IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プージン ケミカル インダストリー カンパニー リミテッドの特許一覧

特表2022-506552ポリグリコライドコポリマー及びその製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】ポリグリコライドコポリマー及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/08 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
C08G63/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523964
(86)(22)【出願日】2018-10-29
(85)【翻訳文提出日】2021-06-22
(86)【国際出願番号】 CN2018112434
(87)【国際公開番号】W WO2020087205
(87)【国際公開日】2020-05-07
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521186328
【氏名又は名称】プージン ケミカル インダストリー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PUJING CHEMICAL INDUSTRY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Room615-618, T1, Lane166, Minhong Road, Minhang District, Shanghai 201102 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】チャン, シンチョウ
【テーマコード(参考)】
4J029
【Fターム(参考)】
4J029AA02
4J029AB01
4J029AC02
4J029AD01
4J029EH02
4J029JF131
4J029JF581
4J029KC01
4J029KH03
(57)【要約】
【課題】ポリグリコライドと一つ以上の添加剤とのコポリマーを開示する。
【解決手段】前記コポリマーは10,000-1,000,000の重量平均分子量(Mw)を有してもいい。前記コポリマーの重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.0-10.0であってもいい。前記コポリマーのメルトフローインデックス(MFR)は0.1-1000g/10minの範囲にあってもいい。前記コポリマーは優れた機械的特性、耐熱性、及び加水分解安定性を有する。さらに、前記コポリマーを製造する方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ以上のC-(Ax-Byn-D繰り返し単位を含むコポリマーであって、
Aは
【化1】
、またはその組み合わせであり、
BはG-R1-Wであり、
GとWはそれぞれ-CO-NH-、-CO-R2-CO-OH、-CO-、-(CH22NH-CO-、-CH2-CH(OH)-CH2-、及び-NHから選ばれ、
1は脂肪族ポリマー、芳香族ポリマー、またはその組み合わせであり、
2はアルキル基、アリール基、またはオレフィン基であり、
xは1-1500の間にあり、
yは1-1500の間にあり、
nは1-10000の間にあり、
CとDはそれぞれヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキル基、アリール基、エーテル基、アルケニル基、ハロアルキル基、及びその組み合わせから選ばれる末端基であり、かつ
AとBは違う構造をしている、コポリマー。
【請求項2】
前記コポリマーは、さらに、E、F、及びその組み合わせから選ばれる添加剤を含み、
Eは一つ以上のi-R1-j単位、iとjはそれぞれイソシアネート基(-N=C=O)、塩化カルボニル基、オキサゾール基、オキサゾリン基、カルボン酸無水物、エポキシ基、アミノ基、及びその組み合わせから選ばれ、R1は脂肪族基、アリール基、またはその組み合わせであり、かつ
Fは抗酸化剤、金属不活性化剤、末端封止剤、核生成剤、除酸剤、熱安定剤、UV安定剤、潤滑可塑剤、架橋剤、及びその組み合わせから選ばれることを特徴とする、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項3】
(a)溶融状態下でのグリコリドを開環重合させることで、ポリグリコライドを形成すること、及び
(b)ポリグリコライドを圧出し造粒することにより、コポリマーを製造すること、を含むコポリマーの製造方法であって、前記コポリマーは、一つ以上のC-(Ax-Byn-D繰り返し単位を含み、
Aは
【化2】
またはその組み合わせであり、
BはG-R1-Wであり、
GとWはそれぞれ-CO-NH-、-CO-R2-CO-OH、-CO-、-(CH22NH-CO-、-CH2-CH(OH)-CH2-、及び-NHから選ばれ、
1は脂肪族ポリマー、芳香族ポリマー、またはその組み合わせであり、
2はアルキル基、アリール基、またはオレフィン基であり、
xは1-1,500の間にあり、
yは1-1,500の間にあり、
nは1-10,000の間にあり、
CとDはそれぞれヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキル基、アリール基、エーテル基、アルケニル基、ハロアルキル基、及びその組み合わせから選ばれる末端基であり、
AとBは違う構造をしている、コポリマーの製造方法。
【請求項4】
前記ポリグリコライドを、E、F、またはその組み合わせから選ばれる添加剤と共に圧出、造粒し、
Eは一つ以上のi-R1-j単位、iとjはそれぞれイソシアネート基(-N=C=O)、塩化カルボニル基、オキサゾール基、オキサゾリン基、カルボン酸無水物、エポキシ基、アミノ基、及びその組み合わせから選ばれ、R1は脂肪族基、アリール基、またはその組み合わせであり、かつ
Fは抗酸化剤、金属不活性化剤、末端封止剤、核生成剤、除酸剤、熱安定剤、UV安定剤、潤滑可塑剤、架橋剤、及びその組み合わせから選ばれることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、さらに、ポリグリコライドを圧出機に添加すること、そして添加剤を圧出機に添加すること、を含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程(a)は
(a)80-160℃で、グリコリドと開環重合触媒を120分間以下反応させることで、第1混合物を形成すること、
(b)120-280℃で、前記第1混合物を1分間-72時間保持することで、第2混合物を形成すること、
(c)160-280℃で、絶対圧力が5000Pa以下で、前記第2混合物を1分間-24時間保持することで、ポリグリコライドを形成すること、
を含む三段階反応であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記開環重合触媒は金属触媒であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記開環重合触媒は非金属触媒であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記開環重合触媒は、希土類元素、希土類元素酸化物、金属マグネシウム化合物、アルカリ金属キレート、金属ルテニウム、及びその組み合わせから選ばれることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記触媒は0.01-5wt%のグリコリドであることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記工程(a)は、さらに、グリコリドと開環重合触媒を均一に混合すること、を含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記工程(a)は反応器の中で行われることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記工程(b)はプラグフロー反応器の中で行われることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記プラグフロー反応器は、静止型混合器、二軸スクリュー装置、及び水平型ディスクリアクターから選ばれることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記工程(c)は脱揮反応器の中で行われることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
前記工程(b)は二軸スクリュー圧出機の中で200-300℃で行われることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項17】
請求項3-16の何れか一項に記載の方法によって製造される、コポリマー。
【請求項18】
前記コポリマーは、コポリマーの総重量に基づき、0.01-5wt%の添加剤を含むことを特徴とする、請求項2に記載のコポリマー。
【請求項19】
前記コポリマーの重量平均分子量は10,000-1,000,000であることを特徴とする、請求項1、2、17と18の何れか一項に記載のコポリマー。
【請求項20】
前記コポリマーの重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1-10であることを特徴とする、請求項1、2、17と18の何れか一項に記載のコポリマー。
【請求項21】
前記コポリマーのメルトフローインデックス(MFR)は0.1-1000g/10minであることを特徴とする、請求項1、2、17と18の何れか一項に記載のコポリマー。
【請求項22】
前記メルトフローインデックス(MFR)は、以下の工程を含む方法により確定される:
(a)100-110℃で前記コポリマーを真空乾燥すること、
(b)工程(a)により得られた乾燥コポリマーをロッドになるよう圧着すること、
(c)220-240℃でロッドを0.5-1.5分間保持すること、
(d)工程(c)の後に、15-45秒ごとにロッドから一つの段を切り落とすこと、及び
(e)MFR=600W/t(g/10min)により各段のMFRを確定し、Wは各段の平均質量であり、tは各段の切断時間間隔である、
ことを特徴とする、請求項21に記載のコポリマー。
【請求項23】
工程(b)は、さらに、3-5gの乾燥コポリマーをバレルに装填し、ピストンをバレルに挿入することで、乾燥コポリマーをロッドになるよう圧密し、そして2-3kgの重りをピストンの最上部に置くこと、を含むことを特徴とする、請求項22に記載のコポリマー。
【請求項24】
65℃で7日間経った後、少なくとも66wt%の前記コポリマーが残留していることを特徴とする、請求項1、2、17と18の何れか一項に記載のコポリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な機械的特性、耐熱性、及び加水分解安定性を有する新型分解性コポリマー及びその製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの従来の高分子ポリマーは、すでに広く受け入れられ、日常生活で応用されている。金属や生体材料の代替品として、高分子材料は値段的に有利である。これらの材料は、複合材料として製造することにより、機械的特性がさらに強化されるため、より求められるようになる。しかし、従来の高分子材料は、自然分解が難しく、リサイクルが不便であるため、深刻な汚染や有害な影響を引き起こす可能性が高い(CN107603171)。
【0003】
近年、分解性ポリマーが徐々に脚光をあび、ポリ乳酸(PLA)もそのひとつである。ポリ乳酸には幅広い供給源があり、日用品、包装、医療などの分野で使用できる。しかし、ポリ乳酸の機械的特性の悪さや、低い熱変形温度が、そのさらなる用途を制限してしまう。CN107529538は、純粋なポリ乳酸材料に対する修飾方法を開示した。耐熱温度はある程度高くなったが、その機械や機械的特性は依然としてよくない。
【0004】
良好な機械的特性及び耐熱性を有する分解性ポリマーまたはコポリマーは依然として求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】CN107603171
【特許文献2】CN107529538
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はポリグリコライドコポリマー及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はコポリマーを提供する。上記コポリマーは一つ以上のC-(Ax-Byn-D繰り返し単位を含む。
Aは
【0008】
【化1】
【0009】
、またはその組み合わせである。BはG-R1-Wである。GとWはそれぞれ-CO-NH-、-CO-R2-CO-OH、-CO-、-(CH22NH-CO-、-CH2-CH(OH)-CH2-、及び-NHから選ばれる。R1は脂肪族ポリマー、芳香族ポリマー、またはその組み合わせである。R2はアルキル基、アリール基、またはオレフィン基である。xは1-1,500の間にある。yは1-1,500の間にある。nは1-10000の間にある。CとDはそれぞれヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキル基、アリール基、エーテル基、アルケニル基、ハロアルキル基、及びその組み合わせから選ばれる末端基である。AとBは違う構造をしている。
【0010】
上記コポリマーは、さらに、添加剤を含んでもいい。上記添加剤は、E、F、またはその組み合わせから選んでもいい。
【0011】
Eは一つ以上のi-R1-j単位であってもいい。iとjはそれぞれイソシアネート基(-N=C=O)、塩化カルボニル基、オキサゾール基、オキサゾリン基、カルボン酸無水物、エポキシ基、アミノ基、及びその組み合わせから選んでもいい。R1は脂肪族基、アリール基、またはその組み合わせであってもいい。Fは抗酸化剤、金属不活性化剤、末端封止剤、核生成剤、除酸剤、熱安定剤、UV安定剤、潤滑可塑剤、架橋剤、及びその組み合わせから選んでもいい。
【0012】
本発明はコポリマーの製造方法を提供する。上記方法は、溶融状態でのグリコリドを開環重合させることで、ポリグリコライドを形成すること、及び、ポリグリコライドを圧出し造粒することにより、コポリマーを製造こと、を含む。上記コポリマーは一つ以上のC-(Ax-Byn-D繰り返し単位を含む。
Aは
【0013】
【化2】
【0014】
またはその組み合わせである。BはG-R1-Wである。GとWはそれぞれ-CO-NH-、-CO-R2-CO-OH、-CO-、-(CH22NH-CO-、-CH2-CH(OH)-CH2-、及び-NHから選ばれる。R1は脂肪族ポリマー、芳香族ポリマー、またはその組み合わせである。R2はアルキル基、アリール基、またはオレフィン基である。xは1-1,500の間にある。yは1-1,500の間にある。nは1-10000の間にある。CとDはそれぞれヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキル基、アリール基、エーテル基、アルケニル基、ハロアルキル基、及びその組み合わせから選ばれる末端基である。AとBは違う構造をしている。
【0015】
上記ポリグリコライドを、E、F、またはその組み合わせから選ばれる添加剤と共に圧出、造粒してもいい。Eは一つ以上のi-R1-j単位であってもいい。iとjはそれぞれイソシアネート基(-N=C=O)、塩化カルボニル基、オキサゾール基、オキサゾリン基、カルボン酸無水物、エポキシ基、アミノ基、及びその組み合わせから選んでもいい。R1は脂肪族基、アリール基、またはその組み合わせであってもいい。Fは抗酸化剤、金属不活性化剤、末端封止剤、核生成剤、除酸剤、熱安定剤、UV安定剤、潤滑可塑剤、架橋剤、及びその組み合わせから選ばれる。
【0016】
上記方法は、さらに、ポリグリコライドを圧出機に供給すること、及びEとFを圧出機に添加すること、を含んでもいい。
【0017】
グリコリドの開環重合は、(a)80-160℃で、グリコリドと開環重合触媒を120分間以下反応させることで、第1混合物を形成すること、(b)120-280℃で、上記第1混合物を1分間-72時間保持することで、第2混合物を形成すること、(c)160-280℃で、絶対圧力が5000Pa以下で、上記第2混合物を1分間-24時間保持することで、ポリグリコライドを形成すること、を含む三段階反応であってもいい。結果としては、ポリグリコライドが形成される。工程(a)は、さらに、グリコリドと開環重合触媒を均一に混合することを含んでもいい。工程(a)は反応器の中で行われてもいい。工程(b)はプラグフロー反応器の中で行われてもいい。上記プラグフロー反応器は、静止型混合器、二軸スクリュー装置、及び水平型ディスクリアクターから選んでもいい。工程(c)は脱揮反応器の中で行われてもいい。工程(b)は200-300℃で二軸スクリュー圧出機の中で行われてもいい。
【0018】
開環重合触媒は、金属触媒であってもいいし、非金属触媒であってもいい。上記触媒は、希土類元素、希土類元素酸化物、金属マグネシウム化合物、アルカリ金属キレート(例えば、スズ、アンチモン、またはチタン)、金属ルテニウム、及びその組み合わせから選んでもいい。触媒は0.01-5wt%のグリコリドであってもいい。
【0019】
本発明は、本発明の方法によって製造されたコポリマーを提供する。
【0020】
本発明のコポリマーは、コポリマーの総重量に基づき、0.01-5wt%の添加剤を含んでもいい。上記添加剤は、E、F、またはその組み合わせから選んでもいい。
【0021】
上記コポリマーは10,000-1,000,000の重量平均分子量を有してもいい。上記コポリマーの重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1-10であってもいい。
【0022】
コポリマーのメルトフローインデックス(melt index、MFR)は0.1-1000g/10minであってもいい。MFRは、以下の方法で確定できる:(a)100-110℃の真空下で上記コポリマーを乾燥する、(b)工程(a)により得られた乾燥コポリマーをロッド(rod)になるよう圧着(packing)する、(c)220-240℃でロッドを0.5-1.5分間保持する、(d)工程(c)の後に、15-45秒ごとにロッドから一つの段を切り落とす、及び(e)MFR=600W/t(g/10min)により各段のMFRを確定する。Wは各段の平均質量であり、tは各段の切断時間間隔である。工程(b)は、さらに、3-5gの乾燥コポリマーをバレルに装填し、ピストンをバレルに挿入することで、乾燥コポリマーをロッドになるよう圧密し、そして2-3kgの重りをピストンの最上部に置くこと、を含んでもいい。
【0023】
65℃で7日間経った後、少なくとも66wt%のコポリマーが残留していてもいい。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は新型分解性材料であるポリグリコライドコポリマー及びその製造方法を提供するものである。驚くことに、本発明者は、一つ以上の添加剤を用いて、製造したポリグリコライドコポリマーの耐熱性、加水分解安定性、及び機械的特性を改善する新規なポリグリコライドコポリマーの製造方法を見出し、本発明を成し遂げた。本発明のポリグリコライドコポリマーは、例えば、繊維、ダウンホールツール、包装、薄膜、医薬品担体、研磨剤、医療用インプラント、水中防汚材料などの様々な用途に適している。
【0025】
ここで、互換的に使用される用語「ポリグリコライド」、「ポリ(グリコール酸)(PGA)」、及び「ポリグリコール酸」とは、グリコール酸モノマーから構成される生分解性熱可塑性ポリマーである。ポリグリコライドは、グリコール酸から重縮合反応により、またはグリコリドから開環重合反応によって製造できる。ポリグリコライドに添加剤を添加することによって、所望な特性を得られる。
【0026】
用語「ポリグリコライドコポリマー」とは、グリコリドまたはグリコール酸モノマー及び異なるポリマーのモノマーから誘導されるポリマーである。例えば、ポリグリコライドコポリマーは、ポリグリコライドとADR4368(市販のBASFスチレンアクリルエポキシ樹脂)から圧出によって製造できる。
【0027】
本発明はコポリマーを提供する。上記コポリマーは一つ以上のC-(Ax-Byn-D繰り返し単位を含む。Aは
【0028】
【化3】
【0029】
及びその組み合わせから選ばれる。BはG-R1-Wであり、GとWはそれぞれ-CO-NH-、-CO-R2-CO-OH、-CO-、-(CH22NH-CO-、-CH2-CH(OH)-CH2-和-NHから選ばれ、R1は脂肪族ポリマー、芳香族ポリマー、またはその組み合わせであり、R2はアルキル基、アリール基、またはオレフィン基である。xは1-1,500の間にある。yは1-1,500の間にある。nは1-10000の間にある。CとDはそれぞれヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキル基、アリール基、エーテル基、アルケニル基、ハロアルキル基、及びその組み合わせから選ばれる末端基である。AとBは違う構造をしている。
【0030】
上記コポリマーは、さらに、Eを含んでもいい。Eは一つ以上のi-R1-j単位であってもいい。iとjはそれぞれイソシアネート基(-N=C=O)、塩化カルボニル基、オキサゾール基、オキサゾリン基、カルボン酸無水物、エポキシ基、アミノ基、及びその組み合わせから選んでもいい。R1は脂肪族基、アリール基、またはその組み合わせであってもいい。
【0031】
上記コポリマーは、さらに、Fを含んでもいい。Fは抗酸化剤、金属不活性化剤、末端封止剤、核生成剤、除酸剤、熱安定剤、UV安定剤、潤滑可塑剤、架橋剤、及びその組み合わせから選んでもいい。
【0032】
抗酸化剤は、BASF Irganox 168、101、245、1024、1076、1098、3114、MD 1024、1025;ADEKA AO-60、80;STAB PEP-36、8T;Albemarle AT-10、245、330、626、702、733、816、1135;及びその組み合わせから選んでもいい。
【0033】
コポリマーは、コポリマーの0.5wt%、1wt%、または2wt%以下の金属不活性化剤を含んでもいい。上記金属不活性化剤は、BASF Chel-180;Eastman OABH;Naugard XL-1;MD24;ADEKA STAB CDA-1、6;シュウ酸誘導体;ヒドラジン;サリチル酸誘導体;ベンゾトリアゾール;グアニジン化合物;及びその組み合わせから選んでもいい。
【0034】
末端封止剤は、単官能性有機アルコール、酸、アミン、またはエステルであってもいい。また、末端封止剤は、イソシアネート(isocynate)、シロキサン、イソシアネート(isocyanate)、クロロ基、オキサゾール基化合物、オキサゾリン化合物、カルボン酸無水物化合物、またはエポキシ化合物であってもいい。
【0035】
核生成剤は、無機塩または有機塩、タルク、酸化カルシウム、カーボンブラック、炭酸カルシウム、マイカ、コハク酸ナトリウム、グルタラート、ヘキサン酸ナトリウム、4-メチルペンタン酸ナトリウム、アジペート、p-tert-ブチル安息香酸アルミニウム(Al-PTB-BA)、金属カルボン酸塩(例えば、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、シンナミン酸ナトリウム、β-ナフトエ酸ナトリウム)、ジベンジリデンソルビトール(DBS)誘導体(ビス(p-メチルベンジリデン)ソルビトール(PM-DBS)、ビス(p-クロロベンジリデン)ソルビトール(P-Cl-DBS))であってもいい。市販の例としては、SURLYN9020、SURLYN1601、SURLYN1605、SURLYN1650、SURLYN1652、SURLYN1702、SURLYN1705、SURLYN8920、SURLYN8940、SURLYNPC-350とSURLYNPC-2000などが挙げられる。
【0036】
除酸剤は、金属ステアリン酸塩または乳酸塩、例えばステアリン酸カルシウムまたは乳酸カルシウム、または無機物、例えばハイドロタルク、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、または酸化アルミニウムであってもいい。
【0037】
熱安定剤は、アミン化合物、フェノール化合物、チオエステル化合物、ホスファイト化合物、またはベンゾフラノン化合物であってもいい。また、上記熱安定剤は、鉛塩熱安定剤(例えば、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛、または塩基性炭酸鉛)、金属石鹸熱安定剤(例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウムまたはマグネシウム)、有機スズ熱安定剤(例えば、硫黄含有有機スズまたは有機スズカルボキシレート)、または希土類熱安定剤であってもいい。
【0038】
UV安定剤は、トリアジン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリチル酸エステル化合物、またはアクリロニトリル化合物であってもいい。UV安定剤の例としては、以下のものが挙げられる:
UV944、CAS#:70624-18-9、ポリ[[6-[(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)イミノ]-1,6-ヘキサンジイル[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)イミノ]]、
UV770、CAS#52829-07-9、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート、
UV622、CAS#65447-77-0、コハク酸、ジメチルエステル、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールポリマー、
UV783、及びUV622とUV944との1:1混合物、
UV531、CAS#1843-05-6、2-ベンゾイル-5-(オクチルオキシ)フェノール、
UV326、CAS#3896-11-5、2-(2'-ヒドロキシ-3'-tert-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、
UV327、CAS#3864-99-1、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、
UV292、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、CAS#41556-26-7(75-85%)と、メチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、CAS#82919-37-7(15-25%)との混合物、及び
UV123 CAS#129757-67-1、ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート。
【0039】
潤滑可塑剤は、飽和炭化水素(例えば、固体パラフィン、液体パラフィン、微結晶パラフィン、または低分子量ポリエチレン)、金属ステアリン酸塩(例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、またはステアリン酸マグネシウム)、脂肪族アミド(例えば、エチレンビスステアラミド(EBS)またはオレアミド)、脂肪酸(例えば、ステアリン酸またはヒドロキシステアリン酸)、脂肪酸エステル(例えば、テトラステアリン酸ペンタエリスリトール(PETS)、モノステアリン酸グリセリル、またはポリステアリン酸グリセリル)、及び脂肪アルコール(例えば、ステアリルアルコールまたはペンタエリスリトール)であってもいい。
【0040】
架橋剤は、イソシアネート(例えば、乳化メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、テトライソシアネート、トリイソシアネート、ポリイソシアネート(例えば、Leiknonat JQ接着剤シリーズ、Desmodur Lシリーズ))、アクリレート(例えば、1,4-ブタンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、及びアクリル酸ブチル)、有機過酸化物(例えば、過酸化ジクミル、過酸化ベンゾイル、及びジ-tert-ブチルペルオキシド)、ポリオール、ポリ酸またはポリアミン(例えば、ヘキサヒドロフタル酸無水物、トリエチレンテトラミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、プロピレンジアミン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びトリメチロールプロパン)から選んでもいい。
【0041】
本発明は、本発明における各コポリマーに対し、このコポリマーを製造する方法を提供する。上記方法は、溶融状態でのグリコリドを開環重合させること、及び得られたポリグリコライド(ポリグリコール酸(PGA)ともいう)を圧出し造粒すること、を含む。上記ポリグリコライドを、E、F、またはその組み合わせから選ばれる添加剤と共に圧出、造粒してもいい。上記方法は、さらに、ポリグリコライドをEとFが添加されている圧出機に供給することを含んでもいい。
【0042】
グリコリドの開環重合は、三段階反応であってもいい。
【0043】
第1段階では、約60-180℃、好ましくは約80-160℃の温度で、グリコリドと開環重合触媒を約150分間、好ましくは約120分間以下反応させてもいい。上記グリコリドと触媒を均一に混合してもいい。第1段階は反応器の中で行われてもいい。
【0044】
開環重合触媒は、金属触媒であってもいいし、非金属触媒であってもいい。上記触媒は、希土類元素、希土類元素酸化物、金属マグネシウム化合物、アルカリ金属キレート(例えばスズ、アンチモン、またはチタン)、金属ルテニウム、及びその組み合わせから選んでもいい。上記触媒は、グリコリドの約0.01-5wt%、好ましくは約0.1-5wt%、より好ましくは約1-3wt%であってもいい。
【0045】
第2段階では、約100-200℃、好ましくは約120-280℃の温度で、第1段階からの混合物を約0.1分間-約90時間、好ましくは約1分間-約72時間保持してもいい。第2段階はプラグフロー反応器の中で行われてもいい。上記プラグフロー反応器は、静止型混合器、二軸スクリュー装置、または水平型ディスクリアクターであってもいい。プラグフロー反応器が二軸スクリュー装置である場合、第2段階は約200-300℃、好ましくは約230-280℃、更好ましくは約240-270℃で行われてもいい。
【0046】
第3段階では、約150-300℃、好ましくは約160-280℃の温度、かつ絶対圧力が約6,000Pa以下、好ましくは約5,000Pa以下で、第2段階からの混合物を約0.1分間-約36時間、好ましくは約1分間-約24時間保持してもいい。結果としては、ポリグリコライドが製造された。上記第3段階は脱揮反応器の中で行われてもいい。
【0047】
本発明のコポリマーは、コポリマーの総重量に基づき、約0.01-5wt%、好ましくは約0.01-3wt%、より好ましくは約0.01-1wt%の添加剤を含んでもいい。添加剤は、E、F、及びその組み合わせから選んでもいい。
【0048】
上記コポリマーは10,000-1,000,000の重量平均分子量を有してもいい。上記コポリマーの重量平均分子量と数平均分子量之比(Mw/Mn)は約1-10であってもよく、好ましくは約1.2-8であり、より好ましくは約1.5-5である。
【0049】
上記コポリマーは、約0.1-1000g/10min、好ましくは約0.15-500g/10min、より好ましくは約0.2-100g/10minのメルトフローインデックス(MFR)を有してもいい。コポリマーのMFRは、MFR法によって測定できる。上記MFR法は、約100-110℃(例えば約105℃)の真空下でコポリマーを乾燥すること、乾燥コポリマーをロッドになるよう圧着すること、220-240℃(例えば約230℃)の温度でロッドを0.5-1.5分間(例えば約1.0分間)保持すること、15-45秒ごとに(例えば約30秒ごとに)ロッドから一つの段を切り落とすこと、MFR=600W/t(g/10min)により各段のMFRを確定すること、を含む。Wは各段の平均質量である。tは各段の切断時間間隔である。約3-5g(例えば4g)の乾燥コポリマーをバレルに装填してもよく、ピストンをバレルに挿入することで、乾燥コポリマーをロッドになるよう圧着してもよく、2-3kg(例えば2.16kg)の重りをピストンの最上部に置いてもいい。
【0050】
上記コポリマーは加水分解に対し安定であってもいい。約50、55、60、65、70、または75℃で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14日間経った後、少なくとも約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または99wt%の上記コポリマーが残留していてもいい。
【0051】
ここで、数量、パーセントなどの測定可能な値に関する場合、規定値から±20%または±10%、より好ましくは±5%、さらに好ましくは±1%、最も好ましくは±0.1%の変化は合理的であるため、使用される用語「約」とは、このような変化が含まれることを意味する。
【実施例
【0052】
実施例1:ポリグリコライド(またはポリグリコール酸(PGA))
120℃で、グリコリドと、グリコリドに対し0.01重量部の開環重合触媒である二塩化スズ二水和物とを予備タンク反応器の中で60分間均一に混合した。
【0053】
予備タンク反応器中の材料を重合反応器に導入し、200℃で、かつ絶対圧力が0.1MPaで、300分間反応させた。上記重合反応器はプラグフロー反応器であり、それは静止型混合器、二軸スクリュー装置、または水平型ディスクリアクターであってもいい。
【0054】
200RPMの混合速度において、220℃で、かつ絶対圧力が50Paで、重合反応器中の材料を最適化反応器に導入した。反応時間は30分間であった。結果としては、ポリグリコライドが製造された。
【0055】
実施例2:特性評価
1.重量平均分子量及びその分布
5mmol/Lトリフルオロ酢酸ナトリウムのヘキサフルオロイソプロパノール溶液中にサンプルを溶け、0.05-0.3wt%(質量分率)の溶液を作製した。そして、0.4μmの孔径を有するポリテトラフルオロエチレンフィルターで、この溶液をろ過した。ろ過後の溶液20μLをゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)インジェクターに添加し、サンプルの分子量を測定した。分子量の補正には、分子量の異なる5つのメタクリル酸メチルの標準分子量を用いた。
【0056】
2.引張強度の測定
引張強度はGB/T1040 1-2006に基づいて測定し、引張速度は50mm/minであった。
【0057】
3.メルトフローインデックス(MFR)の測定
コポリマーのメルトフローインデックス(MFR)は以下の通りで測定した:1)105℃で、コポリマーを真空乾燥機の中で乾燥させた;2)測定機械の測定温度を230℃に設定し、機械を予熱する;3)4gの乾燥コポリマーを漏斗でバレルに装填し、ピストンをバレルに挿入することで、乾燥コポリマーをロッドになるよう圧着した;4)2.16kgの重りがロッドの最上部に圧をかけた状態で、乾燥コポリマーをロッドの中で1分間保持した後、30sごとに一つの段を切り落とし、合計五つの段を得た;5)各サンプルの質量を量り、そのMFRを算出した。MFR=600W/t(g/10min)、Wは各段の平均質量であり、tは各段の切断時間間隔であった。
【0058】
4.分解性測定
65℃で、250mlの脱イオン水の中で、5gのコポリマーの帯状サンプルに対し振動分解(60r/min)を行った。7日間後、サンプルを取り出し、30℃で恒量になるまで真空干燥。残留質量を測定した。
【0059】
実施例3:コポリマー
実施例1におけるポリグリコライドと、一つ以上の添加剤とを用いて、ポリグリコライド(PGA)、コポリマー1-6、及び比較としてのポリ乳酸(PLA)を製造し、そして実施例2における方法に基づいて特性評価を行った。これらのコポリマーの組成及び性質は表1に示される。
【0060】
PGAは、ポリグリコライドと、添加剤として、コポリマーの総重量に基づいて0.06wt%のIrganox 168及び0.03wt%のIrganox MD-1025とを二軸スクリュー圧出機に入れ、250℃の圧出温度で粒子に造粒することによって製造した。粒子は、120℃で4時間乾燥し、そして射出成形機を使用し、250℃の射出温度及び100℃の成形温度で、測定用の帯状に成形した。測定結果は表1に示される。
【0061】
コポリマー1は、ポリグリコライドと、添加剤として、コポリマーの総重量に基づいて0.06wt%のIrganox 168、0.03wt%のIrganox MD-1025、及び0.2wt%のADR4368とを二軸スクリュー圧出機に入れ、250℃の圧出温度で粒子に造粒することによって製造した。粒子は、120℃で4時間乾燥し、そして射出成形機を使用し、250℃の射出温度及び100℃の成形温度で、測定用の帯状に成形した。測定結果は表1に示される。
【0062】
コポリマー2は、ポリグリコライドと、添加剤として、コポリマーの総重量に基づいて0.06wt%のIrganox 168、0.03wt%のIrganox MD-1025、及び0.2wt%のECN1299とを二軸スクリュー圧出機に入れ、250℃の圧出温度で粒子に造粒することによって製造した。粒子は、120℃で4時間乾燥し、そして射出成形機を使用し、250℃の射出温度及び100℃の成形温度で、測定用の帯状に成形した。測定結果は表1に示される。
【0063】
コポリマー3は、ポリグリコライドと、添加剤として、コポリマーの総重量に基づいて0.06wt%のIrganox 168、0.05wt%のEastman OABH、及び0.3wt%のEPOCROS RPS1005とを二軸スクリュー圧出機に入れ、250℃の圧出温度で粒子に造粒することによって製造した。粒子は、120℃で4時間乾燥し、そして射出成形機を使用し、250℃の射出温度及び100℃の成形温度で、測定用の帯状に成形した。測定結果は表1に示される。
【0064】
コポリマー4は、ポリグリコライドと、添加剤として、コポリマーの総重量に基づいて0.06wt%のSTAB PEP-36、0.06wt%のNaugard XL-1、及び0.3wt%のADR4368とを二軸スクリュー圧出機に入れ、250℃の圧出温度で粒子に造粒することによって製造した。粒子は、120℃で4時間乾燥し、そして射出成形機を使用し、250℃の射出温度及び100℃の成形温度で、測定用の帯状に成形した。測定結果は表1に示される。
【0065】
コポリマー5は、ポリグリコライドと、添加剤として、コポリマーの総重量に基づいて0.06wt%のSTAB PEP-36、0.06wt%のChel-180、及び0.5wt%のECN1299とを二軸スクリュー圧出機に入れ、250℃の圧出温度で粒子に造粒することによって製造した。粒子は、120℃で4時間乾燥し、そして射出成形機を使用し、250℃の射出温度及び100℃の成形温度で、測定用の帯状に成形した。測定結果は表1に示される。
【0066】
コポリマー6は、ポリグリコライドと、添加剤として、コポリマーの総重量に基づいて0.03wt%のSTAB PEP-36、0.05wt%のIrganox MD-1025、及び1wt%のEPOCROS RPS1005とを二軸スクリュー圧出機に入れ、250℃の圧出温度で粒子に造粒することによって製造した。粒子は、120℃で4時間乾燥し、そして射出成形機を使用し、250℃の射出温度及び100℃の成形温度で、測定用の帯状に成形した。測定結果は表1に示される。
【0067】
比較コポリマーは、実施例1の方法で製造されるポリ乳酸(PLA)と、添加剤として0.06wt%のIrganox 168とを入れることによって製造され、実施例2の方法に基づいて特性評価を行った。比較コポリマーの組成及び性質は表1に示される。
【0068】
一般的に、ポリグリコライドは、押出機で処理された後に分解する。圧出造粒後の粒子のMFRは、ポリマー溶融体の耐熱性を反映する。造粒後のMFRが高いほど、溶融体の耐熱性が悪い。PGAのMFRは58g/10minである。PGAと比べると、コポリマー1とコポリマー2は、それぞれ追加したADR4368とECN1299を含み、それらのMFRが著しく低減しいていることから、得られるPGAコポリマーの分解度が低く、かつ比較的に高い耐熱性を有していることがわかった。同様に、PGAと比べると、コポリマー3-6は、異なる抗酸化剤及び金属不活性化剤以外の構成調整剤ADR4368、ECN1299、及びEPOCROS RPS1005を含み,低減したMFR値及び向上した耐熱性を示している。コポリマー1-6での比較により、その引張係数がポリグリコライドコポリマーの形成後に増加していることが判明し、その機械的特性が向上したことがわかり、また、65℃での加水分解試験後の残留量が増加していることが判明し、コポリマーが比較的に高い加水分解安定性を有することがわかった。比較コポリマーと比べると,コポリマー1-6はより大きい引張係数を示していることから、ポリグリコライド及びそのコポリマーが、比較としてのポリ乳酸よりも優れた機械的特性を有していることがわかった。
【0069】
【表1】
【0070】
ここで、特定の実施例を参照して本発明を例示、説明してきたが、本発明は、示された詳細に限定されるものではない。本発明から逸脱しない限り、特許請求の範囲と同等の範囲内で様々な修正を詳細に行うことができる。
【手続補正書】
【提出日】2021-07-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ以上のC-(Ax-Byn-D繰り返し単位を含むコポリマーであって、
Aは
【化1】
、またはその組み合わせであり、
BはG-R1-Wであり、
GとWはそれぞれ-CO-NH-、-CO-R2-CO-OH、-CO-、-(CH22NH-CO-、-CH2-CH(OH)-CH2-、及び-NHから選ばれ、
1は脂肪族ポリマー、芳香族ポリマー、またはその組み合わせであり、
2はアルキル基、アリール基、またはオレフィン基であり、
xは1-1500の間にあり、
yは1-1500の間にあり、
nは1-10000の間にあり、
CとDはそれぞれヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキル基、アリール基、エーテル基、アルケニル基、ハロアルキル基、及びその組み合わせから選ばれる末端基であり、かつ
AとBは違う構造をしている、コポリマー。
【請求項2】
前記コポリマーは、さらに、E、F、及びその組み合わせから選ばれる添加剤を含み、
Eは一つ以上のi-R1-j単位、iとjはそれぞれイソシアネート基(-N=C=O)、塩化カルボニル基、オキサゾール基、オキサゾリン基、カルボン酸無水物、エポキシ基、アミノ基、及びその組み合わせから選ばれ、R1は脂肪族基、アリール基、またはその組み合わせであり、かつ
Fは抗酸化剤、金属不活性化剤、末端封止剤、核生成剤、除酸剤、熱安定剤、UV安定剤、潤滑可塑剤、架橋剤、及びその組み合わせから選ばれることを特徴とする、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項3】
(a)溶融状態下でのグリコリドを開環重合させることで、ポリグリコライドを形成すること、及び
(b)ポリグリコライドを圧出し造粒することにより、コポリマーを製造すること、を含むコポリマーの製造方法であって、前記コポリマーは、一つ以上のC-(Ax-Byn-D繰り返し単位を含み、
Aは
【化2】
またはその組み合わせであり、
BはG-R1-Wであり、
GとWはそれぞれ-CO-NH-、-CO-R2-CO-OH、-CO-、-(CH22NH-CO-、-CH2-CH(OH)-CH2-、及び-NHから選ばれ、
1は脂肪族ポリマー、芳香族ポリマー、またはその組み合わせであり、
2はアルキル基、アリール基、またはオレフィン基であり、
xは1-1,500の間にあり、
yは1-1,500の間にあり、
nは1-10,000の間にあり、
CとDはそれぞれヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキル基、アリール基、エーテル基、アルケニル基、ハロアルキル基、及びその組み合わせから選ばれる末端基であり、
AとBは違う構造をしている、コポリマーの製造方法。
【請求項4】
前記ポリグリコライドを、E、F、またはその組み合わせから選ばれる添加剤と共に圧出、造粒し、
Eは一つ以上のi-R1-j単位、iとjはそれぞれイソシアネート基(-N=C=O)、塩化カルボニル基、オキサゾール基、オキサゾリン基、カルボン酸無水物、エポキシ基、アミノ基、及びその組み合わせから選ばれ、R1は脂肪族基、アリール基、またはその組み合わせであり、かつ
Fは抗酸化剤、金属不活性化剤、末端封止剤、核生成剤、除酸剤、熱安定剤、UV安定剤、潤滑可塑剤、架橋剤、及びその組み合わせから選ばれることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、さらに、ポリグリコライドを圧出機に添加すること、そして添加剤を圧出機に添加すること、を含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程(a)は
(a)80-160℃で、グリコリドと開環重合触媒を120分間以下反応させることで、第1混合物を形成すること、
(b)120-280℃で、前記第1混合物を1分間-72時間保持することで、第2混合物を形成すること、
(c)160-280℃で、絶対圧力が5000Pa以下で、前記第2混合物を1分間-24時間保持することで、ポリグリコライドを形成すること、
を含む三段階反応であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記開環重合触媒は金属触媒であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記開環重合触媒は非金属触媒であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記開環重合触媒は、希土類元素、希土類元素酸化物、金属マグネシウム化合物、アルカリ金属キレート、金属ルテニウム、及びその組み合わせから選ばれることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記触媒は0.01-5wt%のグリコリドであることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記工程(a)は、さらに、グリコリドと開環重合触媒を均一に混合すること、を含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記工程(a)は反応器の中で行われることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記工程(b)はプラグフロー反応器の中で行われることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記プラグフロー反応器は、静止型混合器、二軸スクリュー装置、及び水平型ディスクリアクターから選ばれることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記工程(c)は脱揮反応器の中で行われることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
前記工程(b)は二軸スクリュー圧出機の中で200-300℃で行われることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項17】
請求項3-16の何れか一項に記載の方法によって製造される、コポリマー。
【請求項18】
前記コポリマーは、コポリマーの総重量に基づき、0.01-5wt%の添加剤を含むことを特徴とする、請求項2に記載のコポリマー。
【請求項19】
前記コポリマーの重量平均分子量は10,000-1,000,000であることを特徴とする、請求項1、2、17と18の何れか一項に記載のコポリマー。
【請求項20】
前記コポリマーの重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1-10であることを特徴とする、請求項1、2、17と18の何れか一項に記載のコポリマー。
【請求項21】
前記コポリマーのメルトフローインデックス(MFR)は0.1-1000g/10minであることを特徴とする、請求項1、2、17と18の何れか一項に記載のコポリマー。
【請求項22】
前記メルトフローインデックス(MFR)は、以下の工程を含む方法により確定される:
(a)100-110℃で前記コポリマーを真空乾燥すること、
(b)工程(a)により得られた乾燥コポリマーをロッドになるよう圧着すること、
(c)220-240℃でロッドを0.5-1.5分間保持すること、
(d)工程(c)の後に、15-45秒ごとにロッドから一つの段を切り落とすこと、及び
(e)MFR=600W/t(g/10min)により各段のMFRを確定し、Wは各段の平均質量であり、tは各段の切断時間間隔である、
ことを特徴とする、請求項21に記載のコポリマー。
【請求項23】
工程(b)は、さらに、3-5gの乾燥コポリマーをバレルに装填し、ピストンをバレルに挿入することで、乾燥コポリマーをロッドになるよう圧密し、そして2-3kgの重りをピストンの最上部に置くこと、を含むことを特徴とする、請求項22に記載のコポリマー。
【請求項24】
65℃で7日間経った後、少なくとも66wt%の前記コポリマーが残留していることを特徴とする、請求項1、2、17と18の何れか一項に記載のコポリマー。
【国際調査報告】