(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】疼痛及び疼痛に関連する状態を処置するための新規なテトラヒドロピリミドジアゼピン及びテトラヒドロピリドジアゼピン化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20220107BHJP
C07D 487/04 20060101ALI20220107BHJP
A61K 31/551 20060101ALI20220107BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220107BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20220107BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
C07D471/04 121
C07D471/04 CSP
C07D487/04 151
A61K31/551
A61P25/00
A61P25/24
A61P29/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523713
(86)(22)【出願日】2019-11-04
(85)【翻訳文提出日】2021-05-21
(86)【国際出願番号】 EP2019080069
(87)【国際公開番号】W WO2020089478
(87)【国際公開日】2020-05-07
(32)【優先日】2018-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500031124
【氏名又は名称】エステベ ファーマシューティカルズ,ソシエダッド アノニマ
【氏名又は名称原語表記】ESTEVE PHARMACEUTICALS,S.A.
【住所又は居所原語表記】Passeig de la Zona Franca,109,4a Planta,08038 Barcelona,Spain
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100117422
【氏名又は名称】堀川 かおり
(72)【発明者】
【氏名】フェリクス クエバス-コルドベス
(72)【発明者】
【氏名】カルメン アルマンサ-ロザレス
【テーマコード(参考)】
4C050
4C065
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB09
4C050CC08
4C050DD02
4C050EE04
4C050FF02
4C050GG04
4C050HH04
4C065AA01
4C065BB10
4C065DD04
4C065EE02
4C065HH02
4C065JJ01
4C065KK01
4C065LL03
4C065PP03
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB11
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA12
4C086ZB11
(57)【要約】
本発明は、電位作動型カルシウムチャネル(VGCC)のサブユニットα2δ、特に電
位作動型カルシウムチャネルのα2δ-1サブユニット及びノルアドレナリン輸送体(N
ET)に対して二重活性を示す、一般式(I)
【化1】
の新規な化合物に関する。本発明は、前記化合物の調製のための方法並びにそれらを含む
組成物及び医薬としてのそれらの使用にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】
(式中、
Xは、-CH-又は-N-であり、
Zは、-CRx-、-CH-又は-N-であり、
Rxは、分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルキルラジカル;又はハロゲン原子であり、
Yは、-CH
2-又はC=Oであり、
mは、0、1又は2であり、
R
1は、水素原子;又は分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルキルラジカルであり、
R
2は、水素原子;分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルキルラジカル;ハロゲン原子;
ハロアルキルラジカル;-SR
2aラジカル;-NR
2aR
2bラジカル;ヒドロキシル
ラジカル又は分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルコキシラジカルであり、
R
2a及びR
2bは、互いに独立に、水素原子又は分岐状若しくは非分岐状C
1~6アル
キルラジカルであり、
R
3は、水素原子;ハロゲン原子;分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルキルラジカル;
又は-(CH
2)
p-O-R
4(ここで、pは、0、1又は2である)であり、
R
4は、水素原子;分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルキルラジカル;又は-CHR
4
aR
4bラジカルであり、
R
4aは、水素原子;分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルキルラジカル;少なくとも1
つのハロゲン原子によって任意に置換されている6員アリールラジカル;又はN、O若し
くはSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有し、且つ少なくとも分岐状若しく
は非分岐状C
1~6アルキルラジカルによって任意に置換されている5員若しくは6員ヘ
テロアリール基であり、
R
4bは、-(CH
2)
j-NR
4b’R
b’’(ここで、jは、0、1、2又は3であ
る)であり、
R
4b’及びR
4b’’は、互いに独立に、水素原子;分岐状若しくは非分岐状C
1~6
アルキルラジカル;C
1~6ハロアルキルラジカル;ベンジル基;フェネチル基;ter
t-ブチルオキシカルボニル基;又は(トリメチルシリル)エチルオキシカルボニル基で
あり、
R
5は、分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルキルラジカル;ハロゲン原子;分岐状若し
くは非分岐状C
1~6アルコキシラジカル;又は-CNラジカルであり、
ただし、Zが-CH-又は-CRx-であるとき、R
4aは、少なくとも1つのハロゲン
原子によって任意に置換されている6員アリール基である)
の化合物又はその薬学的に許容される塩、異性体、プロドラッグ若しくは溶媒和物。
【請求項2】
R
1は、C
1~6アルキルラジカル、より好ましくはC
1~4アルキルラジカル、さら
により好ましくはメチル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
2は、水素原子;分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルコキシラジカル、好ましくは
メトキシ;-NR
2aR
2b(ここで、R
2a及びR
2bは、水素原子;分岐状若しくは
非分岐状C
1~6アルキルラジカル、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル又はイソ
ブチルから独立に選択される)であり、より好ましくは、R
2は、水素原子;メトキシラ
ジカル、-NH
2ラジカル;又は-NHCH
2CH
3ラジカルを表す、請求項1に記載の
化合物。
【請求項4】
Zは、-CH-又は-N-である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R
3は、-(CH
2)
p-O-R
4ラジカル(ここで、pは、0、1又は2であり、よ
り好ましくは、pは、0である)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R
3は、パラ位にある、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
R
4は、-CHR
4aR
4bラジカルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
R
4aは、少なくとも1つのハロゲン原子、より好ましくはフッ素によって任意に置換
されている6員アリール基、より好ましくはフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
R
4bは、-(CH
2)
j-NR
4b’R
b’’ラジカル(ここで、j=2である)で
あり、R
4b’及びR
4b’’は、互いに独立に、水素原子又は分岐状若しくは非分岐状
C
1~6アルキルラジカル、より好ましくはメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
R
5は、分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルキルラジカル、好ましくはメチル;又は
ハロゲン原子、好ましくはフッ素若しくは塩素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
一般式(I’a):
【化2】
(式中、
R
1、R
2、R
3、R
5、Z及びXは、請求項1で定義されている通りであり、
ただし、Zが-CH-であるとき、R
3は、-(CH
2)
p-O-R
4ラジカルであり、
及びR
4は、-CHR
4aR
4bラジカルであり、R
4aは、少なくとも1つのハロゲン
原子によって任意に置換されている6員アリール基である)
を有する、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、異性体、プロドラッ
グ若しくは溶媒和物。
【請求項12】
一般式(I’b)又は(I’b2)
【化3】
(式中、R
1、R
2、R
5、Z及びXは、請求項1で定義されている通りである)
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
[1](S)-1-メチル-4-(2-メチル-4-(3-(メチルアミノ)-1-フ
ェニルプロポキシ)ベンジル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ピリド[4,3
-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[2](S)-2-メトキシ-9-メチル-6-(2-メチル-4-(3-(メチルアミ
ノ)-1-フェニルプロポキシ)ベンジル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピ
リミド[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[3](S)-9-メチル-6-(2-メチル-4-(3-(メチルアミノ)-1-フェ
ニルプロポキシ)ベンジル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[4,5
-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[4](S)-2-アミノ-6-(2-クロロ-4-(3-(メチルアミノ)-1-フェ
ニルプロポキシ)ベンジル)-9-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピリ
ミド[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[5](S)-6-(2-クロロ-4-(3-(メチルアミノ)-1-フェニルプロポキ
シ)ベンジル)-2-(エチルアミノ)-9-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-
5H-ピリミド[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[6](S)-2-(エチルアミノ)-6-((3-フルオロ-5-(1-(3-フルオ
ロフェニル)-3-(メチルアミノ)プロポキシ)ピリジン-2-イル)メチル)-9-
メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[4,5-e][1,4]ジア
ゼピン-5-オン;
[7](S)-2-アミノ-6-((3-フルオロ-5-(1-(3-フルオロフェニル
)-3-(メチルアミノ)プロポキシ)ピリジン-2-イル)メチル)-9-メチル-6
,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5
-オン;
[8](S)-4-(2-フルオロ-4-(3-(メチルアミノ)-1-フェニルプロポ
キシ)ベンジル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ピリド[4,3
-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[9](S)-6-(2-フルオロ-4-(3-(メチルアミノ)-1-フェニルプロポ
キシ)ベンジル)-2-メトキシ-9-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-
ピリミド[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[10](S)-6-(2-フルオロ-4-(3-(メチルアミノ)-1-フェニルプロ
ポキシ)ベンジル)-9-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[4
,5-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[11](S)-2-アミノ-6-(2-フルオロ-4-(3-(メチルアミノ)-1-
フェニルプロポキシ)ベンジル)-9-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-
ピリミド[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[12](S)-4-(2-フルオロ-4-(3-(メチルアミノ)-1-フェニルプロ
ポキシ)ベンジル)-8-メトキシ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H
-ピリド[4,3-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[13](R)-2-(エチルアミノ)-6-(2-フルオロ-4-(1-(3-フルオ
ロフェニル)-3-(メチルアミノ)プロポキシ)ベンジル)-9-メチル-6,7,8
,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5-オン、
[14](S)-2-(エチルアミノ)-6-(2-フルオロ-4-(1-(3-フルオ
ロフェニル)-3-(メチルアミノ)プロポキシ)ベンジル)-9-メチル-6,7,8
,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5-オン、
及び
[15](S)-4-((3-フルオロ-5-(3-(メチルアミノ)-1-(チオフェ
ン-2-イル)プロポキシ)ピリジン-2-イル)メチル)-8-メトキシ-1-メチル
-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ピリド[4,3-e][1,4]ジアゼピン-
5-オン
から選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、異性体、プロ
ドラッグ若しくは溶媒和物。
【請求項14】
一般式(IA):
【化4】
の化合物の調製のための方法であって、一般式(IIa)又は一般式(IIb):
【化5】
の化合物と、式(IIIa):
【化6】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
5、X、Y及びZは、請求項1で定義されている通りであ
り、及びQは、適切な脱離基である)
の化合物との間の反応を含む方法。
【請求項15】
一般式(IB):
【化7】
の化合物の調製のための方法であって、一般式(IIa)又は一般式(IIb):
【化8】
の化合物と、式(IIIa):
【化9】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
5、X、Y及びZは、請求項1で定義されている通りであ
り、mは、1又は2であり、及びQは、適切な脱離基である)
の化合物との間の反応を含む方法。
【請求項16】
一般式(I):
【化10】
の化合物の調製のための方法であって、式(IIb):
【化11】
の化合物と、一般式(IV):
【化12】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
5、X、m及びZは、請求項1で定義されている通りであ
り、Yは、-CH2-であり、及びnは、0又は1である)
のアルデヒドとの間の反応を含む方法。
【請求項17】
医薬として使用するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
電位作動型カルシウムチャネルのサブユニットα2δ、特にα2δ-1サブユニット及
び/又はノルアドレナリン輸送体(NET)によって媒介される疾患及び/又は障害の処
置及び/又は予防において使用するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合
物。
【請求項19】
前記疾患又は障害は、疼痛、特に神経因性疼痛、炎症性疼痛及び慢性疼痛又はアロディ
ニア及び/若しくは痛覚過敏が関与する他の疼痛状態、うつ、不安並びに注意欠陥障害/
多動性障害(ADHD)である、請求項18に記載の使用のための化合物。
【請求項20】
請求項1~13のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物又はその薬学的に許容さ
れる塩、異性体、プロドラッグ若しくは溶媒和物と、少なくとも薬学的に許容される担体
、添加物、アジュバント又はビヒクルとを含む医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電位作動型カルシウムチャネル(VGCC)のサブユニットα2δ、特に電
位作動型カルシウムチャネルのα2δ-1サブユニット及びノルアドレナリン輸送体(N
ET)に対する二重活性を示す新規な化合物に関する。本発明は、前記化合物の調製のた
めの方法並びにそれらを含む組成物及び医薬としてのそれらの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
疼痛の適当な管理は、現在利用可能な処置が多くの場合に限られた改善のみを実現し、
多くの患者が救済されないままであるため、重要な課題となっている(Turk,D.C
.,Wilson,H.D.,Cahana,A.;2011;Lancet;377;
2226-2235)。疼痛は、推定される20%の有病率を伴って集団の大きい部分に
影響を与えており、その発生率は、特に慢性疼痛の場合、集団の加齢によって増加してい
る。さらに、疼痛は、併存症、例えばうつ、不安及び不眠と明らかに関連しており、これ
は、重要な生産性の損失及び社会経済的負担をもたらす(Goldberg,D.S.,
McGee,S.J.;2011;BMC Public Health;11;770
)。現存する疼痛治療は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、オピオイドアゴニス
ト、カルシウムチャネル遮断薬及び抗うつ剤を含むが、これらは、その安全率に関してか
なり最適未満である。これらの全ては、特に慢性状況においてその使用を妨げる限定され
た有効性及び一連の二次効果を示す。
【0003】
電位作動型カルシウムチャネル(VGCC)は、身体における多くの重要な機能のため
に必要とされている。異なるサブタイプの電位作動型カルシウムチャネルが説明されてい
る(Zamponi et al.;Pharmacol.Rev.;2015;67;
821-870)。VGCCは、異なるサブユニット、すなわちα1(CaVα1)、β
(CaVβ)、α2δ(CaVα2δ)及びγ(Cavγ)の相互作用によってアセンブ
ルされる。α1サブユニットは、チャネル複合体の重要な多孔質形成単位であり、Ca2
+伝導及びCa2+流入の生成に関与している。α2δ、β及びγサブユニットは、補助
的であるが、これらは、形質膜におけるα1サブユニットの発現を増加させ、且つこれら
の機能をモジュレートし、異なる細胞型における機能の多様性をもたらすため、これらは
、チャネルのレギュレーションのために非常に重要である。それらの生理的及び薬理学的
特性に基づいて、VGCCは、チャネル形成CaVαサブユニットにより、低電位活性化
T型(Cav3.1、Cav3.2及びCav3.3)並びに高電位活性化L型(Cav
1.1~Cav1.4)、N型(Cav2.2)、P/Q型(Cav2.1)及びR型(
Cav2.3)に細分することができる。これらの5つのサブクラスの全ては、中枢及び
末梢神経系において見出される。これらのVGCCの活性化を介した細胞内カルシウムの
レギュレーションは、1)神経伝達物質放出、2)膜の脱分極及び過分極、3)酵素の活
性化及び非活性化、並びに4)遺伝子調節において必須の役割を果たしている(Perr
et and Luo;Neurotherapeutics;2009;6;679-
692;Zamponi et al.,2015;Neumaier et al.;
Prog.Neurobiol.;2015;129;1-36)。VGCCは、疼痛プ
ロセシングを含む様々な病態を媒介することにおいて結び付けられていることが大量のデ
ータによって明らかに示されてきた。異なるカルシウムチャネルのサブタイプ及びサブユ
ニットと相互作用する薬物が開発されてきた。現在の治療剤は、高血圧症の処置において
広範に使用されている、L型CaV1.2カルシウムチャネルを標的とする薬物、特に1
,4-ジヒドロピリジンを含む。T型(CaV3)チャネルは、欠神てんかんにおいて広
範に使用されているエトスクシミドの標的である。N型(CaV2.2)カルシウムチャ
ネルのペプチド遮断薬であるジコノチドは、難治性疼痛の処置として承認されてきた。
【0004】
Cav1及びCav2サブファミリーは、特定のてんかん及び慢性神経因性疼痛におい
て価値のあるガバペンチノイド薬物の治療標的である補助的α2δサブユニットを含有す
る(Perret and Luo,2009;Vink and Alewood;B
ritish J.Pharmacol.;2012;167;970-989)。今日
までに4つの公知のα2δサブユニットが存在し、それぞれが独特の遺伝子によってコー
ドされ、全てのものがスプライス変異体を有する。各α2δタンパク質は、単一のメッセ
ンジャーRNAによってコードされており、翻訳後に切断され、次いでジスルフィド結合
によって連結される。α2δサブユニットをコードする4つの遺伝子は、現在、クローン
化されている。α2δ-1が骨格筋から最初にクローン化され、かなりのユビキタス分布
を示す。α2δ-2及びα2δ-3サブユニットは、それに続いて脳からクローン化され
た。ごく最近同定されたサブユニットであるα2δ-4は、主に非ニューロンである。ヒ
トα2δ-4タンパク質配列は、それぞれヒトα2δ-1、α2δ-2及びα2δ-3サ
ブユニットと30%、32%及び61%の同一性を共有する。全てのα2δサブユニット
の遺伝子構造は、同様である。全てのα2δサブユニットは、いくつかのスプライス変異
体を示す(Davies et al.;Trends Pharmacol.Sci.
;2007;28;220-228;Dolphin,A.C.;Nat.Rev.Ne
urosci.;2012;13;542-555;Dolphin,A.C.;Bio
chim.Biophys.Acta;2013;1828;1541-1549)。
【0005】
Cavα2δ-1サブユニットは、神経因性疼痛の発生において重要な役割を果たし得
る(Perret and Luo,2009;Vink and Alewood,2
012)。生化学的データは、神経因性疼痛の発生と関連する神経傷害後、脊髄後角及び
DRG(後根神経節)におけるCavα2δ-2ではなくかなりのCavα2δ-1サブ
ユニットのアップレギュレーションを示してきた。さらに、中枢シナプス前終末への傷害
によって誘発されるDRG Cavα2δ-1サブユニットの軸索輸送を遮断することは
、神経が傷害された動物における触覚アロディニアを減少させ、これは、上昇したDRG
Cavα2δ-1サブユニットが神経因性アロディニアの一因となることを示唆する。
【0006】
Cavα2δ-1サブユニット(及びCavα2δ-2、しかし、Cavα2δ-3及
びCavα2δ-4サブユニットではない)は、患者及び動物モデルにおいて抗アロディ
ニア/抗痛覚過敏特性を有するガバペンチンについての結合部位である。傷害によって誘
発されるCavα2δ-1発現は、神経因性疼痛、発生及び維持と相関し、様々なカルシ
ウムチャネルは、脊髄のシナプスの神経伝達及びDRGニューロン興奮性の一因となるこ
とが公知であるため、傷害によって誘発されるCavα2δ-1サブユニットのアップレ
ギュレーションは、DRGニューロンの亜集団及びそれらの中枢末端におけるVGCCの
特性及び/又は分布を変化させ、したがって後角における興奮性及び/又はシナプス神経
可塑性をモジュレートすることにより、神経因性疼痛の開始及び維持に寄与し得る。Ca
vα2δ-1サブユニットに対するくも膜下腔内のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、
神経傷害によって誘発されるCavα2δ-1のアップレギュレーションを遮断し、アロ
ディニアの発症を予防し、確立されているアロディニアを保留することができる。
【0007】
上記で記述したように、VGCCのα2δサブユニットは、抑制性神経伝達物質GAB
Aの構造誘導体であるガバペンチン及びプレガバリンのための結合部位を形成し、これら
は、GABAA、GABAB若しくはベンゾジアゼピン受容体に結合しないか、又は動物
の脳調製物におけるGABAのレギュレーションを変化させない。Cavα2δ-1サブ
ユニットへのガバペンチン及びプレガバリンの結合により、複数の神経伝達物質のカルシ
ウム依存性放出の低減が引き起こされ、神経因性疼痛の管理についての有効性及び忍容性
がもたらされる。ガバペンチノイドは、シナプス形成を阻害することによって興奮性も低
減し得る(Perret and Luo,2009;Vink and Alewoo
d,2012,Zamponi et al.,2015)。
【0008】
ノルエピネフリンとも称されるノルアドレナリン(NA)は、ヒトの脳及び身体におい
てホルモン及び神経伝達物質として機能することも公知である。ノルアドレナリンは、多
くの効果を発揮し、生きている生物においていくつかの機能を媒介する。ノルアドレナリ
ンの効果は、受容体の2つの別個のスーパーファミリー、すなわちアルファ-及びベータ
-アドレナリン受容体によって媒介される。これらは、動物の挙動及び認知をモジュレー
トすることにおいて特定の役割を示す部分群にさらに分類される。哺乳動物の脳にわたる
神経伝達物質であるノルアドレナリンの放出は、多くの挙動中の注意、覚醒及び認知をモ
ジュレートするために重要である(Mason,S.T.;Prog.Neurobio
l.;1981;16;263-303)。
【0009】
ノルアドレナリン輸送体(NET、SLC6A2)は、末梢及び中枢神経系において大
部分が発現しているモノアミン輸送体である。NETは、主にNA、またセロトニン及び
ドパミンをシナプス空間からシナプス前ニューロンに再循環させる。NETは、種々の気
分及び行動の障害、例えばうつ、不安及び注意欠陥/多動性障害(ADHD)を処理する
薬物の標的である。これらの薬物の多くは、NETを介したシナプス前細胞へのNAの取
込みを阻害する。したがって、これらの薬物は、アドレナリン作動性神経伝達をレギュレ
ートするシナプス後受容体への結合のためのNAの利用可能性を増加させる。NET阻害
剤は、特異的であり得る。例えば、ADHD薬物であるアトモキセチンは、NETについ
て高度に選択的であるNA再取込み阻害剤(NRI)である。レボキセチンは、新規な抗
うつ剤クラスの第1のNRIであった(Kasper et al.;Expert O
pin.Pharmacother.;2000;1;771-782)。いくつかのN
ET阻害剤はまた、複数の標的に結合し、それらの有効性及びそれらの潜在的な患者集団
を増加させる。
【0010】
内因性下行性のノルアドレナリン作動性線維は、脊髄の求心性回路に対する鎮痛管理を
行い、疼痛信号の伝達を媒介する(Ossipov et al.;J.Clin.In
vest.;2010;120;3779-3787)。ノルアドレナリン作動性の疼痛
プロセシングの複数の態様における変化が特に神経因性疼痛状態において報告されてきた
(Ossipov et a.,2010;Wang et al.;J.Pain;2
013;14;845-853)。脊髄のα2-アドレナリン作動性受容体の活性化は、
強い抗侵害受容効果を発揮することを多数の研究が示してきた。脊髄のクロニジンは、健
康なヒトボランティアにおいて熱及びカプサイシンによって誘発される疼痛を遮断した(
Ossipov et a.,2010)。ノルアドレナリン作動性再取込み阻害剤、最
も特に三環系抗うつ剤、アミトリプチリン及びノルトリプチリンは、慢性疼痛の処置のた
めに数十年間使用されてきた。シナプス前ニューロンから放出されると、NAは、典型的
には、その多くが神経終末に再び急速に輸送されるため、短命な効果を有する。シナプス
前ニューロンへのNAの再取込みを遮断することにおいて、より多くの神経伝達物質は、
より長い期間残存し、したがってシナプス前及びシナプス後のα2-アドレナリン作動性
受容体(AR)との相互作用のために利用可能である。三環系抗うつ剤及び他のNA再取
込み阻害剤は、脊髄のNAの利用可能性を増加させることによってオピオイドの抗侵害受
容効果を増進させる。α2A-ARサブタイプは、動物及びヒトの両方において、脊髄の
アドレナリン作動性痛覚消失及び大部分のアゴニストの組合せについてのオピオイドとの
相乗作用のために必要とされている(Chabot-Dore et al.;Neur
opharmacology;2015;99;285-300)。セロトニン輸送体の
併行的ダウンレギュレーションを伴う、神経因性疼痛のラットモデルにおける脊髄のNE
Tの選択的アップレギュレーションが示されてきた(Fairbanks et al.
;Pharmacol.Ther.;2009;123;224-238)。NA再取込
みの阻害剤、例えばニソキセチン、ノルトリプチリン及びマプロチリン並びにノルアドレ
ナリン及びセロトニン再取込みの二重阻害剤、例えばイミプラミン及びミルナシプランは
、持続性疼痛のホルマリンモデルにおいて強力な抗侵害受容効果を生じさせる。坐骨神経
の慢性狭窄傷害からもたらされる神経因性疼痛は、二重取込み阻害剤であるベンラファキ
シンによって予防された。脊髄神経結紮モデルにおいて、非選択的セロトニン及びノルア
ドレナリン再取込み遮断薬であるアミトリプチリン、優先的ノルアドレナリン再取込み阻
害剤であるデシプラミン並びに選択的セロトニン及びノルアドレナリン再取込み阻害剤で
あるミルナシプラン及びデュロキセチンは、痛覚感受性における減少を生じさせる一方、
選択的セロトニン再取込み阻害剤であるフルオキセチンは、無効である(Mochizu
cki,D.;Psychopharmacol.;2004;Supplm.1;S1
5-S19;Hartrick,C.T.;Expert Opin.Investig
.Drugs;2012;21;1827-1834)。作用の複数の機序間の相加的又
はさらに相乗的相互作用について可能性を有するノルアドレナリン作動性機序に焦点を当
てたいくつかの非選択的治験薬が開発されている(Hartrick,2012)。
【0011】
多重薬理学は、かなりの親和性を伴って、薬物が単一の標的よりむしろ複数の標的に結
合する現象である。治療に対する多重薬理学の効果は、プラス(有効な治療)及び/又は
マイナス(副作用)であり得る。プラス及び/又はマイナスの効果は、同じ又は異なるサ
ブセットの標的への結合によってもたらすことができる。いくつかの標的への結合は、効
果を有し得ない。多成分薬物又は多標的薬物は、生体代償に逆らうことによるか、各化合
物の投与量の低減を可能にすることによるか、又は状況特異的な多標的機序にアクセスす
ることにより、高用量の単一の薬物と関連する毒性及び他の副作用を克服することができ
る。多標的機序は、それらの標的が協調的作用のために利用可能であることを必要とする
ため、薬物標的の発現差異を前提として、単一の薬剤の活性よりも相乗作用が狭い範囲の
細胞の表現型において起こることが予想される。実際に、相乗的な薬物の組合せは、一般
に、単一の薬剤活性よりも特定の細胞に関連して特異的であり、このような選択性は、毒
性効果ではなく治療効果と関連する細胞型における薬物の標的の発現差異によって達成さ
れることが実験的に示されてきた(Lehar et al.;Nat.Biotech
nol.;2009;27;659-666)。
【0012】
多因子疾患である慢性疼痛の場合、多標的薬物は、複数の標的及び疼痛を促進するシグ
ナル伝達経路の協調した薬理学的な介入を生じさせ得る。これらは、実際に生物学的な複
雑性を利用するため、多標的(又は多成分薬物)アプローチは、多因子疾患、例えば疼痛
を処置することに対する最も有望な手段の中に含まれている(Gilron et al
.;Lancet Neurol.;2013;12(11);1084-1095)。
実際に、鎮痛剤を含むいくつかの化合物についてのプラスの相乗的相互作用が記載されて
きた(Schroeder et al;J.Pharmacol.Exp.Ther.
;2011;337;312-320;Zhang et al.;Cell Deat
h Dis.;2014;5;e1138;Gilron et al.,2013)。
【0013】
薬物動態、代謝及びバイオアベイラビリティーにおける有意差を前提として、薬物の組
合せ(多成分薬物)の組成変更は困難である。さらに、個々に投薬されるときに一般に安
全である2つの薬物が組み合わせて安全であると仮定することはできない。有害な薬物間
相互作用の可能性に加えて、ネットワーク薬理学の理論が、表現型に対する効果が複数の
標的をヒットすることに由来し得ることを示す場合、その合わせた表現型の変化は、効果
的又は有害であり得る。両方の薬物組合せ戦略に対する大きい課題は、それぞれの個々の
薬物が個々の薬剤として及び組み合わせて安全であると示されるための規制基準である(
Hopkins,A.L.;Nat.Chem.Biol.;2008;4;682-6
90)。
【0014】
多標的治療のための代替の戦略は、選択的多重薬理学(多標的薬物)によって単一の化
合物を設計することである。多くの承認された薬物は、複数の標的上で作用することが示
されてきた。単一の化合物による投薬は、衡平な薬物動態及び体内分布に関して薬物の組
合せを超えた利点を有し得る。実際に、併用療法の成分間の不適合性薬物動態による薬物
曝露におけるトラフは、低用量の機会の窓を生じさせ得、ここで、低減された選択圧は、
薬剤耐性をもたらし得る。医薬品登録に関して、複数の標的に対して作用する単一の化合
物の承認は、新規な薬物の組合せの承認よりかなり低い規制のバリアに直面する(Hop
kins,2008)。
【0015】
このように、本発明は、電位作動型カルシウムチャネルのα2δサブユニット、好まし
くは電位作動型カルシウムチャネルのα2δ-1サブユニットに対する親和性を有する二
重化合物を指し、これは、ノルアドレナリン輸送体(NET)に対する阻害効果をさらに
有し、したがって慢性疼痛を処置するのにより有効である。
【0016】
NET及びα2δ-1阻害間に2つの潜在的に重要な相互作用が存在する:
1)痛覚消失における相乗作用、したがって特定の副作用の危険性の低減。前臨床調査は
、ガバペンチノイドが、下行性のノルアドレナリン作動性系の脊髄上位の活性化により、
疼痛が関連する挙動を減弱させたことを示してきた(Tanabe et al.;J.
Neuroosci.Res.;2008;Hayashida,K.;Eur.J.P
harmacol.;2008;598;21-26)。その結果、脊髄のα2-アドレ
ナリン作動性受容体のNAによって誘発される活性化によって媒介されるα2δ-1が関
連する痛覚消失は、NETの阻害によって可能とすることができる。神経因性疼痛の前臨
床モデルにおける組合せ研究からのいくつかの証拠が存在する。ガバペンチンを伴う経口
デュロキセチンは、ラットにおける神経傷害によって誘発される過敏性を低減させる添加
物であった(Hayashida;2008)。ガバペンチン及びノルトリプチリン薬物
の組合せは、口腔顔面疼痛及び末梢神経傷害モデルに供されたマウスにおいて相乗的であ
った(Miranda,H.F.et al.;J.Orofac.Pain;2013
;27;361-366;Pharmacology;2015;95;59-64);
及び
2)疼痛が関連する感情の併存症、例えば不安及び/又はうつ様挙動の阻害(Nicol
son et al.;Harv.Rev.Psychiatry;2009;17;4
07-420)。NET及びα2δ-1サブユニットの薬物モジュレーションは、それぞ
れ抗うつ効果及び抗不安効果を生じさせることが示されてきた(Frampton,J.
E.;CNS Drugs;2014;28;835-854;Hajos,M.et
al.;CNS Drug Rev.;2004;10;23-44)。
【0017】
その結果、NET及びVGCCのα2δ-1サブユニットを阻害した二重薬物は、改善
された鎮痛効果を有し得、また身体的疼痛及び気分の変容の可能性の両方に対して直接作
用することにより、疼痛が関連する気分の障害を安定化し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、電位作動型カルシウムチャネルのα2δサブユニット、さらに具体的にはα
2δ-1への大きい親和性を有する新規な二重化合物を開示し、これは、ノルアドレナリ
ン輸送体(NET)に対する阻害効果も有し、したがって疼痛及び疼痛が関連する障害を
処置するための二重活性がもたらされる。
【0019】
本発明の主要な目的は、一般式(I):
【化1】
(式中、
Xは、-CH-又は-N-であり、
Zは、-CRx-、-CH-又は-N-であり、
Rxは、分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルキルラジカル;又はハロゲン原子であり、
Yは、-CH
2-又はC=Oであり、
mは、0、1又は2であり、
R
1は、水素原子;又は分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルキルラジカルであり、
R
2は、水素原子;分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルキルラジカル;ハロゲン原子;
ハロアルキルラジカル;-SR
2aラジカル;-NR
2aR
2bラジカル;ヒドロキシル
ラジカル又は分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルコキシラジカルであり、
R
2a及びR
2bは、互いに独立に、水素原子又は分岐状若しくは非分岐状C
1~6アル
キルラジカルであり、
R
3は、水素原子;ハロゲン原子;分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルキルラジカル;
又は-(CH
2)
p-O-R
4(ここで、pは、0、1又は2である)であり、
R
4は、水素原子;分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルキルラジカル;又は-CHR
4
aR
4bラジカルであり、
R
4aは、水素原子;分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルキルラジカル;少なくとも1
つのハロゲン原子によって任意に置換されている6員アリールラジカル;又はN、O若し
くはSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有し、且つ少なくとも分岐状若しく
は非分岐状C
1~6アルキルラジカルによって任意に置換されている5員若しくは6員ヘ
テロアリール基であり、
R
4bは、-(CH
2)
j-NR
4b’R
4b’’(ここで、jは、0、1、2又は3で
ある)であり、
R
4b’及びR
4b’’は、互いに独立に、水素原子;分岐状若しくは非分岐状C
1~6
アルキルラジカル;C
1~6ハロアルキルラジカル;ベンジル基;フェネチル基;ter
t-ブチルオキシカルボニル基;又は(トリメチルシリル)エチルオキシカルボニル基で
あり、
R
5は、分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルキルラジカル;ハロゲン原子;分岐状若し
くは非分岐状C
1~6アルコキシラジカル;又は-CNラジカルであり、
ただし、Zが-CRx-又は-CH-であるとき、R
4aは、少なくとも1つのハロゲン
原子によって任意に置換されている6員アリール基である)
の化合物又はその薬学的に許容される塩、異性体、プロドラッグ若しくは溶媒和物に関す
る。
【0020】
一般式(I)の化合物の調製のための異なる方法を提供することも本発明の目的である
。
【0021】
本発明の別の目的は、α2δ-1によって媒介される障害の処置及び/又は予防のため
の、より好ましくは電位作動型カルシウムチャネルのα2δ-1サブユニット及び/又は
ノルアドレナリン輸送体(NET)によって媒介される障害の処置及び/又は予防のため
の、一般式(I)のこのような化合物の使用を指す。本発明の化合物は、疼痛、特に神経
因性疼痛及び疼痛に関連するか又は疼痛に由来する状態の処置に特に適している。
【0022】
少なくとも1種の薬学的に許容される添加剤と共に1種又は複数の一般式(I)の化合
物を含む医薬組成物を提供することも本発明の目的である。本発明による医薬組成物は、
それが経口又は非経口、例えば肺、経鼻、直腸及び/又は静脈内であろうと、任意の投与
経路によって投与されるために適合され得る。したがって、本発明による製剤は、局所的
又は全身的適用、特に経皮、皮下、筋内、関節内、腹腔内、肺、口腔内頬側、舌下、経鼻
、経皮的、膣、経口又は非経口適用のために適合され得る。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、第1に、一般式(I)
【化2】
(式中、
Xは、-CH-又は-N-であり、
Zは、-CRx-、-CH-又は-N-であり、
Rxは、分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルキルラジカル;又はハロゲン原子であり、
Yは、-CH
2-又はC=Oであり、
mは、0、1又は2であり、
R
1は、水素原子;又は分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルキルラジカルであり、
R
2は、水素原子;分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルキルラジカル;ハロゲン原子;
ハロアルキルラジカル;-SR
2aラジカル;-NR
2aR
2bラジカル;ヒドロキシル
ラジカル又は分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルコキシラジカルであり、
R
2a及びR
2bは、互いに独立に、水素原子又は分岐状若しくは非分岐状C
1~6アル
キルラジカルであり、
R
3は、水素原子;ハロゲン原子;分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルキルラジカル;
又は-(CH
2)
p-O-R
4(ここで、pは、0、1又は2である)であり、
R
4は、水素原子;分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルキルラジカル;又は-CHR
4
aR
4bラジカルであり、
R
4aは、水素原子;分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルキルラジカル;少なくとも1
つのハロゲン原子によって任意に置換されている6員アリールラジカル;又はN、O若し
くはSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有し、且つ少なくとも分岐状若しく
は非分岐状C
1~6アルキルラジカルによって任意に置換されている5員若しくは6員ヘ
テロアリール基であり、
R
4bは、-(CH
2)
j-NR
4b’R
4b’’(ここで、jは、0、1、2又は3で
ある)であり、
R
4b’及びR
4b’’は、互いに独立に、水素原子;分岐状若しくは非分岐状C
1~6
アルキルラジカル;C
1~6ハロアルキルラジカル;ベンジル基;フェネチル基;ter
t-ブチルオキシカルボニル基;又は(トリメチルシリル)エチルオキシカルボニル基で
あり、
R
5は、分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルキルラジカル;ハロゲン原子;分岐状若し
くは非分岐状C
1~6アルコキシラジカル;又は-CNラジカルであり、
ただし、Zが-CRx-又は-CH-であるとき、R
4aは、少なくとも1つのハロゲン
原子によって任意に置換されている6員アリール基である)
の化合物又はその薬学的に許容される塩、異性体、プロドラッグ若しくは溶媒和物に関す
る。
【0024】
他に記述しない限り、本発明の化合物は、同位体標識された形態、すなわち1つ又は複
数の同位体的に濃縮された原子の存在下でのみ異なる化合物を含むことも意味する。例え
ば、重水素若しくはトリチウムによる少なくとも1つの水素原子の置換え、又は13C若
しくは14Cが濃縮された炭素による少なくとも1つの炭素の置換え、又は15Nが濃縮
された窒素による少なくとも1つの窒素の置換えを除いて、本構造を有する化合物は、本
発明の範囲内である。
【0025】
一般式(I)の化合物又はこれらの塩若しくは溶媒和物は、好ましくは、薬学的に許容
される形態又は実質的に純粋な形態である。薬学的に許容される形態とは、とりわけ、通
常の医薬品添加物、例えば賦形剤及び担体を除いて、通常の投与量レベルで有毒であると
考えられる物質を含むことなく、薬学的に許容されるレベルの純度を有することを意味す
る。薬物物質についての純度レベルは、好ましくは、50%超、より好ましくは70%超
、最も好ましくは90%超である。好ましい実施形態では、これは、95%超の式(I)
の化合物又はその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグである。
【0026】
「ハロゲン」又は「ハロ」は、本発明において言及するように、フッ素、塩素、臭素又
はヨウ素を表す。用語「ハロ」が他の置換基と合わさったとき(例えば、「C1~6ハロ
アルキル」又は「C1~6ハロアルコキシ」)、これは、アルキル又はアルコキシラジカ
ルがそれぞれ少なくとも1つのハロゲン原子を含有できることを意味する。
【0027】
脱離基は、異方性結合切断において結合の電子対を保持する基である。適切な脱離基は
、当技術分野で周知であり、Cl、Br、I及び-O-SO2R14を含み、ここで、R
14は、F、C1~4-アルキル、C1~4-ハロアルキル又は任意に置換されているフ
ェニルである。好ましい脱離基は、Cl、Br、I、トシレート、メシレート、トリフレ
ート、ノナフレート及びフルオロスルホネートである。
【0028】
「保護基」は、その分子からの特定の官能基が、それに続く反応において望ましくなく
反応することを回避するために分子中に化学的に導入される基である。保護基は、とりわ
け、化学反応において化学選択性を得るために使用される。好ましい保護基は、本発明に
関連して、Boc(tert-ブトキシカルボニル)又はTeoc(2-(トリメチルシ
リル)エトキシカルボニル)である。
【0029】
「C1~6アルキル」は、本発明において言及するように、飽和脂肪族ラジカルである
。これらは、非分岐状(直鎖状)又は分岐状であり得、任意に置換されている。C1~6
-アルキルは、本発明において表現されているように、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又
は6つの炭素原子のアルキルラジカルを意味する。本発明による好ましいアルキルラジカ
ルは、これらに限定されないが、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、n-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、1-メチル
プロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、ペンチル、n-ペンチル、1
,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、ヘキ
シル、1-メチルペンチルを含む。最も好ましいアルキルラジカルは、C1~4アルキル
、例えばメチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル
、tert-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプ
ロピル又は1,1-ジメチルエチルである。アルキルラジカルは、本発明において定義す
るように、ハロゲン、分岐状若しくは非分岐状C1~6-アルコキシ、分岐状若しくは非
分岐状C1~6-アルキル、C1~6-ハロアルコキシ、C1~6-ハロアルキル、トリ
ハロアルキル又はヒドロキシル基から独立に選択される置換基によって任意に一置換又は
多置換されている。
【0030】
「C1~6アルコキシ」は、本発明において言及されているように、分子の残りの部分
に酸素連結を介して付着している、上記に定義されているようなアルキルラジカルを意味
すると理解される。アルコキシの例には、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ
、プロポキシ、ブトキシ又はtert-ブトキシが含まれる。
【0031】
「C3~6シクロアルキル」は、本発明において言及するように、任意に非置換であり
得るか、又は一置換若しくは多置換され得る、3~6つの炭素原子を有する飽和及び不飽
和(しかし、芳香族ではない)環状炭化水素を意味すると理解される。シクロアルキルラ
ジカルについての例は、好ましくは、これらに限定されないが、シクロプロピル、シクロ
ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルを含む。シクロアルキルラジカルは、本発明に
おいて定義するように、ハロゲン原子、分岐状若しくは非分岐状C1~6-アルキル、分
岐状若しくは非分岐状C1~6-アルコキシ、C1~6-ハロアルコキシ、C1~6-ハ
ロアルキル、トリハロアルキル又はヒドロキシル基から独立に選択される置換基によって
任意に一置換又は多置換されている。
【0032】
シクロアルキルアルキル基/ラジカルC1~6は、本発明において定義するように、シ
クロアルクリル基に結合されている、上記に定義するように1~6つの原子の分岐状又は
非分岐状の任意に少なくとも一置換されているアルキル鎖を含む。シクロアルキルアルキ
ルラジカルは、アルキル鎖を介して分子に結合されている。好ましいシクロアルキルアル
キル基/ラジカルは、シクロプロピルメチル基又はシクロペンチルプロピル基であり、こ
こで、アルキル鎖は、任意に分岐状であるか又は置換されている。シクロアルキルアルキ
ル基/ラジカルについての好ましい置換基は、本発明によれば、ハロゲン原子、分岐状若
しくは非分岐状C1~6-アルキル、分岐状若しくは非分岐状C1~6-アルコキシ、C
1~6-ハロアルコキシ、C1~6-ハロアルキル、トリハロアルキル又はヒドロキシル
基から独立に選択される。
【0033】
「ヘテロシクロアルキル」は、本発明において言及するように、任意に非置換であり得
るか、又は一置換若しくは多置換され得、且つそれらの構造においてN、O又はSから選
択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する、飽和及び不飽和の(しかし、芳香族では
ない)、一般に5員又は6員の環状炭化水素を意味すると理解される。ヘテロシクロアル
キルラジカルについての例は、好ましくは、これらに限定されないが、ピロリン、ピロリ
ジン、ピラゾリン、アジリジン、アゼチジン、テトラヒドロピロール、オキシラン、オキ
セタン、ジオキセタン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキ
ソラン、オキサゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、アゼパン又はジアゼパ
ンを含む。ヘテロシクロアルキルラジカルは、本発明において定義するように、ハロゲン
原子、分岐状若しくは非分岐状C1~6-アルキル、分岐状若しくは非分岐状C1~6-
アルコキシ、C1~6-ハロアルコキシ、C1~6-ハロアルキル、トリハロアルキル又
はヒドロキシル基から独立に選択される置換基によって任意に一置換又は多置換されてい
る。より好ましくは、ヘテロシクロアルキルは、本発明に関連して、任意に少なくとも一
置換されている5員又は6員環系である。
【0034】
ヘテロシクロアルキルアルキル基/ラジカルC1~6は、本発明において定義するよう
に、シクロアルクリル基に結合されている、上記に定義するような1~6つの原子の直鎖
状又は分岐状の任意に少なくとも一置換されているアルキル鎖を含む。ヘテロシクロアル
キルアルキルラジカルは、アルキル鎖を介して分子に結合されている。好ましいヘテロシ
クロアルキルアルキル基/ラジカルは、ピペリジンエチル基又はピペラジニルメチル基で
あり、ここで、アルキル鎖は、任意に分岐状であるか、又は置換されている。シクロアル
キルアルキル基/ラジカルについての好ましい置換基は、本発明によれば、ハロゲン原子
、分岐状若しくは非分岐状C1~6-アルキル、分岐状若しくは非分岐状C1~6-アル
コキシ、C1~6-ハロアルコキシ、C1~6-ハロアルキル、トリハロアルキル又はヒ
ドロキシル基から独立に選択される。
【0035】
「アリール」は、本発明において言及するように、少なくとも1つの芳香族環を有する
が、環の1つのみにおいてさえヘテロ原子を有さない環系を意味すると理解される。これ
らのアリールラジカルは、ハロゲン原子、分岐状若しくは非分岐状C1~6-アルキル、
分岐状若しくは非分岐状C1~6-アルコキシ、C1~6-ハロアルコキシ、C1~6-
ハロアルキル又はヒドロキシル基から独立に選択される置換基によって任意に一置換又は
多置換され得る。アリールラジカルの好ましい例は、他に定義されない場合、これらに限
定されないが、任意に一置換又は多置換され得るフェニル、ナフチル、フルオランテニル
、フルオレニル、テトラリニル、インダニル又はアントラセニルラジカルを含む。より好
ましくは、アリールは、本発明に関連して、任意に少なくとも一置換されている6員環系
である。
【0036】
アリールアルキルラジカルC1~6は、本発明において定義するように、アリール基に
結合されている、上記に定義するような1~6つの炭素原子の分岐状又は非分岐状の任意
に少なくとも一置換されているアルキル鎖を含む。アリールアルキルラジカルは、アルキ
ル鎖を介して分子に結合されている。好ましいアリールアルキルラジカルは、ベンジル基
又はフェネチル基であり、ここで、アルキル鎖は、任意に分岐状であるか、又は置換され
ている。アリールアルキルラジカルについての好ましい置換基は、本発明によれば、ハロ
ゲン原子、分岐状若しくは非分岐状C1~6-アルキル、分岐状若しくは非分岐状C1~
6-アルコキシ、C1~6-ハロアルコキシ、C1~6-ハロアルキル、トリハロアルキ
ル又はヒドロキシル基から独立に選択される。
【0037】
「ヘテロアリール」は、本発明において言及するように、少なくとも1つの芳香族環を
有し、且つN、O又はSからなる群からの1つ又は複数のヘテロ原子を含有し、且つ任意
に、ハロゲン原子、分岐状若しくは非分岐状C1~6-アルキル、分岐状若しくは非分岐
状C1~6-アルコキシ、C1~6-ハロアルコキシ、C1~6-ハロアルキルトリハロ
アルキル又はヒドロキシル基から独立に選択される置換基で一置換又は多置換され得る複
素環式環系を意味すると理解される。ヘテロアリールの好ましい例は、これらに限定され
ないが、フラン、ベンゾフラン、ピロール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジ
ン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、トリアゾール、ピラゾール、イソオキサゾー
ル、インドール、ベンゾトリアゾール、ベンゾジオキソラン、ベンゾジオキサン、ベンゾ
イミダゾール、カルバゾール及びキナゾリンを含む。より好ましくは、ヘテロアリールは
、本発明に関連して、任意に少なくとも一置換されている5員又は6員環系である。
【0038】
ヘテロアリールアルキル基/ラジカルC1~6は、本発明において定義するように、ヘ
テロアリール基に結合されている、上記に定義するような1~6つの炭素原子の直鎖状又
は分岐状の任意に少なくとも一置換されているアルキル鎖を含む。ヘテロアリールアルキ
ルラジカルは、アルキル鎖を介して分子に結合されている。好ましいヘテロアリールアル
キルラジカルは、ピリジニルメチル基であり、ここで、アルキル鎖は、任意に分岐状であ
るか、又は置換されている。ヘテロアリールアルキルラジカルについての好ましい置換基
は、本発明によれば、ハロゲン原子、分岐状若しくは非分岐状C1~6-アルキル、分岐
状若しくは非分岐状C1~6-アルコキシ、C1~6-ハロアルコキシ、C1~6-ハロ
アルキル、トリハロアルキル又はヒドロキシル基から独立に選択される。
【0039】
「複素環式環」又は「複素環系」は、本発明において定義するように、任意に少なくと
も一置換されており、且つ環員として少なくとも1つのヘテロ原子を含有する任意の飽和
、不飽和又は芳香族の炭素環式環系を含む。これらのヘテロシクリル基についての好まし
いヘテロ原子は、N、S又はOである。ヘテロシクリルラジカルについての好ましい置換
基は、本発明によれば、F、Cl、Br、I、NH2、SH、OH、SO2、CF3、カ
ルボキシ、アミド、シアノ、カルバミル、ニトロ、フェニル、ベンジル、-SO2NH2
、分岐状若しくは非分岐状C1~6アルキル及び/又は分岐状若しくは非分岐状C1~6
-アルコキシである。
【0040】
用語「C1~3アルキレン」は、二価のアルキル基、例えば-CH2-、又は-CH2
-CH2-、又は-CH2-CH2-CH2-を意味すると理解される。
【0041】
用語「縮合した」は、本発明によると、環又は環系が別の環又は環系に付着されている
ことを意味し、それにより、用語「環生成された」又は「環状とされた」は、この種類の
付着を命名するためにも当業者によって使用される。
【0042】
用語「環系」は、本発明によると、接続された原子の少なくとも1つの環からなるが、
また接続された原子の2つ又はそれより多い環が接合している系を含む有機系を指し、こ
こで、「接合した」は、それぞれの環が、両方の接合した環の員である1つ(スピロ構造
のような)、2つ又はそれより多い原子を共有していることを意味する。このように定義
された「環系」は、環員として任意に少なくとも1つのヘテロ原子を含有し、且つ任意に
少なくとも一置換されている飽和、不飽和又は芳香族の炭素環式環を含み、他の炭素環式
環系、例えばアリールラジカル、ヘテロアリールラジカル、シクロアルキルラジカルなど
に接合し得る。
【0043】
用語「縮合した」、「環生成された」又は「環状にされた」は、この種類の接合を命名
するためにも当業者によって使用される。
【0044】
用語「塩」は、本発明による活性化合物の任意の形態を意味すると理解され、ここでは
、これは、イオン形態を想定するか、又は帯電しており、且つ対イオン(カチオン若しく
はアニオン)とカップリングしているか、又は溶液中にある。これにより、他の分子及び
イオンとの活性化合物の複合体、特にイオン相互作用を介して複合体化される複合体であ
るとも理解される。この定義は、特に生理学的に許容される塩を含み、この用語は、「薬
理学的に許容される塩」と均等であると理解されなければならない。
【0045】
用語「薬学的に許容される塩」は、本発明に関連して、処置のために適当な様式で使用
され、特にヒト及び/又は哺乳動物において適用又は使用されるとき、生理学的に許容さ
れる任意の塩を意味する(通常、特に対イオンの結果として、これが有毒でないことを意
味する)。これらの生理学的に許容される塩は、カチオン又は塩基と共に形成され得、本
発明に関連して、本発明によって使用される少なくとも1種の化合物、通常、(脱プロト
ン化された)酸、例えばアニオンと、特にヒト及び/又は哺乳動物に対して使用されると
き、生理学的に許容される少なくとも1つのカチオン、好ましくは無機カチオンとによっ
て形成される塩であると理解される。アルカリ金属及びアルカリ土類金属との塩が特に好
ましく、アンモニウムカチオン(NH4
+)と形成される塩も特に好ましい。好ましい塩
は、(モノ)若しくは(ジ)ナトリウム、(モノ)若しくは(ジ)カリウム、マグネシウ
ム又はカルシウムと共に形成されるものである。これらの生理学的に許容される塩は、ア
ニオン又は酸と共にも形成され得、本発明に関連して、通常、例えば窒素中において、プ
ロトン化された本発明によって使用される少なくとも1種の化合物、例えばカチオンと、
特にヒト及び/又は哺乳動物に対して使用されるとき、生理学的に許容される少なくとも
1つのアニオンとによって形成される塩であると理解される。この定義は、特に、本発明
に関連して、特にヒト及び/又は哺乳動物に対して使用されるとき、生理学的に許容され
る酸によって形成される塩、すなわち生理学的に許容される有機酸又は無機酸との特定の
活性化合物の塩を含む。このタイプの塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホ
ン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデル酸、フマル酸、乳
酸又はクエン酸と共に形成されるものである。
【0046】
用語「溶媒和物」は、この化合物が非共有結合を介して別の分子(最も可能性が高くは
極性溶媒)に付着している、本発明による活性化合物の任意の形態を意味すると理解され
、特に水和物及びアルコラート、例えばメタノラートを含む。
【0047】
用語「プロドラッグ」は、その最も広範な意味で使用され、インビボで本発明の化合物
に変換されるそれらの誘導体を包含する。このような誘導体は、当業者に容易に想定され
得、分子中に存在する官能基により、及びこれらに限定されないが、本発明の化合物の下
記の誘導体:エステル、アミノ酸エステル、リン酸エステル、金属塩スルホン酸エステル
、カルバメート及びアミドを含む。所与の作用化合物のプロドラッグを生成する周知の方
法の例は、当業者に公知であり、例えばKrogsgaard-Larsen et a
l.“Textbook of Drug design and Discovery
”Taylor&Francis (april 2002)において見出すことができ
る。
【0048】
一般式(I)の化合物のプロドラッグである任意の化合物は、本発明の範囲内である。
特に好まれるプロドラッグは、(例えば、経口的に投与された化合物が血液中により容易
に吸収されることを可能とすることによって)このような化合物が患者に投与されたとき
、本発明の化合物のバイオアベイラビリティーを増加させるか、又は親種に対して生物学
的コンパートメント(例えば、脳又はリンパ系)への親化合物の送達を増進させるもので
ある。
【0049】
本発明の特定の且つ好ましい実施形態では、R1は、C1~6アルキルラジカル、より
好ましくはC1~4アルキルラジカル、さらにより好ましくはメチル基である。
【0050】
本発明の別の特定の且つ好ましい実施形態では、R2は、水素原子;分岐状若しくは非
分岐状C1~6アルコキシラジカル、好ましくはメトキシ;-NR2aR2b(ここで、
R2a及びR2bは、水素原子;分岐状若しくは非分岐状C1~6アルキルラジカル、好
ましくはメチル、エチル、イソプロピル又はイソブチルから独立に選択される)である。
【0051】
本発明のまた特定の実施形態では、R2は、水素原子;メトキシラジカル、-NH2ラ
ジカル;又は-NHCH2CH3ラジカルを表す。
【0052】
本発明の別の特定の且つ好ましい実施形態では、Zは、-CH-又は-N-である。
【0053】
本発明の別の特定の且つ好ましい実施形態では、R3は、-(CH2)p-O-R4ラ
ジカル(ここで、pは、0、1又は2であり、より好ましくは、pは、0である)である
。
【0054】
本発明の別の特定の且つ好ましい実施形態では、R4は、-CHR4aR4bラジカル
である。
【0055】
本発明の別の特定の且つ好ましい実施形態では、R4aは、少なくとも1つのハロゲン
原子、より好ましくはフッ素によって任意に置換されている6員アリール基、より好まし
くはフェニルである。
【0056】
本発明の別の特定の且つ好ましい実施形態では、R4bは、-(CH2)j-NR4b
’R4b’’ラジカル(ここで、j=2である)であり、R4b’及びR4b’’は、互
いに独立に、水素原子又は分岐状若しくは非分岐状C1~6アルキルラジカル、より好ま
しくはメチルである。
【0057】
本発明の別の特定の且つ好ましい実施形態では、R3は、パラ位にある。
【0058】
本発明の別の特定の且つ好ましい実施形態では、R5は、分岐状若しくは非分岐状C1
~6アルキルラジカル、好ましくはメチル;又はハロゲン原子、好ましくはフッ素若しく
は塩素である。
【0059】
本発明の別の特定の且つ好ましい実施形態では、Zが-CRx-又は-CH-であると
き、R4aは、少なくとも1つのハロゲン原子によって任意に置換されている6員アリー
ル基である。
【0060】
本発明の特定の好ましい実施形態は、一般式(I’a):
【化3】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
5、Z及びXは、上記で定義されている通りであり、ただ
し、Zが-CH-であるとき、R
3は、-(CH
2)
p-O-R
4ラジカルであり、及び
R
4は、-CHR
4aR
4bラジカルであり、R
4aは、少なくとも1つのハロゲン原子
によって任意に置換されている6員アリール基である)
の化合物又はその薬学的に許容される塩、異性体、プロドラッグ若しくは溶媒和物によっ
て表される。
【0061】
本発明のまたより特に好ましい実施形態は、一般式(I’a):
【化4】
(式中、
R
1は、C
1~6アルキルラジカル、より好ましくはC
1~4アルキルラジカル、さらに
より好ましくはメチル基であり、
R
2は、水素原子;分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルコキシラジカル、好ましくはメ
トキシ;-NR
2aR
2b(ここで、R
2a及びR
2bは、水素原子;分岐状若しくは非
分岐状C
1~6アルキルラジカル、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル又はイソブ
チルから独立に選択される)であり、より好ましくは、R
2は、水素原子;メトキシラジ
カル、-NH
2ラジカル;又は-NHCH
2CH
3ラジカルを表し、
Zは、-CH-又は-N-であり、
R
3は、-(CH
2)
p-O-R
4ラジカル(ここで、pは、0、1又は2であり、より
好ましくは、pは、0である)であり、
R
4は、-CHR
4aR
4bラジカルであり、
R
4aは、少なくとも1つのハロゲン原子、より好ましくはフッ素によって任意に置換さ
れている6員アリール基、より好ましくはフェニルであり、
R
4bは、-(CH
2)
j-NR
4b’R
4b’’ラジカル(ここで、j=2である)で
あり、R
4b’及びR
4b’’は、互いに独立に、水素原子又は分岐状若しくは非分岐状
C
1~6アルキルラジカル、より好ましくはメチルであり、
R
5は、分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルキルラジカル、好ましくはメチル;又はハ
ロゲン原子、好ましくはフッ素若しくは塩素であり、
ただし、Zが-CH-であるとき、R
4aは、少なくとも1つのハロゲン原子によって任
意に置換されている6員アリール基である)
の化合物又はその薬学的に許容される塩、異性体、プロドラッグ若しくは溶媒和物によっ
て表される。
【0062】
本発明の特に及びより好ましい実施形態は、一般式(I’b):
【化5】
(式中、R
1、R
2、R
5、Z及びXは、上記で定義されている通りである)
の化合物又はその薬学的に許容される塩、異性体、プロドラッグ若しくは溶媒和物によっ
て表される。
【0063】
本発明のまたより特に且つより好ましい実施形態は、一般式(I’b)
【化6】
(式中、
R
1は、C
1~6アルキルラジカル、より好ましくはC
1~4アルキルラジカル、さらに
より好ましくはメチル基であり、
R
2は、水素原子;分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルコキシラジカル、好ましくはメ
トキシ;-NR
2aR
2b(ここで、R
2a及びR
2bは、水素原子;分岐状若しくは非
分岐状C
1~6アルキルラジカル、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル又はイソブ
チルから独立に選択される)であり、より好ましくは、R
2は、水素原子;メトキシラジ
カル、-NH
2ラジカル;又は-NHCH
2CH
3ラジカルを表し、
Zは、-CH-又は-N-であり、
R
5は、分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルキルラジカル、好ましくはメチル;又はハ
ロゲン原子、好ましくはフッ素若しくは塩素である)
の化合物又はその薬学的に許容される塩、異性体、プロドラッグ若しくは溶媒和物によっ
て表される。
【0064】
本発明の特に及びより好ましい実施形態は、一般式(I’b2):
【化7】
(式中、R
1、R
2、R
5、Z及びXは、上記で定義されている通りである)
の化合物又はその薬学的に許容される塩、異性体、プロドラッグ若しくは溶媒和物によっ
て表される。
【0065】
本発明のまたより特に且つより好ましい実施形態は、一般式(I’b2)
【化8】
(式中、
R
1は、C
1~6アルキルラジカル、より好ましくはC
1~4アルキルラジカル、さらに
より好ましくはメチル基であり、
R
2は、水素原子;分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルコキシラジカル、好ましくはメ
トキシ;-NR
2aR
2b(ここで、R
2a及びR
2bは、水素原子;分岐状若しくは非
分岐状C
1~6アルキルラジカル、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル又はイソブ
チルから独立に選択される)であり、より好ましくは、R
2は、水素原子;メトキシラジ
カル、-NH
2ラジカル;又は-NHCH
2CH
3ラジカルを表し、
Zは、-CH-又は-N-であり、
R
5は、分岐状若しくは非分岐状C
1~6アルキルラジカル、好ましくはメチル;又はハ
ロゲン原子、好ましくはフッ素若しくは塩素である)
の化合物又はその薬学的に許容される塩、異性体、プロドラッグ若しくは溶媒和物によっ
て表される。
【0066】
好ましい実施形態では、R1は、メチルである。
【0067】
好ましい実施形態では、R2は、水素、-NH2、NH-エチル又は-O-メチルであ
る。
【0068】
好ましい実施形態では、R2a及びR2bは、互いに独立に、水素又はエチルであり、
より好ましくは、R2aは、水素である一方、R2bは、水素又はエチルであり、より好
ましくは、R2aは、水素である一方、R2bは、エチルであり、より好ましくは、R2
a及びR2bは、両方とも水素である。
【0069】
好ましい実施形態では、pは、0である。
【0070】
好ましい実施形態では、R4aは、少なくとも1つのハロゲン原子によって任意に置換
されているフェニル又はチオフェニルである。
【0071】
好ましい実施形態では、R4bは、-(CH2)2-NHCH3である。
【0072】
好ましい実施形態では、R5は、メチル、フッ素又は塩素である。
【0073】
好ましい実施形態では、Rxは、メチル、フッ素又は塩素である。
【0074】
好ましい実施形態では、Yは、C=Oである。
【0075】
好ましい実施形態では、mは、1である。
【0076】
上記の式(I)によって表される本発明の化合物は、キラル中心の存在に応じたエナン
チオマー又は二重結合(例えば、Z、E)の存在に応じて異性体を含み得る。単一の異性
体、エナンチオマー又はジアステレオ異性体及びこれらの混合物は、本発明の範囲内に入
る。
【0077】
本発明の特定の好ましい実施形態では、電位作動型カルシウムチャネル(VGCC)の
α2δ-1サブユニット及びノルアドレナリン輸送体(NET)に対して二重親和性を示
す一般式(I)の化合物は、
[1](S)-1-メチル-4-(2-メチル-4-(3-(メチルアミノ)-1-フェ
ニルプロポキシ)ベンジル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ピリド[4,3-
e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[2](S)-2-メトキシ-9-メチル-6-(2-メチル-4-(3-(メチルアミ
ノ)-1-フェニルプロポキシ)ベンジル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピ
リミド[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[3](S)-9-メチル-6-(2-メチル-4-(3-(メチルアミノ)-1-フェ
ニルプロポキシ)ベンジル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[4,5
-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[4](S)-2-アミノ-6-(2-クロロ-4-(3-(メチルアミノ)-1-フェ
ニルプロポキシ)ベンジル)-9-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピリ
ミド[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[5](S)-6-(2-クロロ-4-(3-(メチルアミノ)-1-フェニルプロポキ
シ)ベンジル)-2-(エチルアミノ)-9-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-
5H-ピリミド[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[6](S)-2-(エチルアミノ)-6-((3-フルオロ-5-(1-(3-フルオ
ロフェニル)-3-(メチルアミノ)プロポキシ)ピリジン-2-イル)メチル)-9-
メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[4,5-e][1,4]ジア
ゼピン-5-オン;
[7](S)-2-アミノ-6-((3-フルオロ-5-(1-(3-フルオロフェニル
)-3-(メチルアミノ)プロポキシ)ピリジン-2-イル)メチル)-9-メチル-6
,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5
-オン;
[8](S)-4-(2-フルオロ-4-(3-(メチルアミノ)-1-フェニルプロポ
キシ)ベンジル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ピリド[4,3
-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[9](S)-6-(2-フルオロ-4-(3-(メチルアミノ)-1-フェニルプロポ
キシ)ベンジル)-2-メトキシ-9-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-
ピリミド[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[10](S)-6-(2-フルオロ-4-(3-(メチルアミノ)-1-フェニルプロ
ポキシ)ベンジル)-9-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[4
,5-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[11](S)-2-アミノ-6-(2-フルオロ-4-(3-(メチルアミノ)-1-
フェニルプロポキシ)ベンジル)-9-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-
ピリミド[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[12](S)-4-(2-フルオロ-4-(3-(メチルアミノ)-1-フェニルプロ
ポキシ)ベンジル)-8-メトキシ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H
-ピリド[4,3-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[13](R)-2-(エチルアミノ)-6-(2-フルオロ-4-(1-(3-フルオ
ロフェニル)-3-(メチルアミノ)プロポキシ)ベンジル)-9-メチル-6,7,8
,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5-オン、
及び
[14](S)-2-(エチルアミノ)-6-(2-フルオロ-4-(1-(3-フルオ
ロフェニル)-3-(メチルアミノ)プロポキシ)ベンジル)-9-メチル-6,7,8
,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5-オン
又はその薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物から選択される。
【0078】
本発明の特定の好ましい実施形態では、電位作動型カルシウムチャネル(VGCC)の
α2δ-1サブユニット及びノルアドレナリン輸送体(NET)に対して二重親和性を示
す一般式(I)の化合物は、
[1](S)-1-メチル-4-(2-メチル-4-(3-(メチルアミノ)-1-フェ
ニルプロポキシ)ベンジル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ピリド[4,3-
e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[2](S)-2-メトキシ-9-メチル-6-(2-メチル-4-(3-(メチルアミ
ノ)-1-フェニルプロポキシ)ベンジル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピ
リミド[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[3](S)-9-メチル-6-(2-メチル-4-(3-(メチルアミノ)-1-フェ
ニルプロポキシ)ベンジル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[4,5
-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[4](S)-2-アミノ-6-(2-クロロ-4-(3-(メチルアミノ)-1-フェ
ニルプロポキシ)ベンジル)-9-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピリ
ミド[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[5](S)-6-(2-クロロ-4-(3-(メチルアミノ)-1-フェニルプロポキ
シ)ベンジル)-2-(エチルアミノ)-9-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-
5H-ピリミド[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[6](S)-2-(エチルアミノ)-6-((3-フルオロ-5-(1-(3-フルオ
ロフェニル)-3-(メチルアミノ)プロポキシ)ピリジン-2-イル)メチル)-9-
メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[4,5-e][1,4]ジア
ゼピン-5-オン;
[7](S)-2-アミノ-6-((3-フルオロ-5-(1-(3-フルオロフェニル
)-3-(メチルアミノ)プロポキシ)ピリジン-2-イル)メチル)-9-メチル-6
,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5
-オン;
[8](S)-4-(2-フルオロ-4-(3-(メチルアミノ)-1-フェニルプロポ
キシ)ベンジル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ピリド[4,3
-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[9](S)-6-(2-フルオロ-4-(3-(メチルアミノ)-1-フェニルプロポ
キシ)ベンジル)-2-メトキシ-9-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-
ピリミド[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[10](S)-6-(2-フルオロ-4-(3-(メチルアミノ)-1-フェニルプロ
ポキシ)ベンジル)-9-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[4
,5-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[11](S)-2-アミノ-6-(2-フルオロ-4-(3-(メチルアミノ)-1-
フェニルプロポキシ)ベンジル)-9-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-
ピリミド[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[12](S)-4-(2-フルオロ-4-(3-(メチルアミノ)-1-フェニルプロ
ポキシ)ベンジル)-8-メトキシ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H
-ピリド[4,3-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[13](R)-2-(エチルアミノ)-6-(2-フルオロ-4-(1-(3-フルオ
ロフェニル)-3-(メチルアミノ)プロポキシ)ベンジル)-9-メチル-6,7,8
,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5-オン、
及び
[14](S)-2-(エチルアミノ)-6-(2-フルオロ-4-(1-(3-フルオ
ロフェニル)-3-(メチルアミノ)プロポキシ)ベンジル)-9-メチル-6,7,8
,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5-オン;
[15](S)-4-((3-フルオロ-5-(3-(メチルアミノ)-1-(チオフェ
ン-2-イル)プロポキシ)ピリジン-2-イル)メチル)-8-メトキシ-1-メチル
-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ピリド[4,3-e][1,4]ジアゼピン-
5-オン
又はその薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物から選択される。
【0079】
別の態様において、本発明は、一般式(I)の化合物を得るための方法を指す。いくつ
かの手順は、本発明の全ての化合物を得るために開発されてきたが、手順を方法A、B、
C、D及びEにおいて下記で説明する。
【0080】
得られた反応生成物は、必要に応じて、従来の方法、例えば結晶化及びクロマトグラフ
ィーによって精製され得る。本発明の化合物の調製のための以下に記載される方法が立体
異性体の混合物を生じさせる場合、これらの異性体は、従来の技術、例えば分取クロマト
グラフィーによって分離され得る。キラル中心が存在する場合、化合物は、ラセミ体で調
製され得るか、又は個々のエナンチオマーは、エナンチオ特異的合成若しくは分割によっ
て調製され得る。
【0081】
方法A
方法Aは、一般式(I)による化合物を合成するための第1の方法を表す。方法Aは、
一般式(IA)の化合物、すなわち一般式(I)(式中、mは、0である)の化合物の調
製を可能とする。これらは、一般式(IA)の化合物を得るための2つの方法、すなわち
方法A1及びA2について説明する。
【0082】
方法A1
一般式(IA)
【化9】
(式中、Yは、-C(O)-を表す)
の化合物の調製のための方法であって、式(IIa):
【化10】
の化合物と、式(IIIa):
【化11】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
5、Z及びXは、上記で定義されている通りであり、Yは
、-C(O)-であり、及びQは、良好な脱離基、例えばハロゲンである)
の化合物との反応を含む方法について説明する。
【0083】
カップリング反応は、触媒として銅塩、好ましくはCuI、適当なリガンド、好ましく
はN1,N2-ジメチルエタン-1,2-ジアミン及び無機塩基、好ましくはK3PO4
又はK2CO3の存在下、有機溶媒、好ましくは1,4-ジオキサン又はN,N-ジメチ
ルホルムアミド(DMF)中、80~130℃の温度範囲において行われる。
【0084】
方法A2
一般式(IA)
【化12】
(式中、Yは、-CH
2-を表す)
の化合物の調製のためのさらなる代替の方法であって、一般式(IIb)
【化13】
の化合物と、式(IIIa):
【化14】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
5、Z及びXは、上記で定義されている通りであり、及び
Qは、良好な脱離基、例えばハロゲンである)
の化合物との反応を含む方法。
【0085】
カップリング反応は、Pd触媒、好ましくはPd2(dba)3及び適切なリガンド、
好ましくは2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフ
ェニル(Xphos)又は4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキ
サンテン(tBu-キサントホス)の存在下、塩基、好ましくはKOtBu又はCs2C
O3の存在下、有機溶媒、好ましくはトルエン又は1,4-ジオキサン中、50~140
℃の温度範囲において行われる。
【0086】
方法B
方法Bは、一般式(I)による化合物を合成するための第2の方法を表す。方法Bは、
一般式(I)(式中、mは、1又は2である)の化合物である一般式(IB)の化合物の
調製を可能とする。これらは、一般式(IB)の化合物を得るための2つの方法、すなわ
ち方法B1及びB2について説明する。
【0087】
方法B1
一般式(IB)
【化15】
(式中、Yは、-C(O)-である)
の化合物の調製のための方法であって、式(IIa):
【化16】
の化合物と、式(IIIb):
【化17】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
5、Z及びXは、上記で定義されている通りであり、mは
、1又は2であり、Yは、-C(O)-であり、及びQは、良好な脱離基、例えばハロゲ
ン又はスルホネートである)
の化合物との反応を含む方法について説明する。
【0088】
カップリング反応は、塩基、好ましくはNaHの存在下、有機溶媒、好ましくはテトラ
ヒドロフラン(THF)又はDMF中、0~100℃の温度範囲において行われる。代わ
りに、ヨウ化テトラブチルアンモニウムの存在下におけるものである。
【0089】
方法B2
一般式(IB)
【化18】
(式中、Yは、-CH
2-を表す)
の化合物の調製のためのさらなる代替の方法であって、一般式(IIb)
【化19】
の化合物と、式(IIIb):
【化20】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
5、Z及びXは、上記で定義されている通りであり、mは
、1又は2であり、Yは、-CH
2-であり、及びQは、良好な脱離基、例えばハロゲン
又はスルホネートである)
の化合物との反応を含む方法。
【0090】
アルキル化反応は、塩基、好ましくはNaH又はK2CO3の存在下、有機溶媒、好ま
しくはTHF、DMF又はアセトニトリル(ACN)中、0~100℃の温度範囲におい
て行われる。
【0091】
方法C
一般式(I)
【化21】
(式中、Yは、-CH2-である)
の化合物の調製のためのさらなる代替の方法であって、一般式(IIb):
【化22】
の化合物と、一般式(IV):
【化23】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
5、Z及びXは、上記で定義されている通りであり、Yは
、-CH2-であり、及びnは、0又は1である)
のアルデヒドとの反応を含む方法。
【0092】
還元的アミノ化反応は、還元性試薬、好ましくはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウ
ムの存在下、塩基、好ましくはジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)又はトリエチ
ルアミン(TEA)の存在下、有機溶媒、好ましくは1,2-ジクロロエタン(DCE)
中で行われる。
【0093】
下記のスキーム1は、方法A(A1及びA2を含む)、B(B1及びB2を含む)並び
にCの合成経路を要約する。
【0094】
【化24】
方法D
方法Dは、一般式(IC):
【化25】
(式中、R
1、R
2、R
4a、R
5、X、Y、Z、m及びjは、上記で定義されている通
りであり、及びGは、-NHR
4b’であり、R
4b’は、上記で定義されている通りで
ある)
による化合物を合成するための方法であって、
a)一般式(Va):
【化26】
の化合物と、一般式(Ia)又は(Ib):
【化27】
(式中、R
1、R
2、R
4a、R
5、X、Y、Z、G、m及びjは、上記で定義されてい
る通りであり、及びLGは、脱離基(例えば、クロロ、ブロモ、ヨード、メシレート、ト
シレート、ノシラート又はトリフレート)を表す)
の化合物との間の反応を含む方法を表す。
【0095】
一般式(Va)のアルコールと一般式(Ia)の化合物との反応は、光延条件下、アゾ
化合物、例えば1,1’-(アゾジカルボニル)ジピペリジン(ADDP)、ジイソプロ
ピルアゾジカルボキシレート(DIAD)又はアゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)及
びホスフィン、例えばトリブチルホスフィン又はトリフェニルホスシンの存在下、適切な
溶媒、例えばトルエン又はTHF中、0℃~還流温度に含まれる適切な温度、好ましくは
室温において行われるか、又は代わりに、反応は、マイクロ波反応器において行われ得る
。
【0096】
一般式(Va)のアルコールと一般式(Ib)の化合物との反応は、芳香族求核置換条
件下、強塩基、例えばNaH又はKOtBuの存在下、適切な溶媒、例えば極性非プロト
ン性溶媒、好ましくはDMF、ジメチルアセトアミド(DMA)又はDMSO中;室温~
還流温度に含まれる適切な温度において好ましくは加熱することによって行われる。代わ
りに、反応は、マイクロ波反応器において行われ得る。代わりに、LGがトリフレート、
ブロモ又はヨードであるとき、一般式(Ib)の化合物は、a)クロスカップリング条件
下でPd若しくはCu触媒及び適切なリガンドを使用するか;又は
b)一般式(Vb)
【化28】
の化合物と、一般式(Ia)(式中、R
4a、j、G及びLGは、上記で定義されている
通りである)の化合物との間のアルキル化反応によって導入することができる。
【0097】
アルキル化反応は、塩基、例えばNaHの存在下、適切な溶媒、例えばTHF又はDM
F中、0℃~還流温度に含まれる適切な温度、好ましくは室温において行われる。
【0098】
下記のスキーム2は、方法Dの合成経路及び代替するものを要約する。
【化29】
方法E
方法Eは、方法A(A1及びA2を含む)並びに方法B(B1及びB2を含む)のため
の上記のものと同じ反応条件を使用して、一般式(IC):
【化30】
(式中、R
1、R
2、R
4a、R
5、X、Y、Z、m及びjは、上記で定義されている通
りであり、及びGは、-NHR
4b’であり、R
4b’は、上記で定義されている通りで
ある)
による化合物を合成するための代替の方法であって、一般式(IIa)又は(IIb):
【化31】
の化合物と、一般式(VIII):
【化32】
(式中、R
1、R
2、R
5、R
4a、X、G及びZは、上記に定義されているような意味
を有し、及びAは、基-(CH
2)
m-(ここで、mは、上記で定義されている通りであ
る)に変換される適切な官能基を表す)
の中間体との反応を含む方法を表す。
【0099】
一般式(VIII)の中間化合物は、方法Dのための上記のものと同じ条件を使用して
、一般式(Va)又は(Vb):
【化33】
の化合物と、一般式(VIIa)又は(VIIb):
【化34】
(式中、R
4a、R
5、Z、j、G及びLGは、上記で定義されている通りであり、及び
Aは、基-(CH
2)
m-(ここで、mは、上記で定義されている通りである)に変換さ
れる適切な官能基を表す)
の化合物とを反応させることによって得ることができる。
【0100】
下記のスキーム3は、方法Eの合成経路及び代替するものを要約する。
【化35】
式中、R
1、R
2、R
4a、R
4b’、R
5、m、j、X及びZは、上記に定義されてい
るような意味を有し、LGは、脱離基(例えば、フルオル、クロロ、ブロモ、ヨード、メ
シレート、トシレート、ノシラート又はトリフレート)を表し、及びAは、基-(CH
2
)
m-に変換される適切な官能基を表す。
【0101】
代わりに、アミノ基-NHR
4b’は、一般式(Va)-LG、(Vb)-LG又は(
IC)-LG:
【化36】
(式中、LGは、脱離基(例えば、クロロ、ブロモ、ヨード、メシレート、トシレート、
ノシラート又はトリフレート)を表す)
の化合物と、一般式(VI):
【化37】
のアミンとの反応により、合成の任意のステップにおいて組み込むことができる。
【0102】
アルキル化反応は、適切な溶媒、例えばエタノール、DMF、DMSO、ACN又は有
機溶媒及び水の混合物、好ましくはエタノール及び水の混合物中、任意に塩基、例えばK
2CO3又はTEAの存在下、室温~還流温度に含まれる適切な温度において好ましくは
加熱することによって行われる。代わりに、反応は、マイクロ波反応器において行われ得
る。さらに、活性化剤、例えばヨウ化ナトリウム又はヨウ化カリウムを使用することがで
きる。
【0103】
さらに、一般式(I)((Ia)、(Ib)、(IA)、(IB)及び(IC)形態を
含む)並びに(II)の化合物((IIa)及び(Iib)形態を含む)の官能基は、異
なる方法を使用して他の官能基に変換することができる。例として、化合物(ここで、R
2は、チオエーテルである)は、有機溶媒、好ましくはジクロロメタン(DCM)中の適
当な酸化剤、好ましくはm-クロロ過安息香酸を使用して、化合物(ここで、R2は、ス
ルホキシド又はスルホンである)に酸化することができる。これらの酸化された中間体の
それに続く反応は、異なる試薬でもたらすことができる:
a)化合物(式中、R2は、-NR2aR2bである)を提供する、水性溶媒、例えばエ
タノール及び水の混合物中での式HNR2aR2bのアミンとの反応。
b)化合物(式中、R2は、-OR2aである)を提供する、アルコール性溶媒、例えば
HOR2a中でのアルコキシド、例えば式NaOR2aのナトリウムアルコキシドとの反
応。
c)化合物(式中、R2は、OHである)を提供する、水性溶媒、例えばTHF及び水の
混合物中での水酸化ナトリウムとの反応。
d)化合物(式中、R2は、C1~6アルキルである)を提供する、有機溶媒、例えばT
HF及びジエチルエーテルの混合物中での式アルキルMgBrのグリニャール試薬との反
応。
e)化合物(式中、R2は、Hである)を提供する、有機溶媒、例えばTHF中での還元
試薬、例えばPd/C及びトリエチルシランとの反応。
【0104】
さらに、これらの基は、同じ反応条件を使用して、任意のステップにおいて、ハロゲン
置換類似体、すなわち一般式(I)((Ia)、(Ib)、(IA)、(IB)及び(I
C)形態を含む)並びに(II)の化合物((IIa)及び(IIb)形態を含む)(こ
こで、R2は、ハロゲンである)から導入することもできる。
【0105】
さらに、分子中に存在するアミノ基-NHR4b’又は他の反応性又は不安定な基を任
意の適切な保護基(P)、例えばBoc(tert-ブトキシカルボニル)又はTeoc
(2-(トリメチルシリル)エトキシカルボニル)で保護することが必要であり得る。こ
れらの保護基の導入及び除去のための手順は、当技術分野で周知であり、文献において十
分に記載されていることが見出される。例えば、有機溶媒、好ましくはDCM中、0~6
0℃の温度範囲において、ジ-tert-ブチルジカーボネート又は4-ニトロフェニル
(2-(トリメチルシリル)エチル)カーボネートを使用する。代わりに、塩基、好まし
くはDIPEA又はTEAの存在下におけるものである。Boc又はTeoc脱保護は、
任意の適切な方法、例えば適当な溶媒、例えば1,4-ジオキサン、DCM、酢酸エチル
又は有機溶媒及び水の混合物中での酸、好ましくはHCl又はトリフルオロ酢酸による処
理により;代わりに有機溶媒、好ましくはDCM中のZnBr2による処理により;代わ
りにTeoc脱保護について、代わりにマイクロ波照射下における有機溶媒、好ましくは
DMF中、20~130℃の温度範囲でのCsFとの反応によりもたらすことができる。
【0106】
上記の手順が適用される例は、一般式(Va)-P、(IC)-P、(VIII)-P
の化合物であり、ここで、G、最初に-NR4b’Pは、-NHR4b’において転換さ
れ、結果として一般式(Va)、(IC)及び(VIII)の化合物が得られる。
【0107】
一般式(Va)、(Va)-P及び(Va)-LGの化合物は、市販であるか、又は好
ましくは水素化物源を使用した対応するケトンの還元によって得ることができる。さらに
、還元は、文献に記載されている不斉条件下で行って、エナンチオピュアな形態の一般式
(Va)のキラル化合物を得ることができる。例として、キラル還元は、コーリー-バク
シ-柴田のオキサザボロリジン触媒の存在下、適切な溶媒、例えばテトラヒドロフラン又
はトルエン中において、好ましくは0℃~室温に含まれる適切な温度で水素化物源、例え
ばボラン-テトラヒドロフラン錯体又はボラン-硫化ジメチル錯体使用して行うことがで
きる。代わりに、適切な溶媒、例えばTHF中、好ましくは-40℃~室温に含まれる適
切な温度においてエナンチオピュアなB-クロロジイソピノカンフェニルボランを用いる
。
【0108】
一般式(Vb)-LGの化合物は、市販であるか、又は一般式(Va)-LGの化合物
から、参考文献に記載されている従来の方法によって得ることができる。例えば、有機溶
媒、好ましくはDCM中、塩基、好ましくはTEA又はDIPEAの存在下で0℃及び室
温の温度範囲においてメタンスルホニルクロリドを使用する。
【0109】
一般式(II)((IIa)及び(IIb)形態を含む)、(III)((IIIa)
及び(IIIb)形態を含む)、(IV)、(VI)並びに(VII)((VIIa)及
び(VIIb)形態を含む)の化合物は、市販であるか、又は参考文献に記載されている
従来の方法によって調製することができる。
【0110】
さらに、本発明の特定の化合物は、標準的な実験条件下での有機化学における周知の反
応を使用して、1つ又はいくつかのステップにおける官能基の適当な変換反応により、一
般式(I)の他の化合物から出発して得ることもできる。
【0111】
さらに、キラリティーを示す一般式(I)の化合物は、キラル分取HPLC又はジアス
テレオマー塩若しくは共結晶の結晶化により、一般式(I)のラセミ化合物の分割によっ
て得ることもできる。代わりに、分割ステップは、任意の適切な中間体を使用して従前の
段階において行うことができる。
【0112】
別の態様に転じると、本発明は、一般式(I)の化合物の治療上の使用にも関する。上
記のように、一般式(I)の化合物は、電位作動型カルシウムチャネルのサブユニットα
2δ、より好ましくはα2δ-1サブユニット及びノルアドレナリン輸送体(NET)の
両方への強い親和性を示し、アゴニスト、アンタゴニスト、インバースアゴニスト、その
部分アンタゴニスト又は部分アゴニストとして挙動することができる。したがって、一般
式(I)の化合物は、医薬として有用である。
【0113】
一般式(I)の化合物は、電位作動型カルシウムチャネルのサブユニットα2δ、特に
α2δ-1サブユニット及びノルアドレナリン輸送体(NET)によって媒介される疾患
及び/又は障害の処置及び/又は予防のために適している。この意味で、式(I)の化合
物は、疼痛、特に神経因性疼痛、炎症性疼痛並びにアロディニア及び/又は痛覚過敏が関
与する他の疼痛状態、うつ、不安並びに注意欠陥障害/多動性障害(ADHD)の処置及
び/又は予防のために適している。
【0114】
一般式(I)の化合物は、疼痛、特に神経因性疼痛、炎症性疼痛又はアロディニア及び
/若しくは痛覚過敏が関与する他の疼痛状態の処置に特に適している。疼痛は、国際疼痛
学会(IASP)により、「実際の又は潜在的な組織の損傷と関連するか、又はこのよう
な損傷に関して説明される、不快な感覚的経験及び感情面での経験と定義されている(I
ASP,Classification of chronic pain,2nd E
dition,IASP Press (2002),210)。疼痛は、常に主観的で
あるにも関わらず、その原因又はシンドロームを分類することができる。
【0115】
好ましい実施形態では、本発明の化合物は、アロディニア、さらに具体的には機械的又
は熱アロディニアの処置及び/又は予防のために使用される。
【0116】
別の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、痛覚過敏の処置及び/又は予防のため
に使用される。
【0117】
また別の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、神経因性疼痛の処置及び/又は予
防、さらに具体的には痛覚異常鋭敏症の処置及び/又は予防のために使用される。
【0118】
本発明の関連する態様は、以前に説明したように、電位作動型カルシウムチャネルのサ
ブユニットα2δ、特にα2δ-1サブユニット及び/又はノルアドレナリン輸送体(N
ET)によって媒介される障害及び疾患の処置及び/又は予防のための医薬の製造のため
の、一般式(I)の化合物の使用を指す。
【0119】
本発明の別の関連する態様は、治療的有効量の一般式(I)の化合物を、それを必要と
する対象に投与することを含む、以前に説明したような、電位作動型カルシウムチャネル
のサブユニットα2δ、特にα2δ-1サブユニット及び/又はノルアドレナリン輸送体
(NET)によって媒介される障害及び疾患の処置及び/又は予防のための方法を指す。
【0120】
本発明の別の態様は、少なくとも1種の一般式(I)の化合物又はその薬学的に許容さ
れる塩、プロドラッグ、異性体若しくは溶媒和物と、少なくとも薬学的に許容される担体
、添加物、アジュバント又はビヒクルとを含む医薬組成物である。
【0121】
本発明の医薬組成物は、電位作動型カルシウムチャネルのサブユニットα2δ、特にα
2δ-1サブユニット及びノルアドレナリン輸送体(NET)に結合する少なくとも1種
の化合物並びに任意に少なくとも1種のさらなる活性物質及び/又は任意に少なくとも1
種の補助物質を含む異なる医薬品形態で医薬として製剤化することができる。
【0122】
補助物質又は添加物は、担体、添加剤、支持材料、滑沢剤、充填剤、溶媒、賦形剤、着
色剤、フレーバーコンディショナー、例えば糖、抗酸化剤及び/又は凝着剤の中から選択
することができる。坐剤の場合、これは、非経口適用のためのワックス又は脂肪酸エステ
ル又は保存剤、乳化剤及び/又は担体を意味し得る。これらの補助材料及び/又は添加物
並びに使用する量の選択は、医薬組成物の適用の形態によって決まる。
【0123】
本発明による医薬組成物は、それが経口又は非経口、例えば肺、経鼻、直腸及び/又は
静脈内であろうと、任意の投与形態に適合することができる。
【0124】
好ましくは、組成物は、経口又は非経口投与、より好ましくは経口、静脈内、腹腔内、
筋内、皮下、くも膜下腔内、直腸、経皮的、経粘膜的又は経鼻投与のために適している。
【0125】
本発明の組成物は、好ましくは、錠剤、糖衣剤、カプセル剤、丸剤、チューインガム、
散剤、ドロップ剤、ゲル剤、ジュース、シロップ剤、溶液剤及び懸濁剤からなる群から選
択される任意の形態で経口投与のために製剤化することができる。経口投与のための本発
明の組成物は、任意に錠剤に圧縮されるか、カプセル中に充填されるか、又は適切な液体
に懸濁される多粒子状物質、好ましくは微粒子、微小錠剤、ペレット又は顆粒の形態でも
あり得る。適切な液体は、当業者に公知である。
【0126】
非経口適用のための適切な調製物は、溶液剤、懸濁剤、再構成可能な乾燥調製物又はス
プレーである。
【0127】
本発明の化合物は、経皮的適用のための溶解した形態又はパッチの付着物として製剤化
することができる。
【0128】
皮膚適用は、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、ローション剤、懸濁剤又は乳剤を含む。
【0129】
直腸適用の好ましい形態は、坐剤による。
【0130】
好ましい実施形態では、医薬組成物は、固体又は液体の経口形態である。経口投与のた
めの適切な投薬形態は、錠剤、カプセル剤、シロップ剤又は溶液剤であり得、当技術分野
において公知の通常の添加剤、例えば結合剤、例えばシロップ、アカシア、ゼラチン、ソ
ルビトール、トラガカント若しくはポリビニルピロリドン;充填剤、例えばラクトース、
糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、ソルビトール又はグリシン;打錠滑沢剤
、例えばステアリン酸マグネシウム;崩壊剤、例えばデンプン、ポリビニルピロリドン、
デンプングリコール酸ナトリウム若しくは微結晶性セルロース;又は薬学的に許容される
湿潤剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムを含有し得る。
【0131】
固体経口組成物は、ブレンド、充填又は打錠の従来の方法によって調製され得る。繰り
返しのブレンド操作を使用して、多量の充填剤を用いてそれらの組成物全体にわたって活
性剤を分布させ得る。このような操作は、当技術分野で通常である。錠剤は、例えば、湿
式又は乾式造粒によって調製し、任意に通常の薬務において周知の方法により、特に腸溶
性コーティングでコーティングすることができる。
【0132】
医薬組成物は、非経口投与、例えば適当な単位剤形での無菌溶液剤、懸濁剤又は凍結乾
燥した生成物のためにも適合され得る。適当な添加剤、例えば増量剤、緩衝剤又は界面活
性剤を使用することができる。
【0133】
記述した製剤は、標準的な方法、例えばスペイン薬局方及び米国薬局方並びに同様の参
照テキストにおいて記載又は言及されているものを使用して調製される。
【0134】
ヒト及び動物のための1日投与量は、それぞれの種又は他の要因、例えば年齢、性別、
体重又は疾病の程度などにそれらのベースを有する要因によって変化し得る。ヒトについ
ての1日投与量は、好ましくは、1~2000ミリグラム、好ましくは1~1500ミリ
グラム、より好ましくは1~1000ミリグラムの範囲の、1日当たり1回又は数回の摂
取中に投与される活性物質であり得る。
【0135】
下記の実施例は、本発明の特定の実施形態の単に例示的なものであり、決して本発明を
限定するものと見なされない。
【実施例】
【0136】
次の実施例において、中間化合物及び本発明による化合物の両方の調製を開示する。
【0137】
下記の略語を使用する。
ACN:アセトニトリル
Aq:水性
CH:シクロヘキサン
DCM:ジクロロメタン
DIAD:アゾジカルボン酸ジイソプロピル
DIBAL:ジイソブチルアルミニウムヒドリド
DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMA:N,N-ジメチルアセトアミド
EtOAc:酢酸エチル
EtOH:エタノール
Ex:実施例
h:時間
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
MeOH:メタノール
MS:質量分析法
Min:分
PPh3:トリフェニルホスフィン
Ret:保持時間
rt:室温
Sat:飽和
TBAF:フッ化テトラブチルアンモニウム
TBAI:ヨウ化テトラブチルアンモニウム
TFA:トリフルオロ酢酸
THF:テトラヒドロフラン
【0138】
HPLC-MSデータを得るために下記の方法を使用した:
方法A:カラム、Eclipse XDB-C18、4.6×150mm、5μm;流量
1mL/分;A:H2O(0.05%TFA);B:ACN;勾配:7分で5%~95%
B、均一濃度95%B、5分。
方法B:カラム、Zorbax SB-C18、2.1×50mm、1.8μm;流量0
.5mL/分;A:H2O(0.1%ギ酸);B:ACN(0.1%ギ酸);勾配:4分
で5%~95%B、均一濃度95%B、4分。
【0139】
実施例1
(S)-1-メチル-4-(2-メチル-4-(3-(メチルアミノ)-1-フェニルプ
ロポキシ)ベンジル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ピリド[4,3-e][
1,4]ジアゼピン-5-オン。
【化38】
a)(S)-4-(3-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)-1
-フェニルプロポキシ)-2-メチル安息香酸メチル。tert-ブチル(S)-(3-
ヒドロキシ-3-フェニルプロピル)(メチル)カルバメート(1.8g、6.78mm
ol)及び4-フルオロ-2-メチル安息香酸メチル(2.28g、13.57mmol
)のDMA(36mL)溶液にNaH(鉱油中の60%懸濁液、407mg、10.18
mmol)を加え、混合物をrtにおいて2.5時間撹拌した。水を加え、EtOAcで
抽出し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、真空下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフ
ィー、シリカゲル、CHから100%EtOAcの勾配による精製により、表題生成物(
1.8g、65%収率)を得た。
HPLC(方法B):保持、7.0分;ESI
+-MS m/z,436.2(M+Na
).
b)tert-ブチル(S)-(3-(4-(ヒドロキシメチル)-3-メチルフェノキ
シ)-3-フェニルプロピル)(メチル)カルバメート。Ar雰囲気下で0℃において冷
却された、ステップaにおいて得られた化合物(2.7g、6.53mmol)のトルエ
ン(13mL)溶液にDIBAL(トルエン中の1M溶液、16.3mL、16.3mm
ol)を加え、混合物をrtにおいて90分間撹拌した。EtOAc及びロッシェル塩の
飽和溶液を加え、混合物を1時間激しく撹拌した。水相を分離し、EtOAcで抽出した
。合わせた有機層をNa
2SO
4上で脱水し、濾過し、真空下で濃縮した。フラッシュク
ロマトグラフィー、シリカゲル、CHから100%EtOAcの勾配による精製により、
表題生成物(1.8g、71%収率)を得た。
HPLC(方法B):保持、6.1分;ESI
+-MS m/z,408.2(M+Na
).
c)tert-ブチル(S)-(3-(4-(クロロメチル)-3-メチルフェノキシ)
-3-フェニルプロピル)(メチル)カルバメート。0℃において冷却された、ステップ
bにおいて得られた化合物(440mg、1.14mmol)及びDIPEA(0.39
9mL、2.28mmol)のDCM(9.5mL)溶液にメタンスルホニルクロリド(
0.116mL、1.48mmol)を滴下で加え、反応混合物をrtにおいて16時間
撹拌した。冷水を加え、DCMで抽出し、冷たいNaCl飽和溶液で洗浄し、Na
2SO
4上で脱水し、濾過し、真空下で濃縮し、表題生成物を得て、これをそれ以上精製するこ
となく次のステップで使用した(445mg、97%収率)。
d)tert-ブチル(S)-メチル(3-(3-メチル-4-((1-メチル-5-オ
キソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4H-ピリド[4,3-e][1,4]ジアゼピ
ン-4-イル)メチル)フェノキシ)-3-フェニルプロピル)カルバメート。0℃にお
いて冷却された1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ピリド[4,3-e
][1,4]ジアゼピン-5-オン(200mg、1.13mmol)のDMF(9mL
)溶液にNaH(鉱油中の60%懸濁液、68mg、1.69mmol)を加え、混合物
をrtにおいて30分間撹拌した。反応混合物を0℃において再び冷却し、ステップcに
おいて得られた化合物(456mg、1.13mmol)のDMF(9mL)溶液及びT
BAI(42mg、0.11mmol)を加え、反応混合物をrtにおいて1.5時間撹
拌した。水を加え、混合物をEtOAcで抽出し、有機層をNa
2SO
4で脱水し、濾過
し、真空下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー、シリカゲル、DCMから40%
MeOHの勾配による精製により、表題生成物(338mg、55%収率)を得た。
HPLC(方法B):保持、5.2分;ESI
+-MS m/z,545.3(M+H)
.
e)表題化合物。ステップdにおいて得られた化合物(330mg、0.60mmol)
のジオキサン(1.1mL)溶液に0℃においてジオキサン(2.1mL、8.4mmo
l)中の4MのHCl溶液を加え、混合物を0℃において90分間撹拌した。反応混合物
を真空下で濃縮乾燥した。DCMを加え、10%Na
2CO
3水溶液で洗浄し、Na
2S
O
4上で脱水し、濾過し、真空下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー、シリカゲ
ル、DCM(1%Et
3Nを有する)から40%MeOHの勾配による精製により、表題
生成物(220mg、82%収率)を得た。HPLC(方法A):保持、4.72分;E
SI
+-MS m/z,445.3(M+H).
【0140】
この方法を、適切な出発材料を使用して実施例2~7の調製のために使用した。
【0141】
【0142】
【0143】
実施例8
(S)-4-(2-フルオロ-4-(3-(メチルアミノ)-1-フェニルプロポキシ)
ベンジル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ピリド[4,3-e]
[1,4]ジアゼピン-5-オン。
【化39】
a)(S)-tert-ブチル((4-(3-クロロ-1-フェニルプロポキシ)-2
-フルオロベンジル)オキシ)ジメチル-シラン。(R)-3-クロロ-1-フェニルプ
ロパン-1-オール(850mg、4.98mmol)のTHF(25mL)溶液に4-
(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-3-フルオロフェノール(
1.34g、5.23mmol)のTHF(12mL)溶液及びPPh
3(1.57g、
5.98mmol)を加えた。反応混合物を0℃において冷却し、DIAD(1.25m
L、5.98mmol)を滴下で加え、rtにおいて16時間撹拌した。反応混合物を真
空下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー、シリカゲル、CHから100%EtO
Acの勾配による精製により、表題生成物(1.30g、64%収率)を得た。
HPLC(方法B):保持、8.8分;ESI
+-MS m/z,409.1(M+H)
.
b)(S)-3-(4-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-3
-フルオロフェノキシ)-N-メチル-3-フェニルプロパン-1-アミン。ステップa
において得られた化合物(1.3g、3.18mmol)のEtOH(4mL)溶液にメ
チルアミン(水中の40%溶液、6.9mL、79mmol)を加え、混合物を密封した
チューブ中で130℃において2時間加熱した。反応混合物をrtにおいて冷却し、水を
加え、DCMで抽出し、真空下で濃縮した、表題生成物(1.18g、92%収率)を得
て、これをそれ以上精製することなく次のステップで使用した。
HPLC(方法B):保持、5.4分;ESI
+-MS m/z,404.3(M+H)
.
c)tert-ブチル(S)-(3-(4-(((tert-ブチルジメチルシリル)オ
キシ)メチル)-3-フルオロフェノキシ)-3-フェニルプロピル)(メチル)カルバ
メート。0℃において冷却された、ステップbにおいて得られた化合物(1.1g、2.
73mmol)のDCM(24mL)溶液にジ-tert-ブチルジカーボネート(65
4mg、3.0mmol)を加え、混合物をrtにおいて2時間撹拌した。水を加え、D
CMで抽出し、NaHCO
3飽和溶液で洗浄し、有機相を真空下で濃縮した。フラッシュ
クロマトグラフィー、シリカゲル、CHから100%EtOAcの勾配による精製により
、表題生成物(1.0g、77%収率)を得た。
HPLC(方法B):保持、9.2分;ESI
+-MS m/z,526.3(M+Na
).
d)tert-ブチル(S)-(3-(3-フルオロ-4-(ヒドロキシメチル)フェノ
キシ)-3-フェニルプロピル)(メチル)カルバメート。ステップcにおいて得られた
化合物(700mg、1.39mmol)のTHF(8mL)溶液にTBAF(THF中
の1M溶液、2mL、2.0mmol)を加え、混合物をrtにおいて3時間撹拌した。
水を加え、EtOAcで抽出し、有機相を真空下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフ
ィー、シリカゲル、CHから100%EtOAcの勾配による精製により、表題生成物(
496mg、92%収率)を得た。
HPLC(方法B):保持、6.1分;ESI
+-MS m/z,412.2(M+Na
).
e)tert-ブチル(S)-(3-(4-(クロロメチル)-3-フルオロフェノキシ
)-3-フェニルプロピル)(メチル)カルバメート。ステップdにおいて調製した化合
物を、実施例1ステップcにおいて使用した条件で処理し、表題化合物(98%収率)を
得て、これをそれ以上精製することなく次のステップで使用した。
HPLC(方法B):保持、7.0分;ESI
+-MS m/z,430.1(M+Na
).
f)tert-ブチル(S)-(3-(3-フルオロ-4-((1-メチル-5-オキソ
-1,2,3,5-テトラヒドロ-4H-ピリド[4,3-e][1,4]ジアゼピン-
4-イル)メチル)フェノキシ)-3-フェニルプロピル)(メチル)カルバメート。ス
テップdにおいて調製した化合物を、実施例1ステップdにおいて使用した条件で処理し
、表題化合物を得た(67%収率)。
HPLC(方法B):保持、5.3分;ESI
+-MS m/z,549.3(M+H)
.
g)表題化合物。ステップfにおいて調製した化合物を、実施例1ステップeにおいて使
用した条件で処理し、表題化合物(92%収率)を得た。
HPLC(方法A):保持、4.62分;ESI
+-MS m/z,449.2(M+H
).
【0144】
この方法は、適切な出発材料を使用して実施例9~14の調製のために使用した。
【0145】
【0146】
【0147】
実施例15
(S)-4-((3-フルオロ-5-(3-(メチルアミノ)-1-(チオフェン-2-
イル)プロポキシ)ピリジン-2-イル)メチル)-8-メトキシ-1-メチル-1,2
,3,4-テトラヒドロ-5H-ピリド[4,3-e][1,4]ジアゼピン-5-オン
。
【化40】
a)4-((3,5-ジフルオロピリジン-2-イル)メチル)-8-メトキシ-1-
メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ピリド[4,3-e][1,4]ジアゼ
ピン-5-オン。8-メトキシ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ピ
リド[4,3-e][1,4]ジアゼピン-5-オン(466mg、2.24mmol)
のDMF(9mL)溶液に0℃においてNaH(鉱油中の60%懸濁液、135mg、3
.37mmol)を加え、混合物をrtにおいて30分間撹拌した。反応混合物を0℃に
おいて冷却し、2-(クロロメチル)-3,5-ジフルオロピリジン(478mg、2.
92mmol)のDMF(9mL)溶液及びTBAI(83mg、0.22mmol)を
加え、混合物をrtにおいて温め、20時間撹拌した。水を加え、EtOAcで抽出した
。有機層をNa
2SO
4上で脱水し、濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー
、CHから100%EtOAcの勾配による精製により、表題生成物(720mg、96
%収率)を得た。
HPLC(方法B):保持、2.57分;ESI
+-MS m/z,335.1(M+H
).
b)表題化合物。(S)-3-(メチルアミノ)-1-(チオフェン-2-イル)プロパ
ン-1-オール(400mg、2.33mmol)及びステップaにおいて調製した化合
物(664mg、1.98mmol)のDMF(20mL)溶液に0℃においてKOtB
u(393mg、3.50mmol)を加え、混合物をrtにおいて20時間撹拌した。
水を加え、EtOAcで抽出した。有機層をNa
2SO
4上で脱水し、濾過し、濃縮し、
表題生成物及び位置異性体の混合物を得て、これをセミ分取HPLC:Chiralpa
k IC、250×4.6mm、5μm、MeOH:DEA(100:0.1)、1ml
/分、保持14.38分によって精製した。
HPLC(方法A):保持、4.41分;ESI
+-MS m/z,486.2(M+H
).
【0148】
生物活性の実施例
Cav2.2カルシウムチャネルのヒトα2δ-1サブユニットへの結合アッセイ。
ヒトα2δ-1が濃縮されている膜(2.5μg)を、Hepes-KOH、10mM
、pH7.4を含有するアッセイ緩衝液中の15nMの放射標識[3H]-ガバペンチン
と共にインキュベートした。NSB(非特異的結合)を、10μMのプレガバリンを加え
ることによって測定した。試験化合物の結合を1つの濃度(1若しくは10μMでの%阻
害)又は5つの異なる濃度のいずれかで測定して、親和性値(Ki)を決定した。27℃
での60分のインキュベーション後、結合反応は、真空マニフォールドステーションにお
いて0.5%ポリエチレンイミンに予浸したマルチスクリーンGF/C(Millipo
re)を通して濾過することによって終了させ、それに続いて50mMのTris-HC
l、pH7.4を含有する氷冷の濾過緩衝液で3回洗浄した。フィルタープレートを60
℃において1時間乾燥させ、放射能読取り前に30μlのシンチレーションカクテルを各
ウェルに加えた。読取りは、Trilux1450Microbeta放射能測定装置(
Perkin Elmer)において行った。
【0149】
ヒトノルエピネフリン輸送体(NET)への結合アッセイ。
ヒトノルエピネフリン輸送体(NET)が濃縮されている膜(5μg)を、50mMの
Tris-HCl、120mMのNaCl、5mMのKCl、pH7.4を含有するアッ
セイ緩衝液中の5nMの放射標識[3H]-ニソキセチンと共にインキュベートした。1
0μMのデシプラミンを加えることによってNSB(非特異的結合)を測定した。試験化
合物の結合を1つの濃度(1若しくは10μMでの%阻害)又は5つの異なる濃度のいず
れかで測定して、親和性値(Ki)を決定した。4℃での60分のインキュベーション後
、真空マニフォールドステーションにおいて0.5%ポリエチレンイミンに予浸したMu
ltiscreen GF/C(Millipore)を通して濾過することによって結
合反応を終了させ、それに続いて50mMのTris-HCl、0.9%NaCl、pH
7.4を含有する氷冷の濾過緩衝液で3回洗浄した。フィルタープレートを60℃におい
て1時間乾燥させ、放射能読取り前に30μlのシンチレーションカクテルを各ウェルに
加えた。読取りは、Trilux1450Microbeta放射能測定装置(Perk
in Elmer)において行った。
【0150】
下記のスケールは、Kiとして表現される電位作動型カルシウムチャネルのα2δ-1
サブユニットへの結合を表すために採用されてきた。
+Ki-α2δ-1≧3000nM
++500nM<Ki-α2δ-1<3000nM
+++100nM<Ki-α2δ-1<500nM
++++Ki-α2δ-1<100nM
【0151】
好ましくは、Ki(α2δ-1)>3000nMであるとき、電位作動型カルシウムチ
ャネルのα2δ-1サブユニットへの結合を表すために下記のスケールが採用されてきた
。
+Ki(α2δ-1)>3000nM又は1%~50%の阻害範囲。
【0152】
NET輸送体に関して、下記のスケールは、Kiとして表現される結合を表すために採
用されてきた。
+Ki-NET≧1000nM
++500nM<Ki-NET<1000nM
+++100nM<Ki-NET<500nM
++++Ki-NET<100nM
【0153】
好ましくは、Ki(NET)>1000nMであるとき、NET受容体への結合を表す
ために下記のスケールが採用されてきた。
+Ki(NET)>1000nM又は1%~50%の阻害範囲。
【0154】
電位作動型カルシウムチャネルのα2δ-1サブユニット及びNET輸送体についての
Ki結果を表1に示す。
【0155】
【国際調査報告】