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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】カーボンナノチューブの精製方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/172 20170101AFI20220107BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20220107BHJP
   C01B 32/17 20170101ALI20220107BHJP
【FI】
C01B32/172
B82Y40/00
C01B32/17
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523244
(86)(22)【出願日】2019-10-03
(85)【翻訳文提出日】2021-05-21
(86)【国際出願番号】 US2019054563
(87)【国際公開番号】W WO2020101818
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】16/545,456
(32)【優先日】2019-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/191,185
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521173524
【氏名又は名称】アラインド カーボン,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALIGNED CARBON,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】プロヴァイン,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ビースレイ,カラ
(72)【発明者】
【氏名】ピトナー,グレゴリー
【テーマコード(参考)】
4G146
【Fターム(参考)】
4G146AA11
4G146AB06
4G146AB07
4G146AC16B
4G146AD19
4G146AD22
4G146AD26
4G146BA04
4G146CA01
4G146CB10
4G146CB11
4G146CB15
4G146CB16
4G146CB17
4G146CB35
(57)【要約】
カーボンナノチューブの精製方法であって、好ましくは、カーボンナノチューブを提供すること;マスクを堆積すること;及び/又は選択的にマスクの一部分を除去すること、を含み、所望に応じて、カーボンナノチューブのサブセットを除去すること、及び/又は残ったマスクを除去すること、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブの層をポリマーマスクでコーティングすることであって、前記層は、第一の集団のカーボンナノチューブ及び第二の集団のカーボンナノチューブを含み、前記ポリマーマスクは:
- 前記第二の集団ではなく、前記第一の集団をコーティングしている第一の部分と、
- 前記第一の集団ではなく、前記第二の集団をコーティングしている第二の部分と、
を含む、コーティングすること;
- 前記カーボンナノチューブの層を光で照射することを含む、前記ポリマーマスクの前記第二の部分ではなく、前記ポリマーマスクの前記第一の部分を選択的に解重合することであって、前記光は、前記第二の集団よりも前記第一の集団によってより強く吸収され、それによって、前記ポリマーマスクの前記第一の部分が加熱される、解重合すること;
- 前記ポリマーマスクの前記第一の部分を解重合した後、前記第二の集団のカーボンナノチューブではなく、前記第一の集団のカーボンナノチューブを選択的に除去することであって、前記ポリマーマスクの前記第二の部分は、前記第一の集団の除去の間、前記第二の集団を保護する、除去すること;並びに
- 前記第一の集団のカーボンナノチューブを選択的に除去した後、前記カーボンナノチューブの層から前記ポリマーマスクの前記第二の部分を除去すること、
を含む、カーボンナノチューブの精製方法。
【請求項2】
- 前記第一の集団が、金属性カーボンナノチューブから本質的に成り、及び
- 前記第二の集団が、半導体性カーボンナノチューブから本質的に成る、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一の集団のカーボンナノチューブを選択的に除去した後の、前記カーボンナノチューブの層の金属性/半導体性比が、0.001未満である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記カーボンナノチューブの層が、単一の単分子層又は部分単分子層として実質的に配列されている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記層の実質的にすべてのカーボンナノチューブが、互いに対して実質的に平行に配列されている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマーマスクが、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N-エチルピロリジンメタクリレート)、ポリ(フタルアルデヒド)、ポリ(4,5-ジクロロフタルアルデヒド)、ポリ(メチルグリオキシレート)、ポリ(カルバメート)、ポリウレタン、ポリカーボネート、又はポリ(ベンジルエーテル)のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマーマスクの厚さが、30nm未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記カーボンナノチューブの層を光で照射することが、前記カーボンナノチューブを、25nm超の波長帯域幅を定める光で照射することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第一の集団のカーボンナノチューブを除去することが、前記第一の集団のカーボンナノチューブ及び前記ポリマーマスクの前記第二の部分をエッチング剤環境に曝露することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記カーボンナノチューブの層が、基材によって支持されており、前記基材は、前記光に対して実質的に透過性である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
- 前記第一の集団が、半導体性カーボンナノチューブから本質的に成り、及び
- 前記第二の集団が、金属性カーボンナノチューブから本質的に成る、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
実質的に整列されたカーボンナノチューブの層をポリマーマスクでコーティングすることであって、前記層は、半導体性カーボンナノチューブ及び金属性カーボンナノチューブを含み、前記ポリマーマスクは:
- 前記半導体性カーボンナノチューブではなく、前記金属性カーボンナノチューブをコーティングしている第一の部分と、
- 前記金属性カーボンナノチューブではなく、前記半導体性カーボンナノチューブをコーティングしている第二の部分と、
を含む、コーティングすること;
- 前記半導体性カーボンナノチューブよりも前記金属性カーボンナノチューブを選択的に加熱し、それによって前記ポリマーマスクの前記第一の部分を加熱することを含む、前記ポリマーマスクの前記第二の部分ではなく、前記ポリマーマスクの前記第一の部分を選択的に解重合すること;及び
- 前記ポリマーマスクの前記第一の部分を解重合した後、前記半導体性カーボンナノチューブではなく、前記金属性カーボンナノチューブを選択的にエッチングすることであって、前記ポリマーマスクの前記第二の部分は、エッチングの間、前記半導体性カーボンナノチューブを保護する、エッチングすること、
を含む、カーボンナノチューブの精製方法。
【請求項13】
前記半導体性カーボンナノチューブではなく、前記金属性カーボンナノチューブを選択的に加熱することが、前記カーボンナノチューブを光で照射することを含み、前記光は、前記第二の集団よりも前記第一の集団によってより強く吸収される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記カーボンナノチューブの層を光で照射することが、前記カーボンナノチューブを、広帯域光源によって発せられる光で照射することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記カーボンナノチューブの層を光で照射することが、前記カーボンナノチューブを、600ナノメートル~750ナノメートルの波長を定める光で照射することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記半導体性カーボンナノチューブではなく、前記金属性カーボンナノチューブを選択的に加熱することが、前記カーボンナノチューブの層の長さ方向にわたって電圧バイアスを適用し、それによって、前記金属性カーボンナノチューブに電流を流すことを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記カーボンナノチューブの層が、単一の単分子層又は部分単分子層として実質的に配列されている、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリマーマスクが、自己犠牲ポリマーを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
選択的に前記金属性カーボンナノチューブをエッチングした後、前記カーボンナノチューブの層にポリマーマスクが実質的に残らないように、前記カーボンナノチューブの層から前記ポリマーマスクの前記第二の部分を除去することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記カーボンナノチューブの層から前記ポリマーマスクの前記第二の部分を除去することが、前記ポリマーマスクを加熱することによって前記ポリマーマスクを解重合することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ポリマーマスクの前記第一の部分を解重合した後、前記ポリマーマスクが、前記金属性カーボンナノチューブを露出させる複数の溝部を定め、各溝部は、0.5nm~10nmの幅を定める、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
カーボンナノチューブの層をポリマーマスクでコーティングすることであって、前記層は、第一の集団のカーボンナノチューブ及び第二の集団のカーボンナノチューブを含み、前記ポリマーマスクは:
- 前記第二の集団ではなく、前記第一の集団をコーティングしている第一の部分と、
- 前記第一の集団ではなく、前記第二の集団をコーティングしている第二の部分と、
を含む、コーティングすること;
- 前記第二の集団よりも前記第一の集団を選択的に加熱し、それによって、前記ポリマーマスクの前記第一の部分を加熱することを含む、前記ポリマーマスクの前記第二の部分ではなく、前記ポリマーマスクの前記第一の部分を選択的に解重合すること;及び
- 前記ポリマーマスクの前記第一の部分を解重合した後、前記第二の集団のカーボンナノチューブではなく、前記第一の集団のカーボンナノチューブを選択的にエッチングすることであって、前記ポリマーマスクの前記第二の部分は、エッチングの間、前記第二の集団を保護する、エッチングすること;及び
- 前記第一の集団のカーボンナノチューブを選択的にエッチングした後、前記カーボンナノチューブの層から前記ポリマーマスクの前記第二の部分を除去すること、
を含む、カーボンナノチューブの精製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、いずれもその全内容がこの参照により本明細書に援用される2018年11月14日に出願された米国特許出願第16/191,185号、及び2019年8月20日に出願された同第16/545,456号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、精製の分野全般に関し、より詳細には、カーボンナノチューブ精製のための新規で有用な方法に関する。
【背景技術】
【0003】
カーボンナノチューブ精製のための典型的な方法は、1又は複数の制限を受ける傾向にある。例えば、そのような方法では、精製されるサンプル中におけるカーボンナノチューブの整列を保存することができない場合がある。加えて又は別の選択肢として、そのような方法及びシステムは、表面のパターン形成、高い温度及び/若しくはエネルギー消費の使用を必要とする場合があり、並びに/又は精製されたカーボンナノチューブの上及び/若しくは周りに所望されない残渣を残す場合がある。
【0004】
したがって、精製の分野において、カーボンナノチューブ精製のための新規で有用な方法を作り出すことが求められている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、カーボンナノチューブ精製方法の実施形態のフローチャートである。
図2A図2Aは、カーボンナノチューブ層の平面図を含む、方法の例の模式図である。
図2B図2Bは、カーボンナノチューブ層の断面図を含む、方法の例の模式図である。
図2C図2Cは、図2Bのマスクの模式図である。
図3A図3Aは、方法の要素の変型例の模式図である。
図3B図3Bは、方法の要素の変型例の模式図である。
図3C図3Cは、方法の要素の変型例の模式図である。
図4図4は、方法の要素の模式図である。
図5A図5Aは、様々な波長範囲におけるカーボンナノチューブの光学吸収係数を表す。
図5B図5Bは、様々な波長範囲におけるカーボンナノチューブの光学吸収係数を表す。
図5C図5Cは、様々な波長範囲におけるカーボンナノチューブの光学吸収係数を表す。
図5D図5Dは、様々な波長範囲におけるカーボンナノチューブの光学吸収係数を表す。
図6図6は、方法の要素の変型例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の好ましい実施形態の以下の記述は、本発明をこれらの好ましい実施形態に限定することを意図するものではなく、いずれの当業者も本発明を作製及び使用できるようにすることを意図するものである。
【0007】
1.概要
カーボンナノチューブ(CNT)精製のための方法100は、好ましくは:カーボンナノチューブを提供すること、S110;マスクを堆積すること、S120;及び/又は選択的にマスクの一部分を除去すること、S130(例:図1に示されるように)を含む。方法100は、所望に応じて、カーボンナノチューブのサブセットを除去すること、S140、及び/又は残りのマスクを除去すること、S150、を含んでよい。しかし、方法100は、加えて又は別の選択肢として、他の適切ないかなる要素を含んでもよい。方法100は、好ましくは、CNTの所望される集団を単離することなどによって(例:図2Aに示されるように、所望されないすべての又は実質的にすべてのCNTを除去することによって)、CNTのサンプルを精製するように機能する。
【0008】
2.有益性
方法100は、いくつかの有益性を付与することができる。第一に、方法100の実施形態は、CNTの高選択的精製を実現することができる(例:99%、99.9%、99.99%、99.999%、99.9999%、99.99999%又はそれ以上を超える純度のCNTが得られる)。第二に、方法100の実施形態は、CNTの精製を(例:非パターン形成基材及び/又は方法100を可能とする以外の用途のためにパターン形成された基材などの任意の基材上で)、それらの整列を乱すことなく実施可能とすることができる(例:CNTの層の整列を保存可能とする)。第三に、方法100の実施形態は、低い温度で及び/又は低いエネルギー消費で行うことができ、それによって、温度感受性基材の使用が可能となり、及び/又はCNT処理に伴うエネルギーコストが削減される。第四に、方法100の実施形態は、方法100を、大面積の広帯域及び/又は連続波(CW)光照射を用いて実施することなどによって、CNTの高スループット精製を可能とすることができる。第五に、方法100の実施形態は、処理残渣及び/又は他の汚染物が最小限である(例:実質的にない)精製されたCNTをもたらす清浄な乾式(例:液体なし)プロセスを用いることができる。第六に、方法100の実施形態は、CMOSフロントエンドのライン要件に適合する材料及びプロセスのみを用いることができる。しかし、方法100は、加えて又は別の選択肢として、他の適切ないかなる有益性を付与するものであってもよい。
【0009】
3.方法
3.1 カーボンナノチューブの提供
カーボンナノチューブを提供すること、S110、は、好ましくは、精製されるべき材料を提供するように機能する。CNTは、2つ以上のCNT集団の混合物を含んでよく、この場合、方法100は、好ましくは、1又は複数のそのような集団を他の集団から単離するように機能する。集団は、異なる特性を有するCNTを含み得る(例:異なる特性を有するCNTに基づいて区別され得る)。これらの特性としては、チューブ軸線に沿った特性などの電気及び/若しくは電子特性(例:バンドギャップ、電気抵抗、キラル性に起因する及び/又は付随する特性など)、光学特性(例:1又は複数の波長での吸収係数、吸収スペクトルの特徴など)、形状特性(例:径、長さ、キラル性、配向など)、熱特性(例:横方向、周方向、及び/又は軸線方向の熱伝導率などの熱伝導特性など)、機械及び/若しくは音響特性(例:共振モード)、並びに/又は他の適切ないずれかの特性が挙げられ得る。1つの例では、精製されるべきCNTは、CNTの電気特性に基づいて定められる2つの集団(例:金属性集団と半導性体集団)を含み、この場合、方法100は、第一のCNT集団の実質的にすべてを除去するように機能し、それによって、第二のCNT集団が精製される(例:金属性集団を除去した結果、実質的に純粋な半導体性CNTが得られる)。しかし、提供される材料は、加えて又は別の選択肢として、他の適切ないかなるCNTの集団を含んでもよい。
【0010】
CNTは、好ましくは、CNTの層として提供されるが、加えて又は別の選択肢として、他の適切ないかなる方法で配列されていてもよい。CNTは、好ましくは、単分子層(又は部分単分子層)を実質的に形成し、層に含まれる異なるCNTの重なりは、好ましくは最小限である。特に、維持されるべきCNTと基材との間に配列されているなど、維持されるべきCNTの1又は複数の下に配列されている除去されるべきCNT(例:第一のCNT集団のCNT)の数を最小限に抑えることが望ましい場合があり、なぜなら、そのような配列は、方法100の有効性を低下させ得る(例:上に重なっている第二のCNT集団のCNTからの干渉に起因して、重なられている第一のCNT集団のCNTが意図するように除去されないという結果になり得る)からである。しかし、加えて又は別の選択肢として、除去されるべきCNT(例:第一のCNT集団のCNT)の1又は複数の下に配列されている維持されるべきCNT(例:第二のCNT集団のCNT)の数を最小限に抑えることが望ましい場合もあり、なぜなら、そのような配列は、重なられている第二のCNT集団のCNTが、交差部分で及び/又は交差部分近傍で損傷される結果となり得るからである(例:S140のCNT除去プロセスによって)。いくつかの実施形態では、CNTは、閾値(例:1平方ミクロンあたり1、2、5、10、15、20、25、35、50、70、100、200、500、1000、0.1~1、1~10、10~20、15~40、40~100、100~300、300~1000、又は1000~10000の交差部分、など)よりも少ない交差部分密度(例:単位面積当たりの重なったCNT領域の数)を有するが、別の選択肢として、他の適切ないかなる交差部分密度及び/又は交差部分配列を有していてもよい。
【0011】
CNTは、好ましくは、実質的に平行な長さ方向軸線を有する、及び/又は1又は複数の線(例:CNT端部によって定められる参照線)に実質的に沿って終端しているなど、実質的に整列されている。いくつかの実施形態では、CNTの少なくとも閾値部分(例:CNTの99.9、99.5、99、98、95、90、80、65、50、40~65、65~85、85~95、95~99、又は99~100%など)が、それらの長さ方向軸線が参照軸線(例:長さ方向整列軸線)の閾値角(例:0.1、0.5、1、2、3、5、10、15、20、0~1、1~3、3~10、10~30、又は30~45°など)以内にあるように配列されている。1つの変型例では、CNTは、複数のサブセットを含み(例:空間的に分離されたサブセット)、各サブセットは、異なる方向(例:長さ方向整列軸線)に沿って実質的に整列されている。しかし、CNTは、別の選択肢として、他の適切ないかなる配列を有していてもよい。
【0012】
CNT(例:CNTの層)は、低、中、若しくは高密度を有していてよく、又は他の適切ないかなる密度を有していてもよい。いくつかの実施形態(例:CNTが成長した状態で提供される、成長したCNTの単一バッチが別の基材に移される、など)では、密度は、閾値線密度(例:1ミクロンあたり0.1、0.3、1、2、5、10、20、30、0.001~0.1、0.1~1、1~3、3~10、10~30、30~100、又は100~300のCNT、など)よりも小さい及び/又は大きい。他の実施形態(例:成長したCNTの複数のバッチが基材に移される)では、密度は、閾値線密度(例:1ミクロンあたり10、20、30、50、75、100、125、150、175、200、250、300、500、1000、0.01~1、1~10、10~20、15~30、30~50、50~80、80~125、125~175、175~250、250~400、400~600、600~1000、又は1000~10000のCNT、など)よりも小さい及び/又は大きい。第一の具体例では、線密度は、1ミクロンあたり少なくとも200のCNTである(例:1ミクロンあたり200~500のCNT)。第二の具体例では、線密度は、1ミクロンあたり少なくとも500のCNTである。しかし、CNTは、別の選択肢として、他の適切ないかなる密度を有していてもよい。線密度は、好ましくは、長さ方向整列軸線に対して実質的に垂直である方向(例:基材の面内)に関して特定されるが、加えて又は別の選択肢として、他の適切ないかなる方向に関して特定されてもよい。
【0013】
CNTは、好ましくは、単層CNT(SWNT)であるが、加えて又は別の選択肢として、多層CNT(MWNT)及び/又は他の適切ないかなるCNTを含んでもよい。CNTは、好ましくは、実質的に均一な径を有しており、CNTの少なくとも閾値部分(例:CNTの99.9、99.5、99、98、95、90、80、65、50、40~65、65~85、85~95、95~99、又は99~100%、など)が、閾値絶対幅(例:0.1、0.2、0.5、1、2、5、10、30、100、0.1~0.3、0.3~1、1~3、又は3~10nmなど)以内の径を有する、及び/又は互いの相対量(例:0.1、1、2、5、10、20、50、0~0.1、0.1~1、1~2、2~5、5~10、10~20、又は20~50%など)(例:平均径又はメジアン径に対する相違、いずれか2つのCNT間の相違、など)以内の径を有する場合などであるが、別の選択肢として、実質的に異なる径、及び/又は他の適切ないかなる径を有していてもよい。平均径、メジアン径、最小径、最大径、第一四分位径、及び/又は第三四分位径などのCNT径は、0.3、0.43、0.75、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.75、2、3、5、10、0.43~0.75、0.75~1.25、1~1.5、1.25~1.75、1.75~2.5、2.5~5、5~10、若しくは10~30nmであってよく、及び/又は他の適切ないかなる径であってもよい。具体例では、メジアン径は、0.8~1.6nmの範囲内である(例:およそ1nm、およそ1.2nm、およそ1.5nmなど)。
【0014】
CNTは、好ましくは、実質的に均一な長さを有しており、CNTの少なくとも閾値部分(例:CNTの99.9、99.5、99、98、95、90、80、65、50、40~65、65~85、85~95、95~99、又は99~100%など)の長さの相違が、閾値絶対長さ(例:1、10、100、200、500、1000、2000、5000、10000、50000、0.1~1、1~10、10~100、100~1000、1000~10000、又は10000~100000nmなど)以下である、並びに/又は互いからの及び/若しくは平均若しくはメジアン長さからの相対量(例:0.1、1、2、5、10、20、0~0.1、0.1~1、1~2、2~5、5~10、又は10~20%など)以下である場合などであるが、別の選択肢として、実質的に異なる長さ、及び/又は他の適切ないかなる長さを有していてもよい。平均長さ、メジアン長さ、最小長さ、最大長さ、第一四分位長さ、及び/又は第三四分位長さなどのCNT長さは、0.01、0.1、0.2、0.5、1、2、5、10、30、100、300、1000、0.001~0.1、0.1~1、1~10、10~100、100~1000、又は1000~10000ミクロンであってよく、及び/又は他の適切ないかなる長さであってもよい。
【0015】
CNT(例:CNTの層)は、好ましくは、基材(例:任意の基材)によって支持されており、基材は、CNTのための機械的支持を提供するように、並びに/又はCNTの取り扱い及び/若しくは処理を促進するように機能し得る。基材は、CNTが成長した基材、CNTが移された基材、これらの組み合わせ(例:CNTの第一のバッチが基材上で成長し、CNTの1又は複数の追加のバッチがその基材に移された場合)、及び/又は他の適切ないかなる基材であってもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では(例:S120がマスクを堆積するためのスピンコーティングを含む場合)、基材は、好ましくは、実質的に平滑である(例:R、R、R、R、R、Rsk、Rku、RzDIN、RzJIS、S、S、Sなどの1又は複数の粗度パラメータが、1、10、100、1000、0~1、1~10、10~100、100~1000、1000~10000、又は10000~100000nmの粗度などの閾値量未満である場合)。基材は、好ましくは、方法100の続いての要素(例:S130及び/又はS150など)で用いられる温度(例:100、120、140、160、180、200、250、300、20~60、60~100、100~120、120~140、140~160、160~180、180~200、200~250、250~300、又は300~400℃など)に、基材に対して実質的に損傷がないなどの状態で耐えることができるが、別の選択肢として、そのような温度の耐性を有していなくてもよい。基材は、好ましくは、S130で適用される入力に対して影響を受けにくい(例:CNTの選択的加熱に用いられる光に対して実質的に透過性である:0、0.5、1、2、5、10、0~1、1~5、又は5~20%の不透明度を有するなど、その光に対して半透過性である;その光が、基材-マスク界面に、その界面の臨界角よりも浅い角度で入射する場合など、その光に対して高度に反射性である、など、入力によって実質的に直接加熱されない)。1つの例では、基材は、S130で用いられる照射に対して実質的に透過性であり、少なくとも160℃までの温度の耐性を有する。しかし、基材は、加えて又は別の選択肢として、他の適切ないかなる特性を有していてもよい。
【0017】
基材は、単結晶、多結晶、マイクロ結晶、ナノ結晶、アモルファスであってよく、及び/又は他の適切ないかなるマイクロ構造を有していてもよい。基材は、ウェハ(例:半導体ウェハ;25mm、51mm、76mm、100mm、125mm、130mm、150mm、175mm、200mm、300mm、450mmなどの径のウェハ)、シート(例:ガラスシート、GEN 1、GEN 2、GEN 3、GEN 3.5、GEN 4、GEN 4.5、GEN 5、GEN 6、GEN 7、GEN 7.5、GEN 8、GEN 9、GEN 10、GEN 10.5などに相当するサイズのシートなど)、ブロックであってよく、及び/又は他の適切ないかなる形状を有していてもよい。基材の材料の例としては、石英、シリコン(例:単独、酸化物層及び/又は窒化物層などの1又は複数の絶縁層あり)、サファイア、ガラス(例:ボロシリケートガラス、フロートガラスなど)、プラスチック、ファブリック、及び/又は他の適切ないかなる材料も挙げられ得る。基材は、単独(例:実質的に均一)であっても、パターン形成されていても(例:予備パターン形成ウェハ、ディスプレイ、電話などの仕上げ済みデバイス(又は、CNT以外は仕上げ済み)、及び/又はそれらの素子、など)、及び/又は他の適切ないかなる特徴を有していてもよい。しかし、方法100は、加えて又は別の選択肢として、他の適切ないかなる基材上に(及び/又はいかなる基材もなしで)CNTを提供することも含んでよい。
【0018】
CNT及び/又は基材は、好ましくは、実質的にCMOS非適合性材料を含まない。第一の例では、CNT及び/又は基材は、実質的に金属(例:金属による微量汚染物、微量汚染物以外の金属、など)を含まない。第二の例では、CNT及び/又は基材は、1又は複数のCMOS適合性金属(例:Al、W、Ti、Ni、Co、Pt、Al、Hf、Ta、Mo、W、Ti、Cr、Zr、Pdなど)以外の金属を実質的に含まない。しかし、CNT及び/又は基材は、加えて又は別の選択肢として、他の適切ないかなる材料及び/又は汚染物を含んでいてもよい。
【0019】
S110は、所望に応じて、CNT(すべて又は一部)を成長させることを含んでよい(例:基材上に;基材に移す前などの異なる基材上に;など)。例えば、S110は、パターン形成成長技術(例:その全内容がこの参照により本明細書に援用される、「Methods of making spatially aligned nanotubes and nanotube arrays」と題する米国特許第8,367,035号に記載ものもなど)を、好ましくはCNTの整列された層を成長させるために行うことを含んでよい。S110は、加えて又は別の選択肢として、インクジェット印刷、熱転写印刷、コンタクトプリント、乾式転写印刷、スクリーン印刷、及び/又は他の適切ないずれかの転写技術などによって(その全内容がこの参照により本明細書に援用される、「Multiple carbon nanotube transfer and its applications for making high-performance carbon nanotube field-effect transistor(CNFET),transparent electrodes,and three-dimensional integration of CNFETS」と題する米国特許第9,748,421号に記載のものなど)、CNT(すべて又は一部)を基材へ移すことを含んでよい。しかし、S110は、加えて又は別の選択肢として、他の適切ないかなる方法でCNTを提供することも含んでよい。
【0020】
3.2 マスクの堆積
マスクを堆積すること、S120は、好ましくは、パターン形成可能材料でCNTを保護及び/又は封入するように機能する。マスクは、例えば、スピンコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、蒸着、スパッタリング、原子層堆積、自己組織化、及び/又は他の適切ないかなる堆積技術によって堆積されてもよい。
【0021】
マスクは、好ましくは、実質的にすべてのCNTを保護及び/又は封入する(例:覆う)(例:CNTの層全体を実質的に覆う)が、別の選択肢として、その適切ないずれかのサブセットを保護及び/又は封入してもよい。マスクは、好ましくは、実質的に同じ程度で、異なる集団のCNT(例:以下でより詳細に述べるように、第一及び第二の集団)を保護及び/又は封入するものであり、各々の集団の類似の(例:実質的に等しい)割合が、マスクによって保護及び/又は封入される(例:覆われる)場合などである。マスクが、異なるCNT集団を保護及び/又は封入する異なる部分を含む実施形態では(例:第一の部分は、第一の集団を被覆するが、第二の集団は被覆せず、第二の部分は、第二の集団を被覆するが、第一の集団は被覆しない)、マスクの異なる部分は、好ましくは、様々な集団との空間的関係によって定められ(例:図2Cに例として示されるものなど、各部分は、対応するCNT集団を覆うマスクのサブセットとして定められる)、他のいずれかの特徴によってではない。異なる部分は、好ましくは、様々な集団とのその空間的関係以外は、実質的に同じ特徴を有する(例:異なる部分が、好ましくはマスクの残りの部分と共に、一緒になって実質的に均一で実質的に連続する層を形成する)。例えば、異なる部分は、好ましくは、同じ堆積プロセスによって堆積された同じ材料を含み、及び好ましくは、同時に堆積される(例:第一及び第二の部分は、同じ堆積プロセスで同時に堆積される)。マスクは、好ましくは、異なる集団のCNTの様々な位置に対応する横方向のいかなるパターン形成も含まない。いくつかのそのような例では、CNTがなければ、マスクの異なる部分間を区別することはできない(例:マスクのいずれの特定の部分の境界も特定することができず、また、マスク上のいずれの特定の位置に対しても、その位置がどの部分と関連付けられているかを特定することもできない)。
【0022】
マスク(例:堆積後)は、好ましくは、実質的に単一の材料から成るが(例:少なくとも75%の純度、90%の純度、95%の純度、99%の純度、99.9%の純度など;溶媒などのマスク堆積に伴う1又は複数の物質を含めて又は除外して)、別の選択肢として、複数の材料を含んでいてもよい。マスク材料は、好ましくは、薄く均一な層で堆積(例:容易に堆積)されるように操作されるが、加えて又は別の選択肢として、他の適切ないかなる堆積の特徴を有していてもよい。材料は、好ましくは、ポリマーであるが、加えて又は別の選択肢として、有機小分子、金属、半導体、セラミック、及び/又は他の適切ないかなる材料を含んでいてもよい。マスクは、好ましくは、S130で適用される入力に対して影響を受けにくい(例:CNTの選択的加熱に用いられる光に対して実質的に透過性であるなど、入力によって実質的に直接加熱されない)。
【0023】
マスク(例:マスクのすべて又は一部)は、好ましくは、CNTと熱接触する。例えば、マスクは、CNTの上及びCNTの間(例:CNT間に露出した基材上)に層を形成し得る(例:コンフォーマルコーティングなどのコーティング)。マスクは、好ましくは、実質的に均一であるが(例:均一なコンフォーマルコーティング厚さ又は基材からマスク層の上部までの均一な距離など、均一な厚さ;基材全体又はその一部分にわたって横方向に均一など、均一な組成;など)、別の選択肢として、適切ないかなる非均一性を有していてもよい。マスクは、好ましくは、それが覆う(例:S140の過程で)CNTを保護するのに充分に厚いが、好ましくは、細いトレンチ(例:1、2、5、8、10、12、15、20、0~1、1~5、5~15、15~20、又は20~35nm幅などの閾値幅未満)の形成(例:S130の過程で)を可能とするのに充分に薄く、このことは、高い選択性を可能とすることができ(例:誤った集団のCNTの偶発的な露出が回避される)、及び/又は方法100を実施する(例:S130及び/又はS150を実施する)のに必要なエネルギーを低減することができる。例えば、マスクは、第一の閾値厚さ(例:2、5、8、10、12、15、20、30、50、1~5、5~15、15~20、20~30、30~50、又は50~100nm)よりも薄くてよく、及び/又は第二の閾値厚さ(例:0.5、1、2、5、8、10、12、15、20、0~1、1~5、5~15、15~20、又は20~35nm)よりも厚くてよい。しかし、マスクは、加えて又は別の選択肢として、他の適切ないかなる厚さを有していてもよい。
【0024】
マスクは、好ましくは、1又は複数の刺激に応答して、分解(例:解重合)を受け易い(例:1又は複数の刺激応答性、解重合性、低天井温度のポリマーを含む)。刺激は、好ましくは、温度上昇(例:30、40、60、80、100、120、140、160、180、200、250、300、20~60、60~100、100~120、120~140、140~160、160~180、180~200、200~250、250~300、又は300~400℃などの閾値温度超への温度上昇)などの熱関連刺激であるが、加えて又は別の選択肢として、他の適切ないかなる刺激であってもよい。材料分解プロセスは、好ましくは、その後に材料残渣の除去(例:エチング、1又は複数の溶媒による洗浄など)を必要としないなど、清浄なプロセスである(例:残渣が最小限である、又は実質的に残渣を残さない)。例えば、分解プロセスは、解重合プロセスであってよく、CNTを残すモノマー(例:揮発性モノマー)(例:蒸発する、ポンプ除去される、など)が生成される。しかし、材料は、加えて又は別の選択肢として、他の適切ないかなる特徴を有していてもよい。
【0025】
当業者であれば、解重合は、ポリマーをその構成モノマーに、及び/又は構成オリゴマーに分解するプロセスであることは認識される。解重合の生成物は、ほとんど(例:すべて、90%、95%、98%、99%、99.9%、99.99%超など実質的にすべて、など)が構成モノマーであってよいが、加えて又は別の選択肢として、構成オリゴマーを含んでいてもよい(例:モノマーとオリゴマーとの混合物を含む、実質的にオリゴマーのみを含む、など)。構成オリゴマーは、適切ないかなる数の繰り返し単位を有するオリゴマーを含んでもよい(例:2、3、4、5、6~10、10~20、及び/又は20~50の繰り返し単位など)。解重合の生成物は、好ましくは、構成モノマー及び/又は構成オリゴマーから本質的に成る。解重合によって生成される構成モノマーは、好ましくは、解重合されたポリマーの繰り返し単位及び/又は構造単位に伴うモノマーである(例:モノマーは、繰り返し単位及び/又は構造単位の分子類似体である)。ポリマーが異なる種類の複数の構造単位を含むいくつかの例では(例:複数のモノマー種から形成された縮合ポリマーなどのポリマーにおいて)、解重合は、複数種類の構成モノマー(例:ポリマーが形成された複数のモノマー種、又はそのサブセットであるなど、構造単位に伴う)、及び/若しくは構成オリゴマーを生成してよく、又は単一種類の構成モノマー(例:繰り返し単位に伴う)及び/若しくは構成オリゴマーを生成してもよい。いくつかの例では、解重合は、アンジッピングプロセス(「アンジッピング解重合」)を含み、その場合、解重合は、ポリマーに沿って進行する一連の反応によって発生して(例:ポリマーの一方の端部から開始、モノマーごとに進行、など)、構成モノマー(及び/又は構成オリゴマー)が得られる。当業者であれば、さらに、解重合がポリマー分解の一例であること、及びポリマーが他の多くの分解プロセス(例:熱分解、ガス化、加溶媒分解など)を受け得ることが認識され、それらはすべて、解重合とは異なっている。例えば、解重合とは対照的に、熱分解は、典型的には、いろいろな小分子(ポリマーの構成モノマー及び/又は構成オリゴマーに限定されない)及び炭素質残渣を生成する。
【0026】
いくつかの実施形態では、材料は、刺激応答性ポリマーであり(又は刺激応答性ポリマーを含み)、これは、トリガーイベントに応答して、好ましくは解重合によって分解するように構成されたポリマーである。そのようなポリマーとしては、自己犠牲ポリマー(self-immolative polymers)を挙げることができ、これは、1又は複数のトリガー基(例:末端封止)によって安定化されたポリマー鎖である。トリガー基の非存在下では、ポリマー鎖は、閾値温度、典型的には低い温度(例:-20℃~-40℃など、-60℃~0℃の範囲内)を超える場合に、分解する(例:解重合する、好ましくは、ポリマーを安定化するためにトリガー基が存在する末端から開始するアンジッピング解重合を介して)。トリガー基は、それがポリマー鎖と結合している場合に、この分解を防止するように機能することができ(例:鎖の1又は複数の末端で);トリガー基の開裂及び/又は分解などに起因してトリガー基がなくなると(例:100~180℃などの閾値を超える温度に到達したことに応答するなど、刺激に応答して)、ポリマー鎖は、好ましくは、上記で述べたように、分解(例:解重合、好ましくはアンジッピング解重合)を起こす。材料が自己犠牲ポリマーを含む1つの例では、トリガー基は、トリクロロアセチルイソシアネート(TCAI)、アゾベンゼン、クロロホルメート、又は無水酢酸などの末端封止である。
【0027】
自己犠牲ポリマー(例:上記で述べたものなどの末端封止及び/又は他のトリガー基あり)としては、例えば、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N-エチルピロリジンメタクリレート)、ポリ(フタルアルデヒド)、ポリ(4,5-ジクロロフタルアルデヒド)、ポリ(メチルグリオキシレート)、ポリ(カルバメート)、ポリウレタン、ポリカーボネート、及び/若しくはポリ(ベンジルエーテル)、又は複数のそのような材料の組み合わせが挙げられ得る。ポリマー鎖は、分岐鎖状、直鎖状、環状であってよく、及び/又は他の適切ないかなる立体配置を有していてもよい。ポリマー鎖は、10~1000nmの長さであってよく、又は適切ないかなる長さを有していてもよい。マスク中のポリマー単位は、好ましくは、類似の及び/又は実質的に同一の特性を有するが、別の選択肢として、一定でなくてもよい。しかし、マスクは、加えて又は別の選択肢として、他の適切ないかなるポリマー及び/又は他の材料を含んでいてもよい。
【0028】
マスクは、好ましくは、実質的にCMOS非適合性材料を含まない。第一の例では、マスクは、実質的に金属(例:金属による微量汚染物、微量汚染物以外の金属、など)を含まない。第二の例では、マスクは、1又は複数のCMOS適合性金属(例:Al、W、Ti、Ni、Co、Pt、Al、Hf、Ta、Mo、W、Ti、Cr、Zr、Pdなど)以外の金属を実質的に含まない。しかし、マスクは、加えて又は別の選択肢として、他の適切ないかなる材料及び/又は汚染物を含んでいてもよい。
【0029】
しかし、マスクは、加えて又は別の選択肢として、他の適切ないかなる材料を含んでいてもよく、他の適切ないかなる特徴を有していてもよく、及び/又は他の適切ないかなる方法で堆積されてもよい。
【0030】
3.3 選択的なマスクの一部分の除去
選択的にマスクの一部分を除去すること、S130、は、好ましくは、マスクをパターン形成するように機能する(例:1又は複数の集団のCNTに対する近接性に基づき、それによってCNT集団間の区別を可能とする)。マスクの部分は、好ましくは、上記で述べたものなどの(例:S120に関して)分解(例:解重合)によって除去されるが、加えて又は別の選択肢として、他の適切ないかなる方法で除去されてもよい。除去されたマスクの部分は、好ましくは、実質的に残渣及び/又は他の汚染物を残さない(例:CNT上に、基材上に、など)。例えば、分解生成物(例:解重合によって形成された揮発性モノマー)は、CNTからポンプ除去されてよい。S130は、周囲環境(例:空気)、不活性環境(例:窒素、アルゴンなど)、真空環境(例:減圧環境などの部分的真空、低真空、高真空、超高真空など)、及び/又は他の適切ないかなる環境中で行われてもよい。
【0031】
S130は、好ましくは、第一のCNT集団(例:除去されるべき集団)を覆っている(例:コーティングしている)マスク部分(「第一のマスク部分」)を除去することを含み、及び好ましくは、第二のCNT集団(例:維持されるべき集団)を覆っている(例:コーティングしている)マスク部分(「第二のマスク部分」)を除去しないこと(及び/又は除去を最小限に抑えること)を含む。しかし、S130は、加えて又は別の選択肢として、他のいかなるCNT集団を覆っているマスク部分を除去することも、及び/又は他の適切ないかなるマスクの部分を除去することも含んでよい。
【0032】
第一のマスク部分を除去することは、好ましくは、第一のCNT集団の各CNTのすべて又は一部(又は、第一のCNT集団のCNTの少なくとも90、99、99.9、99.99、99.999、99.9999、若しくは99.99999%など、その実質的な割合)を露出するものであり、そのような各CNTのチューブ幅の最小閾値割合以上及び/若しくは最大閾値割合以下(例:チューブ幅の1、2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、98、99、100、0~1、1~10、10~30、30~60、60~80、80~90、90~95、95~99、又は99~100%)を露出する、並びに/又は片側若しくは両側にチューブ幅を超えて拡がる(例:チューブ幅の1、2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、98、99、100、0~1、1~10、10~30、30~60、60~80、80~90、90~95、95~99、又は99~100%など、最小閾値割合以上及び/又は最大閾値割合以下拡がる)領域を露出する、などである。いくつかの実施形態では、S130は、第一のCNT集団の各CNT(又はそのようなCNTの実質的にすべて)の上及び/又は周囲にトレンチを形成することを含み、図2Bに例を示す。各トレンチは、好ましくは、上記で述べた幅(例:露出されるチューブ幅の最小及び/又は最大閾値割合に関して;マスク厚さに関するなどS120に関して;など)などのある幅(例:その長さ又はその一部分に沿った、平均幅、メジアン幅、最小幅、最大幅など)を有する。1つの例では(例:CNTのすべて又は一部が、1~1.5nmの範囲内の幅を有する場合)、トレンチのすべて又は一部は、0.5~20nm、好ましくは1~10nm(例:1、2、3、5、7.5、10、1~2、2~5、又は5~10nm)の幅を有する。しかし、トレンチは、加えて又は別の選択肢として、他の適切ないかなる幅を有していてもよい。
【0033】
選択的にマスクの一部分を除去すること、S130、は、好ましくは、1又は複数の所望されないマスク構成をもたらさない(又はその発生を最小限に抑える)。所望されないマスク構成の第一の例は、第一の集団のCNTの幅を過剰に超えて拡がるトレンチを形成することを含み(例:S140を可能とするのに必要である分を大きく超えて拡がる)、それによって、トレンチは、第二の集団のCNTも露出させ、その結果、露出された第二の集団のCNTが損傷し得る及び/又は除去され得る(例:図3Aに示されるように)。所望されないマスク構成の第二の例は、第二の集団のCNTを露出させること(例:その上にトレンチを形成すること)を含み(例:第一の集団のCNT上ではなく、及び/又はそれに加えて)、その結果、露出された第二の集団のCNTが損傷し得る及び/又は除去され得る(例:図3Bに示されるように)。所望されないマスク構成の第三の例は、第一の集団のCNTを露出させること(例:その上にトレンチを形成すること)ができないことを含み、その結果、露出されていない第一の集団のCNTを除去できない可能性がある(例:図3B~3Cに示されるように)。しかし、S130は、加えて又は別の選択肢として、他の適切ないかなる所望されないマスク構成を回避すること及び/若しくは最小限に抑えることも含んでよく、又はそのような回避すること及び/若しくは最小限に抑えることを含まなくてもよい。
【0034】
S130は、好ましくは、選択的に1又は複数の目標CNT集団を加熱すること、S131、を含む(例:第二のCNT集団よりも第一のCNT集団をより加熱することなど、第一のCNT集団を優先的に加熱すること)。S131は、好ましくは、目標CNTに近いマスクの領域への(例:第一のマスク部分への)熱伝導をもたらし、それによって、加熱領域の温度をマスクの分解温度を超えて高め(例:トリガー基がマスクの刺激応答性ポリマーをそれ以上安定化せず、それによって解重合が引き起こされる温度を超えて)、これらの領域を分解させる。しかし、S131は、好ましくは、非目標CNTに近いマスクの領域への著しい(例:マスクの分解を引き起こすのに充分な)熱伝導(例:非目標CNTの所望されない加熱に起因する、目標CNTのからの熱伝導に起因する、など)はもたらさず、それによって、これらの領域(例:第二のマスク部分)の分解が回避される。したがって、S131は、好ましくは、目標CNT集団と非目標CNTとの間の加熱率が大きく異なることを含む(例:1.1、1.5、2、3、5、10、20、1~1.2、1.2~2、2~5、5~10、10~20、又は20~50倍大きいなど、目標CNT集団の加熱の方が閾値率よりも大きい)。
【0035】
S131は、好ましくは、目標CNT集団を、図4に示されるように、光学的に(例:光学的入力の吸収によって)、より好ましくは、目標CNT集団によって優先的に吸収される(例:第二の集団のCNTによるよりも、第一の集団のCNTによってより強く、好ましくは著しくより強く吸収される)光でCNTを照射することによって加熱することを含む。この優先的な吸収は、好ましくは、第一及び第二の集団のCNT間の吸収係数(光学的入力の光に関連する)の差異(例:第一の集団のCNTは、第二の集団のCNTよりも大きい吸収係数を有する)に起因するが、加えて又は別の選択肢として、他の適切ないかなる現象に起因するものであってもよい。
【0036】
集団が金属性CNT集団及び半導体性CNT集団を含む1つの実施形態では、S131は、金属性又は半導体性CNTのいずれかによって優先的に吸収される1又は複数の波長帯域(例:図5A~5Dに示されるような、及び/又はその全内容がこの参照により本明細書に援用される“Absorption spectra of high purity metallic and semiconducting single-walled carbon nanotube thin films in a wide energy region”, Masao Ichida et al., Solid State Communications, 151 (2011) 1696-1699に記載されるような波長)を用いてCNTを照射することを含む。第一のCNT集団(加熱されるべき集団)が金属性CNT集団である第一の変型例では、照射は、2~4ミクロンのIR範囲(例:3~4ミクロンの範囲)、500~800nmの可視光範囲(例:600~750nmの範囲)、300~450nmの可視光/UV範囲(例:365~425nmの範囲)、1若しくは複数のTHz範囲(例:60~1250ミクロンの範囲など、60ミクロン以上)における1若しくは複数の帯域、及び/又は他の適切ないかなる帯域を含んでもよい。第一のCNT集団が半導体性CNT集団である第二の変型例では、照射は、0.8~2ミクロンのIR範囲(例:0.9~1.9ミクロンの範囲)における1若しくは複数の帯域、、及び/又は他の適切ないかなる帯域を含んでもよい。
【0037】
照射は、好ましくは、1又は複数の広帯域(例:5、10、20、50、100、200、500、750、1000、1500、2000、1~5、5~25、25~100、100~300、300~1000、1000~3000、又は3000~30000nmなどの閾値よりも大きい波長帯域幅を有する帯域)を含むが、加えて又は別の選択肢として、狭帯域(例:閾値よりも小さい帯域幅、実質的に単色、など)及び/又は他の適切ないかなる照射を含んでもよい。
【0038】
照射は、基材及び/又は長さ方向整列軸線に対して平行、垂直、及び/又は斜めの角度(例:平行の5°以内などのかすめるような角度(glancing);垂直の5°以内などの僅かに垂直からずれた角度;10、15、30、45、60、75、80、5~10、10~20、20~40、40~50、50~70、70~80、又は80~85°などの実質的に斜めの角度)の方向からCNTに入射してよい。
【0039】
照射は、好ましくは、1平方センチメートルあたりミリワットから1平方センチメートルあたりワットの範囲内の強度(例:1~3、3~10、10~20、20~50、50~100、100~300、300~1000、1000~3000、又は3000~30000mW/cmなど)を有するが、別の選択肢として、これよりも低い又は高い強度を有していてもよい。1つの例では、照射強度は、10~30mW/cmの範囲内である。照射は、好ましくは、連続波(CW)照射であるが、加えて又は別の選択肢として、パルス照射及び/又は照射における他の適切ないかなる時間的変動を含んでもよい。CNT層は、数秒間(例:1、2、5、10、25、60、0.5~3、3~20、又は20~60秒間)、数分間(例:1、2、3、5、10、1~3、又は3~10分間)、又は他の適切ないかなる時間にわたって照射されてもよい。
【0040】
照射は、好ましくは、ランプなどの広帯域光源(例:熱放射によって発光する)を発光源とする。例えば、CNT層を照射するためのシステムは、広帯域光源、光源からの光の焦点をCNT層に合わせるように機能することができる1又は複数の光学素子(例:レンズ、ミラーなど)、及び/又は照射のための光の適切な帯域(例:上記で述べたように)を選択するように機能することができる1又は複数の光学フィルターを含んでよい。この例では、異なる照射条件に対して(例:異なる波長帯域の使用、異なるCNT集団を目標とするなどのため)、フィルターの1又は複数の置き換えなどによって、システムのいくつかの変型例を容易に再構成することができる。しかし、照射は、加えて又は別の選択肢として、LED及び/若しくはレーザー(例:バーダイオード、点光源など)などの1若しくは複数の狭帯域及び/若しくは単色光源を、並びに/又は他の適切ないかなる光源を発光源としてもよい。
【0041】
S131は、加えて又は別の選択肢として、電気入力(例:DC、AC)、ラジオ波入力(例:マイクロ波)、音響入力、及び/又は機械的入力などの1又は複数の入力を用いて目標CNT集団を加熱することを含んでよい。第一の例では、CNT層は、整列アレイのCNTの第一の端部と接触している第一の電気接点及びこれらのCNTの反対側の端部と接触している第二の電気接点などの電気接点を含む基材によって支持されている。この例では、電気バイアスが2つの電気接点間に適用され、それによって、接触しているCNTに電流が流され、この場合、各半導体性CNTよりも各金属性CNTの方を著しく大きい電流が流れ、それによって、金属性CNTの抵抗加熱が引き起こされる。この例の変型例では、バイアスは、ゲート電極(例:基材上にパターン形成、CNT層全体にわたって基材に対向、マスクの上に及び/又はマスクと一体化、など)にも適用され、これは好ましくは、CNT層と(例:層の半導体性CNTと)容量結合されており、それによって、半導体性CNTに電流が流れることが低減及び/又は防止される。第二の例では、CNT層は、入力放射線(例:マイクロ波などのラジオ波)をCNT層に結合するように機能することができる1又は複数のアンテナ(例:マイクロ波アンテナ)を含む基材によって支持されており、それによって、CNTに電流が誘導される(例:優先的に金属性CNTに)。この例では、アンテナと共振する放射線が、アンテナに向かって伝送され、それによってCNTに電流が誘導され、金属性CNTの優先的な加熱が引き起こされる(例:第一の例に関して上記で述べたように)。第三の例では、音響及び/又は機械的入力がCNT層に供給され、この場合、入力は、第一の集団のCNTと共振する1又は複数の周波数を含み(例:集団は、音響及び/又は機械的特性に基づいて特定される)、したがって、入力からのエネルギーを第一の集団のCNTに優先的に吸収させ、それが続いて熱として放散される。
【0042】
エネルギー入力(例:照射)は、好ましくは、一度に大面積(例:CNT層全体;1、2、5、10、20、25、30、又は50%超など、その一部分;など)への入射であるが、別の選択肢として、適切ないずれかのサイズの領域への入射であってもよい。第一の例では、エネルギー入力は、CNT層全体への入射であり、S131は、CNT層全体へ、好ましくは第一のマスク部分で所望される温度上昇が実現されるまで、エネルギーを指向する(例:照射する)ことによって行うことができる。第二の例では、エネルギー入力は、CNT層のサブセットのみへの入射であり、S131は、エネルギー入力の位置及び/又はCNT層を移動させることによって(例:エネルギー入力のラスター走査によってCNT層全体をカバーする)行うことができるものであり、各領域でのマスク除去が完了した後に次の領域へ移動すること、又は領域間を素早く移動すること(例:複数のそのような領域での同時マスク除去を実現)などによる。
【0043】
しかし、S131は、加えて又は別の選択肢として、適切ないかなる方法での他の適切ないかなるエネルギー入力を用いることも含んでよい。
【0044】
S130は、所望に応じて、すべてのCNTの(例:CNT層全体にわたって及び/又は基材全体にわたって)さらなる加熱(例:均一な加熱)を引き起こすことを含んでもよい。例えば、S130は、CNT層を、マスク分解温度よりも低いが(例:1、2、5、10、15、20、25、0~3、3~10、10~20、又は20~50℃低い)、好ましくは周囲温度(例:18~22℃)よりも高い実質的に均一な温度に加熱することを含んでもよい(例:オーブン、ホットプレート、及び/又は他の加熱源を用いて)。したがって、S131で必要とされる選択的加熱を大きく低減することができ(例:必要なマスク温度上昇が、50~200℃ではなく5~20℃)、このことによって、S131に伴って必要とされる電力及び/又は滞留時間を低減することができる。マスク分解温度がおよそ140℃である具体例では、S130は、基材、CNT層、及びマスクをおよそ130℃に加熱し、続いてS131を行って(例:CNT層を第一の集団によって優先的に吸収される光で照射する)、第一のマスク部分の温度を140℃超に高めると同時に、第二のマスク部分が140℃に到達する又は140℃を超えることを防止する(例:全体の又は平均の温度をおよそ130℃に維持し続けることによって)ことを含む。
【0045】
しかし、S130は、加えて又は別の選択肢として、他の適切ないかなる方法で選択的にマスクの一部分を除去することも含んでよい。
【0046】
3.4 カーボンナノチューブのサブセットの除去
カーボンナノチューブのサブセットを除去すること、S140、は、好ましくは、CNTを精製するように機能する。
【0047】
S140は、好ましくは、露出したCNT(例:第一のCNT集団、第一のマスク部分に近いCNT、など)を除去することを含む。露出したCNTを除去することは、好ましくは、露出したCNTの実質的にすべてを除去することを含む(99、99.9、99.99、99.999、99.9999、又は99.99999%などの閾値割合超、など)。各除去されたCNTは、好ましくは、実質的に完全に気化され(例:この場合、気化された物質は、CNT層からポンプ除去される)、好ましくは、導電性残渣及び/又は他の残渣を、CNT層、マスク、及び/又は基材に実質的に残さない。
【0048】
露出したCNTは、好ましくは、1又は複数のエッチングプロセスによって除去される。エッチングプロセスは、好ましくは、マスクを通したエッチングを行うことなく(例:第二のCNT集団などのこれまでに露出していないCNTを露出させることなく)、露出したCNTを除去(例:破壊)する。マスク層の厚さがCNTの径よりも著しく大きいいくつかの実施形態では(例:1~1.5nmのCNT径と比較して5~20nmのマスク厚さ)、実質的に非選択的であるエッチングプロセス及び/又はCNTよりもマスクの方をより素早くエッチングするいくつかのエッチングプロセスさえも許容され得る(例:なぜなら、小さいCNTは、エッチングプロセスがマスクの全厚さ分を除去する前に破壊されるからである)。S140は、所望に応じて、部分的に露出したCNTをエッチングすることを含んでよい。例えば、トレンチ幅がCNT径よりも小さい場合、エッチングプロセスは、下部分を削ってCNT全体を除去することができる(例:図6に示されるように)。エッチングプロセスは、例えば、酸素プラズマエッチング、UV-オゾンエッチング、物理的エッチング(例:アルゴンイオンミリング)、化学的エッチング(例:気相エッチング、湿式エッチングなど)、及び/又は他の適切ないずれかのエッチングプロセスが挙げられ得る。しかし、露出したCNTは、加えて又は別の選択肢として、洗浄によって(例:洗浄液からの機械的な力を用いてCNTを除去)及び/又は他の適切ないかなる除去プロセスによって除去されてもよい。
【0049】
S140は、加えて又は別の選択肢として、露出していないCNT(例:第二のCNT集団、第二のマスク部分に近い及び/又は第一のマスク部分に近くないCNT、など)を除去することを含んでもよい。例えば、S140は、残ったマスクを基材から剥離することを含んでよく(例:基材からマスクを剥がす)、この場合、露出していないCNTは、残ったマスクに埋め込まれたままであり、それによって、基材から除去される。これらのCNTは、例えば、続いて、異なる基材に移されてよく、及び/又は他の適切ないかなる方法で用いられてもよい。
【0050】
しかし、S140は、加えて又は別の選択肢として、適切ないかなる方法での適切ないかなるカーボンナノチューブの除去も含んでよい。
【0051】
3.5 残ったマスクの除去
残ったマスクを除去すること、S150、は、好ましくは、精製されたCNT(例:第二のCNT集団など、依然として基材上にあるCNT)を露出させるように機能する。そのような露出によって、例えば:複数バッチの精製されたCNTを移すことなど(例:高CNT密度を実現するために)、精製されたCNTを移すこと(例:電子デバイスの上及び/又は中へ);デバイスの製造(例:精製されたCNT層の上に製造するなど、CNTを組み込むこと);仕上げられたデバイス(例:CNTの添加後に仕上げ)のパッケージング及び/又は使用;及び/又は精製されたCNTの他の適切ないずれかの使用を可能とすることができる。
【0052】
S150は、好ましくは、S130でのマスクの一部分の分解と同様にして、残ったマスクを分解させることを含む(例:刺激応答性ポリマーの解重合を引き起こすためのものと同じ刺激を用いる)。例えば、S150は、マスクを、その分解温度よりも高い温度に加熱することを含んでよく(例:ホットプレート上及び/又はオーブン中などで基材全体を加熱することによって)、それによって、マスクの解重合が引き起こされる。そのような除去技術は、いくつかの理由で有益であり得る。例えば、それは、CNT及び/若しくは基材上に残ったマスクからの残渣をほとんど若しくは実質的にまったく発生させない結果をもたらすことができ、それは、乾式(液体なし)プロセスとして行うことができ、並びに/又は大スケールで容易に実施することができる(例:基材全体及び/又は複数の基材に対して同時に)。
【0053】
S150は、加えて又は別の選択肢として、マスクを溶解することによって(例:化学溶媒中で)、マスクをエッチングすることによって(例:CNTではなくマスクを選択的にエッチングする乾式及び/又は湿式エッチングプロセスを用いて)、基材からマスクを剥離(例:剥がす)ことによって(例:CNTが、マスク内に維持されているのではなく、基材上に残っている場合)、並びに/又は残ったマスクを他の適切ないずれかの方法で除去することによって、残ったマスクを除去することを含んでよい。
【0054】
4.具体例
1つの例では、方法100を実施して、基材上に支持されている実質的に整列されたCNTの単分子層を精製する。マスクを、1又は複数の自己犠牲ポリマーのおよそ10nm厚の層でCNT層をコーティングすることによって(例:1又は複数の溶媒中に溶解したポリマーの溶液をスピンコーティングすることによって)、S120で堆積する。マスクの堆積後、CNT層全体を、2~4ミクロン範囲内及び/又は600~750nm範囲内の1又は複数の波長帯域(例:およそ750nm幅)で照射し、それによって、半導体性CNTよりも金属性CNTを選択的に加熱し、それが、半導体性CNT上ではなく金属性CNT上のマスクにトレンチ(例:およそ10nm幅のトレンチ)を形成させる(加熱された金属性CNT近傍でマスクが解重合するため)。照射後、露出した(金属性)CNTを、酸素プラズマでエッチングする。露出したCNTのエッチング後、残ったポリマーマスクを、基材を分解温度超に加熱することによって除去し(例:140℃の分解温度の場合、およそ200℃まで加熱)、それによって、精製された半導体性CNTが露出する。
【0055】
第二の例では、方法100を実施して、基材上に支持されている実質的に整列されたCNTの単分子層を精製する。マスクを、1又は複数の自己犠牲ポリマーのおよそ10nm厚の層でCNT層をコーティングすることによって(例:1又は複数の溶媒中に溶解したポリマーの溶液をスピンコーティングすることによって)、S120で堆積する。マスクの堆積後、CNT層全体を、0.8~2ミクロン範囲内の1又は複数の波長帯域(例:およそ750nm幅)で照射し、それによって、金属性CNTよりも半導体性CNTを選択的に加熱し、それが、金属性CNT上ではなく半導体性CNT上のマスクにトレンチ(例:およそ10nm幅のトレンチ)を形成させる(加熱された半導体性CNT近傍でマスクが解重合するため)。照射後、露出した(半導体性)CNTを、酸素プラズマでエッチングする。露出したCNTのエッチング後、残ったポリマーマスクを、基材を分解温度超に加熱することによって除去し(例:140℃の分解温度の場合、およそ200℃まで加熱)、それによって、精製された金属性CNTが露出する。
【0056】
しかし、方法100は、加えて又は別の選択肢として、適切ないかなる方法での他の適切ないかなる要素を含んでもよい。
【0057】
簡潔さのために省略したが、システム及び/又は方法の実施形態は、様々なシステム構成成分及び様々な方法プロセスのすべての組み合わせ並びに並べ替えを含んでよく、本明細書で述べる方法及び/又はプロセスの1又は複数の例は、非同時に(例:順次に)、同時に(例:並行して)、又は他の適切ないずれかの順序で、本明細書で述べるシステム、要素、及び/若しくは実体の1若しくは複数の例によって、並びに/又はそれらを用いて、実施されてよい。
【0058】
図面は、好ましい実施形態、構成例、及びそれらの変型例に従うシステム及び/又は方法の考え得る実施の構造、機能、並びに作業を示すものである。いくつかの別の選択肢としての実施では、ブロック中に記載の機能が、図面に記載の順序とは異なって行われてよいことにも留意されたい。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、又はこれらのブロックは、関連する機能に応じて、場合によっては逆の順序で実行されてもよい。ブロック図及び/又はフローチャートの各ブロック、並びにブロック図及び/又はフローチャート中のブロックの組み合わせが、指定された機能若しくは作用を行う専用のハードウェアベースのシステムによって、又は専用のハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって実施され得ることにも留意されたい。
【0059】
当業者であれば、これまでの詳細な記述から、並びに図面及び請求項から、以下の請求項で定められる本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の好ましい実施形態に改変及び変更を成し得ることは認識される。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5-1】
図5-2】
図6
【国際調査報告】