IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特表2022-506169車両用の制御機器の過電圧保護回路、車両用の制御機器および車両用の制御機器の過電圧保護回路のテスト方法
<>
  • 特表-車両用の制御機器の過電圧保護回路、車両用の制御機器および車両用の制御機器の過電圧保護回路のテスト方法 図1
  • 特表-車両用の制御機器の過電圧保護回路、車両用の制御機器および車両用の制御機器の過電圧保護回路のテスト方法 図2
  • 特表-車両用の制御機器の過電圧保護回路、車両用の制御機器および車両用の制御機器の過電圧保護回路のテスト方法 図3
  • 特表-車両用の制御機器の過電圧保護回路、車両用の制御機器および車両用の制御機器の過電圧保護回路のテスト方法 図4
  • 特表-車両用の制御機器の過電圧保護回路、車両用の制御機器および車両用の制御機器の過電圧保護回路のテスト方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】車両用の制御機器の過電圧保護回路、車両用の制御機器および車両用の制御機器の過電圧保護回路のテスト方法
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/05 20060101AFI20220107BHJP
   H02H 7/00 20060101ALI20220107BHJP
   H02H 3/20 20060101ALI20220107BHJP
   G01R 31/00 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
H02H3/05 L
H02H7/00 K
H02H3/20 A
G01R31/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523367
(86)(22)【出願日】2019-09-30
(85)【翻訳文提出日】2021-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2019076436
(87)【国際公開番号】W WO2020088864
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】102018126913.7
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル-ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr-Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80, D-80809 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス フォイヒト
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】フランク ショル
【テーマコード(参考)】
2G036
5G004
5G142
【Fターム(参考)】
2G036AA19
2G036BA12
2G036BA36
5G004AA04
5G004AB02
5G004CA08
5G004DC04
5G004EA01
5G142AB05
5G142FF04
5G142FF22
5G142GG09
(57)【要約】
車両用の制御機器の過電圧保護回路(120)が提示されている。過電圧保護回路(120)は、入力電圧(Uin)の印加のための入力端子(122)、テスト電圧(TST)の印加のためのテスト端子(126)および制御機器に供給される出力電圧(Uout)を提供するための出力端子(124)を有している。過電圧保護回路(120)はまた、入力電圧(Uin)を使用して基準電圧(Uref)を提供するように構成されている基準装置(221)を有している。過電圧保護回路(120)はさらに、出力電圧(Uout)を使用して部分電圧を提供するように構成されている分割装置(223)を有している。さらに、過電圧保護回路(120)は、基準電圧(Uref)および部分電圧を使用して調整信号を提供するように構成されている制御装置(225)を有している。過電圧保護回路(120)はまた、入力端子(122)と出力端子(124)との間に接続されている調整装置(227)を有している。ここで調整装置(227)は、入力電圧(Uin)および調整信号を使用して出力電圧(Uout)を提供するように構成されている。さらに、過電圧保護回路(120)は、テスト電圧(TST)を使用して部分電圧の値を修正するように構成されている修正装置(229)を有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)用の制御機器(110)の過電圧保護回路(120)であって、
入力電圧(Uin)の印加のための入力端子(122)、テスト電圧(TST)の印加のためのテスト端子(126)および前記制御機器(110)に供給される出力電圧(Uout)を提供するための出力端子(124)と、
前記入力電圧(Uin)を使用して基準電圧(Uref)を提供するように構成されている基準装置(221)と、
前記出力電圧(Uout)を使用して部分電圧を提供するように構成されている分割装置(223)と、
前記基準電圧(Uref)と前記部分電圧とを使用して調整信号を提供するように構成されている制御装置(225)と、
前記入力電圧(Uin)と前記調整信号とを使用して前記出力電圧(Uout)を提供するように構成されている、前記入力端子(122)と前記出力端子(124)との間に接続されている調整装置(227)と、
前記テスト電圧(TST)を使用して前記部分電圧の値を修正するように構成されている修正装置(229)と、
を有する、過電圧保護回路(120)。
【請求項2】
前記調整装置(227)は、第1の端子、第2の端子および前記調整信号を受信するための制御端子を備えたトランジスタ(T1)を有し、
前記トランジスタ(T1)の前記第1の端子は前記入力端子(122)と接続され、
前記トランジスタ(T1)の前記第2の端子は前記出力端子(124)と接続され、
前記トランジスタ(T1)の前記制御端子は前記制御装置(225)と接続されている、
請求項1記載の過電圧保護回路(120)。
【請求項3】
前記制御装置(225)は、反転入力側、非反転入力側および出力側を備えた演算増幅器を有し、
前記演算増幅器の前記反転入力側は、前記基準電圧(Uref)を受け取るために、前記基準装置(221)と接続され、
前記演算増幅器の前記非反転入力側は、前記部分電圧を受け取るために、前記分割装置(223)と接続され、さらに前記部分電圧を修正するために、前記修正装置(229)と接続され、
前記演算増幅器の前記出力側は、前記調整信号を提供するために、前記調整装置(227)と接続されている、
請求項1または2記載の過電圧保護回路(120)。
【請求項4】
前記修正装置(229)はスイッチ(S1)および電気的な修正抵抗器(R3)を有し、
前記スイッチ(S1)と前記修正抵抗器(R3)とは、基準電位と前記制御装置(225)との間に直列に相互に接続され、
前記スイッチ(S1)の制御端子は前記テスト端子(126)と接続されている、
請求項1から3までのいずれか1項記載の過電圧保護回路(120)。
【請求項5】
前記分割装置(223)は、第1の電気的な分割抵抗器(R1)および第2の電気的な分割抵抗器(R2)を有し、
前記第1の分割抵抗器(R1)の第1の端子は前記出力端子(124)と接続され、
前記第1の分割抵抗器(R1)の第2の端子は前記第2の分割抵抗器(R2)の第1の端子と接続され、
前記第2の分割抵抗器(R2)の第2の端子は基準電位と接続され、
前記第1の分割抵抗器(R1)の前記第2の端子は、前記部分電圧を提供するために、前記制御装置(225)と接続されている、
請求項1から4までのいずれか1項記載の過電圧保護回路(120)。
【請求項6】
前記基準装置(221)は、前記基準電圧(Uref)の印加のための基準端子を有し、または基準抵抗器(R8)、第1のダイオード(D1)および第2のダイオード(D2)を有し、
前記基準抵抗器(R8)と前記第1のダイオード(D1)と前記第2のダイオード(D2)とは、制御電圧(U)の印加のための制御端子(330)と基準電位との間、または前記入力端子(122)と基準電位との間に直列に相互に接続され、
前記第1のダイオード(D1)と前記第2のダイオード(D2)との間の基準ノード(REF)は前記制御装置(225)と接続されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の過電圧保護回路(120)。
【請求項7】
前記演算増幅器は、2つのnpn増幅器トランジスタ(T3,T4)、1つのpnp増幅器トランジスタ(T2)、2つの増幅器コンデンサ(C1,C2)および3つの電気的な増幅器抵抗器(R4,R5,R6)を有し、
前記演算増幅器の前記反転入力側は、前記npn増幅器トランジスタ(T3,T4)のうちの第1のnpn増幅器トランジスタ(T3)の制御端子として構成され、
前記演算増幅器の前記非反転入力側は、前記npn増幅器トランジスタ(T3,T4)のうちの第2のnpn増幅器トランジスタ(T4)の制御端子として構成され、
前記npn増幅器トランジスタ(T3,T4)のうちの前記第1のnpn増幅器トランジスタ(T3)の第1の端子と前記npn増幅器トランジスタ(T3,T4)のうちの前記第2のnpn増幅器トランジスタ(T4)の第1の端子とは、前記増幅器抵抗器(R4,R5,R6)のうちの第1の増幅器抵抗器(R4)を介して基準電位と接続され、
前記npn増幅器トランジスタ(T3,T4)のうちの前記第1のnpn増幅器トランジスタ(T3)の第2の端子は、前記pnp増幅器トランジスタ(T2)の第2の端子と接続され、かつ前記調整信号を提供するために、前記調整装置(227)と接続され、
前記npn増幅器トランジスタ(T3,T4)のうちの前記第2のnpn増幅器トランジスタ(T4)の第2の端子は、前記出力端子(124)と接続され、
前記pnp増幅器トランジスタ(T2)の第1の端子は、前記入力端子(122)と接続され、
前記pnp増幅器トランジスタ(T2)の制御端子は、前記増幅器抵抗器(R4,R5,R6)のうちの第2の増幅器抵抗器(R6)を介して前記調整装置(227)と接続され、
前記増幅器コンデンサ(C1,C2)のうちの第1の増幅器コンデンサ(C1)の第1の端子は、前記入力端子(122)と接続され、
前記増幅器コンデンサ(C1,C2)のうちの前記第1の増幅器コンデンサ(C1)の第2の端子は、前記pnp増幅器トランジスタ(T2)の前記制御端子と前記増幅器抵抗器(R4,R5,R6)のうちの前記第2の増幅器抵抗器(R6)との間に接続され、
前記増幅器抵抗器(R4,R5,R6)のうちの第3の増幅器抵抗器(R5)の第1の端子は、前記npn増幅器トランジスタ(T3,T4)のうちの前記第1のnpn増幅器トランジスタ(T3)の前記制御端子と接続され、
前記増幅器抵抗器(R4,R5,R6)のうちの前記第3の増幅器抵抗器(R5)の第2の端子は、前記出力端子(124)と接続され、
前記増幅器コンデンサ(C1,C2)のうちの第2の増幅器コンデンサ(C2)の第1の端子は、前記npn増幅器トランジスタ(T3,T4)のうちの前記第1のnpn増幅器トランジスタ(T3)の前記制御端子と接続され、
前記増幅器コンデンサ(C1,C2)のうちの前記第2の増幅器コンデンサ(C2)の第2の端子は、基準電位と接続されている、
請求項3記載の過電圧保護回路(120)。
【請求項8】
前記入力電圧(Uin)を使用して前記調整信号を設定するための設定装置(440)を有し、
前記設定装置(440)は、前記制御装置(225)と基準電位との間に接続されている、スイッチと第1の電気的な設定抵抗器(R14)とから成る直列回路を有し、
前記入力電圧(Uin)に応じて前記スイッチを切り替えることができる、
請求項1から7までのいずれか1項記載の過電圧保護回路(120)。
【請求項9】
前記スイッチは第1のnpn設定トランジスタ(T6)として構成され、
前記設定装置(440)はさらに、第2のnpn設定トランジスタ(T5)、第2の設定抵抗器(R10)、第3の設定抵抗器(R11)、第4の設定抵抗器(R12)および第5の設定抵抗器(R13)を有し、
前記第1のnpn設定トランジスタ(T6)の第1の端子は、前記第1の設定抵抗器(R14)の第1の端子と接続され、
前記第1の設定抵抗器(R14)の第2の端子は、基準電位と接続され、
前記第1のnpn設定トランジスタ(T6)の第2の端子は、前記制御装置(225)と接続され、
前記第1のnpn設定トランジスタ(T6)の制御端子は、前記第2のnpn設定トランジスタ(T5)の第2の端子と接続され、
前記第2のnpn設定トランジスタ(T5)の前記第1の端子は、基準電位と接続され、
前記第2の設定抵抗器(R10)と前記第3の設定抵抗器(R11)とは、前記入力端子(122)と基準電位との間に直列に相互に接続され、
前記第2のnpn設定トランジスタ(T5)の制御端子は、前記第2の設定抵抗器(R10)と前記第3の設定抵抗器(R11)との間の設定ノード(445)と接続され、
前記第4の設定抵抗器(R12)の第1の端子は、前記設定ノード(445)と接続され、
前記第4の設定抵抗器(R12)の第2の端子は、前記第2のnpn設定トランジスタ(T5)の前記第2の端子と接続され、
前記第5の設定抵抗器(R13)の第1の端子は、前記第2のnpn設定トランジスタ(T5)の前記第2の端子と接続され、
前記第5の設定抵抗器(R13)の第2の端子は、前記入力端子(122)と接続されている、
請求項8記載の過電圧保護回路(120)。
【請求項10】
電気的な制限抵抗器(R7)を有し、
前記制限抵抗器(R7)の第1の端子は、前記入力端子(122)と接続され、
前記制限抵抗器(R7)の第2の端子は、前記調整装置(227)と接続されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の過電圧保護回路(120)。
【請求項11】
車両(100)用の制御機器(110)であって、
前記制御機器(110)は、請求項1から10までのいずれか1項記載の過電圧保護回路(120)と電圧供給端子(114)とを有し、
前記過電圧保護回路(120)の前記出力端子(124)は、前記制御機器(110)の前記電圧供給端子(114)と接続されている、
制御機器(110)。
【請求項12】
前記過電圧保護回路(120)の機能性をテストするためのテスト装置(130)を有し、
前記テスト装置(130)は、第1の電圧レベルを有する前記テスト電圧(TST)が前記テスト端子(126)に印加されている間に前記出力電圧(Uout)の第1の値または第1の値経過を検出し、第2の電圧レベルを有する前記テスト電圧(TST)が前記テスト端子(126)に印加されている間に前記出力電圧(Uout)の第2の値または第2の値経過を検出するために構成されており、かつ前記第1の値または第1の値経過ならびに前記第2の値または第2の値経過を使用して、テスト信号(132)を提供するように構成されている、
請求項11記載の制御機器(110)。
【請求項13】
車両(100)用の制御機器(110)の過電圧保護回路(120)のテスト方法(500)であって、
前記過電圧保護回路(120)は請求項1から10までのいずれか1項記載の過電圧保護回路(120)であり、
前記方法(500)は、
前記過電圧保護回路(120)の前記テスト端子(126)に、第1の電圧レベルを有するテスト電圧(TST)を印加するステップ(510)と、
前記第1の電圧レベルを有する前記テスト電圧(TST)に応じて第1の出力電圧(Uout)を検出するステップ(520)と、
前記第1の電圧レベルより低い第2の電圧レベルを有するテスト電圧(TST)を前記過電圧保護回路(120)の前記テスト端子(126)に印加するステップ(530)と、
前記第2の電圧レベルを有する前記テスト電圧(TST)に応じて第2の出力電圧(Uout)を検出するステップ(540)と、
テスト結果を生成するために、検出された前記第1の出力電圧(Uout)および検出された前記第2の出力電圧(Uout)が少なくとも1つのテスト基準を満たしているか否かを検査するステップ(550)と、
を有する、テスト方法(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の制御機器の過電圧保護回路、車両用の制御機器および車両用の制御機器の過電圧保護回路のテスト方法に関する。
【0002】
たとえばツェナーダイオードの形態の過電圧保護回路を制御機器等に使用することができる。通常は、制御機器の耐用年数の間、これらの過電圧保護回路が正しく機能しているか否かを検査することはできない。
【0003】
このような背景から、本発明の課題は、車両用の制御機器の改良された過電圧保護回路、車両用の改良された制御機器および車両用の制御機器の過電圧保護回路の改良されたテスト方法を実現することである。
【0004】
この課題は、独立請求項に従って、車両用の制御機器の過電圧保護回路、車両用の制御機器および車両用の制御機器の過電圧保護回路のテスト方法によって解決される。
【0005】
実施形態によれば特に、制御機器、特に安全に関連した電圧供給モジュールの過電圧保護を監視することが可能になる。したがって、過電圧保護回路を、たとえば安全要件を高めるために使用することもできる。そのような過電圧保護回路を実現するために、実施形態によれば、特に個別の構成要素を使用することができ、これによって、過電圧保護回路を、広い電圧範囲において、課せられた要求に適合させることができる。
【0006】
これによって、制御機器内の過電圧保護回路を検査することが可能になる。この場合、過電圧保護回路をテストするために、特に、2つの異なる高さの入力レベルでの過電圧保護回路の周期的な駆動制御を行うことができる。
【0007】
有利には、実施形態によれば、特に、低コストの、テスト可能な過電圧保護を制御機器内部の電圧供給部のために提供することができる。この場合、たとえば、事前に定められた電圧からのみ、電圧供給部をオンにすることも可能であり得る。言い換えれば、これによって特に、通常の電圧範囲での過電圧保護回路のテストが回路の全耐用年数の間、実現され得る。さらに、過電圧保護回路が、たとえば特別な構成要素を用いずに、もしくは標準的な構成要素のみを使用して構築されていてよい。さらに、特に、過電圧保護回路の通常動作およびテスト動作の両方において、任意の制限電圧を設定することができる。このようなテスト動作もしくはテストの実行を、テスト駆動制御用の付加的な端子だけを用いて行うことができるため、特にハードウェアに関してリソースを節約することができる。
【0008】
車両用の制御機器の過電圧保護回路は、以下の特徴を有している。すなわち、
入力電圧の印加のための入力端子、テスト電圧の印加のためのテスト端子および制御機器に供給される出力電圧を提供するための出力端子と、
入力電圧を使用して基準電圧を提供するように構成されている基準装置と、
出力電圧を使用して部分電圧を提供するように構成されている分割装置と、
基準電圧と部分電圧とを使用して調整信号を提供するように構成されている制御装置と、
入力電圧と調整信号とを使用して出力電圧を提供するように構成されている、入力端子と出力端子との間に接続されている調整装置と、
テスト電圧を使用して部分電圧の値を修正するように構成されている修正装置とを有している。
【0009】
過電圧保護回路は、制御機器の一部として構成されていても、制御機器内に統合されていてもよい。制御機器は車両内に配置されていてもよい、または制御機器を車両内に配置してもよい。車両は、自動車、特に陸上車両、航空機または水上車両、たとえば乗用車、トラックまたは他の商用車であってよい。過電圧保護回路に関連して、「接続される」とは、電気的な接続が直接的にまたは少なくとも1つの構成部分、たとえば電気的な抵抗器等を介して確立されていることを意味し得る。調整信号は電圧を、付加的または択一的には電流を表し得る。個々の装置は、個別の構成部分を使用して、たとえば抵抗器およびトランジスタを使用して実現されていてよい。
【0010】
一実施形態によれば、調整装置は、第1の端子、第2の端子および調整信号を受信するための制御端子を備えたトランジスタを有することができる。ここで、トランジスタの第1の端子は入力端子と接続されていてよい。トランジスタの第2の端子は出力端子と接続されていてよい。トランジスタの制御端子は制御装置と接続されていてよい。トランジスタはpnpトランジスタであってよい。しかし、他の適切なタイプのトランジスタをトランジスタとして使用することもできる。そのような実施形態は、過電圧から保護された安全な出力電圧が容易に提供され得るという利点を提供する。
【0011】
さらに、制御装置は、反転入力側、非反転入力側および出力側を備えた演算増幅器を有することができる。ここで、演算増幅器の反転入力側は、基準電圧を受け取るために、基準装置と接続されていてよい。演算増幅器の非反転入力側は、部分電圧を受け取るために、分割装置と接続されていてよく、さらに、部分電圧を修正するために、修正装置と接続されていてよい。演算増幅器の出力側は、調整信号を提供するために、調整装置と接続されていてよい。より正確には、演算増幅器の出力側は、調整装置のトランジスタの制御端子と接続されていてよい。そのような実施形態は、過電圧に対する信頼できる保護が提供され得るという利点を提供する。この場合には特に、出力電圧の確実な調整に適した調整信号が提供され得る。
【0012】
修正装置はまた、スイッチおよび電気的な修正抵抗器を有することができる。ここで、スイッチと修正抵抗器とは、基準電位と制御装置との間に直列に相互に接続されていてよい。ここで、スイッチの制御端子がテスト端子と接続されていてよい。より正確には、スイッチと修正抵抗器とは、基準電位と制御装置の演算増幅器の非反転入力側との間に直列に相互に接続されていてよい。スイッチは、npnトランジスタとして、または別の適切なタイプのトランジスタとして構成されていてよい。そのような実施形態は、過電圧保護回路を容易かつ確実にテストすることができるという利点を提供する。
【0013】
さらに、分割装置は、第1の電気的な分割抵抗器および第2の電気的な分割抵抗器を有することができる。ここで、第1の分割抵抗器の第1の端子は出力端子と接続されていてよい。第1の分割抵抗器の第2の端子は第2の分割抵抗器の第1の端子と接続されていてよい。第2の分割抵抗器の第2の端子は、基準電位と接続されていてよい。第1の分割抵抗器の第2の端子は、部分電圧を提供するために、制御装置と接続されていてよい。ここで分割抵抗器の抵抗値を、アプリケーションのシナリオに応じて事前に定めることができる。そのような実施形態は、部分電圧が確実かつ正確に提供され得るという利点を提供する。
【0014】
さらに、基準装置は、基準電圧の印加のための基準端子を有することができる。択一的に、基準装置は、基準抵抗器、第1のダイオードおよび第2のダイオードを有することができる。ここで、基準抵抗器と第1のダイオードと第2のダイオードとは、制御電圧の印加のための制御端子と基準電位との間、または入力端子と基準電位との間に直列に相互に接続されていてよい。第1のダイオードと第2のダイオードとの間の基準ノードは、制御装置と接続されていてよい。第1のダイオードは、ツェナーダイオードまたは別の適切なタイプのダイオードとして構成されていてよい。第2のダイオードは、ツェナーダイオードまたは別の適切なタイプのダイオードとして構成されていてよい。そのような実施形態は、基準電圧がコストのかからない様式で提供され得るという利点を提供する。特に第1のダイオードを使用して、過電圧保護回路のスイッチオンヒステリシスを設定することもできる。基準抵抗器と第1のダイオードと第2のダイオードとが、入力端子と基準電位との間に直列に相互に接続されている場合には、制御機器に関する端子の数を減らすことができる。
【0015】
特に、制御装置に関して、演算増幅器は、2つのnpn増幅器トランジスタ、1つのpnp増幅器トランジスタ、2つの増幅器コンデンサおよび3つの電気的な増幅器抵抗器を有することができる。ここで、演算増幅器の反転入力側は、npn増幅器トランジスタのうちの第1のnpn増幅器トランジスタの制御端子として構成されていてよい。演算増幅器の非反転入力側は、npn増幅器トランジスタのうちの第2のnpn増幅器トランジスタの制御端子として構成されていてよい。npn増幅器トランジスタのうちの第1のnpn増幅器トランジスタの第1の端子とnpn増幅器トランジスタのうちの第2のnpn増幅器トランジスタの第1の端子とは、増幅器抵抗器のうちの第1の増幅器抵抗器を介して基準電位と接続されていてよい。npn増幅器トランジスタのうちの第1のnpn増幅器トランジスタの第2の端子は、pnp増幅器トランジスタの第2の端子と接続されていてよく、かつ調整信号を提供するために、調整装置と接続されていてよい。npn増幅器トランジスタのうちの第2のnpn増幅器トランジスタの第2の端子は、出力端子と接続されていてよい。pnp増幅器トランジスタの第1の端子は、入力端子と接続されていてよい。pnp増幅器トランジスタの制御端子は、増幅器抵抗器のうちの第2の増幅器抵抗器を介して調整装置と接続されていてよい。増幅器コンデンサのうちの第1の増幅器コンデンサの第1の端子は、入力端子と接続されていてよい。増幅器コンデンサのうちの第1の増幅器コンデンサの第2の端子は、pnp増幅器トランジスタの制御端子と増幅器抵抗器のうちの第2の増幅器抵抗器との間に接続されていてよい。増幅器抵抗器のうちの第3の増幅器抵抗器の第1の端子は、npn増幅器トランジスタのうちの第1のnpn増幅器トランジスタの制御端子と接続されていてよい。増幅器抵抗器のうちの第3の増幅器抵抗器の第2の端子は、出力端子と接続されていてよい。増幅器コンデンサのうちの第2の増幅器コンデンサの第1の端子は、npn増幅器トランジスタのうちの第1のnpn増幅器トランジスタの制御端子と接続されていてよい。増幅器コンデンサのうちの第2の増幅器コンデンサの第2の端子は、基準電位と接続されていてよい。増幅器トランジスタは、別の適切なタイプのトランジスタであってもよい。そのような実施形態は、過電圧に対する確実な保護を可能にする調整信号が、信頼できる様式で提供され得るという利点を提供する。
【0016】
一実施形態によれば、過電圧保護回路は、入力電圧を使用して調整信号を設定するための設定装置を有することができる。ここで、設定装置は、制御装置と基準電位との間に接続されていてよい、スイッチと第1の電気的な設定抵抗器とから成る直列回路を有することができる。ここで入力電圧に応じてスイッチを切り替えることができる。より正確には、この直列回路は、制御装置の演算増幅器の第2のnpn増幅器トランジスタの第1の端子と基準電位との間に接続されていてよい。そのような実施形態は、調整装置のトランジスタのベース電流を入力電圧に関連して制御することができるという利点を提供する。
【0017】
設定装置では、スイッチが第1のnpn設定トランジスタとして構成されていてもよい。この場合、設定装置はさらに、第2のnpn設定トランジスタ、第2の設定抵抗器、第3の設定抵抗器、第4の設定抵抗器および第5の設定抵抗器を有することができる。第1のnpn設定トランジスタの第1の端子は、第1の設定抵抗器の第1の端子と接続されていてよい。第1の設定抵抗器の第2の端子は、基準電位と接続されていてよい。第1のnpn設定トランジスタの第2の端子は、制御装置と接続されていてよい。第1のnpn設定トランジスタの制御端子は、第2のnpn設定トランジスタの第2の端子と接続されていてよい。第2のnpn設定トランジスタの第1の端子は、基準電位と接続されていてよい。第2の設定抵抗器と第3の設定抵抗器とは、入力端子と基準電位との間に直列に相互に接続されていてよい。第2のnpn設定トランジスタの制御端子は、第2の設定抵抗器と第3の設定抵抗器との間の設定ノードと接続されていてよい。第4の設定抵抗器の第1の端子は、設定ノードと接続されていてよい。第4の設定抵抗器の第2の端子は、第2のnpn設定トランジスタの第2の端子と接続されていてよい。第5の設定抵抗器の第1の端子は、第2のnpn設定トランジスタの第2の端子と接続されていてよい。第5の設定抵抗器の第2の端子は、入力端子と接続されていてよい。より正確には、第1のnpn設定トランジスタの第2の端子は、制御装置の演算増幅器の第2のnpn増幅器トランジスタの第1の端子と接続されていてよい。択一的に、設定トランジスタは、別の適切なタイプのトランジスタであってもよい。そのような実施形態は、制御機器のスイッチング調整器にも適切に出力電圧を供給することができるという利点を提供する。
【0018】
さらに、過電圧保護回路は、電気的な制限抵抗器を有することができる。この場合には、制限抵抗器の第1の端子は、入力端子と接続されていてよい。制限抵抗器の第2の端子は、調整装置と接続されていてよい。制限抵抗器の第2の端子は、調整装置のトランジスタの第1の端子と接続されていてよい。制限抵抗器の抵抗値を、出力電流の所定の電流制限に関連して事前に定めることができる。このようにして、事前に定めることができる電流制限を容易に実現することができる。
【0019】
車両用の制御機器は、上述した過電圧保護回路の実施形態と電圧供給端子とを有しており、ここで過電圧保護回路の出力端子は、制御機器の電圧供給端子と接続されている。
【0020】
制御機器の電圧供給部に関する過電圧保護を提供するために、過電圧保護回路を、制御機器に関連して有利に投入または使用することができる。
【0021】
一実施形態によれば、制御機器は、過電圧保護回路の機能性をテストするためのテスト装置を含むことができる。ここではテスト装置は、第1の電圧レベルを有するテスト電圧がテスト端子に印加されている間に出力電圧の第1の値または第1の値経過を検出し、第2の電圧レベルを有するテスト電圧がテスト端子に印加されている間に出力電圧の第2の値または第2の値経過を検出するために構成されていてよい。第1の値または第1の値経過ならびに第2の値または第2の値経過を使用して、テスト装置はテスト信号を提供することができる。テスト装置はたとえば、制御機器の起動時または制御機器の機能テスト中に過電圧保護回路の機能性を検査するために使用されてよい。
【0022】
過電圧保護回路が上述の過電圧保護回路の実施形態である、車両用の制御機器の過電圧保護回路のテスト方法は以下のステップを有している。すなわち、
過電圧保護回路のテスト端子に、第1の電圧レベルを有するテスト電圧を印加するステップと、
第1の電圧レベルを有するテスト電圧に応じて第1の出力電圧を検出するステップと、
第1の電圧レベルより低い第2の電圧レベルを有するテスト電圧を過電圧保護回路のテスト端子に印加するステップと、
第2の電圧レベルを有するテスト電圧に応じて第2の出力電圧を検出するステップと、
テスト結果を生成するために、検出された第1の出力電圧および検出された第2の出力電圧が少なくとも1つのテスト基準を満たしているか否かを検査するステップとを有している。
【0023】
テスト方法は、上述の過電圧保護回路の実施形態を、その機能性について有利な様式で検査するために実施可能である。
【0024】
ここに提示されたアプローチの実施例を、図面を参照して以下の説明においてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施例による、制御機器を備えた車両の概略図を示している。
図2図1の過電圧保護回路の基本回路図を示している。
図3図1もしくは図2の過電圧保護回路の回路図を示している。
図4】設定装置を備えた図3の過電圧保護回路の回路図を示している。
図5】実施例による、テスト方法のフローチャートを示している。
【0026】
図1は、実施例による、制御機器110を備えた車両100の概略図を示している。車両100は、自動車、たとえば乗用車、トラックまたは他の商用車である。制御機器110は、車両100内に配置されている。したがって、車両100は、制御機器110を有している。制御機器110は、入力電圧Uinの印加のための入力側を有している。たとえば、入力電圧Uinは、車両100のバッテリ102によって提供される。
【0027】
制御機器110は、制御機器110の制御機能を実行するように構成されている制御機器装置112を有している。制御機能は、たとえば、車両の車両システム、たとえばブレーキシステムの少なくとも1つのアクチュエータの駆動制御に関する。
【0028】
制御機器装置112に電気エネルギを供給するために、制御機器装置112は、電圧供給端子114を有している。制御機器装置112には、電圧供給端子114を介して電圧が供給可能である。
【0029】
制御機器110は、制御機器装置112の電圧供給端子114と、入力電圧Uinの印加のための、制御機器110の入力側との間に接続されている過電圧保護回路120を有している。過電圧保護回路120は、制御機器110、もしくは特に制御機器110の制御機器装置112に電気的な過電圧に対する保護を提供するように構成されている。
【0030】
過電圧保護回路120のうち、図1には、入力電圧Uinを過電圧保護回路120に印加するための入力端子122と、制御機器110もしくは制御機器装置112に供給される出力電圧Uoutを提供するための出力端子124と、テスト電圧TSTを過電圧保護回路120に印加するためのテスト端子126とが示されている。過電圧保護回路120と制御機器装置112とは、互いに接続されている。この場合、過電圧保護回路120の出力端子124は、電圧供給端子114と接続されている。異なる実施例による、過電圧保護回路120の構造および機能を以降の図に基づいて説明する。
【0031】
一実施例によれば、過電圧保護回路120の機能性をテストするように構成されているテスト装置130が設けられている。一実施例によれば、テスト装置130は、制御機器110内に統合されているが、過電圧保護回路120の一部であってもよく、または制御機器110の外部に配置されている回路であってもよい。テスト装置130は、第1の電圧レベルを有するテスト電圧TSTがテスト端子126に印加されている間に、出力電圧Uoutの第1の値または第1の値経過を検出するように構成されている。さらに、テスト装置130は、第2の電圧レベルを有するテスト電圧TSTがテスト端子126に印加されている間に、出力電圧Uoutの第2の値または第2の値経過を検出するように構成されている。テスト装置130は、第1の値または第1の値経過ならびに第2の値または第2の値経過を使用してテスト結果を決定し、テスト結果を示すテスト信号132を提供するように構成されている。テスト信号132はたとえば、過電圧保護回路120の正しい機能性を、付加的または択一的には過電圧保護回路120の欠陥を有する機能性を示す。一実施例によれば、テスト装置130は、テスト電圧TSTを受け取るように構成されている。択一的に、テスト装置130は、テスト電圧TSTを提供するように構成されている。
【0032】
図2は、実施例による、図1の過電圧保護回路120の基本回路図を示している。図2の基本回路図において、過電圧保護回路120のうち、入力電圧Uinの印加のための入力端子122と、出力電圧Uoutを提供するための出力端子124と、テスト電圧TSTの印加のためのテスト端子126とが示されており、さらに基準装置221と、基準電圧Urefと、第1の電気的な分割抵抗器R1および第2の電気的な分割抵抗器R2を備えた分割装置223と、制御装置225と、トランジスタT1を備えた調整装置227と、電気的な修正抵抗器R3およびスイッチS1を備えた修正装置229とが示されている。
【0033】
基準装置221は、基準電圧Urefを提供するように構成されている。ここに示されている実施例によれば、基準装置221は、基準電圧Urefの印加のための基準端子を有している。一実施例によれば、基準装置221は、入力電圧Uinを使用して基準電圧Urefを提供するように構成されている。
【0034】
分割装置223は、出力電圧Uoutを使用して部分電圧を提供するように構成されている。ここに示された実施例によれば、分割装置223は、第1の電気的な分割抵抗器R1および第2の電気的な分割抵抗器R2から成る直列回路を有している。第1の分割抵抗器R1の第1の端子は、出力端子124と接続されている。第1の分割抵抗器R1の第2の端子は、第2の分割抵抗器R2の第1の端子と接続されている。第2の分割抵抗器R2の第2の端子は、基準電位と接続されている。第1の分割抵抗器R1の第2の端子は、部分電圧を提供するために、制御装置225と接続されている。
【0035】
制御装置225は、基準電圧Urefおよび部分電圧を使用して調整信号を提供するように構成されている。
【0036】
ここに示されている実施例によれば、制御装置225は演算増幅器を有している。演算増幅器は、反転入力側(-)、非反転入力側(+)および出力側を有し、演算増幅器の反転入力側は、基準電圧Urefを受け取るために基準装置221と接続されている。演算増幅器の非反転入力側は、部分電圧を受け取るために分割装置223と接続されており、部分電圧を修正するために、修正装置229と接続されている。演算増幅器の出力側は、調整信号を提供するために調整装置227と接続されている。
【0037】
調整装置227は、入力端子122と出力端子124との間に接続されている。調整装置227は、入力電圧Uinおよび調整信号を使用して出力電圧Uoutを提供もしくは調整するように構成されている。ここに示されている実施例によれば、調整装置227は、トランジスタT1を有している。トランジスタT1は、第1の端子、第2の端子および調整信号を受信するための制御端子を有している。トランジスタT1の第1の端子は、入力端子122と接続されている。トランジスタT1の第2の端子は、出力端子124と接続されている。トランジスタT1の制御端子は、制御装置225と接続されている。ここに示されている実施例によれば、トランジスタT1は、pnpトランジスタである。
【0038】
修正装置229は、テスト電圧TSTを使用して、分割装置223によって提供された部分電圧の値を修正するように構成されている。このために、修正装置229は、テスト入力側126と接続されている、または修正装置229は、テスト入力側146を有している。ここに示されている実施例によれば、修正装置229は、スイッチS1および電気的な修正抵抗器R3を有している。スイッチS1と修正抵抗器R3とは、基準電位と制御装置225、より正確には、制御装置225の演算増幅器の非反転入力側との間に直列に相互に接続されている。スイッチS1の制御端子は、テスト端子126と接続されている。ここに示されている実施例によれば、スイッチS1は、修正抵抗器R3と基準電位との間に接続されている。択一的に、スイッチS1の位置と修正抵抗器R3の位置とを交換することができる。
【0039】
テスト入力側126に印加されているテスト電圧TSTは、演算増幅器225の非反転入力側(+)と基準電位との間に存在する全抵抗の抵抗値を修正するために使用される。このために、スイッチS1は、テスト電圧TSTの電圧レベルに応じて開閉される。
【0040】
過電圧保護回路120を、いわゆるテスト可能なPRESTABとして、安全に関してクリチカルなシステムに投入することができる。
【0041】
図3は、実施例による、図1もしくは図2の過電圧保護回路120の回路図を示している。ここでは、過電圧保護回路120は図2の過電圧保護回路に相応しているが、基準装置221の構成が異なっており、かつ/または基準装置221がより詳細に示されており、付加的に電気的な制限抵抗器R7が設けられており、修正装置229がトランジスタの形態のスイッチS1と付加的に電気的な直列抵抗器R9とを有しており、かつ制御装置225の演算増幅器がより詳細に示されている。
【0042】
過電圧保護回路120の出力電流の電流制限を設定するために、制限抵抗器R7を、抵抗値に関して事前に定めることができる。制限抵抗器R7の第1の端子は、入力端子122と接続されている。制限抵抗器R7の第2の端子は、調整装置227と接続されており、より正確には、調整装置227のトランジスタT1の第1の端子と接続されている。
【0043】
トランジスタとして、より正確にはnpnトランジスタとして構成されている、修正装置229のスイッチS1は、第1の端子、第2の端子および制御端子を有している。スイッチS1の第1の端子は、基準電位と接続されている。スイッチS1の第2の端子は、修正抵抗器R3と接続されている。スイッチS1の制御端子は、直列抵抗器R9を介してテスト端子TSTと接続されている。したがって、直列抵抗器R9は、テスト端子TSTとスイッチS1の制御端子との間に接続されている。
【0044】
ここに示されている実施例によれば、基準装置221は、基準抵抗器R8、第1のダイオードD1および第2のダイオードD2を有している。第1のダイオードD1と第2のダイオードD2との間の基準ノードREFは、制御装置225と接続されている。基準電圧Urefは、基準ノードREFに印加される。ここに示されている実施例によれば、基準抵抗器R8と第1のダイオードD1と第2のダイオードD2とは、制御電圧Uの印加のための制御端子330と基準電位との間に直列に相互に接続されている。特に、ここに示されている実施例によれば、第1のダイオードD1は、基準抵抗器R8と第2のダイオードD2もしくは基準ノードREFとの間に接続されている。択一的な実施例によれば、制御端子330が省かれていてよく、この場合には基準抵抗器R8と第1のダイオードD1と第2のダイオードD2とは、入力端子122と基準電位との間に直列に相互に接続されている。
【0045】
ここに示されている実施例によれば、制御装置225の演算増幅器は、第1の増幅器コンデンサC1、第2の増幅器コンデンサC2、第1の電気的な増幅器抵抗器R4、第2の電気的な増幅器抵抗器R6、第3の電気的な増幅器抵抗器R5、pnp増幅器トランジスタT2、第1のnpn増幅器トランジスタT3および第2のnpn増幅器トランジスタT4を有している。
【0046】
演算増幅器の反転入力側は、第1のnpn増幅器トランジスタT3の制御端子として構成されている。演算増幅器の非反転入力側は、第2のnpn増幅器トランジスタT4の制御端子として構成されている。第1のnpn増幅器トランジスタT3の第1の端子および第2のnpn増幅器トランジスタT4の第1の端子は、第1の増幅器抵抗器R4を介して基準電位と接続されている。第1のnpn増幅器トランジスタT3の第2の端子は、pnp増幅器トランジスタT2の第2の端子と接続されている。さらに、調整信号を提供するための第1のnpn増幅器トランジスタT3の第2の端子は、調整装置227と、より正確には、調整装置227のトランジスタT1の制御入力側と接続されている。第2のnpn増幅器トランジスタT4の第2の端子は、出力端子124と接続されている。pnp増幅器トランジスタT2の第1の端子は、入力端子122と接続されている。pnp増幅器トランジスタT2の制御端子は、第2の増幅器抵抗器R6を介して調整装置227と接続されており、より正確には、調整装置227のトランジスタT1の第1の入力側と接続されている。
【0047】
演算増幅器の第1の増幅器コンデンサC1の第1の端子は、入力端子122と接続されている。第1の増幅器コンデンサC1の第2の端子は、pnp増幅器トランジスタT2の制御端子と第2の増幅器抵抗器R6との間に接続されている。第3の増幅器抵抗器R5の第1の端子は、第1のnpn増幅器トランジスタT3の制御端子と接続されている。第3の増幅器抵抗器R5の第2の端子は、出力端子124と接続されている。第2の増幅器コンデンサC2の第1の端子は、第1のnpn増幅器トランジスタT3の制御端子と接続されている。第2の増幅器コンデンサC2の第2の端子は、基準電位と接続されている。
【0048】
以降では、過電圧保護回路120のいくつかの構成要素について、単に例示的なパラメータを示す。第1の増幅器コンデンサC1は、1ナノファラドの静電容量値を有することができる。第2の増幅器コンデンサC2は、100ナノファラドの静電容量値を有することができる。第1の分割抵抗器R1は、23.7キロオームの抵抗値を有することができる。第2の分割抵抗器R2は、10キロオームの抵抗値を有することができる。修正抵抗器R3は、6.81キロオームの抵抗を有することができる。
【0049】
第1の増幅器抵抗器R4は、750オームの抵抗値を有することができる。第2の増幅器抵抗器R6は、100オームの抵抗値を有することができる。第3の増幅器抵抗器R5は、26.1キロオームの抵抗値を有することができる。基準抵抗器R8は、26.1キロオームの抵抗値を有することができる。直列抵抗器R9は10キロオームの抵抗値を有することができる。
【0050】
図4は、実施例による、設定装置440を備えた図3の過電圧保護回路120の概略的な回路図を示している。図4に示されている実施例に従って付加的に設けられている設定装置440を除いて、過電圧保護回路120は、図3の過電圧保護回路120に相応する。設定装置440は、設定ノード445、第1の電気的な設定抵抗器R14、第2の電気的な設定抵抗器R10、第3の電気的な設定抵抗器R11、第4の電気的な設定抵抗器R12、第5の電気的な設定抵抗器R13、第1のnpn設定トランジスタT6および第2のnpn設定トランジスタT5を有している。
【0051】
設定装置440は、入力電圧Uinを使用して調整信号を設定するように構成されている。設定装置440は、第1のnpn設定トランジスタT6の形態のスイッチと第1の電気的な設定抵抗器R14とから成る直列回路を有している。このような直列回路は、制御装置225と基準電位との間に接続されている。第1のnpn設定トランジスタT6もしくはスイッチを、入力電圧Uinに応じて切り替えることができる。
【0052】
第1のnpn設定トランジスタT6の第1の端子は、第1の設定抵抗器R14の第1の端子と接続されている。第1の設定抵抗器R14の第2の端子は、基準電位と接続されている。第1のnpn設定トランジスタT6の第2の端子は、制御装置225と接続されており、より正確には、制御装置225の演算増幅器の第2のnpn増幅器トランジスタT4の第1の端子と接続されている。第1のnpn設定トランジスタT6の制御端子は、第2のnpn設定トランジスタT5の第2の端子と接続されている。第2のnpn設定トランジスタT5の第1の端子は、基準電位と接続されている。第2の設定抵抗器R10と第3の設定抵抗器R11とは、入力端子122と基準電位との間に直列に相互に接続されている。設定ノード445は、第2の設定抵抗器R10と第3の設定抵抗器R11との間に配置されている。第2のnpn設定トランジスタT5の制御端子は、設定ノード445と接続されている。第4の設定抵抗器R12の第1の端子は、設定ノード445と接続されている。第4の設定抵抗器R12の第2の端子は、第2のnpn設定トランジスタT5の第2の端子と接続されている。第5の設定抵抗器R13の第1の端子は、第2のnpn設定トランジスタT5の第2の端子と接続されている。第5の設定抵抗器R13の第2の端子は、入力端子122と接続されている。
【0053】
以降では、過電圧保護回路120の設定装置440のいくつかの構成要素について、単に例示的なパラメータを示す。第1の設定抵抗器R14は、60オームの抵抗値を有することができる。第2の設定抵抗器R10は、100キロオームの抵抗値を有することができる。第3の設定抵抗器R11は、3.83キロオームの抵抗値を有することができる。第4の設定抵抗器R12は、21.5キロオームの抵抗値を有することができる。第5の設定抵抗器R13は、51.1キロオームの抵抗値を有することができる。
【0054】
図5は、実施例による、テスト方法500のフローチャートを示している。テスト方法500は、車両用の制御機器の過電圧保護回路をテストするために実施可能である。より正確には、テスト方法500は、上記の図のうちの1つの図の過電圧保護回路または同様の過電圧保護回路をテストするために実施可能である。
【0055】
方法500は、たとえば、図1に基づいて説明したようなテスト装置を使用して実施可能である。
【0056】
ここで、第1の印加ステップ510において、第1の電圧レベルを有するテスト電圧が、過電圧保護回路のテスト端子に印加される。続いて、第1の検出ステップ520において、第1の電圧レベルを有するテスト電圧に応じて、第1の出力電圧が検出される。続いて、再び、第2の印加ステップ530において、第2の電圧レベルを有するテスト電圧が、過電圧保護回路のテスト端子に印加される。第2の電圧レベルは第1の電圧レベルよりも低い。続いて、第2の検出ステップ540において、第2の電圧レベルを有するテスト電圧に応じて、第2の出力電圧が検出される。検査ステップ550において、テスト結果を生成するために、検出された第1の出力電圧および検出された第2の出力電圧が少なくとも1つのテスト基準を満たしているか否かが最後に検査される。
【0057】
以降では、本発明の実施例の簡単な機能説明を、上記の図を参照して提示する。
【0058】
たとえば、1.5ボルトを超える第1の電圧レベルを有するテスト電圧TSTがテスト入力側126に接続されると、修正装置229のスイッチS1が閉成され、出力電圧Uoutは、たとえば、(Uref-0.65V)×(R1+R2||R3)/R1に制限される。電圧値0.65Vはここで、使用される回路要素の特性から生じる、典型的であるが例示的な値である。このような電圧値もしくはこのような制限電圧の下方では、出力電圧Uoutは入力電圧Uinに追従するため、
out=Uin-制限抵抗器R7と調整装置227のトランジスタT1とにわたる電圧降下
が当てはまる。
【0059】
たとえば、0.4ボルト未満の第2の電圧レベルを有するテスト電圧TSTがテスト入力側126に接続されると、修正装置229のスイッチS1が開かれ、出力電圧Uoutは、たとえば、(Uref-0.65V)×(R1+R2)/R1に制限される。このような電圧値もしくはこのような制限電圧の下方では、出力電圧Uoutは入力電圧Uinに追従するため、
out=Uin-制限抵抗器R7と調整装置227のトランジスタT1とにわたる電圧降下
が当てはまる。
【0060】
したがって、スイッチS1が閉成されている場合、出力電圧Uoutは第1の電圧値に制限され、この第1の電圧値は基準電圧Uref、抵抗器R1、R2、R3の値ならびに使用される回路要素の特定の電圧値に関連している。
【0061】
相応に、スイッチS1が開かれている場合、出力電圧Uoutは、第1の電圧値とは異なる第2の電圧値に制限され、この第2の電圧値は基準電圧Uref、抵抗器R1、R2の値ならびに使用される回路要素の特定の電圧値に関連している。
【0062】
出力電圧Uoutが測定される場合、上記の制限電圧の下限制限電圧に、制限抵抗器R7と調整装置227のトランジスタT1とにわたる電圧降下を加算したものよりも大きい入力電圧Uinから、過電圧保護回路120の機能をテストすることができる。
【0063】
過電圧保護回路120では、第1のダイオードD1を介して設定することができるスイッチオンヒステリシスと、制限抵抗器R7を介して設定することができる出力電流の電流制限とが存在している。
【0064】
制御電圧Uは、入力電圧Uinと接続されていても、別個のスイッチング入力側もしくは制御端子330として使用されてもよい。このような制御端子330は、たとえば、車両100の端子と接続されていてよい、またはこのような制御端子330を車両100の端子と接続することができる。
【0065】
設定装置440は、設定抵抗器R10~R14およびトランジスタT5およびT6を有し、入力電圧Uinに関連して調整装置227のトランジスタT1の調整信号もしくはベース電流を制御するように構成されている回路部分を表している。したがって、入力電圧Uinが低い場合には、トランジスタT1の高いまたは比較的高いベース電流を調整信号として生成し、入力電圧Uinが高い場合には、トランジスタT1の低いまたは比較的低いベース電流を調整信号として生成することができ、この際に、第1のnpn増幅器トランジスタT3に過度に負荷をかけることはない。これは、出力電圧Uoutが、制御機器110のスイッチング調整器に供給される場合に特に有利である。このスイッチング調整器は、供給電圧が低いときに高い入力電流需要を有し、供給電圧が高いときに低い入力電流需要を有する。
【符号の説明】
【0066】
100 車両
102 バッテリ
110 制御機器
112 制御機器装置
114 電圧供給端子
120 過電圧保護回路
122 入力端子
124 出力端子
126 テスト端子
130 テスト装置
132 テスト信号
in 入力電圧
out 出力電圧
TST テスト電圧
221 基準装置
223 分割装置
225 制御装置
227 調整装置
229 修正装置
R1 第1の電気的な分割抵抗器
R2 第2の電気的な分割抵抗器
R3 電気的な修正抵抗器
S1 スイッチ
T1 トランジスタ
ref 基準電圧
330 制御端子
C1 第1の増幅器コンデンサ
C2 第2の増幅器コンデンサ
D1 第1のダイオード
D2 第2のダイオード
REF 基準ノード
R4 第1の電気的な増幅器抵抗器
R5 第3の電気的な増幅器抵抗器
R6 第2の電気的な増幅器抵抗器
R7 電気的な制限抵抗器
R8 電気的な基準抵抗器
R9 電気的な直列抵抗器
T2 pnp増幅器トランジスタ
T3 第1のnpn増幅器トランジスタ
T4 第2のnpn増幅器トランジスタ
制御電圧
440 設定装置
445 設定ノード
R10 第2の電気的な設定抵抗器
R11 第3の電気的な設定抵抗器
R12 第4の電気的な設定抵抗器
R13 第5の電気的な設定抵抗器
R14 第1の電気的な設定抵抗器
T5 第2のnpn設定トランジスタ
T6 第1のnpn設定トランジスタ
500 テスト方法
510 第1の印加ステップ
520 第1の検出ステップ
530 第2の印加ステップ
540 第2の検出ステップ
550 検査ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】