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特表2022-506307衣類及び他のアウトドア用品のための加温セル・パターン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】衣類及び他のアウトドア用品のための加温セル・パターン
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/00 20060101AFI20220107BHJP
   A41D 3/00 20060101ALI20220107BHJP
   A41D 31/02 20190101ALI20220107BHJP
   A41D 31/06 20190101ALI20220107BHJP
【FI】
A41D13/00 115
A41D3/00 C
A41D31/02 G
A41D31/06 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523611
(86)(22)【出願日】2019-11-01
(85)【翻訳文提出日】2021-06-14
(86)【国際出願番号】 US2019059335
(87)【国際公開番号】W WO2020092873
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】62/754,506
(32)【優先日】2018-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500260746
【氏名又は名称】マーモット マウンテン エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴォーグン、オードリー
(72)【発明者】
【氏名】ラブレス、ブライアン
【テーマコード(参考)】
3B011
3B031
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB11
3B011AC13
3B031AA08
3B031AA09
3B031AA10
3B031AB01
3B031AC01
3B031AE06
3B031AE09
3B031AE11
(57)【要約】
衣類又は他のアウトドア用品の内側部分に配置され、衣類又は用品の加温品質を改善することができる加温セル・パターンが提供される。加温セルは、多数の形状、サイズ及びパターンを有することができるが、それらは、好ましくは立方体形状であり、「長手積み」に配置され、又はレンガのようなパターンでオフセットしており、垂直及び水平のチャネルが隣接するセルの間に形成される。衣類が着用されるとき又は用品が用いられるとき、空気が満ちた空間が、チャネル及びユーザの体によって形成され得る。空気は、強い断熱体であるので、空気が満ちたポケットは熱を保持し、加温セル・パターンを含むジャケット又は衣類が加温特性を改善する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類又は他のアウトドア用品のためのセル・パターンであって、
衣類又は他のアウトドア用品の一部分と、
前記一部分上に配置されるセル・パターンと
を有し、
前記セル・パターンは、前記一部分にわたって間隔をおいた関係で位置決めされる複数の個々のセルであって、それにより各セルの周りに完全に空気チャネルを形成する、個々のセルを含み、また各セルは、三次元形状であり且つ断熱材料が充填されている、セル・パターン。
【請求項2】
前記個々のセルは、特定のセルの上下に位置決めされる隣接するセルからオフセットされている、請求項1に記載のセル・パターン。
【請求項3】
各セルは、約0.635cm(1/4インチ)から約7.62cm(3インチ)までの高さである、請求項1に記載のセル・パターン。
【請求項4】
各セルの周りの前記空気チャネルは、約0.635cm(1/4インチ)から約0.9525cm(3/8インチ)までの幅である、請求項1に記載のセル・パターン。
【請求項5】
各セルの断面形状は、正方形形状である、請求項1に記載のセル・パターン。
【請求項6】
各セルの断面形状は、長方形形状である、請求項1に記載のセル・パターン。
【請求項7】
各セルの断面形状は、ダイヤモンド形状である、請求項1に記載のセル・パターン。
【請求項8】
各セルの断面形状は、三角形形状である、請求項1に記載のセル・パターン。
【請求項9】
各セルの断面形状は、多角形形状である、請求項1に記載のセル・パターン。
【請求項10】
各セルの断面形状は、円形形状である、請求項1に記載のセル・パターン。
【請求項11】
衣類又は他のアウトドア用品に用いられるセル・パターンであって、
前記セル・パターンは、互いに対して間隔をおいた関係で位置決めされる複数の個々のセルであって、それにより、隣接するセルの間に水平空気チャネル及び垂直空気チャネルのうちの少なくとも一方を形成する個々のセルを有し、各セルは、三次元形状であり且つ断熱材料が充填されている、セル・パターン。
【請求項12】
前記個々のセルは、特定のセルの上下に位置決めされる隣接するセルからオフセットされる、請求項11に記載のセル・パターン。
【請求項13】
各セルは、約0.635cm(1/4インチ)から約7.62cm(3インチ)までの高さである、請求項11に記載のセル・パターン。
【請求項14】
各セルの周りの前記空気チャネルは、約0.635cm(1/4インチ)から約0.9525cm(3/8インチ)までの幅である、請求項11に記載のセル・パターン。
【請求項15】
各セルの断面形状は、正方形形状である、請求項11に記載のセル・パターン。
【請求項16】
各セルの断面形状は、長方形形状である、請求項11に記載のセル・パターン。
【請求項17】
各セルの断面形状は、ダイヤモンド形状である、請求項11に記載のセル・パターン。
【請求項18】
各セルの断面形状は、三角形形状である、請求項11に記載のセル・パターン。
【請求項19】
各セルの断面形状は、多角形形状である、請求項11に記載のセル・パターン。
【請求項20】
各セルの断面形状は、円形形状である、請求項19に記載のセル・パターン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2018年11月1日に出願された「WARMING CELL PATTERN FOR GARMENTS AND OTHER OUTDOOR EQUIPMENT」と題する、現在係属中の米国仮特許出願第62/754,506号の優先権を主張するものである。上述した出願の明細書及び図面を含む開示全体が、本明細書に参照によって組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、衣類及び/又は他のアウトドア用品に関し、より詳細には、衣類及び/又は他のアウトドア用品の熱保持及び加温特性を改善するために用いられ得る加温セルのパターンに関する。
【背景技術】
【0003】
コート、パンツ、手袋、掛け布団、寝袋などの断熱体(heat insulator)として、ダウン断熱材と合成断熱材の両方がしばしば用いられる。この種の断熱材は、衣類及び/又は寝袋の暖かさ、重量、耐水性、圧縮性及び価格に影響を及ぼし得る。
【0004】
ダウン断熱材は、ダック及びグースのような水鳥の外側のフェザーの下に見つかる羽(plumage)から成る。ダウン断熱材は、フェザーからではなく、柔らかくふわふわした細い繊維から成るが、いくつかの製品はダウン及びフェザーの混合物を用いる。ダウンは、空気を閉じ込めることにより断熱し、軽量で、圧縮するのが容易で、長持ちし、通気性があるので、望ましい。
【0005】
合成断熱材は、その優れた総合的性能及びダウンと比較して低い価格のために普及している。合成断熱材は、典型的には、ポリエステルでできていて、速乾性があり、それが湿っている場合であっても断熱する。さらに、合成断熱材は、耐久性があり、低刺激性である。
【0006】
いくつかの製造業者は、ダウン及び合成断熱材の組み合わせを用いて衣類及び/又は寝袋を製造する。この種の複合構造は、両方の材料の利点を提供するとともに、各材料の欠点を制限することができる。
【0007】
衣類及び/又は寝袋において、ダウン及び/又は合成断熱材は、しばしば格子形状にキルティングされ、ダウン材料の異なる「ポケット」が互いから離れているが互いに隣接して縫製される。代替的には、「パファー・スタイル」で製造された衣類及び/又は寝袋において、キルティングされたダウンの細長い部分又はバッフルは、互いに隣接して縫製される。このデザインは、しばしば、衣類及び/又はアウトドア用品の内側と外側の両方に提供される。例えば、ジャケット又は寝袋の内側と外側の両方が「パファー・スタイル」でもよい。
【0008】
この種のキルティングされたダウン・パターンを有する衣類又は寝袋のために、衣類が着用されるとき又は寝袋で寝るとき、キルティングされた部分は圧縮され得る。特定の部分が圧縮されると、それらが正方形、ダイヤモンド又は他の形状として形作られるかにかかわらず、又は、それらが細長い部分として提供されている場合、任意の特定の部分に関連付けられた断熱材も圧縮される。断熱材の圧縮部分は、衣類を着用しているか又は寝袋を使用している人との間の層を薄くして、したがって断熱品質を低下させる。したがって、圧縮によって生じる衣類の薄い部分は、他の部分より冷たく、衣類又は寝袋の総合的性能を低下させる。
【0009】
この種の性能の低下は、衣類又は寝袋の内側及び外側の各々にさらされているダウン部分によってさらに悪化する。ダウン部分が圧縮されたとき、その部分は、着用者と冷たい環境との間に材料の薄いバリアしか配置しない。ダウンの断熱された衣類又は他のアウトドア用品の着用者又はユーザを温かく保ち、しかし衣類又は寝袋の内側及び外側に存在するダウン部分の圧縮によって生じる性能の低下に影響されにくい解決法が要求される。
【発明の概要】
【0010】
本願明細書において開示される本発明は、衣類及び他のアウトドア用品の暖かさを増加させるように設計された従来技術のシステムを改善する。より具体的には、本発明は、ジャケット、寝袋等の内側部分を暖め、断熱するためにパターンで配置される多数の加温セル(ウォーミング・セル)を用いる。
【0011】
第1の実施例では、加温セルは、4つの等しい辺を有する三次元立方体として形成される。立方体形状の加温セルは、好ましくは、空気チャネルが各セルの周りに完全に形成されるように個々に形成され、互いから間隔をおかれている。加温セルは、約0.635cm(1/4インチ)から7.62cm(3インチ)までの高さの範囲で提供されてもよく、1つの製品内で同じ高さでもよい。各加温セルは、好ましくは、グース又はダックのダウン、フェザーなしの材料、合成材料又はそれらの組み合わせを充填される。
【0012】
着用者又はユーザによって圧力が印加されると、立方体形状の加温セルは、好ましくは、従来技術の長いバッフルより失う熱が少ない。個々の加温セルがより小さいセルとして形成されるので、それらはより良く適所にダウンを保つことができ、それゆえ、1つのセルが圧縮されても、他の周りのセルは、必ずしも圧縮されるわけではない。
【0013】
立方体形状の加温セルは、好ましくは「長手積み」レンガのようなパターンで配置される。より具体的には、加温セルは、特定の行において端から端まで配置され、その同じ行内で互いの隣接する加温セルの辺の間に垂直チャネルが形成される。任意の特定の行において、垂直チャネルは、その特定の行の上下の行の加温セルの中央に整列する。
【0014】
この「長手積み」パターンは、レンガ及びタイル敷設産業を含む他の産業において、周知であり、よく理解されているパターンであり、特定のセルの上下に位置決めされて位置する隣接するセルの間にオフセット配置を作成する。水平チャネルはまた、互いに隣接する行において立方体形状の加温セルの辺の間に形成される。チャネルは、さまざまな幅でもよいが、好ましくは、0.9525(3/8)から0.635cm(1/4インチ)までの間の幅である。
【0015】
垂直チャネルと水平チャネルの両方は、加温セル・パターンの加温特性に重要な役割を果たす。着用者の又はユーザの体がチャネルを覆うとき、空気が満ちた空間又はポケットが、チャネル及び人の体によって形成される。空気ポケットは、衣類又はアウトドア用品の暖かさを増加させるために、体熱を閉じ込め、体熱をその中に含んでもよい。空気が強い保温性を有するので、空気ポケットは、加温セルを含む内側の加熱性能を改善する。
【0016】
代替実施例では、長方形、三角形、ダイヤモンド、六角形(及び他の多角形)などのような他のセル形状が用いられてもよい。同様に、異なる形状の加温セルの組み合わせが提供されてもよく、加温セルは、さまざまな厚さを有する加温セルを含む他のパターンで配置されてもよい。任意の所定の実施例では、形状及びパターンは、衣類が着用されるとき又は用品が用いられるとき、空気ポケットを形成するチャネルを生成しなければならない。
【0017】
本発明の各種実施例のより良好な理解のために、添付の図面を参照することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の教示によって構成される内側加温セル・パターンを含むジャケットの平面図である。
図2図1の内側加温セル・パターンの第1の斜視図である。
図3図1及び図2の内側加温セル・パターンの第2の斜視図である。
図4】衣類及び他のアウトドア用品のための第1の代替の加温セル・パターンの平面図である。
図5】衣類及び他のアウトドア用品のための第2の代替の加温セル・パターンの平面図である。
図6A】加温セル・パターンの追加の実施例を有する衣類の第1のパネルの平面図である。
図6B図6Aの加温セル・パターンを有する衣類の第2のパネルの平面図である。
図6C図6A及び図6Bの加温セル・パターンを有する衣類の第3のパネルの平面図である。
図7A図6Aの線7A-7Aにわたる断面図である。
図7B図6Bの線7B-7Bにわたる断面図である。
図7C図6Cの線7C-7Cにわたる断面図である。
図8】組み立てられ、ユーザが着用した図6Aから図6C及び図7Aから図7Cに示される衣類の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、さまざまな変形及び代替形態が可能であるが、すべてではないがいくつかの本発明の特定の実施例は、図面において実例として示され、本願明細書において詳述されている。しかしながら、本願明細書において提示される図面及び詳細な説明は、開示を開示されるいかなる特定の実施例にも制限することを意図せず、それとは反対に、添付の請求の範囲により定義される本開示の精神及び範囲内に該当するすべての変更物、均等物及び代替物をカバーすることを意図することを理解されたい。
【0020】
以下、本発明は図面を参照して記載され、図面では全体的に、同様の参照符号は、同様の部分を意味する。本発明の特性を示す際に明確にするために、要素の比例関係は、図面において必ずしも維持されていない。
【0021】
図面を参照すると、図1は、内側部分5及び外側部分10を有するジャケット1を示す。図1に示すように、ジャケット1の外側部分10は、従来技術に記載されているのと同様のキルティングされた細長いダウン又は合成部分15を含むが、この特定のジャケット1の場合、ダウン部分15は、主要な断熱体として機能しない。外側部分10は、好ましくは「シェル層」として通常用いられる合成材料でできている。
【0022】
ジャケット1の内側部分5は、好ましくは、複数の加温セル20を含み、加温セル20は、好ましくは、ジャケット1の内側部分5の加熱特性を増加させるパターンを形成するように互いに対して配置される。図1から図3では、加温セル20は、ジャケット1の内側部分5に示されるが、他の実施例では、加温セル20は、衣類の内側並びにアウトドア用品の内側に提供されてもよく、衣類は、パンツ、手袋、帽子などを含むがこれらに限定されるものではなく、アウトドア用品は、寝袋、キャンプ枕、掛け布団などを含むがこれらに限定されるものではない。さらに、代替実施例ではその上、内側部分5及び外側部分10の各々又は一方のみが、加温セル20を含んでもよい。
【0023】
図2及び図3を参照すると、加温セル20及びジャケット1の内側部分5の複数の加温セル20によって形成されるパターンの第1実施例がより詳細に示される。図示の実施例では、大部分の加温セル20は、三次元の立方体として形成され、これは、各加温セル20を形成する辺25の長さが等しいことを意味する。図示の実施例では、加温セル20は、約10.16cm(4インチ)の長さの辺25を有するが、代替実施例では、辺25は、加温セル20のパターンが用いられている用途に応じて、無限の数の異なる長さでもよい。
【0024】
個々の加温セル20の高さは、明確には示されないが、セル20は、約0.635cm(1/4インチ)から7.62cm(3インチ)までの高さでもよく、1つの製品内で同じ高さでもよい。各加温セル20は、好ましくは、グース又はダックのダウン、フェザーなしの材料、合成材料又は任意のそれらの組み合わせで詰められる。加温セル20は、好ましくは、ダウン及び繊維を通さない材料から構成され、ダウンも合成繊維も、生地を通して漏れることができないことを意味する。
【0025】
従来技術に記載されている長いダウン・バッフルとは異なり、個々のセル20が互いに近い、より小さいセルとして形成されるので、加温セル20は、圧力が印加されるとき、好ましくは適所にダウンを保つ。このように、1つの加温セル20が圧縮される場合であっても、圧縮されたバッフルによって生成される劇的な温度低下は存在しない。さらに、外側部分10のために提供されるような合成材料(又はダウン)でできている外側シェル又は層(又は相当する外側層)が、加温セル20のパターンを含む内側部分5のようなダウンの内側シェル/層と結合されるとき、熱的効果が形成される。これらの2層の間に形成される温かい空気で満ちた保温空気室が存在し、このことにより、より温かい温度を維持する。
【0026】
しかしながら、外側の合成層のない加温セル20のみを用いることができることに留意されたい。この種の実施例では、ダウンの外側の合成層とシェル/内側層との間に形成される空気室により提供される追加の加温効果は存在しないことがある。追加の熱特性は、隣接する加温セル20の間に形成される空間の存在によって形成される。この種の特性は、以下、本願明細書においてより詳細に記載されている。
【0027】
図2及び図3において、加温セル20は、「長手積み」レンガのようなパターンで配置されるように示される。より具体的には、加温セル20は、特定の行において端から端まで配置され、その同じ行内で隣接する加温セル20の辺25の間に垂直チャネル30が形成される。垂直チャネル30の目的及びそれらが提供する利点は、以下、さらに詳細に記載される。所定の行に関して、垂直チャネル30は、所定の行の上下の行の加温セル20の中央に整列される。例えば、行35において、加温セル20aの辺25aの隣に形成される垂直チャネル30aは、行35の上の行45の加温セル20bの中央40に整列される(図2参照)。垂直チャネル30が上下の加温セルの任意の部分に整列し得ることは認識及び予想される。
【0028】
行35、45のような隣接する行の間において、水平チャネル50が、加温セル20の辺25の間に形成される。垂直チャネル30とは異なり、水平チャネル50は、互いに当接し得るので、隣接する行の間に1つの連続チャネルを形成する。好適実施例では、チャネル30、50は、0.635(1/4)から0.9525cm(3/8インチ)の幅であるが、代替実施例では、チャネル30、50は、より広くてもよいし、いくらかより狭くてもよいし、幅が可変でもよい。さらに、セル20が「長手積み」パターンであるとして記載されるが、代替実施例では、加温セル20は、全く異なるパターンに配置されてもよい。
【0029】
(例えばジャケット1が着用されるとき)内側部分5及びより具体的には加温セル20が着用者又はユーザに当接すると、着用者の体は、チャネル30、50を覆うので、チャネル30、50及び着用者の体は、セル20の間の空気が満ちた空間又はポケット(図示せず)を形成する。この空間は、好ましくは、この場合ジャケット1である衣類又はアウトドア用品の暖かさを増加させる体熱を閉じ込め、体熱をその中に含む。空気は、ダウン自体より良好な断熱体であるので、チャネル30、50によって形成される空気ポケットは、内側部分5上の加温セルのパターンの加温品質を増加させる。
【0030】
好適実施例では、水平チャネル50から逃げた空気は、垂直チャネル30内より内側部分5内に保持されやすく、空気は、ジャケット1のようなジャケットに提供されている首又はウエストの開口から逃げやすいので、水平チャネル50は、垂直チャネル30よりも連続するものとして形成される。それでもなお、非限定的な代替実施例では、図2及び図3に示されるパターンが90度回転して(図示せず)、垂直チャネルが水平チャネルよりも連続チャネルを形成してもよい。
【0031】
長方形、三角形、ダイヤモンドなどのような他のセル形状を用いて、加温セルを形成してもよい。例えば、ジャケット1の上部55では、長方形の加温セル60は、立方体形状の加温セル20の行の上に提供される。それらの長方形の加温セル60は、上述した「長手積み」レンガのようなパターンの立方体形状の加温セル20の最上行の上に配置される。したがって、図1から図3に示される実施例を含むいくつかの実施例では、異なる形状の加温セルの組み合わせが提供されてもよい。他の実施例では、1つだけの形状の加温セルが提供されてもよい。
【0032】
図4及び図5では、ジャケット1の内側部分5のような衣類又はアウトドア用品の内側部分において利用されてもよい2つの代替の加温セル形状パターンが提供される。最初に図4を参照すると、各々3つの辺75を含む複数の三次元の三角形形状の加温セル70から成る加温セル・パターン65の一部分が提供される。加温セル70の3つの行80a、80b及び80cは、加温セル・パターン65のその一部分に示される。図示するように、各行80a、80b及び80cは、三角形の頂点が上方を指している加温セル70a及び三角形の頂点が下方を指している加温セル70bの各々を含む。
【0033】
上述した加温セル20のパターンの場合のように、衣類が着用されるとき又は他のアウトドア用品が用いられるとき、空気が満ちた空間又はポケットを形成するチャネルは、隣接するセル70の間に位置する。より具体的には、曲がったチャネル85が、同じ行の隣接する三角形形状の加温セル70の間に形成され、水平チャネル90は、1つの行の三角形形状の加温セル70と、所定の行の上下の行の三角形形状の加温連続セル70との間に形成される。図4に示すように、チャネル85は、隣接する行80a、80b及び80cにおけるチャネル85に対してオフセットしている。
【0034】
加温セル20の場合のように、(例えばジャケット1が着用されるとき)加温セル70が着用者又はユーザに当接すると、着用者の体は、チャネル85、90を覆うので、空気が満ちた空間又はポケット(図示せず)をセル70の間に形成する。この空間は、好ましくは、ジャケット1のような衣類又はアウトドア用品の暖かさを増加させるために、体熱を閉じ込め、体熱を含む。
【0035】
図5には、ジャケット1の内側部分5のような衣類又はアウトドア用品の内側部分で利用されてもよい加温セル・パターン95のさらに別の部分が示される。加温セル・パターン95は、多数の六角形形状の加温セル100から成り、各々は、6つの辺105を含む。加温セル100は、好ましくは、周知の方法を用いて、パターン95において間隔をおかれて隣接する列115に対してオフセットしたセル100の列110を配置する。この列配置は、いずれの方向においても連続的に交互になり、パターン95の部分を形成してもよい。いかなる場合も、6つの異なる方向に進む多数のチャネル120は、隣接するセル100の隣接する辺105の周り及び辺105の間に形成される。加温セル20、70のように、(例えばジャケット1が着用されるとき)加温セル100が着用者又はユーザに当接すると、チャネル120は、着用者によってブロックされ、空気が満ちた空間又はポケット(図示せず)をセル100の間に形成する。上述した加温セルのパターンに関連付けられた空間のように、この空間は、好ましくは、着用されている衣類又は利用されているアウトドア用品の暖かさを増加させるために、体熱を閉じ込め、体熱を含む。
【0036】
図6A図6B及び図6Cは、3つの衣類パネル125A、125B及び125Cを示し、3つの衣類パネル125A、125B及び125Cは、互いに取り付けられたとき、単独で着用されてもよいし、ジャケット又はコートのような衣類に組み込まれてもよいベスト形状の衣類を形成してもよい。図6A図6B及び図6Cに示すように、パネル125A、125B及び125Cが組み立てられるとき、列130A、130B及び130Cは、着用者の中央の近くに位置してもよい。列130A、130B及び130Cを形成するセル135A、135B、135Cは、それぞれ、ほぼ長方形の形状である。パネル125A、125B、125Cの上部140A、140B及び140Cから下部145A、145B及び145Cの方に、それぞれ、パネル135Aは、面積がいくらか小さくなることがある。代替実施例では、セル135A、135B、135Cは、同一サイズでもよいし、上部140A、140B、140Cから下部145A、145B、145Cの方にサイズが増加してもよい。
【0037】
第2の列150A、150B、150C及び第3の列155A、155B、155Cもまた、それぞれ、各パネル125A、125B、125C内に提供されてもよい。列150A、150B、150C及び155A、155B、155Cをそれぞれ形成するセル160A、160B、160C及び165A、165B、165Cは、実質的に四辺形でもよい。セル160A、160B、160Cもまた、上部140A、140B、140Cから下部145A、145B、145Cの方にサイズが減少する。セル165A、165B、165Cもまた、四辺形でもよいが、好適実施例では、図7A図7B及び図7Cに示すように、パネル125A、125B、125Cを形成する他のセルと比較して細長い。
【0038】
パネル125A、125B、125Cは、それぞれ、全体的に、水平チャネル170A、170B、170C並びに垂直チャネル175A、175B及び175Cの各々を含む。パネル125A、125B及び125Cを形成するチャネル170及び175は、他の実施例で提供されているものより線形でなくてもよい。これは、パネル125A、125B、125Cを形成するセルが、図6A図6B及び図6Cに示されるもののような非対称の四辺形でもよいからである。それにもかかわらず、チャネル170A、170B及び175Cは、上述したチャネルと実質的に同じように機能することができる。
【0039】
図示の実施例では、パネル6A及び6Cは、実質的に互いの鏡像であり、パネル6Bは、その垂直軸に対して対称形である。代替実施例では、こうでなくてもよく、パネル6A及び6Cは、互いに対してより実質的に異なってもよい。
【0040】
ここで、図7A図7B及び図7Cを参照すると、パネル125A、125B及び125Cからの加温セルの実例の実施例が示される。上述したセルとは異なり、パネル125を形成するセル135、160及び165は、厚さが変化してもよい。例えば、図7Aに示されるように、セル135Aは、セル160Aより厚く、セル160Aは、今度はセル165Aより厚い。図7Bにおいて、セル135Bは、セル160Bより厚く、セル160Bは、セル165Bより厚い。図7Cにおいて、セル135Cは、セル160Cより厚く、セル160Cは、鏡像の形であるが、図7Aと実質的に同じようにセル165Cより厚い。セル135、160及び165の可変的な形状及び厚さは、体に生理的にマッピングされ、体により容易に従うことができる。
【0041】
図8は、着用者185が身に着けた衣類180を示す。衣類180は、ベストとして実施されるが、衣類180は、衣類180をその組み立てられた構造に組み込んだ、ジャケット又はコートのようなより大きい衣類の単なる一部分でもよい。衣類180において、複数の加温セル190は、(他の形状が予測でき、想像されるが)4つの辺を有する四辺形として提供される。セル190Aのようなセル190のいくつかにおいて、上端195は、少なくとも部分的に曲線形状でもよい。衣類180の少なくともいくつかの実施例では、端195のようなより多くの端が曲線形状でもよいし、端195のようなより少ない端が曲線形状でもよい。
【0042】
衣類180には、さまざまな水平チャネル200及び垂直チャネル205が提供される。チャネル200、205は、上述した実施例のためのチャネルと実質的に同じ機能を提供する。しかしながら、上述したチャネルとは異なり、チャネル200、205は、それらの長さにわたり可変の幅を有する。この種の変化は、上方又は左右への空気の流れを容易にして、衣類180の保温性を増加させるように作用してもよい。
【0043】
本願明細書において記載されている加温セルは、各種方法で衣類又は他のアウトドア用品の生地に取り付けられてもよい。より具体的には、加温セルは、衣類又は他のアウトドア用品に取り付けられる前に、生地の一片に取り付けられてもよいし、衣類又は他のアウトドア用品に直接縫製されてもよい。セルの下部は、端ミシンを用いて、衣類又は他のアウトドア用品に(直接的又は間接的に)折り返しで取り付けられてもよい。セルの角はまた、好ましくはダーツがつけられる。上記にも関わらず、加温セルを衣類又は他のアウトドア用品に取り付ける他の予想できる縫製方法は、本願明細書において考えられる。
【0044】
上述した説明は、立方体、三角形又は六角形の形状であるとして、加温セルを識別する。しかしながら、任意の特定のパターンのセルは、ダイヤモンド、長方形、八角形(及び他の多角形)、星、円、平行四辺形及びその他の多くのもの、並びに形状の任意の組み合わせを含む多数の断面形状を取ってもよい。いかなる場合も、チャネルは、好ましくは、利用される任意の形状のセルの間及びセルの周りに形成されるので、衣類が着用されるとき又は他のアウトドア用品が利用されるとき、それらのチャネルは覆われ得る。このように、空気が満ちた空間又はポケットは、チャネルによって形成され、ユーザの体は、この種のチャネル内に空気を閉じ込め、空気を暖めることにより、着用されている衣類又は利用されている用品の暖かさを増加させる。
【0045】
説明は、全体的に、加温セルがジャケット又は衣類の「コア」でもよいことを提供する。上述したものと実質的に類似の加温セルはまた、ジャケット又は衣類のフード、スリーブ、又は、衣類の他のどこに存在してもよい点に留意されたい。さらに、上述したように、加温セルはまた、寝袋、ブランケットなどのような用品において利用されてもよい。
【0046】
上述したことから、本発明の各種実施例が、本構造に明確で固有なさらに他の利点とともに、上述したすべての目的及び利点を達成するために良好に適応されるということが分かる。本実施例の特定の特徴及び下位の組み合わせが有用であり、他の特徴及び下位の組み合わせに関係なく使用できることを理解されたい。本発明の多くの可能な実施例が本発明の精神及び範囲から逸脱することなくなされ得るので、本願明細書に記載され又は添付の図面に示されるすべての開示が、例示のみであり、制限されないとして解釈されることもまた理解されたい。上述され、図面に示されるさまざまな構造は、単なる実例として提示され、本発明の概念、原則及び範囲を制限することを意図しない。
【0047】
上述した説明から明白であるように、本発明の特定の態様は本願明細書に示される実例の特定の詳細によって制限されるものではなく、それゆえ、他の変更及び応用又はその等価物が当業者の心に浮かぶことは考えられる。「有する」及び「含む」という用語並びに上述した明細書において用いられている類似の用語が、「オプション」という意味において用いられ、すなわち、「含んでもよい」という意味であり、「必須である」という意味ではない。
【0048】
しかしながら、本構造の多くの変化、変形、バリエーション及び他の使用及び応用は、明細書及び添付の図面を考慮した後に当業者にとって明らかになる。本発明の精神及び範囲から逸脱しないすべてのこの種の変化、変形、バリエーション及び他の使用及び応用は、以下の請求項によってのみ限定される本発明によってカバーされると考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
【国際調査報告】