(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】セラミックベースマイクロホットプレート及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05B 3/20 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
H05B3/20 328
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2020573472
(86)(22)【出願日】2019-06-27
(85)【翻訳文提出日】2020-12-25
(86)【国際出願番号】 CN2019093361
(87)【国際公開番号】W WO2020001555
(87)【国際公開日】2020-01-02
(31)【優先権主張番号】201810714351.7
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520512915
【氏名又は名称】上海汽▲車▼集▲團▼股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SAIC MOTOR CORPORATION LIMITED
(71)【出願人】
【識別番号】520512926
【氏名又は名称】▲蘇▼州納格光▲電▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU NANOGRID TECHNOLOGY CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲錦▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 程
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 克▲棟▼
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼ 奇
【テーマコード(参考)】
3K034
【Fターム(参考)】
3K034AA02
3K034AA15
3K034AA33
3K034BB06
3K034BB14
3K034CA02
3K034CA17
3K034JA01
3K034JA10
(57)【要約】
本出願はセラミックベースマイクロホットプレート及びその製造方法を開示している。
セラミックベースマイクロホットプレートにおいて、シリコン基板(11)の第1表面(111)に、セラミック膜(12)及び加熱層が順に形成され、加熱層は電気接続された加熱電極(13)と加熱抵抗(14)とを有し、セラミック膜(12)は所定のセラミックスラリーから焼結されることで形成され、加熱層は所定の導電スラリーから焼結されることで形成される。該セラミックベースマイクロホットプレートの製造方法は、乾燥と焼結工程を順に介して第1表面に付着されるセラミック膜、及びセラミック膜の表面に付着される加熱層を形成し、シリコン基板(11)の第2表面(112)をエッチングし、第1表面及び第2表面を貫通する空気断熱室を形成する。該セラミックベースマイクロホットプレートは優れた耐高温性を有し、安定性及び確実性を向上でき、加熱の消費電力、及び製造コストを低減できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記セラミックベースマイクロホットプレートであって、
対向する第1表面と第2表面とを有するシリコン基板であって、前記第1表面が中心加熱領域と周辺支持領域とを有し、前記中心加熱領域が前記第1表面及び前記第2表面を貫通する空気断熱室を有するシリコン基板と、
前記シリコン基板の第1表面に設けられたセラミック膜と、
前記セラミック膜の、シリコン基板から離反した側の表面に設けられており、電気接続された加熱電極と加熱抵抗とを有する加熱層であって、前記加熱抵抗が前記中心加熱領域にある加熱層と、を備え、
前記セラミック膜は前記シリコン基板の表面に形成された所定のセラミックスラリーから焼結されることで形成され、前記加熱層は前記セラミック膜の表面に形成された所定の導電スラリーから焼結されることで形成されることを特徴とするセラミックベースマイクロホットプレート。
【請求項2】
前記シリコン基板は両面酸化、片面酸化または酸化されていない単結晶シリコンウェハであり、前記単結晶シリコンウェハの結晶方位は100または111であり、
または、前記シリコン基板は両面酸化、片面酸化または酸化されていない多結晶シリコンウェハであることを特徴とする請求項1に記載のセラミックベースマイクロホットプレート。
【請求項3】
前記シリコン基板の厚さは、端点値が含まれているように、50μm~700μmであることを特徴とする請求項1に記載のセラミックベースマイクロホットプレート。
【請求項4】
前記セラミックスラリーはガラス及びセラミック系の混合材料であり、
または、前記セラミックスラリーは微結晶ガラス系であり、
または、前記セラミックスラリーは単相セラミックであることを特徴とする請求項1に記載のセラミックベースマイクロホットプレート。
【請求項5】
前記セラミック膜の厚さは、端点値が含まれているように、1μm~50μmであることを特徴とする請求項1に記載のセラミックベースマイクロホットプレート。
【請求項6】
前記セラミック膜の抵抗率は10
13Ω・cmより大きいことを特徴とする請求項1に記載のセラミックベースマイクロホットプレート。
【請求項7】
前記セラミック膜の熱膨張係数は、端点値が含まれているように、0.5×10
-6/℃~10×10
-6/℃であることを特徴とする請求項1に記載のセラミックベースマイクロホットプレート。
【請求項8】
前記セラミック膜の誘電率は、端点値が含まれているように、3~10であることを特徴とする請求項1に記載のセラミックベースマイクロホットプレート。
【請求項9】
前記セラミック膜の熱伝導率は、端点値が含まれているように、0.5W/(m・K)~10W/(m・K)であることを特徴とする請求項1に記載のセラミックベースマイクロホットプレート。
【請求項10】
前記セラミック膜の応力は、端点値が含まれているように、100MPa~1000MPaであることを特徴とする請求項1に記載のセラミックベースマイクロホットプレート。
【請求項11】
前記セラミック膜は、前記セラミック膜の粗さが端点値を含むように0.5nm~1μmになるように、つや出し処理することを特徴とする請求項1に記載のセラミックベースマイクロホットプレート。
【請求項12】
前記セラミック膜は前記第1表面の全部または一部を覆うことを特徴とする請求項1に記載のセラミックベースマイクロホットプレート。
【請求項13】
前記セラミックベースマイクロホットプレートは、セラミックスラリー及び厚さが異なる多層の前記セラミック膜を有することを特徴とする請求項1に記載のセラミックベースマイクロホットプレート。
【請求項14】
前記セラミックスラリーがガラス及びセラミック系の混合材料である場合、前記セラミックスラリーにおいて、セラミック相材料は酸化アルミニウムセラミック、酸化マグネシウムセラミック、酸化ベリリウムセラミック、酸化ジルコニウムセラミック、窒化アルミニウムセラミック、窒化ケイ素セラミック、窒化ホウ素セラミック、窒化チタンセラミック、炭化ケイ素セラミック、炭化チタンセラミック、炭化ホウ素セラミックのうちの1つまたは複数を有し、ガラス相材料は多種の無機鉱物を主原料として、補助原料を添加することで製造された不規則な構成の非晶質固体であり、セラミック相材料の結晶粒をガラス相材料の無定形のメッシュに溶かして前記セラミック膜を形成することを特徴とする請求項4に記載のセラミックベースマイクロホットプレート。
【請求項15】
前記セラミックスラリーが微結晶ガラス系である場合、前記セラミックスラリーにおいて、微結晶ガラスはベースガラスから加熱処理されることで形成され、結晶方位とガラス相とを同時に有する固体複合材料であり、
前記ベースガラスは複数組の酸化物を有し、所定条件で、前記ベースガラスの一部は規則的に配列されるように形成され、ガラス相において、微結晶ガラス相が形成されることを特徴とする請求項4に記載のセラミックベースマイクロホットプレート。
【請求項16】
前記ベースガラスはケイ酸塩ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、フルオロケイ酸塩ガラス、リンケイ酸塩ガラスのうちの1つまたは複数を有することを特徴とする請求項15に記載のセラミックベースマイクロホットプレート。
【請求項17】
前記セラミックスラリーにおいて、微結晶ガラス相はMgO-Al
2O
3-SiO
2コージエライト系、Li
2O-Al
2O
3-SiO
2リシア輝石系、Li
2O-ZnO-Al
2O
3-SiO
2リシア輝石系、BaO-Al
2O
3-SiO
2セルシアン系、BaO-Al
2O
3-SiO
2-TiO
2セルシアン系、CaO-Al
2O
3-SiO
2灰長石系、CaO-B
2O
3-SiO
2カルシウムボロンケイガラス系、Li
2O-ZnO-MgO-Al
2O
3-SiO
2β石英系、F-K
2O-Na
2O-CaO-SiO
2カナサイト系、F-X-MgO-SiO
2フッ素角閃石系、F-X-MgO-Al
2O
3-SiO
2フッ素雲母系、P
2O
5-Li
2O-SiO
2珪酸リチウム系のうちのいずれか1つまたは複数を有することを特徴とする請求項15に記載のセラミックベースマイクロホットプレート。
【請求項18】
前記セラミックスラリーが単相セラミックである場合、前記セラミックスラリーにおいて、単相セラミックはホウ酸バリウムスズセラミックまたはホウ酸ジルコニウムバリウムセラミックであることを特徴とする請求項4に記載のセラミックベースマイクロホットプレート。
【請求項19】
前記加熱電極の厚さは、端点値が含まれているように、0.5um~50umであり、
前記加熱電極の材料はPt、Au、Ag、Cu、Al、Ni、W、Ag/Pd合金及びPt/Au合金のうちのいずれか1つであることを特徴とする請求項1に記載のセラミックベースマイクロホットプレート。
【請求項20】
前記加熱抵抗の厚さは、端点値が含まれているように、0.5um~50umであり、
前記加熱抵抗は導電膜層のパターニング処理により形成された所定形状の抵抗配線であり、
前記加熱抵抗の材料は、Pt、Au、Ag、Cu、Al、Ni、W、Mo、Ni/Cr合金、Mo/Mn合金、Cu/Zn合金、Ag/Pd合金、Pt/Au合金、Fe/Co合金、RuO
2及びSnO
2:Sb
2O
3のうちのいずれか1つであることを特徴とする請求項1に記載のセラミックベースマイクロホットプレート。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか1項に記載のセラミックベースマイクロホットプレートを製造するための、セラミックベースマイクロホットプレートの製造方法であって、前記製造方法は、
対向する第1表面と第2表面とを有するシリコン基板を提供するステップであって、前記第1表面は中心加熱領域と周辺支持領域とを有するステップと、
前記第1表面に所定のセラミックスラリーの膜層を形成するステップと、
乾燥工程及び焼結工程を順に介して、前記第1表面に付着されるセラミック膜を形成するステップと、
前記セラミック膜の表面に、所定の導電スラリーの導電膜層を形成するステップと、
乾燥工程及び焼結工程を順に介して、前記セラミック膜の表面に付着される加熱層を形成するステップと、
前記第2表面をエッチングして、前記中心加熱領域に対応するように、前記第1表面及び前記第2表面を貫通する空気断熱室を形成するステップと、を有することを特徴とする製造方法。
【請求項22】
乾燥際の工程温度は、端点値が含まれているように、40℃~200℃であり、
焼結際の工程温度は、端点値が含まれているように、500℃~1400℃であることを特徴とする請求項21に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【相互参照】
【0001】
本出願は2018年06月29日にて中国特許庁に提出され、出願番号が201810714351.7であり、発明名称が「セラミックベースマイクロホットプレート及びその製造方法」である中国特許出願の優先権を主張して、その全ての内容は援用されることで、本出願に結合される。
【技術分野】
【0002】
本発明は電子機器製造という技術分野に関わり、より具体的に、セラミックベースマイクロホットプレート及びその製造方法に関わる。
【背景技術】
【0003】
シリコン微細加工技術によるマイクロホットプレート(MicroHotplate、MHP)は微小電気機械システム(MEMS)における通常の加熱プラットフォームであり、マイクロガスセンサ、マイクロ熱式流量計、マイクロ赤外線検出器及び気圧計などのマイクロ機器に大幅に応用されている。マイクロホットプレートの基本的な構成は、吊り下げ式誘電体フィルム及び抵抗バーを有する。電流が抵抗バーを通過する場合、抵抗から発生したジュール熱の一部は、マイクロホットプレートの加熱のために用いられ、他の一部は、伝導、対流及び放射という方式で、周囲環境における吊り下げ構成に消散することで、マイクロホットプレートに、非常に小さい熱慣性及び非常に高い電熱結合効率を具備させ、ミリワットレベルの熱パワーだげでは、その中心温度領域を数ミリ秒内で迅速に昇温させることができる。従って、マイクロホットプレートは非常に速い熱応答時間及び低い熱消費電力を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、MEMS技術に基づき製造されたシリコンベースマイクロホットプレートの加工工程は、主に裏面体シリコン加工、前面体シリコン加工及び表面加工という3つがあり、主な工程フローは、化学気相堆積工程により、シリコンウェハ基板に、一定の厚さを有する窒化ケイ素薄膜及び酸化ケイ素薄膜を堆積させ、そして、物理気相堆積工程により、パターニングされた抵抗加熱膜を製造し、更に、ディープシリコンエッチング工程により、窒化ケイ素と酸化ケイ素薄膜の下方にあるシリコンウェハ基板をエッチングすることで、窒化ケイ素と酸化ケイ素薄膜とが吊り下げられ、断熱機能が優れたマイクロホットプレートを取得する。ただし、現在、マイクロホットプレートが採用した物理気相堆積により製造された抵抗加熱膜は、一般的に、数百ナノメートルの厚さを有するプラチナ、タングステン、モリブデンまたは多結晶シリコンであり、これらの材料は厚さが小さく、成膜結晶粒が小さいから、高温熱処理(600℃以上)を受ける場合、加熱抵抗は一般的に、不可逆変化が生じて、そして、高温処理の後、表面の酸化は一般的にゴールドワイヤボールボンディング工程を行うだけではなく、または、一定の高温(600℃以上)まで加熱された場合、抵抗も変化し、例えば、シリコンベースマイクロホットプレートによる触媒燃焼ガスセンサは、センサが高濃度の可燃性ガスに晒す際、可燃性ガスが燃焼放熱を促進するから、マイクロホットプレートの温度が700℃~800℃に達する可能性があり、マイクロホットプレートは該温度に耐えられないと、マイクロホットプレートの確実性は1つの問題になり、このように、マイクロホットプレートの使用環境が制約され、製品のロバストネスが試練を受ける。そして、採用した二酸化ケイ素材料は相変わらず高い熱伝導率(7W/m・K)を有するため、マイクロホットプレートの消費電力のさらなる低減には不利である。且つ、窒化ケイ素薄膜、二酸化ケイ素薄膜及び抵抗加熱膜はいずれも化学または物理気相堆積工程を利用して製造され、必要な機器は高価で、製造工程のコストも高く、マイクロホットプレートのコストのさらなる低減には不利である。
【0005】
前記記載から分かるように、従来技術において、マイクロホットプレートは主に以下の問題を有し、即ち、物理気相堆積から形成された抵抗加熱膜の耐高温の機能が劣るから、製品の安定性及び確実性も劣って、そして、二酸化ケイ素膜は高い熱伝導率を有し、放熱が速いから、所定の作業温度を保持するために、大きい入力電力を必要とし、マイクロホットプレートの消費電力のさらなる低減には不利であり、その同時、物理気相堆積機器及び化学気相堆積機器は高価であるから、製造コストも高くなり、マイクロホットプレートのコストのさらなる低減には不利である。
【0006】
前記問題を解決するために、本発明の技術案は、優れた安定性及び確実性を有し、製造工程が簡単で、製造コストが低く、低い加熱の消費電力を有するセラミックベースマイクロホットプレートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を実現するために、本発明は以下の技術案を提供し、
セラミックベースマイクロホットプレートであって、
対向する第1表面と第2表面とを有するシリコン基板であって、前記第1表面が中心加熱領域と周辺支持領域とを有し、前記中心加熱領域が前記第1表面及び前記第2表面を貫通する空気断熱室を有するシリコン基板と、
前記シリコン基板の第1表面に設けられたセラミック膜と、
前記セラミック膜の、シリコン基板から離反した側の表面に設けられており、電気接続された加熱電極と加熱抵抗とを有する加熱層であって、前記加熱抵抗が前記中心加熱領域にある加熱層と、を備え、
前記セラミック膜は前記シリコン基板の表面に形成された所定のセラミックスラリーから焼結されることで形成され、前記加熱層は前記セラミック膜の表面に形成された所定の導電スラリーから焼結されることで形成される。
【0008】
好ましくは、前記セラミックベースマイクロホットプレートにおいて、前記シリコン基板は両面酸化、片面酸化または酸化されていない単結晶シリコンウェハであり、前記単結晶シリコンウェハの結晶方位は100または111であり、
または、前記シリコン基板は両面酸化、片面酸化または酸化されていない多結晶シリコンウェハである。
【0009】
好ましくは、前記セラミックベースマイクロホットプレートにおいて、前記シリコン基板の厚さは、端点値が含まれているように、50μm~700μmである。
【0010】
好ましくは、前記セラミックベースマイクロホットプレートにおいて、前記セラミックスラリーはガラス及びセラミック系の混合材料であり、
または、前記セラミックスラリーは微結晶ガラス系であり、
または、前記セラミックスラリーは単相セラミックである。
【0011】
好ましくは、前記セラミックベースマイクロホットプレートにおいて、前記セラミック膜の厚さは、端点値が含まれているように、1μm~50μmである。
【0012】
好ましくは、前記セラミックベースマイクロホットプレートにおいて、前記セラミック膜の抵抗率は1013Ω・cmより大きい。
【0013】
好ましくは、前記セラミックベースマイクロホットプレートにおいて、前記セラミック膜の熱膨張係数は、端点値が含まれているように、0.5×10-6/℃~10×10-6/℃である。
【0014】
好ましくは、前記セラミックベースマイクロホットプレートにおいて、前記セラミック膜の誘電率は、端点値が含まれているように、3~10である。
【0015】
好ましくは、前記セラミックベースマイクロホットプレートにおいて、前記セラミック膜の熱伝導率は、端点値が含まれているように、0.5W/(m・K)~10W/(m・K)である。
【0016】
好ましくは、前記セラミックベースマイクロホットプレートにおいて、前記セラミック膜の応力は、端点値が含まれているように、100MPa~1000MPaである。
【0017】
好ましくは、前記セラミックベースマイクロホットプレートにおいて、前記セラミック膜は、前記セラミック膜の粗さが端点値を含むように0.5nm-1μmになるように、つや出し処理をする。
【0018】
好ましくは、前記セラミックベースマイクロホットプレートにおいて、前記セラミック膜は前記第1表面の全部または一部を覆う。
【0019】
好ましくは、前記セラミックベースマイクロホットプレートにおいて、前記セラミックベースマイクロホットプレートは、セラミックスラリー及び厚さが異なる多層の前記セラミック膜を有する。
【0020】
好ましくは、前記セラミックベースマイクロホットプレートにおいて、前記セラミックスラリーがガラス及びセラミック系の混合材料である場合、前記セラミックスラリーにおいて、セラミック相材料は酸化アルミニウムセラミック、酸化マグネシウムセラミック、酸化ベリリウムセラミック、酸化ジルコニウムセラミック、窒化アルミニウムセラミック、窒化ケイ素セラミック、窒化ホウ素セラミック、窒化チタンセラミック、炭化ケイ素セラミック、炭化チタンセラミック、炭化ホウ素セラミックのうちの1つまたは複数を有し、ガラス相材料は多種の無機鉱物を主原料として、補助原料を添加することで製造された不規則な構成の非晶質固体であり、セラミック相材料の結晶粒をガラス相材料の無定形のメッシュに溶かして前記セラミック膜を形成する。
【0021】
好ましくは、前記セラミックベースマイクロホットプレートにおいて、前記セラミックスラリーは微結晶ガラス系である場合、前記セラミックスラリーにおいて、微結晶ガラスはベースガラスから、加熱処理されることで形成されており、結晶方位とガラス相とを同時に有する固体複合材料であり、
前記ベースガラスは複数組の酸化物を有し、所定条件で、前記ベースガラスの一部は規則的に配列されるように形成され、ガラス相において、微結晶ガラス相が形成される。
【0022】
好ましくは、前記セラミックベースマイクロホットプレートにおいて、前記ベースガラスはケイ酸塩ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、フルオロケイ酸塩ガラス、リンケイ酸塩ガラスのうちの1つまたは複数を有する。
【0023】
好ましくは、前記セラミックベースマイクロホットプレートでは、前記セラミックスラリーにおいて、微結晶ガラス相はMgO-Al2O3-SiO2コージエライト系、Li2O-Al2O3-SiO2リシア輝石系、Li2O-ZnO-Al2O3-SiO2リシア輝石系、BaO-Al2O3-SiO2セルシアン系、BaO-Al2O3-SiO2-TiO2セルシアン系、CaO-Al2O3-SiO2灰長石系、CaO-B2O3-SiO2カルシウムボロンケイガラス系、Li2O-ZnO-MgO-Al2O3-SiO2β石英系、F-K2O-Na2O-CaO-SiO2カナサイト系、F-X-MgO-SiO2フッ素角閃石系、F-X-MgO-Al2O3-SiO2フッ素雲母系、P2O5-Li2O-SiO2珪酸リチウム系のうちのいずれか1つまたは複数を有する。
【0024】
好ましくは、前記セラミックベースマイクロホットプレートにおいて、前記セラミックスラリーが単相セラミックである場合、前記セラミックスラリーにおいて、単相セラミックはホウ酸バリウムスズセラミックまたはホウ酸ジルコニウムバリウムセラミックである。
【0025】
好ましくは、前記セラミックベースマイクロホットプレートにおいて、前記加熱電極の厚さは、端点値が含まれているように、0.5um~50umであり、
前記加熱電極の材料はPt、Au、Ag、Cu、Al、Ni、W、Ag/Pd合金及びPt/Au合金のうちのいずれか1つである。
【0026】
好ましくは、前記セラミックベースマイクロホットプレートにおいて、前記加熱抵抗の厚さは、端点値が含まれているように、0.5um~50umであり、
前記加熱抵抗は導電膜層のパターニング処理により形成された所定形状の抵抗配線であり、
前記加熱抵抗の材料は、Pt、Au、Ag、Cu、Al、Ni、W、Mo、Ni/Cr合金、Mo/Mn合金、Cu/Zn合金、Ag/Pd合金、Pt/Au合金、Fe/Co合金、RuO2及びSnO2:Sb2O3のうちのいずれか1つである。
【0027】
本発明はさらに、前記いずれか1項に記載のセラミックベースマイクロホットプレートの製造のためのセラミックベースマイクロホットプレートの製造方法を提供し、前記製造方法は、
対向する第1表面と第2表面とを有するシリコン基板を提供するステップであって、前記第1表面は中心加熱領域と周辺支持領域とを有するステップと、
前記第1表面に所定のセラミックスラリーの膜層を形成するステップと、
乾燥工程及び焼結工程を順に介して、前記第1表面に付着されるセラミック膜を形成するステップと、
前記セラミック膜の表面に、所定の導電スラリーの導電膜層を形成するステップと、
乾燥工程及び焼結工程を順に介して、前記セラミック膜の表面に付着される加熱層を形成するステップと、
前記第2表面をエッチングして、前記中心加熱領域に対応するように、前記第1表面及び前記第2表面を貫通する空気断熱室を形成するステップと、を有することを特徴とする。
【0028】
好ましくは、前記製造方法において、乾燥際の工程温度は、端点値が含まれているように、40℃~200℃であり、
焼結際の工程温度は、端点値が含まれているように、500℃~1400℃である。
【0029】
前記記載から分かるように、本発明の技術案が提供したセラミックベースマイクロホットプレート及びその製造方法において、シリコン基板の第1表面には、セラミック膜及び加熱層が順に形成され、前記セラミック膜は所定のセラミックスラリーから焼結されることで形成され、前記加熱層は所定の導電スラリーから焼結されることで形成され、このように、前記セラミック膜及び前記加熱層はいずれも高温焼結工程から形成され、優れた耐高温機能を有するから、低温工程条件の物理気相堆積から形成される加熱層の従来技術と比べると、高温焼結工程から形成される加熱層は、よりよい耐高温性を有し、安定性及び確実性を向上できる。そして、セラミックスラリーの構成を調節することで、セラミック膜の熱伝導率を調節でき、放熱が速いという問題を避け、加熱の消費電力を低減させる。その同時、対応するスラリーから焼結されることで、セラミック膜及び加熱層を形成した機器は、化学気相堆積及び物理気相堆積の機器に対して、機器のコストが低く、製造コストを低減させる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明の実施例または従来技術の技術案をより明らかに説明するために、以下は実施例または従来技術の記載にとって必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の記載の図面は本発明の実施例のみであり、当業者にとって、進歩性に値する労働をしない前提で、提供した図面に応じて、他の図面を取得できる。
【
図1】本発明の実施例が提供したセラミックベースマイクロホットプレートの構成模式図である。
【
図2】本発明の実施例が提供したセラミック膜マイクロホットプレートの平面図である。
【
図3】本発明の実施例が提供した他のセラミック膜マイクロホットプレートの構成模式図である。
【
図4】本発明の実施例が提供した加熱層の構成模式図である。
【
図5】本発明の実施例が提供した製造方法のフロー模式図である。
【
図6】本発明の実施例が提供したセラミックベースマイクロホットプレートの平面図である。
【
図7】本発明の実施例が提供した他の製造方法のフロー模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下は、本発明の実施例の図面を結合して、本発明の実施例の技術案を明らか且つ完全に記載し、明らかに、記載の実施例は全ての実施例ではなく、本発明の一部の実施例のみである。本発明の実施例に基づき、当業者は進歩性に値する労働をしない前提で取得した他の全ての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0032】
従来技術に記載するように、従来のマイクロホットプレートは、シリコンウェハ基板の一側の表面で、化学気相堆積を介して窒化ケイ素薄膜及び二酸化ケイ素薄膜を順に形成し、そして、二酸化ケイ素の表面で、物理気相堆積を介して抵抗加熱膜を形成する。
【0033】
物理気相堆積工程の温度が低く、形成された抵抗加熱膜の耐高温機能が劣って、マイクロホットプレートは、後続のゴールドワイヤボールボンディング工程、または触媒燃焼ガスセンサとする場合、高い温度を有し、抵抗加熱膜の耐高温機能が劣ると、製品の確実性及び安定性の劣りを招致して、製品の品質に影響する。
【0034】
二酸化ケイ素は高い熱伝導率を有するから、放熱速度が速くなり、このように、マイクロホットプレートは加熱作業に用いられる場合、例えば、触媒燃焼センサにおいて、該マイクロホットプレートによりガスの燃焼温度に加熱される場合、放熱速度が速いことによる熱の流失を克服するように、高い消費電力を必要とし、このように、製品の作業際の消費電力が大きくなる。
【0035】
その同時、物理気相堆積機器及び化学気相堆積機器は高価であるから、製品の製造コストが高くなる。
【0036】
発明者は研究することで発見するように、シリコン基板の成熟の加工技術とセラミック基板の優れた電気学、力学、熱学特性とを結合して、シリコン基板でセラミック膜を製造すれば、特定の製品の需求を満たす。つまり、所定のセラミックスラリーによりシリコン基板でセラミック膜を形成することで、優れた電気学、力学、熱学特性を有するセラミック基板を形成でき、且つ製造コストが低い。そして、所定の導電スラリーによりセラミックベースの表面で、焼結してから耐高温の加熱層を形成することで、製品の確実性及び安定性を向上するとともに、製造コストを大幅に低減できる。
【0037】
本発明の前記目的、特徴及び利点をより明らかにするために、以下は図面と具体的な実施形態を結合して本発明をさらに詳しく説明する。
【0038】
図1を参照して、
図1は本発明の実施例が提供したセラミックベースマイクロホットプレートの構成模式図であり、該セラミックベースマイクロホットプレート10は、対向する第1表面111と第2表面112とを有する前記シリコン基板11であって、前記第1表面が中心加熱領域Aと周辺支持領域Bとを有し、前記中心加熱領域Aが前記第1表面と前記第2表面を貫通する空気断熱室15を有するシリコン基板11と、前記シリコン基板11の第1表面に設けられたセラミック膜12と、前記セラミック膜12のシリコン基板11から離反した側の表面に設けられた加熱層と、を有し、前記加熱層は電気接続された加熱電極13及び加熱抵抗14を有し、前記加熱抵抗14は前記中心加熱領域Aにある。
【0039】
加熱電極13と加熱抵抗14とは、同一の導電スラリーから形成された同一の加熱層により製造されてもよい。他の形態において、両者は異なる抵抗スラリー及び電極スラリーによりそれぞれ製造されてもよく、この場合、加熱電極13は一定の面積を有する導電パッドであり、外部回路は圧着、ボンディング、スポット熔接などの熔接方式を介して加熱電極13に電気接続されてもよい。加熱電極13は主に、マイクロホットプレートに外部から付与された電気信号を提供し、加熱抵抗14はマイクロホットプレートの主な発熱素子であり、外部の電流は加熱電極を介して加熱抵抗に伝送される際、加熱抵抗はジュール熱を発生させ、さらに、マイクロホットプレートに熱源を提供する。マイクロホットプレートにより小さい熱容量、より速い熱応答を具備させるために、加熱抵抗と接触するセラミック膜を吊り下げ膜になるように配置して、エッチング技術を介して、基板11の、セラミック膜と接触する全てのケイ素をエッチングして削除し、空気断熱室15を形成し、空気は低い熱伝導率を有するから、優れた断熱性を備える。加熱抵抗14の形状は、加熱層の異なる形状に応じて適切に調整されるが、どんな形状にも関わらず、加熱電極13は加熱抵抗14に電気接続され、加熱抵抗14は必要に応じて特定の形状に配置され、加熱後、マイクロホットプレートの作業に特定の温度を提供する。
【0040】
前記セラミック膜12は前記シリコン基板11の表面に形成された所定のセラミックスラリーから焼結されることで形成され、前記加熱層は、前記セラミック膜12の表面に形成された所定の導電スラリーから焼結されることで形成される。加熱電極13は、外部回路から入力された電気信号を取得することで、加熱抵抗に作業電圧を提供する。
【0041】
所定のセラミックスラリーを厚膜印刷工程に採用して、シリコン基板11の表面でセラミック膜12を形成し、高温焼結を介した後、緻密なセラミック膜12を形成し、セラミック膜12とシリコン基板11とを安定且つ確実に結合でき、結合力が優れて、緻密且つ硬い。
【0042】
従来技術に比べると、本発明の実施例が提供したセラミックベースマイクロホットプレート10のセラミック膜12と加熱層とは、それぞれ所定のスラリーから成膜し、高温焼結されることで、製造される。高温熱処理を介するまたは一定の高温まで加熱されると、加熱層とセラミック膜12とはいずれも優れた耐高温性を有し、加熱層の加熱抵抗14の抵抗値が安定で、製品のロバストネスがよりよい。セラミック膜12はより低い熱伝導率、より優れた断熱機能を有し、セラミックベースマイクロホットプレート10の消費電力のさらなる低減に寄与する。また、セラミック膜12と加熱層とは、全部で厚膜印刷の技術により成膜してもよく、高価の物理気相堆積または化学気相堆積機器を採用することがなく、低コストの成膜工程を採用することは、さらに、製品コストの低減に寄与する。
【0043】
前記シリコン基板11は両面酸化、片面酸化または酸化されていない単結晶シリコンウェハであり、前記単結晶シリコンウェハの結晶方位は100または111であり、セラミック膜12及びシリコン基板11に安定の接触効果を具備させる。または、前記シリコン基板は両面酸化、片面酸化または酸化されていない多結晶シリコンウェハである。単結晶シリコンウェハまたは多結晶シリコンウェハを採用することで、セラミック膜12及びシリコン基板11に安定の接触効果を具備させる。
【0044】
前記シリコン基板11の厚さは、端点値が含まれているように、50μm~700μmである。具体的に、前記シリコン基板11の厚さは100μm、200μm、300μm、50μmまたは600μmであってもよい。前記厚さの値のシリコン基板11を利用することで、セラミック膜マイクロホットプレート10は薄い厚さを有するように保証するとともに、セラミック膜マイクロホットプレート10に優れた機械的強度を具備させる。
【0045】
本出願の実施例において、前記セラミックスラリーはガラス及びセラミック系の混合材料であってもよく、または、前記セラミックスラリーは微結晶ガラス系であってもよく、または、前記セラミックスラリーは単相セラミックであってもよい。
【0046】
前記セラミックスラリーはガラス及びセラミック系の混合材料である場合、前記セラミックスラリーは、ガラス相とセラミック相という2つの晶相を含む。セラミック相材料は酸化アルミニウムセラミック、酸化マグネシウムセラミック、酸化ベリリウムセラミック、酸化ジルコニウムセラミック、窒化アルミニウムセラミック、窒化ケイ素セラミック、窒化ホウ素セラミック、窒化チタンセラミック、炭化ケイ素セラミック、炭化チタンセラミック、炭化ホウ素セラミックのうちの1つまたは複数を有し、ガラス相材料は多種の無機鉱物(石英砂、ホウ砂、ホウ酸、重晶石、炭酸バリウム、石灰石、カリ長石、曹長石、炭酸ナトリウム、酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化鉛、酸化銅以及酸化クロムなどのうちの1つまたは複数)を主原料として、補助原料を添加することで製造された不規則な構成の非晶質固体であり、無定形のメッシュ構成を有する。主な原料に少量の補助原料を添加しており、必要に応じて、主な原料と補助原料との比例を設定できる。高温条件で、セラミック相材料の結晶粒をガラス相材料の無定形のメッシュに溶かして前記セラミック膜を形成する。
【0047】
前記セラミックスラリーは微結晶ガラス系である場合、前記セラミックスラリーにおいて、微結晶ガラスはベースガラスから、加熱処理されることで形成され、結晶方位とガラス相とを同時に有する固体複合材料である。前記ベースガラスは複数組の酸化物を有し、所定条件で、前記ベースガラスの一部は規則的に配列されるように形成され、ガラス相において、微結晶ガラス相が形成される。具体的に、前記ベースガラスはケイ酸塩ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、フルオロケイ酸塩ガラス、リンケイ酸塩ガラスのうちの1つまたは複数を有する。
【0048】
前記セラミックスラリーは微結晶ガラス系である場合、前記セラミックスラリーの結晶方位は微結晶ガラス相を有し、好ましくは、微結晶ガラス相はMgO-Al2O3-SiO2コージエライト系、Li2O-Al2O3-SiO2リシア輝石系、Li2O-ZnO-Al2O3-SiO2リシア輝石系、BaO-Al2O3-SiO2セルシアン系、BaO-Al2O3-SiO2-TiO2セルシアン系、CaO-Al2O3-SiO2灰長石系、CaO-B2O3-SiO2カルシウムボロンケイガラス系、Li2O-ZnO-MgO-Al2O3-SiO2β石英系、F-K2O-Na2O-CaO-SiO2カナサイト系、F-X-MgO-SiO2フッ素角閃石系(XはLi、Na、K、Caなどの酸化物である)、F-X-MgO-Al2O3-SiO2フッ素雲母系(Xはアルカリ金属及びアルカリ土類金属酸化物である)、P2O5-Li2O-SiO2珪酸リチウム系のうちのいずれか1つまたは複数を有する。
【0049】
前記セラミックスラリーは単相セラミックである場合、前記セラミックスラリーにおいて、単相セラミックはホウ酸バリウムスズセラミックまたはホウ酸ジルコニウムバリウムセラミックである。
【0050】
前記セラミック膜12の厚さは、端点値が含まれるように、1μm~50μmである。具体的に、前記セラミック膜12の厚さは、10μm、20μm、30μmまたは40μmであってもよい。前記シリコン基板11の表面に前記厚さの値のセラミック膜12を形成することで、セラミック膜12の厚さが薄いように保証するとともに、セラミック膜12に優れた電気学、力学及び熱学機能を具備させる。
【0051】
前記セラミック膜12の抵抗率は1013Ω・cmより大きい。本発明の実施例に記載のシリコンベースセラミック膜10は大きい抵抗率、及び優れた絶縁機能を有する。
【0052】
前記セラミック膜12の熱膨張係数は、端点値が含まれるように、0.5×10-6/℃~10×10-6/℃である。具体的に、前記セラミック膜12の熱膨張係数は1×10-6/℃、4×10-6/℃、6×10-6/℃または8×10-6/℃であってもよい。シリコン基板11の表面に前記熱膨張係数の値のセラミック膜12を形成することで、セラミック膜12の熱膨張係数をシリコン基板11の熱膨張係数に適応させ、温度の変化によるセラミック膜12とシリコン基板11との熱膨張程度の幅が異なることによる、セラミック膜の反りまたは破断などの問題を避け、セラミック膜マイクロホットプレート10の確実性及び安定性を保証できる。
【0053】
前記セラミック膜12の誘電率は、端点値が含まれるように、3~10である。具体的に、該セラミック膜12の誘電率は4、5、6、7または9であってもよい。シリコン基板11の表面に前記誘電率の値のセラミック膜12を形成することで、セラミック膜12に優れた電気学特性を具備させる。
【0054】
前記セラミック膜12の熱伝導率は、端点値が含まれるように、0.5W/(m・K)-10W/(m・K)である。具体的に、該セラミック膜12の熱伝導率は2W/(m・K)、4W/(m・K)、6W/(m・K)または8W/(m・K)である。シリコン基板11の表面に前記熱伝導率の値のセラミック膜12を形成することで、セラミック膜12に優れた熱学特性を具備させ、熱伝導の速度が適切になる。このように、該セラミック膜マイクロホットプレート10は触媒燃焼センサのマイクロホットプレートに適用される場合、触媒燃焼センサが触媒の最適な作業温度でガス検出を行うから、本出願の技術案は、放熱が速すぎることにより触媒の活性が劣るから、電流を大きくすることで熱補償を行わなければならないという問題、及び、放熱が遅すぎることにより温度が触媒の最適な作業温度を超えたという問題を避け、このように、本出願の技術案は、シリコンベースセラミック膜に適切な熱伝導速度、優れた熱学特性を具備させ、マイクロホットプレートに適用される場合、温度を触媒の最適な作業温度に維持させ、温度が高すぎ及び低すぎるという問題の発生を避ける。
【0055】
前記セラミック膜12の応力は、端点値が含まれるように、100MPa~1000MPaである。具体的に、前記セラミック膜12の応力は200Mpa、500Mpa、800Mpaまたは900Mpaである。シリコン基板11の表面に前記応力の値のセラミック膜12を形成することで、セラミック膜12に優れた力学特性を具備させ、大きい応力に耐えることができ、応力の変化によってセラミック膜には反りまたは脱落などの問題が生じることを避ける。
【0056】
前記セラミック膜12はつや出し処理を介して、前記セラミック膜12の粗さが、端点値が含まれるように、0.5nm~1μmになる。具体的に、前記セラミック膜12の粗さは10nm、100nm、500nmまたは800nmであってもよい。シリコン基板11の表面に前記粗さの値のセラミック膜12を形成することで、セラミック膜12に優れた平坦性を具備させ、その表面に他の構成を便利に製造できる。
【0057】
本発明の実施例が提供したセラミック膜マイクロホットプレートにおいて、前記セラミック膜12は前記第1表面の全部または一部を覆う。セラミック膜12が第1表面の一部を覆う場合、複数の領域を有し、隣接する領域の間には隙間がある。第1表面領域におけるセラミック膜12により区画された領域の大きさ、数量及び隙間距離を調節し、シリコン基板11の応力とセラミック膜12の応力とをマッチングするように調節することで、セラミック膜マイクロホットプレートの安定性及び確実性を保証する。
【0058】
図2を参照し、
図2は本発明の実施例が提供したセラミック膜マイクロホットプレートの平面図であり、
図2の左図に示される形態において、セラミック膜121はシリコンベース基層11の第1表面の全部を覆っており、
図2の右図に示される形態において、セラミック膜123はシリコンベース基層11の一部を覆っており、
図2の中間図に示される形態において、セラミック膜122はシリコンベース基層11の一部を覆う。
【0059】
前記セラミック膜マイクロホットプレート10は、セラミックスラリー及び厚さが異なる多層の前記セラミック膜12を有するように配置されることで、シリコン基板11の応力とセラミック膜12の応力とのマッチング効果がよりよくなり、セラミックベースマイクロホットプレートに反りという問題が生じることを避ける。
【0060】
図3を参照し、
図3は本発明の実施例が提供した他のセラミック膜マイクロホットプレートの構成模式図であり、
図3に示されるセラミック膜マイクロホットプレート20において、シリコン基板21は同じように、対向する第1表面と第2表面とを有し、前記実施例のシリコン基板と同様である。
図3に示される形態と
図2に示される形態との相違点は、
図3に示される形態において、シリコン基板21の表面は、セラミック膜221とセラミック膜222という2層のセラミック膜を有することにある。セラミック膜221はシリコン基板21の表面にあり、セラミック膜222はセラミック膜221の表面にある。説明しようとするのは、応力マッチングの必要に応じて、セラミック膜の層数を設定でき、
図3に示される2層の構成が含まれるが、それに限定されていない。最も外側のセラミック膜222の表面には加熱層が設けられ、前記実現形態と同じように、該加熱層は加熱電極23と加熱抵抗24とを有する。
【0061】
好ましくは、前記加熱電極13の厚さは、端点値が含まれているように、0.5um~50umであり、例えば、10μm、20μmまたは30μmなどであってもよい。前記加熱電極13の材料はPt、Au、Ag、Cu、Al、Ni、W、Ag/Pd合金及びPt/Au合金のうちのいずれか1つであり、前記材料が含まれるが、それに限定されていない。
【0062】
前記加熱抵抗14の厚さは、端点値が含まれているように、0.5um~50umであり、例えば、10μm、20μmまたは30μmなどであってもよい。前記加熱抵抗14は導電膜層のパターニング処理から形成された所定形状の抵抗配線である。導電膜層のパターン構成は
図4に示される。
【0063】
図4を参照し、
図4は本発明の実施例が提供した加熱層の構成模式図であり、
図4において、
図4aに示される加熱層は加熱抵抗141と加熱電極131とを有し、加熱抵抗141は異形状の曲線であり、
図4bに示される加熱層は加熱抵抗142と加熱電極132とを有し、加熱抵抗142は蚊取り線香状の曲線であり、
図4cに示される加熱層は加熱抵抗143と加熱電極133とを有し、加熱抵抗143は蛇形の曲線であり、加熱抵抗143の線幅は均一であり、
図4dに示される加熱層は加熱抵抗144と加熱電極134とを有し、加熱抵抗144は蛇形の曲線であり、加熱抵抗144の線幅は均一ではなく、
図4eは加熱抵抗144と加熱電極134とを有し、加熱抵抗144は矩形である。加熱層のパターン構成は
図4における4つの形態に限定されず、1つのパターン構成に限定されず、さらに、多種のパターン構成の結合であってもよく、例えば、同一の加熱層には、前記4つの形態のうちの、少なくとも2つの組み合わせが含まれても良い。
【0064】
マイクロホットプレートの熱電界均一性に応じて、加熱抵抗の形状を変更し、加熱抵抗の線幅を制御し、さらに、加熱抵抗の抵抗値を調節制御でき、例えば、
図4において、加熱抵抗143の線条の幅が同一であり、各本の線条の抵抗値も同様である。加熱抵抗144の線条の幅は不一致であり、中間が粗く、両辺が細く、中間の線条の抵抗が、両辺の線条の抵抗より小さく、同じ電流が通過する場合、両辺の線条から発生したジュール熱が、中間の線条の抵抗から発生したジュール熱より大きく、両辺の線条がより断熱室の縁に近接するから、熱伝導がより高く、これによって、両辺の線条の温度が低くなり、可変な線幅設計を介して、熱電界がより均一且つ一致になる。同じように、蚊取り線香状の曲線の加熱抵抗142に対しても、可変な線幅設計を行う。
【0065】
前記加熱抵抗14の材料はPt、Au、Ag、Cu、Al、Ni、W、Mo、Ni/Cr合金、Mo/Mn合金、Cu/Zn合金、Ag/Pd合金、Pt/Au合金、Fe/Co合金、RuO2及びSnO2:Sb2O3のうちのいずれか1つであり、前記材料が含まれるが、それに限定されていない。
【0066】
本発明の実施例において、セラミック膜12は、強誘電体、圧電または磁気電気結合効果を実現する伝統のセラミック膜層と違って、伝統のセラミック膜層のセラミック膜層は機能性セラミックであり、力、電気、磁気の間の優れた変換機能を具備しなければならなく、本発明の実施例のセラミック膜12は構造用セラミックであり、応力歪み、弾性率などの力学パラメータを実現でき、隣接する膜層の間に確実且つ安定の付着性を具備させる。
【0067】
従って、本出願の実施例に記載のセラミック膜12は構造用セラミックであり、伝統のセラミック膜層は機能性セラミックであり、本質的な違いを有し、シリコン基板の機能性セラミックは、本出願のシリコンベースセラミック膜と違っている。機能性セラミックは主にその非力学機能を利用したセラミック材料であり、このようなセラミック材料は一般的に、電気、磁気、光、熱、化学生物などの1種または多種の機能を有し、または、圧電、圧磁、熱電、電気光学、音響光学、磁気光学などの結合機能を有する。そして、半導体技術の発展に連れて、機能性セラミックはいずれも薄膜という形式でシリコン基板に堆積され、金属電極を蒸着させ、主に研究及び利用するのは、セラミック材料の機能性である。一方、本発明の実施例のセラミック膜材料は、セラミック膜とシリコン基板とにマッチングする優れた力学機能を具備させ、伝統のセラミック膜の前記非力学的な特性を備えていなくても良い。
【0068】
構造用セラミックの種類は多いが、一般的に、構造用セラミックはいずれも独立且つ単一の形態で使用され、次元でも、大きいサイズの構造性であり、本発明の実施例のセラミック膜は、ミクロサイズのセラミック膜と微細加工しやすいシリコン基板とを結合でき、MEMSマイクロヒーターという分野に適用される。
【0069】
前記のように、伝統の機能性セラミックとの違いに基づき、本発明の実施例のセラミック膜は、特定の力学特性を実現でき、特定の応力及び熱膨張係数を具備する必要があり、いくつかの電気学機能パラメータ、例えば誘電率の範囲は3~10のみであり、一方、圧電セラミック、強誘電体セラミックのような伝統の機能性セラミックは、一般的に、誘電率が高いほどよく、高い誘電率ほど、その機能性がよりよくなり、圧電セラミックと強誘電体セラミックとの誘電率は、一般的に数千から数万であるから、本発明の技術案は、セラミック膜の材料の選択に対して、優れた力学特性を重視し、大多数の機能性セラミックの材料の力学特性は、本発明の技術案の必要を満たしていなく、本発明の技術案は力学特性が劣る機能性セラミック材料を含まなく、本発明の実施例のセラミック膜は加熱される際、一定の弾性及び歪みを有し、圧電材料を採用すれば、スマート歪みは両端で電荷を発生させるから、必ずセラミック膜の後続の応用拡張に影響する。
【0070】
本発明の実施例の前記技術案において、所定のセラミックスラリーを利用して、厚膜印刷技術により、シリコン基板の表面で成膜した後、所定温度の高温焼結により、目的特性のセラミック膜を形成でき、該目的特性のセラミック膜は優れた抵抗率、熱膨張係数、誘電率、熱伝導率及び応力特性を有し、その抵抗率、熱膨張係数、誘電率、熱伝導率及び応力は、所定の数値範囲を満たして、優れた電気学、熱学及び力学特性を有し、セラミック膜マイクロホットプレートに、優れた安定性及び確実性を具備させる。
【0071】
従来技術に比べると、本発明の実施例が提供したセラミック膜マイクロホットプレートにおいて、シリコン基板の成熟の微細加工技術と、セラミックの優れた電気学、力学及び熱学特性とを結合することで、セラミック膜に機能回路を形成し、シリコン基板で微細構造加工を実現でき、該セラミック膜マイクロホットプレートは、機能が優れたマイクロ機械システム、微小光学電子機械システムシステム、マイクロホットプレート及びマイクロ流体などの微細構造システムの製造に適用される。低コストの厚膜印刷工程によりセラミック膜を形成でき、高価の物理気相堆積または化学気相堆積機器を利用する必要がなく、さらに、製品コストの低減に寄与する。
【0072】
所定の導電スラリーにより、厚膜印刷技術を介してセラミック膜の表面で成膜した後、所定温度の高温焼結から加熱層を形成でき、伝統の物理気相堆積と比べると、本発明の実施例のセラミックベースマイクロホットプレートにおいて、加熱層の耐高温性が優れて、製品の安定性及び確実性を保証する。加熱層において、加熱抵抗及び加熱電極は、同じ導電スラリーにより同時に製造される。他の形態において、異なる抵抗スラリー及び電極スラリーによりそれぞれ製造されてもよく、例えば、加熱抵抗は、抵抗スラリーをスクリーン印刷し、高温焼結することで製造され。加熱電極は電極スラリーをスクリーン印刷し、高温焼結することで製造される。
【0073】
前記実施例に記載のセラミックベースマイクロホットプレートに基づき、本発明の他の実施例はさらに、前記セラミックベースマイクロホットプレートの製造のための製造方法を提供し、該製造方法は
図5に示すように、
図5は本発明の実施例が提供した製造方法のフロー模式図であり、該製造方法は以下のステップを有し、
ステップS11:対向する第1表面と第2表面とを有するシリコン基板を提供し、前記第1表面は中心加熱領域と周辺支持領域とを有する。
【0074】
シリコン基板の材料及び厚さについて、前記記載を参照すればよく、ここで、贅言していない。
【0075】
ステップS12:前記第1表面に所定のセラミックスラリーの膜層を形成する。
【0076】
必要なセラミック膜の目的特性に応じてセラミックスラリーを製造する。セラミックスラリーはセラミック粉体と有機担体からなる。具体的に、セラミック粉体の実現形態は、ガラス及びセラミック系の混合材料、微結晶ガラス系構成、単相セラミックという3つがある。前記所定のセラミックスラリーの実現形態について、前記記載を参照すればよく、ここで、贅言していない。
【0077】
スクリーン印刷、平板印刷、凹版印刷、凸版印刷、流延、ナイフ塗布及び塗装のうちのいずれか1つの方式で、前記セラミックスラリーによりシリコン基板で成膜してもよい。
【0078】
ステップS13:乾燥工程及び焼結工程を順に介して、前記第1表面に付着されるセラミック膜を形成する。
【0079】
セラミック膜の目的特性について、前記記載を参照すればよく、ここで、贅言していない。所定温度の高温焼結によって、シリコン基板の表面に一定の厚さのセラミック膜を形成でき、該セラミック膜は緻密且つ硬くて、シリコン基板と優れた付着力を有する。
【0080】
好ましくは、乾燥際の温度は40℃~200℃であり、例えば、50℃、80℃、100℃または150℃であってもよい。該温度の値で乾燥することで、優れた乾燥効果を具備するように保証でき、温度が高すぎまたは低すぎることにより膜層の乾燥品質が劣って、後続の焼結品質に影響することを避け、セラミック膜の確実性及び安定性を保証できる。
【0081】
好ましくは、焼結際の温度は、端点値が含まれているように、500℃~1400℃であり、例えば、550℃、800℃、1000℃または1200℃であってもよい。該温度の値で焼結することで、優れた焼結効果を具備するように保証でき、セラミック膜が緻密で、硬度特性がよく、シリコンベース板との付着力が強く、温度が高すぎまたは低すぎることにより膜層の焼結が劣ることを避け、セラミック膜の確実性及び安定性を保証する。所定のスラリーは厚膜印刷工程を介してシリコン基板の表面で成膜した後、焼結後、厚さが大きく、緻密且つ付着力が優れたセラミック膜を形成でき、セラミック膜とシリコン基板との接触面の間は互いに安定に接触し、高価の物理気相堆積または化学気相堆積機器と比べると、両者の間の接触構成は異なり、接触構成はより確実且つ安定であり、製造コストが低い。
【0082】
焼結後、前記製造方法はさらに、研磨つや出し工程を介して、前記セラミック膜の粗さは、端点値が含まれているように、0.5nm~1μmになるステップを有する。
【0083】
ステップS14:前記セラミック膜の表面に、所定の導電スラリーの導電膜層を形成する。
【0084】
ステップS15:乾燥工程及び焼結工程を順に介して、前記セラミック膜の表面に付着される加熱層を形成する。
【0085】
スクリーン印刷工程を介してセラミック膜の表面に導電スラリーの導電膜層を形成し、乾燥、焼結工程を介して、セラミック膜との付着力が優れた加熱層を取得できる。乾燥と焼結との温度範囲は前記と同様である。セラミック膜と加熱層との乾燥温度は同様または異なっても良く、焼結温度は同様または異なってもよい。該ステップにおいて、焼結が完成した後、同じように、研磨つや出し工程を介して、前記加熱層の粗さは端点値が含まれているように、0.5nm~1μmになる。スクリーン印刷の網版パターンを設定することで、加熱層に所定のパターン構成を具備させ、特定構成の加熱抵抗及び加熱電極を形成する。
【0086】
ステップS16:前記第2表面をエッチングして、前記中心加熱領域に対応するように、前記第1表面及び前記第2表面を貫通する空気断熱室を形成する。
【0087】
ディープシリコンエッチング工程により前記空気断熱室を形成してもよい。具体的に、第2表面に1層のフォトレジスト層を形成し、スピンコーティング工程により、該フォトレジスト層を形成し、該フォトレジスト層に対してパターニング露光及びパターニング現像を行うことで、所定のパターン構成を有するフォトレジスト層を形成し、周辺の支持領域に正対するフォトレジストを保留し、中心加熱領域に正対するフォトレジストを除去し、そして、パターニングのフォトレジスト層をマスク版として、シリコン基板をエッチングし、前記空気断熱室を形成することで、中心加熱領域のセラミック膜を吊り下げさせ、最後は、縁の支持領域のフォトレジストを除去し、断熱機能が優れたセラミックベースマイクロホットプレートを形成する。フォトレジストはポジ型フォトレジスト、またはネガ型フォトレジストであってもよい。フォトレジスト層の厚さは、端点値が含まれているように、1μm~30μmである。
【0088】
図6を参照し、
図6は本発明の実施例が提供したセラミックベースマイクロホットプレートの平面図であり、本発明の実施例に記載の製造方法において、大きいサイのズウェハを介して複数のセラミックベースマイクロホットプレートを同時に製造し、そして、切断工程を介して、複数の単粒子のセラミックベースマイクロホットプレートに分割し、切断後、各セラミックマイクロホットプレートはいずれもシリコン基板11、セラミック膜12及び加熱層を有する。
図6に示すように、ウェハにはセラミック膜12が形成されている。セラミック膜12における加熱層パターンは複数のサブ領域を有し、各サブ領域はいずれも加熱電極13及び加熱抵抗14を有する。対応するように、各サブ領域の中心加熱領域に空気断熱室を形成した後、切断工程を介して、大きいサイズのウェハを複数の小さいサイズのシリコン基板11に分割し、各小さいサイズのシリコン基板11はいずれも1つのサブ領域に対応し、1つの単粒子のセラミックベースマイクロホットプレートを形成する。
【0089】
図7を参照し、
図7は本発明の実施例が提供した他の製造方法のフロー模式図であり、該製造方法は以下のステップを有し、
ステップS21:シリコン基板を提供するとともに、洗浄する。
【0090】
該シリコン基板は両面酸化されており、100結晶方位を有する単結晶シリコン基板11であってもよく、アセトン超音波で10min洗浄し、イソプロパノール超音波で5min洗浄し、そして、脱イオン水で5min洗浄し、窒素ガスで吹き乾かす。
【0091】
ステップS22:セラミックスラリーを配置し、該スラリーによりシリコン基板の表面で成膜した後、乾燥処理を行う。
【0092】
適切な仕様のセラミック粉体を選択して、有機担体を添加することで、セラミックスラリーになるように配置する。スクリーン印刷という方式で、基板11に印刷され、一定の温度で乾燥される。
【0093】
ステップS23:乾燥されたシリコン基板をマッフル炉に入れて焼結することで、セラミック膜を形成する。
【0094】
10um厚さを有し、緻密且つ硬いセラミック膜12を取得し、研磨つや出しという方式で、セラミック膜12の表面を処理することで、セラミック膜12の表面の粗さを0.2umに制御する。
【0095】
ステップS24:導電スラリーにより、スクリーン印刷工程を介して、セラミック膜の表面に加熱電極と加熱抵抗とのパターン構成を形成する。
【0096】
加熱電極及び加熱抵抗に対して、同じ導電スラリーを採用して、1回のスクリーン印刷を介して、対応するパターン構成を形成する。他の形態において、加熱電極スラリー及び加熱抵抗スラリーに対して、それぞれスクリーン印刷という方式で、セラミック膜に印刷され、対応する加熱電極パターン構成と加熱抵抗パターン構成を形成する。
【0097】
スクリーン印刷が完成した後、乾燥及び焼結を行って、加熱電極及び加熱抵抗を得て、そして、加熱電極及び加熱抵抗に対して、つや出し処理を行うことで、加熱電極及び加熱抵抗の表面の粗さが100nmになる。
【0098】
ステップS25:シリコン基板の他側をエッチングし、加熱抵抗に正対する中心加熱領域で空気断熱室を形成する。
【0099】
基板の裏面にフォトレジストをスピンコーティングし、加熱ステージで乾燥するとともに、パターニング露光及びパターニング現像を行って、反応性イオンエッチング技術により、裏面にある二酸化ケイ素を除去し、そして、ディープシリコンエッチング技術により、セラミック膜の下方の、フォトレジストによって保護されていないケイ素をエッチング除去し、断熱空気腔15を形成し、セラミックベースマイクロホットプレートを得て、切断技術により、セラミックベースマイクロホットプレートチップを得る。
【0100】
従来技術において、セラミック膜層を製造するための材料は、高い焼結温度を有し、例えば、酸化ジルコニウムセラミック材料に対して、焼結温度が1350℃の以上であるように要求され、高い焼結温度は、シリコンウェハを基板とすることができず、なぜならば、シリコンウェハはこのような高い焼結温度に耐えず、該焼結温度は既にシリコンウェハの融点(1400℃)に接近する。そして、伝統のセラミック材料から製造されたセラミック膜層の応力は、シリコンウェハとマッチングできない(全体応力は500MPaの以下である)。その同時、伝統のセラミック材料から製造されたセラミック膜層は、緻密なセラミック膜を形成できず、後続で、ディープシリコンエッチング工程を採用する場合、セラミック基板は破断するおそれがある。
【0101】
本発明の実施例において、特定のセラミックスラリーから形成されたシリコンベースセラミック膜は、優れた力学特性を有し、シリコン基板と優れた付着効果を有し、そして、セラミック膜を製造するための材料の焼結温度はシリコンウェハの融点温度より小さく、例えば、ガラス及びセラミック系の混合材料に対して、焼結温度は1200℃の以下であり、シリコンウェハでの印刷焼結に適して、セラミックスラリーの成分及びシールドを調節することで、製造されたセラミック膜の熱膨張係数がシリコンウェハにマッチングし、確実な力学接触を形成し、熱歪みによる反り及び脱落という問題を避ける。
【実施例】
【0102】
本発明をよりよく説明するために、以下はいくつかのセラミックベースマイクロホットプレートの製造方法の具体的な実施例を提供する。
【0103】
実施例1
両面つや出し、両面酸化され、100結晶方位を有する4インチ単結晶ケイ素ウェハを提供し、アセトン超音波で15min洗浄し、イソプロパノール超音波で5min洗浄し、そして、脱イオン水で5min洗浄し、窒素ガスで吹き乾かし、適切な仕様のセラミック粉体を選択して、有機担体を添加し、セラミックスラリーになるように配置し、スクリーン印刷という方式で、ウェハに印刷し、120℃で10min乾燥し、乾燥されたウェハをマッフル炉に入れて、1000℃で30min焼結し、10umの厚さを有する緻密且つ硬いセラミック膜を得て、研磨つや出しという方式で、セラミック膜の表面を処理することで、セラミック膜の表面の粗さを0.2umになるように制御する。
【0104】
スクリーン印刷という方式で、セラミック膜に、長さと幅が300um×300umである蛇形の加熱抵抗アレイと加熱電極アレイを印刷し、120℃で5min乾燥し、850℃で15min焼結し、加熱電極と加熱抵抗を得て、そして、加熱電極と加熱抵抗に対してつや出し処理を行うことで、加熱電極と加熱抵抗との表面の粗さが100nmになり、基板の裏面でポジ型フォトレジストをスピンコーティングし、100℃で5min乾燥し、パターニング露光及びパターニング現像を行って、厚さが10umで、長さと幅が500um×500umである、フォトレジストによって保護されていない領域を得て、反応性イオンエッチングという技術により、非保護の領域の二酸化ケイ素を除去し、ディープシリコンエッチング技術により、フォトレジストによって保護されていないケイ素をエッチング除去し、断熱空気腔を形成し、セラミックベースマイクロホットプレートを得て、切断技術により、長さと幅が1.0mm×1.0mmであるセラミックベースマイクロホットプレートチップを得る。
【0105】
実施例2
両面つや出し、両面酸化されていなく、100結晶方位を有する6インチ単結晶ケイ素ウェハを提供し、アセトン超音波で10min洗浄し、イソプロパノール超音波で10min洗浄し、そして、脱イオン水で5min洗浄し、窒素ガスで吹き乾かし、適切な仕様のセラミック粉体を選択して、有機担体を添加し、セラミックスラリーを配置し、流延という方式でセラミックスラリーをウェハに成膜させ、150℃で10min乾燥し、乾燥されたウェハをマッフル炉に入れて、1000℃で30min焼結し、20umの厚さを有し、緻密且つ硬いセラミック膜を得て、研磨つや出しという方式により、セラミック膜の表面を処理することで、セラミック膜の表面の粗さを0.2umになるように制御する。
【0106】
スクリーン印刷という方式で、セラミック膜に、長さと幅が400um×400umである可変線幅の蛇形加熱抵抗アレイと加熱電極アレイを印刷し、130℃で5min乾燥し、900℃で30min焼結し、加熱電極と加熱抵抗を得て、加熱電極と加熱抵抗に対してつや出し処理を行うことで、加熱電極と加熱抵抗との表面の粗さが50nmになり、基板の裏面にポジ型フォトレジストをスピンコーティングし、100℃で5min乾燥し、パターニング露光及びパターニング現像を行って、厚さが15umで、長さと幅が500um×500umである、フォトレジストによって保護されていない領域を得て、反応性イオンエッチング技術により、非保護領域の二酸化ケイ素を除去し、そして、ディープシリコンエッチング技術により、フォトレジストによって保護されていないケイ素をエッチング除去することで、断熱空気腔を形成し、セラミックベースマイクロホットプレートを得て、切断技術により、長さと幅が1.0mm×1.0mmであるセラミックベースマイクロホットプレートチップを得る。
【0107】
実施例3
両面つや出し、片面酸化されており、100結晶方位を有する2インチ単結晶ケイ素ウェハを提供し、アセトン超音波で10min洗浄し、イソプロパノール超音波で10min洗浄し、そして、脱イオン水で5min洗浄し、窒素ガスで吹き乾かし、適切な仕様のセラミック粉体を選択し、有機担体を添加し、セラミックスラリーになるように配置し、ナイフ塗布という方式で、セラミックスラリーをウェハの酸化されていない一面に成膜させ、100℃で10min乾燥し、乾燥されたウェハをマッフル炉に入れて、1200℃で30min焼結し、6umの厚さを有し、緻密且つ硬いセラミック膜を得て、研磨つや出しという方式により、セラミック膜の表面を処理することで、セラミック膜の表面の粗さを0.1umになるように制御する。
【0108】
スクリーン印刷という方式で、セラミック膜に、長さと幅が500um×500umである蚊香形の加熱抵抗アレイと加熱電極アレイを印刷し、150℃で5min乾燥し、1000℃で10min焼結し、加熱電極と加熱抵抗を得て、そして、加熱電極と加熱抵抗に対してつや出し処理を行うことで、加熱電極と加熱抵抗との表面の粗さが10nmになり、基板の裏面にネガ型フォトレジストをスピンコーティングし、150℃で5min乾燥し、パターニング露光及びパターニング現像を行って、厚さが25umで、長さと幅が700um×700umである、フォトレジストによって保護されていない領域を得て、反応性イオンエッチング技術により、非保護領域の二酸化ケイ素を除去し、そして、ディープシリコンエッチング技術により、フォトレジストによって保護されていないケイ素をエッチング除去することで、断熱空気腔を形成し、セラミックベースマイクロホットプレートを得て、切断技術により、長さと幅が1.0mm×1.0mmであるセラミックベースマイクロホットプレートチップを得る。
【0109】
実施例4
両面つや出し、両面酸化されており、100結晶方位を有する8インチ単結晶ケイ素ウェハを提供し、アセトン超音波で10min洗浄し、イソプロパノール超音波で5min洗浄し、そして、脱イオン水で5min洗浄し、窒素ガスで吹き乾かし、適切な仕様のセラミック粉体を選択し、有機担体を添加し、セラミックスラリーになるように配置し、スクリーン印刷という方式で、セラミックスラリーをウェハに成膜させ、150℃で10min乾燥し、乾燥されたウェハをマッフル炉に入れて、1200℃で60min焼結し、8umの厚さを有し、緻密且つ硬いセラミック膜を得て、研磨つや出しという方式により、セラミック膜の表面を処理することで、セラミック膜の表面の粗さを0.5umに制御する。
【0110】
スクリーン印刷という方式で、セラミック膜に、長さと幅が500um×500umである異形状の加熱抵抗アレイと加熱電極アレイを印刷し、150℃で5min乾燥し、1100℃で10min焼結し、加熱電極と加熱抵抗を得て、そして、加熱電極と加熱抵抗に対してつや出し処理を行うことで、加熱電極と加熱抵抗との表面の粗さが100nmになり、基板の裏面にポジ型フォトレジストをスピンコーティングし、150℃で5min乾燥し、パターニング露光及びパターニング現像を行って、厚さが10umであり、長さと幅が800um×800umである、フォトレジストによって保護されていない領域を得て、反応性イオンエッチング技術により、非保護領域の二酸化ケイ素を除去し、そして、ディープシリコンエッチング技術により、フォトレジストによって保護されていないケイ素をエッチング除去することで、断熱空気腔を形成し、セラミックベースマイクロホットプレートを得て、切断技術により、長さと幅が1.5mm×1.5mmであるセラミックベースマイクロホットプレートチップを得る。
【0111】
実施例5
両面つや出し、両面酸化されていなく、100結晶方位を有する12インチ単結晶ケイ素ウェハを提供し、アセトン超音波で10min洗浄し、イソプロパノール超音波で5min洗浄し、そして、脱イオン水で5min洗浄し、窒素ガスで吹き乾かし、適切な仕様のセラミック粉体を選択し、有機担体を添加し、セラミックスラリーを配置し、ウェハ円心を中心として、互いに間隔を持った4つの象限領域に分けられ、凹版印刷という方式により、セラミックスラリーをウェハに成膜させ、150℃で10min乾燥し、乾燥されたウェハをマッフル炉に入れて、1300℃で20min焼結し、25umの厚さを有し、緻密且つ硬いセラミック膜を得て、研磨つや出しという方式により、セラミック膜の表面を処理することで、セラミック膜の表面の粗さを0.5umに制御する。
【0112】
スクリーン印刷という方式で、セラミック膜に、長さと幅が300um×300umである正方形の加熱抵抗アレイと加熱電極アレイを印刷し、130℃で5min乾燥し、800℃で60min焼結し、加熱電極と加熱抵抗を得て、加熱電極と加熱抵抗に対してつや出し処理を行うことで、加熱電極と加熱抵抗との表面の粗さが100nmになり、基板の裏面にポジ型フォトレジストをスピンコーティングし、150℃で5min乾燥し、パターニング露光及びパターニング現像を行って、厚さが12umであり、長さと幅が600um×600umである、フォトレジストによって保護されていない領域を得て、反応性イオンエッチング技術により、非保護領域の二酸化ケイ素を除去し、そして、ディープシリコンエッチング技術により、フォトレジストによって保護されていないケイ素をエッチングすることで、断熱空気腔を形成し、セラミックベースマイクロホットプレートを得て、切断技術により、長さと幅が1.5mm×1.5mmであるセラミックベースマイクロホットプレートチップを得る。
【0113】
実施例6
両面つや出し、両面酸化されており、111結晶方位を有する10インチ単結晶ケイ素ウェハを提供し、アセトン超音波で10min洗浄し、イソプロパノール超音波で5min洗浄し、そして、脱イオン水で5min洗浄し、窒素ガスで吹き乾かし、適切な仕様のセラミック粉体を選択し、有機担体を添加し、セラミックスラリーになるように配置し、ウェハの円心を中心として、互いに間隔を持った16個の領域に分けられ、スクリーン印刷という方式で、セラミックスラリーをウェハに成膜させ、150℃で10min乾燥し、乾燥されたウェハをマッフル炉に入れて、1100℃で20min焼結し、15umの厚さを有し、緻密且つ硬いセラミック膜を得て、研磨つや出しという方式により、セラミック膜の表面を処理することで、セラミック膜の表面の粗さを0.8umに制御する。
【0114】
スクリーン印刷という方式で、セラミック膜に、長さと幅が500um×400umである長方形の加熱抵抗アレイと加熱電極アレイを印刷し、150℃で5min乾燥し、850℃で60min焼結し、加熱電極と加熱抵抗を得て、そして、加熱電極と加熱抵抗に対してつや出し処理を行うことで、加熱電極と加熱抵抗との表面の粗さが100nmになり、基板の裏面にポジ型フォトレジストをスピンコーティングし、150℃で5min乾燥し、パターニング露光及びパターニング現像を行って、厚さが8umであり、長さと幅が600um×600umであり、フォトレジストによって保護されていない領域を得て、反応性イオンエッチング技術により、非保護領域の二酸化ケイ素を除去し、そして、ディープシリコンエッチング技術により、フォトレジストによって保護されていないケイ素をエッチング除去することで、断熱空気腔を形成し、セラミックベースマイクロホットプレートを得て、切断技術により、長さと幅が1.2mm×1.2mmであるセラミックベースマイクロホットプレートチップを得る。
【0115】
前記記載から分かるように、本発明の実施例に記載の製造方法は、前記実施例に記載のセラミックベースマイクロホットプレートの製造に適用され、高価な物理気相堆積機器及び化学気相堆積機器を必要とせず、低コストの厚膜印刷工程、乾燥工程及び焼結工程を介してセラミック膜及び加熱層を形成でき、製造コストが低くて、耐高温の加熱層を形成でき、製品の安定性及び確実性を向上する。
【0116】
本明細書の各実施例に対して、漸進という方式で記載し、各実施例は、主に他の実施例との相違点を説明し、各実施例の間の同様または類似の部分について、互いに参照すればよい。実施例が開示した製造方法にとって、実施例が開示したセラミックベースマイクロホットプレートに対応するから、記載は比較的に簡単で、関するところは、セラミックベースマイクロホットプレートの対応する部分の説明を参照すればよい。
【0117】
開示した実施例に対する前記説明により、当業者は、本発明を実現または利用できる。これらの実施例に対する多種の補正は、当業者にとって自明であり、本明細書が定義した一般的な原理は、本発明の精神または範囲から逸脱しない場合、他の実施例で実現されることができる。従って、本発明は本明細書が開示したこれらの実施例に限定されず、本明細書が開示した原理及び新規特点と一致する、最も広い範囲に合う。
【国際調査報告】