(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】自己作動による機械的付勢式容器拘束装置
(51)【国際特許分類】
B67B 3/20 20060101AFI20220107BHJP
B25J 15/00 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
B67B3/20
B25J15/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523434
(86)(22)【出願日】2019-10-28
(85)【翻訳文提出日】2021-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2019079336
(87)【国際公開番号】W WO2020089139
(87)【国際公開日】2020-05-07
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513165469
【氏名又は名称】ビーディー キエストラ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】シンネマ,ユルエン
(72)【発明者】
【氏名】フェイエン,フランシスカス
【テーマコード(参考)】
3C707
3E080
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707AS14
3C707DS01
3C707ES04
3C707EU12
3C707EV10
3C707EV21
3C707EW00
3C707HT11
3C707NS07
3E080AA07
3E080CD01
3E080CF07
(57)【要約】
自己作動による機械的付勢式容器拘束装置のためのシステムおよび方法。システムは、容器が拘束装置内に挿入される時に加えられる力以外、どのようなコンピュータ支援制御または適時調整も必要とせず、またはどのような外部電源も必要としない。システムは、機械的に付勢される枢動レバーを備えるアセンブリに依存する。各レバーは、水平要素および垂直要素を有している。全ての作動は、挿入されたチューブ容器の基部がこの挿入された容器のガイドとして機能するように適合された通路の基部に位置する多数の枢動レバーの水平要素の上面に接触した時に生じる。レバーは、バネのような機械的手段によってこの上昇した位置に付勢される。挿入されたチューブ容器が水平部材を下方に押すと、垂直部材の上部分が容器の外面に向かって内方に枢動される。各垂直要素の内面に配置された摩擦パッドが容器の外面に接触し、これによって、容器を把持する。この把持動作は、ネジ付き蓋の取外しまたは取付けを可能にする十分な摩擦によって、容器を保持する。本発明の更なる実施形態は、通路および枢動レバーを支持する機械的に付勢されたプラットフォームを備えている。このベースプレートは、通路および枢動レバーアセンブリがプラットフォームを付勢する力に対して容器拘束装置の本体を通して下方に平行移動することを可能にするように、付勢されて位置決めされている。容器、通路、およびレバーアセンブリのこの更なる前進は、枢動レバーを十分に係合された把持位置に移行させ、レバーの垂直要素(およびそこに取り付けられた柔軟な摩擦パッド)を十分な直立位置に移動させる。この位置において、摩擦パッドは、最大静止摩擦力を容器の外面に加える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋を適合するように構成された容器を機械的に拘束するための装置であって、
近位端および遠位端を有するブロックを備えるアセンブリであって、前記ブロックは、前記近位端から遠位端に延在する通路を有し、前記通路は、前記容器を前記ブロックの前記近位端から収容するように適合され、前記通路は、前記蓋を適合する前記容器の一部が前記通路に入らないような長さを有する、アセンブリと、
前記ブロック内の前記通路の遠位端の近くに配置された少なくとも1つのレバーであって、前記ブロックに枢支されており、前記通路に対して実質的に半径方向に延在する第1の部分と前記通路に対して実質的に軸方向に延在する第2の部分とを有し、前記第1および第2の部分は、前記ブロックに対する前記枢支により画定された軸周りに回転し、前記実質的に半径方向部分が前記通路内に内向きおよび上向きに延び、前記実質的に軸方向部分が通路軸に対して上向きおよび外向きに延びるように、第1の付勢力で機械的に付勢されている、少なくとも1つのレバーと、を備え、
前記通路内の前記容器によって前記少なくとも1つのレバーに加えられた前記機械的付勢を上回る下向き力に応じて、前記レバーは、前記実質的に半径方向部分の遠位端が前記通路に収容された前記容器に加えられた前記下向き力に応じて下方に押され、前記実質的に軸方向部分の前記遠位端が前記通路内の前記容器に向かって付勢され、静止摩擦力(F
S)によって前記容器に接触するように、前記実質的に半径方向部分および前記実質的に軸方向部分の近位端において枢動するように構成されている、装置。
【請求項2】
前記通路は、前記少なくとも1つのレバーの前記軸方向部分の反対側に固定壁部分を有し、前記固定壁部分および前記軸方向部分は、各々、そこに配置された柔軟な摩擦パッドを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記柔軟な摩擦パッドは、前記通路に収容される前記容器の外形に適応するように形成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
複数のレバーを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、2つのレバーを備え、第1のレバーは、前記通路の一方の側において前記ブロックに枢支され、第2のレバーは、前記通路の反対側において前記ブロックに枢支されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、機械的に付勢される下側プレートをさらに備え、前記機械的に付勢される下側プレートは、前記ブロックの前記遠位端の近くで静止するように第2の付勢力によって付勢されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第2の付勢力は、前記第1の付勢力を上回っており、さらに、前記機械的に付勢された下側プレートは、前記容器の前記下向き力が前記少なくとも2つのレバーに加えられた時に前記ブロックとの接触から前進し、前記容器を前記通路内にさらに前進させ、これによって、前記少なくとも2つのレバーの前記実質的に半径方向部分の前記遠位端をさらに下方に前進させ、前記少なくとも2つのレバーの前記実質的に軸方向部分の前記遠位端をさらに内方に前進させる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記2つのレバーまたは前記機械的に付勢される下側プレート、または、前記2つのレバーおよび前記機械的に付勢される下側プレートの両方に前記機械的付勢をもたらす1つまたは複数のバネをさらに備える、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記蓋付き容器は、検体チューブ容器である、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記容器は、ネジ付き蓋を螺合するためにネジが設けられている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記機械的に付勢された下側プレートに連結された1つまたは複数のガイドピンをさらに備え、各ガイドピンは、前記ブロックに形成されたガイド通路内に配置されている、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記通路内に配置されたスリーブをさらに備え、前記スリーブは、前記通路の周囲を超えて延在する外周を有するフランジを有し、前記スリーブは、前記通路内において移動可能であり、前記フランジは、前記スリーブが前記ブロックの前記近位端を超えて前進するのを防ぐようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記2つのレバーに機械的付勢をもたらす前記バネは、前記ブロックにさらに接続されている、請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記2つのレバーは、各々、前記2つのレバーに機械的付勢をもたらす前記バネが取り付けられるアンカーをさらに備える、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記2つのレバーの前記実質的に軸方向部分は、各々、そこに取り付けられた摩擦パッドを備え、前記摩擦パッドは、前記静止摩擦力(F
S)で前記容器に接触するように前進するようになっている、請求項5に記載の装置。
【請求項16】
前記下向き力が前記第2の機械的付勢を上回った時、前記スリーブは、前記機械的に付勢された下側プレートが前記下側プレートに加えられた前記付勢力を上回る前記下向き力によって前記ブロックとの接触から離れるように押し込まれた時に前記下側プレートと共に前進することによって、前記ブロックの開口内にさらに前進する、請求項12に記載の装置。
【請求項17】
請求項1に記載の装置を用いて容器を機械的に拘束するための方法であって、
前記容器の蓋のない端を通路の近位端内に挿入するステップと、
第1の付勢力と等しいかまたはそれよりも大きい力によって前記容器を前記通路内に前進させ、前記容器の前記蓋のない端をレバーの実質的に半径方向部分の遠位端に接触させ、これによって、前記レバーを枢動させ、前記レバーの前記実質的に半径方向部分の内向き面を前記容器の前記蓋のない端に接触させるステップと、
を含む、方法。
【請求項18】
ネジ付き蓋を前記容器に螺合または前記容器から離脱させるために必要なトルクを加えるステップをさらに含み、前記加えられるトルクは、前記内向き面が前記容器に接触する力F
Sによって生じるトルクよりも小さい、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2018年10月29日に出願された米国仮出願第62/752,042号の出願日の利益を主張するものであり、その開示内容は、参照することによってここに含まれるものとする。
【0002】
[発明の分野]
本願は、容器の蓋取付け/取外しを容易にするシステムおよび方法に関する。特に、本願は、回転によって容器に固定される容器蓋および回転によって容器から取り外される容器蓋の取外しおよび/または交換を可能にするための容器の物理的な固定に関する。
【背景技術】
【0003】
検体容器は、研究室環境において検体を保管および移送するために用いられている。検体容器は、保管または移送する必要のある検体の特性または量に応じて、さまざまな大きさのものがある。工業規格も、特定の検体の移送に用いられる容器の種類を規定している。検体検査のために、複数の大きさの検体容器が研究室に送られることがある。容器は、通常、ネジ込み式の容器蓋によって密封されている。従って、検体検査は、通常、時間と労力を必要とするプロセスであり、蓋の取外し、容器からの検体試料の抽出、および蓋の再取付けが必要である。
【0004】
研究室用の検体容器の蓋取付け/取外しを行うための多くの自動化システムが当技術分野において知られている。これらのシステムは、典型的には、容器本体と容器蓋のいずれかまたは両方を把持する回転アセンブリを利用する。把持機構は、蓋を容器にしっかりと固定するかまたは蓋を容器から効果的に取り外すために有効な大きさのトルクを加えることを可能にするのに十分な力によって、回転される要素(すなわち、蓋または容器本体の一方)を把持することができなければならない。また、把持機構は、蓋取付け/取外し処置が完了した後、該要素を取り外すかまたは取り出すために離脱することができなければならない。
【0005】
これらの蓋取付け/取外しシステムは、蓋取付け/取外しプロセス中にカプラーアセンブリによって蓋にトルクが加えられる時に容器の回転を防ぐために、蓋取付け/取外し操作中に検体容器の本体を締付けまたは拘束する必要がある。先行技術による締付けシステムは、外部の機械的作動(電気、空気圧、油圧、等)に応じて容器を係合/離脱する機械的システムを用いている。この種の締付けシステムは、トルクが関連する蓋に加えられる間検体容器を拘束し、次いで、締付けシステムに対するスムーズな容器の挿入、取出し、および取外しを行うために拘束を解除するようになっている。しかし、これらのシステムは、電気的、空圧的、または油圧的サブシステムと、蓋取付け/取外しシステムと同期するかまたは蓋取付け/取外しカプラーアセンブリの位置または近接を検知して応答するように適合された関連する制御システムとを必要とする。これは、自動化蓋取付け/取外しシステムに対して追加的な複雑さおよび経費増大をもたらすことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、自動化蓋取付け/取外しシステムとの併用に適する機械的信頼性の高い自己作動による検体容器拘束システムおよび方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
自己作動による機械的付勢式容器拘束装置のためのシステムおよび方法が、本明細書に記載される。システムは、容器が拘束装置内に挿入される時に加えられる力以外どのようなコンピュータ支援制御または適時調整も必要とせず、またはどのような外部電源も必要としない。システムは、1つまたは複数の機械的に付勢される枢動レバーを備えるアセンブリに依存する。枢動レバーの各々は、水平要素または水平アームおよび垂直要素または垂直アームを有し、これらのアームは、各々、枢軸から延在している。 本明細書において用いられる「水平(horizontal)」および「垂直(vertical)」という用語は、これらのレバーアームの互いに対する方位を記述するものであり、他の表面に対する方位を記述するものではない。垂直レバーアームは、枢軸から上方に延在し、水平アームは、枢軸から略横方向に延在している。換言すれば、これらのレバーアームは、枢軸に関して互いに略直交している。当業者であれば、これらの要素またはアームの相対角度は、これらのアームおよびそれらの相対的な方位が蓋を容器から取り外すかまたは蓋を容器に固定するために用いられる機構または他の手段(すなわち、手動操作手段)と協働して容器を固定するかまたは解放するように機能する限り、90°より小さくてもよいしまたは90°より大きくてもよいことを理解するだろう。1つまたは複数のレバーは、ハウジング内の通路の基部に配置されている。
【0008】
通路は、蓋付き容器を収容するように適合されている。全ての作動は、挿入されたチューブ容器の基部が、この挿入された容器のガイドとして機能するように適合された通路の基部に位置する1つまたは複数の枢動レバーの水平要素の上面に接触する時に生じる。1つまたは複数のレバーは、バネのような機械的手段によって、この枢動された上昇位置に付勢されている。挿入されたチューブ容器が水平部材を下方に押すと、垂直部材の上部分が容器の外面に向かって内方に枢動される。各垂直要素の内面に配置された摩擦パッドが、容器の外面に接触し、これによって、容器を把持する。この把持動作は、ネジ付き蓋の取外しまたは取付けを可能にするのに十分な摩擦によって、容器を保持する。単一のレバーしか備えない実施形態では、摩擦パッドは、摩擦パッドが配置された垂直レバーアームの反対側の通路の表面にも配置される。
【0009】
本発明の更なる実施形態は、通路および枢動レバーを支持する機械的に付勢されたプラットフォームを備えている。このベースプレートは、通路および枢動レバーアセンブリがプラットフォームを付勢する力に対して容器拘束装置の本体を通って下方に平行移動することを可能にするように、付勢されて位置決めされている。容器、通路、およびレバーアセンブリのこの更なる前進は、枢動レバーを十分に係合された位置に移行させ、レバーの垂直要素(およびそこに配置された柔軟な摩擦パッド)を十分な直立位置に移動させる。この位置において、摩擦パッドは、容器の外面に最大静止摩擦力を加える。更なる実施形態では、ハウジング内の通路は、スリーブを収容している。スリーブは、機械的に付勢されたプラットフォームが通路の底に配置された1つまたは複数のレバーに容器によって加えられた下向き力に応じてハウジングの底から離れる方に押される時、通路内において下方に前進する。
【0010】
一実施形態では、蓋を適合するように構成された容器を機械的に拘束するための装置は、通路を有するハウジングまたはブロックを備えるアセンブリを備えている。一実施形態では、通路は、そこに配置された移動可能なスリーブを有している。通路は、ブロックの近位端から容器を収容するようになっている。通路は、蓋を適合する容器の一部が通路に入らないような長さを有している。また、装置は、ブロック内の通路の遠位端の近くに位置する少なくとも1つのレバーを備えている。少なくとも1つのレバーは、ブロックに枢支されている。レバーは、通路に対して実質的に半径方向に延在する第1の部分と、通路に対して実質的に軸方向に延在する第2の部分とを有している。レバーの第1および第2の部分は、ブロックに対するレバーの枢着によって画定された軸を中心として回転するようになっている。
【0011】
一実施形態では、装置は、移動可能な下側プレートに接続された第1の機械的付勢部であって、移動可能な下側プレートをブロックの遠位端の近くに静止するように第1の付勢力によって付勢する、第1の機械的付勢部を備えている。この実施形態または異なる実施形態では、装置は、少なくとも1つのレバーを第2の付勢力によって位置決めするように適合された第2の機械的付勢部であって、少なくとも1つのレバーの実質的に半径方向部分を通路内の内方および上方に延ばし、少なくとも1つのレバーの実質的に軸方向部分を通路軸に対して上方および外方に延ばす、第2の機械的付勢部を備えている。装置がこれらの機械的付勢特徴部の両方を備える実施形態では、第1の付勢力は、第2の付勢力を上回っている。通路内の容器にまたは該容器によって加えられた下向き力が第2の機械的付勢部の第2の付勢力を超えた時、これに応じて、第2の機械的付勢が克服され、レバーは、レバーの実質的に半径方向部分および実質的に軸方向部分の近位端において枢動し、これによって、実質的に半径方向部分の遠位端が通路内に収容された容器に加えられた下向き力に応じて下方に付勢され、実質的に軸方向部分の遠位端が通路内の容器に向かって付勢される。さらに、下向き力が第1の付勢力を超えた時、移動可能な下側プレートがブロックとの接触から前進し、容器を通路内にさらに前進させ、これによって、レバーの実質的に半径方向部分の遠位端をさらに下方に前進させ、レバーの実質的に軸方向部分の遠位端をさらに内方に前進させ、その結果、軸方向部分の遠位端が静止摩擦力(Fs)によって容器と接触することになる。
【0012】
一実施形態では、第1および第2の機械的付勢は、バネによってもたらされる。容器の一例として、検体容器が挙げられる。このような容器は、多くの場合、ネジ付き蓋を螺合するためにネジが設けられている。更なる実施形態では、装置は、2つのレバーを有している。第1のレバーは、通路の片側においてブロックに枢支され、第2のレバーは、通路の反対側においてブロックに枢支されている。各レバーは、アンカーも備えている。第2の機械的付勢部は、各アンカーに接続されている。また、装置は、移動可能な下側プレートに連結された1つまたは複数のガイドピンを有し、各ガイドピンは、ブロック内に形成されたガイド通路内に配置されている。
【0013】
通路が移動可能なスリーブを有する実施形態では、スリーブは、スリーブを収容するブロックの開口の周囲を超えて延在する外周を有するフランジを有している。スリーブは、ブロック内において移動可能であり、フランジは、スリーブがブロックの近位端を超えて前進するのを防ぐものである。スリーブは、下向き力が第2の機械的付勢を超えると、ブロックの開口内にさらに前進する。何故なら、下向き力が第1の機械的付勢を超えたことによってプレートがブロックとの接触から離れる方に付勢される時、スリーブが移動可能な下側プレートと共に前進するからである。第1の機械的付勢部は、さらにブロックに接続されている。少なくとも1つのレバーは、第2の機械的付勢部が取り付けられるアンカーをさらに備えている。レバーの実質的に軸方向部分は、そこに取り付けられた摩擦パッドを有し、摩擦パッドは、前進して静止摩擦力(Fs)によって容器に接触するようになっている。
【0014】
上記の装置を用いて容器を機械的に拘束するための方法も、本明細書に記載される。容器の蓋のない端が、通路を有するスリーブの近位端内に挿入される。容器は、第1の付勢力と等しいかまたはそれよりも大きい力によって通路内に押し込まれ、容器の蓋のない端をレバーの実質的に半径方向部分の遠位端に接触させ、これによって、レバーを枢動させる。また、下向き力がレバーの実質的に軸方向部分の内向き面を容器の蓋のない端に接触させる。
【0015】
本発明の特徴、態様、および利点は、以下の説明、添付の請求項、および添付の図面を参照すれば、一層よく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】本開示の一実施形態による蓋取付け/取外しシステムの斜視図である。
【
図1B】ドライバ機構の構成要素を示す
図1Aの蓋取付け/取外しシステムの斜視図である。
【
図2A-B】
図1Bの蓋取付け/取外しシステムのドライバ機構の側面図、および部分切欠き側面図である。
【
図2C】
図1Bの蓋取付け/取外しシステムのドライバ機構の部分切欠き上面図である。
【
図3A-D】
図1Bの蓋取付け/取外しシステムのエジェクタの底面図、上面図、側面図、および斜視図である。
【
図4】
図1Bの蓋取付け/取外しシステムのドライバ機構の部分切欠き底面図である。
【
図5A】
図1Bのドライバ機構に取り付けられたカプラーアセンブリ位置センサ、エジェクタセンサ、およびインペラーセンサの斜視図である。
【
図5B】
図5Aのカプラーアセンブリ位置センサを示す部分切欠き斜視図である。
【
図5C】
図5Aのエジェクタセンサを示す部分切欠き斜視図である。
【
図5D】
図5Aのインペラセンサを示す部分切欠き斜視図である。
【
図6A-B】
図1Bの蓋取付け/取外しシステムにおけるカプラーアセンブリの側面図、および正面図である。
【
図6C-D】
図1Bの蓋取付け/取外しシステムおけるカプラーアセンブリの上面図、および底面図である。
【
図7A】蓋に固定されているカプラーアセンブリの斜視図である。
【
図7B】蓋の隆線に嵌め込まれた把持部材を示すカプラーアセンブリの切欠き図である
【
図7C-D】例示的な蓋および容器の斜視図、および
図7Aの蓋の上面図である。
【
図9】自己作動による機械的付勢式容器拘束装置の斜視図である。
【
図10】単軸ロボットアームに取り付けられた
図9の容器拘束装置の斜視図である。
【
図11E-F】
図9の容器拘束装置の上面図、および底面図である。
【
図12A】非装填/非作動状態を示す
図9の容器拘束装置の正面断面図である。
【
図12B】部分装填/非作動/非押下状態を示す
図9の容器拘束装置の正面断面図である。
【
図12C】装填/非作動/非押下状態を示す
図9の容器拘束装置の正面断面図である。
【
図12D】装填/作動/非押下状態を示す
図9の容器拘束装置の正面断面図である。
【
図12E】装填/作動/押下状態を示す
図9の容器拘束装置の正面断面図である。
【
図13A-B】容器を収容する状態にある
図9の容器拘束装置のレバー、ピン、およびプラットフォームの部分切欠き上面図、および、容器を十分に収容した状態の部分切欠き上面図である。
【
図14A】非装填/非作動状態を示す単一レバー式容器拘束装置の正面断面図である。
【
図14B】部分装填/非作動/非押下状態を示す単一レバー式容器拘束装置の正面断面図である。
【
図14C】装填/非作動/非押下状態を示す単一レバー式容器拘束装置の正面断面図である。
【
図14D】装填/作動/非押下状態を示す単一レバー式容器拘束装置の正面断面図である。
【
図14E】装填/作動/押下状態を示す単一レバー式容器拘束装置の正面断面図である。
【
図15A-B】容器を収容する状態にある単一レバー式容器拘束装置のレバー、ピン、およびプラットフォームの部分切欠き上面図、および、容器を十分に収容した状態の部分切欠き上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の機械的付勢式容器拘束装置は、自動化された容器蓋取付け/取外しシステムと併せて用いられるように適合されている。容器拘束装置を説明するに当たってその適切な概要を説明するために、例示的な蓋取付け/取外しシステムについて検討する。当業者であれば、本発明が、自動操作または手動操作に関わらず、さまざまな機械的蓋取付け/取外し装置と併せて用いられ得ることを理解し、評価するだろう。また、本発明は、蓋が手動によって取り外される時に容器を保持するために用いられてもよい。
【0018】
[自動化された蓋取付け/取外しシステム]
オランダ、ドラクテンのBD Kiestra B. V.に譲渡された米国仮特許出願第62 / 659,915号の主題であるこのような1つのシステムは、回転するネジ付きシャフトを介してカプラーアセンブリに連結された単一の双方向モーターによって駆動される機構を備えている。カプラーアセンブリは、機械的に付勢されたスプラインを介して蓋に係合するように構成されている。このシステムは、インペラおよびエジェクタを用いるが、これらは、いずれもネジ付きシャフトの周りに同心に配置されている。インペラは、シャフトの回転の関数としてシャフトに沿って平行移動し、要素がカプラーアセンブリに係合した時にエジェクの後退を可能にし、またはエジェクタをカプラーアセンブリ内に延ばし、これによって、蓋を離脱させる。
【0019】
図1A,1Bに示されるように、モータ102は、変換装置104によってドライバアセンブリ106に連結され、ドライバアセンブリ106は、カプラーアセンブリ108に隣接している。ドライバアセンブリ106は、エジェクタ110、インペラ112、カプラアセンブリセンサ114、エジェクタセンサ116、インペラセンサ118、インペラ位置合わせシャフト120、およびネジ付き駆動シャフト122を備えている。
【0020】
図2A,2Bは、それぞれ、ドライバ機構106の部分側面図および部分切欠き側面図を示している。
図3Bに示されるように、インペラ112の最外面204は、その最外面204とフレーム202の内壁208との間に間隙206が生じるように寸法決めされていなければならない。これは、ドライバ機構106の切欠き上面図を示す
図2Cにさらに示されている。図示されるように、インペラ112の最外半径210は、フレーム202の内径212よりも小さい。これによって、インペラ112と内壁208との間に間隙206が生じ、その結果、インペラ112は、インペラ位置合わせシャフト120によって妨げられることなく、(変換装置104によって駆動される)シャフトの回転の関数としてネジ付きシャフト122に沿って平行移動することが可能になる。
【0021】
図3A,3B,3C,3Dは、それぞれ、エジェクタ110の底面図、上面図、側面図および斜視図を示している。エジェクタ110は、エジェクタ110の底面から延在する3本の細長の排出ロッド302を有するものとして示されている。エジェクタ110は、中心のネジなし通路304も有している。
【0022】
図4に示されるように、ネジ付きシャフト122の最外半径402は、ネジなし通路304の内径404よりも小さい。これによって、ネジなし通路304とネジ付きシャフト122の最外面との間に確実に間隙が生じる。この間隙によって、エジェクタ110は、ネジ付きシャフト122によって妨げられることなく、ネジ付きシャフト122の長軸に沿って平行移動することが可能になる。
図4は、インペラ位置合せシャフト120とエジェクタ110との寸法関係も示している。エジェクタ110の外径は、エジェクタ110とインペラ位置合せシャフト120との間に間隙406が確実に生じる寸法に制限されねばならない。これによって、エジェクタ110は、インペラ位置合せシャフト120に衝突または接触することなく、ネジ付きシャフト122の長軸に沿って平行移動することが可能になる。
【0023】
図5Aに示されるように、ドライバ機構106は、3つのセンサ:(i)カプラーアセンブリセンサ114、(ii)エジェクタセンサ116、および(iii)インペラーセンサ118を備えている。本発明の特定の実施形態では、カプラーアセンブリセンサ114は、フレーム202に取り付けられた光学式フォークセンサである。
図5Aに示されるように、このセンサは、ミーリング加工によって作られた窓502を介して、カプラーアセンブリ108の回転を検知するように位置決めされている。
図5Bを参照すると、この回転は、カプラーアセンブリ116の上部に半径方向に等距離を隔てて配置された空洞504がカプラーアセンブリセンサ114のフォーク506間を通過する時にそれらの空洞504を検出することによって、検知される。エジェクタセンサ116は、本発明の特定の実施形態では、誘導型近接センサである。
図5Cに示されるように、センサ116は、フレーム202を貫通して取り付けられ、エジェクタ110がネジ付きシャフト122の長軸に沿って平行移動してカプラーアセンブリ108に近接した時(近接位置110 ’)、そのエジェクタ110を検出するように位置決めされている。第3のセンサであるインペラセンサ118は、
図5Aに示されるように、ミーリング加工によって作られた窓508内においてフレーム202上に取り付けられている。本発明の特定の実施形態では、インペラセンサ118は、カプラーアセンブリセンサ114に対して特定されたのと同じ形式の光学式フォークセンサである。
図5Dに示されるように、インペラセンサ118は、ドライバ機構内に配置され、インペラ112がネジ付きシャフト122に沿ってその最上位置にある時、ブレード510がフォーク512間の光信号を遮断する。各センサの出力は、(図示されない)蓋取付け/取外し制御システムにインターフェイスを介して伝達される。この情報は、蓋取付け/取外し装置の操作を管理するために、制御システムによって処理され、利用される。
【0024】
図6A,6Bは、それぞれ、ネジ付きシャフト122に接続された状態で示されるカプラーアセンブリ108の側面図および正面図を示している。図示されるように、3本のフィンガー602が、カプラーアセンブリの底から突出し、直径0を有する円形内部区域604の周りに等距離を隔てて配置されている。また、カプラーアセンブリ108は、3つの円形通路606を有するものとして示されている(
図6C,6D参照)。これらの通路は、エジェクタ110の3本の排出ロッド302が自在に貫通することを可能にするように配置され、寸法決めされている。本発明の好ましい実施形態では、3本のフィンガー602は、各々、テーパ付きの台形断面を有し、四角柱の先端608で終端している。各フィンガー602内のチャンバ610の内側に収容されているのは、係合スプライン612である。
図6Cに示されるように、係合スプライン612は、本発明の特定の実施形態では、円形断面を有している。しかし、これは、係合スプラインが嵌合するように意図された要素の特定の表面特徴部に依存する設計上の選択であり、種々の断面形状が用いられてもよい。
【0025】
例示的な要素の一形式は、
図7Aおよび
図8Bに示される雌ネジ山付き蓋702である。この種の蓋は、研究室用検体容器に通常用いられる蓋、例えば、ニュージャージ州フランクリンレイクのBecton Dickinson and Companyによって製造される蓋(8mlPhoenix Broth)と同様である。蓋702は、ネジ山付き容器704にねじ込まれる。
図7A,7Bに示されるように、蓋702の側面は、多数の縦溝706によって輪状に包囲され、縦溝706の各々は、実質的に円形の断面708を有している。
【0026】
図8Aは、蓋704に係合しているカプラーアセンブリ108の断面図を示している。係合スプライン612の基部は、フィンガー602の四角柱の先端608内において垂直リップ802によって保持された状態で示されている。係合スプライン612の上端は、スプライン612の上部分をチャンバ610の壁806に向かって内方に押し込む円形バネ804によって、付勢されている。
図8Bは、蓋702がフィンガー602間に十分に挿入された状態を示すカプラーアセンブリ108の断面図である。図示されるように、係合スプライン612は、縦溝706にしっかりと嵌合されている。円形バネ804は、(蓋702の挿入によってチャンバ610の壁806から離れる方に押された)スプライン612の上部分によって、外方に変形されている。係合スプライン612と縦溝706との間の嵌合は、ネジ付きシャフト122が時計方向または反時計方向のいずれかに回転する時、カプラーアセンブリ108によって著しく大きいトルクを蓋702に加えることを可能にする確実な連結面をもたらす。
【0027】
図8Bに示されるように、蓋702は、カプラーアセンブリ108への挿入時にフィンガー602間にしっかりと取り付けられる。このしっかりとした取付け、その結果としての係合スプラインの嵌合を確実なものとするために、カプラーアセンブリ108は、蓋に固有の直径0を有するように設計されねばならない(
図6D参照)。
【0028】
[自己作動による機械的付勢式容器拘束装置]
図9は、本発明による容器拘束装置900の例示的実施形態の斜視図を示している。容器を収容する中心空洞を備える容器スリーブ902が、外枠またはブロック904内に配置された状態で示されている。上部バネアンカー908と下側バネアンカー910との間に延在する垂直バネ906が示されている。外枠904の垂直バネ906と反対の側面に沿って配置された垂直バネ912の一部も示されている。垂直バネ912は、(この図には示されない)上側バネアンカー914と下側バネアンカー916との間に延在している。ガイドピン918,920が、プラットフォーム922に固定された状態で示されている。ガイドピン918,920は、容器拘束装置900の外枠内に上向きに延びている。ガイドピン918,920間に位置する把持アセンブリ924の基部が、プラットフォーム922に固定された状態で示されている。加えて、蓋付きの研究室用検体容器704が、容器拘束装置900内に十分に挿入され、押下された状態で示されている。取付フランジ926が、外枠904の背壁に取り付けられた状態で示されている。この取付フランジは、本発明に必ずしも必要なものではなく、むしろ、容器拘束装置の操作中に容器スリーブ902およびプラットフォーム922が外枠904に対して垂直方向に平行移動することを可能にするように、容器拘束装置を取り付けることができる手段の例として、設けられている。
図10は、フランジ926を介して単軸ロボットアーム1002に取り付けられた容器拘束装置900の斜視図を示している。
【0029】
図11A,11B,11C,11D,11E,11Fは、それぞれ、容器拘束装置900の正面図、背面図、右側面図、左側面図、上面図、および底面図を示している。水平バネアンカー1102,1104が、それぞれ、枢動可能に取付けられたレバー1108,1110(
図12A)の底に取り付けられた状態で示されている。レバー1108,1110は、いずれも、把持アセンブリ924内に配置されている。図示されるように、水平バネ1106が、水平バネアンカー間に延在している。
【0030】
図12A-12Eは、容器拘束装置900の断面図を示している。具体的には、
図12Aは、容器が挿入または装填される前の容器拘束装置を示している。垂直バネ906,912は、2F
Vの引上げ力によってプラットフォーム922を外枠904の下面に対して付勢するように機能する。ガイドピン918,920は、それぞれ、ガイド通路1202,1204内に十分に挿入された状態で示されている。水平バネ1106は、F
hの力によって水平バネアンカー1102,1104を内方に付勢する状態で示されている。この内方付勢力は、枢支されたレバー1108,1110をそれぞれピン1207,1208を中心として枢動させるのに十分大きくなければならないが、容器拘束装置内への挿入中およびその後の蓋取付け/取外し中に自動化システムによって容器に加えられる公称下向き力Fi
nomよりも小さくなければならない。この付勢による枢動によって、レバーは、容器の装填を許容するのに適した位置に配置されている。各レバーは、下側水平要素および上側垂直要素を有している。装填位置では、各レバーの下側水平要素は、その頂部が容器スリーブ902の中心空洞1206内において上昇した姿勢に配置されるように、回転されている。その結果、この回転によって、各上側垂直要素は、その頂部が空洞1206の中心から離れて外方に移動した位置に配置されている。各上側垂直要素の内面は、拘束されるべき容器の形式に依存する本体の半径方向の断面形状(この実施形態では、円断面)に適応するように輪郭付けされ、柔軟な摩擦パッド(1210,1212)が、各内面にぴったりと合うように取り付けられている。これらのパッドは、ゴム、合成ポリマー材料、または容器の外面に係合した時にF
sの累積静摩擦力をもたらすように機能する他の適切な材料から構成されているとよい。これらのパッドは、目標とする累積静摩擦力をもたらすのに適した大きさを有している。
【0031】
図12Bは、容器704を容器スリーブ902の中心空洞1206内に挿入する時の容器704を把持するカプラーアセンブリ108を示している。容器が中心空洞1206内に下向きに移動する時、公称挿入力Fi
nomがカプラーアセンブリ108によって加えられている。挿入プロセスのこの時点で、容器は、枢支されたレバー1108,1110と係合していない。垂直バネ906,912は、それらの初期の静止位置に留まっている。水平バネ1106は、水平バネアンカー1102,1104に加えられた内向き力F
hを維持し、関連する枢支されたレバー(1108,1110)は、容器の装填を許容するのに適した位置に留まっている。
図12Cの状態では、容器は、枢支されたレバー(1108,1110)の各々の下側水平要素の上昇した頂部と接触している。しかし、容器は、レバーの水平要素の上昇した頂部を押し下げ始める点まで、中心空洞内にさらに前進されねばならない。この状態では、
図12Aに示される状態とおなじように、垂直バネ906,912は、それらの初期の静止位置に留まっている。水平バネ1106は、水平バネアンカー1102,1104に加えられた内向き力F
hを維持し、関連する枢支されたレバー(1108,1110)は、容器の装填を許容するのに適した位置に留まっている。
【0032】
図12Dは、容器704がカプラーアセンブリ108によって容器902内にさらに前進した状態を示している。この時点で、力Fi
nomは、レバーの水平要素の上昇した頂部に十分に加えられる。水平バネアンカー1102,1104および関連する枢支されたレバー(1108,1110)に加えられた力F
hよりも大きいこの力(Fi
nom)によって、水平バネ1106は、レバーの水平要素の上昇した頂部が下方に押し込まれるにつれて引き延ばされまたは引っ張られ、レバーの上側垂直要素の各々の上部分は、空洞1206の中心に向かって内方に移動する。この内方移動によって、柔軟な摩擦パッド(1210,1212)は、容器704の外面に係合し、この外面を把持する。
【0033】
もし追加的な把持力が必要とされるなら、カプラーアセンブリ108は、Fi
maxの力によってさらに下方に前進されてもよい。ここで、Fi
maxは、Fi
nomと等しいかまたはそれよりも大きく、(垂直バネ906,912によってプラットフォーム922に加えられる累積付勢力)2F
Vよりも大きい。
図12Eに示されるように、追加的な下向き力Fi
maxによって、容器スリーブ902は、垂直バネ906,912が引き延ばされまたは引っ張られてプラットフォーム922が下方に移動するにつれて、外枠904内に下向きに平行移動する。ガイドピン918,920が、通路1202,1204内において
図12A―12Dに示される十分に挿入された位置から前進することに留意されたい。また、カプラーアセンブリ108のこの更なる前進は、枢動レバー1108,1110を十分に係合された把持位置に移行させ、水平バネ1106を引き延ばし、レバーの上側垂直要素(および柔軟な摩擦パッド1210,1212)を(
図12Eにおいて本質的に垂直の位置として示される)より直立した位置に移動させる。これらの位置において、摩擦パッドは、容器704の外面にF
sの静止摩擦力を加える。
【0034】
容器704が摩擦パッド1210,1212に十分に係合されたなら、カプラーアセンブリ108を時計方向(1214)に回転させて容器に蓋を取り付けることができ、またはカプラーアッセンブリ108を反時計方向(1216)に回転させて容器から蓋を取り外すことができる。前述したように、カプラーアセンブリ108内の係合スプライン612と容器蓋上の縦溝706との間の嵌合は、著しく大きいトルクをカプラーアセンブリ108によって蓋702に加えることを可能にする確実な連結面をもたらす。時計方向(TCmax)または反時計方向(TDmax)に加えられる最大トルクは、容器本体のすべりを避けるために、容器704の外面に加えられる静止摩擦力(Fs)よりも小さくなければならない。
【0035】
容器スリーブ902が外枠904内に下向きに平行移動することを可能にするこのシステムの能力は、他の利点をもたらす。例えば、前述したような自動化された蓋取付け/取外しシステムは、垂直方向の運動を容器/蓋の固定または離脱に変換するようになっている。もし蓋が取付けられている容器/蓋が取り外されている容器の垂直位置が静止して保持されていたなら、自動化システムは、蓋取付け/取外しプロセスの全体を通してその位置を継続的に調整する必要がある。これは、自動化システム内の機械システムの複雑さおよび制御システムの複雑さの両方のレベルを向上させる必要があるが、これらは、いずれも望ましくない。本発明によって与えられる容器の垂直位置の緩衝は、そのような複雑さを回避することを可能にする。
【0036】
図13Aは、容器を収容する準備がなされた状態にある容器拘束装置900のレバー1108,1110、枢動ピン1206、およびプラットフォーム922の部分切欠き上面図を示している。(
図12A-12Cにも示される)この状態では、水平バネ1106は、枢動レバー(1108,1110)を以下の位置、すなわち、レバー1108,1110の下側水平要素がそれぞれの枢動ピンを中心として回転され、これによって、各レバー1108,1110の水平アームの頂部が容器スリーブ902の中心空洞1206内において上昇した姿勢に維持される位置、に付勢している。また、この力は、それぞれのレバー1108,1110の上側垂直アームをそれらの頂部が空洞1206の中心から離れて上方および外方を向く位置、に配置させている。柔軟な摩擦パッド(1210,1212)も外方に枢動され、容器が容器スリーブ902内に挿入された時にこの容器を収容するための広い開口(A
w)をもたらしている(例えば、
図12A参照)。
【0037】
図13Bは、容器を把持している状態にある容器拘束装置900のレバー1108,1110、枢動ピン1206、およびプラットフォーム922の部分切欠き上面図を示している。図示されるように、容器704が拘束装置900内に十分に挿入されると、枢動レバー1108,1110は、十分に係合された把持位置に移行し、水平バネ1106は、レバー1108,1110に加えられた下向き力に応じて引き延ばされる。これによって、それぞれのレバー1108,1110の上側垂直アームは、より直立した位置(すなわち、垂直アームの上部分が通路内に前進した位置)に移行し、摩擦パッド1210,1212が容器704の外面に対してしっかりと取り付けられる。摩擦パッド1210,1212のそれぞれの内壁の頂部間の距離は、A
wからA
gに縮小される。ここで、A
gは、蓋取付け/取外し中に容器704を固定するための容器704の外径と略一致する。
図13Aに示されるように、レバー1108は、それらの間に間隙1302を画定する2つの水平要素を有している。
図13Aに示されるように、レバー1108の2つの水平要素は、レバー1110の2つの水平要素と互いに挟み込み配置されている。
【0038】
図14A-14Eは、本発明による容器拘束装置の代替的実施形態の断面図を示している。具体的には、
図14Aは、容器が挿入または装填される前の単一レバー式容器拘束装置を示している。前述の実施形態とは異なって、この特定の実施形態は、容器を効果的に拘束するために、1つのみの枢動L字形レバーおよび静止把持壁を用いている。この実施形態は、プラットフォーム922の付勢要素として垂直バネ906,912を有するものとして示されている。また、この実施形態は、単一レバー1404のための付勢要素としてバネ1106を有するものとして示されている。バネ1106が、単一レバー1404の付勢要素として用いられている。しかし、異なる付勢要素を有する代替的実施形態または別体の付勢要素を有しない代替的実施形態も考えられる。例えば、プラットフォーム922が付勢されずにレバー1404のみが付勢される実施形態も考えられる。レバー14に固有の付勢の例として、枢軸またはピン1406に加えられる付勢が挙げられるが、このような付勢は、例えば、容器1206に加えられる下向き力によって克服される力を有するものである。
【0039】
図14Aに示されるように、垂直バネ906,912は、2F
vの引上げ力によってプラットフォーム922を外枠904の下面に対して付勢するように機能する。ガイドピン918,920は、それぞれ、ガイド通路1202,1204内に十分に挿入された状態で示されている。水平バネ1106は、F
hの力によって水平バネアンカー1104を固定された水平バネピン1402に向かって内方に付勢している状態で示されている。この内方付勢力は、枢支されたレバー1404をピン1406を中心として枢動させるのに十分大きくなければならないが、容器拘束装置内への挿入中およびその後の蓋取付け/取外し中に自動化システム(または手動システム)によって容器に加えられる公称下向き力Fi
nomよりも小さくなければならない。付勢による枢動によって、このレバー1404は、容器704の装填を許容するのに適した位置に配置されている。レバー1404は、2つの下側水平要素および1つの上側垂直要素を有している。レバー1404の2つの水平要素は、例えば、
図15Aに示されている。装填位置では、レバー1404は、各水平要素(この図では前側の要素のみが見えている)の頂部が容器スリーブ902の中心空洞1406内において上昇した姿勢に配置されるように、回転されている。その結果、この回転によって、レバー1404の上側垂直要素は、その頂部が空洞1406の中心から離れて外方に移動した位置に配置されている。各上側垂直要素の内面は、拘束されるべき容器の形式に依存する本体の半径方向の断面形状(この実施形態では、円断面)に適応するように輪郭付けされ、柔軟な摩擦パッド(1408)が、各内面の面にぴったりと合うように取り付けられている。このパッドは、ゴム、合成ポリマー材料、または容器の外面に係合した時にF
sの累積静摩擦力をもたらすように機能する他の適切な材料から構成されているとよい。このパッドは、目標とする累積静摩擦力をもたらすのに適した大きさを有している。
【0040】
中心空洞1206内において、固定壁1410が、枢支されたレバー1404の垂直要素の反対側に配置されている。固定壁1410の内面は、拘束されるべき容器の形式に依存する本体の半径方向断面形状(この実施形態では、円断面)に適応するように輪郭付けされ、パッド1408と同様の組成および機能を有する柔軟な摩擦パッド(1412)が壁の内面にぴったりと合うように取り付けられている。
【0041】
図14Bは、容器704を容器スリーブ902の中心空洞1406に挿入する時の容器704を把持するカプラーアセンブリ108を示している。容器が中心空洞1206内に下向きに移動する時、公称挿入力Fi
nomがカプラーアセンブリ108によって加えられている。挿入プロセスのこの時点において、容器は、枢支されたレバー1404と係合していない。垂直バネ906,912は、それらの初期の静止位置に留まっている。水平バネ1106は、水平バネアンカー1104と固定された水平バネピン1402との間の内向き力F
hを維持し、これによって、枢支されたレバー1404は、容器の装填を許容するのに適する位置に留まっている。
図14Cの状態では、容器は、枢支されたレバー1404の各下側水平要素の上昇した頂部に接触している。しかし、容器は、レバーの水平要素の上昇した頂部を押し下げ始める点まで、中心空洞内にさらに前進されねばならない。この状態では、
図14Aに示される状態と同じように、垂直バネ906,912は、それらの初期の静止位置に留まっている。水平バネ1106は、内向き力F
hを維持し、枢支されたレバー1404は、容器の装填を許容するのに適した位置に留まっている。
【0042】
図14Dは、容器704がカプラーアセンブリ108によって容器902内にさらに前進した状態を示している。この時点で、力Fi
nomは、レバーの水平要素の上昇した頂部に十分に加えられる。水平バネアンカー1102,1104および関連する枢支されたレバー(1108,1110)に加えられる力F
hよりも大きいこの力(Fi
nom)によって、水平バネ1106は、レバーの水平要素の上昇した頂部が下方に押し込まれるるにつれて引き延ばされまたは引っ張られ、レバーの上側垂直要素の上部分は、空洞1206の中心に向かって内方に移動する。この内方移動によって、柔軟な摩擦パッド(1408,1412)は、容器704の外面に係合し、この外面を把持する。
【0043】
もし追加的な把持力が必要とされるなら、カプラーアセンブリ108は、Fi
maxの力によってさらに下方に前進されてもよい。ここで、Fi
maxは、Fi
nomと等しいかまたはそれよりも大きく、(垂直バネ906,912によってプラットフォーム922に加えられる累積付勢力)2F
Vよりも大きい。
図14Eに示されるように、追加的な下向き力Fi
maxによって、容器スリーブ902は、垂直バネ906,912が引き延ばされるかまたは引っ張られてプラットフォーム922が下方に移動するにつれて、外枠904内に下向きに平行移動する。ガイドピン918,910が、通路1202,1204内において
図14A-14Dに示される十分に挿入された位置から前進することに留意されたい。また、カプラーアセンブリ108のこの更なる前進は、枢動レバー1404を十分に係合された把持位置に移行させ、水平バネ1106を引き延ばし、レバーの上側垂直要素(および柔軟な摩擦パッド1408)を(
図14Eにおいて本質的に垂直の位置として示される)より直立した位置に移動させる。この位置において、摩擦パッド1408,1412(固定パッド)は、容器704の外面にF
Sfの静止摩擦力を加える。
【0044】
容器704が摩擦パッド1408,1412に十分に係合されたなら、カプラーアセンブリ108を時計方向(1214)に回転させて容器に蓋を取り付けることができ、または反時計方向(1216)に回転させて容器から蓋を取り外すことができる。前述したように、カプラーアセンブリ108内の係合スプライン612と容器蓋上の縦溝706との間の嵌合は、著しく大きいトルクをカプラーアセンブリ108によって蓋702に加えることを可能にする確実な連結面をもたらす。時計方向(TCmax)または反時計回り方向(TDmax)に加えられる最大トルクは、容器本体のすべりを避けるために、容器704の外面に加えられる静止摩擦力(FSf)よりも小さくなければならない。
【0045】
容器スリーブ902が外枠904内に下向きに平行移動することを可能にする単一レバーの実施形態の能力は、多数のレバーの実施形態について前述したのと同様の利点をもたらす。例えば、前述したような自動化された蓋取付け/取外しシステムは、垂直方向の運動を容器/蓋の固定または離脱に変換させるようになっている。もし蓋が取付けられている容器/蓋が取り外されている容器の垂直位置が静止して保持されていたなら、自動化システムは、蓋取付け/取外しプロセスの全体を通してその位置を継続的に調整する必要がある。これは、自動化システム内の機械システムの複雑さおよび制御システムの複雑さの両方のレベルを向上させる必要があるが、これらは、何れも望ましくない。本発明によって与えられる容器の垂直位置の緩衝は、そのような複雑さを回避することを可能にする。
【0046】
図15Aは、容器を収容する準備がなされた単一レバー式容器拘束装置のレバー1404、枢動ピン1406、固定壁1410、およびプラットフォーム922の部分切欠き上面図を示している。(
図14A-Cにも示される)この状態では、水平バネ1106は、枢動レバー1404を以下の位置、すなわち、下側水平要素が枢動ピン1406を中心として回転され、これによって、各水平要素の頂部が容器スリーブ902の中心空洞1206内において上昇した姿勢に維持される位置、に付勢している。また、この力は、レバー1404の上側垂直アームをその頂部が空洞1206の中心から離れて上方および外方を向く位置に、配置させている。柔軟な摩擦パッド1408も外方に枢動され、容器が容器スリーブ902内に挿入された時にこの容器を収容するための広い開口(A
wf)をもたらしている(例えば、
図14A参照)。
【0047】
図15Bは、容器を把持している状態にある単一レバー式容器拘束装置のレバー1404、枢動ピン1406、固定壁1410、およびプラットフォーム922の部分切欠き上面図を示している。図示されるように、容器704が拘束装置内に十分に挿入されると、枢動レバー1404は、十分に係合された把持位置に移行し、水平バネ1106は、レバーに加えられた下向き力に応じて引き延ばされる。これによって、レバーの上側垂直アームは、より直立した位置(すなわち、垂直アームの頂部が通路内に前進した位置)に移動し、摩擦パッド1408が容器704の外面に対してしっかりと取り付けられる。レバーに取り付けられた摩擦パッドの内壁の上部と固定壁1410に取り付けられた摩擦パッド(1412)の内面との間の距離は、A
wfからA
gfに縮小される。ここで、A
gfは、蓋取付け/取外し中にその固定のための容器704の外径に略一致する。
【0048】
図16は、本明細書に記載の単一レバー式装置の実施形態の底面図を示している。レバー1404の一部がプラットフォーム922の矩形の空洞を通して見ることができる。水平バネ1106は、水平バネアンカー1104を固定された水平バネピン1402に向かって内側に付勢している状態で示されている。
【0049】
本発明を特定の実施形態を参照して説明してきたが、これらの実施形態は、本発明の原理および用途の単なる例示にすぎないことを理解されたい。従って、例示的な実施形態に対して多くの修正がなされ得ること、および添付の請求項によって定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の構成が考案され得ることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2021-06-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】