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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】ダクト及びダクト製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6555 20140101AFI20220107BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20220107BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20220107BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20220107BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20220107BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20220107BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20220107BHJP
【FI】
H01M10/6555
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/6557
H01M10/6568
H01M10/625
H01M10/651
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021523981
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(85)【翻訳文提出日】2021-06-25
(86)【国際出願番号】 EP2019078457
(87)【国際公開番号】W WO2020094364
(87)【国際公開日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】1818053.9
(32)【優先日】2018-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521186421
【氏名又は名称】ゼロテック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】フラナリー、バリー
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031HH08
5H031KK01
5H031KK08
(57)【要約】
バッテリーパックは、1つ以上のセル30、ダクト50/230と1つ以上のセル30のうちの少なくとも1つとの間で熱交換できるように1つ以上のセル30のうちの少なくとも1つの表面に近接している可撓性ダクト50/230、及びダクト50/230の少なくとも一部を少なくとも部分的に包囲するポッティング手段を備える。バッテリーパックを製造する方法には、1つ以上のセル30を設ける工程、ダクト50/230と1つ以上のセル30のうちの少なくとも1つとの間で熱交換できるように1つ以上のセル30のうちの少なくとも1つの表面に近接して可撓性ダクト50/230を配置する工程、ダクト50/230に流体を挿入する工程、及びダクト50/230の少なくとも一部をポッティング手段で少なくとも部分的に包囲する工程が含まれる。ポッティング手段は拡張性フォームであってもよい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源の表面領域の少なくとも一部と係合可能なダクトであって、
前記ダクトは、第1係合位置から、前記ダクトと前記熱源との間の少なくとも1つの最終係合位置まで、前記熱源の長さの全部又は一部に沿う前記熱源の前記表面領域の少なくとも一部に沿って延在可能であり、かつ前記熱源の前記表面領域の少なくとも一部と係合可能であり、
熱伝達流体は、前記ダクト及び前記熱源の係合可能な表面領域の近傍で前記熱伝達流体を介して前記ダクトと前記熱源との間で熱を伝達できるように、前記ダクトの内部導管に沿って流動可能であり、
前記ダクトは、前記ダクトと前記熱源との前記係合可能な表面領域の間で前記熱伝達流体を介して熱伝達を変更できることを特徴とする、
ダクト。
【請求項2】
前記ダクトは、前記ダクトの長さに沿って、前記ダクトと前記熱源との前記係合可能な表面領域の間で前記熱伝達流体を介して熱伝達を変更できるように構成している、請求項1に記載のダクト。
【請求項3】
前記熱源は1つ以上のセルから成るバッテリーパックを備える、請求項1又は2に記載のダクト。
【請求項4】
前記ダクトは可撓性ダクトである、請求項1~3のいずれか1項に記載のダクト。
【請求項5】
前記ダクトは剛性ダクトである、請求項1~3のいずれか1項に記載のダクト。
【請求項6】
前記ダクトは金属又は金属合金ダクトである、請求項5に記載のダクト。
【請求項7】
前記ダクトは、前記ダクトと前記熱源との間で熱交換できるように、前記熱源の前記表面に近接している、請求項1~6のいずれか1項に記載のダクト。
【請求項8】
前記ダクトは、前記ダクトと前記1つ以上のセルのうちの少なくとも1つとの間で熱交換できるように、前記1つ以上のセルの表面に近接している、請求項1~7のいずれか1項に記載のダクト。
【請求項9】
前記ダクトは可撓性ダクトであり、前記ダクトの少なくとも一部の支持体として機能するように構成したポッティング手段が設けられる、請求項1~4のいずれか1項に記載のダクト。
【請求項10】
前記ダクトは、前記熱伝達流体を流入口から流出口に運び、前記熱伝達流体を介して前記熱源と前記ダクトとの間で、それらの係合可能な接触面において熱エネルギーを伝達するように構成しており、前記流入口における前記ダクトの熱抵抗は前記流出口における前記ダクトの熱抵抗より高い、請求項1~9のいずれか1項に記載のダクト。
【請求項11】
前記ダクトは、前記熱伝達流体を前記流入口から前記流出口に運び、前記熱伝達流体を介して前記1つ以上のセルと前記ダクトとの間で、それらの係合可能な接触面において熱エネルギーを伝達するように構成しており、また前記流入口における前記ダクトの前記熱抵抗は、前記流出口における前記ダクトの前記熱抵抗より高い、請求項1~10のいずれか1項に記載のダクト。
【請求項12】
前記ダクトの前記熱抵抗を前記ダクトの前記長さに沿って線形又は非線形に変化させ、そうすることで、前記ダクトの前記熱抵抗が減少するにつれ、前記熱伝達流体と前記熱源/セルとの間の温度差も減少し、それにより前記ダクトの前記長さに沿って均一な電力放散を促進する、請求項1~11のいずれか1項に記載のダクト。
【請求項13】
前記ダクトの壁厚は前記流出口に比べて前記流入口でより厚い、請求項10又は11に記載のダクト。
【請求項14】
前記ダクトの前記壁厚は前記ダクトの縦方向の長さに沿って線形又は非線形に変化する、請求項1~13のいずれか1項に記載のダクト。
【請求項15】
前記ダクトの前記縦方向の長さに沿って電力放散がほぼ一定になるように、前記壁厚を変化させる、請求項1~14のいずれか1項に記載のダクト。
【請求項16】
前記1つ以上のダクトは蛇行ダクトである、請求項1~15のいずれか1項に記載のダクト。
【請求項17】
前記1つ以上のダクトは多岐ダクトである、請求項1~16のいずれか1項に記載のダクト。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載の熱源及びダクト。
【請求項19】
複数のダクトを備える請求項18に記載の熱源。
【請求項20】
熱源の熱伝達を管理する方法であって、
熱伝達ダクトと前記熱源の表面領域の少なくとも一部とを係合させる工程、
第1係合位置から、前記ダクトと前記熱源との間の少なくとも1つの最終係合位置まで、前記熱源の長さの全部又は一部に沿う前記熱源の前記表面領域の少なくとも一部に沿って前記ダクトを延在させ、その前記熱源の前記表面領域の前記少なくとも一部と前記ダクトとを係合させる工程、
前記ダクト及び前記熱源の前記係合可能な表面領域の近傍で熱伝達流体を介して前記ダクトと前記熱源との間で熱を伝達できるように、前記ダクトの内部導管に沿って前記熱伝達流体を通過させる工程、及び、
前記ダクトと前記熱源との前記係合可能な表面領域の間で前記熱伝達流体を介して熱伝達を変更できるように前記ダクトを構成する工程、を含むことを特徴とする、
方法。
【請求項21】
前記ダクトの長さに沿って、前記ダクトと前記熱源との前記係合可能な表面領域の間で前記熱伝達流体を介して熱伝達を変更できるように前記ダクトを構成する工程が含まれる請求項20に記載の方法。
【請求項22】
1つ以上のセルを有するバッテリーパックを備える熱源を設ける工程が含まれる請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記ダクトを可撓性ダクトとして設ける工程が含まれる請求項20~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記ダクトを剛性ダクトとして設ける工程が含まれる請求項20~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記ダクトを金属又は金属合金ダクトとして設ける工程が含まれる請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ダクトと前記熱源との間で熱交換できるように、前記ダクトを前記熱源の前記表面に近接して配置する工程が含まれる請求項20~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記ダクトと前記1つ以上のセルのうちの少なくとも1つとの間で熱交換できるように、前記ダクトを前記1つ以上のセルの前記表面に近接して配置する工程が含まれる請求項20~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記熱伝達流体を流入口から流出口に運び、前記熱伝達流体を介して前記熱源と前記ダクトとの間で、それらの係合可能な接触面において熱エネルギーを伝達するようにダクトを構成する工程、及び前記流入口での前記ダクトの熱抵抗を前記流出口での前記ダクトの熱抵抗より高くする工程、を含む請求項20~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記熱伝達流体を前記流入口から前記流出口に運び、前記熱伝達流体を介して前記1つ以上のセルと前記ダクトとの間で、それらの係合可能な接触面において熱エネルギーを伝達するようにダクトを構成する工程、及び前記流入口での前記ダクトの熱抵抗を前記流出口での前記ダクトの熱抵抗より高くする工程、を含む請求項20~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記ダクトの前記長さに沿って線形又は非線形に前記ダクトの熱抵抗を変化させることで、前記ダクトの熱抵抗が減少するにつれ、前記熱伝達流体と前記熱源/セルとの間の温度差も減少し、それにより前記ダクトの前記長さに沿って均一な電力放散を促進する工程が含まれる請求項20~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記ダクトの壁厚を前記流出口に比べて前記流入口でより厚くなるように、前記ダクトの前記壁厚を変化させる工程が含まれる請求項20~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記ダクトの縦方向の長さに沿って前記ダクトの前記壁厚を線形又は非線形に変化させる工程が含まれる請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を輸送するためのダクト、特に、熱伝達流体を輸送し、熱交換器として機能するダクトに関する。
【背景技術】
【0002】
広範な現代の機械装置は、機械装置の過剰な加熱及び/又は冷却のため、熱管理が必要となり、もし点検せずに放置すると、機械装置は最適な効率の範囲外で動作することになる。ここ数十年の間に電気自動車やハイブリッド自動車が登場したことで、これらの自動車のバッテリーパックの熱管理が、自動車システム構成全体の主な機能要件として浮上してきている。
次世代バッテリーパック、特に自動車用リチウムイオンバッテリーパックに求められる主な要件は、重量及び体積エネルギー密度の向上、サイクル寿命の向上、並びに急速充電の実現である。重量及び体積エネルギー密度はセルの電気化学及び化学工学の進歩により大きく改善する。しかし、バッテリーパックの機械設計の向上もパックの全体的な重量及びサイズに大きな影響を与えている。バッテリーパックの機械設計は、主に熱管理システムを通じてサイクル寿命及び急速充電能に影響を与えている。熱管理システムの使用により、パック内の温度変化を最小限に抑え、セルエイジングのばらつきを防止できるが、最終的にはサイクル寿命が低下する。更に、セル寿命を最大限に延ばすためには、バッテリーパック内の温度を25℃の比較的一定に維持することが重要である。急速充電中は、パック内の発熱量が多いため、25℃の温度を維持することは特に困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現技術水準でのバッテリーパックにおける熱管理システムは、通常、ダクト型の熱交換器を備える。ダクトは、熱伝達材料がパック内を通過して個々のセルを冷却又は加温できる導管を提供する。
剛性の金属製ダクトは、バッテリーパック内で熱管理流体を輸送するために使用する1つの選択肢である。しかし、剛性金属製ダクトの明確な問題は、バッテリーセルと接触する表面領域が熱伝達に確実に最適になるように製造時にダクトを慎重に成形しなければならないことである。可撓性ダクトはもう1つの選択肢であり、軽量で、加圧又は膨張状態でセルの形状に緊密に一致できるため、特に有用である。しかし、可撓性ダクト使用の顕著な欠点は、破裂しやすく、ダクト内の圧力が上昇すると、ダクトの壁(単数又は複数)が伸びて薄くなり、壁の強度が低下し、パック内の熱伝達流体が漏出する可能性があることである。破裂のリスクはダクトの壁厚を増加することで軽減できる一方、そうすることでダクトの熱抵抗も増加し、よって熱管理システムが効果的になる。
【0004】
現技術水準におけるバッテリーパックの別の問題は発火の傾向である。バッテリーパック内での発火のリスクは、セルが高温に曝されるとき、短絡が発生するとき、及び/又はセルの内部構造が傷ついたときに高まる。例えば、セル内でリチウムメッキ及び/又は結晶形成を行うと、内部セル誘電体膜に穴が開き、その結果、壊滅的な短絡やセルの爆発が起こる可能性がある。このような事象はパック全体にわたって広がり、セル全てが発火する可能性がある。好適な熱管理システムを利用して、バッテリーパック内の局所的領域からの過剰な熱の拡散を阻止又は低減する方法が必要となっている。
【0005】
バッテリーパックアレイ、及び熱交換器として機能するために流体を内部で輸送するダクトの更に別の問題は、流体の熱がダクトの長さに沿って変化し、その結果、ダクトの長さに沿って流体の熱伝達能も変化することである。つまり、流体がダクトに沿って更に移動すると、バッテリーパックの複数のセルが不均一に加熱又は冷却されることになる。その結果、バッテリーパック全体で25℃の温度を比較的一定に維持してセル寿命を最大限に延ばすことが困難になることが分かった。特に急速充電中は、パック内の発熱量が高いことから、25℃を維持するのは困難である。
【0006】
本発明の目的は、上記で概説した問題を回避又は軽減することである。特に、本発明の目的は、ダクト及び熱源の係合表面領域の長さに沿って、熱源とダクトの間で均一な熱伝達を行うことが可能なダクトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、熱源の表面領域の少なくとも一部と係合可能なダクトを提供する。前記ダクトは、第1係合位置から、ダクトと熱源との間の少なくとも1つの最終係合位置まで、熱源の長さの全部又は一部に沿う熱源の表面領域の少なくとも一部に沿って延在可能であり、そしてその熱源の表面領域の少なくとも一部と係合可能である。熱伝達流体は、ダクト及び熱源の係合可能な表面領域の近傍で熱伝達流体を介してダクトと熱源との間で熱を伝達できるように、ダクトの内部導管に沿って流動可能である。ダクトは、ダクトと熱源との係合可能な表面領域の間で熱伝達流体を介して熱伝達を変更できるように構成している。
理想的には、ダクトは、ダクトの長さに沿って、ダクトと熱源との係合可能な表面領域の間で熱伝達流体を介して熱伝達を変更できるように構成している。
【0008】
有利には、ダクトの長さに沿って、ダクトと熱源との係合可能な表面領域の間で熱伝達流体を介して熱伝達を変更できるように構成したダクトは、熱伝達流体がダクトの長さに沿って流動すると、熱伝達進行の結果としての熱伝達流体の温度変化を補正する。これにより、流体温度などの他のパラメータが変化すると、ダクトの長さに沿って熱伝達流体を介して熱源とダクトの間で熱伝達が確実に均一になる。
理想的には、熱源は1つ以上のセルから成るバッテリーパックを備える。
好ましくは、ダクトは可撓性ダクトである。
あるいは、ダクトは剛性ダクトである。
【0009】
1実施形態では、ダクトは金属又は金属合金ダクトである。
理想的には、ダクトは、ダクトと熱源との間で熱交換できるように、熱源の表面に近接している。
好ましくは、ダクトは、ダクトと1つ以上のセルのうちの少なくとも1つとの間で熱交換できるように、1つ以上のセルの表面に近接している。
【0010】
ダクトが可撓性ダクトである1実施形態では、ダクトの少なくとも一部の支持体として機能するように構成したポッティング手段が設けられる。有利には、可撓性ダクトは、可撓性ダクトが過度に膨張及び/又は破裂することを防止するように機能するポッティング手段により補強されながら、パック内の熱源/セルの表面形状に緊密に一致できる。
好ましくは、ダクトは、熱伝達流体を流入口から流出口に運び、熱伝達流体を介して熱源とダクトとの間で、それらの係合可能な接触面において熱エネルギーを伝達するように構成しており、ここでは流入口におけるダクトの熱抵抗は、流出口におけるダクトの熱抵抗より高い。
【0011】
理想的には、ダクトは、熱伝達流体を流入口から流出口に運び、熱伝達流体を介して1つ以上のセルとダクトとの間で、それらの係合可能な接触面において熱エネルギーを伝達するように構成しており、ここでは流入口におけるダクトの熱抵抗は、流出口におけるダクトの熱抵抗より高い。
このことは、ダクトの熱抵抗をダクトの長さに沿って変化させることで、熱源/バッテリーパックにわたって均一な温度分布を促進するので、有利である。
特に、ダクトへの流入口での熱抵抗が大きいと、熱伝達流体と熱源/セルとの間の温度差が最大となる流入口に近接して配置した熱源/セルの過冷却又は過加熱が防止できる。
理想的には、ダクトの熱抵抗をダクトの長さに沿って線形又は非線形に変化させ、そうすることで、ダクトの熱抵抗が減少するにつれ、熱伝達流体と熱源/セルとの間の温度差も減少し、それによりダクトの長さに沿って均一な電力放散を促進できる。
【0012】
1実施形態では、ダクトの壁厚は流出口に比べて流入口でより厚くしてもよい。このことは、壁厚を大きくするとダクトの熱抵抗が高まるため、有利である。このように、流入口でダクトの壁厚を大きくすると、ダクトの熱抵抗も高まる。
【0013】
1実施形態では、ダクトの壁厚はダクトの縦方向の長さに沿って直線的に変化してもよい。別の実施形態では、ダクトの壁厚はダクトの縦方向の長さに沿って非線形に変化してもよい。ダクトの縦方向の長さに沿ってダクトの壁厚を変化させることには、その縦方向の長さに沿ってダクトの熱抵抗を変化させる効果がある。
【0014】
1実施形態では、ダクトの縦方向の長さに沿って電力放散がほぼ一定になるように、壁厚を変化させてもよい。このことは、複数のセルのアレイ全体に渡る均一な温度分布を促進するため、有利である。これは、ダクトの長さに沿って熱抵抗を高めることで実現できる。
場合により、熱源/バッテリーパックは複数のダクトから成る。
好ましくは、1つ以上のダクトは蛇行ダクトである。
場合により、1つ以上のダクトは多岐ダクトである。
場合により、熱源/バッテリーパックは1つ以上のほぼ直線状のダクトから成る。
場合により、熱源/バッテリーパックは1つ以上の平行なダクトから成る。
好ましくは、当該ダクト又は各ダクトは1つ以上のほぼ直線状の部分から成る。
好ましくは、当該ダクト又は各ダクトは冷却流体を運ぶように構成している。
好ましくは、当該ダクト又は各ダクトは水/グリコール混合液を運ぶように構成している。
好ましくは、当該ダクト又は各ダクトは冷却液により加圧し、膨張状態にする。
好ましくは、当該ダクト又は各ダクトは膨張した状態であるとき、熱源/1つ以上のセルの表面と一致する。有利には、可撓性ダクトをその形状が熱源/セルの形状に一致するように膨張させると、当該ダクト又は各ダクトと熱源/セルとの間の熱的接触が改善し、それにより冷却流体が、冷却流体と熱源/セルとの間で熱エネルギーをより効率的に伝達できるようになる。
【0015】
好ましくは、当該ダクト又は各ダクトの形状は、熱源/1つ以上のセルの表面の少なくとも一部と部分的に一致する。
好ましくは、セルは円筒状セルである。有利には、ダクトが拡張して円筒状セルの起伏のある表面に一致してセルとダクトとの間の良好な熱的接触を確保できることから、可撓性ダクトは円筒状セルと共に使用することに非常に適している。
好ましくは、バッテリーパックはセルのアレイから成る。
好ましくは、セルのアレイは密に詰め込んだ構成である。
好ましくは、セル間の最小間隔は2mmである。
好ましくは、可撓性ダクトは1つ以上のセルに隣接して位置する。
好ましくは、可撓性ダクトはセル間に位置する。
好ましくは、可撓性ダクトは1つ以上のセルの側面(単数又は複数)に直接接触する。
好ましくは、可撓性ダクトは接合面領域又は接合面材料を介して、1つ以上のセルの側面(単数又は複数)に間接的に接触する。
【0016】
好ましくは、可撓性ダクトはセル(単数又は複数)を包囲する包装シースを介して、1つ以上のセルの側面(単数又は複数)と間接的に接触する。
好ましくは、可撓性ダクトは、導電性ペースト又は接着剤などの熱伝導性充填材料を介して、1つ以上のセルの側面(単数又は複数)と間接的に接触する。
理想的には、可撓性ダクトはポリマー系材料から形成する。
好ましくは、可撓性ダクトは、膨張性プラスチック材料から形成する。膨張性プラスチック材料は、材料が本質的に電気絶縁性、軽量であり、腐食しないか、グリコール/水混合液などの冷却剤と化学的に相互作用しないため、有利である。
理想的には、膨張性プラスチック材料は低密度ポリエチレン(LDPE)である。
理想的には、膨張性プラスチック材料は直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)である。
理想的には、膨張性プラスチック材料は高密度ポリエチレン(HDPE)である。
理想的には、膨張性プラスチック材料はポリエステルである。
理想的には、可撓性ダクトの壁厚は10μm~150μmである。
【0017】
有利には、膨張性プラスチック材料を非常に薄くしてもよく、それにより各ダクトとセルとの間の熱伝達特性が良好になる。
好ましくは、可撓性ダクトは単一腔型ダクトである。
場合により、可撓性ダクトは多腔型ダクトである。多腔型ダクトは、単一腔型ダクトでは均一な温度分布を促進できない大型バッテリーパックに使用できる。
理想的には、多腔型ダクトは、冷却流体が流動する2つ以上の内腔から成る。
好ましくは、バッテリーパックはバッテリーパック筐体から成る。
好ましくは、バッテリーパックは下部クラムシェルから成る。
好ましくは、バッテリーパックは上部クラムシェルから成る。
好ましくは、下部クラムシェル及び/又は上部クラムシェルは、セル(単数又は複数)を受け入れて保持するための1つ以上の凹部を備える。
好ましくは、下部クラムシェル及び/又は上部クラムシェルは、セルへ電気的に接続されるための1つ以上の開口を備える。
【0018】
好ましくは、上部クラムシェル及び/又は下部クラムシェルに1つ以上の母線が設けられる。
好ましくは、上部クラムシェル及び/又は下部クラムシェルは、セル(単数又は複数)を母線(単数又は複数)に電気的に接続するための1つ以上の開口を備える。
好ましくは、バッテリーパックは1つ以上の側壁を備える。
好ましくは、1つ以上の側壁は下部クラムシェルに取り付ける。
好ましくは、1つ以上の側壁は上部クラムシェルに取り付ける。
好ましくは、バッテリーパックは流体の流入手段を備える。
好ましくは、流体の流入手段は当該ダクト又は各ダクトへの流体の入り口を提供する。
好ましくは、流体の流入手段は流入口ノズルを備える。
好ましくは、バッテリーパックは流体の流出手段を備える。
好ましくは、流体の流出手段は流出ノズルを備える。
好ましくは、流体の流出手段は当該ダクト又は各ダクトからの流体の出口を提供する。
好ましくは、流体入口手段及び/又は流体出口手段は、側壁(単数又は複数)の開口を通過する。
好ましくは、バッテリーパックは、別の複数のセル間に位置する少なくとも1つの別の可撓性ダクトを備える。
好ましくは、ポッティング手段はポッティング材料から成る。
理想的には、ポッティング手段はフォームから成る。有利には、フォームは他のポッティング材料より軽量であり、それにより他のポッティング材料と比較してパックの全重量を低減する。
【0019】
場合により、ポッティング手段は、熱硬化性プラスチック、シリコーンゴムゲル、又はエポキシ樹脂から成る。
理想的には、ポッティング手段は断熱性フォームから成る。断熱性フォームは、有益にも高エネルギー熱現象がバッテリーパック内を伝播することを防止できる。更に、断熱性フォームは、外部温度変動がバッテリーパックに与える影響を低減し、ダクトがバッテリーパック内の熱エネルギーの主要な制御器であることを確実にする。
理想的には、ポッティング手段は発泡フォームから成る。有利には、バッテリーパック内に発泡フォームを使用するとは、発泡した状態のフォームがバッテリーパック内の任意の隙間をほぼ満たせることを意味する。フォームの断熱特性を併用すると、熱現象をパック内に伝える能力が著しく低下する。
理想的には、ポッティング手段は泡沸性フォームから成る。
理想的には、ポッティング手段はポリウレタンフォームである。
理想的には、ポッティング手段は少なくとも1つのダクトの少なくとも一部の支持体として機能する。
理想的には、ポッティング手段は少なくとも1つのダクトの少なくとも一部の剛性支持体として機能する。
理想的には、ポッティング手段は液体状態でパック内に注ぎ、パック内で固化、キュアリング、又は硬化する。
【0020】
理想的には、ポッティング手段は固化、キュアリング、又は硬化した状態で、セル(単数又は複数)及びダクト(単数又は複数)をバッテリーパック内の所定位置に固定できるように、ほぼ剛性である。このことは、バッテリーパック内の部品に対する振動の影響を低減するので、有利である。
好ましくは、ポッティング手段は少なくとも1つのダクトの少なくとも一部を包囲する。
好ましくは、ポッティング手段はダクトを包囲し、少なくとも1つのダクトを外部から全面的に支持する。有利には、ポッティング材料でダクトを包囲することで、ダクトの過度の膨張及び/又は破裂を防止する。
好ましくは、ポッティング手段は、少なくとも1つのダクトの少なくとも一部が配置されている空洞を画成する。
好ましくは、バッテリーパック筐体内の容積は、セル、支持構造体、ダクト及びポッティング手段でほぼ満たされる。有利には、バッテリーパックをほぼ満たすということは、バッテリーパック内の空間から水分及び/又は腐食性物質が排除されるということである。
好ましくは、ポッティング手段は接着剤として機能する。
好ましくは、ポッティング手段は接着剤として機能して、当該ダクト又は各ダクトを所定位置に固定する。
好ましくは、当該ダクト又は各ダクトは、熱伝達材料がダクト内を流動できるように開放構成にする。
【0021】
好ましくは、当該ダクト又は各ダクトは、当該ダクト又は各ダクト内で加圧した熱伝達流体により、及び/又はポッティング手段への接着を介して、開放構成で維持する。
好ましくは、ポッティング手段は、1つ以上のダクト(単数又は複数)を開放構成で維持するための接着剤として機能する。
好ましくは、ポッティング手段は、1つ以上のダクト(単数又は複数)の少なくとも一部に接着で取り付ける。
好ましくは、ポッティング手段は、セル(単数又は複数)を所定位置に固定するための接着剤として機能する。
好ましくは、ポッティング手段は、バッテリーパックに外側包装を固定するための接着剤として機能する。これにより、有益にも、固定具又は締め具の追加を必要とせず、バッテリーパックの複雑さが軽減され、製造プロセスが改善される。
好ましくは、バッテリーパックは、少なくとも1つのダクトを支持するように構成した少なくとも1つの支持手段を備える。
好ましくは、当該支持手段又は各支持手段は、下部クラムシェルに配置可能である。
好ましくは、1つ以上の支持手段はセルのアレイの周縁に配置する。
【0022】
好ましくは、当該支持手段又は各支持手段は、ダクトが方向を転換及び/又は反転する位置でダクトを支持するように構成している。有利には支持手段は、ダクトが方向を反転する位置でキンクすることを防止する。キンクを防止することで、システム内の閉塞を低減し、システム内の圧力損失を低減し、ダクト(単数又は複数)を通る熱伝達流体の流量を向上できる。
好ましくは、当該支持手段又は各支持手段はガイド流路を備える。
理想的には、ガイド流路は、可撓性ダクトをガイドするように構成する。
好ましくは、可撓性ダクトの少なくとも一部は、支持手段流路内に配置する。ダクトを流路内に配置することは、ダクトが方向を反転させる位置で流路がダクトをガイドし、キンクを防止できることから有利である。更に、流路はダクトを両側で支持し、ダクトが膨らんで破裂する可能性を防止する。
好ましくは、支持手段は、ダクトにたるみが生じるように、膨張していない状態のダクトを部分的に受け入れるように構成した少なくとも1つの凹部を備える。ダクトに余裕のあるたるみを与えることは有益にも、ダクトが膨張したときにダクトのキンクを防止することに役立つ。何故なら、ダクトが膨張すると張力が掛かり、余裕のあるたるみがあることでダクト内に過剰な張力が起こることを防止できるようになるからである。
【0023】
好ましくは、支持手段は、少なくとも1つのセルとダクトとの間に熱障壁を提供するように構成する。このことは、バッテリーの寿命を延ばすためにバッテリーパック全体にわたって温度分布を一定に維持することが重要であることから、有益である。ダクトとセルとの間の熱的接触が多すぎる場所でセルを断熱することで、ダクトとセルとの間の熱的接触がバッテリーパック全体でほぼ一定に保持される。次に、これによりバッテリーパック全体の温度分布を一定に保つことが促進される。
好ましくは、バッテリーパックは熱管理システムに操作可能に接続する。
好ましくは、熱管理システムはリザーバを備える。
好ましくは、リザーバは、熱伝達ループと流体連通する。
理想的には、リザーバは熱伝達流体を含む。
好ましくは、リザーバは、熱伝達ループ内の熱伝達流体に静水圧を与える。
【0024】
好ましくは、熱管理システムは、熱伝達流体をリザーバから熱伝達ループに汲み入れ、熱伝達ループを加圧するように構成したポンプを備える。有利には、熱管理システムを加圧するためにリザーバ内の熱伝達流体を使用してもよい。これにより有益にも、圧力を目標動作圧力に維持するように熱管理システム内で圧力を維持できる。リザーバを介してダクトを加圧すると、ダクトが自立するため、ポンプからの流体力学的圧力損失がなくなり、冷却システム内の圧力低下が大幅に低減される。
理想的には、熱管理システムは、目標動作圧力が維持されるように、熱伝達流体の圧力を監視する圧力センサを備える。
【0025】
好ましくは、ダクト材料は基質及び充填材から成る。理想的には、充填材の熱伝導率は基質の熱伝導率より高い。有利には、基質中に充填材が含まれていると、ダクト材料の熱伝導率が高まる。
好ましくは、基質は可撓性基質である。
好ましくは、基質は電気的に絶縁性である。
好ましくは、基質はプラスチック基質である。
好ましくは、基質はポリマー基質である。
好ましくは、基質は低密度ポリエチレン(LDPE)基質、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)基質、高密度ポリエチレン(HDPE)基質、ポリエステル、シリコーン、又はゴム基質である。
好ましくは、基質の熱伝導率は、15Wm-1-1未満、10Wm-1-1未満、5W m-1-1未満、及び/又は1Wm-1-1未満である。
【0026】
好ましくは、充填材は充填材料の粒子から成る。
好ましくは、充填材料の粒子は基質全体にわたって分散する。
好ましくは、充填材料の粒子の平均径は1nm~10μmである。
好ましくは、充填材料の粒子は長尺状、管状、繊維状、又はほぼ球状である。
好ましくは、充填材料の長尺状粒子の直径は1~10nm、場合により長さは0.5~5nmである。
好ましくは、充填材は有機充填材料から成る。好ましくは、充填材は、カーボン、カーボンブラック、黒鉛、黒鉛プレートレットグラフェン、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブなどの炭素系充填材料から成る。
任意で、充填材は無機充填材料から成る。任意で、充填材は、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、硝酸ケイ素、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化亜鉛などのセラミック充填材料から成る。
好ましくは、充填材の熱伝導率は10Wm-1-1超及び/又は100Wm-1-1超である。
好ましくは、ダクト材料は、25体積%未満の充填材、5~18体積%の充填材、又は15体積%の充填材から成る。有利には、限られた量の充填材を基質に組み込むと、材料の低い電導性及び好適な可撓性を維持しつつ、熱伝導率が高まる。
好ましくは、ダクト材料の熱伝導率は、室温で0.33Wm-1-1超、室温で1Wm-1-1超、及び/又は室温で10Wm-1-1超である。
【0027】
本発明の第2の態様によれば、熱源の熱伝達を管理する方法が提供される。当該方法には、熱伝達ダクトと熱源の表面領域の少なくとも一部とを係合させる工程、第1係合位置から、ダクトと熱源との間の少なくとも1つの最終係合位置まで、熱源の長さの全部又は一部に沿う熱源の表面領域の少なくとも一部に沿ってダクトを延在させ、その熱源の表面領域の少なくとも一部とダクトとを係合させる工程、ダクト及び熱源の係合可能な表面領域の近傍で熱伝達流体を介してダクトと熱源との間で熱を伝達できるように、ダクトの内部導管に沿って熱伝達流体を通過させる工程が含まれる。また当該方法には、ダクトと熱源との係合可能な表面領域の間で熱伝達流体を介して熱伝達を変更できるようにダクトを構成する工程も含まれる。
理想的には、当該方法には、ダクトの長さに沿って、ダクトと熱源との係合可能な表面領域の間で熱伝達流体を介して熱伝達を変更できるようにダクトを構成する工程が含まれる。
【0028】
有利には、ダクトの長さに沿ってダクトと熱源との係合可能な表面領域の間で熱伝達流体を介して熱伝達を変更できるようにダクトを構成する工程は、熱伝達流体がダクトの長さに沿って流動すると、熱伝達進行の結果としての熱伝達流体の温度変化を補正する。これにより、流体温度などの他のパラメータが変化すると、ダクトの長さに沿って熱伝達流体を介して熱源とダクトの間で熱伝達が確実に均一になる。
理想的には、当該方法には、1つ以上のセルを有するバッテリーパックを備える熱源を設ける工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、ダクトを可撓性ダクトとして設ける工程が含まれる。
あるいは、当該方法には、ダクトを剛性ダクトとして設ける工程が含まれる。
1実施形態では、当該方法にはダクトを金属又は金属合金ダクトとして設ける工程が含まれる。
理想的には、当該方法には、ダクトと熱源との間で熱交換されるように、ダクトを熱源の表面に近接して配置する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、ダクトと1つ以上のセルのうちの少なくとも1つとの間で熱交換されるように、ダクトを1つ以上のセルの表面に近接して配置する工程が含まれる。
【0029】
ダクトが可撓性ダクトである1実施形態では、当該方法には、ダクトの少なくとも一部の支持体として機能するように構成したポッティング手段を設ける工程が含まれる。有利には、可撓性ダクトは、可撓性ダクトの過膨張及び/又は破裂を防止するように機能するポッティング手段により強化される一方で、パック内の熱源/セルの表面形状に緊密に一致できる。
好ましくは、当該方法には、熱伝達流体を流入口から流出口に運び、熱伝達流体を介して熱源とダクトとの間で、それらの係合可能な接触面において熱エネルギーを伝達するようにダクトを構成する工程が含まれる。また当該方法には、流入口でのダクトの熱抵抗を流出口でのダクトの熱抵抗より高くする工程も含まれる。
理想的には、当該方法には、熱伝達流体を流入口から流出口に運び、熱伝達流体を介して1つ以上のセルとダクトとの間で、それらの係合可能な接触面において熱エネルギーを伝達するようにダクトを構成する工程が含まれる。また当該方法には、流入口でのダクトの熱抵抗を流出口でのダクトの熱抵抗より高くする工程も含まれる。
このことは、ダクトの長さに沿ってダクトの熱抵抗を変化させることにより熱源/バッテリーパック全体にわたって温度分布の均一性が促進されるので有利である。
特に、ダクトの流入口での熱抵抗が高いと、熱伝達流体と熱源/セルとの間の温度差が最大となる流入口に近接して配置した熱源/セルが過冷却又は過加熱されることを防止できる。
理想的には、当該方法には、ダクトの長さに沿って線形又は非線形にダクトの熱抵抗を変化させることで、ダクトの熱抵抗が減少するにつれ、熱伝達流体と熱源/セルとの間の温度差も減少し、それによりダクトの長さに沿って均一な電力放散を促進する工程が含まれる。
【0030】
1実施形態では、当該方法には、ダクトの壁厚を流出口に比べて流入口でより厚くなるようにダクトの壁厚を変化させる工程が含まれる。これは、壁厚を大きくすると、ダクトの熱抵抗も増加するので有利である。このように、流入口でダクトの壁厚を大きくすると、ダクトの熱抵抗も増加する。
【0031】
1実施形態では、当該方法には、ダクトの縦方向の長さに沿ってダクトの壁厚を線形に変化させる工程が含まれる。別の実施形態では、ダクトの縦方向の長さに沿って、ダクトの壁厚を非線形に変化させる工程が含まれる。ダクトの縦方向の長さに沿ってダクトの壁厚を変化させることには、ダクトの縦方向の長さに沿ってダクトの熱抵抗を変化させる効果がある。
【0032】
1実施形態では、当該方法には、ダクトの縦方向の長さに沿ってほぼ一定の電力放散が達成されるように壁厚を変化させる工程が含まれる。これは、セルのアレイ全体の均一な温度分布を促進するので有利である。これは、ダクトの長さに沿って熱抵抗を増加させることにより達成され得る。
場合により、当該方法には、複数のダクトから成る熱源/バッテリーパックを設ける工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、蛇行ダクトとして1つ以上のダクトを設ける工程が含まれる。
場合により、当該方法には、多岐ダクトとして1つ以上のダクトを設ける工程が含まれる。
場合により、当該方法には、1つ以上のほぼ直線状のダクトから成る熱源/バッテリーパックを設ける工程が含まれる。
場合により、当該方法には、1つ以上の平行なダクトから成る熱源/バッテリーパックを設ける工程が含まれる。
【0033】
好ましくは、当該方法には、1つ以上のほぼ直線状の部位から成る当該ダクト又は各ダクトを設ける工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、セルのアレイを設ける工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、1つ以上の円筒状セルを設ける工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、セル間の最小間隔が0.5~5mmで、緊密に詰め込んだ円筒状セルのアレイを設ける工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、セル間の最小間隔が2mmで、緊密に詰め込んだ円筒状セルのアレイを設ける工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、バッテリーパック筐体を構築する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、下部クラムシェルを設ける工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、下部クラムシェルの凹部に1つ以上のセルを配置する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、1つ以上の側壁を設ける工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、1つ以上の側壁を下部クラムシェルに取り付ける工程が含まれる。
【0034】
好ましくは、当該方法には、上部クラムシェルを設ける工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、上部クラムシェルの凹部に1つ以上のセルを配置する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、1つ以上の側壁を上部クラムシェルに取り付ける工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、1つ以上の母線を上部クラムシェル及び/又は下部クラムシェルに取り付ける工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、流体の流入手段を当該ダクト又は各ダクトに装着する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、流体の流出手段を当該ダクト又は各ダクトに装着する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、流入口ノズル及び流出口ノズルを側壁(単数又は複数)の開口に通す工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、1つ以上のセルに隣接する位置に当該可撓性ダクト又は各可撓性ダクトを配置する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、セル間に当該可撓性ダクト又は各可撓性ダクトを配置する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、1つ以上の別の可撓性ダクトを1つ以上のセルの表面に近接して配置し、当該別の可撓性ダクト又は各々の別の可撓性ダクトと1つ以上のセルのうちの少なくとも1つとの間で熱交換できるようにする工程が含まれる。
【0035】
好ましくは、可撓性ダクト(単数又は複数)をセル間に配置する前記工程は、下部クラムシェルの凹部内に1つ以上のセルを配置する工程の後に行う。
好ましくは、2つ以上のセルの間に可撓性ダクト(単数又は複数)を配置する前記工程は、上部クラムシェルの凹部内に1つ以上のセルを配置する工程の前に行う。
好ましくは、当該方法には、バッテリーパック内の蛇行経路に沿って当該可撓性ダクト又は各可撓性ダクトを配置する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、当該ダクト又は各ダクトがほぼ膨張していない状態であるときに、前記ダクト又は各ダクトを前記1以上のセルの少なくとも1つの表面に近接して配置する工程が含まれる。
好ましくは、流体を当該ダクト又は各ダクトに挿入する前記工程は、ダクト(単数又は複数)を拡張させる。
好ましくは、流体を当該ダクト又は各ダクトに挿入する前記工程には、ダクト(単数又は複数)を流体でほぼ満たす工程が含まれる。
好ましくは、方法には、流体でダクト(単数又は複数)を膨張させる工程が含まれる。
好ましくは、方法には、空気や冷却流体などの動作流体でダクト(単数又は複数)を膨張させる工程が含まれる。
好ましくは、当該可撓性ダクト又は各可撓性ダクトに流体を挿入する前記工程には、ダクト(単数又は複数)を加圧する工程が含まれる。
好ましくは、当該可撓性ダクト又は各可撓性ダクトに流体を挿入する前記工程には、ダクト(単数又は複数)内の流体圧力が大気圧より高くなるようにダクト(単数又は複数)を加圧する工程が含まれる。
【0036】
好ましくは、当該方法には、当該ダクト又は各ダクトの形状が1つ以上のセル(単数又は複数)の表面形状の少なくとも一部に一致するように、当該可撓性ダクト又は各可撓性ダクトを膨張させる工程が含まれる。有利には、これにより、ダクトとセルとの間の熱的接触面積が増加し、ダクト内の冷却剤と個々のセルとの間の熱エネルギー伝達が向上する。
理想的には、当該方法には、ダクト(単数又は複数)により1つ以上のセルを所定位置に固定する工程が含まれる。このことは、バッテリーパック内の所定位置にセルを固定するための接着剤が必要とならないので、有利である。更に、バッテリーパックが、振動を受けるような自動車や航空宇宙用途で使用する場合、ダクトは、個々のセルを所定位置に固定することで、バッテリーパックへの振動の影響を軽減できる。
好ましくは、当該方法には、1つ以上の支持手段を下部クラムシェルに配置する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、下部クラムシェル上の1つ以上の支持手段を、セルのアレイの周縁に配置する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、ダクトの一部を支持手段の内側に配置し、ダクトの少なくとも一部を支持する工程が含まれる。ダクトを支持手段の内側に配置する工程は、ダクトが拡張される際にダクトのキンクを防止できるので有利である。
好ましくは、当該方法には、ダクトがほぼ膨張していない状態にあるときに、ダクトの一部を支持手段の凹部内に配置する工程が含まれる。これは、ダクトを凹部内に配置することで、膨張前にダクトに余裕のあるたるみが確実に形成されるので、有利である。ダクトに余裕のあるたるみがあることで、膨張プロセス中にダクトのキンクが軽減される。
【0037】
好ましくは、当該方法には、1つ以上のダクト(単数又は複数)の少なくとも一部をポッティング手段で包囲する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、当該ダクト又は各ダクト全体をポッティング手段でほぼ包囲する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、上部クラムシェル、下部クラムシェル、及び/又は側壁(単数又は複数)全体にわたってポッティング手段を挿入する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、拡張可能なポッティング手段をバッテリーパック内に注入する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、ポッティング手段をバッテリーパック内に挿入する前に可撓性ダクトの圧力試験を行う工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、フォームをバッテリーパック内に挿入する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、泡沸性フォームをバッテリーパック内に挿入する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、ポリウレタンフォームをバッテリーパック内に挿入する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、熱硬化性プラスチック、シリコーンゴムゲル、又はエポキシ樹脂をバッテリーパック内に挿入する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、ポッティング手段をバッテリーパック内に挿入する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、ポッティング手段が粘性又は液状である間に、ポッティング手段をバッテリーパック内に挿入する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、ポッティング手段をバッテリーパック内に挿入する前に、当該ダクト又は各ダクトに流体を挿入する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、ポッティング手段をバッテリーパック内に挿入する前に、当該可撓性ダクト又は各可撓性ダクトを加圧及び/又は膨張させる工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、バッテリーパック内でポッティング手段をキュアリング又は硬化させる工程が含まれる。
【0038】
好ましくは、当該可撓性ダクト又は各可撓性ダクトに流体を挿入する工程により、ダクト(単数又は複数)が拡張し、開放構成になる。
好ましくは、当該方法には、ポッティング手段への接着により、バッテリーパック内で当該ダクト又は各ダクトを開放構成で維持する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、当該ダクト又は各ダクトがほぼ膨張した状態及び/又は開放構成にある間に、バッテリーパック内でポッティング手段をキュアリング又は固化させる工程が含まれる。
理想的には、当該方法には、ポッティング手段が固化又は硬化してほぼ剛性状態になるまで、当該ダクト又は各ダクト内の圧力を維持する工程が含まれる。有利には、ポッティング手段を注入する前にダクトを膨張させることで、ポッティング手段が剛性へと固化したときに、ダクトには拡張できるに十分なスペースが確保される。
好ましくは、当該方法には、バッテリーパック内の隙間を満たすためにポッティング手段を拡張する工程が含まれる。有利には、フォームの拡張とは、バッテリーパック内のあらゆる隙間をフォームで満たすことを意味する。これによりパックの全体的な機械的強度が向上する。
好ましくは、当該方法には、セルを断熱フォームで包囲することによりセルを断熱する工程が含まれる。有利には、断熱フォームは、高エネルギー熱現象がバッテリーパック内を伝搬することを防止できる。更に、断熱フォームはバッテリーパックに与える外部温度変動の影響を低減することが可能であり、それにより確実にダクトがバッテリーパック内の熱エネルギーの主要な制御装置になる。
【0039】
好ましくは、当該方法には、ポッティング手段によりダクト及び/又はセルをバッテリーパック内の所定位置に固定する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、ポッティング手段への接着によりバッテリーパック内で当該ダクト又は各ダクトを開放構成で維持する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、ポッティング手段により外装をバッテリーパックに固定する工程が含まれる。これにより、有益にも固定具や締め具の追加を必要とせず、バッテリーパックの複雑さを低減し、製造プロセスを向上させる。
好ましくは、当該方法には、セルを母線に電気的に接続する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、超音波結合、レーザー溶接、超音波溶接、又は抵抗溶接を用いてセルを母線に電気的に接続する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、セルを可撓性ダクトにより所定位置に保持しながら、セルを母線に電気的に接続する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、ポッティング材料をバッテリーパックに挿入する前に、セルを母線に電気的に接続する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、セルを母線に電気的に接続した後に、ポッティング手段をバッテリーパックに挿入する工程が含まれる。有利には、ポッティング手段は、アルミニウム超音波ワイヤボンドを外部の湿気から保護し、それによりワイヤボンドの電解腐食を防止する役割を担う。
【0040】
本発明の更なる態様によれば、セルを母線に電気的に接続する方法が提供される。当該方法には、ダクトとセルとの係合可能な表面領域の間で熱伝達流体を介して熱伝達を変更できるように構成した膨張可撓性ダクトを使用してセルを所望の位置に保持する工程、及びセルと母線との間で電気的接続を行う工程が含まれる。有利には、可撓性ダクトはパック内でセル(単数又は複数)を所定位置に固定することが可能であり、セル(単数又は複数)を母線(単数又は複数)に電気的に接続する際に接着剤を必要としなくなる。
好ましくは、セルと母線との間の電気的接続を行う前記工程には、超音波結合、レーザー溶接、超音波溶接、又は抵抗溶接が含まれる。
好ましくは、セルと母線との間に電気的接続を行う前記工程には、セル及び/又は母線にアルミニウムワイヤボンドを接続する工程が含まれる。
好ましくは、当該方法には、セルを母線に接続した後にセルをポッティングする工程が含まれる。
【0041】
本発明の1態様に適用できる任意選択的特徴は、任意の組み合わせ及び任意の数で使用可能であることは理解されているものとする。更に、任意選択的特徴はまた、任意の組み合わせ及び任意の数で本発明の他の態様のいずれかと併用できる。この任意選択的特徴には、本出願の特許請求の範囲において、任意の請求項の従属請求項が任意の他の請求項の従属請求項として使用されることが含まれるが、これに限定されるものではない。
次に、添付図面を参照して本発明を説明する。添付図面は本発明に従う装置の1実施形態を例示としてのみ示す。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】ダクトの長さに沿って変化するダクト壁厚を示す図である。
図2】セルのアレイ、及びダクトの長さに沿ってダクト壁厚が変化する蛇行ダクトの上平面図である。
図3図1及び2のダクトの一部の断面図である。
図4】本発明に従ったバッテリーパックと共に使用することに適した熱管理システム及び制御モジュールの概略図である。
図5】上部及び下部クラムシェル及び側壁を装着したバッテリーパックの斜視図である。
図6】側壁を取り外した状態の図5のバッテリーパックの斜視図である。
図7図5のバッテリーパックの下部クラムシェル部品の斜視図である。
図8】セルのアレイを装着した図7の下部クラムシェルの斜視図である。
図9】サーミスタを装着した図8のセルのアレイを示す拡大斜視図である。
図10図8に示すセルのアレイに装着した支持構造体を示す拡大斜視図である。
図11】本発明の実施形態で使用することに適した支持構造体の斜視図である。
図12図8に示すセルのアレイに装着している可撓性ダクトの斜視図である。
図13】本発明の実施形態で使用することに適した多腔型可撓性ダクトの斜視図である。
図14】本発明の実施形態で使用することに適した複数の可撓性ダクトを備える熱交換器の上面図である。
図15図14に示す熱交換器の斜視図である。
図16】本発明の実施形態で使用することに適した複数の多腔型可撓性ダクトを備える熱交換器の上面図である。
図17図16に示す熱交換器の斜視図である。
図18】本発明の実施形態で使用することに適した複数の多腔型可撓性ダクトを備える熱交換器の上面図である。
図19図18に示す熱交換器の斜視図である。
図20】上部及び下部クラムシェル、側壁、及び加圧多岐管を装着したバッテリーパックの斜視図である。
図21】膨張していない状態でセル間に配置した可撓性ダクトを示す横断面図である。
図22】膨張した状態でセル間に配置した可撓性ダクトの横断面図である。
図23】支持構造体及び膨張していない状態の可撓性ダクトの拡大平面図である。
図24】所定位置に配置している支持構造体及び可撓性ダクトの拡大平面図である。
図25】支持構造体及び膨張した状態の可撓性ダクトの拡大平面図である。
図26】自動化したプロセスでポッティング材料を装着しているバッテリーパックの斜視図である。
図27】本発明の実施形態で使用することに適し、リザーバを備える熱管理システムの概略図である。
図28】加圧されている図27の熱管理システムの概略図である。
図29】動作状態にある図28の熱管理システムの概略図である。
図30】本発明の実施形態で使用することに適した代替的熱管理システムの概略図である。
図31】ポッティング材料を示すバッテリーパックの一部の切欠図である。
図32】ダクト材料が基質及び充填材から成るダクトの横断面概略図である。
図33】別の支持構造体の斜視図である。
図34図33の支持構造体の平面図である。
図35】別の支持構造体の斜視図である。
図36】バッテリーパック内に設置した図35の支持構造体の斜視図である。
図37】バッテリーパック内に設置した図35の支持構造体の追加の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
初めに、図1図3の図面を参照する。図面には熱源30の表面領域の少なくとも一部と係合可能なダクト230が示されている。ダクト230は、ダクト230と熱源30との間で流入口52の後の第1係合位置から流出口54の後の少なくとも1つの最終係合位置まで、熱源30の長さの全部又は一部に沿う熱源30の表面領域の少なくとも一部に沿って延在し、そしてその熱源30の表面領域の少なくとも一部と係合可能である。熱伝達流体はダクト230の内部導管に沿って流動し、それによりダクト230及び熱源30の係合可能な表面領域の近傍で熱伝達流体を介してダクト230と熱源30との間で熱が伝達できるようになる。ダクト230は、ダクト230と熱源30との係合可能な表面領域の間で熱伝達流体を介して熱伝達を変更可能にするように構成する。
ダクト230は、ダクト230の長さに沿って、ダクト230と熱源30との係合可能な表面領域の間で熱伝達流体を介して熱伝達を変更可能にするように構成する。
【0044】
有利には、ダクト230の長さに沿って、ダクト230と熱源30との係合可能な表面領域の間で熱伝達流体を介して熱伝達を変更可能にするように構成しているダクト230は、熱伝達流体がダクト230の長さに沿って流動するにつれ熱伝達が進行する結果として、熱伝達流体の温度の変化を補正する。これにより、流体温度などの他のパラメータが変化すると、ダクト230の長さに沿って熱伝達流体を介して、熱源30とダクト230との間で均一な熱伝達が確保される。熱源30は、複数のセル30から成るバッテリーパック21から成る。いくつかの実施形態では、ダクト230は剛性ダクトであるが、ダクト230は可撓性ダクトである。これらの剛性の実施形態では、ダクト230は金属又は金属合金製ダクトである。
ダクト230は、ダクト230と熱源30との間で熱交換できるように、熱源30の表面に近接している。ダクト230は、ダクト230とセル30との間で熱交換できるように、セル30の表面に近接している。
【0045】
必須ではないことは理解されているが、ダクト230が可撓性ダクトである1実施形態では、ダクト230の少なくとも一部の支持体として機能するように構成した図31に示すポッティング材料231を設ける。有利には、可撓性ダクト230は、可撓性ダクト230が過膨張及び/又は破裂することを防止するように機能するポッティング材料231により補強されている一方で、パック21内の熱源/セル30の表面形状に緊密に一致できる。
ダクト230は熱伝達流体を流入口52から流出口54に運び、熱伝達流体を介して熱源/セル30とダクト230との間で、それらの係合可能な接触面において熱エネルギーを伝達するように構成しており、ここでは流入口52におけるダクト230の熱抵抗は流出口54におけるダクトの熱抵抗より高い。これによって、ダクト230の長さに沿ってダクト230の熱抵抗を変化させると、熱源/バッテリーパック21全体にわたって均一な温度分布を促進するため、有利である。特に、ダクト230の流入口で熱抵抗がより高いと、熱伝達流体と熱源/セル30との間の温度差が最大となる流入口52に近接して配置した熱源/セル30の過冷却又は過加熱が防止される。ダクト230の熱抵抗は、図1に示すように線形に、又はダクト230の長さに沿って非線形に変化させることで、ダクト230の熱抵抗が減少するにつれ、熱伝達流体と熱源/セル30との間の温度差も減少し、それによりダクト230の長さに沿って均一な電力放散が促進される。
【0046】
1実施形態では、流出口及び流入口におけるダクト230の垂直断面がダクトの壁厚の変化を図示している図3に示すように、ダクト230の壁厚を、流出口54と比較して流入口52でより厚くしてもよい。これによって、壁厚を増加させると、ダクト230の熱抵抗も増加するので、有利である。このように、流入口においてダクト230の壁厚を増加させると、ダクト230の熱抵抗も増加する。
【0047】
1実施形態では、ダクトの壁厚は、ダクト230の縦方向の長さ(longitudinal length)に沿って線形に変化してもよい。別の実施形態では、ダクト230の壁厚はダクト230の縦方向の長さに沿って非線形に変化してもよい。ダクト230の縦方向の長さに沿ってダクト230の壁厚を変化させることは、ダクト230の熱抵抗をその縦方向の長さに沿って変化させる効果がある。
【0048】
1実施形態では、ダクト230の縦方向の長さに沿ってほぼ一定の電力放散が達成されるように、壁厚を変化させてもよい。このことは、セル30のアレイ全体にわたって均一な温度分布が促進されるので、有利である。この均一な温度分布は、ダクト230の長さに沿って熱抵抗を増加させることにより達成してもよい。
【0049】
図4はバッテリーパック21用の熱管理システム18を示す。1つ以上の個別のセル、例えばアレイに配置したセル群を説明するために、本明細書では、用語「バッテリー」を使用する。用語「セル」は、リチウムイオンセル又はニッケル金属水素化物セルなど、多様なセルを指すために使用してもよいが、これらに限定されるものではない。バッテリーパック21は、1つ以上のセル30、可撓性ダクト50/230と1つ以上のセル30の少なくとも1つとの間で熱交換できるように1つ以上のセル30の少なくとも1つの表面に近接している可撓性ダクト50/230、及びダクト50/230の少なくとも一部の支持体として機能するように構成したポッティング材料を備える。バッテリーパック21の所望の電圧及び容量を生じさせるため、任意数の個別のセルを使用してもよい。
個別のセルを適当な動作温度、例えば約25℃に維持するように、バッテリーパック21内の熱エネルギーを管理するために、熱管理システム18を使用する。バッテリーパック21内の個々のセルは充電及び/又は放電されると熱を発生する。個々のセル(単数又は複数)30の表面に近接及び/又は接触している可撓性ダクト50/230の中でグリコール‐水混合液などの熱伝達流体を循環させることにより、熱管理システム18はバッテリーパック21内の熱エネルギーを管理する。
【0050】
熱管理システム18は熱交換器23、ポンプ25、及びバッテリーパック21内で冷却剤を運ぶ可撓性ダクト(図示せず)を備える。可撓性ダクトは、同じ冷却剤回路183の一部として、熱交換器23及びポンプ25と流体連通している。熱管理システム18内の冷却剤を加圧し、ポンプ25は冷却剤回路183内で冷却剤を流動させる。詳細な説明では冷却剤という用語を引用しているが、言うまでもなく熱伝達流体は、バッテリーを冷却するだけでなく、バッテリーを加熱するためにも使用できることは理解されているものとする。冷却流体の圧力により可撓性ダクト50/230が拡張する。可撓性ダクト50/230が拡張すると、可撓性ダクト50/230は円筒状セル30の形状が示す起伏のある表面と一致し、それにより、円筒状セル30の各々と接触している可撓性ダクト50/230の表面積が増加する。これは、セル30と可撓性ダクト50/230との間の熱的接触面積及び接触圧力を増加させ、可撓性ダクト50/230と個々のセル30との間の熱エネルギー伝達を改善するので、有利である。
【0051】
可撓性ダクト50/230内の冷却剤の流量を調節することで、ポンプ25はバッテリーパック21の温度を所望の動作温度に維持するように構成している。熱交換器23は、バッテリーパック21が冷却を必要とするときに冷却剤から熱エネルギーを放散できる。熱交換器23は、バッテリーパック21が加熱を必要とするときに冷却剤へ熱エネルギーを付与できる。補助的な加熱又は冷却システムは、必要に応じて熱交換器23と協働してもよい。
熱管理システム18は制御モジュール27に接続する。制御モジュール27は、バッテリーパック21内の温度の指標となる入力信号を受信する。制御モジュール27は熱管理システム18に制御信号を出力し、所望の動作温度が維持されるように、受信した温度入力信号に応じて熱管理システム18を調節してもよい。
【0052】
バッテリーパック21は、円筒状セル30のアレイ又は行列から成る。セル30は、図5に示す周辺側壁90及び92により接合した下部及び上部クラムシェル20と80との間に挟まれている。図6は、パック内のセル30を可視化するために、多数の部品(側壁90及び92を含む)を省略したパックを示す。セル30は平行な複数の軸に沿って整列しており、直線かつ平行な列のアレイで配列している。下部及び上部クラムシェル20及び80は、バッテリーパック21を形成するために個々のセル30を電気的に接続する母線を備える。
当業者であれば、セルが円筒以外の形状、例えば立方体、角柱、又はパウチ状のセルであってもよいことは理解しているものとする。しかし、円筒状セルは比較的低コストで、エネルギー密度が高いため、バッテリーパックに使用するには魅力的な選択肢となる。更に、円筒状セルは、パウチ状セルや立方体状セルなどの他のセル形状より大量生産が容易であり、自立している(パウチ状セルは担体や支持体を必要とする一方で、角柱状セルも自立型である)。実施形態の例では、セルは18650又は2170リチウムイオンセルである。
【0053】
図7はバッテリーパック21の下部クラムシェル20の斜視図である。下部クラムシェル20は、円形ソケット22の形態である凹部のアレイを有するプレートである。各ソケット22の基板は内向きに突出したフランジから成り、これはクラムシェル20を貫通する開口を包囲する。各ソケット22は、対応する円筒状セル30の端部を受け入れるように構成している。図示の例では、ソケット22は、各列の長さが13個のソケット分である16個の平行な列を有するアレイ状に配置している。各列のソケット22は、隣接する1つの列又は複数の列のソケットに対して千鳥状に配置しており、そうすることで、ほとんどのソケット22はそれぞれ、1つ又は2つの隣接する列の一対のソケット22の間に入れ子状になっている。これにより、スペース効率及び電力密度は最大になるが、セル30を正しい動作温度に維持するという課題が増える。
当業者であれば、任意の適当な長さを有する任意数のセル列をバッテリーパック21に使用できることは理解しているものとする。バッテリーパック21内の個々のセル30の数を増やすと、バッテリーパック21の全体的な容量及び/又は電圧が増加する。更に、バッテリーパック21内のセル30は、垂直方向に積んだバッテリーパック内に垂直方向に配置してもよい。
【0054】
バッテリーパック21の製造には、1つ以上のセル30、例えば図8に示すセルのアレイを設ける工程が含まれる。実施形態の例では、複数のセル30を下部クラムシェル20の対応するソケット22に挿入する。セル30はソケット22を用いて配置し、下部クラムシェル20の下面に位置する母線(図示せず)を個々のセル30に接続する。
多くのバッテリーセル製造業者は、熱伝搬を防止するために、セル間の間隔距離を最小の2mmにすることを推奨している。当業者であれば、推奨されたセル間の最小間隔を維持しながら所与の体積に複数の円筒状セルを詰め込むには、円筒状セルを千鳥状に緊密に詰め込んだアレイが最も体積的に効率的な方法であることは認識しているものとする。本明細書に記載した可撓性ダクト50の壁厚は10μm~150μmであり、ダクト50は隣接する円筒状セル30間の2mmの千鳥状流路内に容易に収められる。先行技術の熱管理システムは通常、ダクトを収容するためにセル間の間隔を広げ、パック全体の寸法を増加させ、体積エネルギー密度を低下させる必要がある。本発明は、この点で現在の技術水準を大幅に改善する。更に、本発明により、セル製造業者が推奨する最小の間隔限度で、隣接するセル30を離すことが可能となる。
【0055】
図9は、温度センサ40、例えばサーミスタのアレイを、バッテリーパック21内の好適な間隔で選択したセル30に接続する方法を示している。組み立て中、温度センサ40に取り付けたケーブル42は放置しておく。これにより、上部クラムシェル80をバッテリーパック21に固定する際に、ケーブル42を上部クラムシェル80に固定することが可能となる。温度センサ40は、バッテリーパック21内の個々のセル30の温度を監視し、温度の測定値を制御モジュール27に提供する。セル30の温度が目標動作温度から逸脱すると、制御モジュール27は、目標動作温度を維持するために熱管理システム18を調整してもよい。
当業者が理解しているように、本発明は、一般的に直線状、平行状、多岐管状及び/又は蛇行状の熱交換器/ダクトを採用するバッテリーパックに使用できる。蛇行ダクトは通常、角柱状セルと共に利用する。何故なら、角柱状セルの平面は、ダクトとの熱的接触のために大きい表面積を提供するからである。このようにして熱的接触を維持しながら、複数の角柱状セルの周囲に可撓性ダクトを蛇行させて巻き付けることは容易である。しかし、蛇行状ダクトは、ダクトが反転又は方向転換する変曲点でキンク(kinking)し易くなる。熱交換器がキンクすると、ダクト内で閉塞や圧力上昇が起こり、冷却剤の流動が邪魔されたり、妨げられたりする。キンクにより、可撓性ダクト50/230は自身で折り畳み、ダクト50/230内で閉塞が発生する可能性がある。一連の複数の屈曲全体にわたってキンクによるシステム内の圧力損失は大きくなり、熱管理システム18の全体的な性能を低下させる可能性がある。更に、圧力上昇により、ダクトの壁が伸びたり、薄くなったりし、最終的には破裂して冷却剤が損失する可能性がある。
【0056】
キンクによる閉塞は、ダクト50/230内の冷却流体を十分なレベルまで加圧し、屈曲部でも可撓性ダクト50/230が強制的に開放状態になることで解消できる。しかし、キンクを解消するために高い圧力を使用すると、可撓性ダクト50/230が伸びたり、薄くなったり、破裂する恐れがある。可撓性ダクト50/230の各屈曲部でキンクを解消するために必要な圧力は、可撓性ダクト50/230が破裂することなく耐えられる圧力を超えることも多い。
可撓性ダクト50/230がバッテリーパック21内のセル30の間及び/又はその周囲で蛇行経路を辿ることになる実施形態では、ダクトのキンク及び/又は破壊を防ぐために、ダクト50/230を角部で安全に支持する方法を提供することが必要である。図10に示すように、可撓性ダクト50/230が方向転換する場所、すなわちキンクし易い場所で、ガイドとして支持構造体70をバッテリーパック21内で使用する。支持構造体70は、可撓性ダクト50/230がセル30のアレイから出て、方向を反転する場所であるバッテリーパック21の端縁に配置する。図10は、セル30の周囲でバッテリーパック21上に位置する支持構造体70を示す。支持構造体70は、ダクト50/230がセル30のアレイから出て再び入る各位置において、バッテリーパック21の互いに反対側の面に沿って位置する。
【0057】
可撓性ダクト50/230がセル30のアレイから出てきて方向転換する場所である、可撓性ダクト50/230をガイドするためにバッテリーパック21の互いに反対側の面に、対応する支持構造体70が位置する。この目的のために、図11に示すように、支持構造体70は可撓性ダクト50/230のためのガイド経路74を画成する。ガイド経路74は可撓性ダクト50/230が挿入され得る細長い溝又は流路であり、その後、可撓性ダクト50/230はキンクすることなく方向転換するようにガイド経路74を辿る。支持構造体70のガイド経路74は、内側ガイド形成体72の内側支持面77と外側ガイド形成体79の外側支持面78との間で画成される。
可撓性ダクト50/230は非膨張状態で支持構造体70に挿入し、ガイド経路74を辿ることが可能である。ガイド経路74は、余分の長さ(excess length)の可撓性ダクト50/230を収容するような形状にする。可撓性ダクト50/230に余分の長さを与えることで、可撓性ダクト50が膨張して張力が掛かるときにキンクを軽減する若干のたるみが生じる。可撓性ダクト50/230は、組み立てを容易にするために非膨張状態でガイド経路74に挿入する。しかし、当業者であれば、可撓性ダクト50/230を加圧して可撓性ダクト50/230にある程度の剛性を与え、組立を容易にするために、少量の動作流体を使用してもよいことは理解しているものとする。動作流体は、例えば空気又は冷却流体であってもよい。
【0058】
ダクト50/230を、キンクすることなく可撓性ダクト50/230を180°から連続して90°にスムーズに曲げることをガイドするために、内側支持面77の曲げ半径が十分に大きくなるように、内側ガイド形成体72の寸法を設定する。図11に示すように、内側支持面77は、2つの円弧状にした端縁75の間に平面状の細長い刻面73を有する。この細長い刻面73は、支持しなければ最もキンクしやすい位置で、可撓性ダクト50/230を直線状にして支持する役割を担う。
円弧状にした端縁75の反対側の外側ガイド形成体79における切欠状凹部76は、可撓性ダクト50/230の余分の長さに画成されたたるみを収容するために、外側支持面78の一部を形成する。具体的には、円弧状端縁75の周囲で曲げた可撓性ダクト50/230のたるみ部分は、円弧状端縁75から離れるように引いたり、凹部76の中に押し込むことが可能である。可撓性ダクト50/230を膨張させる前に、このように可撓性ダクト50/230を凹部76に押し込むことで、円弧状端縁75において可撓性ダクト50/230にたるみを生じさせる。膨張前に可撓性ダクト50/230にこのたるみを与えることは、膨張させたときにダクト50/230のキンクを軽減し易くするので、有利である。切欠状の凹部76は、外側ガイド形成体79の外側支持面78に設けられた凹部であり、ダクト50/230を部分的に受け入れて、円弧状端縁75の周囲たるみを生じさせることに適した形状であれば、どのような形状であってもよい。
【0059】
当業者が理解しているように、バッテリーパック21がほぼ屈曲した部分を含まないか、及び/又は、キンクし難い場合(例えば、非蛇行又は全体的に直線状のダクトを使用する場合)には、支持構造体は概ね必要ない。バッテリーパック21の製造には、可撓性ダクト50/230と1つ以上のセル30の少なくとも1つとの間で熱交換が可能になるように、可撓性ダクト50/230を1つ以上のセル30の少なくとも1つの表面に近接して配置する工程が含まれる。図12は、セル30のアレイに挿入される可撓性ダクト50/230を示す。ダクト50/230は、冷却流体20がバッテリーパック21内で運ばれるように、バッテリーパック21内に蛇行して配置する。具体的には、ダクト50/230は、セル30の隣接する列の間に延在する一連の全体的に直線状の肢部を有する。ダクト50/230の肢部は屈曲部と交互になっており、当該屈曲部では、ダクト50/230がセル30のアレイから出てきて、方向を反転させてセル30の次の一対の列に沿って、かつその間に延在する。
【0060】
可撓性ダクト50/230の蛇行配置により、バッテリーパック21内で可撓性ダクト50/230が全てのセル30と確実に熱的接触するようになる。可撓性ダクト50/230は、例えば、ポリエステル、LDPE、LLDPE、HDPEなどのプラスチック材料もしくは他のプラスチック材料、又は可撓性があり、冷却剤の圧力に耐えられるポリマー系材料の膨張性リボンであってもよい。膨張性プラスチック材料は、材料が内因的に電気的に絶縁されており、軽量で、腐食せず、グリコール‐水混合液などの冷却剤と化学的に相互作用しないので有利である。
可撓性ダクト50/230は流入口52及び流出口54を装着している。使用時には、流入口52及び流出口54はポンプ25に接続する。ポンプ25は、冷却剤が可撓性ダクト50/230を流動するように、可撓性ダクト50/230内の冷却剤の流動を誘導するように構成している。熱管理システム18内の冷却剤を大気圧を超える圧力になるように加圧すると、可撓性ダクト50/230が膨張し、円筒状セル30の形状と一致する。冷却剤を加圧する方法の詳細は、以下で更に詳細に説明する。
【0061】
図12で最もよく分かるように、ノズルは、それぞれ流入口52及び流出口54の可撓性ダクトに接続している。ノズルは熱管理システム18の冷却剤ループ183に取り付けられるように構成し、そうすることで冷却流体が熱管理システム18の周囲で搬送できる。流入口10及び流出口ノズルに接続した可撓性ダクト50の領域は、ダクト50/230が破裂又は過度に膨張することを防止するために強化してもよい。ダクト50/230の端部をより強度の高いプラスチック材料から製造することにより、又は、可撓性ダクト50/230全体にわたって材料の外部スリーブを設けて流入口52又は流出口54の領域での可撓性ダクト50/230の膨張を防止することにより、ダクト50/230を強化してもよい。
図9に示すダクト50/230は、単一腔型拡張性ダクト50/230である。しかし、図10を参照すると、多腔型拡張性ダクト223は熱管理システム18に使用してもよい。多腔型ダクト223は流入口路221及び流出口路220から成る。流入口路221及び流出口路220は、バッテリーパック21の中で冷却流体を運ぶように構成している。これは、バッテリーパック21全体にわたって熱エネルギーの分布を改善するので、大型のバッテリーパック21での使用に有利である。大型のバッテリーパック21では、単一腔型ダクト50/230はダクト50/230内の下流に配置したセル30を十分に冷却又は加熱できない可能性がある。この問題は、バッテリーパック21全体にわたって、より均一な温度分布を提供する多腔型ダクト223の使用を経て解消される。
【0062】
多腔型ダクト223は単一腔型ダクト50/230と同じプラスチック材料から製造する。多腔型ダクト223を形成するために、流入口及び流出口路221及び220の間にシール222を形成する。シール222は、ダクト223のプラスチック材料を融解して結合を形成することにより形成してもよい。多腔型ダクト223の動作は、多腔型ダクトの冷却剤の流動が双方向であることを除いて、単一腔型ダクト50/230とほぼ同じである。また、多腔型ダクト223は、単一腔型ダクト50/230と同様の方式で支持構造体70の内側に配置してもよい。更に、多腔型ダクト223は、ダクト223が拡張してセル30の表面形状に一致するように、上述のような冷却流体により加圧してもよい。多腔型ダクト223の実装では、当業者であれば、ダクト223の流入口の反対側にあるダクト223の端部に多岐管を配置することは理解しているものとする。多岐管は、冷却流体が流入口路221から流出口路220に移行することを可能にし、それにより、ダクト223内の双方向の冷却剤の流動を促進する。
図12に示す実施形態は蛇行ダクト50/230を使用しているが、当業者であれば、他のダクト形状も可能であり、本発明を実施するために使用可能であることは理解しているものとする。図14及び図15は、拡張状態の複数のほぼ直線的な単一腔型ダクト550/230を示す(明確にするために、セルは図示しない)。個々の直線状ダクト550/230それぞれは流入口552及び流出口554を介して互いに接続しており、セルの隣接する列の間に配置するようになっている。図16及び図17は、拡張状態の複数のほぼ直線的な多腔型ダクト650を示す(明確にするために、セルは図示しない)。各ダクト650の第1内腔は流入口652及び流出口654に接続する。各ダクト650の第2内腔は流入口651及び流出口653に接続する。図18及び19は、拡張状態の複数のほぼ直線的な多腔型ダクト750を示す(明確にするために、セルは図示しない)。個々の直線状ダクト750のそれぞれは流入口752及び流出口754を介して互いに接続し、セルの隣接する列の間に配置するようになっている。直線状ダクト750のそれぞれの内腔は、流入口及び流出口とは反対側にあるダクト750の端部において、互いに接続する。
【0063】
図12の実施形態に戻ると、可撓性ダクト50/230をバッテリーパック21内の所定の位置に、また複数のセル30の間/隣に配置した後、バッテリーパック筐体の構築が完了する。筐体は、図20に示す側壁90及び92を備える4つの周囲側壁により接合した下部及び上部クラムシェル20及び80から成る。側壁92は、可撓性ダクト50/230の流入口52及び流出口54に対応する2つの開口から成る。流入口52及び流出口54は側壁92の対応する開口と一致して整列する。そうすることで可撓性ダクト50/230が熱管理システム18のポンプ25及び熱交換器23に接続できる。
当業者に理解されているように、セル30が下部クラムシェル20の対応するソケット22に挿入される前に、及び/又は、可撓性ダクト50/230が複数のセル30の間及び周囲に挿入される前に、側壁90及び92のうちの1つ以上を下部クラムシェル20に取り付けることが可能である。
可撓性ダクト50/230を上述のように配置した後、上部クラムシェル80をバッテリーパック21内のセル30のアレイの頂部に配置する。母線(図示せず)を上部クラムシェル80の頂部の凹部82内に配置し、個々のセル30を電気的に互いに接続する。サーミスタ40に接続した上述のワイヤ42を上部クラムシェル80に通し、ワイヤ42は上部クラムシェル80の上面に配置した溝84に沿って延びる。
【0064】
図20に示すように、加圧多岐管100は流入口52及び流出口54を介してバッテリーパック21の可撓性ダクト50/230に接続する。閉止弁101は加圧多岐管100と流入口52及び流出口54との間で機能する。加圧多岐管100は、空気などの動作流体を周囲より高い圧力で可撓性ダクト50/230に送達することにより、可撓性ダクト50/230を加圧する。例えば、加圧多岐管100は、組立プロセス中、可撓性ダクト50/230を0.5bar~1.5barのゲージ圧に加圧する。これにより、可撓性ダクト50/230は拡張し、膨張状態になる。
このように可撓性ダクト50/230を加圧すると、ダクト50/230が拡張して、セル30の形状、特にセル30の列の起伏形状と一致する。可撓性ダクト50/230の圧力は、可撓性ダクト50/230に漏れがないことを確実にするために、製造プロセス中に所定の時間、監視してもよい。
組み立て中、閉止弁101を閉じてもよく、加圧多岐管100をバッテリーパック21から取り外してもよい。このことは、可撓性ダクト50/230を膨張状態にしながらバッテリーパック21の組み立てを継続できるので、有利である。可撓性ダクト50/230が拡張状態にあるときに、バッテリーパック21を配線し、バッテリーパック21にポッティング材料を添加する工程を実施することは有益である。何故なら、可撓性ダクト50/230が拡張状態にあるときにセル30を所定の位置に固定できるからであり(後述する)、また、可撓性ダクト50/230が非拡張状態にあるときにポッティング材料を追加すると、ダクト50/230がその後に膨張することを防止できるからである。
【0065】
図21は、セル30の隣接する列の間でバッテリーパック21に挿入されたときの、非拡張状態にある可撓性ダクト50/230を示す。可撓性ダクト50/230は非拡張状態ではほぼ直線状であり、それにより可撓性ダクト50/230と各セル30との間の接触面積が比較的小さくなり、接触面積は基本的にセル表面に対して接面であり、周方向に大きく延在することなく各セル30に沿って狭い帯として延在する。
【0066】
図22は拡張した動作状態の可撓性ダクト50/230を示す。使用前に動作流体により、又は使用中に冷却剤により可撓性ダクト50/230を加圧すると、可撓性ダクト50/230は拡張して、セル30の列の起伏形状に一致する。図22から分かるように、拡張状態では、可撓性ダクト50/230は個々のセル30の形状に、更に完全に一致し、それにより、ダクト50/230とセル30との間の熱的接触面積が増加する。ダクト50/230内の加圧した冷却剤も、ダクトと各個別セル30との間の接触圧力を高め、ダクトと各個別セル30との間の熱的接続を改善する。更に、天然の流動の乱れにより、ダクト50/230内の冷却剤の流動が強く混合される。
【0067】
図23は、支持構造体70のガイド経路74の内側に配置した非膨張状態の可撓性ダクト50/230を示す。図24は、凹部76に取り込まれている可撓性ダクトのたるみを示す。図25は、支持構造体70及びセル30の内側における膨張状態の可撓性ダクト50/230を示す。
可撓性ダクト50/230をガイド経路74内に最初に配置するとき、図23に示すように、可撓性ダクト50/230を凹部76内に配置するために、長尺状ロッド又はツール120を使用してもよい。可撓性ダクト50/230にたるみが生じるように、長尺状ロッド又はツール120は可撓性ダクト50/230を凹部76内に押し込む。特に、可撓性ダクト50/230が膨張して張力が掛かったときに、可撓性ダクト50/230がキンクしないように、円弧状の端縁75の領域にたるみを生じさせる。
ダクト50/230が膨張した状態にあるとき、可撓性ダクト50/230の張力はダクト50/230の余裕のあるたるみを奪う。ダクト50/230で余裕のあるたるみが奪われると、図23に示すように、可撓性ダクト50/230は凹状の切欠76から引っ張られる。膨張状態では、ダクト50/230は、内側支持面77にある円弧状端縁75に接触し、長尺状刻面73に支持される。
アレイの各列の端部に位置したセル130の、ダクト50/230との熱的接触面積がアレイの中央に配置したセル30とほぼ同じになるように、支持構造体70の寸法を設定する。この寸法設定は、バッテリーパック21全体にわたって均一な温度分布を促進し、よってバッテリーパック21の寿命を延ばすので、有利である。ダクト50/230の、端部セル130との熱的接触面積がアレイ内に配置したセル30とほぼ同じになるように端部セル130の一部をダクト50/230との熱的接触から遮断又は断熱することで、支持構造体70はこの寸法設定を達成する。
【0068】
図23~25に示すように、外側支持面78の端部は端部セル130に当接しており、ダクト50/230がアレイから出てくる位置から、ダクト50/230が再びアレイに入る位置まで、外側支持面78によりガイド経路74の外側屈曲部が画成されるようになっている。外側支持面78は、セル130の外側を包み込むようにしてダクト50/230の膨張を防止し、これにより端部セル130の、ダクト50/230との熱的接触を増加させる。
同様に、内側支持面77の一端は端部セル130に当接している。端部セル130と当接している内側支持面77の端部はダクト50/230を支持し、それにより、ダクト50/230が膨らんで端部セル130を包み込むことが防止される。内側支持面77の他の端部110は別の端部セル130の表面を部分的に辿り、それにより、端部110は端部セル130を包み込み、断熱障壁を形成するようになる。内側支持面77の端部110は端部セル130の外表面を部分的に包み、それにより、ダクト50/230がガイド経路74の内側に配置されると、ダクト50/230が端部110の領域で端部セル130に接触しないようになる。当業者であれば、部分110が端部セル130の周囲に延在する範囲は、ダクト50/230とセル30との熱的接触に依存することは理解しているものとする。ダクト50/230がアレイ内の任意の他のセル30よりも端部セル130に接触しないことを確保するために、部分110は端部セル130の周囲に十分に延在する。
支持構造体70は、ダクト50/230がアレイから出てきて方向を反転させる位置で、ダクト50/230のキンクを軽減する役割を担う。ガイド経路74は、ダクト50/230がアレイから出てきた位置からダクト50/230が再びアレイに入る位置まで辿るダクト50/230の流路を画成する。ガイド経路74は、ダクト50/230の過剰な膨らみ及び/又は破壊を防止する。
【0069】
下部及び上部クラムシェル20及び80上のソケット22は、個々のセル30に対して隙間嵌めを有するように寸法設定する。これは、自動化した製造プロセスにより個々のセル30をソケット22内に容易に配置できるようになるので有利であるが、セル30が対応するソケット22内で動く可能性があり、セル30を母線に接続するために例えば超音波ワイヤ結合を利用してバッテリーパック21を配線する際には、望ましくない。何故なら、超音波ワイヤ結合プロセスがセルと母線の間に質の高い電気的接続を形成するためには、セルと母線の両方が機械的に剛性でなければならないからである。この問題を解消するためには、個々のセル30を所定の位置に接着して、個々のセル30と下部及び上部クラムシェル20及び80との間に強力な機械的接続を確保する工程が先行技術で公知である。しかし、この工程は、製造プロセスにおいては追加的かつ非効率的工程である。可撓性ダクト50/230を加圧することは、可撓性ダクト50/230を拡張させて個々のセル30の形状に一致させるだけでなく、個々のセル30をソケット22内の所定の位置に固定する。従って、膨張した可撓性ダクト50/230は、セル(単数又は複数)と母線(単数又は複数)との間に電気的接続を形成しつつ、セル(単数又は複数)30を所定の位置に固定するために使用できる。膨張したダクト50/230を使用してセル30を所定の位置に固定することにより、クラムシェル20及び80の所定の位置に個々のセル30を接着する必要がなくなる。
【0070】
個々のセル30は、自動化した超音波ワイヤ結合プロセスを介して配線してもよい。このプロセスは、下部及び上部クラムシェル20及び80の両方に行う。当業者であれば、個々のセル30が任意の他の好適なプロセスにより配線可能であることは理解しているものとする。更に、制御モジュール27は組立プロセスのこの段階で母線に接続する。組立プロセスの継続に先立って正しく接続されたことを確認するための質保証工程として、組立プロセスのこの段階で、バッテリーパック21のインライン電子試験を実施してもよい。個々のセル30を所定の位置に固定するように可撓性ダクト50/230が拡張状態であるときに、ワイヤ結合プロセスを行うことが、結合の質を向上させるために望ましい。更に、ポッティング材料は、アルミニウム製超音波ワイヤ結合を外部の湿気から保護し、ワイヤ結合の電解腐食を防止する役割を担う。
【0071】
バッテリーパック21の製造には、ダクト50/230の少なくとも一部の支持体として機能するように構成したポッティング材料を設ける工程が含まれる。好ましい実施形態では、ポッティング材料は拡張性ポリウレタンフォームなどの泡沸性フォームであるが、熱硬化性プラスチック、シリコーンゴムゲル、エポキシ樹脂などの他のポッティング材料を使用してもよい。
ポッティング材料は、筐体が完成した後、またワイヤ結合が完了した後に、液体又は粘性状態でバッテリーパック21に注入する。泡沸性フォームなどの拡張性ポッティング材料の場合、拡張性ポッティング材料が膨張してバッテリーパック21内の隙間を満たすことにより、可撓性ダクト50/230及び個々のセル30がポッティング材料に包囲されるようになる。完全に拡張すると、バッテリーパック筐体内の容積は、セル30、支持構造体70、ダクト50/230、及びポッティング手段でほぼ満たされる。注入後に、拡張可能なポッティング材料は液状から拡張し、剛体化することで、バッテリーパック21内の熱伝播を軽減及び/又は防止できる。拡張性ポッティング材料は、例えば最大1000℃の高温に曝されると炭化するように設計したポリウレタンフォームであってもよい。これは、純炭素の炭層が優れた断熱体として機能し、それにより高エネルギーの熱現象がバッテリーパック21を伝番することを防止できるので、有利である。このように、バッテリーパックは難燃性である。
【0072】
ポッティング材料は、ダクト50/230が膨張状態のときに、バッテリーパック21内に注入する。ポッティング材料は膨張したダクト50/230の周囲で剛体化し、それにより、ポッティング材料内に空洞ができて、ダクト50/230が空洞内に配置される。この空洞によりダクト50/230を外部から全面的に支持し、それによりダクト50/230が過剰膨張及び/又は破裂することを防止する。ポッティング材料はほぼ剛体化し、ダクト50/230を所定の位置に固定し、ダクト50/230の外部支持体としても機能し、ダクト50/230を機械的に支持する。ポリウレタンフォームは水系ゲルやシリコーンゲルなどの他のポッティング材料と比較して、空気含有量が多いために極めて軽量であることから、有利である。
ポッティング材料がキュアリング又は硬化した後、当該ダクト50/230又は各ダクト50/230は、ポッティング材料への接着を介して開放構成で維持する。これは、動作流体がダクト50/230の内部から除去され、ダクトは開放構成のままであることを意味する。
【0073】
バッテリーパック21内にフォームなどのポッティング材料を使用しても、バッテリーパック21は外部環境から断熱される。これは、熱管理システム18が(外部環境要因とは対照的に)バッテリーパック21の卓越した熱調節装置であり、熱管理システム18の全体的な制御を容易にすることを意味し、有利である。バッテリーパック21を絶縁することにより、バッテリーパック21の熱的な「耐久性」が向上し、バッテリーパック21を持続的な低温又は高温環境条件で使用していないときに、バッテリーパック21の間欠的な冷却の必要性が低減される。バッテリーパック21内のフォームはバッテリーパック21の内部部品への振動保護及び機械的保護も強化する。フォームが剛体化することは、フォームがセル30及び可撓性ダクト50/230をパック21内の所定の位置に固定する役割も果たすことを意味する。これは、バッテリーパック21が持続的な振動を受ける期間がある自動車の用途において、特に有利である。
【0074】
図26は、ポッティング材料を注入しているバッテリーパック21を示す。ポッティング材料は、ノズル130を用いてクラムシェル20及び80に設けた穴を介して、自動化プロセスによりバッテリーパック21内に注入してもよい。ポッティング材料は液体としてバッテリーパック21に流入し、それによりバッテリーパック21が液体で充満する。その後、ポッティング材料は時間の経過と共に剛体化する。図23に示すように、制御モジュール27を側壁92に固定し、制御モジュール27もポッティング材料で充満させる。
バッテリーパック21がポッティング材料で充満すると、下部及び上部クラムシェル20及び80は外装により覆われる。外装は、ポッティング材料が剛体化する前にバッテリーパック21上に配置するシート状金属部品である。ポッティング材料として泡沸性フォームを使用する場合、フォームは固化するときに拡張して外装に接触する。ポッティング材料はキュアリングすると接着剤として機能し、それにより外装をバッテリーパック21に固定する。1実施形態では、外装は、外部締め具及びポッティング材料によりバッテリーパック21に固定する。別の実施形態では、外装は硬化/固化/キュアリングしたポッティング材料だけでバッテリーパック21に固定する。
【0075】
図27~29は熱管理システム18の模式図である。熱管理システム18はリザーバ150、ポンプ25、熱交換器23、バッテリーパック21、三方制御弁180、及び制御モジュール27に接続した切替モジュール181を備える。リザーバ150は冷却流体151を貯留するように構成したタンクである。リザーバ150内の流体を冷却剤ループ183に導入して冷却剤ループ183を加圧することができるように、リザーバ150は冷却剤ループ183と選択的に流体連通している。同様に、必要に応じて冷却剤ループ183内の圧力を下げるために、冷却剤ループ183から冷却流体を除去してもよい。リザーバ150が満杯でないときに、空気152のポケットを冷却剤151の上方に配置できるように、リザーバ150を更に大気と連通させてもよい。リザーバ150内の冷却剤151の量が閾値を下回った場合、バッテリーパック21の使用者は冷却剤151をリザーバ150内に導入してもよい。
三方制御弁180は、冷却剤ループ183と流体連通しているリザーバ150と選択的に係合するように制御可能である。更に、バッテリーパック21がオフになったときに冷却剤が冷却剤ループ183の周囲を流動できないように、三方制御弁180は冷却剤ループ183を閉じるように作動してもよい。
リザーバ150は部分的に冷却流体151を充填し、部分的に空気152を充填している。冷却剤ループ183内の冷却剤がリザーバ150内の冷却剤151の圧力により静水圧を受けるように、リザーバ150は、冷却剤ループ183の鉛直上方で冷却剤ループ183と流体連通するように位置してもよい。あるいは、リザーバ150内の空気152が加圧されて、リザーバ150内の冷却剤151に力が掛かり、次に冷却剤ループ内の冷却剤に力が掛かるようにしてもよい。
【0076】
図27は、三方制御弁180が閉じている非動作状態の熱管理システム18を示す。非動作状態では、制御弁180は閉じており、閉じた冷却材ループ内の圧力は所望の動作圧力で維持する。
図28を見ると、加圧サイクルを稼働することにより熱管理システム18を加圧してもよく、このサイクルではリザーバ150からの冷却流体151を冷却剤ループ183に引き入れ、ループ183内の冷却液の圧力を上昇させる。加圧サイクルを稼働する際、切替モジュール181は、3つの弁のうち2つを開口させるように三方制御弁180を作動させ、リザーバ150とポンプ25との間に流路が設けられるようにする。第3の弁部材は冷却材ループ183を遮断するように閉じている。同時に、ポンプ25を駆動してポンプ25内に圧力差を生じさせ、それにより流体がリザーバ150から冷却剤ループ183内に引き込まれる。リザーバ150から冷却剤ループ183内に流体151を引き込むことで、冷却剤ループ183内の圧力が上昇する。リザーバを介してダクトを加圧すると、ダクトが自立するため、ポンプからの流体力学的圧力損失がなくなり、冷却システム内の圧力低下が概ね低減される。
圧力センサ(図示せず)は加圧サイクル中、冷却剤ループ183内の圧力を監視し、冷却剤ループ183内で所望の圧力が達成されると、リザーバ150と冷却剤ループとの間の経路が閉じるように制御弁180が作動する。同時に、熱管理システム18を非動作状態に切り替えるようにポンプ25の駆動を停止してもよいし、あるいは、ポンプ25を駆動して、熱管理システム18を動作状態で動作させるように制御弁180を作動してもよい。
【0077】
図29は動作状態の熱管理システム18を示す。動作状態では、流路が制御弁180を横切り、冷却流体が冷却剤ループ183内を循環するように制御弁180を作動する。動作状態では、リザーバ150は冷却剤ループ183と流体連通していない。冷却剤の圧力が所望の動作圧力で維持していることを確実にするために、制御モジュール27は冷却剤ループ183内の冷却剤の圧力を監視してもよい。冷却剤ループ183内の圧力が閾値を下回った場合、上述したように、加圧サイクルを稼働して冷却剤ループ183内の圧力を目標動作圧力まで上昇させてもよい。目標動作圧力は、例えば0.5bar~1.5barであってもよい。
【0078】
図30は熱管理システム18の代替的な実施形態を示す。図30に示すように、熱管理システム18はリザーバ150から上流側に位置する二方制御弁182を備える。ポンプ210はリザーバ150と二方制御弁182との間に位置する。ポンプ210は、二方向制御弁182が開口位置にあるときに、大気からリザーバ150内に空気を汲み入れることによりリザーバ150を加圧するように構成している。リザーバ150内の所望の圧力が達成されると、二方制御弁182は閉じてもよい。これにより確実に、リザーバ150内の圧力が維持される。
図30に図示したリザーバ150は、リザーバ150内の空気152の圧力により冷却剤ループ183内の圧力が維持されるように、冷却剤ループ183と一定に流体連通している。リザーバ150内の圧力を監視してもよい。リザーバ内の圧力が目標動作値を下回ると、バルブ182及びポンプ210を作動し、リザーバ150を加圧して冷却剤ループ183を目標動作圧力にしてもよい。
【0079】
当業者であれば、本願の範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正を本発明に加えられることを理解しているものとする。本明細書に記載の熱管理システムは、1つ以上の個別のセルを有するバッテリーパックであればどのような種類でも併用できる。例えば、本発明は、長距離運搬トラック用の補助動力ユニット(APU)内のバッテリーパック、バッテリー電気自動車又はハイブリッド自動車の車両用バッテリー、エネルギー貯蔵システム、又は熱管理を必要とする海洋、航空宇宙、自動車、産業及びエネルギー貯蔵分野における任意の他のバッテリーパックに採用してもよい。
可撓性ダクト50/230は、セル(単数又は複数)30を包囲する包装シースなどの接合面領域もしくは接合面材料、又は熱伝導性フィラー、ペースト、もしくは接着剤を介して、1つ以上のセル30の側面(単数又は複数)又は任意の他の表面(単数又は複数)と間接的に接触してもよい。任意選択的実施形態では、可撓性ダクトは、セル(単数又は複数)の端部表面(単数又は複数)と少なくとも部分的に接触してもよい。
【0080】
図32では、番号2000で全体的に示されるバッテリーパックの概略横断面が図示されている。バッテリーパック2000はセル2020を熱管理するために使用するダクト2011を備える。ダクト2011は、基質2002及び充填材2003から成る可撓性ダクト材料2001から成る。可撓性ダクトは空気、水、又は水‐グリコール混合液などの流体2004を運ぶ。熱は、ダクト材料2001を介してセル2020と冷却剤204との間で伝達される。
基質2002は、可撓性プラスチック又はポリマー材料であり、この場合、LDPE、LLDPE、HDPEポリエステル、シリコーン又はゴムである。基質2002は電気的に絶縁されている。基質2002の熱伝導率は15Wm-1-1未満、理想的には10Wm-1-1未満、5Wm-1-1及び/又は1Wm-1-1である。
充填材2003は、充填材料の粒子から成り、この粒子は基質2002全体に分散している。好ましい実施形態では、充填材2003は、NANOCYL(RTM)NC7000シリーズの薄い多層カーボンナノチューブから成るが、カーボン、カーボンブラック、黒鉛、黒鉛プレートレットグラフェン、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブなどの炭素系充填材料や、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、硝酸ケイ素、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化亜鉛などのセラミック充填材料といった、任意の好適な充填材料を使用してもよい。充填材料の粒子は、直径1~10nm、長さ0.5~5nmの長尺状かつ管状であってもよい。あるいは、充填材の粒子は、平均径1nm~10μmのほぼ球状であってもよい。
【0081】
充填材2003の熱伝導率は基質2002の熱伝導率より高い。理想的には、充填材2003の熱伝導率は10Wm-1-1超、及び/又は100Wm-1-1超である。ダクト材料2001は、25体積%未満の充填材2003から成り、理想的には5~18体積%又は15体積%の充填材2003から成る。限られた量の充填材2003を基質に組み込むことで、低い導電率及び好ましい機械的特性(すなわち、膨張性ダクトに適した可撓性)を維持しつつ、熱伝導率が上昇する。
この例では、ダクト材料2001の熱伝導率は、室温で0.33Wm-1-1超、理想的には1Wm-1-1超及び/又は10Wm-1-1超である。このことは、ダクト材料2011での熱伝達が従来のポリマーダクトより優れていることを意味する。ダクト材料2001の導電率は非伝導性基質2002の電気特性に支配されるため、ダクト材料2001自体は電気的に絶縁性である。ダクト材料/基質の電気的絶縁性は、金属製ダクトと比較して短絡のリスクを大幅に低減する。
ダクト2011は少なくとも部分的にポッティング材料2005に包囲されており、このポッティング材料は、ダクト2011がセル2020の壁に接触しない場所でダクト2011を強化するように機能する。基質2002内に充填材2003を組み込むと、特に高濃度の充填材2003の場合、ダクト2001の機械特性が変化する可能性がある。これが機械強度の低下につながる場合、強化材料5を用いてそのような影響を低減できる。この実施形態は、可変な壁厚の実施形態の代替として、又はそれと組み合わせて利用できる。
【0082】
ここで図33及び34を参照すると、外側ガイド形成体、内側ガイド形成体、及びそれらの間のガイド流路1205を有する別の支持構造体1201が示されている。ダクトが方向転換したときに可撓性ダクトがキンク、膨張、及び/又は破裂することを防止するために支持構造体1201を使用する。アレイの各列の端部に位置するセルがアレイの中央に配置するセルとほぼ同一のダクトとの熱的接触面積を有するように、支持構造体1201の寸法を設定する。端部セルの一部をダクトとの熱的接触から遮蔽又は断熱することにより、支持構造体1201はこの構成を達成する。
支持構造体1201の外側ガイド形成体は、外側起立体1208と、外側梱包ケースの壁1210の内面1211とを組み合わせて形成する(図34参照)。外側起立体1208は、セルのアレイの端部で少なくとも1つのセルに隣接して配置する。外側起立体1208は、セル側壁の形状に合わせて湾曲したセル当接面1235、及びセル当接面1235から延在する外側支持面1209を有するブロックである。外側起立体1208は、バッテリーパック筐体1236の下側クラムシェル1237と一体的に形成する。
【0083】
膨張性ダクトは、起立体1208の外側支持面1209、及びバッテリーパック壁1210の内側面1211の両方で支持する。外側ガイド形成体の一部としてバッテリーパック壁1210を使用すると、大型の支持構造体の必要性がなくなり、従ってバッテリーパックの幅が小さくなり、バッテリーパック内のデッドスペースがなくなる。
支持構造体1201の内側ガイド形成体は、内側起立体1206aと接合面部1206bとを組み合わせて形成する。内側起立体1206aは外側起立体1208と同様の構造である。内側起立体1206aはバッテリーパック筐体1238の下部クラムシェル1237と一体的に形成したブロックである。内側起立体1206aは、ガイド流路1205のうち外側ガイド形成体と反対側の面に配置する。内側起立体1206aは、間隔を空けて隣接する2つのセルに当接する2つの湾曲したセル当接面1239a及び1239bを有する。
内側起立体1206aは更に、セル当接面1239aと1239bとの間に延在する内側支持面1207を有する。内側起立体1206aの内側支持面1207はほぼ平面状の部分、及びほぼ平面状の部分からセルの側壁に向かって延在するほぼ湾曲した部分を有する。内側支持面1207は、ダクトを支持し、それにより、ダクトが膨らむことやダクトが端部セルの周囲を包むことを防止する。
【0084】
接合面部1206bは、セルの表面に接着した圧縮性パッドから成る。具体的には、パッドは連続気泡ポリ塩化ビニル(PVC)テープである。あるいは、独立気泡PVC又はポリウレタンフォームを使用することも可能であり、又は他の好適な圧縮性材料を使用できる。使用時、内側ガイド形成体の接合面部1206bは、第1部分1206aのセル当接面1239aからセルの一部の周囲に延在し、ここに接着される。可撓性ダクト(図示せず)が膨張すると、可撓性ダクトは内側起立体1206a、及び内側ガイド形成体の接合面部1206bを押圧する。
ダクトと、ダクトが取り付けられた周囲セルとの間の熱的接触を制限するため、接合面部1206bを利用する。接合面部1206bは端部セルの外面を包み、そうすることで、ダクトをガイド経路1205内に配置している場合に、ダクトは接合面部1206bの領域で端部セルに接触しないようになる。当業者であれば、接合面部1206bが端部セルの周囲に延在する範囲はダクトとセルとの間で必要な熱的接触に依存することは理解しているものとする。ダクトがアレイ内の他のセルよりも多く端部セルに接触しないことを確実にするために、接合面部1206bは十分に端部セルの周囲に延在する必要がある。
当業者であれば、内側起立体1206a及び接合面部1206bが両方とも圧縮可能であってもよく、及び/又は、互いに一体的に接続してもよいことは理解しているものとする。接合面部1206bは下部クラムシェル1237と一体的に形成してもよい。
【0085】
次に、図35~37を参照すると、一般的に参照番号1301で示される、支持構造体の更に別の実施形態が示されている。本実施形態の支持構造体1301は外側ガイド形成体1308、内側ガイド形成体1306、及びその間のガイド流路1305を有する。支持構造体1301は、可撓性ダクトが方向転換する際にキンク、膨張、及び/又は破裂することを防止するために使用する。アレイの各列の端部に位置するセルの、ダクトとの熱的接触面積がアレイの中央に配置したセルとほぼ同一になるように、支持構造体1301の寸法を設定する。支持構造体1301がこの構成を達成するには、端部セルの一部をダクトとの熱的接触から遮蔽又は断熱する。
支持構造体1301の外側ガイド形成体は第1外側起立体1308a、第2外側起立体1308b、及び外側梱包ケースの壁1310の内面1311の組み合わせから形成している(図35参照)。第1及び第2起立構造体1308a及び1308bは離間させ、その両方を支持構造体基板1312に接続する。バッテリーパック筐体1338の下部クラムシェル1337はセルのアレイの端縁で支持構造体基板1312を収容するための適当な凹部を備えてもよいが、任意選択的な実施形態では、支持構造体1301を下部クラムシェル1337と一体的に形成してもよい。
第1外側起立体1308a、第2外側起立体1308b、及びバッテリーパック壁1310の内側表面1311により膨張性ダクトを支持する。外側ガイド形成体の一部としてバッテリーパック壁1310を使用すると、大型の支持構造体の必要がなくなり、従って、バッテリーパックの幅が小さくなり、バッテリーパック内のデッドスペースがなくなる。
【0086】
起立構造体1308a及び1308bは湾曲しており、ガイド形成体1305の角部を画成する。起立構造体1308a及び1308bの間の隙間は、バッテリーパック内にダクトを配置する際に支持構造体1301内で余分の長さのダクトを引っ張るために使用できる。ダクトが端部セルの外側を包み込み、端部セルのダクトとの熱的接触が増加するように、第1外側起立体1308a及び第2外側起立体1308bはダクトの拡張を防止する。
支持構造体は、可撓性ダクトを支持するに十分な剛性を有する任意の好適な剛性、半剛性、又は圧縮性材料、例えば金属、プラスチック、又はゴムから作製できる。重要な例では、支持構造体はバッテリーパック内で使用するポッティング材料から作製するか、又はバルクポッティング化合物と類似の熱伝搬防止特性を有する。例えば、支持構造体は、ポッティング材料を好適な鋳型に流し込むことにより、又は例えば事前にキュアリングした断熱フォームのブロックから支持構造体を切り出して製造可能である。あるいは、バッテリーパックの壁、例えば上部又は下部クラムシェルのいずれかと一体的に形成することも可能である。このような例では、支持構造体は、バッテリーパック内への挿入とは対照的に、プラスチックシェルから押し出される。
【0087】
前述の本発明の説明では、反論がない限り、パラメータの許容範囲の上限又は下限の代替値の開示は、その値の1つが他の値より顕著に好ましいという指摘と合わせて、以下の示唆として解釈すべきである。代替値のうちより好ましい値とあまり好ましくない値との間にあるパラメータの各中間値はそれ自体、あまり好ましくない値や、あまり好ましくない値と中間値との間にある各値よりは好ましい。
前述の説明又は以下の図面に開示した特徴は、それらの具体的な形態で、あるいは開示された機能を実行するための手段又は開示された結果を達成するための方法もしくはプロセスの観点から、適宜表現している。それらの特徴は別々に、又はそのような特徴を任意に組み合わせて、添付の特許請求の範囲に定義しているような多様な形態で本発明を実現するために利用してもよい。
図1
図2
図3
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図35
図36
図37
【手続補正書】
【提出日】2020-09-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源の表面領域の少なくとも一部と係合可能なダクトであって、
前記ダクトは、第1係合位置から、前記ダクトと前記熱源との間の少なくとも1つの最終係合位置まで、前記熱源の長さの全部又は一部に沿う前記熱源の前記表面領域の少なくとも一部に沿って延在可能であり、かつ前記熱源の前記表面領域の少なくとも一部と係合可能であり、
熱伝達流体は、前記ダクト及び前記熱源の係合可能な表面領域の近傍で前記熱伝達流体を介して前記ダクトと前記熱源との間で熱を伝達できるように、前記ダクトの内部導管に沿って流動可能であり、
前記ダクトは、前記ダクトと前記熱源との前記係合可能な表面領域の間で前記熱伝達流体を介して熱伝達を変更できる可撓性ダクトであることを特徴とする、
ダクト。
【請求項2】
前記ダクトは、前記ダクトの長さに沿って、前記ダクトと前記熱源との前記係合可能な表面領域の間で前記熱伝達流体を介して熱伝達を変更できるように構成している、請求項1に記載のダクト。
【請求項3】
前記熱源は1つ以上のセルから成るバッテリーパックを備える、請求項1又は2に記載のダクト。
【請求項4】
前記ダクトは、前記ダクトと前記熱源との間で熱交換できるように、前記熱源の前記表面に近接している、請求項1~のいずれか1項に記載のダクト。
【請求項5】
前記ダクトは、前記ダクトと前記1つ以上のセルのうちの少なくとも1つとの間で熱交換できるように、前記1つ以上のセルの表面に近接している、請求項1~のいずれか1項に記載のダクト。
【請求項6】
記ダクトの少なくとも一部の支持体として機能するように構成したポッティング手段が設けられる、請求項1~のいずれか1項に記載のダクト。
【請求項7】
前記ダクトは、前記熱伝達流体を流入口から流出口に運び、前記熱伝達流体を介して前記熱源と前記ダクトとの間で、それらの係合可能な接触面において熱エネルギーを伝達するように構成しており、前記流入口における前記ダクトの熱抵抗は前記流出口における前記ダクトの熱抵抗より高い、請求項1~のいずれか1項に記載のダクト。
【請求項8】
前記ダクトは、前記熱伝達流体を前記流入口から前記流出口に運び、前記熱伝達流体を介して前記1つ以上のセルと前記ダクトとの間で、それらの係合可能な接触面において熱エネルギーを伝達するように構成しており、また前記流入口における前記ダクトの前記熱抵抗は、前記流出口における前記ダクトの前記熱抵抗より高い、請求項1~のいずれか1項に記載のダクト。
【請求項9】
前記ダクトの前記熱抵抗を前記ダクトの前記長さに沿って線形又は非線形に変化させ、そうすることで、前記ダクトの前記熱抵抗が減少するにつれ、前記熱伝達流体と前記熱源/セルとの間の温度差も減少し、それにより前記ダクトの前記長さに沿って均一な電力放散を促進する、請求項1~のいずれか1項に記載のダクト。
【請求項10】
前記ダクトの壁厚は前記流出口に比べて前記流入口でより厚い、請求項又はに記載のダクト。
【請求項11】
前記ダクトの前記壁厚は前記ダクトの縦方向の長さに沿って線形又は非線形に変化する、請求項1~10のいずれか1項に記載のダクト。
【請求項12】
前記ダクトの前記縦方向の長さに沿って電力放散がほぼ一定になるように、前記壁厚を変化させる、請求項1~11のいずれか1項に記載のダクト。
【請求項13】
前記1つ以上のダクトは蛇行ダクトである、請求項1~12のいずれか1項に記載のダクト。
【請求項14】
前記1つ以上のダクトは多岐ダクトである、請求項1~13のいずれか1項に記載のダクト。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の熱源及びダクト。
【請求項16】
複数のダクトを備える請求項15に記載の熱源及びダクト
【請求項17】
熱源の熱伝達を管理する方法であって、
可撓性の熱伝達ダクトと前記熱源の表面領域の少なくとも一部とを係合させる工程、
第1係合位置から、前記ダクトと前記熱源との間の少なくとも1つの最終係合位置まで、前記熱源の長さの全部又は一部に沿う前記熱源の前記表面領域の少なくとも一部に沿って前記ダクトを延在させ、その前記熱源の前記表面領域の前記少なくとも一部と前記ダクトとを係合させる工程、
前記ダクト及び前記熱源の前記係合可能な表面領域の近傍で熱伝達流体を介して前記ダクトと前記熱源との間で熱を伝達できるように、前記ダクトの内部導管に沿って前記熱伝達流体を通過させる工程、及び、
前記ダクトと前記熱源との前記係合可能な表面領域の間で前記熱伝達流体を介して熱伝達を変更できるように前記ダクトを構成する工程、を含むことを特徴とする、
方法。
【請求項18】
前記ダクトの長さに沿って、前記ダクトと前記熱源との前記係合可能な表面領域の間で前記熱伝達流体を介して熱伝達を変更できるように前記ダクトを構成する工程が含まれる請求項17に記載の方法。
【請求項19】
1つ以上のセルを有するバッテリーパックを備える熱源を設ける工程が含まれる請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記ダクトと前記熱源との間で熱交換できるように、前記ダクトを前記熱源の前記表面に近接して配置する工程が含まれる請求項1719のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記ダクトと前記1つ以上のセルのうちの少なくとも1つとの間で熱交換できるように、前記ダクトを前記1つ以上のセルの前記表面に近接して配置する工程が含まれる請求項1720のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記熱伝達流体を流入口から流出口に運び、前記熱伝達流体を介して前記熱源と前記ダクトとの間で、それらの係合可能な接触面において熱エネルギーを伝達するようにダクトを構成する工程、及び前記流入口での前記ダクトの熱抵抗を前記流出口での前記ダクトの熱抵抗より高くする工程、を含む請求項1721のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記熱伝達流体を前記流入口から前記流出口に運び、前記熱伝達流体を介して前記1つ以上のセルと前記ダクトとの間で、それらの係合可能な接触面において熱エネルギーを伝達するようにダクトを構成する工程、及び前記流入口での前記ダクトの熱抵抗を前記流出口での前記ダクトの熱抵抗より高くする工程、を含む請求項1722のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記ダクトの前記長さに沿って線形又は非線形に前記ダクトの熱抵抗を変化させることで、前記ダクトの熱抵抗が減少するにつれ、前記熱伝達流体と前記熱源/セルとの間の温度差も減少し、それにより前記ダクトの前記長さに沿って均一な電力放散を促進する工程が含まれる請求項1723のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記ダクトの壁厚を前記流出口に比べて前記流入口でより厚くなるように、前記ダクトの前記壁厚を変化させる工程が含まれる請求項1724のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記ダクトの縦方向の長さに沿って前記ダクトの前記壁厚を線形又は非線形に変化させる工程が含まれる請求項25に記載の方法。
【国際調査報告】