(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】航空機の自動除氷のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B64F 5/20 20170101AFI20220107BHJP
B25J 5/00 20060101ALI20220107BHJP
B08B 5/02 20060101ALI20220107BHJP
B08B 13/00 20060101ALI20220107BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
B64F5/20
B25J5/00 A
B08B5/02
B08B13/00
B08B3/02 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523222
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(85)【翻訳文提出日】2021-06-16
(86)【国際出願番号】 CA2019051506
(87)【国際公開番号】W WO2020082180
(87)【国際公開日】2020-04-30
(32)【優先日】2018-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521173890
【氏名又は名称】ジェイカイ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル ジェフリー
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
3C707
【Fターム(参考)】
3B116AA47
3B116AB52
3B116BB22
3B116BB82
3B116BB90
3B116CD42
3B116CD43
3B201AA47
3B201AB52
3B201BB22
3B201BB82
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3B201CD42
3B201CD43
3C707AS29
3C707BS10
3C707CS08
3C707KS10
3C707KT01
3C707KT05
3C707KT06
3C707WA16
(57)【要約】
航空機の自動除氷又は汚染物除去のためのシステム。システムは可動式プラットフォームを含み、可動式プラットフォームは、車輪のセットと、航空機に対して汚染物除去処理を提供するために可動式プラットフォームに搭載される汚染除去装置とともに車輪のセットの動きを制御するための旋回駆動部と、を含む。また、システムは、汚染物除去処理に関連する指示を外部の者から受信し、汚染物除去処理を提供するために可動式プラットフォームと汚染物除去装置を制御するよう構成されたプロセッサと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の自動除氷のためのシステムであって、
車輪のセットと、前記車輪のセットの動きを制御するための旋回駆動部と、を含む可動式プラットフォームと、
前記航空機に対して汚染物除去処理を提供するために前記可動式プラットフォームに搭載される汚染物除去装置と、
前記汚染物除去処理に関連する指示を外部の者から受信し、前記汚染物除去処理を提供するために前記可動式プラットフォームと前記汚染物除去装置を制御するよう構成されたプロセッサと、を備える、システム。
【請求項2】
前記汚染物除去装置は、クレーンアーム部と、少なくとも1つのスプレーアーム部と、を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記クレーンアーム部は前記可動式プラットフォームに搭載され、前記少なくとも1つのスプレーアーム部は前記クレーンアーム部に枢動可能に接続されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのスプレーアーム部は、上側スプレーアーム部及び下側スプレーアーム部を備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記上側スプレーアーム部は、前記下側スプレーアーム部に枢動可能に接続されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記上側スプレーアーム部及び前記下側スプレーアーム部は、各々、除氷液又は圧縮ガスを前記航空機に供給するためのノズルを備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
環境条件を決定するため及び前記環境条件を前記プロセッサに通信するためのセンサのセットをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムの動作ステータス及び/又はイベントステータスを示すためのLEDのセットをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ノズルは、当該ノズルが取り付けられた前記スプレーアーム部に対し平行な軸及び垂直な軸で個別に関節運動する、請求項6に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2018年10月23日に出願された米国仮特許出願第62/749,185号の優先権を主張するものであり、当該仮出願は引用により本明細書に盛り込まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
本開示は、概して航空機に関し、より具体的には航空機に対する除氷プロセスを自動化するための方法及び装置に関する。
【発明の概要】
【0003】
意思決定、マーシャリング、スプレー、検査、スケジューリング及び無線方向探知機(RDF)のプロビジョニングに対する空港及び航空会社の除氷管理は、大部分が手動で行われる。手動の関与及びコストを削減するために一部の高度な情報システムが使用される。しかしながら、これはシステムのリスク及び欠点を部分的に軽減又は低減するだけであり、人間のパフォーマンスはプロセスの唯一の最も重要かつ困難な部分であり、重度の故障及び冬のフライトスケジュールの遅延につながる。本開示の方法及び装置は、これらの欠点の少なくとも1つを克服する。
【0004】
この装置は、2つの異なるイノベーションを含むとみなすことができる。第1のイノベーションは、自立型可動式プラットフォーム(AMP)とも記載される駆動プラットフォームとみなすことができ、第2のイノベーションは、(除氷液を供給するための)スプレーアームのセットとAMPとの一体化とみなすことができる。
【0005】
一実施形態では、AMPは、独立して又は遠隔制御下で飛行場(又は空港)全体をナビゲート及び横断できる多輪シャーシである。別の実施形態では、AMPと一体化されたスプレーアームのセットは特定のタスクを実行するように構成され、このタスクは、この実施形態では除氷液を供給することである。別の実施形態では、スプレーアームのセットを使用して他の液体を航空機に適用してもよい。
【0006】
本開示の一態様において、航空機の自動除氷のためのシステムが提供され、当該システムは、車輪のセットと、車輪のセットの動きを制御するための旋回駆動部と、を含む可動式プラットフォームと、航空機に対して汚染物除去処理を提供するために可動式プラットフォームに搭載される汚染物除去装置と、汚染物除去処理に関連する指示を外部の者から受信し、汚染物除去処理を提供するために可動式プラットフォームと汚染物除去装置を制御するよう構成されたプロセッサと、を備える。
【0007】
別の態様において、汚染物除去装置は、クレーンアーム部と、少なくとも1つのスプレーアーム部と、を備える。一態様において、クレーンアーム部は可動式プラットフォームに搭載され、少なくとも1つのスプレーアーム部はクレーンアーム部に枢動可能に接続されている。さらに別の態様では、少なくとも1つのスプレーアーム部は、上側スプレーアーム部及び下側スプレーアーム部を備える。
【0008】
別の態様において、上側スプレーアーム部は、下側スプレーアーム部に枢動可能に接続されている。さらなる態様において、上側スプレーアーム部及び下側スプレーアーム部は、各々、除氷液又は圧縮ガスを航空機に供給するためのノズルを備える。別の態様において、システムは、環境条件を決定するため及び環境条件をプロセッサに通信するためのセンサのセットをさらに備える。さらに別の態様において、システムは、システムの動作ステータス及び/又はイベントステータスを示すためのLEDのセットをさらに備える。別の態様において、ノズルは、ノズルが取り付けられたスプレーアーム部に対し平行な軸及び垂直な軸で個別に関節運動する。
【0009】
本開示の実施形態について、ほんの一例として添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】航空機の自動除氷のための装置の概略図である。
【
図2】
図1の装置のクレーンアーム部及びスプレーアーム部の概略図である。
【
図3a】航空機の自動除氷のためのシステムの概略斜視図である。
【
図3b】航空機の自動除氷のためのシステムの別の概略斜視図である。
【
図4a】航空機の自動除氷のためのシステムのさらなる概略斜視図である。
【
図4b】航空機の自動除氷のためのシステムのさらなる概略斜視図である。
【
図4c】航空機の自動除氷のためのシステムのさらなる概略斜視図である。
【
図5a】航空機の自動除氷のためのシングル装置システムについてのステージの上面図である。
【
図5b】航空機の自動除氷のためのシングル装置システムについてのステージの上面図である。
【
図5c】航空機の自動除氷のためのシングル装置システムについてのステージの上面図である。
【
図6】航空機の自動除氷のための装置の実施形態の別の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、航空機の除氷を自動化するための方法及びシステムに関する。一実施形態では、システムは、当該システムが空港の周りを移動して出発位置から除氷位置に移動することを可能にする可動式プラットフォーム(旋回式プラットフォーム又は自立型可動式プラットフォームとみなすことができる)を含む可動式除氷機とみなすことができる。一実施形態では、出発位置は除氷機が配置されている位置であってもよく、除氷位置は除氷を必要とする航空機が配置されている位置である。
【0012】
動作中、システムは航空機の輪郭を横切って、航空機の胴体及び尾部(及びその他の部分)に除氷液を連続的動作で適用又はスプレーしてもよい。可動式プラットフォームは、旋回可能な車輪のセットを含むことが好ましく、これにより、可動式プラットフォームは旋回式駆動プラットフォームとみなすこともできる。一実施形態では、これにより、装置を静止位置から移動させることなく90度枢動させることができる。
【0013】
本開示の別の実施形態では、システムは、旋回式駆動プラットフォームと、専用の/ダイナミックな除氷液及び/又は圧縮ガススプレーシステムと、を含む。装置は、除氷プロセスを監視するため又は除氷が必要な箇所の決定を支援するための氷検出カメラ技術をさらに含んでもよい。装置は、限定的列挙ではないが、ジョブ識別情報、位置情報、航空機タイプ情報、液体監視情報及び/又はパイロット管理情報を少なくとも提供可能な総除氷管理システムの一部として組み込まれていることが好ましい。
【0014】
図1を参照すると、航空機の自動除氷のためのシステムの概略図が示されている。システム10は可動式プラットフォーム12を含み、可動式プラットフォーム12自体は、プラットフォーム14と、プラットフォーム14に取り付けられて、システム10が出発位置から除氷位置に移動できるようにする車輪16のセットと、を含む。好ましい実施形態では、車輪16は、プラットフォーム14に対して回転又は旋回することができる。これは、旋回駆動部25によって可能とされてもよい。より重要なのは、車輪の旋回は、システム又は装置10が静止位置にある時に実行できるということである。
【0015】
この実施形態では、クレーンアーム部18がプラットフォーム14に取り付けられている。クレーンアーム部18は、プラットフォーム14に対して旋回又は移動できるように取り付けられている。除氷スプレーアーム部20は、クレーンアーム部18に取り付けられている。
図1には、3つの別個の除氷スプレーアーム部が示されているが、スプレーアーム部20の設計はシステム10の要件に基づくことができることは理解されるであろう。好ましい実施形態では、システムは、クレーンアーム部及び除氷スプレーアーム部を制御するシステムドライブトレインを含む。好ましい実施形態では、スプレーアーム部は1つの電池によって電気的に駆動される。別の実施形態では、スプレーアーム部は互いに対して伸縮することができる。
【0016】
スプレーアーム部20同士、及びスプレーアーム部20とクレーンアーム部18の一体化は、好ましくは、スプレーアーム部20及びクレーンアーム部18を互いに対して枢動可能とする個別のジョイント22を介して行われる。
図1において、装置は、スプレーアーム部20が除氷液を供給する準備ができている多くの動作位置のうちの1つにあるように示されている。あるいは、スプレーアーム部は、汚染物を除去するための圧縮ガス又は除氷液と圧縮ガスの組み合わせを供給することができる。スプレーアーム部20はさらに、除氷液(及び/又は圧縮ガス)を航空機に供給する除氷ノズル24のセットを含む。各ノズル24は、ブーム又はスプレーアーム部に対し平行な軸及び垂直な軸の両方で個別に関節運動することができる。装置10はまた、除氷液供給機構及び貯蔵部27を含むことができる。この機構及び貯蔵部は、スプレーアーム部20及び除氷ノズル24に除氷液又は圧縮ガスを供給するのを助けるポンプを含む。一実施形態では、ポンプは電動ダイヤフラムポンプである。この実施形態では、システムは除氷液を加熱する加熱装置29をさらに含むが、除氷液を別の位置で加熱してから、貯蔵部27によって維持される所定の温度で貯蔵部27に入れてもよい。
【0017】
装置10は、装置10を制御するプロセッサ26も含む。プロセッサ26は、車輪付きプラットホーム14の中若しくは上、又はクレーンアーム部18の中など、装置内の任意の位置に配置、組み込み又は取り付けることができる。この実施形態では、プロセッサ26はプラットフォーム14の中に配置される。プロセッサ26は、好ましくは、ハウジングによって又は装置10の別の構成要素によってダメージから保護される。プロセッサ26は、好ましくは、ワイヤレス通信プロトコルを使用して外部の者と通信することを可能にする通信モジュールを含む。プロセッサは、外部の者から受信したメッセージ又は指示を処理することもできる。プロセッサは、限定的列挙ではないが、装置の状態及び現在の動作進行状況、障害報告、不完全動作又は完了不能ジョブなどの情報を送信することもできる。また、システムは、当該システムのリザーバを再充填する必要がある時期を決定するために、残りの液体のレベルを決定することもできる。また、プロセッサは、移動経路などの移動指示を受信することもでき、あるいは遠隔ユーザによって制御されるジョイスティックから制御指示を受信することもできる。
【0018】
装置はさらに、風速、温度及び他の環境条件を含む安全動作条件の決定を支援するセンサ31のセットを含むことができる。センサとカメラのセットによって、さらに汚染レベルを決定することができる。
【0019】
静止位置にあるときに車輪16が例えば90度回転することを可能にする旋回式プラットフォームの使用は、除氷産業にとって新規であり、これまで認識されていなかった利点をもたらす。また、装置が独立で(又は少なくとも運転者なしで)動くことを可能にすることにより、可動式プラットフォーム12並びに/又はスプレーアーム部20及びクレーンアーム部18を手動で制御するために人間が存在することを必要とせずに、除氷プロセスを実行することができる。
【0020】
さらなる実施形態では、装置は、外部の者と通信して情報を送信するためのコンポーネントを含み、これにより、外部の者が可動式除氷機のフリートを調整して、複雑な冬の動作要件に効果的に対処できるように構成されている。一実施形態では、各装置は、可動式除氷機の動作ステータス及びモードを通信するための高輝度LEDを含む視覚表示プロセスシステム(VIPS)を含むことができる。異なる色によって、地上作業員が除氷機に近づいても安全な時期が示され、また、遠隔操作者に対し、カメラシステム(後述する)を使用して除氷機がどのような状態(この状態は所定のシステムとの相関関係を示す)にあるか解釈できる能力が提供される。一実施形態では、色は以下のように使用することができる(色は他の動作状態及びイベントと一致させることができることは理解されるであろう)。
【0021】
【0022】
さらなる実施形態では、装置は、当該装置が効率的かつ意図したとおりに動作しているか否かを検出するためにセルフテストを行う機能を有してもよい。このセルフテストには、可動式プラットフォーム又は装置に搭載されているすべてのシステム及びサブシステムが含まれてもよい。ビルトイン・セルフテスト(BIST)は、起動時に、動作中定期的に、並びに、動作モード間及び設定間の切り替え時に、実行することが好ましい。可動式プラットフォームは、動作中に発生したエラーや障害を検出することもできる。可動式プラットフォームは、これらのエラーとアラームを、外部の第三者に通知する。
【0023】
図2を参照すると、収縮位置にあるクレーンアーム部18及び除氷スプレー部20の別の実施形態の概略図が示されている。この実施形態では、スプレーアーム部20は2つのみである。上記のように、クレーンアーム部18は、ピボットジョイント22を介して除氷スプレーアーム部20のうちの1つに接続されている。この実施形態では、除氷スプレーアーム部20は、下側スプレーアーム部28及び上側スプレーアーム部30を含み、2つのスプレーアーム部28及び30はピボットジョイント22によって接続されている。ピボットジョイント22により、装置は、この収縮位置から、
図1に概略的に示す位置などの動作位置の1つに動くことができる。装置は、除氷スプレー24で除氷するのが通常困難な除氷領域専用のアイスブラスタースプレー32をさらに含むことができる。この実施形態では、下側スプレーアーム部28はアイスブレード除氷部とみなすことができ、上側スプレーアーム部30は航空機の胴体に対して使用されるアイスハンマー除氷部とみなすことができる。アイスブレード除氷部は航空機の胴体から余分な氷をこすり落とすために使用されてもよく、アイスハンマー除氷部は航空機の胴体上に蓄積されたより大きな氷を取り除くために使用されてもよい。
【0024】
図3aを参照すると、航空機の自動除氷のためのシステムの概略正面図が示されている。この実施形態では、システムは、航空機50の自動除氷を実行するための一対の装置10を含み、各装置10が航空機50の一側部を除氷するよう構成されている。
【0025】
動作中、各装置10は、好ましくは、外部の者又は除氷作業員によって制御されるジョイスティックなどの遠隔コントローラから指示を受け取る。これらの指示には、空港内の除氷対象の航空機の位置(又は除氷位置)(グローバル・ポジショニング・システム(GPS)座標など)、除氷対象の航空機のタイプ、及び必要な除氷のタイプが含まれてもよい。必要な除氷のタイプには、除氷が必要な航空機上の位置、又は航空機の除氷に必要な除氷液のタイプ、又はその両方が含まれてもよい。当業者に理解されるように、他の除氷情報を送信するようにしてもよい。
【0026】
各装置10は、異なるハンガー又は異なる除氷施設など、空港内の任意の場所(出発位置)に位置することができるが、この出発位置は外部の者によって知られているものとする。あるいは、各装置10は、同じ除氷施設内に配置されてもよいが、別の航空機ベイ内に配置されてもよい。可動除氷装置10を有することにより、1つの可動式除氷機が複数の航空機ベイに対して作業を行うことができるため、各航空機除氷ベイが独自の定位置除氷器機を有し通常は現場の除氷作業員によって操作されるような一部の現行システムと比較して、必要な機器が少なくてすむ。
【0027】
指示を受信した後、装置10は、空港内を出発位置から、除氷位置又は除氷するよう指示された航空機の位置まで移動する。移動中、クレーンアーム部18及びスプレーアーム部20は収縮位置にあることが好ましい。除氷位置に到達した後、クレーンアーム部18及びスプレーアーム部20は、収縮位置から、
図3aに概略的に示される動作位置へと動く。スプレーアーム部の動作位置は、好ましくは、外部の者から受信した指示によって決定され、除染除去処理中に変更されてもよい。
【0028】
次に、装置10は、受信した指示に基づいて除氷プロセスを開始することができる。指示は、好ましくは作業が行われている航空機のタイプを含むため、各装置10は、除氷位置情報及び航空機情報のタイプに基づいて、航空機の一側部に沿って航空機の周囲又は輪郭を移動して除氷液(及び/又は圧縮ガス)を適用又はスプレーする。場合によっては、可動式プラットフォームの動きは連続的であってもよく、場合によっては、可動式プラットフォームは停止して、長時間の除氷又は汚染物除去が行われてもよい。
図3aに示すように、装置は、航空機50の機体の各側に除氷液をスプレー又は適用している。
【0029】
除氷液が航空機50にスプレーされると、装置は、航空機の前方部から後方部など航空機の隣を移動する。装置の横方向の動きを可能にするために、車輪付きプラットフォームは、好ましくは、旋回駆動部によって可能とされるような回転式車輪を含む。各装置が航空機50に沿って移動する間、クレーンアーム部18及びスプレーアーム部20もそれに応じて、可動式プラットフォームが航空機の輪郭を移動するときに、受信した指示に基づいて移動することができる。
【0030】
図3bを参照すると、航空機の自動除氷のためのシステムの別の概略正面図が示されている。この図からわかるように、スプレーアーム部20は別の動作位置にあり、航空機50の胴体及び尾部が除氷されている。スプレーアーム部20の位置は、外部の者から提供される指示を介してプロセッサ26によって制御される。スプレーアーム部20及びクレーンアーム部18の動きは、好ましくはプロセッサ26によって制御される。好ましい実施形態では、可動式プラットフォーム14及び旋回駆動部25の動きもまた、プロセッサ26によって制御される。図示はされていないが、装置が関与する衝突又は事故の可能性を減らすために、光検出及び測距(LIDAR)などの、しかしながらこれに限定されないさまざまな安全対策をとることもできることが理解されるであろう。また、自動運転車に関連する他の安全対策も考えられる。
【0031】
一部の除氷動作では、
図3a及び
図3bに概略的に示すように、動作を完了させるために複数の可動式除氷機を組み合わせなければならない場合があるため、可動式除氷機には、個別に又はグループとして、動作の異なる部分が割り当てられてもよい。除氷プロセスはいくつかの部分に分けることができ、例えば、1つの可動式除氷機又は可動式除氷機のグループに、航空機の特定の領域(例えば、左翼)が割り当てられたり、あるいは、可動式除氷機に、特定のタイプの除氷液又は特定の温度若しくは特定の濃度の除氷液を適用するよう割り当てられたりしてもよい。また、各可動式除氷機には、「スタンバイ」モードも割り当てられており、液体の補充や予期しないメンテナンスが必要になった場合に「ホットスワップ」方式で別の可動式除氷機の代わりをする準備ができている。
【0032】
各装置10は、他の装置10と通信して情報を共有し、環境及び動作条件について合意に達する機能を有することが好ましい。(プラットフォーム内外で収集された)気象データを共有することで、可動式プラットフォームは、環境条件が除氷動作にとって安全であるかどうかを判断することができる(例えば、ブームを伸ばしても安全かどうかを判断するための風速)。
【0033】
好ましい実施形態では、外部の者は停止コマンドを出して、すべての現在の動作を即座に停止し「安全モード」に入らせることができる。この安全モードでは、装置10の車輪、ブーム、スプレー及びその他の動いている部品のすべての位置が即座に保留され、維持される。停止コマンドが出された時点で装置のいずれかの部分が動いている場合、その部分は事前に定められた速度の制約内で即座に停止し、その位置を維持する。また、各装置10は、航空機、他の可動式プラットフォーム、障害物又はそれ自体(例えば、ブームが本体とぶつかるなど)との意図しない物理的接触を検出した場合に、停止コマンドを出す機能を有することが好ましい。停止コマンドを出した装置と連携して動作する他の装置も、外部の第三者が障害を修正するか又は動作を継続しても安全な状況とみなされるまで、停止コマンドに従わなければならない。
【0034】
図4aを参照すると、航空機の自動除氷のためのシステムの別の概略正面図が示されている。この実施形態では、システムは、航空機50を除氷するために使用される装置10に加えて、除氷プロセスの監視を支援するために使用されるカメラのセットをさらに含んでもよい。カメラ52の1つのセットが、航空機の画像を取り込むことができる位置にある、航空機から離れたポール54に取り付けられてもよい。図示されるように、カメラ52は、除氷プロセス中に航空機の機体の画像を取り込むよう航空機の機体に向けられる。一実施形態では、カメラ52のセットは熱画像を取得することができる。これらのカメラ52によって取り込まれた画像は、装置10により十分な除氷が完了したことを確認するために個人によって使用されてもよく、あるいは、さらなる除氷又は汚染物除去が必要な領域に対してさらなる除氷指示を出すために使用されてもよい。
【0035】
システムは、航空機の機体の画像を取得するために、装置10に取り付けられたカメラのようなカメラ56のさらなるセットを含んでもよい。
図4aに概略的に示され、「アイスボット(Icebot)ビュー」と標識されたような画像が、所定の作業員に送信されてもよい。一部の実施形態では、カメラのセットのうちの1セットのみを使用してもよいことは理解されるであろう。いずれかのカメラのセットによって取り込まれた画像はいずれも、所定の作業員に送信されてもよい。画像は、カメラからパイロットに、又は所定の作業員が見るために遠隔ディスプレイに送信されてもよい。これらの画像に基づいて、パイロットに滑走路に進む許可が与えられてもよく、あるいは装置にさらに除氷を行うように指示が提供されてもよい。
【0036】
図4aの下側に示すように、画像をパイロットに提供することで、パイロットもまた処理確認事項を提供できるよう、又はパイロットが除氷装置の性能に満足するように構成されてもよい。あるいは、パイロット処理確認事項は、除氷に関するパイロットからのリクエストであってもよく、外部の者によって装置10に提供される指示の一部を成してもよい。制御下にある各装置の位置を理解することにより、メイン制御システムは、各装置の位置を監視できるように、概観又は地理空間管理画面を提供することができる。
【0037】
図4bは、航空機の自動除氷のためのシステムの別の概略正面図であり、装置が航空機の尾部を除氷している。
図4cは、
図4aと同様の図であり、地理空間を示していた部分が動作制御インターフェースに置き換えられている。好ましい実施形態では、装置の制御は、好ましくは除氷制御管理システムを介して行われ、これは外部の者とみなすこともできる。
【0038】
図5a及び
図5bを参照すると、単一装置システムの概略図が示されている。
図5aは、ボーイング777航空機についての単一の装置の動作の上面図である。
図5aに示すように、航空機を除氷するために単一の装置が停止し得るステージの一実施形態が示されている。この実施形態では、装置10は、外部の者からの指示に基づいて除氷液を適用又はスプレーするために、航空機の周囲の20個のステージで停止するが、ステージの数及びステージの位置は異なっていてもよい。一実施形態では、装置は矢印の方向に進むが、装置は矢印とは反対の方向に移動してもよいことは理解されるであろう。
図5bは、ボーイング747に関する単一装置システムの動作の上面図を示す。
図5cは同様の上面図を示し、装置によって提供された情報に基づいて作業員に表示できる画面も示されている。
【0039】
図6を参照すると、装置の別の概略図が示されている。
【0040】
別の実施形態では、可動式プラットフォームは、60,000ポンドに耐えるものであり、地面衝突回避などの安全対策を含み、緯度と経度の測定値と座標のセットを受信でき、プラットフォームがベクトルセグメントを移動するときに回転しないようなプラットフォームのX,Y姿勢を維持しながらポイント間の直線ベクトルを追跡でき、低速及び高速を定め、そして遠隔制御できるように構成されている。
【0041】
スプレーアーム部は、プラットフォーム又は装置の移動方向の修正を可能にするために考え得る侵入/衝突を示すために、プロセッサと通信できることが好ましい。プロセッサは、好ましくは、燃料容量(バッテリー及びディーゼル)を決定する機能を含む。装置は、好ましくは、タイプ1液用タンク及びタイプ4液用タンクを格納できる。また、装置は、好ましくは、8時間などの所定の期間の間、動作電力を提供することができる。
【0042】
スプレーアーム部に関するいくつかの技術的要件として、そのパワー要件が電気及び油圧であることが含まれてもよい。好ましい実施形態では、スプレーアーム部又はクレーンアーム部はプラットフォームにボルトで固定されるが、他の固定方法も考えられる。スプレーアーム部は、好ましくは、伸長、収縮及び/又は鉛直方向に動くことができる関節アームを含む。さらに、スプレーアーム部は、好ましくは、その終端部に、除氷液適用前及び適用後の分析センサパッケージや液体及び空気噴射ノズルを収容する関節運動ハンドを含む。装置は、液体の流量、温度及び密度を測定するセンサをさらに含んでもよい。好ましい実施形態では、液体は独立して適用される。
【0043】
装置の全体的制御は、好ましくは、車輪付きプラットフォームのシャーシドライブ及びセンサを駆動させ、スプレーアーム部の制御を実行し、装置をコーディネートする全体的命令及び制御のための中心的情報(central intelligence)を組み合わせるよう構成されたコンピュータシステム又はモジュールを含む。
【0044】
本開示について、好ましい実施形態及びその具体的な例を参照して本明細書に図示及び記載されているが、他の実施形態及び例が同様の機能を実行し及び/又は同様の結果を達成し得ることは、当業者に容易に理解できるものである。そのようなすべての同等の実施形態及び例は本開示の精神及び範囲内にある。
【0045】
前述の説明では、説明を目的として、実施形態の完全な理解を提供するために多くの詳細が記載されている。しかしながら、これらの特定の詳細が不要とされてもよいことは当業者に明らかであろう。他の例では、理解を曖昧にしないために、よく知られた構造がブロック図の形で示されている場合がある。例えば、特定の詳細は、本明細書で説明する実施形態の要素がソフトウェアルーチン、ハードウェア回路、ファームウェア又はそれらの組み合わせとして実装されるか否かについて記載したものではない。
【0046】
本開示又はその構成要素の実施形態は、機械可読媒体(コンピュータ可読媒体、プロセッサ可読媒体、又はコンピュータ可読プログラムコードがエンコードされたコンピュータ使用可能媒体とも称される)に格納されたコンピュータプログラム製品として提供又は表すことができる。機械可読媒体は、ディスケット、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、メモリデバイス(揮発性又は不揮発性)又は同様のストレージメカニズムを含む磁気、光学又は電気記憶媒体を含む、任意の適切な有形の非一時的媒体とすることができる。機械可読媒体は、指示、コードシーケンス、設定情報又は他のデータのさまざまなセットを含むことができ、これらは、実行されると、プロセッサ又はコントローラに本開示の実施形態による方法のステップを実行させる。当業者であれば、記載された実装を実施するために必要な他の指示及び操作も機械可読媒体に格納できることが理解するであろう。機械可読媒体に格納された指示は、プロセッサ、コントローラ又は他の適切な処理デバイスによって実行でき、記述されたタスクを実行するために回路とインターフェースをとることができる。
【国際調査報告】