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特表2022-506053滅菌状態で医薬品容器に固形物を充填して密封する手順
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】滅菌状態で医薬品容器に固形物を充填して密封する手順
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/00 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
A61J1/00 370Z
A61J1/00 400
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021523206
(86)(22)【出願日】2019-10-30
(85)【翻訳文提出日】2021-05-14
(86)【国際出願番号】 ES2019070740
(87)【国際公開番号】W WO2020089503
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】P201831060
(32)【優先日】2018-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519346804
【氏名又は名称】ラボラトリオス ファーマシューティコス ロヴィ エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】グティエロ アドゥリズ,イボン
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア アモ,マリア
(72)【発明者】
【氏名】セバデラ ミランダ,エレナ
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA01
4C047AA05
4C047AA21
4C047AA27
4C047BB11
4C047BB12
4C047BB13
4C047BB17
4C047CC13
4C047DD31
4C047DD40
4C047GG11
4C047GG24
(57)【要約】
滅菌状態で医薬品容器に固形物を充填して密封する手順であって、シリンジ、バイアル、カプセル、アンプル、単回投与装置またはカートリッジに、粉末顆粒、ペレット、ナノ粒子またはマイクロ粒子からなる群から選択された固体物質を充填し、上記容器の気密性を得ることができる。具体的には、この手順により、医薬品容器の側面への前述の物質の付着が回避され、したがって容器の気密性および容器に分注された固形物の重量の正確さを確保する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)壁および底部を有する医薬品容器(1)を提供するステップと、
b)分注針(4)を用いて固形物を医薬品容器(1)に分注し、容器(1)に分注された固形物の重量を重量分析で確認するステップと、
c)医薬品容器をストッパー(6)で密封するステップとを含み、
ステップa)、b)およびc)の少なくとも1つ、またはそれらの任意の組み合わせにおいて、容器(1)の内壁、容器内に分注された固形物、および/または容器壁または容器内に分注された固形物と接触している任意の部分での静電荷を、イオン化電位が印加されたイオナイザー(2)を用いて中和して、各イオン化後の容器(1)内の静電荷が2000ボルト未満になるようにすることを特徴とする、滅菌状態で医薬品容器(1)に固形物を充填して密封する手順。
【請求項2】
ステップb)とステップc)の間に、追加の静電荷のイオン化を医薬品容器(1)の内部で実行することを特徴とする、請求項1に記載の手順。
【請求項3】
ステップa)において、医薬品容器(1)が空の状態でイオン化を実行することを特徴とする、請求項1または2に記載の手順。
【請求項4】
イオナイザー(2)が、任意の組み合わせで、医薬品容器(1)の外部または内部に配置されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の手順。
【請求項5】
ステップc)において、密封前および/または密封中にイオン化を実行することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の手順。
【請求項6】
静電荷が1000ボルト未満であることを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載の手順。
【請求項7】
静電荷が500ボルト未満であることを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載の手順。
【請求項8】
静電荷が200ボルト未満であることを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載の手順。
【請求項9】
ステップb)を分注針(4)の振動下で実行して固形物の均質な投与に支援することを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載の手順。
【請求項10】
ステップb)が複数回繰り返されることを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載の手順。
【請求項11】
ステップb)において、分注針(4)の分注端の先端が、容器(1)の底部に堆積した固形物の表面から1~3mmの高さhにあることを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載の手順。
【請求項12】
ステップb)において、容器(1)は充填段階全体にわたって固定位置にあり、分注針(4)が充填段階が進むにつれて上方に移動して分注針の分注端と容器(1)の底に堆積した固形物の表面との間の距離hを維持する可動要素であることを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載の手順。
【請求項13】
ステップb)において、分注針(4)は、充填段階全体にわたって固定位置にあり、容器(1)は、充填ステップが進むにつれて下方に移動して分注針の分注端と容器(1)の底部に堆積した固形物の表面との間の距離hを維持する可動要素であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の手順。
【請求項14】
ステップb)において、分注針(4)と容器(1)との両方は、充填段階で互いに同期して移動して分注針(4)の分注端と容器(1)の底部に堆積した固形物の表面との間の距離hを維持する可動要素であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の手順。
【請求項15】
ステップb)において、容器がシリンジまたはカートリッジである場合、容器の襟部に対して遠位部から容器(1)を充填することを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載の手順。
【請求項16】
ステップb)において、容器がシリンジまたはカートリッジである場合、容器のノズルに対して遠位部から容器(1)を充填することを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の手順。
【請求項17】
ステップc)を真空下で実行することを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載の手順。
【請求項18】
ステップa)、b)およびc)の少なくとも1つ、またはそれらの任意の組み合わせにおいて、Nまたは滅菌圧縮空気などの滅菌キャリアガス流を医薬品容器(1)の内部に適用することを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載の手順。
【請求項19】
イオナイザー(2)が、リング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、ガン、ニードルまたはフィルターイオナイザー、および上部にイオナイザーを備えるアイソレーターからなる群から選択されることを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載の手順。
【請求項20】
分注針(d)がホッパー(c)に含まれる固形物を分注し、ホッパー(c)と分注針(d)との両方が非導電性材料製であることを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載の手順。
【請求項21】
医薬品容器(1)を、接地された導電性材料のシリンダーに挿入して、医薬品容器の静電荷を放散することに支援することを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載の手順。
【請求項22】
医薬品容器(1)を非導電性材料のシリンダーに挿入して、医薬品容器の静電荷を放散することに支援することを特徴とする、請求項1~20のいずれか一項に記載の手順。
【請求項23】
医薬品容器(1)が非導電性材料製であることを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載の手順。
【請求項24】
医薬品容器(1)が、オスシリンジ、メスシリンジ、ニードルシリンジ、バイアル、カプセル、アンプル、単回投与装置、カートリッジ、吸入器、ボトル、ブリスターパック、サシェ、バッグ、試験管およびエッペンドルフ(登録商標)チューブからなる群から選択されることを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載の手順。
【請求項25】
医薬品容器(1)が、ガラス、薬剤送達に適するスチールもしくはチタンなどの金属、またはプラスチックタイプの材料で製造されることを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載の手順。
【請求項26】
プラスチックタイプの材料が、ポリオレフィン、シクロポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリエーテルエーテルエーテルケトン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリ(エチレンテレフタレート)などのポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(メタクリル酸メチル)などのアクリルポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリアセタールおよびポリハロエチレンなどの熱可塑性樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂および尿素樹脂などのホルムアルデヒド樹脂、フェノプラスト、アミノプラスト、チオプラスト、不飽和ポリエステルおよびポリウレタンなどのデュロプラスチック樹脂、ポリビニレンシリコーン、セルロース誘導体、ポリカーボネートおよびそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項25に記載の手順。
【請求項27】
医薬品容器(1)の直径が9~80mmであることを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載の手順。
【請求項28】
分注針(4)は、充填中に粉末が分注針の分注先端または端部のレベルを超えて分散するのを防ぐための封じ込め要素を備えることを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載の手順。
【請求項29】
容器(1)に分注される固形物製品は、
全粒子量の10%以下20ミクロン以下、
全粒子量の10%以下230ミクロン以上、または140ミクロン以下、
60~180ミクロンの範囲にあるd0.5値という粒度分布を有し、
ここで、d0.5とは、母集団を正確に2等分する粒度の平均値を示し、分布の50%がこの値を上回り、50%が下回ることを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載の手順。
【請求項30】
容器(1)に分注される固形物製品は、
全粒子量の10%以下20ミクロン以下、
全粒子量の10%以下325ミクロン以上、または245ミクロン以下、
100~155ミクロンの範囲にあるd0.5値という粒度分布を有することを特徴とする、請求項1~28のいずれか一項に記載の手順。
【請求項31】
容器(1)に分注される固形物製品が、リスペリドン、パリペリドン、フェンタニル、オランザピン、レトロゾール、アリピプラゾール、アナストロゾール、アセナピン、ブレキシプラゾール、カリプラジン、クロザピン、イロペリドン、ルラシドン、クエチアピン、ジプラシドン、それらの任意の誘導体、代謝物または塩類からなる群から単独または組み合わせて選択されることを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載の手順。
【請求項32】
容器(1)に分注される固形物製品が、任意の誘導体またはコポリマーを含むポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)およびそれらのコポリマーであるポリ乳酸-コ-グリコール酸(PLGA)のタイプの生体適合性ポリマーからなる群から単独または組み合わせて選択されることを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載の手順。
【請求項33】
一方向性の気流がある領域で無菌環境下で実行されることを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載の手順。
【請求項34】
アイソレーターで実行されることを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載の手順。
【請求項35】
ステップb)の前に、噴霧または気化された過酸化水素または過酸化水素と過酢酸との混合物を用いてアイソレーターの滅菌を行うことを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載の手順。
【請求項36】
コンピュータ実行可能なソフトウェアで実行されることを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載の手順。
【請求項37】
前記請求項1~36のいずれか一項に記載の方法を用いて、固形物製品が容器(1)に分注されることを特徴とする、固形物製品を入れる容器(1)。
【請求項38】
固形物製品は、
全粒子量の10%以下20ミクロン以下、
全粒子量の10%以下230ミクロン以上、または140ミクロン以下、
60~160ミクロンの範囲にあるd0.5値という粒度分布を有し、
ここで、d0.5とは、母集団を正確に2等分する粒度の平均値を示し、分布の50%がこの値を上回り、50%が下回ることを特徴とする、請求項37に記載の固形物製品を入れる容器(1)。
【請求項39】
固形物製品は、
全粒子量の10%以下20ミクロン以下、
全粒子量の10%以下325ミクロン以上、または245ミクロン以下、
100~155ミクロンの範囲にあるd0.5値という粒度分布を有することを特徴とする、請求項37に記載の固形物製品を入れる容器(1)。
【請求項40】
固形物製品が医薬品であることを特徴とする、請求項37~39のいずれか一項に記載の固形物製品を入れる容器(1)。
【請求項41】
医薬品が、リスペリドン、パリペリドン、フェンタニル、オランザピン、レトロゾール、アリピプラゾール、アナストロゾール、アセナピン、ブレキシプラゾール、カリプラジン、クロザピン、イロペリドン、ルラシドン、クエチアピン、ジプラシドン、それらの任意の誘導体、代謝物または塩類からなる群から単独または組み合わせて選択されることを特徴とする、請求項40に記載の固形物製品を入れる容器(1)。
【請求項42】
固形物製品が生体適合性ポリマーであることを特徴とする、請求項37~39のいずれか一項に記載の固形物製品を入れる容器(1)。
【請求項43】
生体適合性ポリマーが、任意の誘導体またはコポリマーを含むポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、およびそれらのコポリマーであるポリ乳酸-コ-グリコール酸(PLGA)のタイプの生体適合性ポリマーからなる群から単独または組み合わせて選択されることを特徴とする、請求項42に記載の固形物製品を入れる容器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末、顆粒、ペレット、ナノ粒子、または微粒子からなる群から選択される固体物質で充填されたシリンジ、バイアル、カプセル、アンプル、単回投与装置またはカートリッジを含む医薬品容器の滅菌状態での充填および密封の分野に該当する。より具体的には、本発明の分野は、医薬品容器の側面への前記物質の付着を回避して容器密封の気密性を確保する、無菌環境下で分注および調製された1つ以上の滅菌固形医薬品または滅菌賦形剤で充填された医薬品容器の充填および密封の手順に関する。
【背景技術】
【0002】
製薬業界では、粉末、顆粒、ペレット、ナノ粒子、微粒子などの固形物に比べて、取り扱いが容易で投薬の問題が少ないことから、液状の医薬品物質および/または凍結乾燥した固形物を医薬品容器に充填することが多い。上記のような固形物の容器への充填プロセスでの使用は、固形物が容器の壁または本体に付着しやすく、容器密封に必要な気密性が得られない、または少なくとも妨げるという大きな欠点がある。壁または本体への付着は、所望の気密性を妨げるだけでなく、容器の汚染および投与量の損失にもつながり、固形物の一部が容器壁の密封領域に残ると、患者に送達される固形物の正確な量を知ることができないため、そのような壁への付着が観察される容器は、廃棄しなければならない。他方では、汚染に関して、分注された固形物が密封領域の壁に付着したままので、容器を密封するためのストッパーが密閉されないため、その物理化学的特性や微生物学的特性が変化して医薬品の品質に影響を与える可能性があるように、環境から容器内への物質の侵入を防ぐことができず、製品の完全性が確保されない。これは、業界の規制によって課せられる厳しい条件のため、製薬業界で遭遇する可能性のある最大の欠点であり、また、適正製造基準(GMPs:Good Manufacturing Practices)として知られる基準にも準拠する必要がある。
【0003】
製薬業界では、閉鎖の完全性を確保することにも懸念があり、これは、薬のわずかな損失がそれを扱う医療従事者の安全に影響を与える可能性があるため、安全性にも影響を与える。ここで完全性という用語は、製品の滅菌性と最終的な滅菌医薬品、生物学的およびワクチン製品の品質をそれらの有効期間にわたって維持するための容器閉鎖システムの物理的能力を指す。滅菌製品とは、微生物を含まない製品でとしても定義され、その組成物は、無菌状態にさらされた要素の1つ以上であり、かつ最終的に滅菌の完成医薬品を構成する。これらの要素には、完成医薬品の容器、クロージャー、および成分が含まれる。
【0004】
医薬品容器に粉末を投与する場合、清浄度の欠如が汚染を引き起こすため、容器の内壁の清浄度に影響を与えるいくつかの要因を考慮する必要がある。これらの要因は以下のとおりである。
【0005】
充填に使用される医薬品容器の壁の静電荷、およびそれらに分注される固形物の静電荷:壁と固形物の負荷が反対の電荷を持っている場合、分注された固形物は容器の壁に付着する。
【0006】
固形物が容器内に落下する際に、分注された固形物とそれに接触する要素の両方が取得する運動エネルギー:分注される固形物が容器の底部に自由に落下する高さが高ければ高いほど、固形物および要素が摩擦によって取得した運動エネルギーが大きくなる。
【0007】
投与に使用されるディスペンサー針(ノズルとも呼ばれる)の長さであり、ディスペンサーが長ければ長いほどおよび容器内の分注された固形物の上部に近ければ近いほど、運動エネルギーが少なくなる。また、ディスペンサーは、分注された固形物を、使用される容器の壁面から離れた領域に輸送する。分注された固形物とディスペンサーの先端との理想的な距離は、分注速度と分注された固形物の密度に依存する。
【0008】
容器内での空気の再指向。この現象は、分注された固形物が容器内に放出される際の運動エネルギーに関連する。分注中、固形物が容器に突入すると、容器内の空気が上方へと置換される。この置換された空気は、浮遊粒子で満たされる。したがって、ディスペンサーは、気流を内壁から遠ざけ、この汚染から保護する「煙突」と考えられる。
【0009】
無菌充填および密封プロセスで最終製品を汚染する可能性のある異物粒子を確実に除去するための、国際薬局方で要求されているように充填キャビンまたは充填サイトでの大きな気流(一方向または乱流状態)の使用。これらの気流を使用すると、充填に使用される容器の壁に固形物が付着する原因となる外乱が発生するため、固形物の充填が非常に困難になる。
【0010】
容器の壁への固形物の付着をなくすために、容器とそれに充填される固形物の両方をイオン化するプロセスを実行するという方法がある。本発明では、「プロセス」、「段階」および「フェーズ」という用語は、「イオン化」および「脱イオン化」または「イオナイザー」および「脱イオン装置」という用語と同様に、互換的に使用される。
【0011】
イオン化は、イオンが生成される化学的または物理的現象である。イオンとは、中性の原子や分子に比べて電子が過剰または不足であるために帯電している原子または分子である。中性の原子や分子よりも電子の多い化学種を陰イオンと呼び、正味の負電荷を持ち、電子の少ない化学種を陽イオンと呼び、正味の正電荷を持つ。
【0012】
本発明で採用されたイオン化プロセスは、医薬固形物を充填する医薬品容器の静電荷を中和するためにも、分注される固形物の静電荷を中和するためにも、すなわち、容器と内容物との両方に使用される。このイオン化はさらに、容器および/または粉末と接触する投与装置およびキャッピング装置の要素を中和するために使用される。この目的を実現するために、イオナイザーは、両極性のイオンを発生させ、それを反対の符号のイオンが再結合され、かつ同じ符号のイオンが拒絶される中和される対象物の表面に投影する。本明細書を通して、「イオナイザー」とは、周囲の空気分子をイオン化して、それらの電荷を中和する静電荷を帯びた表面に投影することで表面をイオン化することができる任意の要素または装置を意味する。
【0013】
しかしながら、このイオン化プロセスだけで、容器に固形物を充填するプロセスで容器の側面に付着するという深刻な問題を回避することはできず、その理由として、固形物がノズルから充填されると、固形物が持つ運動エネルギーによって容器内に乱流が発生し、最終的に固形物の一部が容器の壁または本体に付着することを再び引き起こす。
【0014】
先行技術として、以下に引用される文献には、様々な状況に適用される電荷の中和をもたらすイオン化技術が記載されている:
【0015】
これに関して、VANRX Pharmasystems INC.が出願した特許US2016/0200461A1には、制御された環境において、バイアル、ボトル、シリンジおよびアンプルなどの容器に液体の医薬品(その後、凍結乾燥することができる)を体積充填して無菌密封する方法が記載されている。この刊行物は、ガラスまたは高分子材料であるかどうかにかかわらず、容器の製造材料に関する懸念に言及している。一方では、ガラス容器は、それらの間の衝突による破損、引っかき傷、および粒子の放出という問題を抱えている。他方では、高分子材料製の容器は、衝突によって医薬品の品質を損なう可能性のある引っかき傷などの外観上の欠陥があるが、ガラス製の容器に比べて耐性が高い。
【0016】
引用文献に対する本発明の実質的な相違点は、扱われた化合物が固体物質であり、高電荷を帯びていて比表面積が大きいため、投与することがより困難であることである。さらに、上述の文献では、第1の部分的な密封の後に凍結乾燥が必要であるため、密封プロセスは、部分的な段階と第2の完全な段階という2つの段階を含むが、本発明では、密封プロセスは、後続の密封段階に頼る必要なしに、完全な密封で1つの段階で実行される。
【0017】
また、固体物質の充填プロセスは、固体物質が医薬品容器の壁に付着したままので、より複雑になり、投与の精度が損なわれることに注意すべきであり、これは、少量の医薬品を非常に正確に投与する必要がある小口径の容器では、より重要である。製薬業界では、有効成分の充填に誤りがあると、患者が誤った量の製品を受け取ることになってしまうことを考慮しなければならないため、上記の欠点は、本発明で提案された手順によって解決される。
【0018】
これは、固形物を容器に充填する際に、固形物が容器の本体に付着するという問題があり、重大な欠点となっている。このため、現在、製薬業界で使用されているほとんどの手順では、分注された量が適切であることを保証するために、装置の認証が必須となっている。また、包装中に様々なインプロセス制御が組み込まれてすべての医薬品容器の実際の充填量を確認する。一般的な制御は、容器を計量することであり、これにより、薬剤または有効成分のいずれかの医薬品の量が必要な計量精度を満たさない容器を修正または廃棄することを可能にする。インプロセス制御には、100%のものや統計的なものであってもよく;後者は、随時実施されて投与量をチェックする。これらの制御には、製品の投与量の精度を制御するために必要な高い生産コストと経済コストが伴う。
【0019】
静電荷の除去に関しては、この問題に対処するためにいくつかの種類のイオナイザーが利用可能である。これらのイオナイザーは、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを含むリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードル、またはフィルターイオナイザーなどの様々な形態がある。本発明の目的を実現するために、これらのイオナイザーは、充填プロセスに使用される機械に設置して容器または製品の表面を中和する両極性のイオンを生成することができ、または包装エリア、部屋またはアイソレーター、特にアイソレーターの天井に設置してエリアの環境および気流の両方を中和するイオン化を生成し、それによって静電荷の問題を解消することができる。
【0020】
イオナイザーによる固形物の静電荷の除去については、以下のいくつかの文献を引用する。
【0021】
TRINC社が出願した欧州特許EP2711096A2は、フィルム、箔、ガラス、衣類、紙などの対象物に付着した静電荷や汚れを除去する装置に関するものである。この装置は、粉末を吸引および排出するための上部での開口部、下部での開口部を備える大容器と、大容器の内部での円筒形または円錐形の小容器とを含む。この小容器は、その内部にサイクロン電流とトルネード電流を発生させるように設計され、かつ少なくとも1つのコロナ放電イオン発生器を含む。このイオン発生器は、小容器の上部または内部に配置された放電針で構成されている。この小容器は、圧縮空気を注入する空気注入口と、小容器の内部または外部に設置された超音波発生器とを含み、超音波発生器は、粉末を振動させて、イオン発生器によって中和された後に所望の対象物から分離することができる。この粉末は、大容器の内部に真空吸引することにより収集できる。
【0022】
その代わりに、本発明は、充填プロセス中に粉末が容器の壁に付着するのを防ぎ、包装前に容器と粉末の両方を脱イオン化して完全な密封を実現することに関する。また、安全性を考慮すると、容器の上部および/または内部で脱イオン化を実行して密封領域の壁に付着した残留粉末を除去する。
【0023】
また、本発明では、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを含むリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターの形態のイオナイザーを使用して静電気を除去するが、これは粉末固形物および使用される容器の両方に対して行われることであり、欧州特許EP2711096A2では、粉末をイオン化するだけで、容器をイオン化しないため、静電気を除去しない。本発明と上記文献とのもう一つの実質的な相違点として、上記欧州特許EP2711096では圧縮空気を使用して吸引を容易にするが、本発明では気流を必要とせず、もし必要とすれば、それが滅菌キャリアガスでなければならない。滅菌キャリアガスの中で、イオン化された窒素流は、後述するような利点がある。
【0024】
本発明の特徴的な欠点は、脱イオン化を滅菌環境で行う必要があることで、滅菌キャリアガスの使用が必要となることである。このキャリアガスの滅菌状態が脱イオン化プロセスに影響を与えないことに留意すべきである。
【0025】
他方では、欧州特許EP2711096A2と本発明とを比較して、両方とも固形物の静電荷を除去することが重要であるが、両者は、上記文献ではそれが実行される方法を詳細に説明しておらず、脱イオン化のために放電針のようなイオン発生器を使用することにのみ言及しており、放電針が固形物に接近した時に生じる問題、すなわち製品を燃やす燃焼現象が現れ、不純物が発生し、製品の物理化学的成分が変化することに言及していない点で、相違する。
【0026】
YMS株式会社が出願した日本特許JP2005001818は、易帯電性粉末および帯電性粉末を供給できる粉末供給装置および空気輸送装置を記載している。この装置は、微多孔質隔膜が設けられてホッパー内の粉末を曝気する曝気手段を備えるホッパーを含む。曝気用の空気は、コロナ放電装置などのイオン化装置で予備電離される。エアコンプレッサから供給される圧縮空気は、曝気に使用される。この圧縮空気は、コロナ放電装置などを含む空気イオン化装置によってイオン化される。イオン化ガスで曝気を行うと、イオン化ガスが粉末の表面電荷を中和または除去するため、帯電性粉末の表面電荷が消失する。また、曝気によってホッパー内の粉末が空気を膨らせ、粉末とホッパー内壁の間に空気の層が形成されると、粉末が再び帯電するのを防ぐことができる。また、本文献では、空気輸送装置の一部を形成する導電性材料製の吸引ノズルまたはニードルを記載している。このノズルは決して投与ノズルではない。
【0027】
他方では、本発明では、イオン化ガスとして滅菌のキャリアガス流、通常は滅菌の窒素流を用いて、一方で固体物質をイオン化し、他方で医薬品容器をイオン化する。本発明とこの日本特許とのもう一つの相違点は、ノズルまたはニードルにあり、この日本特許の場合、導電性材料製の吸引ノズルを指しているが、本発明では、ノズルは、分注針であり、導電性材料で製造されるものではない。この日本特許と対照的に、本発明では、充填される容器および分注される固形物の両方の静電荷を中和するために、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを含むリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターの形態のイオナイザーを使用しているが、日本特許では、コロナ放電式のイオナイザー装置などの使用のみが言及されている。
【0028】
Meech Static Eliminators Shanghai Co LTDの中国実用新案CN203265193Uは、圧縮空気を用いたイオンニードルを使用して静電気を除去し、かつボトルの壁に付着した粉末を除去して容器を洗浄するために、充填前のボトルの内壁から静電気および粉末を除去する技術分野を記載している。この実用新案に記載されている装置は、ニードルと、ニードルを接続する第1の管と、電気ケーブルを接続する第2の管とで構成され、その両端はそれぞれ内ねじ山または外ねじ山を有する。ニードルの先端および第2の管は、一体にねじ込み固定されており、ニードルの先端、第1の管および第2の管は、空気を通すための相互に接続される内部通路を有し、第2の管は、さらに少なくとも2つのねじ山を有するため、通路のねじ山は、第1の管の内ボアに接続されている。この管は、内壁と外壁の間に等間隔で設けられたワイヤーホールを特徴とし、これらのホールの各々は、管の第1の部材に適合する第2の管の一端にイオン発生端を形成している。イオンは、イオンニードルによって、圧縮空気の助けを借りて、対象物の表面に導入することができる。
【0029】
本発明では、その代わりに、イオナイザーは、中国実用新案で特に言及されているようなニードルである必要はなく、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを見出すことができるリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターの任意の一種であってもよい。さらに、この実用新案では、圧縮空気を使用してイオンを置換するが、本発明では、固形物の投与を助けることでイオン化プロセスを容易にするだけでなく、容器内に不活性雰囲気を生成することで製薬業界のこれらの手順に必要な滅菌状態を維持するために、滅菌の圧縮窒素または空気からなる可能性のある滅菌キャリアガス流を使用してもしなくても構わない。他方では、実用新案は、充填前の粉末によるボトルの洗浄に関するが、本発明は、充填後の脱イオン化および壁の洗浄に関し、かつ粉末などの固形物を充填することがより困難な、ボトルよりも小さな容器、例えば、シリンジ、バイアル、カプセル、アンプル、単回投与装置またはカートリッジに適用される。
【0030】
3P Innovation Limitedが出願した国際特許WO2016/185230A2には、シリンジ、バイアル、カプセル、カートリッジおよびブリスターパックなどの医薬品容器に、粉末状の医薬品材料を振動によって充填する器具および方法が記載されている。この器具は、医薬品容器の支持体と、医薬品容器に医薬品粉末を充填するノズルまたは充填ニードルと接触する医薬品粉末の入ったタンクと、圧電振動装置とを有する。この文献は、計量セルによって接地できる導電性材料を含むシリンダーを使用することで、プラスチック製の医薬品容器の静電荷を放散して、清浄度を損なうことなく、より良い粉末充填プロセスを実現することができるという利点に関する。しかしながら、その文献に記載されている発明では、容器の口から充填するプロセスであるため、材料に導電性を持たせるように要求しないため、容器の背面から充填する際に発生する密閉性の問題は、生じない。
【0031】
他方では、本発明は、医薬固形物が充填された医薬品容器を密封するプロセスに関するものであり、このような充填は、末端の滅菌を必要とせずに無菌状態で行われるが、上記国際特許WO2016/185230A2には、図2に見られるように容器の口からの充填が記載されている。他方では、この国際公報では、容器などのプラスチック製の医薬品容器への充填についてのみ言及されているが、本発明では、容器用の高分子材料やガラスなどのすべての種類の材料を含む。さらに、この国際公報では、使用される医薬品容器の静電荷を放散するための導電性材料製のシリンダーまたはパックが記載されているが、本発明では、容器の支持体として機能するシリンダーの存在は、解決すべき課題とは無関係な任意の要素であり、また、以下のような他の様々な機能を目的としている。
【0032】
このような要素を使用すると、容器に接触せずに容器を取り扱う。
【0033】
シリンダーは、「排除フード」の一部として、気流からプロセスを保護する。
【0034】
容器を正確な計量を行う計量セルに垂直に支持するための要素である。
【0035】
さらに、本発明では、リング、バー、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターなどのどのような形態のイオナイザーであっても使用することができ、その中でも、充填前、充填中および充填後に包装装置に設置することができる上部にイオナイザーを備えるアイソレーターであってもよく、滅菌キャリアガスを使用してもしなくてもよいが、上記国際公報に記載されている発明は、充填中に使用されるプラスチック容器の静電荷を放散することができる導電性材料製のシリンダー(パック)のみを扱っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0036】
【特許文献1】特許US2016/0200461A1
【特許文献2】欧州特許EP2711096A2
【特許文献3】日本特許JP2005001818
【特許文献4】中国実用新案CN203265193U
【特許文献5】国際特許WO2016/185230A2
【発明の概要】
【0037】
したがって、本発明の解決しようとする課題は、バイアル、カプセル、アンプル、単回投与装置、吸入器、ボトル、ブリスターカートリッジ、サシェ、バッグ、試験管、エッペンドルフ(登録商標)チューブおよびシリンジなどの形態の医薬品容器を充填する手順を提供することである。本発明のシリンジは、ニードル、カテーテル型コーン、またはルアーロック型コーン、すなわち、それぞれねじ山のない先端またはメスやオスのねじ山付きの先端を有し得る。本発明の目的を実現するために、「ルアーコーン」とは、カップリングに応じてオスまたはメスである典型的な6%のテーパーを有する、ヴュルフィン・ルアーによって発明された円錐形の先端を指す。同様に、「ルアーロックコーン」とは、ドイツのヴュルフィン・ルアーによって発明された、気密性のあるねじ式クロージャーを備える円錐形の先端を指す。
【0038】
本発明に係る容器の化合物は、例えば、ポリオレフィンおよびシクロポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリアミドなどの異なる成分のプラスチック、ポリエステル(主鎖にエステル官能基を含むポリ(エチレンテレフタレート)、ポリカーボネート)、アクリルポリマー(ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリアクリロニトリル)、熱可塑性樹脂(ポリアセタールおよびポリハロエチレン)、ポリウレタン、ホルムアルデヒド樹脂(フェノール樹脂、尿素樹脂)、フェノプラスト、アミノプラスト、チオプラスト、デュロプラスチック樹脂(不飽和ポリエステル、ポリウレタン)、ポリビニリデンシリコーン、セルロース誘導体、ポリカーボネート、およびこれらの混合物などの材料である。あるいは、容器は、薬剤送達に適した鋼やチタン、ガラスなどの金属でも製造することができ、当該技術分野に存在する問題を克服し、特に、容器の気密性を確保しつつ、固形物が容器の壁に付着するのを防ぐような滅菌状態で固形物を入れることができる。
【0039】
次に、シリンダーまたはパック、ホッパーおよびノズルまたはニードルは、いずれも、各種のプラスチック、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ガラス、石、樹脂、ガラスなどの各種非導電性材料で構成されることが好ましいが、スチールやチタンなどの接地された導電性材料で構成されてもよい。
【0040】
容器に使用される材料およびシリンダーの材料は、いずれも水密性があり、不活性で、透過性または不透過性が高くなく、含まれる製品を吸収しおよび/または吸収せず、粗くなく、粒子がないものでなければならない。
【0041】
本発明に記載されている問題の解決策は、本発明者らが、このような課題が独立してまたは任意に組み合わせて適用できる以下の技術によって十分に解決できることを発見したという事実に基づく。
【0042】
一方では、固形物およびそれが置かれる医薬品容器の両方をイオン化し、さらに、充填手順の1つ以上の段階で、容器および/または粉末と接触する投与装置およびキャッピング装置の要素をイオン化することで、固形物が容器の壁に付着するのを防ぎ、さらに容器の壁が固形物の粒子を引き寄せるのを防ぎ、それによって、固形物が容器の底部に落下してその壁に付着しないようにする。この脱イオン化技術は、容器および固形物に別々に適用されてもよく、製品が入った容器に適用されてもよい。プロセスが充填ステップおよびキャッピングステップを有するため、この脱イオン化は、数回適用することができる;
【0043】
他方では、イオナイザーに印加される電位を制御することで、容器の壁および/または分注された固形物に生じる静電荷が、好ましくは2,000V未満、より好ましくは500V未満、最も好ましくは200V未満である。
【0044】
また、医薬品容器への固形物の充填は、その先端または分注端が、充填段階全体にわたって、容器の底部に堆積した固形物の表面から1~3mmの高さに位置する分注針を使用して実行されることが好ましく、これにより、堆積した固形物を壁に向かって持ち上げることができる乱流が回避される。仮にこの乱流現象がある程度発生したとしても、固形物および容器の内壁の両方がイオン化することで、容器の壁に付着した製品が大幅に失われることなく、上記持ち上げられた粒子を容器の底部に戻す。
【0045】
そこで、本発明の第1の態様は、滅菌状態で医薬品容器に固形物を充填するプロセスに関し、
a)壁および底部を有する医薬品容器(1)を提供するステップと、
b)分注針(4)を用いて固形物を医薬品容器(1)に分注し、容器(1)に分注された固形物の重量を重量分析で確認するステップと、
c)医薬品容器をストッパー(6)で密封するステップとを含み、
ステップa)、b)およびc)の少なくとも1つ、またはそれらの任意の組み合わせにおいて、容器(1)の内壁、容器内に分注された固形物、および/または容器壁または容器内に分注された固形物と接触している任意の部分での静電荷を、イオン化電位が印加されたイオナイザー(2)を用いて中和して、各イオン化後の容器(1)内の静電荷が2,000ボルト未満になるようにすることを特徴とする。このイオン化により、容器内に分注された固形物が容器(1)の内壁に付着することを回避し、付着は、容器内に分注された固形物の量が歪んだり、分注された製品のレベルを視覚的に評価することができなくなり、さらに患者への製品の投与が不完全になったりする可能性がある。
【0046】
第2の態様では、本発明は、固形物製品を含む容器(1)に関し、ここで、固形物製品が、記載された方法を用いて容器に分注されている。
【0047】
ロッド/リングでイオン化する場合、再イオン化は、好ましくはガス流を伴う、または伴わないニードルで行われる。
【0048】
一般的に、本明細書では、充填は、好ましくはその先端または分注端が、充填段階全体にわたって、容器の底部に堆積した固形物の表面から1~3mmの高さに位置する分注針を使用して実行され、これにより、固形物を容器の壁に向かって持ち上げることができる乱流が回避される。
【0049】
この手順は、2つの利点がある。第一では、固形物が容器の側面に付着するのを防ぐことで、2つ以上の充填段階を使用する場合でも、1つの容器への物質の充填を正確に行うことができる。第二では、医薬品容器の密封の完全性を確保し、それは、製品を汚染する異物の容器内への侵入と、製品の有効量に影響を与える製品の外部への漏出との両方を防ぐことができるため、医薬品の場合には特に重要である。
【0050】
さらに、本発明は、静電荷の移動および分散を高める層流または乱流に一般的に対処する滅菌環境で、ガラス製または高分子材料製を問わず、充填に使用する容器同士の衝突によって発生する静電荷の問題も解決する。
【0051】
本発明は、あらゆる性質の粉末状の固体化合物に一般的に適用可能であるが、この手順は、以下の粒度分布を有する固形物に特に適用可能である。
【0052】
10≧20ミクロン
70ミクロン≦D50≦110ミクロン
150ミクロン≦D90≦215ミクロン
【0053】
ここで、D10は、母集団を正確に2等分する粒度の平均値であり、分布の50%がこの値を上回り、50%が下回っている。一般的に、本明細書では、「d0.X」または「Dx」と表記される値は、指定された値以下の粒度を持つ薬剤の質量分率を表し、0.0~1.0の範囲を有する。この定義によると、d0.1またはD10の値は、薬剤粒子の総質量の10%が10ミクロン未満の粒度を持つことを意味する。
【0054】
これは、以下の粒度分布を持つ固形物に理想的に適用される。
【0055】
10≧25ミクロン
100ミクロン≦D50≦155ミクロン
245ミクロン≦D90≦325ミクロン
【0056】
そのような化合物の例としては、リスペリドン、パリペリドン、フェンタニル、オランツ化合物アクチボン、レトロゾール、アリピプラゾール、アナストロゾール、アセンコンパウンドアクチボン、ブレキシプラゾール、カリプラジン、クロズコンパウンドアクチボン、イロペリドン、ルラシドン、ケチコンパウンドアクチボン、ジプラシドン、それらの誘導体、代謝物または塩類(パモ酸塩またはパルミチン酸塩など)の単独または組み合わせが挙げられる。
【0057】
そのような化合物の他の例としては、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)のタイプの生体適合性ポリマー、および任意の誘導体またはコポリマーを単独または組み合わせて含むそれらのコポリマーであるポリ乳酸-コ-グリコール酸(PLGA)も挙げられる。
【0058】
本発明の添付図面は、本発明の性質を説明するために使用される。これらの図は、説明するためのものに過ぎず、本明細書で請求された発明を限定するものではないと理解すべきである。イオン化現象に関して、本発明は、様々な方法を提案しており、そのいくつかは、以下の図1図7に示されている。図面を適切に解釈するために、イオン化現象は、交替の正(+)と負(-)の符号で表されており、異なる符号のイオンの流れは、滅菌キャリアガスの流れを伴う、または伴わない場合があることに注意すべきであり、後者は、以下の図面で示されていない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1図1は、本発明による無菌充填および密封プロセスの特定の実施形態を示しており、示される医薬品容器は、この場合、プロセス全体にわたってノズルキャップ(8)で覆われたままのオスシリンジ(1)である。シリンジ(1)は、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを含むリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターのいずれかを有するイオナイザー(2)を使用して、第1のイオン化段階(a)に使用され、この場合、ニードルイオナイザーは、示される。その後、このオスシリンジ(1)は、充填段階(b)に進み、そこで本発明の手順は、特にシリンジに充填すべき固形物が複数ある場合には、複数の充填段階を含むことができる。この段階では、シリンダー(7)に任意に挿入され得るシリンジは、ホッパー(3)およびノズルまたは分注針(4)によって行われる充填中に、計量セル(5)によって計量される。充填後、オスシリンジ(1)は、この段階で上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを見出すことができるリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターのいずれかのイオナイザー(2)のいずれかによって、他のイオン化段階(c)を実行することにかけ、この場合、リングイオナイザーは、示される。最後に、オスシリンジ(1)は、密封段階(d)に移され、そこでその上部をストッパー(6)で密封する。
図2】本発明に係るプロセスの別の特定の実施形態を示しており、図1のオスシリンジが、医薬品容器(1)としてメスシリンジに置き換えられる。
図3】本発明に係るプロセスの特定の実施形態を示しており、シリンジは、医薬品容器(1)としてエッペンドルフ(登録商標)チューブに置き換えられ、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを見出すことができるリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターであるイオナイザー(2)のイオン化段階での存在により、イオン化段階(a)を実行することにかけ、この場合、ニードルイオナイザーである。その後、充填段階(b)(複数の充填段階が存在する場合がある)に移され、そこでリング、バー、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズルを備えるイオナイザー(2)、または上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを含むイオン化フィルターがあり、この場合、イオン化フィルターを有する。この段階には、イオナイザーのほかに、計量セル(5)、ホッパー(3)、およびノズルまたは分注針(4)が含まれる。最後に、充填後に、エッペンドルフ(登録商標)チューブは、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを含むリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターを使用して、イオン化プロセスを実行することにかけ、この場合、ロードイオナイザー(2)を有する。
図4】本発明に係る手順の特定の実施形態を示しており、この場合、示された容器は、密封プロセス全体にわたってノズルキャップ(8)で事前覆われたニードル付きのシリンジ(1)であり、リング、バー、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズルの形態であってもよいイオナイザー(2)、または上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを含むイオン化フィルターを使用して、第1のイオン化プロセス(a)を実行することにかけ、この場合、ニードルイオナイザーは、示される。その後、ニードル付きのシリンジ(1)は、充填段階(b)に進み、そこで本発明に記載された手順は、特に複数の固形物がシリンジに充填される場合に、複数の充填段階を含む。上記段階では、シリンダー(7)に任意に挿入され得るニードル付きのシリンジは、ホッパー(3)およびノズルまたは分注針(4)によって行われる充填中に、計量セル(5)によって計量される。充填後、ニードル付きのシリンジ(1)は、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを含むリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターのいずれかを有するイオナイザー(2)を使用して、さらにイオン化ステップ(c)が実行され、この場合、リングイオナイザーは、示される。最後に、ニードル付きのシリンジ(1)は、上部をストッパー(6)で密封する密封段階(d)に進み、このステップで上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを含むリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターのいずれかを有するイオナイザー(2)を使用して、追加のイオン化段階を実行することにかけ、この場合、ロードイオナイザーである。
図5】本発明に係る手順の別の特定の実施形態を示しており、この場合、示される容器は、プロセス全体にわたってノズルキャップ(8)で覆われるメスシリンジ(1)であり、リング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターのいずれかを有するイオナイザー(2)を使用して、第1のイオン化プロセス(a)を実行することにかける。次に、メスシリンジ(1)は、充填段階(b)に進み、そこで本発明に記載された手順は、特に複数の固形物がシリンジに充填される場合に、複数の充填段階を含む。上記段階では、シリンダー(7)に任意に挿入され得るニードル付きのシリンジは、ホッパー(3)およびノズルまたは分注針(4)によって行われる充填の際に、計量セル(5)によって計量される。充填後、シリンジは、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを含むリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターの形態のイオナイザー(2)を使用して、イオン化プロセス(c)を実行することにかけ、この場合、ニードルイオナイザーは、示される。最後に、メスシリンジ(1)が密封段階(d)に移され、そこで上部をストッパー(6)で密封しながら、この段階で上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを有するリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはフィルターイオナイザーのいずれかであるイオナイザー(2)を使用して、追加の脱イオン化フェーズを実行することにかけ、この場合、ロッドイオナイザーは、示される。
図6】本発明に係る手順の別の特定の実施形態を示しており、この場合、示された容器は、カートリッジ(1)であり、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを見出すことができるリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターのいずれかを有するイオナイザー(2)を使用して、第1のイオン化プロセス(a)を実行することにかけ、この場合、ニードルイオナイザーは、示される。その後、カートリッジ(1)は、充填段階(b)に進み、そこで本発明に記載された手順は、特に複数の固形物がカートリッジに充填される場合に、複数の充填段階を含む。この段階では、カートリッジは、ホッパー(3)およびノズルまたは分注針(4)によって行われる充填中に、計量セル(5)によって計量される。充填後、シリンダー(7)に任意に挿入され得るカートリッジ(1)は、イオン化段階に移され、そこでイオナイザー(2)は、上部にイオナイザーを備えるリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルター、またはアイソレーターのいずれかの形態で機能し、この場合、ロードイオナイザーは、示される。
図7】本発明に係るプロセスの特定の実施形態を示しており、この場合、示された容器は、事前充填されたメスシリンジ(1)であり、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを見出すことができるリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターを有するイオナイザー(2)を使用して、イオン化プロセス(a)を実行することにかけ、この場合、リングは、示される。この後、ねじ山のある端部に充填されるシリンジは、充填段階(b)に入り、そこで本発明に記載されたプロセスは、特に複数の固形物がシリンジに充填される場合に、複数の充填段階を含む。この段階では、シリンダー(7)に任意に挿入され得るシリンジは、ホッパー(3)およびノズルまたは分注針(4)によって行われる充填中に、計量セル(5)によって計量される。充填後、メスシリンジ(1)は、上部にイオナイザーを備えるアイソレーター(この場合、ロードイオナイザーは、示される)を含むリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターのいずれかであるイオナイザー(2)を使用して、さらなるイオン化フェーズ(c)を実行することにかける。
【発明を実施するための形態】
【0060】
バイアル、カプセル、アンプル、単回投与装置、吸入器、ボトル、ブリスターカートリッジ、サシェ、バッグ、試験管、エッペンドルフ(登録商標)タイプのチューブおよびシリンジ(メスまたはオス、ねじ山式または非ねじ山式ノズル付き)などの小さな医薬品容器に、体積または重量分析によって、粉末、顆粒、ペレット、ナノ粒子または微粒子などの固体物質を充填することと、ポリオレフィンおよびシクロポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリアミドなどの異なる成分のプラスチックのような異なる材料、ポリエステル(その主鎖にエステル官能基を含み)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリカーボネート)、アクリルポリマー(ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリアクリロニトリル)、熱可塑性樹脂(ポリアセタールおよびポリハロエチレン)、ポリウレタン、ホルムアルデヒド樹脂(フェノール樹脂、尿素樹脂)、フェノプラスト、アミノプラスト、チオプラスト、デュロプラスチック樹脂(不飽和ポリエステル、ポリウレタン)、ポリビニリデンシリコーン、セルロース誘導体、ポリカーボネート、およびこれらの混合物などを充填することとについて、代替的に、容器は、薬剤投与に適したスチールやチタンなどの金属、またはガラスで製造され、充填は、使用された容器の密封領域の壁への物質の付着という大きな欠点のため、現在、製薬業界では深刻な問題となっている。適正製造基準(GMP)を遵守することに加え、様々な国際薬局方に示される規制を遵守しなければならないため、この欠点は、引用産業にとって大きな不便をもたらす。充填に使用される容器の壁への前記固体物質の付着が充填および無菌密封プロセスの両方を妨げるため、本発明は、その付着に関連する欠点を解決するものである。本発明で言及される無菌充填および密封プロセスでは、上記のような固体物質のみが使用される。
【0061】
国際薬局方では、無菌充填および密封の際に、大きな気流(一方向性または乱流状態)を要求して最終製品を汚染する可能性のある異物粒子を確実に除去する。これらの気流を使用すると、充填に使用される容器の壁に固形物が付着する原因となる外乱が発生するため、固形物の充填が非常に困難になる。
【0062】
分注された固体物質が容器の密封領域の壁に付着するため、容器の開口部で合体することができなくなって、必要な密封が得られない。密封の欠如は、分注された固体物質の用量の損失と、充填に使用される容器の汚染という2つの深刻な問題を引き起こす。
【0063】
用量の損失は、医薬品の不正確な投与を引き起こし、その理由として、容器の密封領域の壁に付着した固体物質が患者に投与される正確な量を示す計量セルで測定されるが、患者に投与されると、容器の側面に付着した固体物質が投与されず、かつ容器の側面に付着したままになるため、患者は、指示された量よりも少ない量で投与されることになる。
【0064】
充填に使用される容器の汚染は、医薬品の完全性に影響を与え、かつ医薬品を受け取る患者の健康に影響を与えるため、密封領域の壁に付着した物質によって生じる気密性の欠如によるおそらく最も深刻な欠点である。容器をストッパーで密封する際、容器の壁の密封領域に固体物質が付着すれば、容器を密封した後にこの領域にこれらの物質が残り、これは、環境中のあらゆる物質がキャッピング段階の後で製品に入ることができるように、ストッパーが密封製品の完全性を確保することができないことを意味する。製薬会社の製品が細菌、真菌、酵母などの微生物の理想的な温床であるため、微生物汚染は、製薬会社にとって非常に深刻な問題となっている。理論的には滅菌であっても汚染された製品は、製品の劣化、製品電位の損失、患者への投与後の発熱反応、特に非経口投与の場合に、患者の微生物の感染やコロニー化、二次感染のリスクにつながる可能性がある。病原性、非病原性を問わず、滅菌であるはずの医薬品の中に微生物が存在することは、危険である。
【0065】
密封の欠如による重大な問題に鑑み、本発明は、上記物質の密封を実現することによって、医薬品容器の密封領域の側面への固体物質の付着に対する解決策を提供する。分注針の高さへの制御、および充填に使用される医薬品容器と分注される固体物質との両方のイオン化およびシリンジおよび/または粉末と接触する分注装置およびキャッピング装置の要素のイオン化という2つの方法は、固体物質の密封を促進するために用いられる。
【0066】
先行技術の部分で記載されたように、容器の内壁への固形物の付着に影響を与える様々な要因は、あり、その中にはノズルの長さが含まれる。ノズルが長ければ長いほどおよび容器内の粉末の最上部に近ければ近いほど、運動エネルギーは小さくなる。また、ノズルは、粉末を密封壁の表面から遠ざける。本発明者らは、粉末とノズルの先端との理想的な距離が粉末の投与量、分注速度および密度に依存し、通常は1~3mm、より好ましくは約2mmであることを見出した。本発明は、ノズルの高さについていくつかの選択肢を提案する。
【0067】
第1の選択肢は、容器の底部から測定されたノズルの正確な高さ(h)を有するノズルを有することに基づく。この場合、充填プロセスは、容器の後部、すなわち容器がシリンジの場合、直径の最も大きい口または端部で行われる。分注される固形物とノズルとの間の最小高さhは、常に維持されなければならず、具体的には2mmである。
【0068】
第2の選択肢は、ノズルを常に容器内に分注される固体物質からh=2mmの最小距離に維持することである。この方法では、ノズルは、固定された要素ではなく、可動式で、充填プロセスが実行されるときに上下に移動し、固体物質から常に2mmの距離を維持することができる。
【0069】
上記ものの代替案としては、ノズルに封じ込め要素を設けて、充填中に粉末が充填される領域の上方に飛散することを防ぐ。
【0070】
イオン化に関し、上記アプローチは、充填される医薬品容器とその充填に使用される固体物質との両方に含まれる静電荷を防止するための解決策に依存する。容器の壁および固形物は、静電荷を有する。これらの電荷が反対の符号であれば、固形物は、容器の内壁に付着する。このため、容器おと固形物との両方は、イオン化される。
【0071】
化学元素の原子の電子である負電荷と、最終シェールの電子を奪われた原子核の陽子の作用に相当する正電荷という2種類の静電荷がある。絶縁材料の表面にある電子は、地面への導電経路がないと限り容易に放散できず、それは、シリンダーが上記のような導電性要素である理由である。電子は、循環しにくいため、静電気として公知のものにリスクを与える。電子は、導体内で分子間で自由に移動できるが、陽子は、原子と不可分の関係にあり、かつ原子自体が移動しない限り移動することができない。静電荷の量は、一連の材料の相対的な位置または距離に依存し、かつその符号は、材料が電子を与えたり獲得したりする性質によって決まり、性質は、一連の材料が実際に示す。
【0072】
本発明は、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを含むリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターなどの任意の種類のイオナイザーを使用する。例えば、ロッドは、環境と気流との両方をイオン化して中和することで、静電荷を除去するために使用できる。イオナイザーは、実際には、圧縮空気または窒素Nなどの滅菌キャリアガス流、好ましくは窒素流を用いて実施することができ、以下のような機能および/または利点を有する。
【0073】
この窒素電流は、周囲の空気をイオン化してN電流によって持つイオンを生成するイオン化要素の電極で発生したイオンを置換するための媒体として機能する。これらの正および負のイオンは、変圧器によって最大8,000ボルトの値に達する交流電流をほとんど無視できる電流(4mA)で供給することによって生成される。このように処理された表面は、異なる符号の電荷の再結合および同符号の電荷の反発により、最終的に中性の電荷を持つ。
【0074】
容器内の酸素を置換することで、容器内の不活性雰囲気を発生させて、製品をその酸化作用から保護する。不活性化として知られる容器への不活性ガス導入は、酸素の割合が限界酸素濃度(LOC)を下回ることに基づく。
【0075】
持つとは、容器内を掃き出すことを意味する。イオンを交互に発生させることで、粉末を容器の壁に付着させる静電気を除去する。これにより、固形物が容器または固形物の粒子間に付着せずにその位置に留まることができる。その後、わずかな気流(0.1-0.8l/min)で、分解された固形物を掃き出す効果を達成する。
【0076】
本発明は、図面1~7に示すように、イオン化現象を実行するための様々な方法を提案し、ここで、医薬品容器は、メスまたはメスシリンジ、ニードル付きのシリンジ、カートリッジまたはカルプ、またはエッペンドルフ(登録商標)チューブとして非限定的に表される。イオナイザーは、上部にロッドなどのイオナイザーを備えるアイソレーターを含むリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターなどのイオナイザー(滅菌キャリアガス流を伴うか否かは問わない)の任意の種類で使用されて、環境と気流との両方をイオン化して中和して、静電荷を除去することができる。アイソレーターの場合、好ましい実施形態によれば、本発明に記載される投与操作の前に、噴霧または気化された過酸化水素または過酸化水素と過酢酸との混合物による滅菌は、必要である。
【0077】
医薬品容器をトレイから取り出す場合、非常に高い静電荷(30,000ボルト以上)が発生する。容器とトレイの間に一定の摩擦があるからである。それは、様々な図面に示されるように、容器がシリンダーに挿入される前と挿入された後の両方で、容器が好ましくは任意の種類のイオナイザーと滅菌キャリアガス流に曝される理由である。このガスは、イオン化した空気分子を持つ窒素、または静電荷を抑えるために容器の内部および密封領域に当てる圧縮空気であってもよい。
【0078】
図1は、いくつかのステップを含む容器への無菌充填の一般的な手順を示す。
【0079】
支持シリンダー(7)に任意に挿入され、ノズルキャップ(8)で覆われる容器(1)は、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを含むリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターなどの任意の種類のイオナイザー(2)、または他の種類のイオナイザーを使用して、イオン化段階(a)を実行することにかける。イオナイザー(2)は、容器の内壁と密封領域との両方から静電荷を除去するために使用される。このイオナイザーは、イオン化した空気分子を運ぶ窒素またはイオン化した空気分子を運ぶ圧縮空気などのキャリアガスの滅菌流、より好ましくはイオン化した空気分子を運ぶ窒素流と共に使用されてもされなくても構わない。使用されたイオン化した空気分子を運ぶ窒素流は、容器の内部と密封領域との両方に到達する。これらの2つのイオン化プロセス(イオナイザーによるイオン化と、滅菌ガス流の任意の適用)により、容器内の静電荷が除去されて、容器の充填が可能になる。
【0080】
イオン化プロセス(a)の後、シリンジ(1)は、無菌充填段階(b)に進む。この段階では、容器(1)への固体物質の無菌充填が行われる。このプロセスでは、分注される固体物質を入れるホッパー(3)と、固体物質が分注される分注針またはノズル(4)の使用は、必要である。分注された固体物質の量を正確に測定するためには、計量セル(5)も必要である。この段階では、イオンの媒体を提供するためのイオン化した空気分子を運ぶ圧縮空気または窒素など、好ましくは、イオン化した空気分子を運ぶ窒素の滅菌キャリアガスの流れがあってもなくても構わない。充填される製品またはそれらの組み合わせの数と同じ数の充填段階がある。
【0081】
容器(1)に固形物を充填した後、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを含むリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターである脱イオン装置(2)を使用して、脱イオン化段階(c)を実行することにかける。イオナイザーと共に、イオン化した空気分子を運ぶ圧縮空気または窒素などの滅菌キャリアガスの流れを適用してもしなくても構わず、好ましくは、イオン化した空気分子を運ぶ窒素を使用して、固形物が容器(1)の密封領域の壁に付着するのを防ぐ。
【0082】
最後に、無菌密封段階(d)があり、そこでストッパー(6)を挿入して容器を密封する。後者の段階では、好ましくはイオン化した空気分子を運ぶ圧縮空気または窒素などの滅菌キャリアガスの流れを使用してもしなくても構わない。
【0083】
図2は、4つの段階で構成されるイオン化プロセスの別の実施形態を示す。
【0084】
第1の段階では、図1に示すようなイオン化プロセス(a)が行われ、このプロセスでは、イオン化した空気分子を運ぶ窒素やイオン化した空気分子を運ぶ圧縮空気などの滅菌キャリアガスの流れは、容器(1)に導入されても導入されなくても構わず、シリンジは、事前にノズルキャップ(8)で覆われ、かつ任意キャリアシリンダー(7)に任意に導入される。この滅菌キャリアガス流は、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを含むリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターのいずれかの形態のイオナイザー(2)と連動して使用される。流れとイオナイザー(2)は、容器(1)と密封領域との両方の底部に到達し、本図面では、使用された滅菌キャリアガス流は、好ましくはイオン化した空気分子を運ぶ窒素流である。この流れを使用した後、容器の静電荷が除去されて充填を開始する。
【0085】
本プロセスの第2の段階では、容器(1)は、無菌充填段階(b)に進み、そこで固形物の無菌充填が行われる。この段階では、分注される固体物質が置かれるホッパー(3)と、固形物を分注する分注針またはノズル(4)と、分注された固形物の正確な量を制御する計量セル(5)などのいくつかの要素がある。充填される製品またはそれらの組み合わせの数と同じ数の充填段階がある。密封領域の清浄度を確保するために、イオン化段階(c)を含む第3の段階が実行され、この段階では、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを有するリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターであるイオナイザー(2)を使用し、そこで、密封領域中の容器の側面への固形物の付着を破壊するために、イオン化した空気分子を運ぶ窒素または圧縮空気などの滅菌キャリアガスの流れは、同様に適用されてもされなくても構わない。好ましくは、イオン化した空気分子を運ぶ窒素流は、イオン置換用の媒体および掃き出し効果におけるキャリア手段として使用されることで、この段階で所望の密封現象を得る。各製品のニーズに応じて、イオン化段階の数が異なる。
【0086】
最後に、最後の段階は、容器をストッパー(6)で密封する密封段階(d)で構成される。この段階では、好ましくはイオン化した空気分子を運ぶ窒素などの滅菌キャリアガス流を使用してもしなくて構わず、その理由として、密封領域の固形物が洗浄されるが、容器を完全に洗浄すること、および容器がシーラーに置かれたときの摩擦によって生じる静電荷により、分注された固形物が密封に使用されるストッパーおよび容器の壁に付着しないことを確保する必要がある。
【0087】
図3は、以下のステップを含むイオン化プロセスの別の具体例を示す。
【0088】
容器(1)は、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを含むリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターであるイオナイザー(2)を使用して、イオン化プロセス(a)を実行することにかける。このイオナイザーは、イオン化した空気分子を運ぶ窒素やイオン化した空気分子を運ぶ圧縮空気などの滅菌キャリアガス流、より好ましくは、イオン化した空気分子を運ぶ窒素流と共に使用されてもされなくても構わない。イオナイザー(2)は、容器の内壁と密封領域との両方から静電荷を除去するために使用される。また、使用されたイオン化した空気分子を運ぶ窒素流は、容器の内部と密封領域とに到達し、これらの2つのイオン化プロセスにより、容器の静電荷が除去されて充填が可能にある。
【0089】
続いて、このイオン化フェーズ(a)の後、容器(1)は、固形物を無菌的に充填する無菌充填段階(b)に進む。この段階では、分注される固体物質が置かれたホッパー(3)と、固形物を分注する分注針またはノズル(4)と、分注された固形物の正確な量を制御する計量セル(5)と、リング、バー、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズルであるイオナイザー(2)、または上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを含むイオン化フィルターなどのいくつかの要素がある。この段階では、イオンの媒体を提供するためのイオン化した空気分子を運ぶ圧縮空気または窒素など、好ましくは、イオン化した空気分子を運ぶ窒素の滅菌キャリアガスの流れがあってもなくても構わない。これにより、分注された固形物が密封領域に残らないことを確保する。充填される製品またはそれらの組み合わせの数と同じ数の充填段階があり、また、必要に応じて同じ数のイオン化段階がある。
【0090】
充填段階(b)で容器(1)に固形物を充填した後、容器の密封領域の清浄度を確保するために、密封領域中の容器の側面への固形物の付着を破壊するためにイオン化した空気分子を運ぶ窒素や圧縮空気などの滅菌キャリアガスの流れと連動して機能してもしなくても構わない、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを含むリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターのいずれかの形態のイオナイザー(2)を使用するイオン化プロセス(c)である最後の段階は、実行される。好ましくは、イオン化した空気分子を運ぶ窒素流は、イオン置換用の媒体および掃き出し効果におけるキャリア手段として使用されることで、この段階で所望の密封現象を得る。各製品のニーズに応じて、イオン化段階の数が異なる。
【0091】
図4は、本発明に記載された手順の別の特定の実施形態を示す。
【0092】
容器(1)は、支持シリンダー(7)に任意に挿入され、ズルキャップ(8)で覆われ、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを含むリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターのいずれかの形態のイオナイザー(2)、または他の種類のイオナイザーを使用して、イオン化プロセス(a)が実行される。このイオナイザーは、イオン化した空気分子を運ぶ窒素やイオン化した空気分子を運ぶ圧縮空気などの滅菌キャリアガス流、より好ましくは、イオン化した空気分子を運ぶ窒素流と共に使用されてもされなくても構わない。イオナイザー(2)は、容器の内壁と密封領域との両方から静電荷を除去するために使用される。また、使用されたイオン化した空気分子を運ぶ窒素流は、容器の内部と密封領域とに到達し、これらの2つのイオン化プロセスにより、容器の静電荷が除去されて充填が可能にある。
【0093】
このイオン化フェーズ(a)の後、容器(1)は、固形物を無菌的に充填する無菌充填段階(b)に進む。このプロセスでは、分注される固体物質を入れるホッパー(3)と、固体物質が分注される分注針またはノズル(4)の使用は、必要である。分注された固体物質の量を正確に測定するためには、計量セル(5)も必要である。この段階では、イオンの媒体を提供するためのイオン化した空気分子を運ぶ圧縮空気または窒素など、好ましくは、イオン化した空気分子を運ぶ窒素の滅菌キャリアガスの流れがあってもなくても構わない。充填される製品またはそれらの組み合わせの数と同じ数の充填段階がある。
【0094】
充填段階(b)で容器(1)に固形物を充填した後、容器の密封領域が清浄であることを確保するために、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを見出すことができるリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターのいずれかの形態のイオナイザー(2)を使用するイオン化プロセス(c)である第3の段階を実行する。このイオナイザーは、密封領域中の容器の側面への固形物の付着を破壊するために、イオン化した空気分子を運ぶ窒素や圧縮空気などの滅菌キャリアガスの流れと共に機能してもしなくても構わない。好ましくは、イオン化した空気分子を運ぶ窒素流は、イオン置換用の媒体および掃き出し効果におけるキャリア手段として使用されることで、この段階で所望の密封現象を得る。各製品のニーズに応じて、イオン化段階の数が異なる。
【0095】
最後に、容器(1)は、ストッパー(6)で密封される密封段階(d)に進む。この段階では、好ましくはイオン化した空気分子を運ぶ窒素などの滅菌キャリアガスの流れと共に機能してもしなくても構わない、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを有するリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターの形態のイオナイザー(2)は、使用され、その理由として、密封領域の固体物質が洗浄されるが、容器を完全に洗浄すること、および容器が密封機器に置かれたときの摩擦によって生じる静電荷により、分注された固体物質が密封用のストッパーおよび容器の壁に付着しないことを確保する必要がある。
【0096】
図5は、本発明に記載された手順の別の特定の実施形態を示す。
【0097】
ノズルキャップ(8)で覆われ、かつ支持シリンダー(7)に任意に挿入された容器(1)は、イオン化した空気分子を運ぶ窒素またはイオン化した空気分子を運ぶ圧縮空気など、より好ましくは、イオン化した空気分子を運ぶ窒素の滅菌キャリアガス流と連動してもしなくても構わない、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを含むリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターのいずれかの形態のイオナイザー(2)を使用してイオン化プロセス(a)を実行することにかける。イオナイザー(2)は、容器の内壁と密封領域との両方から静電荷を除去するために使用される。また、使用されたイオン化した空気分子を運ぶ窒素流は、容器の内部と密封領域とに到達し、これらの2つのイオン化プロセスにより、容器の静電荷が除去されて充填が可能にある。
【0098】
このイオン化プロセス(a)の後、容器(1)は、固形物を無菌的に充填する無菌充填段階(b)に進む。この段階では、分注される固体物質が置かれたホッパー(3)と、固形物を分注する分注針またはノズル(4)と、分注された固形物の正確な量を制御する計量セル(5)などのいくつかの要素を使用する必要がある。この段階では、イオンの媒体を提供するためのイオン化した空気分子を運ぶ圧縮空気または窒素など、好ましくは、イオン化した空気分子を運ぶ窒素の滅菌キャリアガスの流れがあってもなくても構わない。これにより、分注された固形物が密封領域に残らないことを確保する。充填される製品またはそれらの組み合わせの数と同じ数の充填段階がある。
【0099】
この充填段階(b)の後、容器は、イオン化した空気分子を運ぶ窒素やイオン化した空気分子を運ぶ圧縮空気など、より好ましくは、イオン化した空気分子を運ぶ窒素流の滅菌キャリアガス流を使用してもしなくても構わない、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを含むリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターの形態のイオナイザー(2)を使用して、オン化段階(c)が実行され、が、を使用する。
【0100】
最後に、容器(1)は、ストッパー(6)で密封される密封段階(d)に進む。この段階では、圧縮空気または好ましくはイオン化した空気分子を運ぶ窒素などの滅菌キャリアガスの流れと共に機能してもしなくても構わない、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを有するリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターの形態のイオナイザー(2)は、さらに使用され、その理由として、密封領域の固体物質が洗浄されるが、容器を完全に洗浄すること、および容器が密封機器に置かれたときの摩擦によって生じる静電荷により、分注された固体物質が密封用のストッパーおよび容器の壁に付着しないことを確保する必要がある。
【0101】
図6は、3つの段階を示す。
【0102】
第1の段階では、容器(1)は、イオン化した空気分子を運ぶ窒素またはイオン化した空気分子を運ぶ圧縮空気など、より好ましくは、イオン化した空気分子を運ぶ窒素の滅菌キャリアガス流を使用してもしなくても構わない、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを含むリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターのいずれかの形態のイオナイザー(2)を使用してイオン化プロセス(a)を実行することにかける。イオナイザー(2)は、容器の内壁と密封領域との両方から静電荷を除去するために使用される。また、使用されたイオン化した空気分子を運ぶ窒素流は、容器の内部と密封領域とに到達し、これらの2つのイオン化プロセスにより、容器の静電荷が除去されて充填が可能にある。
【0103】
このイオン化プロセス(a)の後、容器(1)は、固形物を無菌的に充填する無菌充填段階(b)に進む。このプロセスでは、分注される固体物質を入れるホッパー(3)と、固体物質が分注される分注針またはノズル(4)の使用は、必要である。分注する固体物質の量を正確に測定するためには、計量セル(5)も必要である。この段階では、イオンの媒体を提供するためのイオン化した空気分子を運ぶ圧縮空気または窒素など、好ましくは、イオン化した空気分子を運ぶ窒素の滅菌キャリアガスの流れがあってもなくても構わない。充填される製品またはそれらの組み合わせの数と同じ数の充填段階がある。
【0104】
最後に、容器(1)は、イオン化段階に進む。この段階では、好ましくはイオン化した空気分子を運ぶ窒素などの滅菌キャリアガスの流れと共に機能してもしなくても構わない、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを有するリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターの形態のイオナイザー(2)は、使用され、その理由として、密封領域の固体物質が洗浄されるが、容器を完全に洗浄すること、および容器が密封機器に置かれたときの摩擦によって生じる静電荷により、分注された固体物質がストッパーおよび容器の壁に付着しないことを確保する必要がある。
【0105】
図7は、本発明に記載された手順の特定の実施形態を示す。
【0106】
すでにストッパー(6)で覆われ、シリンダー(7)に任意に挿入された容器(1)は、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターであってもよいリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターの形態のイオナイザー(2)を使用して、イオン化段階(a)によってイオン化される。この段階では、イオンの媒体を提供するためのイオン化した空気分子を運ぶ圧縮空気または窒素など、好ましくは、イオン化した空気分子を運ぶ窒素の滅菌キャリアガスの流れがあってもなくても構わない。
【0107】
その後、容器は、無菌充填段階(b)に置かれ、そこでノズル部分を使用して所望の固形物で無菌的に充填される。この段階では、分注される固体物質が置かれたホッパー(3)と、固形物を分注する分注針またはノズル(4)と、分注された固形物の正確な量を制御する計量セル(5)などのいくつかの要素を使用する必要がある。イオンの媒体を提供するためのイオン化した空気分子を運ぶ圧縮空気または窒素など、好ましくは、イオン化した空気分子を運ぶ窒素の滅菌キャリアガスの流れがあってもなくても構わない。これにより、分注された固形物が密封領域に残らないことを確保する。充填される製品またはそれらの組み合わせの数と同じ数の充填段階がある。
【0108】
充填段階(b)で容器(1)に固形物を充填した後、容器の密封領域が清浄であることを確保するために、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターを見出すことができるリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターのいずれかの形態のイオナイザー(2)を使用するイオン化プロセス(c)である最後の段階を実行する。このイオナイザーは、密封領域中の容器の側面への固形物の付着を破壊するために、イオン化した空気分子を運ぶ窒素や圧縮空気などの滅菌キャリアガスの流れの隣にあってもなくても構わない。好ましくは、イオン化した空気分子を運ぶ窒素流は、イオン置換用の媒体および掃き出し効果におけるキャリア手段として使用されることで、この段階で所望の密封現象を得る。各製品のニーズに応じて、イオン化段階の数が異なる。
【0109】
図に示す好ましい実施形態では、固体物質を充填した後、ストッパーで密封する直前に、容器の追加のイオン化段階を実行する。好ましくは、イオン化は、容器が空のとき、固体物質で充填される前に実行されなければならず、より好ましくは、充填および密封段階のすべての段階は、容器と固体物質との両方をイオン化し、それによって後者の内壁への付着を防ぎ、かつ容器の清浄度を確保するイオナイザーを含まなければならない。これらのイオナイザーは、上部にイオナイザーを備えるアイソレーターであってもよいリング、ロッド、ガン、カーテン、ブレード、バレル、ニードルまたはノズル、またはイオン化フィルターなどの任意の一種である。投与を支援するために、圧縮空気またはイオン化した空気分子を運ぶ窒素などの滅菌キャリアガスの流れは、イオン置換用の媒体を提供し、不活性雰囲気を生成し、かつ掃き出し効果におけるキャリア手段を提供するため、使用することができる。イオン化した空気分子を運ぶこの窒素電流は、イオナイザーと共にイオン化段階において使用される。より好ましくは、無菌充填および密封プロセスのすべての段階で使用される。
【実施例
【0110】
以下の具体的な例は、本発明の性質を説明するためのものである。これらの例は、例示のみを目的として含まれ、かつ本明細書で請求された発明を限定するものではないと理解すべきである。
【0111】
これらの例では、容器としてメス先端またはオス先端を有するカートリッジまたはカープル、ニードルまたはカテーテルコーン、ルアーコーンもしくはルアーロックコーン付きのシリンジ、およびエッペンドルフ(登録商標)チューブを使用し、賦形剤としてPLGA(乳酸またはグリコール酸)およびPLA(ポリ(乳酸))タイプの生体適合性ポリマーを使用し、有効成分としてリスペリドンおよびレトロゾールを使用する。
【実施例1】
【0112】
実施例1:リスペリドン50mgをメスノズル付きのシリンジまたはオスシリンジで充填する。
【0113】
この例では、2つの製品を医薬品容器、具体的は、ノズルキャップ(8)で事前に覆われたメスノズルを有するガラスシリンジに充填しなければならない。充填される製品は、具体的に50mgの用量の賦形剤のPLAおよび有効成分のレトロゾールである。充填プロセスは、硬質壁の無菌アイソレーター内で行われることに留意すべきである。充填プロセスを開始する前に、すべての器具は、清潔で滅菌でなければならない。この目的を実現するために、器具は、噴霧もしくは気化した過酸化水素、または過酸化水素と過酢酸との混合物で事前に滅菌される。
【0114】
アイソレーターは、2つの主要な部分を含む。(i)アイソレーターの作業チャンバーへのおよびからの滅菌材料の積み込みを容易にするチャンバーであるトランスファーチャンバー(TC)であり、滅菌アイソレーターに積み込まれる材料およびツールは、すべて事前に滅菌される必要がある;および(ii)賦形剤および有効成分の充填装置と、シリンジのキャッピングまたは密封ユニットとを入れる作業チャンバー(MC)である。
【0115】
充填を開始するために、オスシリンジ(1)およびキャップ(6)は、上記キャップをキャッピングまたは密封段階(d)で作業者に渡してそれらをシリンジ密封機器に挿入する滅菌状態で取り出される。充填される製品またはそれらの組み合わせの数と同じ数の充填段階がある。
【0116】
賦形剤として使用されるPLAと有効成分として使用されるレトロゾールとの両方は、充填段階(b)でそれらをそれぞれのホッパー(3)に積み込む作業者に渡される。充填に使用されるオスシリンジ(1)は、ニードルイオナイザー(2)を使用して、シリンジの後部またはシリンジの襟部からイオン化プロセスを実行する。このようにして、オスシリンジ(1)をイオン化(a)して、その内部およびシリンジ本体の密封領域中の静電荷を除去する。その後、オスシリンジ(1)は、シリンダー(7)内に逆さまに配置される。
【0117】
イオン化したオスシリンジ(1)を含むシリンダー(7)は、充填段階(b)に進んでPLAを充填する。オスシリンジ(1)は、計量セル(5)内に配置されて、その重量をゼロにする。その後、オスシリンジ(1)に、90mg±30%のPLAを襟部の近位端で充填する。充填は、非導電性材料製の分注針またはノズル(4)を使用して実行される。オスシリンジ(1)は、充填中に連続的に計量されるため、所望の重量に正確に達するときに充填を中止するようにシステムを制御することができ、この場合、90mg±30%である。
【0118】
このプロセスの後、容器(1)の内壁の静電荷を測定し、かつ得られた測定値は、1075ボルトである。
【0119】
PLA賦形剤を使用する充填段階(b)の後、オスシリンジ(1)は、シリンジの外側に配置されたリングイオナイザーを使用するイオン化プロセス(c)を実行することにかけて、PLAがオスシリンジ(1)の壁に付着するのを防止することで密封を容易にする。このプロセスでは、イオン化した空気分子を含む窒素または滅菌キャリアガスの流れの存在は、イオンを置換し、粉末を掃き出すためのキャリアとして機能するために必要である。
【0120】
このプロセスの後、容器(1)の内壁の静電荷を測定し、得られた測定値は、775ボルトである。
【0121】
賦形剤が充填され、イオン化されると、PLAが充填されたオスシリンジ(1)付きのシリンダー(7)は、50mg±30%のレトロゾールを充填するために充填段階(b)に進む。オスシリンジ(1)付きのシリンダーは、計量セル(5)に配置され、そこで活性製品を充填する前に計量される。オスシリンジ(1)は、充填中に連続的に計量されるため、所望の重量に達すると充填を中止することができる。
【0122】
このオスシリンジ(1)の充填プロセスの後、リングイオナイザー(2)を使用して別のイオン化プロセス(c)を実行することで、オスシリンジ(1)に充填された賦形剤と有効成分との両方がオスシリンジ(1)の壁に付着するのを防ぐ。このプロセスは、イオン化した空気分子を含む窒素または滅菌キャリアガスの流れの存在を要求して、イオンを置換し、粉末を掃き出すためのキャリアとして機能する。
【0123】
このプロセスの後、容器(1)の内壁の静電荷を測定し、得られた測定値は645ボルトである。
【0124】
有効成分が充填され、イオン化された後、オスシリンジ(1)付きのシリンダー(7)は、ストッパー(6)が取り付けられる密封段階(d)に進む。このプロセスでは、イオン化した空気分子を運ぶ窒素または滅菌キャリアガスの流れは、イオンを置換し、キャリアとして機能するために必要である。
【0125】
このプロセスの後、容器(1)の内壁の静電荷を測定し、得られた測定値は375ボルトである。
【0126】
このようにして、所望の密封現象は、達成され、ノズルの遠位端にあるシリンジ本体内の密封領域の清浄度は、確保される。また、容器がシーラーに置かれたときの摩擦によって生じる静電荷により、PLAとレトロゾールとの両方が密封用のストッパー(6)および容器の壁に付着するのを防ぐ。
【0127】
オスシリンジは、充填および密封されると、充填および密封されたシリンジの残りと共にトレイに配置することができる。
【実施例2】
【0128】
またはプラスチック材料製のメスシリンジである。
【0129】
例2では、賦形剤としてPLAが、有効成分としてレトロゾールが400mg使用され、充填プロセスは、実施例1と同様に、硬質壁の無菌アイソレーター内で実行される。
【0130】
賦形剤として使用されるPLAと有効成分として使用されるレトロゾールとの両方は、充填段階(b)でそれらをそれぞれのホッパー(3)に積み込む作業者に渡され、この場合、ホッパーは、絶縁材料ではない。ノズルキャップ(8)で事前に覆われ、かつ充填に使用されるメスシリンジ(1)は、イオン化した空気分子を運ぶ窒素または滅菌キャリアガスの流れの下方に配置され、メスシリンジをイオン化してその内部および密封領域の静電荷を除去するように、ニードルイオナイザー(2)は、このプロセスに添加される。
【0131】
イオン化したメスシリンジ(1)を含むシリンダー(7)は、PLAを充填する充填段階(b)に向けられる。メスシリンジ(1)を計量セル(5)内に配置されて、その重量をゼロにする。その後、シリンジの背面またはシリンジの襟部から、500mg+30%の量のPLAをシリンジ(1)に充填し、この充填は、絶縁材料ではないノズル(4)または分注針を使用して実行される。シリンジ(1)は、充填中に連続的に計量されるため、所望の重量、この場合、500mg±30%に達すると充填を中止するようにシステムを制御することができる。このプロセスでは、イオン化した空気分子を含む窒素または滅菌キャリアガスの流れの存在は、イオンを置換し、かつ掃き出し効果におおけるキャリアを提供することに必要である。
【0132】
このプロセスの後、容器(1)の内壁の静電荷を測定し、得られた測定値は、1770ボルトである。
【0133】
続いて、PLAが充填されたメスシリンジ(1)付きのシリンダー(7)は、第2の充填段階(b)で有効成分のレトロゾールで充填される前に、イオン化プロセス(c)を受ける。イオン化の場合、リングイオナイザー(2)を使用して、シリンジ(1)の密封領域の壁に付着したPLAをイオン化する。イオン化した空気分子を運ぶ窒素または滅菌キャリアガスの流れも、イオンの置換用の媒体および掃き出し効果におけるキャリアとして使用されるため、このイオン化プロセスで所望の密封現象を実現する。
【0134】
このプロセスの後、容器(1)の内壁の静電荷を測定し、得られた測定値は、975ボルトである。
【0135】
イオン化後、PLAが充填されたメスシリンジ(1)付きのシリンダー(7)は、400mg±30%の有効成分のレトロゾールと共に充填段階(b)に入る。メスシリンジ(1)付きのシリンダー(7)は、計量セル(5)に配置され、そこで有効成分を充填する前に計量し、その後、レトロゾールによる充填を開始する。シリンジ(1)は、充填中に連続的に計量されるため、所望の重量に達すると充填を中止することができる。
【0136】
その後、イオン化段階(c)に進み、リングイオナイザー(2)を使用して、賦形剤と活性物質との両方が壁に付着するのを防ぐ。
【0137】
このプロセスの後、容器(1)の内壁の静電荷を測定し、分注針とホッパーとの両方が絶縁材料ではないため、得られた測定値は、895ボルトである。
【0138】
有効成分が充填され、イオン化された後、メスシリンジ(1)付きのシリンダー(7)に(d)において有効成分を充填し、かつストッパー(6)をその内に取り付ける。このプロセスでは、イオン化した空気分子を運ぶ窒素または滅菌キャリアガスの流れは、イオンを置換し、粉末用のキャリアとして機能するために必要である。このようにして、所望の密封現象が達成され、シリンジ本体内の密封領域の洗浄が確実に行われて、ストッパーが挿入される領域が清潔に保たれる。さらに、容器がシーラーに置かれたときの摩擦によって生じる静電荷により、PLAとレトロゾールとの両方が密封用のストッパー(6)および容器の壁に付着するのを防ぐことができる。
【0139】
この時点で、容器(1)の内壁の静電荷を測定し、得られた測定値は、495ボルトである。
【0140】
シリンジ充填プロセスが完了し、かつシリンジが密封されると、シリンジは、充填および密封されたシリンジの残りと共にトレイに配置することができる。
【実施例3】
【0141】
50mg用量のレトロゾールをエッペンドルフ(登録商標)チューブに充填する。
【0142】
この実施例では、賦形剤としてPLAを、有効成分としてレトロゾールを50mg用量で使用する。充填プロセスが前述の例と同様に、硬質壁の無菌アイソレーター内で行われることに留意すべきである。
【0143】
賦形剤として使用されるPLAと有効成分として使用されるレトロゾールとの両方は、充填段階(b)でそれらをそれぞれのホッパー(3)に積み込む作業者に渡される。充填に使用されるエッペンドルフ(登録商標)チューブ(1)は、イオン化した空気分子を運ぶ窒素または滅菌キャリアガスの流れの下方に配置され、ニードルイオナイザー(2)は、このプロセスに添加され、エッペンドルフ(登録商標)チューブ(1)をイオン化してその内部および密封領域の静電荷を除去する。
【0144】
この時点で、容器(1)の内壁の静電荷を測定し、チューブが絶縁材料製ではなく、かつチューブの寸法が実施例1および2のシリンジよりも広くて短いように顕著に異なるため、得られた測定値は、695ボルトである。
【0145】
イオン化したエッペンドルフ(登録商標)チューブ(1)は、50mg±30%のレトロゾールで充填段階に導かれる。エッペンドルフ(登録商標)チューブ(1)は、計量セル(5)に配置され、その重量をゼロにする。その後、エッペンドルフ(登録商標)チューブ(1)は、絶縁材料製のノズル(4)を使用して、有効成分で充填される。エッペンドルフ(登録商標)チューブ(1)は、充填中に連続的に計量されるため、所望の重量に達すると充填を中止するようにシステムを制御することができる。レトロゾールを充填する際には、イオン化フィルター(2)を使用して、密封領域の壁へのレトロゾールの付着を防ぐ必要がある。
【0146】
充填段階(b)の後、エッペンドルフ(登録商標)チューブ(1)は、再びロードイオナイザー(2)を使用するイオン化プロセス(c)を実行することにかけて、有効成分が容器(1)の壁に残らないように確保する。
【0147】
再び、容器(1)の内壁の静電荷を測定し、得られた測定値は、700ボルトである。
【0148】
有効成分を充填した後、レトロゾールが充填されたエッペンドルフ(登録商標)チューブ(1)を第2の充填段階(b)に入れ、今回、90±30%の賦形剤PLAが充填される。エッペンドルフ(登録商標)チューブ(1)は、計量セル(5)に配置され、そこで賦形剤を充填する前に計量し、その後、PLAの充填を開始する。エッペンドルフ(登録商標)チューブ(1)は、充填中に連続的に計量されるため、所望の重量に達すると充填を中止する。このプロセスでは、イオン化フィルター(2)を使用して、レトロゾールとPLAとの両方が密封領域に付着するのを防ぐ必要がある。
【0149】
エッペンドルフ(登録商標)チューブ(1)の充填プロセスの後、チューブは、ロードイオナイザー(2)を使用する別のイオン化プロセス(c)を実行することにかけて、エッペンドルフ(登録商標)チューブ(1)に充填された賦形剤と有効成分との両方が容器(1)の壁に付着するのを防ぐ。また、イオン化した空気分子を運ぶ窒素または滅菌キャリアガスの流れは、イオンを置換し、キャリアとして機能するために必要である。これらの2つの方法は、容器(1)の内壁の静電荷が約595ボルトとなるため、所望の密封現象が達成され、かつ密封領域の清浄度が確保されるとともに、容器が密封機器に置かれたときの摩擦によって生じる静電荷により、PLAとレトロゾールとの両方が密封用のストッパー(6)および容器の壁に付着するのを防ぐことを確保する。
【実施例4】
【0150】
75mg用量のリスペリドンをニードル付きのシリンジまたはプラスチック材料製のニードル付きのシリンジに充填する。
【0151】
この例では、賦形剤としてPLGAを、有効成分としてリスペリドンを75mg用量で使用する。充填プロセスは、前述の実施例と同様に、同じ材料の滅菌操作を利用して硬質壁の無菌アイソレーター内で行われる。
【0152】
充填に使用するニードル(1)付きのシリンジは、ノズルキャップ(8)で閉じ、ニードルイオナイザー(2)を使用するイオン化プロセスを実行することにかけ、それによってシリンジ(1)をイオン化(a)してそれらの内部および密封領域の静電荷を除去する。イオン化したニードル(1)付きのシリンジを含むシリンダー(7)は、この場合、絶縁材料製である。シリンジ(1)は、計量セル(5)に配置され、その重量をゼロにする。その後、オスシリンジ(1)は、絶縁材料製のノズル(4)を使用して、75mg±30%のPLGAで充填される。シリンジ(1)は、充填中に連続的に計量されるため、所望の重量、この場合、75mg±30%に達すると充填を中止するようにシステムを制御することができる。
【0153】
このプロセスの後、容器(1)の内壁の静電荷を測定し、得られた測定値は、775ボルトである。
【0154】
ニードルシリンジ(1)に賦形剤を充填した後、リングイオナイザー(2)を使用するイオン化プロセス(c)を実行することにかけて、PLGAが容器(1)の密封領域の壁に付着するのを防ぐ。
【0155】
このプロセスの後、容器(1)の内壁の静電荷を測定し、得られた測定値は、550ボルトである。
【0156】
賦形剤が充填され、イオン化された後、PLGAが充填されたシリンジ(1)付きのシリンダー(7)は、有効成分のリスペリドンを充填する次の充填段階(b)に進む。シリンジ(1)付きのシリンダー(7)は、計量セル(5)に配置され、そこで有効成分を充填する前に計量し、その後、リスペリドンの充填を開始する。シリンジ(1)は、充填中に連続的に計量されるため、所望の重量に達すると充填を中止することができる。
【0157】
有効成分が充填された後、ニードルシリンジ(1)付きのシリンダー(7)は、再び、リングイオナイザー(2)を使用するイオン化プロセスを実行することにかけ、有効成分と賦形剤との両方がオスシリンジ(1)の密封領域の壁に付着するのを防ぐ。このプロセスの後、容器(1)の内壁の静電荷を測定し、得られた測定値は、470ボルトである。
【0158】
このイオン化プロセスの後、オスシリンジ(1)は、密封段階(d)に進み、そこでストッパー(6)が取り付けられ、さらなるイオン化プロセスが実行される。このプロセスは、密封領域の壁に付着したPLGAおよびリスペリドンをイオン化するために、ロードイオナイザー(2)が必要となる。
【0159】
このプロセスの後、容器(1)の内壁の静電荷を測定し、得られた測定値は、199ボルトである。
【0160】
イオン化プロセスにより、最適な密封および密封領域の完全な清浄度を確保するとともに、容器がシーラーに置かれたときの摩擦によって生じる静電荷により、PLGAとリスペリドンとの両方が密封用のストッパー(6)および容器の壁に付着するのを防ぐ。
【実施例5】
【0161】
100mg用量のリスペリドンをオスノズル付きのシリンジまたはプラスチック材料製のメスシリンジに充填する。
【0162】
この例では、賦形剤としてPLGAを、有効成分としてリスペリドンを100mg用量で使用する。充填プロセスは、前述の実施例と同様に、同じ材料の滅菌操作を利用して硬質壁の無菌アイソレーターで行われる。
【0163】
ノズルキャップ(8)で事前に覆われて充填に使用されるメスシリンジ(1)は、リングイオナイザー(2)を使用してイオン化プロセスを実行することにかけて、シリンジ(1)をイオン化(a)してそれらの内部および密封領域の静電荷を除去する。イオン化したシリンジ(1)を含むシリンダー(7)は、この場合、絶縁材料製である。シリンジ(1)は、計量セル(5)に配置され、その重量をゼロにする。その後、シリンジ(1)は、絶縁材料製のノズル(4)を使用して、100mg±30%のPLGAで充填される。シリンジ(1)は、充填中に連続的に計量されるため、所望の重量、この場合、100mg±30%に達すると充填を中止するようにシステムを制御することができる。
【0164】
このプロセスの後、容器(1)の内壁の静電荷を測定し、得られた測定値は、785ボルトである。
【0165】
メスシリンジ(1)に賦形剤を充填した後、ニードルイオナイザー(2)を使用してイオン化プロセス(c)を実行することにかけて、PLGAが容器(1)の密封領域の壁に付着するのを防ぐ。
【0166】
このプロセスの後、容器(1)の内壁の静電荷を測定し、得られた測定値は、580ボルトである。
【0167】
賦形剤が充填され、イオン化された後、PLGAが充填されたシリンジ(1)付きのシリンダー(7)は、有効成分のリスペリドンを充填する次の充填段階(b)に進む。シリンジ(1)付きのシリンダー(7)は、計量セル(5)に配置され、そこで有効成分を充填する前に計量し、その後、リスペリドンの充填を開始する。シリンジ(1)は、充填中に連続的に計量されるため、所望の重量に達すると充填を中止することができる。
【0168】
有効成分が充填された後、シリンジ(1)付きのシリンダー(7)は、再び、ニードルイオナイザー(2)を使用するイオン化プロセスを実行することにかけ、有効成分と賦形剤との両方がシリンジ(1)の密封領域の壁に付着するのを防ぐ。このプロセスの後、容器(1)の内壁の静電荷を測定し、得られた測定値は、440ボルトである。
【0169】
このイオン化プロセスの後、シリンジ(1)は、ストッパー(6)が取り付けられる密封段階(d)に進み、かつさらなるイオン化プロセスを実行する。このプロセスは、密封領域の壁に付着したPLGAおよびリスペリドンをイオン化するために、ロードイオナイザー(2)が必要となる。このプロセスの後、容器(1)の内壁の静電荷を測定し、得られた測定値は、197ボルトである。
【0170】
イオン化プロセスにより、最適な密封および密封領域の完全な清浄度を確保するとともに、容器がシーラーに置かれたときの摩擦によって生じる静電荷により、PLGAとリスペリドンとの両方が密封用のストッパー(6)および容器の壁に付着するのを防ぐ。
【実施例6】
【0171】
75mg用量のリスペリドンをカートリッジまたはカープルに充填する。
【0172】
この他の例では、賦形剤としてPLGAを、有効成分としてリスペリドンを75mg用量で使用する。充填プロセスは、前述の実施例と同様に、同じ材料の滅菌操作を利用して硬質壁の無菌アイソレーター内で行われる。
【0173】
賦形剤として使用されるPLGAと有効成分として使用されるリスペリドンと、カートリッジはすべて、充填段階(b)で作業者に渡され、かつそれぞれのホッパー(3)に積み込まれる。充填に使用するカートリッジまたはカープル(1)は、イオン化した空気分子を運ぶ窒素または滅菌キャリアガスの流れの下方に配置され、ニードルイオナイザー(2)は、このプロセスに添加され、カートリッジまたはカープル(1)をイオン化してそれらの内部の静電荷を除去する。
【0174】
このプロセスの後、容器(1)の内壁の静電荷を測定し、得られた測定値は、1285ボルトである。
【0175】
イオン化したカートリッジまたはカープル(1)は、充填段階(b)に進んで75mg±30%のリスペリドンを充填する。カートリッジ(1)は、計量セル(5)に上向きに配置され、その重量をゼロにする。その後、絶縁材料製のノズル(4)または分注針を使用して、カートリッジのノズルによってカートリッジ(1)にリスペリドンを充填する。カートリッジ(1)は、充填中に連続的に計量されるため、所望の重量に達すると充填を中止するようにシステムを制御することができる。
【0176】
カートリッジ(1)は、有効成分が充填されると、第2の充填段階(b)に進み、今回、100mg±30%の賦形剤PLGAが充填される。カートリッジ(1)は、計量セル(5)に配置され、そこでこの有効成分を充填する前に計量し、その後、ノズルからPLGAの充填を開始する。カートリッジ(1)は、充填中に連続的に計量されるため、所望の重量に達すると充填を中止することができる。
【0177】
PLGA賦形剤が充填された後、カートリッジ(1)は、ロードイオナイザー(2)およびイオン化した空気分子を運ぶ窒素または滅菌キャリアガスの流れを使用してさらなるイオン化プロセスを実行することで、イオンを置換し、かつカートリッジノズルのカバーを挿入するためのキャリアとして機能する。これらの2つのプロセスにより、賦形剤と有効成分との両方が壁に付着するのを防ぐため、密封現象が実現される。
【0178】
このプロセスの後、容器(1)の内壁の静電荷を測定し、得られた測定値は、1085ボルトである。
【0179】
(実施例7)
400mg用量のリスペリドンを事前に覆われたメスシリンジに充填する。
【0180】
この例では、賦形剤としてPLGAを、有効成分としてリスペリドンを400mg用量で使用する。充填プロセスは、前述の実施例と同様に、同じ材料の滅菌操作を利用して硬質壁の無菌アイソレーターで行われる。
【0181】
充填に使用するメスシリンジ(1)は、リングイオナイザー(2)を使用してイオン化プロセスを実行することにかけて、シリンジ(1)をイオン化(a)してそれらの内部および密封領域の静電荷を除去する。イオン化したシリンジ(1)を含むシリンダー(7)は、この場合、絶縁材料製である。リンジ(1)は、計量セル(5)に下向きに配置され、それがストッパー(6)で事前に閉じられるため、その重量をゼロにする。
【0182】
その後、シリンジ(1)は、絶縁材料製のノズル(4)を使用して、100mg+30%のPLGAがノズルによって充填される。シリンジ(1)は、充填中に連続的に計量されるため、所望の重量、この場合、100mg±30%に達すると充填を中止するようにシステムを制御することができる。
【0183】
このプロセスの後、容器(1)の内壁の静電荷を測定し、得られた測定値は、735ボルトである。
【0184】
メスシリンジ(1)に賦形剤を充填すると、ロードイオナイザー(2)を使用するイオン化プロセス(c)を実行することにかけて、PLGAがノズル付近の容器(1)の壁に付着するのを防ぐ。
【0185】
このプロセスの後、容器(1)の内壁の静電荷を測定し、得られた測定値は、530ボルトである。
【0186】
賦形剤が充填され、イオン化された後、PLGAが充填されたシリンジ(1)付きのシリンダー(7)は、有効成分のリスペリドンを充填する次の充填段階(b)に進む。シリンジ(1)付きのシリンダー(7)は、計量セル(5)に配置され、そこで有効成分を充填する前に計量し、その後、リスペリドンの充填を開始する。シリンジ(1)は、充填中に連続的に計量されるため、所望の重量に達すると充填を中止することができる。
【0187】
有効成分が充填された後、シリンジ(1)付きのシリンダーを、再び、ロードイオナイザー(2)を使用してイオン化プロセスを実行することにかけて、有効成分と賦形剤との両方がシリンジ(1)の壁に付着するのを防ぐ。このプロセスの後、容器(1)の内壁の静電荷を測定し、得られた測定値は、215ボルトである。
【0188】
イオン化プロセスにより、最適な密封および求められる正確な投与量を提供する。
図1(a)】
図1(b)】
図1(c)】
図1(d)】
図2(a)】
図2(b)】
図2(c)】
図2(d)】
図3
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図4(d)】
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図5(d)】
図6
図7(a)】
図7(b)】
図7(c)】
【国際調査報告】