(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】標的指向化二価結合体
(51)【国際特許分類】
C07H 15/18 20060101AFI20220107BHJP
C07H 15/26 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
C07H15/18 CSP
C07H15/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523919
(86)(22)【出願日】2019-11-04
(85)【翻訳文提出日】2021-06-04
(86)【国際出願番号】 US2019059687
(87)【国際公開番号】W WO2020093053
(87)【国際公開日】2020-05-07
(32)【優先日】2018-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513146871
【氏名又は名称】アルブータス・バイオファーマー・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100116540
【氏名又は名称】河野 香
(72)【発明者】
【氏名】ヘイズ,ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ホーランド,リチャード ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】パルマー,ローン ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ウッド,マーク
【テーマコード(参考)】
4C057
【Fターム(参考)】
4C057BB02
4C057DD03
4C057JJ19
4C057JJ55
(57)【要約】
本発明は、標的指向性二価部分と核酸と任意選択の連結基とを含む結合体、ならびに結合体の調製に有用な合成中間体及び合成方法、標的指向性二座リガンド及び結合体を含む組成物、ならびに二座結合体によって治療核酸を標的指向化する方法を提供する。結合体は、治療核酸を標的指向化するのに有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の結合体:
【化1】
〔式中、
R
1は糖であり、
L
1は、0~20個の炭素原子を有する二価の分岐型または非分岐型の飽和または不飽和炭化水素鎖であり、前記炭化水素鎖中の前記炭素原子の1つ以上は任意選択的に、-O-、-NR
X-、-NR
X-C(=O)-、-C(=O)-NR
X-、または-S-に置き換わっており、R
Xは水素または(C
1-C
6)アルキルであり、前記炭化水素鎖は、オキソ(=O)及びハロから選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されており、
Bは、5~10員アリールまたは5~10員ヘテロアリールであり、前記5~10員アリールまたは5~10員ヘテロアリールは、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)アルコキシカルボニル、(C
1-C
6)アルカノイルオキシ、(C
3-C
6)シクロアルキル、及び(C
3-C
6)シクロアルキル(C
1-C
6)アルキルからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、
L
2は、0~20個の炭素原子を有する二価の分岐型または非分岐型の飽和または不飽和炭化水素鎖であり、前記炭化水素鎖中の前記炭素原子の1つ以上は任意選択的に、-O-、-NR
X-、-NR
X-C(=O)-、-C(=O)-NR
X-、または-S-に置き換わっており、R
Xは水素または(C
1-C
6)アルキルであり、前記炭化水素鎖は、オキソ(=O)及びハロから選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されており、
R
2は糖であり、
L
3は、非存在、または連結基であり、
Aは、非存在、3~20員シクロアルキル、5~20員アリール、5~20員ヘテロアリール、または3~20員ヘテロシクロアルキルであり、
各R
Aは独立して、水素、ヒドロキシ、CN、F、Cl、Br、I、-C
1-2アルキル-OR
a、C
1-10アルキル C
2-10アルケニル、及びC
2-10アルキニルからなる群から選択され、前記C
1-10アルキル C
2-10アルケニル、及びC
2-10アルキニルは、ハロ、ヒドロキシ及びC
1-3アルコキシから独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、
nは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり、
L
4は、非存在、または連結基であり、
R
3は核酸であり、
R
aは、水素、保護基、固体担体との共有結合、または固体担体に結合している連結基L
5との結合であり、
L
5は連結基である〕、
またはその塩。
【請求項2】
Aが非存在である、請求項1に記載の結合体または塩。
【請求項3】
Aが、3~20員シクロアルキル、5~20員アリール、5~20員ヘテロアリール、または3~20員ヘテロシクロアルキルである、請求項1に記載の結合体または塩。
【請求項4】
Bが5~10員アリールである、請求項1~3のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項5】
Bがナフチルまたはフェニルである、請求項1~3のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項6】
Bがフェニルである、請求項1~3のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項7】
前記基:
【化2】
が、
【化3】
である、請求項1~3のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項8】
Bが5~10員ヘテロアリールである、請求項1~3のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項9】
Bが、ピリジル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、イミダゾイル、チアゾリル、ジオキサゾリルまたはオキサゾリルである、請求項1~3のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項10】
前記基:
【化4】
が、
【化5】
である、請求項1~3のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項11】
前記基:
【化6】
が、
【化7】
である、請求項1~3のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項12】
L
1が、0~20個の炭素原子を有する二価の非分岐型の飽和炭化水素鎖であり、前記炭化水素鎖中の前記炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3または4個)が任意選択的に、-O-、-NR
X-、-NR
X-C(=O)-、-C(=O)-NR
X-、または-S-に置き換わっており、R
Xが水素または(C
1-C
6)アルキルであり、前記炭化水素鎖が、オキソ(=O)及びハロから選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されている、請求項1~11のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項13】
L
1が、0~12個の炭素原子を有する二価の非分岐型の飽和炭化水素鎖であり、前記炭化水素鎖中の前記炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3または4個)が任意選択的に、-O-、-NR
X-C(=O)-、または-C(=O)-NR
X-に置き換わっており、R
Xが水素または(C
1-C
6)アルキルである、請求項1~11のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項14】
L
1が、
-C(=O)N(H)-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-、
-C(=O)N(H)-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-、
-C(=O)N(CH
3)-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-、または
-C(=O)N(CH
3)-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-
である、請求項1~11のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項15】
L
2が、0~20個の炭素原子を有する二価の非分岐型の飽和炭化水素鎖であり、前記炭化水素鎖中の前記炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3または4個)が任意選択的に、-O-、-NR
X-、-NR
X-C(=O)-、-C(=O)-NR
X-、または-S-に置き換わっており、R
Xが水素または(C
1-C
6)アルキルであり、前記炭化水素鎖が、オキソ(=O)及びハロから選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されている、請求項1~14のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項16】
L
2が、0~12個の炭素原子を有する二価の非分岐型の飽和炭化水素鎖であり、前記炭化水素鎖中の前記炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3または4個)が任意選択的に、-O-、-NR
X-C(=O)-、または-C(=O)-NR
X-に置き換わっており、R
Xが水素または(C
1-C
6)アルキルである、請求項1~14のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項17】
L
2が、
-C(=O)N(H)-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-、
-C(=O)N(H)-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-、
-C(=O)N(CH
3)-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-、または
-C(=O)N(CH
3)-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-
である、請求項1~14のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項18】
R
1が、
【化8】
〔式中、
XはNR
20であり、Yは、-(C=O)R
21、-SO
2R
22、及び-(C=O)NR
23R
24から選択され;またはXが-(C=O)-でありYがNR
25R
26であり;またはXが-NR
37R
38でありYが非存在であり、
R
20は水素または(C
1-C
4)アルキルであり、
R
21、R
22、R
23、R
24、R
25及びR
26は各々独立して、水素、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルからなる群から選択され、任意の(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルが、ハロ、(C
1-C
4)アルキル及び(C
1-C
4)アルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、
R
27は、-OH、-NR
25R
26、または-Fであり、
R
28は、-OH、-NR
25R
26、または-Fであり、
R
29は、-OH、-NR
25R
26、-F、-N
3、-NR
35R
36、またはハロ、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、(C
1-C
4)アルキル、アリール及び(C
1-C
4)アルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換された5員複素環であり、任意の(C
1-C
4)アルキル及び(C
1-C
4)アルコキシが、ハロからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、任意のアリールが、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、アミノ、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ、(C
1-C
8)アルカノイル、(C
1-C
8)アルコキシカルボニル、(C
1-C
8)アルカノイルオキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、任意の(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ、(C
1-C
8)アルカノイル、(C
1-C
8)アルコキシカルボニル、(C
1-C
8)アルカノイルオキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルが、ハロ、(C
1-C
4)アルキル及び(C
1-C
4)アルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、
各R
35及びR
36は独立して、水素、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルからなる群から選択され、任意の(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルが、ハロ及び(C
1-C
4)アルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており;またはR
35とR
36とがそれらに結合している窒素と一緒になって5~6員ヘテロアリール環を形成しており、前記ヘテロアリール環が、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ、アリール及び(C
3-C
6)シクロアルキルからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、任意のアリール及び(C
3-C
6)シクロアルキルが1つ以上の基R
39で任意選択的に置換されており、
各R
37及びR
38は独立して、水素、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ、(C
1-C
8)アルカノイル、(C
1-C
8)アルコキシカルボニル、(C
1-C
8)アルカノイルオキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルからなる群から選択され、任意の(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ、(C
1-C
8)アルカノイル、(C
1-C
8)アルコキシカルボニル、(C
1-C
8)アルカノイルオキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルが、ハロ、(C
1-C
4)アルキル及び(C
1-C
4)アルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており;またはR
37とR
38とがそれらに結合している窒素と一緒になって、ハロ、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、オキソ(=O)、(C
1-C
4)アルキル及び(C
1-C
4)アルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換された5~8員複素環を形成しており、任意の(C
1-C
4)アルキル及び(C
1-C
4)アルコキシが、ハロから独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、
各R
39は独立して、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルからなる群から選択され、任意の(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルが、ハロから独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されている〕
である、請求項1~17のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項19】
R
1が、
【化9】
である、請求項1~17のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項20】
R
1が、
【化10】
である、請求項1~17のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項21】
R
1が、
【化11】
である、請求項1~17のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項22】
R
1が、
【化12】
である、請求項1~15のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項23】
R
2が、
【化13】
〔式中、
XはNR
20であり、Yは、-(C=O)R
21、-SO
2R
22、及び-(C=O)NR
23R
24から選択され;またはXが-(C=O)-でありYがNR
25R
26であり;またはXが-NR
37R
38でありYが非存在であり、
R
20は水素または(C
1-C
4)アルキルであり、
R
21、R
22、R
23、R
24、R
25及びR
26は各々独立して、水素、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルからなる群から選択され、任意の(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルが、ハロ、(C
1-C
4)アルキル及び(C
1-C
4)アルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、
R
27は、-OH、-NR
25R
26、または-Fであり、
R
28は、-OH、-NR
25R
26、または-Fであり、
R
29は、-OH、-NR
25R
26、-F、-N
3、-NR
35R
36、またはハロ、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、(C
1-C
4)アルキル、アリール及び(C
1-C
4)アルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換された5員複素環であり、任意の(C
1-C
4)アルキル及び(C
1-C
4)アルコキシが、ハロからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、任意のアリールが、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、アミノ、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ、(C
1-C
8)アルカノイル、(C
1-C
8)アルコキシカルボニル、(C
1-C
8)アルカノイルオキシ、及び(C
3-C
6)シクロアルキルからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、任意の(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ、(C
1-C
8)アルカノイル、(C
1-C
8)アルコキシカルボニル、(C
1-C
8)アルカノイルオキシ、及び(C
3-C
6)シクロアルキルが、ハロ、(C
1-C
4)アルキル及び(C
1-C
4)アルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、
各R
35及びR
36は独立して、水素、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルからなる群から選択され、任意の(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルが、ハロ及び(C
1-C
4)アルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており;またはR
35とR
36とがそれらに結合している窒素と一緒になって5~6員ヘテロアリール環を形成しており、前記ヘテロアリール環が、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ、アリール及び(C
3-C
6)シクロアルキルからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、任意のアリール及び(C
3-C
6)シクロアルキルが1つ以上の基R
39で任意選択的に置換されており、
各R
37及びR
38は独立して、水素、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ、(C
1-C
8)アルカノイル、(C
1-C
8)アルコキシカルボニル、(C
1-C
8)アルカノイルオキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルからなる群から選択され、任意の(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ、(C
1-C
8)アルカノイル、(C
1-C
8)アルコキシカルボニル、(C
1-C
8)アルカノイルオキシ、及び(C
3-C
6)シクロアルキルが、ハロ、(C
1-C
4)アルキル及び(C
1-C
4)アルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており;またはR
37とR
38とがそれらに結合している窒素と一緒になって、ハロ、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、オキソ(=O)、(C
1-C
4)アルキル及び(C
1-C
4)アルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換された5~8員複素環を形成しており、任意の(C
1-C
4)アルキル及び(C
1-C
4)アルコキシが、ハロから独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、
各R
39は独立して、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルからなる群から選択され、任意の(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルが、ハロから独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されている〕
である、請求項1~22のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項24】
R
2が、
【化14】
である、請求項1~22のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項25】
R
2が、
【化15】
である、請求項1~22のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項26】
R
2が、
【化16】
である、請求項1~22のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項27】
R
2が、
【化17】
である、請求項1~22のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項28】
L
3が、0~50個の炭素原子を有する二価の分岐型または非分岐型の飽和または不飽和炭化水素鎖であり、前記炭化水素鎖中の前記炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3または4個)が任意選択的に、-O-、-NR
X-、-NR
X-C(=O)-、-C(=O)-NR
X-、または-S-に置き換わっており、R
Xが水素または(C
1-C
6)アルキルであり、前記炭化水素鎖が、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
3-C
6)シクロアルキル、(C
1-C
6)アルカノイル、(C
1-C
6)アルカノイルオキシ、(C
1-C
6)アルコキシカルボニル、(C
1-C
6)アルキルチオ、アジド、シアノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、オキソ(=O)、カルボキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール及びヘテロアリールオキシから選択される1つ以上(例えば、1、2、3または4個)の置換基で任意選択的に置換されている、請求項1~27のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項29】
L
3が、1~20個の炭素原子を有する二価の分岐型または非分岐型の飽和または不飽和炭化水素鎖であり、前記炭化水素鎖中の前記炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3または4個)が任意選択的に、-O-、-NR
X-、-NR
X-C(=O)-、-C(=O)-NR
X-、または-S-に置き換わっており、R
Xが水素または(C
1-C
6)アルキルであり、前記炭化水素鎖が、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
3-C
6)シクロアルキル、(C
1-C
6)アルカノイル、(C
1-C
6)アルカノイルオキシ、(C
1-C
6)アルコキシカルボニル、(C
1-C
6)アルキルチオ、アジド、シアノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、オキソ(=O)、カルボキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール及びヘテロアリールオキシから選択される1つ以上(例えば、1、2、3または4個)の置換基で任意選択的に置換されている、請求項1~27のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項30】
L
3が、1~30個の炭素原子を有する二価の分岐型または非分岐型の飽和または不飽和炭化水素鎖であり、前記炭素原子の1つ以上が任意選択的に、-O-、-NR
X-、-NR
X-C(=O)-、-C(=O)-NR
X-、または-S-に置き換わっており、R
Xが水素または(C
1-C
6)アルキルであり、前記炭化水素鎖が1つ以上のハロまたはオキソ(=O)で任意選択的に置換されている、請求項1~27のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項31】
L
3が、
【化18】
である、請求項1~27のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項32】
L
3が、-NH-、-O-、-S-、-(C=O)-、-(C=O)-NH-、-NH-(C=O)-、-(C=O)-O-、-NH-(C=O)-NH-、または-NH-(SO
2)-によってBに連結されている、請求項1~27のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項33】
L
4が、0~50個の炭素原子を有する二価の分岐型または非分岐型の飽和または不飽和炭化水素鎖であり、前記炭化水素鎖中の前記炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3または4個)が任意選択的に、-O-、-NR
X-、-NR
X-C(=O)-、-C(=O)-NR
X-、または-S-に置き換わっており、R
Xが水素または(C
1-C
6)アルキルであり、前記炭化水素鎖が、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
3-C
6)シクロアルキル、(C
1-C
6)アルカノイル、(C
1-C
6)アルカノイルオキシ、(C
1-C
6)アルコキシカルボニル、(C
1-C
6)アルキルチオ、アジド、シアノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、オキソ(=O)、カルボキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール及びヘテロアリールオキシから選択される1つ以上(例えば、1、2、3または4個)の置換基で任意選択的に置換されている、請求項1~32のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項34】
L
4が、1~20個の炭素原子を有する二価の分岐型または非分岐型の飽和または不飽和炭化水素鎖であり、前記炭化水素鎖中の前記炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3または4個)が任意選択的に、-O-、-NR
X-、-NR
X-C(=O)-、-C(=O)-NR
X-、または-S-に置き換わっており、R
Xが水素または(C
1-C
6)アルキルであり、前記炭化水素鎖が、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
3-C
6)シクロアルキル、(C
1-C
6)アルカノイル、(C
1-C
6)アルカノイルオキシ、(C
1-C
6)アルコキシカルボニル、(C
1-C
6)アルキルチオ、アジド、シアノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、オキソ(=O)、カルボキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール及びヘテロアリールオキシから選択される1つ以上(例えば、1、2、3または4個)の置換基で任意選択的に置換されている、請求項1~32のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項35】
L
4が、1~30個の炭素原子を有する二価の分岐型または非分岐型の飽和または不飽和炭化水素鎖であり、前記炭素原子の1つ以上が任意選択的に、-O-、-NR
X-、-NR
X-C(=O)-、-C(=O)-NR
X-、または-S-に置き換わっており、R
Xが水素または(C
1-C
6)アルキルであり、前記炭化水素鎖が1つ以上のハロまたはオキソ(=O)で任意選択的に置換されている、請求項1~32のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項36】
L
4が-O-によってR
3に連結されている、請求項1~32のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項37】
前記基:
【化19】
が、
【化20】
〔式中、各R’は独立して、C
1-9アルキル、C
2-9アルケニルまたはC
2-9アルキニルであり、前記C
1-9アルキル、C
2-9アルケニルまたはC
2-9アルキニルは、ハロまたはヒドロキシルで任意選択的に置換されている〕
からなる群から選択される、請求項1及び請求項3~36のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項38】
前記基:
【化21】
が、
【化22】
〔式中、
各R’は独立して、C
1-9アルキル、C
2-9アルケニルまたはC
2-9アルキニルであり、前記C
1-9アルキル、C
2-9アルケニルまたはC
2-9アルキニルは、ハロまたはヒドロキシルで任意選択的に置換されており、
*で標示された価数はL
3に付いており、
**で標示された価数はR
3に付いている〕
からなる群から選択される、請求項1及び請求項3~36のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項39】
前記基:
【化23】
が、
【化24】
である、請求項1及び請求項3~36のいずれか1項に記載の結合体または塩。
【請求項40】
【化25-1】
【化25-2】
【化25-3】
【化25-4】
【化25-5】
〔式中、R
3は核酸である〕
からなる群から選択される結合体、またはその塩。
【請求項41】
請求項1~40のいずれか1項に記載の結合体またはその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項42】
式(Ia)の化合物:
【化26】
〔式中、
R
1は糖であり、
L
1は、0~20個の炭素原子を有する二価の分岐型または非分岐型の飽和または不飽和炭化水素鎖であり、前記炭化水素鎖中の前記炭素原子の1つ以上は任意選択的に、-O-、-NR
X-、-NR
X-C(=O)-、-C(=O)-NR
X-、または-S-に置き換わっており、R
Xは水素または(C
1-C
6)アルキルであり、前記炭化水素鎖は、オキソ(=O)及びハロから選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されており、
Bは、5~10員アリールまたは5~10員ヘテロアリールであり、前記5~10員アリールまたは5~10員ヘテロアリールは、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)アルコキシカルボニル、(C
1-C
6)アルカノイルオキシ、(C
3-C
6)シクロアルキル、及び(C
3-C
6)シクロアルキル(C
1-C
6)アルキルからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、
L
2は、0~20個の炭素原子を有する二価の分岐型または非分岐型の飽和または不飽和炭化水素鎖であり、前記炭化水素鎖中の前記炭素原子の1つ以上は任意選択的に、-O-、-NR
X-、-NR
X-C(=O)-、-C(=O)-NR
X-、または-S-に置き換わっており、R
Xは水素または(C
1-C
6)アルキルであり、前記炭化水素鎖は、オキソ(=O)及びハロから選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されており、
R
2は糖であり、
L
3は、非存在、または連結基であり、
Aは、非存在、3~20員シクロアルキル、5~20員アリール、5~20員ヘテロアリール、または3~20員ヘテロシクロアルキルであり、
各R
Aは独立して、水素、ヒドロキシ、CN、F、Cl、Br、I、-C
1-2アルキル-OR
a、C
1-10アルキル C
2-10アルケニル、及びC
2-10アルキニルからなる群から選択され、前記C
1-10アルキル C
2-10アルケニル、及びC
2-10アルキニルは、ハロ、ヒドロキシ及びC
1-3アルコキシから独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、
nは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり、
L
4は、非存在、または連結基であり、
R
3aは、H、保護基、合成活性化基、固体担体との共有結合、または固体担体に結合している連結基との結合であり、
R
aは、水素、保護基、固体担体との共有結合、または固体担体に結合している連結基L
5との結合であり、
L
5は連結基である〕、
またはその塩。
【請求項43】
Aが非存在である、請求項42に記載の化合物。
【請求項44】
Aが、3~20員シクロアルキル、5~20員アリール、5~20員ヘテロアリール、または3~20員ヘテロシクロアルキルである、請求項42に記載の化合物。
【請求項45】
R
3aがHである、請求項42~44のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項46】
R
3aが保護基である、請求項42~44のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項47】
前記保護基が、アセテート、トリフラート、メシラートまたはスクシナートである、請求項46に記載の化合物。
【請求項48】
R
3aが合成活性化基である、請求項42~44のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項49】
前記合成活性化基が、DCC、HOBt、EDC、BOP、PyBOPまたはHBTUから誘導され得るものである、請求項48に記載の化合物。
【請求項50】
R
3aが固体担体との共有結合である、請求項42~44のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項51】
R
3aが、固体担体に結合している連結基との結合である、請求項42~44のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項52】
固体担体に結合している前記連結基が、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)N(H)-である、請求項51に記載の化合物。
【請求項53】
【化27-1】
【化27-2】
【化27-3】
【化27-4】
〔式中、Pgは保護基である〕
からなる群から選択される化合物、またはその塩。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本特許出願は、2018年11月2日に出願された米国出願第62/755,179号に基づく優先権の利益を主張するものであり、参照によりこの出願を本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
循環糖タンパク質の認識及び輸送におけるアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPr)の役割を解明するAshwell及びMorellによる発展性のある論文が出て以来、この受容体は集中的な研究の焦点となってきた(非特許文献1)。この受容体は肝細胞の表面における高レベルの発現ゆえに肝臓特異的送達剤の魅力的な標的にされる。この受容体は、N-アセチルガラクトースアミンと選択的に結合する三価の炭水化物結合ドメインを有する。一般的に受け入れられている法則は、標的指向性リガンドとの結合親和性が以下の順でGalNac単位の数とともに高くなるということである:6つのGalNac単位は4つのGalNac単位よりも大きく、4つのGalNac単位は3つのGalNac単位よりも大きく、3つのGalNac単位は2つのGalNac単位よりも大きく、2つのGalNac単位は1つのGalNac単位よりも大きい(非特許文献2~6)。
【0003】
大抵は多座の標的指向性リガンドの化学合成が必要になり得、結果的に複数(時には20~30個)の合成ステップを必要とし得る。これは製造要件及び商品のコストに影響を及ぼす。しかも、GalNac/siRNA結合体の合成は、固定化コントロールドポアグラス(CPG)担体上で行われることが典型的である。担体上の反お応性部位への接近は孔径と関係があり、このため、当該部位に接近する分子の大きさによる悪影響を受ける。標的指向性リガンドの大きさ(単糖単位数、分子量、分子半径など)の増大は担体における積載効率に悪影響を与える。したがって、有用な送達特性を有するが、より簡単に調製される、より安価に調製される、より小さい分子量を有する及び/またはより高い積載効率を有する標的指向性リガンドが今日必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】D’Souza et al,2015,J.Control Release,203,126-139
【非特許文献2】Meier et al,2000,J Mol Biol,300,857-865
【非特許文献3】Spiess M,1990,Biochemistry,29,43,10009-10018
【非特許文献4】Grewal P.,2010,Methods in Enzymology,479,223-241
【非特許文献5】Lee, et al.,1983,J Biol Chem,258,1,199-202
【非特許文献6】Valentijn,et al.,1997,Tetrahedron,53,2,759-770
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
既知の三分岐型及び四分岐型リガンドと比較して標的指向活性が同程度またはより良好である、2つの糖基(例えばN-アセチルガラクトサミン部分)を含有する標的指向性二座GalNacリガンドが同定された。これらの標的指向性二座リガンドは総じてより短い合成経路を有してより高い全体合成効率をもたらす。加えて、それらの分子の大きさがより小さいことはCPGへのより大きな浸透を可能にし、その結果、積載レベルがいくつかの三分岐型及び四分岐型リガンドに比べて30~50%高くなる。加えて、標的指向性二座リガンドは三分岐型及び四分岐型リガンドと比較して分析が単純であり、これによってADME毒性調査及び関係する研究活動は促進され得る。本発明は、標的指向性二座リガンド、これらの標的指向性二座リガンドの核酸結合体、標的指向性二座リガンド及び結合体を含む組成物、ならびに二座結合体によって治療核酸を標的指向化する方法を提供する。
【0006】
一実施形態において本発明は、
式(I)の結合体:
【化1】
〔式中、
R
1は糖であり、
L
1は、0~20個の炭素原子を有する二価の分岐型または非分岐型の飽和または不飽和炭化水素鎖であり、炭化水素鎖中の炭素原子の1つ以上は任意選択的に、-O-、-NR
X-、-NR
X-C(=O)-、-C(=O)-NR
X-、または-S-に置き換わっており、R
Xは水素または(C
1-C
6)アルキルであり、炭化水素鎖は、オキソ(=O)及びハロから選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されており、
Bは、5~10員アリールまたは5~10員ヘテロアリールであり、当該5~10員アリールまたは5~10員ヘテロアリールは、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)アルコキシカルボニル、(C
1-C
6)アルカノイルオキシ、(C
3-C
6)シクロアルキル、及び(C
3-C
6)シクロアルキル(C
1-C
6)アルキルからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、
L
2は、0~20個の炭素原子を有する二価の分岐型または非分岐型の飽和または不飽和炭化水素鎖であり、炭化水素鎖中の炭素原子の1つ以上は任意選択的に、-O-、-NR
X-、-NR
X-C(=O)-、-C(=O)-NR
X-、または-S-に置き換わっており、R
Xは水素または(C
1-C
6)アルキルであり、炭化水素鎖は、オキソ(=O)及びハロから選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されており、
R
2は糖であり、
L
3は、非存在、または連結基であり、
Aは、非存在、3~20員シクロアルキル、5~20員アリール、5~20員ヘテロアリール、または3~20員ヘテロシクロアルキルであり、
各R
Aは独立して、水素、ヒドロキシ、CN、F、Cl、Br、I、-C
1-2アルキル-OR
a、C
1-10アルキル C
2-10アルケニル、及びC
2-10アルキニルからなる群から選択され、C
1-10アルキル C
2-10アルケニル、及びC
2-10アルキニルは、ハロ、ヒドロキシ及びC
1-3アルコキシから独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、
nは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり、
L
4は、非存在、または連結基であり、
R
3は核酸であり、
R
aは、水素、保護基、固体担体への共有結合、または固体担体に結合している連結基L
5への結合であり、
L
5は連結基である〕、
またはその塩を提供する。
【0007】
本発明はまた、本明細書に記載の式Iの結合体またはその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物を提供する。
【0008】
本発明はまた、式Iの結合体を調製するのに有用な、本明細書に開示される合成中間体及び方法を提供する。
【0009】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び図から当業者に明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書中で使用する場合、以下の用語は、特に指定がない限り、それらが属するとみなされる意味を有する。
【0011】
「アルコキシ」及び「アルキルチオ」という用語は、それらの従来の意味で使用され、酸素原子(「オキシ」)またはチオ基を介して分子の残部に結合しているアルキル基を指し、さらにはそのモノハロゲン化及びポリハロゲン化変異体も含む。
【0012】
「アルキル」という用語は、特に指定がない限り、それ自体で、または別の置換基の一部として、指定された炭素原子の数(つまり、C1-8は1~8個の炭素を意味する)を有する直鎖または分岐鎖炭化水素ラジカルを意味する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどが挙げられる。「アルケニル」という用語は、1つ以上の二重結合を有する不飽和アルキルラジカルを指す。同様に、「アルキニル」という用語は、1つ以上の三重結合を有する不飽和アルキルラジカルを指す。そのような不飽和アルキル基の例としては、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-及び3-プロピニル、3-ブチニル、ならびに高級同族体及び異性体が挙げられる。
【0013】
「動物」という用語には、哺乳動物種、例えば、ヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ハムスター、モルモット、ウサギ、家畜動物などが含まれる。
【0014】
本明細書中で使用される「アリール」という用語は、単環式全炭素芳香環、または環の少なくとも1つが芳香環である多環縮合全炭素環系を指す。例えば、ある特定の実施形態では、アリール基は、6~20個の炭素原子、6~14個の炭素原子、6~12個の炭素原子、または6~10個の炭素原子を有する。アリールにはフェニルラジカルが含まれる。アリールには、約9~20個の炭素原子を有しており少なくとも1つの環が芳香環でありその他の環が芳香環または非芳香環(例えばシクロアルキル)であり得る多環縮合炭素環系(例えば、2、3または4個の環を含んでいる環系)も含まれる。多環縮合環系の環は、価数要件によって許容される場合に融合結合、スピロ結合及び架橋結合によって互いに連結され得る。上に定義される多環縮合環系の結合点が環系の任意の位置、例えば環の芳香環部分または炭素環部分にあり得ることは理解されるべきである。アリール基の非限定的な例としては、フェニル、インデニル、インダニル、ナフチル、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、アントラセニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
「シクロアルキル」という用語は、3~8個の炭素原子を有する飽和または部分不飽和(非芳香族)全炭素環(すなわち、(C3-C8)炭素環)を指す。当該用語には、多環縮合型飽和全炭素環系(例えば、2、3または4個の炭素環を含んでいる環系)も含まれる。したがって、炭素環には、二環式炭素環(例えば、約3~15個の炭素原子、約6~15個の炭素原子、または約6~12個の炭素原子を有する二環式炭素環、例えば、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン、及びビシクロ[2.1.1]ヘキサン)などの多環式炭素環、及び多環式炭素環(例えば、最大約20個の炭素原子を有する三環式及び四環式炭素環)が含まれる。多環縮合環系の環は、価数要件によって許容される場合に融合結合、スピロ結合及び架橋結合によって互いに連結され得る。例えば、多環式炭素環は、単一の炭素原子によって互いに連結されてスピロ型連結部を形成していることもあるし(例えば、スピロペンタン、スピロ[4,5]デカンなど)、2つの隣接炭素原子によって互いに連結されて融合型連結部を形成していることもあるし(例えば、デカヒドロナフタレン、ノルサビナン、ノルカランなどの炭素環)、または2つの非隣接炭素原子によって互いに連結されて架橋型連結部を形成していることもある(例えば、ノルボルナン、ビシクロ[2.2.2]オクタンなど)。シクロアルキルの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ピナン及びアダマンタンが挙げられる。
【0016】
「遺伝子」という用語は、ポリペプチドまたは前駆体ポリペプチドの産生に必要な部分長または全長コード配列を含む核酸(例えばDNAまたはRNA)配列を指す。
【0017】
「遺伝子産物」は、本明細書中で使用される場合、遺伝子の産物、例えば、RNA転写産物またはポリペプチドを指す。
【0018】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、特に明記しない限り、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を意味する。
【0019】
本明細書中で使用される「ヘテロアリール」という用語は、炭素以外の原子であって酸素、窒素及び硫黄からなる群から選択される当該原子を環内に少なくとも1つ有する単環式芳香環を指し、「ヘテロアリール」には、そのような芳香環を少なくとも1つ有する多環縮合環系であって以下にさらに説明される当該多環縮合環系も含まれる。したがって、「ヘテロアリール」には、炭素原子が約1~6個であり、酸素、窒素及び硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子が約1~4個である、単環式芳香環が含まれる。環が芳香環である限り、硫黄及び窒素原子が酸化形態で存在していてもよい。例示的なヘテロアリール環系としては、ピリジル、ピリミジニル、オキサゾリル及びフリルが挙げられるが、これらに限定されない。「ヘテロアリール」には、上に定義されるヘテロアリール基と、シクロアルキル、アリール、複素環及びヘテロアリールから選択される1つ以上の環とが縮合している多環縮合環系(例えば、2、3または4個の環を含んでいる環系)も含まれる。ヘテロアリールまたはヘテロアリール多環縮合環系との結合点が、ヘテロアリールまたはヘテロアリール多環縮合環系の炭素原子及びヘテロ原子(例えば窒素)を含めた任意の好適な原子であり得ることは理解されるべきである。例示的なヘテロアリールとしては、ピリジル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラゾリル、チエニル、インドリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、フリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、インダゾリル、キノキサリル及びキナゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
「複素環」という用語は、炭素以外の原子であって酸素、窒素及び硫黄からなる群から選択される当該原子を少なくとも1つ有する飽和または部分不飽和単環を指し、当該用語には、少なくとも1つのそのような飽和または部分不飽和環を有する多環縮合環系であって以下にさらに説明される当該多環縮合環系も含まれる。したがって、当該用語には、環において炭素原子が約1~6個であり、酸素、窒素及び硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子が約1~3個である、飽和または部分不飽和単環(例えば、3、4、5、6または7員環)が含まれる。硫黄及び窒素原子がそれらの酸化形態で存在していてもよい。例示的な複素環としては、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル及びピペリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。「複素環」という用語には、単一の(上に定義される)複素環と、シクロアルキル、アリール及び複素環から選択される1つ以上の基とが縮合して多環縮合環系を形成したものであり得る多環縮合環系(例えば、2、3または4個の環を含んでいる環系)も含まれる。多環縮合環系の環は、価数要件によって許容される場合に融合結合、スピロ結合及び架橋結合によって互いに連結され得る。多環縮合環系の個々の環が互いに対していかなる順序で連結されていてもよいことは理解されるべきである。(複素環に関して上に定義される)多環縮合環系の結合点が、環の複素環、アリール及び炭素環部分を含めた多環縮合環系の任意の位置であり得ることも、理解されるべきである。一実施形態では、複素環という用語には3~15員複素環が含まれる。一実施形態では、複素環という用語には3~10員複素環が含まれる。一実施形態では、複素環という用語には3~8員複素環が含まれる。一実施形態では、複素環という用語には3~7員複素環が含まれる。一実施形態では、複素環という用語には3~6員複素環が含まれる。一実施形態では、複素環という用語には4~6員複素環が含まれる。一実施形態では、複素環という用語には、1~4個のヘテロ原子を含む単環式または二環式の3~10員複素環が含まれる。一実施形態では、複素環という用語には、1~3個のヘテロ原子を含む単環式または二環式の3~8員複素環複素環が含まれる。一実施形態では、複素環という用語には、1~2個のヘテロ原子を含む単環式または二環式の3~6員複素環が含まれる。一実施形態では、複素環という用語には、1~2個のヘテロ原子を含む単環式の4~6員複素環が含まれる。例示的な複素環としては、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロオキサゾリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1,2,3,4-テトラヒドロキノリル、ベンゾオキサジニル、ジヒドロオキサゾリル、クロマニル、1,2-ジヒドロピリジニル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、1,3-ベンゾジオキソリル、1,4-ベンゾジオキサニル、スピロ[シクロプロパン-1,1’-イソインドリニル]-3’-オン、イソインドリニル-1-オン、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタニル、イミダゾリジン-2-オン イミダゾリジン、ピラゾリジン、ブチロラクタム、バレロラクタム、イミダゾリジノン、ヒダントイン、ジオキソラン、フタルイミド及び1,4-ジオキサンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
「糖」という用語には、単糖、二糖及び三糖が含まれ、これらは全て、任意選択的に置換されたものであり得る。当該用語には、グルコース、スクロース フルクトース、ガラクトース及びリボース、ならびにデオキシ糖、例えばデオキシリボース、ならびにアミノ糖、例えばガラクトサミンが含まれる。糖誘導体は、国際特許出願公開第WO96/34005号及び第97/03995号に記載されているように好都合に調製され得る。糖は、エーテル結合、チオエーテル結合(例えば、S-グリコシド)、アミン窒素(例えば、N-グリコシド)または炭素-炭素結合(例えば、C-グリコシド)によって式Iの化合物の残部に好都合に繋げられ得る。一実施形態では、糖はエーテル結合によって式Iの化合物の残部に好都合に繋げられ得る。
【0022】
本明細書中で使用される「低分子干渉RNA」または「siRNA」という用語は、siRNAが標的遺伝子または配列と同じ細胞の中にあるときに(例えばsiRNA配列に対して相補的であるmRNAの分解を媒介する、または翻訳を阻害することによって)標的遺伝子または配列の発現を低減または阻害することができる二本鎖RNA(すなわち二重鎖RNA)を指す。siRNAは、標的遺伝子もしくは配列との実質的もしくは完全な同一性を有する場合もあるし、またはミスマッチの領域(すなわちミスマッチモチーフ)を含む場合もある。ある特定の実施形態では、siRNAは、長さが約19~25(二重鎖)ヌクレオチドであり得、好ましくは長さが約20~24、21~22、または21~23(二重鎖)ヌクレオチドである。siRNA二重鎖は、約1~約4ヌクレオチド、または約2~約3ヌクレオチドの3’突出部、及び5’リン酸末端を含み得る。siRNAの例としては、限定されないが、一方の鎖をセンス鎖としもう一方を相補性アンチセンス鎖とする2本の別個の分子鎖から組み立てられた二本鎖ポリヌクレオチド分子が挙げられる。
【0023】
ある特定の実施形態では、siRNAの片方または両方の鎖上の5’及び/または3’突出部は、標的配列(例えばアンチセンサ鎖中の3’突出部)またはその相補鎖(例えばセンス鎖中の3’突出部)との相補性を有する1~4個(例えば、1、2、3または4個)の修飾及び/または非修飾デオキシチミジン(tまたはdT)ヌクレオチド、1~4個(例えば、1、2、3または4個)の修飾(例えば2’OMe)及び/または非修飾ウリジン(U)リボヌクレオチド、及び/または1~4個(例えば、1、2、3または4個)の修飾(例えば2’OMe)及び/または非修飾リボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチドを含む。
【0024】
好ましくは、siRNAは化学合成される。siRNAは、E.coliのRNアーゼIIIまたはDicerを使用したより長いdsRNA(例えば長さ約25ヌクレオチド超のdsRNA)の切断によっても生成され得る。これらの酵素はdsRNAを生物学的に活性なsiRNAにプロセシングする(例えば、Yang et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,99:9942-9947(2002)、Calegari et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,99:14236(2002)、Byrom et al.,Ambion TechNotes,10(1):4-6(2003)、Kawasaki et al.,Nucleic Acids Res.,31:981-987(2003)、Knight et al.,Science,293:2269-2271(2001)、及びRobertson et al.,J.Biol.Chem.,243:82(1968)を参照されたい)。好ましくは、dsRNAは長さが少なくとも50ヌクレオチド~約100、200、300、400または500ヌクレオチドである。dsRNAは、1000、1500、2000、5000ヌクレオチドもの長さ、またはそれを上回る長さがあり得る。dsRNAは、遺伝子転写産物全体、または部分的な遺伝子転写産物をコードし得る。場合によっては,siRNAは、プラスミドにコードされ得る(例えば、ヘアピンループを有する二重鎖に自動的に折りたたまれる配列として転写される)。
【0025】
「標的遺伝子の発現を阻害する」という語句は、標的遺伝子の発現をサイレンシング、低減または阻害する本発明のsiRNAの能力を指す。遺伝子サイレンシングの程度を調べるには、検査試料(例えば、標的遺伝子が発現している関心対象の生物からの生体試料、または標的遺伝子が発現している培養物中の細胞の試料)を、標的遺伝子の発現をサイレンシング、低減または阻害するsiRNAと接触させる。検査試料における標的遺伝子の発現を、siRNAと接触させていない対照試料(例えば、標的遺伝子が発現している関心対象の生物からの生体試料、または標的遺伝子が発現している培養物中の細胞の試料)における標的遺伝子の発現と比較する。対照試料(例えば、標的遺伝子が発現している試料)に100%の値が与えられ得る。詳しい実施形態では、対照試料(例えば、緩衝液のみ、異なる遺伝子を標的とするsiRNA配列、スクランブルsiRNA配列など)と比較して検査試料の値が約100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%または0%である場合に、標的遺伝子の発現のサイレンシング、阻害または低減が成し遂げられる。好適なアッセイとしては、限定されないが、ドットブロット、ノーザンブロット、in situハイブリダイゼーション、ELISA、免疫沈降、酵素機能などの当業者に知られている技術、及び当業者に知られている表現型アッセイを用いる、タンパク質またはmRNAレベルの試験が挙げられる。
【0026】
siRNAなどの治療核酸の「有効量」または「治療的有効量」は、所望の効果、例えば、siRNAの非存在下で検出される正常発現レベルと比較したときの標的配列の発現の阻害を生じさせるのに十分な量である。詳しい実施形態では、対照(例えば、緩衝液のみ、異なる遺伝子を標的とするsiRNA配列、スクランブルsiRNA配列など)と比較して、siRNAを使用して得られた値が約100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%または0%である場合に、標的遺伝子または標的配列の発現の阻害が成し遂げられる。標的遺伝子または標的配列の発現を測定するのに適したアッセイとしては、例えばドットブロット、ノーザンブロット、in situハイブリダイゼーション、ELISA、免疫沈降、酵素機能などの当業者に知られている技術、及び当業者に知られている表現型アッセイを用いる、タンパク質またはmRNAレベルの試験が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
本明細書中で使用される「核酸」という用語は、少なくとも2つのヌクレオチド(すなわちデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド)を一本鎖か二本鎖かのどちらかの形態で含有するポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。「ヌクレオチド」は、糖であるデオキシリボース(DNA)またはリボース(RNA)と、塩基と、リン酸基とを含有する。ヌクレオチドはリン酸基によって繋がり合っている。「塩基」は、プリン及びピリミジンを含むが、これらはさらに、天然化合物であるアデニン、チミン、グアニン、シトシン、ウラシル、イノシン、及び天然の類縁体、ならびにプリン及びピリミジンの合成誘導体が含まれ、これには、限定されないが、新たな反応性基、例えば限定されないがアミン、アルコール、チオール、カルボキシラート及びアルキルハライドを付ける改変形態が含まれる。核酸には、基準となる核酸と同程度の結合特性を有する、合成の、天然に存在する、及び天然に存在しない既知のヌクレオチド類縁体または改変された主鎖残基もしくはリンケージを含有する核酸が含まれる。そのような類縁体、及び/または改変された残基の例としては、限定されないが、ホスホロチオエート、ホスホロアミダート、メチルホスホナート、キラル-メチルホスホナート、2’-O-メチルリボヌクレオチド、及びペプチド核酸(PNA)が挙げられる。加えて、核酸は1つ以上のUNA部分を含み得る。
【0028】
「保護基」という用語は、化合物上の特定の官能基をブロッキングまたは保護するために一般に採用される置換基を指す。例えば、「アミノ保護基」は、化合物のアミノ官能性をブロッキングまたは保護する、アミノ基に結合した置換基である。好適なアミノ保護基としては、アセチル、トリフルオロアセチル、t-ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、及び9-フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)が挙げられる。同様に、「ヒドロキシ保護基」は、ヒドロキシ官能性をブロッキングまたは保護する、ヒドロキシ基の置換基を指す。好適な保護基としては、アセチル、シリル及び2,2-ジメトキシプロペンが挙げられる。「カルボキシ保護基」は、カルボキシ官能性をブロッキングまたは保護する、カルボキシ基の置換基を指す。一般的なカルボキシ保護基としては、フェニルスルホニルエチル、シアノエチル、2-(トリメチルシリル)エチル、2-(トリメチルシリル)エトキシメチル、2-(p-トルエンスルホニル)エチル、2-(p-ニトロフェニルスルフェニル)エチル、2-(ジフェニルホスフィノ)-エチル、ニトロエチルなどが挙げられる。保護基及びその使用についての全般的説明については、P.G.M.Wuts and T.W.Greene,Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis 4th edition,Wiley-Interscience,New York,2006を参照されたい。
【0029】
「合成活性化基」という用語は、原子に結合してその原子を活性化させてそれと別の反応性基との共有結合を形成させることができる基を指す。合成活性化基の性質は、それが活性化させる原子によって決まり得ることが理解される。例えば、合成活性化基を酸素原子に結合させる場合、合成活性化基は、その酸素原子を活性化させて別の反応性基との結合(例えば、エステル、カルバメートまたはエーテル結合)を形成することになる基である。そのような合成活性化基は既知である。酸素原子に結合させることができる合成活性化基の例としては、アセテート、スクシナート、トリフラート及びメシラートが挙げられるが、これらに限定されない。合成活性化基をカルボン酸の酸素原子に結合させる場合、合成活性化基は、既知のカップリング試薬(例えば、既知のアミドカップリング試薬)から誘導され得る基であり得る。そのようなカップリング試薬は既知である。そのようなカップリング試薬の例としては、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカーボネート(EDC)、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、(1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)、無水プロピルホスホン酸溶液(T3P)、またはO-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
核酸
「核酸」という用語には、任意のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが含まれ、60ヌクレオチド以下の断片は一般にオリゴヌクレオチドと称され、より長い断片はポリヌクレオチドと称される。デオキシリボオリゴヌクレオチドは、デオキシリボースと呼称される五炭糖がこの糖の5’及び3’炭素においてリン酸と共有結合で結び合わされて交互非分岐型ポリマーを形成したものからなる。DNAは、例えばアンチセンス分子、プラスミドDNA、事前凝集DNA、PCR産物、ベクター、発現カセット、キメラ配列、染色体DNA、またはこれらの群の派生体及び組合せの形態であり得る。リボオリゴヌクレオチドは、五炭糖がリボースである類似する反復構造からなる。RNAは、例えば、低分子干渉RNA(siRNA)、Dicer基質dsRNA、短鎖ヘアピン型RNA(shRNA)、非対称干渉RNA(aiRNA)、マイクロRNA(miRNA)、mRNA、tRNA、rRNA、tRNA、ウイルスRNA(vRNA)、自己増幅RNA(saRNA)及びその組合せの形態であり得る。したがって、本発明との関連において、「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」という用語は、天然に存在する塩基と糖と糖間(主鎖)リンケージとからなるヌクレオチドまたはヌクレオシド単量体のポリマーまたはオリゴマーを指す。「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」という用語には、同様に機能する天然に存在しない単量体またはその一部を含むポリマーまたはオリゴマーも含まれる。そのような改変または置換されたオリゴヌクレオチドは、例えば増強された細胞取込み、低減された免疫原性、及びヌクレアーゼの存在下での向上した安定性などの特性ゆえに、天然形態よりも好まれることが多い。
【0031】
特に示されない限り、特定の核酸配列は、明示的に示された配列だけでなく、その保存的に改変された変異体(例えば、縮重コドン置換体)、対立遺伝子、オーソログ、SNP及び相補配列も暗に包含する。具体的には、縮重コドン置換体は、1つ以上の選択された(または全ての)コドンの3番目の位置が混合塩基及び/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を生成することによって得られ得る(Batzer et al.,Nucleic Acid Res.,19:5081(1991)、Ohtsuka et al.,J.Biol. Chem.,260:2605-2608(1985)、Rossolini et al.,Mol.Cell.Probes,8:91-98(1994))。
【0032】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の標的指向性二座リガンドは核酸に結合体化され得る。ある特定の実施形態では、核酸は本明細書に記載の核酸である。例えば、本明細書において使用される核酸は、一本鎖DNAもしくはRNA、または二本鎖DNAもしくはRNA、またはDNA-RNA混成鎖であり得る。二本鎖RNAの例は本明細書に記載されており、例えば、siRNA及び他のRNAi剤、例えばaiRNA及び前駆体miRNAを含む。一本鎖核酸としては、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、成熟miRNA、及び3本鎖形成オリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0033】
ある特定の実施形態では、核酸はオリゴヌクレオチドである。詳しい実施形態では、オリゴヌクレオチドは長さが約10~約100ヌクレオチドの範囲である。関係する様々な実施形態において、一本鎖、二本鎖及び三本鎖のオリゴヌクレオチドはどれも長さが約10~約60ヌクレオチド、約15~約60ヌクレオチド、約20~約50ヌクレオチド、約15~約30ヌクレオチド、または約20~約30ヌクレオチドの範囲であり得る。
【0034】
ある特定の実施形態では、核酸は、低分子干渉RNA(siRA)、Dicer基質dsRNA、短鎖ヘアピン型RNA(shRNA)、非対称干渉RNA(aiRNA)、マイクロRNA(miRNA)、tRNA、rRNA、tRNA、ウイルスRNA(vRNA)、自己増幅RNA(sa-RNA)及びその組合せからなる群から選択される。
【0035】
ある特定の実施形態では、核酸はアンチセンス分子である。ある特定の実施形態では、核酸はmiRNA分子である。ある特定の実施形態では、核酸はsiRNAである。好適なsiRNA、ならびにそれを調製するのに有用な方法及び中間体は、国際特許出願公開第WO2016/054421号の中で報告されている。
【0036】
標的遺伝子
ある特定の実施形態では、核酸(例えばsiRNA)は、関心対象の遺伝子の翻訳(すなわち発現)を下方制御またはサイレンシングするために使用され得る。関心対象の遺伝子としては、ウイルス感染及び生存に関連する遺伝子、代謝性疾患及び障害(例えば肝疾患及び肝障害)に関連する遺伝子、腫瘍発生及び細胞形質転換(例えば、がん)に関連する遺伝子、血管新生遺伝子、免疫調節因子遺伝子、例えば炎症及び免疫応答に関連するもの、リガンド受容体遺伝子、ならびに神経変性障害に関連する遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、関心対象の遺伝子は肝細胞に発現する。
【0037】
ウイルス感染及び生存に関連する遺伝子としては、細胞における結合、侵入及び複製のためにウイルスによって発現するものが挙げられる。特に興味深いのは、慢性ウイルス疾患に関連するウイルス配列である。特に興味深いウイルス配列としては、フィロウイルス、例えばエボラウイルス及びマールブルグウイルス(例えば、Geisbert et al.,J.Infect.Dis.,193:1650-1657(2006)を参照されたい)、アレナウイルス、例えば、ラッサウイルス、フニンウイルス、マチュポウイルス、グアナリトウイルス及びサビアウイルス(Buchmeier et al.,Arenaviridae:the viruses and their replication,In:FIELDS VIROLOGY,Knipe et al.(eds.),4th ed.,Lippincott-Raven,Philadelphia,(2001))、インフルエンザウイルス、例えばインフルエンザA、B及びCウイルス(例えば、Steinhauer et al.,Annu Rev Genet.,36:305-332(2002)、及びNeumann et al.,J Gen Virol.,83:2635-2662(2002)を参照されたい)、肝炎ウイルス(例えば、Hamasaki et al.,FEBS Lett.,543:51(2003)、Yokota et al.,EMBO Rep.,4:602(2003)、Schlomai et al.,Hepatology,37:764(2003)、Wilson et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,100:2783(2003)、Kapadia et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,100:2014(2003)、及びFIELDS VIROLOGY,Knipe et al.(eds.),4th ed.,Lippincott-Raven,Philadelphia(2001)を参照されたい)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)(Banerjea et al.,Mol.Ther.,8:62(2003)、Song et al.,J.Virol.,77:7174(2003)、Stephenson,JAMA,289:1494(2003)、Qin et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,100:183(2003))、ヘルペスウイルス(Jia et al.,J.Virol.,77:3301(2003))、ならびにヒトパピローマウイルス(HPV)(Hall et al.,J.Virol.,77:6066(2003)、Jiang et al.,Oncogene,21:6041(2002))の配列が挙げられる。
【0038】
サイレンシングされ得る例示的なフィロウイルス核酸配列としては、構造タンパク質をコードする核酸配列(例えば、VP30、VP35、核タンパク質(NP)、ポリメラーゼタンパク質(L-pol))及び膜結合タンパク質(例えば、VP40、糖タンパク質(GP)、VP24)が挙げられるが、これらに限定されない。エボラウイルスの完全ゲノム配列は、例えば、Genbank受託番号NC_002549、AY769362、NC_006432、NC_004161、AY729654、AY354458、AY142960、AB050936、AF522874、AF499101、AF272001及びAF086833に示されている。エボラウイルスVP24配列は例えばGenbank受託番号U77385及びAY058897に示されている。エボラウイルスL-pol配列は例えばGenbank受託番号X67110に示されている。エボラウイルスVP40配列は例えばGenbank受託番号AY058896に示されている。エボラウイルスNP配列は例えばGenbank受託番号AY058895に示されている。エボラウイルスGP配列は、例えば、Genbank受託番号AY058898、Sanchez et al.,Virus Res.,29:215-240(1993)、Will et al.,J.Virol.,67:1203-1210(1993)、Volchkov et al.,FEBS Lett.,305:181-184(1992)、及び米国特許第6,713,069号に示されている。さらなるエボラウイルス配列は例えばGenbank受託番号L11365及びX61274に示されている。マールブルグウイルスの完全ゲノム配列は、例えば、Genbank受託番号NC_001608、AY430365、AY430366及びAY358025に示されている。マールブルグウイルスGP配列は、例えば、Genbank受託番号AF005734、AF005733及びAF005732に示されている。マールブルグウイルスVP35配列は例えばGenbank受託番号AF005731及びAF005730に示されている。さらなるマールブルグウイルス配列は、例えば、Genbank受託番号X64406、Z29337、AF005735及びZ12132に示されている。エボラウイルス及びマールブルグウイルス核酸配列を標的とするsiRNA分子の非限定的な例としては、米国特許公開第20070135370号に記載されているものが挙げられ、参照によりこれの開示内容の全体をあらゆる目的のために本明細書に援用する。
【0039】
サイレンシングされ得る例示的なインフルエンザウイルス核酸配列としては、核タンパク質(NP)、マトリックスタンパク質(M1及びM2)、非構造タンパク質(NS1及びNS2)、RNAポリメラーゼ(PA、PB1、PB2)、ノイラミニダーゼ(NA)及びヘマグルチニン(HA)をコードする核酸配列が挙げられるが、これらに限定されない。A型インフルエンザNP配列は、例えば、Genbank受託番号NC_004522、AY818138、AB166863、AB188817、AB189046、AB189054、AB189062、AY646169、AY646177、AY651486、AY651493、AY651494、AY651495、AY651496、AY651497、AY651498、AY651499、AY651500、AY651501、AY651502、AY651503、AY651504、AY651505、AY651506、AY651507、AY651509、AY651528、AY770996、AY790308、AY818138及びAY818140に示されている。A型インフルエンザPA配列は、例えば、Genbank受託番号AY818132、AY790280、AY646171、AY818132、AY818133、AY646179、AY818134、AY551934、AY651613、AY651610、AY651620、AY651617、AY651600、AY651611、AY651606、AY651618、AY651608、AY651607、AY651605、AY651609、AY651615、AY651616、AY651640、AY651614、AY651612、AY651621、AY651619、AY770995及びAY724786に示されている。インフルエンザウイルス核酸配列を標的とするsiRNA分子の非限定的な例としては、米国特許公開第20070218122号に記載されているものが挙げられ、参照によりこれの開示内容の全体をあらゆる目的のために本明細書に援用する。
【0040】
サイレンシングされ得る例示的な肝炎ウイルス核酸配列としては、転写及び翻訳に関与する核酸配列(例えば、En1、En2、X、P)、ならびに構造タンパク質(例えば、C及びC関連タンパク質を含めたコアタンパク質、S、M及び/またはLタンパク質を含めたカプシド及びエンベロープタンパク質、またはその断片)をコードする核酸配列が挙げられるが、これらに限定されない(例えば、上記FIELDS VIROLOGYを参照されたい)。サイレンシングされ得る例示的なC型肝炎ウイルス(HCV)核酸配列としては、5’非翻訳領域(5’-UTR)、3’-非翻訳領域(3’-UTR)、ポリプロテイン翻訳開始コドン領域、配列内リボソーム進入部位(IRES)配列、及び/またはコアタンパク質、E1タンパク質、E2タンパク質、p7タンパク質、NS2タンパク質、NS3プロテアーゼ/ヘリカーゼ、NS4Aタンパク質、NS4Bタンパク質、NS5Aタンパク質及び/またはNS5B RNA依存性RNAポリメラーゼをコードする核酸配列が挙げられるが、これらに限定されない。HCVゲノム配列は、例えば、Genbank受託番号NC_004102(HCV遺伝子型1a)、AJ238799(HCV遺伝子型1b)、NC_009823(HCV遺伝子型2)、NC_009824(HCV遺伝子型3)、NC_009825(HCV遺伝子型4)、NC_009826(HCV遺伝子型5)、及びNC_009827(HCV遺伝子型6)に示されている。A型肝炎ウイルス核酸配列は例えばGenbank受託番号NC_001489に示されている。B型肝炎ウイルス核酸配列は例えばGenbank受託番号NC_003977に示されており、D型肝炎ウイルス核酸配列は例えばGenbank受託番号NC_001653に示されており、E型肝炎ウイルス核酸配列は例えばGenbank受託番号NC_001434に示されており、G型肝炎ウイルス核酸配列は例えばGenbank受託番号NC_001710に示されている。ウイルス感染及び生存に関連する遺伝子をコードする配列のサイレンシングは、ウイルス性の症状を治療するために使用される従来の薬剤の投与と組み合わせて好都合に用いられ得る。肝炎ウイルス核酸配列を標的とするsiRNA分子の非限定的な例としては、米国特許公開第20060281175号、第20050058982号及び第20070149470号、米国特許第7,348,314号、ならびに2009年3月20日に出願された米国仮出願第61/162,127号に記載されているものが挙げられ、参照によりこれらの開示内容の全体をあらゆる目的のために本明細書に援用する。
【0041】
代謝性疾患及び障害(例えば、肝臓が標的となる障害、ならびに肝疾患及び肝障害)に関連する遺伝子としては、例えば、脂質異常症(例えば、肝臓X受容体、例えばLXRα及びLXRβ(Genback受託番号NM_007121)、ファルネソイドX受容体(FXR)(Genbank受託番号NM_005123)、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)、site-1プロテアーゼ(SIP)、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素A還元酵素(HMG補酵素A還元酵素)、アポリポタンパク質B(ApoB)(Genbank受託番号NM_000384)、アポリポタンパク質CIII(ApoC3)(Genbank受託番号NM_000040及びNG_008949 REGION:5001.8164)、及びアポリポタンパク質E(ApoE)(Genbank受託番号NM_000041及びNG_007084 REGION:5001.8612))、及び糖尿病(例えば、グルコース6-ホスファターゼ)(例えば、Forman et al.,Cell,81:687(1995)、Seol et al.,Mol.Endocrinol.,9:72(1995)、Zavacki et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94:7909(1997)、Sakai et al.,Cell,85:1037-1046(1996)、Duncan et al.,J.Biol.Chem.,272:12778-12785(1997)、Willy et al.,Genes Dev.,9:1033-1045(1995)、Lehmann et al.,J.Biol.Chem.,272:3137-3140(1997)、Janowski et al.,Nature,383:728-731(1996)、及びPeet et al.,Cell,93:693-704(1998)を参照されたい)において発現する遺伝子が挙げられる。当業者であれば、代謝性疾患及び障害(例えば、肝臓が標的となる疾患及び障害、ならびに肝疾患及び肝障害)に関連する遺伝子に、肝臓自体に発現する遺伝子ならびに他の臓器及び組織に発現する遺伝子が含まれることを認識するであろう。代謝性疾患及び障害に関連する遺伝子をコードする配列のサイレンシングは、当該疾患または障害を治療するために使用される従来の薬剤の投与と組み合わせて好都合に用いられ得る。ApoB遺伝子を標的とするsiRNA分子の非限定的な例としては、米国特許公開第20060134189号に記載されているものが挙げられ、参照によりこれの開示内容の全体をあらゆる目的のために本明細書に援用する。ApoC3遺伝子を標的とするsiRNA分子の非限定的な例としては、2009年1月26日に出願された米国仮出願第61/147,235号に記載されているものが挙げられ、参照によりこれの開示内容の全体をあらゆる目的のために本明細書に援用する。
【0042】
腫瘍形成及び細胞形質転換(例えば、がんまたは他の新生物)に関連する遺伝子配列の例としては、有糸分裂期キネシン、例えばEg5(KSP、KIF11、Genbank受託番号NM_004523)、セリン/スレオニンキナーゼ、例えばpolo様キナーゼ1(PLK-1)(Genbank受託番号NM_005030、Barr et al.,Nat.Rev.Mol.Cell.Biol.,5:429-440(2004))、チロシンキナーゼ、例えばWEE1(Genbank受託番号NM_003390及びNM_001143976)、アポトーシスの阻害因子、例えばXIAP(Genbank受託番号NM_001167)、COP9シグナロソームサブユニット、例えば、CSN1、CSN2、CSN3、CSN4、CSN5(JAB1、Genbank受託番号NM_006837)、CSN6、CSN7A、CSN7B及びCSN8、ユビキチンリガーゼ、例えばCOP1(RFWD2、Genbank受託番号NM_022457及びNM_001001740)、ならびにヒストンデアセチラーゼ、例えば、HDAC1、HDAC2(Genbank受託番号NM_001527)、HDAC3、HDAC4、HDAC5、HDAC6、HDAC7、HDAC8、HDAC9などが挙げられる。Eg5及びXIAP遺伝子を標的とするsiRNA分子の非限定的な例としては、2007年5月29日に出願された米国特許出願第11/807,872号に記載されているものが挙げられ、参照によりこれの開示内容の全体をあらゆる目的のために本明細書に援用する。PLK-1遺伝子を標的とするsiRNA分子の非限定的な例としては、米国特許公開第20050107316号及び第20070265438号、ならびに2008年12月23日に出願された米国特許出願第12/343,342号に記載されているものが挙げられ、参照によりこれらの開示内容の全体をあらゆる目的のために本明細書に援用する。CSN5遺伝子を標的とするsiRNA分子の非限定的な例としては、2008年4月15日に出願された米国仮出願第61/045,251号に記載されているものが挙げられ、参照によりこれの開示内容の全体をあらゆる目的のために本明細書に援用する。
【0043】
腫瘍形成及び細胞形質転換に関連する遺伝子配列のさらなる例としては、転座配列、例えば、MLL融合遺伝子、BCR-ABL(Wilda et al.,Oncogene,21:5716(2002)、Scherr et al.,Blood,101:1566(2003))、TEL-AML1、EWS-FLI1、TLS-FUS、PAX3-FKHR、BCL-2、AML1-ETO、及びAML1-MTG8(Heidenreich et al.,Blood,101:3157(2003))、過剰発現配列、例えば、多剤耐性遺伝子(Nieth et al.,FEBS Lett.,545:144(2003)、Wu et al,Cancer Res.63:1515(2003))、サイクリン(Li et al.,Cancer Res.,63:3593(2003)、Zou et al.,Genes Dev.,16:2923(2002))、ベータ-カテニン(Verma et al.,Clin Cancer Res.,9:1291(2003))、テロメラーゼ遺伝子(Kosciolek et al.,Mol Cancer Ther.,2:209(2003))、c-MYC、N-MYC、BCL-2、成長因子受容体(例えば、EGFR/ErbB1(Genbank受託番号NM_005228、NM_201282、NM_201283及びNM_201284、また、Nagy et al.Exp.Cell Res.,285:39-49(2003)も参照のこと、ErbB2/HER-2(Genbank受託番号NM_004448及びNM_001005862)、ErbB3(Genbank受託番号NM_001982及びNM_001005915)、及びErbB4(Genbank受託番号NM_005235及びNM_001042599)、ならびに変異配列、例えば、RAS(Tuschl and Borkhardt,Mol.Interventions,2:158(2002)に総説されている)が挙げられる。EGFR遺伝子を標的とするsiRNA分子の非限定的な例としては、2007年5月29日に出願された米国特許出願第11/807,872号に記載されているものが挙げられ、参照によりこれの開示内容の全体をあらゆる目的のために本明細書に援用する。
【0044】
DNA修復酵素をコードする配列のサイレンシングは、化学療法剤の投与と組み合わせて利用される(Collis et al.,Cancer Res.,63:1550(2003))。腫瘍遊走に関連するタンパク質をコードする遺伝子も関心対象の標的配列であり、これには例えば、インテグリン、セレクチン及び金属タンパク質がある。上記例は排他的なものではない。当業者であれば、腫瘍形成もしくは細胞形質転換、腫瘍成長または腫瘍遊走を容易にするまたは促進する任意の全または部分的遺伝子配列が鋳型配列として含められ得ることを理解するであろう。
【0045】
血管新生遺伝子は、新たな血管の形成を促進することができる。特に興味深いものは、血管内皮成長因子(VEGF)(Reich et al.,Mol.Vis.,9:210(2003))またはVEGFRである。VEGFRを標的とするsiRNA配列は、例えば、GB2396864、米国特許公開第20040142895号、及びCA2456444に示されており、参照によりこれらの開示内容の全体をあらゆる目的のために本明細書に援用する。
【0046】
抗血管新生遺伝子は、血管新生を阻害することができる。これらの遺伝子は、疾患の病態進展に血管新生が役割を果たしているがんを治療する上で、特に有用である。抗血管新生遺伝子の例としては、限定されないが、エンドスタチン(例えば、米国特許第6,174,861号を参照されたい)、アンジオスタチン(例えば、U 米国特許第5,639,725号を参照されたい)、及びVEGFR2(例えば、Decaussin et al.,J.Pathol.,188:369-377(1999)を参照されたい)が挙げられ、参照によりこれらの開示内容の全体をあらゆる目的のために本明細書に援用する。免疫調節因子遺伝子は、1つ以上の免疫応答を調節する遺伝子である。免疫調節因子遺伝子の例としては、限定されないが、サイトカイン、例えば成長因子(例えば、TGF-α、TGF-β、EGF、FGF、IGF、NGF、PDGF、CGF、GM-CSF、SCFなど)、インターロイキン(例えば、IL-2、IL-4、IL-12(Hill et al.,J.Immunol.,171:691(2003))、IL-15、IL-18、IL-20など)、インターフェロン(例えば、IFN-α、IFN-β、IFN-γなど)及びTNFが挙げられる。Fas及びFasリガンド遺伝子も関心対象の免疫調節因子標的配列である(Song et al.,Nat.Med.,9:347(2003))。造血及びリンパ球系細胞における副シグナル伝達分子をコードする遺伝子も本発明に含まれ、これには例えば、Tecファミリーキナーゼ、例えばBruton型チロシンキナーゼ(Btk)がある(Heinonen et al.,FEBS Lett.,527:274(2002))。
【0047】
細胞受容体リガンドには、細胞表面受容体(例えば、インスリン受容体、EPO受容体、Gタンパク質結合受容体、チロシンキナーゼ活性を有する受容体、サイトカイン受容体、成長因子受容体など)に結合して当該受容体が関与する生理学的経路(例えば、血糖値調節、血球発達、有糸分裂誘発など)を調節すること(例えば、阻害すること、活性化させることなど)ができるリガンドが含まれる。細胞受容体リガンドの例としては、サイトカイン、成長因子、インターロイキン、インターフェロン、エリスロポエチン(EPO)、インスリン、グルカゴン、Gタンパク質結合受容体リガンドなどが挙げられるが、これらに限定されない。トリヌクレオチドリピート(例えばCAGリピート)の延長をコードする鋳型は、トリヌクレオチドリピートの延長を原因とする神経変性障害、例えば球脊髄性筋萎縮症及びハンチントン病の病原配列をサイレンシングするのに利用される(Caplen et al.,Hum.Mol.Genet.,11:175(2002))。
【0048】
遺伝子の発現を下方制御またはサイレンシングする核酸(例えばsiRNA)の標的となり得る他のある特定の標的遺伝子としては、大動脈平滑筋アルファ2アクチン(ACTA2)、アルコール脱水素酵素1A(ADH1A)、アルコール脱水素酵素4(ADH4)、アルコール脱水素酵素6(ADH6)、アファミン(AFM)、アンジオテンシノーゲン(AGT)、セリン-ピルビン酸アミノ基転移酵素(AGXT)、アルファ-2-HS-糖タンパク質(AHSG)、アルド-ケト還元酵素ファミリー1メンバーC4(AKR1C4)、血清アルブミン(ALB)、アルファ-1-ミクログロブリン/ビクニン前駆体(AMBP)、アンジオポエチン関連タンパク質3(ANGPTL3)、血清アミロイドP成分(APCS)、アポリポタンパク質A-II(APOA2)、アポリポタンパク質B-100(APOB)、アポリポタンパク質C3(APOC3)、アポリポタンパク質C-IV(APOC4)、アポリポタンパク質F(APOF)、ベータ-2-糖タンパク質1(APOH)、アクアポリン-9(AQP9)、胆汁酸-CoA:アミノ酸N-アシルトランスフェラーゼ(BAAT)、C4b結合タンパク質ベータ鎖(C4BPB)、LINC01554にコードされる推定上の性質不明のタンパク質(C5orf27)、補体因子3(C3)、補体因子5(C5)、補体成分C6(C6)、補体成分C8アルファ鎖(C8A)、補体成分C8ベータ鎖(C8B)、補体成分C8ガンマ鎖(C8G)、補体成分C9(C9)、カルモジュリン結合転写活性化因子1(CAMTA1)、CD38(CD38)、補体因子B(CFB)、補体因子H関連タンパク質1(CFHR1)、補体因子H関連タンパク質2(CFHR2)、補体因子H関連タンパク質3(CFHR3)、カンナビノイド受容体1(CNR1)、セルロプラスミン(CP)、カルボキシペプチダーゼB2(CPB2)、結合組織成長因子(CTGF)、C-X-Cモチーフケモカイン2(CXCL2)、シトクロムP450 1A2(CYP1A2)、シトクロムP450 2A6(CYP2A6)、シトクロムP450 2C8(CYP2C8)、シトクロムP450 2C9(CYP2C9)、シトクロムP450ファミリー2サブファミリーDメンバー6(CYP2D6)、シトクロムP450 2E1(CYP2E1)、フィロキノンオメガヒドロキシラーゼCYP4F2(CYP4F2)、7-アルファ-ヒドロキシコレステ-4-エン-3-オン 12-アルファ-ヒドロキシラーゼ(CYP8B1)、ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP4)、凝固因子12(F12)、凝固因子II(トロンビン)(F2)、凝固因子IX(F9)、フィブリノーゲンアルファ鎖(FGA)、フィブリノーゲンベータ鎖(FGB)、フィブリノーゲンガンマ鎖(FGG)、フィブリノーゲン様1(FGL1)、フラビン含有モノオキシゲナーゼ3(FMO3)、フラビン含有モノオキシゲナーゼ5(FMO5)、群特異的成分(ビタミンD結合タンパク質)(GC)、成長ホルモン受容体(GHR)、グリシンN-メチルトランスフェラーゼ(GNMT)、ヒアルロナン結合タンパク質2(HABP2)、ヘプシジン抗菌ペプチド(HAMP)、ヒドロキシ酸オキシダーゼ(グリコール酸オキシダーゼ)1(HAO1)、HGF活性化因子(HGFAC)、ハプトグロブリン関連タンパク質、ハプトグロブリン(HPR)、ヘモペキシン(HPX)、ヒスチジンリッチ糖タンパク質(HRG)、ヒドロキシステロイド(11-ベータ)脱水素酵素1(HSD11B1)、ヒドロキシステロイド(17-ベータ)脱水素酵素13(HSD17B13)、インター-アルファ-トリプシン阻害因子重鎖H1(ITIH1)、インター-アルファ-トリプシン阻害因子重鎖H2(ITIH2)、インター-アルファ-トリプシン阻害因子重鎖H3(ITIH3)、インター-アルファ-トリプシン阻害因子重鎖H4(ITIH4)、プレカリクレイン(KLKB1)、乳酸脱水素酵素A(LDHA)、肝臓発現抗菌ペプチド2(LEAP2)、白血球細胞由来ケモタキシン2(LECT2)、リポタンパク質(a)(LPA)、マンナン結合レクチンセリンペプチダーゼ2(MASP2)、S-アデノシルメチオニン合成酵素アイソフォーム1型(MAT1A)、NADPHオキシダーゼ4(NOX4)、ポリ[ADP-リボース]ポリメラーゼ1(PARP1)、パラオキソナーゼ1(PON1)、パラオキソナーゼ3(PON3)、ビタミンK依存性タンパク質C(PROC)、レチノール脱水素酵素16(RDH16)、恒常的血清アミロイドA4(SAA4)、セリン脱水酵素(SDS)、セルピンファミリーAメンバー1(セルピンA1)、セルピンA11(SERPINA11)、カリスタチン(SERPINA4)、コルチコステロイド結合グロブリン(SERPINA6)、抗トロンビンIII(SERPINC1)、ヘパリン補因子2(SERPIND1)、セルピンファミリーHメンバー1(SERPINH1)、溶質輸送担体ファミリー5メンバー2(SLC5A2)、ナトリウム/胆汁酸共輸送因子(SLC10A1)、溶質輸送担体ファミリー13メンバー5(SLC13A5)、溶質輸送担体ファミリー22メンバー1(SLC22A1)、溶質輸送担体ファミリー25メンバー47(SLC25A47)、溶質輸送担体ファミリー2、促進型グルコーストランスポーターメンバー2(SLC2A2)、ナトリウム結合中性アミノ酸トランスポーター4(SLC38A4)、溶質輸送担体有機アニオントランスポーターファミリーメンバー1B1(SLCO1B1)、スフィンゴミエリンホスホジエステラーゼ1(SMPD1)、胆汁酸塩スルホトランスフェラーゼ(SULT2A1)、チロシンアミノトランスフェラーゼ(TAT)、トリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ(TDO2)、UDPグルクロン酸転移酵素2ファミリーポリペプチドB10(UGT2B10)、UDPグルクロン酸転移酵素2ファミリーポリペプチドB15(UGT2B15)、UDPグルクロン酸転移酵素2ファミリーポリペプチドB4(UGT2B4)、及びビトロネクチン(VTN)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
治療目的のための上記遺伝子のいずれかの発現のサイレンシングにおけるその有用性に加えて、本明細書に記載のある特定の核酸(例えばsiRNA)は、研究開発用途、ならびに診断、予防、予後予測、臨床及び他の医療用途においても有用である。非限定的な例を挙げると、ある特定の核酸(例えばsiRNA)は、関心対象の遺伝子が治療標的となる可能性があるか否かを試験することを狙いとする標的検証研究に使用され得る。ある特定の核酸(例えばsiRNA)はまた、潜在的な治療標的としての遺伝子を発見することを目的とする標的同定研究にも使用され得る。
【0050】
siRNA分子の生成
siRNAは、様々な形態で、例えば、1本以上の単離された低分子干渉RNA(siRNA)二本鎖として、より長い二本鎖RNA(dsRNA)として、またはDNAプラスミドの転写カセットから転写されたsiRNAもしくはdsRNAとして、提供され得る。いくつかの実施形態では、siRNAは酵素的に、または部分的/完全有機合成によって生成され得、改変型リボヌクレオチドは、試験管内での酵素的または有機合成によって導入され得る。場合によっては、各鎖は化学的に調製される。RNA分子を合成する方法は当技術分野で知られており、例えば、Verma and Eckstein(1998)に記載されている、または本明細書に記載されている化学合成法がある。
【0051】
RNAを単離する、RNAを合成する、核酸をハイブリダイズさせる、cDNAライブラリーを作りスクリーニングする、及びPCRを実施する方法は、当技術分野でよく知られている(例えば、Gubler及びHoffman,Gene,25:263-269(1983)、上記Sambrook et al.、上記Ausubel et al.を参照されたい)、PCR方法についても同様である(米国特許第4,683,195号及び第4,683,202号、PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Innis et al.,eds,1990)を参照されたい)。発現ライブラリーも当業者によく知られている。本発明における一般的な使用方法を開示しているさらなる基礎的文書としては、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual(2nd ed.1989)、Kriegler,Gene Transfer and Expression:A Laboratory Manual(1990)、及びCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.,eds.,1994)が挙げられる。参照によりこれらの参考文献の開示内容の全体をあらゆる目的のために本明細書に援用する。
【0052】
siRNAは化学合成されるのが典型的である。本発明のsiRNA分子を含むオリゴヌクレオチドは、当技術分野で知られている様々な技術のいずれか、例えば、Usman et al.,J.Am.Chem.Soc.,109:7845(1987)、Scaringe et al.,Nucl.Acids Res.,18:5433(1990)、Wincott et al.,Nucl.Acids Res.,23:2677-2684(1995)、及びWincott et al.,Methods Mol.Bio.,74:59(1997)に記載されているものを用いて合成され得る。オリゴヌクレオチドの合成は、核酸に対する一般的な保護基及びカップリング基、例えば、5’末端にはジメトキシトリチル、及び3’末端にはホスホロアミダイトを利用する。非限定的な例を挙げると、Applied Biosystemsの合成装置で0.2μmol規模のプロトコールを用いて小規模合成を行うことができる。あるいは、0.2μmol規模での合成は、Protogene(Palo Alto,CA)提供の96ウェルプレート合成装置で実施され得る。しかしながら、より大きいまたはより小さい規模の合成も本発明の範囲内である。オリゴヌクレオチド合成、RNA脱保護のための方法、及びRNA精製のための方法に適する試薬は、当業者に知られている。
【0053】
siRNA分子は、2つの別個のオリゴヌクレオチドから組み立てられ得、この場合、一方のオリゴヌクレオチドはsiRNAのセンス鎖を含み、他方はアンチセンス鎖を含む。例えば、各鎖を別個に合成することができ、合成及び/または脱保護に続いてハイブリダイゼーションまたはライゲーションによって繋ぎ合わせることができる。
【0054】
連結基
本発明の化合物及び結合体は、1つ以上の連結基(例えばL3またはL4)を含み得る。各連結基の構造は、結合体が本明細書に記載のとおりに機能する限り、様々であり得る。例えば、各連結基の構造は長さ及び原子組成が様々であり、各連結基は、分岐型、非分岐型、環状またはその組合せであり得る。連結基は、結合体の溶解性、安定性または凝集特性を調節するものであってもよい。
【0055】
一実施形態では、各連結基は約3~1000個の原子を含む。一実施形態では、各連結基は約3~500個の原子を含む。一実施形態では、各連結基は約3~200個の原子を含む。一実施形態では、各連結基は約3~50個の原子を含む。一実施形態では、各連結基は約10~1000個の原子を含む。一実施形態では、各連結基は約10~500個の原子を含む。一実施形態では、各連結基は約10~200個の原子を含む。一実施形態では、各連結基は約10~50個の原子を含む。
【0056】
一実施形態では、各連結基は、H、C、N、S及びOから選択される原子を含む。
【0057】
一実施形態では、各連結基は、H、C、N、S、P及びOから選択される原子を含む。
【0058】
一実施形態では、各連結基は、約1~1000(または、1~750、1~500、1~250、1~100、1~50、1~25、1~10、1~5、5~1000、5~750、5~500、5~250、5~100、5~50、5~25、5~10、もしくは2~5個の炭素原子)を有する分岐型または非分岐型の飽和または不飽和炭化水素鎖を含み、炭素原子の1つ以上が独立して任意選択的に-O-、-S、-N(Ra)-、3~7員複素環、5~6員ヘテロアリールまたは炭素環に置き換わっており、ここで、各鎖、3~7員複素環、5~6員ヘテロアリールまたは炭素環は独立して、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、(C3-C6)シクロアルキル、(C1-C6)アルカノイル、(C1-C6)アルカノイルオキシ、(C1-C6)アルコキシカルボニル、(C1-C6)アルキルチオ、アジド、シアノ、ニトロ、ハロ、-N(Ra)2、ヒドロキシ、オキソ(=O)、カルボキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール及びヘテロアリールオキシから選択される1つ以上(例えば、1、2、3、4、5個またはそれ以上)の置換基で任意選択的に置換されており、各Raは独立してHまたは(C1-C6)アルキルである。一実施形態では、リンカーは、約1~1000(または、1~750、1~500、1~250、1~100、1~50、1~25、1~10、1~5、5~1000、5~750、5~500、5~250、5~100、5~50、5~25、5~10、もしくは2~5個の炭素原子)を有する分岐型または非分岐型の飽和または不飽和炭化水素鎖を含み、炭素原子の1つ以上が独立して任意選択的に-O-、-S、-N(Ra)-に置き換わっており、各Raは独立してHまたは(C1-C6)アルキルである。
【0059】
一実施形態では、各連結基はポリエチレングリコールを含む。一実施形態では、連結基は、標的指向化結合体の残部にカルボニル基によって繋げられたポリエチレングリコールを含む。一実施形態では、ポリエチレングリコールは、約1~約500個、または約5~約500個、または約3~約100個の反復単位(例えば、-CH2CH2O-)を含む(Greenwald,R.B.,et al.,Poly(ethylene glycol)Prodrugs:Altered Pharmacokinetics and Pharmacodynamics,Chapter,2.3.1.,283-338、Filpula,D.,et al.,Releasable PEGylation of proteins with customized linkers,Advanced Drug Delivery,60,2008,29-49、Zhao,H.,et al.,Drug Conjugates with Poly(Ethylene Glycol),Drug Delivery in Oncology,2012,627-656)。
【0060】
本発明の実施形態
本発明の一態様は、発明の概要において示されている式Iの化合物、またはその塩である。
【0061】
一実施形態では、Aは非存在である。
【0062】
一実施形態では、Aは3~20員シクロアルキル、5~20員アリール、5~20員ヘテロアリール、または3~20員ヘテロシクロアルキルである。
【0063】
一実施形態では、Bは5~10員アリールである。
【0064】
一実施形態では、Bはナフチルまたはフェニルである。
【0065】
一実施形態では、Bはフェニルである。
【0066】
一実施形態では、基:
【化2】
は、
【化3】
である。
【0067】
一実施形態では、Bは5~10員ヘテロアリールである。
【0068】
一実施形態では、Bは、ピリジル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、イミダゾイル、チアゾリル、オキサジアゾリルまたはオキサゾリルである。
【0069】
一実施形態では、基:
【化4】
は、
【化5】
である。
【0070】
一実施形態では、基:
【化6】
は、
【化7】
である。
【0071】
一実施形態では、L1は、0~20個の炭素原子を有する二価の非分岐型の飽和炭化水素鎖であり、炭化水素鎖中の炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3または4個)は任意選択的に、-O-、-NRX-、-NRX-C(=O)-、-C(=O)-NRX-、または-S-に置き換わっており、RXは水素または(C1-C6)アルキルであり、炭化水素鎖は、オキソ(=O)及びハロから選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されている。
【0072】
一実施形態では、L1は、0~12個の炭素原子を有する二価の非分岐型の飽和炭化水素鎖であり、炭化水素鎖中の炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3または4個)は任意選択的に、-O-、-NRX-C(=O)-、または-C(=O)-NRX-に置き換わっており、RXは水素または(C1-C6)アルキルである。
【0073】
一実施形態では、L1は、
-C(=O)N(H)-CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2-、
-C(=O)N(H)-CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2-、
-C(=O)N(CH3)-CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2-、または
-C(=O)N(CH3)-CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2-
である。
【0074】
一実施形態では、L2は、0~20個の炭素原子を有する二価の非分岐型の飽和炭化水素鎖であり、炭化水素鎖中の炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3または4個)は任意選択的に、-O-、-NRX-、-NRX-C(=O)-、-C(=O)-NRX-、または-S-に置き換わっており、RXは水素または(C1-C6)アルキルであり、炭化水素鎖は、オキソ(=O)及びハロから選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されている。
【0075】
一実施形態では、L2は、0~12個の炭素原子を有する二価の非分岐型の飽和炭化水素鎖であり、炭化水素鎖中の炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3または4個)は任意選択的に、-O-、-NRX-C(=O)-、または-C(=O)-NRX-に置き換わっており、RXは水素または(C1-C6)アルキルである。
【0076】
一実施形態では、L2は、
-C(=O)N(H)-CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2-、
-C(=O)N(H)-CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2-、
-C(=O)N(CH3)-CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2-、または
-C(=O)N(CH3)-CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2-
である。
【0077】
一実施形態では、R
1は、
【化8】
〔式中、
XはNR
20であり、Yは、-(C=O)R
21、-SO
2R
22、及び-(C=O)NR
23R
24から選択され;またはXが-(C=O)-でありYがNR
25R
26であり;またはXが-NR
37R
38でありYが非存在であり、
R
20は水素または(C
1-C
4)アルキルであり、
R
21、R
22、R
23、R
24、R
25及びR
26は各々独立して、水素、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルからなる群から選択され、任意の(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルが、ハロ、(C
1-C
4)アルキル及び(C
1-C
4)アルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、
R
27は、-OH、-NR
25R
26、または-Fであり、
R
28は、-OH、-NR
25R
26、または-Fであり、
R
29は、-OH、-NR
25R
26、-F、-N
3、-NR
35R
36、またはハロ、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、(C
1-C
4)アルキル、アリール及び(C
1-C
4)アルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換された5員複素環であり、任意の(C
1-C
4)アルキル及び(C
1-C
4)アルコキシが、ハロからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、任意のアリールが、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、アミノ、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ、(C
1-C
8)アルカノイル、(C
1-C
8)アルコキシカルボニル、(C
1-C
8)アルカノイルオキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、任意の(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ、(C
1-C
8)アルカノイル、(C
1-C
8)アルコキシカルボニル、(C
1-C
8)アルカノイルオキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルが、ハロ、(C
1-C
4)アルキル及び(C
1-C
4)アルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、
各R
35及びR
36は独立して、水素、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルからなる群から選択され、任意の(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルが、ハロ及び(C
1-C
4)アルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており;またはR
35とR
36とがそれらに結合している窒素と一緒になって5~6員ヘテロアリール環を形成しており、当該ヘテロアリール環が、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ、アリール及び(C
3-C
6)シクロアルキルからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、任意のアリール及び(C
3-C
6)シクロアルキルが1つ以上の基R
39で任意選択的に置換されており、
各R
37及びR
38は独立して、水素、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ、(C
1-C
8)アルカノイル、(C
1-C
8)アルコキシカルボニル、(C
1-C
8)アルカノイルオキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルからなる群から選択され、任意の(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ、(C
1-C
8)アルカノイル、(C
1-C
8)アルコキシカルボニル、(C
1-C
8)アルカノイルオキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルが、ハロ、(C
1-C
4)アルキル及び(C
1-C
4)アルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており;またはR
37とR
38とがそれらに結合している窒素と一緒になって、ハロ、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、オキソ(=O)、(C
1-C
4)アルキル及び(C
1-C
4)アルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換された5~8員複素環を形成しており、任意の(C
1-C
4)アルキル及び(C
1-C
4)アルコキシが、ハロから独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、
各R
39は独立して、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルからなる群から選択され、任意の(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルが、ハロから独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されている〕
である。
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
一実施形態では、R
2は、
【化13】
〔式中、
XはNR
20であり、Yは、-(C=O)R
21、-SO
2R
22、及び-(C=O)NR
23R
24から選択され;またはXが-(C=O)-でありYがNR
25R
26であり;またはXが-NR
37R
38でありYが非存在であり、
R
20は水素または(C
1-C
4)アルキルであり、
R
21、R
22、R
23、R
24、R
25及びR
26は各々独立して、水素、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルからなる群から選択され、任意の(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルが、ハロ、(C
1-C
4)アルキル及び(C
1-C
4)アルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、
R
27は、-OH、-NR
25R
26、または-Fであり、
R
28は、-OH、-NR
25R
26、または-Fであり、
R
29は、-OH、-NR
25R
26、-F、-N
3、-NR
35R
36、またはハロ、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、(C
1-C
4)アルキル、アリール及び(C
1-C
4)アルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換された5員複素環であり、任意の(C
1-C
4)アルキル及び(C
1-C
4)アルコキシが、ハロからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、任意のアリールが、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、アミノ、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ、(C
1-C
8)アルカノイル、(C
1-C
8)アルコキシカルボニル、(C
1-C
8)アルカノイルオキシ、及び(C
3-C
6)シクロアルキルからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、任意の(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ、(C
1-C
8)アルカノイル、(C
1-C
8)アルコキシカルボニル、(C
1-C
8)アルカノイルオキシ、及び(C
3-C
6)シクロアルキルが、ハロ、(C
1-C
4)アルキル及び(C
1-C
4)アルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、
各R
35及びR
36は独立して、水素、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルからなる群から選択され、任意の(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルが、ハロ及び(C
1-C
4)アルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており;またはR
35とR
36とがそれらに結合している窒素と一緒になって5~6員ヘテロアリール環を形成しており、当該ヘテロアリール環が、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ、アリール及び(C
3-C
6)シクロアルキルからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、任意のアリール及び(C
3-C
6)シクロアルキルが1つ以上の基R
39で任意選択的に置換されており、
各R
37及びR
38は独立して、水素、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ、(C
1-C
8)アルカノイル、(C
1-C
8)アルコキシカルボニル、(C
1-C
8)アルカノイルオキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルからなる群から選択され、任意の(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ、(C
1-C
8)アルカノイル、(C
1-C
8)アルコキシカルボニル、(C
1-C
8)アルカノイルオキシ、及び(C
3-C
6)シクロアルキルが、ハロ、(C
1-C
4)アルキル及び(C
1-C
4)アルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており;またはR
37とR
38とがそれらに結合している窒素と一緒になって、ハロ、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、オキソ(=O)、(C
1-C
4)アルキル及び(C
1-C
4)アルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換された5~8員複素環を形成しており、任意の(C
1-C
4)アルキル及び(C
1-C
4)アルコキシが、ハロから独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、
各R
39は独立して、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルからなる群から選択され、任意の(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
8)アルコキシ及び(C
3-C
6)シクロアルキルが、ハロから独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されている〕
である。
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
一実施形態では、L3は、0~50個の炭素原子を有する二価の分岐型または非分岐型の飽和または不飽和炭化水素鎖であり、炭化水素鎖中の炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3または4個)は任意選択的に、-O-、-NRX-、-NRX-C(=O)-、-C(=O)-NRX-、または-S-に置き換わっており、RXは水素または(C1-C6)アルキルであり、炭化水素鎖は、(C1-C6)アルコキシ、(C3-C6)シクロアルキル、(C1-C6)アルカノイル、(C1-C6)アルカノイルオキシ、(C1-C6)アルコキシカルボニル、(C1-C6)アルキルチオ、アジド、シアノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、オキソ(=O)、カルボキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール及びヘテロアリールオキシから選択される1つ以上(例えば、1、2、3または4個)の置換基で任意選択的に置換されている。
【0088】
一実施形態では、L3は、1~20個の炭素原子を有する二価の分岐型または非分岐型の飽和または不飽和炭化水素鎖であり、炭化水素鎖中の炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3または4個)は任意選択的に、-O-、-NRX-、-NRX-C(=O)-、-C(=O)-NRX-、または-S-に置き換わっており、RXが水素または(C1-C6)アルキルであり、炭化水素鎖が、(C1-C6)アルコキシ、(C3-C6)シクロアルキル、(C1-C6)アルカノイル、(C1-C6)アルカノイルオキシ、(C1-C6)アルコキシカルボニル、(C1-C6)アルキルチオ、アジド、シアノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、オキソ(=O)、カルボキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール及びヘテロアリールオキシから選択される1つ以上(例えば、1、2、3または4個)の置換基で任意選択的に置換されている。
【0089】
一実施形態では、L3は、1~30個の炭素原子を有する二価の分岐型または非分岐型の飽和または不飽和炭化水素鎖であり、炭素原子の1つ以上は任意選択的に、-O-、-NRX-、-NRX-C(=O)-、-C(=O)-NRX-、または-S-に置き換わっており、RXが水素または(C1-C6)アルキルであり、炭化水素鎖は1つ以上のハロまたはオキソ(=O)で任意選択的に置換されている。
【0090】
【0091】
一実施形態では、L3は、-NH-、-O-、-S-、-(C=O)-、-(C=O)-NH-、-NH-(C=O)-、-(C=O)-O-、-NH-(C=O)-NH-、または-NH-(SO2)-によってBに連結されている。
【0092】
一実施形態では、L4は、0~50個の炭素原子を有する二価の分岐型または非分岐型の飽和または不飽和炭化水素鎖であり、炭化水素鎖中の炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3または4個)は任意選択的に、-O-、-NRX-、-NRX-C(=O)-、-C(=O)-NRX-、または-S-に置き換わっており、RXは水素または(C1-C6)アルキルであり、炭化水素鎖は、(C1-C6)アルコキシ、(C3-C6)シクロアルキル、(C1-C6)アルカノイル、(C1-C6)アルカノイルオキシ、(C1-C6)アルコキシカルボニル、(C1-C6)アルキルチオ、アジド、シアノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、オキソ(=O)、カルボキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール及びヘテロアリールオキシから選択される1つ以上(例えば、1、2、3または4個)の置換基で任意選択的に置換されている。
【0093】
一実施形態では、L4は、1~20個の炭素原子を有する二価の分岐型または非分岐型の飽和または不飽和炭化水素鎖であり、炭化水素鎖中の炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3または4個)は任意選択的に、-O-、-NRX-、-NRX-C(=O)-、-C(=O)-NRX-、または-S-に置き換わっており、RXは水素または(C1-C6)アルキルであり、炭化水素鎖は、(C1-C6)アルコキシ、(C3-C6)シクロアルキル、(C1-C6)アルカノイル、(C1-C6)アルカノイルオキシ、(C1-C6)アルコキシカルボニル、(C1-C6)アルキルチオ、アジド、シアノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、オキソ(=O)、カルボキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール及びヘテロアリールオキシから選択される1つ以上(例えば、1、2、3または4個)の置換基で任意選択的に置換されている。
【0094】
一実施形態では、L4は、1~30個の炭素原子を有する二価の分岐型または非分岐型の飽和または不飽和炭化水素鎖であり、炭素原子の1つ以上は任意選択的に、-O-、-NRX-、-NRX-C(=O)-、-C(=O)-NRX-、または-S-に置き換わっており、RXは水素または(C1-C6)アルキルであり、炭化水素鎖は1つ以上のハロまたはオキソ(=O)で任意選択的に置換されている。
【0095】
一実施形態では、L4は-O-によってR3に連結されている。
【0096】
一実施形態では、核酸分子R3(例えばsiRNA)は、核酸分子のリン酸の酸素によって結合体の残部と結合している。
【0097】
一実施形態では、核酸分子R3(例えばsiRNA)は、センスまたはアンチセンス鎖の5’末端にあるリン酸の酸素によって結合体の残部と結合している。
【0098】
一実施形態では、核酸分子R3(例えばsiRNA)は、センスまたはアンチセンス鎖の3’末端にあるリン酸の酸素によって結合体の残部と結合している。
【0099】
一実施形態では、核酸分子R3(例えばsiRNA)は、センス鎖の3’末端にあるリン酸の酸素によって結合体の残部と結合している。
【0100】
一実施形態では、基:
【化19】
は、
【化20】
〔式中、各R’は独立して、C
1-9アルキル、C
2-9アルケニルまたはC
2-9アルキニルであり、C
1-9アルキル、C
2-9アルケニルまたはC
2-9アルキニルは、ハロまたはヒドロキシルで任意選択的に置換されている〕
からなる群から選択される。
【0101】
一実施形態では、基:
【化21】
は、
【化22】
〔式中、
各R’は独立して、C
1-9アルキル、C
2-9アルケニルまたはC
2-9アルキニルであり、C
1-9アルキル、C
2-9アルケニルまたはC
2-9アルキニルは、ハロまたはヒドロキシルで任意選択的に置換されており、
*で標示された価数はL
3に付いており、
**で標示された価数はR
3に付いている〕
からなる群から選択される。
【0102】
一実施形態では、基:
【化23】
は、
【化24】
である。
【0103】
本発明はさらに、式(I)の結合体を調製するのに有用となる本明細書に記載の合成中間体及び方法を提供する。例えば、本発明には、式(Ia)の化合物:
【化25】
〔式中、
R
1は糖であり、
L
1は、0~20個の炭素原子を有する二価の分岐型または非分岐型の飽和または不飽和炭化水素鎖であり、炭化水素鎖中の炭素原子の1つ以上は任意選択的に、-O-、-NR
X-、-NR
X-C(=O)-、-C(=O)-NR
X-、または-S-に置き換わっており、R
Xは水素または(C
1-C
6)アルキルであり、炭化水素鎖は、オキソ(=O)及びハロから選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されており、
Bは、5~10員アリールまたは5~10員ヘテロアリールであり、当該5~10員アリールまたは5~10員ヘテロアリールは、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)アルコキシカルボニル、(C
1-C
6)アルカノイルオキシ、(C
3-C
6)シクロアルキル、及び(C
3-C
6)シクロアルキル(C
1-C
6)アルキルからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、
L
2は、0~20個の炭素原子を有する二価の分岐型または非分岐型の飽和または不飽和炭化水素鎖であり、炭化水素鎖中の炭素原子の1つ以上は任意選択的に、-O-、-NR
X-、-NR
X-C(=O)-、-C(=O)-NR
X-、または-S-に置き換わっており、R
Xは水素または(C
1-C
6)アルキルであり、炭化水素鎖は、オキソ(=O)及びハロから選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されており、
R
2は糖であり、
L
3は、非存在、または連結基であり、
Aは、3~20員シクロアルキル、5~20員アリール、5~20員ヘテロアリール、または3~20員ヘテロシクロアルキルであり、
各R
Aは独立して、水素、ヒドロキシ、CN、F、Cl、Br、I、-OR
a、-C
1-2アルキル-OR
a、C
1-10アルキル C
2-10アルケニル、及びC
2-10アルキニルからなる群から選択され、C
1-10アルキル C
2-10アルケニル、及びC
2-10アルキニルは、ハロ、ヒドロキシ及びC
1-3アルコキシから独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、
nは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり、
L
4は、非存在、または連結基であり、
R
3aは、H、保護基、合成活性化基、固体担体との共有結合、または固体担体に結合している連結基との結合であり、
R
aは、水素、保護基、固体担体との共有結合、または固体担体に結合している連結基L
5との結合であり、
L
5は連結基である〕、
またはその塩が含まれる。
【0104】
一実施形態では、R3aはHである。
【0105】
一実施形態では、R3aは保護基である。一実施形態では、保護基は、アセテート、トリフラート、メシラートまたはスクシナートである。
【0106】
一実施形態では、R3aは合成活性化基である。一実施形態では、合成活性化基は、DCC、HOBt、EDC、BOP、PyBOPまたはHBTUから誘導され得るものである。
【0107】
一実施形態では、R3aは固体担体への共有結合である。
【0108】
一実施形態では、R3aは、固体担体に結合している連結基への結合である。一実施形態では、固体担体に結合している連結基は、-C(=O)CH2CH2C(=O)N(H)-である。
【実施例】
【0109】
本発明を具体例によってよりいっそう詳しく説明する。以下の実施例は、例示を目的として提供されており、いかようにも本発明を限定する意図はない。当業者であれば、変更または改変されて本質的に同じ結果をもたらすことができる様々な重要でないパラメータを容易に認識するであろう。
【0110】
以下のスキーム1~22は、式Iの結合体を調製するために使用され得る中間体化合物の調製を例示する。スキーム1~22に例示されている中間体化合物及び合成プロセスは本発明の実施形態である。
【0111】
スキーム1 化合物6の調製
【化26】
ステップ1.(3aR,6aS)-5-ベンジル-3a,6a-ジメチルテトラヒドロ-1H-フロ[3,4-c]ピロール-1,3(3aH)-ジオン1の調製
3,4-ジメチルフラン-2,5-ジオン(40g、317mmol)とN-ベンジル-1-メトキシ-N-((トリメチルシリル)メチル)メタンアミン(94.1g、396.5mmol)とをDCM(600ml)中に含んだ冷却された溶液(0℃)に、トリフルオロ酢酸(732μl)をゆっくり添加した。一晩撹拌して溶液を緩やかに室温に温めた。反応混合物を濃縮乾固し、EtOAc(500ml)に溶解させ、飽和重炭酸ナトリウム(2×500ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固した。カラムクロマトグラフィー(勾配:ヘキサン中酢酸エチル20%から酢酸エチル100%まで)によってシリカゲルで精製することにより、(3aR,6aS)-5-ベンジル-3a,6a-ジメチルテトラヒドロ-1H-フロ[3,4-c]ピロール-1,3(3aH)-ジオンを黄色の油として得た(53.7g、65%)。Rf0.85 40%EtOAc-ヘキサン。
【0112】
ステップ2.((3R,4S)-1-ベンジル-3,4-ジメチルピロリジン-3,4-ジイル)ジメタノール2の調製
(3aR,6aS)-5-ベンジル-3a,6a-ジメチルテトラヒドロ-1H-フロ[3,4-c]ピロール-1,3(3aH)-ジオン(53.7g、205.7mmol)を無水ジエチルエーテル(750ml)中に含んだ冷却された溶液(0℃)に、水素化アルミニウムリチウムペレット(17.6g、463mmol)を午後にわたって数回に分けてゆっくり添加した。溶液は一晩撹拌され、氷水浴が融解するにつれて室温に温まった。終了してすぐに反応物を0℃に冷却し、25mlの5MのNaOHとそれに続く12mlの水とを使用して非常にゆっくり失活させた。30分間撹拌し、その後、硫酸マグネシウムを添加し、濾過した。濾液を濃縮して((3R,4S)-1-ベンジル-3,4-ジメチルピロリジン-3,4-ジイル)ジメタノールを無色の油(33.6g、65%)として得た。Rf0.25 10%CH3OH-CH2Cl2。
【0113】
ステップ3.((3R,4S)-3,4-ジメチルピロリジン-3,4-ジイル)ジメタノール3の調製
((3R,4S)-1-ベンジル-3,4-ジメチルピロリジン-3,4-ジイル)ジメタノール(40.1g、161mmol)のメタノール(300ml)溶液に、10%パラジウム活性炭湿潤品(4g)を添加した。溶液を水素雰囲気下で16時間激しく撹拌した。終了してすぐに溶液をセライトで濾過し、濃縮乾固して((3R,4S)-3,4-ジメチルピロリジン-3,4-ジイル)ジメタノールを無色の固体として得た(24g、94%)。Rf0.05 10%CH3OH-CH2Cl2。
【0114】
ステップ4.10-((3R,4S)-3,4-ビス(ヒドロキシメチル)-3,4-ジメチルピロリジン-1-イル)-10-オキソデカン酸メチル4の調製
3(24g、151mmol)とセバシン酸モノメチル(34.2g、159mmol)とをCH2Cl2(1l)中に含んだ溶液を、HBTU(62.9g、166mmol)及びヒューニッヒ塩基(105ml、604mmol)で処理した。一晩撹拌した後、混合物をNaHCO3(飽和水溶液)、水及びブラインで洗浄し、次いで乾燥させ(MgSO4)、濾過し、濃縮した。粗製材料をクロマトグラフィー(勾配:0%CH3OH-CH2Cl2から20%まで)に供して4(41.5g、77%)を得た。Rf0.55 10%CH3OH-CH2Cl2。
【0115】
ステップ5.10-(3-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-(ヒドロキシメチル)-3,4-ジメチルピロリジン-1-イル)-10-オキソデカン酸メチル5の調製
4(41.5g、116mmol)と4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(38.8g、116mmol)とをピリジン(400ml)中に含んだ溶液を一晩撹拌した。その後、ピリジンを減圧下で除去し、粗製材料をクロマトグラフィー(勾配:0%CH3OH-CH2Cl2から10%まで)に供して5(29.5g、39%)を黄色の油として得た。Rf0.5 5%CH3OH-CH2Cl2。
【0116】
ステップ6.10-(3-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-(ヒドロキシメチル)-3,4-ジメチルピロリジン-1-イル)-10-オキソデカン酸リチウム6の調製
化合物5(29.5g、45mmol)をTHF(250ml)及び水(250ml)の中に含んだ溶液に、水酸化リチウム(1.19g、50mmol)を添加した。溶液を室温で18時間撹拌し、その後、濃縮してTHFを除去した。残存する水溶液を一晩凍結乾燥して6を淡紫色の固体として得た(28.5g、98%)。Rf0.56 10%CH3OH-CH2Cl2。
【0117】
スキーム2 化合物10の調製
【化27】
ステップ1.12-アミノドデカン酸メチル8の調製
12-アミノウンデカン酸7(10g、4.64mmol)をMeOH中、室温で撹拌した。アセチルクロリド(856μL、12mmol)を滴加し、反応物を1.5時間撹拌した。真空下で溶媒を除去し、残渣をMTBE中に取り、冷蔵庫内で一晩冷却した。結果として生成した沈澱物を濾過によって濾別し、氷冷MTBEで洗浄し、高真空下で乾燥させて12-アミノドデカン酸メチル8を得た。
【0118】
ステップ2.12-(10-(3-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-(ヒドロキシメチル)-3,4-ジメチルピロリジン-1-イル)-10-オキソデカンアミド)ドデカン酸メチル9の調製
10-(3-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-(ヒドロキシメチル)-3,4-ジメチルピロリジン-1-イル)-10-オキソデカン酸リチウム(6)(2g、3.1mmol)、12-アミノドデカン酸メチル(8)(778mg、3.1mmol)、HBTU(1.2g、3.1mmol)及びTEA(1.4ml、10mmol)をDCM中で一晩、室温で撹拌した。沈澱物を濾過によって除去し、濾液を真空下で濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(5%MeOH、DCM)によって精製した。TLCは、同一質量を有して近接して走行する2つのスポットを示し、それを幾何異性体に帰属し、まとめて12-(10-(3-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-(ヒドロキシメチル)-3,4-ジメチルピロリジン-1-イル)-10-オキソデカンアミド)ドデカン酸メチル(9)として定量的に溜めた。
【0119】
ステップ3.12-(10-(3-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)-メチル)-4-(ヒドロキシメチル)-3,4-ジメチルピロリジン-1-イル)-10-オキソデカンアミド)-ドデカン酸リチウム10の調製
12-(10-(3-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-(ヒドロキシメチル)-3,4-ジメチルピロリジン-1-イル)-10-オキソデカンアミド)ドデカン酸メチル9(3.1mmol)を、THF:H2O(50:50)の中でLiOH(88mg、3.7mmol)と共に一晩、室温で撹拌した。反応をTLCによって確認し、THFを真空下で除去した。水溶液を液体N2中で凍結させ、48時間にわたって凍結乾燥して12-(10-(3-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-(ヒドロキシメチル)-3,4-ジメチルピロリジン-1-イル)-10-オキソデカンアミド)ドデカン酸リチウム10を定量的に得た。
【0120】
スキーム3 化合物13の調製
【化28】
ステップ1.4-メチルベンゼンスルホン酸2-(2-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル12の調製
テトラエチレングリコール(11)(934g、4.8mol)をTHF(175ml)及びNaOH水溶液(5M、145ml)の中に含んだ溶液を冷却し(0℃)、p-トルエンスルホニルクロリド(91.4g、480mmol)をTHF(605ml)中に溶解させたもので処理し、その後、2時間撹拌した(0℃)。反応混合物を水(3L)で希釈し、CH
2Cl
2(3×500ml)で抽出した。合わせた抽出物を水及びブラインで洗浄し、次いで乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、濃縮して4-メチルベンゼンスルホン酸2-(2-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル(12)(140g、84%)を淡黄色の油として得た。R
f(0.57、10%MeOH-CH
2Cl
2)。
【0121】
ステップ2.2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-オール13の調製
12(140g、403mmol)のDMF(880ml)溶液をアジ化ナトリウム(131g、2.02mol)で処理し、一晩加熱した(45℃)。大部分のDMFを減圧下で除去し、残渣をCH2Cl2(500ml)に溶解させ、ブライン(3×500ml)で洗浄し、次いで乾燥させ(MgSO4)、濾過し、濃縮した。残渣を短いシリカ床に通し(5%MeOH-CH2Cl2)、濃縮して2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-オール13(65g、74%)を黄色の油として得た。Rf(0.56、10%MeOH-CH2Cl2)。
【0122】
スキーム4 化合物19a~19cの調製
【化29】
ステップ1.(3R,4R,5R,6R)-6-(ヒドロキシメチル)-3-(((E)-4-メトキシベンジリデン)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール16の調製
D-ガラクトサミンHCl(14)(9g、41.7mmol)を室温で1MのNaOH溶液の中で撹拌した。アニスアルデヒド(51ml、420mmol)を添加し、固化するまで反応物を激しく撹拌した。固体反応物を4℃で16時間保った。氷冷水(200ml)を添加し、得られた固体を濾過によって回収し、氷冷EtOH/Et
2O(1:1)で洗浄した。固体を重量が一定になるまで乾燥させて(3R,4R,5R,6R)-6-(ヒドロキシメチル)-3-(((E)-4-メトキシベンジリデン)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール(16)を得た(9.81g、78%)。
【0123】
ステップ2.(3R,4R,5R,6R)-6-(アセトキシメチル)-3-(((E)-4-メトキシベンジリデン)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリイルトリアセテート17の調製
(3R,4R,5R,6R)-6-(ヒドロキシメチル)-3-(((E)-4-メトキシベンジリデン)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール(16)(9.81g、30mmol)をピリジン中、0℃で撹拌した。無水酢酸(34ml)、及びそれに続けてDMAP(100mg、触媒)を添加し、反応物を16時間撹拌して緩やかに室温に温もらせた。得られた溶液を、砕いた氷に注ぎ、4℃で16時間保った。反応物をEtOAc(×3)で抽出し、合わせた有機物をH2O及びブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮して(3R,4R,5R,6R)-6-(アセトキシメチル)-3-(((E)-4-メトキシベンジリデン)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリイルトリアセテート(17)(6.0g、43%)を得た。
【0124】
ステップ3.(3R,4R,5R,6R)-6-(アセトキシメチル)-3-アミノテトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリイルトリアセテート塩酸塩18の調製
(3R,4R,5R,6R)-6-(アセトキシメチル)-3-(((E)-4-メトキシベンジリデン)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリイルトリアセテート(17)(6.0g、43%)をアセトン(300ml)中で加熱還流した。HCl(水溶液)(5N、3.0ml)を添加し、反応物を15分間撹拌した。冷却した後、Et2O(400ml)を添加し、反応物を4℃で16時間保った。結果として生成した固体を濾過によって回収し、氷冷Et2Oで2回洗浄した。固体を重量が一定になるまで乾燥させて(3R,4R,5R,6R)-6-(アセトキシメチル)-3-アミノテトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリイルトリアセテート塩酸塩(18)(4.17g、84.4%)を得た。
【0125】
ステップ4a.(3R,4R,5R,6R)-6-(アセトキシメチル)-3-(2,2,2-トリフルオロアセトアミド)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリイルトリアセテート19aの調製
(3R,4R,5R,6R)-6-(アセトキシメチル)-3-アミノテトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリイルトリアセテート塩酸塩(18)(13.5g、35.2mmol)及びTEA(7.83g、77.4mmol)をDCM中、室温で撹拌した。TFAA(8.13g、38.7mmol)を含んだDCMを滴加し、反応物を1時間撹拌した。反応物をDCMで希釈し、1MのHCl、飽和NaHCO3、水及びブラインで順次洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。残渣を自動化フラッシュクロマトグラフィー(5%MeOH/DCM)によって精製して(3R,4R,5R,6R)-6-(アセトキシメチル)-3-(2,2,2-トリフルオロアセトアミド)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリイルトリアセテート(19a)(9.64g、61.8%)を得た。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0126】
ステップ4b.(3R,4R,5R,6R)-6-(アセトキシメチル)-3-プロピオンアミドテトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリイルトリアセテート19bの調製
この化合物を、TFAAの代わりに無水プロピオン酸を使用して(3R,4R,5R,6R)-6-(アセトキシメチル)-3-(2,2,2-トリフルオロアセトアミド)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリイルトリアセテート(19a)と同様にして調製して、(3R,4R,5R,6R)-6-(アセトキシメチル)-3-プロピオンアミドテトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリイルトリアセテート(19b)(1.2g、85.3%)を得た。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0127】
ステップ4c.(3R,4R,5R,6R)-6-(アセトキシメチル)-3-(2,2-ジフルオロプロパンアミド)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリイルトリアセテート19cの調製
(3R,4R,5R,6R)-6-(アセトキシメチル)-3-アミノテトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリイルトリアセテート塩酸塩(18)(15.34g、39.98mmol)、2,2-ジフルオロプロピオン酸(4.4g、39.98mmol)、HATU(24.37g、64mmol)及びTEA(12.14g、120mmol)をDMF中で16時間、室温で撹拌した。反応物をEtOAcと水との間で分配した。有機物を分離し、1MのHCl、飽和NaHCO3、水及びブラインで順次洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。残渣を自動化フラッシュクロマトグラフィー(3%MeOH/DCMによって精製して(3R,4R,5R,6R)-6-(アセトキシメチル)-3-(2,2-ジフルオロプロパンアミド)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリイルトリアセテート(19c)(15.8g、90%)を得た。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0128】
スキーム5 化合物24の調製
【化30】
ステップ1.(2-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチル)カルバミン酸ベンジル22の調製
アミノアルコール(20)(313.6g、2.1mol)のTHF(3.5L)溶液をN-(ベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミド(21)(550g、2.21mol)によって数回に分けて処理した。反応が終了した時点(18時間)で、THFを減圧下で除去し、残渣をCH
2Cl
2(2.5L)に溶解させ、その後、等体積のHCl(1M)、NaHCO
3(飽和水溶液)、H
2O及びブラインで洗浄した。有機抽出物を乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、濃縮した。粗製材料(600g)をクロマトグラフィー(4kgのシリカ、1~12%CH
3OH-CH
2Cl
2)に供してHO-Trig-NHZ(22)(468g、78%)を透明で粘稠な黄色の油として得た。
【0129】
ステップ2.(2R,3R,4R,5R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-((3-オキソ-1-フェニル-2,7,10-トリオキサ-4-アザドデカン-12-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート23の調製
ガラクトサミンペンタアセテート(715.2g、1.84mol)とHO-Trig-NHZ(22)(400g、1.41mol)とを1,2ジクロロエタン(10L)の中に含んだ不均一混合物を、5mol%のSc(OTf)3(34.6g、70.5mmol)で処理し、加熱した(85℃)。撹拌した後(5.5時間)に溶液は透明で均一になり、反応物を冷却し、NaHCO3(飽和水溶液)、HCl(1M)、H2O及びブラインで洗浄した。有機抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、濃縮した。粗製材料(900g)をEtOAc(900ml)で処理して、乳濁した不均一混合物が得られ、これを粗いフリットで濾過し、かくして残存ペンタアセテートが除去された。濾液を濃縮し、粗製材料をクロマトグラフィー(5kgのシリカ、0~10%CH3OH-EtOAc)に供してグリコシル化生成物(23)(751g、87%)を淡褐色の泡状物として得た。
【0130】
ステップ3.(2R,3R,4R,5R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-(2-(2-(2-((2,2,2-トリフルオロアセチル)-l4-アザンイル)エトキシ)エトキシ)エトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート24の調製
Gal-trig-NHZ(23)(750g、1.22mol)、TFA(103.8ml、1.35mol)及びPd/C(10%湿潤担持品、75g)を含んだ溶液をH2でパージした。激しく撹拌した後(4.5時間)、反応混合物をN2で(30分)パージし、その後、セライトで濾過し、濃縮した。得られた褐色の泡状物(712g、99%)をさらに処理せずに次のステップに使用した。
【0131】
スキーム6 化合物34の調製
【化31】
ステップ1.2-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-オール25の調製
2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-オール(13)(70.0g、318mmol)をMeOH中、室温で撹拌した。反応物を10%PD-C(7g)で16時間にわたって水素化した。反応物をセライトで濾過し、真空下で濃縮して2-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-オール(25)(61.4g、100%)を得、これをさらに精製せずに使用した。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0132】
ステップ2.(2-(2-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)-カルバミン酸ベンジル27の調製
2-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-オール(25)(61.4g、318mmol)を5℃で、Na2CO3(50.51g、476mmol)を含んだH2O(500ml)の中で撹拌した。クロロギ酸ベンジル(26)(65.0g、381mmol)を含んだTHF(480ml)を滴加し、反応物を16時間撹拌して室温に温もらせた。THFを真空下で除去し、水層をEtOAc(×3)で抽出した。合わせた有機物を乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮し、残渣を自動化フラッシュクロマトグラフィー(5%MeOH/DCM)によって精製して(2-(2-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバミン酸ベンジル(27)(23.6g、22.7%)を得た。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0133】
ステップ3.(1,1-ビス(4-メトキシフェニル)-1-フェニル-2,5,8,11-テトラオキサトリデカン-13-イル)カルバミン酸ベンジル28の調製
(2-(2-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバミン酸エステル(27)(23.6g、72.1mmol)及びTEA(7.7g、75.7mmol)をDCM中、室温で撹拌した。DMTr-Cl(25.65g、75.7mmol)を添加し、反応物を室温で2時間撹拌した。反応物を飽和NaHCO3、水及びブラインで順次洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。残渣を自動化フラッシュクロマトグラフィー(50%EtOAc/ヘキサン)によって精製して(1,1-ビス(4-メトキシフェニル)-1-フェニル-2,5,8,11-テトラオキサトリデカン-13-イル)カルバミン酸エステル(28)(25.5g、56.2%)を得た。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0134】
ステップ4.(1,1-ビス(4-メトキシフェニル)-1-フェニル-2,5,8,11-テトラオキサトリデカン-13-イル)(メチル)カルバミン酸ベンジル29の調製
(1,1-ビス(4-メトキシフェニル)-1-フェニル-2,5,8,11-テトラオキサトリデカン-13-イル)カルバミン酸エステル(28)(25.5g、40.5mmol)及びMeI(46.0g、324mmol)を乾燥THF中、0℃で撹拌した。NaH(鉱油中60%の分散液)(2.92g、121.5mmol)を添加し、反応物を0℃で撹拌し、次いで室温で1時間撹拌した。反応物をEtOAcとH2Oとの間で分配した。有機物を分離し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。残渣を自動化フラッシュクロマトグラフィー(50%EtOAc/ヘキサン)によって精製して(1,1-ビス(4-メトキシフェニル)-1-フェニル-2,5,8,11-テトラオキサトリデカン-13-イル)(メチル)カルバミン酸ベンジル(29)を得た(26.06g、100%)。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0135】
ステップ5.(2-(2-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)(メチル)カルバミン酸ベンジル30の調製
(1,1-ビス(4-メトキシフェニル)-1-フェニル-2,5,8,11-テトラオキサトリデカン-13-イル)(メチル)カルバミン酸ベンジル(29)(26.06g、40.5mmol)をDCM中、室温で撹拌した。TFA(5.1g、44.5mmol)を添加し、1時間撹拌した。もう2当量のTFAを添加し、反応物を16時間撹拌した。反応物を真空下で濃縮し、残渣を自動化フラッシュクロマトグラフィー(5%MeOH/DCM)によって精製して(2-(2-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)(メチル)カルバミン酸ベンジル(30)(6.76g、48.9%)を得た。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0136】
ステップ6.(2R,3R,4R,5R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-((4-メチル-3-オキソ-1-フェニル-2,7,10,13-テトラオキサ-4-アザペンタデカン-15-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート31の調製
(2-(2-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)(メチル)カルバミン酸エステル(30)(6.76g、19.8mmol)、(3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリイルトリアセテート(7.71g、19.8mmol)及びSc(III)OTf(0.49g、1.0mmol)をDCE中で2時間加熱還流した。冷却した後、反応物をTEAによって失活させ、1MのHCl、飽和NaHCO3、水及びブラインで順次洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。残渣を自動化フラッシュクロマトグラフィーによって精製して(2R,3R,4R,5R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-((4-メチル-3-オキソ-1-フェニル-2,7,10,13-テトラオキサ-4-アザペンタデカン-15-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(31)(9.37g、70.6%)を得た。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0137】
ステップ7.(2R,3R,4R,5R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-((1,1,1-トリフルオロ-3-メチル-2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3l4-アザテトラデカン-14-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート32の調製
(2R,3R,4R,5R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-((4-メチル-3-オキソ-1-フェニル-2,7,10,13-テトラオキサ-4-アザペンタデカン-15-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(31)(9.37g、14.0mmol)及びTFA(1.76g、15.4mmol)をMeOH中、室温で撹拌した。反応物を10%Pd-C(1g)でおよそ2時間にわたって水素化した。反応物をセライトで濾過し、真空下で濃縮して(2R,3R,4R,5R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-((1,1,1-トリフルオロ-3-メチル-2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3l4-アザテトラデカン-14-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(32)(9.0g、98.9%)を得た。生成物を精製せずに使用した。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0138】
ステップ8.(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R,5R,5’R)-(((4-ニトロ-1,2-フェニレン)ビス(2-メチル-1-オキソ-5’,8’,11’-トリオキサ-2’-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート34の調製
(2R,3R,4R,5R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-((1,1,1-トリフルオロ-3-メチル-2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3l4-アザテトラデカン-14-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(32)(4.5g、6.93mmol)、4-ニトロフタル酸(33)(0.73g、3.46mmol)、HATU(8.45g、22.18mmol)及びTEA(4.21g、41.6mmol)をDCM中で16時間、室温で撹拌した。反応物をDCMで希釈し、1MのHCl、飽和NaHCO3、水及びブラインで順次洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。残渣を自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(10%MeOH/DCM)によって精製して(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R,5R,5’R)-(((4-ニトロ-1,2-フェニレン)ビス(2-メチル-1-オキソ-5’,8’,11’-トリオキサ-2’-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート(34)を得た(5.0g、57.4%)。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0139】
スキーム7 化合物43の調製
【化32】
ステップ1.(2R,3R,4R,5R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-((3-オキソ-1-フェニル-2,7,10,13-テトラオキサ-4-アザペンタデカン-15-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテートの調製
(2R,3R,4R,5R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-((1,1,1-トリフルオロ-2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3l4-アザテトラデカン-14-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(45.0g、70.8mmol)及びNa
2CO
3(11.3g、106mmol)をTHF/H
2O(50:50)中、室温で撹拌した。クロロギ酸ベンジル(26)(14.5g、85mmol)を滴加し、反応物を16時間撹拌した。THFを真空下で除去し、水溶液をEtOAc(×3)で抽出した。有機物を1MのHCl、飽和NaHCO
3、水及びブラインで順次洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、真空下で濃縮した。残渣を自動化フラッシュクロマトグラフィー(5%MeOH/DCM)によって精製して(2R,3R,4R,5R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-((3-オキソ-1-フェニル-2,7,10,13-テトラオキサ-4-アザペンタデカン-15-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(35)を得た(25.12g、54%)。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0140】
ステップ2.(2-(2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバミン酸ベンジル36の調製
気密反応容器内で(2R,3R,4R,5R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-((3-オキソ-1-フェニル-2,7,10,13-テトラオキサ-4-アザペンタデカン-15-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(35)(25.12g、38.3mmol)を7NのアンモニアのMeOH溶液の中で16時間、室温で撹拌した。反応物を50℃で蒸発させてアンモニアを除去し、残部を真空下で濃縮して(2-(2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバミン酸ベンジル(36)(20.3g、100%)を得、これをさらに精製せずに次の反応に使用した。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0141】
ステップ3.(2-(2-(2-(2-(((3aR,4R,7R,7aR)-7-アセトアミド-4-(ヒドロキシメチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロ-4H-[1,3]ジオキソロ[4,5-c]ピラン-6-イル)オキシ)-エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバミン酸ベンジル37の調製
(2-(2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバミン酸ベンジル(36)(20.3g、38.3mmol)をDMF(200ml)中、室温で撹拌した。2,2-ジメトキシプロパン(274g、1.6mol)及びpTsOH(触媒)を添加し、反応物を65℃で16時間加熱した。反応物を室温に冷却し、TEA(20ml)を添加し、30分間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣をMeOH/H2O(10:1)中に取り、反応物を1時間還流した。反応物を真空下で濃縮し(トルエン(×2)と共沸させ、残渣を自動化フラッシュクロマトグラフィー(10%MeOH/DCM)によって精製して(2-(2-(2-(2-(((3aR,4R,7R,7aR)-7-アセトアミド-4-(ヒドロキシル-メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロ-4H-[1,3]ジオキソロ[4,5-c]ピラン-6-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)-エトキシ)エチル)カルバミン酸ベンジル(37)(24.9g、100%)を得た。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0142】
ステップ4.4-メチルベンゼンスルホン酸((3aR,4R,7R,7aR)-7-アセトアミド-2,2-ジメチル-6-((3-オキソ-1-フェニル-2,7,10,13-テトラオキサ-4-アザペンタデカン-15-イル)オキシ)テトラヒドロ-4H-[1,3]ジオキソロ[4,5-c]ピラン-4-イル)メチル38の調製
(2-(2-(2-(2-(((3aR,4R,7R,7aR)-7-アセトアミド-4-(ヒドロキシメチル)-2,2-ジメチル-テトラヒドロ-4H-[1,3]ジオキソロ[4,5-c]ピラン-6-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバミン酸ベンジル(37)(25.5g、44.8mmol)及びTEA(9.97g、98.5mmol)をDCM中、0℃で撹拌した。p-トルエンスルホニルクロリド(18.8g、98.5mmol)を含んだDCMを添加し、反応物を16時間撹拌して室温に温もらせた。反応物をDCMで希釈し、1MのHCl、飽和NaHCO3、水及びブラインで順次洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。残渣を自動化フラッシュクロマトグラフィー(5%MeOH/DCM)によって精製して4-メチルベンゼンスルホン酸((3aR,4R,7R,7aR)-7-アセトアミド-2,2-ジメチル-6-((3-オキソ-1-フェニル-2,7,10,13-テトラオキサ-4-アザペンタデカン-15-イル)オキシ)テトラヒドロ-4H-[1,3]ジオキソロ[4,5-c]ピラン-4-イル)メチル(38)を得た(25.5g、78.8%)。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0143】
ステップ5.(2-(2-(2-(2-(((3aS,4R,7R,7aR)-7-アセトアミド-4-(アジドメチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロ-4H-[1,3]ジオキソロ[4,5-c]ピラン-6-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-エチル)カルバミン酸ベンジル39の調製
4-メチルベンゼンスルホン酸((3aR,4R,7R,7aR)-7-アセトアミド-2,2-ジメチル-6-((3-オキソ-1-フェニル-2,7,10,13-テトラオキサ-4-アザペンタデカン-15-イル)オキシ)テトラヒドロ-4H-[1,3]ジオキソロ[4,5-c]ピラン-4-イル)メチル(38)(25.0g、34.5mmol)及びNaN3(28.7g、434.6mmol)をDMSO/H2O(200ml/20ml)中で12時間、100℃で加熱した。反応物を冷却し、EtOAcと飽和NaHCO3との間で分配した。水溶液をさらにもう2回抽出し、合わせた有機物を飽和NaHCO3、水及びブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。残渣を自動化フラッシュクロマトグラフィー(5%MeOH/DCM)によって精製して(2-(2-(2-(2-(((3aS,4R,7R,7aR)-7-アセトアミド-4-(アジドメチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロ-4H-[1,3]ジオキソロ[4,5-c]ピラン-6-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバミン酸ベンジル(39)(16.1g、78.2%)を得た。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0144】
ステップ6.(2-(2-(2-(2-(((3aS,4R,7R,7aR)-7-アセトアミド-4-((4-(3-メトキシフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロ-4H-[1,3]ジオキソロ[4,5-c]ピラン-6-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバミン酸ベンジル40の調製
(2-(2-(2-(2-(((3aS,4R,7R,7aR)-7-アセトアミド-4-(アジドメチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロ-4H-[1,3]ジオキソロ[4,5-c]ピラン-6-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバミン酸ベンジル(39)(16.1g、27.0mmol)をMeOH(200ml)中、室温で撹拌した。1-エチニル-3-メトキシベンゼン(4.28g、32.4mmol)、トリス(ベンジルトリアゾリルメチル)アミン(0.72g、1.35mmol)、CuSO4(0.07g、1mlのH2Oの中に0.27mmol)及びアスコルビン酸ナトリウム(0.53g、5mlのH2Oの中に2.7mmol)を順次添加し、反応物を室温で16時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣をDCM(200ml)中に取り、水で洗浄した。水層をDCMで抽出し直し、合わせた有機物をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)た。反応物を真空下で濃縮し、残渣を自動化フラッシュクロマトグラフィー(10%MeOH/EtOAc)によって精製して(2-(2-(2-(2-(((3aS,4R,7R,7aR)-7-アセトアミド-4-((4-(3-メトキシフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロ-4H-[1,3]ジオキソロ[4,5-c]ピラン-6-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバミン酸ベンジル(40)を得た(15.0g、76.4%)。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0145】
ステップ7.(2-(2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジヒドロキシ-6-((4-(3-メトキシフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)メチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバミン酸ベンジル41の調製
(2-(2-(2-(2-(((3aS,4R,7R,7aR)-7-アセトアミド-4-((4-(3-メトキシフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロ-4H-[1,3]ジオキソロ[4,5-c]ピラン-6-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバミン酸ベンジル(40)(15.0g、20.6mmol)をMeCN(200ml)及び1.84%のH2SO4(180ml)の中で96時間、室温で撹拌した。反応物をEtOAc(3×250ml)で抽出し、飽和NaHCO3、水及びブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮して(2-(2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジヒドロキシ-6-((4-(3-メトキシフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)メチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)-カルバミン酸ベンジル(41)(11.0g、16.0mmol)を得た。生成物を粗製状態で次の反応に使用した。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0146】
ステップ8.(2R,3S,4R,5R)-5-アセトアミド-2-((4-(3-メトキシフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)メチル)-6-((3-オキソ-1-フェニル-2,7,10,13-テトラオキサ-4-アザペンタデカン-15-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート42の調製
(2-(2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジヒドロキシ-6-((4-(3-メトキシフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)メチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-エチル)カルバミン酸ベンジル(41)(11.0g、16.0mmol)をピリジン(200ml)中、室温で撹拌した。無水酢酸(16.3g、160mmol)を添加し、反応物を室温で16時間撹拌し、続いて50℃で3時間撹拌した。反応物を水に注ぎ、DCM(250ml)で3回抽出した。合わせた有機物を飽和NaHCO3(×2)、1NのHCl(×2)、水及びブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。残渣を自動化フラッシュクロマトグラフィー(5%MeOH/DCM)によって精製して(2R,3S,4R,5R)-5-アセトアミド-2-((4-(3-メトキシフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)メチル)-6-((3-オキソ-1-フェニル-2,7,10,13-テトラオキサ-4-アザペンタデカン-15-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(42)を得た(10.7g、86.7%)。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0147】
ステップ9.(2R,3S,4R,5R)-5-アセトアミド-2-((4-(3-メトキシフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)メチル)-6-((1,1,1-トリフルオロ-2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3l4-アザテトラデカン-14-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート43の調製
(2R,3S,4R,5R)-5-アセトアミド-2-((4-(3-メトキシフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)メチル)-6-((3-オキソ-1-フェニル-2,7,10,13-テトラオキサ-4-アザペンタデカン-15-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(42)(9.06g、11.74mmol)及びTFA(1.47g、12.91mmol)をMeOH中、室温で撹拌した。反応物を10%Pd-Cで1時間にわたって水素化した。反応物をセライトで濾過し、真空下で濃縮して(2R,3S,4R,5R)-5-アセトアミド-2-((4-(3-メトキシフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)メチル)-6-((1,1,1-トリフルオロ-2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3l4-アザテトラデカン-14-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(43)(8.8g、99.7%)を得、これを精製せずに次の反応に使用した。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0148】
スキーム8 化合物54の調製
【化33-1】
【化33-2】
ステップ1.過アセチル化ガラクトサミン44の調製
D-ガラクトサミン塩酸塩(14)(250g、1.16mol)を含んだピリジン(1.5L)を無水酢酸(1.25L、13.2mol)で45分間掛けて処理した。一晩撹拌した後、反応混合物を3つの1L部分に分けた。各1L部分を3Lの氷水に注ぎ、1時間にわたって混合した。混合後、固体を濾別し、合わせ、液体窒素で凍結させ、次いで5日間にわたって凍結乾燥して過アセチル化ガラクトサミン(44)(369.4g、82%)を白色の固体として得た。Rf(0.58、10%MeOH-CH
2Cl
2)。
【0149】
ステップ2.(2R,3R,4R,5R,6R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート45の調製
過アセチル化ガラクトサミン(44)(25g、64.21mmol)をスカンジウムトリフラート(1.58g、3.21mmol)と共に無水DCE中で3時間、90℃で加熱した。反応物を室温に冷却し、5mlのTEAで失活させ、真空下で濃縮した。残渣を自動化カラムクロマトグラフィー(2~10%MeOH/DCM)によって精製して(2R,3R,4R,5R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(45)(27g、76.5%)を得た。生成物の確認はMSによって行った。
【0150】
ステップ3.2-(2-(2-(2-(((2R,3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-アミニウム2,2,2-トリフルオロアセテート46の調製
アジド45(7.12g、13mmol)をEtOAc(150ml)及びトリフルオロ酢酸(2ml)の中に含んだ溶液をパラジウム炭(1.5g、湿潤品基準で10%w/w)で処理した。その後、反応混合物を水素でパージし、一晩激しく撹拌した。窒素でパージした後、混合物をセライトで濾過し、MeOHですすいだ。濾液を濃縮し、クロマトグラフィー(5%→10%→20%MeOH-CH2Cl2)によって精製して46(5.8g、72%)を褐色の油として得た。Rf(0.34、15%MeOH-CH2Cl2)。
【0151】
ステップ4.(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R,5R,5’R)-(((5-ニトロ-1,3-フェニレン)ビス(1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート48の調製。
(2R,3R,4R,5R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-((1,1,1-トリフルオロ-2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3l4-アザテトラデカン-14-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(46)(13.25g、20.84mmol)、5-ニトロイソフタル酸(47)(2.0g、9.5mmol)、HATU(12.3g、32.21mmol)及びTEA(5.75g、59.0mmol)をDCM中で16時間、室温で撹拌した。反応物をDCMで希釈し、1MのHCl、飽和NaHCO3、水及びブラインで順次洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣を自動化フラッシュクロマトグラフィー(5%MeOH/DCM)によって精製して(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R,5R,5’R)-(((5-ニトロ-1,3-フェニレン)ビス(1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート(48)(4.43g、38.3%)を得た。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0152】
ステップ5.(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R,5R,5’R)-(((5-アミノ-1,3-フェニレン)ビス(1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート49の調製
(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R,5R,5’R)-(((5-ニトロ-1,3-フェニレン)ビス(1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート(48)(26.1g、23.05mmol)をMeOH中、室温で撹拌した。反応物を10%Pd-C(2.6g)で2時間にわたって室温で水素化した。反応物をセライトで濾過し、真空下で濃縮して(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R,5R,5’R)-(((5-アミノ-1,3-フェニレン)ビス(1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート(49)(28.0g、99.9%)を得、これをさらに精製せずに次の反応に使用した。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0153】
ステップ6.(2R,3R,4R,5R)-5-アセトアミド-6-((1-(3-((2-(2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-4-ヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)-5-(2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)アセトアミド)フェニル)-1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-13-イル)オキシ)-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート51の調製
(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R,5R,5’R)-(((5-アミノ-1,3-フェニレン)ビス(1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート(49)(0.5g、0.45mmol)及びCBZ-gly(50)(0.09g、0.45mmol)をEtOAc中、室温で撹拌した。T3P(EtOAc中50%の溶液)(0.29g、0.91mmol)を添加し、反応物を室温で一晩撹拌した。追加のT3P(0.3当量)を添加し、反応物をさらに1時間撹拌した。反応物を飽和NaHCO3及びブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮し、残渣を自動化フラッシュクロマトグラフィー(10%MeOH/DCM)によって精製して(2R,3R,4R,5R)-5-アセトアミド-6-((1-(3-((2-(2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-4-ヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)-エトキシ)エチル)カルバモイル)-5-(2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)アセトアミド)フェニル)-1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-13-イル)オキシ)-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(51)(0.33g、56.8%)を得た。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0154】
ステップ7.(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R,5R,5’R)-(((5-(2-((2,2,2-トリフルオロアセチル)-l4-アザンイル)アセトアミド)-1,3-フェニレン)ビス(1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート52の調製
(2R,3R,4R,5R)-5-アセトアミド-6-((1-(3-((2-(2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-4-ヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)-5-(2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)アセトアミド)フェニル)-1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-13-イル)オキシ)-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(51)(3.3g、2.39mmol)及びTFA(0.29g、2.51mmol)をMeOH中、室温で撹拌した。反応物を10%Pd-C(400mg)で2時間にわたって水素化し、セライトで濾過し、真空下で濃縮して(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R,5R,5’R)-(((5-(2-((2,2,2-トリフルオロアセチル)-14-アザンイル)-アセトアミド)-1,3-フェニレン)ビス(1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート(52)(3.21g、98.7%)を得、これをさらに精製せずに次の反応に使用した。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0155】
ステップ8.(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R,5R,5’R)-(((5-(2-(10-(3-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-(ヒドロキシメチル)-3,4-ジメチルピロリジン-1-イル)-10-オキソデカンアミド)アセトアミド)-1,3-フェニレン)ビス(1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)トリアセテート53の調製
(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R,5R,5’R)-(((5-(2-((2,2,2-トリフルオロアセチル)-14-アザンイル)アセトアミド)-1,3-フェニレン)ビス(1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート(52)(1.0g、0.73mmol)、10-(3-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-(ヒドロキシメチル)-3,4-ジメチル-ピロリジン-1-イル)-10-オキソデカン酸リチウム(6)(0.45g、0.73mmol)、HATU(0.47g、1.25mmol)及びTEA(0.22g、2.2mmol)をDCM中で4時間、室温で撹拌した。反応物をDCMで希釈し、飽和NaHCO3、水及びブラインで順次洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。残渣を自動化フラッシュクロマトグラフィー(5%MeOH/DCM)によって精製して(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R,5R,5’R)-(((5-(2-(10-(3-((ビス(4-メトキシ-フェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-(ヒドロキシメチル)-3,4-ジメチルピロリジン-1-イル)-10-オキソデカンアミド)アセトアミド)-1,3-フェニレン)ビス(1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート(53)(1.02g、75.2%)を得た。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0156】
ステップ9.4-((1-(10-((2-((3,5-ビス((2-(2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-10-オキソデカノイル)-4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-3,4-ジメチルピロリジン-3-イル)メトキシ)-4-オキソブタン酸54の調製
(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R,5R,5’R)-(((5-(2-(10-(3-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)-メチル)-4-(ヒドロキシメチル)-3,4-ジメチルピロリジン-1-イル)-10-オキソデカンアミド)アセトアミド)-1,3-フェニレン)ビス(1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート(54)(1.05g、0.57mmol)、無水コハク酸(0.28g、2.84mmol)、DMAP(0.35g、2.84mmol)及びTEA(0.58g、5.68mmol)を脱水DCE中で2時間、60℃で加熱した。MeOH(5ml)を添加し、反応物をさらに30分間撹拌し、次いで冷却し、真空下で濃縮した。残渣をDCM中に取り、飽和NaHCO3(×4)、水及びブラインで順次洗浄した。有機物を乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮して4-((1-(10-((2-((3,5-ビス((2-(2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-10-オキソデカノイル)-4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-3,4-ジメチルピロリジン-3-イル)メトキシ)-4-オキソブタン酸(54)(1.1g、99.4%)を得、これを粗生成物として次の反応に使用した。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0157】
スキーム9 化合物56の調製
【化34】
ステップ1.(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R,5R,5’R)-(((5-(10-(3-((ビス(4-メトキシ-フェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-(ヒドロキシメチル)-3,4-ジメチルピロリジン-1-イル)-10-オキソデカンアミド)-1,3-フェニレン)ビス(1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート55の調製
(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R,5R,5’R)-(((5-アミノ-1,3-フェニレン)ビス(1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート(49)(4g、3.36mmol)、10-(3-((ビス(4-メトキシフェニル)-(フェニル)メトキシ)メチル)-4-(ヒドロキシメチル)-3,4-ジメチルピロリジン-1-イル)-10-オキソデカン酸リチウム(6)(2.13g、3.36mmol)、TEA(1ml、6.7mmol)及びT3P(EtOAc中50%W/Wの溶液)(4.3g、6.72mmol)をDCM中で16時間、室温で撹拌した。反応物を飽和NaHCO
3、水及びブラインで順次洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、真空下で濃縮した。残渣を自動化フラッシュクロマトグラフィー(10%MeOH/DCM)によって精製して2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R,5R,5’R)-(((5-(10-(3-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-(ヒドロキシル-メチル)-3,4-ジメチルピロリジン-1-イル)-10-オキソデカンアミド)-1,3-フェニレン)ビス(1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート(55)(1.37g、22.5%)を得た。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0158】
ステップ2.4-((1-(10-((3,5-ビス((2-(2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)アミノ)-10-オキソデカノイル)-4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-3,4-ジメチルピロリジン-3-イル)メトキシ)-4-オキソブタン酸56の調製
この化合物は、4-((1-(10-((2-((3,5-ビス((2-(2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-10-オキソデカノイル)-4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-3,4-ジメチルピロリジン-3-イル)メトキシ)-4-オキソブタン酸(54)と同様にして調製された。
【0159】
スキーム10 化合物57の調製
【化35】
3-((((1-(10-((3,5-ビス((2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジジセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)アミノ)-10-オキソデカノイル)-4-(ヒドロキシメチル)-3,4-ジメチルピロリジン-3-イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)プロパン酸57の合成
この化合物は、4-((1-(10-((3,5-ビス((2-(2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)アミノ)-10-オキソデカノイル)-4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-3,4-ジメチルピロリジン-3-イル)メトキシ)-4-オキソブタン酸(54)と同様にして調製された。
【0160】
スキーム11 化合物66の調製
【化36】
ステップ1.5-(ヒドロキシメチル)イソフタル酸ジメチル59の調製
ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸トリメチル(58)(40g、159mmol)及びNaBH
4をTHF中、室温で撹拌した。MeOH(30ml)を含んだTHF(120ml)をゆっくり滴加した。滴加終了後、反応物を30分間還流した。冷却した後、反応物を1MのHClで失活させ、EtOAcに抽出した。有機物を1MのHCl、NaHCO
3、水及びブラインで順次洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、真空下で濃縮した。残渣を自動化フラッシュクロマトグラフィー(50/50のEtOAc/ヘキサン)によって精製して5-(ヒドロキシメチル)イソフタル酸ジメチル(59)を得た(20.5g、53.2%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ8.59(s,1H),8.23(s,2H),4.81(s,2H),3.95(s,6H)。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0161】
ステップ2.5-(クロロメチル)イソフタル酸ジメチル60の調製
5-(ヒドロキシメチル)イソフタル酸ジメチル(59)(20.5g、80.5%)をSOCl2(11.1g、94mmol)中で1.5時間還流した。反応物を冷却し、DCMで希釈し、0.1MのNaOH(×2)、水及びブラインで順次洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。残渣を自動化フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)によって精製して5-(クロロメチル)イソフタル酸ジメチル(60)を得た(10.84g、53%)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.65(s,1H),8.27(s,2H),4.66(s,2H),3.97(s,6H)。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0162】
ステップ3.5-(アジドメチル)イソフタル酸ジメチル61の調製
5-(クロロメチル)イソフタル酸ジメチル(60)(10.84g、45mmol)及びNaN3(18g、270mmol)をアセトン/水(3/1)で16時間還流した。反応物を冷却し、真空下で濃縮し、残渣をDCM中に取った。有機物を水及びブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)によって精製して5-(アジドメチル)イソフタル酸ジメチル(61)を得た(9.84g、88%)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.66(s,2H),8.2(s,2H),4.49(s,2H),3.97(s,2H)。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0163】
ステップ4.5-(アジドメチル)イソフタル酸62の調製
5-(アジドメチル)イソフタル酸ジメチル(61)(9.84g、39.5mmol)及びLiOH(2.1g、87mmol)をTHF/H2O/MeOH中で48時間、室温で撹拌した。有機溶媒を真空下で除去し、残渣を1MのHClで酸性化した。水溶液をEtOAc(×3)で抽出し、合わせた有機物を乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮して5-(アジドメチル)イソフタル酸(62)(8.0g、91.6%)を得、これをさらに精製せずに次の反応に使用した。
【0164】
ステップ5.(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R)-(((5-(アジドメチル)-1,3-フェニレン)ビス(1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート63の調製
5-(アジドメチル)イソフタル酸(62)(4.42g、20mmol)、2-(2-(2-(2-(((2R,3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-アミニウム2,2,2-トリフルオロアセテート(46)(25g、40mmol)、HATU(24.4g、64mmol)及びTEA(17ml、120mmol)をDCM中で16時間、室温で撹拌した。反応物を1MのHCl、飽和NaHCO3、水及びブラインで順次洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。残渣を自動化フラッシュクロマトグラフィー(7%MeOH/DCM)によって精製して(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R)-(((5-(アジドメチル)-1,3-フェニレン)ビス(1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート(63)を得た(10.9g、44.5%)。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0165】
ステップ6.(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R)-(((5-(((2,2,2-トリフルオロアセチル)-l4-アザンイル)メチル)-1,3-フェニレン)ビス(1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート64の調製
(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R)-(((5-(アジドメチル)-1,3-フェニレン)ビス(1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート(63)(10.9g、8.9mmol)及びTFA(0.68ml、8.9mmol)をMeOH中、室温で撹拌した。反応物を10%Pd-Cで1時間にわたって水素化した。反応物をセライトで濾過し、真空下で濃縮し、残渣を自動化フラッシュクロマトグラフィー(15%MeOH/DCM)によって精製して(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R)-(((5-(((2,2,2-トリフルオロアセチル)-14-アザンイル)メチル)-1,3-フェニレン)ビス(1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート(64)を得た(6.41g、54.7%)。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0166】
ステップ7.(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R)-(((5-((10-(3-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-(ヒドロキシメチル)-3,4-ジメチルピロリジン-1-イル)-10-オキソデカンアミド)メチル)-1,3-フェニレン)ビス(1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート65の調製
(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R)-(((5-(((2,2,2-トリフルオロアセチル)-14-アザンイル)メチル)-1,3-フェニレン)ビス(1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート(3.0g、2.3mmol)、10-(3-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-(ヒドロキシメチル)-3,4-ジメチルピロリジン-1-イル)-10-オキソデカン酸リチウム(65)(1.5g、2.3mmol)、HATU(1.4g、3.7mmol)及びTEA(1ml、7.0mmol)を室温で一晩撹拌した。反応物をDCMで希釈し、飽和NaHCO3、水及びブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。残渣を自動化フラッシュクロマトグラフィー(5%MeOH/DCM)によって精製して(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R)-(((5-((10-(3-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-(ヒドロキシメチル)-3,4-ジメチルピロリジン-1-イル)-10-オキソデカンアミド)メチル)-1,3-フェニレン)ビス(1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート(65)を得た(1.8g、43.0%)。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0167】
ステップ8.4-((1-(10-((3,5-ビス((2-(2-(2-(2-(((4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)ベンジル)アミノ)-10-オキソデカノイル)-4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-3,4-ジメチルピロリジン-3-イル)メトキシ)-4-オキソブタン酸66の調製
この化合物は、4-((1-(10-((2-((3,5-ビス((2-(2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-10-オキソデカノイル)-4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-3,4-ジメチルピロリジン-3-イル)メトキシ)-4-オキソブタン酸(54)と同様にして調製された。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0168】
スキーム12 化合物67の調製
【化37】
4-((1-(10-((2-((3,5-ビス((2-(2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)-3-(2,2,2-トリフルオロアセトアミド)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-10-オキソデカノイル)-4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-3,4-ジメチルピロリジン-3-イル)メトキシ)-4-オキソブタン酸67の合成
この化合物は、(3R,4R,5R,6R)-6-(アセトキシメチル)-3-(2,2,2-トリフルオロアセトアミド)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリイルトリアセテートを過アセチル化ガラクトサミン(6)の代わりに使用して54(スキーム8)と同様にして調製された。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0169】
スキーム13 化合物68の調製
【化38】
4-((1-(10-((2-((3,5-ビス((2-(2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)-3-プロピオンアミドテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-10-オキソデカノイル)-4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-3,4-ジメチルピロリジン-3-イル)メトキシ)-4-オキソブタン酸68の合成
この化合物は、(3R,4R,5R,6R)-6-(アセトキシメチル)-3-プロピオンアミドテトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリイルトリアセテート(19b)を過アセチル化ガラクトサミン(44)の代わりに使用して54(スキーム8)と同様にして調製された。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0170】
スキーム14 化合物69の調製
【化39】
4-((1-(10-((2-((3,5-ビス((2-(2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)-3-(2,2-ジフルオロプロパンアミド)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)-エトキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-10-オキソデカノイル)-4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-3,4-ジメチルピロリジン-3-イル)メトキシ)-4-オキソブタン酸69の合成
この化合物は、(3R,4R,5R,6R)-6-(アセトキシメチル)-3-(2,2-ジフルオロプロパンアミド)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリイルトリアセテート(19c)を過アセチル化ガラクトサミン(44)の代わりに使用して54(スキーム8)と同様にして調製された。生成物の確認はMS(ESI+ve)によって行った。
【0171】
スキーム15 化合物70の調製
【化40】
4-((1-(10-((2-((3,4-ビス((2-(2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)(メチル)カルバモイル)フェニル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-10-オキソデカノイル)-4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-3,4-ジメチルピロリジン-3-イル)メトキシ)-4-オキソブタン酸70の合成
この化合物は、(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R,5R,5’R)-(((4-ニトロ-1,2-フェニレン)ビス(2-メチル-1-オキソ-5’,8’,11’-トリオキサ-2’-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート(34)を(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R,5R,5’R)-(((5-ニトロ-1,3-フェニレン)ビス(1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-1,13-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート(48)の代わりに使用して化合物54(スキーム8)と同様にして調製された。
【0172】
スキーム16 化合物71の調製
【化41】
4-((1-(10-((2-((3,5-ビス((2-(2-(2-(2-(((3R,4R,5S,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-((4-(3-メトキシフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)メチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-10-オキソデカノイル)-4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-3,4-ジメチルピロリジン-3-イル)メトキシ)-4-オキソブタン酸71の合成
この化合物は、(2R,3S,4R,5R)-5-アセトアミド-2-((4-(3-メトキシフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)メチル)-6-((1,1,1-トリフルオロ-2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3l4-アザテトラデカン-14-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(43)を2-(2-(2-(2-(((2R,3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-アミニウム2,2,2-トリフルオロアセテート(46)の代わりに使用して化合物54(スキーム8)と同様にして調製された。
【0173】
スキーム17 化合物72の調製
【化42】
4-((4-(10-((2-((3,5-ビス((2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-10-オキソデカノイル)-2-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-1,2-ジメチルシクロペンチル)メトキシ)-4-オキソブタン酸72の合成
この化合物は、(2R,3R,4R,5R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-(2-(2-(2-((2,2,2-トリフルオロアセチル)-14-アザンイル)エトキシ)エトキシ)エトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(24)を2-(2-(2-(2-(((2R,3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-アミニウム2,2,2-トリフルオロアセテート(46)の代わりに使用して化合物54(スキーム8)と同様にして調製された。
【0174】
スキーム18 化合物81の調製
【化43-1】
【化43-2】
ステップ1.12-(ベンジルオキシ)-12-オキソドデカン酸76の調製
ドデカン二酸(74)(21.0g、91.3mmol)のDMF(200ml)溶液に、炭酸カリウム(10g、72.4mmol)及び臭化ベンジル(75)(10ml、84.2mmol)を添加した。溶液を80℃で4時間撹拌し、0℃に冷却し、次いで6MのHClで慎重に酸性化した。水(250ml)で希釈し、酢酸エチルで(500ml)する。酢酸エチル抽出物をブライン(3×250ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固した。固体をジクロロメタン(200ml)中に懸濁させ、濾過した。今や生成物が濃縮されたものである濾液を濃縮し、シリカゲル60のカラムクロマトグラフィー(勾配:DCM中0から10%のメタノール)によって精製して12-(ベンジルオキシ)-12-オキソドデカン酸(76)を無色の固体として得た(13g、45%)。構造の確認は質量分析によって行った。
【0175】
ステップ2.(2S,3S,4S,5S)-5-アセトアミド-6-(2-(2-(2-(3-((2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)-5-(12-(ベンジルオキシ)-12-オキソドデカンアミド)ベンズアミド)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート78の調製
(2S,3S,4S,5S)-5-アセトアミド-6-(2-(2-(2-(3-((2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)-エトキシ)エチル)カルバモイル)-5-アミノベンズアミド)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-(アセトキシメチル)-テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(77)(4.0g、3.6mmol)、12-(ベンジルオキシ)-12-オキソドデカン酸(76)(1.3g、4.1mmol)及びトリエチルアミン(1.5ml、10.8mmol)をジクロロメタン(75ml)中に含んだ溶液に、T3P(4.5g、約9ml、酢酸エチル中50%の溶液)を滴加した。溶液を室温で一晩撹拌した。終了してすぐに、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、重炭酸ナトリウム(200ml)の飽和溶液で慎重に失活させた。二相溶液を30分間激しく撹拌した。DCM層を分離し、水相をジクロロメタン(1×100ml)で抽出した。合わせた抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮乾固した。残渣をシリカゲル60のカラムクロマトグラフィー(勾配:DCM中0から10%のMeOH)によって精製して表題化合物を無色の固体として得た(1.5g、30%)。
【0176】
ステップ3.12-((3-((2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)-5-((2-(2-(2-(((3S,4S,5S,6S)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)アミノ)-12-オキソドデカン酸79の調製
(2S,3S,4S,5S)-5-アセトアミド-6-(2-(2-(2-(3-((2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)-エチル)カルバモイル)-5-(12-(ベンジルオキシ)-12-オキソドデカンアミド)ベンズアミド)エトキシ)エトキシ)-エトキシ)-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(78)(1.5g、1.1mmol)のメタノール(25ml)溶液に、10%パラジウム炭素(湿潤品基準、150mg、10%wt/wt)を添加した。溶液に水素ガスを1時間にわたって流した。終了してすぐに、溶液に窒素を流し、セライトで濾過し、真空下で濃縮乾固して無色の固体を得た(1.1g、79%)。
【0177】
ステップ4.(2S,3S,4S,5S)-5-アセトアミド-6-(2-(2-(2-(3-((2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)-5-(12-オキソ-12-(パーフルオロフェノキシ)ドデカンアミド)ベンズアミド)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート81の調製
12-((3-((2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)-5-((2-(2-(2-(((3S,4S,5S,6S)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)アミノ)-12-オキソドデカン酸(79)(0.6g、0.46mmol)及びトリエチルアミン(125μL、0.92mmol)をジクロロメタン(50ml)中に含んだ溶液に、トリフルオロ酢酸ペンタフルオロフェニル(80)(150mg、1.1mmol)を添加した。溶液を室温で30分間撹拌し、その後、真空下で濃縮乾固した。残渣をシリカゲル60のカラムクロマトグラフィー(勾配:ジクロロメタン中0から10%のメタノール)によって精製して表題化合物を無色の固体として得た(475mg、70%)。質量(ESI+)m/z 741.0(M+2H)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ10.12(s,1H),8.52(t,J=5.6Hz,2H),8.14(d,J=1.4Hz,2H),7.91(t,J=1.6Hz,1H),7.80(d,J=9.2Hz,2H),5.21(d,J=3.4Hz,2H),4.97(dd,J=11.2,3.4Hz,2H),4.54(d,J=8.5Hz,2H),4.06-3.99(m,7H),3.88(dt,J=11.2,8.8Hz,2H),3.77(ddd,J=11.1,5.6,3.9Hz,2H),3.62-3.46(m,22H),3.46-3.38(m,5H),2.77(t,J=7.2Hz,2H),2.31(t,J=7.4Hz,2H),2.10(s,7H),1.99(s,7H),1.89(s,7H),1.77(s,7H),1.69-1.54(m,4H),1.40-1.20(m,14H)。質量(ESI+)m/z 741.0(M+2H)。
【0178】
スキーム19 化合物90の調製
【化44-1】
【化44-2】
ステップ1.12-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ドデカン酸84の調製
12-アミノドデカン酸(82)(5.0g、23.3mmol)、二炭酸ジ-tert-ブチル(83)(6.1g、27.9mmol)、及びトリエチルアミン(6.3ml、46.6mmol)をメタノール(75ml)中に含んだ溶液を、60℃で3時間加熱し、次いで室温で一晩経過させた。終了してすぐに、溶液を真空下で濃縮乾固し、さらに精製せずに次のステップに使用した。
【0179】
ステップ2.12-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ドデカン酸ベンジル85の調製
粗製12-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ドデカン酸(84)(9.0g、30.0mmol)、ベンジルアルコール(85)(3.1g、30.0mmol)、EDC塩酸塩(6.9g、36.0mmol)及びトリエチルアミン(12ml、90.0mmol)をジクロロメタン(100ml)中に含んだ溶液を、室温で一晩撹拌した。終了してすぐに、溶液を飽和重炭酸ナトリウム溶液(100ml)及びブライン(100ml)で洗浄した。ジクロロメタン溶液を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固した。シリカゲル60のカラムクロマトグラフィー(Gradient:ヘキサン中0から50%の酢酸エチル)によって精製して表題化合物を無色の固体として得た(2.0g、2ステップで21%)。
【0180】
ステップ3.12-(ベンジルオキシ)-12-オキソドデカン-1-アミニウムトリフルオロ酢酸87の調製
12-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ドデカン酸ベンジル(86)(2.0g、4.9mmol)とジクロロメタン(15ml)とTFA(5ml)との溶液を、室温で一晩撹拌した。反応混合物を濃縮乾固して生成物を粘稠な油として得た(2.1g。定量的)。
【0181】
ステップ4.(2S,3S,4S,5S)-5-アセトアミド-6-(2-(2-(2-(3-((2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)-5-(12-((12-(ベンジルオキシ)-12-オキソドデシル)アミノ)-12-オキソドデカンアミド)ベンズアミド)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート88の調製
12-((3-((2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)-5-((2-(2-(2-(((3S,4S,5S,6S)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)-エチル)カルバモイル)フェニル)アミノ)-12-オキソドデカン酸(88)(750mg、0.54mmol)、12-(ベンジルオキシ)-12-オキソドデカン-1-アミニウムトリフルオロアセテート(87)(225mg、0.54mmol)、HBTU(210mg、0.54mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.3ml、1.62mmol)をジクロロメタン(30ml)中に含んだ溶液を、室温で一晩撹拌した。溶液をジクロロメタン(50ml)で希釈し、飽和重炭酸塩溶液(100ml)で洗浄した。ジクロロメタンを硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮乾固した。残渣をシリカゲル60のカラムクロマトグラフィー(勾配:ジクロロメタン中0~10%のメタノール)によって精製して表題化合物(88)を無色の固体(605mg、70%)として得た。
【0182】
ステップ5.12-(12-((3-((2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)-5-((2-(2-(2-(((3S,4S,5S,6S)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)アミノ)-12-オキソドデカンアミド)ドデカン酸89の調製
水素化を先に記載されているように行って(89)を得た(350mg、55%)。
【0183】
ステップ6.(2S,3S,4S,5S)-5-アセトアミド-6-(2-(2-(2-(3-((2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)-エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)-5-(12-オキソ-12-((12-オキソ-12-(パーフルオロフェノキシ)-ドデシル)アミノ)ドデカンアミド)ベンズアミド)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-(アセトキシメチル)-テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート90の調製
PFPエステル形成を先に記載されているように行って必要とする生成物(90)を得た(112mg、23%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ10.12(s,1H),8.91(s,1H),8.65(t,J=5.5Hz,1H),8.52(t,J=5.6Hz,1H),8.23(d,J=1.5Hz,1H),8.14(t,J=1.4Hz,2H),7.91(d,J=1.6Hz,1H),7.80(d,J=9.2Hz,2H),7.68(t,J=5.6Hz,1H),5.21(d,J=3.4Hz,2H),4.97(dd,J=11.2,3.4Hz,2H),4.54(d,J=8.5Hz,2H),4.07-3.96(m,6H),3.88(dt,J=11.2,8.9Hz,2H),3.81-3.74(m,2H),3.64-3.36(m,24H),3.15-3.03(m,6H),2.99(q,J=6.5Hz,2H),2.76(t,J=7.2Hz,1H),2.31(t,J=7.4Hz,1H),2.10(s,6H),1.99(s,7H),1.89(s,7H),1.76(s,6H),1.70-1.53(m,3H),1.47(q,J=7.1Hz,2H),1.40-1.10(m,29H)。質量(ESI+)m/z 839.7(M+2H)。
【0184】
スキーム20 化合物94の調製
【化45-1】
【化45-2】
ステップ1.(2S,3S,4S,5S)-5-アセトアミド-6-(2-(2-(2-(3-((2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)-5-(2-(12-(ベンジルオキシ)-12-オキソドデカンアミド)アセトアミド)ベンズアミド)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート92の調製
2-((3-((2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)-5-((2-(2-(2-(((3S,4S,5S,6S)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)-エトキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)アミノ)-2-オキソエタン-1-アミニウムトリフルオロアセテート(91)(1.0g、0.8mmol)、12-(ベンジルオキシ)-12-オキソドデカン酸(76)(256mg、0.8mmol)、HBTU(341mg、0.9mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.4ml、2.4mmol)をジクロロメタン(20ml)中に含んだ溶液を、室温で一晩撹拌した。終了してすぐに、反応混合物をジクロロメタン(80ml)で希釈し、飽和重炭酸ナトリウム(100ml)で洗浄した。溶液を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮乾固した。残渣をシリカゲル60のカラムクロマトグラフィー(勾配:ジクロロメタン中0から10%のメタノール)によって精製して表題化合物を無色の固体として得た(0.8g、68%)。
【0185】
ステップ2.12-((2-((3-((2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)-5-((2-(2-(2-(((3S,4S,5S,6S)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-12-オキソドデカン酸93の調製
化合物93は、類似する変換のための本明細書に記載の条件に類似した条件を用いて調製された(450mg、60%)。
【0186】
ステップ3.(2S,3S,4S,5S)-5-アセトアミド-6-(2-(2-(2-(3-((2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)-エトキシ)エチル)カルバモイル)-5-(2-(12-オキソ-12-(パーフルオロフェノキシ)ドデカンアミド)アセトアミド)ベンズアミド)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート94の調製
化合物94は、類似する変換のための本明細書に記載の条件に類似した条件を用いて調製された(460mg、91%)。質量(ESI+)m/z 1537.8(M+H)。
【0187】
スキーム21 化合物95の調製
【化46】
(2R,2’R,3R,3’R,4R,4’R,5R,5’R)-((((((((5-(2-(10-(3-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-((((2-シアノエトキシ)(ジイソプロピルアミノ)ホスファニル)-オキシ)メチル)-3,4-ジメチルピロリジン-1-イル)-10-オキソデカンアミド)アセトアミド)-イソフタロイル)ビス(アザンジイル))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))-ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-6,3,4-トリイル)テトラアセテート95の合成
(2S,3S,4S,5S)-5-アセトアミド-6-(2-(2-(2-(3-((2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)-エチル)カルバモイル)-5-(2-(10-(3-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-(ヒドロキシメチル)-3,4-ジメチルピロリジン-1-イル)-10-オキソデカンアミド)アセトアミド)ベンズアミド)-エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(72)(1.6g、0.9mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.4ml、1.8mmol)を無水ジクロロメタン(25ml)中に含んだ溶液に、2-シアノエチル N,N-ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(0.3ml、1.35mmol)を添加した。溶液を室温で75分間撹拌し、次いで濃縮乾固した。残渣をカラムクロマトグラフィー(勾配:DCM(0.1%TEA)中0から10%のMeOH)によって精製して生成物を無色の固体として得た(1.1g、62%)。31P NMR(400MHz,DMSO-d6):δ146.76(s),146.42(s,重複する2つの信号),146.34(s)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ10.20(s,1H),8.54(t,J=5.6Hz,2H),8.17-8.09(m,3H),7.94(s,1H),7.80(d,J=9.2Hz,2H),7.39-7.26(m,4H),7.26-7.17(m,6H),6.91-6.83(m,4H),5.21(d,J=3.4Hz,2H),4.97(dd,J=11.2,3.4Hz,2H),4.54(d,J=8.5Hz,2H),4.02(s,6H),3.93-3.82(m,4H),3.73(s,10H),3.66-3.36(m,35H),3.28-3.06(m,6H),3.06-2.87(m,3H),2.72-2.63(m,J=11.5,5.8Hz,2H),2.10(m,12H),1.99(s,6H),1.89(s,6H),1.77(s,6H),1.47(d,J=7.2Hz,4H),1.23(dq,J=13.9,6.4Hz,18H),1.17-1.04(m,10H),0.98(dt,J=13.4,5.9Hz,10H)。
【0188】
スキーム22 化合物96の調製
【化47】
ステップ1.(2S,3S,4S,5S)-5-アセトアミド-6-(2-(2-(2-(3-((2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)-5-(2-(12-((10-(3-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-(ヒドロキシメチル)-3,4-ジメチルピロリジン-1-イル)-10-オキソデシル)アミノ)ドデカンアミド)アセトアミド)ベンズアミド)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート95の調製
化合物95は、類似する変換のための本明細書に記載の条件に類似した条件を用いて調製された(1.9g、61%)。
【0189】
ステップ2:(2S,3S,4S,5S)-5-アセトアミド-6-(2-(2-(2-(3-((2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)-エトキシ)エチル)カルバモイル)-5-(2-(12-((10-(3-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)-メチル)-4-((((2-シアノエトキシ)(ジイソプロピルアミノ)ホスファニル)オキシ)メチル)-3,4-ジメチルピロリジン-1-イル)-10-オキソデシル)アミノ)ドデカンアミド)アセトアミド)ベンズアミド)-エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート96の調製
化合物96は、類似する変換のための本明細書に記載の条件に類似した条件を用いて調製された(1.35g、65%)。31P NMR(400MHz,DMSO-d6):δ146.79(s),146.76(s),146.42(s),146.36(s)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ10.19(s,1H),8.54(t,J=5.6Hz,2H),8.13(dd,J=6.1,3.5Hz,3H),7.94(s,1H),7.80(d,J=9.2Hz,2H),7.71-7.65(m,1H),7.39-7.25(m,4H),7.25-7.17(m,4H),6.92-6.83(m,4H),5.21(d,J=3.4Hz,2H),4.97(dd,J=11.2,3.4Hz,2H),4.54(d,J=8.5Hz,2H),4.07-3.97(m,6H),3.94-3.82(m,4H),3.82-3.74(m,2H),3.73(s,6H),3.62-3.45(m,23H),3.42(m,6H),3.27-2.92(m,14H),2.73-2.62(m,2H),2.10(s,8H),1.99(s,9H),1.89(s,6H),1.77(s,6H),1.52-1.42(m,6H),1.22(d,J=8.0Hz,24H),1.17(t,J=7.3Hz,11H),1.09(dt,J=6.7,3.3Hz,9H),1.03-0.92(m,9H)。
【0190】
スキーム23 オリゴヌクレオチドの3’末端によって連結されたオリゴヌクレオチドを有する式Iの結合体の一般的合成(化合物73)
【化48】
4-((1-(10-((2-((3,5-ビス((2-(2-(2-(2-(((3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-エチル)カルバモイル)フェニル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-10-オキソデカノイル)-4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-3,4-ジメチルピロリジン-3-イル)メトキシ)-4-オキソブタン酸97を例としてスクシナートリガンドからASGPr指向性二座リガンドを合成する一般的方法
標準的なアミドカップリング化学を用いてスクシナートを1000ÅのLCAA(長鎖アミノアルキル)CPG(コントロールポアガラス)上に負荷させた。LCAA CPG(2.0g)をDCM(5ml)及びMeCN(7.6ml)の中に懸濁させた。ジイソプロピルカルボジイミド(100μl)、N-ヒドロキシスクシンイミド(110μL、30μM/g)、ピリジン(110μL)及び56(200mg、0.1mmol)を添加し、懸濁液を室温で16時間穏やかに混合した。CPGを濾過によって回収し、DCM(×3)及びMeCN(×3)で洗浄し、高真空下で乾燥させた。5%無水酢酸/5%N-メチルイミダゾール/5%ピリジンのTHF溶液を添加し、懸濁液を室温で2時間撹拌した。CPGを濾過によって回収し、DCM(×3)及びMeCN(×3)で洗浄し、高真空下で乾燥させた。負荷量は31.3μmol/gと決定された(UV/Vis 504nmによるDMTrアッセイ)。得られたGalNAc負荷CPG固体担体を、標準的な手順を用いる自動化オリゴヌクレオチド合成に採用した。ヌクレオチド脱保護とそれに続く(同時進行でガラクトサミンアセテート脱保護を伴う)固体担体からの除去によってGalNAc-オリゴヌクレオチド結合体97が得られた。
【0191】
スキーム24及びスキーム25 オリゴヌクレオチドの5’によって連結されたオリゴヌクレオチドを有する式Iの結合体(化合物98)の一般的合成
標準的なカップリング条件を用いてペンタフルオロフェニルエステルを、センス鎖オリゴヌクレオチド上にホスフェート/ホスホロチオエートリンケージを有するC
6 5’-アミノ修飾剤に連結した。標準的な切断及び脱保護によって所望のセンス鎖結合体が得られた。例えばペンタフルオロフェニルエステル81を使用して以下の結合体98が得られた。
【化49】
【0192】
標準的なホスホロアミダイトカップリング化学を用いてホスホロアミダイトをセンス鎖末端ヌクレオチドの5’ヒドロキシルに連結した。標準的な切断及び脱保護によって所望のセンス鎖結合体が得られた。例えばホスホロアミダイト95を使用して以下の結合体99が得られた。
【化50】
【0193】
実施例1~9
スキーム23に示した一般的手順を用いて本発明の以下の結合体を調製したが、式中、R3bは以下の表Aに記載の改変型TTR siRNAである。質量は、アニーリングした二本鎖ではなく一本鎖生成物のものである。
【0194】
実施例1
【化51】
MS(+VE)計算値:8184.7、測定値:8184.2。
【0195】
実施例2
【化52】
MS(+VE)計算値:8212.7、測定値:8211.9。
【0196】
実施例3
【化53】
MS(+VE)計算値:8212.7、測定値:8212.8。
【0197】
実施例4
【化54】
MS(+VE)計算値:8096.6、測定値:8097.0。
【0198】
実施例5
【化55】
MS(+VE)計算値:8499.0、測定値:8498.7。
【0199】
実施例6
【化56】
MS(+VE)計算値:8284.7、測定値:8283.8。
【0200】
実施例7
【化57】
MS(+VE)計算値:7596.0、測定値:7596.8。
【0201】
実施例8
【化58】
MS(+VE)計算値:8140.6、測定値:8139.6。
【0202】
実施例9
【化59】
MS(+VE)計算値:8038.5、測定値:8037.5。
【0203】
実施例10~11
スキーム24に示した一般的手順を用いて本発明の以下の結合体を調製したが、式中、R3bは以下の表Aに記載の改変型TTR siRNAである。質量は、アニーリングした二本鎖ではなく一本鎖生成物のものである。
【0204】
実施例10
【化60】
MS(+VE)計算値:8056.7、測定値:8056.1。
【0205】
実施例11
【化61】
MS(+VE)計算値:8254.0、測定値:8253.5。
【0206】
実施例12:TTR siRNA二座結合体の生体内での試験
オリゴヌクレオチドを表Aに記載の改変型TTR siRNAとした二座結合体(実施例1~8)を、生体内での活性についてTTRノックダウンの野生型マウスモデルで試験した。TTR結合体はTTR(トランスサイレチン)アミロイド症の希少疾患のための治療剤になると見込まれる。この疾患に罹患している者においてトランスサイレチンタンパク質のミスフォールディング及び凝集は疾患の進行と関連があることが知られている。このsiRNA結合体を使用することによって、患者においてミスフォールド/凝集タンパク質の量を減少させることができ、結果として疾患の進行が止まる可能性がある。
【0207】
【0208】
TTR siRNA配列及び動物モデルは両方ともNair et al.J.Am.Chem.Soc.,2014,136(49),16958-16961によって記載されている。動物に関する全ての手順は、適切な動物関連業務に関するカナダ動物管理協会(CCAC)ガイドラインに準じて書面による作業手順に従って行われ、地域の動物実験委員会(IACUC)によって承認された。
【0209】
siRNA処置:雌のC57BL/6マウス(n=4)に肩甲骨領域の皮下注射によって単回2mg/kg用量のTTR siRNA結合体を0日目に1回投与した(動物1匹につき1用量)。1つの動物群には、対照としての役割を果たすビヒクルのみ(PBS)を投与した。
【0210】
採血:試験品投与後の定められた時点(2、4、5、7、8、9、14及び21日目)に全ての動物の試験採血を行って血漿中TTRレベルの最大減少量、及び薬理活性の持続期間を決定した。
【0211】
分析:Abnovaプレアルブミン(マウス)ELISAキット(Cedar Lane、カタログ番号KA2070)を製造業者の指示に従って使用して血漿試料のTTRタンパク質レベルを決定した。TTR血漿中タンパク質値を個々の血漿試料について算出し、各群の平均値を決定した。これらの平均値から、対照に対するTTRタンパク質レベル(PBS処置動物に対する%)を決定した。
【0212】
結果:試験からの結果を表Bに示す。値は、処置後2、4、5、7、8、9、14及び21日目の(PBS対照に対する)TTRタンパク質レベル%を表す。
【0213】
結論:TTR二座結合体で処置された動物は、標的mRNA及びタンパク質の著しいノックダウンを呈し、TTRタンパク質の最大ノックダウンが皮下注射後4~9日目に起こった。
【0214】
【0215】
実施例13:TTR siRNA二座結合体の生体内での試験
一価、二座、三価及び四価結合体(化合物A~D)〔式中、R
3bは上記表Aに記載の改変型TTR siRNAである〕を、生体内での活性についてTTRノックダウンの野生型マウスモデルで試験した。
化合物A(一価)
【化62】
化合物B(二座)
【化63】
化合物C(三価)
【化64】
化合物D(四価)
【化65】
TTR結合体はTTR(トランスサイレチン)アミロイド症の希少疾患のための治療剤になると見込まれる。この疾患に罹患している者においてトランスサイレチンタンパク質のミスフォールディング及び凝集は疾患の進行と関連があることが知られている。このsiRNA結合体を使用することによって、患者においてミスフォールド/凝集タンパク質の量が減少する可能性があり、結果として疾患の進行が止まる可能性がある。
【0216】
TTR siRNA配列及び動物モデルは両方ともNair et al.J.Am.Chem.Soc.,2014,136(49),16958-16961によって記載されている。動物に関する全ての手順は、適切な動物関連業務に関するカナダ動物管理協会(CCAC)ガイドラインに準じて書面による作業手順に従って行われ、地域の動物実験委員会(IACUC)によって承認された。
【0217】
siRNA処置:雌のC57BL/6マウス(n=4)に肩甲骨領域の皮下注射によって単回2mg/kg用量のTTR siRNA結合体を0日目に1回投与した(動物1匹につき1用量)。1つの動物群には、対照としての役割を果たすビヒクルのみ(PBS)を投与した。
【0218】
採血:試験品投与後の定められた時間点(2、5、7、14及び21日目)に全ての動物の試験採血を行って血漿中TTRレベルの最大減少量、及び薬理活性の持続期間を決定した。
【0219】
分析:Abnovaプレアルブミン(マウス)ELISAキット(Cedar Lane、カタログ番号KA2070)を製造業者の指示に従って使用して血漿試料のTTRタンパク質レベルを決定した。TTR血漿中タンパク質値を個々の血漿試料について算出し、各群の平均値を決定した。これらの平均値から、対照に対するTTRタンパク質レベル(PBS処置動物に対する%)を決定した。
【0220】
結果:試験からの結果を表Cに示す。値は、処置後2、5、7、14及び21日目の(PBS対照に対する)TTRタンパク質レベル%を表す。
【0221】
結論:TTR二座、三価及び四価結合体で処置された動物は、標的mRNA及びタンパク質のノックダウンを同程度のレベルで呈し、TTRタンパク質の最大ノックダウンが皮下注射後2~7日目に起こった。TTR一価結合体は、あってもほんのわずかである標的mRNA及びタンパク質のノックダウンを示した。
【0222】
【配列表】
【国際調査報告】