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特表2022-506497穀類作物のためのフェノキシ除草剤およびクロキントセットを含む無害化組成物およびその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】穀類作物のためのフェノキシ除草剤およびクロキントセットを含む無害化組成物およびその方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 39/04 20060101AFI20220107BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20220107BHJP
   A01N 25/32 20060101ALI20220107BHJP
   A01P 13/00 20060101ALI20220107BHJP
   A01N 43/42 20060101ALI20220107BHJP
   A01N 43/40 20060101ALI20220107BHJP
   A01N 43/90 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
A01N39/04 A
A01N25/00 101
A01N25/32
A01P13/00
A01N43/42 101
A01N43/40 101J
A01N43/90 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523896
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(85)【翻訳文提出日】2021-06-14
(86)【国際出願番号】 US2019059015
(87)【国際公開番号】W WO2020092681
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】62/755,111
(32)【優先日】2018-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501035309
【氏名又は名称】コルテバ アグリサイエンス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100139310
【弁理士】
【氏名又は名称】吉光 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】デゲンハルト,ロリー フランク
(72)【発明者】
【氏名】マクラエ,アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AB01
4H011BA03
4H011BB06
4H011BB09
4H011BC09
(57)【要約】
本明細書で開示されるものは、除草有効量の(a)少なくとも1種のフェノキシ除草剤、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミド;(b)キノリニルオキシアセテートファミリーの化学薬品から選択される少なくとも1種の毒性緩和剤、または農学的に許容されるそれらの塩、エステルおよびアミドを含み、少なくとも1種のフェノキシ除草剤の、クロキントセットに対する重量比が、約500:1から約1:1である、無害化組成物を含む。小麦および大麦におけるフェノキシ除草剤により惹起される除草剤傷害は、クロキントセットの低比率の使用で軽減される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀類作物をフェノキシ除草剤の有害な効果から保護するための組成物であって、少なくとも1種のフェノキシ除草剤、または農学的に許容されるそれらの塩、エステルおよびアミド、およびキノリニルオキシアセテートファミリーの化学薬品から選択される毒性緩和剤、または農学的に許容されるそれらの塩、エステルおよびアミドを含み、前記少なくとも1種のフェノキシ除草剤のクロキントセットに対する重量比が、約500:1から約1:1である、組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種のフェノキシ除草剤、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミドが、2,4-D、2,4-DEHE、2,4-DDMA、2,4-Dコリン、および/または2,4-DBを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記(b)キノリニルオキシアセテートファミリーの化学薬品から選択される少なくとも1種の毒性緩和剤が、クロキントセット、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミドを含む、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記(b)少なくとも1種の毒性緩和剤が、クロキントセット酸および/またはクロキントセットメキシルを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記(b)少なくとも1種の毒性緩和剤がクロキントセットメキシルである、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記(a)の少なくとも1種のフェノキシ除草剤、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミドを含む前記組成物が、2,4-DEHE、2,4-DDMA、および/または2,4-Dコリンを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
農学的に許容される補助剤または担体をさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも1種の追加の除草剤毒性緩和剤をさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも1種の追加の除草剤をさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1種の追加の除草剤が、フルオキシピル、フルオキシピルメプチル、ハラウキシフェン、ハラウキシフェンメチルおよび/またはピロキシスラム、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミドを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
(a)と(b)との間の重量比が約200:1から約10:1である、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
穀類作物をフェノキシ除草剤の有害な効果から保護する方法であって、前記穀類作物の1葉期、2葉期、および/または3葉期の前に、請求項1~11のいずれか1項に記載の除草有効量の少なくとも1種の組成物を、前記穀類作物と接触させるか、または耕作下の区域に施用するステップを含む、方法。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか1項に記載の少なくとも1種の組成物が、3葉期の前または3葉期に施用される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記フェノキシ除草剤の有害な効果が、成長阻害、葉の奇形、上偏生長、白化、および/または成熟における遅延を含む、請求項12または請求項13に記載の方法。
【請求項15】
フェノキシ除草剤、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミドの有害な効果から穀類作物を保護する方法であって、キノリニルオキシアセテートファミリーの化学薬品から選択される少なくとも1種の毒性緩和剤を、1葉期、2葉期、および/または3葉期の前に前記穀類作物と接触させるか、または耕作下の区域に施用するステップを含み、フェノキシ除草剤、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミドの、前記毒性緩和剤に対する重量比が約500:1から1:1である、方法。
【請求項16】
前記少なくとも1種の毒性緩和剤が、3葉期の前または3葉期に施用される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記フェノキシ除草剤が、2,4-D、2,4-DEHE、2,4-DDMA、2,4-Dコリン、および/または2,4-DBを含む、請求項15~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1種の毒性緩和剤が、クロキントセット酸および/またはクロキントセットメキシルを含む、請求項15~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1種の毒性緩和剤がクロキントセットメキシルである、請求項15~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
穀類作物を、フェノキシ除草剤、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミドの有害な効果から保護する方法であって、キノリニルオキシアセテートファミリーの化学薬品から選択される少なくとも1種の毒性緩和剤を含む少なくとも1種の活性物質を、前記穀類作物の1葉期、2葉期、および/または3葉期の前に、前記穀類作物と接触させるか、または耕作下の区域に施用するステップを含み、前記フェノキシ除草剤、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミドの、前記毒性緩和剤に対する重量比が約500:1から1:1である、方法。
【請求項21】
前記少なくとも1種の毒性緩和剤が、3葉期の前または3葉期に施用される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記フェノキシ除草剤が、2,4-D、2,4-DEHE、2,4-DDMA、2,4-Dコリン、および/または2,4-DBを含む、請求項20~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1種の毒性緩和剤が、クロキントセット酸および/またはクロキントセットメキシルを含む、請求項20~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1種の毒性緩和剤がクロキントセットメキシルである、請求項20~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1種の活性物質が、フルオキシピル、フルオキシピルメプチル、ハラウキシフェン、ハラウキシフェンメチルおよびピロキシスラム、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミドからなる群から選択される少なくとも1種の除草剤を含む、請求項20~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1種の活性物質が、ハラウキシフェンメチル、ピロキシスラム、およびクロキントセット酸を含む、または前記少なくとも1種の活性物質がハラウキシフェンメチル、ピロキシスラム、およびクロキントセットメキシルを含む、請求項20~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1種の活性物質が、ハラウキシフェンメチルおよびクロキントセット酸を含む、または少なくとも1種の前記活性物質が、ハラウキシフェンメチルおよびクロキントセットメキシルを含む、請求項20~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1種の活性物質が、ピロキシスラムおよびクロキントセット酸を含む、または少なくとも1種の前記活性物質がピロキシスラムおよびクロキントセットメキシルを含む、請求項20~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記穀類作物が小麦および/または大麦を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項30】
前記穀類作物が小麦を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項31】
前記穀類作物が小麦および/または大麦を含む、請求項12~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記穀類作物が小麦を含む、請求項12~28のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、穀類作物のためのフェノキシ除草剤およびクロキントセットを含む無害化組成物およびその方法と題する、2018年11月2日出願の米国特許仮出願第62/755,111号明細書についての優先権を主張する国際出願である。
【0002】
本明細書で提供されるものは、少なくとも1種のフェノキシ除草剤およびクロキントセット、または農学的に許容されるそれらの塩、エステルおよびアミドを含む無害化組成物を含む。フェノキシ除草剤または本明細書で開示された少なくとも1種のフェノキシ除草剤を含む組成物により惹起される除草剤傷害から作物を保護するための方法も本明細書で提供される。
【背景技術】
【0003】
植物保護剤および特に除草剤などの農薬が使用される場合、耕作される植物は、農薬の投与量およびそれらの施用方法、耕作される植物の種類、土壌の性質および気候条件、例えば、露光時間の長さ、温度および降雨量などの要因に依存して、ある程度損傷されることがある。したがって、望ましくない植物成長の有害な効果から保護されるべき耕作される植物は、有効投与量の除草剤が使用されたときに、ある程度損傷され得ることが知られている。耕作される植物に対する除草剤の有害な効果を特異的に防止することができる、すなわち、耕作される植物を保護することができ、同時に、除去されるべき雑草に対する除草剤作用には顕著な影響を及ぼさない種々の物質が、この問題を解決するために提案されている。しかしながら、提案された解毒薬は、使用分野が狭いことが多い、すなわち、特定の解毒薬は、しばしば、耕作される植物の個々の種のみで使用するために、および/または耕作される植物を個々の除草剤物質またはクラスの物質から保護するためにのみ適することが見出されている。提案された解毒薬が、個々の除草剤物質の比率より高い比率でしばしば、使用されることも見出されている。
【0004】
2,4-Dを含むが、これに限定されないフェノキシ除草剤が、1940年代の後期以来、小麦中の広葉雑草の植生を選択的に防除するために使用されてきた。しかしながら、それらは、不適当に施用されるならば小麦の収率に有害な効果を生じ得る。例えば、冬小麦は、出現から4葉期までおよび成長の接間成長期から乳熟期にフェノキシ除草剤の傷害を受けやすい。例えば、Whitesides, R. E., Identification of growth stages in winter wheat and response to broadleaf weed herbicides. Proc. West. Soc. Weed Sci. 36: 123-124を参照されたい。これらの段階におけるフェノキシ除草剤の施用は、植物高さの低下、奇形の発生、成熟の遅れ、および収率の低下を含むが、これらに限定されない種々の有害な効果を惹起し得る。
【0005】
多くの研究が、穀類作物に対する2,4-Dの施用の結果を報告している。幾つかの研究は、植物が3~5枚の葉を有し、植物の高さが約5~8インチであったときに、2,4-Dを用いた処理の後に急増する異常が最大の数で顕性であったことを報告している。Godbout E.は、2,4-Dのアミンおよびエステルを小麦、エンバク、および大麦に3葉期、5葉期、および初期の穂孕み期に施用して、損傷は施用が3葉期で行われたときに最大であったことを見出した。例えば、Godbout E. Effect of 2, 4-D on oats at different stages of growth. Res. Rpt. Sixth Ann. North Central Weed Control Conf. Sioux Falls, S. Dak., 108.(1945)を参照されたい。多くの研究も、特に2,4-Dのエステルが使用された場合に、幼苗期、2葉期、および3葉期と種々に記載される初期の成長段階における、小麦、エンバクおよび大麦に対する損傷を報告した。DuaneA.M.らは、2,4-Dアミンおよび2,4-Dエステルが、段階13で施用されたときに、小麦収率を、それぞれ35%および39%低下させたこと;および2,4-Dアミンおよび2,4-Dエステルが段階44で施用されたときに、それぞれ、小麦収率を15%および16%低下させたことをさらに見出した。典型的には、2,4-Dを含むフェノキシ除草剤は、進行した幼苗期(段階14、一般的に6インチ以上の高さ)から止葉出現期(段階37)までに施用されることが薦められる。例えば、市販の2,4-Dエステル700、Nufarm Agriculture Inc.についてのカタログを参照されたい。BBCH成長段階に基づいた段階14(4葉期)前または段階37(穂孕み期を含む)後における施用は薦められない。例えば、Uwe Meier, Growth stages of mono-and dicotyledonous plants, BBCH Monograph, 2nd Edition, 2001を参照されたい。
【0006】
したがって、そのような除草剤傷害を軽減することに有効な組成物および方法に対する必要性は依然存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で提供される第1の実施形態は、無害化組成物であって、除草有効量の(a)少なくとも1種のフェノキシ除草剤、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミド;(b)キノリニルオキシアセテートファミリーの化学薬品から選択される少なくとも1種の毒性緩和剤または農学的に許容されるそれらの塩、エステルおよびアミドを含み、少なくとも1種のフェノキシ除草剤のクロキントセットに対する重量比が約500:1から約1:1である、無害化組成物を含む。
【0008】
第2の実施形態は、(a)少なくとも1種のフェノキシ除草剤、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミドが、2,4-D、2,4-DEHE、2,4-DDMA、2,4-Dコリン、および/または2,4-DBを含む、第1の実施形態による組成物を含む。
【0009】
第3の実施形態は、(b)キノリニルオキシアセテートファミリーの化学薬品から選択される少なくとも1種の毒性緩和剤が、クロキントセット、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミドを含む、第1のまたは第2の実施形態による組成物を含む。
【0010】
第4の実施形態は、少なくとも1種の毒性緩和剤がクロキントセット酸であり、少なくとも1種のフェノキシ除草剤、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミドのクロキントセット酸に対する、gae/ha(1ヘクタール当たりのグラム酸当量)からgai/ha(1ヘクタール当たりのグラム有効成分)またはgae/haからgae/haの単位で与えられる重量比が、約500:1から約1:1、約400:1から約1:1、約300:1から約1:1、約200:1から約1:1、約100:1から約1:1、約99:1から約1:1、約98:1から約1:1、約95:1から約1:1、約90:1から約1:1、約80:1から約1:1、約70:1から約1:1、約60:1から約1:1、約50:1から約1:1、約40:1から約1:1、約30:1から約1:1、約20:1から約1:1、約11:1から約1:1、約10:1から約1:1、約9:1から約1:1、約8:1から約1:1、約7:1から約1:1、約6:1から約1:1、約5:1から約1:1、約4:1から約1:1、約3:1から約1:1、約2:1から約1:1、約1:1から約1:1、約300:1、約200:1、約99:1、約98.5:1、約50:1、約22:1、約20:1、約15:1、約14:1、約13:1、約12:1、約11:1、約10:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、またはそれらの任意の組み合わせを含む、第1から第3の実施形態のいずれか1つによる組成物を含む。
【0011】
第5の実施形態は、少なくとも1種の毒性緩和剤がクロキントセット酸であり、少なくとも1種のフェノキシ除草剤、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミドの、クロキントセット酸に対する、gae/ha(1ヘクタール当たりのグラム酸当量)からgai/ha(1ヘクタール当たりのグラム有効成分)またはgae/haからgae/haの単位で与えられる重量比が、約500:1から約10:1、約400:1から約10:1、約300:1から約10:1、約200:1から約10:1、約100:1から約10:1、約99:1から約10:1、約98:1から約10:1、約95:1から約10:1、約90:1から約10:1、約80:1から約10:1、約70:1から約10:1、約60:1から約10:1、約50:1から約10:1、約40:1から約10:1、約30:1から約10:1、約20:1から約10:1、約11:1から約10:1、約500:1から約20:1、約400:1から約20:1、約300:1から約20:1、約200:1から約20:1、約100:1から約20:1、約99:1から約20:1、約98:1から約20:1、約95:1から約20:1、約90:1から約20:1、約80:1から約20:1、約70:1から約20:1、約60:1から約20:1、約50:1から約20:1、約40:1から約20:1、約30:1から約20:1、約22:1から約20:1、約300:1、約200:1、約99:1、約98.5:1、約50:1、約20:1、約15:1、約14:1、約13:1、約12:1、約11:1、約10:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、またはそれらの任意の組み合わせを含む、第1から第4の実施形態のいずれか1つによる組成物を含む。
【0012】
第6の実施形態は、少なくとも1種の毒性緩和剤がクロキントセットメキシルであり、少なくとも1種のフェノキシ除草剤、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミドの、クロキントセットメキシルに対する、gae/ha(1ヘクタール当たりのグラム酸当量)からgai/ha(1ヘクタール当たりのグラム有効成分)またはgae/haからgae/haの単位で与えられる重量比が、約500:1から約1:1、約400:1から約1:1、約300:1から約1:1、約200:1から約1:1、約100:1から約1:1、約99:1から約1:1、約98:1から約1:1、約95:1から約1:1、約90:1から約1:1、約80:1から約1:1、約70:1から約1:1、約60:1から約1:1、約50:1から約1:1、約40:1から約1:1、約30:1から約1:1、約20:1から約1:1、約11:1から約1:1、約10:1から約1:1、約9:1から約1:1、約8:1から約1:1、約7:1から約1:1、約6:1から約1:1、約5:1から約1:1、約4:1から約1:1、約3:1から約1:1、約2:1から約1:1、約1:1から約1:1、約300:1、約200:1、約99:1、約98.5:1、約50:1、約22:1、約20:1、約15:1、約14:1、約13:1、約12:1、約11:1、約10:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、またはそれらの任意の組み合わせを含む、第1から第5の実施形態のいずれか1つによる組成物を含む。
【0013】
第7の実施形態は、少なくとも1種の毒性緩和剤がクロキントセットメキシルであり、少なくとも1種のフェノキシ除草剤、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミドの、クロキントセットメキシルに対する、gae/ha(1ヘクタール当たりのグラム酸当量)からgai/ha(1ヘクタール当たりのグラム有効成分)またはgae/haからgae/haの単位で与えられる重量比が、約500:1から約10:1、約400:1から約10:1、約300:1から約10:1、約200:1から約10:1、約100:1から約10:1、約99:1から約10:1、約98:1から約10:1、約95:1から約10:1、約90:1から約10:1、約80:1から約10:1、約70:1から約10:1、約60:1から約10:1、約50:1から約10:1、約40:1から約10:1、約30:1から約10:1、約20:1から約10:1、約11:1から約10:1、約500:1から約20:1、約400:1から約20:1、約300:1から約20:1、約200:1から約20:1、約100:1から約20:1、約99:1から約20:1、約98:1から約20:1、約95:1から約20:1、約90:1から約20:1、約80:1から約20:1、約70:1から約20:1、約60:1から約20:1、約50:1から約20:1、約40:1から約20:1、約30:1から約20:1、約22:1から約20:1、約300:1、約200:1、約99:1、約98.5:1、約50:1、約20:1、約15:1、約14:1、約13:1、約12:1、約11:1、約10:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、またはそれらの任意の組み合わせを含む、第1から第6の実施形態のいずれか1つによる組成物を含む。
【0014】
第8の実施形態は、組成物が、(a)2,4-D、2,4-DEHE、2,4-DDMA、2,4-Dコリン、および/または2,4-DBを含む、少なくとも1種のフェノキシ除草剤、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミド、ならびに(b)クロキントセットメキシルを含む少なくとも1種の毒性緩和剤を含む、第1から第7の実施形態のいずれか1つによる組成物を含む。
【0015】
第9の実施形態は、(a)2,4-DEHE、2,4-DDMA、および/または2,4-Dコリンを含む少なくとも1種のフェノキシ除草剤、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミド、および(b)クロキントセットメキシルを含む少なくとも1種の毒性緩和剤を含む、第1から第8の実施形態のいずれか1つによる組成物を含む。
【0016】
第10の実施形態は、少なくとも1種の追加の除草剤をさらに含む、第1から第9の実施形態のいずれか1つによる組成物を含む。
【0017】
第11の実施形態は、少なくとも1種の追加の除草剤が、フルオキシピル、フルオキシピルメプチル、ハラウキシフェン、ハラウキシフェンメチル、および/またはピロキシスラム、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミドを含む、第10の実施形態による組成物を含む。
【0018】
第12の実施形態は、補助剤および/または担体を含む少なくとも1種の農学的に許容される活性物質をさらに含む、第1から第11の実施形態のいずれか1つによる組成物を含む。
【0019】
第13の実施形態は、穀類作物の3葉期の前または3葉期に穀類作物に施用される、第1から第12の実施形態のいずれか1つによる組成物を含む。
【0020】
第14の実施形態は、穀類作物をフェノキシ除草剤、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミドの有害な効果から保護する方法であって、第1から第13の実施形態のいずれか1つによる除草有効量の少なくとも1種の組成物を、穀類作物の1葉期、2葉期、および/または3葉期の前に穀類作物と接触させるかまたは耕作下の区域に施用するステップを含む、方法を含む。
【0021】
第15の実施形態は、第1から第13の実施形態のいずれか1つによる少なくとも1種の組成物が、3葉期の前にまたは3葉期に施用される、第14の実施形態による方法を含む。
【0022】
第16の実施形態は、フェノキシ除草剤の有害な効果が、成長阻害、葉の奇形、上偏生長、白化、および/または成熟における遅延を含む、第14から第15の実施形態のいずれか1つによる方法を含む。
【0023】
第17の実施形態は、穀類作物を、フェノキシ除草剤、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミドの有害な効果から保護する方法であって、キノリニルオキシアセテートファミリーの化学薬品から選択される毒性緩和剤を、1葉期、2葉期、および/または3葉期の前に、穀類作物と接触させるかまたは耕作下の区域に施用するステップを含み、フェノキシ除草剤、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミドの毒性緩和剤に対する重量比が約500:1から1:1である、方法を含む。
【0024】
第18の実施形態は、第1から第13の実施形態のいずれか1つによる少なくとも1種の組成物が、3葉期の前にまたは3葉期に施用される、第17の実施形態による方法を含む。
【0025】
第19の実施形態は、フェノキシ除草剤の有害な効果が、成長阻害、葉の奇形、上偏生長、白化、および/または成熟における遅延を含む、第17から第18の実施形態のいずれか1つによる方法を含む。
【0026】
第20の実施形態は、組成物の量が、フェノキシ除草剤、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミドの、gae/haで表現される、約:100、200、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、および1500gae/ha、またはそれらの任意の組み合わせを含む比率で施用される、第14から第19の実施形態のいずれか1つによる方法を含む。
【0027】
第21の実施形態は、組成物の量が、キノリニルオキシアセテートファミリーの化学薬品、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミドから選択される毒性緩和剤の、約5、10、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、および200gae/ha、またはそれらの任意の組み合わせを含む、gai/haまたはgae/haで表現される比率で、施用される、第20の実施形態による方法を含む。
【0028】
第22の実施形態は、第1から第13の実施形態のいずれか1つによる組成物が水に施用される、第14から第21の実施形態のいずれか1つによる方法を含む。
【0029】
第23の実施形態は、第1から第13の実施形態のいずれか1つによる組成物が、穀類作物または成長区域に出現前に施用される、第14から第22の実施形態のいずれか1つによる方法を含む。
【0030】
第24の実施形態は、第1から第13の実施形態のいずれか1つによる組成物が、穀類作物または成長区域に出現後に施用される、第14から第23の実施形態のいずれか1つによる方法を含む。
【0031】
第25の実施形態は、穀類作物を、フェノキシ除草剤、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミドの有害な効果から保護する方法であって、キノリニルオキシアセテートファミリーの化学薬品から選択される少なくとも1種の毒性緩和剤を含む少なくとも1種の活性物質を、穀類作物と1葉期、2葉期、および/または3葉期の前に接触させるか、または耕作下の区域に施用するステップを含み、フェノキシ除草剤、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミドの、毒性緩和剤に対する重量比が約500:1から1:1である、方法を含む。
【0032】
第26の実施形態は、少なくとも1種の毒性緩和剤が、3葉期の前または3葉期に施用される、第25の実施形態による方法を含む。
【0033】
第27の実施形態は、フェノキシ除草剤が、2,4-D、2,4-DEHE、2,4-DDMA、2,4-Dコリン、および/または2,4-DBを含む、第25から第26の実施形態のいずれか1つによる方法を含む。
【0034】
第28の実施形態は、少なくとも1種の毒性緩和剤が、クロキントセット酸および/またはクロキントセットメキシルを含む、第25から第27の実施形態のいずれか1つによる方法を含む。
【0035】
第29の実施形態は、少なくとも1種の毒性緩和剤がクロキントセットメキシルである、第25から第28の実施形態のいずれか1つによる方法を含む。
【0036】
第30の実施形態は、少なくとも1種の活性物質が、フルオキシピル、フルオキシピルメプチル、ハラウキシフェン、ハラウキシフェンメチルおよび/またはピロキシスラム、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミドを含む少なくとも1種の除草剤を含む、第25から第29の実施形態のいずれか1つによる方法を含む。
【0037】
第31実施形態は、少なくとも1種の活性物質が、ハラウキシフェンメチル、ピロキシスラム、およびクロキントセット酸を含むか、または少なくとも1種の活性物質がハラウキシフェンメチル、ピロキシスラム、およびクロキントセットメキシルを含む、第25から第30の実施形態のいずれか1つによる方法を含む。
【0038】
第32の実施形態は、少なくとも1種の活性物質が、ハラウキシフェンメチルおよびクロキントセット酸を含むか、または少なくとも1種の活性物質がハラウキシフェンメチルおよびクロキントセットメキシルを含む、第25から第30の実施形態のいずれか1つによる方法を含む。
【0039】
第33の実施形態は、少なくとも1種の活性物質が、ピロキシスラムおよびクロキントセット酸を含むか、または少なくとも1種の活性物質がピロキシスラムおよびクロキントセットメキシルを含む、第25から第30の実施形態のいずれか1つによる方法を含む。
【0040】
第34の実施形態は、穀類作物が小麦および/または大麦を含む、第14から第33の実施形態のいずれか1つによる方法を含む。
【0041】
第35の実施形態は、小麦を有害な効果から保護する、第14から第34の実施形態のいずれか1つによる方法を含む。
【0042】
第36の実施形態は、大麦を有害な効果から保護する、第14から第34の実施形態のいずれか1つによる方法を含む。
【0043】
第37の実施形態は、組成物が、ハラウキシフェンメチル、ピロキシスラム、クロキントセット酸、ならびに2,4-D、2,4-DEHE、2,4-DDMA、2,4-Dコリン、および/または2,4-DBを含むフェノキシ除草剤を含む、第1から第13の実施形態のいずれか1つによる組成物を含む。
【0044】
第38の実施形態は、ハラウキシフェンメチル、クロキントセットメキシル、ならびに2,4-D、2,4-DEHE、2,4-DDMA、2,4-Dコリン、および/または2,4-DBを含むフェノキシ除草剤を含む、第1から第13の実施形態のいずれか1つによる組成物を含む。
【0045】
第39の実施形態は、ピロキシスラム、クロキントセット酸、ならびに2,4-D、2,4-DEHE、2,4-DDMA、2,4-Dコリン、および/または2,4-DBを含むフェノキシ除草剤を含む、第1から第13の実施形態のいずれか1つによる組成物を含む。
【0046】
第40の実施形態は、出現後に小麦または成長区域に施用される、第1から第13のおよび第37から第39の実施形態のいずれか1つによる組成物を含む。
【0047】
第41の実施形態は、出現後に大麦または成長区域に施用される、第1から第13および第37から第39の実施形態のいずれか1つによる組成物を含む。
【0048】
第42の実施形態は、穀類作物が小麦および/または大麦を含む、第1から第41の実施形態のいずれか1つを含む。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本開示の概念は、本明細書中の図および記載で例示され詳細に説明されているが、それらの図および記載における結果は、典型的と考えられるべきであり、特性において限定的ではなく;例示の実施形態が示され、記載されたにすぎないこと、ならびに本開示の精神の内に入る全ての変化および変形態は保護されることが望まれることが理解される。
定義
【0050】
そうでないと定義されない限り、科学的および技術命名は、本開示に関係する当業者により共通的に理解される同じ意味を有する。
【0051】
本明細書において使用する用語「約」は、明示的にそうでないと記載されない限り、または明確にそうでないと意味されない限り、値プラスまたはマイナス10パーセントの範囲を指し、例えば、約1.0は0.9から1.1の値を包含する。
【0052】
本明細書において使用する2,4-Dは、2-(2,4-ジクロロフェノキシ)酢酸であり、以下の構造を有する。
【0053】
【化1】
【0054】
2,4-Dの典型的使用は、Tomlin, C., ed. A World Compendium The Pesticide Manual. 15th ed. Alton: BCPC Publications, 2009(この後、「The Pesticide Manual, Fifteenth Edition, 2009」)に記載されている。2,4-Dの典型的使用は、例えば、穀草、トウモロコシ、モロコシ、牧草地、定着した芝、草の実穀草、果樹園、クランベリー、アスパラガス、サトウキビ、イネ栽培地および非穀草地における出現後の、一年生および多年生の広葉雑草の植生を防除するためのその使用を含む。2,4-Dの典型的化学形態は、塩またはエステル形態、例えば、2,4-DEHEを含み、それは2-エチルヘキシル2-(2,4-ジクロロフェノキシ)アセテートであり、以下の構造を有する。
【0055】
【化2】
【0056】
2,4-DDMA、それはN-メチルメタンアミンと結合した2-(2,4-ジクロロフェノキシ)酢酸であり、以下の構造を有する。
【0057】
【化3】
【0058】
2,4-Dコリン、それは2-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチルエタンアミニウム2-(2,4-ジクロロフェノキシ)酢酸塩であり、以下の構造を有する。
【0059】
【化4】
【0060】
2,4-DB、それは、2-(2,4-ジクロロフェノキシ)酪酸であり、以下の構造を有する。
【0061】
【化5】
【0062】
本明細書において使用する、ハラウキシフェン-メチル(メチル4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピコリネート)は、以下の構造を有する。
【0063】
【化6】
【0064】
それは、その全体で参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,314,849号明細書に記載されている。ハラウキシフェンメチルの典型的使用は、例えば、穀類作物における広葉雑草の植生を防除するためのその使用を含む。ハラウキシフェン-メチルは、他の形態、例えば、以下の構造を有するハラウキシフェンK+(カリウム4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピコリネート)として使用されてもよい。
【0065】
【化7】
【0066】
本明細書において使用するハラウキシフェンは、4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸および6-アミノ-5-クロロ-2-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)-ピリミジン-4-カルボン酸誘導体を含むことができる。ハラウキシフェンの典型的使用は、複数の非作物および作物を作る状況における、草、広葉およびスゲ属の雑草を含むが、これらに限定されない望ましくない植生を防除することを含む。
【0067】
本明細書において使用するフルオキシピルは、2-[(4-アミノ-3,5-ジクロロ-6-フルオロ-2-ピリジニル)オキシ]酢酸であり、以下の構造を有する。
【0068】
【化8】
【0069】
フルオキシピルの典型的使用は、The Pesticide Manual, Fifteenth Edition, 2009に記載されている。フルオキシピルの典型的使用は、例えば、小粒子作物における広葉雑草の植生を防除するために、出現後に、牧草地におけるギシギシ属の種(Rumex spp)およびイラクサ(Urtilca dioica)の植生を防除するために、および快適な草原におけるシロツメクサ(Trifolium repens)の植生を防除するために、葉に施用するためのその使用を含む。他の典型的使用は、例えば、果樹園およびプランテーション作物における、および広葉雑木林における、例えば、針葉樹森林における、草質のおよび木質の広葉雑草の植生を防除するためのその使用を含む。フルオキシピルの典型的化学形態は、例えば、フルオキシピルメチルヘプチルエステル(フルオキシピルメプチルとしても知られている)を含み、それは1-メチルヘプチル2-[(4-アミノ-3,5-ジクロロ-6-フルオロ-2-ピリジニル)オキシ]アセテートであり、以下の構造を有する。
【0070】
【化9】
【0071】
本明細書において使用する除草剤は、植物を枯れさせ、植生を防除するか、または他の様式で植物の成長を有害に改変する化合物、例えば、有効成分を意味する。
【0072】
本明細書において使用する、ピロキシスラムは、N-(5,7-ジメトキシ[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)-2-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンスルホンアミドであり、以下の構造を有する。
【0073】
【化10】
【0074】
その除草剤活性は、The Pesticide Manual, Fifteenth Edition, 2009に例示されている。ピロキシスラムの典型的使用は、穀草中における一年草および広葉雑草の出現後に植生を防除する広いスペクトルの除草剤としてのその使用を含む。
【0075】
キノリニルオキシアセテートファミリーの化学薬品から選択される毒性緩和剤は、米国特許第4,902,340号明細書に記載されている。キノリニルオキシアセテートファミリーの化学薬品から選択される好ましい毒性緩和剤は、クロキントセットの誘導体、最も好ましくはメキシルエステルである。クロキントセットは、[(5-クロロ-8-キノリニル)オキシ]酢酸の一般名である。その無害化活性は、The Pesticide Manual, Fourteenth Edition, 2006に記載されている。クロキントセットは、小粒子穀草において毒性緩和剤として使用される。
【0076】
本明細書において使用する、除草有効量または草木の植生を防除する量は、草木に有害に改変する効果を惹起する、例えば、自然の発達からの逸脱を生じさせる、枯れさせる、規制を及ぼす、脱水を惹起する、遅延を生じさせる等の有効成分の量である。
【0077】
本明細書において使用する、植物および草木は、発芽する種子、新生の苗、生長力のある胎芽から新生の植物、未成熟草木、および定着した草木を含むが、これらに限定されない。
【0078】
本明細書において使用する、農学的に許容される塩およびエステルとは、除草剤活性を示すか、または植物、水、または土壌中で言及された除草剤に変換されるかもしくは変換され得る塩およびエステルを指す。典型的農学的に許容されるエステルは、例えば、植物、水、または土壌中で、加水分解されるかされ得る、酸化され、あるいはされ得る、代謝され、あるいはされ得るか、または他の様式で変換され、あるいはされ得る、対応するカルボン酸になる、あるいはなり得るエステルであり、それは、pHに依存して、解離している、あるいは解離していない形態であることもある。
【0079】
典型的塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属から誘導された塩およびアンモニアおよびアミンから誘導された塩を含む。典型的カチオンは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、および式:

のアンモニウムカチオンを含む。
【0080】
(式中、R1、R2、R3およびR4は、各々、水素またはC1~C12アルキル、C3~C12アルケニルまたはC3~C12アルキニルを独立に表し、それらの各々は、1つまたは複数のヒドロキシ、C1~C4アルコキシ、C1~C4アルキルチオまたはフェニル基により置換されていてもよいが、ただし、R1、R2、R3およびR4は、立体的に適合性であることが条件である)。それに加えて、R1、R2、R3およびR4の任意の2つが一緒になって、1から12個の炭素原子および2個までの酸素またはイオウ原子を含有する脂肪族二官能性部分を表すこともある。塩は、水酸化ナトリウムなどの金属水酸化物で、アンモニア、トリメチルアミン、ジエタノールアミン、2-メチルチオプロピルアミン、ビスアリルアミン、2-ブトキシエチルアミン、モルホリン、シクロドデシルアミン、またはベンジルアミンなどのアミンで、またはテトラメチルアンモニウムヒドロキシドまたはコリンヒドロキシドなどのテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドで処理することにより調製することができる。
【0081】
典型的エステルは、C1~C12アルキル、C3~C12アルケニル、C3~C12アルキニルまたはC7~C10アリール-置換アルキルアルコール、例えば、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール、2-エチルヘキサノール、ブトキシエタノール、メトキシプロパノール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、シクロヘキサノールまたは非置換または置換ベンジルアルコールなどから誘導されたエステルを含む。ベンジルアルコールは、ハロゲン、C1~C4アルキルまたはC1~C4アルコキシから独立に選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい。エステルは、ペプチドカップリングのために使用されるジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)またはカルボニルジイミダゾール(CDI)などの任意の数の適当な活性化剤を使用して、酸とアルコールとのカップリングにより;酸とハロゲン化アルキルまたはアルキルスルホネートなどのアルキル化剤とをトリエチルアミンまたは炭酸リチウムなどの塩基の存在下で反応させることにより;酸の対応する酸塩化物と適当なアルコールとを反応させることにより;対応する酸と適当なアルコールとを酸触媒の存在下で反応させることにより、またはエステル交換により調製することができる。
【0082】
組成物および方法
本明細書で提供されるものは、無害化組成物であって、除草有効量の(a)少なくとも1種のフェノキシ除草剤、または農学的に許容されるそれらの塩、エステル、およびアミド;(b)キノリニルオキシアセテートファミリーの化学薬品、または農学的に許容されるそれらの塩、エステルおよびアミドからの少なくとも1種の毒性緩和剤を含み、少なくとも1種のフェノキシ除草剤のクロキントセットに対する重量比が、約500:1から約1:1である、無害化組成物である。
【0083】
本開示は、組成物中で低比率のクロキントセット酸および/またはクロキントセット-メキシルをフェノキシ除草剤と共に使用すると、フェノキシ除草剤の植物への有害作用に対して、春および冬小麦(パンコムギ(Triticum aestivum L; TRZAS、TRZAW))、デュラム小麦(デュラム小麦(Triticum durum L); TRZDU)および春および冬大麦(オオムギ(Hordeum vulgare L); HORVS, HORVW)において、除草剤対毒性緩和剤の約500:1と約1:1の間の比で保護効果を示し、シラホシムグラ(シラホシムグラ(Galium aparine L); GALAP)、ヒメオドリコソウ(ヒメオドリコソウ(Lamium purpureum L); LAMPU)、ホウキギ(ホウキギ(Kochia scoparia L); KCHSC)、カモミール(カモミール(Matricaria chamomila L); MATCH)、ヒナゲシ(ヒナゲシ(Papaver rhoeas L); PAPRH)、ソバカズラ(ソバカズラ(Polygonum convolvulus L); POLCO)、ロシアアザミ(サルソラ・イベリカ(Salsola iberica L); SASKR)、コハコベ(コハコベ(Stellaria media L); STEME)、オオイヌノフグリ(オオイヌノフグリ(Veronica persica L); VERPE)、サンシキスミレ(サンシキスミレ(Viola tricolor L); VIOTR)、セイヨウアブラナ(セイヨウアブラナ(Brassica napus))、ナズナ(ナズナ(Capsella bursa-pastoris))、シロザ(シロザ(Chenopodium album))、クジラグサ(クジラグサ(Descurainia Sophia))、タヌキジソ(タヌキジソ(Galeopsis tetrahit))、ハルタデ(ハルタデ(Polygonum persicaria))、ノハラガラシ(ノハラガラシ(Sinapis arvensis))、ノゲシ(ノゲシ(Sonchus oleraceus))、セイヨウタンポポ(セイヨウタンポポ(Taraxacum officinale))、およびグンバイナズナ(グンバイナズナ(Thlaspi arvense))などの雑草に対する除草剤効果を失わないことを提供する。
【0084】
用語、除草剤は、本明細書では、植物を枯らし、その植生を防除するかまたは他の様式で植物の成長を有害に改変する有効成分を意味して使用される。除草有効量または草木の植生を防除する量は、有害に改変する効果を惹起する有効成分の量であり、自然の発達からの逸脱、枯らし、規制、脱水、遅延等を含む。植物および草木という用語は、発芽する種子、新生の苗および定着した草木を含む。毒性緩和剤という本明細書において使用する用語は、標的の雑草種における活性を有意に低下せずに、作物植物を除草剤による損傷から選択的に保護する化合物を指す。
【0085】
除草剤の活性は、成長の任意の段階でまたは植え付けまたは出現前に、植物に直接または、葉、土壌、または水への施用を通して植物の部位にそれらが施用されたときに、化合物により発揮される。観察される効果は、植生を防除されるべき植物種、植物の成長段階、希釈の適用パラメーターおよび噴霧の液滴サイズ、固体構成要素の粒子サイズ、使用時における環境条件、使用される特定の化合物、使用される特定の補助剤および担体、土壌のタイプ等、ならびに化学薬品の施用量に依存する。これらのおよび他の要因は、当技術分野で知られているように非選択的または選択的除草作用を助長するように調節することができる。一般的に、本開示の組成物を、出現後から比較的未成熟の望ましくない草木に施用して、雑草の植生の最大の防除を達成することが好ましい。
【0086】
望ましくない植物成長の有害な効果から保護されるべき耕作される植物は、有効投与量の除草剤が使用されたときにある程度損傷され得る。無害化とは、耕作される植物に対する除草剤の有害な効果を防止する、すなわち、耕作される植物を保護して、同時に、除去されるべき雑草に対する除草剤作用に顕著な影響を及ぼさないことを意味する。
【0087】
本明細書に記載された組成物および方法のある実施形態では、フェノキシ除草剤、すなわち、2,4-D、または農学的に許容されるその塩、エステル、アミド、および/またはコリンが使用される。ある実施形態では、2,4-Dのエステルが使用される。ある実施形態では、2,4-D、2,4-DEHE、2,4-DDMA、2,4-Dコリン、および/または2,4-DBが使用される。ある実施形態では、2,4-DEHE、2,4-DDMA、および/または2,4-Dコリンが使用される。
【0088】
本明細書に記載された組成物および方法のある実施形態では、耕作される植物に対する除草剤の効果が防止される、フェノキシ除草剤の毒性緩和剤に対する重量比約500:1と約1:1の間の範囲内にある。好ましくは、耕作される植物に対する除草剤効果が防止される、フェノキシ除草剤の毒性緩和剤に対する重量比は、約500:1と約10:1の間の範囲内、約300:1と約10:1の間の範囲内、および/または約200:1と約10:1の間の範囲内にある。
【0089】
無害化された組成物が施用される比率は、植生を防除されるべき雑草の特定のタイプ、要求される植生防除の程度、および施用のタイミングおよび方法に依存するであろう。一般的に、本明細書で開示された組成物は、小麦および大麦を含むが、これらに限定されない穀類作物の1葉期、2葉期、および/または3葉期の前に、組成物中のフェノキシ除草剤および毒性緩和剤の合計量に基づいて約1gae/haから約1500gae/haの施用比率で施用することができる。好ましい実施形態では、クロキントセット酸またはクロキントセットメキシルが約5gae/haから約100gae/haの比率で施用され、フェノキシ除草剤成分が、約100gae/haから約1500gae/haの比率で、1葉期、2葉期、および/または3葉期の前に施用される。
【0090】
本明細書で開示されたフェノキシ除草剤および毒性緩和剤は、多除草剤システムの一部として、別々または一緒のいずれかで施用することができる。
【0091】
本明細書で開示された除草剤-毒性緩和剤組成物は、1種または複数の他の除草剤との併用で施用して、より広い種々の望ましくない草木の植生を防除することができる。他の除草剤との併用で使用される場合に、該組成物は、他の除草剤(単数または複数)と槽で混合されて他の除草剤(単数または複数)と共に剤形化されるか、または他の除草剤(単数または複数)と順次施用され得る。本明細書で開示された無害化された組成物との併用で使用することができる幾つかの種の除草剤は、アセトクロル、アシフルオルフェン、アクロニフェン、AE0172747、アラクロル、アミドスルフロン、アミノシクロピラクロル、アミノトリアゾール、アンモニウムチオシアネート、アニリホス、アトラジン、AVH301、アジムスルフロン、ベンフレセート、ベンスルフロンメチル、ベンタゾン、ベンチオカルブ、ベンゾビシクロン、ビフェノックス、ビスピリバックナトリウム、ブロマシル、ブロモキシニル、ブタクロル、ブタフェナシル、ブタリン、カフェンストロール、カルベタミド、カルフェントラゾンエチル、クロルフルレノル、クロリムロン、クロルプロファム、シノスルフロン、クレトジム、クロマゾン、クロピラリド、クロランスラムメチル、シクロスルファムロン、シクロキシジム、シハロホプブチル、ジカンバ、ジクロベニル、ジクロルプロプ-P、ジクロスラム、ジフルフェニカン、ジフルフェンゾピル、ジメテナミド、ジメテナミド-p、ジクワット、ジチオピル、ジウロン、EK2612、EPTC、エスプロカーブ、ET-751、エトキシスルフロン、エトベンザニド、F7967、フェノキサプロプ、フェノキサプロプエチル、フェノキサプロプエチル+イソキサジフェンエチル、フェントラザミド、フラザスルフロン、フロラスラム、フルアジホプ、フルアジホプ-P-ブチル、フルセトスルフロン、フルフェナセト、フルフェンピルエチル、フルメツラム、フルミクロラクペンチル、フルミオキサジン、フルオメツロン、フルピルスルフロン、フルオキシピル、ホメサフェン、ホラムスルフロン、フミクロラク、グルホシネート、グルホシネートアンモニウム、グリホセート、ハラウキシフェン、ハラウキシフェンメチル、ハロスルフロン、ハラウキシホプメチル、ハラウキシホプ-R、イマザメタベンズ、イマザモックス、イマザピック、イマザピル、イマザキン、イマゼタピル、イマゾスルフロン、インダノファン、ヨードスルフロン、イオキシニル、IR5790、イソプロツロン、イソキサベン、イソキサフルトール、KUH-021、ラクトフェン、リヌロン、MCPA、MCPAエステル&アミン、メコプロプ-P、メフェナセト、メソスルフロン、メソトリオン、メタミホプ、メトラクロル、メトスラム、メトリブジン、メトスルフロン、モリネート、MSMA、ナプロパミド、ニコスルフロン、ノルフルラゾン、OK-9701、オルトスルファムロン、オリザリン、オキサジアルギル、オキサジアゾン、オキサジクロメホン、オキシフルオルフェン、パラコート、ペンジメタリン、ペノクススラム、ペントキサゾン、ペトキサミド、ピクロラム、ピコリナフェン、ピペロホス、プレチラクロル、プロホキシジム、プロパクロル、プロパニル、プロピザミド、プロスルホカルブ、プロスルフロン、ピラクロニル、ピラスルホトール、ピラゾギル、ピラゾスルフロン、ピリベンゾキシム、ピリフタリド、ピリミノバックメチル、プリミスルフロン、ピロキシスラム、キンクロラック、キザロホプエチル-D、S-3252、サフルフェナシル、セトキシジム、シマジン、SL-0401、SL-0402、s-メトラクロル、スルコトリオン、スルフェントラゾン、スルホセート、テブチウロン、テルバシル、TH-547、チアゾピル、チオベンカルブ、トリクロピル、トリクロピルエステルおよびアミン、トリフルラリンおよびトリトスルフロンを含む。
【0092】
本明細書で開示された無害化された組成物は、グリホセート、グルホシネート、ジカンバ、イミダゾリノンと併用して、グリホセート耐性の作物、グルホシネート耐性の作物、ジカンバ耐性の作物、またはイミダゾリノン耐性の作物に対して、さらに使用することができる。本明細書で開示された除草剤-毒性緩和剤組成物は、処理される作物に対して選択的であり、これらの化合物により植生を防除される雑草のスペクトルを補完する除草剤と、使用される施用比率で組み合わせて使用することが、一般的に好ましい。本明細書で開示された無害化された組成物および他の補完除草剤を、組み合わせ剤形としてまたは槽混合物としてのいずれかで同時に施用することがさらに一般的に好ましい。
【0093】
実際には、除草有効量の除草剤成分を少なくとも1種の農学的に許容される補助剤または担体と共に含有する、混合物中の本明細書で開示された無害化された組成物を使用することが好ましい。適当な補助剤または担体は、有価作物に対して、特に作物の存在下で選択的雑草の植生を防除するための組成物を施用するときに使用される濃度で植物に毒性であるべきではなく、および除草剤成分または他の組成物成分と化学的に反応するべきではない。そのような混合物は、雑草またはそれらの部位に直接施用するためにデザインされ得るかまたは通常施用前に追加の担体および補助剤で希釈される濃縮物または剤形であることができる。それらは、固体、例えば、散剤、顆粒、水分散性顆粒、または加湿可能散剤など、または液体、例えば、乳化可能な濃縮物、溶液、エマルションまたは懸濁液などであることができる。
【0094】
本明細書で開示された除草剤組成物を調製する際に有用な適当な農業用補助剤および担体は、当業者に周知である。幾つかのこれらの補助剤は、濃縮作物油(鉱油(85%)+乳化剤(15%));ノニルフェノールエトキシレート;ベンジルココアルキルジメチル第四級アンモニウム塩;石油炭化水素、アルキルエステル、有機酸、非イオン性およびアニオン界面活性剤のブレンド;C9~C11アルキルポリグリコシド;リン酸化されたアルコールエトキシレート;天然の第一級アルコール(C12~C16)エトキシレート;ジ-sec-ブチルフェノールEO-POブロックコポリマー;ポリシロキサン-メチルキャップ;ノニルフェノールエトキシレート+尿素アンモニウム硝酸塩;乳化されたメチル化された種子油;トリデシルアルコール(合成)エトキシレート(8EO);獣脂アミンエトキシレート(15EO);PEG(400)ジオレエート-99を含むが、これらに限定されない。
【0095】
使用され得る液体担体は、水、トルエン、キシレン、石油ナフサ、作物油、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよびジエチレングリコールモノメチルエーテル、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アミルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、N-メチル-2-ピロリジノン、N,N-ジメチルアルキルアミド、ジメチルスルホキシド、液体肥料等を含む。水は、一般的に、濃縮物の希釈のために選択される担体である。
【0096】
適当な固体担体は、タルク、ピロフィライトクレイ、シリカ、アタパルガスクレイ、カオリンクレイ、キーゼルグール、チョーク、珪藻土、石灰、炭酸カルシウム、ベントナイトクレイ、フラー土、綿実穀皮、小麦粉、きな粉、軽石、木粉、クルミ外殻粉、リグニン等を含む。
【0097】
1種または複数の表面活性剤を本明細書で開示された組成物に組み込むことが通常望ましい。そのような表面活性剤は、固体および液体組成物の両方で、特に施用前に担体で希釈されるようにデザインされた組成物で、有利に使用される。表面活性剤は、特性においてアニオン、カチオン性または非イオン性であることができて、乳化剤、加湿剤、懸濁剤として、または他の目的のために使用することができる。剤形化の技術分野で従来使用されてきて現在の剤形化において使用されてもよい界面活性剤は、とりわけ、"McCutcheon's Detergents and Emulsifiers Annual, "MC Publishing Corp., Ridgewood, New Jersey,1998および"Encyclopedia of Surfactants," Vol.I-III, Chemical Publishing Co., New York, 1980-81.に記載されている。典型的な表面活性剤は、例えば、ラウリル硫酸ジエタノールアンモニウムなどのアルキル硫酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩;ノニルフェノール-C18エトキシレートなどのアルキルフェノール-アルキレンオキシド付加生成物;トリデシルアルコール-C16エトキシレートなどのアルコール-アルキレンオキシド付加生成物;ステアリン酸ナトリウムなどの石鹸;ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルナフタレン-スルホン酸塩;ジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムなどのスルホコハク酸塩のジアルキルエステル;ソルビトールオレエートなどのソルビトールエステル;塩化ラウリルトリメチルアンモニウムなどの第四級アミン;ポリエチレングリコールステアレートなどの脂肪酸のポリエチレングリコールエステル;エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマー;モノおよびジアルキルリン酸エステルの塩;ダイズ油、菜種油、オリーブ油、ヒマシ油、ヒマワリ実油、ココナツ油、コム油、綿実油、アマニ油、パーム油、ピーナツ油、ベニバナ油、ゴマ油、桐油などの植物油;および上記植物油のエステルを含む。
【0098】
農業用組成物中で一般的に使用される他の添加剤は、適合化剤、消泡剤、金属イオン遮閉剤、中和剤および緩衝剤、腐蝕防止剤、染料、着香剤、拡張剤、浸透助剤、接着剤、分散剤、増粘剤、凝固点降下剤、抗菌剤等を含む。組成物は、他の適合性構成要素、例えば、他の除草剤、植物成長調節剤、防カビ剤、殺虫剤等も含有することができて、液体肥料または硝酸アンモニウム、尿素などの固体、粒子状肥料担体と共に剤形化され得る。
【0099】
本明細書で開示された除草剤-毒性緩和剤組成物中における有効成分の濃度は、一般的に0.001から98重量パーセントである。0.01から90重量パーセントの濃度がしばしば使用される。20濃縮物として使用されるようにデザインされた組成物では、有効成分は、一般的に5から98重量パーセント、好ましくは10から90重量パーセントの濃度で存在する。そのような組成物は、典型的には施用前に水などの不活性な担体で希釈される。通常、雑草または雑草の部位に施用される希釈された組成物は、一般的に0.0001から1重量パーセントの有効成分を含有し、好ましくは、0.001から0.05重量パーセントを含有する。
【0100】
本発明の組成物は、雑草またはそれらの部位に、従来、粉砕されたまたは空気散布器、噴霧器、および顆粒アプリケーター、または灌水の使用により、および当業者に知られた他の従来の手段により施用することができる。
【0101】
記載された実施形態および以下の実施例は、例示の目的であり、請求項の範囲を限定することは意図されない。本明細書に記載された組成物に関する他の変形態、使用、または組み合わせは、特許を請求された対象事物の精神および範囲から逸脱することなく、当技術分野における当業者には明らかであろう。
【実施例
【0102】
実施例における結果は野外試験の結果である。
2,4-Dは、穀草、放牧地および非穀物区域における広葉雑草の植生防除のために市販されている第4群の除草剤(フェノキシカルボン酸クラス)である。2,4-Dは、若年性小麦植物に施用されたときに傷害の原因となり、収率を低下させることが知られており、それ故に、4葉期前の施用は薦められない(2,4-Dエステルラベルを付与せよ、およびCavanaugh et al. 1998)。春小麦の4葉期の前の2,4-D施用による傷害は、しばしば頭部の奇形および変態を現して、収率を低下させ得る。クロキントセットは、穀類ホスト作物に対する第1群および第2群のイネ科除草剤により惹起される傷害を軽減するために主として使用される毒性緩和剤である。クロキントセットは、ピノキサデンおよびクロジナホププロパルギルなどの第1群の有効成分、およびフルカルバゾンナトリウムおよびピロキシスラムなどの第2群の有効成分を含むイネ科除草剤に対する毒性緩和剤として市販されている。本開示は、それがクロキントセットを含有する本明細書で開示された製品との槽混合組み合わせで施用されるときに、2,4-Dが原因の小麦の成長阻害および/または頭部奇形における低下に部分的に関係する。
【0103】
2016年の野外試験
1つの野外試験を、2016年に、カナダのアルバータで実施して、2,4-Dにより惹起される小麦の傷害が、クロキントセット酸と共に予め剤形化された除草剤との槽混合により、低下させられ得るかどうかを評価した。2,4-Dは、エステルとして(660gae/L2,4-DEHE)またはコリン塩として(456gae/L2,4-Dコリン)のいずれかで700gae/haの比率で施用された。クロキントセット酸は、Rexade Aの構成要素として(50gae/kgハラウキシフェンメチル+150gai/kgピロキシスラム+318.6gai/kgクロキントセット酸)63.72gae/haの比率で施用された。幾つかの処理は、取り入れ(Intake)補助剤と共に1%v/vで施用された。取り入れは、非イオン性界面活性剤およびパラフィン系油のブレンドであり、除草剤の拡大および加湿を改善するために使用される。除草剤処理は、春小麦(パンコムギ(Triticum aestivum))およびデュラム小麦(デュラム小麦(Triticum durum))にB12~B13段階で行われた。頭部奇形は、処理後42、55および71日(DAT)に評価した。
【0104】
この試験で、雑草のない耐性試験を確立した。全ての除草剤処理は、春に出現後に施用された(例えば、2016年6月2日)。除草剤は、トラクターに乗せた噴霧器で、CO2を噴射剤として使用して施用された。噴霧器は、100L/haの噴霧体積を使用して、葉群の全施用範囲を提供する均一な噴霧パターンを送達した。施用は、春小麦およびデュラム小麦に2~3葉期で行った。小麦に対する植物への有害作用を、全傷害パーセントとして、未処理の対照プロットと比較して視覚で査定した。全傷害査定は、成長阻害、葉の奇形、上偏生長、白化、および成熟における遅延の視覚的比率に基づいた。2,4-Dで観察された第一級傷害は、頭部奇形であったので、それ故、これらは、下でまとめた唯一の評価である。試験は、無作為化された4回繰り返しの完全なブロックとしてデザインされた。ここで表1を参照すると、2,4-Dエステル(例えば、2,4-DEHE)および2,4-Dコリンは、700gae/haの比率で、春小麦に8%でピークになる、およびデュラム小麦に4%でピークになる頭部奇形を惹起した。Rexade Aは、40gae/haで(63.72gae/haのクロキントセット酸を送達する)頭部奇形を惹起しなかった。700gae/heにおける2,4-Dエステルまたは2,4-Dコリンに40gae/haにおけるRexade Aを加えた槽混合物は、デュラム小麦に頭部奇形を惹起せず、春小麦には頭部奇形を<1%しか惹起しなかった。この結果は、クロキントセット(またはクロキントセットを含有する除草剤)は、2,4-Dエステルまたはコリンと混合されて、2,4-Dの初期施用により惹起される春小麦における頭部奇形を減少させることができたことを示す。
【0105】
【表1】
【0106】
2017年の野外試験
2通りの雑草なしの耐性野外試験を、カナダのアルバータおよびマニトバで2017年に実施して、2,4-Dエステルにより惹起された小麦の傷害が、クロキントセットを含有する製品との槽混合物により低下され得たかどうかを評価した。全ての処理は、表2に例示されており、単独および0.25%v/vの外来非イオン性界面活性剤(NIS;Agral 90)添加の両方で700gae/haの比率の2,4-DEHE;0.25%v/vのNIS添加および無添加の両方で、40gae/haのRexade A(50gae/kgハラウキシフェンメチル+150gai/kgピロキシスラム+318.6gae/kgクロキントセット酸)プラス700gae/haの2,4-Dエステルの槽混合物;フルオキシピルメプチルとの予備的剤形中の350と800gae/haの間の比率における2,4-Dエステル(360gae/Lの2,4-D+90gae/Lのフルオキシピル)、ArylexWG(100gae/kgハラウキシフェンメチル+100gai/kgクロキントセットメキシル)またはSimplicity GoDri(215gai/kgピロキシスラム+451.5gae/kgクロキントセット酸)を含む。槽混合相手により送達されるクロキントセットの親酸の比率は、3.5から63.7gae/haの範囲であった。全ての除草剤処理は、春に出現後施用された(2017年6月16日から2017年6月26日)。除草剤は、トラクターまたは自転車に乗って噴霧器でCO2を噴射剤として使用して施用した。噴霧器は、100L/haの噴霧体積を使用して、葉群の全施用範囲を提供する均一な噴霧パターンを送達した。施用は、春小麦(パンコムギ(Triticum aestivum))およびデュラム小麦(デュラム小麦(Triticum durum))に対して3葉期で行った。小麦に対する植物への有害作用を、全傷害パーセントとして、未処理の対照プロットと比較して視覚で査定した。全傷害査定は、成長阻害、葉の奇形、上偏生長、白化、および成熟における遅延の視覚的比率に基づいた。2,4-Dで観察された第一級傷害は、頭部奇形であったので、これらが下でまとめた唯一の評価である。頭部奇形は、処理後10から12週間(WAT)に評価した。試験は、無作為化された4回繰り返しの完全ブロックとしてデザインされた。
【0107】
ここで表2を参照すると、2,4-Dエステル(例えば、2,4-DEHE)、単独でまたはフルオキシピルメプチルと予め剤形化されてのいずれかで、350-800gae/haの比率で、春小麦には10%でピークになる、およびデュラム小麦には4%でピークになる頭部奇形を惹起した。クロキントセットを含有する製品、Rexade A、Arylex WG、およびSimplicity GoDriは、頭部奇形を惹起しないかまたは無視し得る頭部奇形しか惹起しなかった。2,4-Dエステルの槽混合物は、単独でまたはフルオキシピルメプチルと、クロキントセットを含有する製品と予め剤形化された混合物で、春小麦、およびデュラム小麦で頭部奇形を惹起しないかまたは有意により少ない頭部奇形を惹起した。表2は、B13成長段階における2,4-Dエステルの施用により惹起される小麦に対する傷害は、クロキントセット含有除草剤との槽混合により軽減され得ることを示す。現在、穀類作物に対する2,4-D含有混合物の施用は、作物傷害を避けるために、少なくともB14成長段階(4葉期;BBCHの成長段階に基づく段階14)まで遅らさなければならないと薦められており、それは施用期間の長さを減少させ、作物が雑草と競争することを強いられる時間の長さを増大させる。表2に示された結果は、クロキントセット(またはクロキントセットを含有する除草剤)が、2,4-Dエステル、または他の2,4-Dの構造的アナログと混合されて、腋芽を出す前に行われた施用により、惹起された春小麦およびデュラム小麦における頭部奇形を減少させることができたことを示す。したがって本開示は、BBCH成長段階に基づくB12~B13成長段階(例えば、2葉~3葉期)の前またはB12~B13成長段階における、春小麦およびデュラム小麦への安全な施用のための、2,4-Dとクロキントセット酸、クロキントセットメキシル、またはクロキントセット含有除草剤との共梱包、槽混合または共剤形化の実行可能性を提供する。
【0108】
【表2-1】
【0109】
【表2-2】
【0110】
2018年の野外試験
3通りの野外試験をカナダのアルバータ、サスカチュワンおよびマニトバで2018年に実施して、2,4-Dエステルにより惹起された小麦の傷害がクロキントセット含有製品との槽混合物により低下され得たかどうかを評価した。2,4-Dエステルを、補助剤なしの単独で700gae/ha(660gae/Lの2,4-DEHE)の比率で施用して、NIS補助剤(Agral 90)を0.25%v/vで添加して単独で700gae/haで施用して、または700gae/haのクロキントセット酸(250gae/kgのクロキントセット酸)との槽混合物で5から40gae/haの間の比率で、およびNIS補助剤を0.25%v/vで添加して施用した。除草剤処理を、春小麦(パンコムギ(Triticum aestivum))およびデュラム小麦(デュラム小麦(Triticum durum))にB12~13段階で行った。成長阻害を処理後7、14、および66日(DAT)に評価して、頭部奇形を処理後66日(DAT)に評価して、処理後77日(DAT)に収穫した。全ての処理を表3に例示する。
【0111】
雑草なしの耐性試験を確立した。全ての除草剤処理は、春に出現後に施用した(2018年5月28日から2018年6月1日)。除草剤は、トラクターまたは自転車に乗って噴霧器でCO2を噴射剤として使用して施用した。噴霧器は、100L/haの噴霧体積を使用して、葉群の全施用範囲を提供する均一な噴霧パターンを送達した。施用は、春小麦およびデュラム小麦に対して2葉~3葉期で行った。小麦に対する植物への有害作用を、全傷害パーセントとして、未処理の対照プロットと比較して視覚で査定した。全傷害査定は、成長阻害、葉の奇形、上偏生長、白化、および成熟における遅延の視覚的比率に基づいた。2,4-Dで観察された第一級傷害は、成長阻害、頭部奇形、および収率損失であったので、それ故、これらは下にまとめた唯一の評価である。試験は、無作為化された4回繰り返しの完全ブロックとしてデザインされた。ここで、表3を参照すると、単独でまたはAgral 90と共に施用された2,4-Dエステルは、春およびデュラム小麦に、成長阻害、頭部奇形および収率損失を惹起した。槽混合クロキントセット酸は、2,4-Dエステルとのある比率で、成長阻害、頭部奇形および収率損失を無視し得るレベルに軽減した(表3)。この結果は、クロキントセット(またはクロキントセットを含有する除草剤)は、2,4-Dエステル、または他の2,4-D構造的アナログと混合されて、腋芽を出す前になされた施用に惹起される春小麦およびデュラム小麦における成長阻害、頭部奇形および収率損失を軽減することができたことを示す。
【0112】
本開示の結果は、B12~B13成長段階における2,4-Dエステルの施用により惹起される小麦に対する傷害は、クロキントセットとの槽混合またはクロキントセット含有除草剤により軽減することができることを示す。現在、2,4-D含有混合物の穀類作物に対する施用は、作物傷害を避けるために、少なくともB14成長段階まで遅らさなければならないと薦められているが、それは、施用期間の長さを短くして作物が雑草と競争する時間の総計を増大させる。本開示は、B12~B13成長段階の前またはB12~B13における春小麦およびデュラム小麦に対する安全な施用のために、2,4-Dとクロキントセット酸、クロキントセットメキシル、またはクロキントセット含有除草剤との共梱包、槽混合または共剤形化の実行可能性を提供する。
【0113】
新規技術が図および前述の記載に例示され詳細に説明されているが、それらは例示と考えられるべきであり、特性を限定せず、好ましい実施形態が示されて説明されただけであり、新規技術の精神の内に入る全ての変化および変形態は、保護されることが望まれることが理解される。同様に、特定の例、理論的論拠、説明、および例示を使用して新規技術が例証されているが、これらの例示およびそれに伴う論議は、決して、本発明の技術を限定すると解釈されるべきではない。本出願で参照された全ての特許、特許出願、および本文への参照、科学書、出版等は、本明細書の明示的な教示と矛盾しない程度に、それらの全体で参照により本明細書に組み込まれる。
【0114】
【表3】
【国際調査報告】