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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】電気加熱式触媒燃焼器
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/40 20060101AFI20220107BHJP
   F23R 3/00 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
F23R3/40 A
F23R3/40 Z
F23R3/40 B
F23R3/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523702
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(85)【翻訳文提出日】2021-04-26
(86)【国際出願番号】 GB2019053215
(87)【国際公開番号】W WO2020099867
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】62/760,452
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(71)【出願人】
【識別番号】521181895
【氏名又は名称】デルタ モータースポーツ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】カーペンター、ニック
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラー、ガイ
(72)【発明者】
【氏名】ジドニー、ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】ハーリング、スコット
(72)【発明者】
【氏名】モーガン、クリス
(72)【発明者】
【氏名】オコーネル、ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】ウィルクシュ、マーク
(57)【要約】
本開示は、触媒燃焼器を備える再循環ガスタービンエンジンを含むシステムと、それを動作させる方法と、に関し、この触媒燃焼器は、(a)電気ヒータを備える上流セクションと、(b)下流触媒セクションであって、前記上流セクション及び前記下流触媒セクションが、互いに隣接して、かつ互いに流体連通して配置されている、下流触媒セクションと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒燃焼器を備える再循環ガスタービンエンジンを含むシステムであって、前記触媒燃焼器が、
(a)電気ヒータを備える上流セクションと、
(b)下流触媒セクションであって、前記上流セクション及び前記下流触媒セクションが、互いに隣接して、かつ互いに流体連通して配置されている、下流触媒セクションと、
を含む、システム。
【請求項2】
前記上流セクションが、上流触媒を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記下流触媒セクションが、下流触媒を更に含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記電気ヒータを備える前記上流セクションが、前記触媒燃焼器内の唯一の開始源であり、他の供給源又は点火システムは必要とされない、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記上流セクション及び前記下流触媒セクションが、単一ユニットに一体化されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記上流セクション及び前記下流触媒セクションのいずれか又は両方が、層流マイクロチャネルマトリクスである、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記上流セクション及び前記下流触媒セクションが、前記上流セクション及び前記下流触媒セクションの両方を通るガス又は可燃性混合物の通過を可能にする細孔又はチャネルを各々含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記上流セクションにおける細孔又はチャネルが、前記下流触媒セクションの細孔又はチャネルよりも大きい、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記上流セクション及び前記下流触媒セクションにおける前記細孔又はチャネルが、関連する表面積を有し、前記下流触媒セクションの前記細孔又はチャネルの表面積に対する前記上流セクションの前記細孔又はチャネルの表面積の比率が、2~50%、好ましくは5~20%の範囲である、請求項7又は8に記載のシステム。
【請求項10】
前記上流触媒が、前記下流触媒とは異なる、請求項3に記載のシステム。
【請求項11】
前記上流又は下流触媒の一方又は両方が、Ag、Au、Cu、Co、Cr、Fe、Ir、Mo、Mn、Ni、Pd、Pt、Rh、Sc、Ti、V、W、Y、Zn、Zr、又はこれらの組み合わせを含む触媒を、金属又は酸化物形態のいずれかで独立して含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記触媒燃焼器が、前記下流触媒セクションの下流に配置された1つ以上の混合及び/又は保炎デバイスを更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記触媒燃焼器の上流に配置され、混合気を前記触媒燃焼器に提供又は調節するように配置されている、燃料/空気混合及び/又は気化デバイスを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
(a)空気を受容し、前記空気を圧縮するように配設された、圧縮機と、
(b)前記圧縮機に燃料を供給するように動作可能な燃料システムであって、圧縮空気と燃料との混合物を前記圧縮機から排出可能である/排出する、燃料システムと、
(c)燃焼ガス(存在する場合)を前記触媒燃焼器から受け取り、前記ガスを膨張させて、一部が前記圧縮機を駆動する機械動力を生成するように配設された、タービンと、
(d)熱交換器又は「再循環器」であって、前記タービンからの排気ガス及び前記圧縮機から排出された前記空気又は混合物を受け取り、これらの間で熱交換を行うように配設され、これにより、前記触媒燃焼器に入る前に前記空気又は混合物が予熱可能である/予熱される、熱交換器又は「再循環器」と、を更に備える、請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記圧縮機及び前記タービンが、シャフトによって機械的に連結され、及び/又は前記圧縮機が、1段、2段、又は多段圧縮機である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記圧縮機が、前記圧縮機の段の間に中間冷却を伴う2段圧縮機である、請求項14又は15に記載のシステム。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載のシステムを含む、可動式の陸上、工業、商業、海洋、又は航空機用の粉末発生器。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか一項に記載のシステムを推進手段として備える、可動式の陸上、海洋、又は航空輸送手段。
【請求項19】
請求項1~16のいずれか一項に記載の再循環ガスタービンエンジンシステムを動作させる方法であって、
(a)エネルギーを前記電気ヒータに提供して、燃料と空気混合物との混合物の触媒反応温度に少なくとも等しい温度に前記上流セクションを加熱する工程と、
(b)前記加熱された上流セクションに前記空気と燃料との混合物を質量流量だけ導入して、触媒燃焼を開始する工程と、
(c)前記触媒を通る前記空気と燃料との混合物の前記質量流量を維持又は増加させる工程であって、燃料と空気との燃焼混合物を第2のセクションに提供し、前記燃焼混合物は、関連する熱を有する、維持又は増加させる工程と、
を含む、方法。
【請求項20】
前記加熱された触媒を通る前記空気と燃料との混合物の前記質量流量を維持又は増加させる工程であって、前記燃料と空気との燃焼混合物と関連する前記熱は、前記下流触媒セクションに接触すると、前記下流触媒セクションの少なくとも一部の温度を、前記下流触媒セクションにおける前記燃料と空気との混合物の点火温度に上昇させるのに十分である、維持又は増加させる工程、を更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ほぼ全ての前記下流触媒セクションが前記燃料と空気との混合物の少なくとも触媒燃焼温度まで加熱されることを提供するのに十分な時間、前記増加した質量流量を維持する工程であって、安定した触媒燃焼を維持し、増加させることができる、維持する工程を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記再循環器が、空気又は空気-燃料混合物が、前記燃焼器コアのライトオフ温度よりも高い温度で前記燃焼器に提供されるような程度に加熱されるまで、前記質量流量を維持又は増加させる工程を更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記再循環ガスタービンエンジンシステムの負荷要件に適応するように、空気と燃料との前記質量流量及び混合物を調節する工程を更に含む、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
安定した触媒燃焼を維持しながら、前記電気ヒータを通電解除する工程を更に含む、請求項19~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記入口混合物が前記触媒ライトオフ温度に到達する前に、安定した燃焼を維持する工程を更に含む、請求項19~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記燃料と空気との混合物が、1を超える、好ましくは1.5~8の範囲のλ値を有し、前記λ値は、実測空燃比と化学量論的空燃比との比である、請求項19~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記燃焼過程中に、前記燃料と空気との混合物の前記λ値を調節する工程を更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項14~16のいずれか一項に記載の再循環ガスタービンエンジンを動作させる方法であって、
(a)前記圧縮機で少なくとも空気を圧縮する工程と、
(b)エネルギーを前記電気ヒータに提供して、燃料と前記空気との混合物の点火温度に少なくとも等しい温度に前記上流セクションを加熱する工程と、
(c)前記加熱された上流セクションに前記燃料と空気との混合物を質量流量だけ導入する工程であって、前記上流セクションにおいて前記燃料と空気との混合物を燃焼させる、導入する工程と、
(d)前記燃料と空気との混合物の前記質量流量を増加させる工程であって、前記燃焼混合物の流れが、前記下流触媒セクションを前記下流触媒セクションの点火温度を超えるまで加熱する、増加させる工程と、
(e)前記上流セクション及び前記下流触媒セクションを通る前記燃料と空気との混合物の前記質量流量を維持する工程であって、前記燃料と空気との混合物は、前記下流触媒セクションを通過する際に、その中で燃焼して、前記下流触媒セクションから流出する加熱された燃焼ガスを形成する、維持する工程と、
(f)機械動力を生成し、前記機械動力を一部使用して、前記圧縮機を駆動するために、前記タービンを通って前記下流触媒セクション及び前記触媒燃焼器から流出する前記加熱された燃焼ガスの少なくとも一部を誘導する工程と、
(g)前記タービンを通過する前記加熱された燃焼ガスの一部又は全てを前記再循環器に誘導する工程と、
(h)前記再循環器内の前記加熱された燃焼ガスを使用して、前記加熱された上流セクションに導入される前記燃料と空気との混合物を予熱する工程と、
を含む、方法。
【請求項29】
前記上流セクションに導入された前記燃料と空気との混合物の前記質量流量を調節する工程を更に含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記燃料と空気との混合物が、1を超えるλ値を有し、前記方法は、前記燃焼過程中に、前記燃料と空気との混合物の前記λ値を調節する工程を更に含む、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
前記電気ヒータを通電解除する工程を更に含む、請求項19~30のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、触媒燃焼チャンバ内で、特に再循環ガスタービンエンジンの燃焼チャンバ内で、空気/燃料混合物を点火及び制御するためのデバイス及び方法を目的とし、そのようなエンジンは、発電及び推進用途に使用され得る。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、発電、並びに陸上、海上、及び空中の車両の推進力を目的とした固定及び可動用途の両方に使用される。全ての種類の熱エンジンから有害排出物を低減する必要があることは十分に認識されており、多くのソリューションは燃焼システムの効率化及びクリーン化を土台としている。ガスタービンエンジンの分野では、ドライ低NOx(DLN、dry-low-NOx)、燃料過濃燃焼-消炎混合-燃料希薄燃焼(RQL、rich-quench-lean)、及び触媒燃焼などの液体及び気体燃料の燃焼技術が出現している。触媒によるソリューションは、窒素酸化物の還元には卓越しているが、典型的には、触媒をライトオフ温度よりも高い温度に維持するために、典型的には何らかの形態のプレバーナーを必要としており、それにより、排出性能が犠牲になっている。
【0003】
地上輸送の分野では、ハイブリッド及び航続距離延長型電気自動車のための小型超クリーンエンジンに対する需要を生み出す、充電式及び「ゼロ排出」車両への移行が存在する。排出後処理を伴うピストンエンジンやDLN又はRQL燃焼器を伴うガスタービンでは、触媒燃焼器を装備したガスタービンのニアゼロNOx性能に太刀打ちできない。DLN燃焼器は典型的には約8~10ppmのNOxを達成することができるが、触媒燃焼式タービンは、約1~2ppmのNOの読み取り値を生成し、これは通常、燃料由来窒素に起因するため、触媒燃焼器は本質的にNOをゼロにする。再循環ガスタービンは、単純なサイクルガスタービンよりもはるかに希薄な燃料/空気混合物で運転されるので、CO及び未燃焼炭化水素の排出の低減を達成することができる。これらの理由から、再循環ガスタービンと触媒燃焼との組み合わせは、HC燃料を燃焼させたときに、排出物がほぼゼロである(HO及びCOを除く)。
【0004】
典型的には、触媒燃焼システムは、定常状態の動作条件が達成されると、不完全燃焼から生じる望ましくない排出物の量を低減するのに非常に効果的である。しかしながら、タービン又はエンジンの初期始動中、排出量は、所望の限界を超えることがある。触媒燃焼は温度依存性であり、温度が高くなるほど高効率となり、始動中は触媒が最も有効な温度ではないため、始動条件中の望ましくない排出物の量が通常高くなる。この問題に対処するために多くの方策が採用されてきたが、いずれも複雑性又は有効性の観点から不十分である。触媒燃焼器の実装は、比較的複雑である。
【0005】
Capstoneレンジエクステンダなどの再循環ガスタービンは、DLN燃焼器を使用し、天然ガスで操作されたときに10ppm未満のNO排出量を達成する。液体燃料でも同様の排出が達成されるが、これは空気補助噴霧ノズルを追加したときのみに限定され、別個の空気圧縮機の追加を必要とする。
【0006】
予備圧縮機燃料噴射は、燃焼を維持するには空燃比が希薄すぎるため、従来の(非触媒)燃焼器を有するガスタービンでは実現できない。燃料は、通常、全体レベルとしては空燃比が燃焼を支援するためは希薄すぎるにもかかわらず、局所レベルとしては豊富なゾーンが連続燃焼を支持するように、圧縮機のチャンバ内に噴射される。一方、触媒燃焼器は、非常に希薄な空燃比で燃焼を維持することができ、ガスタービンで可能な燃料及び空気の完全な予混合を行うことができる。これにより、簡素化及びコスト削減を提供する新規な燃料システムが可能になる。
【0007】
米国特許第6,302,683号は、2つの触媒が直列に結合されたシステムであって、上流触媒が電気加熱などで加熱されるシステムを開示している。上流ユニットは始動モードでのみ使用され、下流ユニットよりもはるかに小さくすることができることに留意されたい。これは、システムの電力需要を低減するが、2つの触媒コア間に円錐形の拡散部が必要とされるため、更なる複雑性を作り出し、嵩高くなる。
【0008】
本開示は、先行技術の欠陥の少なくとも一部に対処する。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、触媒燃焼を採用する、再循環ガスタービンエンジンシステムに関する。より具体的には、本開示は、タービンの始動前に所定の温度に電気加熱を行うことができる触媒構造を有する燃焼器、又はシステムの始動中に複雑さを低減し、低減された排出を達成するように、使用される任意の他のシステムに関する。電気加熱は、a)抵抗素子、b)磁気誘導渦電流、又はc)高周波電磁加熱(マイクロ波)によって達成され得る。
【0010】
一部の態様では、触媒燃焼器を含むシステムは、
(a)電気ヒータを備える上流セクションと、
(b)下流触媒セクションであって、上流及び下流触媒セクションが、互いに隣接して、かつ互いに流体連通して配置されている、下流触媒セクションと、
を含む。
【0011】
一部の態様では、電気ヒータとして電気抵抗ヒータが使用され、それは、触媒燃焼器内、又はシステム内の他の場所における唯一の点火源である。場合によっては、上流セクション及び下流触媒セクションは、単一ユニットに一体化されている。触媒マトリックス(コア)は、モノリシック(層流)、マイクロリシック、又は乱流設計であり得る。典型的には、上流セクション及び下流触媒セクションが、上流セクション及び下流触媒セクションの両方を上流セクションから下流触媒セクションへと通るガス又は蒸気の通過を可能にする細孔又はチャネルを各々含む。特定の態様では、上流セクションは低流量始動条件に対して最適化され、下流触媒セクションは運転条件に対して最適化される。一部の態様では、上流セクション及び下流触媒セクションにおける細孔又はチャネルは、互いに流体連通しており、使用時に、大部分の燃焼が下流触媒セクションで生じるように構成されている。
【0012】
上流セクションは、触媒特性を必要としない、したがって、上流触媒を含まない場合があり、一方、下流触媒セクションは下流触媒を含み得る。
【0013】
上流セクションは、上流触媒を更に含んでもよく、及び/又は下流触媒セクションは、下流触媒を更に含んでもよい。上流触媒と下流触媒は、同じであっても異なっていてもよい。上流又は下流触媒の一方又は両方は、Ag、Au、Cu、Co、Cr、Fe、Ir、Mo、Mn、Ni、Pd、Pt、Rh、Sc、Ti、V、W、Y、Zn、Zr、又はこれらの組み合わせを、金属又は酸化物形態のいずれかで含んでもよい。
【0014】
再循環ガスタービンエンジンシステムは、追加の要素、例えば、
(a)上流セクション及び下流触媒セクションの下流に配置された1つ以上の混合又は保炎デバイス、
(b)触媒燃焼器の上流に配置され、混合気を触媒燃焼器に提供又は調節するように配置されている、燃料/空気混合/気化デバイス、
(c)空気を受容し、空気を圧縮するように配設された圧縮機(任意に、中間冷却を伴う2段圧縮機)、
(d)圧縮機に燃料を供給するように動作可能な燃料システムであって、、圧縮空気と燃料との混合物を圧縮機から排出可能である/排出する、燃料システム、
(e)燃焼ガス(存在する場合)を触媒燃焼器から受け取り、ガスを膨張させて、任意に1つ以上の機械シャフトを介して圧縮機を駆動する機械動力を生成するように配設された、タービン、並びに、
(f)再循環器であって、タービンからの排気ガス及び圧縮機から排出された空気又は混合物を受け取り、これらの間で熱交換を行うように配設され、これにより、触媒燃焼器に入る前に空気又は混合物が予熱可能である/予熱される、再循環器、
のうちの1つ以上を更に含んでもよい。
【0015】
本開示は、開示された再循環ガスタービンエンジンシステムを動作させる方法を更に説明する。特定の態様では、本方法は、
(a)エネルギーを電気ヒータ(例えば、電気抵抗ヒータ)に提供して、燃料と空気との混合物のライトオフ温度に少なくとも等しい温度に上流セクションを加熱する工程と、
(b)加熱された上流セクションに空気と燃料との混合物を質量流量だけ導入して、加熱された上流セクションにおいて触媒燃焼を開始する工程と、
(c)加熱された上流触媒を通る空気と燃料との混合物の質量流量を増加させる工程であって、燃料と空気との燃焼混合物を第2の触媒セクションに噴出させ、燃焼混合物は、関連する熱を有する、増加させる工程と、
(d)燃焼器入口温度が触媒ライトオフ温度に到達した後に、通常運転モードに遷移する工程と、を含んでもよい。これらの方法の更なる態様は、加熱された上流触媒を通る空気と燃料との混合物の増加した質量流量を維持する工程であって、燃料と空気との燃焼混合物と関連する熱は、下流触媒セクションに接触すると、下流触媒セクションの少なくとも一部の温度を、下流触媒セクションにおける燃料と空気との混合物の点火温度に上昇させるのに十分である、維持する工程を含む。
【0016】
このような状況下で、増加した質量流量を維持することにより、燃料と空気との混合物の点火温度にほぼ全ての下流触媒セクションを加熱することができ、それにより、燃料と空気との混合物は、通過するにつれて、下流触媒セクション全体にわたって燃焼される。この燃焼が開始されると、空気/燃料の流れは、システムの要件に従って、組成物及び/又は流量の一方又は両方において調節され得る。自己持続燃焼が達成されると、燃焼器入口温度がライトオフ温度よりも低い場合であっても、電気ヒータは通電解除されてもよい。
【0017】
これらの方法の更に別の態様は、加熱された上流非触媒マトリックス層を通る空気と燃料との混合物の増加した質量流量を維持する工程であって、燃料と空気との混合物と関連する熱は、下流触媒セクションに接触すると、下流触媒セクションの少なくとも一部の温度を、下流触媒セクションにおける燃料と空気との混合物の点火温度に上昇させるのに十分である、維持する工程を含む。このような状況下で、増加した質量流量を維持することにより、燃料と空気との混合物の点火温度にほぼ全ての下流触媒セクションを加熱することができ、それにより、燃料と空気との混合物は、通過するにつれて、下流触媒セクション全体にわたって燃焼される。この燃焼が開始されると、空気/燃料の流れは、システムの要件に従って、組成物及び/又は流量の一方又は両方において調節され得る。自己持続燃焼が達成されると、燃焼器入口温度がライトオフ温度よりも低い場合であっても、電気ヒータは通電解除されてもよい。
【0018】
本開示のこれら及び他の態様は、本明細書の他の箇所でより完全に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本出願は、添付の図面と併せて読むことで更に理解される。主題を説明する目的で、主題の例示的な実施形態が図面に示されている。しかし、本開示の主題は、開示される特定の方法、デバイス、及びシステムに限定されない。また、図面は必ずしも縮尺通りに描かれていない。各図面の簡単な説明は、以下の通りである。
【0020】
図1】本発明の触媒エンジン/発電機全体の一実施形態のシステムの概略図を示す。
【0021】
図2】本発明の一実施形態による、触媒燃焼器の一実施形態の顕著な特徴を示す第2の概略図を示す。
【0022】
図3】燃焼器の典型的な始動シーケンスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示のシステム及び方法は、再循環ガスタービンと電気加熱式触媒燃焼器との組み合わせに関連する。このようなシステム及び方法は、ニアゼロ排出を提供するためにハイブリッド及び航続距離延長型電気自動車に有用であり得る。本出願人は、低質量流量で触媒燃焼器を運転することができ、入口温度が低く、電気加熱のみが短時間の間に必要とされるシステム実施形態を提示した。このようなシステム及び方法は、再循環器のウォームアップを可能にし、燃焼器入口温度をライトオフ/点火温度より高く上昇させ、その後、流量を急速に増加させることができる。
【0024】
本発明は、触媒燃焼、より具体的にはガスタービンエンジンで使用される燃焼を使用することにより、有害排出物が少ない液体又は気体燃料の燃焼に関する。触媒燃焼システムは既に市販されているが、複雑であり、メガワットスケールでのみ実現可能である。より小さいガスタービンでは、コストの低減及び可搬性のために、より単純な燃焼器ソリューションが求められる。より小さいタービンエンジンは圧力比が限定され、高い効率は、排熱回収又は「復熱」を使用することによってのみ達成することができる。再循環ガスタービンでは異なる原理の熱力学サイクルが使用されており、触媒燃焼原理の簡略化された実装(特に、予熱バーナの排除)の機会を生み出すことが発見された。
【0025】
本明細書では、優れた排出性能並びに単純な低コスト設計及び構造を可能にする新規ガスタービンエンジンシステム及び方法を説明する。
【0026】
本発明は、その全てが本開示の一部を形成する添付図面に関連してなされた以下の説明を参照することによって、より容易に理解することができる。本発明は、本明細書に記載又は示される特定の製品、方法、条件、又はパラメータに限定されるものではなく、本明細書で使用される用語は、単に例として特定の実施形態を説明する目的のためのものであり、いかなる特許請求される発明も限定することを意図するものではないことを理解されたい。同様に、特に断りのない限り、改善の行動又は理由の可能な機構又はモードに関する任意の説明も、例示的なものに過ぎず、改善の行動又は理由の提案される任意のこのような機構若しくはモードの正確さ又は不正確さによって制約されるものではない。このテキスト全体を通して、説明は、システム、そのようなシステムを動作させる方法、並びにそのようなシステムを使用する発電及び輸送機器を指すことが認識される。本開示は、システムに関連付けられた特徴若しくは実施形態、かかるシステムを動作させる方法、又はそのようなシステムを採用する機器を記載又は特許請求する場合、このような説明又は特許請求の範囲は、これらの特徴又は実施形態をこれらのコンテキストのそれぞれにおいて各種実施形態(すなわち、システム、かかるシステムを動作させる方法、及びそのようなシステムを使用する機器)に拡張することを意図すると理解されたい。
システム
【0027】
いくつかの実施形態では、本開示のシステムは、触媒燃焼を採用する再循環ガスタービンエンジンシステムを含み、このシステムは、上流端及び下流端を有する触媒燃焼器を備え、触媒燃焼器は、(a)電気ヒータを備える上流セクションと、(b)下流触媒セクションであって、上流セクション及び下流触媒セクションが、互いに隣接して、かつ互いに流体連通して配置されている、下流触媒セクションと、を含む。
【0028】
これらのシステムはまた、本明細書の他の箇所に記載される追加の要素を更に含んでもよい。
【0029】
別途記載のない限り、用語「隣接する」は、この単語の標準的な意味における、別のものに対する1つのオブジェクトの配置を指し、近接によって定義されるか又は示唆する意味を含んでおり、好ましくは互いに物理的に接触している、すなわち、当接面を有する。
【0030】
いくつかの実施形態では、2つのオブジェクト、例えば、上流セクション及び下流触媒セクションは、それらの間の隣接する表面の一部又は全部において、意図的に設定される又は隣接する表面の不完全な嵌合から偶発的に生じる空隙を含んでもよい。空隙が存在する場合、これは、米国特許第6,302,683号に記載されている中間チャンバと対照的に、約1mm以下の厚さであり得る。特定の実施形態では、空隙は、5mm以下、4mm以下、3mm以下、2mm以下、1mm以下、0.5mm以下であってもよく、又は存在しなくてもよい。特定の実施形態では、空隙は、加熱されたセクションと下流セクションとの間に電気絶縁を有利に提供することができる。
【0031】
他の独立した実施形態では、2つのオブジェクト、例えば、上流セクション及び下流触媒セクションは、それらの間に物理的スペーサ(例えば、封止部)を含んでもよい。
【0032】
他の好ましい実施形態では、上流セクション及び下流触媒セクションは、(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,051,241号及び同第5,306,470号に記載されているように)単一ユニットに、例えば、モノリシック又はマイクロリシック構造として一体化される。1つのハウジング内の2つのセクションを緊密結合することにより、熱損失を最小限に抑えることができ、下流触媒セクションの早期ウォームアップをもたらすことができる。更に、「始動」又は「パイロット」モードでは、2つのセクションの間の放射線熱交換は、電力なしの触媒燃焼を維持するのに役立つ。このように、上流セクション及び下流触媒セクションの上流面は、燃焼器入口温度がはるかに低温であっても燃料のライトオフ温度よりも高く維持することができる。このモードでは、燃焼器は、%、ppm、又は何らかの他の比率で測定されるとき、低い排出に遷移することができるが、このモードの間の質量流量は低いので、典型的な自動車駆動サイクルの観点から、有害ガス排出が少量で済む。
【0033】
また、本明細書で使用するとき、用語「上流」及び「下流」は、それぞれ「第1」及び「第2」の同義語として見ることができ、使用時まで、要素間の直列配設を説明し、この用語は、そこを通る気体又は蒸気の流れに対する2つの端部又はセクションの相対的な連続位置を指す。
【0034】
開示されるシステムの多くの特徴のうちの1つは、電気ヒータを備える上流セクションは、触媒燃焼器内の唯一の開始源であり得、他の供給源又は点火システムは必要とされないことである。特定の実施形態では、システムは、別個の点火源を有しても有さなくてもよいが、触媒燃焼器又はシステム内の他の場所のいずれにおいても、電気ヒータ以外に点火源が存在しないことが好ましい。この点に関して、用語「点火器」は、火花又は電気アークを発生させるためのデバイスという一般に受け入れられている意味を有すると理解される。更に、本明細書の他の箇所に開示されるように、燃料/空気混合物は、任意に、触媒燃焼器の上流端に入る前に加熱されてもよい。しかし、これらの混合物は、着火可能なリーン限界よりも上の空燃比で維持されることを理解されたい。
【0035】
このシステムは、任意の他の点火源を伴わずに動作することができ、それによって資本コスト及び保守要件を低減することができるため、低コスト及び単純化を提供する。
【0036】
上流セクション及び下流触媒セクションは、上流セクション及び下流触媒セクションの両方に流入、通過、及び流出する流体(例えば、ガス、液体、蒸気、又はこれらの混合物)の通過を可能にする細孔又はチャネルを各々が含有する。これらの構造において、上流セクションは、好ましくは、低流量始動条件に対して最適化され、下流触媒セクションは、運転条件に対して最適化される。これは、細孔若しくはチャネルのサイズ若しくは構成、及び/又は触媒配合物のサイズ若しくは構成のいくつかの最適化された組み合わせを提供することによって達成され得る。例えば、上流セクションにおける細孔又はチャネルは、下流触媒セクションにおける細孔又はチャネルのサイズよりも大きくてもよい。代替的に、又はそれに加えて、上流セクションにおける細孔又はチャネルは、下流触媒セクションよりも流体の通過が流線形状で又は直接に行われる(例えば、上流セクションはチャネル化され、一方、下流触媒セクションは多孔質に相互接続されたマトリクスを含む ように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、上流セクション及び下流触媒セクションは、下流触媒セクションの前側及び後側部分に異なる濃度の白金族金属を含むことによって最適化されてもよく、これは、米国特許第7,998,424号又は米国特許第9,341,098号に記載されているものなどであり、これらのそれぞれは、その全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、上流触媒セクションは、1平方インチあたり5~200個のセルで最適であり、一方、下流触媒セクションは、1平方インチ当たり200~1000個のセルなどのより小さいセルで最適となり得る。いくつかの実施形態では、上流セクションの最適な流動長は、5~20mmである。いくつかの実施形態では、下流触媒セクションの流動長は、40~150mmである。このような触媒セクションの最適化は、より効率的な電気加熱を提供することができる。
【0037】
上流セクションは、主に始動動作中、最小エネルギー消費で動作し、下流触媒セクションは、フルフロー運転動作中に主要な触媒体であることが意図される。この点に関して、上流セクションの相対的なサイズは、典型的には、細孔又はチャネルサイズという観点及び通過ガスに提供される滞留時間という観点から、下流触媒セクションの相対サイズよりも小さくてもよい(すなわち、より低いセル密度を有する)。例えば、いくつかの実施形態では、2つのセクションに関連する内部表面積は、上流セクションの細孔又はチャネル表面積と下流触媒セクションの細孔又はチャネル表面積との比が0.5%~5%の範囲にあるようなものでなければならない。
【0038】
構成に関しては、上流セクション及び下流触媒セクションの一方又は両方は、金属及び/又はセラミック材料、例えば、圧延金属要素若しくは多孔質セラミック材料、又はこれらの複合体を含んでもよい。上流セクションは、適切な熱伝導率及び/又は導電性を示して、それに取り付けられた電気抵抗ヒータの効率的な使用を可能にする。セクションの一方又は両方の例示的な材料としては、クロム及びアルミニウム含有合金又は酸化物、並びに任意にイットリア、カルシア及び/若しくはマグネシアによって安定化される酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、又は酸化ジルコニウム、酸化チタンのうちの1つ以上を含む。
【0039】
上流セクションは上流触媒を有しなくてもよく、一方、下流触媒セクションは下流触媒を含んでもよい。
【0040】
上流セクションは上流触媒を含んでもよく、及び/又は下流触媒セクションは下流触媒を含んでもよい。上流触媒は、下流触媒と同じであっても異なっていてもよく、触媒がそれぞれのセクションに適用される量及び方法も上流と下流で同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、上流又は下流触媒の一方又は両方は、Ag、Au、Ce、Cu、Co、Cr、Fe、Ir、Mo、Mn、Ni、Pd、Pt、Rh、Sc、Sn、Ti、V、W、Y、Zn、Zr、又はこれらの組み合わせを、金属又は酸化物形態のいずれかで含む。いくつかの実施形態では、上流及び下流触媒は、独立して、第VIII族の貴金属、白金族金属、Ag、Au、Co、Cu、Ir、Ni、Pd、Pt、Rh、若しくはZn、若しくはこれらの組み合わせを含む金属若しくは合金、又はCr、Fe、Ir、Mo、Mn、Ti、V、W、Y、若しくはZrを含む酸化物、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、上流及び下流触媒はそれぞれ独立して、第VIII族貴金属又はパラジウム、ルテニウム、ロジウム、白金、オスミウム、及びイリジウムを含む白金族金属、又はこれらの組み合わせを含む。メタン又はメタン含有燃料、パラジウム若しくは白金、又はパラジウムと白金との混合物が好ましい場合がある。ガソリン、ディーゼル燃料、アルコール燃料、又は様々な他の炭化水素燃料などの他の燃料にとって、パラジウム及び白金は、好ましい触媒であり得る。他の燃料に関しては、銅、コバルト、マンガン、クロム、ニッケルなどの卑金属酸化物触媒を含む、低活性金属酸化物触媒、又は純粋な酸化物、他の元素との混合体、又は第2の酸化物上に分散されたもののいずれかとしての他の活性卑金属酸化物触媒もまた使用される。
【0041】
触媒は、触媒セクション基材上に、例えば、化学的若しくは蒸着法によって直接堆積されてもよく、又はウォッシュコート法を使用して塗布されてもよい。ウォッシュコートに使用するのに好適な材料としては、限定するものではないが、例えば、バリウム、ランタン、マグネシウムなどの添加剤を任意に含有する酸化アルミニウム、又はケイ素などの添加剤を含有する若しくは含有しない酸化ケイ素若しくは酸化ジルコニウムが挙げられるが、これらに限定されない。ウォッシュコートは、好ましくは、中程度~高表面積、例えば2~200m/gを有する。触媒は、燃料と酸素との反応に対して活性であり、多孔質洗浄コーティング層の表面上又はその内部に堆積されてもよい。
【0042】
下流触媒セクション内では、下流触媒は、触媒基材の長さ又は軸方向の位置決めを通して均一又は不均一に分布させてもよい。いくつかの実施形態では、基材に対する貴金属触媒の比は、触媒基材の長さにわたるゾーニングによって変化させることができる。いくつかの好ましい実施形態では、このゾーニングは、ハニカム基材の上流軸領域内の触媒(例えば、白金族触媒)の担持量が高く、基材の下流軸領域内の触媒担持量(例えば、白金族触媒)が低くなる。他の実施形態では、触媒ゾーニングは、反対方向の分布になる(すなわち、前側領域に対して後側領域は担持量が高くなる)。
【0043】
触媒ゾーニングの最適化の背後にある原理は、使用される貴金属触媒の最大効果を得ることであろう。本発明者らは、触媒基材の下流端が、一般に、燃焼中に最高温度を経験することを観察した。したがって、この領域の触媒は、焼結によって最高レベルの熱失活を経験する可能性が高い。この場合、基材に対する触媒の初期比率が低いと、高温焼結時の性能の変化が低減される。逆に、触媒の上流端では、基材に対する触媒の比率が高いほど、ライトオフ挙動が改善され、触媒基材の下流端よりも低い範囲で熱焼結され、それにより、使用される貴金属などの触媒の有効性を維持する。
【0044】
触媒プロモータ材料(本明細書の他の箇所に記載)はまた、触媒基材の軸方向のゾーニングにおいて、不均一な量で有益に使用されて、ライトオフ活性のいずれかを促進するか、又は熱焼結を最小限に抑えることもできる。
【0045】
上流セクション及び下流触媒セクションに加えて、触媒燃焼器は、これらのセクションを補完するための更なる要素を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、システムは、触媒セクションの下流に配置された1つ以上の混合若しくは保炎デバイス、又はブラフボディを更に含む。このようなデバイスの目的は、触媒の内部容積の外側で更に燃焼が可能になるように、環境内の触媒セクションを通過した任意のガスを含有することである。燃焼プロセスの一部が触媒基材の下流で完了すれば、触媒基材がさらされる最高温度を大幅に低下させることができる。これらのデバイスの別の利点は、HC及びCO排出の更なる低減を可能にし、触媒基材の存在による圧力低下を抑えることである。
【0046】
いくつかの実施形態では、本システムは、以下の構成要素のうちの1つ以上を含んでもよい。
(a)空気を受容し、空気を圧縮するように配設された、圧縮機、
(b1)圧縮機に燃料を供給するように動作可能な燃料システムであって、空気と燃料との混合物を圧縮機から排出可能である/排出する、燃料システム、
(b2)圧縮機に気体燃料を供給するように動作可能な燃料システム、
(b3)圧縮機に好適に霧化された液体燃料を供給するように動作可能な燃料システム、
(c)燃焼ガス(存在する場合)を触媒燃焼器から受け取り、高温ガスを使用して、圧縮機を駆動する機械動力を生成するように配設された、タービン、
(d)再循環器であって、タービンからの排気ガス及び圧縮機から排出された混合物又は空気を受け取り、これらの間で熱交換を行うように配設され、これにより、触媒燃焼器に入る前に混合物又は空気が予熱可能である/予熱される、再循環器。
【0047】
典型的には、圧縮機及びタービンは、少なくとも1本のシャフトによって機械的に連結されるが、本開示では、この目的のために2本又は3本のシャフトを含むシステムの使用が想到される。
【0048】
いくつかの実施形態では、圧縮機は、2段圧縮機又は多段圧縮機(例えば、3段以上を有する)であり、任意に圧縮機の段の間に中間冷却を伴う。
【0049】
システムは、1つ以上の燃料/空気噴射器又は混合デバイスを更に備えてもよく、燃料/空気噴射器又は混合デバイスは任意に上流セクションの上流に配置され、いくつかの実施形態では、混合気を触媒燃焼器に提供又は調節するように配置された触媒燃焼器の上流に配置される。この混合デバイス内に入る燃料と空気は、独立して計量されてもよい。メタン又は天然ガスなどの気体燃料に対して、これらの燃料噴射器/ミキサーは、燃料を噴射し、当業者によく知られている設計のいずれかを使用して空気と混合することができる。ガソリン、ディーゼル燃料、又はアルコール燃料などの液体燃料に対して、燃料噴射器/ミキサーは、微細化された又は霧化された液滴の噴霧として燃料を噴射し、燃料を気化又は蒸発させて、触媒入口にガス状混合物を形成してもよい。
【0050】
更にその他の実施形態では、システムは、空気と予混合するために、炭化水素燃料を圧縮機に注入する、あるいは、気体若しくは液体燃料のタイプに応じて、再循環器の前の通路、若しくは再循環器を通過後であるが触媒燃焼器に入る前の通路内に注入するための追加のポート又はインラインデバイスを含んでもよい。このような状況では、圧縮機及び再循環器は、混合/噴霧及び気化デバイスとして様々に使用することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、システムは、システムの動作を監視及び制御するための様々なセンサ及び制御機構を更に含んでもよい。熱電対又は抵抗温度測定デバイスは、触媒燃焼器内の様々な場所、並びに上流セクション及び下流触媒セクションに取り付けられるか、又は触媒セクション若しくは燃焼器を出るガス温度を測定するために触媒セクションのすぐ下流に位置することを含めて、システムの様々な場所に配置することができる。次いで、これらのセンサは、システム全体を監視及び制御する1つ以上のコントローラに接続されてもよい。
【0052】
開示される実施形態のいくつかは、図1及び図2を参照することによってより良好にイメージすることができる。図1は、圧縮機1と、触媒燃焼チャンバ2と、タービン3と、を備える、再循環ガスタービンの概略図を示す。空気4は、所定の高圧及び高温の圧縮空気を生成する圧縮機1に供給される。圧縮空気は、燃料混合セクション5(a、b、又はc)内の好適な炭化水素燃料と混合される。図1に示すように、燃料混合セクション5は、燃焼器(5a)の前、再循環器(5b)の上流、又は圧縮機(5c)の直前に位置し得る。燃料と空気は、混合後、本開示に従って電気加熱される燃焼器2に移動する。圧縮空気と燃料が触媒の存在下で反応した後、得られた高温の燃焼生成ガス混合物はタービン3に移動し、このガスのエネルギーはタービンシャフト6の回転エネルギーに変換される。タービンシャフト6の回転エネルギーは、圧縮機1を駆動するため、及び発電機7などの任意の他の出力デバイスを駆動するために使用される。発電機7はまた、ガスタービンを始動させることができる。
【0053】
図2は、本発明の一実施形態による触媒燃焼器アセンブリの主要な詳細を示す。燃料/空気混合物(17)は、まず、加熱された上流セクション(10)を通過し、次いで下流触媒セクション(11)を通過し、高温ガス(18)として出る。2つのセクション(10及び11)は、ハウジング(12)によって拘持され得、2つのセクション(10及び11)の間には間隙(13)が存在し得る。セラミック支持ピン(15)を使用して、間隙(13)をブリッジする。電気接続部(16)は、上流セクション(10)においてハウジングの外側に位置し得る。図2に示すように、下流触媒セクションの前面(14)は、上流セクション(10)から分離されている。図2のユニットは断面が円形であるが、燃焼器アセンブリは、応用工学及び適用制約に適合するように、オーバル、楕円形、多角形、若しくは環状、又は任意の他のプリズム形状などの他の断面形状で具現化され得ることに留意されたい。
【0054】
例えば、Emicat(商標)という名称のEmitecから入手可能な実施形態では、単一ユニット(アセンブリ)は、基材コア(11)を流れるガスの温度を上昇させるために箔を抵抗加熱する電流を流すハニカムモノリス部分を備えることができる。抵抗スライス(10)(上流セクション)は、セラミックピン(15)によって下流基材(11)に固定され、下流基材は下流ユニット(アセンブリ)の外側マントル(ハウジング)(12)に固定される。主要マトリックス(下流触媒セクション)における触媒性能を最大にするために、並びに、上流セクションが上流に向かうマトリクス(コア)を容易にし、簡素化するために、単一ユニットの主要マトリクス(下流触媒セクション)(11)は、抵抗加熱スライス(10)(上流セクション)よりも高いセル密度を有するように通常設計される。
【0055】
金属基材(マトリックス又はコア)の構造は、以下のような非層状構造の採用によって強化することができる:
1.EmitecのTS(商標)箔、LS(商標)箔、PE(商標)箔、LSPE(商標)箔。
2.PCI Inc.「Microlith」(登録商標)
【0056】
このシステムにおいて非層流技術を選択すると、相当量の触媒に対して燃焼器背圧の増加を引き起こし得る。このような選択を行うのであれば、システム効率への悪影響を回避するために、より高性能、低コスト、又は低い燃焼触媒体積、又はこれらの組み合わせを可能にする必要がある。
用途
【0057】
更なる実施形態は、本明細書に記載されるシステムを組み込む任意の機器を含む。例えば、本明細書に記載される任意の具体化されたシステムを含む固定式の産業、商業、海洋、自動車、又は航空機用の発電機は、「プライム機」、又は補助使用のための補助電源として、又は範囲延長装置としての本開示の範囲内であると考えられる。
【0058】
同様に、本明細書に開示されるシステム実施形態のいずれかを推進手段として備える、可動式の陸上、海洋、又は航空輸送手段も、本開示の範囲内であると見なされる。特に、自動車、トラック、又はオフロード車両は、対象とする特定の実施形態とみなされる。このようなシステムは、例えば、EVの範囲を拡張するために又はプラグインハイブリッド車両の燃焼エンジンとしてこのシステムが使用される場合のように、耐久性の範囲の拡張が必要な場合に特に魅力的である。
システムの使用方法
【0059】
本明細書の他の箇所に記載されるシステム及び使用に加えて、本開示は、これらのシステムを使用するための実施形態を含む。本発明の実施形態のシステムは、動作の2つの主要な動作モード、すなわち、始動動作及び実行動作、を含むものとして見ることができる。
【0060】
特定の実施形態は、再循環ガスタービンエンジンシステムを動作させる方法を提供し、各方法は、以下の工程のうちの1つ以上を含む。
(a)エネルギーを電気ヒータに提供して、燃料と空気のライトオフ温度に少なくとも等しい温度に上流セクションを加熱する工程、
(b)加熱された上流セクションに空気と燃料との混合物を質量流量だけ導入して、加熱された上流セクションにおいて触媒燃焼を開始する工程、
(c)加熱された上流セクションを通る空気と燃料との混合物の質量流量を増加させる工程であって、燃料と空気との燃焼混合物を第2の触媒セクションに噴出させ、燃焼混合物は、関連する熱を有する、増加させる工程。
【0061】
本明細書における他の考察の文脈において、本方法のこの態様は、始動条件に関して説明されてもよい。本明細書で使用するとき、用語「点火」は、用語「ライトオフ」温度と同義であり得る。これらの始動条件は、検知された動作パラメータに基づいて自動的に制御されることが想定される。
混合気の触媒反応温度は、空気/燃料ブレンド比、燃料タイプ(例えば、水素及び炭化水素を含む)、及び触媒の性質を含む多数の要因によって明確に定義されるが、各場合では、所定の条件で温度を定めることができる。また、電気抵抗ヒータにエネルギーが供給される時間の長さは、燃料/酸素含有混合物の導入後の所定の時間によって、又は触媒セクションの動作に基づくセンサフィードバックに対応して(例えば、触媒反応の熱が、下流触媒セクションをその定常状態の作動条件に維持するのに十分である場合)、規定されてもよい。これらの条件が達成されると、又は個々の決定を操作者が手動で行うと、又は任意の他の時間で、この方法は、触媒燃焼を維持しながら、電気ヒータを通電解除する工程を更に含んでもよい。
【0062】
更なる実施形態では、本方法は、加熱された上流セクションを通る空気と燃料との混合物の増加した質量流量を維持する工程であって、燃料と空気との燃焼混合物と関連する熱は、下流触媒セクションに接触すると、下流触媒セクションの少なくとも一部の温度を、下流触媒セクションにおける燃料と空気との混合物の触媒点火温度に上昇させるのに十分である、維持する工程を更に含む。他の実施形態では、本方法は、燃料と空気との混合物の触媒点火温度にほぼ全ての下流触媒セクションを加熱するのに十分な時間、増加した質量流量を維持する工程を更に含み、それにより、燃料と空気との混合物は、通過するにつれて、下流触媒セクション全体にわたってほぼ燃焼される。好ましい実施形態では、本方法は、ほぼ全ての燃焼が下流触媒セクションで行われるように、質量流量を調整する工程を含む。本明細書における他の考察の文脈において、本方法のこれらの態様は、作動条件に関して説明されてもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、通常の定常状態の触媒の動作温度は、約300℃~約1000℃の範囲であってもよい。これらの動作温度は、触媒及び触媒セクションの性質及び構成に大部分依存する。いくつかの実施形態では、電力は、最初に電気抵抗ヒータに印加されて、上流セクションを所望の定常状態動作温度から約100℃以内若しくは好ましくは約50℃以内の範囲、又はより高温に予熱する。ここでも、電気ヒータ(例えば、電気抵抗ヒータ)は、以下の条件のいずれかが発生すると、通電解除されてもよい。
(i)上流触媒セクションにおける燃料と空気との反応によって放出される反応熱が、下流触媒セクションの少なくとも一部の温度を、下流触媒セクションにおける燃料と空気との混合物の点火温度に上昇させるのに十分である。、並びに/あるいは
(ii)燃焼器出口における燃料/空気含有混合物が所定の温度限界に達する。並びに/あるいは
(iii)所定の時間が経過する。並びに/あるいは
(iv)上流セクションに入る燃料/空気混合物が触媒ライトオフ温度を超える。
【0064】
別の実施形態では、電力は、最初に電気ヒータ(例えば、電気抵抗ヒータ)に印加されて、上流非触媒セクションを所望の定常状態動作温度から約100℃以内若しくは好ましくは約50℃以内の範囲、又はより高温に予熱する。ここでも、電気ヒータ(例えば、電気抵抗ヒータ)は、以下の条件のいずれかが発生すると、通電解除されてもよい。
(i)下流触媒セクションにおける燃料と空気との反応によって放出される反応熱が、下流触媒セクションの増加部分を通じて反応物を拡散させるのに十分である。並びに/あるいは
(ii)燃焼器出口における燃料/空気含有混合物が、所定の温度限界に達する。並びに/あるいは
(iii)所定の時間が経過する。並びに/あるいは
(iv)上流セクションに入る混合気が触媒ライトオフ温度を超える。
【0065】
同様に、本方法は、空気及び燃料の混合物中の空気及び燃料の質量流量又は比率を調節して、再循環ガスタービンエンジンシステムの負荷要件に適応させることを更に含んでもよい。これらは手動で調整されてもよいが、いくつかの実施形態では、タービンシステム内の制御システムによってそのようにすることがより効率的である。
【0066】
全体的に再循環ガスタービンシステムの動作、特に上流セクション及び下流触媒セクションの動作は、用いられる燃料の性質、例えば、セクションに導入される燃料と空気との混合物の組成の性質にも依存し得る。触媒燃焼チャンバに供給される空気と燃料との量の比をλ値とする。λ値は、相対的な空燃比の尺度であり、実測空燃比と化学量論的空燃比の比率を構成する。低λ値は、空気量に対して大きな割合の燃料を有する「過濃」燃料混合物を意味し、高λ値は、混合物中に比較的多量の空気を有する「希薄」燃料/空気混合物を意味する。開示されるシステムを操作する際、典型的には、空気/燃料混合物は、1を超える、好ましくは1.5~8、より好ましくは4~8の範囲のλ値を有する。λ値は、実測空燃比と化学量論的空燃比の比である。このλ値は、システムの必要性に応じて、燃焼過程中に調節することができる。
【0067】
再循環ガスタービンの一部として使用される場合、触媒は、低い入口温度にもかかわらず燃焼を維持することができる。これは、エンジン作動条件で生じる速度の典型的には1/5~1/10の低速を使用することによって達成される。この始動モードでは、λは、典型的には1.5~7に維持されるのに対し、再循環ガスタービンは、復熱の程度に応じて4~8のλで稼働する。流れを維持し、λをこれらの限界内に維持することにより、電力は短期間だけ必要とされる。これにより、再循環器のウォームアップ、及び点火温度以上の燃焼器入口温度の上昇を可能にし、その後、流れをガスタービンの動作条件まで急速に増加させることができる。
【0068】
本開示のいくつかの実施形態は、本明細書に記載されるように、再循環ガスタービンエンジンを動作させる方法を含み、この方法は、
(a)圧縮機を通って少なくとも空気を流す工程、
(b)エネルギーを電気ヒータに提供して、燃料と空気との混合物の点火温度に少なくとも等しい温度に上流セクションを加熱する工程、
(c)加熱された上流セクションに燃料と空気との混合物を質量流量だけ導入する工程であって、上流セクションにおいて燃料と空気との混合物を燃焼させる、導入する工程、
(d)燃料と空気との混合物の質量流量を増加させる工程であって、燃焼混合物の流れが、下流触媒セクションを下流触媒セクションの点火温度を超える温度に加熱する工程、
(e)上流及び下流触媒セクションを通る燃料と空気との混合物の質量流量を維持する工程であって、燃料と空気との混合物は、下流触媒セクションを通過する際に、その中で燃焼して、下流触媒セクションから流出する加熱された燃焼ガスを形成する、維持する工程、
(f)機械動力を生成し、機械動力を一部使用して圧縮機を駆動するために、タービンを通って下流触媒セクション及び触媒燃焼器から流出する加熱された燃焼ガスの少なくとも一部を誘導する工程、
(g)タービンを通過する加熱された燃焼ガスの一部又は全てを再循環器に誘導する工程、並びに、
(h)再循環器内の加熱された燃焼ガスを使用して、加熱された上流セクションに導入される空気、又は燃料と空気との混合物を、典型的には触媒のライトオフ温度を超える温度に予熱する工程、
のうちの1つ以上を含む。
【0069】
燃焼器の典型的な始動シーケンスが図3に示されており、この図は、燃焼器が再循環ガスタービンの一部として使用される試験から得られる。空気及び燃料の流れ、並びに電力及びいくつかの温度を含む時間に対して、各種パラメータが示される。始動シーケンス中に3つの段階が発生する。電気モード、パイロットモード、及び通常運転モードである。最初に(20)にて、電力が上流ヒータ層又は加熱された触媒層に適用され、小さい空気流量が適用される。下流触媒の上流端が触媒ライトオフ温度に達すると、最初の燃料注入が適用される(21)。触媒燃焼が確立され、下流触媒内で増加する(22)と、電源はオフされる(23)。次いで、空気及び燃料は、対象燃焼器出口(タービン入口)温度に到達する(26)まで、最適化されたシーケンスで、パイロットモードで制御された様式で上昇させる(24)。昇温は、ガスタービンの主熱質量、復熱により、温度が上昇している間、ガス状排出物を最小限に抑えるように制御される。(25)にて、再循環器は、触媒のライトオフ温度を超えて燃焼器に空気を供給できる温度に達する。この点から、燃料及び空気は、所望のタービン入口温度(26)をもたらす最適な比で、より急速に上昇することができる(27)。これは、定常状態の発電が達成されるまで継続される。このトレースから、電力がオフに切り替えられた後であるが、入口温度が触媒燃焼要素のライトオフ温度未満である間、「パイロットモード」で達成され得ることが分かる。
用語
【0070】
本開示では、単数形「a」、「an」及び「the」は、特に明示しない限り、複数の参照及び少なくともその特定の値を含む特定の数値への参照を含む。したがって、例えば、「材料」への言及は、当業者に周知であるそのような材料及びその等価物などのうちの少なくとも1つへの言及である。
【0071】
値が記述子「約(about)」を使用することにより近似値として表現される場合、その特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。概して、用語「約」の使用は、開示された主題により得られることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値を示し、その機能に基づいて、それが使用される特定の文脈において解釈されるべきである。当業者は、これをルーチンの問題として解釈できるであろう。場合によっては、特定の値に使用される有効数字の数が、単語「約」の範囲を決定する1つの非限定的な方法であり得る。他の場合、一連の値で使用される段階的な変化を使用して、各値について用語「約」に利用可能な意図された範囲を決定できる。存在する場合、全範囲は包括的かつ組み合わせ可能である。すなわち、範囲内で提示されている値への言及は、その範囲内のあらゆる値を含む。
【0072】
明確にするために、別個の実施形態の文脈において本明細書に記載される本発明の特定の特色はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことを理解されたい。すなわち、明らかに互換性がないか又は具体的に除外されない限り、個々の実施形態はそれぞれ、任意の他の実施形態と組み合わせることが可能であるとみなされ、そのような組み合わせは別の実施形態であると考えられる。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載される本発明の様々な特色はまた、個別に、又は任意の部分的な組み合わせで提供されてもよい。最後に、実施形態は、一連の工程の一部、又はより一般的な構造の一部として記載され得るが、その各工程はまた、それ自体が独立した実施形態であり、他の工程と組み合わせることができるとみなされ得る。
【0073】
移行語(transitional term)「含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting)」は、それらの特許専門用語において一般に認められた意味を内包することを意図している。すなわち、(i)「含む(comprising)」は、「含む(including)」、「含有する(containing)」又は「特徴づけられる(characterized by)」と同義であり、包括的又はオープンエンドであって、追加の列挙されていない要素又は方法工程を除外しない。(ii)「からなる(consisting of)」は請求項で指定されていないあらゆる要素、工程、又は成分を除外し、(iii)「から本質的になる(consisting essentially of)」は、請求項の範囲を、指定された材料又は工程、及び特許請求された発明の「基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を与えないもの」に限定する。語句「含む(comprising)」(又はその等価物)という用語で記載された実施形態はまた、実施形態として、「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語で独立して記載される実施形態を提供する。「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語で提供されるこれらの実施形態では、基本的かつ斬新な特性は、燃料を効率的に燃焼させるシステムの能力であり、個別の点火装置を必要とせず、又は燃料混合物を触媒に導入する前に点火温度を超えて加熱する必要もない。このような動作性を損なわない材料又は工程は、このような実施形態の範囲内で考慮される。
【0074】
リストが提示される場合、別途記載のない限り、そのリストの各個別要素、及びそのリストの全ての組み合わせは、別個の実施形態であることを理解されたい。例えば、「A、B、又はC」として提示される実施形態のリストは、実施形態「A」、「B」、「C」、「A若しくはB」、「A若しくはC」、「B若しくはC」、又は「A、B、若しくはC」を含むものと解釈されるべきである。
【0075】
関連技術の当業者により理解されるように、本明細書全体を通して、単語は、それらの通常の意味を与えられるべきである。しかし、誤解を避けるために、特定の用語の意味は具体的に定義又は明確化される。
【0076】
「任意の(optional)」又は「任意に(optionally)」は、その後に記載する状況が発生する場合としない場合があることを意味する。そのため、その記載には、その状況が発生する事例と発生しない事例が含まれる。同様に、成分又は工程を「任意に存在する(optionally present)」と称する実施形態は、それらの実施形態は、工程又は成分が存在する又は存在しない別個の独立した実施形態を含む。「任意の(optional)」という記載は、任意条件の発生を可能とするが、必須ではない。
【0077】
以下の実施形態のリストは、前述の説明を置き換えるか、又は取って代わるのではなく、補完することを意図している。
【0078】
実施形態1 触媒燃焼器を備える再循環ガスタービンエンジンを含むシステムであって、触媒燃焼器が、
(a)電気ヒータを備える上流セクションと、
(b)下流触媒セクションであって、上流セクション及び下流触媒セクションが、互いに隣接して、かつ互いに流体連通して配置されている、下流触媒セクションと、
を含む、システム。
【0079】
本実施形態の特定の態様では、上流セクション及び下流触媒セクションは、それらの間にスペーサを含み、他の態様では、2つのセクションは互いに物理的に接触しており、更に他の態様では、2つのセクションは、それらの間に画定された空隙を含む。空隙は、金属基材内の短絡を回避するために重要であり得る。金属-セラミックの組み合わせ基材に関しては、触媒の直径にわたって離散的な「層空隙」を回避することが可能であり得る。他の態様では、電気絶縁材を有する物理的支持体を構成する2つのセクションの間にセラミック絶縁リンクが存在し得る。
【0080】
実施形態2 電気ヒータを備える上流セクションが、触媒燃焼器内の唯一の点火源である、実施形態1に記載のシステム。本実施形態の独立した態様では、いくつかの実施形態は別個の点火源を有し、いくつかの実施形態は有していないが、電気ヒータ以外に点火源が存在しないことが好ましい。他の態様では、システムは、システム内のどの場所にも更なる点火器を含まない。
【0081】
実施形態3 上流セクション及び下流触媒セクションが、単一ユニットに一体化されている、実施形態1又は2に記載のシステム。本実施形態の特定の独立した態様では、2つのセクションは、基材材料又は各セクション内に含まれる触媒材料のいずれかによって、組成的に互いに同一であるか又は異なっている。
【0082】
実施形態4 単一ユニット/基材/マトリクス/コアが、「モノリシック層流基材」であるか、又はある程度の乱流強化を有する基材である、実施形態1~3のいずれか1つに記載のシステム。(例、PCI Inc.「マイクロリシック」)。
【0083】
実施形態5 上流セクション及び下流触媒セクションが、上流セクション及び下流触媒セクションの両方を通る着火可能混合物(例えば、ガス又は蒸気)の通過を可能にする細孔又はチャネルを各々含む、実施形態1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【0084】
実施形態6 上流セクションにおける細孔又はチャネルは低流量始動条件に対して最適化され、下流触媒セクションは運転条件に対して最適化される、実施形態5に記載のシステム。本実施形態の特定の態様では、上流セクションにおける細孔又はチャネルは、下流触媒セクションのものよりも大きいか、又はそうでなければ、下流触媒セクションよりも上流セクションで(例えば、流路の方向性によって)抵抗が低い流れを提供するように変更される。
【0085】
実施形態7 上流セクション及び下流触媒セクションにおける細孔又はチャネルが、関連する体積を有し、下流触媒セクションの細孔又はチャネルの表面積に対する上流セクションの細孔又はチャネルの表面積の比が、約0.5%~50%の範囲である、実施形態5又は6に記載のシステム。
【0086】
実施形態8 上流セクションが上流触媒を含まず、したがって、上流セクションがいかなる触媒機能も有さない、実施形態1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【0087】
実施形態9 上流セクションが、上流触媒を更に含む、実施形態1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【0088】
実施形態10 下流触媒セクションが、下流触媒を更に含む、実施形態1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【0089】
実施形態11 上流触媒が、下流触媒とは異なる、実施形態1~10のいずれか一項に記載のシステム。本実施形態の特定の態様では、上流セクションと下流触媒セクションとの間の触媒基材も異なっていてもよい。
【0090】
実施形態12 上流触媒が、下流触媒とは同じである、実施形態1~10のいずれか一項に記載のシステム。本実施形態の特定の態様では、上流セクションと下流触媒セクションとの間の触媒基材も同じであってもよい。
【0091】
実施形態13 上流触媒及び下流触媒のいずれか又は両方が、Ag、Au、Cu、Co、Cr、Fe、Ir、Mo、Mn、Ni、Pd、Pt、Rh、Sc、Ti、V、W、Y、Zn、Zr、又はこれらの組み合わせを独立して、金属又は酸化物形態のいずれかで含む、実施形態1~12のいずれか一項に記載のシステム。本実施形態の独立した態様では、触媒は、独立して、第VIII族貴金属を含む。本実施形態の独立した態様では、触媒は、独立して、白金族金属を含む。他の態様では、触媒は、Ag、Au、Co、Cu、Ir、Ni、Pd、Pt、Rh、Zn、又はこれらの組み合わせを独立して含む。更に他の態様では、触媒は、Cr、Fe、Ir、Mo、Mn、Ti、V、W、Y、Zr、又はこれらの組み合わせの酸化物を含む。更に他の態様では、その触媒は、Ce及び/又はSnを含む。
【0092】
実施形態14 触媒燃焼器が、下流触媒セクションの下流に配置された1つ以上の混合又は保炎デバイスを更に含む、実施形態1~13のいずれか一項に記載のシステム。
【0093】
実施形態15 触媒燃焼器の上流に配置された燃料/空気混合デバイスを更に含む、実施形態1~14のいずれか一項に記載のシステム。本実施形態の特定の態様では、混合デバイスは、混合気を触媒燃焼器に提供又は調節するように配置される。
【0094】
実施形態16
(a)空気を受容し、空気を圧縮するように配設された、圧縮機、
(b1)圧縮機に燃料を供給するように動作可能な燃料システムであって、空気と燃料との混合物を圧縮機から排出可能である/排出する、燃料システム、
(b2)圧縮機に気体燃料を供給するように動作可能な燃料システム、
(b3)圧縮機に好適に霧化された液体燃料を供給するように動作可能な燃料システム、
(c)燃焼ガス(存在する場合)を触媒燃焼器から受け取り、ガスを膨張させて、一部が圧縮機を駆動する機械動力を生成するように配設された、タービン、並びに、
(d)再循環器であって、タービンからの排気ガス及び圧縮機から排出された空気又は混合物を受け取り、これらの間で熱交換を行うように配設され、これにより、触媒燃焼器に入る前に混合物が予熱可能である/予熱される、再循環器、
のうちの1つ以上を更に含む、実施形態1~15のいずれか一項に記載のシステム。
【0095】
本実施形態の特定の態様では、(b1)、(b2)、及び(b3)は、システムによって必要とされる場合、燃料システムの代替物であり得る。
【0096】
実施形態17 圧縮機及びタービンが、少なくとも1本のシャフトによって機械的に連結されている、実施形態16に記載のシステム。本実施形態のいくつかの独立した態様では、圧縮機は、1段、2段、又は多段圧縮機であってもよい。独立した態様では、2軸機に2段圧縮機が連結されている。一部の態様では、低圧圧縮機は低圧タービンに接続され、及び/又は高圧圧縮機は高圧機に接続されている。一部の態様では、発電機又は他の負荷に電力タービンを接続できるように、第3のシャフトを導入することができる。この第3のタービンからの排気は、再循環器に供給され得る。
【0097】
実施形態18 圧縮機が多段圧縮機である、実施形態16又は17に記載のシステム。特定の態様では、圧縮機は2段圧縮機である。一部の態様では、2段圧縮機又は多段圧縮機は、圧縮機の段の間に中間冷却を備えている。
【0098】
実施形態19 実施形態1~18のいずれか一項に記載のシステムを含む、可動式の陸上、工業、商業、海洋、又は航空機用の粉末発生器。
【0099】
実施形態20 実施形態1~18のいずれか一項に記載のシステムを推進手段として備える、可動式の陸上、海洋、又は航空輸送手段。本実施形態の特定の態様では、可動式輸送手段は自動車である。
【0100】
実施形態21 実施形態1~18のいずれか一項に記載の再循環ガスタービンエンジンシステムを動作させる方法であって、
(a)エネルギーを電気ヒータに提供して、燃料と空気との混合物の点火温度に少なくとも等しい温度に上流セクションを加熱する工程、
(b)加熱された上流セクションに空気と燃料との混合物を質量流量だけ導入して、触媒燃焼上流セクションを開始する工程、並びに、
(c)上流セクションを通る空気と燃料との混合物の質量流量を維持又は増加させる工程であって、燃料と空気との混合物を下流触媒セクションに噴出させ、それによって、触媒反応を増加させる、維持又は増加させる工程、
のうちの1つ以上を含む、方法。
【0101】
本実施形態の特定の態様では、始動時の混合物の質量流量は、エンジン作動条件で生じる質量流量比の1/5~1/10の範囲である。
【0102】
実施形態22 触媒反応が、主(下流)触媒マトリックスの下流に広がる前に、上流セクションで開始される、実施形態21に記載の方法。
【0103】
実施形態23 燃料と空気との混合物の触媒温度以上にほぼ全ての下流触媒セクションを加熱するのに十分な時間、増加した質量流量を維持する工程を更に含み、それにより、燃料と空気との混合物は、通過するにつれて、下流触媒セクション全体にわたって燃焼される、実施形態22に記載の方法。好ましくは、上流セクションと下流触媒セクションとの相対比率及び混合物の質量流量比のため、実質的に全てではないにしても、ほとんど全ての燃焼が下流触媒セクションで行われる。
【0104】
実施形態24 再循環ガスタービンエンジンシステムの負荷要件に適応するように、空気と燃料との混合物の質量流量を調節する工程を更に含む、実施形態21~23のいずれか一項に記載の方法。
【0105】
実施形態25 少なくとも下流触媒セクションにおける燃焼を維持しながら、電気ヒータを通電解除する工程を更に含む、実施形態21~24のいずれか一項に記載の方法。
【0106】
実施形態26 入口混合物が触媒ライトオフ温度に到達する前に、安定した方法で燃焼を維持する工程を更に含む、請求項21~25のいずれか一項に記載の方法。
【0107】
実施形態27 燃料と空気との混合物が、1を超える、好ましくは始動中は2~5の範囲、及び/又は定常状態動作中は4~8の範囲のλ値を有し、λ値は、実測空燃比と化学量論的空燃比の比である、実施形態21~26のいずれか一項に記載の方法。
【0108】
実施形態28 燃焼過程中に、燃料と空気との混合物のλ値を調節する工程を更に含む、実施形態27に記載の方法。独立した態様では、本方法は、λ値を過濃燃料混合物に調節することを含む。独立した態様では、本方法は、λ値を希薄燃料混合物に調節することを含む。一部の態様では、本方法は、任意に、システムを監視する制御機構に応答して、質量流量の豊富さを交互に増減させることを含む。
【0109】
実施形態29 再循環ガスタービンエンジン又は実施形態16~18のいずれか一項を動作させる方法であって、
(a)圧縮機で少なくとも空気を圧縮する工程、
(b)エネルギーを電気ヒータに提供して、燃料と空気との混合物のライトオフ温度に少なくとも等しい温度に上流セクションを加熱する工程、
(c)加熱された上流セクションに燃料と空気との混合物を質量流量だけ導入する工程であって、上流セクションにおいて燃料と空気との混合物を燃焼させる、導入する工程、
(d)燃料と空気との混合物の質量流量を増加させる工程であって、燃焼混合物の流れが、下流触媒セクションを下流触媒セクションの点火温度を超えるまで加熱する、増加させる工程、
(e)上流セクション及び下流触媒セクションを通る燃料と空気との混合物の質量流量を維持する工程であって、燃料と空気との混合物は、下流触媒セクションを通過する際に、その中で燃焼して、下流触媒セクションから流出する加熱された燃焼ガスを形成する、維持する工程、
(f)機械動力を生成し、機械動力を一部使用して圧縮機を駆動するために、タービンを通って下流触媒セクション及び触媒燃焼器から流出する加熱された燃焼ガスの少なくとも一部を誘導する工程、
(g)タービンを通過する加熱された燃焼ガスの一部又は全てを再循環器に誘導する工程、並びに、
(h)再循環器内の加熱された燃焼ガスを使用して、加熱された上流セクションに導入される燃料と空気との混合物を触媒のライトオフ温度を超えて予熱する工程、
のうちの1つ以上を含む、方法。
【0110】
実施形態30 上流セクションに導入された燃料と空気との混合物の質量流量を調節する工程を更に含む、実施形態29に記載の方法。独立した態様では、本方法は、質量流量を増加させることを含む。独立した態様では、本方法は、質量流量を減少させることを含む。一部の態様では、本方法は、任意に、システムを監視する制御機構に応答して、質量流量を交互に増減させることを含む。
【0111】
実施形態31 燃料と空気との混合物が、1を超えるλ値を有し、方法は、燃焼過程中に、燃料と空気との混合物のλ値を調節する工程を更に含む、実施形態29又は30に記載の方法。
【0112】
実施形態32 方法が、電気ヒータを通電解除する工程を更に含む、実施形態21~31のいずれか一項に記載の方法。
【0113】
実施形態33 単一ユニットが、応用工学と適用制約に適合するように、円形断面、又はオーバル、楕円形、多角形、若しくは環状、若しくは任意の他のプリズム形などの他の断面形状であり得る、実施形態1~18のいずれか一項に記載のシステム。
【0114】
当業者には理解されるように、本発明の多くの修正及び変形が、これらの教示を考慮して可能であり、その全てが本明細書において意図される。
【0115】
本明細書に引用又は記載された各特許、特許出願、及び刊行物の開示は、全ての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-05-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒燃焼器を備える再循環ガスタービンエンジンを含むシステムであって、前記触媒燃焼器が、
(a)電気ヒータを備える上流セクションと、
(b)下流触媒セクションであって、前記上流セクション及び前記下流触媒セクションが、互いに隣接して、かつ互いに流体連通して配置されている、下流触媒セクションと、を含む、システム。
【請求項2】
前記上流セクションが、上流触媒を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記下流触媒セクションが、下流触媒を更に含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記電気ヒータを備える前記上流セクションが、前記触媒燃焼器内の唯一の開始源であり、他の供給源又は点火システムは必要とされない、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記上流又は下流触媒の一方又は両方が、Ag、Au、Cu、Co、Cr、Fe、Ir、Mo、Mn、Ni、Pd、Pt、Rh、Sc、Ti、V、W、Y、Zn、Zr、又はこれらの組み合わせを含む触媒を、金属又は酸化物形態のいずれかで独立して含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記触媒燃焼器の上流に配置され、燃料/空気混合物を前記触媒燃焼器に提供又は調節するように配置されている、燃料/空気混合及び/又は気化デバイスを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
(a)空気を受容し、前記空気を圧縮するように配設された、圧縮機と、
(b)前記圧縮機に燃料を供給するように動作可能な燃料システムであって、圧縮空気と燃料との混合物を前記圧縮機から排出可能である/排出する、燃料システムと、
(c)燃焼ガス(存在する場合)を前記触媒燃焼器から受け取り、前記ガスを膨張させて、一部が前記圧縮機を駆動する機械動力を生成するように配設された、タービンと、
(d)熱交換器又は「再循環器」であって、前記タービンからの排気ガス及び前記圧縮機から排出された前記空気又は混合物を受け取り、これらの間で熱交換を行うように配設され、これにより、前記触媒燃焼器に入る前に前記空気又は混合物が予熱可能である/予熱される、熱交換器又は「再循環器」と、を更に備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のシステムを含む、可動式の陸上、工業、商業、海洋、又は航空機用の発電機。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の再循環ガスタービンエンジンシステムを動作させる方法であって、
(a)エネルギーを前記電気ヒータに提供して、前記上流セクションを、少なくとも燃料と空気との混合物の触媒反応温度に等しい温度まで加熱する工程と、
(b)前記加熱された上流セクションに前記空気と燃料との混合物を質量流量だけ導入して、触媒燃焼を開始する工程と、
(c)前記触媒を通る前記空気と燃料との混合物の前記質量流量を維持又は増加させる工程であって、燃料と空気との燃焼混合物を第2のセクションに提供し、前記燃焼混合物は、関連する熱を有する、維持又は増加させる工程と、
を含む、方法。
【請求項10】
前記加熱された触媒を通る前記空気と燃料との混合物の前記質量流量を維持又は増加させる工程であって、前記燃料と空気との燃焼混合物と関連する前記熱は、前記下流触媒セクションに接触すると、前記下流触媒セクションの少なくとも一部の温度を、前記下流触媒セクションにおける前記燃料と空気との混合物の点火温度に上昇させるのに十分である、維持又は増加させる工程、を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ほぼ全ての前記下流触媒セクションが前記燃料と空気との混合物の少なくとも触媒燃焼温度まで加熱されることを提供するのに十分な時間、前記増加した質量流量を維持する工程であって、安定した触媒燃焼を維持し、増加させることができる、維持する工程を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記再循環器は、空気又は空気-燃料混合物が前記燃焼器コアのライトオフ温度よりも高い温度で前記燃焼器に提供されるような程度に加熱されるまで、前記質量流量を維持又は増加させる工程を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記再循環ガスタービンエンジンシステムの負荷要件に適応するように、空気と燃料との前記質量流量及び混合物を調節する工程を更に含む、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
安定した触媒燃焼を維持しながら、前記電気ヒータを通電解除する工程を更に含む、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項14に記載の再循環ガスタービンエンジンを動作させる方法であって、
(a)前記圧縮機で少なくとも空気を圧縮する工程と、
(b)エネルギーを前記電気ヒータに提供して、前記上流セクションを、少なくとも、燃料と前記空気との混合物の点火温度に等しい温度まで加熱する工程と、
(c)前記加熱された上流セクションに前記燃料と空気との混合物を質量流量だけ導入する工程であって、前記上流セクションにおいて前記燃料と空気との混合物を燃焼させる、導入する工程と、
(d)前記燃料と空気との混合物の前記質量流量を増加させる工程であって、前記燃焼混合物の流れが、前記下流触媒セクションを前記下流触媒セクションの点火温度を超えるまで加熱する、増加させる工程と、
(e)前記上流セクション及び前記下流触媒セクションを通る前記燃料と空気との混合物の前記質量流量を維持する工程であって、前記燃料と空気との混合物は、前記下流触媒セクションを通過する際に、その中で燃焼して、前記下流触媒セクションから流出する加熱された燃焼ガスを形成する、維持する工程と、
(f)機械動力を生成し、前記機械動力を一部使用して、前記圧縮機を駆動するために、前記タービンを通って前記下流触媒セクション及び前記触媒燃焼器から流出する前記加熱された燃焼ガスの少なくとも一部を誘導する工程と、
(g)前記タービンを通過する前記加熱された燃焼ガスの一部又は全てを前記再循環器に誘導する工程と、
(h)前記再循環器内の前記加熱された燃焼ガスを使用して、前記加熱された上流セクションに導入される前記燃料と空気との混合物を予熱する工程と、
を含む、方法。
【国際調査報告】