IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中国石油化工股▲ふん▼有限公司の特許一覧 ▶ 中国石油化工股▲ふん▼有限公司北京化工研究院の特許一覧

特表2022-506096有機物含有固体材料のマイクロ波高温熱分解のための連続操作方法
<>
  • 特表-有機物含有固体材料のマイクロ波高温熱分解のための連続操作方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】有機物含有固体材料のマイクロ波高温熱分解のための連続操作方法
(51)【国際特許分類】
   C10B 53/00 20060101AFI20220107BHJP
   C04B 38/00 20060101ALI20220107BHJP
   C04B 38/06 20060101ALI20220107BHJP
   C01B 3/22 20060101ALI20220107BHJP
   C01B 32/05 20170101ALI20220107BHJP
   C01B 32/184 20170101ALI20220107BHJP
   C01B 3/02 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
C10B53/00 A
C04B38/00 303Z
C04B38/00 303A
C04B38/06 Z
C01B3/22
C01B32/05
C01B32/184
C01B3/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523259
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(85)【翻訳文提出日】2021-06-28
(86)【国際出願番号】 CN2019108626
(87)【国際公開番号】W WO2020088172
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】201811264431.3
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】510016575
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司北京化工研究院
【氏名又は名称原語表記】BEIJING RESEARCH INSTITUTE OF CHEMICAL INDUSTRY,CHINA PETROLEUM & CHEMICAL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】NO.14,BEISANHUAN EAST ROAD,CHAOYANG DISTRICT,BEIJING 100013,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】蒋海斌
(72)【発明者】
【氏名】喬金▲リョウ▼
(72)【発明者】
【氏名】張暁紅
(72)【発明者】
【氏名】劉文▲ロ▼
(72)【発明者】
【氏名】高建明
(72)【発明者】
【氏名】戚桂村
(72)【発明者】
【氏名】宋志海
(72)【発明者】
【氏名】頼金梅
(72)【発明者】
【氏名】蔡傳倫
(72)【発明者】
【氏名】李秉海
(72)【発明者】
【氏名】王湘
(72)【発明者】
【氏名】茹越
(72)【発明者】
【氏名】張紅彬
(72)【発明者】
【氏名】韓朋
(72)【発明者】
【氏名】張江茹
(72)【発明者】
【氏名】姜超
(72)【発明者】
【氏名】郭照▲エン▼
【テーマコード(参考)】
4G019
4G140
4G146
4H012
【Fターム(参考)】
4G019EA09
4G019FA15
4G140BA02
4G140DA01
4G140DA03
4G140DA05
4G140DB03
4G146AA01
4G146AA11
4G146AA19
4G146AB07
4G146AD21
4G146BA01
4G146BA04
4G146BA08
4G146BA11
4G146BA18
4G146BA31
4G146BB04
4G146BB10
4G146BC03
4G146BC18
4G146BC23
4G146BC33A
4G146BC33B
4G146BC34A
4G146BC43
4G146BC45
4G146BC46
4H012HA03
(57)【要約】
有機物含有固体材料のマイクロ波高温熱分解のための連続操作方法であって、前記方法は、前記有機物含有固体材料と液体有機媒体とを混合して混合物を得る工程と、得られた前記混合物をマイクロ波場に移す工程と、前記マイクロ波場において、不活性雰囲気下または真空下で、前記混合物を、電波吸収性が強い電波吸収性材料と連続的に接触させる工程であって、当該電波吸収性材料はマイクロ波場内で連続的に高温を発生させることによって、前記有機物質含有固体材料および前記液体有機媒体が共に連続的に熱分解される工程と、を含み、これらの工程が連続的かつ効率的であり、工業化することができ、高い付加価値を備えた成分を有する生成物を得ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物含有固体材料のマイクロ波高温熱分解のための連続操作方法であって、
前記連続操作方法は、
前記有機物含有固体材料と液体有機媒体とを混合して混合物を得る工程と、
得られた前記混合物をマイクロ波場に移す工程と、
前記マイクロ波場において、不活性雰囲気下または真空下で、前記混合物を、電波吸収性が強い電波吸収性材料と連続的に接触させる工程であって、当該電波吸収性材料はマイクロ波場内で連続的に高温を発生させることによって、前記有機物含有固体材料および前記液体有機媒体が共に連続的に熱分解される工程と、
を含み、これらの工程が連続的に実施される、
ことを特徴とする、有機物含有固体材料のマイクロ波高温熱分解のための連続操作方法。
【請求項2】
前記液体有機媒体は、60℃で液体である媒体であり、且つ、
前記液体有機媒体は、
少なくとも1つの炭素原子を含むか、
好ましくは、炭化水素油、植物油、シリコーン油、エステル油、リン酸エステル、およびアルコール、またはそれらの混合物からなる群から選択される1つを含むか、
より好ましくは、炭化水素油および植物油、またはそれらの混合物からなる群から選択される1つを含み、
好ましくは、前記液体有機媒体は、
液体石油炭化水素およびそれらの混合物、ならびに植物油およびそれらの混合物からなる群から選択されるか、
好ましくは、原油、ナフサ、パーム油、ナフサ油、パーム油、菜種油、ヒマワリ油、ダイズ油、ピーナッツ油、アマニ油およびヒマシ油からなる群から選択される少なくとも1つであるか、
より好ましくは、ナフサ、パーム油、菜種油、ヒマワリ油およびダイズ油からなる群から選択される少なくとも1つであるか、
より好ましくはナフサ、パーム油、菜種油、ヒマワリ油およびダイズ油からなる群から選択される少なくとも1つである、
ことを特徴とする、請求項1に記載の、有機物含有固体材料のマイクロ波高温熱分解のための連続操作方法。
【請求項3】
前記有機物含有固体材料および前記液体有機媒体の総量に占める、前記有機物含有固体材料の量が、10~90質量%、好ましくは20~80質量%、より好ましくは30~75質量%である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の、有機物含有固体材料のマイクロ波高温熱分解のための連続操作方法。
【請求項4】
前記有機物含有固体材料と前記電波吸収性材料との重量比率が、1:99~99:1、好ましくは1:50~50:1、より好ましくは1:30~30:1である、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の、有機物含有固体材料のマイクロ波高温熱分解のための連続操作方法。
【請求項5】
前記マイクロ波場は、家庭用マイクロ波オーブンまたは工業用マイクロ波デバイス(マイクロ波熱分解反応器など)などのマイクロ波デバイスによって生成され、
好ましくは、前記マイクロ波場のマイクロ波の出力が、200W~100KW、好ましくは300W~80KW、より好ましくは500W~60KWである、
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の、有機物含有固体材料のマイクロ波高温熱分解のための連続操作方法。
【請求項6】
前記有機物含有固体材料は、前記液体有機媒体と混合される前に粉砕され、好ましくは粉砕後の粒子径が0.001~10mm、好ましくは0.01~8mm、より好ましくは0.05~5mmである、
ことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の、有機物含有固体材料のマイクロ波高温熱分解のための連続操作方法。
【請求項7】
前記電波吸収性材料は、活性炭、カーボンブラック、グラファイト、カーボンファイバー、炭化ケイ素、金属酸化物、および、マイクロ波場で電気アークを発生させることができる多孔質複合材料からなる群から選択される1つか、またはこれらの混合物であり、
好ましくは、活性炭、グラファイト、炭化ケイ素、および、マイクロ波場で電気アークを発生させることができる多孔質複合材料からなる群から選択される1つか、またはこれらの混合物であるか、
より好ましくは、マイクロ波場で電気アークを発生させることができる多孔質複合材料である、
ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の、有機物含有固体材料のマイクロ波高温熱分解のための連続操作方法。
【請求項8】
マイクロ波場において、電気アークを発生させることができる前記多孔質複合材料は、無機多孔質骨格と、無機多孔質骨格上に支持された炭素材料とを含み、
前記無機多孔質骨格の平均孔径が、好ましくは0.01~1000μm、より好ましくは0.05~1000μm、より好ましくは0.05~500μm、より好ましくは0.2~500μm、より好ましくは0.5~500μm、より好ましくは0.5~250μmであり、
好ましくは、前記無機多孔質骨格の多孔率が、1%~99.99%、好ましくは10%~99.9%、より好ましくは30%~99%である、
ことを特徴とする請求項7に記載の、有機物含有固体材料のマイクロ波高温熱分解のための連続操作方法。
【請求項9】
前記炭素材料の割合が、前記多孔質複合材料の全質量に対して、0.001%~99%、好ましくは0.01%~90%、より好ましくは0.1%~80%であり、および/または、
前記マイクロ波場において前記多孔質複合材料によって生成される電気アークが、前記多孔質複合材料の温度が1000℃を超えるように加熱し、および/または、
前記炭素材料が、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラファイト、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンドット、カーボンナノワイヤー、炭化可能有機物または炭化可能有機物を含む混合物を炭化して得られる生成物、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくは、グラフェン、カーボンナノチューブ、炭化可能有機物または炭化可能有機物を含む混合物を炭化して得られる生成物、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され、
好ましくは、前記炭化可能有機物は、有機ポリマー化合物であり、
当該有機ポリマー化合物は、合成有機ポリマー化合物および天然の有機ポリマー化合物を含む有機ポリマー化合物であり、
当該合成有機ポリマー化合物は、
好ましくはゴムであるか、或いは熱硬化性プラスチックおよび熱可塑性プラスチックを含むプラスチックである合成有機ポリマー化合物であり、
より好ましくは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリスチレン、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、スチレンブタジエンゴム、ポリウレタンゴム、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される合成有機ポリマー化合物であり、
当該天然の有機ポリマー化合物は、
好ましくは澱粉、ビスコース繊維、リグニン、およびセルロースからなる群から選択される少なくとも一つであり、
好ましくは、炭化可能有機物と、他の金属を含まない有機および/または無機物との混合物である炭化可能有機物含有混合物、
より好ましくは、石炭、天然ピッチ、石油ピッチ、または石炭タールピッチ、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され、および/または、
前記無機多孔質骨格は、多孔質構造を有する無機材料であり、
前記多孔質構造を有する無機材料は、炭素、ケイ酸塩、アルミン酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、ゲルマネート、チタネート、酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、硫化物、ケイ化物、ハロゲン化物、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される多孔質構造を有する無機材料であり、
好ましくは前記多孔質構造を有する無機材料は、炭素、ケイ酸塩、チタネート、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される前記多孔質構造を有する無機材料であり、
当該酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化チタン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されることが好ましく、
当該窒化物としては、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化ジルコニウム、窒化ハフニウム、窒化タンタル、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されることが好ましく、
当該炭化物としては、炭化ケイ素、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化タンタル、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されることが好ましく、
当該ホウ化物としては、ホウ化ジルコニウム、ホウ化ハフニウム、ホウ化タンタル、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されることが好ましく、
好ましくは、前記無機多孔質骨格は、
ポリマースポンジの炭化後に得られる炭素骨格、無機繊維によって構成される多孔質骨格、無機多孔質骨格、無機粒子の充填によって構成される骨格、セラミック多孔質骨格前駆体を焼成した後に得られるセラミック多孔質骨格、セラミック繊維骨格前駆体を焼成した後に得られるセラミック繊維骨格のうちの少なくとも1つであるか、
好ましくは、メラミンスポンジの炭化後の骨格、フェノール樹脂スポンジの炭化後の骨格、ケイ酸アルミニウム繊維の多孔質骨格、ムライト繊維の多孔質骨格、アルミナ繊維の多孔質骨格、ジルコニア繊維の多孔質骨格、酸化マグネシウム繊維の多孔質骨格、窒化ホウ素繊維の多孔質骨格、炭化ホウ素繊維の多孔質骨格、炭化ケイ素繊維の多孔質骨格、チタン酸カリウム繊維の多孔質骨格、およびセラミック繊維骨格前駆体の焼成後に得られるセラミック繊維骨格のうちの少なくとも1つである、
ことを特徴とする請求項8に記載の、有機物含有固体材料のマイクロ波高温熱分解のための連続操作方法。
【請求項10】
前記多孔質複合材料を調製する工程を更に含み、
前記多孔質複合材料を調製する工程は、
工程(1);無機多孔質骨格または無機多孔質骨格前駆体の孔が溶液又は分散液で満たされるように、無機多孔質骨格または無機多孔質骨格前駆体を、炭素材料及び/又は炭素材料前駆体の溶液または分散液に浸漬する工程と、
工程(2);前記工程(1)で得られた多孔質材料を加熱乾燥することにより、無機多孔質骨格または無機多孔質骨格前駆体上に、炭素材料または炭素材料前駆体を析出させて、または固化させて支持させる工程と、
工程(3);炭素材料前駆体または無機多孔質骨格前駆体の少なくとも一方を出発材料として使用する場合には、更に、
前記工程(2)で得られた多孔質材料を不活性ガス雰囲気下で加熱して、無機多孔質骨格前駆体を無機多孔質骨格に変換する工程、および/または、
炭素材料前駆体を還元または炭化する工程と、
を含む、
ことを特徴とする請求項8または9に記載の、有機物含有固体材料のマイクロ波高温熱分解のための連続操作方法。
【請求項11】
前記工程(1)における炭素材料または炭素材料前駆体の溶液または分散液は、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリクロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、カプロン酸エチル、酢酸ブチル、二硫化炭素、ケトン、アセトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、水、アルコール、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒を含み、
当該アルコールは、プロパノール、n-ブタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、イソプロパノール、エタノール、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されることが好ましく、
当該溶媒は、水および/またはエタノールを含むことがより好ましく、水および/またはエタノールであることが更に好ましく、および/または、
前記工程(1)における前記溶液または分散液の濃度は、0.001~1g/mLであり、好ましくは0.002~0.8g/mLであり、より好ましくは0.003g~0.5g/mLであり、および/または、
前記工程(1)において、炭素材料および/または炭素材料前駆体は、無機多孔質骨格材料または無機多孔質骨格材料前駆体と、炭素材料および/または炭素材料前駆体との全質量の0.001%~99.999%、好ましくは0.01%~99.99%、より好ましくは0.1%~99.9%含まれる、
ことを特徴とする請求項10に記載の、有機物含有固体材料のマイクロ波高温熱分解のための連続操作方法。
【請求項12】
前記工程(2)における加熱および乾燥は、50~250℃、好ましくは60~200℃、より好ましくは80~180℃の温度で行われ、マイクロ波加熱が好ましく、マイクロ波の出力は、好ましくは1W~100KW、より好ましくは500W~10KWであり、マイクロ波加熱時間は、好ましくは2~200分、より好ましくは20~200分である、
ことを特徴とする請求項10または11に記載の、有機物含有固体材料のマイクロ波高温熱分解のための連続操作方法。
【請求項13】
前記無機多孔質骨格前駆体は、セラミック前駆体、炭化可能有機物からなる多孔質材料または炭化可能有機物を含む混合物からなる多孔質材料、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記炭素材料前駆体は、グラフェン酸化物、改質カーボンナノチューブ、改質カーボンナノファイバー、改質グラファイト、改質カーボンブラック、改質カーボンファイバー、炭化可能有機物もしくは炭化可能有機物を含む混合物、およびそれらの組み合わせであり、および/または、
前記工程(3)の加熱が400~1800℃、好ましくは600~1500℃、より好ましくは800~1200℃の温度で行われ、マイクロ波加熱が好ましく、マイクロ波の出力は好ましくは100W~100KW、より好ましくは700W~20KWであり、マイクロ波加熱時間は好ましくは0.5~200分間、より好ましくは1~100分間である、
ことを特徴とする請求項10から12の何れか1項に記載の、有機物含有固体材料のマイクロ波高温熱分解のための連続操作方法。
【請求項14】
前記有機物含有固体材料は、廃棄合成ポリマー材料または廃棄天然ポリマー材料であり、詳しくは、廃棄プラスチック、廃棄ゴム、廃棄繊維、および廃棄バイオマスのうちの1つか、或いはこれらの混合物であり、
当該プラスチックは、
好ましくは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンターポリマー、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンエーテル、およびポリフェニレンスルフィドからなる群から選択される少なくとも1つであり、
より好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリアミド、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンターポリマー、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ポリメチルメタクリレート、およびポリオキシメチレンからなる群から選択される少なくとも1つであり、
更に好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、およびポリアミドからなる群から選択される少なくとも1つであり、
当該ゴムは、
好ましくは、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、スチレン系ブロック共重合体、およびシリコーンゴムからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
より好ましくは、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、およびエチレンプロピレンゴムからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
当該繊維は、
好ましくは、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、ビニロン、ナイロン、ポリエステル繊維、ポリ塩化ビニル繊維、およびスパンデックスからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
より好ましくは、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、およびスパンデックスからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
当該バイオマスは、
好ましくはわら、バガス、樹枝、葉、木材チップ、米殻、稲わら、ピーナッツ殻、ココナッツ殻、パーム種子殻、およびトウモロコシ穂軸からなる群より選択される少なくとも1つである、
ことを特徴とする請求項1から13の何れか1項に記載の、有機物含有固体材料のマイクロ波高温熱分解のための連続操作方法。
【請求項15】
請求項1から14の何れか1項に記載の、有機物含有固体材料のマイクロ波高温熱分解のための連続操作方法を実施するためのシステムであって、
a)有機物含有固体材料を液体有機媒体と混合するために使用される混合装置;
b)前記a)の混合装置から得られた混合物を連続的にマイクロ波場に移送するために使用される移送装置;および、
c)前記b)の移送装置からの混合物を、不活性雰囲気下または真空下で、電波吸収性が強い電波吸収性材料と連続的に接触させるために使用されるマイクロ波場を発生させるための装置;
を備え、
当該電波吸収性材料は、マイクロ波場において高温を連続的に発生させて、有機物含有固体材料および液体有機媒体を共に連続的に熱分解させる、
ことを特徴とするシステム。
【請求項16】
前記a)の混合装置は、撹拌機構を有するミキサーであり、および/または、
前記b)の移送装置は、例えば蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプ、プランジャポンプおよびスクリューポンプといったポンプであり、好ましくは蠕動ポンプおよびスクリューポンプであり、および/または、
マイクロ波場を生成するための前記c)の装置は、例えばマイクロ波オーブンおよびマイクロ波熱分解反応器といったマイクロ波装置である、
ことを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は有機物含有固体材料の資源利用の技術分野に関し、特に、有機物含有固体材料のマイクロ波高温熱分解のための連続操作方法に関する。
【0002】
〔背景技術〕
化学原料の90%超は、石油、シェールガス、石炭などの化石エネルギーに由来する。しかしながら、化石エネルギーは再生不能であり、その使用中にCOを生成する。したがって、現在、環境にやさしい再生可能エネルギーの開発は、エネルギー分野における焦点の1つとなっている。より持続可能な経済・社会開発のためには、化石エネルギーを再生可能なバイオマスエネルギーに置き換えることが急務である。その中でも、植物油は、低価格、大規模栽培などの特徴により、研究対象となっている。2012年から2013年にかけて、パーム油、菜種油、ひまわり油、大豆油などの主要植物油が世界で4億6200万トン生産された。わらは、中国の農村地域では代表的な農業廃棄物であり、分布が広く、資源量が多いという特徴がある。国連環境計画(UNEP)の報告によれば、世界中で栽培されている種々の穀物は、毎年17億トンのわらを供給することができる。中国のさまざまな作物のわらは、7億トンを超える総生産量となっている。わらは巨大な再生可能エネルギー資源である。近年、熱分解技術の急速な発展により、熱分解技術は、比較的効率的で成熟したバイオマス利用技術の1つとなっている。
【0003】
1950年代以降、人類は83億トンのプラスチックを生産しており、そのうち63億トンが廃棄物となっている。廃プラスチック63億トンのうち、再資源化率は9%、焼却率は12%、残りの79%(約55億トン)が埋め立てられて自然環境に蓄積されている。人類は、プラスチックの生産速度を依然として加速している。現在、プラスチックの年間生産量は4億トンに達している。2050年までに、世界には120億トンの廃プラスチックが存在すると推定されている。毎年800万トンを超えるプラスチックが海洋に投入されている。制限が課せられなければ、2050年までに、海洋には魚よりも多くのプラスチックゴミが存在するのであろう。近年、海洋および河川の生物並びに飲料水へのプラスチック粒子の汚染について、最上級の国際的刊行物が順次発行されている。海洋および河川の生物並びに飲料水へのプラスチック粒子の汚染は、プラスチック汚染に対する社会全体の関心を喚起してきた。2018年、国連環境計画は、使い捨てプラスチックによる汚染問題に初めて焦点を当てた。また、国連環境計画は「世界環境デー」のテーマとして「やめよう、プラスチック汚染」を発表し、世界中にプラスチック汚染の「宣戦布告」を呼びかけた。
【0004】
プラスチック汚染の問題を解決するために、科学的研究者は、絶え間ない努力を払ってきた。1970年以来、自然環境で分解可能なプラスチックの調製に向けられた多くの研究がなされてきた。しかしながら、分解性プラスチックは生物医学、農業用マルチフィルム及びごみ袋等においてのみ重要な用途を有し、リサイクルが必要な場合には、分解性プラスチックの存在が、リサイクルされたプラスチック物品の性能に重大な影響を及ぼす。さらに、分解性プラスチックは、理想的でない自然環境で分解するのに比較的長い時間がかかり、したがって、白色汚染の問題を効果的に解決することができない。
【0005】
現在、機械的リサイクルは、廃プラスチックを処理するための唯一の広く使用されている技術的解決策である。主な工程は、有機残渣の連続的な除去、洗浄、粉砕、および溶融および再処理である。溶融および再処理のプロセスでは、一般に、性能を維持するために新しい材料をブレンドすることが必要である。異なるプラスチックは処理プロセスに対して異なる反応を示し、これは、機械的リサイクルの技術的解決策は、ごく少数のタイプのプラスチックにのみ適用可能である。現在、ポリエチレンテレフタレート(PET)とポリエチレン(PE)のみがリサイクルされており、それぞれ年間プラスチック生産量の9%と37%を占めている。高温で溶融および流動しない温度感受性プラスチック、複合材料、およびプラスチック(熱硬化性プラスチックなど)は、この方法では処理することができない。
【0006】
廃プラスチックを化学変換または熱変換により小分子炭化水素(ガス、液体油または固体ワックス)に調製するケミカルリサイクル法は、機械的リサイクルを上回る技術的解決策であると考えられる。そして、得られた生成物は、燃料または化学原料として使用することができる。しかしながら、この技術的解決策は主に高コストのために、現在広く使用されていない。一方では、ケミカルリサイクル処理の大部分が高価な触媒を必要とする。また、触媒の選択性は原料が純粋なポリマーでなければならないことを必要とし、これは、廃プラスチックの時間のかかる労働集約的な選別を必要とする。一方、ケミカルリサイクル処理は、多くのエネルギーを消費する。
【0007】
触媒を用いないマイクロ波熱分解技術は、エネルギー効率が高く、ある程度汚染された異種廃プラスチックを同時に処理して化学原料に熱分解することができる。前記マイクロ波熱分解技術は、プラスチック汚染問題の解決の鍵となることが期待される。
【0008】
マイクロ波とは、赤外線と超高周波(UHF)電波との間の波長を有し、非常に強い透過能力を有し、1mから1mmの間の波長を有し、対応する300GHzから300MHzの周波数を有する電磁波を指す。マイクロ波発生器のマグネトロンは、マイクロ波を発生するために電源の電力を受け取る。マイクロ波は導波路を介してマイクロ波加熱器に伝達される。そして、加熱される材料は、マイクロ波場のアクション下で加熱される。マイクロ波加熱モードは通常の熱伝達とは全く異なる。高周波電場は、毎秒数億個の速度で、印加電場および方向を周期的に変更させる。その結果、材料中の極性分子は電場により、並びに、分子間の摩擦およびスクイーズアクションにより、高周波数で振動する。材料は急速に加熱され、それによって材料の内部温度および表面温度が同時に急速に上昇する。
【0009】
特許出願CN102585860A、特許出願CN103252226A、特許出願CN106520176Aなどの数多くの特許が、マイクロ波のこの特性を利用した熱分解の技術を開示している。当該特許出願は、炭素粒子および炭化ケイ素のような強い波吸収材料を使用して、マイクロ波場で熱を発生させ、それを熱分解されるべき材料に移動させ、それによって熱分解の目的を達成する。しかしながら、廃合成ポリマー材料または廃天然ポリマー材料は室温で固体であり、したがって、熱分解の間に連続的に移動させることは非常に困難である。通常、それらのマイクロ波熱分解はバッチ操作でのみ行うことができ、これは、連続生産を困難にし、生産効率に大きく影響する。
【0010】
したがって、有機物、特に廃棄合成ポリマー材料または廃棄天然ポリマー材料を含む固体材料のマイクロ波高温熱分解処理の連続操作のための高効率の方法をいかに開発するかは、依然として困難な問題である。この方法の開発は、多大な応用の見通しを有する。
【0011】
〔発明の開示〕
従来技術の問題に鑑み、本発明の目的は、有機物含有固体材料のマイクロ波高温熱分解のための連続操作方法を提供することである。本発明による方法は連続的で、高効率で、工業化可能な操作を実現することができ、得られる生成物は高比率の軽質成分(特に気相生成物)を含むことができ、高付加価値である。
【0012】
本実施形態によれば、液体有機媒体を、有機物含有固体材料を移動させるための媒体として、また、熱分解のための出発材料として共に使用することができるという特性により、当該有機物含有固体材料を、移動用の当該液体有機媒体と混合し、不活性雰囲気または減圧下で、それらをマイクロ波場下で電波吸収性が強い電波吸収性材料と連続的に接触させ、前記電波吸収性材料はマイクロ波下で急速かつ連続的に高温を発生させ、有機物含有固体材料と液体有機媒体とを共に燃料(水素ガスなど)または化学原料に連続的に熱分解し、連続運転を達成し、目的を達成させる。熱分解生成物は水素ガスを含むので、本発明による方法は、水素ガスを調製するためにも使用することができる。
【0013】
具体的には、本発明は、有機物含有固体材料のマイクロ波高温熱分解のための連続操作方法であって、以下の連続的に行われる工程を含むことを特徴とする連続操作方法を提供する:
前記有機物含有固体材料と液体有機媒体とを混合して混合物を得る工程と、
得られた前記混合物をマイクロ波場に移す工程と、
前記マイクロ波場において、不活性雰囲気下または真空下で、前記混合物を、電波吸収性が強い電波吸収性材料と連続的に接触させる工程であって、当該電波吸収性材料はマイクロ波場内で連続的に高温を発生させることによって、前記有機物質含有固体材料および前記液体有機媒体が共に連続的に熱分解される工程と、
を含む。
【0014】
好ましくは、前記有機物含有固体材料が前記液体有機媒体と混合される前に粉砕される。その粉砕後の粒子径は、0.001~10mm、好ましくは0.01~8mm、より好ましくは0.05~5mmとすることができる。
【0015】
本明細書に記載の粒子径は、光学顕微鏡によって測定される。個々の粒子の粒子径は、光学顕微鏡写真において、個々の粒子の中心を通る直線の2つの交点と粒子の輪郭との距離の最大値によって決まる。平均粒子径は、光学顕微鏡写真に示されるすべての粒子の粒子径の平均値によって決定される。
【0016】
一実施形態では、本発明の方法が以下を含む:
有機物含有固体材料を粉砕した後、移動用の液体有機媒体と混合し、不活性雰囲気または真空下で、マイクロ波場下において、電波吸収性が強い電波吸収性材料と連続的に接触させ、当該電波吸収性材料はマイクロ波下で急速かつ連続的に高温を発生させ、有機物含有固体材料と液体有機媒体とを共に連続的に熱分解して燃料または化学原料にする。
【0017】
ここで、当該液体有機媒体とは、60℃で液体である媒体を指す。そして、当該液体有機媒体は、少なくとも1つの炭素原子を含み、好ましくは炭化水素油、植物油、シリコーン油、エステル油、リン酸エステルおよびアルコールまたはそれらの混合物からなる群から選択される1つを少なくとも含む。さらに好ましくは、当該液体有機媒体は、鉱油炭化水素油およびその混合物、並びに植物油およびその混合物からなる群から選択される1つを少なくとも含む。また、当該液体有機媒体は、好ましくは原油、ナフサ、パーム油、菜種油、ヒマワリ油、大豆油、ピーナッツ油、亜麻仁油およびヒマシ油からなる群から選択される少なくとも1つを含む。また、より好ましくはナフサ、パーム油、菜種油、ヒマワリ油および大豆油からなる群から選択される少なくとも1種からなる群から選択される。
【0018】
有機物含有固体材料は、熱分解プロセス中に連続的に移送することが困難であり、したがって、バッチモードでしか操作することができない。液体有機媒体を添加する主な目的は、液体有機媒体および有機物含有固体材料の粉末を、ポンプを介して移動させることができるスラリーに処方することである。その結果、この方法を連続的に実施することができ、同時に、液体有機媒体を、有機物含有固体材料と一緒に、燃料または化学原料に熱分解することができる。上述のポンピング速度は、マイクロ波場の下で、有機物含有固体材料と液体有機媒体との混合物の滞留時間を確保することのみを必要とする。
【0019】
有機物含有固体材料は、有機物含有固体材料および液体有機媒体の総量の10~90質量%、好ましくは20~80質量%、より好ましくは30~75質量%含むことができる。
【0020】
有機物含有固形物と電波吸収性材料との重量比率は、1:99~99:1、好ましくは1:50~50:1、より好ましくは1:30~30:1とすることができる。
【0021】
ここで、不活性雰囲気とは、従来技術で一般的に用いられている不活性ガス雰囲気であり、例えば窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンがあり、好ましくは窒素である。
【0022】
マイクロ波場のマイクロ波電力は、200W~100KW;好ましくは300W~80KW、より好ましくは500W~60KWとすることができる。
【0023】
ここで、電波吸収性が強い電波吸収性材料とは、マイクロ波を大幅に吸収することができる材料をいう。そして、当該電波吸収性材料は、マイクロ波場において、例えば、500~3000℃、好ましくは600~3000℃、より好ましくは700~3000℃、好ましくは800~2500℃、より好ましくは800~2000℃に急速に到達する高温を生成することができる。その結果、有機物含有固体材料と液体有機媒体とが共に熱分解される。当該電波吸収性材料は、例えば、活性炭、カーボンブラック、グラファイト、カーボンファイバー、炭化ケイ素、金属酸化物、およびマイクロ波で電気アークを発生させる多孔質複合材料、またはそれらの混合物からなる群から選択される1つ;好ましくは活性炭、グラファイト、炭化ケイ素、およびマイクロ波場で電気アークを発生させることができる多孔質複合材料、またはそれらの混合物からなる群から選択される1つ;より好ましくはマイクロ波場で電気アークを発生させることができる多孔質複合材料であり得る。
【0024】
マイクロ波場において電気アークを発生させることができる多孔質複合材料は、好ましくは、無機多孔質骨格と、無機多孔質骨格上に支持された炭素材料とを含む。「支持された」とは、炭素材料が特異的な結合力によって無機質多孔質骨格の表面または構造中に固定されていることを意味し、表面とは、気相と接することができる多孔質骨格のすべての界面をいい、「構造中に固定された」とは、細孔チャネルの内側というよりむしろ、多孔質骨格自身の内側に嵌め込まれているか、または固定されていることをいう。
【0025】
炭素材料は、多孔質複合材料の全質量の0.001%~99%、好ましくは0.01%~90%、より好ましくは0.1%~80%を構成することができる。
【0026】
無機多孔質骨格は、多孔質構造を有する無機材料である。無機多孔質骨格の平均孔径は、0.01~1000μm、好ましくは0.05~1000μm、より好ましくは0.05~500μm、より好ましくは0.2~500μm、より好ましくは0.5~500μm、より好ましくは0.5~250μmまたは0.2~250μmであってもよく、多孔率は1%~99.99%、好ましくは10%~99.9%、より好ましくは30%~99%であってもよい。
【0027】
ここで、平均孔径は走査型電子顕微鏡(SEM)で測定する。まず、個々の細孔の孔径は、個々の細孔の中心を通る直線の2つの交点とSEM写真の細孔の輪郭との間の距離の最小値によって決定される。そして、平均孔径は、SEM写真に示した全ての細孔の孔径の平均値によって決定される。
【0028】
多孔率は、GB/T 23561.4-2009を参照して決定される。
【0029】
炭素材料は、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラファイト、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンドット、カーボンナノワイヤー、炭化可能有機物の炭化によって得られる生成物、および炭化可能有機物の混合物の炭化後の生成物からなる群から選択される少なくとも1つであってもよい。また、炭素材料は、グラフェン、カーボンナノチューブ、炭化可能有機物の炭化によって得られる生成物、および炭化可能有機物の混合物の炭化後の生成物からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
【0030】
炭化可能有機物の混合物は、炭化可能有機物と、金属または金属化合物ではない無機物および金属化合物ではない他の有機物との混合物であってもよい。
【0031】
炭化とは、有機物を一定の温度及び大気条件下で処理することにより、有機物中の水素、酸素、窒素、硫黄等の全部又は大部分を揮発させ、炭素含有量の高い合成原料を得ることである。
【0032】
前記炭化可能有機物は有機高分子化合物であることが好ましく、前記有機高分子化合物は合成ポリマー化合物及び天然有機ポリマー化合物を含む。合成ポリマー化合物は好ましくはゴムまたはプラスチックであり、プラスチックは、熱硬化性プラスチックおよび熱可塑性プラスチックを含む。
【0033】
天然有機ポリマー化合物は、澱粉、ビスコース繊維、リグニン及びセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0034】
合成ポリマー化合物は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリスチレン、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、スチレンブタジエンゴム及びポリウレタンゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0035】
炭化可能有機物の混合物は、石炭、天然ピッチ、石油ピッチおよびコールタールピッチからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0036】
無機多孔質骨格の無機材料は、炭素、ケイ酸塩、アルミン酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、ゲルマネート、チタネート、酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、硫化物、ケイ化物およびハロゲン化物のうちの1つまたは複数の組み合わせであってもよい。酸化物は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化セリウムおよび酸化チタンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。窒化物は、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化ジルコニウム、窒化ハフニウム、および窒化タンタルからなる群から選択される少なくとも1つことが好ましい。炭化物は、好ましくは炭化ケイ素、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウムおよび炭化タンタルからなる群から選択される少なくとも1つである。ホウ化物は、好ましくはホウ化ジルコニウム、ホウ化ハフニウムおよびホウ化タンタルからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0037】
無機多孔質骨格の無機材料は、より好ましくは炭素、ケイ酸塩、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、およびチタン酸カリウムからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0038】
無機多孔質骨格は、好ましくは以下の具体的な骨格のうちの少なくとも1つであり得る:ポリマースポンジの炭化後に得られる炭素骨格、無機多孔質骨格、無機粒子のパッキングによって構成される骨格、セラミック多孔質骨格前駆体をベーキングした後に得られるセラミック多孔質骨格、セラミック繊維骨格前駆体をベーキングした後に得られるセラミック繊維骨格;好ましくは、メラミンスポンジの炭化後に得られる骨格、好ましくはフェノール樹脂スポンジの炭化後に得られる骨格、ケイ酸アルミニウム繊維の多孔質骨格(ケイ酸アルミニウムロックウールなど)、ムライト繊維の多孔質骨格、アルミナ繊維の多孔質骨格(アルミナ繊維板など)、ジルコニア繊維の多孔質骨格、酸化マグネシウム繊維の多孔質骨格、窒化ホウ素繊維の多孔質骨格、炭化ホウ素繊維の多孔質骨格、炭化ケイ素繊維の多孔質骨格、チタン酸カリウム繊維の多孔質骨格、およびセラミック繊維骨格前駆体をベーキングした後に得られるセラミック繊維骨格。
【0039】
無機多孔質骨格の多孔質構造は、スポンジ様構造形態などの骨格材料自体の細孔構造由来、または繊維綿、繊維フェルト、繊維板、および他の構造形態などの繊維材料の充填によって形成される細孔構造由来、または砂杭構造形態などの粒状材料の充填によって形成される細孔構造由来、または上記の様々な形態の組合せ由来であり得る。無機多孔質骨格の多孔質構造は、好ましくは繊維材料の充填によって形成された細孔構造由来のものである。上記のような無機繊維によって構成される多孔質骨格について、その中の「多孔質」は、繊維材料の充填によって形成される骨格中の細孔構造を指すことに特に留意されたい。これは、各々の繊維自体が多孔質であることを意味するものではない。
【0040】
多孔質複合材料は例えば、900wのマイクロ波場において、マイクロ波中で高温電気アークを発生させることができる。多孔質複合材料は、その温度を1000℃を超えて上昇させることができる電気アークを発生させることができ、多孔質複合材料自体は、3000℃までの高温に耐えることができる。マイクロ波場で電気アークを発生できるこの多孔質複合材料は、新規で効率的なマイクロ波加熱材料である。
【0041】
本発明の有機物含有固体材料のマイクロ波高温熱分解のための連続操作方法は、多孔質複合材料の調製プロセスに組み込むことができる。
【0042】
具体的には、多孔質複合材料は、以下の工程を含む方法によって調製することができる:
(1)無機多孔質骨格又は無機多孔質骨格前駆体の孔が溶液又は分散液で満たされるように、無機多孔質骨格又は無機多孔質骨格前駆体を炭素材料及び/又は炭素材料前駆体の溶液又は分散液に浸漬する工程;
(2)工程(1)で得られた多孔質材料を加熱乾燥し、炭素材料または炭素材料前駆体が無機多孔質骨格または無機多孔質骨格前駆体上に沈殿または固化し、支持されるようにする工程;
(3)原料として炭素材料前駆体又は無機多孔質骨格前駆体の少なくとも一方を用いる場合には、さらに次の工程を行う:工程(2)で得られた多孔質材料を不活性ガス雰囲気下で加熱し、無機多孔質骨格前駆体を無機多孔質骨格に変換する工程、及び/又は炭素材料前駆体を還元又は炭化する工程。
【0043】
工程(1)における炭素材料またはその前駆体の溶液または分散液は、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリクロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、カプロン酸エチル、酢酸ブチル、二硫化炭素、ケトン、アセトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、水およびアルコール、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒を含んでもよく、アルコールは好ましくはプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、イソプロパノール、エタノール、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される;水および/またはエタノールを含む溶媒がより好ましく;水および/またはエタノールがさらに好ましく;および/または工程(1)における溶液または分散液の濃度は0.001~1g/mL、好ましくは0.002~0.8g/mL、より好ましくは0.003g~0.5g/mLであってもよい。
【0044】
工程(2)における加熱および乾燥は、50~250℃、好ましくは60~200℃、より好ましくは80~180℃の温度で行うことができる。マイクロ波による加熱が好ましく、ここで、マイクロ波の出力は好ましくは1W~100KWであり、より好ましくは500W~10KWである。マイクロ波加熱時間は、好ましくは2~200分、より好ましくは20~200分である。
【0045】
無機多孔質骨格前駆体は、セラミック前駆体、炭化可能有機物の多孔質材料または炭化可能有機物を含む混合物の多孔質材料、およびそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0046】
炭素材料前駆体は、グラフェン酸化物、改質カーボンナノチューブ、改質カーボンナノファイバー、改質グラファイト、改質カーボンブラック、改質カーボンファイバー、炭化可能有機物または炭化可能有機物を含む混合物、およびそれらの組み合わせであり得る。
【0047】
工程(3)の加熱は、400~1800℃、好ましくは600~1500℃、より好ましくは800~1200℃の温度で行うことができる。マイクロ波加熱が好ましく、マイクロ波の出力は、好ましくは100W~100KWであり、より好ましくは700W~20KWである。マイクロ波による加熱時間は、好ましくは0.5~200分、より好ましくは1~100分である。
【0048】
一実施形態では、多孔質複合材料を調製するための方法が以下の工程を含む:
a.支持用の炭素材料もしくは炭素材料前駆体の溶液または分散液を調製する工程;
b.無機多孔質骨格もしくは無機多孔質骨格前駆体を、工程aの溶液または分散液に浸漬する工程であって、無機多孔質骨格もしくは無機多孔質骨格前駆体の細孔に溶液または分散液を充填する工程;炭素材料および/または炭素材料前駆体が、無機多孔質骨格材料および/または無機多孔質骨格材料前駆体炭素材料と、炭素材料および/または炭素材料前駆体との総質量の0.001%~99.999%、好ましくは0.01%~99.99%、およびより好ましくは0.1%~99.9%であり;
c.工程bで得られた多孔質材料を取り出し、その後、加熱および乾燥し、炭素材料または炭素材料前駆体を沈殿または固化させ、無機多孔質骨格または無機多孔質骨格前駆体に支持させる工程;加熱および乾燥温度は、50~250℃、好ましくは60~200℃、より好ましくは80~180℃である;
上記出発材料が炭素材料および無機多孔質骨格である場合には、工程cの後にマイクロ波中でアークを発生させる多孔質複合材料を得る工程;
さらに、使用される出発材料が炭素材料前駆体または無機多孔質骨格前駆体の少なくとも1つを含む場合には、次の工程dを実施する工程;
d.工程cで得られた多孔質材料を不活性ガス雰囲気下で加熱し、無機多孔質骨格前駆体を無機多孔質骨格に変換し、および/または炭素材料前駆体を還元または炭化し、それによってマイクロ波中で電気アークを発生させる多孔質複合材料を得る工程;加熱温度は400~1800℃、好ましくは600~1500℃、より好ましくは800~1200℃である。
【0049】
炭素材料前駆体は、グラフェン酸化物、改質カーボンナノチューブ、改質カーボンナノファイバー、改質グラファイト、改質カーボンブラック、改質カーボンファイバーおよび炭化可能有機物または炭化可能有機物の混合物のうちの少なくとも1つである。改質カーボンナノチューブ、改質カーボンナノファイバー、改質グラファイト、改質カーボンブラック、および改質カーボンファイバーは、これら炭素材料の、水または有機溶剤への分散性を改善し、安定な分散液を得るために、前処理される炭素材料を指す。例えば、分散剤および界面活性剤による前処理、または、親水基のグラフト化等による前処理を行う。これらの前処理は全て、従来技術における分散性を改善するための前処理の方法を採用している。グラフェンの水性分散、グラフェンのエタノール分散、グラフェンの水性スラリー、グラフェンの油性スラリー、グラフェン酸化物の水性分散、グラフェン酸化物のエタノール分散、グラフェン酸化物のN-メチルピロリドン分散、グラフェン酸化物の水性分散、カーボンナノチューブの水性分散、カルボキシル化カーボンナノチューブの水性分散、カーボンナノチューブのエタノール分散、カーボンナノチューブのジメチルホルムアミド分散、カーボンナノチューブのN-メチルピロリドンスラリー等、上記の前処理が施された炭素材料も全て市販されている。
【0050】
工程aにおける炭素材料またはその前駆物質の溶液または分散液の溶媒は、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリクロロベンゼン、トリクロロメタン、シクロヘキサン、カプロン酸エチル、酢酸ブチル、二硫化炭素、ケトン、アセトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、水およびアルコール、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される1つからなり得る。
【0051】
アルコールは、好ましくはプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、イソプロパノールおよびエタノールからなる群から選択される少なくとも1種である。
【0052】
この製造方法において、支持用の炭素材料前駆体は、支持の前において、人と環境にやさしい溶媒に溶解または分散させることができる前駆体であることが好ましく、そのため、調製処理が「地球に優しい」。人体及び環境にやさしい溶剤は、エタノール、水及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種である。すなわち、工程aにおける溶媒は、より好ましくは水および/またはエタノールを含む溶媒であり、さらに好ましくは、水および/またはエタノールである。
【0053】
工程aの溶液または分散は、溶媒中の炭素材料および/または炭素材料前駆体の十分な溶解または十分な分散を達成することのみを必要とする。通常、その濃度は、0.001~1g/mL、好ましくは0.002~0.8g/mL、さらに好ましくは0.003g~0.5g/mLとすることができる。
【0054】
より具体的には、調製方法において、無機多孔質骨格に支持された炭素材料がグラフェンである場合、工程aにおいて、グラフェン酸化物の水溶液を用いることが好ましい。
【0055】
製造方法において、無機多孔質骨格上に支持された炭素材料がカーボンナノチューブである場合、工程aにおいてカーボンナノチューブの分散液を用いることが好ましい。
【0056】
調製の方法において、支持用の炭素材料前駆体として熱硬化性プラスチックを選択する場合、工程aにおいて、従来技術における選択された熱硬化性プラスチックの従来の硬化製剤に従って、適切な硬化系を策定する必要がある。硬化系において、以下のグループから選択される任意の1つ以上の添加剤が添加され得る:硬化促進剤、染料、顔料、着色剤、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、滑沢剤、流動調整剤もしくは助剤、難燃剤、滴下防止剤、固化防止剤、接着促進剤、導電剤、多価金属イオン、衝撃調整剤、放出助剤、核形成剤など。使用される添加剤の量は、全て従来の量であるか、または実際の条件に従って調整することができる。支持用の炭素材料前駆体として熱硬化性プラスチックを選択した場合、その後の工程cで加熱した後、炭素材料前駆体として用いた熱硬化性樹脂を無機多孔質骨格に硬化および支持させる。
【0057】
前記調製方法において、支持用の炭素材料前駆体として熱硬化性プラスチックを選択する場合、工程aにおいて、上記熱硬化性プラスチック溶解させて支持用の炭素材料前駆体溶液を得るための従来の適当な溶媒と適当な硬化システムが選択される。
【0058】
前記調製方法において、支持用の炭素材料前駆体として熱可塑性物質を選択する場合、支持用の炭素材料前駆体の溶液には、酸化防止剤、共酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、オゾン安定剤、加工助剤、可塑剤、軟化剤、ブロッキング防止剤、発泡剤、染料、顔料、ワックス、増量剤、有機酸、難燃剤、シランカップリング剤およびプラスチック加工中に従来技術において一般的に使用される他の添加剤を添加することができる。使用される添加剤の量は、全て従来の量であるか、または実際の条件に従って調整することができる。
【0059】
前記調製方法の工程bでは、無機多孔質骨格の細孔に、炭素材料または炭素材料前駆体の溶液または分散液を充填して、数回圧搾するか、または全く圧搾しないことによって支持することができる。
【0060】
工程bで得られた多孔質材料を調製方法の工程cで取り出した後、工程bで得られた多孔質材料中に支持するための炭素材料または炭素材料前駆体の過剰な溶液または分散液を除去するための手段を講じることができ、または除去しないことができる。上記の測定は絞り操作および遠心操作のうちの1つまたは2つを含むが、これらに限定されない。
【0061】
前記調製方法の工程cおよびdにおける加熱は、好ましくはマイクロ波加熱であり得、これは効率的であるだけでなく、均一な加熱を達成し得る。
【0062】
具体的には、工程cにおいて、マイクロ波の出力は1W~100KW、好ましくは500W~10KWであり、マイクロ波時間は2~200分、好ましくは20~200分である。
【0063】
工程dでは、マイクロ波の出力が100W~100KW、好ましくは700W~20KWに変更され、マイクロ波時間は0.5~200分、好ましくは1~100分である。
【0064】
前記調製方法の工程dにおける加熱は、従来技術において一般に使用される不活性ガス雰囲気、好ましくは窒素から選択される不活性ガス雰囲気下で行われる必要がある。
【0065】
調製方法において使用される装置は、全て共通のものである。
【0066】
以上のように、上記多孔質複合材料の製造方法は、無機多孔質骨格と炭素材料とを組み合わせて、機械的性質に優れ、マイクロ波場で電気アークを発生させ、例えば900wのマイクロ波場で急速に高温を生じさせることができる多孔質複合材料を製造するものであり、多孔質複合材料は、その温度を1000℃超に昇温させる電気アークを発生させることができる。当該材料自体が高温に強く、処理の流れが簡単で実装が容易であり、大規模調製の実現が容易である。
【0067】
本発明における有機物含有固体材料は、廃プラスチック、廃ゴム、廃繊維および廃バイオマスまたはそれらの混合物のうちの1つとなり得る。
【0068】
本発明における廃プラスチックとは、最終的に廃棄または交換される間に使用されてきた、民生用、工業用および他の用途のためのプラスチックおよびその混合物をいう。プラスチックはポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンターポリマー、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンエーテルおよびポリフェニレンスルフィドのうちの少なくとも1つ、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリアミド、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンターポリマー、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ポリメチルメタクリレートおよびポリオキシメチレンのうちの少なくとも1つ、さらに好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネートおよびポリアミドのうちの少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。
【0069】
本発明における廃ゴムとは、最終的に廃棄または交換される間に使用されてきた、民生用、工業用および他の用途のためのゴムおよびその混合物をいう。ゴムは、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、スチレン系ブロック共重合体及びシリコーンゴムの少なくとも1種であることが好ましく、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム及びエチレンプロピレンゴムの少なくとも1種であることがより好ましい。
【0070】
本発明における廃棄繊維とは、最終的に廃棄または交換される間に使用されてきた、民生用、工業用および他の用途のための繊維物品およびその混合物をいう。繊維は好ましくはポリプロピレン繊維、アクリル繊維、ビニロン、ナイロン、ポリエステル繊維、ポリ塩化ビニル繊維及びスパンデックスの少なくとも1種であり、より好ましくはポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維及びスパンデックスの少なくとも1種である。
【0071】
本発明の廃棄物バイオマスは、光合成により生成される各種の動植物及び藻類であり、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンから構成される。それは、好ましくは、わら、バガス、樹枝、葉、木材チップ、米殻、稲わら、ピーナッツ殻、ココナッツ殻、パーム種子殻およびトウモロコシヤシまたはそれらの混合物のうちの1つ。
【0072】
本発明の液体有機媒体は、好ましくは液体石油炭化水素およびその混合物並びに/または植物油およびその混合物であり;より好ましくは原油、ナフサ、パーム油、菜種油、ヒマワリ油、大豆油、ピーナッツ油、亜麻仁油およびヒマシ油、またはそれらの混合物のうちの1つ;さらに好ましくはナフサ、パーム油、菜種油、ヒマワリ油および大豆油のうちの1つ、またはそれらの混合物である。
【0073】
本発明の方法におけるマイクロ波場は、家庭用電子レンジ、工業化されたマイクロ波装置(マイクロ波熱分解反応器など)などの従来技術における様々なマイクロ波装置によって生成することができる。
【0074】
本発明の方法では、有機物、液体有機媒体、および強波長吸収材料を含む固体材料を配置または負荷するための装置は、石英るつぼ、石英反応器、石英管、アルミナるつぼ、アルミナ反応器、アルミナ管などの、マイクロ波を透過させることができ、1200℃を超える高温に耐えることができる従来技術の様々な容器またはパイプから選択することができる。
【0075】
本発明の方法では、有機物含有固体材料と液体有機媒体とを熱分解した後、ガス化する。そして、熱分解後に得られたガスは後続の処理のために回収され、例えば、ガスは分離され、その後、燃料として、または後続の反応および生産のための化学工業用の原料として使用される。熱分解後の残渣は廃棄物として処分される。
【0076】
ガス収集は従来技術において一般的な方法であり、好ましくは、不活性雰囲気下で実施される。例えば、ガス入口およびガス出口を有する工業用電子レンジ(例えば、マイクロ波熱分解反応器など)が使用される。ガス収集方法は、反応プロセス中に窒素でパージし、ガス出口でガス収集バッグを用いてサンプリングおよび収集することである。
【0077】
本発明の方法では、液体有機媒体のこのような特性を利用することによって、液体有機媒体を、有機物含有固体材料を移送するための媒体として、および、熱分解のための出発材料として共同で使用することができる。有機物含有固体材料は、粉砕され、次いで、移動のために液体有機媒体と混合される。不活性雰囲気下または真空下で、得られた混合物を、マイクロ波場下で、電波吸収性が強い電波吸収性材料と連続的に接触させる。電波吸収性が強い電波吸収性材料は、マイクロ波の下で、急速かつ連続的に高温を発生する。これにより、有機物含有固体材料と液体有機媒体とを連続的に熱分解し、連続運転を実現する。本発明の方法はプロセスが連続的であり、高効率であり、工業化可能であり、製品組成物は高い付加価値を有する。特に、本発明の方法において、液体有機媒体と有機物含有固体材料との組み合わせ使用が相乗効果を達成することが、予想外に発見される。液体有機媒体は固体材料のための移動媒体として作用するだけでなく、それらと共に高温熱分解反応を促進し、その結果、連続操作法は、より高い熱分解効率およびより軽い生成物を有する。
【0078】
別の態様によれば、本発明は、本発明による有機物含有固体材料のマイクロ波高温熱分解のための連続操作方法を実施するためのシステムをさらに提供するものであり、本発明は;
a)有機物含有固体材料を液体有機媒体と混合するために使用される混合装置;
b)前記a)の混合装置から得られた混合物をマイクロ波場に連続的に移送するために使用される移送装置;および、
c)マイクロ波場を発生させるための装置であって、不活性雰囲気下または真空下で、前記b)の移送装置からの混合物を、マイクロ波場において高温を連続的に発生させる電波吸収性が強い電波吸収性材料に、連続的に接触させるために使用される装置;
を備え、これにより、有機物含有固体材料および液体有機媒体を共に連続的に熱分解するものである。
【0079】
前記混合装置a)は、有機物含有固体材料を液体有機媒体と混合することができれば任意の種類の混合装置であってよく、好ましくは撹拌機構を有するミキサーである。これに対応して、このようなプロセス部は、材料混合部または材料撹拌部と呼ぶこともできる。また、前記プロセス部とは、有機物含有固体材料と液体有機媒体とを混合する操作部をいう。
【0080】
上述のように、マイクロ波場を発生させるための装置c)は、家庭用電子レンジおよび工業用電子レンジ熱分解反応器などのマイクロ波装置であってもよい。ここでのプロセス部は、マイクロ波処理部とも呼ばれ得る。マイクロ波処理部とは、マイクロ波場において、電波吸収性が強い電波吸収性材料が連続的に高温を発生させる動作部をいう。その結果、有機物含有固体材料と液体有機媒体とが熱分解される。
【0081】
前記移送装置b)は、固体(粉末など)と液体との混合物を移送することができる任意の種類の移送装置、例えばポンプであってもよく、これには蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプ、プランジャポンプおよびスクリューポンプ、好ましくは蠕動ポンプおよびスクリューポンプが含まれるが、これらに限定されない。ポンプの定格出力は、10W~100kW、好ましくは50W~50kW、より好ましくは100W~30kWであってもよい。
【0082】
ポンプは、材料混合部とマイクロ波処理部との間に配置することができる。ポンプ(蠕動ポンプなど)を介して、有機物含有固体材料と液体有機媒体との混合物を、電波吸収性が強い電波吸収材料の表面に連続的に添加することができる。ポンピング速度は、マイクロ波場の下での固体/液体混合材料と電波吸収性が強い電波吸収性材料との混合物の連続的な接触を確実にすることができる。
【0083】
例えば、本発明による有機物含有固体材料のマイクロ波高温熱分解のための連続操作方法は、図1に示すようなシステムで実施することができる。
【0084】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、本発明によるシステムの一実施形態の概略図を示す。
【0085】
〔実施例〕
本発明は以下の実施例を参照してさらに説明されるが、これらの実施例によって限定されることは意図されない。
【0086】
実施例における実験データは、以下の機器および測定方法を用いて測定した:
1.実施例により得られる多孔質複合材料中の担持炭素材料の質量百分率を求める。
1)出発材料として無機多孔質骨格材料を用いた場合、まず、この出発材料の無機多孔質骨格材料の重量を測定して、最終的に得られる多孔質複合材についても実施例終了後の重量を測定して、両者の重量の差分を計測した。この差分が担持炭素材料の重量であり、ここから、多孔質複合材料中の担持炭素材料の質量百分率を求めることができる。
2)出発原料に無機多孔質骨格前駆体を使用した場合、同じ重量を有する2つの無機多孔質骨格前駆体試料を使用して、これらのうちの1つを本発明の実施例で使用し、他方は参考例として使用した。参考例は、上記の調製方法の工程cおよびdのみを実施した。そして、実施例で得られた多孔質複合材料の重量を秤量し、参考例で得られた試料の重量を秤量した。両者の重量の差分は、担持されたカーボン材料の重量である。したがって、これにより、多孔質複合材料中の担持炭素材料の質量百分率を求めた。
【0087】
2.以下の例および比較例において熱分解されたガスのクロマトグラフ分析は、特に断りのない限り、Agilent社(米国)が製造するAgilent 6890Nガスクロマトグラフを用いて行った。
【0088】
使用したAgilent 6890NガスクロマトグラフはFID検出器を備えていた。クロマトグラフカラムとして、HP-PLOT ALキャピラリーカラム(50m×0.53mm×15μm)を用いた。Heをキャリアガスとし、平均線速度は41cm/秒である。入口温度は200℃、検出器温度は250℃、分割比は15:1、注入サンプル体積は0.25ml(気体)であった。昇温プログラムは、初期温度55℃で3分間維持された後、4℃/分で120℃まで増加し4分間維持され、さらに20℃/分で170℃まで増加して10分間維持されるプログラムであった。
【0089】
3.無機多孔質骨格及び多孔質複合材料の平均細孔径は以下のようにして求めた。個々の細孔の細孔径は、走査電子顕微鏡(SEM)写真における個々の細孔の中心と細孔の輪郭とを通る直線の2つの交点間の距離の中で最小の値によって決定した。そして、平均細孔径は、SEM写真に示した全ての細孔の細孔径値の数平均値によって求めた。使用したSEMは、倍率200倍の日立S-4800(日立、日本)であった。
【0090】
4.多孔率の測定は、GB/T 23561.4-2009を参照して決定した。
【0091】
5.粒子径の測定は、光学顕微鏡(モデルBX53M、オリンパス)で測定した。個々の粒子の粒子径は、光学顕微鏡写真(倍率200)における個々の粒子の中心と粒子の輪郭とを通る直線の2つの交点間の距離の中で最も大きい値によって求めた。平均粒子径は、光学顕微鏡写真に示されたすべての粒子の粒子径の平均値によって決定した。
【0092】
実施例で使用した出発物質は、全て商業的に入手可能であった。
【0093】
<多孔質複合材料の調製>
[実施例1]
(1)グラフェン酸化物(JCGO-95-1-2.6-W、10mg/ml、Nanjing Ji Cang Nano Tech Co、LTD.)の分散水溶液500mlを秤量し、ビーカーに入れた;
(2)グラフェン酸化物の分散水溶液中に、フェノール樹脂(フェノール発泡体、平均孔径300μm、多孔率99%、長州スミサース・オーシスフローラルフォーム(株))からなる多孔質骨格2gを浸漬した。そして、分散水溶液を、多孔質骨格の細孔チャネルに十分に投入した;
(3)浸漬した多孔質材料を取り出し、ステンレス鋼トレー上に置いた。浸漬した多孔質材料を180℃のオーブンに入れ、1時間加熱して、材料を乾燥させるとともに予備還元した;
(4)乾燥した多孔質材料を家庭用電子レンジ(700w、M1-L213Bモデル、Midea)に入れ、高出力で2分間マイクロ波処理し、予備還元されたグラフェン酸化物をグラフェンに還元し、フェノール樹脂骨格を炭素骨格に炭化した(平均孔径200μm、多孔率99%)。これにより、マイクロ波場で電気アークを発生させることができる炭素多孔質骨格上に支持されたグラフェンを有する多孔質複合材料が得られ、グラフェンは多孔質複合材料の全質量の10%を構成した。
【0094】
[実施例2]
(1)カーボンナノチューブ(XFWDM、100mg/ml、Nanjing XFNANO Materials Tech Co、Ltd.)の分散液500mlを測定し、ビーカーに入れた;
(2)カーボンナノチューブの分散液に、フェノール樹脂(フェノール発泡体、孔径200μm、多孔率99%、長州スミサース・オーシスフローラルフォーム(株))からなる多孔質骨格2gを浸漬して、カーボンナノチューブの分散液を、多孔質骨格の細孔チャネルに十分に投入した;
(3)浸漬した多孔質材料を取り出し、ステンレス鋼トレー上に置いた。浸漬した多孔質材料を80℃のオーブンに入れ、5時間加熱し、材料を乾燥させた;
(4)乾燥した多孔質材料を管状炉に入れ、窒素雰囲気下、800℃で1時間炭化し、マイクロ波場でアークを発生させることができるカーボン多孔質骨格上にカーボンナノチューブを担持させた多孔質複合材料(炭素骨格の平均孔径は140μm、多孔率は99%)を得た。カーボンナノチューブは、得られた多孔質複合材料の全質量の30%を構成した。
【0095】
[実施例3]
(1)カーボンナノチューブ(XFWDM、100mg/ml、Nanjing XFNANO Materials Tech Co、Ltd.)の分散液500mlを秤量し、ビーカーに入れた;
(2)ケイ酸塩(平均孔径150μm、多孔率90%、山東ルヤン省エネルギー材料(株))で構成される繊維質綿状の多孔質骨格5gを、カーボンナノチューブの分散液に浸漬させ、分散液が多孔質骨格の細孔チャネルに十分に入るように数回絞り込んだ;
(3)浸漬した多孔質材料を取り出し、ステンレス鋼トレー上に置き、これを150℃のオーブン内に置き、2時間加熱し、それによって材料を乾燥させた。これにより、マイクロ波場でアークを発生させることができるケイ酸塩繊維多孔質骨格上に支持されたカーボンナノチューブを有する多孔質複合材料を得た。ここで、カーボンナノチューブは、得られた多孔質複合材料の全質量の10%を構成した。
【0096】
[実施例4]
(1)粉末フェノール樹脂(2123、Xinxiang Bomafengfan Industry Co、Ltd.)30gを秤量するとともに、ヘキサメチレンテトラミン硬化剤3.6gを秤量して、ビーカーに入れ、エタノール500mlを注ぎ、マグネチックスターラーで1時間撹拌し、成分が全て溶解するまで撹拌した;
(2)ケイ酸塩(平均孔径150μm、多孔率90%、山東ルヤン省エネルギー材料(株))からなる繊維状綿状の多孔質骨格5gを前記溶液に浸漬して、数回圧搾し、多孔質骨格の細孔チャネルに十分に溶液が入るようにした;
(3)浸漬した多孔質材料を取り出してステンレス鋼トレー上に置き、180℃の炉内に置き、2時間加熱することにより、材料を乾燥させて溶媒を除去し、フェノール樹脂を硬化させた;
(4)乾燥硬化した多孔質材料を管状炉内に入れ、窒素雰囲気下、1000℃で1時間炭化してフェノール樹脂を炭化させることにより、マイクロ波場中で電気アークを発生させることができる、ケイ酸塩繊維多孔質骨格に担持されたフェノール樹脂炭化物を有する多孔質複合材料が得られた。ここで、炭素材料は、多孔質複合材料の全質量の5%を構成した。
【0097】
[実施例5]
(1)液状フェノール樹脂(2152、Jining Baiyi Chemicals)50gを秤量し、ビーカーに入れ、エタノール500mlを注ぎ、マグネチックスターラーで1時間攪拌し、溶解させた;
(2)アルミナ(平均孔径100μm、多孔率85%、山東ルヤン省エネルギー材料(株))からなる板状多孔質骨格8gを前記溶液に浸漬した。そして、溶液を、多孔質骨格の細孔チャネルに十分に投入した;
(3)浸漬した多孔質材料を取り出してステンレス鋼トレー上に置き、180℃の炉内に置き、2時間加熱することにより、材料を乾燥させて溶媒を除去し、フェノール樹脂を硬化させた;
(4)乾燥硬化した多孔質材料を管状炉に入れ、窒素雰囲気下、900℃で1時間炭化してフェノール樹脂を炭化し、マイクロ波場で電気アークを発生させることができる、アルミナ繊維多孔質骨格上にフェノール樹脂炭化物を担持した多孔質複合材料を得た。炭素材料は、得られた多孔質複合材料の全量の6%を構成した。
【0098】
[実施例6]
(1)水溶性澱粉(医薬品グレード、品番: S104454、上海アラジンバイオケミカルテクノロジー株式会社)30gを秤量し、ビーカーに入れ、脱イオン水500mlを注ぎ、磁気ロータで1時間攪拌し、溶解させた;
(2)アルミナ(平均孔径100μm、多孔率85%、山東ルヤン省エネルギー材料(株))からなる繊維マット状多孔質骨格8gを前記溶液に浸漬した。その結果、溶液は、多孔質骨格の細孔チャネルに十分に入り込んだ;
(3)浸漬した多孔質材料を取り出し、マイクロ波熱分解反応器(XOLJ-2000N、Nanjing Atpio Instrument Manufacturing Co、Ltd.)に入れ、10KWの出力で2分間、マイクロ波によって処理し、多孔質材料を乾燥させた;
(4)乾燥した多孔質材料を管状炉に入れ、窒素雰囲気下、1200℃で1時間炭化し、水可溶性デンプンを炭化し、マイクロ波場で電気アークを発生させることができる、アルミナ繊維多孔質骨格上にデンプン炭化物を担持した多孔質複合材料を得た。炭素材料は、得られた多孔質複合材料の総質量の0.1%を構成した。
【0099】
[実施例7]
(1)水溶性澱粉(医薬品グレード、品番: S104454、上海アラジンバイオケミカルテクノロジー株式会社)50gを秤量し、ビーカーに入れ、脱イオン水500mlを注ぎ、磁気ロータで1時間攪拌し、溶解させた;
(2)アルミナ(平均孔径100μm、多孔率85%、山東ルヤン省エネ材(株))からなる繊維綿状多孔質骨格8gを前記溶液に浸漬し、数回絞り、多孔質骨格の細孔チャネルに十分に入るようにした;
(3)浸漬した多孔質材料を取り出し、マイクロ波熱分解反応器(XOLJ-2000N、Nanjing Atpio Instrument Manufacturing Co、Ltd.)に入れ、500Wの出力で2時間、マイクロ波によって処理し、多孔質材料を乾燥させた;
(4)乾燥した多孔質材料を管状炉に入れ、窒素雰囲気下、1000℃で1時間炭化し、デンプンを炭化し、これにより、マイクロ波場で電気アークを発生させることができる、アルミナ繊維多孔質骨格上に支持されたデンプン炭化生成物を有する多孔質複合材料が得られ、炭素材料は、得られた多孔質複合材料の全質量の0.2%を構成した。
【0100】
[実施例8]
(1)液状フェノール樹脂(2152、Jining Baiyi Chemicals)2kgを秤量し、ビーカーに入れ、エタノール4Lを注ぎ、マグネチックスターラーで1時間攪拌し、溶解させた;
(2)配合溶液にフェノール樹脂(フェノール系発泡体、平均孔径500μm、多孔率99%、長州スミサース・オーシス・フローラルフォーム(株))からなる多孔質骨格2gを浸漬し、多孔質骨格の細孔チャネル内に溶液を十分に投入した;
(3)浸漬した多孔質材料を取り出し、ステンレス鋼トレー上に置き、これを150℃のオーブンに入れ、2時間加熱し、それによって材料を乾燥させた;
(4)乾燥した多孔質材料を、マイクロ波熱分解反応器(XOLJ-2000N、Nanjing Atpio Instrument Manufacturing Co、Ltd.)に入れ、20KWの出力で100分間、窒素雰囲気下でマイクロ波処理し、それによって、マイクロ波場において電気アークを発生させることができる、炭素多孔質骨格上に支持されたフェノール樹脂炭化生成物を有する多孔質複合材料(ここで、炭素骨格は平均孔径350μm、多孔率99%を有した)を得た。ここで、無機炭素骨格上に支持された炭素材料は、得られた多孔質複合材料の総質量の80%を構成した。
【0101】
[実施例9]
(1)液状フェノール樹脂(2152、Jining Baiyi Chemicals)0.3gを秤量し、ビーカーに入れ、エタノール100mlを注ぎ、マグネチックスターラーで1時間攪拌し、溶解させた;
(2)活性アルミナ(平均孔径0.05μm、多孔率30%、山東海洋化学工業(株))300gを前記溶液に浸漬し、溶液を活性アルミナの細孔チャネルに十分に投入した;
(3)浸漬した多孔質材料を取り出し、ステンレス鋼トレー上に置き、これを150℃のオーブンに入れ、2時間加熱し、それによって材料を乾燥させた;
(4)乾燥した多孔質材料を管状炉に入れ、窒素雰囲気下、1000℃で1時間炭化してフェノール樹脂を炭化し、マイクロ波場で電気アークを発生させることができる、活性アルミナ(多孔質骨格)に担持されたフェノール樹脂炭化物を有する多孔質複合材料を得た。炭素材料は、得られた多孔質複合材料の総質量の0.05%を構成した。
【0102】
[実施例10]
(1)粉末フェノール樹脂(2123、Xinxiang Bomafengfan Industry Co、Ltd.)30gおよびヘキサメチレンテトラミン硬化剤3.6gを秤量し、ビーカーに入れ、エタノール500mlを注ぎ、溶解するまで磁気ロータで1時間攪拌した;
(2)酸化マグネシウム(平均孔径100μm、多孔率80%)からなる繊維板状多孔質骨格8gを前記溶液に浸漬し、多孔質骨格の細孔チャネルに十分に投入した(Jinan Huolong Thermal Ceramics Co、Ltd.);
(3)浸漬した多孔質材料を取り出してステンレス鋼トレー上に置き、180℃の炉内に置き、2時間加熱することにより、材料を乾燥させて溶媒を除去し、フェノール樹脂を硬化させた;
(4)乾燥硬化した多孔質材料を管状炉に入れ、窒素雰囲気下、1000℃で1時間炭化してフェノール樹脂を炭化し、マイクロ波場でアークを発生させることができる、酸化マグネシウム繊維多孔質骨格上に担持されたフェノール樹脂炭化物を有する多孔質複合材料を得た。炭素材料は、得られた多孔質複合材料の総質量の3%を構成する。
【0103】
[実施例11]
(1)水溶性澱粉(医薬品グレード、上海アラジンバイオケミカルテクノロジー株式会社)100gを秤量し、ビーカーに入れ、脱イオン水500mlを注ぎ、磁気ロータで1時間攪拌し、溶解させた;
(2)ジルコニア(平均孔径150μm、多孔率80%)からなる繊維板状多孔質骨格8gを前記溶液に浸漬し、多孔質骨格の気孔チャネルに十分に投入した(Jinan Huolong Thermal Ceramics Co、Ltd.);
(3)浸漬した多孔質材料を取り出し、マイクロ波熱分解反応器(XOLJ-2000N、Nanjing Atpio Instrument Manufacturing Co、Ltd.)に入れ、3KWの出力で20分間、マイクロ波によって処理し、多孔質材料を乾燥させた;
(4)乾燥した多孔質材料を管状炉に入れ、窒素雰囲気下、900℃で2時間炭化し、デンプンを炭化した。これにより、マイクロ波場で電気アークを発生させることができる、ジルコニア繊維多孔質骨格上に支持されたデンプン炭化生成物を有する多孔質複合材料が得られた。炭素材料は、得られた多孔質複合材料の全質量の0.5%を構成した。
【0104】
[実施例12]
(1)液状フェノール樹脂(2152、Jining Baiyi Chemicals)50gを秤量し、ビーカーに入れ、エタノール500mlを注ぎ、マグネチックスターラーで1時間攪拌し、溶解させた;
(2)窒化ホウ素(平均孔径100μm、多孔率80%)からなる繊維板状多孔質骨格8gを前記溶液中に浸漬し、多孔質骨格の気孔チャネル中に溶液を十分に投入した;
(3)浸漬した多孔質材料を取り出してステンレス鋼トレー上に置き、180℃の炉内に置き、2時間加熱することにより、材料を乾燥させて溶媒を除去し、フェノール樹脂を硬化させた;
(4)乾燥・硬化した多孔質体を管状炉に入れ、900℃で1時間、窒素雰囲気中で炭化し、フェノール樹脂を炭化した。これにより、マイクロ波場で電気アークを発生させることができる、窒化ホウ素繊維多孔質骨格上に支持されたフェノール樹脂炭化生成物を有する多孔質複合材料が得られた。炭素材料は、得られた多孔質複合材料の全質量の5%を構成した。
【0105】
[実施例13]
(1)液状フェノール樹脂(2152、Jining Baiyi Chemicals)100gを秤量し、ビーカーに入れ、エタノール500mlを注ぎ、マグネチックスターラーで1時間攪拌し、溶解させた;
(2)炭化ケイ素(平均孔径100μm、多孔率80%)からなる繊維板状多孔質骨格8gを前記溶液中に浸漬し、多孔質骨格の気孔チャネル中に十分に溶液を入れるようにした;
(3)浸漬した多孔質材料を取り出してステンレス鋼トレー上に置き、180℃の炉内に置き、2時間加熱することにより、材料を乾燥させて溶媒を除去し、フェノール樹脂を硬化させた;
(4)乾燥・硬化した多孔質体を管状炉に入れ、800℃で1時間、窒素雰囲気中で炭化し、フェノール樹脂を炭化した。これにより、マイクロ波場で電気アークを発生させることができる、炭化ケイ素繊維多孔質骨格上に支持されたフェノール樹脂炭化生成物を有する多孔質複合材料が得られた。炭素材料は、得られた多孔質複合材料の全質量の10%を構成した。
【0106】
[実施例14]
(1)液状フェノール樹脂(2152、Jining Baiyi Chemicals)100gを秤量し、ビーカーに入れ、エタノール500mlを注ぎ、マグネチックスターラーで1時間攪拌し、溶解させた;
(2)チタン酸カリウム(平均孔径100μm、多孔率80%)からなる繊維板状多孔質骨格8gを配合溶液に浸漬し、多孔質骨格の気孔チャネルに十分に投入した(Jinan Huolong Thermal Ceramics Co、Ltd.);
(3)浸漬した多孔質材料を取り出してステンレス鋼トレー上に置き、180℃の炉内に置き、2時間加熱することにより、材料を乾燥させて溶媒を除去し、フェノール樹脂を硬化させた;
(4)乾燥・硬化した多孔質体を管状炉に入れ、800℃で1時間、窒素雰囲気中で炭化し、フェノール樹脂を炭化した。これにより、マイクロ波場でアークを発生させることができる、チタン酸カリウム繊維多孔質骨格上にフェノール樹脂炭化物が担持された多孔質複合材料が得られた。炭素材料は、得られた多孔質複合材料の全質量の10%を構成した。
【0107】
<有機物含有固体材料のマイクロ波熱分解の連続操作>
[実施例15]
高密度ポリエチレン(HDPE,3300F、Maoming Petrochemical)50gを低温で粉砕し(粉砕後の粒子径は約100ミクロン)、パーム油(商業的に利用可能な)100gと共に三つ口フラスコ中で完全に撹拌した。実施例1で得られた多孔質複合材料30gを石英反応器に入れ、窒素500ml/分で10分間パージした後、流量を100ml/分に調整し、マイクロ波熱分解反応器(XOLJ-2000N、Nanjing Atpio Instrument Manufacturing Co、Ltd.)を1000Wの出力で始動させた。上記材料を、蠕動ポンプ(LongerPump BT100-2J精度蠕動ポンプ)を用い、約2g/分の速度で石英キャピラリーを通して、石英反応器中の多孔質複合材料の表面に連続的に添加した。そして、上記材料を連続的に熱分解してガス化した。ガスは、ガス出口で、ガス収集バッグを用いて回収された。回収したガスをクロマトグラフィー分析した。分析結果を、表1に示す。
【0108】
ポリプロピレン(PP、F280、Shanghai Petrochemical)30gを低温で粉砕し(粉砕後の粒子径は約100ミクロン)、三つ口フラスコ中で大豆油(市販)30gと共に撹拌した。実施例6で得られた多孔質複合材料50gを石英反応器に入れ、窒素500ml/分で10分間パージした後、流量を100ml/分に調整し、マイクロ波熱分解反応器(XOLJ-2000N、Nanjing Atpio Instrument Manufacturing Co、Ltd.)を1500Wの出力で始動させた。上記材料を、蠕動ポンプ(LongerPump BT100-2J精度蠕動ポンプ)を用い、約2g/分の速度で石英キャピラリーを通して、石英反応器中の多孔質複合材料の表面に連続的に添加した。そして、上記材料を連続的に熱分解してガス化した。ガスは、ガス出口で、ガス収集バッグを用いて回収された。回収したガスをクロマトグラフィー分析した。分析結果を、表1に併せて示す。
【0109】
【表1】
【0110】
[実施例16]
大豆油をパーム油に置き換え、高密度ポリエチレンを低密度ポリエチレンに置き換えたこと以外は、実施例15を繰り返した。そして、回収したガスを以下のようにクロマトグラフィー分析した。熱分解後に収集されたガス生成物を、ASTM D1945-14法に従って、精製ガス分析器(HP Agilent 7890 A、1つのFIDおよび2つのTCD(熱伝導率検出器)を含む3つのチャネルで構成される)を使用して分析した。炭化水素をFIDチャネル上で分析した。窒素キャリアガスを用いた1つのTCDを用いて、水素含有量を測定したが、これは水素とヘリウムキャリアガスとの間に導電率のわずかな差があったからである。CO、CO、N、およびOの検出には、ヘリウムをキャリアガスとして使用する他のTCDを使用した。定量分析のために、応答係数を、RGA(精製ガス分析)較正ガス標準を使用することによって決定した。分析結果を表2-1に示す。
【0111】
また、比較のため、以下のバッチ実験を行った。
【0112】
PEバッチ法: 低密度ポリエチレン(LDPE、LD600、Yanshan Petrochemical)50gを低温で粉砕し、三つ口フラスコに入れた。実施例1で得られた多孔質複合材料30gを石英反応器に入れた。石英反応器内の多孔質複合材料の表面に上記材料を添加し、500ml/分の窒素で10分間パージした後、流量を100ml/分に調整した。1000Wの出力でマイクロ波熱分解反応器(XOLJ‐2000N、Nanjing Atpio Instrument Manufacturing Co、Ltd)を起動した。上記材料を石英反応器中の多孔質複合材料の表面に添加し、熱分解してガスにした。ガスは、ガス出口で、ガス収集バッグを用いて回収された。この実施例で先に述べたように、収集したガスをクロマトグラフィーで分析した。分析結果を表2-1に示す。
【0113】
PPバッチ法: ポリプロピレン(PP、F280、Shanghai Petrochemical)30gを低温で粉砕し、三つ口フラスコに入れた。実施例6で得られた多孔質複合材料50gを石英反応器に入れ、500ml/分の窒素で10分間パージした後、流量を100ml/分に調整した。1500Wの出力でマイクロ波熱分解反応器(XOLJ‐2000N、Nanjing Atpio Instrument Manufacturing Co、Ltd)を起動した。上記材料を石英反応器中の多孔質複合材料の表面に添加し、連続的に熱分解してガスにした。ガスは、ガス出口でガス収集バッグを用いて回収された。この実施例で先に述べたように、収集したガスをクロマトグラフィーで分析した。分析結果を表2-1に併せて示す。
【0114】
また、参考として、上記低密度ポリエチレンの代わりにパーム油100gを用いて同様の実験を行った。分析結果を表2-1に示す。
【0115】
【表2-1】
【0116】
表2-1のデータから、パーム油およびポリエチレンの両方の連続操作方法によって得られた気相生成物の割合は、ポリエチレン単独およびパーム油単独を使用するバッチ操作方法によって得られた気相生成物の割合よりも有意に高いことが分かる。明らかに、パーム油とポリエチレンとの組み合わせの使用により、相乗効果が奏された。パーム油はポリエチレンの移動媒体として機能するだけでなく、両者の高温熱分解反応を促進し、連続操作方法は、より高い熱分解効率と、より軽い生成物とを有する。
【0117】
さらに、活性炭を使用して、実施例1または6による多孔質複合材料を置換し、上記の実験を繰り返した。分析結果を表2-2に示す。
【0118】
【表2-2】
【0119】
表2-2のデータから、電波吸収性が強い電波吸収性材料として活性炭を用いた場合にも、相乗効果が得られていることがわかる。パーム油とポリエチレンとの両方の連続操作方法によって得られた気相製品の割合は、ポリエチレン単独とパーム油単独とを使用するバッチ操作方法によって得られた気相生成物の割合よりも有意に高かった。パーム油はポリエチレンの移動媒体として機能するだけでなく、両者の高温熱分解反応を促進し、連続操作方法はバッチ方法に比べて熱分解効率が高く、生成物が軽い。
【0120】
また、表2-2と表2-1とを比較すると、マイクロ波場で電気アークを発生させることができる特定の多孔質複合材料を用いて行われたマイクロ波高温熱分解で得られた気相生成物の割合は、活性炭を用いた場合よりも有意に高いことがわかる。このように、このような多孔質複合材料を用いた方法は、熱分解効率が高く、生成物が軽く、製品の付加価値が高かった。
【0121】
〔符号の説明〕
1 電子レンジ
2 石英反応器
3 蠕動ポンプ
4 出発物質
5 気体流量計
6、7 コールドトラップ
8 氷水槽
9 綿フィルター
【図面の簡単な説明】
【0122】
図1】本発明によるシステムの一実施形態の概略図を示す。
図1
【国際調査報告】