(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】物質又は組成物が皮膚又は口唇の加齢の徴候を予防し、抑え、又は取り除く能力を評価する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/50 20060101AFI20220106BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20220106BHJP
A61Q 1/04 20060101ALI20220106BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20220106BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20220106BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
G01N33/50 Q
A61Q19/08
A61Q1/04
A61K8/44
A61K8/41
G01N33/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021522969
(86)(22)【出願日】2019-11-04
(85)【翻訳文提出日】2021-04-26
(86)【国際出願番号】 FR2019052592
(87)【国際公開番号】W WO2020094954
(87)【国際公開日】2020-05-14
(32)【優先日】2018-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398057293
【氏名又は名称】ソシエテ・デクスプロワタシオン・デ・プロデュイ・プール・レ・アンデュストリー・シミック・セピック
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE D’EXPLOITATION DE PRODUITS POUR LES INDUSTRIES CHIMIQUES SEPPIC
(71)【出願人】
【識別番号】517296248
【氏名又は名称】バイオテックマリン
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】カッツァト、ラエテェテェア
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセント、ゲール
(72)【発明者】
【氏名】ラヴェイユ、レミ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィナ、サンドリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ビズ、セシル
【テーマコード(参考)】
2G045
4C083
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CB09
2G045DA20
2G045DA36
4C083AC541
4C083AC542
4C083AC661
4C083AC662
4C083CC02
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE12
(57)【要約】
化学物質(S)又は化学組成物(C)がヒト皮膚又は口唇の加齢の徴候の出現を予防し若しくは抑える又は更には前記徴候を取り除く能力を評価する方法であって;-ステップa)化学物質又は化学組成物を、継代R6で培養培地から採取された「若齢」ヒト真皮の線維芽細胞と接触させるステップ;-ステップb)ヒト真皮の線維芽細胞の老化細胞をステップa)からの「若齢」線維芽細胞と接触させるステップ;及び-ステップc)「若齢」線維芽細胞の老化入力を測定し、それを基準値と比較するステップを含む方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学物質(S)又は化学組成物(C)がヒト皮膚又は口唇の加齢の徴候の出現を予防し若しくは抑制する又は前記徴候を取り除く能力を判定する方法であって、
- ステップa)前記化学物質又は前記化学組成物を、継代R6で培養培地から採取した「若齢」ヒト皮膚線維芽細胞と接触させて置くステップ、
- ステップb)ヒト老化皮膚線維芽細胞を、ステップa)から得られた「若齢」線維芽細胞と接触させて置くステップ、及び
- ステップc)前記「若齢」線維芽細胞の老化の開始を測定し、基準値と比較するステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記老化細胞が、継代R20で培養培地から採取されたヒト皮膚線維芽細胞であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記老化細胞が、増幅を行う前に継代R19で培養培地から採取されているヒト皮膚線維芽細胞であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
継代R6で培養培地から採取された前記「若齢」ヒト皮膚線維芽細胞が、継代R5で培養培地から採取された「若齢」ヒト皮膚線維芽細胞の増幅により得られることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップc)の前記「若齢」線維芽細胞の老化の開始を測定するステップが、少なくとも2つの生物学的マーカー:
- SASP/SMSについての少なくとも1つの生物学的マーカー(M1)、及び
- 老化についての少なくとも1つの生物学的マーカー(M2)
の使用を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記SASP/SMSについての生物学的マーカー(M1)が、炎症誘発性サイトカイン、より詳細には細胞外インターロイキン-1(IL-1)、細胞外インターロイキン-6(IL-6)、細胞外インターロイキン-8(IL-8)、成長因子、MMP-1及びMMP-3などのマトリックス分解酵素、及び活性酸素種又はROSからなる群の要素から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記老化についての生物学的マーカー(M2)が、β-ガラクトシダーゼ、持続的DNA損傷、及びアポトーシス抵抗性からなる群の要素から選択されることを特徴とする、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記生物学的マーカー(M1)がインターロイキン-6であり、前記生物学的マーカー(M2)がβ-ガラクトシダーゼ酵素であることを特徴とする、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップc)において、前記2つの生物学的マーカー(M1)及び(M2)の発現レベルが、これらの2つの生物学的マーカーの各々についての少なくとも1つの基準発現レベルと比較されることを特徴とする、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ヒト皮膚又は口唇の加齢の徴候が、
- 皺、小皺又はマイクロレリーフ損傷の出現;及び/又は
- 弾力性及び/又はハリ不足の出現;及び/又は
- 密度及び/又は堅さ不足の出現
から選択されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
その質量の100%あたり、0.1質量%~25質量%の一般式(I)の少なくとも1つの化合物:
【化1】
[式中:
- R
1は式(Ia)の基
-CH
2-CO
2H (Ia)
を表し、且つR
2は水素原子を表すか、又は
- R
1は式(Ib)の基
-CH(CO
2H)-CH
2-CH
2-OH (Ib)
を表し、且つR
2は水素原子を表すか、又は
- R
1は式(Ia)の基を表し、且つR
2はヒドロキシエチル基(Ic):
HO-CH
2-CH
2- (Ic)
を表すか、又は
- R
1は式(Ia)の基を表し、且つR
2はヒドロキシメチルエチル基(Id):
HO-C(CH
3)(CH
2-CH
3) (Id)
を表すか、又は
- R
1は式(Ia)の基を表し、且つR
2はヒドロキシプロピル基(Ie):
HO-CH
2-CH
2-CH
2- (Ie)
を表すか、又は
- R
1は式(Ia)の基を表し、且つR
2は(E)-プロペニル基(If)を表すか、又は
- R
1は式(Ia)の基を表し、且つR
2は(Z)-プロペニル基(Ig)を表すか、又は
- R
1及びR
2は両方ともに式(Ia)の基を表すか、又は
- R
1は式(Ii)の基
-CH(CO
2H)-CH(OH)-CH
3 (Ii)
を表し、且つR
2は水素原子を表すか、又は
- R
1は式(Ii)の基を表し、且つR
2はメチル基を表すか、又は
- R
1は式(Ib)の基を表し、且つR
2はメチル基を表すか、又は
- R
1は式(Ia)の基を表し、且つR
2は式(Ij)の基
-CH(CO
2H)-CH
3 (Ij)
を表すか、又は
- R
1は式(Ia)の基を表し、且つR
2は式(Ib)の基を表すか、又は
- R
1は式(Ia)の基を表し、且つR
2は式(Ik)の基
-CH(CO
2H)-CH(CH
3)
2 (Ik)
を表すか、又は
- R
1は式(Ia)の基を表し、且つR
2は式(Ii)の基を表すか、又は
- R
1は式(Ia)の基を表し、且つR
2は式(Il)の基
-CH(CO
2H)-CH
2(CO
2H) (Il)
を表すか、又は
- R
1は式(Ia)の基を表し、且つR
2は式(Im)の基
-CH
2-CH=CH-CO
2H (Im)
を表す]を含む、化粧料組成物(CA)。
【請求項12】
ヒト皮膚又は口唇の加齢の徴候の出現を予防し若しくは抑制するための、又は前記徴候を取り除くための、請求項11に記載の化粧料組成物。
【請求項13】
少なくとも1つの化粧品に許容される賦形剤と、有効量の請求項11に記載の化粧料組成物(CA)とを含む、局所使用向け化粧料配合物。
【請求項14】
ヒト皮膚又は口唇の加齢の徴候の出現を予防し若しくは抑制するための、又は前記徴候を取り除くための、請求項13に記載の化粧料配合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学物質(S)又は化学組成物(C)がヒト皮膚又は口唇の加齢の徴候の出現を予防し若しくは抑制する又は前記徴候を取り除く能力を判定する方法に関する。
【0002】
本発明はまた、化粧料組成物及び化粧料配合物にも関する。
【背景技術】
【0003】
ヒト皮膚は、他者に与える見た目の第一印象を作り上げるものであり、結果として、その外観の改善が往々にして人の関心事となる。皮膚は、多くが若々しさに結び付けて考えられる健康・幸福の状態を映し出し、又は逆に言えば、疲労及び/又は加齢の状態を映し出す。従って、化粧料製品の消費者は、前記加齢に伴いそれが目に見えて顕在化するのを軽減し、及び/又は予防するための解決方法を探し求めている。
【0004】
皮膚の加齢は、2つの異なる生物学的過程、即ち、
- 遺伝的特性に依存する、ひいては各個体に特有の内因性加齢又は「経時的」加齢
- 環境因子、例えば、自然又は人工紫外線(即ち光加齢)、大気汚染、タバコの煙、様々な酸化剤への繰り返しの長期にわたる曝露;様々な心理的、情緒的及び/又は緊張によるストレスに影響される外因性加齢によって生じる現象である。
【0005】
加齢は、代謝、機能、細胞、構造及び組織が損なわれ、それが目に見える外的効果につながることによって特徴付けられる。皮膚の加齢については、皺及び小皺、くすんだ顔色、この顔色のむら(皮膚色素異常)の出現及び/又は増加、又は更には皮膚の質感の変化(例えば皮膚の厚みの減少)及び皮膚の特性、特にバイオメカニクス特性の変化(弾力性の喪失)が問題である。
【0006】
従って、時が経つにつれ、絶えず再生している器官である皮膚の再生速度が下がり、この現象が「老齢」細胞の蓄積並びに前記細胞の修復及び維持機構の障害につながる。
【0007】
次には皮膚細胞が老化に入る:皮膚細胞は細胞周期停止を起こし、これは有限の分裂回数の後に生じるもので、数多くの変化及び特定の表現型形質に関連する[1]。
【0008】
最も顕著な変化は、以下である:
- 細胞サイズの増加
- 細胞核サイズの増加
- オートファジーの増加につながる細胞のリソソーム活性の増加
- 生物活性分子、例えば、インターロイキン、成長因子、マトリックス分解性酵素又は活性酸素種(ROS)の産生及び分泌;前記生物活性分子は老化関連分泌表現型(SASP)又は老化伝令セクレトーム(SMS)を構成する[2][3]
- 特にマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP-1)の合成の増加、プロコラーゲン-1合成の減少及びβ-ガラクトシダーゼ(細胞老化の特徴的マーカー)の活性の増加を伴う、代謝活性の変化
- DNA損傷の出現
- 細胞周期の変化及び細胞増殖の減速。
【0009】
この老化現象は、隣接する老化細胞によって産生されるメディエーターによる「若齢」細胞への伝染を含め、数多くの機構に関連する。
【0010】
こうした「老齢」細胞(SMS又はSASP)によって分泌されるこれらの分子は、上述の細胞変化(形態、代謝又は増殖等)を呈しない隣接する「若齢」細胞によって検出される。ひいては、老化細胞(又はSMS)によって分泌された分子に接触しているこうした隣接する「若齢」細胞が次に老化に入り、皮膚の加齢の特異的な形態学的障害及び細胞障害を呈することになる。この現象は最近になって記載されており、「伝染性加齢」又は「バイスタンダー効果」と呼ばれるようになっている[4]。
【0011】
ヒトメラノサイト、ケラチノサイト及び線維芽細胞についての「バイスタンダー効果」の誘導され易さ又はこの効果に対する感受性の高さを研究するための、紫外線放射に曝露した異なる皮膚細胞の共培養を用いる方法が記載されている[5]。これらの方法では、各種の細胞培養物が紫外線A波に曝露され、様々な老化マーカー、特に酸化効果及びDNA損傷が判定された。この研究から、以下が明らかになる:
- メラノサイトを紫外線A波に直接曝露することによって誘導される老化は僅かだが、前記メラノサイトは伝染性加齢又は「バイスタンダー効果」に感受性を有する;
- ケラチノサイトは、伝染性加齢又は「バイスタンダー効果」に対する抵抗性が最も高い細胞である;
- 線維芽細胞は、紫外線A波による誘導及び伝染性加齢又は「バイスタンダー効果」に対する抵抗性の両方に中間的な応答を呈した。
【0012】
しかしながら、この方法は実行時間の長さによって特徴付けられ、この研究分野で極めて一般的なスクリーニング手法においてアンチエイジング活性薬剤の選択に用いるにはあまり適さない。
【0013】
ヒト皮膚又は口唇の加齢の徴候の出現を予防し若しくは抑制するための、又は前記徴候を取り除くための化学物質又は化学組成物を選択する任意のインビトロ方法であって、スクリーニング手法において中程度のスループットで使用可能とすることができ、動物細胞の関与がなく、再現性があり、高感度で、判別的且つ効率的で、及び化粧品市場に適している方法は、先行技術には開示されていないものと見られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、ヒト皮膚又は口唇の加齢の徴候の出現を予防し若しくは抑制するための、又は前記徴候を取り除くための化学物質又は化学組成物を選択する方法を開発することが必要とされており;前記方法は、
- 動物細胞の使用を伴わず
- 十分に短期間で実施され(最長72時間)
- いかなる臨床試験モデル又は臨床試験からの生検も使用せず
- 及び結果的に、4つの培養系統に分割された最大12製品を試験し、場合によっては選択するために行われるスクリーニング手法で使用することができるものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の1つの解決方法は、化学物質(S)又は化学組成物(C)がヒト皮膚又は口唇の加齢の徴候の出現を予防し若しくは抑制する又は前記徴候を取り除く能力を判定する方法であり;前記方法は、
- ステップa)化学物質又は化学組成物を、継代R6で培養培地から採取した「若齢」ヒト皮膚線維芽細胞と接触させて置くステップ、
- ステップb)ヒト老化皮膚線維芽細胞を、ステップa)から得られた「若齢」線維芽細胞と接触させて置くステップ、及び
- ステップc)「若齢」線維芽細胞の老化の開始を測定し、基準値と比較するステップを含む。
【発明を実施するための形態】
【0016】
用語「物質」は、式によって定義される分子を意味し、及び用語「組成物」は、分子の混合物を意味する。
【0017】
用語「接触させて置く」は、同じ培地中に加えることを意味する。
【0018】
本発明の目的上、用語「ヒト皮膚線維芽細胞」は、真皮に常在してそのまとまり及びしなやかさを確実にする、結合組織に存在する細胞を指す。特に、当業者には、皮膚の加齢過程で線維芽細胞数は減少する傾向があること、III型コラーゲン線維とI型コラーゲン線維との比率が変化すること、及び細胞外マトリックスの要素(コラーゲン、弾性線維、グリコサミノグリカン)が減少することが理解される。皮膚は菲薄化し、弾力性が低下して、ひだ又は皺が現れる。
【0019】
本発明の目的上、用語「継代Ri」は、細胞が経た継代培養の回数(i)を指し、即ち、
- 継代R19は19回の継代培養
- 継代R20は20回の継代培養
- 継代R5は5回の継代培養
- 継代R6は6回の継代培養である。
【0020】
本発明の目的上、用語「ヒト皮膚又は口唇の加齢の徴候の出現を予防し若しくは抑制する又は前記徴候を取り除く能力」は、ヒト皮膚又は口唇に前記加齢の徴候が現れるまでの期間を延ばす能力を意味する。
【0021】
本発明の目的上、用語「ヒト皮膚又は口唇の加齢の徴候」は、加齢に起因する皮膚又は口唇の外観の任意の変化、例えば皺及び小皺、マイクロレリーフ損傷、皮膚の弾力性及び/又はハリの不足、ヒト皮膚又は口唇の密度及び/又は堅さの不足を意味し、また外観の変化に系統的には反映されない皮膚の任意の内的変化、例えば、任意の紫外線への曝露に続く皮膚の内的分解も意味する。
【0022】
場合によっては、本発明に係る方法は、以下の特徴のうちの1つ以上を有し得る:
- 老化細胞は、継代R20で培養培地から採取されたヒト皮膚線維芽細胞である、
- 老化細胞は、増幅を行う前に継代R19で培養培地から採取されているヒト皮膚線維芽細胞である、
- 継代R6で培養培地から採取された「若齢」ヒト皮膚線維芽細胞は、継代R5で培養培地から採取された「若齢」ヒト皮膚線維芽細胞の増幅により得られる、
- ステップc)の「若齢」線維芽細胞の老化の開始を測定するステップは、少なくとも2つの生物学的マーカー:SASP/SMSについての少なくとも1つの生物学的マーカー(M1)、及び老化についての少なくとも1つの生物学的マーカー(M2)の使用を含む、
- SASP/SMSについての生物学的マーカー(M1)は、炎症誘発性サイトカイン、より詳細には、細胞外インターロイキン-1(IL-1)、細胞外インターロイキン-6(IL-6)、細胞外インターロイキン-8(IL-8)、成長因子、MMP-1及びMMP-3などのマトリックス分解酵素、活性酸素種又はROSからなる群の要素から選択される、
- 老化についての生物学的マーカー(M2)は、β-ガラクトシダーゼ、持続的DNA損傷、及びアポトーシス抵抗性からなる群の要素から選択される、
- 生物学的マーカー(M1)はインターロイキン-6であり、生物学的マーカー(M2)はβ-ガラクトシダーゼ酵素である、
- ステップc)において、2つの生物学的マーカー(M1)及び(M2)の発現レベルは、これらの2つの生物学的マーカーの各々についての少なくとも1つの基準発現レベルと比較される、
- ヒト皮膚又は口唇の加齢の徴候は、皺、小皺又はマイクロレリーフ損傷の出現;及び/又は弾力性及び/又はハリ不足の出現;及び/又は密度及び/又は堅さ不足の出現から選択される。
【0023】
本特許出願の目的上、用語「生物学的マーカー」は、正常な生物学的過程、発病過程又は外部からの介入に対する薬理学的応答の指標として客観的に測定及び判定される特徴を意味する。生物学的マーカーは、例えば、それが検出されることが特定の病的状態を指示する物質、又は、むしろ逆に、それが検出されることが特定の生理学的状態を指示する物質であってもよい。
【0024】
本発明の目的上、用語「SASP/SMSについての生物学的マーカー(M1)」は、SASP又は「老化関連分泌表現型」、別名SMS又は「老化伝令セクレトーム」に含まれる活性分子群に属するという意味でその発現の変動が伝染性加齢又はバイスタンダー効果の現象と相関する、先に定義されたような生物学的マーカーを指す。
【0025】
本発明の主題である方法のステップe)で発現レベルが測定されるSASP/SMSについての生物学的マーカー(M1)の中では、細胞外インターロイキン-1(IL-1)、細胞外インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-8(IL-8)、成長因子、MMP-1及びMMP-3などのマトリックス分解酵素、活性酸素種又はROSからなる群の生物学的マーカー(M1)の群の要素、最も詳細には細胞外インターロイキン-6(IL-6)を挙げることができる。
【0026】
本特許出願の目的上、生物学的マーカーIL-6とは、ヒトIL-6遺伝子(NCBI参照:遺伝子ID:GenBank:JQ250825.1)を含み、及びまたこの遺伝子の産物も含む。詳細な実施形態において、生物学的マーカーIL-6は、ヒトIL-6遺伝子の産物のうちの1つからなる。ヒトIL-6遺伝子の産物は、ヒトIL-6遺伝子の転写物及びヒトIL-6タンパク質を含む。本特許出願の目的上、「ヒトIL-6遺伝子の転写物」は、その配列がNCBI参照:GenBank:M54894.1を有するポリヌクレオチドである。本特許出願の目的上、用語「ヒトIL-6タンパク質」は、そのペプチド配列がNCBI参照:GenBank:AAD13886.1を有する配列であるタンパク質を意味する。
【0027】
本特許出願の目的上、用語「老化についての生物学的マーカー(M2)」は、その発現の変動が細胞老化と相関する、先に定義されたような生物学的マーカーを意味する。
【0028】
本発明の主題である方法のステップc)で発現レベルが測定される老化についての生物学的マーカー(M2)の中では、β-ガラクトシダーゼ酵素、持続的DNA損傷(γH2AXフォーカスの検出に関連する)、アポトーシス抵抗性(p53、p16、p21及びIGFBP5の検出に関連する)からなる生物学的マーカー(M2)の群の要素、最も詳細にはβ-ガラクトシダーゼ酵素を挙げることができる。
【0029】
先に定義されたような方法の詳細な態様によれば、ステップc)において、生物学的マーカー(M1)はインターロイキン-6であり、生物学的マーカー(M2)はβ-ガラクトシダーゼ酵素である。
【0030】
生物学的マーカー(M1)及び(M2)の各々について、表現「発現レベルの測定」は、概して、遺伝子転写物の量の測定、又は人体によって産生される生体分子、より詳細にはタンパク質及び代謝産物の量の測定のいずれかを指し、又は酵素活性レベルを指す。
【0031】
生物学的マーカーの発現レベルがヌクレオチドレベルで測定されるとき、即ち、遺伝子の産物量をそのヌクレオチド形態で測定することによるとき、当業者によってヌクレオチド量の測定に通常用いられる任意の方法が用いられてよく、従って、qRTPCR(リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応)、DNAチップ及びインサイチュハイブリダイゼーションを挙げることができる。
【0032】
生物学的マーカーの発現レベルがタンパク質レベル、機能レベル又は代謝レベルで測定されるとき、即ち、それがタンパク質又は代謝産物である場合にその量を測定することによるか、又はその生物学的機能を測定することによるとき、当業者によってタンパク質量若しくは代謝産物量又は機能性の測定に通常用いられる任意の方法が用いられてよく、従って、ELISAアッセイ、ウエスタンブロッティング、質量分析、免疫蛍光、クロマトグラフ法及び酵素活性を挙げることができる。
【0033】
本発明の主題である方法において、炎症についての生物学的マーカー(M1)の発現の測定は、より詳細には、タンパク質レベルで実施される。
【0034】
本発明の主題である方法の更に詳細な態様によれば、生物学的マーカー(M1)がインターロイキン-6であるとき、インターロイキン-6発現の測定は、タンパク質レベルで、更により詳細には比色ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)方法を用いた測定を伴い実施される。この方法は、測定用プレートのウェルの底に付着させたヒトIL-6に特異的な抗体を使用する。アッセイしようとする試料をウェルに加え、試料中に存在するIL-6を固定化された抗体に結合させる。次にウェルを洗浄し、更なるビオチン化抗ヒトIL-6抗体を加える。
【0035】
ウェルをもう一度リンスして未結合抗体を除去し、酵素HRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)にコンジュゲートしたストレプトアビジンをウェルに加える。ウェルをもう一度リンスし、HRP基質テトラメチルベンジジンをウェルに加える。
【0036】
色の強度はIL-6の結合量に比例して発色する。「停止」溶液によって色が青色から黄色に変化し、色の強度を分光光度法によって450nmで測定する。検量線系列を基準にすることによりIL-6濃度を計算する。
【0037】
β-ガラクトシダーゼ酵素の活性の測定は、代謝レベルで、更により詳細には比色酵素検出が関わる測定を伴い実施される。
【0038】
簡潔に言えば、細胞に存在するβ-ガラクトシダーゼが、細胞叢に堆積しているその基質のうちの1つ、X-gal(又は5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシド(C14H15BrClNO6))と特異的に反応する。この基質は、置換インドール核に結合した、ガラクトース配糖体であるガラクトシドである。この無色の化合物はβ-ガラクトシダーゼによって加水分解されてインドール部分を放出し、次にはそれが酸化によって水不溶性の青色化合物を形成し、反応部位に沈殿する。青色の呈色は写真能力のある顕微鏡で検出/観察される。各写真について、標識のある細胞(青色細胞)の数及び目に見える細胞の総数をカウントし、正規化のため、青色細胞の数を細胞総数の割合として取る。
【0039】
本発明の主題である方法の更により詳細な態様によれば、生物学的マーカー(M1)がインターロイキン-6であるとき、インターロイキン-6発現の測定は、タンパク質レベルで、更により詳細には比色ELISA方法を用いた測定を伴い実施され、生物学的マーカー(M2)がβ-ガラクトシダーゼであるとき、β-ガラクトシダーゼ活性の測定は、代謝レベルで、更により詳細には比色酵素検出を用いた測定を伴い実施される。
【0040】
生物学的マーカーの「基準発現レベル」という用語は、基準として用いられる前記生物学的マーカーの任意の発現レベルを指す。
【0041】
本発明との関連において、SASP/SMSについての生物学的マーカー(M1)の基準発現レベルは、以下の細胞培養培地における前記生物学的マーカー(M1)の発現レベルを測定することにより得られてもよい:
- 継代R6の「若齢」ヒト皮膚線維芽細胞(老化細胞と接触して置かれていない、且つ物質又は化学組成物で処理されていない継代R6の「若齢」細胞)の細胞培養培地。未処理且つストレス無負荷の細胞に関するマーカー(M1)の発現レベルのこの測定値をN1と表記する、及び/又は
- 継代R6で採取した「若齢」ヒト皮膚線維芽細胞を、継代R20で採取した老化ヒト皮膚線維芽細胞と接触させて置くことにより得られる細胞培養培地;未処理だがストレスを負荷した細胞に関するマーカー(M1)の発現レベルのこの測定値をN10と表記する;及び/又は
- 本発明の主題である方法のステップa)で使用される物質(S)が、ビタミンE及びビタミンCからなる群の要素から選択される物質であるとき、本発明の主題である方法のステップb)を実行した結果として得られる細胞培養培地。基準物質(S)についての生物学的マーカー(M1)の発現レベルのこの測定値をN1Refと表記する。
【0042】
本発明との関連において、老化についての生物学的マーカー(M2)の基準発現レベルは、以下の細胞培養培地における前記生物学的マーカー(M2)の発現レベルを測定することにより得られてもよい:
- 継代R6の「若齢」ヒト皮膚線維芽細胞(老化細胞と接触して置かれていない、且つ物質又は化学組成物で処理されていない継代R6の「若齢」細胞)の細胞培養培地;未処理且つストレス無負荷の細胞に関する生物学的マーカー(M2)の発現レベルのこの測定値をN2と表記する、及び/又は
- 継代R6で採取した「若齢」ヒト皮膚線維芽細胞を、継代R20で採取した老化ヒト皮膚線維芽細胞と接触させて置くことにより得られる細胞培養培地;未処理だがストレスを負荷した細胞に関するマーカー(M2)の発現レベルのこの測定値をN20と表記する;及び/又は
- 本発明の主題である方法のステップa)で使用される物質(S)が、ビタミンE及びビタミンCからなる群の要素から選択される物質であるとき、本発明の主題である方法のステップb)を実行した結果として得られる細胞培養培地。基準物質(S)についての生物学的マーカー(M2)の発現レベルのこの測定値をN2Refと表記する。
【0043】
先に定義されたような方法により、ヒト皮膚又は口唇の加齢の徴候の出現を予防し若しくは抑制する又は前記徴候を取り除くことを目的とする成分として前記物質(S)又は前記組成物(C)を選択することが可能であり、これはそれ自体として使用されてもよく、又は化粧品若しくは皮膚科学的化粧品若しくは医薬品工業を対象とした局所使用向け組成物の調製に使用されてもよい。
【0044】
先に定義されたような方法により、物質(S)又は組成物(C)は、
- N1iと表記される、前記物質(S)又は前記組成物(C)について測定された発現レベルが、SASP/SMSについての生物学的マーカー(M1)の基準発現レベルN10よりも低い場合、且つ
- N2iと表記される、前記物質(S)又は前記組成物(C)について測定された発現レベルが、老化についての生物学的マーカー(M2)の基準発現レベルN20よりも低い場合に、
ヒト皮膚又は口唇の加齢の徴候の出現を予防し又は抑制するための、又は前記徴候を取り除くためのそれ自体としての使用、又はそれを含む局所使用向け組成物の調製への使用に選択されることになる。
【0045】
物質(S)又は組成物(C)は、より詳細には、
- 比R1=[(N10-N1i)×100]/[(N10-N1)]がn1以上である場合;且つ
- 比R2=[(N20-N2i)×100]/[(N20-N2)]がn2以上である場合であって、
ここでn1が15以上、より詳細には30以上であり、n2が60以上、より詳細には70以上であり、N1、N10、N2及びN20が先に定義されたとおりであるか、又は
上記に定義されたようなn1が、より詳細には15以上、最も詳細には30以上、更により詳細には40以上であり;且つ上記に定義されたようなn2が、より詳細には60以上、最も詳細には70以上、更により詳細には80以上である場合に、
ヒト皮膚又は口唇の加齢の徴候の出現を予防し又は抑制するための、又は前記徴候を取り除くためのそれ自体としての使用、又はそれを含む局所使用向け化粧料組成物の調製への使用に選択されることになる。
【0046】
先に定義されたような方法により、物質(S)又は組成物(C)は、より詳細には、n1が30以上である場合、且つn2が70以上である場合に選択されることになる。
【0047】
本発明の主題はまた、その質量の100%あたり、0.1質量%~25質量%の一般式(I)の少なくとも1つの化合物:
【化1】
[式中:
- R
1は式(Ia)の基
-CH
2-CO
2H (Ia)
を表し、且つR
2は水素原子を表すか、又は
- R
1は式(Ib)の基
-CH(CO
2H)-CH
2-CH
2-OH (Ib)
を表し、且つR
2は水素原子を表すか、又は
- R
1は式(Ia)の基を表し、且つR
2はヒドロキシエチル基(Ic):
HO-CH
2-CH
2- (Ic)
を表すか、又は
- R
1は式(Ia)の基を表し、且つR
2はヒドロキシメチルエチル基(Id):
HO-C(CH
3)(CH
2-CH
3) (Id)
を表すか、又は
- R
1は式(Ia)の基を表し、且つR
2はヒドロキシプロピル基(Ie):
HO-CH
2-CH
2-CH
2- (Ie)
を表すか、又は
- R
1は式(Ia)の基を表し、且つR
2は(E)-プロペニル基(If)を表すか、又は
- R
1は式(Ia)の基を表し、且つR
2は(Z)-プロペニル基(Ig)を表すか、又は
- R
1及びR
2は両方ともに式(Ia)の基を表すか、又は
- R
1は式(Ii)の基
-CH(CO
2H)-CH(OH)-CH
3 (Ii)
を表し、且つR
2は水素原子を表すか、又は
- R
1は式(Ii)の基を表し、且つR
2はメチル基を表すか、又は
- R
1は式(Ib)の基を表し、且つR
2はメチル基を表すか、又は
- R
1は式(Ia)の基を表し、且つR
2は式(Ij)の基
-CH(CO
2H)-CH
3 (Ij)
を表すか、又は
- R
1は式(Ia)の基を表し、且つR
2は式(Ib)の基を表すか、又は
- R
1は式(Ia)の基を表し、且つR
2は式(Ik)の基
-CH(CO
2H)-CH(CH
3)
2 (Ik)
を表すか、又は
- R
1は式(Ia)の基を表し、且つR
2は式(Ii)の基を表すか、又は
- R
1は式(Ia)の基を表し、且つR
2は式(Il)の基
-CH(CO
2H)-CH
2(CO
2H) (Il)
を表すか、又は
- R
1は式(Ia)の基を表し、且つR
2は式(Im)の基
-CH
2-CH=CH-CO
2H (Im)
を表す]を含む化粧料組成物(CA)である。
【0048】
詳細な態様によれば、本発明の主題は、その質量の100%あたり、0.1質量%~25質量%の一般式(I)の少なくとも1つの化合物[式中:
- R1及びR2は両方ともに式(Ia)の基を表すか、又は
- R1は式(Ia)の基を表し、且つR2は水素原子を表すか、又は
- R1は式(Ia)の基を表し、且つR2は基(Ic)を表すか、又は
- R1は式(Ia)の基を表し、且つR2は式(Ib)の基を表すか、又は
- R1は式(Ia)の基を表し、且つR2は基(If)を表す]を含む化粧料組成物(CA)である。
【0049】
別の詳細な態様によれば、本発明の主題は、ヒト皮膚又は口唇の加齢の徴候の出現を予防し若しくは抑制するための、又は前記徴候を取り除くための、先に定義されたような組成物である。
【0050】
上記に定義されたような化粧料組成物(CA)は、その構成成分を所望の質量比率で、室温又は必要に応じてその成分の融点を上回って、穏やかに機械的に撹拌(50~150rpm)しながら混合することにより調製されてもよい。
【0051】
上記に定義されたような化粧料組成物(CA)はまた、当業者に公知の、且つ紅藻類、より詳細には紅藻植物門(Rhodophyta)、真正紅藻綱(Florideophycae)、アクロカエチウム目(Acrochaetiales)、アクロシンフィトン目(Acrosymphytales)、イタニグサ目(Ahnfeltiales)、バルビアニア目(Balbianiales)、バリア目(Balliales)、カワモヅク目(Batrachospermales)、カギノリ目(Bonnemaisoniales)、イギス目(Ceramiales)、ベニマユダマ目(Colaconematales)、サンゴモ目(Corallinales)、エントウィスレイア目(Entwisleiales)、真正紅藻綱の所属不明(Florideophyceae incertae sedis)、テングサ目(Gelidiales)、スギノリ目(Gigartinales)、オゴノリ目(Gracilariales)、イソノハナ目(Halymeniales)、ベニマダラ目(Hildenbrandiales)、ウミゾウメン目(Nemaliales)、ウスギヌ目(Nemastomatales)、ダルス目(Palmariales)、イワノカワ目(Peyssonneliales)、ピヒエラ目(Pihiellales)、ユカリ目(Plocamiales)、ロダクリア目(Rhodachlyales)、ロドゴルゴン目(Rhodogorgonales)、マサゴシバリ目(Rhodymeniales)、ヌラクサ目(Sebdeniales)、エンジイシモ目(Sporolithales)及びチスジノリ目(Thoreales)の藻類に適用される任意の抽出技法により調製されてもよい。
【0052】
更に詳細な態様によれば、上記に定義されたような化粧料組成物(CA)はまた、当業者に公知の、且つカギノリ目(Bonnemaisoniales)、カギノリ科(Bonnemaisoniaceae)、属/種アスパラゴプシス・アルマタ(Asparagopsis armata)及びアスパラゴプシス・タクシフォルミス(Asparagopsis taxiformis)の紅藻類に適用される任意の抽出技法により調製されてもよい。
【0053】
本発明の最後の主題は、少なくとも1つの化粧品に許容される賦形剤と、有効量の先に定義されたような化粧料組成物(CA)とを含む局所使用向け化粧料配合物である。
【0054】
詳細な態様によれば、本発明に係る化粧料配合物は、ヒト皮膚又は口唇の加齢の徴候の出現を予防し若しくは抑制するための、又は前記徴候を取り除くための配合物であることになる。
【0055】
前記局所使用向け化粧料配合物は、概して、手入れしようとする皮膚の表面に塗り広げられることになり、次に皮膚が少しの間マッサージされる。
【0056】
化粧料配合物の定義の中で使用される表現「局所使用向け」は、それが化粧料配合物の場合における直接的な塗布か、それとも皮膚と接触させるように意図される担体(紙、ワイプ、布、経皮装置等)に本発明に係る化粧料配合物が含浸されるときの間接的な塗布かに関わらず、前記配合物が皮膚への塗布によって使用されることを意味する。
【0057】
本発明の主題である方法において使用される、局所使用向け化粧料配合物の定義の中で使用される用語「化粧品に許容される」は、1976年7月27日付け欧州経済共同体理事会指令第76/768/EEC、その1993年6月14日付け指令第93/35/EECによる改正後の指令によれば、前記局所使用向け配合物が、人体の様々な部位(表皮、体毛及び頭髪系、爪、口唇及び性器)との接触又は歯及び口腔粘膜との接触を意図した、その洗浄、その付香、その外観の改良及び/又はその体臭の矯正及び/又はその保護又はその良好な状態の維持を専らの及び主な目的とする任意の物質又は調製物を含むことを意味する。
【0058】
先に定義されたような、及び本発明の主題である局所使用向け化粧料配合物中に存在する組成物(A)の「有効量」という用語は、前記局所使用向け化粧料配合物の質量の100%あたり0.1質量%~5質量%、より詳細には0.1質量%~3質量%、更により詳細には0.5質量%~2.5質量%の組成物(A)の量を意味する。
【0059】
本発明に係る局所使用向け化粧料配合物は、概して、水溶液又は水溶液-アルコール溶液又は水-グリコール溶液の形態であるか、油中水型、水中油型、水中油中水型若しくは油中水中油型のいずれであるかを問わず、懸濁液、エマルション、マイクロエマルション又はナノエマルションの形態であるか、又は粉末の形態である。
【0060】
本発明に係る局所使用向け化粧料配合物は、ボトルに、「ポンプ可動式ボトル」型の装置に、加圧形態でエアロゾル装置に、格子などの有孔壁を備えた装置に、又はボールアプリケータを備えた装置(「ロールオン」として知られる)にパッケージングされ得る。
【0061】
一般に、本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中に存在する組成物(CA)は、発泡性及び/又は洗浄性の界面活性剤、増粘及び/又はゲル化界面活性剤、増粘剤及び/又はゲル化剤、安定剤、皮膜形成性化合物、溶媒及び共溶媒、ヒドロトロープ剤、温泉水又は鉱水、可塑剤、乳化剤及び共乳化剤、乳白剤、真珠光沢剤、過脂化剤、金属イオン封鎖剤、キレート化剤、油、ワックス、抗酸化剤、芳香剤、精油、保存剤、コンディショニング剤、脱臭剤、体毛及び皮膚を白くすることを意図したホワイトニング剤、皮膚又は毛髪に関してトリートメント及び/又は保護作用をもたらすことを意図した有効成分、サンスクリーン、無機フィラー又は顔料、視覚上の効果を付与する粒子又は活性薬剤の封入を意図した粒子、角質除去粒子、テクスチャリング剤、蛍光増白剤又は防虫剤など、局所使用向け配合物の分野で通常使用される化学添加物と組み合わされる。
【0062】
本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中の組成物(CA)と組み合わせることが可能な発泡性及び/又は洗浄性の界面活性剤の例としては、アニオン性、カチオン性、両性又はノニオン性の発泡性及び/又は洗浄性の界面活性剤を挙げることができる。
【0063】
発泡性及び/又は洗浄性のアニオン性界面活性剤の例としては、以下のもののアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、又はアミノアルコール塩を挙げることができる:アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルフェート、アルキルアミドエーテルスルフェート、アルキルアリールポリエーテルスルフェート、モノグリセリドスルフェート、α-オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルスルホネート、アルキルアミドスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルカルボキシレート、アルキルスルホスクシネート、アルキルエーテルスルホスクシネート、アルキルアミドスルホスクシネート、アルキルスルホアセテート、アルキルサルコシネート、アシルイセチオネート、N-アシルタウレート、アシルラクチレート、N-アシルアミノ酸誘導体、N-アシルペプチド誘導体、N-アシルプロテイン誘導体、N-アシル脂肪酸誘導体。
【0064】
発泡性及び/又は洗浄性の両性界面活性剤の例としては、以下のものを挙げることができる:アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、スルテイン、アルキルアミドアルキルスルホベタイン、イミダゾリン誘導体、ホスホベタイン、アンホポリアセテート及びアンホプロピオネート。
【0065】
発泡性及び/又は洗浄性のカチオン性界面活性剤の例としては、特に四級アンモニウム誘導体を挙げることができる。
【0066】
発泡性及び/又は洗浄性のノニオン性界面活性剤の例としては、以下のものを挙げることができる:より特に直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和の脂肪族基を含み、8~16個の炭素原子を含むアルキルポリグリコシド、例えばオクチルポリグルコシド、デシルポリグルコシド、ウンデシレニルポリグルコシド、ドデシルポリグルコシド、テトラデシルポリグルコシド、ヘキサデシルポリグルコシド、1,12-ドデカンジイルポリグルコシド;エトキシル化水素化ヒマシ油誘導体、例えばINCI名称PEG-40水素化ヒマシ油として販売されている製品;ポリソルベート、例えばポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート70、ポリソルベート80及びポリソルベート85;ヤシ仁アミド;N-アルキルアミン。
【0067】
本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中の組成物(CA)と組み合わせることが可能な増粘及び/又はゲル化界面活性剤の例としては、以下のものを挙げることができる:任意選択的にアルコキシル化されたアルキルポリグリコシドの脂肪酸エステル、例えばエトキシル化メチルポリグルコシドエステル、例えばPEG120メチルグルコーストリオレエート及びPEG120メチルグルコースジオレエート(それぞれGlutamate(商標)LT及びGlutamate(商標)DOE120の名称で販売されている);アルコキシル化脂肪酸エステル、例えばPEG150ペンタエリスリチルテトラステアレート(Crothix(商標)DS53の名称で販売されている)、PEG55プロピレングリコールオレエート(Antil(商標)141の名称で販売されている);脂肪族鎖ポリアルキレングリコールカルバメート、例えばPPG-14ラウレスイソホリルジカルバメート(Elfacos(商標)T211の名称で販売されている)、PPG-14パルメト-60ヘキシルジカルバメート(Elfacos(商標)GT2125の名称で販売されている)。
【0068】
本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中で組成物(CA)と組み合わせることが可能な増粘剤及び/又はゲル化剤の例としては、部分又は完全塩化型アクリル酸ホモポリマー、部分又は完全塩化型メタクリル酸ホモポリマー、部分又は完全塩化型2-メチル[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(AMPS)ホモポリマー、アクリル酸とAMPSとのコポリマー、アクリルアミドとAMPSとのコポリマー、ビニルピロリドンとAMPSとのコポリマー、AMPSとアクリル酸(2-ヒドロキシエチル)とのコポリマー、AMPSとメタクリル酸(2-ヒドロキシエチル)とのコポリマー、AMPSとヒドロキシエチルアクリルアミドとのコポリマー、AMPSとN,N-ジメチルアクリルアミドとのコポリマー、AMPSとトリス(ヒドロキシメチル)アクリルアミドメタン(THAM)とのコポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とアクリル酸(2-ヒドロキシエチル)とのコポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とメタクリル酸(2-ヒドロキシエチル)とのコポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とヒドロキシエチルアクリルアミドとのコポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とTHAMとのコポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とN,N-ジメチルアクリルアミドとのコポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とAMPSとアクリル酸(2-ヒドロキシエチル)とのターポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とAMPSとメタクリル酸(2-ヒドロキシエチル)とのターポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とAMPSとTHAMとのターポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とAMPSとN,N-ジメチルアクリルアミドとのターポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とAMPSとアクリルアミドとのターポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とアクリル酸アルキルとのコポリマーであって、その炭素鎖が4~30個の炭素原子、より詳細には10~30個の炭素原子を含むもの、AMPSとアクリル酸アルキルとのコポリマーであって、その炭素鎖が4~30個の炭素原子、より詳細には10~30個の炭素原子を含むもの、遊離型、部分塩化型又は完全塩化型強酸官能基を有する少なくとも1つの単量体と、少なくとも1つの中性単量体と、式(VIII):
CH2=C(R’3)-C(=O)-[CH2-CH2-O]n-R’4 (VIII)
[式中、R’3は水素原子又はメチル基を表し、R’4は、8~30個の炭素原子を含む直鎖又は分枝アルキル基を表し、及びnは1以上50以下の数を表す]の少なくとも1つの単量体との直鎖、分枝又は架橋ターポリマーなど、高分子電解質型の直鎖又は分枝又は架橋ポリマーを挙げることができる。
【0069】
本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中で組成物(CA)と組み合わせることが可能な高分子電解質型の直鎖又は分枝又は架橋ポリマーは、水溶液又は水性懸濁液、油中水型エマルション、水中油型エマルション又は粉末の形態であってもよい。本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中で式(I)の化合物又は組成物(C1)と組み合わせることが可能な高分子電解質型の直鎖又は分枝又は架橋ポリマーは、商品名Simulgel(商標)EG、Simulgel(商標)EPG、Sepigel(商標)305、Simulgel(商標)600、Simulgel(商標)NS、Simulgel(商標)INS 100、Simulgel(商標)FL、Simulgel(商標)A、Simulgel(商標)SMS 88、Sepinov(商標)EMT 10、Sepiplus(商標)400、Sepiplus(商標)265、Sepiplus(商標)S、Sepimax(商標)Zen、Aristoflex(商標)AVC、Aristoflex(商標)AVS、Novemer(商標)EC-1、Novemer(商標)EC 2、Aristoflex(商標)HMB、Cosmedia(商標)SP、Flocare(商標)ET 25、Flocare(商標)ET 75、Flocare(商標)ET 26、Flocare(商標)ET 30、Flocare(商標)ET 58、Flocare(商標)PSD 30、Viscolam(商標)AT 64及びViscolam(商標)AT 100で販売されている製品から選択されてもよい。
【0070】
本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中の組成物(CA)と組み合わせることが可能な増粘剤及び/又はゲル化剤の例としては、以下のものを挙げることができる:単糖類のみからなる多糖類、例えばグルカン又はグルコースのホモポリマー、グルコマンノグルカン、キシログリカン、そのD-マンノース主鎖の上のD-ガラクトース単位の置換度(DS)が0~1、より特に1~0.25であるガラクトマンナン、例えばカッシアゴム(DS=1/5)、イナゴマメゴム(DS=1/4)、タラゴム(DS=1/3)、グアーゴム(DS=1/2)又はコロハゴム(DS=1)由来のガラクトマンナン。
【0071】
本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中の組成物(CA)と組み合わせることが可能な増粘剤及び/又はゲル化剤の例としては、以下のものを挙げることができる:単糖類誘導体からなる多糖類、例えば硫酸化したガラクタン、より特にカラゲナン及び寒天、ウロナン、より特にアルギン、アルギネート及びペクチン、単糖類とウロン酸とのヘテロポリマー及びより特にキサンタンゴム、ゲランゴム、アラビアゴム滲出物及びカラヤゴム滲出物又はグルコサミノグリカン。
【0072】
本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中の組成物(CA)と組み合わせることが可能な増粘剤及び/又はゲル化剤の例としては、以下のものを挙げることができる:セルロース、セルロース誘導体、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、又はヒドロキシプロピルセルロース、ケイ酸塩、デンプン、親水性デンプン誘導体又はポリウレタン。
【0073】
本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中の組成物(CA)と組み合わせることが可能な安定剤の例としては、以下のものを挙げることができる:マイクロクリスタリンワックス、より特にオゾケライト、鉱物質の塩、例えば塩化ナトリウム又は塩化マグネシウム、シリコーンポリマー、例えばポリシロキサンポリアルキルポリエーテルコポリマー。
【0074】
本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中の組成物(CA)と組み合わせることが可能な溶媒の例としては、以下のものを挙げることができる:水、有機溶媒、例えばグリセロール、ジグリセロール、グリセロールオリゴマー、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、水溶性アルコール、例えばエタノール、イソプロパノール若しくはブタノール又は水と前記有機溶媒との混合物。
【0075】
本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中の組成物(CA)と組み合わせることが可能な湧水又は鉱水の例としては、以下のものを挙げることができる:少なくとも300mg/Lの無機質化を有する湧水又は鉱水、特にAvene水、Vittel水、Vichy basin水、Uriage水、La Roche Posay水、La Bourboule水、Enghien-les-Bains水、Saint-Gervais-les-Bains水、Neris-les-Bains水、Allevard-les-Bains水、Digne水、Maizieres水、Neyrac-les-Bains水、Lons le Saunier水、Rochefort水、Saint Christau水、Les-Fumades水及びTercis-les-Bains水。
【0076】
本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中の組成物(CA)と組み合わせることが可能なヒドロトロープ剤の例としては、以下のものを挙げることができる:キシレンスルホネート、クメンスルホネート、ヘキシルポリグルコシド、2-エチルヘキシルポリグルコシド又はn-ヘプチルポリグルコシド。
【0077】
本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中の組成物(CA)と組み合わせることが可能な乳化用界面活性剤の例としては、以下のものを挙げることができる:ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤又はカチオン性界面活性剤。
【0078】
本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中の組成物(CA)と組み合わせることが可能な乳化性ノニオン性界面活性剤の例としては、以下のものを挙げることができる:ソルビトールの脂肪酸エステル、例えばMontane(商標)40、Montane(商標)60、Montane(商標)70、Montane(商標)80及びMontane(商標)85の名称で販売されている製品;グリセリルステアレートと5モル~150モルのエチレンオキシドを用いてエトキシル化したステアリン酸とを含む組成物、例えば135モルのエチレンオキシドを用いてエトキシル化したステアリン酸とグリセリルステアレートとを含む組成物(Simulsol(商標)165の名称で販売されている);マンニタンエステル、エトキシル化マンニタンエステル;スクロースエステル;メチルグルコシドエステル;直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和脂肪族基を含み、14~36個の炭素原子を含むアルキルポリグリコシド、例えばテトラデシルポリグルコシド、ヘキシルデシルポリグルコシド、オクタデシルポリグルコシド、ヘキシルデシルポリキシロシド、オクタデシルポリキシロシド、エイコシルポリグルコシド、ドデコシルポリグルコシド、(2-オクチルドデシル)ポリキシロシド、(12-ヒドロキシステアリル)ポリグルコシド;14~36個の炭素原子を含み、先に説明したアルキルポリグリコシドを含む直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和脂肪族アルコールの組成物、例えばMontanov(商標)68、Montanov(商標)14、Montanov(商標)82、Montanov(商標)202、Montanov(商標)S、Montanov(商標)WO18、Montanov(商標)L、Fluidanov(商標)20X及びEasynov(商標)のブランド名で販売されている組成物。
【0079】
本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中の組成物(CA)と組み合わせることが可能なアニオン性界面活性剤の例としては、以下のものを挙げることができる:グリセリルステアレートサイトレート、セテアリールスルフェート、セッケン、例えばステアリン酸ナトリウム又はステアリン酸トリエタノールアンモニウム又は塩形成されているアミノ酸のN-アシル誘導体、例えばグルタミン酸ステアロイル。
【0080】
本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中の組成物(CA)と組み合わせることが可能な乳化性カチオン性界面活性剤の例としては、以下のものを挙げることができる:アミンオキシド、クアテルニウム-82及び特許出願国際公開第96/00719号パンフレットに記載されている界面活性剤であって、主としてその脂肪族鎖が少なくとも16個の炭素原子を含むもの。
【0081】
本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中の組成物(CA)と組み合わせることが可能な乳白剤及び/又は真珠光沢剤の例としては、以下のものを挙げることができる:パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、エチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート及び12~22個の炭素原子を含む脂肪族アルコール。
【0082】
本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中の組成物(CA)と組み合わせることが可能なテクスチャリング剤の例としては、以下のものを挙げることができる:N-アシルアミノ酸誘導体、例えばラウロイルリシン(Aminohope(商標)LLの名称で販売されている)、オクテニルデンプンスクシネート(Dryflo(商標)の名称で販売されている)、ミリスチルポリグルコシド(Montanov(商標)14の名称で販売されている)、セルロース繊維、綿繊維、キトサン繊維、タルク、セリサイト及びマイカ。
【0083】
本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中の組成物(CA)と組み合わせることが可能な脱臭剤の例としては、以下のものを挙げることができる:アルカリケイ酸塩、亜鉛塩、例えば硫酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、塩化亜鉛又は乳酸亜鉛;第四級アンモニウム塩、例えばセチルトリメチルアンモニウム塩又はセチルピリジニウム塩;グリセロール誘導体、例えばカプリン酸グリセリル、カプリル酸グリセリル及びカプリン酸ポリグリセリル;1,2-デカンジオール、1,3-プロパンジオール;サリチル酸;重炭酸ナトリウム;シクロデキストリン;メタリックゼオライト;Triclosan(商標);アルミニウムブロモヒドレート、アルミニウムクロロヒドレート、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムジルコニウムクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムオクタクロロヒドレート、硫酸アルミニウム、乳酸アルミニウムナトリウム、アルミニウムクロロヒドレートとグリコールとの錯体、例えばアルミニウムクロロヒドレートとプロピレングリコールとの錯体、アルミニウムジクロロヒドレートとプロピレングリコールとの錯体、アルミニウムセスキクロロヒドレートとプロピレングリコールとの錯体、アルミニウムクロロヒドレートとポリエチレングリコールとの錯体、アルミニウムジクロロヒドレートとポリエチレングリコールとの錯体又はアルミニウムセスキクロロヒドレートとポリエチレングリコールとの錯体。
【0084】
本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中の組成物(CA)と組み合わせることが可能な油の例としては、以下のものを挙げることができる:鉱油、例えば流動パラフィン、液体石油ゼリー、イソパラフィン又はホワイト鉱油;動物由来の油、例えばスクアレン又はスクアラン;植物油、例えば、フィトスクアラン、スイートアーモンド油、ヤシ仁油、ヒマシ油、ホホバ油、オリーブ油、ナタネ油、ラッカセイ油、ヒマワリ油、麦芽油、トウモロコシ胚芽油、ダイズ油、綿油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、オオマツヨイグサ油、キビ油、オオムギ油、ライムギ油、サフラワー油、ククイ油、トケイソウ油、ハシバミ油、パーム油、シアバター、杏仁油、ビューティーリーフ油、シシンブリウム油、アボカド油、カレンデュラ油、花又は野菜由来の油、エトキシル化植物油;合成油、例えば脂肪酸エステル、例えばミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸プロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ステアリル酸ブチル、ステアリル酸ヘキサデシル、ステアリル酸イソプロピル、ステアリル酸オクチル、ステアリル酸イソセチル、オレイン酸ドデシル、ラウリン酸ヘキシル、プロピレングリコールジカプリレート、ラノール酸から誘導されるエステル、例えばラノール酸イソプロピル、ラノール酸イソセチル、脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリド、例えばグリセリルトリヘプタノエート、アルキルベンゾエート、硬化油、ポリ(α-オレフィン)、ポリオレフィン、例えばポリ(イソブタン)、合成イソアルカン、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン、ペルフルオロ化油;シリコーン油、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミンを用いて変性したシリコーン、脂肪酸を用いて変性したシリコーン、アルコールを用いて変性したシリコーン、アルコール及び脂肪酸を用いて変性したシリコーン、ポリエーテル基を用いて変性したシリコーン、エポキシ変性シリコーン、フルオロ基を用いて変性したシリコーン、環状シリコーン及びアルキル基を用いて変性したシリコーン。本特許出願では、「油」という用語は、水不溶性であり、且つ温度25℃で液体の外観を有する化合物及び/又は化合物の混合物を指す。
【0085】
本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中の組成物(CA)と組み合わせることが可能なワックスの例としては、以下のものを挙げることができる:蜜蝋、カルナウバワックス、カンデリラワックス、オウリカリワックス、木蝋、コルク繊維ワックス、サトウキビワックス、パラフィンワックス、亜炭ワックス、マイクロクリスタリンワックス、ラノリンワックス;オゾケライト;ポリエチレンワックス;シリコーンワックス;植物ワックス;室温で固体である脂肪族アルコール及び脂肪酸;室温で固体であるグリセリド。本特許出願では、「ワックス」という用語は、水に不溶性であり、且つ45℃以上の温度で固体の外観を有する化合物及び/又は化合物の混合物を指す。
【0086】
本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中の組成物(CA)と組み合わせることが可能な有効成分の例としては、以下のものを挙げることができる:ビタミン及びそれらの誘導体、特にそれらのエステル、例えばレチノール(ビタミンA)及びそのエステル(例えば、パルミチン酸レチニル)、アスコルビン酸(ビタミンC)及びそのエステル、アスコルビン酸の糖誘導体(例えば、アスコルビルグルコシド)、トコフェロール(ビタミンE)及びそのエステル(例えば、酢酸トコフェロール)、ビタミンB3又はB10(ナイアシンアミド及びその誘導体);皮膚上で淡色化又は脱色作用を示す化合物、例えばω-ウンデシレノイルフェニルアラニン(Sepiwhite(商標)MSH、Sepicalm(商標)VGの名称で販売されている)、ω-ウンデシレノイルフェニルアラニンのグリセリルモノエステル及び/又はジエステル、ω-ウンデシレノイルジペプチド、アルブチン、コウジ酸、ヒドロキノン;鎮静作用を示す化合物、特にSepicalm(商標)S、アラントイン及びビサボロール;抗炎症剤;湿潤作用を示す化合物、例えば尿素、ヒドロキシ尿素、グリセロール、ポリグリセロール、グリセロールグルコシド、ジグリセロールグルコシド、ポリグリセリルグルコシド、キシリチルグルコシド;ポリフェノールリッチな植物抽出物、例えばブドウ抽出物、パイン抽出物、ワイン抽出物及びオリーブ抽出物;スリミング作用又は脂質分解作用を示す化合物、例えばカフェイン又はその誘導体、Adiposlim(商標)、Adipoless(商標)、フコキサンチン;N-アシルプロテイン;N-アシルペプチド、例えばMatrixyl(商標);N-アシルアミノ酸;N-アシルタンパク質部分水解物;アミノ酸;ペプチド;タンパク質全水解物;ダイズ抽出物、例えばRaffermine(商標);小麦抽出物、例えばTensine(商標)又はGliadine(商標);植物抽出物、例えばタンニンリッチな植物抽出物、イソフラボンリッチな植物抽出物又はテルペンリッチな植物抽出物;淡水若しくは海水藻類抽出物;海洋植物抽出物;一般的にサンゴのような海洋抽出物;精製ワックス;バクテリア抽出物;セラミド;リン脂質;抗菌作用又は清浄化作用を示す化合物、例えばLipacide(商標)C8G、Lipacide(商標)UG、Sepicontrol(商標)A5;Octopirox(商標)又はSensiva(商標)SC50;活力化性能又は刺激性能を示す化合物、例えばPhysiogenyl(商標)、パンテノール及びその誘導体、例えばSepicap(商標)MP;抗老化性活性剤、例えばSepilift(商標)DPHP、Lipacide(商標)PVB、Sepivinol(商標)、Sepivital(商標)、Manoliva(商標)、Phyto-Age(商標)、Timecode(商標);Survicode(商標);抗光老化活性剤;表皮-真皮の接合部の一体性を保護するための薬剤;細胞外基質の成分の合成を促進する薬剤、例えばコラーゲン、エラスチン及びグリコサミノグリカン;化学的な細胞伝達の促進作用を有する活性剤、例えばサイトカイン又は物理的な細胞伝達の促進作用を有する例えばインテグリン;皮膚上で「温」感をもたらす活性剤、例えば微小循環活性化剤(例えば、ニコチン酸誘導体)又は皮膚上で「清涼」感をもたらす製品(例えば、メントール及びその誘導体);微小循環を改良する活性剤、例えば静脈活性化剤;排膿活性剤;鬱血緩和活性剤、例えばギンコ・ビロバ(Ginkgo biloba)、ツタ、セイヨウトチノキ(common horse chestnut)、タケ、ルスクス(Ruscus)、ナギイカダ(butcher’s-broom)、センテラ・アシアチカ(Centella asiatica=ツボクサ)、ヒバマタ(fucus)、ローズマリー又はヤナギの抽出物;日焼け剤、例えばジヒドロキシアセトン(DHA)、エリトルロース、メソ酒石酸アルデヒド、グルタルアルデヒド、グリセルアルデヒド、アロキサン、又はニンヒドリン、植物抽出物、例えばシタン(Pterocarpus)属及びバフィア(Baphia)属の赤色木材、例えばプテロカルプス・サンタリヌス(Pterocarpus santalinus)、プテロカルプス・オスン(Pterocarpus osun)、プテロカルプス・ソヤウキシ(Pterocarpus soyauxii)、プテロカルプス・エリナケウス(Pterocarpus erinaceus)、プテロカルプス・インジクス(Pterocarpus indicus)又はバフィア・ニチダ(Baphia nitida)の抽出物、例えば欧州特許出願公開第0 971 683号明細書に記載されているようなもの;ヒトの皮膚の日焼け(tanning)及び/又は日焼け(broning)を容易にし、且つ/又は加速する作用及び/又はヒトの皮膚の着色におけるその作用が知られている薬剤、例えばカロテノイド(より特にベータ-カロチン及びガンマ-カロチン)、Provital社から「Carrot oil」(INCI名称:ダウクス・カロタ(Daucus carrota)、ヘリアンツス・アヌウス(Helianthus annuus)、ヒマワリ油)のブランド名で販売されている製品(これには、カロテノイド、ビタミンE及びビタミンKが含まれる);チロシン及び/又はその誘導体(紫外線暴露と組み合わせてヒトの皮膚の日焼けを促進する効果で知られている)、例えばProvital社から「SunTan Accelerator(商標)」のブランド名で販売されている製品(これには、チロシン及びリボフラビン(ビタミンB)が含まれる)、チロシン及びチロシナーゼ複合体(Zymo Line社から「Zymo Tan Complex」のブランド名で販売されている)、Mibelle社からMelanoBronze(商標)のブランド名で販売されている製品(INCI名称:アセチルチロシン、イタリアニンジンボク抽出物(ビテックス・アグヌス-カスツス(Vitex Agnus-castus))(このものには、アセチルチロシンが含まれる)、Unipex社からUnipertan VEG-24/242/2002のブランド名で販売されている製品(INCI名称:ブチレングリコール及びアセチルチロシン及び加水分解植物タンパク質及びアデノシン三リン酸)、Sederma社から「Try-Excell(商標)」のブランド名で販売されている製品(INCI名称:オレオイルチロシン及びルファ・キリンドリカ(Luffa cylindrica)(シード)油及びオレイン酸)(これには、マロウシードの抽出物(又はヘチマ油)が含まれる)、Alban Muller社から「Actibronze(商標)」のブランド名で販売されている製品(INCI名称:加水分解小麦タンパク質及びアセチルチロシン及びグルコン酸銅)、Synerga社からTyrostan(商標)のブランド名で販売されている製品(INCI名称:カプロイルチロシンカリウム)、Synerga社からTyrosinolのブランド名で販売されている製品(INCI名称:ソルビタンイソステアレート、グリセリルオレエート、カプロイルチロシン)、Alban Muller社からInstaBronze(商標)のブランド名で販売されている製品(INCI名称:ジヒドロキシアセトン及びアセチルチロシン及びグルコン酸銅)、Exymol社からTyrosilaneのブランド名で販売されている製品(INCI名称:メチルシラノール及びアセチルチロシン);メラニン形成を活性化させる効果で知られているペプチド、例えばInfinitec Activos社からBronzing SF peptide powderのブランド名で販売されている製品(INCI名称:デキストラン及びオクタペプチド-5)、Melitaneのブランド名で販売されている製品(INCI名称:グリセリン及び水及びデキストラン及びアセチルヘキサペプチド-1)(α-MSH拮抗作用で知られるアセチルヘキサペプチド-1が含まれる)、Lipotec社からMelatimes Solutions(商標)のブランド名で販売されている製品(INCI名称:ブチレングリコール、パルミトイルトリペプチド-40),糖及び糖誘導体、例えばProvital社からTanositol(商標)のブランド名で販売されている製品(INCI名称:イノシトール)、CODIF international社からThalitan(商標)(又はPhycosaccharide(商標)AG)のブランド名で販売されている製品(INCI名称:水及び加水分解したアルギン(ラミナリア・ジギタタ(Laminaria digitata))及び硫酸マグネシウム及び硫酸マンガン)(海洋由来のオリゴサッカライド(マグネシウム及びマンガンイオンでキレート化されたグルロン酸及びマンヌロン酸)が含まれる)、Alban Muller社からMelactiva(商標)のブランド名で販売されている製品(INCI名称:マルトデキストリン、ムクナ・プルリエンス(Mucuna pruriens)シード抽出物)、フラボノイドリッチな化合物、例えばSilab社から「Biotanning」のブランド名で販売されている製品(INCI名称:加水分解シトルスのアウランチウム・ドゥルキス(Aurantium dulcis)果実抽出物)及び(ヘスペリジンタイプの)レモンフラボノイドリッチなことで知られているもの;頭髪及び/又は体毛を処理することを目的とする薬剤、例えば毛嚢のメラノサイトを保護するための薬剤であって、前記メラノサイトの老化及び/又はアポトーシスをもたらす細胞毒性薬剤に対して前記メラノサイトを保護することを目的とした、例えばDOPAクロームのタウトメラーゼ活性を模倣したような、欧州特許出願公開第1 515 688A2号明細書に記載されているものから選択されるもの、合成のSODミメティック分子、例えばマンガン錯体、抗酸化性化合物、例えばシクロデキストリン誘導体、アスコルビン酸、リシン又はアルギニンピロリドンカルボキシレートから誘導されるシリコーン含有化合物、ケイ皮酸及びビタミンCのモノエステル及びジエステルを組み合わせたもの及びより一般的には欧州特許出願公開第1 515 688A2号明細書に記載されているもの。
【0087】
本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中の組成物(CA)と組み合わせることが可能な抗酸化剤の例としては、以下のものを挙げることができる:EDTA及びそれらの塩、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)、トコフェロール誘導体、例えば酢酸トコフェロール、抗酸化剤化合物の混合物、例えばAkzoNobel社から販売されているDissolvine□GL47S(INCI名称:テトラナトリウムグルタメートジアセテート)。
【0088】
本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中の組成物(CA)と組み合わせることが可能なサンスクリーンの例としては、以下のものを挙げることができる:化粧品規則76/768/EEC、修正付属書VIIに記載されている全てのもの。本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中で式(I)の化合物又は組成物(C1)と組み合わせることが可能な有機サンスクリーンとしては、以下のものを挙げることができる:安息香酸誘導体のファミリー、例えばパラ-アミノ安息香酸(PABA)、特にPABAのモノグリセリルエステル、N,N-プロポキシPABAのエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAのエチルエステル、N,N-ジメチルPABAのエチルエステル、N,N-ジメチルPABAのメチルエステル及びN,N-ジメチルPABAのブチルエステル;アントラニル酸誘導体のファミリー、例えばアントラニル酸ホモメンチル-アセチル;サリチル酸誘導体のファミリー、例えばサリチル酸アミル、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸エチルヘキシル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ベンジル及びサリチル酸p-イソプロパノールフェニル;ケイ皮酸誘導体のファミリー、例えばケイ皮酸エチルヘキシル、ケイ皮酸エチル-4-イソプロピル、ケイ皮酸メチル2,5-ジイソプロピル、ケイ皮酸p-メトキシプロピル、ケイ皮酸p-メトキシイソプロピル、ケイ皮酸p-メトキシイソアミル、ケイ皮酸p-メトキシオクチル(ケイ皮酸p-メトキシ2-エチルヘキシル)、p-メトキシ-2-エトキシエチル、ケイ皮酸p-メトキシシクロヘキシル、ケイ皮酸エチル-α-シアノ-β-フェニル、ケイ皮酸2-エチルヘキシル-□α-シアノ-β-フェニル又はケイ皮酸グリセリル、ケイ皮酸ジ-パラ-メトキシモノ-2-エチルヘキサノイル;ベンゾフェノン誘導体のファミリー、例えば2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホネート、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4’-フェニルベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン;3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-ショウノウ、3-(ベンジリデン)-d,l-ショウノウ、ショウノウベンザルコニウムメソスルフェート;ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル;スルホン酸誘導体のファミリー、例えば2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸及びその塩;トリアジン誘導体のファミリー、例えばヒドロキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルオキシヒドロキシフェニル4-メトキシフェニルトリアジン、2,4,6-トリアニリノ(p-カルボ-2’-エチルヘキシル-1’-オキシ)-1,3,5-トリアジン、4,4-((6-(((1,1-ジメチルエチル)アミノ)カルボニル)フェニル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイルジイミノ)ビス-(2-エチルヘキシル)ベンゾエート、2-フェニル-5-メチルベンズオキサゾール、2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチフェニル)ベンゾトリアゾール;ジベンザジン;ジアニソイルメタン、4-メトキシ-4’’-t-ブチルベンゾイルメタン;5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン;ジフェニルアクリレート誘導体のファミリー、例えば2-シアノ-3,3-ジフェニル-2-プロペン酸2-エチルヘキシル、2-シアノ-3,3-ジフェニル-2-プロペン酸エチル;ポリシロキサンのファミリー、例えばベンジリデンシロキサンマロネート。
【0089】
本発明に係る局所使用向け化粧料配合物中の組成物(CA)と組み合わせることが可能な鉱物質サンスクリーン(鉱物質日焼け止めとも呼ばれる)としては、以下のものを挙げることができる:酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、黄色若しくは赤色若しくは黒色酸化鉄及び酸化クロム。これらの鉱物質日焼け止めは、微粉化されていてもいなくてもよく、表面処理をされていてもいなくてもよく、且つ任意選択的に水性又は油性の予備分散の形態であり得る。
【0090】
以下の実施例により本発明を説明するが、それらは、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0091】
A-1)-選択プロセスの選定
A-1-1)老化誘導タイプの選定
4つの異なるタイプの老化誘導について研究した:
- 継代R6で採取した「若齢」線維芽細胞の紫外線A波への急性曝露;幾つかの照射線量を試験した:1日1回の曝露について、5、10、15又は20J/cm2;
- 継代R6で採取した「若齢」線維芽細胞の紫外線A波への慢性曝露;幾つかの照射線量を試験した:1日2回の曝露について、3×5J/cm2又は6×2.5J/cm2;
- 継代R18まで連続的に複製させることにより「人工的に加齢させた」線維芽細胞の使用;
- 高齢ドナー(平均58歳)から入手した線維芽細胞プールの使用。
若齢線維芽細胞(継代R6)及び老化線維芽細胞(継代R20)は、同じドナーから、及び同じ細胞バッチから得られることに留意しなければならない。継代R20で採取した線維芽細胞は、R6細胞の連続複製後に得られた。
【0092】
最も好適なタイプの誘導を判定するため、5%CO2を含有する加湿雰囲気下、37℃における48ウェルプレート内の線維芽細胞用の標準培養培地に、継代R6又は継代R20のいずれで採取したかに関わらず、線維芽細胞を15000又は10000細胞/ウェルで播種した。
【0093】
各条件は四重反復測定で実施した。
【0094】
次に、伝染性加齢又はバイスタンダー効果について、細胞外IL-6の量及びβ-ガラクトシダーゼ活性を:
- 慢性又は急性UVA曝露に関して
- 高齢ドナーから入手した線維芽細胞プールの使用については96時間及び144時間の時点で
- 複製誘導性の老化については24時間及び48時間の時点で測定することにより判定した。
【0095】
次に、得られた結果から、細胞外IL-6の量及びβ-ガラクトシダーゼ活性の変化度を計算し、定性的観察を収集することが可能であった;これらの結果全てを以下の表1に整理する。
【0096】
【0097】
継代R20までの線維芽細胞の複製によってのみ、伝染性加齢又はバイスタンダー効果の表現型に特徴的なIL-6分泌の増加及びβ-ガラクトシダーゼ標識の増加を観察することが可能であった。
【0098】
従って上記の試験から、伝染性加齢を模擬するモデルについての老化誘導タイプとして連続複製を選択することが可能であった。
【0099】
A-1-2)伝染性加齢の模擬に最も好適なモデルの選定
継代R6及びR20で採取した線維芽細胞での「バイスタンダー効果」の観察に最も好適なものを選択するため、様々な方法を用いた:
- 線維芽細胞用の標準培養培地でのR6若齢線維芽細胞とR20老化線維芽細胞との間接的、即ち挿入物を伴う共培養
- 同じウェル内でのこれらの細胞の直接的共培養、継代R20で採取した老化細胞を標識して両者を区別する
- 継代R6で採取した「若齢」線維芽細胞と接触して置かれた、R20老化線維芽細胞で条件付けしたMCR20培地の使用。
【0100】
伝染性加齢の判定に最も好適なモデルの決定に用いられるプロトコルの説明:
インサートを用いた間接的共培養モデル:
継代R5及びR19で採取した正常ヒト線維芽細胞を、それぞれ、それぞれの継代R6及びR20まで増幅し、次に、R6については30000細胞/ウェルで24ウェルプレートに、及びR20については15000細胞/ウェルでインサートに播種した。
【0101】
インサート及び24ウェルプレートにおいて72時間増幅した後、R20細胞が入ったインサートをR6細胞が入った24ウェルプレートに入れ、24時間及び4日間接触させて置いた。
【0102】
これらの24時間及び4日間のインキュベートした後、以下の老化マーカーを判定した:
- 染色によるβ-ガラクトシダーゼ活性
- ELISAアッセイによるインターロイキン-6の量。
【0103】
直接的共培養モデル:
継代R5及びR19で採取した正常ヒト線維芽細胞を、それぞれ、それぞれの継代R6及びR20まで増幅し、次にペトリ皿に0.3M/ペトリ皿で播種した。
【0104】
ペトリ皿で5日間増幅した後、継代R20の細胞の細胞叢を蛍光標識した(Alexa Fluor(登録商標)488 NHSエステルマーカー、5mM)。次にこれを非老化及び非標識R6細胞と共に1/1比で48ウェルプレートに播種した(即ちこれらの2継代物について7500細胞/ウェル)。次に、このように播種した細胞を48時間インキュベートした。
【0105】
この48時間のインキュベートした後、以下の老化マーカーを判定した:
- 染色によるβ-ガラクトシダーゼ活性
- ELISAアッセイによるインターロイキン-6の量。
【0106】
条件付け培地を用いたモデル:
継代R19で採取した正常ヒト線維芽細胞を継代R20まで増幅し、次にペトリ皿に0.3M/ペトリ皿で播種した。
【0107】
ペトリ皿において4日間増幅した後、全ての皿の培養培地を交換し、次に48時間インキュベートした後に回収した。この回収された培地は、SMSメディエーターを含む老化細胞による条件付け培地(MCR20)に相当する。
【0108】
並行して、R6「若齢」線維芽細胞を48ウェルプレートに10000及び15000細胞/ウェルで播種した。72時間インキュベートした後、MCR20条件付け培地をこれらの細胞上に置いた。老化細胞で条件付けした培地によってこのように処理した細胞を24時間及び48時間インキュベートした。
【0109】
次に以下の老化マーカーを判定した:
- 48時間の時点における染色によるβ-ガラクトシダーゼ活性
- 24時間の時点におけるELISAアッセイによるインターロイキン-6の量。
【0110】
結論
条件付け培地を使用した唯一つの伝染性加齢モデルについてのみ、確証的な信頼できる結果が明らかになった:インターロイキン-6の増加、及びその代謝活性の変化(β-ガラクトシダーゼ活性の増加)。こうした変化は、老齢細胞で条件付けした培地によって処理した「若齢」細胞の老化の特徴である。
【0111】
A-2)-最適方法の定義
従って詳細な方法は、以下のステップを含む。
【0112】
- ステップi)継代R19で採取したヒト皮膚線維芽細胞をT25フラスコにおいて培養するステップ。
【0113】
- ステップii)ステップi)の結果として得られた細胞を増幅して、老化細胞で条件付けされた培地、即ち「MCR20」を得るステップ。
【0114】
ステップi)の結果として得られた細胞の増幅は、前記細胞をペトリ皿に0.3M/ペトリ皿で播種することにより実施される。ペトリ皿において4日間増幅した後、全ての皿の培養培地を交換し、次に48時間インキュベートした後に回収する。この回収された培地が、SMSメディエーターを含む老化細胞による条件付け培地(MCR20)に相当する。
【0115】
- ステップiii)継代R5で採取したヒト皮膚線維芽細胞をT25フラスコにおいて培養するステップ。
【0116】
- ステップiv)ステップiii)の結果として得られた細胞を増幅して、増幅期にある「若齢」又は「R6」細胞を得るステップ。
【0117】
ステップiii)及びiv)はステップi)及びii)と並行して実施される。
【0118】
ステップiii)の結果として得られた細胞の増幅は、前記細胞を48ウェルプレートに10000及び15000細胞/ウェルで播種することにより実施される。
【0119】
- ステップv)化学物質(S)又は化学組成物(C)をステップiv)で得られた細胞培地と接触させて置くステップ。
【0120】
- ステップvi)ステップii)で得られたMCR20e条件付け培地をステップiii)で得られた増幅期の「若齢」又は「R6」細胞と接触させて置くステップ。
【0121】
このステップd)においては、ステップii)で得られたMCR20条件付け培地がステップv)で得られた「若齢」又は「R6」細胞と48時間接触して置かれる。
【0122】
- ステップvii)培養上清中に存在する細胞外インターロイキンIL-6の量を測定するステップ、及びステップvi)から得られた細胞に存在するβ-ガラクトシダーゼ活性を測定するステップ。
【0123】
- ステップviii)細胞外IL-6及びβ-ガラクトシダーゼの発現レベルを比較するステップ。
【0124】
より正確には、このステップviii)との関連において、以下が計算される:
細胞外インターロイキンIL-6について、比R1=[(N10-N1i)×100]/[(N10-N1)][式中:
- N1は、上述の方法であって、そのステップv)又はステップvi)のいずれも実施しない方法(未処理で、且つ継代R20の条件付け細胞と組み合わされていない継代R6の細胞)の結果として得られる培養培地で測定されたIL-6の量に対応し、
- N10は、上述の方法であって、そのステップv)を実施しない方法(未処理で、且つ継代R20の条件付け細胞と組み合わされた継代R6の細胞)の結果として得られる培養培地で測定されたIL-6の量に対応し、
- N1iは、方法のステップv)で物質又は組成物(i)が使用されるときの(未処理で、且つ継代R20の条件付け細胞と組み合わされていない継代R6の細胞)、上述の方法の結果として得られる培養培地で測定されたIL-6の量に対応する]。
【0125】
細胞外インターロイキンIL-6について、比R2=[(N20-N2i)×100]/[(N20-N2)][式中:
- N2は、上述の方法であって、そのステップv)又はステップvi)のいずれも実施しない方法(未処理で、且つ継代R20の条件付け細胞と組み合わされていない継代R6の細胞)の結果として得られる培養培地で測定されたβ-ガラクトシダーゼの量に対応する、
- N20は、上述の方法であって、そのステップv)を実施しない方法(未処理で、且つ継代R20の条件付け細胞と組み合わされた継代R6の細胞)の結果として得られる培養培地で測定されたβ-ガラクトシダーゼの量に対応する、
- N2iは、方法のステップv)で物質又は組成物(i)が使用されるときの(未処理で、且つ継代R20の条件付け細胞と組み合わされていない継代R6の細胞)、上述の方法の結果として得られる培養培地で測定されたβ-ガラクトシダーゼの量に対応する]。
【0126】
B]-本発明の主題である方法に係る物質及び組成物の判定
予め乾燥させて篩過した紅藻アスパラゴプシス・アルマタ(Asparagopsis armata)の粉末を1,3-プロパンジオール/水混合物(40/60v/v)と共に使用した抽出により前記溶媒中1.2%のアスパラゴプシス・アルマタ(Asparagopsis armata)の抽出物を得て、組成物(CA1)を調製した。
【0127】
エタノールへの20℃の温度で2時間の浸漬により組成物(CA2)を調製した。このようにして得た抽出物を蒸発させて、メタノール中に取り込むと、沈殿物となって存在するミネラルが生じ、この沈殿物をろ去する。次にろ液を蒸発させて、次にH2O/CH3CN溶媒グラジエントでのセミ分取HPLC(Phenomenex(商標)C18カラム)によって精製すると共に、収集された画分を確保しておき、次に分析して50mg/Lのパリチン当量の比率でミコスポリン様アミノ酸の量を決定した。
【0128】
先述の方法の実施後に組成物の各々について得られた結果を以下の表2に整理する。
【0129】
次に組成物(CA1)及び(CA2)を0.1質量%の比率となるように1,3-プロパンジオールに希釈した。
【0130】
【0131】
結果の分析
比R1は、参照化合物として使用したビタミンC並びに本発明に係る組成物(CA1)及び(CA2)の両方について30より大きい。
【0132】
比R1は、参照化合物として使用したビタミンE並びに本発明に係る組成物(CA1)及び(CA2)の両方について70より大きい。
【0133】
これらの組成物(CA1)及び(CA2)は、伝染性加齢又はバイスタンダー効果からの保護に選択されてもよい。
【0134】
参考文献一覧
[1]:Campisi,J.and d’Adda di Fagagna F.,“Cellular senescence:when bad things happen to good cells.”Nat.Rev.,Mol.Cell Biol.,2007,8,729-740
[2]:Coppe J.P.et al.,“Senescence-associated secretory phenotypes reveal cell-nonautonomous functions of oncogenic RAS and the p53 tumor suppressor”,PloS Biol.,2008,6,2853-2868
[3]:Passos J.F.et al.,“A feedback between p21 and reactive oxygen production is necessary for cell senescence”,Mol.Syst.Biol,2010,6,347
[4]:Nelson G.,Wordsworth J.,Wang C.,Jurk D.,Lawless C.,Martin-Ruiz C.and Von Zglinicki T.:“A senescent cell bystander effect:senescence-induced Senescence”.Aging Cell,2012,11,345-349.
[5]:Redmond R.W.,Rajadurai A.,Udayakumar D.,Sviderskaya E.V.,Tsao H.“Melanocytes are selectively vulnerable to UVA-mediated Bystander Oxidative Signaling.”J.Invest.Dermatol.2014,134,pp.1083-1090.
【国際調査報告】