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特表2022-505890サンプルバイアル、ラックマウント、およびそれらを使用したサンプリングデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】サンプルバイアル、ラックマウント、およびそれらを使用したサンプリングデバイス
(51)【国際特許分類】
   B01L 9/06 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
B01L9/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021522974
(86)(22)【出願日】2019-10-24
(85)【翻訳文提出日】2021-06-23
(86)【国際出願番号】 IB2019059138
(87)【国際公開番号】W WO2020084569
(87)【国際公開日】2020-04-30
(31)【優先権主張番号】62/750,101
(32)【優先日】2018-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.UNIX
2.BLUETOOTH
3.Linux
4.JAVA
5.SMALLTALK
6.JAVASCRIPT
7.SWIFT
(71)【出願人】
【識別番号】518410032
【氏名又は名称】パーキンエルマー・ヘルス・サイエンシーズ・カナダ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PERKINELMER HEALTH SCIENCES CANADA, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】バディエイ ハミッド
【テーマコード(参考)】
4G057
【Fターム(参考)】
4G057AE05
4G057AE15
(57)【要約】
自動サンプラーラックマウントおよび自動サンプラーラックマウントに使用され得る流体バイアルが説明される。一部の構成では、ラックマウントは、各流体バイアルを回転的にスピンさせて、バイアル内の流体の混合もしくは攪拌が促進され、かつ/または流体の均一性が維持されるように構成することができる。必要に応じて、流体バイアルは、混合または攪拌を促進するための1つ以上の内部特徴部を含み得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの出力シャフトに結合するように構成され、自動サンプラーラックマウントの複数の流体バイアル部位の各々で単一の流体バイアルを受容するように構成された前記自動サンプラーラックマウントであって、前記自動サンプラーラックマウントが、互いに機械的に結合された複数の独立した回転可能なデバイスを含み、それぞれの回転可能なデバイスが、単一の流体バイアルを受容するように構成された前記自動サンプラーラックマウントの各流体バイアル部位に結合され、前記回転可能なデバイスが、結合された各流体バイアルを回転させるように一緒に構成され、隣接する流体バイアルを反対の円周方向に回転させるように構成されている、自動サンプラーラックマウント。
【請求項2】
前記自動サンプラーラックマウントが、第1の回転周期の後に各流体バイアルの回転方向を逆転させるように構成されている、請求項1に記載の自動サンプラーラックマウント。
【請求項3】
前記複数の独立した回転可能なデバイスの各々が、隣接する平面歯車上の歯と係合するように構成された複数の歯を含む平面歯車を含む、請求項2に記載の自動サンプラーラックマウント。
【請求項4】
前記複数の独立した回転可能なデバイスの各々が、ベルトと摩擦係合するように構成されたプーリーを含み、前記プーリーのうちの少なくとも1つが、前記モータの前記出力シャフトに結合するように構成され、前記モータの前記出力シャフトに結合された前記プーリーの回転運動が、前記独立した回転可能なプーリーの各々を回転させるように動作し、隣接する回転可能なプーリーが、反対の円周方向に回転する、請求項2に記載の自動サンプラーラックマウント。
【請求項5】
各独立した回転可能なデバイスが、同じ速度で回転するように寸法設定および配置されている、請求項1に記載の自動サンプラーラックマウント。
【請求項6】
前記独立した回転可能なデバイスのうちの少なくとも1つが、異なる速度で回転するように構成されている、請求項1に記載の自動サンプラーラックマウント。
【請求項7】
各独立した回転可能なデバイスが、それぞれの流体バイアルの末端を受容するように構成されたレセプタクルに結合されている、請求項1に記載の自動サンプラーラックマウント。
【請求項8】
各流体バイアル部位が、前記流体バイアル上の磁石に磁気的に結合して、前記流体バイアルを前記流体バイアル部位に保持するように構成された磁石を含む、請求項1に記載の自動サンプラーラックマウント。
【請求項9】
前記ラックマウントは、少なくとも1つの流体バイアル内の流体が混合されているかどうかを判定するように構成されたセンサを含む、請求項1に記載の自動サンプラーラックマウント。
【請求項10】
前記自動サンプラーラックマウントが、各流体バイアルを交互の円周方向に回転させることによって、前記流体バイアルによって受容された流体を連続的に撹拌して、前記流体バイアル内の流体中の粒子が沈降するのを防止するように構成されている、請求項9に記載の自動サンプラーラックマウント。
【請求項11】
流体を受容し、前記流体をサンプリングする前に前記流体を保持するように構成された自動サンプラーバイアルであって、前記自動サンプラーバイアルが、前記流体を受容するように構成された第1の端部と、自動サンプラーラックマウントに結合するように構成された第2の端部と、を含み、前記自動サンプラーバイアルは、前記自動サンプラーバイアルが第1の回転方向に円周方向に回転するときに、前記自動サンプラーバイアル内で前記受容したものを攪拌するように構成され、前記自動サンプラーバイアルが前記第1の回転方向と反対の第2の回転方向に円周方向に回転するときに、前記自動サンプラーバイアル内で受容された前記流体を攪拌するように構成された少なくとも1つの内部特徴部をさらに含む、自動サンプラーバイアル。
【請求項12】
前記第2の端部が、独立流体バイアル部位で前記自動サンプラーラックマウントに可逆的に結合され、前記自動サンプラーラックマウントの前記独立流体バイアル部位に結合された回転可能なデバイスが回転するときに、前記流体バイアルを円周方向に回転させるように構成されている、請求項11に記載の自動サンプラーバイアル。
【請求項13】
前記第2の端部が、摩擦嵌合によって前記自動サンプラーラックマウントの前記独立流体バイアル部位に可逆的に結合している、請求項12に記載の自動サンプラーバイアル。
【請求項14】
前記第2の端部が、前記独立流体バイアル部位上の第1の磁石および前記流体バイアル上の第2の磁石を介して、前記自動サンプラーラックマウントの前記独立流体バイアル部位に可逆的に結合している、請求項12に記載の自動サンプラーバイアル。
【請求項15】
前記流体バイアルの前記第2の端部における混合特徴部をさらに含み、前記混合特徴部は、前記流体バイアルが回転するときに、前記流体バイアル内の前記流体に渦電流を生成するように構成されている、請求項11に記載の自動サンプラーバイアル。
【請求項16】
流体バイアルから流体をサンプリングする前に前記流体バイアル内で前記流体を混合する方法であって、前記方法が、前記流体バイアル内の内部混合特徴部を使用して、前記流体バイアルを、第1の回転周期の間、第1の回転方向に回転的にスピンさせて、前記流体を混合することと、前記流体バイアル内の前記内部混合特徴部を使用して、前記流体バイアルを第2の回転周期の間、前記第1の回転方向と反対の第2の回転方向に回転的にスピンさせて、前記流体を混合することと、を含む、方法。
【請求項17】
前記流体バイアルを前記第1の回転方向および前記第2の回転方向に順次スピンさせて、混合流体を維持することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の回転周期中に、隣接する流体バイアルを反対の回転方向にスピンさせることをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の回転周期中に、隣接する流体バイアルを同様の回転方向にスピンさせることをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
各流体バイアルが、前記流体を受容するように構成された第1の端部と、混合特徴部を含む第2の端部と、を含み、前記混合特徴部は、前記流体バイアルが回転するときに、前記流体バイアル内の前記流体に渦電流を生成するように構成されている、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
ラックマウントおよびモータを含む自動サンプラーシステムであって、前記ラックマウントが、複数の流体バイアル部位の各々で単一の流体バイアルを受容するように構成され、前記ラックマウントが、互いに機械的に結合された複数の独立した回転可能なデバイスを含み、前記回転可能なデバイスのうちの少なくとも1つが、前記モータの駆動シャフトに結合され、それぞれの回転可能なデバイスが、単一の流体バイアルを受容するように構成された前記ラックマウントの各流体バイアル部位に結合され、前記回転可能なデバイスが、結合された各流体バイアルを第1の回転方向および前記第1の回転方向と反対の第2の回転方向に回転させるように一緒に構成されている、自動サンプラーシステム。
【請求項22】
前記回転可能なデバイスが、隣接する流体バイアルを反対の回転方向に回転させるように一緒に構成されている、請求項21に記載の自動サンプラーシステム。
【請求項23】
前記モータが、前記駆動シャフトの回転方向を逆転させて、第1の回転周期後に各流体バイアルの回転方向を逆転させるように構成されている、請求項21に記載の自動サンプラーシステム。
【請求項24】
前記複数の独立した回転可能なデバイスの各々が、隣接する平面歯車上の歯と係合するように構成された複数の歯を含む平面歯車を含む、請求項23に記載の自動サンプラーシステム。
【請求項25】
前記複数の独立した回転可能なデバイスの各々が、ベルトと摩擦係合するように構成されたプーリーを含み、前記プーリーのうちの少なくとも1つが、前記モータの前記出力シャフトに結合するように構成され、前記モータの前記出力シャフトに結合された前記プーリーの回転運動が、前記独立した回転可能なプーリーの各々を回転させるように動作し、隣接する回転可能なプーリーが、反対の円周方向に回転する、請求項21に記載の自動サンプラーシステム。
【請求項26】
前記複数の独立した回転可能なデバイスの各々が、ベルトと摩擦係合するように構成されたプーリーを含み、前記プーリーのうちの少なくとも1つが、前記モータの前記出力シャフトに結合するように構成され、前記モータの前記出力シャフトに結合された前記プーリーの回転運動が、前記独立した回転可能なプーリーの各々を回転させるように動作し、隣接する回転可能なプーリーが、同じ円周方向に回転する、請求項21に記載の自動サンプラーシステム。
【請求項27】
前記独立した回転可能なデバイスのうちの少なくとも1つが、異なる速度で回転するように構成されている、請求項21に記載の自動サンプラーシステム。
【請求項28】
各流体バイアル部位が、前記流体バイアル上の磁石に磁気的に結合して、前記流体バイアルを前記流体バイアル部位に保持するように構成された磁石を含む、請求項21に記載の自動サンプラーシステム。
【請求項29】
前記ラックマウントは、少なくとも1つの流体バイアル内の流体が混合されているかどうかを判定するように構成されたセンサを含む、請求項21に記載の自動サンプラーシステム。
【請求項30】
前記ラックマウントが、各流体バイアルを交互の円周方向に回転させることによって、各流体バイアルによって受容された流体を連続的に撹拌して、前記流体バイアル内の流体中の粒子が沈降するのを防止するように構成されている、請求項29に記載の自動サンプラーシステム。
【請求項31】
イオン化デバイスに流体結合されたサンプル導入デバイスを含む質量分析計であって、前記サンプル導入デバイスが、互いに機械的に結合された複数の独立した回転可能なデバイスを含む自動サンプラーラックマウントに流体結合され、前記回転可能なデバイスのうちの少なくとも1つが、前記モータの駆動シャフトに結合され、それぞれの回転可能なデバイスが、単一の流体バイアルを受容するように構成された前記ラックマウントの各流体バイアル部位に結合され、前記回転可能なデバイスが、結合された各流体バイアルを第1の回転方向および前記第1の回転方向と反対の第2の回転方向に回転させるように一緒に構成され、前記回転可能なデバイスが、隣接する流体バイアルを反対の回転方向に回転させるように一緒に構成されている、質量分析計。
【請求項32】
イオン化デバイス、質量分析器および検出器をさらに含み、前記サンプル導入デバイスが、前記イオン化デバイスに流体結合され、前記イオン化デバイスが、前記質量分析器に流体結合され、前記質量分析器が、前記検出器に流体結合され、前記サンプル導入デバイスが、前記ラックマウント内の流体バイアルから流体を受容するように構成されている、請求項31に記載の質量分析計。
【請求項33】
前記イオン化デバイスが、誘導結合プラズマを含む、請求項32に記載の質量分析計。
【請求項34】
前記質量分析器が、少なくとも1つの四重極を含む、請求項33に記載の質量分析計。
【請求項35】
前記検出器が、電子増倍管を含む、請求項34に記載の質量分析計。
【請求項36】
前記検出器が、飛行時間型装置を含む、請求項32に記載の質量分析計。
【請求項37】
前記自動サンプラーラックマウントが、第1の回転周期の後に各流体バイアルの回転方向を逆転させるように構成されている、請求項31に記載の質量分析計。
【請求項38】
前記複数の独立した回転可能なデバイスの各々が、隣接する平面歯車上の歯と係合するように構成された複数の歯を含む平面歯車を含む、請求項37に記載の質量分析計。
【請求項39】
前記複数の独立した回転可能なデバイスの各々が、ベルトと摩擦係合するように構成されたプーリーを含み、前記プーリーのうちの少なくとも1つが、前記モータの前記出力シャフトに結合するように構成され、前記モータの前記出力シャフトに結合された前記プーリーの回転運動が、前記独立した回転可能なプーリーの各々を回転させるように動作し、隣接する回転可能なプーリーが、反対の円周方向に回転する、請求項31に記載の質量分析計。
【請求項40】
前記ラックマウントが、各流体バイアルを交互の円周方向に回転させることによって、前記流体バイアルによって受容された流体を連続的に撹拌して、前記流体バイアル内の流体中の粒子が沈降するのを防止するように構成されている、請求項31に記載の質量分析計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権出願
本出願は、2018年10月24日に提出された米国特許仮出願第62/750,101号の優先権および利益を主張し、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書で説明する特定の構成は、自動サンプラーで使用され得るラックマウントを対象としている。一部の構成では、ラックマウントは、複数の別個のバイアルを異なる回転方向に独立して回転させて、粒子または粒子状物質をバイアル内の流体に懸濁させておくように構成することができる。
【背景技術】
【0003】
液体および気体のサンプルには、多くの場合、粒子または粒子状物質が含まれている。密度の高い粒子または粒子状物質ほど、サンプリングバイアルまたは容器の底に沈殿することが多く、その結果、サンプルが不均一になり、精度および正確さが低下する可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
ラックマウント、流体バイアル、およびそれらの使用方法の特定の態様が説明される。図示された構成は、特定の態様および構成のユーザフレンドリーな説明を提供するものであり、ラックマウントおよび流体バイアルのその他の追加の態様、構成および図示が可能である。
【0005】
別の態様では、モータの出力シャフトに結合するように構成され、自動サンプラーラックマウントの複数の流体バイアル部位の各々で単一の流体バイアルを受容するように構成された自動サンプラーラックマウントが説明される。特定の実施形態では、自動サンプラーラックマウントは、互いに機械的に結合された複数の独立した回転可能なデバイスを含む。一部の場合では、それぞれの回転可能なデバイスが、単一の流体バイアルを受容するように構成された自動サンプラーラックマウントの各流体バイアル部位に結合される。特定の例では、回転可能なデバイスは、結合された各流体バイアルを一緒に回転させるように構成され、隣接する流体バイアルを反対の円周方向に回転させるように構成される。例えば、隣接するバイアルは、バイアルの上部から見たときに反対の円周方向に回転する。
【0006】
特定の実施形態では、自動サンプラーラックマウントは、第1の回転周期の後に各流体バイアルの回転方向を逆転させるように構成される。一部の例では、複数の独立した回転可能なデバイスの各々は、隣接する平面歯車上の歯と係合するように構成された複数の歯を含む平面歯車を含む。他の例では、複数の独立した回転可能なデバイスの各々は、ベルトと摩擦係合するように構成されたプーリーを含み、プーリーのうちの少なくとも1つは、モータの出力シャフトに結合するように構成され、モータの出力シャフトに結合されたプーリーの回転運動は、独立した回転可能なプーリーの各々を回転させるように動作し、隣接する回転可能なプーリーは、反対の円周方向に回転する。追加の例では、各独立した回転可能なデバイスは、同じ速度で回転するようにサイズ設定および配置されている。一部の実施形態では、独立した回転可能なデバイスのうちの少なくとも1つは、異なる速度で回転するように構成される。特定の例では、各独立した回転可能なデバイスは、それぞれの流体バイアルの末端を受容するように構成されたレセプタクルに結合される。他の例では、各流体バイアル部位は、流体バイアル上の磁石に磁気的に結合して流体バイアルを流体バイアル部位に保持するように構成された磁石を含む。一部の例では、ラックマウントは、少なくとも1つの流体バイアル内の流体が混合されているかどうかを判定するように構成されたセンサ、例えば、光学センサ、音響センサなどを含む。特定の実施形態では、自動サンプラーラックマウントは、各流体バイアルを交互の円周方向に回転させることによって、流体バイアルによって受容された流体を連続的に撹拌して、流体バイアル内の流体中の粒子が沈降するのを防止するように構成される。
【0007】
別の態様では、流体を受容し、流体をサンプリングする前に流体を保持するように構成された自動サンプラーバイアルが説明される。一部の例では、自動サンプラーバイアルは、流体を受容するように構成された第1の端部と、自動サンプラーラックマウントに結合するように構成された第2の端部と、を含む。一部の例では、自動サンプラーバイアルは、自動サンプラーバイアルが第1の回転方向に円周方向に回転するときに、自動サンプラーバイアル内で受容したものを攪拌するように構成され、自動サンプラーバイアルが第1の回転方向と反対の第2の回転方向に円周方向に回転するときに、自動サンプラーバイアル内で受容された流体を攪拌するように構成された少なくとも1つの内部特徴部をさらに含む。
【0008】
特定の構成では、第2の端部は、独立流体バイアル部位で自動サンプラーラックマウントに可逆的に結合され、自動サンプラーラックマウントの独立流体バイアル部位に結合された回転可能なデバイスが回転するときに、流体バイアルを円周方向に回転させるように構成される。他の構成では、第2の端部は、摩擦嵌合によって自動サンプラーラックマウントの独立流体バイアル部位に可逆的に結合する。一部の実施形態では、第2の端部は、独立流体バイアル部位上の第1の磁石および流体バイアル上の第2の磁石を介して、自動サンプラーラックマウントの独立流体バイアル部位に可逆的に結合する。他の例では、バイアルは、流体バイアルの第2の端部における混合特徴部を含み得、混合特徴部は、流体バイアルが回転するときに、流体バイアル内の流体に渦電流を生成するように構成される。
【0009】
別の態様では、流体バイアルから流体をサンプリングする前に、流体バイアル内で流体を混合する方法が説明される。一部の例では、この方法は、流体バイアルの内部混合特徴部を使用して、流体バイアルを、第1の回転周期の間、第1の回転方向に回転的にスピンさせて、流体を混合することを含む。この方法はまた、流体バイアルの内部混合特徴部を使用して、第2の回転周期の間、第1の回転方向と反対の第2の回転方向に流体バイアルを回転的にスピンさせて、流体を混合することを含み得る。
【0010】
特定の例では、この方法は、流体バイアルを第1の回転方向および第2の回転方向に順次スピンさせて、混合流体を維持することを含む。他の例では、この方法は、第1の回転周期中に、隣接する流体バイアルを反対の回転方向にスピンさせることを含む。特定の例において、この方法は、第1の回転周期中に、隣接する流体バイアルを同様の回転方向にスピンさせることを含む。一部の例では、各流体バイアルは、流体を受容するように構成された第1の端部と、混合特徴部を含む第2の端部と、を含み、混合特徴部は、流体バイアルが回転するときに、流体バイアル内の流体に渦電流を生成するように構成される。
【0011】
追加の態様では、自動サンプラーシステムは、ラックマウントおよびモータを含む。一部の例では、ラックマウントは、複数の流体バイアル部位の各々で単一の流体バイアルを受容するように構成され、ラックマウントは、互いに機械的に結合された複数の独立した回転可能なデバイスを含む。特定の例では、回転可能なデバイスのうちの少なくとも1つは、モータの駆動シャフトに結合されている。一部の例では、それぞれの回転可能なデバイスは、単一の流体バイアルを受容するように構成されたラックマウントの各流体バイアル部位に結合されている。他の例では、回転可能なデバイスは、結合された各流体バイアルを第1の回転方向および第1の回転方向と反対の第2の回転方向に回転させるように一緒に構成される。
【0012】
特定の実施形態では、回転可能なデバイスは、隣接する流体バイアルを反対の回転方向に回転させるように一緒に構成される。他の実施形態では、モータは、駆動シャフトの回転方向を逆転させて、第1の回転周期の後に各流体バイアルの回転方向を逆転させるように構成される。特定の例では、複数の独立した回転可能なデバイスの各々は、隣接する平面歯車上の歯と係合するように構成された複数の歯を含む平面歯車を含む。特定の例では、複数の独立した回転可能なデバイスの各々は、ベルトと摩擦係合するように構成されたプーリーを含み、プーリーのうちの少なくとも1つは、モータの出力シャフトに結合するように構成され、モータの出力シャフトに結合されたプーリーの回転運動は、独立した回転可能なプーリーの各々を回転させるように動作し、隣接する回転可能なプーリーは、反対の円周方向に回転する。一部の構成では、他の例では、複数の独立した回転可能なデバイスの各々は、ベルトと摩擦係合するように構成されたプーリーを含み、プーリーのうちの少なくとも1つは、モータの出力シャフトに結合するように構成され、モータの出力シャフトに結合されたプーリーの回転運動は、独立した回転可能なプーリーの各々を回転させるように動作し、隣接する回転可能なプーリーは、同じ円周方向に回転する。他の例では、独立した回転可能なデバイスのうちの少なくとも1つは、異なる速度で回転するように構成される。一部の例では、各流体バイアル部位は、流体バイアル上の磁石に磁気的に結合して流体バイアルを流体バイアル部位に保持するように構成された磁石を含む。特定の実施形態では、ラックマウントは、少なくとも1つの流体バイアル内の流体が混合されているかどうかを判定するように構成されたセンサを含む。一部の例では、ラックマウントは、各流体バイアルを交互の円周方向に回転させることによって、各流体バイアルによって受容された流体を連続的に撹拌して、流体バイアル内の流体中の粒子が沈降するのを防止するように構成される。
【0013】
別の態様では、イオン化デバイスに流体結合されたサンプル導入デバイスを含む質量分析計が提供される。一部の場合では、サンプル導入デバイスは、互いに機械的に結合された複数の独立した回転可能なデバイスを含む自動サンプラーラックマウントに流体結合され得、回転可能なデバイスのうちの少なくとも1つは、モータの駆動シャフトに結合され、それぞれの回転可能なデバイスは、単一の流体バイアルを受容するように構成されたラックマウントの各流体バイアル部位に結合され、回転可能なデバイスは、結合された各流体バイアルを第1の回転方向および第1の回転方向と反対の第2の回転方向に回転させるように一緒に構成され、回転可能なデバイスは、隣接する流体バイアルを反対の回転方向に回転させるように一緒に構成される。
【0014】
特定の例では、質量分析計は、イオン化デバイス、質量分析器および検出器を含み、サンプル導入デバイスは、イオン化デバイスに流体結合され、イオン化デバイスは、質量分析器に流体結合され、質量分析器は、検出器に流体結合され、サンプル導入デバイスは、ラックマウント内の流体バイアルから流体を受容するように構成される。他の実施形態では、イオン化デバイスは、誘導結合プラズマを含む。一部の例では、質量分析器は少なくとも1つの四重極を含む。特定の実施形態では、検出器は、電子増倍管を含む。他の例では、検出器は飛行時間型装置を含む。一部の実施形態では、自動サンプラーラックマウントは、第1の回転周期の後に各流体バイアルの回転方向を逆転させるように構成される。他の実施形態では、複数の独立した回転可能なデバイスの各々は、隣接する平面歯車上の歯と係合するように構成された複数の歯を含む平面歯車を含む。一部の場合では、複数の独立した回転可能なデバイスの各々は、ベルトと摩擦係合するように構成されたプーリーを含み、プーリーのうちの少なくとも1つは、モータの出力シャフトに結合するように構成され、モータの出力シャフトに結合されたプーリーの回転運動は、独立した回転可能なプーリーの各々を回転させるように動作し、隣接する回転可能なプーリーは、反対の円周方向に回転する。一部の構成では、ラックマウントは、流体バイアルを交互の円周方向に回転させることによって、各流体バイアルによって受容された流体を連続的に撹拌して、流体バイアル内の流体中の粒子が沈降するのを防止するように構成される。
【0015】
別の態様では、ガスクロマトグラフィカラムに流体結合された自動サンプラーシステムを含むガスクロマトグラフィデバイスが提供される。一部の実施形態では、自動サンプラーシステムは、ラックマウントおよびモータを含み、ラックマウントは、複数の流体バイアル部位の各々で単一の流体バイアルを受容するように構成され、ラックマウントは、互いに機械的に結合された複数の独立した回転可能なデバイスを含み、回転可能なデバイスのうちの少なくとも1つは、モータの駆動シャフトに結合され、それぞれの回転可能なデバイスは、単一の流体バイアルを受容するように構成されたラックマウントの各流体バイアル部位に結合され、回転可能なデバイスは、結合された各流体バイアルを第1の回転方向および第1の回転方向と反対の第2の回転方向に回転させるように一緒に構成され、回転可能なデバイスは、隣接する流体バイアルを反対の回転方向に回転させるように一緒に構成される。
【0016】
追加の態様では、インジェクタに流体結合された自動サンプラーシステムを含む液体クロマトグラフィデバイスが説明される。一部の構成では、インジェクタは、液体クロマトグラフィカラムに流体結合され、自動サンプラーシステムは、ラックマウントおよびモータを含み、ラックマウントは、複数の流体バイアル部位の各々で単一の流体バイアルを受容するように構成され、ラックマウントは、互いに機械的に結合された複数の独立した回転可能なデバイスを含み、回転可能なデバイスのうちの少なくとも1つは、モータの駆動シャフトに結合され、それぞれの回転可能なデバイスは、単一の流体バイアルを受容するように構成されたラックマウントの各流体バイアル部位に結合され、回転可能なデバイスは、結合された各流体バイアルを第1の回転方向および第1の回転方向と反対の第2の回転方向に回転させるように一緒に構成され、回転可能なデバイスは、隣接する流体バイアルを反対の回転方向に回転させるように一緒に構成される。
【0017】
別の態様では、流体バイアルから流体をサンプリングする前に流体バイアル内で流体を混合する方法は、流体バイアル内の内部混合特徴部を使用して、流体バイアルを、第1の回転周期の間、第1の回転方向に回転的にスピンさせて、流体を混合することと、流体バイアル内の内部混合特徴部を使用して、流体バイアルを第2の回転周期の間、第1の回転方向と反対の第2の回転方向に回転的にスピンさせて、流体を混合することと、を含む。一部の例では、この方法は、流体バイアルを第1の回転方向および第2の回転方向に順次スピンさせて、混合流体を維持することを含む。
【0018】
別の態様では、本明細書に記載の1つ以上の流体バイアルと、流体バイアルを使用するための書面または電子的インストラクションと、を含むキットが提供される。一部の例では、キットは、本明細書に記載されるような自動サンプラーラックマウントをさらに含み得る。
【0019】
追加の態様では、本明細書に記載の1つ以上の自動サンプラーラックマウントと、自動サンプラーラックマウントを使用するための書面または電子的インストラクションと、を含むキットが提供される。一部の例では、キットは、本明細書に記載されるような1つ以上の流体バイアルをさらに含み得る。
【0020】
追加の態様、特徴、構成、および実施形態について、以下でより詳細に説明する。
【0021】
サンプルバイアルの特定の構成およびサンプルの均一性を高めるために使用され得るラックマウントについて、添付の図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】特定の実施形態による、複数の結合された流体バイアルを含むラックマウントの図である。
図2】一部の構成による、単一の流体バイアルのラックマウント部位へのカップリングを示す図である。
図3A】一部の実施形態による、流体バイアルの内部特徴部を示す図である。
図3B】一部の実施形態による、流体バイアルの内部特徴部を示す図である。
図3C】一部の実施形態による、流体バイアルの内部特徴部を示す図である。
図4】特定の例による、流体バイアルの内部特徴部に使用され得る種々の形状の一部を示す図である。
図5】一部の構成による、ラックマウントに結合されたモータを示す斜視図である。
図6A】プーリーおよびサーペンタインベルトの構成を示す図である。
図6B】一部の実施形態による、プーリーおよび楕円形ベルト構成を示す図である。
図7】特定の例による、質量分析計システムの特定の構成要素で使用されているラックマウントを示すブロック図である。
図8】特定の実施形態による、流体バイアルおよびラックマウントと共に使用され得るガスクロマトグラフィシステムの図である。
図9】一部の例によると、流体バイアルおよびラックマウントで使用され得る液体クロマトグラフィシステムの図である。
図10】特定の例による、流体バイアルおよびラックマウントで使用され得る発光/散乱システムの図である。
図11】一部の実施形態による、流体バイアルおよびラックマウントと共に使用され得るICP発光分光計の図である。
【0023】
本開示の利点を考慮すると、必ずしもラックマウント、バイアル、およびシステムの全ての特徴が図に示されているわけではないことが当業者に認識されるであろう。特定の例示的な構成要素は、一部の新規で発明的な態様のより明確な理解を容易にするために示されており、他の構成要素は、よりユーザフレンドリーな説明を提供するために省略されている。
【発明を実施するための形態】
【0024】
バイアルの特定の構成およびラックマウントシステムでのバイアルの使用方法について以下に説明する。バイアルは、多くの異なる方法で構成することができる。バイアルには、概して、バイアル内の流体を少なくともある程度まで攪拌/混合するように機能する1つ以上の内部特徴部が含まれる。例えば、バイアルがラックマウントに結合されている場合、バイアルの内部特徴部により、流体、例えば液体または気体、およびバイアル内の任意の物質の混合/攪拌が促進され、バイアル内の流体の均一性が維持され得る。バイアル、ラックマウント、およびバイアルおよびラックマウントを使用し得るシステムの種々の図について、以下で詳しく説明する。
【0025】
ナノ粒子、単一細胞、またはスラリーを含む多くの浮遊サンプルでは、サンプルが分析用にサンプリングされるまで、サンプルを浮遊状態に保つ必要がある。自動サンプラー用に設計された既存のラックマウントは、分析時まで、サンプルを混合、振盪、または撹拌し続ける手段を提供するものではない。これらの設計により、サンプリングの待機中、サンプルがバイアルに沈殿し続け、不均一性による分析誤差の原因になる可能性がある。
【0026】
以下に説明する特定の実施形態は、バイアルおよび自動サンプラーラックマウントでのバイアルの使用方法を対象としており、これらにより、自動サンプラープローブまたは他のデバイスによるサンプリングまで、かつそのサンプリングの間、ラックマウント内の全てのバイアルを同時に前後にスピンさせて、すなわち、回転的にスピンさせて、分析物質を流体媒体に懸濁させておくのを促進することが可能となる。全ての構成で必要なわけではないが、単一のモータでラックマウント内の全てのバイアルを駆動でき、一方で、モータの駆動力を利用するための簡単なドロップイン方法が提供される。バイアル自体はまた、バイアルのスピン中にさらなる撹拌/攪拌を増進するための内部特徴部を含み得る。
【0027】
一部の実施形態では、ラックマウント100は、流体バイアル部位110などの複数の流体バイアル部位を含むものとして図1に示されており、各々が、それぞれの部位に結合された単一の流体バイアルを有する。例えば、流体バイアル120は、流体バイアル部位110に結合されているものとして示されている。図1では、12個の流体バイアルが存在しているが、12個より少ないか、または多い流体バイアルおよび流体バイアル部位が、必要に応じて存在し得る。流体バイアル部位は、各流体バイアルを、ラックマウント100の水平かつ平面の表面に対して実質的に垂直な位置に保ち、各バイアルの上部開口部からの各バイアルからのサンプリングを容易にするように構成することができる。一部の例では、各流体バイアル部位は、その特定の部位に流体バイアルを保持するための摩擦嵌合によって、単一の流体バイアルを受容するようにサイズ設定および配置することができる。他の例では、磁石は、流体バイアル部位上またはその中に存在し得、流体バイアル上の磁石に磁気的に結合することができる。追加の構成では、流体部位は、ネジ山を含み、当該ネジ山は、流体バイアルの端部の対応するネジ山に嵌合し得る。他の例では、バヨネット特徴部、ボールアンドソケット特徴部、または各流体バイアル部位における流体バイアルの保持を強化し得る、他の特徴部が存在し得る。本明細書に記載され、以下でより詳細に論じられるように、ラックマウント100は、各流体バイアル部位に結合された適切な回転可能なデバイスで構成され、これは、結合された流体バイアルの回転を引き起こし得る。例えば、流体バイアル120は、(流体バイアル120の上部から見た場合)時計回り方向に回転させることができ、隣接する流体バイアル122は、(流体バイアル122の上部から見た場合)反時計回り方向に同時に回転させることができる。第1の回転周期の後、回転方向を逆転させて、流体バイアル内に存在する流体の混合/攪拌を強化することができる。次に、流体バイアル120を反時計回り方向に回転させることができ、流体バイアル122を時計回り方向に回転させることができる。各流体バイアルの回転方向を周期的に変更することにより、各バイアル内の流体の混合/攪拌を強化することができる。さらに、粒子は、一方向にのみ回転する場合よりも均一な分布で浮遊し得る。
【0028】
特定の実施形態では、ラックマウント上の各流体バイアル部位の正確な構成は変更されてもよく、同一である必要はない。図2に示されるように、流体バイアル220は、円錐形またはカップ形状の流体バイアルカプラ210を介してラックマウントに結合することができる。一例では、流体バイアル220およびバイアルカプラ210が概して同じ円周方向に一緒に回転するように、流体バイアルカプラ210をサイズ設定および配置して、流体バイアル220を所定の位置に固定することができる。別の構成では、バイアルカプラ210は、表面実装スリーブとして機能し得、これにより、流体バイアル220をほぼ直立した位置に保持し、流体バイアル220をラックマウント表面上の基礎カプラに結合することが可能となる。この後者の構成では、流体バイアル部位210は、通常、それ自体は回転しないが、基礎カプラが回転するときに流体バイアル220の回転を可能にする。後者の構成における流体バイアル部位210は、回転中に流体バイアルが傾斜するか、または外れるのを防止するように作用し、流体バイアル220の外壁とカプラ210の内壁との間に適切な量の開放空間を含む。流体バイアル部位210と流体バイアル220との間の空間により、流体バイアル220がある程度「揺動」し、流体の撹拌/混合を強化することが可能となり得る。カプラ210の正確な高さは変動する場合があり、一部の場合では、カプラ210は、流体バイアルの全長の少なくとも下部1/4、1/3または1/2に係合するように寸法が設定される。高い回転速度が実装される場合、流体バイアルの確実な保持を促進するために、カプラ210を長くすることが望ましい場合がある。任意の磁石224が、バイアル220の閉鎖端部または第2の端部に示されている。必要に応じて、磁石は、カプラ210内に存在して、カプラ210内のバイアル220の保持を強化することもできる。
【0029】
特定の実施形態では、カプラおよび/または流体バイアルの正確なスピン速度もまた、所望の混合、サンプル成分、および他の所望の効果に応じて変動し得る。流体が1つ以上の生体細胞を含む場合、スピン速度は、細胞を液体中に懸濁状態に保つのに十分高く、かつ細胞の溶解または剪断を引き起こすほど高くないことが望ましい。同様に、ナノ粒子、ナノ構造、またはナノシステムが存在する場合、スピン速度は、これらの物質を流体に懸濁させておくのに十分高く、かつ剪断または物質の分解を引き起こすほど高くはない。さらに、バイアルのスピン速度は、流体が流体バイアルから流出するほど高くはない。再び図2を参照すると、流体バイアルは、開放上部または第1の端部222を含み得、サンプリングプローブを流体バイアルに挿入して分析用液体サンプルを抽出することが可能となる。流体バイアルが実質的に液体で充満され、高いスピン速度が用いられる場合、液体が、流体バイアルから排出され、失われるか、または隣接するバイアルに到達する場合がある。高いスピン速度を用いることが望ましい場合、または流体が浮遊粒子状物質を含むガスを含む場合、上部222は、流体バイアル220内に物質を保持するのを促進する隔壁またはシールを含み得る。隔壁またはシールは、ニードルプローブまたは他の適切なデバイスを使用して穿刺され得、密封された流体バイアル内の物質をサンプリングすることができる。
【0030】
一部の例では、流体バイアルカプラ、ラックマウント、またはその両方は、1つ以上の加熱または冷却するためのデバイスを含み、流体バイアル内の物質の温度を制御するのを促進し得る。例えば、質量分析によって、生細胞が金属含有量について分析されている場合、サンプリングの直前に生体細胞を生きたままにしておくことが望ましい場合がある。流体バイアルは、加熱された流体バイアル部位に熱的に結合して、流体の温度を、生物学的活性を増進させる適切な温度、および/またはアポトーシスもしくは他の分解メカニズムを阻止する適切な温度に維持するができる。化学反応が流体バイアル内で実行される場合、適切な反応温度を使用して、所望の反応生成物を増進させることができる。流体バイアルは、必要に応じて、熱伝達を増進または阻止するために、種々のポリマー、金属、エラストマー、絶縁体または他の物質を含み得る。さらに、流体バイアルは、粒子または粒子状物質が流体バイアルの内壁に付着するのを防止するために、ポリテトラフルオロエチレンまたは他の非粘着性物質などの非粘着性コーティングを内面に含み得る。バイアルの正確な容量は様々であり、通常は100mL未満であるが、必要に応じて、100mLより大きくすることもできる。例えば、バイアルは、最大約150mL、最大約100mL、最大約50mL、または最大約10mLを保持するように構成され得る。
【0031】
特定の構成では、流体バイアルは、1つ以上の内部攪拌特徴部を含み得る。特定の構成に拘束されることを望むものではないが、攪拌特徴部は、流体内に渦電流または乱流を誘発して、攪拌/混合を強化するように設計することができる。流体バイアルがスピンすると、これらの攪拌特徴部により、攪拌前に静止していた流体が攪拌特徴部に接触する。結果として発生する流体の流れにより、流体内の物質が混合される。バイアルを1つの円周方向にスピンさせた後、相対的な流体速度は、流体バイアルの回転運動と平衡化するため、ゼロに近づく。継続的な混合を増進するために、流体バイアルを反対方向に回転させて、流体のさらなる運動/混合を増進することができる。この各流体バイアルの連続的な時計回りの回転、その後の反時計回りの回転(またはその逆)により、流体をサンプリング前およびサンプリング中に維持して、粒子および/または粒子状物質を流体中により均一な分布に保つことができる。図3Aを参照すると、流体バイアル310の上面図が示されている。バイアル310は、流体バイアル310の内部空間に突出する複数の内部特徴部321~326を含む。これらの内部特徴部により、バイアルがスピンするときに、流体バイアル310内の流体の混合を増進することができる。バイアル310はまた、バイアル310の末端に混合特徴部330を含み得る。この混合特徴部330は、プロペラ形状または他の形状をとり得、当該形状により、渦の形成を強化するか、または流体バイアル310内の流体の乱流を強化する。図3Bは、一部の内部特徴部321~323および下部混合特徴部330の断面図を示している。図3Cは、バイアルの端部にある内部特徴部321~326、下部混合特徴部330、およびカプラ335を示しており、バイアルをラックマウントに可逆的に結合するために使用され得る。
【0032】
一部の実施形態では、内部特徴部321~326は実質的に対称として示されているが、対称性を必要とするものではない。対称的な形状により、流体バイアルが異なる回転方向に回転したときに同様の混合がもたらされ得る。また、内部特徴部の形状は、図3Aに示すような台形である必要はない。内部特徴部として、他の種々の形状、例えば、長方形、楕円形、正方形なども存在し得、任意の1つのバイアルの内部特徴部が同じ形状または高さである必要はない。図4を参照すると、内部特徴部の種々の形状が示されており、三角形の内部特徴部410、長方形の内部特徴部420、十字形の内部特徴部430、パドル形状の内部特徴部440、および開口または開口部452を含む長方形の内部特徴部450が含まれている。内部特徴部に開口または開口部が存在すると、開口部を通る乱流が増進されるため、さらに混合が増進され得る。内部特徴部は、剛性であってもよく、あるいは、バイアル内で受ける力および/またはスピンにより、ある程度屈曲していてもよい。内部特徴部は、バイアルに一体であるか、あるいは、スロット、開口部、またはバイアルの回転中に内部特徴部を所定の位置に保持し得る他の特徴部または構造を介して、バイアルに結合することができる。
【0033】
一部の実施形態では、本明細書に記載のラックマウントシステムは、流体バイアルの回転を増進するように構成された1つ以上の回転可能なデバイスを含み得る。図5を参照すると、ラックマウント510は、モータ520の出力シャフト522を介してモータ520に結合されているものとして示されている。出力シャフト522は、ラックマウント510内の歯車512、514などの平面に取り付けられた歯車に結合することができる。出力シャフト522の回転により、ラックマウント510内の歯車も回転される。歯車を適切な方法で位置決めすることにより、隣接する各流体バイアルは、反対の回転方向に回転する。この反対の回転により、バイアルの回転からラックマウント510に加えられ得る回転力の均衡が促進され、流体バイアルのスピン中にラックマウント510が揺動するか、または不安定になることが防止され得る。図示されていないが、中央歯車または差動装置がラックマウント510の底面に存在し得、少なくとも1つの平面歯車に結合されて、ラックマウント510内の全ての歯車の回転を引き起こし得る。あるいは、モータ520の出力シャフト522は、例えば、U字継手あるは他のファスナまたはカプラなどのカップリングを介して、ラックマウント520の歯車のうちの1つに直接結合することができる。ラックマウントに存在する全ての歯車は、同じサイズ設定とし、かつ同じ配置とすることができる。または、一部の場合では、少なくとも1つの歯車が異なってサイズ設定および配置され得る。歯車を駆動するために使用されるモータの正確な種類は様々であり、ACモータ、DCモータ、誘導モータ、サーボモータ、ステッピングモータ、およびその他の適切なモータが含まれるが、これらに限定されない。モータは、適切な電源から電力を供給でき、電源には、AC電源、DC電源、電池、燃料電池、太陽電池、風力電源、またはその他の適切な電源が含まれる。以下でより詳細に論じられるように、モータ520は、モータ520の出力シャフト522の回転方向を制御し得るプロセッサまたはシステムを使用して制御することができる。任意のセンサ530が示されており、任意のセンサ530は、バイアルおよび/またはその中の流体がスピンしているかどうかを検証するために使用され得る。任意のセンサ530は、光学センサ、音響センサ、電気センサであり得るか、または他の形態をとり得る。任意のセンサ530はまた、必要に応じてラックマウント510内の任意の場所に位置決めされ得、または必要に応じて複数のセンサが存在し得る。
【0034】
特定の実施形態では、ラックマウントは歯車を含む必要はなく、代わりに、プーリー、ベルト、磁気歯車(例えば、マグノマティックス社製)、または歯を備えた機械的歯車以外のデバイスを含み得る。ラックマウントで使用され得る複数のプーリーの図を図6Aに示す。プーリー610、620、630は、ベルト650を介して互いに結合されており(説明の目的でプーリー610、620、630から引き離された状態で示されている)、ベルト650は、プーリー610、620、および630の表面に摩擦的に係合してそれらを回転させ得る。プーリー610、620、630のうちの1つは、モータ(図示せず)に機械的に結合させて、当該プーリーを回転させることができる。この回転により、ベルト650の運動および他のプーリーの対応する回転が引き起こされる。図6Aに示される構成では、ベルト650は、概して、隣接するプーリーを反対方向に回転させるサーペンタインベルトとして構成されるが、ベルトは、図6Bのベルト660(プーリーから外された状態で示されている)によって示されるように、楕円形構成に位置決めすることができ、そのため、プーリー610、620、および630は全て、常時同一の一般的な方向に回転する。
【0035】
特定の実施形態では、本明細書に記載のラックマウントシステムおよび流体バイアルは、多くの異なる構成要素またはステージを含む質量分析計システムで使用され得る。特定の構成要素の1つの図が図7に示されており、質量分析計700は、自動サンプラーラックマウント710、イオン化デバイス720、質量分析器730、および検出器740を含む。図示されていないが、システム700はまた、典型的には、ラックマウント710とイオン化デバイス/イオン化源720との間にサンプル導入デバイス/流体ハンドラーを含む。例えば、サンプル導入デバイスは、針/注射器(または他の流体処理デバイスまたはシステム)を含み得、これらは、流体バイアル内の流体をサンプリングし、それをイオン化デバイス/イオン化源720に導入するために下流のデバイスに提供し得る。一部の場合では、サンプル導入デバイスは、誘導ネブライザー、非誘導ネブライザー、またはそれら2つのハイブリッド、同心型、クロスフロー型、エントレイン型、V溝型、平行経路型、改良平行経路型、フローブラー型もしくは圧電型のネブライザー、スプレーチャンバ、ガスクロマトグラフィデバイスなどのクロマトグラフィデバイス、またはイオン化デバイス/イオン化源720にサンプルを提供し得る他のデバイスとして構成することができる。本明細書に記載されるように、流体サンプルは、気体および粒子/粒子状物質、あるいは液体および粒子もしくは粒子状物質を含み得る。システムに存在するサンプル導入デバイスおよび他の構成要素に応じて、流体中の分析物、粒子中の分析物、粒子自体、またはそれらの任意の組み合わせを、MSシステム700を使用して分析することができる。
【0036】
一部の構成では、イオン化デバイス/イオン化源720には、ラックマウント710の流体バイアルから流体を受容し、流体サンプル中の分析物をイオン化/噴霧し得る多くの異なる種類のデバイスが含まれてもよい。一部の例では、イオン化デバイス720には、トーチおよび誘導デバイスを使用して生成し得る誘導結合プラズマ、あるいは容量結合プラズマ、電子イオン化デバイス、化学イオン化デバイス、電界イオン化源、例えば、高速原子衝撃、電界脱離、レーザー脱離、プラズマ脱離、熱脱離、電気流体力学的イオン化/脱離などのために構成されたそれらのソース、サーモスプレーもしくはエレクトロスプレーイオン化源または他の種類のイオン化源が含まれてもよい。多くの異なる種類のイオン化デバイス/イオン化源720が使用され得るが、イオン化デバイス/イオン化源720は、典型的に、サンプル中の分析物イオンをイオン化し、それらを流体ビームで質量分析器730の下流に提供し得、そこで、イオン/原子は、異なる質量電荷比に基づいて分離/選択され得る。例えば、米国特許第10,096,457号、同第9,942,974号、同第9,848,486号、同第9,810,636号、同第9,686,849号、およびパーキンエルマー・ヘルス・サイエンス社(米国マサチューセッツ州ウォルサム)またはパーキンエルマー・ヘルス・サイエンス・カナダ社(カナダ、ウッドブリッジ)が所有する他の特許には、様々な種類のイオン化デバイス/イオン化源および関連する構成要素が含まれている。
【0037】
一部の例では、質量分析器730は、一般にサンプルの性質、所望の分解能などに応じて多数の形態をとることができる。例示的な質量分析器には、例えば、四重極または他のロッドアセンブリなどの1つ以上のロッドアセンブリが含まれてもよい。質量分析器730には、1つ以上のコーン、例えば、スキマーコーン、サンプリングコーン、インターフェース、イオンガイド、衝突セル、レンズ、およびイオン化デバイス/イオン化源720から受信した入射ビームをサンプリングするために使用され得る他の構成要素が含まれてもよい。様々な構成要素を選択することは、干渉種を除去し、光子を除去し、別様でイオンを含む流入流体から所望のイオンを選択するのに寄与し得る。一部の例では、質量分析器730は、飛行時間型装置であってもよいか、またはそれを含んでもよい。一部の場合では、質量分析器730は、それ自体の高周波発生器を含んでもよい。特定の例では、質量分析器730は、走査型質量分析器、(例えば、単集束および二重集束MSデバイスで使用するための)磁気セクター分析計、四重極質量分析器、イオントラップ分析計(例えば、サイクロトロン、四重極イオントラップ)、飛行時間型分析装置(例えば、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型分析装置)、および異なる質量電荷比で種を分離し得る他の好適な質量分析器であり得る。必要に応じて、質量分析器730は、イオン化デバイス/イオン化源720から受容されるイオンを選択および/または識別するために、直列に配置された2つ以上の異なるデバイス、例えば、タンデムMS/MSデバイスまたはトリプル四重極デバイスを含んでもよい。質量分析器に存在し得る様々な構成要素は、例えば、米国特許第10,032,617号、同第9,916,969号、同第9,613,788号、同第9,589,780号、同第9,368,334号、同第9,190,253号など、パーキンエルマー・ヘルス・サイエンス社(米国マサチューセッツ州ウォルサム)またはパーキンエルマー・ヘルス・サイエンス・カナダ社(カナダ、ウッドブリッジ)が現在所有している特許に記載されている。
【0038】
一部の例では、検出器740は、既存の質量分析計で使用され得る任意の好適な検出デバイスであってもよく、例えば、電子増倍管、ファラデーカップ、コーティングされた写真乾板、シンチレーション検出器、マルチチャネルプレートなど、および本開示の利点を考慮して当業者によって選択される他の好適なデバイスであってもよい。質量分析計で使用され得る例示的な検出器は、例えば、米国特許第9,899,202号、同第9,384,954号、同第9,355,832号、同第9,269,552号、およびパーキンエルマー・ヘルス・サイエンス社(米国マサチューセッツ州ウォルサム)またはパーキンエルマー・ヘルス・サイエンス・カナダ社(カナダ、ウッドブリッジ)が現在所有している他の特許に記載されている。
【0039】
特定の例では、質量分析計システムはまた、プロセッサ750を含んでもよく、プロセッサ750は、典型的には、マイクロプロセッサおよび/またはコンピュータ、ならびに質量分析計700に導入されたサンプルの分析のための好適なソフトウェアの形態をとる。プロセッサ750は、質量分析器730および検出器740に電気的に結合されるように示されているが、図7に示されている他の構成要素に電気的に結合して、システム700の様々な構成要素を概して制御または操作することもできる。一部の実施形態では、プロセッサ750は、例えば、コントローラ内に、またはスタンドアロンプロセッサとして存在して、システム700を使用する様々な動作モードのために、システム700の動作を制御および調整することができる。この目的のために、プロセッサは、システム700の構成要素の各々、例えば、1つ以上のポンプ、1つ以上の電圧源、ロッドなど、ならびにシステム700に含まれる任意の他の電圧源に電気的に結合することができる。
【0040】
特定の構成では、プロセッサ750は、1つ以上のコンピュータシステム、および/または例えば、マイクロプロセッサならびに/もしくはシステムを操作するため、例えば、イオン源、ポンプ、質量分析器、検出器などの電圧を制御するための好適なソフトウェアを含む一般的なハードウェア回路に存在してもよい。一部の例では、システム700の任意の1つ以上の構成要素は、それ自体のそれぞれのプロセッサ、オペレーティングシステム、およびその構成要素の操作を可能にする他の機能を含んでもよい。プロセッサは、システムに統合することができるか、またはプロセッサは、システムの構成要素に電気的に結合された1つ以上のアクセサリボード、プリント回路基板、もしくはコンピュータに存在してもよい。プロセッサは、典型的に、1つ以上のメモリユニットに電気的に結合されて、システムの他の構成要素からデータを受信し、必要に応じて、または所望により、様々なシステムパラメータを調整できるようにする。プロセッサは、汎用コンピュータの一部、例えば、Unix、Intel PENTIUMタイプのプロセッサ、Apple Aシリーズプロセッサ、Motorola PowerPC、Sun UltraSPARC、Hewlett-Packard PA-RISCプロセッサ、または他の種類のプロセッサをベースにしたものであってもよい。本技術の様々な実施形態によれば、任意の種類のコンピュータシステムのうちの1つ以上を使用することができる。さらに、システムは、単一のコンピュータに接続され得るか、または通信ネットワークによって接続された複数のコンピュータに分散され得る。ネットワーク通信を含む他の機能が実施され得ること、および本技術は、特定の機能または機能のセットを有することに限定されないことを理解されたい。汎用コンピュータシステムで実行される特殊なソフトウェアとして、様々な態様を実装することができる。コンピュータシステムは、ディスクドライブ、メモリ、またはデータを保存するための他のデバイスなどの1つ以上のメモリデバイスに接続されたプロセッサを含み得る。典型的に、メモリは、混合ガスを使用して様々なモードでシステムを操作している際に、プログラム、キャリブレーション、およびデータを保存するために使用される。コンピュータシステムの構成要素は、相互接続デバイスによって結合することができ、相互接続デバイスには、1つ以上のバス(例えば、同じマシン内に統合された構成要素間)および/またはネットワーク(例えば、別々の個別のマシンに存在する構成要素間)が含まれ得る。相互接続デバイスにより、システムの構成要素間で交換される通信(例えば、信号、データ、命令)が提供される。コンピュータシステムは、典型的に、処理時間内、例えば、数ミリ秒、数マイクロ秒以下でコマンドを受信および/または発行して、システム700の迅速な制御を可能にし得る。例えば、コンピュータ制御を実装して、真空圧を制御し、流体バイアルのスピン速度を制御し、流体バイアルのスピン方向を制御し、全体的なスピン時間を制御することができる。プロセッサは、典型的に、電源に電気的に結合されており、電源は、例えば、直流電源、交流電源、電池、燃料電池もしくは他の電源、または電源の組み合わせであり得る。電源は、システムの他の構成要素と共有され得る。システムはまた、1つ以上の入力デバイス、例えば、キーボード、マウス、トラックボール、マイクロフォン、タッチスクリーン、手動スイッチ(例えば、オーバーライドスイッチ)、および1つ以上の出力デバイス、例えば、印刷デバイス、ディスプレイスクリーン、スピーカを含んでもよい。加えて、システムは、(相互接続デバイスに加えて、またはその代替として)コンピュータシステムを通信ネットワークに接続する1つ以上の通信インターフェースを含んでもよい。システムはまた、システムに存在する様々な電気機器から受信した信号を変換するための好適な回路を含んでもよい。かかる回路は、プリント回路基板上に存在し得るか、または好適なインターフェース、例えば、シリアルATAインターフェース、ISAインターフェース、PCIインターフェースなどを介して、もしくは1つ以上の無線インターフェース(Bluetooth、Wi-Fi、近距離無線通信、その他の無線プロトコルおよび/またはインターフェースなど)を介してプリント回路基板に電気的に結合された別個のボードもしくはデバイス上に存在し得る。
【0041】
特定の実施形態では、本明細書に記載のシステムで使用される記憶システムとして、典型的には、コードが保存され得るコンピュータ可読および書込可能な不揮発性記録媒体が挙げられる。これらは、プロセッサによって実行されるプログラム、またはプログラムによって処理される媒体上または媒体内に保存されている情報によって使用され得る。媒体は、例えば、ハードディスク、ソリッドステートドライブまたはフラッシュメモリであってもよい。典型的に、プロセッサは、不揮発性記録媒体から、プロセッサによる情報へのアクセスが媒体よりも高速な別のメモリにデータを読み込ませて操作する。このメモリは、典型的に、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)またはスタティックメモリ(SRAM)などの揮発性のランダムアクセスメモリである。これらは、ストレージシステム内またはメモリシステム内にあってもよい。プロセッサは、一般的に、集積回路メモリ内のデータを操作し、処理が完了した後にデータを媒体にコピーする。媒体と集積回路メモリ要素との間のデータ移動を管理するための様々な機構が知られており、本技術はそれに限定されない。また、本技術は特定のメモリシステムまたはストレージシステムに限定されない。特定の実施形態では、システムはまた、特別にプログラミングされた、特別な目的のハードウェア、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含んでもよい。本技術の態様は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装されてもよい。さらに、かかる方法、行為、システム、システム要素、およびそれらの構成要素は、上記のシステムの一部として、または独立した構成要素として実装されてもよい。特定のシステムは、本技術の種々の態様が実践され得る1つの種類のシステムとして例として説明されているが、態様は、説明されたシステムで実装されることに限定されないことを理解されたい。異なるアーキテクチャまたは構成要素を有する1つ以上のシステム上で、様々な態様が実践されてもよい。システムには、高水準コンピュータプログラミング言語を使用してプログラム可能な汎用コンピュータシステムが含まれてもよい。システムはまた、特別にプログラミングされた特別な目的のハードウェアを使用して実装されてもよい。システムでは、プロセッサは、典型的に、市販のプロセッサ、例えば、Intel Corporationから入手可能な有名なPentiumクラスのプロセッサである。他の多くのプロセッサも市販されている。かかるプロセッサは通常、オペレーティングシステムを実行するものであり、オペレーティングシステムは、例えば、マイクロソフトコーポレーションから入手可能な、Windows95、Windows98、Windows NT、Windows2000(Windows ME)、Windows XP、Windows Vista、Windows7、Windows8、もしくはWindows10のオペレーティングシステム、MAC OS X、例えば、Snow Leopard、Lion、Mountain Lion、またはAppleから入手可能なその他のバージョン、Sun Microsystemsから入手可能なSolarisオペレーティングシステム、または様々なソースから入手可能なUNIXまたはLinuxオペレーティングシステムであってもよい。他の多くのオペレーティングシステムが使用されてもよく、特定の実施形態では、コマンドまたは命令の単純なセットがオペレーティングシステムとして機能してもよい。
【0042】
特定の例では、プロセッサおよびオペレーティングシステムは、高レベルのプログラミング言語によるアプリケーションプログラムを記述し得るためのプラットフォームを一緒に定義することができる。本技術は、特定のシステムプラットフォーム、プロセッサ、オペレーティングシステム、またはネットワークに限定されないことを理解されたい。また、本開示の利点を考慮すると、本技術が特定のプログラミング言語またはコンピュータシステムに限定されないことは、当業者には明らかである。さらに、他の適切なプログラミング言語および他の適切なシステムも使用できることを理解されたい。特定の例では、ハードウェアまたはソフトウェアは、認知アーキテクチャ、ニューラルネットワーク、または他の好適な実装形態を実装するように構成され得る。必要に応じて、コンピュータシステムの1つ以上の部分を、通信ネットワークに結合された1つ以上のコンピュータシステムに分散させてもよい。これらのコンピュータシステムはまた、汎用コンピュータシステムであってもよい。例えば、様々な態様は、1つ以上のコンピュータシステムに分散されて、1つ以上のクライアントコンピュータにサービス(例えば、サーバー)を提供し、または分散システムの一部としてタスク全体を実施するように構成されてもよい。例えば、様々な態様は、様々な実施形態による様々な機能を実施する1つ以上のサーバシステム間で分散された構成要素を含むクライアントサーバまたは多層システム上で実施されてもよい。これらの構成要素は、実行可能なコード、中間(ILなど)コード、または解釈済み(Javaなど)のコードであってもよく、これは、通信プロトコル(TCP/IPなど)を使用して通信ネットワーク(インターネットなど)を介して通信する。また、本技術は、特定のシステムまたはシステムのグループでの実行に限定されないことも理解されたい。また、本技術は特定の分散アーキテクチャ、ネットワーク、または通信プロトコルに限定されないことを理解されたい。
【0043】
一部の場合では、様々な実施形態は、例えば、SQL、SmallTalk、Basic、Java、Javascript、PHP、C++、Ada、Python、iOS/Swift、Ruby on Rails、またはC#(Cシャープ)などのオブジェクト指向プログラミング言語を使用してプログラミングすることができる。また、他のオブジェクト指向プログラミング言語が使用されてもよい。代替的に、機能的、スクリプト化、および/または論理プログラミング言語が使用されてもよい。様々な構成が、プログラミングされていない環境(例えば、ブラウザプログラムのウィンドウで表示すると、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)の側面をレンダリングするか、またはその他の機能を実施するHTML、XML、またはその他の形式で作成されたドキュメント)で実装されてもよい。特定の構成は、プログラミングされた要素もしくはプログラミングされていない要素、またはそれらの任意の組み合わせとして実装されてもよい。一部の場合では、システムには、モバイルデバイス、タブレット、ラップトップコンピュータ、または有線もしくは無線インターフェースを介して通信し、必要に応じてシステムのリモート操作を可能にする他のポータブルデバイスに存在するようなリモートインターフェースが含まれてもよい。
【0044】
特定の例では、本明細書に記載のラックマウントシステムは、流体処理装置と共に使用され得、流体処理装置は、ガスクロマトグラフィデバイスもしくは液体クロマトグラフィデバイスまたは流体処理装置あるいは流体処理システムと組み合わせてしばしば使用される。例えば、浮遊粒子状物質を含むガスが流体バイアル内に存在し得、針/注射器およびガスクロマトグラフィデバイスを使用してサンプリングされ得る。他の例では、浮遊粒子状物質を含む液体が流体バイアル内に存在し得、インジェクタおよび液体クロマトグラフィデバイスを使用してサンプリングされ得る。図8を参照すると、ガスクロマトグラフィデバイス800は、ラックマウント810を備えた自動サンプラーに流体結合されているものとして示されている。ガスクロマトグラフィデバイス800は、典型的には、オーブン822内に位置決めされたカラム820を含み、オーブン822は、サンプルがカラム810を通過するときに任意のサンプルを気相に維持するように構成されている。キャリアガス(図示せず)を使用して、分析物をラックマウント810からカラム820に運ぶことができ、そこで、キャリアガス移動相およびカラム820に存在する固定相を使用して、異なる分析物を分離することができる。カラム820から出る流出物は、検出器830に提供され、分離された分析物が検出され得る。例えば、個々の分析物成分は、検出器、例えば、水素炎イオン化検出器、水素炎光度検出器、熱伝導度検出器、電子捕獲型検出器、窒素リン検出器、光イオン化検出器、熱イオン化検出器、質量分析計および他の検出器に順次提供され得る。ある流体バイアルからの流体サンプル中の分析物の検出に続いて、次に、別の流体バイアル内の流体がサンプリングされ、分析物の分離および検出のために、ガスクロマトグラフィデバイス800に提供され得る。このプロセスは、全ての流体バイアル内の流体が分析されるまで繰り返され得る。次に、追加の流体バイアルを含む第2のラックマウントを、例えば手動で、またはロボットアームなどの自動手段を使用して自動サンプラーに配置して、第2のラックマウントの流体バイアル内の流体の分析物の分析が可能となり得る。本明細書に記載のように、種々のラックマウントに存在する流体バイアルは、サンプリング/分析の前およびサンプリング/分析中に、時計回りに、次に反時計回りに、次に時計回りに、等の方向に、順次回転させることができる。各バイアルは、バイアル内の流体がガスである隔壁を含み得る。あるいは、各バイアルは、ガスクロマトグラフィデバイス800に導入される流体が加熱されたインジェクタまたは他のデバイスを使用して気化される液体である大気に開放され得る。図示されていないが、システム800は、プロセッサによって制御されて、例えば、キャリアガス流量、スピン速度、スピン時間、加熱プロファイルなどを制御し得る。
【0045】
特定の実施形態では、図9を参照して、自動サンプラーラックマウント910、液体移動相920、クロマトグラフィカラム930、および検出器940を含む液体クロマトグラフィシステム900が示されている。自動サンプラーラックマウント910内の流体バイアルからの液体サンプルは、インジェクタ(図示せず)を介してクロマトグラフィカラム930に提供され得、そこで提供された流体中の分析物は、移動相920およびカラム930に存在する固定相を使用して互いに分離される。分離された分析物は、各分析物を検出し得る検出器940に順次提供される。吸光度検出器、蛍光検出器、屈折率検出器、光散乱検出器、電気化学検出器、質量分析計、および他の適切な検出器を含むがこれらに限定されない、種々の検出器が使用され得る。ある流体バイアルからの流体サンプル中の分析物の検出に続いて、次に、別の流体バイアル内の流体をサンプリングし、分析物の分離および検出のために、液体クロマトグラフィデバイス900に提供することができる。このプロセスは、全ての流体バイアル内の液体が分析されるまで繰り返され得る。次に、追加の流体バイアルを含む第2のラックマウントを、例えば手動で、またはロボットアームなどの自動手段を使用して自動サンプラーに配置して、液体クロマトグラフィを使用した第2のラックマウントの流体バイアル内の液体(およびその中の物質)の分析物の分析を可能にし得る。本明細書に記載のように、種々のラックマウントに存在する流体バイアルは、液体クロマトグラフィシステム900を使用するサンプリング/分析の前および分析中に、時計回りに、次に反時計回りに、次に時計回りに、等の方向に、順次回転させることができる。図示されていないが、システム900は、プロセッサによって制御されて、例えば、移動相の流量、スピン速度、スピン時間、溶媒勾配などを制御し得る。
【0046】
特定の実施形態では、本明細書に記載のデバイスを使用して、流体バイアルからの流体のサンプリングの前および/またはサンプリング中に、流体バイアル内の流体を混合することができる。例えば、流体バイアルの内部混合特徴部を使用して、流体バイアルを、第1の回転周期の間、第1の回転方向に回転的にスピンさせて、流体を混合させることができる。流体バイアルの内部混合特徴部を使用して、第2の回転周期の間、流体バイアルを第1の回転方向と反対の第2の回転方向に回転的にスピンさせて、流体を混合することができる。各バイアルが任意の方向に回転する正確な時間は、例えば、約1秒~約60秒まで変動し得る。特定の理論に拘束されることを望まないが、流体バイアルを任意の1つの回転方向に回転させ続けると、流体の回転速度がバイアルの回転速度を反映し始めるため、時間の経過と共に混合が減少する可能性がある。このシナリオを回避するために、回転方向を周期的に逆転させることができる。例えば、約20~30秒間、各方向への連続回転を連続的に実施して、流体中の成分を混合することができる。正確な回転速度は、全体の流体量、流体密度、および流体温度によって異なり得る。流体バイアルの一般的な構成では、全体の流体量は、必要に応じて最大5mLまたは10mL、さらには50mLであり得る。例えば、分析中にサンプルが流体バイアルから継続的に取り出される場合は、より多くの液体量も可能である。
【0047】
特定の例では、本明細書に記載の自動サンプラーラックマウントシステムは、質量分析計システムおよび流体処理装置以外のシステムで使用され得、光学システム、例えば、光散乱システム、蛍光システム、リン光システム、ラマンシステムなど、細胞選別および/または計数システム、ナノ粒子分析器、ICP発光分光計などを含むが、これらに限定されない。発光または光散乱システムの図が図10に示されている。システム1000は、サンプルチャンバ1020に光1015を提供するように構成された光源1010を含む。必要に応じて、サンプルチャンバ1020を省略して、自動サンプラーラックマウント1005内の流体バイアルに直接光を提供することができる。一部の場合では、自動サンプラーラックマウント1005内の流体バイアルからの流体をサンプルチャンバ1020に提供することができ、サンプルチャンバ1020は、固定セル、フローセル、キュベット、または少なくとも一定周期流体を保持できる光学的に透明なリザーバの形態をとり得る。光1015は、サンプルチャンバ1020内の分析物を励起するように作用する。励起された分析物は、例えば、検出器1030を使用して検出さ得る1つ以上の光子(複数可)1025の形態で、光または散乱光を放出することができる。示されていないが、モノクロメータおよび/または光学分光計は、サンプルチャンバ1020と検出器1030との間に存在し得、放出された光子1025内の特定の波長または波長範囲をフィルタリングまたは選択し得る。検出器または検出デバイス1030は、多数の形態をとることができ、サンプルチャンバ1020から放出された光または散乱光を検出し得る任意の適切なデバイスであり得る。例えば、検出器1030は、レンズ、ミラー、プリズム、窓、バンドパスフィルタ、回折格子などの適切な光学系を含み得る。検出器1030はまた、電荷結合デバイス(CCD)カメラなどのカメラ、相補型金属-酸化膜-半導体(CMOS)検出器、または光電子増倍管などの他の種類の検出器として構成され得る。サンプルチャンバ1020は、通常、自動サンプラーラックマウント1005内の液体バイアルから液体を受容するように構成されるが、サンプルチャンバ1020は、必要に応じて、ガスを受容し、分析のためにチャンバ1020内にガスを保持するように構成され得る。
【0048】
図11を参照すると、本明細書に記載の自動サンプラーラックマウントと共に使用され得る発光システム1100が示されている。システム1100は、サンプル導入デバイス1110を含み、サンプル導入デバイス1110は、自動サンプラーラックマウント1105に流体結合し得るか、別様で自動サンプラーラックマウント1105、イオン化源1120、光学分光計1130、および検出器または検出デバイス1140内の流体バイアルからサンプルを受容し得る。サンプル導入デバイス1110は、インジェクタ、毛細管チューブ、イオン化源1120に導入するために液体サンプルをエアロゾル化するネブライザーなどの多くの形態をとり得る。ネブライザーが使用される場合、ネブライザーは、クロスフロー型ネブライザー、同心型ネブライザー、マイクロフロー型ネブライザーまたは他のネブライザーを含む多くの形態をとり得る。インジェクタが使用される場合、インジェクタは、針、毛細管、または小さなオリフィスを備えた他のチューブの形態をとり得る。この開示の利点を考慮して、追加のサンプル導入デバイスが当業者によって選択されるであろう。例えば、超音波パルス液体送達デバイス、液滴発生器またはマイクロドロップ発生器はまた、サンプル導入デバイスとして、またはそれと一緒に使用され得る。さらに、ネブライザー(または他のサンプル導入デバイス)は、1つ以上の上流デバイスまたは機器、例えば、液体クロマトグラフィデバイス、キャピラリー電気泳動デバイス、セルソーター、セルハンドリング装置などに接続することができる。イオン化源1120は、例えば、誘導結合プラズマの場合のトーチおよびイオン化デバイスを含む1つ以上の構成要素を含み得るか、サンプル中の分析物をイオン化および/または噴霧し得る他の非ICP源、例えば、容量結合プラズマ、電子イオン化源、化学イオン化源などを含み得る。検出器または検出デバイス1140は、多くの形態をとり得、発光1125などの発光を検出し得る任意の適切なデバイスであり得る。例えば、検出器1140は、レンズ、ミラー、プリズム、窓、バンドパスフィルタなどの適切な光学系を含み得る。検出器1140はまた、電荷結合デバイス(CCD)カメラなどのカメラ、相補型金属-酸化膜-半導体(CMOS)検出器、または光電子増倍管などの他の種類の検出器として構成され得る。検出器1040は、広い波長範囲にわたる発光波長を検出するように構成され得、紫外線、可視、近赤外線および遠赤外線などを含むが、これらに限定されない。必要に応じて、検出器1140を使用して、種々の発光波長を表す二次元画像を提供することができる。分光計1100は、マイクロプロセッサおよび/またはコンピュータなどの適切な電子機器、ならびに、所望の信号を提供するための適切な回路、および/またはデータ取得のための適切な回路をさらに含み得る。適切な追加のデバイスおよび回路は当技術分野で知られているものであり、例えば、パーキンエルマー・ヘルス・サイエンス社から市販されているOptima 2100DVシリーズ、Optima 5000 DVシリーズOESデバイス、Optima 8000または8300シリーズOESデバイス、またはAvio200およびAvio500OESデバイスなどの市販のOESデバイスに見出され得る。光学分光計1130は、光の波長を互いに分離するように、例えば、光ビーム1125内の種々の光波長をスペクトル分解して、種々の分析物種からの発光の検出を可能にするように構成され得、適切な格子、レンズなどを含んで1つ以上の光の波長を選択し得る。光学分光計を使用して、種々の異なる種類のサンプルを測定できる。これには、例えば、潤滑剤の金属含有量、潤滑剤の粒子元素組成、ならびに、流体中に存在するか、または流体中の1つ以上の粒子もしくは構造に結合するか、別様で存在し得る特定の波長で光を放出する1つ以上の金属または元素種を含み得る他のサンプルが含まれる。
【0049】
特定の実施形態では、本明細書に記載のデバイスおよびシステムを使用して、流体の均一性を維持または増進することができる。図12に、使用され得る1つのプロセスのフローチャートを示している。第1の方向へのバイアルのスピンが、ステップ1202で開始され、例えば、反時計回り方向に回転する。本明細書に記載されているように、一部の場合では、隣接するバイアルは、スピン力の均衡を保つために、反対方向にスピンする場合がある。スピン速度および時間、例えば、第1の回転周期は、ステップ1204で選択される。第1のスピン時間の後、ステップ1206で、例えば時計回り方向に、第2の反対方向にスピンを開始させることができる。スピン速度および時間、例えば、第2の回転周期は、ステップ1208で第2の方向にスピンするために選択される。スピンプロセスを継続することが望ましい場合、ステップ1210で、プロセスはステップ1202に再開し得る。スピンを中止することが望ましい場合、スピンプロセスは、ステップ1212で終了し得る。スピンが終了すると、新規のバイアルを自動サンプラーラックマウントに配置することができ、プロセスはステップ1202で再開し得る。
【0050】
本明細書に開示される実施例の要素を導入するときに、冠詞「a」、「an」、「the」、および「said」は、1つ以上の要素が存在することを意味することを意図している。「including(含む)」および「having(有する)」という用語は、オープンエンドであり、列記された要素以外の追加的な要素が存在し得ることを意味することを意図している。当業者であれば、本開示の利点を考慮して、実施例の様々な構成要素が、他の実施例において様々な構成要素と交換または置換され得ることを認識するであろう。
【0051】
特定の態様、実施例、および実施形態を上で説明したが、本開示の利益を考慮すると、開示された例示的な態様、実施例、および実施形態の追加、置換、変形、および変更が可能であることが当業者によって認識されるであろう。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】