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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】モータロータ及び永久磁石モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/27 20220101AFI20220107BHJP
【FI】
H02K1/27 501Z
H02K1/27 501M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523588
(86)(22)【出願日】2019-09-03
(85)【翻訳文提出日】2021-05-12
(86)【国際出願番号】 CN2019104168
(87)【国際公開番号】W WO2020093774
(87)【国際公開日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】201811319255.9
(32)【優先日】2018-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516164151
【氏名又は名称】珠海格力▲電▼器股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GREE ELECTRIC APPLIANCES, INC. OF ZHUHAI
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】賈 金信
(72)【発明者】
【氏名】張 小波
(72)【発明者】
【氏名】劉 建寧
(72)【発明者】
【氏名】張 芳
(72)【発明者】
【氏名】魏 瓊
(72)【発明者】
【氏名】李 広海
(72)【発明者】
【氏名】彭 利明
(72)【発明者】
【氏名】熊 博文
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622CA01
5H622CA07
5H622DD02
5H622PP01
5H622PP18
5H622PP19
(57)【要約】
モータロータ及び永久磁石モータであって、その中、電子ロータは、シャフト(1)と、シャフト(1)に外嵌固定される磁性層(2)と、磁性層(2)のシャフト(1)から離れる側の外部表面を覆って遮蔽層(4)の局部的な過熱を防ぐ第1の熱拡散層(3)と、第1の熱拡散層(3)の磁性層(2)から離れる側の表面を覆う遮蔽層(4)と、を備える。モータロータの遮蔽層(4)と磁性層(2)との間には第1の熱拡散層(3)が設けられ、第1の熱拡散層(3)は遮蔽層(4)と磁性層(2)に発生する局部的な過熱を防ぐとともに、遮蔽層(4)の熱拡散効率を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト(1)と、磁性層(2)と、第1の熱拡散層(3)と、遮蔽層(4)と、を備え、
前記磁性層(2)は前記シャフト(1)に外嵌固定され、
前記第1の熱拡散層(3)は前記磁性層(2)の前記シャフト(1)から離れる側の外部表面を覆って前記遮蔽層(4)の局部的な過熱を防ぎ、
前記遮蔽層(4)は前記第1の熱拡散層(3)の前記磁性層から離れる側の表面を覆う
ことを特徴とするモータロータ。
【請求項2】
前記第1の熱拡散層(3)の、前記シャフト(1)の径方向における第1の熱伝導係数は、前記第1の熱拡散層の、前記シャフト(1)の軸方向における第2の熱伝導係数より低い
ことを特徴とする請求項1に記載のモータロータ。
【請求項3】
前記第1の熱拡散層(3)は第1のカーボン繊維層を含み、
前記第1のカーボン繊維層の径方向は前記第1の熱拡散層(3)の厚み方向に平行であり、
前記第1のカーボン繊維層の繊維方向は前記シャフト(1)の軸方向に平行である
ことを特徴とする請求項1に記載のモータロータ。
【請求項4】
第2の熱拡散層(5)を更に備え、
前記第2の熱拡散層(5)は前記遮蔽層(4)の前記磁性層(2)から離れる側の外部表面を覆う
ことを特徴とする請求項1-3のいずれか一項に記載のモータロータ。
【請求項5】
前記第2の熱拡散層(5)は第2のカーボン繊維層を含み、
前記第2のカーボン繊維層の径方向は前記第2の熱拡散層の厚み方向に平行であり、
前記第2のカーボン繊維層の繊維方向は前記シャフト(1)の軸方向に平行である
ことを特徴とする請求項4に記載のモータロータ。
【請求項6】
前記第2の熱拡散層(5)は、前記第2のカーボン繊維層の中に設けられる複数の金属熱伝導部を含み、
前記金属熱伝導部は、前記第2のカーボン繊維層の径方向に沿って延在して、前記第2のカーボン繊維層の径方向における熱伝導係数を高める
ことを特徴とする請求項5に記載のモータロータ。
【請求項7】
前記第1の熱拡散層と前記第2の熱拡散層とは同じ材料によって製作されており、
前記第1の熱拡散層(3)の厚さは前記第2の熱拡散層(5)の厚さより大きい
ことを特徴とする請求項4に記載のモータロータ。
【請求項8】
前記第1の熱拡散層(3)と前記磁性層(2)とは締まり嵌めで嵌め合われる
ことを特徴とする請求項1に記載のモータロータ。
【請求項9】
前記磁性層(2)は環状永久磁石であるか、
又は、
前記磁性層(2)は固定部(21)及び永久磁石(22)を備え、前記固定部(21)は前記シャフト(1)に外嵌固定され、前記固定部(21)の前記シャフト(1)から離れる側の外部表面には挿入孔が設けられており、前記永久磁石(22)は前記挿入孔の中に装着される
ことを特徴とする請求項1-3又は5-8のいずれか一項に記載のモータロータ。
【請求項10】
前記磁性層(2)は固定部(21)及び永久磁石(22)を備え、
前記固定部(21)は蓄熱材料によって製作される
ことを特徴とする請求項9に記載のモータロータ。
【請求項11】
前記永久磁石(22)はネオジム磁石又はサマリウムコバルト磁石を含む
ことを特徴とする請求項9に記載のモータロータ。
【請求項12】
前記遮蔽層(4)の厚さは0.03mmより大きく且つ1.5mmより小さい
ことを特徴とする請求項1-3、5-8又は10-11のいずれか一項に記載のモータロータ。
【請求項13】
請求項1-12のいずれか一項に記載のモータロータを備える
ことを特徴とする永久磁石モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願>
本願は、2018年11月7日に出願された出願番号が「201811319255.9」である中国特許出願の優先権を主張し、それにより開示されるすべての内容を本願に組み込む。
【0002】
本発明はモータ分野に関し、特にモータロータ及び永久磁石モータに関する。
【背景技術】
【0003】
高速永久磁石同期モータは、出力密度が高く、動的応答特性が優れており且つ構造が簡単などのメリットを有し、グローバルの電気工学分野において注目されている研究対象になっている。しかしながら、高速永久磁石同期モータのロータの材料としてネオジム焼結磁石材料が採用されることが一般的である。この永久磁石材料は圧縮に強いが、引っ張りには弱い。高速運転中にも永久磁石に十分な強度を持たせるために、高強度のロータ保護カバーで永久磁石を包むことが一般的な対策である。ロータ保護カバーと永久磁石は締まり嵌めによって装着されるため、運転中にも永久磁石がある程度の圧縮応力を維持しており、したがって高速モータが安全に運転することができる。
【0004】
一般の保護カバーには2種類がある。1つは非磁性の高強度の金属製保護カバーであり、もう1つは巻回されたカーボン繊維から構成される保護カバーである。カーボン繊維は永久磁石に進入する高調波磁界を遮蔽することができないため、永久磁石の内部には大量の渦電流損が発生する。また、金属製保護カバーを用いると、高周波数の電磁界の影響を受けて金属製保護カバーに渦電流損が発生して、保護カバーが発熱してしまう。保護カバーはロータの永久磁石と緊密に接触するため、保護カバーで発生した熱量はすぐに永久磁石に伝わる。永久磁石は温度が上がりすぎると不可逆的な脱磁が発生してしまうため、モータの性能が劣化し、故障にまで至る恐れもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、永久磁石に進入する電磁高調波を遮蔽するとともに遮蔽層の熱拡散効率を高めて遮蔽層の局部的な過熱を防ぐことが該当分野における課題になっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一部の実施例の1つの態様は、モータロータを提供する。当該モータロータは、
シャフトと、
シャフトに外嵌固定される磁性層と、
磁性層のシャフトから離れる側の外部表面を覆って遮蔽層の局部的な過熱を防ぐ第1の熱拡散層と、
第1の熱拡散層の磁性層から離れる側の表面を覆う遮蔽層と、を備える。
【0007】
一部の実施例において、前記第1の熱拡散層の、前記シャフトの径方向における第1の熱伝導係数は、前記第1の熱拡散層の、前記シャフトの軸方向における第2の熱伝導係数より低い。
【0008】
一部の実施例において、第1の熱拡散層の、厚み方向における第1の熱伝導係数は、第1の熱拡散層の、延在方向における第2の熱伝導係数より低い。
【0009】
一部の実施例において、第1の熱拡散層は第1のカーボン繊維層を含む。第1のカーボン繊維層の径方向は第1の熱拡散層の厚み方向に平行であり、第1のカーボン繊維層の繊維方向はシャフトの軸方向ところに平行である。
【0010】
一部の実施例において、第2の熱拡散層を更に備える。第2の熱拡散層は、遮蔽層の磁性層から離れる側の外部表面を覆う。
【0011】
一部の実施例において、第2の熱拡散層は第2のカーボン繊維層を含む。第2のカーボン繊維層の径方向は第2の熱拡散層の厚み方向に平行であり、第2のカーボン繊維層の繊維方向は前記シャフトの軸方向に平行である。
【0012】
一部の実施例において、前記第2の熱拡散層は、第2のカーボン繊維層の中に設けられる複数の金属熱伝導部を含む。金属熱伝導部は第2のカーボン繊維層の径方向に沿って延在して、第2のカーボン繊維層の径方向の熱伝導係数を高める。
【0013】
一部の実施例において、第1の熱拡散層と第2の熱拡散層は同じ材料から製作されており、第1の熱拡散層の厚さは第2の熱拡散層の厚さより大きい。
【0014】
一部の実施例において、第1の熱拡散層と磁性層とは締まり嵌めで嵌め合われる。
【0015】
一部の実施例において、磁性層は環状永久磁石であるか、
又は、
磁性層は固定部及び永久磁石を備え、固定部がシャフトに外嵌固定され、固定部のシャフトから離れる側の外部表面に挿入孔が設けられ、永久磁石が挿入孔の中に装着されることを特徴とする。
【0016】
一部の実施例において、磁性層は固定部及び永久磁石を備え、固定部は蓄熱材料から製作される。
【0017】
一部の実施例において、永久磁石はネオジム磁石又はサマリウムコバルト磁石を含む。
【0018】
一部の実施例において、遮蔽層の厚さは0.03mmより大きく且つ1.5mmより小さい。
【0019】
本発明は永久磁石モータを更に提供し、当該永久磁石モータは本発明により開示される任意のモータロータを更に備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明はモータロータ及び永久磁石モータを提供し、モータロータの遮蔽層と磁性層との間には第1の熱拡散層が設けられる。第1の熱拡散層は、遮蔽層及び磁性層の局部的な過熱を防ぐことができるとともに、遮蔽層の熱拡散効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一部の実施例に係るモータロータの模式図である。
図2】本発明の他の一部の実施例に係るモータロータの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例の図面を参照しながら、実施例に係る技術案について明確で完全に説明する。明らかに、説明される実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて創造的な労働をせずに当業者に得られる他の実施例はすべて本発明の保護範囲に属するべきである。
【0023】
なお、本発明の説明において、用語の「中心」、「縦方向」、「横方向」、「前」、「後ろ」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底」、「内」、「外」などが指示する方向や位置関係は図面における方向や位置関係であり、本発明を説明するか又は説明を簡潔にするために用いられる用語に過ぎず、該当する装置や部品が特定の方向を有するか又は特定の方向に従って構成や操作されることを指示又は示唆するための用語ではないので、本発明の保護範囲に対する制限として理解されてはいけない。
【0024】
従来技術において、一般的に、モータロータには、特に永久磁石モータロータには、永久磁石へ進入する高調波磁界を遮断するための遮蔽層が設けられる。しかしながら、高周波数の電磁界の作用によって遮蔽層自体において渦電流損が発生して発熱してしまう。そこで、永久磁石へ進入する高調波磁界を遮断するとともに、遮蔽層の熱拡散効率を向上させることも大切である。
【0025】
これに鑑みて、本発明はモータロータ及び永久磁石モータを提供することによって、永久磁石に進入する電磁高調波を遮断するとともに、遮蔽層の熱拡散効率を向上させて遮蔽層の局部的な過熱を防止することができる。
図1及び図2に示すよう、本発明の一部の実施例に係るモータロータは、シャフト1、磁性層2、第1の熱拡散層3及び遮蔽層4を備える。
【0026】
ここで、前記磁性層2は前記シャフト1に外嵌固定される。磁性層2は環状構造であってもよく、その中心部に接続孔が穿設されてもよい。シャフト1が接続孔を通ってシャフト1に固定される。
【0027】
選択的に、磁性層は磁性鋼であってもよい。磁性層2とシャフト1との接触面に磁性鋼用接着剤を塗布することによって磁性層をシャフトに固定することができる。
【0028】
第1の熱拡散層3は、磁性層2の前記シャフト1から離れる側の外部表面を覆い、前記遮蔽層4の局部的な過熱を防ぐ。第1の熱拡散層3は磁性層2を外嵌する円環構造であってもよい。第1の熱拡散層3と磁性層2とは締まり嵌めで嵌め合われてもよく、したがって第1の熱拡散層3は磁性層2にある程度の予圧を与える。一般的に、磁性層2は永久磁石であってもよい。永久磁石は圧縮に強いが、引張に弱い。
【0029】
遮蔽層4は、前記第1の熱拡散層3の前記磁性層から離れる側の表面を覆う。遮蔽層4の第1の熱拡散層3から離れる側は周囲の環境と直接接触することができるため、遮蔽層から周囲の環境への熱拡散効率が向上する。
【0030】
遮蔽層は銅などの金属材料によって製作されることができ、高調波磁界を遮断して永久磁石において発生する渦電流損を低減することができる。
【0031】
渦電流損が発生するため、使用中に遮蔽層自体は温度が高くなる。遮蔽層に局部的な過熱が発生してモータロータの磁性層に影響を与えてしまうことを防ぐために、遮蔽層の熱拡散効率を高めてモータロータ本体の熱拡散能力を改善する必要がある。何故なら、温度が高すぎると、磁性層は永久的な脱磁が発生する。
【0032】
以上に鑑みて、本発明の一部の実施例においては第1の熱拡散層が設けられる。第1の熱拡散層は磁性層と遮蔽層との間に設けられ、第1の熱拡散層の役割は、遮蔽層の熱量を吸収して、当該熱量が第1の熱拡散層の延在方向(すなわちシャフト1の軸方向)に沿って伝導されるようにすることである。ここで、延在方向とは遮蔽層及び磁性層に平行な方向である。こうすると、熱量が遮蔽層の局部に集中することを防いで、遮蔽層全体の温度が均一になるようにすることができる。局部的な過熱を防ぐことによって、磁性層の部分的な脱磁を避けることができる。遮蔽層の局部に温度上昇が発生した場合、第1の熱拡散層は熱量を遮蔽層全体へ拡散させ、すなわち遮蔽層の熱拡散面積を増やすことによって、熱拡散性能を向上させることができる。
【0033】
本発明の一部の実施例において、第1の熱拡散層は1つの全体であってもよく、したがって遮蔽層の磁性層に近接する側のすべての表面に接触することができる。こうすることによって、遮蔽層にき裂があるか又は遮蔽層が複数の離散的な部分から構成されている場合、第1の熱拡散層は遮蔽層の1つの部分の熱量を他の部分へ運ぶことができ、したがって熱拡散面積を増やして熱拡散を促すとともに、遮蔽層の局部的な過熱を防ぐことができる。
【0034】
一部の実施例において、第1の熱拡散層3の厚み方向(すなわちシャフト1の径方向)における第1の熱伝導係数は、前記第1の熱拡散層の延在方向(すなわちシャフト1の軸方向)における第2の熱伝導係数より低い。
【0035】
一部の実施例において、第1の熱拡散層はカーボン繊維層を含み、すなわちカーボン繊維によって製作されている。前記第1のカーボン繊維層の径方向は前記第1の熱拡散層3の厚み方向に平行であり、前記第1のカーボン繊維層の繊維方向は前記第1の熱拡散層3の延在方向に平行である。
【0036】
第1のカーボン繊維層の径方向は、磁性層から遮蔽層に向かう方向である。第1のカーボン繊維層の繊維方向は、遮蔽層に平行である。カーボン繊維材料の繊維方向における熱伝導係数は最大で700W/(m.K)であって比較的に高く、カーボン繊維材料の径方向における熱伝導係数は約6.5W/(m.K)であって比較的に低い。径方向においては熱伝導係数が低いが、断熱ではない。そのため、第1の熱拡散層自体はある程度の吸熱効果を実現することができる。この場合、磁性層2は、熱量が過剰に上昇しても、第1の熱拡散層が熱量を運べないことにより引き起こされる脱磁が発生しない。この場合、第1の熱拡散層3は磁性層の保護カバーにもなって、ある程度の予圧を磁性層に与えることができる。カーボン繊維材料は導電率が低いため、渦電流損を惹起することがない。また、カーボン繊維材料は、強度が高く熱膨張係数が低いなどの特徴を有するため、シャフトのスペース節約に寄与することができる。
【0037】
一部の実施例において、図1及び図2に示すよう、モータロータは第2の熱拡散層5を更に備える。前記第2の熱拡散層5は、前記遮蔽層4の前記磁性層2から離れる側の外部表面を覆う。
【0038】
本発明の一部の実施例において、第2の熱拡散層5は、遮蔽層における熱量が均一に分布することをより確実にすることができる。それと同時に、第2の熱拡散層5は周囲の環境と直接接触して、遮蔽層4の熱量を周囲の環境へ拡散することができる。
【0039】
一部の実施例において、第2の熱拡散層は非金属の熱伝導材料によって製作される。当該材料は熱伝導絶縁性無機粒子とポリマー体とが複合されて形成された複合物であってもよい。
【0040】
ここで、無機粒子としては、窒化ホウ素、窒化ケイ素及び酸化アルミニウムを採用することができる。又は、金属微粒子を採用してもよい。すなわち、金属微粒子をポリマー体の中に嵌めて第2の熱拡散層を形成する。こうすると、ポリマー体の中にある金属微粒子はある程度の高調波磁界を吸収することができ、したがって遮蔽層と手を組んで高調波磁界の総量が低減して、遮蔽層全体の温度が降下する。また、金属微粒子がポリマー体の中でばらばらに分布しているため、熱拡散効率がより高くなる。
【0041】
一部の実施例において、ポリマー体はカーボン繊維材料であってもよい。カーボン繊維層の材料は積層構造であり、その繊維方向が遮蔽層4に平行であり、その径方向が遮蔽層4から第2の熱拡散層5に向かう方向である。
【0042】
カーボン繊維材料の繊維方向の熱伝導係数は極めて高く、その径方向の熱伝導係数は比較的に低い。そのため、カーボン繊維層の中に金属繊維を設けることができる。金属繊維の延在方向はカーボン繊維層の径方向であり、金属繊維はカーボン繊維材料の各層における炭素と接触する。金属繊維はサイズが小さいため、カーボン繊維層の繊維方向での強度を弱めることがない。また、金属繊維は高調波磁界を吸収することができるとともに、カーボン繊維層全体の径方向における熱伝導係数を高めることもできる。したがって、遮蔽層4から第2の熱拡散層5への熱伝導効率が向上し、熱拡散が速くなる。
【0043】
一部の実施例において、前記第2の熱拡散層5は第2のカーボン繊維層を含む。前記第2のカーボン繊維層の径方向は前記第2の熱拡散層の厚み方向に平行であり、前記第2のカーボン繊維層の繊維方向は前記第2の熱拡散層の延在方向(すなわちシャフト1の軸方向)に平行である。
【0044】
一部の実施例において、前記第2のカーボン繊維層の中には複数の金属熱伝導部が設けられる。前記金属熱伝導部は、前記第2のカーボン繊維層の径方向に沿って延在して、前記第2のカーボン繊維層の径方向における熱伝導係数を向上させる。
【0045】
第2のカーボン繊維層は積層構造であり、各層の間の熱伝導係数が比較的に低い。第2のカーボン繊維層の径方向における熱伝導係数を高めるために、金属熱伝導部を設ける。金属熱伝導部は第2のカーボン繊維層を貫通し且つ遮蔽層と接触することができる。
【0046】
一部の実施例において、金属熱伝導部の一端は遮蔽層に固定的に設けられるか、又は遮蔽層と一体的に接続することができる。すなわち、遮蔽層に複数の金属探針が突設される。金属探針は第2のカーボン繊維層を貫通するか又は貫通しない。こうすると、第2のカーボン繊維層の径方向における熱伝導係数を向上させて外部環境への熱拡散速度を速めるとともに、遮蔽層と第2のカーボン繊維層との接触面積を広げて熱伝導効率を向上させることができる。
【0047】
選択的に、前文に述べた第2のカーボン繊維の中に金属繊維を混ぜる方法を採用することができる。金属繊維の延在方向はランダム配置されてもよく、又は第2のカーボン繊維層の繊維方向と一致してもよい。金属繊維の長さとして10nm-20nmが好ましい。この寸法範囲以内であれば、金属繊維は、炭素層の繊維方向における強度を弱めずに第2のカーボン繊維層の径方向における熱伝導係数を向上させることができる。また、金属繊維自体は高調波磁界を吸収することができ、金属繊維の比表面積が大きいため、金属繊維と第2のカーボン繊維層との間の熱伝導効率が極めて高い。
【0048】
一部の実施例において、第1の熱拡散層と第2の熱拡散層とは同じ材料によって製作されており、第1の熱拡散層3の厚さは第2の熱拡散層の厚さより大きい。
【0049】
例えば、前記第1の熱拡散層3は第1のカーボン繊維層を含み、第2の熱拡散層5は第2のカーボン繊維層を含む。フィックの第1法則及びフィックの第2法則によると、熱伝導速度は温度勾配に比例する。よって、第1の熱拡散層3の厚さを第2の熱拡散層5の厚さより大きく設定することが、すなわち遮蔽層4と磁性層2との間の温度勾配を低下させて遮蔽層4と第2の熱拡散層5の遮蔽層から離れる側の環境との間の温度勾配を向上させることである。こうすると、遮蔽層4が高調波磁界を吸収して温度が高くなるときに熱量を第2の熱拡散層5へ伝導することを促すとともに、熱量の伝導速度を速めて、遮蔽層4から磁性層2への熱伝導を防ぐことができる。また、第1の熱拡散層3は断熱層や熱絶縁層ではないため、遮蔽層4又は磁性層2の局部的な過熱を防ぐ役割を果たすとともに、遮蔽層4及び磁性層2の熱量を一部吸収することができ、したがって遮蔽層4の温度上昇速度を緩めることができる。第1の熱拡散層3は、その自身の延在方向における熱伝導係数がその自身の厚み方向における熱伝導係数より高い。その厚み方向は磁性層2から遮蔽層4に向かう方向であり、その延在方向は厚み方向に垂直である。
【0050】
一部の実施例において、前記第1の熱拡散層3と前記磁性層2とは締まり嵌めで嵌め合われる。
【0051】
一部の実施例において、第2の熱拡散層5と遮蔽層4とは締まり嵌めで嵌め合われる。
【0052】
ここで、第1の熱拡散層3は保護カバーとして磁性層にある程度の予圧を与えて、ロータの高速回転時に磁性層2がシャフトから逸脱してしまうことを防ぐ。また、磁性層の中に永久磁石が設けられているときに、永久磁石が遠心力の作用を受けて複数の断片に割れてしまうことを防ぐことができる。
【0053】
一部の実施例において、図1に示すよう、前記磁性層2は環状永久磁石である。この場合、遮蔽層4は1つの完全体であり、環状の永久磁石の中心部には装着孔が穿設されており、シャフトは装着孔を通る。永久磁石とシャフトとの間には永久磁石とシャフトとを連結する磁性鋼用接着剤が設けられる。
【0054】
又は、図2に示すよう、前記磁性層2は固定部21及び永久磁石22を備える。前記固定部21は前記シャフト1に外嵌固定され、前記固定部21の前記シャフト1から離れる側の外部表面には挿入孔が設けられており、前記永久磁石22は前記挿入孔の中に配置される。
【0055】
固定部21はシャフトと締まり嵌めで嵌め合われて、シャフトを強く圧迫する。固定部21における挿入孔の寸法は永久磁石22の寸法より小さく設けられ、したがって固定部21は永久磁石22と締まり嵌めで嵌め合われて、永久磁石22に予圧を与える。永久磁石22は圧縮に強いが、引張に弱い。予圧を与えることによって、永久磁石が割れることを予防する。固定部21と永久磁石22とは結合されて円環構造を形成することができる。第1の熱拡散層3、遮蔽層4及び第2の熱拡散層5はすべて円環構造であってもよく、互いに嵌め合われて1つの全体になる。
【0056】
一部の実施例において、前記磁性層2は固定部21及び永久磁石22を備える。
【0057】
前記固定部21は蓄熱材料によって製作される。蓄熱材料からなる固定部は永久磁石22において発生した熱量を吸収して永久磁石の過熱を防ぐことができる。例えば、相転移蓄熱材料を用いることができる。且つ、相転移蓄熱材料の相転移温度は永久磁石22の脱磁温度より5-10℃も低い。永久磁石22の温度が上昇するとき、その温度は固定部21に伝わる。永久磁石22の温度がその脱磁温度になる直前、固定部は相転移して永久磁石22からの熱量をより早く吸収する。それとともに、相転移するときに固定部の体積もある程度変化する。相転移するときに体積が大きくなる材料を用いて固定部21を製作することができる。永久磁石22の温度が脱磁温度近くまで上昇したとき、すなわちモータの使用時間が長くなっており且つ運転負担が大きいとき、固定部21は相転移して体積が大きくなる。したがって、永久磁石22と固定部21との間の圧力が大きくなって、ロータが長時間高負荷運転する場合に永久磁石22が割れてしまうことを防ぐとともに、永久磁石22と固定部21との間の隙間を縮小して接触面積を増やして熱伝導効率をより向上させる。なお、他の層の破壊を防止するために、固定部は相転移するときの体積変化が大きすぎてはいけなく、好ましい体積変化量は1%以下である。
【0058】
一部の実施例において、本発明に係る前記永久磁石はネオジム磁石又はサマリウムコバルト磁石を含む。この2種類の磁石は磁性が強く、耐減磁性がよく、且つ脱磁温度が高い。
一部の実施例において、前記遮蔽層4は金属材料によって製作される。具体的に、前記遮蔽層4は銅によって製作される。
【0059】
一部の実施例において、前記遮蔽層4の厚さは0.03mmより大きく且つ1.5mmより小さい。所定範囲内においては、遮蔽層の厚さが大きければ大きいほど効果が顕著になる。ただし、厚さが小さすぎる(例えば、0.03mmより小さい)場合、遮蔽層内部の渦電流は急激に増加してしまい、厚さが大きすぎる(例えば、1.5mmより大きい)場合、改善効果が向上しなくなるだけでなく、逆に高強度保護カバーにおけるスペースを占め、ロータの重さが増えてしまう。そこで、遮蔽層の内部で大きな渦電流損が発生してロータ渦電流損の低減効果が弱められてしまうことを防ぐとともに保護カバーの厚さへの影響を抑えるために、遮蔽層の厚さを所定範囲以内に設定する必要がある。
【0060】
本発明の有益な効果をより明確に説明するために、以下、好ましい実施例を説明する。
【0061】
本発明に係るロータにおいて、遮蔽層は高導電率の金属材料を採用し、好ましくは銅の遮蔽層を用いる。当該遮蔽層と磁性層との間には第1の熱拡散層としてのカーボン繊維層が設けられる。遮蔽層の第1の熱拡散層から離れる側には第2の熱拡散層が設けられる。好ましく、第2の熱拡散層のカーボン繊維の厚さは第1の熱拡散層のカーボン繊維の厚さより小さい。したがって遮蔽層の中の熱量をより容易に外部へ伝導することができる。
【0062】
本実施例に係るモータロータは主にシャフト、永久磁石、遮蔽層及び2層のカーボン繊維層から構成される。
【0063】
ここで、永久磁石としてはネオジム材料又はサマリウムコバルト材料を採用する。磁性鋼は環状構造であり、その内部表面が磁性鋼専用の接着剤によってシャフトに接着される。磁性鋼の外部表面にはカーボン繊維からなる保護カバーが巻き回され、すなわち第1の熱拡散層である。遮蔽層は高導電率の金属材料を採用し、好ましくは銅の遮蔽層を採用する。当該遮蔽層は内層のカーボン繊維からなる保護カバーの外部表面を覆うように設けられ、すきま嵌め、中間嵌め又は締まり嵌めで連結されることができる。遮蔽層の厚さはhであり、0.03mm<h<1.5mmである。
【0064】
本発明に係る遮蔽層は、永久磁石に進入する電磁高調波を顕著に遮断して永久磁石の表面における渦電流損を減少させるだけではなく、遮蔽層自体の熱拡散効率も向上させることができる。
【0065】
本発明は永久磁石モータを更に提供する。当該永久磁石モータは、本発明に係る任意の前記モータロータを備える。
【0066】
なお、本発明の説明において部品を限定するために使用した「第1の」、「第2の」、「第3の」などの単語は、対応する部品を区別するための用語に過ぎない。特別に強調されない限り、これらの単語は特別な意味がなく、本発明の保護範囲に対する制限にならない。
【0067】
なお、以上の実施例は本発明の技術案を説明するための内容であって制限するための内容ではない。ここでは好ましい実施例を参照しながら本発明について詳しく説明したが、当業者であれば、本発明に係る技術案の精神を逸脱しない前提で本発明の具体的な実施形態を変更するか又は一部の技術特徴を同等置換することができるため、このような内容もすべて本発明の保護範囲に属するべきである。
【符号の説明】
【0068】
1 シャフト
2 磁性層
21 固定部
22 永久磁石
3 第1の熱拡散層
4 遮蔽層
5 第2の熱拡散層
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2021-05-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト(1)と、磁性層(2)と、第1の熱拡散層(3)と、遮蔽層(4)と、を備え、
前記磁性層(2)は前記シャフト(1)に外嵌固定され、
前記第1の熱拡散層(3)は前記磁性層(2)の前記シャフト(1)から離れる側の外部表面を覆って前記遮蔽層(4)の局部的な過熱を防ぎ、
前記遮蔽層(4)は前記第1の熱拡散層(3)の前記磁性層(2)から離れる側の表面を覆う
ことを特徴とするモータロータ。
【請求項2】
前記第1の熱拡散層(3)の、前記シャフト(1)の径方向における第1の熱伝導係数は、前記第1の熱拡散層(3)の、前記シャフト(1)の軸方向における第2の熱伝導係数より低い
ことを特徴とする請求項1に記載のモータロータ。
【請求項3】
前記第1の熱拡散層(3)は第1のカーボン繊維層を含み、
前記第1のカーボン繊維層の径方向は前記第1の熱拡散層(3)の厚み方向に平行であり、
前記第1のカーボン繊維層の繊維方向は前記シャフト(1)の軸方向に平行である
ことを特徴とする請求項1に記載のモータロータ。
【請求項4】
第2の熱拡散層(5)を更に備え、
前記第2の熱拡散層(5)は前記遮蔽層(4)の前記磁性層(2)から離れる側の外部表面を覆う
ことを特徴とする請求項1-3のいずれか一項に記載のモータロータ。
【請求項5】
前記第2の熱拡散層(5)は第2のカーボン繊維層を含み、
前記第2のカーボン繊維層の径方向は前記第2の熱拡散層(5)の厚み方向に平行であり、
前記第2のカーボン繊維層の繊維方向は前記シャフト(1)の軸方向に平行である
ことを特徴とする請求項4に記載のモータロータ。
【請求項6】
前記第2の熱拡散層(5)は、前記第2のカーボン繊維層の中に設けられる複数の金属熱伝導部を含み、
前記金属熱伝導部は、前記第2のカーボン繊維層の径方向に沿って延在して、前記第2のカーボン繊維層の径方向における熱伝導係数を高める
ことを特徴とする請求項5に記載のモータロータ。
【請求項7】
前記第1の熱拡散層(3)と前記第2の熱拡散層(5)とは同じ材料によって製作されており、
前記第1の熱拡散層(3)の厚さは前記第2の熱拡散層(5)の厚さより大きい
ことを特徴とする請求項4に記載のモータロータ。
【請求項8】
前記第1の熱拡散層(3)と前記磁性層(2)とは締まり嵌めで嵌め合われる
ことを特徴とする請求項1に記載のモータロータ。
【請求項9】
前記磁性層(2)は環状永久磁石であるか、
又は、
前記磁性層(2)は固定部(21)及び永久磁石(22)を備え、前記固定部(21)は前記シャフト(1)に外嵌固定され、前記固定部(21)の前記シャフト(1)から離れる側の外部表面には挿入孔が設けられており、前記永久磁石(22)は前記挿入孔の中に装着される
ことを特徴とする請求項1-3及び5-8のいずれか一項に記載のモータロータ。
【請求項10】
前記磁性層(2)は固定部(21)及び永久磁石(22)を備え、
前記固定部(21)は蓄熱材料によって製作される
ことを特徴とする請求項9に記載のモータロータ。
【請求項11】
前記永久磁石(22)はネオジム磁石又はサマリウムコバルト磁石を含む
ことを特徴とする請求項9に記載のモータロータ。
【請求項12】
前記遮蔽層(4)の厚さは0.03mmより大きく且つ1.5mmより小さい
ことを特徴とする請求項1-3、5-8及び10-11のいずれか一項に記載のモータロータ。
【請求項13】
請求項1-12のいずれか一項に記載のモータロータを備える
ことを特徴とする永久磁石モータ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
一部の実施例において、第1の熱拡散層は第1のカーボン繊維層を含む。第1のカーボン繊維層の径方向は第1の熱拡散層の厚み方向に平行であり、第1のカーボン繊維層の繊維方向はシャフトの軸方向平行である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
一部の実施例において、モータロータは第2の熱拡散層を更に備える。第2の熱拡散層は、遮蔽層の磁性層から離れる側の外部表面を覆う。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
一部の実施例において、磁性層は環状永久磁石であるか、
又は、
磁性層は固定部及び永久磁石を備え、固定部がシャフトに外嵌固定され、固定部のシャフトから離れる側の外部表面に挿入孔が設けられ、永久磁石が挿入孔の中に装着され
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
本発明は永久磁石モータを更に提供し、当該永久磁石モータは本発明により開示される任意のモータロータをえる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
ここで、前記磁性層2は前記シャフト1に外嵌固定される。磁性層2は環状構造であってもよく、その中心部に接続孔が穿設されてもよい。シャフト1が接続孔を通って磁性層2に固定される。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
一部の実施例において、第1の熱拡散層は第1のカーボン繊維層を含み、すなわちカーボン繊維によって製作されている。前記第1のカーボン繊維層の径方向は前記第1の熱拡散層3の厚み方向に平行であり、前記第1のカーボン繊維層の繊維方向は前記第1の熱拡散層3の延在方向に平行である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
第1のカーボン繊維層の径方向は、磁性層から遮蔽層に向かう方向である。第1のカーボン繊維層の繊維方向は、遮蔽層に平行である。カーボン繊維材料の繊維方向における熱伝導係数は最大で700W/(mK)であって比較的に高く、カーボン繊維材料の径方向における熱伝導係数は約6.5W/(mK)であって比較的に低い。径方向においては熱伝導係数が低いが、断熱ではない。そのため、第1の熱拡散層自体はある程度の吸熱効果を実現することができる。この場合、磁性層2は、熱量が過剰に上昇しても、第1の熱拡散層が熱量を運べないことにより引き起こされる脱磁が発生しない。この場合、第1の熱拡散層3は磁性層の保護カバーにもなって、ある程度の予圧を磁性層に与えることができる。カーボン繊維材料は導電率が低いため、渦電流損を惹起することがない。また、カーボン繊維材料は、強度が高く熱膨張係数が低いなどの特徴を有するため、シャフトのスペース節約に寄与することができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
ここで、無機粒子としては、窒化ホウ素、窒化ケイ素及び酸化アルミニウムを採用することができる。又は、金属微粒子を採用してもよい。すなわち、金属微粒子をポリマー体の中に嵌めて第2の熱拡散層を形成する。こうすると、ポリマー体の中にある金属微粒子はある程度の高調波磁界を吸収することができ、したがって遮蔽層により吸収される高調波磁界の総量が低減して、遮蔽層全体の温度が降下する。また、金属微粒子がポリマー体の中でばらばらに分布しているため、熱拡散効率がより高くなる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
一部の実施例において、ポリマー体はカーボン繊維材料であってもよい。カーボン繊維料は積層構造であり、その繊維方向が遮蔽層4に平行であり、その径方向が遮蔽層4から第2の熱拡散層5に向かう方向である。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
選択的に、前文に述べた第2のカーボン繊維の中に金属繊維を混ぜる方法を採用することができる。金属繊維の延在方向はランダム配置されてもよく、又は第2のカーボン繊維層の繊維方向と一致してもよい。金属繊維の長さとして10nm-20nmが好ましい。この寸法範囲以内であれば、金属繊維は、炭素層の繊維方向における強度を弱めずに第2のカーボン繊維層の径方向における熱伝導係数を向上させることができる。また、金属繊維自体は高調波磁界を吸収することができ、金属繊維の比表面積が大きいため、金属繊維と第2のカーボン繊維層との間の熱伝導効率が極めて高い。
【国際調査報告】