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特表2022-505829フォトニック集積回路における迷光の制御及び抑制のための方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】フォトニック集積回路における迷光の制御及び抑制のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/125 20060101AFI20220106BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
G02B6/125 301
G02B6/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021522504
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(85)【翻訳文提出日】2021-06-21
(86)【国際出願番号】 US2019059195
(87)【国際公開番号】W WO2020092789
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】62/753,430
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501313311
【氏名又は名称】ケーブイエイチ インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】リーミン ワン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン エー キッツ ヴァン ヘイニンゲン
【テーマコード(参考)】
2H147
【Fターム(参考)】
2H147AB21
2H147BB02
2H147BD01
2H147BD03
2H147BE13
2H147CA18
2H147EA14A
2H147EA14B
2H147GA25
(57)【要約】
【解決手段】フォトニック集積回路(PIC)アーキテクチャでは、集積光学デバイスにおける構成要素、接合部、不連続な散乱点から放射される非導波迷光は、迷光放射の経路における集積導波路構造体によって受光され得る。集積導波路構造体は、放射源から非導波迷光を採光するように構成された複数のコレクタを備え得る。コレクタの各々は、テーパ状でモードフィールドサイズを増加させ、迷光源に向けられた前端部、及び二次導波路に接続された後端部を有する集積導波路を備え得る。コレクタは、迷光の経路に配置され、迷光の伝搬方向に整列される。採光された迷光は、光エネルギーを熱に変換するために第2の導波路を通じて光エネルギーダンパに導波される。
【選択図】図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に配設された集積光学デバイスと、
前記集積光学デバイス周囲で前記基板に配設された集積光学構造体と
を備えるフォトニック集積回路(PIC)であって、
前記集積光学構造体は、
前記集積光学デバイスによって生成される非導波迷光を採光するように配置された少なくとも1つの迷光コレクタと、
前記少なくとも1つの迷光コレクタによって採光された前記非導波迷光を受光し、前記非導波迷光を軽減するように構成された光ダンパと
を備える、フォトニック集積回路。
【請求項2】
前記少なくとも1つの迷光コレクタが、第1の端部及び第2の端部を有する導波路をさらに備え、前記第1の端部は前記集積光学デバイスに近接して配設され、前記第2の端部は採光された迷光を前記光ダンパに搬送する二次導波路に結合された、請求項1に記載のフォトニック集積回路。
【請求項3】
前記導波路の前記第1の端部が、テーパ状でモードフィールドサイズを増加させる、請求項2に記載のフォトニック集積回路。
【請求項4】
前記非導波迷光が経路に沿って伝搬し、前記少なくとも1つの迷光コレクタは、前記非導波迷光の伝搬方向に整合するように前記経路に配設され、前記導波路の前記第1の端部への前記非導波迷光の受光を容易にするように構成される、請求項2に記載のフォトニック集積回路。
【請求項5】
前記集積光学構造体が第1の材料を備え、前記集積光学デバイスが第2の材料を備え、前記第1の材料は前記第2の材料と同一である、請求項1に記載のフォトニック集積回路。
【請求項6】
前記集積光学構造体及び前記集積光学デバイスが、前記基板にモノリシックに製造された、請求項1に記載のフォトニック集積回路。
【請求項7】
前記集積光学デバイスが前記基板上に接合された、請求項1に記載のフォトニック集積回路。
【請求項8】
前記集積光学デバイスが発光デバイスである、請求項7に記載のフォトニック集積回路。
【請求項9】
前記集積光学デバイスが集積Y接合部を備えた、請求項1に記載のフォトニック集積回路。
【請求項10】
前記集積光学デバイスが、1以上の光学的に結合された屈曲導波路のカスケードである集積偏光子を備えた、請求項1に記載のフォトニック集積回路。
【請求項11】
前記集積光学デバイスが集積偏光子を備え、前記集積偏光子は、1以上のマイクロリング導波路共振器を備えるフィルタである、請求項1に記載のフォトニック集積回路。
【請求項12】
前記光ダンパが光吸収材料を備えた、請求項1に記載のフォトニック集積回路。
【請求項13】
前記光ダンパが金属材料を備えた、請求項1に記載のフォトニック集積回路。
【請求項14】
フォトニック集積回路(PIC)であって、
基板に配設された集積光学デバイスと、
前記基板に配設され、結合接合部において前記集積光学デバイスに結合された第2の光学デバイスと、
前記結合接合部の周囲で前記基板に配設された集積光学構造体と
を備え、
前記集積光学構造体は、
(i)前記集積光学デバイス、(ii)前記第2の光学デバイス及び(iii)前記結合接合部のうちの1以上によって生成される非導波迷光を採光するように配置された少なくとも1つの迷光コレクタと、
前記少なくとも1つの迷光コレクタによって採光された前記非導波迷光を受光し、前記非導波迷光を軽減するように構成された光ダンパと
を備える、フォトニック集積回路。
【請求項15】
前記少なくとも1つの迷光コレクタは、第1の端部及び第2の端部を有する導波路をさらに備え、前記第1の端部は前記集積光学デバイス、前記第2の光学デバイス及び前記結合接合部に近接して配設され、前記第2の端部は採光された迷光を前記光ダンパに搬送する二次導波路に結合された、請求項14に記載のフォトニック集積回路。
【請求項16】
前記導波路の前記第1の端部が、テーパ状でモードフィールドサイズを増加させる、請求項15に記載のフォトニック集積回路。
【請求項17】
前記非導波迷光が経路に沿って伝搬し、前記少なくとも1つの迷光コレクタは、前記非導波迷光の伝搬方向に整合するように前記経路に配設され、前記導波路の前記第1の端部への前記非導波迷光の受光を容易にするように構成された、請求項15に記載のフォトニック集積回路。
【請求項18】
前記集積光学構造体が第1の材料を備え、前記集積光学デバイスが第2の材料を備え、前記第1の材料は前記第2の材料と同一である、請求項14に記載のフォトニック集積回路。
【請求項19】
フォトニック集積回路(PIC)において発生される迷光を軽減する方法であって、
少なくとも1つの迷光コレクタを通じて、前記フォトニック集積回路の基板に配設された集積光学デバイスによって生成される非導波迷光を採光するステップと、
前記少なくとも1つの迷光コレクタによって、前記少なくとも1つの迷光コレクタによって採光された前記非導波迷光を受光し、前記非導波迷光を軽減するように構成された光ダンパに前記採光された迷光を搬送するステップと
を備える方法。
【請求項20】
前記非導波迷光がそれに沿って伝搬する経路に前記少なくとも1つの迷光コレクタを配設するステップをさらに備え、前記少なくとも1つの迷光コレクタが、前記非導波迷光の伝搬方向に整合する、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2018年10月31日出願の米国仮特許出願第62/753430号の優先権の利益を主張する。上記出願のその教示全体が、参照によりここに取り込まれる。
【背景技術】
【0002】
フォトニック集積回路(PIC)は、大量生産に適しており、規模の大幅な経済性を実現可能である。シリコンベースのPICは、シリコンベースのマイクロエレクトロニクス産業のために既に十分開発された製造経験、技術及び拡張可能性から恩恵を受け得る。PICは、同一の基板、例えば半導体ウエハ上に集積された2以上の光学構成要素を備え得る。光学構成要素は、異なる又は同一の機能(例えば、スプリッタ、コンバイナ、カプラ、干渉計、変調器、フィルタ、アイソレータ、ディレイラインなど)を実行して光学システムを構築し得る。光学導波路は、光学構成要素を連結してそれらの間で光学信号を伝導するのに利用され得る。構成要素は、並列又は直列に接続され得る。
【0003】
放射モードの非導波迷光は、個々の構成要素によって又は導波路によって生成され得る。迷光源の一例は、光学変調器に使用される集積マッハツェンダー干渉計の出力端に、又は光ファイバジャイロスコープに使用されるサニャック干渉計に対して実装されるようなY接合コンバイナであり得る。Y接合部の2つの分岐導波路における光モードが逆位相である場合、合成光は基本モードとはならないので、共通のベース導波路では導波されない。代わりに、光は放射モードに結合され、それによって光はフォトニック集積回路全体にわたって散乱する。非導波迷光は、光学システムの同一平面に留まることもあれば、反射及び屈折されて界面で同一平面に戻ることもある。迷光源の他の例は、屈曲導波路で生成される放射モードであり得る。このタイプの迷光源は、マイクロリング導波路共振器を備えるフィルタ、又は屈曲導波路のカスケードを備える偏光子おいて生じ得る。光は、屈曲放射に起因して動作偏光モード又は直交偏光モードのいずれかで基板に非導波及び放射状となり得る。迷光は、後段の回路又は隣り合う構成要素によって再結合され得る。再結合された光が所望の光学信号と結合する場合には、誤った信号が生成されることがある。
【0004】
PICを備える光学システムは、安定的な出力偏光状態を必要とする用途に対して構成され得る。これらの用途は、光干渉性変調器、光干渉性センサ、波長分割多重及びコヒーレント通信を含み得る。光複屈折は、構成要素及び導波路に故意に導入され得る。導波路及び構成要素は、単一直線偏光の光を伝導及び処理し得る。光を単一直線偏光状態で生成及び維持するために、偏光子がPICに含まれ得る。光干渉計の一例は、PIC及び光ファイバコイルを備えるハイブリッド光ファイバジャイロスコープであり得る。光干渉計の他の例は、光干渉断層撮影システムであり得る。寄生干渉の形成に起因して、誤った信号が生成されることがある。回路に再結合された放射モードの光は、所望の信号とコヒーレントに干渉し得る。本来直交偏光モードである再結合された光は、動作偏光モードに交差結合されることがあり、干渉タイプの誤差をもたらす。
【発明の概要】
【0005】
ここに記載する実施形態は、フォトニック集積回路(PIC)の1以上の構成要素によって生成される迷光の弊害をもたらす影響を軽減するPICを対象とし得る。PICは、基板に集積された光学デバイスを有する基板を備え得る。集積光学デバイスは、例えば、中でもY接合部、導波路-光ファイバ結合部及び/又は偏光子を備え得る。記載する実施形態は、光学デバイスからの迷光を、採光し、例えば、その迷光を熱に変換することによって迷光を軽減可能な設備に選択的に方向付けるように構成された装置を対象とし得るが、迷光を軽減するためには他の技術が代替的に用いられてもよい。
【0006】
ハイブリッドフォトニック集積回路(HPIC)は、集積光学システムの機能を拡張するように構成され得る。HPICは、いくつかの集積チップをともに接合することによって構成され得る。これらの集積チップは、光学チップ、電気光学チップ又はオプトエレクトロニックチップであってもよいし、異なる材料からなる光学チップ、又は2以上の異なる処理で製造される光学チップであってもよい。電子チップはまた、オプトエレクトロニックチップ又は電気光学チップに取り付けられ、例えば、ハンダバンプ又はワイヤ接合によって電気的に結合されてもよい。光ファイバは、光学チップ、電気光学チップ又はオプトエレクトロニックチップに取り付けられ得る。取付方法は、2つの研磨されたファセット間の直接結合、モード変換のための光学レンズの使用、ファイバ先端におけるマイクロレンズの成形又は表面格子カプラの製造であり得る。非導波迷光は、HPICにおいて生成され得る。迷光は、2つの接合されたチップ上の導波路が接続された遷移領域において生成され得る。
【0007】
断熱的遷移が利用されることもあるが、2つの接続された導波路の寸法及び実効屈折率の相違の可能性に起因して、迷光は依然として生じ得る。迷光は、2つの集積チップの間又は集積チップと光ファイバの間のエンドファイア結合の接続界面において生成され得る。散乱光は、入力光学モードの光学的不整合又は2つの接続された導波路の光学モードフィールドの不整合に起因して導波路のコアを避け得る。ファイバモードフィールドの非重複部分は、フォトニック集積回路の領域にわたって非導波散乱され得る。オプトエレクトロニックチップと集積されたHPICは、誤った信号の受信の影響をより受けやすくなり得る。迷光に特に敏感な構成要素は、光増幅器及びレーザなどの光発生電気光学構成要素、光検出器などの受光オプトエレクトロニック構成要素、並びに干渉計などの位相敏感構成要素であり得る。迷光は、基板内を自由に伝搬し、基板表面から反射可能であれば、光学システムの適切な動作と干渉することがある。
【0008】
より高い集積度のPIC又はHPICが実装されて、光学システムのサイズを縮小し又はコストを低下し得る。高い集積度は、PICのサイズを縮小すること又はより多くの機能的構成要素をPICに導入することによって実現可能となり得るので、より多くのPIC又はより多くの機能を有するPICが同一の半導体ウエハにはめ込まれ得る。光学構成要素は、機能拡張及びサイズ縮小を実現するように、より近接して配置され得る。しかしながら、光学構成要素がより近接して位置すると、迷光の発生及び受光が顕著となり得る。1つの構成要素から散乱される光は、近傍の構成要素に容易に結合され、その構成要素に誤った信号を発生し、その光学性能を低下させ得る。
【0009】
一態様では、本発明は、基板に配設された集積光学デバイスと、光学デバイス周囲で基板に配設された集積光学構造体とを備えるフォトニック集積回路(PIC)であり得る。光学構造体は、集積光学デバイスによって生成される非導波迷光を採光するように配置された少なくとも1つの迷光コレクタを備え得る。光学構造体は、少なくとも1つの迷光コレクタによって採光された非導波迷光を受光し、その非導波迷光を軽減するように構成された光ダンパをさらに備え得る。
【0010】
少なくとも1つの迷光コレクタは、第1の端部及び第2の端部を有する導波路をさらに備え得る。第1の端部は、集積光学デバイスに近接して(例えば、近付くが接触せずに)配設され、第2の端部は採光された迷光を光ダンパに搬送する二次導波路に結合され得る。導波路の第1の端部は、テーパ状でモードフィールドサイズを増加させ得る。非導波迷光は経路に沿って伝搬し、少なくとも1つの迷光コレクタは、迷光の伝搬方向に整合するように経路に配設され、導波路の第1の端部への迷光の受光を容易にするように構成され得る。
【0011】
集積光学構造体は第1の材料を備え、集積光学デバイスは第2の材料を備え得る。第1の材料は、第2の材料と同一であってもよい。言い換えると、集積光学構造体は、集積光学デバイスと同じ材料から製造され得る。集積光学構造体及び集積光学デバイスは、基板にモノリシックに製造され得る。集積光学デバイスは、基板上に接合され得る。集積光学デバイスは、発光デバイスであり得る。
【0012】
集積光学デバイスは、集積Y接合部を備え得る。集積光学デバイスは、1以上の光学的に結合された屈曲導波路のカスケードである集積偏光子を備え得る。集積光学デバイスは、集積偏光子を備え得る。偏光子は、1以上のマイクロリング導波路共振器を備えるフィルタであり得る。光ダンパは、光吸収材料を備え得る。光ダンパは、金属の光ダンピング材料を備え得る。
【0013】
他の態様では、本発明は、基板に配設された集積光学デバイスと、基板に配設され、結合接合部において集積光学デバイスに結合された第2の光学デバイスと、結合接合部の周囲で基板に配設された集積光学構造体とを備えるフォトニック集積回路(PIC)であり得る。光学構造体は、(i)集積光学デバイス、(ii)第2の光学デバイス及び(iii)結合接合部のうちの1以上によって生成される非導波迷光を採光するように配置された少なくとも1つの迷光コレクタを備え得る。光学構造体は、少なくとも1つの迷光コレクタによって採光された非導波迷光を受光し、その非導波迷光を軽減するように構成された光ダンパをさらに備え得る。
【0014】
少なくとも1つの迷光コレクタは、第1の端部及び第2の端部を有する導波路をさらに備え得る。第1の端部は集積光学デバイス、第2の光学デバイス及び結合接合部に近接して配設され得る。第2の端部は採光された迷光を光ダンパに搬送する二次導波路に結合され得る。
【0015】
導波路の第1の端部は、テーパ状でモードフィールドサイズを増加させ得る。
【0016】
非導波迷光は、経路に沿って伝搬し得る。少なくとも1つの迷光コレクタは、迷光の伝搬方向に整合するように経路に配設され、導波路の第1の端部への迷光の受光を容易化するように構成され得る。
【0017】
他の態様では、本発明は、少なくとも1つの迷光コレクタを通じて、フォトニック集積回路(PIC)の基板に配設された集積光学デバイスによって生成される非導波迷光を採光するステップを備えるPICにおいて発生される迷光を軽減する方法であり得る。方法は、少なくとも1つの迷光コレクタによって、少なくとも1つの迷光コレクタによって採光された非導波迷光を受光し、その非導波迷光を軽減するように構成された光ダンパに採光された迷光を搬送するステップをさらに備え得る。
【0018】
方法は、迷光がそれに沿って伝搬する経路に少なくとも1つの迷光コレクタを配設するステップをさらに備え得る。少なくとも1つの迷光コレクタは、迷光の伝搬方向と整合し得る。
【0019】
特許又は出願は、カラーで描かれた少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を有する当該特許又は特許出願公開公報のコピーは、請求及び必要な料金の支払に応じて特許庁によって提供される。
【0020】
上記は、異なる図の全体を通じて同様の符号が同じ部分を示す添付図面に示される以下の例示実施形態の、より詳細な説明から明らかなものとなる。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、実施形態の説明に重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A】フォトニック集積回路の従来のY接合部の上面図である。
図1B図1Aに示す従来のY接合部の内部及び近傍の光強度分布の上面図である。
図1C】本発明の実施形態によるPICのY接合部の上面図であり、迷光コレクタが推奨される位置及び方向に配置されている。
図1D図1Cに示す迷光コレクタを有するY接合部の内部及び近傍の光強度分布の上面図である。
図2図1Cに示す迷光コレクタを有するY接合部、一連の第2の導波路及び光ダンパを備えるPICデバイスの上面図である。
図3A】本発明の実施形態によるY接合部における迷光抑制のテスト結果の例である。
図3B】本発明の実施形態によるY接合部における迷光抑制のテスト結果の例である。
図4A】基板に構築された導波路及び光ファイバを有するPICを備える従来の光学構成要素の上面図である。
図4B図4Aに示す従来の光学構成要素の内部及び近傍の光強度分布の上面図である。
図4C】本発明の実施形態による光学構成要素の上面図であり、迷光コレクタ導波路が推奨される位置及び方向に配置されている。
図4D図4Cに示す迷光コレクタを有する光学構成要素の内部及び近傍の光強度分布の上面図である。
図5】本発明の実施形態による迷光コレクタを有するm字形状の集積導波路偏光子の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
例示実施形態の説明は以下の通りである。
【0023】
ここで引用されるすべての特許、公開された出願及び参照の教示は、その全体において参照により取り込まれる。
【0024】
フォトニック集積回路(PIC)は、基板上に集積された光学デバイスを有する基板を備え得る。集積光学デバイスは、例えば、とりわけ、Y接合部、導波路-光ファイバ接続部及び/又は偏光子を備え得る。説明する実施形態は、光学デバイスからの迷光を、採光し、例えば、その迷光を熱に変換することによって迷光を軽減可能な設備に選択的に方向付けるように構成された装置を対象とし得るが、迷光を軽減するためには他の技術が代替的に用いられてもよい。
【0025】
図1Aを参照すると、フォトニック集積回路は、共通のベース導波路102、分割導波路構造体、及び2つの分岐導波路106a、106bを備え、基板に構築されたY接合部を有し得る。光は、分岐導波路の一方では左から右へ伝搬する。分割導波路構造体104では、光パワーの一部分は、導波路がシングルモード導波路である場合には、共通のベース導波路においてシングルモードで導波され伝搬し続け得る。入力光の光学パワーの他の部分は、分割導波路構造体104を通過した後には非対称モードとなることがあり、導波されるのではなく、導波路から基板に出射される。図1Bは、分割導波路構造体から出射された非対称モードの光を含むY接合領域における光パワー分布の二次元等高線図を示す。非導波迷光は、共通のベース導波路102の上方及び下方で角度108に沿って拡がる。放射光は、放射の経路において任意の構成要素によって再結合又は受光され、それによって誤った信号が所望の信号に追加され得る。したがって、迷光が、そのような経路内の回路又は隣り合う構成要素に到達するのを防止することが望ましい。迷光を抑制するために、吸収材料で充填されディープエッチングされたトレンチ、金属壁及びドープされた半導体領域で構築された光シールド、光トラップの開口部並びに光吸収フィルムを含む種々の技術が提案されている。
【0026】
説明する実施形態では、集積Y接合部は、コレクタのアレイを有する基板に構築され得る。コレクタ110のアレイは、同一の材料からなり、メイン回路導波路構造体と同一の処理で製造され得る。コレクタ110のアレイは、図1Bに図示する、迷光が接合部から出射される方向にコレクタが整列されるように配置され得る。コレクタ110のアレイは、図1Cに示すように、扇状に拡がるように方向付けられ得る。接合領域へ方向付けられるコレクタの先端は、迷光を受光するための効率を向上させる形状に最適化され得る。
【0027】
コレクタの先端のテーパ形状化は、コレクタ110の導波路先端においてモードフィールドサイズを拡大することができ、それによりコレクタ110は、信号収集のための効率的な「アンテナ」として動作する。モードフィールドサイズは、導波路先端のサイズが水平若しくは垂直方向のいずれか、又は双方の方向で徐々に増加した導波路コアを有する順テーパを使用することによって拡大され得る。モードフィールドサイズはまた、導波路コアが、水平方向若しくは垂直方向のいずれか、又は双方の方向で徐々にサイズを縮小した逆テーパを使用することによっても拡大され得る。
【0028】
順テーパは、コアとクラッドの材料との屈折率の差(Δn)がΔn<0.1のように小さい場合には、モードサイズを増加するのに使用され得るので、導波路コアサイズの増加によって高次モードの支持が容易に促進されないことがあり、それにより伝搬損失が増加され得る。一方、逆テーパは、0.5より大きいΔnのようにコア材料とクラッド材料で屈折率に大きな差を有する導波路において使用されることが多い。そのような導波路の例は、シリコン窒化物コア及びシリコン酸化物クラッドを有する導波路、又はシリコンオンインシュレータ(SOI)導波路を含み得る。
【0029】
接合部104を発生源とする非導波光は、図1Dに示す光パワー分布の等高線図で示すように、導波路コレクタ110のアレイによって採光及び導波され得る。導波路コレクタ110によって採光された迷光は、二次導波路202によってダンピング領域204に向けてさらに導波され、そこでは図2に示すように、光エネルギーが熱に変換され、熱伝導的に放散され得る。光学ダンパ204は、二次導波路202の各々のエバネッセント波が導波路202の端部で長さlだけ露出される領域を備えてもよく、露出領域では光エネルギー吸収材料が充填されており、それにより露出導波路部が吸収材料で被覆される。迷光の20dBを上回る抑制が、説明する実施形態のコレクタ110を使用して実現可能となり得る。図3A及び3Bに示すように、Y接合部の両側に6個のコレクタを配置した後には、極薄のシリコン窒化物導波路の例において迷光の約12dBの抑制が測定された。
【0030】
図4Aを参照すると、PICの例示実施形態は、基板404に構築された導波路402及び光ファイバ406を有するフォトニック集積回路を備え得る。導波路402は、その端部408が光ファイバ406に接続するように最適化され得る。集積導波路402及びファイバ406のモードフィールド寸法は一致しないことがあるので、非導波迷光410は、図4Bのシミュレーション結果に示すように、導波路-ファイバの接合点409からPICの導波路のクラッド層及び基板404へ出射し得る。放射された迷光410(図4Bでは、導波路-ファイバの接合点409付近の光パワー分布の二次元等高線図として示される)は、伝搬経路において任意の構成要素又は導波路によって再結合され、それによって誤った信号が所望の信号に追加され得る。したがって、迷光が、後段の回路又は隣り合う構成要素に到達するのを防止することが望ましい。説明する実施形態のPICは、同一の材料からなり、メイン光学回路の導波路402と同一の処理を使用して製造され得るコレクタ420のアレイを有し得る。コレクタ420は、迷光が接合点409から出射する方向にコレクタ420が整列されるようにして配置され得る。複数のコレクタは、図4Cに示すように、コレクタ420が扇状に拡がった構成で配置され得るように採用され得る。図1A図1Dに関して説明したY接合構成に関連付けられるコレクタ110と同様に、接合点に向かうように配置されたコレクタ412の先端は、放射された迷光を受光するための効率を向上させる形状に最適化され得る。図1A図1DのY接合構成に関して説明するように、コレクタ412の先端のテーパ形状化は、コレクタの先端で生じるモードフィールドサイズの拡大に起因して有益となり得る。モードフィールドサイズは、順テーパを使用することによって拡大されてもよいし、逆テーパを使用することによって拡大されてもよい。そして、接合点409で生成される非導波光は、図4Dに示すように、導波路コレクタアレイ412によって採光され得る。導波路コレクタアレイ412によって採光される迷光は、コレクタ導波路の後端部にそれぞれ連結している二次導波路によって継続的に導波され、Y接合配置に関して図2に図示するダンパ204などの吸収材料が利用され得るダンピング領域に向けられ得る。迷光の20dBを上回る抑制が、説明する実施形態のコレクタアレイを使用することによって実現可能であり得る。
【0031】
ここで図5では、PICの例示実施形態は、複屈折導波路又は複屈折導波路のカスケードを備えてもよく、各々は少なくともある程度、湾曲している。図5の例示実施形態では、導波路502は、半円形の形状であるが、他の湾曲配置が代替的に使用されてもよい。導波路502の例は、図5に示すように、基板に構築され直列結合されるように配置されて、「m字」形状を形成し得る。導波路502の複屈折は、結果として横磁気(TM)モードで伝搬する光よりも横電気(TE)偏光モードで伝搬する光においてより高い閉じ込めをもたらし得る。半円形の導波路502の各々の半径は、導波路502がTE偏光を低い伝搬損失で導波するように最適化され得るが、TMモードの光には大きな屈曲損失を与える。したがって、この一連の半円形が、高い伝搬消光比(PER)の偏光子を累積的に構成する。
【0032】
しかしながら、そのような集積偏光子の実際に実現可能なPERは限定され得る。屈曲導波路502では、TM偏光モードの光は、導波路502によって完全には導波されず、基板及び導波路502のクラッド層に放射され得る。非導波光は光学回路に再結合されて戻り、それによって導波路のTMモードの光パワーが追加され、偏光子が効果的に劣化し得る。一連のコレクタ導波路504は、図5に示すように、湾曲導波路部502に沿って配置され得る。コレクタ導波路504は、偏光子導波路の曲率の接線方向に整列され得る。図1C及び4Cに関して説明したコレクタについては、コレクタ504の先端が、入来する迷光を受光するための効率を向上させる形状に最適化され得る。コレクタの先端のテーパ形状化は、コレクタの先端においてモードフィールドサイズを拡大するように利用され得る。モードフィールドサイズは、順テーパを使用することによって拡大されてもよいし、逆テーパを使用することによって拡大されてもよい。コレクタ導波路504によって採光される迷光は、二次導波路506によってダンピング領域508に向けて導波され、そこでは吸収材料が利用され得る。
【0033】
例示実施形態を具体的に図示及び説明したが、添付の特許請求の範囲によって包含される実施形態の範囲から逸脱することなく形式及び詳細事項の種々の変更がそこでなされ得ることが当業者には理解されるはずである。

図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
【国際調査報告】