(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】アプタマーを用いたポリフェノールの酸化防止方法、その物質、及びその用途
(51)【国際特許分類】
A61K 8/60 20060101AFI20220107BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20220107BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220107BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20220107BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20220107BHJP
C12N 15/115 20100101ALI20220107BHJP
【FI】
A61K8/60
A61K31/7088
A61Q19/00
A23L33/105
A23L33/10
C12N15/115 Z ZNA
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523371
(86)(22)【出願日】2019-11-04
(85)【翻訳文提出日】2021-06-16
(86)【国際出願番号】 KR2019014801
(87)【国際公開番号】W WO2020096296
(87)【国際公開日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】10-2018-0135214
(32)【優先日】2018-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519110146
【氏名又は名称】ネクスモス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NEXMOS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】(Dongcheon-dong) #2207,767,Sinsu-ro Suji-gu,Yongin-si Gyeonggi-do 16827 (KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ソン インシク
【テーマコード(参考)】
4B018
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB07
4B018LB08
4B018LB09
4B018MD08
4B018MD20
4B018MD33
4B018ME06
4B018ME14
4B018MF04
4C083AC842
4C083AD601
4C083AD602
4C083CC02
4C083EE50
4C086AA01
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA20
(57)【要約】
本発明は、アプタマーを用いたポリフェノールの酸化防止方法、その物質及びその用途に関し、より詳細には、カテキンにアプタマーを処理してカテキンの酸化を防止する方法、そのような活性を有するアプタマー、及び該アプタマーを用いた化粧品、食品及び薬品などの様々な分野への応用に関する。本発明のアプタマーはカテキンの酸化防止効果を有するので、本発明のアプタマーは、カテキンの酸化防止が必要な化粧品、食品及び薬品などの様々な分野で応用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテキンにアプタマーを処理してカテキンの酸化を防止する方法。
【請求項2】
前記カテキンは、カテキン(C)、エピカテキン(EC)、ガロカテキン(GC)、エピガロカテキン(EGC)、カテキンガレート(CG)、エピカテキンガレート(ECG)、ガロカテキンガレート(GCG)及びエピガロカテキンガレート(EGCG)で構成された群から選択された物質であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アプタマーは、配列番号1~9の塩基配列からなる群から選択された1つの塩基配列からなることを特徴とする、請求項1に記載のカテキンの酸化を防止する方法。
【請求項4】
カテキンの酸化を防止するアプタマー。
【請求項5】
前記カテキンは、カテキン(C)、エピカテキン(EC)、ガロカテキン(GC)、エピガロカテキン(EGC)、カテキンガレート(CG)、エピカテキンガレート(ECG)、ガロカテキンガレート(GCG)及びエピガロカテキンガレート(EGCG)で構成された群から選択された物質であることを特徴とする、請求項4に記載のアプタマー。
【請求項6】
前記アプタマーは、配列番号1~9の塩基配列からなる群から選択された1つの塩基配列からなることを特徴とする、請求項4に記載のアプタマー。
【請求項7】
請求項4に記載のアプタマーを有効成分として含む化粧料組成物。
【請求項8】
前記アプタマーは、配列番号1~9の塩基配列からなる群から選択された1つの塩基配列からなることを特徴とする、請求項7に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
請求項4に記載のアプタマーを有効成分として含む食品組成物。
【請求項10】
前記アプタマーは、配列番号1~9の塩基配列からなる群から選択された1つの塩基配列からなることを特徴とする、請求項9に記載の食品組成物。
【請求項11】
前記食品は、飲料、菓子類、キャンデー類、乳製品、ガム類、醤類、パン類及びアイスクリームで構成された群から選択された食品であることを特徴とする、請求項9に記載の食品組成物。
【請求項12】
請求項4に記載のアプタマーを有効成分として含む薬学組成物。
【請求項13】
前記アプタマーは、配列番号1~9の塩基配列からなる群から選択された1つの塩基配列からなることを特徴とする、請求項12に記載の薬学組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アプタマーを用いたポリフェノールの酸化防止方法、その物質、及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリフェノール類とは、フラボノイド、タンニン類などを含む植物の二次代謝産物であって、自然系に広く分布しており、果実類、茶類などに多く含有されている。現在、ポリフェノールは、抗酸化作用をはじめとして、高血圧に関連するアンギオテンシン転換酵素阻害作用、発癌の初期過程に関与する変異原性抑制作用、歯石形成酵素の阻害及び口腔内細菌による有機酸の生成の抑制を含む抗う蝕作用などがあるものと知られており、ポリフェノール類の中からは、食品の第3次機能として注目を集めている生体防御や生体調節などの機能を示す成分も多数発見されている。
【0003】
ポリフェノール成分の中でカテキン(catechin)は、ほとんどの果実類に存在する化合物であって、脂肪の酸化過程でフリーラジカル消去剤(free radical scavenger)として作用し、茶や果物を原料とする多くの食品において、ポリフェノールオキシダーゼによる酵素的褐変の原因として作用するものと知られている。フラボノイドとカテキン、そして、フェノール性化合物は二次代謝産物の役割を担い、重合したカテキンが集まってできたものが縮合型タンニンである。縮合型タンニンは、カテキンの重合度に応じて様々な生理活性を示し、現在まで研究された生理及び薬理作用は、抗アレルギー、抗酸化、抗腫瘍、抗癌、虫歯の予防及び動脈硬化の緩和などに効果があることが報告されている。また、緑茶に含有されているカテキン類は抗突然変異性を有しており、これは、ポリフェノール成分の-OH基が、発癌性を有する不安定なグループと結合して遊離基をなくすことによって、発癌性物質を不活性化させるものと考えられる。抗菌活性に関するものとしては、茶のポリフェノール成分が、クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum)と食中毒細菌に対して抗菌活性を示し、茶に含有されたカテキン成分が、虫歯原因菌であるストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)に対して抗菌作用を示すことが報告されている。
【0004】
カテキンは、茶類(Camellia sinensis)から派生し、白茶、緑茶、紅茶、ウーロン茶に含まれている。主要なカテキンとしては、エピガロカテキンガレート(epigallocatechin gallate;EGCG)、エピガロカテキン(epigallocatechin;EGC)、エピカテキンガレート(epicatechin gallate;ECG)、エピカテキン(epicatechin;EC)がある。
【0005】
カテキンは、発癌抑制、動脈硬化予防、血圧上昇の抑制、血栓予防、抗ウイルス、抗肥満、抗糖尿、抗菌、解毒作用、消炎作用、虫歯予防、口渇防止、腸内細菌叢の正常化などの様々な効果がある。カテキンの抗酸化作用及び老化の根本的な要素であるフリーラジカルの消去機能は、ビタミンCとビタミンEに比べて強力な活性酸素除去効果を有しており、抗酸化作用により、低密度リポタンパク(low density lipoprotein)の酸化のような心血管系保護効果が報告されている。カテキンは、好ましくない細胞群集の生産及び開始を止めたり遅らせたりし、DNA損傷を経験的に引き起こすものを阻止することが分かった。
【0006】
ポリフェノールとカテキンのような抗酸化剤は、前記した治療的性能又は美容学的な性能を向上させるのに用いられる。しかし、抗酸化剤が効果的であるためには、これらの非酸化の(unoxidized)形態に維持されなければならない。その結果、投与に適した剤形において抗酸化剤の安定性の維持の必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】大韓民国公開特許第10-2015-0143698号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の必要性によって案出されたものであって、本発明の目的は、カテキンを含むポリフェノールの酸化防止方法を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、カテキンを含むポリフェノールの酸化防止作用をする物質を提供することである。
【0010】
本発明の更に他の目的は、カテキンを含むポリフェノールの酸化防止作用をする物質を用いて化粧品としての用途を提供することである。
【0011】
本発明の更に他の目的は、カテキンを含むポリフェノールの還元状態を維持することで、その抗酸化機能を長期間維持するようにする物質を提供することである。
【0012】
本発明の更に他の目的は、カテキンを含むポリフェノールの還元状態を水などの液体において長期間維持させる方法により食飲料及び食品を製造することである。
【0013】
本発明の更に他の目的は、カテキンを含むポリフェノールの酸化防止作用をする物質を用いて薬品としての用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明は、ポリフェノール、例えば、カテキンにアプタマーを処理してカテキンの酸化速度を減少させることでその還元力を維持させる方法を提供する。
【0015】
本発明の一具現例において、前記カテキンは、カテキン(catechin;C)、エピカテキン(epicatechin;EC)、ガロカテキン(gallocatechin;GC)、エピガロカテキン(epigallocatechin;EGC)、カテキンガレート(catechin gallate;CG)、エピカテキンガレート(epicatechin gallate;ECG)、ガロカテキンガレート(gallocatechin gallate;GCG)及びエピガロカテキンガレート(epigallocatechin gallate;EGCG)で構成された群から選択された物質であることが好ましいが、これに限定されない。
【0016】
本発明の一具現例において、前記アプタマーは、配列番号1~9の塩基配列からなる群から選択された1つの塩基配列からなることが好ましいが、前記アプタマー以外にも、本発明の実施例などにより立証されたように、他の配列を有し、本発明が目的とする効果を達成する全てのアプタマーは本発明の保護範囲に含まれる。
【0017】
本発明において、アプタミンKは、エピガロカテキンガレート(EGCG)とアプタマーとの複合体を意味する。
【0018】
また、本発明は、カテキンの酸化を防止するアプタマーを提供する。
【0019】
また、本発明は、前記本発明のアプタマーを有効成分として含む化粧料組成物を提供する。
【0020】
また、本発明は、前記本発明のアプタマーを有効成分として含む食品組成物を提供する。
【0021】
本発明の一具体例において、前記食品は、飲料、菓子類、キャンデー類、乳製品、ガム類、醤類、パン類及びアイスクリームで構成された群から選択された食品であることが好ましいが、これに限定されない。
【0022】
また、本発明は、前記本発明のアプタマーを有効成分として含む薬学組成物を提供する。
【0023】
本発明において、「ポリフェノール又はポリフェノール系化合物」は、1つより多いフェノール基を有する分子として当業者に公知となっている。ポリフェノールは、エピガロカテキン(epigallocatechin)、ガレート(gallate)、エピ-又はガロカテキン(epi- or gallocatechin)、バイカリン(baicalin)、タキシフォリン(taxifolin)、ケルセチン(quercetin)、ヘスペレチン(hesperetin)またはゲニステイン(genistein)のようなフラボノイドポリフェノールであってもよい。代案として、ポリフェノールは、非-フラボノイドポリフェノールであってもよい。例えば、レスベラトロールは、フラボノイドではないポリフェノールである。
【0024】
「ポリフェノール系抗酸化剤」及び「ポリフェノール系化合物」というフレーズは、往々にして、ほとんどのポリフェノール系化合物が抗酸化性質を有するため、互換的に使用される。
【0025】
本願に使用される際に、「抗酸化剤」という物質は、酸化可能な基質の生物学的分子を含有する混合物に存在するとき、基質生物分子の酸化をかなり遅延させるか、または防止する。抗酸化剤は、生物学的に重要な反応性フリーラジカルあるいは他の反応性酸素種(O2
-、H2O2、OH、HOCl、フェリル(ferryl)、ペルオキシ(peroxyl)、ペルオキシナイトライト及びアルコキシル(peroxynitrite及びalkoxyl))を除去するか、またはそれらの形成を防止するか、またはフリーラジカルあるいは他の反応性酸素種をより反応性の低い種に触媒作用で転換させることによって作用する。
【0026】
1.アプタマー(Aptamer)ベースの化粧品応用例
本発明は、ポリフェノール(例えば、カテキン)の酸化速度を減少させるアプタマーを提供する。
【0027】
本発明は、ポリフェノール(例えば、カテキン)の酸化速度を減少させるアプタマー及び追加的な成分を含む化粧料組成物を提供する。
【0028】
本発明の追加的な成分は、いかなる種類の抽出物、活性物質も関係なく、化粧品において使用される全ての原料を使用することができる。その例として、美白に良い緑茶抽出物、甘草抽出物、コウゾ抽出物、桑白皮抽出物、黄ゴン抽出物、葛根抽出物、紅参抽出物、老化予防に良いアンズ抽出物、オイル抽出物、オレンジ抽出物、レモン抽出物、竹抽出物、グアバ抽出物、ローズマリー抽出物、サンシュユ抽出物、レイシ抽出物、銀杏抽出物、西施玉容散抽出物、滋陰丹抽出物、保湿に良いカリン抽出物、百年草抽出物、パプリカ抽出物、アロエ抽出物、ヘチマ抽出物、海草抽出物、抗酸化効果があるニンジン抽出物、大豆抽出物、グレープフルーツ種子抽出物、ブドウ種子抽出物、スベリヒユ抽出物、しわの改善に役立つキャビア、ザクロ、人参抽出物、皮膚の再生に役立つモモ抽出物、センキュウ抽出物、アトピーに良いツボクサ抽出物、カモミール抽出物、紫根抽出物、苦参抽出物、トウキ抽出物、にきびに良いペパーミント抽出物、三白草抽出物、ドクダミ抽出物、シャクヤク抽出物、抗炎及び抗菌に良い木酢液、タンポポ抽出物、キンセンカ抽出物、キハダ抽出物、枳殻抽出物、黄ゴン抽出物、ウイキョウ抽出物、コンフリー抽出物、毛穴収縮に役立つ栗皮抽出物、緑茶抽出物、保湿機能を果たすグリセリン、パンテノール、ヒアルロン酸、セラミド、ベータグルカン、美白効果があるアルブチン、ビタミンC、ホワイテンス、レチノール、アスタキサンチン、レスベラトロール、ポリフェノール、弾力に良いエラスチン、コラーゲン、コエンザイムQ10、エフェクチン、EGF、抗炎症抗菌剤であるプロポリス、アラントイン、フィトスタン、インフラ酸、抗酸化剤ビタミンE(天然トコフェロール)、ローズマリー油抽出物、グレープフルーツ種子抽出物などの様々な抽出物が適用される。
【0029】
本発明の適した化粧品の剤形としては、例えば、溶液、ゲル、半固体又は固体形態のクリーム、スキン、ローション、パウダー、軟膏、スプレー又はコンシールスティックの形態で提供されてもよい。また、泡沫の形態、又は圧縮された推進剤をさらに含有したエアゾール組成物の形態に製造されてもよい。
【0030】
また、本発明の化粧料組成物は、追加で、脂肪物質、溶解剤、濃縮剤及びゲル化剤、軟化剤、抗酸化剤、懸濁化剤、安定化剤、発泡剤、芳香剤、界面活性剤、水、イオン型又は非イオン型乳化剤、充填剤、金属イオン封鎖剤及びキレート化剤、保存剤、ビタミン、遮断剤、湿潤化剤、必須オイル、染料、顔料、親水性又は親油性活性剤、脂質小嚢、または化粧品学あるいは皮膚科学分野で通常使用される補助剤を含有することができる。そして、前記の成分は、皮膚科学分野で通常使用される量で導入され得る。
【0031】
本発明の化粧料組成物は、当業界で通常製造されるいかなる剤形にも製造可能であり、その具体的な剤形としては、スキンローション、スキンソフナー、スキントナー、アストリンゼント、ローション、ミルクローション、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、モイスチャークリーム、ハンドクリーム、エッセンス、栄養エッセンス、パック、石鹸、シャンプー、クレンジングフォーム、クレンジングローション、クレンジングクリーム、ボディローション、ボディクレンザー、入浴補助剤などの剤形を含むことができる。
【0032】
2.アプタマー及び/又はカテキンの複合体を用いた食飲料及び食品組成物
本発明は、前記本発明のアプタマーを単独で、またはアプタマーとポリフェノール(例えば、カテキン)の複合体を有効成分として含む食品組成物又は飲料組成物を提供する。
【0033】
本発明の一具現例において、前記組成物は、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸及びペプチドのうちの1つ以上をさらに含むことが好ましいが、これに限定されない。
【0034】
本発明の一具現例において、前記食品組成物は、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸及びペプチドのうちの1つ以上をさらに含むことが好ましいが、これに限定されない。
【0035】
本発明の一具現例において、前記食品組成物は、菓子類、キャンデー類、乳製品、ガム類、醤類、パン類、またはアイスクリームであることが好ましいが、これに限定されない。
【0036】
3.アプタマー及びカテキンの複合体を用いた薬学組成物
本発明の組成物が薬学組成物である場合、背景技術で言及したカテキンなどのポリフェノールの抗酸化と関連する薬理効果を示す適用症に使用され得る。本発明の組成物の投与のために、前記有効成分以外に、薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤を含むことができる。前記担体、賦形剤及び希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルジネート、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱物油が挙げられる。
【0037】
本発明の薬学組成物は、それぞれ、通常の方法によって散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアゾールなどの経口型剤形、外用剤、坐剤または滅菌注射溶液の形態に剤形化して使用することができる。詳細には、剤形化する場合、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を使用して調剤され得る。経口投与のための固形製剤としては、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などを含むが、これに限定されるものではない。このような固形製剤は、前記有効成分以外に、少なくとも1つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム、スクロース、ラクトース、ゼラチンなどを混ぜて調剤されてもよい。また、単純な賦形剤以外に、ステアリン酸マグネシウム、タルクのような潤滑剤も使用され得る。経口のための液状物、リキッドパラフィン以外に、様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などを添加して調剤され得る。非経口投与のための製剤は、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤及び坐剤を含む。非水性溶剤、及び懸濁剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどが使用され得る。坐剤の基剤としては、ウィテップゾール、マクロゴール、ツイン61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用され得る。
【0038】
本発明の薬学組成物の適した投与量は、患者の状態及び体重、疾病の程度、薬物の形態、時間によって異なるが、当業者によって適切に選択され得るところ、前記組成物の一日投与量は、好ましくは0.001mg/kg体重~500mg/kg体重であり、必要に応じて、一日1回~数回に分けて投与することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明を通じて分かるように、本発明のアプタマーはカテキンの酸化防止効果を有し、本発明のアプタマー単独、またはアプタマーとカテキンの複合体は、カテキンに選択的に結合するアプタマーを用いてカテキンの還元状態を維持することで、その抗酸化機能を長期間維持するようにするので、様々な剤形の機能性化粧品に用いることができる。カテキンに選択的に結合するアプタマーを用いることで、小量のカテキンでも持続的でかつ極大化された抗酸化効果を期待することができる。また、本発明を通じて分かるように、本発明は、カテキンに選択的に結合するアプタマーを用いてカテキンなどの生理活性成分の還元状態を維持することで、その抗酸化機能を長期間維持するようにするので、様々な健康飲料、抗酸化飲料及び抗酸化食品などに用いることができる。
【0040】
また、アプタマーを用いてカテキンの酸化を防止することは、既存の方法と比較して、安全でかつ革新的な新しい概念の接近であって、これを各種産業に適用して効果を得ることができるように製造可能である。特に、既存のケミカル(Chemical)ベースの化粧品、食品市場を、画期的にDNA(Bio)ベースの市場に変化させる起爆剤になるはずである。今後、DNA市場の爆発的な増加と革新的なソリューションを提供すると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明のアプタマーK1(配列番号1)からK9(配列番号9)のEGCGの酸化遅延に対する効果を示したグラフである。EGCGと結合するアプタマーK1からアプタマーK9までの8種のアプタマーKが先に説明したのと同じように準備された。20μMのアプタマーK1からK9と500μMのEGCGをそれぞれ30分間反応させた後、WST-1アッセイが行われた。各アプタマーKのEGCGの酸化遅延の程度を比較した。
【
図2】本発明のアプタマーのEGCGに対する解離定数(K
D)を示すグラフである。
【
図3-4】本発明のアプタマーK4及びK5のEGCGの酸化遅延に対する効果を示したグラフである。同図から分かるように、EGCGの場合、早く酸化してWST-1を還元させたが、EGCG+アプタマーK4又はK5の場合、濃度依存的にEGCGの酸化が遅延されてWST-1の還元が遅延されることを確認した。
【
図5】本発明のアプタマーK4とK5のEGCGの酸化遅延に対する効果を比較したグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明を下記の実施例によりさらに詳細に説明する。但し、下記の実施例は、本発明を例示するための意図で記載したものであって、本発明の範囲は、下記の実施例によって制限されるものと解釈されてはならない。
【0043】
実施例1:DNAアプタマーの選択及び配列分析
EGCG SELEX:
EGCGに対する8ラウンドのSELEXを、~1015の独特なオリゴヌクレオチドで構成されたDNAライブラリーを使用して行った。
【0044】
【0045】
表1は、EGCGと特異的に結合するアプタマー配列を示した表である。
【0046】
実施例2:本発明のアプタマーのEGCGの酸化遅延に対する効果
本発明のK1からK9までのアプタマーのEGCGの酸化遅延に対する効果を確認するために、実施例1と同様の方法で行い、その結果を
図6に示した。
【0047】
図6から分かるように、K1からK9のアプタマーを処理した場合に、有意的に約30~40%程度のEGCGの酸化遅延効果が観察された。
【0048】
前記SELEXにより得たEGCGと特異的に反応する本発明のK1からK9までのアプタマー4(配列番号1~9のアプタマー)は、フォールディングバッファー(folding buffer)(1mM MgCl2 in PBS)に溶解された後、95℃で5分間沸騰させた後、徐々に常温に温度を下げて3次構造を形成するように準備した。
【0049】
500μMのEGCGと前記準備された20μMのアプタマーK1~K9のうちの1つをそれぞれ30分間反応させた後、WST-1アッセイが行われた。各アプタマーKのEGCGの酸化遅延の程度が比較された。
【0050】
図1から分かるように、K1~K9のうちの1つのアプタマーを処理した群が、処理していない場合と比較して、約20%~40%のEGCGの酸化遅延効果を示した。
【0051】
実施例3:アプタマーK4のEGCGの酸化遅延に対する効果
SELEXにより得たEGCGと特異的に反応するアプタマーK4は、フォールディングバッファー(1mM MgCl2 in PBS)に溶解された後、95℃で5分間沸騰させた後、徐々に常温に温度を下げて3次構造を形成するように準備した。
【0052】
500μMのEGCGと前記準備されたアプタマーK4の5、10、20μMをそれぞれ常温で30分間反応させた後、WST-1アッセイを行った。
【0053】
準備されたサンプルとWST-1(3-(4,5-Dimethylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyltetrazolium bromide)が反応して生成されるホルマザン(formazan)を測定するために、プレートリーダー(plate reader)によって16時間の間、440nmの吸光度(absorbance)が測定された。
【0054】
EGCGの場合、早く酸化してWST-1を還元させたが、EGCG+アプタマーK4の場合、アプタマーK4濃度依存的にEGCGの酸化が遅延(20μMで約33%)されてWST-1の還元が遅延されることを確認した(
図3)。
【0055】
実施例4:アプタマーK5のEGCGの酸化遅延に対する効果
前記SELEXにより得たEGCGと特異的に反応するアプタマーK5(配列番号5のアプタマー)は、先に説明したのと同じように準備されてEGCGの酸化遅延効果に対してテストされた。
【0056】
EGCGの場合、早く酸化してWST-1を還元させたが、EGCG+アプタマーK5の場合、アプタマーK5濃度依存的にEGCGの酸化が遅延(20μMで約33%)されてWST-1の還元が遅延されることを確認した(
図4)。
【0057】
実施例5:アプタマーK4とK5のEGCGの酸化遅延に対する効果の比較
前記EGCGと結合するアプタマーK4、K5が、先に説明したのと同じように準備された。20μMのアプタマーK4、アプタマーK5と500μMのEGCGをそれぞれ30分間反応させた後、WST-1アッセイが行われた。20μMのアプタマーK4、アプタマーK5のEGCGの酸化遅延効果がほぼ同一であることを確認した(
図5)。
【配列表】
【国際調査報告】