ブッシング53は、例えば、チェーンピン37に軸線方向に押し当てられることができる。
【0106】
前記ブッシング53は、チェーンピン37と接続要素39の第2の端部における通路開口部45の縁部との間に最初に存在する間隙を埋め、したがって連動方式で前記通路開口部45と相互作用できるように設計することができる。この目的のために、ブッシング53は、例えば、通路開口部45での側方開口部49の横方向寸法より大きい直径を有することができる。結果として、ブッシング53は、関連チェーンピン37に押し付けられ、通路開口部45に押し込まれたとき、旋回方向61とは反対の接続要素39の旋回をブロックすることができる。したがって、ブッシング53により、接続要素39は、関連チェーンピン37上において連動方式で保持される。
【0107】
一実施形態によれば、各接続要素39は、連結工程の後、軸線方向に取外し可能な締結要素63によって、その各端部でそれぞれ関連するチェーンピン37に締結されることができる。
【0108】
換言すれば、例えば、固定ねじ59の形態の締結要素63は、接続要素39が最初に例えば軸線方向にその第1の端部で細長いチェーンピン37のうちの1つに押し込まれ、次いでその第2の端部で隣接する細長いチェーンピン37と旋回可能に噛み合わされた後に、細長いチェーンピン37にしっかりと締結され得る。前記締結要素63は、接続要素39が細長いチェーンピン37から軸線方向に解放されるのを防ぐことができる。しかしながら、締結要素63自体は、例えば、固定ねじ59を緩めることによってチェーンピン37から解放することができ、その結果、接続要素39は、その後、軸線方向にチェーンピン37から引き抜くことができる。
【0109】
本明細書に記載のコンベアチェーン5の取付方法の実施形態に関する連結工程の例示的な設計は、図3及び図4aから図4cを参照して次のように、すなわち、コンベアチェーン5に接続要素39を取り付けることができるようにするために、コンベアチェーン5は、3個ごとに1個の接合点に細長いチェーンピン37を有する、と説明することができる。最初に、ガイドローラ55が、前記チェーンピン37に配置され、すなわち、例えば、前記チェーンピン37に軸線方向に押し込まれる。次に、摺動要素51が、細長いチェーンピン37に軸線方向に押し込まれる。続いて、接続要素39が取り付けられる。この目的のために、接続要素39は、それぞれ、それらの第1の端部でチェーンピン37に軸線方向に押し込まれることができ、次に、それぞれの第2の端部を隣接するチェーンピン37に連結するために、旋回方向61に旋回され得る。最後の接続要素39を除いて、すべての接続要素39は、別法として、それらの2つの端部で、隣接する細長いチェーンピン37に連続的に軸線方向に押し込まれることができる。しかしながら、少なくとも最後の接続要素39は、そのような方法で軸線方向に押し込むことはできない。代わりに、関連チェーンピン37に連結するために、当該接続要素39はその第2の端部で接線方向に旋回されなければならない。続いて、接続要素39は、例えば、ブッシング53を軸線方向に挿入し、固定ねじ59によって細長いチェーンピン37に軸線方向に締結することで、固定されることができる。必要に応じて、特に接続要素39の側面を互いに離すことができる摺動ディスク及び/又はスペーサ57を、個々の要素の間に設けることもできる。
【0110】
本明細書に記載のコンベアチェーン5又は本明細書に記載の方法で取り付けられたコンベアチェーン5は、コンベアチェーン5内の接続要素39の特に単純な交換を可能にすることができる。
【0111】
この目的のために使用される方法では、交換される接続要素39、及び必要に応じてそれに隣接する接続要素39が、その第2の端部で旋回方向61とは反対の接線方向で旋回されることにより、第2の端部を関連チェーンピン37から連結解除する。次に、交換される接続要素39は、第1の端部が軸線方向に引き抜かれることにより、関連チェーンピン37から解放される。この方法で解放された接続要素39は、次に交換用接続要素に置き換えられる。コンベアチェーン5の元の取付けと同様に、前記交換用接続要素は、最初に、その第1の端部で、軸線方向に移動することによって関連チェーンピン37に連結され、次に、旋回方向61への後続の旋回によって、反対側の第2の端部で、関連チェーンピン37に接線方向に連結される。
【0112】
特に、接続要素39のこのような交換の過程において、コンベアチェーン5の個々の各接続要素39が、その第2の端部において、関連チェーンピン37と取外し可能に連結され、前記連結が、接続要素39の軸線方向の引き抜きでは達成することができず、接続要素39の接線方向の旋回によって行われることが有利である。隣接する接続要素39が延在方向17において互いに重なり合っていても、隣接する接続要素39をその第1の端部においても取り外す必要なく、個々の接続要素39をその第2の端部においてチェーンから旋回可能に取り外すことができ、この目的のために接続要素39をチェーンピン37から軸線方向に引き抜くことを達成することが可能である。
【0113】
結果として、個々の接続要素39及び/又は接続要素39に取り付けられたパレット7の交換は、大幅に簡素化され得る。特に、摩耗した接続要素39は、簡単な方法で個別に交換することができる。
【0114】
換言すれば、図示の例では、単一の接続要素39は、例えば、メンテナンス中に、前記接続要素39の領域においてコンベアチェーン5の関連する細長いチェーンピン37上の2つの固定ねじ59及びブッシング53を取り外すことによって取り外すことができる。次に、隣接する接続要素39の重なり合う端部を旋回させなければならない。その結果、取り外される接続要素39がこの時点で露出し、それ自体がチェーンから取り外されることができる。この目的のために、最初に前端部41が上向きに旋回させられることができ、次に後端部43がそれに関連チェーンピン37から軸線方向に引き抜かれることができる。
【0115】
本明細書に記載のコンベアチェーン5又は本明細書に記載の方法に従って取り付けられたコンベアチェーン5を用いて、動く歩道1用のパレットベルト3も有利な方法で取り付けられることができる。
【0116】
この目的のために、2つのコンベアチェーン5は、最初に、本明細書に提示される方法に従って取り付けられ、次に、互いに平行に配置される。続いて、複数のパレット7が2つのコンベアチェーン5に取り付けられる。その目的のために、パレット7は、コンベアチェーン5の延在方向17に前後に配置され、各パレット7は、第1の側端で第1のコンベアチェーン5の接続要素39の1つに締結され、対向する第2の側端で第2のコンベアチェーン5の接続要素39の1つに締結される。
【0117】
換言すれば、パレットベルト3は、接続要素39を備えた2つのコンベアチェーン5と、接続要素39にねじ込まれたパレット7とによって形成されることができる。例えば、工場組立ての場合、異なるパレット幅に調整可能な2つのチェーンガイドを位置決め部品として有する取付け装置を使用することができる。これは、最も簡単な方法で、例えば、スプロケットを有する回転可能に取り付けられた軸線によって実現される。取付け装置は、例えばロボットの形態の配置機械によって完全に自動化されることができる。
【0118】
最後に、「有する(have)」、「含む(comprising)」などの用語は、任意の他の要素又はステップを除外せず、「1つの(an)」又は「1つの(a)」などの用語は、複数性を除外しないことに留意されたい。さらに、上記の実施形態のうちの1つを参照して説明された特徴又はステップはまた、上記の他の実施形態の他の特徴又はステップと組み合わせて使用され得ることに留意されたい。請求項における参照符号は、限定的であると見なされるべきではない。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
【国際調査報告】