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特表2022-506032コーヒーマシンにおけるコーヒー飲料の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】コーヒーマシンにおけるコーヒー飲料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/057 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
A47J31/057
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021523178
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(85)【翻訳文提出日】2021-06-14
(86)【国際出願番号】 CH2019000030
(87)【国際公開番号】W WO2020082190
(87)【国際公開日】2020-04-30
(31)【優先権主張番号】18202645.0
(32)【優先日】2018-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521173948
【氏名又は名称】ユラ エレクトロアッパラーテ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビュッティカー フィリップ
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA12
4B104BA36
4B104BA55
4B104BA57
4B104DA23
4B104EA30
(57)【要約】
本発明は、コーヒーマシン(10)内でコーヒー飲料を製造するのに役立つ方法に関し、コーヒーマシン(10)は、挽いたコーヒーを受け入れるための抽出チャンバ(35)を有する抽出装置(30)であって、抽出チャンバ(35)は、少なくとも1つの流体入口(35)および流体出口(45)を備える、抽出装置(30)と、流体入口(36)に接続された流体供給ライン(26)および流体供給ライン(26)を介して加熱流体を運ぶための流体コンベヤ(15)を有する流体システム(12)とを備える。本方法は、以下のステップ(a)~(b)を含む。(a)所定量の挽いたコーヒー(38)を抽出チャンバ(35)に導入するステップ、(b)挽いたコーヒーを抽出チャンバ(35)内で抽出てコーヒー飲料を調製し、調製されたコーヒー飲料を流体出口(45)を介して吐出するために、流体供給ライン(26)を介して加熱流体を抽出チャンバ(35)に運ぶステップ。コーヒー飲料の調製の前に流体供給ライン(26)および抽出装置(30)を予熱するために、ステップ(a)の前に、第1の量の加熱流体が流体供給ライン(26)を介して抽出チャンバ内に供給され、ステップ(c)において供給された第1の量の加熱流体の少なくとも一部は、流体出口(45)とは別個の、抽出チャンバ(35)および/または流体供給ライン(26)と流体連通する排出出口(65)を介して吐出される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒーマシン(10)においてコーヒー飲料を製造するための方法であって、
前記コーヒーマシン(10)は、
コーヒー粉末を受け入れるための抽出チャンバ(35)を有する抽出装置(30)であって、前記抽出チャンバ(35)は少なくとも1つの流体入口(36)と1つの流体出口(45)と、を備える、抽出装置(30)と、
前記流体入口(36)に接続された流体供給ライン(26)と、前記流体供給ライン(26)を介して加熱流体を運ぶための流体コンベヤ(15)と、前記流体出口(45)とは別個の排出出口(65)とを有する流体システム(12)と、を備え、
前記排出出口(65)は、残留流体が前記排出出口(65)を介して前記流体供給ライン(26)および/または前記抽出チャンバ(35)から排出されることを可能にするように、前記抽出チャンバ(35)および/または前記流体供給ライン(26)と流体接続しているか、または流体接続させるように構成され、
該方法が、
(a)所定量のコーヒー粉末(38)を前記抽出チャンバ(35)に導入するステップと、
(b)前記抽出チャンバ(35)内で前記コーヒー粉末を抽出てコーヒー飲料を調製し、前記抽出チャンバ(35)から前記流体出口(45)を介して調製されたコーヒー飲料を吐出するために、前記流体供給ライン(26)を介して前記抽出チャンバ(35)内に加熱流体を運ぶステップと、
(c)第1の量の加熱流体を前記流体供給ライン(26)を介して前記抽出チャンバ(35)内に運ぶステップであって、
その際ステップ(c)がステップ(a)の前に実行される、ステップと、
を含み、
該方法が、
(d)ステップ(a)の開始前に、ステップ(c)において供給された前記第1の量の加熱流体の少なくとも一部を前記抽出チャンバ(35)から排出するステップであって、
ステップ(d)において、ステップ(c)において供給された前記第1の量の加熱流体の前記少なくとも一部は、前記排出出口(65)を介して排出される、ステップ、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
ステップ(c)は、ステップ(a)の前記開始前に所定の第1の時間間隔で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(d)は、ステップ(a)の前記開始前に所定の第2の時間間隔で実行される、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(c)による前記第1の量の加熱流体の前記運搬は、第1の終了時間に終了し、前記第2の時間間隔の開始は、所定の第1の時間差で前記第1の終了時間に続く、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の時間差は0~10秒である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(c)による第1の量の加熱流体の前記運搬は第1の終了時間に終了し、ステップ(a)による前記所定の量のコーヒー粉末(38)の前記抽出チャンバ(35)への前記導入は、第3の時間間隔の間にステップ(c)の後に行われ、前記第3の時間間隔の開始は、所定の第2の時間差で前記第1の終了時間に続く、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の時間差は1~20秒である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
(e)前記流体供給ライン(26)を介して第2の量の加熱流体を運び、前記排出出口(65)を介して前記第2の量の加熱流体を排出するステップであって、
ステップ(e)はステップ(c)の前に実施される、ステップを含む、
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記コーヒーマシン(10)は、前記排出出口(65)から排出された残留流体を受け入れるための残留流体容器(70)を備え、
ステップ(e)において、前記第2の量の加熱流体は、前記残留流体容器(70)内に排出される、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記コーヒーマシン(10)は、前記排出出口(65)から排出された残留流体を受け入れるための残留流体容器(70)を備え、
ステップ(d)において、ステップ(c)において供給された前記第1の量の加熱流体の前記少なくとも一部は、前記残留流体容器(70)内に排出される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(c)による運搬中、前記加熱流体は75~115℃の範囲内の温度である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(e)による運搬中、前記加熱流体は75~115℃の範囲内の温度である、請求項8または9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の量の加熱流体は、ステップ(c)の間に前記抽出チャンバ(35)が加熱流体で完全にまたは部分的に満たされるような大きな体積を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記抽出装置(30)は、
抽出シリンダ(31)であって、長手方向軸(LA)を有し、前記長手方向軸(LA)に対して横方向に延在する端面(40)によって一方の端面が制限され、前記長手方向軸(LA)の周りに延在する側壁(41)によって前記長手方向軸(LA)に対して径方向に制限される内部空間(32)を有する抽出シリンダ(31)と、
抽出ピストン(34)であって、前記抽出ピストン(34)の端面(34a)が前記内部空間(32)の前記端面(40)の反対側に配置されるように前記長手方向軸(LA)の方向に延在する抽出ピストン(34)と、を備え、
前記抽出チャンバ(35)は、前記内部空間(32)の前記端面(40)と、前記抽出ピストン(34)の前記端面(34a)と、前記側壁(41)との間に延在し、前記抽出ピストン(34)は、前記内部空間(32)の前記端面(40)と前記抽出ピストン(34)との間の距離(D1、D2)が変化可能であるように、前記長手方向軸(LA)に沿って移動するように構成され、
該方法が、
(f)ステップ(c)の開始前またはその間に、前記抽出ピストン(34)は、前記抽出ピストン(34)が前記内部空間(32)の前記端面(40)に対して第1の所定の距離(D2)にあるように配置されるステップと、
(g)ステップ(d)の間、前記抽出ピストン(34)は、前記抽出ピストン(34)が前記第1の所定の距離(D2)よりも小さい距離(D1)で前記内部空間(32)の前記端面(40)に対して相対するように、前記長手方向軸(LA)に沿って移動されるステップと、
を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記抽出装置(30)は、
抽出シリンダ(31)であって、長手方向軸(LA)を有し、前記長手方向軸(LA)に対して横方向に延在する端面(40)によって一方の端面が制限され、前記長手方向軸(LA)の周りに延在する側壁(41)によって前記長手方向軸(LA)に対して径方向に制限される内部空間(32)を有する抽出シリンダ(31)と、
抽出ピストン(34)であって、前記抽出ピストン(34)の端面(34a)が前記内部空間(32)の前記端面(40)の反対側に配置されるように前記長手方向軸(LA)の方向に延在する抽出ピストン(34)と、を備え、
前記抽出チャンバ(35)は、前記内部空間(32)の前記端面(40)と、前記抽出ピストン(34)の前記端面(34a)と、前記側壁(41)との間に延在し、前記抽出ピストン(34)は、前記内部空間(32)の前記端面(40)と前記抽出ピストン(34)との間の距離(D1、D2)が変化可能であるように、前記長手方向軸(LA)に沿って移動するように構成され、
該方法が、
(h)ステップ(e)の開始前またはその間に、前記抽出ピストン(34)は、前記抽出ピストン(34)が前記内部空間(32)の前記端面(40)に対して所定の最小値に等しい距離(D1)にあるように配置されるステップを含む、
請求項8または9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒーマシンにおいてコーヒー飲料を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術によるコーヒーマシンは、一般に、コーヒー粉末を受け入れるための抽出チャンバを有する抽出装置であって、前記抽出チャンバは少なくとも1つの流体入口および1つの流体出口を備える抽出装置と、流体入口に接続された流体供給ラインおよび流体供給ラインを介して加熱流体(例えば、水および/または蒸気)を運ぶための流体コンベヤを有する流体システムと、を備える。
【0003】
コーヒー飲料は、一般に以下のステップ、すなわち、
所定量のコーヒー粉末を抽出チャンバに導入するステップと、
抽出チャンバ内でコーヒー粉末を抽出してコーヒー飲料を調製し、抽出チャンバから流体出口を介して調製されたコーヒー飲料を吐出するために、流体供給ラインを介して抽出チャンバ内に加熱流体を運ぶステップと、を含む方法に基づいて、このタイプのコーヒーマシンを用いて製造することができる。
【0004】
コーヒー飲料を製造するために、前述のタイプの抽出装置には、一般に、熱水または抽出水の形態の流体が供給され、水タンクから来る流体は、最初にポンプまたは同様の装置によって連続流ヒータを介して供給され、そこで加熱される。最初に流体がより大きなタンク内で完全に加熱され、次いで抽出ユニットに供給される抽出装置も知られている。いずれの場合も、加熱プロセス後、加熱水は、その後、流体が流体供給ラインを介して抽出チャンバの流体入口に到達するまで、程度の差はあるが長いパイプラインセクションを通過する。
【0005】
これは、特に、流体を加熱するための加熱装置と抽出チャンバの流体入口との間にあるパイプラインセクションが、前の抽出プロセスの性質、時間および頻度に応じて異なる温度であり得るという問題をもたらす。したがって、抽出チャンバへの入口における流体の実際の温度、および抽出チャンバ内の流体を用いてコーヒー粉末を抽出することによって製造可能なコーヒー飲料の温度を予測することはできない。
【0006】
(熱い)コーヒー飲料の製造に関して、90~95℃の範囲の抽出温度が一般に理想的であると考えられている。
【0007】
第1のコーヒー飲料を製造した後、前述のタイプのコーヒーマシンが長い待ち時間の後に第2のコーヒー飲料を製造するためにのみ使用される場合、待ち時間の間、抽出装置および流体供給ラインは、より低い温度まで冷却されうる。この場合、第2のコーヒー飲料は、状況によっては、特に、第2のコーヒー飲料を生成するために流体供給ラインを介して抽出チャンバに運ばれることになる流体が、予め冷却された流体供給ラインおよび予め冷却された抽出装置に熱を放出することになるので、第1のコーヒー飲料よりも低い温度になる可能性があり、その結果、流体供給ラインを介して流れる際に流体から熱が除去され、それによって流体の温度が低下する。
【0008】
流体のこのような温度の低下は、製造されたコーヒー飲料が少量、例えばリストレットまたはエスプレッソなどの典型的な量のコーヒー飲料に相当する50ml未満である場合に特に顕著である。したがって、前述の種類のコーヒーマシンでは、所定の高温で少量のコーヒー飲料(例えば、リストレットまたはエスプレッソ)を飲料容器に吐出することが問題となる。
【0009】
これは、抽出温度が高すぎると、抽出されるコーヒーからより多くの苦味物質が抽出され、その結果、吐出されたコーヒーは苦味を感じるため、不利である。一方、抽出温度が低すぎると、この場合、所望の芳香がコーヒー粉末から放出されず、製造されたコーヒー飲料の味がなくなる傾向があるため、同様に望ましくない。
【0010】
この問題に対して、抽出水加熱装置と抽出チャンバの流体入口との間の流体ラインの長さを考慮しながら、必要に応じて流体入口で流体の温度を上昇させるための従来技術におけるいくつかの解決策がある。
【0011】
例えば、コーヒーマシンの動作中の流体供給ラインおよび/または抽出装置の冷却による熱損失を補償するために、コーヒー飲料を製造する前に流体の温度を適切に上昇させることが可能である。しかしながら、抽出チャンバ内のコーヒーが過度に加熱され、場合によっては沸騰し、または沸騰状態で流体出口を介して飲料容器に吐出されるのを防ぐために、そのような温度上昇に制限が設定されている。
【0012】
米国特許出願公開第2008/0264264号明細書から、加熱装置によって供給され、ラインを介して抽出チャンバに供給することができる熱水を使用して抽出チャンバ内で適切な製品(例えばコーヒー)を抽出することによって高温飲料を調製するための装置が知られている。この熱水の供給に関して、水の温度は加熱装置から抽出チャンバへの途中で低下する可能性があり、この温度低下はランダムに変化し得るパラメータに依存するという問題がある。この問題を解決するために、加熱装置と抽出チャンバとの間のライン内の水温の低下を動的に補償する補償装置が実装される。ライン内の水の温度低下を補償するために、加熱装置内の水の温度は、抽出チャンバ内の水の温度が所定の範囲内になるように制御装置によって制御される。水温のそのような制御の実施は、一般に複雑であり、それに応じて費用がかかる。
【0013】
ドイツ特許出願公開第69911675号明細書から、抽出装置、この場合はエスプレッソを調製するためのコーヒーマシンの抽出装置を、動作位置から休止位置へと旋回させることができるシステムが知られている。休止位置に旋回した後、抽出装置の熱伝導領域は、抽出装置を加熱することができる加熱要素と接触している。後続の抽出手順の間、このように(休止位置で)加熱された抽出装置は、その動作位置に旋回して戻され、したがって、抽出装置に供給される抽出水の低すぎる可能性のある温度を補償することができる。この場合、加熱された抽出水は、抽出装置の抽出チャンバ内に圧力下で供給され、その結果、抽出チャンバ内では、エスプレッソの形態の抽出されたコーヒーを製造することができ、その際抽出されたコーヒーは、チューブを介して抽出チャンバから流出し、コーヒーマシンから吐出されることができる。加熱要素を設けることは、空間要件の増加をもたらし、複雑でもあり、したがって費用がかかる。
【0014】
米国特許出願公開第2013/0337132号明細書は、抽出チャンバ内に導入される飲料固形物(例えばコーヒー粉末)上に熱水の一部を吐出することによって抽出チャンバ内で高温飲料を製造するための飲料調製機を開示している。この飲料調製機は、加熱された液体水または蒸気の形態の加熱流体を生成するための加熱装置と、加熱流体を加熱装置から流体供給ラインを介して抽出チャンバ内の飲料固体に供給(または運搬)するための流体運搬装置とを備える。第1の動作段階における飲料調製機の動作中、飲料調製機は、加熱水で飲料固体を抽出することによって飲料の製造を可能にするために、液体状態の加熱水を抽出チャンバに導入された飲料固体に流体供給ラインを介して運ぶように設計され、第2の動作段階(米国特許出願公開第2013/0337132号明細書において「蒸気フラッシング」と呼ばれる)では、蒸気を抽出チャンバに導入された飲料固体に流体供給ラインを介して運ぶように設計される。抽出チャンバ内に導入された飲料固体への蒸気の供給は、蒸気の供給を介して抽出チャンバ内の加熱水によって生成される水圧の低減をもたらすために、第1の動作段階において、抽出チャンバ内に加熱水を供給した後に行うことができる。あるいは、抽出チャンバに導入された飲料固体への蒸気の供給は、供給蒸気を介して蒸気が流れる飲料調製機の領域の乾燥または予熱を可能にするために、第1の動作段階において、抽出チャンバに熱水を供給する前に実行することもできる。
【発明の概要】
【0015】
本発明の根底にある問題は、述べてきた欠点を回避し、コーヒーマシンにおいてコーヒー飲料を製造するための方法を作り出すことであり、この方法は、簡単な手段によって、熱いコーヒー飲料を製造し、製造されるコーヒー飲料の温度を制御することを可能にする。
【0016】
この問題は、請求項1の特徴を有する方法によって解決される。
【0017】
コーヒー飲料を製造するためのこの方法は、コーヒーマシンによって実装することができ、コーヒーマシンは、コーヒー粉末を受け入れるための抽出チャンバを有する抽出装置であって、前記抽出チャンバは少なくとも1つの流体入口および1つの流体出口を有する、抽出装置と、流体入口に接続された流体供給ライン、加熱流体を流体供給ラインを介して運ぶための流体コンベヤ、流体出口とは別個の排出出口を有する流体システムと、を備え、前記排出出口は、抽出チャンバおよび/または流体供給ラインと流体接続しているか、または流体接続させることができ、その結果、流体供給ラインおよび/または抽出チャンバからの残留流体を排出出口を介して排出することができる。本方法は、以下のステップ(a)~(c)を含む。
(a)所定量のコーヒー粉末を抽出チャンバに導入するステップ、
(b)抽出チャンバ内でコーヒー粉末を抽出してコーヒー飲料を調製し、抽出チャンバから流体出口を介して調製されたコーヒー飲料を吐出するために、流体供給ラインを介して抽出チャンバ内に加熱流体を運ぶステップ、
(c)第1の量の加熱流体を流体供給ラインを介して抽出チャンバ内に供給するステップであって、その際ステップ(c)がステップ(a)の前に実行される、ステップ。
【0018】
本発明によれば、本方法は、以下のステップ(d)を含む。
(d)ステップ(a)の開始前に、ステップ(c)において供給された第1の量の加熱流体の少なくとも一部を抽出チャンバから排出するステップであって、
ステップ(d)において、ステップ(c)において供給された第1の量の加熱水の少なくとも一部は、排出出口を介して排出される、ステップ。
【0019】
したがって、熱いコーヒー飲料の調製の前に(すなわち、コーヒー飲料を調製する目的でコーヒー粉末が抽出チャンバに導入され、コーヒー粉末を抽出するための加熱流体が流体供給ラインを介して抽出チャンバに運ばれる前に)、ステップ(c)において、第1の量の加熱流体(例えば、水または蒸気)が最初に流体供給ラインを介して抽出チャンバに運ばれる。流体供給ラインおよび/または抽出装置が加熱流体の温度よりも低い温度にある場合、ステップ(c)の間に、特にステップ(c)の間に加熱流体と直接接触する流体供給ラインおよび/または抽出装置の領域において、流体供給ラインおよび/または抽出装置が加熱され、流体供給ラインの温度および/または抽出装置の温度が上昇するように、熱が流体供給ラインおよび/または抽出装置に伝達される。このようにして、コーヒー飲料を調製する目的でコーヒー粉末が抽出チャンバに導入され、コーヒー粉末を抽出するための加熱水が流体供給ラインを介して抽出チャンバに運ばれる前に、流体供給ラインおよび/または抽出装置を予熱することが可能である。
【0020】
このようにして、ステップ(c)の間に、特に、加熱流体でコーヒー粉末を抽出する目的でステップ(b)の間に接触する領域において、流体供給ラインならびに抽出装置および/または抽出チャンバを予熱することが可能である。したがって、この予熱は、ステップ(b)の間に抽出チャンバに運ばれる加熱流体の温度を制御する観点から効率的である。
【0021】
例えば、ステップ(a)および(b)によってコーヒー飲料を製造する前の長い待機期間中に、コーヒーマシンが抽出チャンバ内でコーヒー飲料を製造するために使用されておらず、流体供給ラインおよび/または抽出装置がこの待機期間中に冷却されている場合、加熱流体をステップ(c)中に供給することにより、特に、ステップ(a)および(b)によってコーヒー飲料を製造する前にコーヒーマシンの動作中に起こり得る熱損失を補償することが可能である。
【0022】
流体供給ラインおよび/または抽出装置の前述の予熱により、ステップ(a)および(b)で製造されたコーヒー飲料は、ステップ(c)が省略された場合に達成された温度と比較してより高い温度を有することが可能である。より具体的には、ステップ(c)の間に加熱流体を供給することによって、流体供給ラインおよび/または抽出装置を所定の温度に加熱することが可能である。このようにして、製造されたコーヒー飲料の温度が所定の範囲内にあるように、製造されたコーヒー飲料の温度を制御することが可能である。
【0023】
この方法は、上記のタイプの従来のコーヒーマシンで一般的に利用可能な技術的手段を用いて実施することが簡単であり、少なくとも加熱流体を抽出チャンバに供給することができるという利点を有する。本方法を実施するためには、時間の関数として流体供給ラインを介した抽出チャンバへの加熱流体の運搬を適切に制御するだけでよい。
【0024】
ステップ(c)において供給された第1の量の加熱流体の少なくとも一部は、ステップ(d)において抽出チャンバから排出されるので、コーヒー粉末を抽出チャンバに導入する前に、抽出チャンバは、最初に、ステップ(c)において供給された第1の量の加熱流体で洗浄することができる。例えば、そうすることで、抽出チャンバは、より早い時点で調製されたコーヒー飲料の残留物、抽出チャンバの壁に付着した残留物として抽出チャンバ内に残っている可能性があるそのうちのわずかな残留物を取り除くことができる。
【0025】
ステップ(c)において供給された第1の量の加熱流体の少なくとも一部が抽出チャンバから排出されるので、これはまた、ステップ(c)において抽出チャンバに運ばれる第1の量の加熱流体の体積が比較的大きくなり得る(例えば、抽出チャンバが加熱流体で部分的にまたは完全に満たされるほど大きい)ことを意味する。ステップ(d)と同様に、ステップ(c)において供給された第1の量の流体の少なくとも一部は抽出チャンバから排出され、ステップ(a)の間、抽出チャンバの十分に広い領域が乾燥コーヒー粉末を受け入れるために利用可能であることが保証される。抽出チャンバ内のコーヒー粉末が、ステップ(a)中ではなくステップ(b)中に、加熱流体で本質的に抽出されることも達成することができる。
【0026】
流体供給ラインおよび/または抽出チャンバからの残留流体を排出出口を介して排出することができるように、排出出口は流体出口とは別個であり、抽出チャンバおよび/または流体供給ラインと流体接続させることができる、または流体接続しているので、ステップ(d)において、ステップ(c)において供給された加熱流体は、流体出口を介して抽出チャンバから出る必要はない。流体出口は、ユーザがコーヒーマシンにコーヒー飲料を調製させ、それを流体出口を介して飲料容器に吐出する前に、ステップ(b)において抽出チャンバ内で調製されたコーヒー飲料が、抽出チャンバから流体出口を介して、例えばコーヒーマシンのユーザが一般に流体出口の下に置く飲料容器内に出ることができるように設計されている。ステップ(d)と同様に、ステップ(c)において供給された加熱流体は、流体出口ではなく排出出口を介して排出され、コーヒーマシンのユーザが流体出口の下に飲料容器を置いたかどうかにかかわらず、ステップ(c)および(d)をいつでも実行できることが有利に達成される。このようにして、予熱の目的でステップ(c)において抽出チャンバ内に運ばれる加熱流体が、ステップ(d)の間に流体出口を介して抽出チャンバから出ることが可能になり、(コーヒーマシンが流体出口を介してコーヒー飲料を吐出すると期待して)ユーザによって流体出口の下に置かれた可能性がある飲料容器内に望ましくない方法で行き着くことが防止される。
【0027】
流体供給ラインおよび抽出装置または抽出チャンバの上述の予熱を最適化するために、ステップ(c)は、様々な方法で、または様々な手段と組み合わせて実行することができる。
【0028】
本方法の一実施形態では、ステップ(c)は、ステップ(a)の開始前に所定の第1の時間間隔で実行される。流体供給ラインを介して第1の量の加熱流体を抽出チャンバに供給することは、コーヒー飲料の製造と時間的に相関して行われ、すなわち、第1の量の加熱流体の供給は、コーヒー粉末を抽出チャンバに導入する前に所定の時間間隔で開始する。これは、ステップ(a)および(b)におけるコーヒー飲料の調製中に流体供給ラインおよび/または抽出チャンバまたは抽出装置が有するそれぞれの温度を、例えば、第1の時間間隔の持続時間、ステップ(c)中の加熱流体の温度、および第1の量の加熱流体の量の適切な指定によって容易に制御することができるという利点を有する。
【0029】
コーヒーマシンはまた、排出出口から排出された残留流体を受け入れるための残留流体容器を備えることができる。この場合、本方法は、ステップ(c)において供給された第1の量の加熱流体の少なくとも一部が残留流体容器内に排出されるように、ステップ(d)において有利に実施することができる。
【0030】
方法の実施形態の前述の形態の他のさらなる発展は、ステップ(d)がステップ(a)の開始前に所定の第2の時間間隔で実行されるというように考えられる。これは、ステップ(c)において供給された第1の量の加熱流体の少なくとも一部の抽出チャンバからの排出が、ステップ(a)の開始と時間的に相関して行われることを意味する。この手段の目的は、ステップ(a)および(b)中のコーヒー飲料の調製中に抽出装置または抽出チャンバのそれぞれの温度を非常に正確に制御することである。
【0031】
ここで、例えば、ステップ(c)による第1の量の加熱流体の供給は、第1の終了時間に終了することができ、第2の時間間隔の開始は、所定の第1の時間差で第1の終了時間に続くことができる。この第2の時間差は、ステップ(c)において供給された第1の量の加熱流体が、ステップ(c)において供給された第1の量の加熱流体の少なくとも一部がステップ(d)によって抽出チャンバから排出される前に、抽出チャンバ内に留まる時間を規定する。したがって、第2の時間差は、ステップ(c)において抽出チャンバに運ばれる加熱流体によって抽出装置が予熱される時間に影響を及ぼす。したがって、第2の時間差を指定することは、スタップ(a)および(b)によるコーヒー飲料の調製中の抽出装置または抽出チャンバの温度に影響を及ぼす。これにより、第2の時間差を適切に指定することにより、ステップ(a)および(b)によるコーヒー飲料の調製中に抽出装置または抽出チャンバの温度を制御することが可能になる。
【0032】
コーヒーマシンのユーザフレンドリな動作を可能にするために、例えば、第1の時間差が0~10秒の範囲になるように時間差を選択することが好都合である。
【0033】
本方法の実施形態の別の形態は、コーヒーマシンが、抽出チャンバおよび/または流体供給ラインと流体接続しているか、または流体接続させることができ、かつ流体供給ラインおよび/または抽出チャンバから残留流体を排出するように構成された排出出口を備えることを必要とする。本方法の実施形態のこの形態は、以下のステップ(e)を含む。
(e)流体供給ラインを介して第2の量の加熱流体を運び、排出出口を介して第2の量の加熱流体を排出し、
その際ステップ(e)はステップ(c)の前に実行される、ステップ。ステップ(e)と同様に、第2の量の加熱流体は最初に流体供給ラインを介して運ばれ、排出出口を介して排出された後、加熱流体がステップ(c)において抽出チャンバに供給され、ステップ(e)において所定の時間の間、加熱流体が流体供給ラインを介して流れ、その後、流体供給ラインは、加熱流体の温度に対応する温度となることができる。ステップ(e)に続いて、ステップ(c)において加熱水が抽出チャンバに運ばれると、上記の状況では、ステップ(c)の間に流体供給ラインを介して運ばれた加熱流体は、抽出チャンバへの途中で流体供給ラインに比較的少量の熱を放出し、したがって比較的少量の熱損失で抽出チャンバに到達する。このようにして、ステップ(c)において流体供給ラインを介して抽出チャンバに運ばれる第1の量の加熱流体が、抽出チャンバへの流体入口で特に高い温度を有することが保証され、それにより抽出チャンバの特に効率的な予熱が可能になる。
【0034】
本方法の実施形態の前述の形態のさらなる発展は、排出出口から排出された残留流体を受け入れるための残留流体容器を備えるコーヒーマシンで有利に実施することができる。この場合、ステップ(e)において、第2の量の加熱流体を残留流体容器に排出することができる。
【0035】
好都合には、本方法は、ステップ(c)によって供給されるときの加熱流体(例えば、水または蒸気)が75~115℃の範囲の温度であるように実施することができる。したがって、ステップ(e)によって運ばれるとき、加熱流体は、75~115℃の範囲内の温度であり得る。
【0036】
より具体的には、本方法は、第1の量の加熱流体が、ステップ(c)の間に抽出チャンバが加熱流体で完全にまたは部分的に満たされるような大きな体積を有するように実施することができる。このようにして、ステップ(a)においてコーヒー粉末と接触し、ステップ(b)において加熱流体と接触する抽出チャンバの必須領域は、ステップ(c)において加熱流体で既に予熱されており、したがってより高い温度にすることができることが保証される。
【0037】
実施形態の別の形態は、抽出装置が、抽出シリンダであって、長手方向軸を有し、長手方向軸に対して横方向に延在する端面によって一方の端面が制限され、長手方向軸の周りに延在する側壁によって長手方向軸に対して径方向に制限される内部空間を有する抽出シリンダと、抽出ピストンであって、抽出ピストンの端面が内部空間の端面の反対側に配置されるように長手方向軸の方向に延在する抽出ピストンと、を備え、抽出チャンバは、内部空間の端面と、抽出ピストンの端面と、側壁との間に延在し、抽出ピストンは、内部空間の端面と抽出ピストンとの間の距離が変化可能であるように、長手方向軸に沿って移動することができることを意味する。この実施形態の形態では、本方法は、以下のステップ(f)および(g)を含む。
(f)ステップ(c)の開始前またはその間に、抽出ピストンは、抽出ピストンが内部空間の端面に対して第1の所定の距離にあるように配置されるステップ、
(g)ステップ(d)の間、抽出ピストンは、抽出ピストンが第1の所定の距離よりも小さい距離で内部空間の端面に対して相対するように、長手方向軸に沿って移動されるステップ。
【0038】
この場合、抽出シリンダの内部空間の端面に対する抽出ピストンの端面の位置は、抽出チャンバの容積を決定する。内部空間の端面と抽出ピストンとの間の距離が変化可能であるように、抽出ピストンを長手方向軸に沿って移動させることができるので、抽出チャンバの容積を変更できることが保証される。例えば、ステップ(a)の間に、所定量のコーヒー粉末を抽出シリンダの内部空間に導入することができ、次いで、コーヒー粉末が抽出チャンバを完全に満たすように、コーヒー粉末が抽出チャンバ内に(すなわち、内部空間の端面と、内部空間の側壁と、抽出ピストンの端面との間に)配置されるように、抽出ピストンを内部空間の端面に対して抽出シリンダの内部空間に配置することができる。コーヒー粉末を抽出シリンダの内部空間に導入した後、抽出ピストンを内部空間の端面の近くに移動させて、抽出チャンバ内の内部空間の端面と抽出ピストンの端面との間でコーヒー粉末を圧縮して、抽出チャンバ内のコーヒー粉末が高密度で可能な限りコンパクトな塊を形成するようにすることができる。
【0039】
ステップ(f)によって、すなわち、ステップ(c)の開始前またはその間に、抽出ピストンが内部空間の端面に対して第1の所定の距離にあるように抽出ピストンが配置されるという事実により、抽出チャンバの容積は、抽出チャンバがステップ(c)において供給される第1の量の加熱流体で完全にまたは少なくとも部分的に満たされ得るようなものである。抽出チャンバが加熱流体で完全に満たされている場合、ステップ(c)において、抽出ピストンが加熱流体と接触することが保証され、その結果、このようにして抽出ピストンが効率的に予熱される。
【0040】
ステップ(g)によって、すなわち、ステップ(d)の間に、抽出ピストンが内部空間の端面に対して第1の所定の距離よりも小さい距離にあるように抽出ピストンが長手方向軸に沿って移動されるという事実により、抽出ピストンは内部空間の端面の方向に移動され、それにより抽出チャンバの容積が減少する。ステップ(g)における、内部空間の端面の方向への抽出ピストンの移動により、ステップ(c)において抽出チャンバ内に運ばれた第1の量の加熱流体は、抽出チャンバから完全にまたは部分的に排出される。ステップ(g)の間に抽出チャンバから排出された流体は、例えば、排出出口を介して残留流体容器に排出される。
【0041】
本方法の実施形態のさらなる発展は、本方法が以下のステップ(h)を含むことを特徴とする。
(h)ステップ(e)の開始前またはその間に、抽出ピストンは、抽出ピストンが内部空間の端面に対して所定の最小値に等しい距離にあるように配置される。
【0042】
これにより、ステップ(e)の開始前またはその間に、抽出チャンバの容積は、抽出チャンバの容積が可能な限り小さくなるように減少する。所定の最小値は、例えば0に等しくすることができ、この場合、抽出チャンバの容積は0に減少する。これらの状況で、ステップ(e)において、第2の量の加熱流体が流体供給ラインを介して運ばれ、排出出口を介して排出される場合、この第2の量の加熱流体のごく一部のみがステップ(e)において抽出チャンバに流入することができるか(抽出チャンバの容積が0よりも大きくなるように抽出ピストンが配置されている場合)、または第2の量の加熱流体の一部は抽出チャンバに流入できずに、第2の量の加熱流体が流体供給ラインを介して運ばれ、排出出口を介して排出される(抽出チャンバの容積が値0を有するように抽出ピストンが配置されている場合)。このようにして、ステップ(e)において、流体供給ラインは、第2の量の加熱流体によって特に効率的に加熱されることができ、その際加熱流体は、主にまたは排他的に、流体供給ラインを加熱するために利用可能である。
【0043】
本発明のさらなる詳細、特に、本発明による方法の実施形態の例を、添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明による方法の実施形態の一形態のステップを実施するのに適した状態のコーヒーマシンの概略図を示す。
図2】本発明による方法の別のステップを実施するのに適した状態の図1によるコーヒーマシンを示す。
図3】本発明による方法のさらなるステップを実施するのに適した状態の図1によるコーヒーマシンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
特に明記しない限り、図中の同じ要素には同じ参照番号が使用される。
【0046】
図1図3は、コーヒー飲料を製造するための本発明による方法の異なるステップに対応する、様々な動作条件におけるコーヒーマシン10を示す。
【0047】
図から分かるように、コーヒーマシン10は、コーヒー粉末を受け入れるための抽出チャンバ35を有する抽出装置30であって、前記抽出チャンバ35は、少なくとも1つの流体入口36および1つの流体出口45を有する抽出装置30と、流体入口36に接続された流体供給ライン26および流体供給ライン26を介して加熱流体を運ぶための流体コンベヤ15を有する流体システム12とを備える。
【0048】
本実施例では、コーヒーマシン10は、抽出装置30が、長手方向軸LAを有する(円筒形の)内部空間32を有する抽出シリンダ21と、抽出シリンダ31用の内部空間32に配置された抽出ピストン34とを備えるように設計されている。抽出シリンダ31の内部空間32は、その端面において、長手方向軸LAに対して横方向に延在する端面40によって、および長手方向軸LAの周りに延在する側壁41によって、長手方向軸LAに対して径方向に画定されるように構成される。抽出ピストン34は、抽出ピストン34の端面34aが端面40の反対側に配置されるように、長手方向軸LAの方向に延在する。本例では、抽出チャンバ35は、抽出シリンダ31の内部空間32のセクションであり、抽出チャンバ35は、内部空間32(または抽出シリンダ31)の端面40と、抽出ピストン34の端面34aと、内部空間32の側壁41との間に延在する。抽出ピストン34は、長手方向軸LAに垂直な平面に対する抽出ピストン34の断面積が抽出シリンダ31の内部空間32の対応する断面積と本質的に一致するように形成され、その結果、抽出ピストン32は、長手方向軸LAの周りに延在する円周線に沿って内部空間32の側壁41に隣接する。
【0049】
抽出ピストン34は、端面40と抽出ピストン34の端面34aとの間の距離が変化可能であるように、長手方向軸LAに沿って移動することができる。この場合、端面40と抽出ピストン34の端面34aとの間の距離の変化は、抽出チャンバ35の容積の変化に対応する。
【0050】
図1図3のそれぞれにおいて、抽出ピストン34が抽出シリンダ31の内部空間32の内側に配置されるように抽出装置30が示されており、それによると、図1図3によれば、抽出ピストン34を端面40に対して異なる距離に配置することができ、図1および図2において、端面40と抽出ピストン34の端面34aとの間の距離は、それぞれD1およびD2として示されており、D2はD1よりも大きい。しかしながら、抽出ピストン34が抽出装置30の周辺の領域に移動して、抽出ピストン34が内部空間31の完全に外側になるように、抽出ピストン34が内部空間31(または抽出シリンダ31)の端面40から長手方向軸LAに沿って移動することができることを指摘しておくべきである。
【0051】
抽出装置30の場合、コーヒー粉末を抽出チャンバ35に導入できるようにするために、抽出ピストン34は、抽出ピストン34が内部空間31の完全に外側になるまで、内部空間31(または抽出シリンダ31)の端面40から離れるように長手方向軸LAに沿って移動される。この場合(図1図3に示す状況とは対照的に)、抽出ピストン34は内部空間31内に突出しないので、内部空間31は端面40の反対側まで開放され、端面40の反対側の内部空間31のこの側から自由にアクセス可能である。これらの状況では、(図には示されていないが、これに適した装置を用いて)内部空間31に所定量のコーヒー粉末を内部空間31の端面40とは反対側から導入することが可能であり、その結果、このようにして内部空間31に導入されたコーヒー粉末は、内部空間31の端面40(または抽出シリンダ31)上に盛られ、最終的に端面40を覆う層を形成する。次いで、コーヒー粉末が端面40、側壁41および抽出ピストン34の端面34aによって画定された空間に封入され、この空間を完全に満たすように、抽出ピストン34を内部空間31に挿入し戻すために、抽出ピストン34を端面40の方向に長手方向軸LAに沿って移動させることができる。端面40、側壁41、および抽出ピストン34の端面34aによって画定され、コーヒー粉末で満たされたこの空間は、図1図3による抽出チャンバ35の実現である。
【0052】
コーヒー粉末は、従来技術の一部を形成する手段によって抽出チャンバ35に導入することができ、したがってこの時点では詳細には説明しない。抽出チャンバ35内へのコーヒー粉末の導入を容易にするために、例えば、抽出ピストン34が内部空間31の完全に外側になるまで抽出ピストン34が長手方向軸LAの方向に移動されるとすぐに、抽出シリンダ31を抽出ピストン34に対して移動させて、抽出シリンダ31を抽出シリンダ31の内部空間32が特に容易にアクセス可能な別の空間位置にして、内部空間31の端面40とは反対側から内部空間31内にコーヒー粉末を導入することができるように、抽出シリンダ31を移動可能に配置することが可能である。この目的のために、抽出シリンダ31は、抽出ピストン34が内部空間31の完全に外側になるとすぐに、抽出シリンダ31を回転軸の周りで旋回させることができるように配置することができる。この場合、抽出シリンダ31は、回転軸を中心とした旋回運動によって、抽出シリンダ31の内部空間32に上方から垂直に(欧州特許出願公開第0559620号明細書から知られている対応する抽出シリンダに類似の方法で)内部空間32に供給することができるコーヒー粉末を単に上方から直接充填することができる空間位置にすることができる。
【0053】
図1図3に示すように、流体システム12の流体コンベヤ15は、コーヒー飲料の製造に適した流体(例えば、清浄水)を受け入れるためのタンク20、タンク20に収容された流体を運ぶことができる、タンク20の流体出口20aに接続された流体ライン21、流体ライン21を介して運ばれている流体の流れを測定するための流量測定装置22、流体ライン21を介して流体を運ぶための流体ポンプ23、流体ライン21を介して運ばれている流体を所定のまたは所定とすることができる温度、例えば75~115℃の範囲の温度に加熱し、それに応じて加熱装置24の出口24aを介して加熱流体を排出するように構成された加熱装置24(例えば、連続流ヒータとして設計された加熱装置)を備える。
【0054】
図1図3に示すように、流体システム12の流体供給ライン26は、流体供給ライン26の一端が加熱装置24の前述の出口24aに接続され、流体供給ライン26の他端が抽出チャンバ35の流体入口36に接続されるように実装され、その結果、加熱装置24によって加熱された流体は、流体ポンプ23によって加熱装置24から流体供給ライン26および抽出チャンバ35の流体入口36を介して抽出チャンバ35内に運ばれ得る。
【0055】
図1図3に示すように、流体供給ライン26に組み込まれている逆止弁27は、加熱装置24の出口24aから排出され、流体供給ライン26を介して流体コンベヤ15によって運ばれる流体が抽出チャンバ35の流体入口36に到達するように設計されているが、逆方向の流体の流れ(すなわち、抽出チャンバ35の流体入口36から流体供給ライン26を介して加熱装置24の出口24aへの流体の任意の流れ)は、逆止弁27によって遮断される。
【0056】
図1図3に示すように、コーヒーマシン10はまた、抽出チャンバ35および/または流体供給ライン26と流体接続しているか、または流体接続させることができ、かつ流体供給ライン26および/または抽出チャンバ35から残留流体容器70に残留流体を排出するように構成された排出出口65を備える。排出出口65は、抽出チャンバ35の流体出口45から空間的に離れている(分離している)。これに関連して、「残留流体」という用語は、コーヒーマシン10の動作中に流体供給ライン26および/または抽出チャンバ35に到達したが、コーヒー飲料の一部を形成せず、したがって、流体出口45を介して吐出されず、特に抽出チャンバ35内で調製されたコーヒー飲料と共に抽出チャンバ35の外に吐出されない流体を示す。排出出口65を通るそのような残留流体の排出を制御することができるように、コーヒーマシン10は、流体供給ライン26、抽出チャンバ35の流体入口36、および/または排出出口65の間の1つの流体接続またはいくつかの流体接続を必要に応じて生成するように構成された制御可能な方向制御弁28を備える。この例では、方向制御値28は「3/2方弁」の形態であり、すなわち、方向制御弁28の3つの異なるポート間の2つの異なる流体接続を生成することを可能にするために、方向制御弁28を順番に(方向制御弁28のそれぞれの切替位置に応じて)2つの切替位置にすることができ、流体供給ライン26、抽出チャンバ35の流体入口36、および排出出口65はそれぞれ、方向制御弁28の前述のポートのうちの1つに接続される。
【0057】
図1は、方向制御弁28が2つの異なる切替位置のうちの一方にされた状況におけるコーヒーマシン10を示す。方向制御弁28のこの切替位置によって、流体供給ライン26、抽出チャンバ35の流体入口36、および排出出口65は、方向制御弁28を介して互いに流体接続される。この場合、流体ポンプ23によって加熱装置24の出口24aから流体供給ライン26を介して方向制御弁28に運ばれている流体は、方向制御弁28を介して抽出チャンバ35の流体入口36と排出出口65の両方に、または排出出口65を介して残留流体容器70に導かれる。同様に、流体は、抽出チャンバ35から、抽出チャンバ35の流体入口36および方向制御弁28を介して排出出口65に運ぶことができ、その結果、流体は、最終的に排出出口65を介して残留流体容器70に到達することができる。
【0058】
図1とは対照的に、図2および図3は、方向制御弁28が2つの異なる切替位置の他方にされた状況におけるコーヒーマシン10を示す。方向制御弁28の2つの切替位置のうちのこの他方によれば、流体供給ライン26は、抽出チャンバ35の流体入口36と流体接続しているが、排出出口65は、流体供給ライン26または抽出チャンバ35の流体入口36のいずれとも流体接続していない。この場合、流体ポンプ23によって加熱装置24の出口24aから流体供給ライン26を介して方向制御弁28に運ばれている流体は、方向制御弁28を介して抽出チャンバ35の流体入口36に導かれるが、排出出口65には導かれない。
【0059】
図1図3に示すように、この例では、抽出チャンバ35の流体入口36は、抽出チャンバ31(または内部空間32)の端面40の領域に配置され、その結果、流体ポンプ23によって加熱装置24の出口24aから流体供給ライン26および方向制御弁28を介して流体入口36に運ばれている流体は、端面40の領域で抽出チャンバ35に流入することができる。この例では、抽出チャンバ35の流体出口45は、抽出チャンバ35に面する流体出口45の端部において流体出口45が抽出ピストン34の端面34aの領域内で抽出チャンバ35に向かって開いており、抽出チャンバ35から離れる方向を向く流体出口45の端部においてコーヒー吐出ライン55の端部と接続されるように、抽出ピストン34内に構成される。別の端部では、コーヒー吐出ライン55は、少なくとも1つのコーヒー出口開口部62が設けられたコーヒー吐出装置60に接続され、その結果、抽出チャンバ35内で調製されたコーヒー飲料は、抽出チャンバ35の流体出口45およびコーヒー吐出ライン55を介してコーヒー吐出装置60に流れることができ、最終的には、コーヒー出口開口部62を介して、例えば飲料容器に吐出することができる。
【0060】
同じく図1図3に示すように、従来のクレマ弁50は、抽出チャンバ35内の流体の現在の圧力に応じて、抽出チャンバ35から流体出口45を介してコーヒー吐出ライン55への流体の流れを任意選択的に防止または可能にするように構成された流体出口45に組み込まれている。この例では、クレマ弁50は、抽出チャンバ35内の流体の圧力が所定の限界値(例えば、3バール超)よりも大きい場合に、クレマ弁50が、抽出チャンバ35から流体出口45を介してコーヒー吐出ライン55への流体の流れを可能にするように実装される。このようにして、クレマ弁50は、例えばエスプレッソなどのコーヒー飲料を調製することができるように、加圧された流体によって抽出チャンバ35内でコーヒー粉末を抽出することを可能にする。したがって、流体ポンプ23は、4~20バールの範囲の圧力で流体供給ライン26を介して抽出チャンバ35に流体を運ぶように設計されている。
【0061】
図1図3に示すように、コーヒーマシン10は、熱水および/または蒸気ライン75を介して加熱装置24の出口24aに接続された、熱水および/または蒸気を分配するための出口77を備える。熱水および/または蒸気ライン75を介した熱水および/または蒸気の流れを制御することができるようにするために、制御可能な弁76が熱水および/または蒸気ライン75に統合され、制御可能な弁は、場合により開閉されて、出口77への熱水および/または蒸気の流れをそれぞれ許可または防止することができる。
【0062】
コーヒーマシン10はまた、コーヒーマシン10の自動動作を可能にするための制御ユニット80を備える。この目的のために、制御ユニット80は、特に、例えば、抽出シリンダ31(または内部空間32)の端面40に対する抽出ピストン34の位置、および所定量のコーヒー粉末の抽出チャンバ35への導入を制御することができるように、抽出装置30に接続される。制御ユニット80はまた、流量測定装置22、流体ポンプ23、加熱装置24、方向制御弁28および弁76に接続され、流体ポンプ23、加熱装置24、方向制御弁28および弁76を制御することができる。流体ポンプ23、方向制御弁28、および弁76は、タンク20内に提供された流体(例えば、清浄水)を、任意選択的に流体供給ライン26または熱水および/または蒸気ライン75を介して運ぶことができるように、制御ユニット80によって制御することができる。加熱装置24は、流体ポンプ23によって運ばれる流体を所定のまたは所定とすることができる温度に加熱するために、制御ユニット80によって制御することができる。
【0063】
以下、図1図3を参照して、本発明による方法の一実施形態を説明する。
【0064】
一例として、以下では、コーヒー飲料の製造、特にコーヒーマシン10を使用した20~50mlの範囲の容積を有する「少量の」コーヒー飲料(例えばエスプレッソ)の製造について説明する。抽出装置30の抽出チャンバ35内でコーヒー飲料を製造するために、コーヒー粉末は、90~95℃の範囲の温度でなければならない加熱流体(水)で抽出されると仮定する。
【0065】
方法の開始時に、抽出装置30の抽出チャンバ35は空である、すなわちコーヒー飲料の製造に必要なコーヒー粉末で満たされていないとも仮定する。さらに、方法の開始時に、コーヒーマシン10の制御ユニット80が、例えば手動で操作可能な操作要素によって生成され、制御ユニット80に送信され得る制御信号の形態で、コーヒー飲料の製造を開始する「コマンド」をオペレータから受信すると仮定する。また、この「コマンド」を開始する前のより長い待ち時間の間、コーヒーマシン10はコーヒー飲料を製造するために使用されなかったと仮定する。これらの状況下では、流体供給ライン26および抽出装置30は、待機期間中に90~95℃よりもはるかに低い温度まで冷却されたと仮定する。
【0066】
図1は、「コマンド」を開始した直後の方法の第1のステップ中のコーヒーマシン10を示す。制御ユニット80は、抽出シリンダ31(または内部空間32)の端面40に対して、抽出ピストン34の端面34aが、抽出チャンバ35の容積が可能な限り小さくなるように可能な限り小さい距離D1にあるように、抽出装置30を制御する。好ましくは、抽出シリンダ31は、D1=0、したがって抽出チャンバ35の容積が0に等しくなるように構成することができる。制御ユニット80はまた、方向制御弁28が図1に示す切替位置になるように方向制御弁28を制御する。制御ユニット80はまた、タンク20内に提供された流体(例えば、清浄水)が加熱装置24によって75~115℃の範囲の温度に加熱され、流体ポンプ23によって流体供給ライン26を介して方向制御弁28に運ばれるように、流体ポンプ23および加熱装置24を制御する。抽出ピストン34の位置は、D1が可能な限り小さく(好ましくは0に等しい)、流体供給ライン26が排出出口65にも流体接続されるように選択されるので、この場合、加熱装置24によって加熱された流体は、本質的に、流体供給ライン26を介して排出出口65に、排出出口65を介して残留流体容器70に流れる。以前に流体供給ライン26内に存在していた可能性があり、冷却された停滞した比較的冷たい水は、加熱装置24によって加熱された流体によって流体供給ライン26から完全に移動され、排出出口65を介して残留流体容器70に運ばれる。流体供給ライン26を介して運ばれる加熱水の量は、例えば、約20mlとすることができる。加熱流体は、最終的に流体供給ライン26の加温をもたらす。
【0067】
図2は、図1に示す第1のステップの直後の方法の第2のステップ中のコーヒーマシン10を示す。抽出チャンバ35は、(図1による方法の第1のステップのように)コーヒー粉末で満たされていない。制御ユニット80は、抽出シリンダ31(または内部空間32)の端面40に対して、抽出ピストン34の端面34aが、例えば、抽出チャンバ35が約10mlの容積を有するようにD1よりも大きい距離D2にあるように、抽出装置30を制御する。制御ユニット80はまた、方向制御弁28が図2に示す切替位置になるように方向制御弁28を制御する。この場合、流体供給ライン26は、抽出チャンバ35の流体入口36と流体接続しているが、排出出口65は、流体供給ライン26または抽出チャンバ35の流体入口36のいずれとも流体接続していない。制御ユニット80はまた、タンク20内に供給された流体(例えば、清浄水)が加熱装置24によって75~115℃の範囲の温度に加熱され、流体ポンプ23によって流体供給ライン26および方向制御弁28を介して抽出チャンバ35に運ばれるように、流体ポンプ23および加熱装置24を制御する。
【0068】
図2に示す方向制御弁28の切替位置の場合、抽出チャンバ35内に運ばれた加熱流体は、排出出口65を介して残留流体容器70に到達することができず、抽出チャンバ35内に留まる。好ましくは、抽出チャンバ35が加熱流体で完全に満たされるような量の加熱流体が抽出チャンバ35内に運ばれる。方向制御弁28は、加熱流体が所定の時間間隔、例えば0~10秒の範囲の持続時間を有する時間間隔の間、抽出チャンバ35内に留まるように制御される。この時間間隔の間、抽出シリンダ31および抽出ピストン34は、加熱流体と接触する領域、すなわち、抽出シリンダ31の端面40および側壁41の領域、ならびに抽出ピストン34の端面34aの領域で加熱される。抽出チャンバ35内に存在する流体は、この間に冷却されうる。
【0069】
次いで、方向制御弁28は、方向制御弁28が図1に示す切替位置をふさぐように、制御ユニット80によって制御される。方向制御弁28のこの切替位置によって、流体供給ライン26、抽出チャンバ35の流体入口36および排出出口65は、方向制御弁28を介して互いに流体接続される。したがって、流体は、抽出チャンバ35の流体入口36および方向制御弁28を介して抽出チャンバ35から排出出口65に運ぶことができ、その結果、流体は、最終的に排出出口65を介して残留流体容器70に到達することができる。排出出口65を介して抽出チャンバ35から残留流体容器70に流体を運ぶために、制御ユニット80は、抽出ピストン34が長手方向軸LAに沿って抽出シリンダ31(または内部空間32)の端面40の方向に移動し、流体入口36を介して抽出チャンバ35から流体を押し出すように、抽出装置30を制御する。
【0070】
図3は、図2に示す第2のステップの直後の方法の第3のステップ中のコーヒーマシン10を示す。第3のステップの間、所定量のコーヒー粉末38が抽出チャンバ35内に導入され、抽出チャンバは、上記の方法の第2のステップにおいて加熱され、それによってより高い温度にされている。図3では、コーヒーマシン10は、(上記のように)所定量のコーヒー粉末38が抽出チャンバ35に既に導入されている状況で示されている。
【0071】
さらに、制御ユニット80は、方向制御弁28が図3に示す切替位置になるように方向制御弁28を制御する。この場合、流体供給ライン26は、抽出チャンバ35の流体入口36と流体接続しているが、排出出口65は、流体供給ライン26または抽出チャンバ35の流体入口36のいずれとも流体接続していない。制御ユニット80はまた、タンク20内に供給された流体(例えば、清浄水)が90~95℃の範囲の温度に加熱され、流体ポンプ23によって流体供給ライン26および方向制御弁28を介して抽出チャンバ35に運ばれるように、流体ポンプ23および加熱装置24を制御する。加熱流体でコーヒー粉末を抽出することにより、コーヒー飲料が最終的に抽出チャンバ35内で生成され、抽出チャンバ35の流体出口45を介してコーヒー吐出装置65に運ばれ、最終的にコーヒー出口開口部62を介して吐出される。
【0072】
流体供給ライン26および抽出装置30の上述の予熱により、コーヒーマシン10がより長い待機期間中にコーヒー飲料を製造するために以前に使用されていない場合、コーヒー出口開口部62を介して吐出されるコーヒー飲料の温度を大幅に上昇させることが可能である。
【0073】
したがって、コーヒー飲料を製造する前に、コーヒーマシン10がコーヒー飲料を調製するために使用されていない待ち時間が所定の限界(例えば2分)を超える場合にのみ、流体供給ライン26および抽出装置30の上述の予熱を自動的に実施することが好都合である。待機時間の関数としての予熱のこの制御は、比較的低いエネルギー消費量で製造されたコーヒー飲料の温度制御を可能にする。
【0074】
本発明の文脈において、抽出装置30は、その構造に関して、特に、抽出シリンダ31(または内部空間32)の端面40、抽出ピストン34、流体入口36、流体出口45、および排出出口65の配置に関して、図1図3に示す実施形態とは異なるように設計することができることも指摘される。図1図3による抽出装置30の実施形態では、抽出シリンダ31(または内部空間32)の端面40は、抽出チャンバ35および抽出ピストン34の端面34aの下に配置される。あるいは、抽出シリンダ31(または内部空間32)の端面40を、抽出チャンバ35および抽出ピストン34の端面34aの上に配置することも可能である。
【0075】
図1図3による抽出装置30の実施形態では、加熱流体を抽出チャンバ35に入れるための流体入口36、および抽出チャンバ35内で製造されたコーヒー飲料を吐出するための流体出口45は、加熱流体を、抽出チャンバ35の下に配置された流体入口36を介して下方から抽出チャンバ35内に運ぶことができ、かつ抽出チャンバ35内で製造されたコーヒー飲料を、抽出チャンバ35の上に配置された流体出口45を介して抽出チャンバ35から上方に取り出すことができるように配置される。あるいは、加熱流体を抽出チャンバ35に入れるための流体入口36、および抽出チャンバ35内で製造されたコーヒー飲料を吐出するための流体出口45は、加熱流体を、抽出チャンバ35の上に配置された流体入口を介して上方から抽出チャンバ35に導入することができ、かつ抽出チャンバ35内で製造されたコーヒー飲料を、抽出チャンバ35の下に配置された流体出口を介して抽出チャンバ35から下方に取り出すことができるように配置することができる。
【0076】
図1図3による抽出装置30の実施形態の形態では、排出出口65は、残留流体が抽出チャンバ35から流体入口36を介して下方に流れ、最終的に方向制御弁28を介して排出出口65に到達することができるように実装される。あるいは、排出出口は、流体入口36とは別個であり、かつ抽出チャンバ35内に直接開口する(流体入口36から所定の距離にある)ように実施することもできる。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-01-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒーマシンにおいてコーヒー飲料を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術によるコーヒーマシンは、一般に、コーヒー粉末を受け入れるための抽出チャンバを有する抽出装置であって、前記抽出チャンバは少なくとも1つの流体入口および1つの流体出口を備える抽出装置と、流体入口に接続された流体供給ラインおよび流体供給ラインを介して加熱流体(例えば、水および/または蒸気)を運ぶための流体コンベヤを有する流体システムと、を備える。
【0003】
コーヒー飲料は、一般に以下のステップ、すなわち、
所定量のコーヒー粉末を抽出チャンバに導入するステップと、
抽出チャンバ内でコーヒー粉末を抽出してコーヒー飲料を調製し、抽出チャンバから流体出口を介して調製されたコーヒー飲料を吐出するために、流体供給ラインを介して抽出チャンバ内に加熱流体を運ぶステップと、を含む方法に基づいて、このタイプのコーヒーマシンを用いて製造することができる。
【0004】
コーヒー飲料を製造するために、前述のタイプの抽出装置には、一般に、熱水または抽出水の形態の流体が供給され、水タンクから来る流体は、最初にポンプまたは同様の装置によって連続流ヒータを介して供給され、そこで加熱される。最初に流体がより大きなタンク内で完全に加熱され、次いで抽出ユニットに供給される抽出装置も知られている。いずれの場合も、加熱プロセス後、加熱水は、その後、流体が流体供給ラインを介して抽出チャンバの流体入口に到達するまで、程度の差はあるが長いパイプラインセクションを通過する。
【0005】
これは、特に、流体を加熱するための加熱装置と抽出チャンバの流体入口との間にあるパイプラインセクションが、前の抽出プロセスの性質、時間および頻度に応じて異なる温度であり得るという問題をもたらす。したがって、抽出チャンバへの入口における流体の実際の温度、および抽出チャンバ内の流体を用いてコーヒー粉末を抽出することによって製造可能なコーヒー飲料の温度を予測することはできない。
【0006】
(熱い)コーヒー飲料の製造に関して、90~95℃の範囲の抽出温度が一般に理想的であると考えられている。
【0007】
第1のコーヒー飲料を製造した後、前述のタイプのコーヒーマシンが長い待ち時間の後に第2のコーヒー飲料を製造するためにのみ使用される場合、待ち時間の間、抽出装置および流体供給ラインは、より低い温度まで冷却されうる。この場合、第2のコーヒー飲料は、状況によっては、特に、第2のコーヒー飲料を生成するために流体供給ラインを介して抽出チャンバに運ばれることになる流体が、予め冷却された流体供給ラインおよび予め冷却された抽出装置に熱を放出することになるので、第1のコーヒー飲料よりも低い温度になる可能性があり、その結果、流体供給ラインを介して流れる際に流体から熱が除去され、それによって流体の温度が低下する。
【0008】
流体のこのような温度の低下は、製造されたコーヒー飲料が少量、例えばリストレットまたはエスプレッソなどの典型的な量のコーヒー飲料に相当する50ml未満である場合に特に顕著である。したがって、前述の種類のコーヒーマシンでは、所定の高温で少量のコーヒー飲料(例えば、リストレットまたはエスプレッソ)を飲料容器に吐出することが問題となる。
【0009】
これは、抽出温度が高すぎると、抽出されるコーヒーからより多くの苦味物質が抽出され、その結果、吐出されたコーヒーは苦味を感じるため、不利である。一方、抽出温度が低すぎると、この場合、所望の芳香がコーヒー粉末から放出されず、製造されたコーヒー飲料の味がなくなる傾向があるため、同様に望ましくない。
【0010】
この問題に対して、抽出水加熱装置と抽出チャンバの流体入口との間の流体ラインの長さを考慮しながら、必要に応じて流体入口で流体の温度を上昇させるための従来技術におけるいくつかの解決策がある。
【0011】
例えば、コーヒーマシンの動作中の流体供給ラインおよび/または抽出装置の冷却による熱損失を補償するために、コーヒー飲料を製造する前に流体の温度を適切に上昇させることが可能である。しかしながら、抽出チャンバ内のコーヒーが過度に加熱され、場合によっては沸騰し、または沸騰状態で流体出口を介して飲料容器に吐出されるのを防ぐために、そのような温度上昇に制限が設定されている。
【0012】
米国特許出願公開第2008/0264264号明細書から、加熱装置によって供給され、ラインを介して抽出チャンバに供給することができる熱水を使用して抽出チャンバ内で適切な製品(例えばコーヒー)を抽出することによって高温飲料を調製するための装置が知られている。この熱水の供給に関して、水の温度は加熱装置から抽出チャンバへの途中で低下する可能性があり、この温度低下はランダムに変化し得るパラメータに依存するという問題がある。この問題を解決するために、加熱装置と抽出チャンバとの間のライン内の水温の低下を動的に補償する補償装置が実装される。ライン内の水の温度低下を補償するために、加熱装置内の水の温度は、抽出チャンバ内の水の温度が所定の範囲内になるように制御装置によって制御される。水温のそのような制御の実施は、一般に複雑であり、それに応じて費用がかかる。
【0013】
ドイツ特許出願公開第69911675号明細書から、抽出装置、この場合はエスプレッソを調製するためのコーヒーマシンの抽出装置を、動作位置から休止位置へと旋回させることができるシステムが知られている。休止位置に旋回した後、抽出装置の熱伝導領域は、抽出装置を加熱することができる加熱要素と接触している。後続の抽出手順の間、このように(休止位置で)加熱された抽出装置は、その動作位置に旋回して戻され、したがって、抽出装置に供給される抽出水の低すぎる可能性のある温度を補償することができる。この場合、加熱された抽出水は、抽出装置の抽出チャンバ内に圧力下で供給され、その結果、抽出チャンバ内では、エスプレッソの形態の抽出されたコーヒーを製造することができ、その際抽出されたコーヒーは、チューブを介して抽出チャンバから流出し、コーヒーマシンから吐出されることができる。加熱要素を設けることは、空間要件の増加をもたらし、複雑でもあり、したがって費用がかかる。
【0014】
米国特許出願公開第2013/0337132号明細書は、抽出チャンバ内に導入される飲料固形物(例えばコーヒー粉末)上に熱水の一部を吐出することによって抽出チャンバ内で高温飲料を製造するための飲料調製機を開示している。この飲料調製機は、加熱された液体水または蒸気の形態の加熱流体を生成するための加熱装置と、加熱流体を加熱装置から流体供給ラインを介して抽出チャンバ内の飲料固体に供給(または運搬)するための流体運搬装置とを備える。第1の動作段階における飲料調製機の動作中、飲料調製機は、加熱水で飲料固体を抽出することによって飲料の製造を可能にするために、液体状態の加熱水を抽出チャンバに導入された飲料固体に流体供給ラインを介して運ぶように設計され、第2の動作段階(米国特許出願公開第2013/0337132号明細書において「蒸気フラッシング」と呼ばれる)では、蒸気を抽出チャンバに導入された飲料固体に流体供給ラインを介して運ぶように設計される。抽出チャンバ内に導入された飲料固体への蒸気の供給は、蒸気の供給を介して抽出チャンバ内の加熱水によって生成される水圧の低減をもたらすために、第1の動作段階において、抽出チャンバ内に加熱水を供給した後に行うことができる。あるいは、抽出チャンバに導入された飲料固体への蒸気の供給は、供給蒸気を介して蒸気が流れる飲料調製機の領域の乾燥または予熱を可能にするために、第1の動作段階において、抽出チャンバに熱水を供給する前に実行することもできる。
【発明の概要】
【0015】
本発明の根底にある問題は、述べてきた欠点を回避し、コーヒーマシンにおいてコーヒー飲料を製造するための方法を作り出すことであり、この方法は、簡単な手段によって、熱いコーヒー飲料を製造し、製造されるコーヒー飲料の温度を制御することを可能にする。
【0016】
この問題は、請求項1の特徴を有する方法によって解決される。
【0017】
コーヒー飲料を製造するためのこの方法は、コーヒーマシンによって実装することができ、コーヒーマシンは、コーヒー粉末を受け入れるための抽出チャンバを有する抽出装置であって、前記抽出チャンバは少なくとも1つの流体入口および1つの流体出口を有する、抽出装置と、流体入口に接続された流体供給ライン、加熱流体を流体供給ラインを介して運ぶための流体コンベヤ、流体出口とは別個の排出出口を有する流体システムと、を備え、前記排出出口は、抽出チャンバおよび/または流体供給ラインと流体接続しているか、または流体接続させることができ、その結果、流体供給ラインおよび/または抽出チャンバからの残留流体を排出出口を介して排出することができる。ここで、抽出装置は、抽出シリンダであって、長手方向軸を有し、長手方向軸に対して横方向に延在する端面によって一方の端面が制限され、長手方向軸の周りに延在する側壁によって長手方向軸に対して径方向に制限される内部空間を有する抽出シリンダと、抽出ピストンであって、抽出ピストンの端面が内部空間の端面の反対側に配置されるように長手方向軸の方向に延在する抽出ピストンと、を備え、抽出チャンバは、内部空間の端面と、抽出ピストンの端面と、側壁との間に延在し、抽出ピストンは、内部空間の端面と抽出ピストンとの間の距離が変化可能であるように、長手方向軸に沿って移動することができる。
【0018】
本方法は、以下のステップ(a)~(d)を含む。
(a)所定量のコーヒー粉末を抽出チャンバに導入するステップ、
(b)抽出チャンバ内でコーヒー粉末を抽出してコーヒー飲料を調製し、抽出チャンバから流体出口を介して調製されたコーヒー飲料を吐出するために、流体供給ラインを介して抽出チャンバ内に加熱流体を運ぶステップ、
(c)第1の量の加熱流体を流体供給ラインを介して抽出チャンバ内に供給するステップであって、その際ステップ(c)がステップ(a)の前に実行される、ステップ、
(d)ステップ(a)の開始前に、ステップ(c)において供給された第1の量の加熱流体の少なくとも一部を抽出チャンバから排出するステップであって、
ステップ(d)において、ステップ(c)において供給された第1の量の加熱水の少なくとも一部は、排出出口を介して排出される、ステップ。
【0019】
本発明によれば、本方法は、以下のステップ(f)および(g)を含む。
(f)ステップ(c)の開始前またはその間に、抽出ピストンは、抽出ピストンが内部空間の端面に対して第1の所定の距離にあるように配置されるステップ、
(g)ステップ(d)の間、抽出ピストンは、抽出ピストンが第1の所定の距離よりも小さい距離で内部空間の端面に対して相対するように、長手方向軸に沿って移動されるステップ。
【0020】
したがって、熱いコーヒー飲料の調製の前に(すなわち、コーヒー飲料を調製する目的でコーヒー粉末が抽出チャンバに導入され、コーヒー粉末を抽出するための加熱流体が流体供給ラインを介して抽出チャンバに運ばれる前に)、ステップ(c)において、第1の量の加熱流体(例えば、水または蒸気)が最初に流体供給ラインを介して抽出チャンバに運ばれる。流体供給ラインおよび/または抽出装置が加熱流体の温度よりも低い温度にある場合、ステップ(c)の間に、特にステップ(c)の間に加熱流体と直接接触する流体供給ラインおよび/または抽出装置の領域において、流体供給ラインおよび/または抽出装置が加熱され、流体供給ラインの温度および/または抽出装置の温度が上昇するように、熱が流体供給ラインおよび/または抽出装置に伝達される。このようにして、コーヒー飲料を調製する目的でコーヒー粉末が抽出チャンバに導入され、コーヒー粉末を抽出するための加熱水が流体供給ラインを介して抽出チャンバに運ばれる前に、流体供給ラインおよび/または抽出装置を予熱することが可能である。
【0021】
このようにして、ステップ(c)の間に、特に、加熱流体でコーヒー粉末を抽出する目的でステップ(b)の間に接触する領域において、流体供給ラインならびに抽出装置および/または抽出チャンバを予熱することが可能である。したがって、この予熱は、ステップ(b)の間に抽出チャンバに運ばれる加熱流体の温度を制御する観点から効率的である。
【0022】
例えば、ステップ(a)および(b)によってコーヒー飲料を製造する前の長い待機期間中に、コーヒーマシンが抽出チャンバ内でコーヒー飲料を製造するために使用されておらず、流体供給ラインおよび/または抽出装置がこの待機期間中に冷却されている場合、加熱流体をステップ(c)中に供給することにより、特に、ステップ(a)および(b)によってコーヒー飲料を製造する前にコーヒーマシンの動作中に起こり得る熱損失を補償することが可能である。
【0023】
流体供給ラインおよび/または抽出装置の前述の予熱により、ステップ(a)および(b)で製造されたコーヒー飲料は、ステップ(c)が省略された場合に達成された温度と比較してより高い温度を有することが可能である。より具体的には、ステップ(c)の間に加熱流体を供給することによって、流体供給ラインおよび/または抽出装置を所定の温度に加熱することが可能である。このようにして、製造されたコーヒー飲料の温度が所定の範囲内にあるように、製造されたコーヒー飲料の温度を制御することが可能である。
【0024】
この方法は、上記のタイプの従来のコーヒーマシンで一般的に利用可能な技術的手段を用いて実施することが簡単であり、少なくとも加熱流体を抽出チャンバに供給することができるという利点を有する。本方法を実施するためには、時間の関数として流体供給ラインを介した抽出チャンバへの加熱流体の運搬を適切に制御するだけでよい。
【0025】
ステップ(c)において供給された第1の量の加熱流体の少なくとも一部は、ステップ(d)において抽出チャンバから排出されるので、コーヒー粉末を抽出チャンバに導入する前に、抽出チャンバは、最初に、ステップ(c)において供給された第1の量の加熱流体で洗浄することができる。例えば、そうすることで、抽出チャンバは、より早い時点で調製されたコーヒー飲料の残留物、抽出チャンバの壁に付着した残留物として抽出チャンバ内に残っている可能性があるそのうちのわずかな残留物を取り除くことができる。
【0026】
ステップ(c)において供給された第1の量の加熱流体の少なくとも一部が抽出チャンバから排出されるので、これはまた、ステップ(c)において抽出チャンバに運ばれる第1の量の加熱流体の体積が比較的大きくなり得る(例えば、抽出チャンバが加熱流体で部分的にまたは完全に満たされるほど大きい)ことを意味する。ステップ(d)と同様に、ステップ(c)において供給された第1の量の流体の少なくとも一部は抽出チャンバから排出され、ステップ(a)の間、抽出チャンバの十分に広い領域が乾燥コーヒー粉末を受け入れるために利用可能であることが保証される。抽出チャンバ内のコーヒー粉末が、ステップ(a)中ではなくステップ(b)中に、加熱流体で本質的に抽出されることも達成することができる。
【0027】
流体供給ラインおよび/または抽出チャンバからの残留流体を排出出口を介して排出することができるように、排出出口は流体出口とは別個であり、抽出チャンバおよび/または流体供給ラインと流体接続させることができる、または流体接続しているので、ステップ(d)において、ステップ(c)において供給された加熱流体は、流体出口を介して抽出チャンバから出る必要はない。流体出口は、ユーザがコーヒーマシンにコーヒー飲料を調製させ、それを流体出口を介して飲料容器に吐出する前に、ステップ(b)において抽出チャンバ内で調製されたコーヒー飲料が、抽出チャンバから流体出口を介して、例えばコーヒーマシンのユーザが一般に流体出口の下に置く飲料容器内に出ることができるように設計されている。ステップ(d)と同様に、ステップ(c)において供給された加熱流体は、流体出口ではなく排出出口を介して排出され、コーヒーマシンのユーザが流体出口の下に飲料容器を置いたかどうかにかかわらず、ステップ(c)および(d)をいつでも実行できることが有利に達成される。このようにして、予熱の目的でステップ(c)において抽出チャンバ内に運ばれる加熱流体が、ステップ(d)の間に流体出口を介して抽出チャンバから出ることが可能になり、(コーヒーマシンが流体出口を介してコーヒー飲料を吐出すると期待して)ユーザによって流体出口の下に置かれた可能性がある飲料容器内に望ましくない方法で行き着くことが防止される。
【0028】
この場合、抽出シリンダの内部空間の端面に対する抽出ピストンの端面の位置は、抽出チャンバの容積を決定する。内部空間の端面と抽出ピストンとの間の距離が変化可能であるように、抽出ピストンを長手方向軸に沿って移動させることができるので、抽出チャンバの容積を変更できることが保証される。例えば、ステップ(a)の間に、所定量のコーヒー粉末を抽出シリンダの内部空間に導入することができ、次いで、コーヒー粉末が抽出チャンバを完全に満たすように、コーヒー粉末が抽出チャンバ内に(すなわち、内部空間の端面と、内部空間の側壁と、抽出ピストンの端面との間に)配置されるように、抽出ピストンを内部空間の端面に対して抽出シリンダの内部空間に配置することができる。コーヒー粉末を抽出シリンダの内部空間に導入した後、抽出ピストンを内部空間の端面の近くに移動させて、抽出チャンバ内の内部空間の端面と抽出ピストンの端面との間でコーヒー粉末を圧縮して、抽出チャンバ内のコーヒー粉末が高密度で可能な限りコンパクトな塊を形成するようにすることができる。
【0029】
ステップ(f)によって、すなわち、ステップ(c)の開始前またはその間に、抽出ピストンが内部空間の端面に対して第1の所定の距離にあるように抽出ピストンが配置されるという事実により、抽出チャンバの容積は、抽出チャンバがステップ(c)において供給される第1の量の加熱流体で完全にまたは少なくとも部分的に満たされ得るようなものである。抽出チャンバが加熱流体で完全に満たされている場合、ステップ(c)において、抽出ピストンが加熱流体と接触することが保証され、その結果、このようにして抽出ピストンが効率的に予熱される。
【0030】
ステップ(g)によって、すなわち、ステップ(d)の間に、抽出ピストンが内部空間の端面に対して第1の所定の距離よりも小さい距離にあるように抽出ピストンが長手方向軸に沿って移動されるという事実により、抽出ピストンは内部空間の端面の方向に移動され、それにより抽出チャンバの容積が減少する。ステップ(g)における、内部空間の端面の方向への抽出ピストンの移動により、ステップ(c)において抽出チャンバ内に運ばれた第1の量の加熱流体は、抽出チャンバから完全にまたは部分的に排出される。ステップ(g)の間に抽出チャンバから排出された流体は、例えば、排出出口を介して残留流体容器に排出される。
【0031】
流体供給ラインおよび抽出装置または抽出チャンバの上述の予熱を最適化するために、ステップ(c)は、様々な方法で、または様々な手段と組み合わせて実行することができる。
【0032】
本方法の一実施形態では、ステップ(c)は、ステップ(a)の開始前に所定の第1の時間間隔で実行される。流体供給ラインを介して第1の量の加熱流体を抽出チャンバに供給することは、コーヒー飲料の製造と時間的に相関して行われ、すなわち、第1の量の加熱流体の供給は、コーヒー粉末を抽出チャンバに導入する前に所定の時間間隔で開始する。これは、ステップ(a)および(b)におけるコーヒー飲料の調製中に流体供給ラインおよび/または抽出チャンバまたは抽出装置が有するそれぞれの温度を、例えば、第1の時間間隔の持続時間、ステップ(c)中の加熱流体の温度、および第1の量の加熱流体の量の適切な指定によって容易に制御することができるという利点を有する。
【0033】
コーヒーマシンはまた、排出出口から排出された残留流体を受け入れるための残留流体容器を備えることができる。この場合、本方法は、ステップ(c)において供給された第1の量の加熱流体の少なくとも一部が残留流体容器内に排出されるように、ステップ(d)において有利に実施することができる。
【0034】
方法の実施形態の前述の形態の他のさらなる発展は、ステップ(d)がステップ(a)の開始前に所定の第2の時間間隔で実行されるというように考えられる。これは、ステップ(c)において供給された第1の量の加熱流体の少なくとも一部の抽出チャンバからの排出が、ステップ(a)の開始と時間的に相関して行われることを意味する。この手段の目的は、ステップ(a)および(b)中のコーヒー飲料の調製中に抽出装置または抽出チャンバのそれぞれの温度を非常に正確に制御することである。
【0035】
ここで、例えば、ステップ(c)による第1の量の加熱流体の供給は、第1の終了時間に終了することができ、第2の時間間隔の開始は、所定の第1の時間差で第1の終了時間に続くことができる。この第2の時間差は、ステップ(c)において供給された第1の量の加熱流体が、ステップ(c)において供給された第1の量の加熱流体の少なくとも一部がステップ(d)によって抽出チャンバから排出される前に、抽出チャンバ内に留まる時間を規定する。したがって、第2の時間差は、ステップ(c)において抽出チャンバに運ばれる加熱流体によって抽出装置が予熱される時間に影響を及ぼす。したがって、第2の時間差を指定することは、スタップ(a)および(b)によるコーヒー飲料の調製中の抽出装置または抽出チャンバの温度に影響を及ぼす。これにより、第2の時間差を適切に指定することにより、ステップ(a)および(b)によるコーヒー飲料の調製中に抽出装置または抽出チャンバの温度を制御することが可能になる。
【0036】
コーヒーマシンのユーザフレンドリな動作を可能にするために、例えば、第1の時間差が0~10秒の範囲になるように時間差を選択することが好都合である。
【0037】
本方法の実施形態の別の形態は、コーヒーマシンが、抽出チャンバおよび/または流体供給ラインと流体接続しているか、または流体接続させることができ、かつ流体供給ラインおよび/または抽出チャンバから残留流体を排出するように構成された排出出口を備えることを必要とする。本方法の実施形態のこの形態は、以下のステップ(e)を含む。
(e)流体供給ラインを介して第2の量の加熱流体を運び、排出出口を介して第2の量の加熱流体を排出し、
その際ステップ(e)はステップ(c)の前に実行される、ステップ。ステップ(e)と同様に、第2の量の加熱流体は最初に流体供給ラインを介して運ばれ、排出出口を介して排出された後、加熱流体がステップ(c)において抽出チャンバに供給され、ステップ(e)において所定の時間の間、加熱流体が流体供給ラインを介して流れ、その後、流体供給ラインは、加熱流体の温度に対応する温度となることができる。ステップ(e)に続いて、ステップ(c)において加熱水が抽出チャンバに運ばれると、上記の状況では、ステップ(c)の間に流体供給ラインを介して運ばれた加熱流体は、抽出チャンバへの途中で流体供給ラインに比較的少量の熱を放出し、したがって比較的少量の熱損失で抽出チャンバに到達する。このようにして、ステップ(c)において流体供給ラインを介して抽出チャンバに運ばれる第1の量の加熱流体が、抽出チャンバへの流体入口で特に高い温度を有することが保証され、それにより抽出チャンバの特に効率的な予熱が可能になる。
【0038】
本方法の実施形態の前述の形態のさらなる発展は、排出出口から排出された残留流体を受け入れるための残留流体容器を備えるコーヒーマシンで有利に実施することができる。この場合、ステップ(e)において、第2の量の加熱流体を残留流体容器に排出することができる。
【0039】
好都合には、本方法は、ステップ(c)によって供給されるときの加熱流体(例えば、水または蒸気)が75~115℃の範囲の温度であるように実施することができる。したがって、ステップ(e)によって運ばれるとき、加熱流体は、75~115℃の範囲内の温度であり得る。
【0040】
より具体的には、本方法は、第1の量の加熱流体が、ステップ(c)の間に抽出チャンバが加熱流体で完全にまたは部分的に満たされるような大きな体積を有するように実施することができる。このようにして、ステップ(a)においてコーヒー粉末と接触し、ステップ(b)において加熱流体と接触する抽出チャンバの必須領域は、ステップ(c)において加熱流体で既に予熱されており、したがってより高い温度にすることができることが保証される
【0041】
本方法の実施形態のさらなる発展は、本方法が以下のステップ(h)を含むことを特徴とする。
(h)ステップ(e)の開始前またはその間に、抽出ピストンは、抽出ピストンが内部空間の端面に対して所定の最小値に等しい距離にあるように配置される。
【0042】
これにより、ステップ(e)の開始前またはその間に、抽出チャンバの容積は、抽出チャンバの容積が可能な限り小さくなるように減少する。所定の最小値は、例えば0に等しくすることができ、この場合、抽出チャンバの容積は0に減少する。これらの状況で、ステップ(e)において、第2の量の加熱流体が流体供給ラインを介して運ばれ、排出出口を介して排出される場合、この第2の量の加熱流体のごく一部のみがステップ(e)において抽出チャンバに流入することができるか(抽出チャンバの容積が0よりも大きくなるように抽出ピストンが配置されている場合)、または第2の量の加熱流体の一部は抽出チャンバに流入できずに、第2の量の加熱流体が流体供給ラインを介して運ばれ、排出出口を介して排出される(抽出チャンバの容積が値0を有するように抽出ピストンが配置されている場合)。このようにして、ステップ(e)において、流体供給ラインは、第2の量の加熱流体によって特に効率的に加熱されることができ、その際加熱流体は、主にまたは排他的に、流体供給ラインを加熱するために利用可能である。
【0043】
本発明のさらなる詳細、特に、本発明による方法の実施形態の例を、添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明による方法の実施形態の一形態のステップを実施するのに適した状態のコーヒーマシンの概略図を示す。
図2】本発明による方法の別のステップを実施するのに適した状態の図1によるコーヒーマシンを示す。
図3】本発明による方法のさらなるステップを実施するのに適した状態の図1によるコーヒーマシンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
特に明記しない限り、図中の同じ要素には同じ参照番号が使用される。
【0046】
図1図3は、コーヒー飲料を製造するための本発明による方法の異なるステップに対応する、様々な動作条件におけるコーヒーマシン10を示す。
【0047】
図から分かるように、コーヒーマシン10は、コーヒー粉末を受け入れるための抽出チャンバ35を有する抽出装置30であって、前記抽出チャンバ35は、少なくとも1つの流体入口36および1つの流体出口45を有する抽出装置30と、流体入口36に接続された流体供給ライン26および流体供給ライン26を介して加熱流体を運ぶための流体コンベヤ15を有する流体システム12とを備える。
【0048】
本実施例では、コーヒーマシン10は、抽出装置30が、長手方向軸LAを有する(円筒形の)内部空間32を有する抽出シリンダ21と、抽出シリンダ31用の内部空間32に配置された抽出ピストン34とを備えるように設計されている。抽出シリンダ31の内部空間32は、その端面において、長手方向軸LAに対して横方向に延在する端面40によって、および長手方向軸LAの周りに延在する側壁41によって、長手方向軸LAに対して径方向に画定されるように構成される。抽出ピストン34は、抽出ピストン34の端面34aが端面40の反対側に配置されるように、長手方向軸LAの方向に延在する。本例では、抽出チャンバ35は、抽出シリンダ31の内部空間32のセクションであり、抽出チャンバ35は、内部空間32(または抽出シリンダ31)の端面40と、抽出ピストン34の端面34aと、内部空間32の側壁41との間に延在する。抽出ピストン34は、長手方向軸LAに垂直な平面に対する抽出ピストン34の断面積が抽出シリンダ31の内部空間32の対応する断面積と本質的に一致するように形成され、その結果、抽出ピストン32は、長手方向軸LAの周りに延在する円周線に沿って内部空間32の側壁41に隣接する。
【0049】
抽出ピストン34は、端面40と抽出ピストン34の端面34aとの間の距離が変化可能であるように、長手方向軸LAに沿って移動することができる。この場合、端面40と抽出ピストン34の端面34aとの間の距離の変化は、抽出チャンバ35の容積の変化に対応する。
【0050】
図1図3のそれぞれにおいて、抽出ピストン34が抽出シリンダ31の内部空間32の内側に配置されるように抽出装置30が示されており、それによると、図1図3によれば、抽出ピストン34を端面40に対して異なる距離に配置することができ、図1および図2において、端面40と抽出ピストン34の端面34aとの間の距離は、それぞれD1およびD2として示されており、D2はD1よりも大きい。しかしながら、抽出ピストン34が抽出装置30の周辺の領域に移動して、抽出ピストン34が内部空間31の完全に外側になるように、抽出ピストン34が内部空間31(または抽出シリンダ31)の端面40から長手方向軸LAに沿って移動することができることを指摘しておくべきである。
【0051】
抽出装置30の場合、コーヒー粉末を抽出チャンバ35に導入できるようにするために、抽出ピストン34は、抽出ピストン34が内部空間31の完全に外側になるまで、内部空間31(または抽出シリンダ31)の端面40から離れるように長手方向軸LAに沿って移動される。この場合(図1図3に示す状況とは対照的に)、抽出ピストン34は内部空間31内に突出しないので、内部空間31は端面40の反対側まで開放され、端面40の反対側の内部空間31のこの側から自由にアクセス可能である。これらの状況では、(図には示されていないが、これに適した装置を用いて)内部空間31に所定量のコーヒー粉末を内部空間31の端面40とは反対側から導入することが可能であり、その結果、このようにして内部空間31に導入されたコーヒー粉末は、内部空間31の端面40(または抽出シリンダ31)上に盛られ、最終的に端面40を覆う層を形成する。次いで、コーヒー粉末が端面40、側壁41および抽出ピストン34の端面34aによって画定された空間に封入され、この空間を完全に満たすように、抽出ピストン34を内部空間31に挿入し戻すために、抽出ピストン34を端面40の方向に長手方向軸LAに沿って移動させることができる。端面40、側壁41、および抽出ピストン34の端面34aによって画定され、コーヒー粉末で満たされたこの空間は、図1図3による抽出チャンバ35の実現である。
【0052】
コーヒー粉末は、従来技術の一部を形成する手段によって抽出チャンバ35に導入することができ、したがってこの時点では詳細には説明しない。抽出チャンバ35内へのコーヒー粉末の導入を容易にするために、例えば、抽出ピストン34が内部空間31の完全に外側になるまで抽出ピストン34が長手方向軸LAの方向に移動されるとすぐに、抽出シリンダ31を抽出ピストン34に対して移動させて、抽出シリンダ31を抽出シリンダ31の内部空間32が特に容易にアクセス可能な別の空間位置にして、内部空間31の端面40とは反対側から内部空間31内にコーヒー粉末を導入することができるように、抽出シリンダ31を移動可能に配置することが可能である。この目的のために、抽出シリンダ31は、抽出ピストン34が内部空間31の完全に外側になるとすぐに、抽出シリンダ31を回転軸の周りで旋回させることができるように配置することができる。この場合、抽出シリンダ31は、回転軸を中心とした旋回運動によって、抽出シリンダ31の内部空間32に上方から垂直に(欧州特許出願公開第0559620号明細書から知られている対応する抽出シリンダに類似の方法で)内部空間32に供給することができるコーヒー粉末を単に上方から直接充填することができる空間位置にすることができる。
【0053】
図1図3に示すように、流体システム12の流体コンベヤ15は、コーヒー飲料の製造に適した流体(例えば、清浄水)を受け入れるためのタンク20、タンク20に収容された流体を運ぶことができる、タンク20の流体出口20aに接続された流体ライン21、流体ライン21を介して運ばれている流体の流れを測定するための流量測定装置22、流体ライン21を介して流体を運ぶための流体ポンプ23、流体ライン21を介して運ばれている流体を所定のまたは所定とすることができる温度、例えば75~115℃の範囲の温度に加熱し、それに応じて加熱装置24の出口24aを介して加熱流体を排出するように構成された加熱装置24(例えば、連続流ヒータとして設計された加熱装置)を備える。
【0054】
図1図3に示すように、流体システム12の流体供給ライン26は、流体供給ライン26の一端が加熱装置24の前述の出口24aに接続され、流体供給ライン26の他端が抽出チャンバ35の流体入口36に接続されるように実装され、その結果、加熱装置24によって加熱された流体は、流体ポンプ23によって加熱装置24から流体供給ライン26および抽出チャンバ35の流体入口36を介して抽出チャンバ35内に運ばれ得る。
【0055】
図1図3に示すように、流体供給ライン26に組み込まれている逆止弁27は、加熱装置24の出口24aから排出され、流体供給ライン26を介して流体コンベヤ15によって運ばれる流体が抽出チャンバ35の流体入口36に到達するように設計されているが、逆方向の流体の流れ(すなわち、抽出チャンバ35の流体入口36から流体供給ライン26を介して加熱装置24の出口24aへの流体の任意の流れ)は、逆止弁27によって遮断される。
【0056】
図1図3に示すように、コーヒーマシン10はまた、抽出チャンバ35および/または流体供給ライン26と流体接続しているか、または流体接続させることができ、かつ流体供給ライン26および/または抽出チャンバ35から残留流体容器70に残留流体を排出するように構成された排出出口65を備える。排出出口65は、抽出チャンバ35の流体出口45から空間的に離れている(分離している)。これに関連して、「残留流体」という用語は、コーヒーマシン10の動作中に流体供給ライン26および/または抽出チャンバ35に到達したが、コーヒー飲料の一部を形成せず、したがって、流体出口45を介して吐出されず、特に抽出チャンバ35内で調製されたコーヒー飲料と共に抽出チャンバ35の外に吐出されない流体を示す。排出出口65を通るそのような残留流体の排出を制御することができるように、コーヒーマシン10は、流体供給ライン26、抽出チャンバ35の流体入口36、および/または排出出口65の間の1つの流体接続またはいくつかの流体接続を必要に応じて生成するように構成された制御可能な方向制御弁28を備える。この例では、方向制御値28は「3/2方弁」の形態であり、すなわち、方向制御弁28の3つの異なるポート間の2つの異なる流体接続を生成することを可能にするために、方向制御弁28を順番に(方向制御弁28のそれぞれの切替位置に応じて)2つの切替位置にすることができ、流体供給ライン26、抽出チャンバ35の流体入口36、および排出出口65はそれぞれ、方向制御弁28の前述のポートのうちの1つに接続される。
【0057】
図1は、方向制御弁28が2つの異なる切替位置のうちの一方にされた状況におけるコーヒーマシン10を示す。方向制御弁28のこの切替位置によって、流体供給ライン26、抽出チャンバ35の流体入口36、および排出出口65は、方向制御弁28を介して互いに流体接続される。この場合、流体ポンプ23によって加熱装置24の出口24aから流体供給ライン26を介して方向制御弁28に運ばれている流体は、方向制御弁28を介して抽出チャンバ35の流体入口36と排出出口65の両方に、または排出出口65を介して残留流体容器70に導かれる。同様に、流体は、抽出チャンバ35から、抽出チャンバ35の流体入口36および方向制御弁28を介して排出出口65に運ぶことができ、その結果、流体は、最終的に排出出口65を介して残留流体容器70に到達することができる。
【0058】
図1とは対照的に、図2および図3は、方向制御弁28が2つの異なる切替位置の他方にされた状況におけるコーヒーマシン10を示す。方向制御弁28の2つの切替位置のうちのこの他方によれば、流体供給ライン26は、抽出チャンバ35の流体入口36と流体接続しているが、排出出口65は、流体供給ライン26または抽出チャンバ35の流体入口36のいずれとも流体接続していない。この場合、流体ポンプ23によって加熱装置24の出口24aから流体供給ライン26を介して方向制御弁28に運ばれている流体は、方向制御弁28を介して抽出チャンバ35の流体入口36に導かれるが、排出出口65には導かれない。
【0059】
図1図3に示すように、この例では、抽出チャンバ35の流体入口36は、抽出チャンバ31(または内部空間32)の端面40の領域に配置され、その結果、流体ポンプ23によって加熱装置24の出口24aから流体供給ライン26および方向制御弁28を介して流体入口36に運ばれている流体は、端面40の領域で抽出チャンバ35に流入することができる。この例では、抽出チャンバ35の流体出口45は、抽出チャンバ35に面する流体出口45の端部において流体出口45が抽出ピストン34の端面34aの領域内で抽出チャンバ35に向かって開いており、抽出チャンバ35から離れる方向を向く流体出口45の端部においてコーヒー吐出ライン55の端部と接続されるように、抽出ピストン34内に構成される。別の端部では、コーヒー吐出ライン55は、少なくとも1つのコーヒー出口開口部62が設けられたコーヒー吐出装置60に接続され、その結果、抽出チャンバ35内で調製されたコーヒー飲料は、抽出チャンバ35の流体出口45およびコーヒー吐出ライン55を介してコーヒー吐出装置60に流れることができ、最終的には、コーヒー出口開口部62を介して、例えば飲料容器に吐出することができる。
【0060】
同じく図1図3に示すように、従来のクレマ弁50は、抽出チャンバ35内の流体の現在の圧力に応じて、抽出チャンバ35から流体出口45を介してコーヒー吐出ライン55への流体の流れを任意選択的に防止または可能にするように構成された流体出口45に組み込まれている。この例では、クレマ弁50は、抽出チャンバ35内の流体の圧力が所定の限界値(例えば、3バール超)よりも大きい場合に、クレマ弁50が、抽出チャンバ35から流体出口45を介してコーヒー吐出ライン55への流体の流れを可能にするように実装される。このようにして、クレマ弁50は、例えばエスプレッソなどのコーヒー飲料を調製することができるように、加圧された流体によって抽出チャンバ35内でコーヒー粉末を抽出することを可能にする。したがって、流体ポンプ23は、4~20バールの範囲の圧力で流体供給ライン26を介して抽出チャンバ35に流体を運ぶように設計されている。
【0061】
図1図3に示すように、コーヒーマシン10は、熱水および/または蒸気ライン75を介して加熱装置24の出口24aに接続された、熱水および/または蒸気を分配するための出口77を備える。熱水および/または蒸気ライン75を介した熱水および/または蒸気の流れを制御することができるようにするために、制御可能な弁76が熱水および/または蒸気ライン75に統合され、制御可能な弁は、場合により開閉されて、出口77への熱水および/または蒸気の流れをそれぞれ許可または防止することができる。
【0062】
コーヒーマシン10はまた、コーヒーマシン10の自動動作を可能にするための制御ユニット80を備える。この目的のために、制御ユニット80は、特に、例えば、抽出シリンダ31(または内部空間32)の端面40に対する抽出ピストン34の位置、および所定量のコーヒー粉末の抽出チャンバ35への導入を制御することができるように、抽出装置30に接続される。制御ユニット80はまた、流量測定装置22、流体ポンプ23、加熱装置24、方向制御弁28および弁76に接続され、流体ポンプ23、加熱装置24、方向制御弁28および弁76を制御することができる。流体ポンプ23、方向制御弁28、および弁76は、タンク20内に提供された流体(例えば、清浄水)を、任意選択的に流体供給ライン26または熱水および/または蒸気ライン75を介して運ぶことができるように、制御ユニット80によって制御することができる。加熱装置24は、流体ポンプ23によって運ばれる流体を所定のまたは所定とすることができる温度に加熱するために、制御ユニット80によって制御することができる。
【0063】
以下、図1図3を参照して、本発明による方法の一実施形態を説明する。
【0064】
一例として、以下では、コーヒー飲料の製造、特にコーヒーマシン10を使用した20~50mlの範囲の容積を有する「少量の」コーヒー飲料(例えばエスプレッソ)の製造について説明する。抽出装置30の抽出チャンバ35内でコーヒー飲料を製造するために、コーヒー粉末は、90~95℃の範囲の温度でなければならない加熱流体(水)で抽出されると仮定する。
【0065】
方法の開始時に、抽出装置30の抽出チャンバ35は空である、すなわちコーヒー飲料の製造に必要なコーヒー粉末で満たされていないとも仮定する。さらに、方法の開始時に、コーヒーマシン10の制御ユニット80が、例えば手動で操作可能な操作要素によって生成され、制御ユニット80に送信され得る制御信号の形態で、コーヒー飲料の製造を開始する「コマンド」をオペレータから受信すると仮定する。また、この「コマンド」を開始する前のより長い待ち時間の間、コーヒーマシン10はコーヒー飲料を製造するために使用されなかったと仮定する。これらの状況下では、流体供給ライン26および抽出装置30は、待機期間中に90~95℃よりもはるかに低い温度まで冷却されたと仮定する。
【0066】
図1は、「コマンド」を開始した直後の方法の第1のステップ中のコーヒーマシン10を示す。制御ユニット80は、抽出シリンダ31(または内部空間32)の端面40に対して、抽出ピストン34の端面34aが、抽出チャンバ35の容積が可能な限り小さくなるように可能な限り小さい距離D1にあるように、抽出装置30を制御する。好ましくは、抽出シリンダ31は、D1=0、したがって抽出チャンバ35の容積が0に等しくなるように構成することができる。制御ユニット80はまた、方向制御弁28が図1に示す切替位置になるように方向制御弁28を制御する。制御ユニット80はまた、タンク20内に提供された流体(例えば、清浄水)が加熱装置24によって75~115℃の範囲の温度に加熱され、流体ポンプ23によって流体供給ライン26を介して方向制御弁28に運ばれるように、流体ポンプ23および加熱装置24を制御する。抽出ピストン34の位置は、D1が可能な限り小さく(好ましくは0に等しい)、流体供給ライン26が排出出口65にも流体接続されるように選択されるので、この場合、加熱装置24によって加熱された流体は、本質的に、流体供給ライン26を介して排出出口65に、排出出口65を介して残留流体容器70に流れる。以前に流体供給ライン26内に存在していた可能性があり、冷却された停滞した比較的冷たい水は、加熱装置24によって加熱された流体によって流体供給ライン26から完全に移動され、排出出口65を介して残留流体容器70に運ばれる。流体供給ライン26を介して運ばれる加熱水の量は、例えば、約20mlとすることができる。加熱流体は、最終的に流体供給ライン26の加温をもたらす。
【0067】
図2は、図1に示す第1のステップの直後の方法の第2のステップ中のコーヒーマシン10を示す。抽出チャンバ35は、(図1による方法の第1のステップのように)コーヒー粉末で満たされていない。制御ユニット80は、抽出シリンダ31(または内部空間32)の端面40に対して、抽出ピストン34の端面34aが、例えば、抽出チャンバ35が約10mlの容積を有するようにD1よりも大きい距離D2にあるように、抽出装置30を制御する。制御ユニット80はまた、方向制御弁28が図2に示す切替位置になるように方向制御弁28を制御する。この場合、流体供給ライン26は、抽出チャンバ35の流体入口36と流体接続しているが、排出出口65は、流体供給ライン26または抽出チャンバ35の流体入口36のいずれとも流体接続していない。制御ユニット80はまた、タンク20内に供給された流体(例えば、清浄水)が加熱装置24によって75~115℃の範囲の温度に加熱され、流体ポンプ23によって流体供給ライン26および方向制御弁28を介して抽出チャンバ35に運ばれるように、流体ポンプ23および加熱装置24を制御する。
【0068】
図2に示す方向制御弁28の切替位置の場合、抽出チャンバ35内に運ばれた加熱流体は、排出出口65を介して残留流体容器70に到達することができず、抽出チャンバ35内に留まる。好ましくは、抽出チャンバ35が加熱流体で完全に満たされるような量の加熱流体が抽出チャンバ35内に運ばれる。方向制御弁28は、加熱流体が所定の時間間隔、例えば0~10秒の範囲の持続時間を有する時間間隔の間、抽出チャンバ35内に留まるように制御される。この時間間隔の間、抽出シリンダ31および抽出ピストン34は、加熱流体と接触する領域、すなわち、抽出シリンダ31の端面40および側壁41の領域、ならびに抽出ピストン34の端面34aの領域で加熱される。抽出チャンバ35内に存在する流体は、この間に冷却されうる。
【0069】
次いで、方向制御弁28は、方向制御弁28が図1に示す切替位置をふさぐように、制御ユニット80によって制御される。方向制御弁28のこの切替位置によって、流体供給ライン26、抽出チャンバ35の流体入口36および排出出口65は、方向制御弁28を介して互いに流体接続される。したがって、流体は、抽出チャンバ35の流体入口36および方向制御弁28を介して抽出チャンバ35から排出出口65に運ぶことができ、その結果、流体は、最終的に排出出口65を介して残留流体容器70に到達することができる。排出出口65を介して抽出チャンバ35から残留流体容器70に流体を運ぶために、制御ユニット80は、抽出ピストン34が長手方向軸LAに沿って抽出シリンダ31(または内部空間32)の端面40の方向に移動し、流体入口36を介して抽出チャンバ35から流体を押し出すように、抽出装置30を制御する。
【0070】
図3は、図2に示す第2のステップの直後の方法の第3のステップ中のコーヒーマシン10を示す。第3のステップの間、所定量のコーヒー粉末38が抽出チャンバ35内に導入され、抽出チャンバは、上記の方法の第2のステップにおいて加熱され、それによってより高い温度にされている。図3では、コーヒーマシン10は、(上記のように)所定量のコーヒー粉末38が抽出チャンバ35に既に導入されている状況で示されている。
【0071】
さらに、制御ユニット80は、方向制御弁28が図3に示す切替位置になるように方向制御弁28を制御する。この場合、流体供給ライン26は、抽出チャンバ35の流体入口36と流体接続しているが、排出出口65は、流体供給ライン26または抽出チャンバ35の流体入口36のいずれとも流体接続していない。制御ユニット80はまた、タンク20内に供給された流体(例えば、清浄水)が90~95℃の範囲の温度に加熱され、流体ポンプ23によって流体供給ライン26および方向制御弁28を介して抽出チャンバ35に運ばれるように、流体ポンプ23および加熱装置24を制御する。加熱流体でコーヒー粉末を抽出することにより、コーヒー飲料が最終的に抽出チャンバ35内で生成され、抽出チャンバ35の流体出口45を介してコーヒー吐出装置65に運ばれ、最終的にコーヒー出口開口部62を介して吐出される。
【0072】
流体供給ライン26および抽出装置30の上述の予熱により、コーヒーマシン10がより長い待機期間中にコーヒー飲料を製造するために以前に使用されていない場合、コーヒー出口開口部62を介して吐出されるコーヒー飲料の温度を大幅に上昇させることが可能である。
【0073】
したがって、コーヒー飲料を製造する前に、コーヒーマシン10がコーヒー飲料を調製するために使用されていない待ち時間が所定の限界(例えば2分)を超える場合にのみ、流体供給ライン26および抽出装置30の上述の予熱を自動的に実施することが好都合である。待機時間の関数としての予熱のこの制御は、比較的低いエネルギー消費量で製造されたコーヒー飲料の温度制御を可能にする。
【0074】
本発明の文脈において、抽出装置30は、その構造に関して、特に、抽出シリンダ31(または内部空間32)の端面40、抽出ピストン34、流体入口36、流体出口45、および排出出口65の配置に関して、図1図3に示す実施形態とは異なるように設計することができることも指摘される。図1図3による抽出装置30の実施形態では、抽出シリンダ31(または内部空間32)の端面40は、抽出チャンバ35および抽出ピストン34の端面34aの下に配置される。あるいは、抽出シリンダ31(または内部空間32)の端面40を、抽出チャンバ35および抽出ピストン34の端面34aの上に配置することも可能である。
【0075】
図1図3による抽出装置30の実施形態では、加熱流体を抽出チャンバ35に入れるための流体入口36、および抽出チャンバ35内で製造されたコーヒー飲料を吐出するための流体出口45は、加熱流体を、抽出チャンバ35の下に配置された流体入口36を介して下方から抽出チャンバ35内に運ぶことができ、かつ抽出チャンバ35内で製造されたコーヒー飲料を、抽出チャンバ35の上に配置された流体出口45を介して抽出チャンバ35から上方に取り出すことができるように配置される。あるいは、加熱流体を抽出チャンバ35に入れるための流体入口36、および抽出チャンバ35内で製造されたコーヒー飲料を吐出するための流体出口45は、加熱流体を、抽出チャンバ35の上に配置された流体入口を介して上方から抽出チャンバ35に導入することができ、かつ抽出チャンバ35内で製造されたコーヒー飲料を、抽出チャンバ35の下に配置された流体出口を介して抽出チャンバ35から下方に取り出すことができるように配置することができる。
【0076】
図1図3による抽出装置30の実施形態の形態では、排出出口65は、残留流体が抽出チャンバ35から流体入口36を介して下方に流れ、最終的に方向制御弁28を介して排出出口65に到達することができるように実装される。あるいは、排出出口は、流体入口36とは別個であり、かつ抽出チャンバ35内に直接開口する(流体入口36から所定の距離にある)ように実施することもできる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒーマシン(10)においてコーヒー飲料を製造するための方法であって、
前記コーヒーマシン(10)は、
コーヒー粉末を受け入れるための抽出チャンバ(35)を有する抽出装置(30)であって、前記抽出チャンバ(35)は少なくとも1つの流体入口(36)と1つの流体出口(45)と、を備える、抽出装置(30)と、
前記流体入口(36)に接続された流体供給ライン(26)と、前記流体供給ライン(26)を介して加熱流体を運ぶための流体コンベヤ(15)と、前記流体出口(45)とは別個の排出出口(65)とを有する流体システム(12)と、を備え、
前記排出出口(65)は、残留流体が前記排出出口(65)を介して前記流体供給ライン(26)および/または前記抽出チャンバ(35)から排出されることを可能にするように、前記抽出チャンバ(35)および/または前記流体供給ライン(26)と流体接続しているか、または流体接続させるように構成され、
前記抽出装置(30)は、
抽出シリンダ(31)であって、長手方向軸(LA)を有し、前記長手方向軸(LA)に対して横方向に延在する端面(40)によって一方の端面が制限され、前記長手方向軸(LA)の周りに延在する側壁(41)によって前記長手方向軸(LA)に対して径方向に制限される内部空間(32)を有する抽出シリンダ(31)と、
抽出ピストン(34)であって、前記抽出ピストン(34)の端面(34a)が前記内部空間(32)の前記端面(40)の反対側に配置されるように前記長手方向軸(LA)の方向に延在する抽出ピストン(34)と、を備え、
前記抽出チャンバ(35)は、前記内部空間(32)の前記端面(40)と、前記抽出ピストン(34)の前記端面(34a)と、前記側壁(41)との間に延在し、前記抽出ピストン(34)は、前記内部空間(32)の前記端面(40)と前記抽出ピストン(34)との間の距離(D1、D2)が変化可能であるように、前記長手方向軸(LA)に沿って移動するように構成され、
該方法が、
(a)所定量のコーヒー粉末(38)を前記抽出チャンバ(35)に導入するステップと、
(b)前記抽出チャンバ(35)内で前記コーヒー粉末を抽出してコーヒー飲料を調製し、前記抽出チャンバ(35)から前記流体出口(45)を介して調製されたコーヒー飲料を吐出するために、前記流体供給ライン(26)を介して前記抽出チャンバ(35)内に加熱流体を運ぶステップと、
(c)第1の量の加熱流体を前記流体供給ライン(26)を介して前記抽出チャンバ(35)内に運ぶステップであって、
その際ステップ(c)がステップ(a)の前に実行される、ステップと、
(d)ステップ(a)の開始前に、ステップ(c)において供給された前記第1の量の加熱流体の少なくとも一部を前記抽出チャンバ(35)から排出するステップであって、
ステップ(d)において、ステップ(c)において供給された前記第1の量の加熱流体の前記少なくとも一部は、前記排出出口(65)を介して排出される、ステップと、を含み、
該方法が、
(f)ステップ(c)の開始前またはその間に、前記抽出ピストン(34)は、前記抽出ピストン(34)が前記内部空間(32)の前記端面(40)に対して第1の所定の距離(D2)にあるように配置されるステップと、
(g)ステップ(d)の間、前記抽出ピストン(34)は、前記抽出ピストン(34)が前記第1の所定の距離(D2)よりも小さい距離(D1)で前記内部空間(32)の前記端面(40)に相対するように、前記長手方向軸(LA)に沿って移動されるステップとを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
ステップ(c)は、ステップ(a)の前記開始前に所定の第1の時間間隔で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(d)は、ステップ(a)の前記開始前に所定の第2の時間間隔で実行される、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(c)による前記第1の量の加熱流体の前記運搬は、第1の終了時間に終了し、前記第2の時間間隔の開始は、所定の第1の時間差で前記第1の終了時間に続く、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の時間差は0~10秒である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(c)による第1の量の加熱流体の前記運搬は第1の終了時間に終了し、ステップ(a)による前記所定の量のコーヒー粉末(38)の前記抽出チャンバ(35)への前記導入は、第3の時間間隔の間にステップ(c)の後に行われ、前記第3の時間間隔の開始は、所定の第2の時間差で前記第1の終了時間に続く、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の時間差は1~20秒である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
(e)前記流体供給ライン(26)を介して第2の量の加熱流体を運び、前記排出出口(65)を介して前記第2の量の加熱流体を排出するステップであって、
ステップ(e)はステップ(c)の前に実施される、ステップを含む、
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記コーヒーマシン(10)は、前記排出出口(65)から排出された残留流体を受け入れるための残留流体容器(70)を備え、
ステップ(e)において、前記第2の量の加熱流体は、前記残留流体容器(70)内に排出される、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記コーヒーマシン(10)は、前記排出出口(65)から排出された残留流体を受け入れるための残留流体容器(70)を備え、
ステップ(d)において、ステップ(c)において供給された前記第1の量の加熱流体の前記少なくとも一部は、前記残留流体容器(70)内に排出される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(c)による運搬中、前記加熱流体は75~115℃の範囲内の温度である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(e)による運搬中、前記加熱流体は75~115℃の範囲内の温度である、請求項8または9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の量の加熱流体は、ステップ(c)の間に前記抽出チャンバ(35)が加熱流体で完全にまたは部分的に満たされるような大きな体積を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
h)ステップ(e)の開始前またはその間に、前記抽出ピストン(34)は、前記抽出ピストン(34)が前記内部空間(32)の前記端面(40)に対して所定の最小値に等しい距離(D1)にあるように配置されるステップを含む、
請求項8または9に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2021-06-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒーマシンにおいてコーヒー飲料を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術によるコーヒーマシンは、一般に、コーヒー粉末を受け入れるための抽出チャンバを有する抽出装置であって、前記抽出チャンバは少なくとも1つの流体入口および1つの流体出口を備える抽出装置と、流体入口に接続された流体供給ラインおよび流体供給ラインを介して加熱流体(例えば、水および/または蒸気)を運ぶための流体コンベヤを有する流体システムと、を備える。
【0003】
コーヒー飲料は、一般に以下のステップ、すなわち、
所定量のコーヒー粉末を抽出チャンバに導入するステップと、
抽出チャンバ内でコーヒー粉末を抽出してコーヒー飲料を調製し、抽出チャンバから流体出口を介して調製されたコーヒー飲料を吐出するために、流体供給ラインを介して抽出チャンバ内に加熱流体を運ぶステップと、を含む方法に基づいて、このタイプのコーヒーマシンを用いて製造することができる。
【0004】
コーヒー飲料を製造するために、前述のタイプの抽出装置には、一般に、熱水または抽出水の形態の流体が供給され、水タンクから来る流体は、最初にポンプまたは同様の装置によって連続流ヒータを介して供給され、そこで加熱される。最初に流体がより大きなタンク内で完全に加熱され、次いで抽出ユニットに供給される抽出装置も知られている。いずれの場合も、加熱プロセス後、加熱水は、その後、流体が流体供給ラインを介して抽出チャンバの流体入口に到達するまで、程度の差はあるが長いパイプラインセクションを通過する。
【0005】
これは、特に、流体を加熱するための加熱装置と抽出チャンバの流体入口との間にあるパイプラインセクションが、前の抽出プロセスの性質、時間および頻度に応じて異なる温度であり得るという問題をもたらす。したがって、抽出チャンバへの入口における流体の実際の温度、および抽出チャンバ内の流体を用いてコーヒー粉末を抽出することによって製造可能なコーヒー飲料の温度を予測することはできない。
【0006】
(熱い)コーヒー飲料の製造に関して、90~95℃の範囲の抽出温度が一般に理想的であると考えられている。
【0007】
第1のコーヒー飲料を製造した後、前述のタイプのコーヒーマシンが長い待ち時間の後に第2のコーヒー飲料を製造するためにのみ使用される場合、待ち時間の間、抽出装置および流体供給ラインは、より低い温度まで冷却されうる。この場合、第2のコーヒー飲料は、状況によっては、特に、第2のコーヒー飲料を生成するために流体供給ラインを介して抽出チャンバに運ばれることになる流体が、予め冷却された流体供給ラインおよび予め冷却された抽出装置に熱を放出することになるので、第1のコーヒー飲料よりも低い温度になる可能性があり、その結果、流体供給ラインを介して流れる際に流体から熱が除去され、それによって流体の温度が低下する。
【0008】
流体のこのような温度の低下は、製造されたコーヒー飲料が少量、例えばリストレットまたはエスプレッソなどの典型的な量のコーヒー飲料に相当する50ml未満である場合に特に顕著である。したがって、前述の種類のコーヒーマシンでは、所定の高温で少量のコーヒー飲料(例えば、リストレットまたはエスプレッソ)を飲料容器に吐出することが問題となる。
【0009】
これは、抽出温度が高すぎると、抽出されるコーヒーからより多くの苦味物質が抽出され、その結果、吐出されたコーヒーは苦味を感じるため、不利である。一方、抽出温度が低すぎると、この場合、所望の芳香がコーヒー粉末から放出されず、製造されたコーヒー飲料の味がなくなる傾向があるため、同様に望ましくない。
【0010】
この問題に対して、抽出水加熱装置と抽出チャンバの流体入口との間の流体ラインの長さを考慮しながら、必要に応じて流体入口で流体の温度を上昇させるための従来技術におけるいくつかの解決策がある。
【0011】
例えば、コーヒーマシンの動作中の流体供給ラインおよび/または抽出装置の冷却による熱損失を補償するために、コーヒー飲料を製造する前に流体の温度を適切に上昇させることが可能である。しかしながら、抽出チャンバ内のコーヒーが過度に加熱され、場合によっては沸騰し、または沸騰状態で流体出口を介して飲料容器に吐出されるのを防ぐために、そのような温度上昇に制限が設定されている。
【0012】
米国特許出願公開第2008/0264264号明細書から、加熱装置によって供給され、ラインを介して抽出チャンバに供給することができる熱水を使用して抽出チャンバ内で適切な製品(例えばコーヒー)を抽出することによって高温飲料を調製するための装置が知られている。この熱水の供給に関して、水の温度は加熱装置から抽出チャンバへの途中で低下する可能性があり、この温度低下はランダムに変化し得るパラメータに依存するという問題がある。この問題を解決するために、加熱装置と抽出チャンバとの間のライン内の水温の低下を動的に補償する補償装置が実装される。ライン内の水の温度低下を補償するために、加熱装置内の水の温度は、抽出チャンバ内の水の温度が所定の範囲内になるように制御装置によって制御される。水温のそのような制御の実施は、一般に複雑であり、それに応じて費用がかかる。
【0013】
ドイツ特許出願公開第69911675号明細書から、抽出装置、この場合はエスプレッソを調製するためのコーヒーマシンの抽出装置を、動作位置から休止位置へと旋回させることができるシステムが知られている。休止位置に旋回した後、抽出装置の熱伝導領域は、抽出装置を加熱することができる加熱要素と接触している。後続の抽出手順の間、このように(休止位置で)加熱された抽出装置は、その動作位置に旋回して戻され、したがって、抽出装置に供給される抽出水の低すぎる可能性のある温度を補償することができる。この場合、加熱された抽出水は、抽出装置の抽出チャンバ内に圧力下で供給され、その結果、抽出チャンバ内では、エスプレッソの形態の抽出されたコーヒーを製造することができ、その際抽出されたコーヒーは、チューブを介して抽出チャンバから流出し、コーヒーマシンから吐出されることができる。加熱要素を設けることは、空間要件の増加をもたらし、複雑でもあり、したがって費用がかかる。
【0014】
米国特許出願公開第2013/0337132号明細書は、抽出チャンバ内に導入される飲料固形物(例えばコーヒー粉末)上に熱水の一部を吐出することによって抽出チャンバ内で高温飲料を製造するための飲料調製機を開示している。この飲料調製機は、加熱された液体水または蒸気の形態の加熱流体を生成するための加熱装置と、加熱流体を加熱装置から流体供給ラインを介して抽出チャンバ内の飲料固体に供給(または運搬)するための流体運搬装置とを備える。第1の動作段階における飲料調製機の動作中、飲料調製機は、加熱水で飲料固体を抽出することによって飲料の製造を可能にするために、液体状態の加熱水を抽出チャンバに導入された飲料固体に流体供給ラインを介して運ぶように設計され、第2の動作段階(米国特許出願公開第2013/0337132号明細書において「蒸気フラッシング」と呼ばれる)では、蒸気を抽出チャンバに導入された飲料固体に流体供給ラインを介して運ぶように設計される。抽出チャンバ内に導入された飲料固体への蒸気の供給は、蒸気の供給を介して抽出チャンバ内の加熱水によって生成される水圧の低減をもたらすために、第1の動作段階において、抽出チャンバ内に加熱水を供給した後に行うことができる。あるいは、抽出チャンバに導入された飲料固体への蒸気の供給は、供給蒸気を介して蒸気が流れる飲料調製機の領域の乾燥または予熱を可能にするために、第1の動作段階において、抽出チャンバに熱水を供給する前に実行することもできる。
【発明の概要】
【0015】
本発明の根底にある問題は、述べてきた欠点を回避し、コーヒーマシンにおいてコーヒー飲料を製造するための方法を作り出すことであり、この方法は、簡単な手段によって、熱いコーヒー飲料を製造し、製造されるコーヒー飲料の温度を制御することを可能にする。
【0016】
この問題は、請求項1の特徴を有する方法によって解決される。
【0017】
コーヒー飲料を製造するためのこの方法は、コーヒーマシンによって実装することができ、コーヒーマシンは、コーヒー粉末を受け入れるための抽出チャンバを有する抽出装置であって、前記抽出チャンバは少なくとも1つの流体入口および1つの流体出口を有する、抽出装置と、流体入口に接続された流体供給ライン、加熱流体を流体供給ラインを介して運ぶための流体コンベヤ、流体出口とは別個の排出出口を有する流体システムと、を備え、前記排出出口は、抽出チャンバおよび/または流体供給ラインと流体接続しているか、または流体接続させることができ、その結果、流体供給ラインおよび/または抽出チャンバからの残留流体を排出出口を介して排出することができる。ここで、抽出装置は、抽出シリンダであって、長手方向軸を有し、長手方向軸に対して横方向に延在する端面によって一方の端面が制限され、長手方向軸の周りに延在する側壁によって長手方向軸に対して径方向に制限される内部空間を有する抽出シリンダと、抽出ピストンであって、抽出ピストンの端面が内部空間の端面の反対側に配置されるように長手方向軸の方向に延在する抽出ピストンと、を備え、抽出チャンバは、内部空間の端面と、抽出ピストンの端面と、側壁との間に延在し、抽出ピストンは、内部空間の端面と抽出ピストンとの間の距離が変化可能であるように、長手方向軸に沿って移動することができる。
【0018】
本方法は、以下のステップ(a)~(d)を含む。
(a)所定量のコーヒー粉末を抽出チャンバに導入するステップ、
(b)抽出チャンバ内でコーヒー粉末を抽出してコーヒー飲料を調製し、抽出チャンバから流体出口を介して調製されたコーヒー飲料を吐出するために、流体供給ラインを介して抽出チャンバ内に加熱流体を運ぶステップ、
(c)第1の量の加熱流体を流体供給ラインを介して抽出チャンバ内に供給するステップであって、その際ステップ(c)がステップ(a)の前に実行される、ステップ、
(d)ステップ(a)の開始前に、ステップ(c)において供給された第1の量の加熱流体の少なくとも一部を抽出チャンバから排出するステップであって、
ステップ(d)において、ステップ(c)において供給された第1の量の加熱水の少なくとも一部は、排出出口を介して排出される、ステップ。
【0019】
本発明によれば、本方法は、以下のステップ(f)および(g)を含む。
(f)ステップ(c)の開始前またはその間に、抽出ピストンは、抽出ピストンが内部空間の端面に対して第1の所定の距離にあるように配置されるステップ、
(g)ステップ(d)の間、抽出ピストンは、抽出ピストンが第1の所定の距離よりも小さい距離で内部空間の端面に対して相対するように、長手方向軸に沿って移動されるステップ。
【0020】
したがって、熱いコーヒー飲料の調製の前に(すなわち、コーヒー飲料を調製する目的でコーヒー粉末が抽出チャンバに導入され、コーヒー粉末を抽出するための加熱流体が流体供給ラインを介して抽出チャンバに運ばれる前に)、ステップ(c)において、第1の量の加熱流体(例えば、水または蒸気)が最初に流体供給ラインを介して抽出チャンバに運ばれる。流体供給ラインおよび/または抽出装置が加熱流体の温度よりも低い温度にある場合、ステップ(c)の間に、特にステップ(c)の間に加熱流体と直接接触する流体供給ラインおよび/または抽出装置の領域において、流体供給ラインおよび/または抽出装置が加熱され、流体供給ラインの温度および/または抽出装置の温度が上昇するように、熱が流体供給ラインおよび/または抽出装置に伝達される。このようにして、コーヒー飲料を調製する目的でコーヒー粉末が抽出チャンバに導入され、コーヒー粉末を抽出するための加熱水が流体供給ラインを介して抽出チャンバに運ばれる前に、流体供給ラインおよび/または抽出装置を予熱することが可能である。
【0021】
このようにして、ステップ(c)の間に、特に、加熱流体でコーヒー粉末を抽出する目的でステップ(b)の間に接触する領域において、流体供給ラインならびに抽出装置および/または抽出チャンバを予熱することが可能である。したがって、この予熱は、ステップ(b)の間に抽出チャンバに運ばれる加熱流体の温度を制御する観点から効率的である。
【0022】
例えば、ステップ(a)および(b)によってコーヒー飲料を製造する前の長い待機期間中に、コーヒーマシンが抽出チャンバ内でコーヒー飲料を製造するために使用されておらず、流体供給ラインおよび/または抽出装置がこの待機期間中に冷却されている場合、加熱流体をステップ(c)中に供給することにより、特に、ステップ(a)および(b)によってコーヒー飲料を製造する前にコーヒーマシンの動作中に起こり得る熱損失を補償することが可能である。
【0023】
流体供給ラインおよび/または抽出装置の前述の予熱により、ステップ(a)および(b)で製造されたコーヒー飲料は、ステップ(c)が省略された場合に達成された温度と比較してより高い温度を有することが可能である。より具体的には、ステップ(c)の間に加熱流体を供給することによって、流体供給ラインおよび/または抽出装置を所定の温度に加熱することが可能である。このようにして、製造されたコーヒー飲料の温度が所定の範囲内にあるように、製造されたコーヒー飲料の温度を制御することが可能である。
【0024】
この方法は、上記のタイプの従来のコーヒーマシンで一般的に利用可能な技術的手段を用いて実施することが簡単であり、少なくとも加熱流体を抽出チャンバに供給することができるという利点を有する。本方法を実施するためには、時間の関数として流体供給ラインを介した抽出チャンバへの加熱流体の運搬を適切に制御するだけでよい。
【0025】
ステップ(c)において供給された第1の量の加熱流体の少なくとも一部は、ステップ(d)において抽出チャンバから排出されるので、コーヒー粉末を抽出チャンバに導入する前に、抽出チャンバは、最初に、ステップ(c)において供給された第1の量の加熱流体で洗浄することができる。例えば、そうすることで、抽出チャンバは、より早い時点で調製されたコーヒー飲料の残留物、抽出チャンバの壁に付着した残留物として抽出チャンバ内に残っている可能性があるそのうちのわずかな残留物を取り除くことができる。
【0026】
ステップ(c)において供給された第1の量の加熱流体の少なくとも一部が抽出チャンバから排出されるので、これはまた、ステップ(c)において抽出チャンバに運ばれる第1の量の加熱流体の体積が比較的大きくなり得る(例えば、抽出チャンバが加熱流体で部分的にまたは完全に満たされるほど大きい)ことを意味する。ステップ(d)と同様に、ステップ(c)において供給された第1の量の流体の少なくとも一部は抽出チャンバから排出され、ステップ(a)の間、抽出チャンバの十分に広い領域が乾燥コーヒー粉末を受け入れるために利用可能であることが保証される。抽出チャンバ内のコーヒー粉末が、ステップ(a)中ではなくステップ(b)中に、加熱流体で本質的に抽出されることも達成することができる。
【0027】
流体供給ラインおよび/または抽出チャンバからの残留流体を排出出口を介して排出することができるように、排出出口は流体出口とは別個であり、抽出チャンバおよび/または流体供給ラインと流体接続させることができる、または流体接続しているので、ステップ(d)において、ステップ(c)において供給された加熱流体は、流体出口を介して抽出チャンバから出る必要はない。流体出口は、ユーザがコーヒーマシンにコーヒー飲料を調製させ、それを流体出口を介して飲料容器に吐出する前に、ステップ(b)において抽出チャンバ内で調製されたコーヒー飲料が、抽出チャンバから流体出口を介して、例えばコーヒーマシンのユーザが一般に流体出口の下に置く飲料容器内に出ることができるように設計されている。ステップ(d)と同様に、ステップ(c)において供給された加熱流体は、流体出口ではなく排出出口を介して排出され、コーヒーマシンのユーザが流体出口の下に飲料容器を置いたかどうかにかかわらず、ステップ(c)および(d)をいつでも実行できることが有利に達成される。このようにして、予熱の目的でステップ(c)において抽出チャンバ内に運ばれる加熱流体が、ステップ(d)の間に流体出口を介して抽出チャンバから出ることが可能になり、(コーヒーマシンが流体出口を介してコーヒー飲料を吐出すると期待して)ユーザによって流体出口の下に置かれた可能性がある飲料容器内に望ましくない方法で行き着くことが防止される。
【0028】
この場合、抽出シリンダの内部空間の端面に対する抽出ピストンの端面の位置は、抽出チャンバの容積を決定する。内部空間の端面と抽出ピストンとの間の距離が変化可能であるように、抽出ピストンを長手方向軸に沿って移動させることができるので、抽出チャンバの容積を変更できることが保証される。例えば、ステップ(a)の間に、所定量のコーヒー粉末を抽出シリンダの内部空間に導入することができ、次いで、コーヒー粉末が抽出チャンバを完全に満たすように、コーヒー粉末が抽出チャンバ内に(すなわち、内部空間の端面と、内部空間の側壁と、抽出ピストンの端面との間に)配置されるように、抽出ピストンを内部空間の端面に対して抽出シリンダの内部空間に配置することができる。コーヒー粉末を抽出シリンダの内部空間に導入した後、抽出ピストンを内部空間の端面の近くに移動させて、抽出チャンバ内の内部空間の端面と抽出ピストンの端面との間でコーヒー粉末を圧縮して、抽出チャンバ内のコーヒー粉末が高密度で可能な限りコンパクトな塊を形成するようにすることができる。
【0029】
ステップ(f)によって、すなわち、ステップ(c)の開始前またはその間に、抽出ピストンが内部空間の端面に対して第1の所定の距離にあるように抽出ピストンが配置されるという事実により、抽出チャンバの容積は、抽出チャンバがステップ(c)において供給される第1の量の加熱流体で完全にまたは少なくとも部分的に満たされ得るようなものである。抽出チャンバが加熱流体で完全に満たされている場合、ステップ(c)において、抽出ピストンが加熱流体と接触することが保証され、その結果、このようにして抽出ピストンが効率的に予熱される。
【0030】
ステップ(g)によって、すなわち、ステップ(d)の間に、抽出ピストンが内部空間の端面に対して第1の所定の距離よりも小さい距離にあるように抽出ピストンが長手方向軸に沿って移動されるという事実により、抽出ピストンは内部空間の端面の方向に移動され、それにより抽出チャンバの容積が減少する。ステップ(g)における、内部空間の端面の方向への抽出ピストンの移動により、ステップ(c)において抽出チャンバ内に運ばれた第1の量の加熱流体は、抽出チャンバから完全にまたは部分的に排出される。ステップ(g)の間に抽出チャンバから排出された流体は、例えば、排出出口を介して残留流体容器に排出される。
【0031】
流体供給ラインおよび抽出装置または抽出チャンバの上述の予熱を最適化するために、ステップ(c)は、様々な方法で、または様々な手段と組み合わせて実行することができる。
【0032】
本方法の一実施形態では、ステップ(c)は、ステップ(a)の開始前に所定の第1の時間間隔で実行される。流体供給ラインを介して第1の量の加熱流体を抽出チャンバに供給することは、コーヒー飲料の製造と時間的に相関して行われ、すなわち、第1の量の加熱流体の供給は、コーヒー粉末を抽出チャンバに導入する前に所定の時間間隔で開始する。これは、ステップ(a)および(b)におけるコーヒー飲料の調製中に流体供給ラインおよび/または抽出チャンバまたは抽出装置が有するそれぞれの温度を、例えば、第1の時間間隔の持続時間、ステップ(c)中の加熱流体の温度、および第1の量の加熱流体の量の適切な指定によって容易に制御することができるという利点を有する。
【0033】
コーヒーマシンはまた、排出出口から排出された残留流体を受け入れるための残留流体容器を備えることができる。この場合、本方法は、ステップ(c)において供給された第1の量の加熱流体の少なくとも一部が残留流体容器内に排出されるように、ステップ(d)において有利に実施することができる。
【0034】
方法の実施形態の前述の形態の他のさらなる発展は、ステップ(d)がステップ(a)の開始前に所定の第2の時間間隔で実行されるというように考えられる。これは、ステップ(c)において供給された第1の量の加熱流体の少なくとも一部の抽出チャンバからの排出が、ステップ(a)の開始と時間的に相関して行われることを意味する。この手段の目的は、ステップ(a)および(b)中のコーヒー飲料の調製中に抽出装置または抽出チャンバのそれぞれの温度を非常に正確に制御することである。
【0035】
ここで、例えば、ステップ(c)による第1の量の加熱流体の供給は、第1の終了時間に終了することができ、第2の時間間隔の開始は、所定の第1の時間差で第1の終了時間に続くことができる。この第の時間差は、ステップ(c)において供給された第1の量の加熱流体が、ステップ(c)において供給された第1の量の加熱流体の少なくとも一部がステップ(d)によって抽出チャンバから排出される前に、抽出チャンバ内に留まる時間を規定する。したがって、第の時間差は、ステップ(c)において抽出チャンバに運ばれる加熱流体によって抽出装置が予熱される時間に影響を及ぼす。したがって、第の時間差を指定することは、ステップ(a)および(b)によるコーヒー飲料の調製中の抽出装置または抽出チャンバの温度に影響を及ぼす。これにより、第の時間差を適切に指定することにより、ステップ(a)および(b)によるコーヒー飲料の調製中に抽出装置または抽出チャンバの温度を制御することが可能になる。
【0036】
コーヒーマシンのユーザフレンドリな動作を可能にするために、例えば、第1の時間差が0~10秒の範囲になるように時間差を選択することが好都合である。
【0037】
本方法の実施形態の別の形態は、コーヒーマシンが、抽出チャンバおよび/または流体供給ラインと流体接続しているか、または流体接続させることができ、かつ流体供給ラインおよび/または抽出チャンバから残留流体を排出するように構成された排出出口を備えることを必要とする。本方法の実施形態のこの形態は、以下のステップ(e)を含む。
(e)流体供給ラインを介して第2の量の加熱流体を運び、排出出口を介して第2の量の加熱流体を排出し、
その際ステップ(e)はステップ(c)の前に実行される、ステップ。ステップ(e)と同様に、第2の量の加熱流体は最初に流体供給ラインを介して運ばれ、排出出口を介して排出された後、加熱流体がステップ(c)において抽出チャンバに供給され、ステップ(e)において所定の時間の間、加熱流体が流体供給ラインを介して流れ、その後、流体供給ラインは、加熱流体の温度に対応する温度となることができる。ステップ(e)に続いて、ステップ(c)において加熱水が抽出チャンバに運ばれると、上記の状況では、ステップ(c)の間に流体供給ラインを介して運ばれた加熱流体は、抽出チャンバへの途中で流体供給ラインに比較的少量の熱を放出し、したがって比較的少量の熱損失で抽出チャンバに到達する。このようにして、ステップ(c)において流体供給ラインを介して抽出チャンバに運ばれる第1の量の加熱流体が、抽出チャンバへの流体入口で特に高い温度を有することが保証され、それにより抽出チャンバの特に効率的な予熱が可能になる。
【0038】
本方法の実施形態の前述の形態のさらなる発展は、排出出口から排出された残留流体を受け入れるための残留流体容器を備えるコーヒーマシンで有利に実施することができる。この場合、ステップ(e)において、第2の量の加熱流体を残留流体容器に排出することができる。
【0039】
好都合には、本方法は、ステップ(c)によって供給されるときの加熱流体(例えば、水または蒸気)が75~115℃の範囲の温度であるように実施することができる。したがって、ステップ(e)によって運ばれるとき、加熱流体は、75~115℃の範囲内の温度であり得る。
【0040】
より具体的には、本方法は、第1の量の加熱流体が、ステップ(c)の間に抽出チャンバが加熱流体で完全にまたは部分的に満たされるような大きな体積を有するように実施することができる。このようにして、ステップ(a)においてコーヒー粉末と接触し、ステップ(b)において加熱流体と接触する抽出チャンバの必須領域は、ステップ(c)において加熱流体で既に予熱されており、したがってより高い温度にすることができることが保証される。
【0041】
本方法の実施形態のさらなる発展は、本方法が以下のステップ(h)を含むことを特徴とする。
(h)ステップ(e)の開始前またはその間に、抽出ピストンは、抽出ピストンが内部空間の端面に対して所定の最小値に等しい距離にあるように配置される。
【0042】
これにより、ステップ(e)の開始前またはその間に、抽出チャンバの容積は、抽出チャンバの容積が可能な限り小さくなるように減少する。所定の最小値は、例えば0に等しくすることができ、この場合、抽出チャンバの容積は0に減少する。これらの状況で、ステップ(e)において、第2の量の加熱流体が流体供給ラインを介して運ばれ、排出出口を介して排出される場合、この第2の量の加熱流体のごく一部のみがステップ(e)において抽出チャンバに流入することができるか(抽出チャンバの容積が0よりも大きくなるように抽出ピストンが配置されている場合)、または第2の量の加熱流体の一部は抽出チャンバに流入できずに、第2の量の加熱流体が流体供給ラインを介して運ばれ、排出出口を介して排出される(抽出チャンバの容積が値0を有するように抽出ピストンが配置されている場合)。このようにして、ステップ(e)において、流体供給ラインは、第2の量の加熱流体によって特に効率的に加熱されることができ、その際加熱流体は、主にまたは排他的に、流体供給ラインを加熱するために利用可能である。
【0043】
本発明のさらなる詳細、特に、本発明による方法の実施形態の例を、添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明による方法の実施形態の一形態のステップを実施するのに適した状態のコーヒーマシンの概略図を示す。
図2】本発明による方法の別のステップを実施するのに適した状態の図1によるコーヒーマシンを示す。
図3】本発明による方法のさらなるステップを実施するのに適した状態の図1によるコーヒーマシンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
特に明記しない限り、図中の同じ要素には同じ参照番号が使用される。
【0046】
図1図3は、コーヒー飲料を製造するための本発明による方法の異なるステップに対応する、様々な動作条件におけるコーヒーマシン10を示す。
【0047】
図から分かるように、コーヒーマシン10は、コーヒー粉末を受け入れるための抽出チャンバ35を有する抽出装置30であって、前記抽出チャンバ35は、少なくとも1つの流体入口36および1つの流体出口45を有する抽出装置30と、流体入口36に接続された流体供給ライン26および流体供給ライン26を介して加熱流体を運ぶための流体コンベヤ15を有する流体システム12とを備える。
【0048】
本実施例では、コーヒーマシン10は、抽出装置30が、長手方向軸LAを有する(円筒形の)内部空間32を有する抽出シリンダ31と、抽出シリンダ31用の内部空間32に配置された抽出ピストン34とを備えるように設計されている。抽出シリンダ31の内部空間32は、その端面において、長手方向軸LAに対して横方向に延在する端面40によって、および長手方向軸LAの周りに延在する側壁41によって、長手方向軸LAに対して径方向に画定されるように構成される。抽出ピストン34は、抽出ピストン34の端面34aが端面40の反対側に配置されるように、長手方向軸LAの方向に延在する。本例では、抽出チャンバ35は、抽出シリンダ31の内部空間32のセクションであり、抽出チャンバ35は、内部空間32(または抽出シリンダ31)の端面40と、抽出ピストン34の端面34aと、内部空間32の側壁41との間に延在する。抽出ピストン34は、長手方向軸LAに垂直な平面に対する抽出ピストン34の断面積が抽出シリンダ31の内部空間32の対応する断面積と本質的に一致するように形成され、その結果、抽出ピストン34は、長手方向軸LAの周りに延在する円周線に沿って内部空間32の側壁41に隣接する。
【0049】
抽出ピストン34は、端面40と抽出ピストン34の端面34aとの間の距離が変化可能であるように、長手方向軸LAに沿って移動することができる。この場合、端面40と抽出ピストン34の端面34aとの間の距離の変化は、抽出チャンバ35の容積の変化に対応する。
【0050】
図1図3のそれぞれにおいて、抽出ピストン34が抽出シリンダ31の内部空間32の内側に配置されるように抽出装置30が示されており、それによると、図1図3によれば、抽出ピストン34を端面40に対して異なる距離に配置することができ、図1および図2において、端面40と抽出ピストン34の端面34aとの間の距離は、それぞれD1およびD2として示されており、D2はD1よりも大きい。しかしながら、抽出ピストン34が抽出装置30の周辺の領域に移動して、抽出ピストン34が内部空間32の完全に外側になるように、抽出ピストン34が内部空間32(または抽出シリンダ31)の端面40から長手方向軸LAに沿って移動することができることを指摘しておくべきである。
【0051】
抽出装置30の場合、コーヒー粉末を抽出チャンバ35に導入できるようにするために、抽出ピストン34は、抽出ピストン34が内部空間32の完全に外側になるまで、内部空間32(または抽出シリンダ31)の端面40から離れるように長手方向軸LAに沿って移動される。この場合(図1図3に示す状況とは対照的に)、抽出ピストン34は内部空間32内に突出しないので、内部空間32は端面40の反対側まで開放され、端面40の反対側の内部空間32のこの側から自由にアクセス可能である。これらの状況では、(図には示されていないが、これに適した装置を用いて)内部空間32に所定量のコーヒー粉末を内部空間32の端面40とは反対側から導入することが可能であり、その結果、このようにして内部空間32に導入されたコーヒー粉末は、内部空間32の端面40(または抽出シリンダ31)上に盛られ、最終的に端面40を覆う層を形成する。次いで、コーヒー粉末が端面40、側壁41および抽出ピストン34の端面34aによって画定された空間に封入され、この空間を完全に満たすように、抽出ピストン34を内部空間32に挿入し戻すために、抽出ピストン34を端面40の方向に長手方向軸LAに沿って移動させることができる。端面40、側壁41、および抽出ピストン34の端面34aによって画定され、コーヒー粉末で満たされたこの空間は、図1図3による抽出チャンバ35の実現である。
【0052】
コーヒー粉末は、従来技術の一部を形成する手段によって抽出チャンバ35に導入することができ、したがってこの時点では詳細には説明しない。抽出チャンバ35内へのコーヒー粉末の導入を容易にするために、例えば、抽出ピストン34が内部空間32の完全に外側になるまで抽出ピストン34が長手方向軸LAの方向に移動されるとすぐに、抽出シリンダ31を抽出ピストン34に対して移動させて、抽出シリンダ31を抽出シリンダ31の内部空間32が特に容易にアクセス可能な別の空間位置にして、内部空間32の端面40とは反対側から内部空間32内にコーヒー粉末を導入することができるように、抽出シリンダ31を移動可能に配置することが可能である。この目的のために、抽出シリンダ31は、抽出ピストン34が内部空間32の完全に外側になるとすぐに、抽出シリンダ31を回転軸の周りで旋回させることができるように配置することができる。この場合、抽出シリンダ31は、回転軸を中心とした旋回運動によって、抽出シリンダ31の内部空間32に上方から垂直に(欧州特許出願公開第0559620号明細書から知られている対応する抽出シリンダに類似の方法で)内部空間32に供給することができるコーヒー粉末を単に上方から直接充填することができる空間位置にすることができる。
【0053】
図1図3に示すように、流体システム12の流体コンベヤ15は、コーヒー飲料の製造に適した流体(例えば、清浄水)を受け入れるためのタンク20、タンク20に収容された流体を運ぶことができる、タンク20の流体出口20aに接続された流体ライン21、流体ライン21を介して運ばれている流体の流れを測定するための流量測定装置22、流体ライン21を介して流体を運ぶための流体ポンプ23、流体ライン21を介して運ばれている流体を所定のまたは所定とすることができる温度、例えば75~115℃の範囲の温度に加熱し、それに応じて加熱装置24の出口24aを介して加熱流体を排出するように構成された加熱装置24(例えば、連続流ヒータとして設計された加熱装置)を備える。
【0054】
図1図3に示すように、流体システム12の流体供給ライン26は、流体供給ライン26の一端が加熱装置24の前述の出口24aに接続され、流体供給ライン26の他端が抽出チャンバ35の流体入口36に接続されるように実装され、その結果、加熱装置24によって加熱された流体は、流体ポンプ23によって加熱装置24から流体供給ライン26および抽出チャンバ35の流体入口36を介して抽出チャンバ35内に運ばれ得る。
【0055】
図1図3に示すように、流体供給ライン26に組み込まれている逆止弁27は、加熱装置24の出口24aから排出され、流体供給ライン26を介して流体コンベヤ15によって運ばれる流体が抽出チャンバ35の流体入口36に到達するように設計されているが、逆方向の流体の流れ(すなわち、抽出チャンバ35の流体入口36から流体供給ライン26を介して加熱装置24の出口24aへの流体の任意の流れ)は、逆止弁27によって遮断される。
【0056】
図1図3に示すように、コーヒーマシン10はまた、抽出チャンバ35および/または流体供給ライン26と流体接続しているか、または流体接続させることができ、かつ流体供給ライン26および/または抽出チャンバ35から残留流体容器70に残留流体を排出するように構成された排出出口65を備える。排出出口65は、抽出チャンバ35の流体出口45から空間的に離れている(分離している)。これに関連して、「残留流体」という用語は、コーヒーマシン10の動作中に流体供給ライン26および/または抽出チャンバ35に到達したが、コーヒー飲料の一部を形成せず、したがって、流体出口45を介して吐出されず、特に抽出チャンバ35内で調製されたコーヒー飲料と共に抽出チャンバ35の外に吐出されない流体を示す。排出出口65を通るそのような残留流体の排出を制御することができるように、コーヒーマシン10は、流体供給ライン26、抽出チャンバ35の流体入口36、および/または排出出口65の間の1つの流体接続またはいくつかの流体接続を必要に応じて生成するように構成された制御可能な方向制御弁28を備える。この例では、方向制御28は「3/2方弁」の形態であり、すなわち、方向制御弁28の3つの異なるポート間の2つの異なる流体接続を生成することを可能にするために、方向制御弁28を順番に(方向制御弁28のそれぞれの切替位置に応じて)2つの切替位置にすることができ、流体供給ライン26、抽出チャンバ35の流体入口36、および排出出口65はそれぞれ、方向制御弁28の前述のポートのうちの1つに接続される。
【0057】
図1は、方向制御弁28が2つの異なる切替位置のうちの一方にされた状況におけるコーヒーマシン10を示す。方向制御弁28のこの切替位置によって、流体供給ライン26、抽出チャンバ35の流体入口36、および排出出口65は、方向制御弁28を介して互いに流体接続される。この場合、流体ポンプ23によって加熱装置24の出口24aから流体供給ライン26を介して方向制御弁28に運ばれている流体は、方向制御弁28を介して抽出チャンバ35の流体入口36と排出出口65の両方に、または排出出口65を介して残留流体容器70に導かれる。同様に、流体は、抽出チャンバ35から、抽出チャンバ35の流体入口36および方向制御弁28を介して排出出口65に運ぶことができ、その結果、流体は、最終的に排出出口65を介して残留流体容器70に到達することができる。
【0058】
図1とは対照的に、図2および図3は、方向制御弁28が2つの異なる切替位置の他方にされた状況におけるコーヒーマシン10を示す。方向制御弁28の2つの切替位置のうちのこの他方によれば、流体供給ライン26は、抽出チャンバ35の流体入口36と流体接続しているが、排出出口65は、流体供給ライン26または抽出チャンバ35の流体入口36のいずれとも流体接続していない。この場合、流体ポンプ23によって加熱装置24の出口24aから流体供給ライン26を介して方向制御弁28に運ばれている流体は、方向制御弁28を介して抽出チャンバ35の流体入口36に導かれるが、排出出口65には導かれない。
【0059】
図1図3に示すように、この例では、抽出チャンバ35の流体入口36は、抽出シリンダ31(または内部空間32)の端面40の領域に配置され、その結果、流体ポンプ23によって加熱装置24の出口24aから流体供給ライン26および方向制御弁28を介して流体入口36に運ばれている流体は、端面40の領域で抽出チャンバ35に流入することができる。この例では、抽出チャンバ35の流体出口45は、抽出チャンバ35に面する流体出口45の端部において流体出口45が抽出ピストン34の端面34aの領域内で抽出チャンバ35に向かって開いており、抽出チャンバ35から離れる方向を向く流体出口45の端部においてコーヒー吐出ライン55の端部と接続されるように、抽出ピストン34内に構成される。別の端部では、コーヒー吐出ライン55は、少なくとも1つのコーヒー出口開口部62が設けられたコーヒー吐出装置60に接続され、その結果、抽出チャンバ35内で調製されたコーヒー飲料は、抽出チャンバ35の流体出口45およびコーヒー吐出ライン55を介してコーヒー吐出装置60に流れることができ、最終的には、コーヒー出口開口部62を介して、例えば飲料容器に吐出することができる。
【0060】
同じく図1図3に示すように、従来のクレマ弁50は、抽出チャンバ35内の流体の現在の圧力に応じて、抽出チャンバ35から流体出口45を介してコーヒー吐出ライン55への流体の流れを任意選択的に防止または可能にするように構成された流体出口45に組み込まれている。この例では、クレマ弁50は、抽出チャンバ35内の流体の圧力が所定の限界値(例えば、3バール超)よりも大きい場合に、クレマ弁50が、抽出チャンバ35から流体出口45を介してコーヒー吐出ライン55への流体の流れを可能にするように実装される。このようにして、クレマ弁50は、例えばエスプレッソなどのコーヒー飲料を調製することができるように、加圧された流体によって抽出チャンバ35内でコーヒー粉末を抽出することを可能にする。したがって、流体ポンプ23は、4~20バールの範囲の圧力で流体供給ライン26を介して抽出チャンバ35に流体を運ぶように設計されている。
【0061】
図1図3に示すように、コーヒーマシン10は、熱水および/または蒸気ライン75を介して加熱装置24の出口24aに接続された、熱水および/または蒸気を分配するための出口77を備える。熱水および/または蒸気ライン75を介した熱水および/または蒸気の流れを制御することができるようにするために、制御可能な弁76が熱水および/または蒸気ライン75に統合され、制御可能な弁は、場合により開閉されて、出口77への熱水および/または蒸気の流れをそれぞれ許可または防止することができる。
【0062】
コーヒーマシン10はまた、コーヒーマシン10の自動動作を可能にするための制御ユニット80を備える。この目的のために、制御ユニット80は、特に、例えば、抽出シリンダ31(または内部空間32)の端面40に対する抽出ピストン34の位置、および所定量のコーヒー粉末の抽出チャンバ35への導入を制御することができるように、抽出装置30に接続される。制御ユニット80はまた、流量測定装置22、流体ポンプ23、加熱装置24、方向制御弁28および弁76に接続され、流体ポンプ23、加熱装置24、方向制御弁28および弁76を制御することができる。流体ポンプ23、方向制御弁28、および弁76は、タンク20内に提供された流体(例えば、清浄水)を、任意選択的に流体供給ライン26または熱水および/または蒸気ライン75を介して運ぶことができるように、制御ユニット80によって制御することができる。加熱装置24は、流体ポンプ23によって運ばれる流体を所定のまたは所定とすることができる温度に加熱するために、制御ユニット80によって制御することができる。
【0063】
以下、図1図3を参照して、本発明による方法の一実施形態を説明する。
【0064】
一例として、以下では、コーヒー飲料の製造、特にコーヒーマシン10を使用した20~50mlの範囲の容積を有する「少量の」コーヒー飲料(例えばエスプレッソ)の製造について説明する。抽出装置30の抽出チャンバ35内でコーヒー飲料を製造するために、コーヒー粉末は、90~95℃の範囲の温度でなければならない加熱流体(水)で抽出されると仮定する。
【0065】
方法の開始時に、抽出装置30の抽出チャンバ35は空である、すなわちコーヒー飲料の製造に必要なコーヒー粉末で満たされていないとも仮定する。さらに、方法の開始時に、コーヒーマシン10の制御ユニット80が、例えば手動で操作可能な操作要素によって生成され、制御ユニット80に送信され得る制御信号の形態で、コーヒー飲料の製造を開始する「コマンド」をオペレータから受信すると仮定する。また、この「コマンド」を開始する前のより長い待ち時間の間、コーヒーマシン10はコーヒー飲料を製造するために使用されなかったと仮定する。これらの状況下では、流体供給ライン26および抽出装置30は、待機期間中に90~95℃よりもはるかに低い温度まで冷却されたと仮定する。
【0066】
図1は、「コマンド」を開始した直後の方法の第1のステップ中のコーヒーマシン10を示す。制御ユニット80は、抽出シリンダ31(または内部空間32)の端面40に対して、抽出ピストン34の端面34aが、抽出チャンバ35の容積が可能な限り小さくなるように可能な限り小さい距離D1にあるように、抽出装置30を制御する。好ましくは、抽出シリンダ31は、D1=0、したがって抽出チャンバ35の容積が0に等しくなるように構成することができる。制御ユニット80はまた、方向制御弁28が図1に示す切替位置になるように方向制御弁28を制御する。制御ユニット80はまた、タンク20内に提供された流体(例えば、清浄水)が加熱装置24によって75~115℃の範囲の温度に加熱され、流体ポンプ23によって流体供給ライン26を介して方向制御弁28に運ばれるように、流体ポンプ23および加熱装置24を制御する。抽出ピストン34の位置は、D1が可能な限り小さく(好ましくは0に等しい)、流体供給ライン26が排出出口65にも流体接続されるように選択されるので、この場合、加熱装置24によって加熱された流体は、本質的に、流体供給ライン26を介して排出出口65に、排出出口65を介して残留流体容器70に流れる。以前に流体供給ライン26内に存在していた可能性があり、冷却された停滞した比較的冷たい水は、加熱装置24によって加熱された流体によって流体供給ライン26から完全に移動され、排出出口65を介して残留流体容器70に運ばれる。流体供給ライン26を介して運ばれる加熱水の量は、例えば、約20mlとすることができる。加熱流体は、最終的に流体供給ライン26の加温をもたらす。
【0067】
図2は、図1に示す第1のステップの直後の方法の第2のステップ中のコーヒーマシン10を示す。抽出チャンバ35は、(図1による方法の第1のステップのように)コーヒー粉末で満たされていない。制御ユニット80は、抽出シリンダ31(または内部空間32)の端面40に対して、抽出ピストン34の端面34aが、例えば、抽出チャンバ35が約10mlの容積を有するようにD1よりも大きい距離D2にあるように、抽出装置30を制御する。制御ユニット80はまた、方向制御弁28が図2に示す切替位置になるように方向制御弁28を制御する。この場合、流体供給ライン26は、抽出チャンバ35の流体入口36と流体接続しているが、排出出口65は、流体供給ライン26または抽出チャンバ35の流体入口36のいずれとも流体接続していない。制御ユニット80はまた、タンク20内に供給された流体(例えば、清浄水)が加熱装置24によって75~115℃の範囲の温度に加熱され、流体ポンプ23によって流体供給ライン26および方向制御弁28を介して抽出チャンバ35に運ばれるように、流体ポンプ23および加熱装置24を制御する。
【0068】
図2に示す方向制御弁28の切替位置の場合、抽出チャンバ35内に運ばれた加熱流体は、排出出口65を介して残留流体容器70に到達することができず、抽出チャンバ35内に留まる。好ましくは、抽出チャンバ35が加熱流体で完全に満たされるような量の加熱流体が抽出チャンバ35内に運ばれる。方向制御弁28は、加熱流体が所定の時間間隔、例えば0~10秒の範囲の持続時間を有する時間間隔の間、抽出チャンバ35内に留まるように制御される。この時間間隔の間、抽出シリンダ31および抽出ピストン34は、加熱流体と接触する領域、すなわち、抽出シリンダ31の端面40および側壁41の領域、ならびに抽出ピストン34の端面34aの領域で加熱される。抽出チャンバ35内に存在する流体は、この間に冷却されうる。
【0069】
次いで、方向制御弁28は、方向制御弁28が図1に示す切替位置をふさぐように、制御ユニット80によって制御される。方向制御弁28のこの切替位置によって、流体供給ライン26、抽出チャンバ35の流体入口36および排出出口65は、方向制御弁28を介して互いに流体接続される。したがって、流体は、抽出チャンバ35の流体入口36および方向制御弁28を介して抽出チャンバ35から排出出口65に運ぶことができ、その結果、流体は、最終的に排出出口65を介して残留流体容器70に到達することができる。排出出口65を介して抽出チャンバ35から残留流体容器70に流体を運ぶために、制御ユニット80は、抽出ピストン34が長手方向軸LAに沿って抽出シリンダ31(または内部空間32)の端面40の方向に移動し、流体入口36を介して抽出チャンバ35から流体を押し出すように、抽出装置30を制御する。
【0070】
図3は、図2に示す第2のステップの直後の方法の第3のステップ中のコーヒーマシン10を示す。第3のステップの間、所定量のコーヒー粉末38が抽出チャンバ35内に導入され、抽出チャンバは、上記の方法の第2のステップにおいて加熱され、それによってより高い温度にされている。図3では、コーヒーマシン10は、(上記のように)所定量のコーヒー粉末38が抽出チャンバ35に既に導入されている状況で示されている。
【0071】
さらに、制御ユニット80は、方向制御弁28が図3に示す切替位置になるように方向制御弁28を制御する。この場合、流体供給ライン26は、抽出チャンバ35の流体入口36と流体接続しているが、排出出口65は、流体供給ライン26または抽出チャンバ35の流体入口36のいずれとも流体接続していない。制御ユニット80はまた、タンク20内に供給された流体(例えば、清浄水)が90~95℃の範囲の温度に加熱され、流体ポンプ23によって流体供給ライン26および方向制御弁28を介して抽出チャンバ35に運ばれるように、流体ポンプ23および加熱装置24を制御する。加熱流体でコーヒー粉末を抽出することにより、コーヒー飲料が最終的に抽出チャンバ35内で生成され、抽出チャンバ35の流体出口45を介してコーヒー吐出装置60に運ばれ、最終的にコーヒー出口開口部62を介して吐出される。
【0072】
流体供給ライン26および抽出装置30の上述の予熱により、コーヒーマシン10がより長い待機期間中にコーヒー飲料を製造するために以前に使用されていない場合、コーヒー出口開口部62を介して吐出されるコーヒー飲料の温度を大幅に上昇させることが可能である。
【0073】
したがって、コーヒー飲料を製造する前に、コーヒーマシン10がコーヒー飲料を調製するために使用されていない待ち時間が所定の限界(例えば2分)を超える場合にのみ、流体供給ライン26および抽出装置30の上述の予熱を自動的に実施することが好都合である。待機時間の関数としての予熱のこの制御は、比較的低いエネルギー消費量で製造されたコーヒー飲料の温度制御を可能にする。
【0074】
本発明の文脈において、抽出装置30は、その構造に関して、特に、抽出シリンダ31(または内部空間32)の端面40、抽出ピストン34、流体入口36、流体出口45、および排出出口65の配置に関して、図1図3に示す実施形態とは異なるように設計することができることも指摘される。図1図3による抽出装置30の実施形態では、抽出シリンダ31(または内部空間32)の端面40は、抽出チャンバ35および抽出ピストン34の端面34aの下に配置される。あるいは、抽出シリンダ31(または内部空間32)の端面40を、抽出チャンバ35および抽出ピストン34の端面34aの上に配置することも可能である。
【0075】
図1図3による抽出装置30の実施形態では、加熱流体を抽出チャンバ35に入れるための流体入口36、および抽出チャンバ35内で製造されたコーヒー飲料を吐出するための流体出口45は、加熱流体を、抽出チャンバ35の下に配置された流体入口36を介して下方から抽出チャンバ35内に運ぶことができ、かつ抽出チャンバ35内で製造されたコーヒー飲料を、抽出チャンバ35の上に配置された流体出口45を介して抽出チャンバ35から上方に取り出すことができるように配置される。あるいは、加熱流体を抽出チャンバ35に入れるための流体入口36、および抽出チャンバ35内で製造されたコーヒー飲料を吐出するための流体出口45は、加熱流体を、抽出チャンバ35の上に配置された流体入口を介して上方から抽出チャンバ35に導入することができ、かつ抽出チャンバ35内で製造されたコーヒー飲料を、抽出チャンバ35の下に配置された流体出口を介して抽出チャンバ35から下方に取り出すことができるように配置することができる。
【0076】
図1図3による抽出装置30の実施形態の形態では、排出出口65は、残留流体が抽出チャンバ35から流体入口36を介して下方に流れ、最終的に方向制御弁28を介して排出出口65に到達することができるように実装される。あるいは、排出出口は、流体入口36とは別個であり、かつ抽出チャンバ35内に直接開口する(流体入口36から所定の距離にある)ように実施することもできる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒーマシン(10)においてコーヒー飲料を製造するための方法であって、
前記コーヒーマシン(10)は、
コーヒー粉末を受け入れるための抽出チャンバ(35)を有する抽出装置(30)であって、前記抽出チャンバ(35)は少なくとも1つの流体入口(36)と1つの流体出口(45)と、を備える、抽出装置(30)と、
前記流体入口(36)に接続された流体供給ライン(26)と、前記流体供給ライン(26)を介して加熱流体を運ぶための流体コンベヤ(15)と、前記流体出口(45)とは別個の排出出口(65)とを有する流体システム(12)と、を備え、
前記排出出口(65)は、残留流体が前記排出出口(65)を介して前記流体供給ライン(26)および/または前記抽出チャンバ(35)から排出されることを可能にするように、前記抽出チャンバ(35)および/または前記流体供給ライン(26)と流体接続しているか、または流体接続させるように構成され、
前記抽出装置(30)は、
抽出シリンダ(31)であって、長手方向軸(LA)を有し、前記長手方向軸(LA)に対して横方向に延在する端面(40)によって一方の端面が制限され、前記長手方向軸(LA)の周りに延在する側壁(41)によって前記長手方向軸(LA)に対して径方向に制限される内部空間(32)を有する抽出シリンダ(31)と、
抽出ピストン(34)であって、前記抽出ピストン(34)の端面(34a)が前記内部空間(32)の前記端面(40)の反対側に配置されるように前記長手方向軸(LA)の方向に延在する抽出ピストン(34)と、を備え、
前記抽出チャンバ(35)は、前記内部空間(32)の前記端面(40)と、前記抽出ピストン(34)の前記端面(34a)と、前記側壁(41)との間に延在し、前記抽出ピストン(34)は、前記内部空間(32)の前記端面(40)と前記抽出ピストン(34)との間の距離(D1、D2)が変化可能であるように、前記長手方向軸(LA)に沿って移動するように構成され、
該方法が、
(a)所定量のコーヒー粉末(38)を前記抽出チャンバ(35)に導入するステップと、
(b)前記抽出チャンバ(35)内で前記コーヒー粉末を抽出してコーヒー飲料を調製し、前記抽出チャンバ(35)から前記流体出口(45)を介して調製されたコーヒー飲料を吐出するために、前記流体供給ライン(26)を介して前記抽出チャンバ(35)内に加熱流体を運ぶステップと、
(c)第1の量の加熱流体を前記流体供給ライン(26)を介して前記抽出チャンバ(35)内に運ぶステップであって、
その際ステップ(c)がステップ(a)の前に実行される、ステップと、
(d)ステップ(a)の開始前に、ステップ(c)において供給された前記第1の量の加熱流体の少なくとも一部を前記抽出チャンバ(35)から排出するステップであって、
ステップ(d)において、ステップ(c)において供給された前記第1の量の加熱流体の前記少なくとも一部は、前記排出出口(65)を介して排出される、ステップと、を含み、
該方法が、
(f)ステップ(c)の開始前またはその間に、前記抽出ピストン(34)は、前記抽出ピストン(34)が前記内部空間(32)の前記端面(40)に対して第1の所定の距離(D2)にあるように配置されるステップと、
(g)ステップ(d)の間、前記抽出ピストン(34)は、前記抽出ピストン(34)が前記第1の所定の距離(D2)よりも小さい距離(D1)で前記内部空間(32)の前記端面(40)に相対するように、前記長手方向軸(LA)に沿って移動されるステップとを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
ステップ(c)は、ステップ(a)の前記開始前に所定の第1の時間間隔で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(d)は、ステップ(a)の前記開始前に所定の第2の時間間隔で実行される、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(c)による前記第1の量の加熱流体の前記運搬は、第1の終了時間に終了し、前記第2の時間間隔の開始は、所定の第1の時間差で前記第1の終了時間に続く、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の時間差は0~10秒である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(c)による第1の量の加熱流体の前記運搬は第1の終了時間に終了し、ステップ(a)による前記所定の量のコーヒー粉末(38)の前記抽出チャンバ(35)への前記導入は、第3の時間間隔の間にステップ(c)の後に行われ、前記第3の時間間隔の開始は、所定の第2の時間差で前記第1の終了時間に続く、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の時間差は1~20秒である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
(e)前記流体供給ライン(26)を介して第2の量の加熱流体を運び、前記排出出口(65)を介して前記第2の量の加熱流体を排出するステップであって、
ステップ(e)はステップ(c)の前に実施される、ステップを含む、
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記コーヒーマシン(10)は、前記排出出口(65)から排出された残留流体を受け入れるための残留流体容器(70)を備え、
ステップ(e)において、前記第2の量の加熱流体は、前記残留流体容器(70)内に排出される、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記コーヒーマシン(10)は、前記排出出口(65)から排出された残留流体を受け入れるための残留流体容器(70)を備え、
ステップ(d)において、ステップ(c)において供給された前記第1の量の加熱流体の前記少なくとも一部は、前記残留流体容器(70)内に排出される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(c)による運搬中、前記加熱流体は75~115℃の範囲内の温度である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(e)による運搬中、前記加熱流体は75~115℃の範囲内の温度である、請求項8または9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の量の加熱流体は、ステップ(c)の間に前記抽出チャンバ(35)が加熱流体で完全にまたは部分的に満たされるような大きな体積を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
(h)ステップ(e)の開始前またはその間に、前記抽出ピストン(34)は、前記抽出ピストン(34)が前記内部空間(32)の前記端面(40)に対して所定の最小値に等しい距離(D1)にあるように配置されるステップを含む、
請求項8または9に記載の方法。
【国際調査報告】