(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】ポリグリコール酸樹脂及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 63/06 20060101AFI20220107BHJP
C08G 63/685 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
C08G63/06
C08G63/685
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523989
(86)(22)【出願日】2018-10-29
(85)【翻訳文提出日】2021-06-22
(86)【国際出願番号】 CN2018112475
(87)【国際公開番号】W WO2020087222
(87)【国際公開日】2020-05-07
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521186328
【氏名又は名称】プージン ケミカル インダストリー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PUJING CHEMICAL INDUSTRY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Room615-618, T1, Lane166, Minhong Road, Minhang District, Shanghai 201102 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】フォン, レイ
【テーマコード(参考)】
4J029
【Fターム(参考)】
4J029AA02
4J029AB01
4J029AD01
4J029AE06
4J029EA01
4J029EA02
4J029EA03
4J029EA05
4J029EG09
4J029EH01
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4J029FC02
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4J029FC04
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4J029FC07
4J029FC08
4J029FC29
4J029HC04A
4J029JA061
4J029JA091
4J029JB131
4J029JB171
4J029JB232
4J029JB242
4J029JC142
4J029JC152
4J029JC292
4J029JF131
4J029JF141
4J029JF181
4J029JF221
4J029JF261
4J029JF321
4J029JF371
4J029KD02
4J029KD07
4J029KE02
4J029KE05
(57)【要約】
【課題】溶融粘度が低く、熱安定性が高く、溶融加工に適した分岐ポリマー樹脂を提供する。
【解決手段】構成調整剤及び任意的な末端封止剤の存在下で、開環重合によって製造される-(-OCH2-CO-)-または-(-CO-CH2O-)-繰り返し単位を含む分岐ポリマー樹脂を開示する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ以上の-(-OCH
2-CO-)-または-(-CO-CH
2O-)-繰り返し単位、及びそれぞれ以下の群から選ばれる一つ以上の結合単位を含む:
(a)結合単位1が
【化1】
であり、
(b)結合単位2が
【化2】
であり、
(c)結合単位3が
【化3】
であり、
(d)結合単位4が
【化4】
であり、そして
(e)結合単位5が
【化5】
であり、
【化6】
が複数の-(-OCH
2-CO-)-または-(-CO-CH
2O-)-繰り返し単位からなるポリマーセグメントであり;R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6が、それぞれ脂肪族または芳香族基であり;
結合単位(a)が3-20個の枝を有し、各枝(例えばn
1、n
2…n
iのそれぞれ)が1-2000個、好ましくは10-1000個の-(-OCH
2-CO-)-または-(-CO-CH
2O-)-繰り返し単位を有してもよく、
各結合単位が、共有結合によって繰り返し単位または他の結合単位とつながり;そして
25℃下で、ヘキサフルオロイソプロパノールの中で測定されるポリマー樹脂の回転半径が10-80nmである
ポリマー樹脂。
【請求項2】
前記ポリマー樹脂が、構成調整剤の存在下で、溶融状態下での環状モノマーの開環重合によって製造されることを特徴とする、請求項1に記載のポリマー樹脂。
【請求項3】
前記ポリマー樹脂が、構成調整剤と末端封止剤の存在下で、溶融状態下での環状モノマーの開環重合によって製造されることを特徴とする、請求項1に記載のポリマー樹脂。
【請求項4】
前記環状モノマーが、ラクチド、4-8個の炭素を有するラクトン、p-ジオキサノン、及び炭酸トリメチレンから選ばれることを特徴とする、請求項2または3に記載のポリマー樹脂。
【請求項5】
前記構成調整剤が、M
x-R-N
y(2≦x+y≦20)の構造式を有し、MとNがそれぞれOH、-NH
2、-N=C=O、-C(O)Cl、o-二無水物、オキサゾリン、エポキシ、またはオキセタンであり、Rが脂肪族または芳香族基であることを特徴とする、請求項2または3に記載のポリマー樹脂。
【請求項6】
前記末端封止剤が、カルボジイミド化合物であることを特徴とする、請求項3に記載のポリマー樹脂。
【請求項7】
前記ポリマー樹脂が、以下の群から選ばれる特性を有する:
(a)225℃の温度及び100s
-1のせん断速度で、30-1200Pa・sの溶融粘度、
(b)280℃を超える熱安定温度、
(c)240℃で、A級の射出成形グレード、及び
(d)その組み合わせ
ことを特徴とする、請求項1に記載のポリマー樹脂。
【請求項8】
構成調整剤の存在下で、溶融状態での環状モノマーを開環重合させることを含む、請求項1に記載のポリマー樹脂を製造する方法。
【請求項9】
構成調整剤と末端封止剤の存在下で、溶融状態での環状モノマーを開環重合させることを含む、請求項1に記載のポリマー樹脂を製造する方法。
【請求項10】
(a)プレ重合反応器の中で、環状モノマーの溶融温度より高い、且つポリマー樹脂の溶融温度より低い温度下で、環状モノマー、触媒、開始剤、及び構成調整剤Aを混合することによって、溶融のプレ重合組成物を形成する;
(b)構成調整剤Bの存在下で、溶融のプレ重合組成物を重合させることによって、溶融の重合組成物を形成する;及び
(c)溶融の重合組成物を最適化させることによって、溶融のPGA樹脂を形成する
ことを含む、請求項1に記載のポリマー樹脂を製造する方法。
【請求項11】
前記溶融のポリマー樹脂を成形させることによって、PGA製品を製造することをさらに含むこと、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記環状モノマーが、ラクチド、4-8個の炭素を有するラクトン、p-ジオキサノン、及び炭酸トリメチレンから選ばれることを特徴とする、請求項8-10のいずれに記載の方法。
【請求項13】
前記構成調整剤が、M
x-R-N
y(8≦x+y≦20)の構造式を有し、MとNがそれぞれOH、-NH
2、-N=C=O、-C(O)Cl、o-二無水物、オキサゾリン、エポキシ、またはオキセタンであり、Rが脂肪族または芳香族基であることを特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【請求項14】
前記末端封止剤が、カルボジイミド化合物であることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開環重合によって得られるポリグリコール酸(PGA)樹脂の新規構造及びその製造に関する。
【背景技術】
【0002】
脂肪族ポリエステルは、分子鎖に脂肪族エステル結合を含む高分子量ポリマーであり、分子鎖の主な構造としてポリヒドロキシ脂肪酸骨格を持っている。これは、自然界(土壌や海洋など)の微生物や酵素によって生分解できる。このような分解性ポリマー材料の例としては、生合成ポリヒドロキシ酪酸、及び化学合成によって得られるポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトンなどが挙げられる。これは、一部の脂肪族ポリエステルはトリカルボン酸回路に関与し、生体内で代謝されるためである。1960年代以降、生分解性脂肪族ポリエステルは、外科用縫合糸、術後の抗粘膜、及び人工臓器に使用されてきた。薬物制御放出担体(CN1537144A)などの生物医学の分野で広く使用されている。同時に、プラスチック汚染を低減するための優れた生分解性を備えているため、薄膜、シート、ボトルなどの単層または多層構造の包装材料に広く使用されている。特に、他の生分解性脂肪族ポリエステル材料と比べると、PGA樹脂は耐熱性、ガスバリア性、機械的強度などで優れた特性を備えているため、シート、薄膜、容器、及び射出成形製品(CN1863664A)に広く使用されている。
【0003】
溶融PGA樹脂は、溶融温度が約220℃であることを特徴とする。これは、PGA樹脂が優れた耐熱性を持っていることを示している。しかし、PGAは溶融粘度が高いため、射出成形には高温高圧が必要である。これにより、成形されたPGA樹脂成形品が変形する場合がある。溶融のPGA液は、他の樹脂と混合すると、金型の中で他の合成樹脂成形品の変形を引き起こすこともある。
【0004】
これにより、溶融加工中のPGA樹脂の良好な流動性を確保するために、特に複雑な成形や、正確な寸法を必要とする成形では、通常、溶融加工温度を260-320℃に上げる必要がある。このような高い加工温度では、例えば、PGA樹脂の熱分解、成形品の着色、得られる製品の機械的強度の低下など、一連の問題が発生する。
【0005】
これまでのPGA樹脂の加工における研究では、過度の加工温度による着色や熱分解などの悪影響を避けるために、通常、ブレンド改質や共重合改質を利用してPGA樹脂の溶融レオロジーを改善し、加工温度を下げる。しかし、これらの二通りの方法はどちらも、大量の改質剤または共重合体成分の導入に大きく依存しているため、PGAホストポリマー自体の特性(ガスバリア性など)が完全に変化してしまう。
【0006】
PGA自体の特性を維持しながら、溶融成形時の流動性に優れたPGA樹脂材料の開発が期待される。中国特許CN104640684は、PGA樹脂の硬化圧出成形法を開示しており、硬化圧出成形条件を最適化することにより、240-285℃でPGA樹脂をモールドチャネルに圧出する。中国特許CN02825936Xは、PGA Tm+38℃からTm+70℃より高い熱履歴により調製された、改善された熱特性(結晶化度など)を有するPGA樹脂を開示した。結晶性PGA樹脂の溶融造粒温度は250℃まで下げることができる。
【0007】
より低い溶融粘度及びより高い熱安定性温度を有し、溶融加工に適したPGA系ポリマーは、依然として求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】CN 1537144A
【特許文献2】CN 1863664A
【特許文献3】CN104640684
【特許文献4】CN02825936X
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、新規構造を有するポリマー樹脂(またはポリグリコール酸(PGA)樹脂)及びその開環重合による製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ポリマー樹脂を提供する。上記ポリマー樹脂は、一つ以上の-(-OCH2-CO-)-または-(-CO-CH2O-)-繰り返し単位及び一つ以上の結合単位を含む。各結合単位は、以下の群から選ばれる:
(a)結合単位1は
【0011】
【0012】
であり、
(b)結合単位2は
【0013】
【0014】
であり、
(c)結合単位3は
【0015】
【0016】
であり、
(d)結合単位4は
【0017】
【0018】
であり、そして
(e)結合単位5は
【0019】
【0020】
であり、
【0021】
【0022】
は、複数の-(-OCH2-CO-)-または-(-CO-CH2O-)-繰り返し単位からなるポリマーセグメントである。R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、それぞれ脂肪族または芳香族基である。
【0023】
結合単位(a)は3-20個の枝、好ましくは3-6個の枝を有し、各枝(例えばn1、n2…niのそれぞれ)が1-2000個、好ましくは10-1000個の-(-OCH2-CO-)-または-(-CO-CH2O-)-繰り返し単位を有してもいい。
【0024】
各結合単位は、結合によって、好ましくは共有結合によって繰り返し単位または他の結合単位とつながってもいい。
【0025】
25℃下で、ヘキサフルオロイソプロパノールの中で測定されるポリマー樹脂の回転半径は、10-80nmであってもいい。
【0026】
上記ポリマー樹脂は、構成調整剤の存在下で、溶融状態下での環状モノマーの開環重合によって製造されてもいい。
【0027】
上記ポリマー樹脂は、構成調整剤と末端封止剤の存在下で、溶融状態下での環状モノマーの開環重合によって製造されてもいい。
【0028】
上記環状モノマーは、開環重合ができる環状化合物であってもいい。上記環状モノマーの例として、ラクチド、4-8個の炭素を有するラクトン、p-ジオキサノン、及び炭酸トリメチレンが挙げられる。上記構成調整剤は、Mx-R-Ny(2≦x+y≦20)の構造式を有し、MとNがそれぞれOH、-NH2、-N=C=O、-C(O)Cl、o-二無水物、オキサゾリン、エポキシ、またはオキセタンであり、Rが脂肪族または芳香族基であってもいい。上記末端封止剤は、カルボジイミド化合物であってもいい。
【0029】
上記ポリマー樹脂は、225℃の温度及び100s-1のせん断速度で測定される時の30-1200Pa・sの溶融粘度、280℃を超える熱安定温度、及び240℃でのA級射出成形グレードを有してもいい。
【0030】
本発明における各ポリマー樹脂に対し、ポリマー樹脂を製造する方法を提供する。上記方法は、構成調整剤の存在下で、溶融状態での環状モノマーを開環重合させることを含んでもいい。上記方法は、構成調整剤と末端封止剤の存在下で、溶融状態での環状モノマーを開環重合させることを含んでもいい。上記方法は、(a)プレ重合反応器の中で、環状モノマーの溶融温度より高い、且つポリマー樹脂の溶融温度より低い温度下で、環状モノマー、触媒、開始剤、及び構成調整剤Aを混合することによって、溶融のプレ重合組成物を形成する;(b)構成調整剤Bの存在下で、溶融のプレ重合組成物を重合させることによって、溶融の重合組成物を形成する;及び(c)溶融の重合組成物を最適化させることによって、溶融のPGA樹脂を形成する、ことを含んでもいい。
【0031】
上記方法は、上記溶融のポリマー樹脂を成形させることによって、PGA製品を製造することをさらに含んでもいい。
【0032】
本発明の方法によれば、上記環状モノマーは、開環重合ができる環状化合物であってもいい。上記環状モノマーの例として、ラクチド、4-8個の炭素を有するラクトン、p-ジオキサノン、及び炭酸トリメチレンが挙げられる。上記構成調整剤は、Mx-R-Ny(2≦x+y≦20)の構造式を有し、MとNがそれぞれOH、-NH2、-N=C=O、-C(O)Cl、o-二無水物、オキサゾリン、エポキシ、またはオキセタンであり、Rが脂肪族または芳香族基であってもいい。上記末端封止剤は、カルボジイミド化合物であってもいい。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の主な目的は、-(-OCH2-CO-)-または-(-CO-CH2O-)-繰り返し単位及び構成調整剤結合単位を含有する新規なポリマー樹脂、及びこのポリマー樹脂を製造する方法を提供することである。
【0034】
本発明の一つの目的は、構成調整剤の存在下で、環状モノマーを開環重合させることによって製造されるポリマー樹脂を提供することであり、25℃下で、ヘキサフルオロイソプロパノールの中で測定される上記ポリマー樹脂の回転半径は10-80nmである。
【0035】
本発明は、一つ以上の-(-OCH2-CO-)-または-(-CO-CH2O-)-繰り返し単位、及び以下の群から選ばれる一つ以上の結合単位を含むポリマー樹脂を提供する:
(a)結合単位1は
【0036】
【0037】
であり、
(b)結合単位2は
【0038】
【0039】
であり、
(c)結合単位3は
【0040】
【0041】
であり、
(d)結合単位4は
【0042】
【0043】
であり、
(e)結合単位5は
【0044】
【0045】
であり、
【0046】
【0047】
は複数の-(-OCH2-CO-)-または-(-CO-CH2O-)-繰り返し単位からなるポリマーセグメントであり;R1、R2、R3、R4、R5、及びR6が、それぞれ脂肪族または芳香族基である。結合単位の各構造は、開環重合過程で使用される構成調整剤の残基から誘導されてもいい。
【0048】
結合単位(a)は3-20個の枝、好ましくは3-6個の枝を有し、各枝(例えばn1、n2…niのそれぞれ)が1-2000個、好ましくは10-1000個の-(-OCH2-CO-)-または-(-CO-CH2O-)-繰り返し単位を有してもいい。
【0049】
各結合単位は、結合によって、好ましくは共有結合によって繰り返し単位または他の結合単位とつながってもいい。
【0050】
25℃下で、ヘキサフルオロイソプロパノールの中で測定される上記ポリマー樹脂の回転半径は、10-80nmであってもいい。
【0051】
開環重合のメカニズムから見れば、本発明の構成調整剤は、ポリマー樹脂における多分岐大分子構造の形成において重要な役割を果たす。上記構成調整剤は、Mx-R-Ny(2≦x+y≦20)の構造式を有し、MとNがそれぞれOH、-NH2、-N=C=O、-C(O)Cl、o-二無水物、オキサゾリン、エポキシ、またはオキセタンであり、Rが脂肪族または芳香族基であってもいい。
【0052】
本発明によれば、一つ以上の構成調整剤は、開環重合過程における一つ以上の工程で添加されてもいい。例えば、異なる構成調整剤が重合反応過程における同じ工程で添加されてもよく、または同じ構成調整剤が重合反応過程における異なる工程で添加されてもいい。本発明において、二種類の構成調整剤が使用され、異なる工程で重合反応過程に導入される。構成調整剤の総量は、モノマー(例えばグリコリド)に対し、約0.01重量%~約5重量%であってもいい。
【0053】
ヘキサフルオロイソプロパノールの中で、25℃で測定される回転半径は、分岐ポリマー樹脂(例えばPGA樹脂)の巨大分子のコイルサイズ及び構成調整剤の分岐効果の評価に利用できる。
【0054】
-(-OCH2-CO-)-または-(-CO-CH2O-)-繰り返し単位を含む本発明のポリマー樹脂は、構成調整剤によって導入される構造フラグメントで形成される分岐巨大分子構造を有してもいい。このポリマー樹脂は、同じ数の-(-OCH2-CO-)-または-(-CO-CH2O-)-繰り返し単位を有する対応の線形ポリマー樹脂と比べると、25℃下でヘキサフルオロイソプロパノールの中で測定される回転半径が著しく減少する。
【0055】
分岐ポリマー樹脂(例えば、PGA樹脂)は、分岐ポリマー樹脂(例えば、PGA樹脂)の生産過程に基づき、25℃でヘキサフルオロイソプロパノールの中で測定される約10-80nm、20-70nm、25-65nmまたは40-50nm、好ましくは約20-70nm、より好ましくは約25-65nmの回転半径を有する。
【0056】
本発明の一つの目的は、優れた溶融体流動性、優れた溶融体安定性、及び優れた溶融体加工性を有するポリマー樹脂(例えばPGA樹脂)及びその生産方法を提供することである。そして、ポリマー樹脂の溶融体流動性は、その溶融粘度によって評価できる。ポリマー樹脂の溶融体安定性は、その熱安定温度によって評価できる。ポリマー樹脂の溶融体加工性は、その射出成形グレードによって評価できる。
【0057】
すでに知られているように、ポリマー材料の溶融粘度は、ポリマーの中における分子の間での相互作用、例えば、内部摩擦、拡散、分子鎖配向、もつれなどに由来し、これがポリマー溶融体の流動への抵抗に寄与する。巨大分子鎖の間でのもつれを低減させ、巨大分子の間での内部摩擦を低減させ、巨大分子鎖の間での相互作用を低減させることによって、巨大分子の溶融粘度が低減する。
【0058】
本発明者はすでに、低溶融粘度を有するPGA樹脂を製造するために鋭意に研究しており、そして分岐構造を線形PGAに導入することによって、PGA樹脂の巨大分子間での相互作用を改善した。このような分岐構造は、内部摩擦及び巨大分子鎖間でのもつれを抑え、溶融粘度を低減させることで、逆にPGA樹脂の溶融体レオロジーを根本的に変えた。
【0059】
驚くことに、本発明者は、グリコリドの開環重合に用いる材料の総重量に基づき、2wt%未満の量で構成調整剤を導入して線形PGAを分岐PGAに変換すると、同じ数の-(-OCH2-CO-)-または-(-CO-CH2O-)繰り返し単位を有する分岐PGAが、対応の線形PGAよりも、溶融体流動性が優れていることを見出した。
【0060】
分岐ポリマー樹脂(例えばPGA樹脂)は、同じプロセスによる対応の線形ポリマー樹脂(例えばPGA樹脂)と比べると、構成調整剤による分岐構造の構造変化により、ポリマー(例えばPGA)コイルサイズが減少し、その溶融粘度が改善される可能性がある。具体的に、分岐ポリマー樹脂(例えば、PGA樹脂)の毛細管溶融粘度は、225℃及び100s-1のせん断速度で、約30-1200Pa・sの範囲内にある。
【0061】
すでに知られているように、PGAの溶融温度は、約Tm=220℃である。一般的に、測定温度をTm+30℃以上に上げ、せん断速度を400/s以上に上げることによって、溶融粘度を低減させる。しかし驚くことに、本発明者は、上述の状況で得られる溶融粘度の低減は、実は熱分解によるPGA樹脂の分子量の大幅の低減によるものだと見出した。溶融粘度測定において、熱分解によるいかなる影響を避けるために、PGA樹脂の融点(例えば225℃)に近い温度及び100s-1に近い低せん断速度で、分岐PGA樹脂の溶融粘度を測定する。
【0062】
所望の溶融体加工性を有する分岐ポリマー樹脂(例えば、PGA樹脂)は、シリンダー(直径15mm、長さ290mm)を有するキャピラリーレオメーター(キャピラリー直径1mm、長さ16mm)で測定し、225℃の温度及び100s-1のせん断速度で測定される約30-1200Pa・s、好ましくは50-800Pa・s、より好ましくは70-400Pa・sの溶融粘度を有してもいい。
【0063】
驚くことに、本発明者はさらに、線形PGAと比べると、構成調整剤の添加によって、分岐PGAの溶融体安定性がさらに改善されるが、重合過程が変わらないことを見出した。
【0064】
本発明の上記分岐ポリマー樹脂(例えばPGA樹脂)は、同じ過程で得られる対応の線形ポリマー樹脂(例えばPGA樹脂)とくらべると、もっと優れた溶融体安定性を有する。本発明に記載される溶融体安定性は、ポリマーサンプルのTG曲線で、3%の重量損失に対応する熱温度として定義される。TG曲線は、約10mgのポリマーサンプルをとって、窒素ガス雰囲気下で加熱し(窒素ガスの流速が10ml/minである)、10℃/分間の加熱速度で40℃から400℃まで加熱することによって得られる。ポリマーサンプルの残留重量と温度との関数を測定する。
【0065】
構成調整剤及び/または末端封止剤の使用により、本発明の分岐ポリマー樹脂(例えば、PGA樹脂)は、280℃以上、好ましくは290℃以上の温度下で、3%の重量損失を有してもいい。
【0066】
本発明の分岐ポリマー樹脂(例えば、PGA樹脂)は、同じ過程で得られる対応の線形ポリマー樹脂と比べると、より低い溶融粘度及び高い分解温度を有する。同じ加工温度において、分岐ポリマー樹脂(例えばPGA樹脂)は、対応の線形ポリマー樹脂よりもはるかに低い溶融粘度を有する。同じ溶融粘度を得るために、対応の線形ポリマー樹脂と比べると、分岐ポリマー樹脂(例えばPGA樹脂)では、ポリマー(例えばPGA)の融点にもっと近い溶融体温度が必要となる。
【0067】
ポリマー樹脂(例えばPGA樹脂)の射出成形グレードは、その分岐構造による改善された溶融体の加工性への総合評価に用いることができる。具体的に、溶融のポリマー樹脂(例えば、PGA樹脂)を、直列に接続された二つの円錐-柱構造である金型に注入してもいい。ポリマー樹脂(例えばPGA樹脂)は、第一及び第二円錐-柱構造に対する溶融ポリマー樹脂の充填及び成形に基づき、三つのグレードに分けることができる:A、B、及びC。測定条件下で、分解温度の低減により、本発明の分岐ポリマー樹脂(例えば、PGA樹脂)は、良好な溶融体流動性及び熱安定性を有する以外に、A級(射出成形グレード)に達することができ、さらに低減した加工ウィンドウ(約240℃)を示す。
【0068】
PGA樹脂は、グリコリドの連続開環重合反応のプロセスによって生産および製造され、重合、改質及び成形からなる全一体化過程において、溶融状態を保つ。
【0069】
本発明の一つの目的は、本発明が、連続大規模で上述のポリマー樹脂を得るための重合、改質及び成形を一体化する生産方法を提供することである。
【0070】
PGA樹脂の高熱履歴が二次改質及び成形プロセスの物理化学的特性への影響を避けるために、本発明は構成調整剤を使用することによって、PGA樹脂の溶融体流動性及び加工ウィンドーを改善し、グリコリドの連続開環重合、改質及び成形からなる一体化プロセスを提供し、PGA樹脂の連続工業生産を実現する。
【0071】
また、間接反応装置で生産されるPGA樹脂の質量不均一性を解決するため、本発明は従来の反応装置を組み合わせることで、異なる装置の間での特性の相乗効果を実現する。PGA樹脂の連続工業生産が実現され、得られる製品が安定性及び均一性を有する。PGA樹脂の重合、改質および成形を統合するため、タンク反応器、管型反応器、プラグフロー反応器、またはその組み合わせを使用し、プロセス設備のセットを形成することができる。上記タンク反応系は、垂直反応器、水平セルフクリーニング反応器などを含み;上記プラグフロー反応圧出システムは、一軸反応ユニット、二軸反応ユニットなどを含む。上記管状反応系は、SK型静的ミキサー、SV型静的ミキサー及びSX型静的ミキサーなどの静的ミキサーを含む。
【0072】
本発明は、下記のような、重合、改質及び成形からなる一体化製造プロセスを提供する:
a)プレ重合工程
プレ重合工程では、タンク反応器、管型反応器、またはプラグフロー反応器がプレ重合反応器として用いられる。モノマー(例えばグリコリド)、触媒、構成調整剤A、及び任意的な開始剤は、ウェイトレススケール(weightless weighing)または計量ポンプによってプレ重合反応器に注入される。上記プレ重合反応は、プレ重合反応器の中で、モノマー(例えばグリコリド)の融点(TmGL℃)を超え、好ましくはTmGL+20℃、より好ましくはTmGL+40℃、そしてポリマーの溶融温度(Tm℃)未満で、好ましくはTm-20℃、より好ましくはTm-40℃の温度下で行い、プレ重合組成物を形成する。反応時間は、約1分間~約5時間、好ましくは約5分間~約4時間、より好ましくは約10分間~約3時間である。プレ重合反応によって得られるプレ重合組成物は、溶融体輸送によって重合反応工程に進む。
【0073】
b)重合工程
重合工程では、上記プレ重合組成物が溶融体輸送によって重合反応器に供給される。上記重合反応器は、タンク反応器、プラグフロー反応器、または管型反応器であってもいい。例えば重合温度、時間及び圧力などの重合条件を調整することで、プレ重合組成物の更なる鎖延長が実現できる。構成調整剤Bを添加して、得られるポリマー構造をさらに調整することができる。上記重合反応温度の範囲は、Tc+10℃以上~Tm+37℃以下である。Tcはポリマーの結晶化温度である。Tmはポリマーの溶融温度である。重合時間は、約1分間~約72時間、好ましくは5分間~48時間、より好ましくは10分間~24時間であってもいい。重合系圧力(絶対圧力)は約0.5-10MPaであってもいい。系圧力(絶対圧力)の上限は0.5MPa、好ましくは0.2MPa、より好ましくは0.1MPaであり、その下限は10-6MPa、好ましくは10-4MPa、より好ましくは10-2MPaである。その結果、重合反応において、重合組成物が形成される。
【0074】
c)最適化工程
最適化工程では、上記重合組成物が溶融体輸送によって最適化反応器に供給される。上記最適化反応器は、タンク反応器、プラグフロー反応器、または管型反応器であってもいい。最適化反応における主な過程は、上記重合組成物の脱揮発分及び改質である。上記改質剤は、酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、チオエステル系酸化防止剤、亜リン酸エステル系酸化防止剤、またはその組み合わせを含むが、これらに限定されない)、金属不活性化剤(MD24、Chel-180、XL-1、CDA10、CDA6、またはその組み合わせを含むが、これらに限定されない)、加水分解抑制剤、光安定剤(ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ヒンダードアミン、またはその組み合わせを含むが、これらに限定されない)、及び無機充填剤(ガラス、炭素、カーボンナノチューブ、タルク、炭酸カルシウム、またはその組み合わせを含むが、これらに限定されない)から選んでもいい。上記改質剤は末端封止剤であってもいい。最適化は、反応系の温度、回転速度、及び真空度を調整することによって実現できる。最適化系の温度範囲は、Tm~Tm+37℃であってもいい。 Tmはポリマーの溶融温度である。反応温度の上限はTm+37℃、好ましくはTm+20℃、より好ましくはTm+10℃であってもいい。反応温度の下限はTc+20℃、好ましくはTc+30℃、より好ましくはTc+40 ℃であってもいい。スクリュー回転速度は約1-500rpmであってもいい。回転速度の上限は、好ましくは300rpm、より好ましくは200rpmであってもいい。回転速度の下限は、好ましくは25rpm、より好ましくは50rpmであってもいい。最適化反応系の真空度(絶対圧力)の範囲は、約1Pa~常圧、好ましくは1~5000Pa、より好ましくは1~100Paである。最適化反応時間は、約1分間~約24時間、好ましくは5分間~12時間、より好ましくは10分間~6時間であってもいい。最適化工程の後に、ポリマー樹脂が得られる。
【0075】
d)成型工程
ポリマー樹脂は、ポリマー製品(例えばPGA製品)に成形されてもいい。最適化反応器の出口における帯状の金型は、様々な成形条件を実現するために、例えば、水中ペレット金型及びアセンブリ、カレンダーフィルム金型及びアセンブリ、キャストフィルム金型及びアセンブリ、ブローフィルム金型及びアセンブリ、繊維紡糸金型及びアセンブリ、または棒圧出、管圧出金型及びアセンブリ、及びシート圧出金型及びアセンブリなどの、下流の製品に対応する金型やアセンブリによって置き換えてもいい。本発明のポリマー樹脂を成形することによって作られる製品は、ポリマー(例えば、PGA)の物理的及び化学的特性の安定性及び均一性を最大限に維持することができる。
【0076】
本発明が係る材料は、以下の物を含む:
1.モノマー
上記モノマーは、二分子ヒドロキシカルボン酸の環化によって得られるラクチドであってもいい。ヒドロキシカルボン酸の例として、グリコール酸、乳酸(L、DまたはDL)、α-ヒドロキシ酪酸、α-ヒドロキシ吉草酸、α-ヒドロキシイソ酪酸、α-ヒドロキシカプロン酸、α-ヒドロキシイソカプロン酸、α-ヒドロキシヘプタン酸、α-ヒドロキシオクタン酸、α-ヒドロキシデカン酸、α-ヒドロキシミリスチン酸、及びα-ヒドロキシステアリン酸などが挙げられる。また、上記モノマーは、4-8個の炭素を有するラクトン、p-ジオキサノン、炭酸トリメチレン、及び開環重合できるその他の環状化合物から選んでもいい。好ましくは、グリコリド、ラクチド、p-ジオキサノン、炭酸トリメチレン、及びカプロラクトンである。より好ましくは、グリコリド、ラクチド、及びp-ジオキサノンである。最も好ましくは、グリコリドである。
【0077】
2.触媒
上記触媒は、環状エステルまたはラクチドの開環重合に使用できれば、いかなる金属触媒であってもいい。上記金属触媒は、スズ、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、チタン、マグネシウム、および希土類元素から選ばれる一つ以上の金属の脂肪酸塩、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、またはアルコキシドであってもいい。特に、スズ含有化合物の例として、塩化第一スズ、オクタン酸第一スズ、四塩化スズ、酸化スズ、ミリステートスズ、オクタン酸スズ、ステアリン酸スズ、テトラフェニルスズ、スズメトキシド、スズエトキシド、スズブトキシドなどが挙げられる。アルミニウム含有化合物の例として、酸化アルミニウム、アセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシドアルミニウム、およびアルミニウム-イミン錯体が挙げられる。上記触媒は、好ましくはスズ系触媒であり、より好ましくは四塩化スズまたはオクタン酸第一スズである。触媒の用量は、グリコリドの重量に基づき、約0.0001-2重量%、好ましくは0.001-0.5重量%、より好ましくは0.01-0.1重量%であってもいい。
【0078】
3.構成調整剤
本発明の構成調整剤は、開環重合過程において分岐作用として働く工程によって、二種類に分けることができ、構成調整剤Aと構成調整剤Bとして称す。
【0079】
上記構成調整剤Aは、開環重合過程の鎖延長段階、特にポリマー樹脂(例えばPGA樹脂)の重合、改質及び成形の一体化過程で入れてもいい。上記構成調整剤Aは、プレ重合反応工程及び重合反応工程で入れてもよく、好ましくは、プレ重合反応工程で、モノマー(例えばグリコリド)に対し、約0.001-5.000重量%、好ましくは0.01-1.00重量%の量として入れる。
【0080】
上述のように、構成調整剤AのMとNは、構造として、好ましくはOH、エポキシ、オキセタン、またはその組み合わせである。具体的に、構成調整剤Aは、好ましくはオキセタン化合物、グリシジル化合物、または脂肪族ポリオールである。
【0081】
上記オキセタン化合物の構造は、以下の通りである:
【0082】
【0083】
R3はH、アルキル基、アリール基であり、C1-C4はアラルキル基であり;R4はC1-C4アルキレン基である。上記アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、またはtert-ブチル基、好ましくはメチル基またはエチル基であってもいい。上記アルキレン基の例として、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、及びメチルトリメチレン基などが挙げられ、好ましくはメチレン基である。このように、オキセタン構成調整剤は、最も好ましくは3-メチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンまたは3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンである。
【0084】
グリシジル化合物は、グリシドール、エチレングリコールモノグリシジルエーテル、プロピレングリコールモノグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールモノグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンモノグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールモノグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテルまたはその組み合わせ、好ましくはグリシドールであってもいい。
【0085】
上記構成調整剤Aは、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ブタントリオール、ペンタントリオール、デカントリオール、シクロヘキサントリオール、ヘプタントリオール、オクタントリオール、ペンタエリスリトール、ブタンエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グリセリン、グリセロールポリマー、キシリトール、ソルビトール、ソルビトール、マルチトール、ガラクチトール、シクロヘキサノール、またはその組み合わせなどの脂肪族ポリオール、好ましくはトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、及びシクロヘキサノール、より好ましくはトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、及びペンタエリスリトールであってもいい。
【0086】
上記構成調整剤Bは、鎖調整段階で、特に上述ポリマー樹脂(例えばポリグリコール酸樹脂)の重合、改質及び成形からなる一体化過程で重合反応に入れてもいい。上記構成調整剤Bは、重合反応工程及び最適化反応工程で入れてもよく、好ましくは、重合反応工程で、モノマー(例えばグリコリド)に対し、約0.001-5.000重量%、好ましくは0.01-1.00重量%の量として入れる。
【0087】
上述のように、構成調整剤BのMとNは、構造として、好ましくは-N=C=O、オキサゾリン、またはその組み合わせである。構成調整剤Bは、ジイソシアネート化合物またはビスオキサゾリン化合物であってもいい。上記ジイソシアネート化合物は、4~20個の炭素原子を有するジイソシアネート化合物またはその混合物であってもいい。一般的に使用されるジイソシアネートの例としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;例えば、1,4-、1,3-または1,2-ジイソシアネートシクロヘキサン、4,4'-または2,4'-ビス(イソシアネートシクロヘキシル)-メタン、1-イソシアネート-3,3,5-トリメチル-5-(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、1,3-または1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、2,4-または2,6-ジイソシアネート-1-メチルシクロヘキサンなどの脂環式ジイソシアネート;例えば、2,4-または2,6-トルエンジイソシアネート及びその混合物、m-キシリレンまたはp-キシリレンジイソシアネート、2,4'-または4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート及びその異性体混合物、1,3-または1,4-フェニレンジイソシアネート、1-クロロ-2,4-フェニレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ジフェニレン-4,4'-ジイソシアネート、4,4'-ジイソシアネート-3,3'-ジメチルビフェニル、3-メチルジフェニルメタン-4,4'-ジイソシアネート、テトラメチルベンゾジメチルジイソシアネート、1,4-ジイソシアネートベンゼン、ジイソシアネートフェニルエーテル-4,4'-ジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
【0088】
本発明の構成調整剤Bは、好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、4,4'-または2,4'-ビス(イソシアネートシクロヘキシル)-メタンであり、より好ましくはイソホロンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネートであり、最も好ましくはヘキサメチレンジイソシアネートである。
【0089】
また、構成調整剤Bとして、ビスオキサゾリン化合物は、1,4-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾール)ベンゼン及び1,3-ビス(4,5-ジヒドロ-2)-オキサゾール)ベンゼン、2,2'-ビス(2-オキサゾリン)、(S,S)または(R,R)-2,6-ビス(4-イソプロピル-2-オキサゾリン-2-イル)ピリジン、(S,S)または(R,R)-2,6-ビス(4-フェニル-2-オキサゾリン-2-イル)ピリジン、(S,S)または(R,R)-2,2'-イソプロピリデンビス(4-フェニル-2-オキサゾリン)、(S,S)または(R,R)-2,2'-イソプロピリデンビス(4-Tert-ブチル-2-オキサゾリン)、(S,S)または(R,R)-2,6-ビス(4-イソプロピル-2-オキサゾリン-2-イル)-p-キシレン、またはその組み合わせを含む。
【0090】
本発明のビスオキサゾリン構成調整剤は、好ましくは1,4-ビス(4、5-ジヒドロ-2-オキサゾール)ベンゼン及び2,2'-ビス(2-オキサゾリン)であり、より好ましくは2,2'-ビス(2-オキサゾリン)である。
【0091】
4.末端封止剤
上記末端封止剤は、開環重合過程の終了段階、特にポリマー樹脂(例えばPGA樹脂)の重合、改質及び成形からなる一体化過程で入れてもいい。上記末端封止剤は、任意的に、最適化反応工程及び成形工程で入れてもよく、好ましくは、最適化反応工程で、モノマー(例えばグリコリド)に対し、一般的に約0.01-5.00重量%、好ましくは0.1-1.0重量%の量として入れる。
【0092】
上記末端封止剤は、カルボジイミド化合物であってもいい。更なる例としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、オクチルデシルカルボジイミド、ジ-tert-ブチルカルボジイミド、tert-イソプロピリデンカルボジイミド、ジベンジルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、N-オクタデシル-N'-フェニルカルボジイミド、N-ベンジル-N'-フェニルカルボジイミド、N-ベンジル-N'-トルエンカルボジイミド、ジ-o-トリルカルボジイミド、ジ-p-トリルカルボジイミド、ビス(p-ニトロフェニル)カルボジイミド、ビス(p-アミノフェニル)カルボジイミド、ビス(p-ヒドロキシフェニル)カルボジイミド、ビス(p-クロロフェニル)カルボジイミド、ビス(o-クロロフェニル)カルボジイミド、ビス(o-エチルフェニル)カルボジイミド、ビス(p-エチルフェニル)カルボジイミド、ビス(o-イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(p-イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(o-イソブチルフェニル)カルボジイミド、ビス(p-イソブチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,5-ジクロロフェニル)カルボジイミド、p-フェニレンビス(o-トリルカルボジイミド)、p-フェニレンビス(シクロヘキシルカルボジイミド)、p-フェニレンビス(p-クロロフェニルカルボジイミド)、2,6,2',6'-テトライソプロピルジフェニルカルボジイミド、ヘキサメチレンビス(シクロヘキシルカルボジイミド)、エチレンビス(フェニルカルボジイミド)、エチレンビス(シクロヘキシルカルボジイミド)、ビス(2,6-ジメチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,6-ジエチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2-エチル-6-イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス2-ブチル-6-イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,4,6-トリブチルフェニル)ビフェニル、ジ-β-ナフチルカルボジイミド、N-トリル-N'-シクロヘキシルカルボジイミド、及びN-トリル-N'-フェニルカルボジイミドなどが挙げられる。上記末端封止剤は、好ましくはジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、2,6,2',6'-テトライソプロピルジフェニルカルボジイミドである。それらの産業上での利用性から見ると、上記末端封止剤は、より好ましくはジシクロヘキシルカルボジイミド及びジイソプロピルカルボジイミドである。
【0093】
要するに、本発明は、一つ以上の-(-OCH2-CO-)-または-(-CO-CH2O-)-繰り返し単位、及び以下の群から選ばれる一つ以上の結合単位を含むポリマー樹脂を提供する:
(a)結合単位1は
【0094】
【0095】
であり、
(b)結合単位2は
【0096】
【0097】
であり、
(c)結合単位3は
【0098】
【0099】
であり、
(d)結合単位4は
【0100】
【0101】
であり、
(e)結合単位5は
【0102】
【0103】
であり、
【0104】
【0105】
は、複数の-(-OCH2-CO-)-または-(-CO-CH2O-)-繰り返し単位からなるポリマーセグメントである。結合単位(a)は3-20個の枝、好ましくは3-6個の枝を有し、各枝(例えばn1、n2…niのそれぞれ)が1-2000個、好ましくは10-1000個の-(-OCH2-CO-)-または-(-CO-CH2O-)-繰り返し単位を有してもいい。R1はポリオール残基であり、好ましくトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、またはペンタエリスリトール残基である。R2はグリシジルエーテル残基であり、好ましくはグリシドール残基である。R3とR4はオキセタン残基を構成し、好ましくは3-メチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンまたは3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン残基である。R5はジイソシアネート残基、好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート残基である。R6はオキサゾリン残基、好ましくは2,2'-ビス(2-オキサゾリン)残基である。
【0106】
各結合単位は、結合によって、好ましくは共有結合によって繰り返し単位または他の結合単位とつながってもいい。
【0107】
25℃下で、ヘキサフルオロイソプロパノールの中で測定される上記ポリマー樹脂の回転半径は、10-80nmであってもいい。
【0108】
本発明が係る用語は、以下の物を含む:
ここで使用される用語「ポリグリコール酸(PGA)」、「ポリ(グリコール酸)(PGA)」、及び「ポリグリコライド」は、互換的に使用でき、-(-OCH2-CO-)-または-(-CO-CH2O-)-繰り返し単位を含むポリマーである。ポリグリコール酸は、重縮合または開環重合によって製造されてもいい。
【0109】
ここで使用される用語「構成調整剤」は、PGAの作製に用いられ、得られるPGAの構造を変える添加剤である。PGAの製造過程における同じもしくは異なる工程に、一つ以上の構成調整剤を用いてもいい。
【0110】
ここで使用される用語「末端封止剤」は、PGAの作製に用いられ、ポリマーの鎖延長をブロックする添加剤である。
【0111】
ここで使用される用語「溶融粘度」は、シリンダー(直径15mm、長さ290mm)を有するキャピラリーレオメーター(キャピラリー直径1mm、長さ16mm)によって、225℃の温度及び100s-1のせん断速度で測定される溶融ポリマーサンプルの粘度である。
【0112】
ここで使用される用語「熱安定温度」は、ポリマーサンプルのTG曲線で、3%の重量損失に対応する温度である。上記TG曲線は、約10mgのポリマーサンプルをとって、窒素ガス雰囲気下で加熱し(窒素ガスの流速が10ml/minである)、10℃/分間の加熱速度で40℃から400℃まで加熱することによって得られる。ポリマーサンプルの残留重量と温度との関数を測定する。
【0113】
ここで使用される用語「射出成形グレード」は、ノズル温度=240℃、ゾーン1温度=220℃、ゾーン2温度=230℃、ゾーン3温度=235℃、ゾーン4温度=240℃、溶融温度=220℃を用いる射出成形機の測定金型の膨満度である。測定金型は、お互いに密接につなげ、直列に接続された二つの円錐-柱構造である。一つ目の円錐-柱は、0.5cmの高さ、5cmの底幅、及び5cmの円錐高さを有し;二つ目の円錐-柱は、0.5cmの高さ、2cmの底幅、及び4cmの円錐高さを有する。
【0114】
ここで使用される用語「著しく増加」は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%の増加である。
【0115】
ここで、数量、パーセントなどの測定可能な値に関する場合、規定値から±20%または±10%、より好ましくは±5%、さらに好ましくは±1%、最も好ましくは±0.1%の変化は合理的であるため、使用される用語「約」とは、このような変化が含まれることを意味する。
【0116】
本発明が係る測定方法は、以下の通りである:
1.モノマー変換率
下記の方法により、モノマー変換率を測定する:1)10mgのグリコリドと10mgの1,4-ブチロラクトン(内部標準)を50mlのメスフラスコに入れる。30mlのヘキサフルオロイソプロパノールと20mlのアセトンをフラスコに入れることによって、約0.2mg/mlのグリコリドと0.2mg/mlの1,4-ブチロラクトンを含有するグリコリド参照溶液を作製する。2)0.5gのサンプルを密閉容器に添加し、60℃の水浴で、15mlのヘキサフルオロイソプロパノールの中で3-4時間溶解した。溶解が終わると、測定溶液を100mlの丸底(平底)フラスコに移し、15mlのヘキサフルオロイソプロパノールを密閉金属容器に添加して、洗浄の後にフラスコに移す。10mlのアセトンを入れて、ポリマーを沈殿させる。そして、1,4-ブチロラクトンを入れて、振って、沈殿のポリマーが溶解したら、ろ過する。ろ液を除去する。3)参照溶液と測定溶液をそれぞれ1μlずつガスクロマトグラフィーに注入し、クロマトグラムを記録する。ピーク面積から残留モノマー含有量W1を算出し、1-W1がモノマー変換率である。
【0117】
2.回転半径
回転半径(Zimm法)は、ドイツALV社のCGS-5022F型レーザースキャトロメータ(He/Neレーザージェネレーターパワー:22mW)によって測定する。50℃での真空オーブンの中で、恒量になるまでポリマーサンプルを乾燥させる。25℃で、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノール(HPLCグレード)を使用し、濃度がC0=0.001g/g(ポリマー/ヘキサフルオロイソプロパノール)であるポリマー測定溶液を作製する。四つの濃度C0、3/4C0、1/2C0及び1/4C0を有するポリマー/ヘキサフルオロイソプロパノール溶液は、希釈および0.2μmフィルターでのろ過によって作製される。検出波長は632.8nm;散乱角の範囲は15-150度;測定温度は25±0.1℃である。
【0118】
3.溶融粘度
Malvern Rosand RH7キャピラリーレオメーター(キャピラリー直径1mm、長さ16mm)を用いて、ポリマーの溶融粘度を測定する。測定の前に、50℃での真空オーブンの中で、恒量になるまでポリマーサンプルを乾燥させる。225℃の設定温度で、約20gのポリマーサンプルを直径15mm、長さ290mmの丸管に入れる。5分間溶融した後に、100s-1のせん断速度で、ポリマーサンプルの溶融粘度を測定する。
【0119】
4.熱安定温度
ドイツTG 209 F3 Tarsus型熱重量分析装置を使用し、ポリマーの熱安定温度を測定する。測定の前に、50℃での真空オーブンの中で、恒量になるまでポリマーサンプルを乾燥させる。約10mgのポリマーサンプルを取り出し、窒素ガス雰囲気下(窒素ガスの流速が10ml/minである)及び10℃/minの昇温速度で、40℃から400℃に温度を上げる。温度の上昇につれ、残留サンプルの重量変化を測定する。ここで使用される用語「熱安定温度」は、ポリマーサンプルの重量損失が3重量%になる時の温度である。
【0120】
5.射出成形グレード
本発明におけるポリマー樹脂の溶融加工性は、射出成形グレードを特徴とする。ポリマーの射出成形グレードは、寧波ハイチグループのハイチ天翔SaII射出成形機によって評価する。射出成形の温度範囲は、下記の通りである:ノズル温度=240℃;ゾーン1温度=220℃;ゾーン2温度=230℃;ゾーン3温度=235℃;ゾーン4温度=240℃;溶融温度=220℃。溶融のポリマー樹脂は、お互いに密接につなげ、直列に接続された二つの円錐-柱構造を有する金型に注入される。一つ目の円錐-柱金型は、0.5cmの高さ、5cmの底幅、及び5cmの円錐高さを有する。二つ目の円錐-柱金型は、0.5cmの高さ、2cmの底幅、及び4cmの円錐高さを有する。ポリマーの射出成形グレードは、以下の標準によって評価する:
A:一つ目の円錐-柱金型と二つ目の円錐-柱金型が、それぞれ完全な金型で充填される;
B:一つ目の円錐-柱金型の充填効果が相対的に良いが、二つ目の円錐-柱金型の端部では、充填されていない空間が存在する;及び
C:一つ目の円錐-柱金型の充填が困難であり、充填されていない空間が存在する。
【0121】
実施例1:ポリマー1と2
ポリマー1-2及び比較例1を作製し、それらの回転半径、溶融粘度、熱安定温度、及び射出成形グレードを評価した。開環重合によって比較例1を作製した。100gのグリコリド、5mgの四塩化スズ(開環重合触媒)及び50mgのラウリルアルコール(開始剤)をガラス試験管に入れ、200℃下で3時間重合させた。重合の後に、160℃で更なる重合を12時間行った。更なる重合の後に、得られたポリマーを冷却、回収、そして粉砕し、アセトンで数回洗浄した。最後に、30℃で、恒量になるまでポリマーを真空乾燥した。その結果、比較例1を得た。
【0122】
重合において50mgのグリシドール(構成調整剤A)を入れたこと以外、比較例1と同様にポリマー1を作製した。
【0123】
160℃で更なる重合を10時間行い、そして50mgのヘキサメチレンジイソシアネート(構成調整剤B)を入れてから、この更なる重合をまた2時間行ったこと以外、ポリマー1と同様にポリマー2を作製した。
【0124】
下記の測定において、ポリマー1-2及び比較例1を評価し、その結果は表1に示される。
【0125】
【0126】
表1に示されるように、構成調整剤Aと構成調整剤Bを入れることで、溶融粘度が効果的に低減し、得られるポリマーの熱安定性が改善されるため、ポリマー製品への加工により適すことになる。
【0127】
実施例2:ポリマー3-21
重合、改質及び加工からなる一体化生産過程によって、ポリマー3-21を作製した。各ポリマーを約100kg連続生産した。実施例2において、各プロセス工程の触媒及び末端封止剤の用量や関連パラメータを調整し、得られたポリマーのモノマー変換率、回転半径及び溶融粘度を測定した。
【0128】
プレハブタンク反応器の中で、温度T1で、異なる量のグリコリド、四塩化スズ(開環重合触媒)、及びグリコリドの重量に対し0.05重量%としてのグリシドールを均一に混合した。反応時間はt1だった。プレ重合タンク反応器の材料を重合反応器に移した。グリコリドの重量に対し0.1重量%としてヘキサメチレンジイソシアネートを入れた。絶対圧力P1及び温度T2で重合を行った。上記重合反応器はプラグフロー反応器であってもよく、それが静止型混合器、二軸スクリュー装置、または水平型ディスクリアクターであってもいい。重合反応器中の材料を最適化反応器に移した。グリコリドに対し異なる量として末端封止剤を入れた。所定の混合速度及び温度T3、絶対圧力P3で、最適化反応を行った。反応時間はt3だった。最後に、造粒を行った。
【0129】
実施例3:ポリマー22-37
重合、改質及び加工からなる一体化生産過程によって、ポリマー22-37を作製した。各ポリマーを約100kg連続生産した。実施例3において、構成調整剤の種類と数量を調整し、得られたポリマーの回転半径、溶融粘度、熱安定温度、及び射出成形グレードを測定した。
【0130】
プレ重合タンク反応器の中で、温度120℃で、グリコリド、0.05重量%の四塩化スズ(開環重合触媒)、及びグリコリドの重量に対し0.05重量%としての構成調整剤Aを均一に混合した。反応時間は60分間だった。プレ重合タンク反応器中の材料を重合反応器に移した。所定量の構成調整剤Bを入れた。0.1MPaの絶対圧力及び200℃で300分間重合させた。上記重合反応器はプラグフロー反応器であってもよく、それが静止型混合器、二軸スクリュー装置、または水平型ディスクリアクターであってもいい。重合反応器中の材料を最適化反応器に移した。グリコリドに対し用量が0.2重量%であるジシクロヘキシルカルボジイミド(末端封止剤)を入れ、50MPaの絶対圧力及び220℃で、200RPMで30分間混合した。最後に、造粒を行った。
【0131】
ここで、特定の実施例を参照して本発明を例示、説明してきたが、本発明は、示された詳細に限定されるものではない。本発明から逸脱しない限り、特許請求の範囲と同等の範囲内で様々な修正を詳細に行うことができる。
【0132】
【0133】
【手続補正書】
【提出日】2021-07-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
b)重合工程
重合工程では、上記プレ重合組成物が溶融体輸送によって重合反応器に供給される。上記重合反応器は、タンク反応器、プラグフロー反応器、または管型反応器であってもいい。例えば重合温度、時間及び圧力などの重合条件を調整することで、プレ重合組成物の更なる鎖延長が実現できる。構成調整剤Bを添加して、得られるポリマー構造をさらに調整することができる。上記重合反応温度の範囲は、Tc+10℃以上~Tm+37℃以下である。Tcはポリマーの結晶化温度である。Tmはポリマーの溶融温度である。重合時間は、約1分間~約72時間、好ましくは5分間~48時間、より好ましくは10分間~24時間であってもいい。重合系圧力(絶対圧力)は約0.5-10
-6
MPaであってもいい。系圧力(絶対圧力)の上限は0.5MPa、好ましくは0.2MPa、より好ましくは0.1MPaであり、その下限は10-6MPa、好ましくは10-4MPa、より好ましくは10-2MPaである。その結果、重合反応において、重合組成物が形成される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0085
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0085】
上記構成調整剤Aは、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ブタントリオール、ペンタントリオール、デカントリオール、シクロヘキサントリオール、ヘプタントリオール、オクタントリオール、ペンタエリスリトール、ブタンエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グリセリン、グリセロールポリマー、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ガラクチトール、シクロヘキサノール、またはその組み合わせなどの脂肪族ポリオール、好ましくはトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、及びシクロヘキサノール、より好ましくはトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、及びペンタエリスリトールであってもいい。
【国際調査報告】